JPWO2013183102A1 - 信号処理装置 - Google Patents
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Abstract
Description
第一のケースについては、以下のように説明することができる。最近の音響信号再生システムではデジタル処理によって周波数特性を補正したり、音量を調整したりする装置が増えてきている。周波数特性の補正では、例えば高周波数成分を10dB増強すると、−10dBFS以上の音量値でデジタル信号が飽和する可能性がうまれる。なお0dBFSはデジタル信号の最大振幅値を表す。このため、大音量時に再生音がデジタル的に歪んでしまい、音質が劣化してしまうこととなる。この様子を図2に示す。
次に、第二のケース、すなわちスピーカの再生限界を超えることで歪みや音割れが発生するケースについて説明する。
また、401、402、403は、スピーカで再生する音響信号の周波数特性を示しており、特に低周波数成分を多く含むケースを想定している。401は音量値が小さいときの特性、402は音量値が中程度のときの特性、403は音量値が大きいときの周波数特性である。401のように小さな音量値で再生する分には、低周波数成分を多く含む音響信号でもスピーカ振動板の最大変位幅を超えないため、音割れが発生せず、本来の音質で楽しむことができる。しかし、402や403のように音量を上げてしまうと、スピーカ振動板の最大変位幅を超えてしまうため、歪みや音割れが発生して音質が劣化することとなる。
歪みや音割れは、本来の音響信号には含まれない音であるため、音楽を楽しもうとするときの大きな阻害要因となる。
実施の形態1.
図1は、本発明の原理説明図である。以下、本発明の動作について説明する。
本発明による信号処理装置に入力された入力信号101は分岐され、過大入力推定部102と、周波数特性変形部103に送られる。
過大入力推定部102では、入力信号101が対象スピーカに対して過大入力となるかどうか、あるいはデジタル信号の最大振幅値を超えているかどうかを推定し、推定結果信号104を制御部105へ向けて出力する。
周波数特性変形部103は、制御部105から送られてきたパラメータ106に従い、入力信号101の周波数特性を変形させて、出力信号107を出力する。パラメータ106がフィルタ係数であれば、周波数特性部ではこの係数106を用いてフィルタ処理を行う。
図5は本発明の別の実施例を示す図である。本実施例では、スピーカ振動板の変位限界を超えないように音響信号の周波数特性を変形させる例を示している。以下、本実施例の動作について説明する。
本発明による信号処理装置に入力された入力信号101は分岐され、過大入力推定部102と、周波数特性変形部103に送られる。
制御部105では、入力された推定結果信号104に対してHPF処理を行い、変位推定信号の振幅値が所定の閾値以内に収まるようなHPFのフィルタ係数を求める。所定の閾値とは対象スピーカの振動板の最大変位幅に概略相当する値である。また、HPFのフィルタ係数の算出方法としては、まず、HPFのカットオフ周波数を低く設定(例えば20Hzに設定)し、徐々にカットオフ周波数を上げていって、HPFの出力信号の振幅値が閾値以下になるカットオフ周波数を求めればよい。また、このときのフィルタ係数を周波数特性変形部103へ向けて出力する。
図6は本発明の別の実施例を示す図である。本実施例では、高周波数成分の補正が多いような周波数特性補正を施されたデジタル音響信号において、デジタル信号の最大振幅を超えないように信号の周波数特性を変形させる例を示している。以下、本実施例の動作について説明する。
本発明による信号処理装置に入力された入力信号101は分岐され、過大入力推定部102と、周波数特性変形部103に送られる。
本実施例の過大入力推定部102は、デジタル信号振幅算出部601から構成されていることが特徴である。デジタル信号振幅算出部601では、ボリューム値602と入力信号101を乗算してボリューム処理後の振幅値を求め、求めた振幅値を推定結果信号104として制御部105へ向けて出力する。
図7は本発明の別の実施例を示す図である。本実施例では、周波数特性変形部103を可変フィルタではなく、固定フィルタと位相補正と複数の乗算器と加算器から構成している点が特徴である。本実施例の動作について説明する。
本発明による信号処理装置に入力された入力信号101は分岐され、位相補正部701とHPF702に送られる。
HPF702は入力信号101をフィルタ処理し、得られた信号704を第二の乗算器706と過大入力推定部102に向けて出力する。
このように求めた2つのスピーカ振動板変位値707、708を制御部105へ向けて出力する。
このような条件で2つのゲイン係数を変えていくと、異なった低域減衰効果を実現することができる。図8は、HPF702を、カットオフ周波数80Hzの2次IIRフィルタ2段で実現し、位相補正部701を、カットオフ周波数80Hzの2次IIRの全域通過フィルタ1段で実現した時の2つのゲイン係数による周波数特性の遷移を表している。また、図8において、スピーカ振動板変位値707に対するゲイン係数をA1、スピーカ振動板変位値708に対するゲイン係数をA2としたとき、801はX1=1.0、X2=0.0の特性、802はX1=0.1、X2=0.9の特性、803は、X1=0.0、X2=1.0の特性を示す。このように、完全に平坦な特性(X1=1.0、X2=0.0)から、カットオフ周波数80Hzの2次IIRフィルタ2段と同じ特性(X1=0.0、X2=1.0)となる間で異なった低域減衰特性を実現できることがわかる。また、カットオフ周波数以上の周波数成分については、合計1となる割合で位相の揃った成分を加算するため、強度の増減はなく平坦な特性を保つことができる。
T>ABS(X1×A1+X2×A2) ・・・(1)
A1+A2=1
なお、ABS(x)はxの絶対値を表す。
第一の乗算器705では、入力された信号703とゲイン係数709を乗じて、得られた信号711を加算器713に向けて出力する。
第二の乗算器706では、入力された信号704とゲイン係数710を乗じて、得られた信号712を加算器713に向けて出力する。
加算器713では、入力された2つの信号711、712を加算し、得られた信号を出力信号107として出力する。
実施例4で説明したHPF702をLPFに置き換えることで、高周波数成分の補正が多いような周波数特性補正を施されたデジタル音響信号において、デジタル信号の最大振幅を超えないように信号の周波数特性を変形させることも可能である。図9はHPF702をLPFに置き換えた場合の実施例を示す処理構成である。
本発明による信号処理装置に入力された入力信号101は分岐され、位相補正部701とLPF901に送られる。
位相補正部701は入力信号101の周波数振幅特性を変えずに、LPF901の位相特性と略同一の特性となるように位相特性のみを補正し、得られた信号703を第一の乗算器705と過大入力推定部102に向けて出力する。
LPF901は入力信号101をフィルタ処理し、得られた信号902を第二の乗算器706と過大入力推定部102に向けて出力する。
本実施例の過大入力推定部102は、実施例3と同様にデジタル信号振幅算出部601から構成されている。デジタル信号振幅算出部601では、ボリューム値602と入力信号703を乗算して第一の振幅値(スピーカ振動板変位値)707を求める。同様に、ボリューム値602と入力信号902を乗算して第二の振幅値(スピーカ振動板変位値)708を求める。
制御部105では、入力された2つの振幅値707、708に対して、2つの異なるゲイン係数を乗じてから加算したときに、振幅値の絶対値が所定の閾値以内に収まるような2つのゲイン係数を夫々求める。ただし、2つのゲイン係数の合計を1とする。
このような条件で2つのゲイン係数を変えていくと、異なった高域減衰効果を実現することができる。図10は、LPF901を、カットオフ周波数6000Hzの2次IIRフィルタ2段で実現し、位相補正部701を、カットオフ周波数6000Hzの2次IIRの全域通過フィルタ1段で実現した時の2つのゲイン係数による周波数特性の遷移を表している。また、図10において、スピーカ振動板変位値707に対するゲイン係数をA1、スピーカ振動板変位値708に対するゲイン係数をA2としたとき、1001はX1=1.0、X2=0.0の特性、1002はX1=0.1、X2=0.9の特性、1003は、X1=0.0、X2=1.0の特性を示す。このように、完全に平坦な特性(X1=1.0、X2=0.0)から、カットオフ周波数6000Hzの2次IIRフィルタ2段の特性(X1=0.0、X2=1.0)まで、異なった高域減衰特性を実現できることがわかる。また、カットオフ周波数以下の周波数成分については、合計1となる割合で位相の揃った成分を加算するため、強度の増減はなく平坦な特性を保つことができる。このような2つのゲイン係数の具体的な算出法としては、実施例4と同様に求められるため、説明を省略する。
第一の乗算器705では、入力された信号703とゲイン係数709を乗じて、得られた信号711を加算器713に向けて出力する。
第二の乗算器706では、入力された信号704とゲイン係数710を乗じて、得られた信号712を加算器713に向けて出力する。
加算器713では、入力された2つの信号711、712を加算し、得られた信号を出力信号107として出力する。
実施例4、5では、1つの位相補正部と1つのHPFないしLPFにて周波数特性変形部103を実現していたが、これに限らず、複数の位相補正部と複数のHPFないしLPFにて周波数特性変形部103を実現しても良い。
図11は、3つの位相補正部と3つHPFにて周波数特性変形部を実現した例を示す図である。以下、本実施例の動作について説明する。
第一のHPF1101では、入力信号をフィルタ処理し、得られた信号1104を第一の位相補正部1107に向けて出力する。
第二のHPF1102では、入力信号をフィルタ処理し、得られた信号1105を第二の位相補正部1108に向けて出力する。
第三のHPF1103では、入力信号をフィルタ処理し、得られた信号1106を第三の位相補正部1109に向けて出力する。
第二の位相補正部1108では、信号の周波数振幅特性を変えずに、第一のHPF1101と第三のHPF1103とを両方処理したときの位相特性と略同一の特性となるように位相特性のみを補正し、得られた信号1111を第二の乗算器1114と過大入力推定部102に向けて出力する。
第三の位相補正部1109では、信号の周波数振幅特性を変えずに、第一のHPF1101と第二のHPF1102とを両方処理したときの位相特性と略同一の特性となるように位相特性のみを補正し、得られた信号1112を第三の乗算器1115と過大入力推定部102に向けて出力する。
ここで、各位相補正部は実施例4と同様に全域通過フィルタないしサンプル遅延処理で実現することができるため詳しい説明を省略する。
変位値推定の具体例としては、実施例2と同様の方法で求められるため詳細説明を省略する。
制御部105では、入力された3つのスピーカ振動板変位値1116、1117、1118に対して、夫々異なるゲイン係数を乗じてから加算したときに、振幅値の絶対値が所定の閾値以内に収まるような3つのゲイン係数を求める。ただし、3つのゲイン係数の合計を1とする。
T>ABS(X1×A1+X2×A2+X3×A3) ・・・(2)
A1+A2+A3=1
なお、ABS(x)はxの絶対値を表す。
第二の乗算器1114では、入力された信号1111とゲイン係数1120を乗じて、得られた信号1123を加算器713に向けて出力する。
第二の乗算器1115では、入力された信号1112とゲイン係数1121を乗じて、得られた信号1124を加算器713に向けて出力する。
加算器713では、入力された3つの信号1122、1123、1124を加算し、得られた信号を出力信号107として出力する。
もちろん、位相補正とHPFの個数を増やすことで、さらに通常のHPFに近い特性を実現できるようになる。また、本構成のHPFをLPFに置き換えることにより、高周波数成分の補正が多いような周波数特性補正を施されたデジタル音響信号において、デジタル信号の最大振幅を超えないように信号の周波数特性を変形させることも可能となる。
第一のケースについては、以下のように説明することができる。最近の音響信号再生システムではデジタル処理によって周波数特性を補正したり、音量を調整したりする装置が増えてきている。周波数特性の補正では、例えば高周波数成分を10dB増強すると、−10dBFS以上の音量値でデジタル信号が飽和する可能性がうまれる。なお0dBFSはデジタル信号の最大振幅値を表す。このため、大音量時に再生音がデジタル的に歪んでしまい、音質が劣化してしまうこととなる。この様子を図2に示す。
次に、第二のケース、すなわちスピーカの再生限界を超えることで歪みや音割れが発生するケースについて説明する。
また、401、402、403は、スピーカで再生する音響信号の周波数特性を示しており、特に低周波数成分を多く含むケースを想定している。401は音量値が小さいときの特性、402は音量値が中程度のときの特性、403は音量値が大きいときの周波数特性である。401のように小さな音量値で再生する分には、低周波数成分を多く含む音響信号でもスピーカ振動板の最大変位幅を超えないため、音割れが発生せず、本来の音質で楽しむことができる。しかし、402や403のように音量を上げてしまうと、スピーカ振動板の最大変位幅を超えてしまうため、歪みや音割れが発生して音質が劣化することとなる。
歪みや音割れは、本来の音響信号には含まれない音であるため、音楽を楽しもうとするときの大きな阻害要因となる。
実施の形態1.
図1は、本発明の原理説明図である。以下、本発明の動作について説明する。
本発明による信号処理装置に入力された入力信号101は分岐され、過大入力推定部102と、周波数特性変形部103に送られる。
過大入力推定部102では、入力信号101が対象スピーカに対して過大入力となるかどうか、あるいはデジタル信号の最大振幅値を超えているかどうかを推定し、推定結果信号104を制御部105へ向けて出力する。
周波数特性変形部103は、制御部105から送られてきたパラメータ106に従い、入力信号101の周波数特性を変形させて、出力信号107を出力する。パラメータ106がフィルタ係数であれば、周波数特性部ではこの係数106を用いてフィルタ処理を行う。
図5は本発明の別の実施例を示す図である。本実施例では、スピーカ振動板の変位限界を超えないように音響信号の周波数特性を変形させる例を示している。以下、本実施例の動作について説明する。
本発明による信号処理装置に入力された入力信号101は分岐され、過大入力推定部102と、周波数特性変形部103に送られる。
制御部105では、入力された推定結果信号104に対してHPF処理を行い、変位推定信号の振幅値が所定の閾値以内に収まるようなHPFのフィルタ係数を求める。所定の閾値とは対象スピーカの振動板の最大変位幅に概略相当する値である。また、HPFのフィルタ係数の算出方法としては、まず、HPFのカットオフ周波数を低く設定(例えば20Hzに設定)し、徐々にカットオフ周波数を上げていって、HPFの出力信号の振幅値が閾値以下になるカットオフ周波数を求めればよい。また、このときのフィルタ係数を周波数特性変形部103へ向けて出力する。
図6は本発明の別の実施例を示す図である。本実施例では、高周波数成分の補正が多いような周波数特性補正を施されたデジタル音響信号において、デジタル信号の最大振幅を超えないように信号の周波数特性を変形させる例を示している。以下、本実施例の動作について説明する。
本発明による信号処理装置に入力された入力信号101は分岐され、過大入力推定部102と、周波数特性変形部103に送られる。
本実施例の過大入力推定部102は、デジタル信号振幅算出部601から構成されていることが特徴である。デジタル信号振幅算出部601では、ボリューム値602と入力信号101を乗算してボリューム処理後の振幅値を求め、求めた振幅値を推定結果信号104として制御部105へ向けて出力する。
図7は本発明の別の実施例を示す図である。本実施例では、周波数特性変形部103を可変フィルタではなく、固定フィルタと位相補正と複数の乗算器と加算器から構成している点が特徴である。本実施例の動作について説明する。
本発明による信号処理装置に入力された入力信号101は分岐され、位相補正部701とHPF702に送られる。
HPF702は入力信号101をフィルタ処理し、得られた信号704を第二の乗算器706と過大入力推定部102に向けて出力する。
このように求めた2つのスピーカ振動板変位値707、708を制御部105へ向けて出力する。
このような条件で2つのゲイン係数を変えていくと、異なった低域減衰効果を実現することができる。図8は、HPF702を、カットオフ周波数80Hzの2次IIRフィルタ2段で実現し、位相補正部701を、カットオフ周波数80Hzの2次IIRの全域通過フィルタ1段で実現した時の2つのゲイン係数による周波数特性の遷移を表している。また、図8において、スピーカ振動板変位値707に対するゲイン係数をA1、スピーカ振動板変位値708に対するゲイン係数をA2としたとき、801はA1=1.0、A2=0.0の特性、802はA1=0.1、A2=0.9の特性、803は、A1=0.0、A2=1.0の特性を示す。このように、完全に平坦な特性(A1=1.0、A2=0.0)から、カットオフ周波数80Hzの2次IIRフィルタ2段と同じ特性(A1=0.0、A2=1.0)となる間で異なった低域減衰特性を実現できることがわかる。また、カットオフ周波数以上の周波数成分については、合計1となる割合で位相の揃った成分を加算するため、強度の増減はなく平坦な特性を保つことができる。
T>ABS(X1×A1+X2×A2) ・・・(1)
A1+A2=1
なお、ABS(x)はxの絶対値を表す。
第一の乗算器705では、入力された信号703とゲイン係数709を乗じて、得られた信号711を加算器713に向けて出力する。
第二の乗算器706では、入力された信号704とゲイン係数710を乗じて、得られた信号712を加算器713に向けて出力する。
加算器713では、入力された2つの信号711、712を加算し、得られた信号を出力信号107として出力する。
実施例4で説明したHPF702をLPFに置き換えることで、高周波数成分の補正が多いような周波数特性補正を施されたデジタル音響信号において、デジタル信号の最大振幅を超えないように信号の周波数特性を変形させることも可能である。図9はHPF702をLPFに置き換えた場合の実施例を示す処理構成である。
本発明による信号処理装置に入力された入力信号101は分岐され、位相補正部701とLPF901に送られる。
位相補正部701は入力信号101の周波数振幅特性を変えずに、LPF901の位相特性と略同一の特性となるように位相特性のみを補正し、得られた信号703を第一の乗算器705と過大入力推定部102に向けて出力する。
LPF901は入力信号101をフィルタ処理し、得られた信号902を第二の乗算器706と過大入力推定部102に向けて出力する。
本実施例の過大入力推定部102は、実施例3と同様にデジタル信号振幅算出部601から構成されている。デジタル信号振幅算出部601では、ボリューム値602と入力信号703を乗算して第一の振幅値(スピーカ振動板変位値)707を求める。同様に、ボリューム値602と入力信号902を乗算して第二の振幅値(スピーカ振動板変位値)708を求める。
制御部105では、入力された2つの振幅値707、708に対して、2つの異なるゲイン係数を乗じてから加算したときに、振幅値の絶対値が所定の閾値以内に収まるような2つのゲイン係数を夫々求める。ただし、2つのゲイン係数の合計を1とする。
このような条件で2つのゲイン係数を変えていくと、異なった高域減衰効果を実現することができる。図10は、LPF901を、カットオフ周波数6000Hzの2次IIRフィルタ2段で実現し、位相補正部701を、カットオフ周波数6000Hzの2次IIRの全域通過フィルタ1段で実現した時の2つのゲイン係数による周波数特性の遷移を表している。また、図10において、スピーカ振動板変位値707に対するゲイン係数をA1、スピーカ振動板変位値708に対するゲイン係数をA2としたとき、1001はA1=1.0、A2=0.0の特性、1002はA1=0.1、A2=0.9の特性、1003は、A1=0.0、A2=1.0の特性を示す。このように、完全に平坦な特性(A1=1.0、A2=0.0)から、カットオフ周波数6000Hzの2次IIRフィルタ2段の特性(A1=0.0、A2=1.0)まで、異なった高域減衰特性を実現できることがわかる。また、カットオフ周波数以下の周波数成分については、合計1となる割合で位相の揃った成分を加算するため、強度の増減はなく平坦な特性を保つことができる。このような2つのゲイン係数の具体的な算出法としては、実施例4と同様に求められるため、説明を省略する。
第一の乗算器705では、入力された信号703とゲイン係数709を乗じて、得られた信号711を加算器713に向けて出力する。
第二の乗算器706では、入力された信号704とゲイン係数710を乗じて、得られた信号712を加算器713に向けて出力する。
加算器713では、入力された2つの信号711、712を加算し、得られた信号を出力信号107として出力する。
実施例4、5では、1つの位相補正部と1つのHPFないしLPFにて周波数特性変形部103を実現していたが、これに限らず、複数の位相補正部と複数のHPFないしLPFにて周波数特性変形部103を実現しても良い。
図11は、3つの位相補正部と3つHPFにて周波数特性変形部を実現した例を示す図である。以下、本実施例の動作について説明する。
第一のHPF1101では、入力信号をフィルタ処理し、得られた信号1104を第一の位相補正部1107に向けて出力する。
第二のHPF1102では、入力信号をフィルタ処理し、得られた信号1105を第二の位相補正部1108に向けて出力する。
第三のHPF1103では、入力信号をフィルタ処理し、得られた信号1106を第三の位相補正部1109に向けて出力する。
第二の位相補正部1108では、信号の周波数振幅特性を変えずに、第一のHPF1101と第三のHPF1103とを両方処理したときの位相特性と略同一の特性となるように位相特性のみを補正し、得られた信号1111を第二の乗算器1114と過大入力推定部102に向けて出力する。
第三の位相補正部1109では、信号の周波数振幅特性を変えずに、第一のHPF1101と第二のHPF1102とを両方処理したときの位相特性と略同一の特性となるように位相特性のみを補正し、得られた信号1112を第三の乗算器1115と過大入力推定部102に向けて出力する。
ここで、各位相補正部は実施例4と同様に全域通過フィルタないしサンプル遅延処理で実現することができるため詳しい説明を省略する。
変位値推定の具体例としては、実施例2と同様の方法で求められるため詳細説明を省略する。
制御部105では、入力された3つのスピーカ振動板変位値1116、1117、1118に対して、夫々異なるゲイン係数を乗じてから加算したときに、振幅値の絶対値が所定の閾値以内に収まるような3つのゲイン係数を求める。ただし、3つのゲイン係数の合計を1とする。
T>ABS(X1×A1+X2×A2+X3×A3) ・・・(2)
A1+A2+A3=1
なお、ABS(x)はxの絶対値を表す。
第二の乗算器1114では、入力された信号1111とゲイン係数1120を乗じて、得られた信号1123を加算器713に向けて出力する。
第三の乗算器1115では、入力された信号1112とゲイン係数1121を乗じて、得られた信号1124を加算器713に向けて出力する。
加算器713では、入力された3つの信号1122、1123、1124を加算し、得られた信号を出力信号107として出力する。
もちろん、位相補正とHPFの個数を増やすことで、さらに通常のHPFに近い特性を実現できるようになる。また、本構成のHPFをLPFに置き換えることにより、高周波数成分の補正が多いような周波数特性補正を施されたデジタル音響信号において、デジタル信号の最大振幅を超えないように信号の周波数特性を変形させることも可能となる。
Claims (10)
- 対象とする信号の過大入力を推定する過大入力推定部と、
前記過大入力推定部によって推定された過大入力情報をもとに、前記対象とする信号の過大入力を緩和する周波数特性を算出する制御部と、
前記制御部が算出した周波数特性に基づいて、前記対象とする信号の周波数特性を変形する周波数特性変形部とを備えたことを特徴とする信号処理装置。 - 前記過大入力推定部は、前記対象とする信号を再生するスピーカを構成する振動板の振れの変位幅を推定する変位推定部を備えたことを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
- 前記制御部は、高域通過フィルタのカットオフ周波数を変化させ、前記対象とする信号の過大入力を緩和する周波数特性を算出することを特徴とする請求項1または請求項2記載の信号処理装置。
- 前記変位推定部は、前記スピーカを構成する振動板の振れの変位幅を推定する際に、前記スピーカのボリューム値、前記スピーカの最低共振周波数情報、前記スピーカのQ値のうちの少なくとも1つを用いて、前記変位幅を模擬するフィルタを構成し、前記対象とする信号を前記フィルタに入力して得られた信号を出力することを特徴とする請求項2または請求項3記載の信号処理装置。
- 前記過大入力推定部は、前記対象とする信号を再生するスピーカのボリューム値を制御した後の、前記対象とする信号の飽和状態を推定する信号振幅値算出部を備えることを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
- 前記制御部は、低域通過フィルタのカットオフ周波数を変化させ、前記対象とする信号の過大入力を緩和する周波数特性を算出することを特徴とする請求項1または請求項5記載の信号処理装置。
- 前記周波数特性変形部は、高域通過フィルタと、前記対象とする信号の位相特性を補正し前記高域通過フィルタの位相特性と略同一とする位相補正部と、前記位相補正部から出力された信号のゲインを調整する第一の乗算器と、前記高域通過フィルタから出力された信号のゲインを調整する第二の乗算器と、前記第一の乗算器のゲイン係数と第二の乗算器のゲイン係数の合計が一定値となるように、前記第一および前記第二の乗算器のゲイン係数を決定する係数決定部と、前記第一および前記第二の乗算器から出力される信号を加算する加算器とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の信号処理装置。
- 前記周波数特性変形部は、低域通過フィルタと、前記対象とする信号の位相特性を補正し前記低域通過フィルタの位相特性と略同一とする位相補正部と、前記位相補正部から出力された信号のゲインを調整する第一の乗算器と、前記低域通過フィルタから出力された信号のゲインを調整する第二の乗算器と、前記第一の乗算器のゲイン係数と第二の乗算器のゲイン係数の合計が一定値となるように、前記第一および前記第二の乗算器のゲイン係数を決定する係数決定部と、前記第一および前記第二の乗算器から出力される信号を加算する加算器とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の信号処理装置。
- 前記周波数特性変形部は、カットオフ周波数の異なる複数の高域通過フィルタと、前記対象とする信号の位相特性を補正し、前記各高域通過フィルタの位相特性と略同一とする位相補正部と、前記各高域通過フィルタおよび前記位相補正部から出力された信号のゲインを調整する複数の前記乗算器と、前記複数の乗算器のゲイン係数の合計が一定値となるように各ゲイン係数を決定する係数決定部と、前記複数の乗算器から出力される信号を加算する加算器とを備え、
前記対象とする信号を前記複数の高域通過フィルタに通して複数のフィルタ出力信号を生成し、生成された各フィルタ信号の位相特性を、他の高域通過フィルタの位相特性に相当する位相補正部を用いて補正して各フィルタ出力信号の位相特性を略同一とし、前記係数決定部は前記複数の乗算器の各ゲイン係数の合計が一定値となるように各ゲイン係数を決定し、前記加算器は前記位相補正された各フィルタ出力信号に対して、前記係数決定部が決定した各ゲイン係数により重みづけを行った後、各フィルタ出力信号を加算することを特徴とする請求項7記載の信号処理装置。 - 前記周波数特性変形部は、カットオフ周波数の異なる複数の低域通過フィルタと、前記対象とする信号の位相特性を補正し、前記各低域通過フィルタの位相特性と略同一とする位相補正部と、前記各低域通過フィルタおよび前記位相補正部から出力された信号のゲインを調整する複数の前記乗算器と、前記複数の乗算器のゲイン係数の合計が一定値となるように各ゲイン係数を決定する係数決定部と、前記複数の乗算器から出力される信号を加算する加算器とを備え、
前記対象とする信号を前記複数の低域通過フィルタに通して複数のフィルタ出力信号を生成し、生成された各フィルタ信号の位相特性を、他の低域通過フィルタの位相補正に相当する位相補正部を用いて補正して各フィルタ出力信号の位相特性を略同一とし、前記係数決定部は前記複数の乗算器の各ゲイン係数の合計が一定値となるように各ゲイン係数を決定し、前記加算器は前記位相補正された各フィルタ出力信号に対して、前記係数決定部が決定した各ゲイン係数により重みづけを行った後、各フィルタ出力信号を加算することを特徴とする請求項8記載の信号処理装置。
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