JP5774218B2 - 周波数特性変形装置 - Google Patents
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Description
第一のケースについては、以下のように説明することができる。最近の音響信号再生システムではデジタル処理によって周波数特性を補正したり、音量を調整したりする装置が増えてきている。周波数特性の補正では、例えば高周波数成分を10dB増強すると、−10dBFS以上の音量値でデジタル信号が飽和する可能性がうまれる。なお0dBFSはデジタル信号の最大振幅値を表す。このため、大音量時に再生音がデジタル的に歪んでしまい、音質が劣化してしまうこととなる。この様子を図2に示す。
スピーカ再生では、スピーカの振動板が振れることのできる最大の変位幅があり、これを超えるような信号を入力するとスピーカ振動板がうまく振動することができなくなって歪みや音割れが発生する。ここで、スピーカ振動板の変位幅は入力信号の周波数に依存する。この関係を図3に示す。図3は、電圧(V)を変化させずに、信号の周波数のみを変化させてスピーカに入力したときにおけるスピーカ振動板の変位幅を示している。なお、図3は、実際にはスピーカの制動度合いを示すQ値等の違いによってF0近傍の特性が図3よりも膨らんだり平らになったりするが、おおまかな傾向は変わらない。また、変位幅の特性が図3に示す特性と異なっているスピーカに対しても本発明を適用することができるため、説明上の利点から、スピーカ振動板の変位幅の特性を図3と見做して以下の説明を行う。
図4において、縦軸は信号の振幅強度を、横軸は周波数を示す。また、スピーカ振動板の変位限界を超えて音割れの発生する領域をグレーで示し、その境界を太線で示す。ここで、図4の特性は音響信号の振幅値に対する特性なので、図3に示したスピーカの変位幅の特性とは異なり、スピーカ振動板の変位限界は+12dB/octの傾斜となる。
歪みや音割れは、本来の音響信号には含まれない音であるため、音楽を楽しもうとするときの大きな阻害要因となる。
この発明に係る別の周波数特性変形装置は、対象とする信号が入力され、入力された前記対象とする信号の周波数特性を変更したフィルタ出力信号をそれぞれ生成する互いにカットオフ周波数の異なる複数の低域通過フィルタと、それぞれの前記フィルタ出力信号に対して、当該フィルタ出力信号を生成した前記低域通過フィルタを除く他の前記低域通過フィルタに応じた位相特性の補正を行って、位相特性を補正された複数の前記フィルタ出力信号の位相特性を略同一とする位相補正部と、前記位相補正部において位相特性を補正された複数の前記フィルタ出力信号のそれぞれに対応し、当該対応する信号のゲインを調整する複数の乗算器と、前記複数の乗算器のゲイン係数の合計が一定値となるように前記複数の乗算器のゲイン係数を決定する係数決定部と、前記係数決定部が決定した前記ゲイン係数により前記乗算器が重みづけを行ってゲインを調整された複数の信号を加算する加算器と、を備えたものである。
実施の形態1.
図1は本発明の実施例を示す図である。以下、本実施例の動作について説明する。
本発明による周波数特性変形装置に入力された入力信号101は分岐され、位相補正部701とHPF702に送られる。
位相補正部701は入力信号の周波数振幅特性を変えずに、HPF702の位相特性と略同一の特性となるように位相特性のみを補正し、得られた信号703を第一の乗算器705と過大入力推定部102に向けて出力する。
HPF702は入力信号101をフィルタ処理し、得られた信号704を第二の乗算器706と過大入力推定部102に向けて出力する。
このように求めた2つのスピーカ振動板変位値707、708を制御部105へ向けて出力する。
このような条件で2つのゲイン係数を変えていくと、異なった低域減衰効果を実現することができる。図5は、HPF702を、カットオフ周波数80Hzの2次IIRフィルタ2段で実現し、位相補正部701を、カットオフ周波数80Hzの2次IIRの全域通過フィルタ1段で実現した時の2つのゲイン係数による周波数特性の遷移を表している。また、図5において、スピーカ振動板変位値707に対するゲイン係数をA1、スピーカ振動板変位値708に対するゲイン係数をA2としたとき、301はA1=1.0、A2=0.0の特性、302はA1=0.1、A2=0.9の特性、303は、A1=0.0、A2=1.0の特性を示す。このように、完全に平坦な特性(A1=1.0、A2=0.0)から、カットオフ周波数80Hzの2次IIRフィルタ2段と同じ特性(A1=0.0、A2=1.0)となる間で異なった低域減衰特性を実現できることがわかる。また、カットオフ周波数以上の周波数成分については、合計1となる割合で位相の揃った成分を加算するため、強度の増減はなく平坦な特性を保つことができる。
T>ABS(X1×A1+X2×A2) ・・・(1)
A1+A2=1
なお、ABS(x)はxの絶対値を表す。
第一の乗算器705では、入力された信号703とゲイン係数709を乗じて、得られた信号711を加算器713に向けて出力する。
第二の乗算器706では、入力された信号704とゲイン係数710を乗じて、得られた信号712を加算器713に向けて出力する。
加算器713では、入力された2つの信号711、712を加算し、得られた信号を出力信号107として出力する。
実施例1で説明したHPF702をLPFに置き換えることで、高周波数成分の補正が多いような周波数特性補正を施されたデジタル音響信号において、デジタル信号の最大振幅を超えないように信号の周波数特性を変形させることも可能である。図6はHPF702をLPFに置き換えた場合の実施例を示す処理構成である。
本発明による周波数特性変形装置に入力された入力信号101は分岐され、位相補正部701とLPF901に送られる。
位相補正部701は入力信号の周波数振幅特性を変えずに、LPF901の位相特性と略同一の特性となるように位相特性のみを補正し、得られた信号703を第一の乗算器705と過大入力推定部102に向けて出力する。
LPF901は入力信号101をフィルタ処理し、得られた信号902を第二の乗算器706と過大入力推定部102に向けて出力する。
ここで、位相補正部701は、実施例1と同様に全域通過フィルタないしサンプル遅延処理で実現することができるため詳しい説明を省略する。
このように求めた2つの振幅値707、708を制御部105へ向けて出力する。
第一の乗算器705では、入力された信号703とゲイン係数709を乗じて、得られた信号711を加算器713に向けて出力する。
第二の乗算器706では、入力された信号902とゲイン係数710を乗じて、得られた信号712を加算器713に向けて出力する。
加算器713では、入力された2つの信号711、712を加算し、得られた信号を出力信号107として出力する。
実施例1、2では、1つの位相補正部と1つのHPFないしLPFにて周波数特性変形部を実現していたが、これに限らず、複数の位相補正部と複数のHPFないしLPFにて周波数特性変形部を実現しても良い。
図8は、3つの位相補正部と3つHPFにて周波数特性変形部を実現した例を示す図である。以下、本実施例の動作について説明する。
本発明による周波数特性変形装置に入力された入力信号101は3つに分岐され、第一のHPF1101と第二のHPF1102、第三のHPF1103に送られる。
第一のHPF1101では、入力信号をフィルタ処理し、得られた信号1104を第一の位相補正部1107に向けて出力する。
第二のHPF1102では、入力信号をフィルタ処理し、得られた信号1105を第二の位相補正部1108に向けて出力する。
第三のHPF1103では、入力信号をフィルタ処理し、得られた信号1106を第三の位相補正部1109に向けて出力する。
第二の位相補正部1108では、信号の周波数振幅特性を変えずに、第一のHPF1101と第三のHPF1103とを両方処理したときの位相特性と略同一の特性となるように位相特性のみを補正し、得られた信号1111を第二の乗算器1114と過大入力推定部102に向けて出力する。
第三の位相補正部1109では、信号の周波数振幅特性を変えずに、第一のHPF1101と第二のHPF1102とを両方処理したときの位相特性と略同一の特性となるように位相特性のみを補正し、得られた信号1112を第三の乗算器1115と過大入力推定部102に向けて出力する。
本実施例の過大入力推定部102は、スピーカ振動板変位推定部501から構成されている。スピーカ振動板変位推定部501では、ボリューム値や対象スピーカのF0等の情報502を用いて、信号1110を再生したときのスピーカ振動板の変位値を推定し、第一のスピーカ振動板変位値1116を求める。同様に、信号1111を再生したときのスピーカ振動板の変位値を推定し、第二のスピーカ振動板変位値1117を求める。同様に、信号1112を再生したときのスピーカ振動板の変位値を推定し、第三のスピーカ振動板変位値1118を求める。
変位値推定の具体例としては、実施例1と同様の方法で求められるため詳細説明を省略する。
制御部105では、入力された3つのスピーカ振動板変位値1116、1117、1118に対して、夫々異なるゲイン係数を乗じてから加算したときに、振幅値の絶対値が所定の閾値以内に収まるような3つのゲイン係数を求める。ただし、3つのゲイン係数の合計を1とする。
T>ABS(X1×A1+X2×A2+X3×A3) ・・・(2)
A1+A2+A3=1
なお、ABS(x)はxの絶対値を表す。
第一の乗算器1113では、入力された信号1110とゲイン係数1119を乗じて、得られた信号1122を加算器713に向けて出力する。
第二の乗算器1114では、入力された信号1111とゲイン係数1120を乗じて、得られた信号1123を加算器713に向けて出力する。
第三の乗算器1115では、入力された信号1112とゲイン係数1121を乗じて、得られた信号1124を加算器713に向けて出力する。
加算器713では、入力された3つの信号1122、1123、1124を加算し、得られた信号を出力信号107として出力する。
もちろん、位相補正とHPFの個数を増やすことで、さらに通常のHPFに近い特性を実現できるようになる。また、本構成のHPFをLPFに置き換えることにより、高周波数成分の補正が多いような周波数特性補正を施されたデジタル音響信号において、デジタル信号の最大振幅を超えないように信号の周波数特性を変形させることも可能となる。
図10は本発明の別の実施例を示す図である。本実施例では、高域通過フィルタでカットした低域に対し、その高調波を生成、加算する例を示している。以下、本実施例の動作について説明する。
本発明による信号処理装置に入力された入力信号101は分岐され、位相補正部701、HPF702に送られる。
位相補正部701は入力信号の周波数振幅特性を変えずに、HPF702の位相特性と略同一の特性となるように位相特性のみを補正し、得られた信号703を第一の乗算器705、過大入力推定部102と高調波信号生成部2001に向けて出力する。
HPF702は入力信号101をフィルタ処理し、得られた信号704を加算器2003に向けて出力する。
ここで、位相補正部は実施例1と同様に全域通過フィルタないしサンプル遅延処理で実現することができるため詳しい説明を省略する。
低域抽出部2004では、位相補正部701の出力信号703を入力してHPF702でカットされる低域を抽出し、得られた信号2005を高調波生成部2006に向けて出力する。ここで、HPF702でカットされる低域を抽出する低域抽出部2004の実現方法は、図11のように差分器2011から構成して、位相補正部701の出力信号703をHPF702の出力信号704で減算することで実現する方法や、図12のようにLPF2012から構成して、位相補正部701の出力信号703をHPF702のフィルタ仕様と同様なフィルタに通すことで実現する方法がある。
乗算器2008では、高調波生成部2006の出力信号2007を、ユーザ好みのゲイン係数で乗じて、得られた信号2002を加算器2003に向けて出力する。ここで、乗算器2008で乗じるゲイン係数は、固定のゲイン係数を事前に複数用意するなどし、ユーザの好みに応じて変更するものである。
加算器2003では、入力された2つの信号704、2002を加算し、得られた信号2003´を過大入力推定部102と第二の乗算器706に向けて出力する。
変位値推定の具体例としては、実施例1と同様の方法で求められるため詳細説明を省略する。
制御部105では、入力された2つのスピーカ振動板変位値707、708に対して、夫々異なるゲイン係数を乗じてから加算したときに、振幅値の絶対値が所定の閾値以内に収まるような2つのゲイン係数を求める。ただし、2つのゲイン係数の合計を1とする。
このような条件で2つのゲイン係数を変えていくと、異なった低域減衰効果を実現することができる。低域減衰効果の具体例は、実施例1と同様な特性となるため詳細説明を省略する。
図13において、スピーカ振動板変位値707に対するゲイン係数をA1、スピーカ振動板変位値708に対するゲイン係数をA2としたとき、2021はA1=0.0、A2=1.0の特性イメージ、2022はA1=0.1、A2=0.9の特性イメージ、2023は、A1=0.5、A2=0.5の特性イメージを示す。これより、A2の値が大きく、低域の減衰量が大きいほど80Hz以下の低域の高調波が多く加算されることがわかる。
また、ゲイン係数A1、A2の具体的な算出法は、実施例1と同様に求められるため、説明を省略する。
第一の乗算器705では、入力された信号703とゲイン係数709を乗じて、得られた信号711を加算器713に向けて出力する。
第二の乗算器706では、入力された信号2003´とゲイン係数710を乗じて、得られた信号712を加算器713に向けて出力する。
加算器713では、入力された2つの信号711、712を加算し、得られた信号を出力信号107として出力する。
ここでMissing fundamentalとは、2つ以上の周波数の音を聴くと、その差分の周波数の音が聴こえると錯覚する特徴である。
実施例5では、1つの位相補正部と1つのHPFにて周波数特性変形部を実現していたが、これに限らず、複数の位相補正部と複数のHPFにて周波数特性変形部を実現しても良い。
図14は、3つの位相補正部と3つのHPFにて周波数特性変形部を実現した例を示す図である。以下、本実施例の動作について説明する。
本発明による信号処理装置に入力された入力信号101は6つに分岐され、第一のHPF1101、第二のHPF1102、第三のHPF1103と第一のLPF2101と第二のLPF2102、第三のLPF2103に送られる。
第一のHPF1101では、入力信号をフィルタ処理し、得られた信号1104を第一の位相補正部1107に向けて出力する。
第二のHPF1102では、入力信号をフィルタ処理し、得られた信号1105を第二の位相補正部1108に向けて出力する。
第三のHPF1103では、入力信号をフィルタ処理し、得られた信号1106を第三の位相補正部1109に向けて出力する。
第二の位相補正部1108では、信号の周波数振幅特性を変えずに、第一のHPF1101と第三のHPF1103とを両方処理したときの位相特性と略同一の特性となるように位相特性のみを補正し、得られた信号1111を加算器2126に向けて出力する。
第三の位相補正部1109では、信号の周波数振幅特性を変えずに、第一のHPF1101と第二のHPF1102とを両方処理したときの位相特性と略同一の特性となるように位相特性のみを補正し、得られた信号1112を加算器2127に向けて出力する。
ここで、各位相補正部は実施例1と同様に全域通過フィルタないしサンプル遅延処理で実現することができるため詳しい説明を省略する。
第二のLPF2102では、入力信号101を第二のHPF1102と同様なフィルタ仕様を持ったフィルタで処理し、得られた信号2105を第五の位相補正部2108に向けて出力する。
第三のLPF2103では、入力信号101を第三のHPF1103と同様なフィルタ仕様を持ったフィルタで処理し、得られた信号2106を第六の位相補正部2109に向けて出力する。
第五の位相補正部2108では、信号の周波数振幅特性を変えずに、第一のLPF2101と第三のLPF2103とを両方処理したときの位相特性と略同一の特性となるように位相特性のみを補正し、得られた信号2111を第二の高調波生成部2114に向けて出力する。
第六の位相補正部2109では、信号の周波数振幅特性を変えずに、第一のLPF2101と第二のLPF2102とを両方処理したときの位相特性と略同一の特性となるように位相特性のみを補正し、得られた信号2112を第三の高調波生成部2115に向けて出力する。
第二の高調波生成部2114では、信号2111の高調波を生成し、得られた信号2117を乗算器2120に向けて出力する。
第三の高調波生成部2115では、信号2112の高調波を生成し、得られた信号2118を乗算器2121に向けて出力する。
乗算器2119では、信号2116をユーザの好みのゲイン係数で乗じて、得られた信号2122を加算器2125に向けて出力する。
乗算器2120では、信号2117をユーザの好みのゲイン係数で乗じて、得られた信号2123を加算器2126に向けて出力する。
乗算器2121では、信号2118をユーザの好みのゲイン係数で乗じて、得られた信号2124を加算器2127に向けて出力する。
ここで、乗算器2119、2120、2121で乗じるゲイン係数は、固定のゲイン係数を事前に複数用意するなどし、ユーザの好みに応じて変更するものである。
加算器2126では、入力された2つの信号1111、2123を加算し、得られた信号2129を過大入力推定部102と第二の乗算器1114に向けて出力する。
加算器2127では、入力された2つの信号1112、2124を加算し、得られた信号2130を過大入力推定部102と第三の乗算器1115に向けて出力する。
変位値推定の具体例としては、実施例1と同様の方法で求められるため詳細説明を省略する。
制御部105では、入力された3つのスピーカ振動板変位値1116、1117、1118に対して、夫々異なるゲイン係数を乗じてから加算したときに、振幅値の絶対値が所定の閾値以内に収まるような3つのゲイン係数を求める。ただし、3つのゲイン係数の合計を1とする。
このような条件で3つのゲイン係数を変えていくと、異なった低域減衰効果を実現することができる。低域減衰効果の具体例は、実施例3と同様な特性となるため詳細説明を省略する。
また、ゲイン係数A1、A2、A3の具体的な算出法は、実施例3と同様に求められるため、説明を省略する。
第一の乗算器1113では、入力された信号2128とゲイン係数1119を乗じて、得られた信号1122を加算器713に向けて出力する。
第二の乗算器1114では、入力された信号2129とゲイン係数1120を乗じて、得られた信号1123を加算器713に向けて出力する。
第三の乗算器1115では、入力された信号2130とゲイン係数1121を乗じて、得られた信号1124を加算器713に向けて出力する。
加算器713では、入力された3つの信号1122、1123、1124を加算し、得られた信号を出力信号107として出力する。
実施例4、5では、高調波信号生成部2001の出力信号2002をHPFの出力信号と加算する構成であったが、高調波信号生成部2001の出力信号2002を周波数特性変形部103の後段で加算する構成にしても良い。
図16は、実施例4において、高調波信号生成部2001の出力信号2002の加算位置を周波数特性変形部103の後段に変更した構成の実施例を示す図である。以下、本実施例の動作について説明する。
本発明による信号処理装置に入力された入力信号101は分岐され、位相補正部701、HPF702に送られる。
位相補正部701は入力信号の周波数振幅特性を変えずに、HPF702の位相特性と略同一の特性となるように位相特性のみを補正し、得られた信号703を第一の乗算器705、過大入力推定部102と高調波信号生成部2001に向けて出力する。
HPF702は入力信号101をフィルタ処理し、得られた信号704を乗算器706と過大入力推定部102に向けて出力する。
ここで、位相補正部は実施例1と同様に全域通過フィルタないしサンプル遅延処理で実現することができるため詳しい説明を省略する。
変位値推定の具体例としては、実施例1と同様の方法で求められるため詳細説明を省略する。
制御部105では、入力された2つのスピーカ振動板変位値707、708に対して、夫々異なるゲイン係数を乗じてから加算したときに、振幅値の絶対値が所定の閾値以内に収まるような2つのゲイン係数を求める。ただし、2つのゲイン係数の合計を1とする。
このような条件で2つのゲイン係数を変えていくと、異なった低域減衰効果を実現することができる。低域減衰効果の具体例は、実施例1と同様な特性となるため詳細説明を省略する。
また、図16において、スピーカ振動板変位値707に対するゲイン係数をA1、スピーカ振動板変位値708に対するゲイン係数をA2としたとき、ゲイン係数A1、A2の具体的な算出法は、実施例1と同様に求められるため、説明を省略する。
第一の乗算器705では、入力された信号703とゲイン係数709を乗じて、得られた信号711を加算器713に向けて出力する。
第二の乗算器706では、入力された信号704とゲイン係数710を乗じて、得られた信号712を加算器713に向けて出力する。
加算器713では、入力された2つの信号711、712を加算し、得られた信号2203を加算2204に向けて出力する。
低域抽出部2004では、位相補正部701の出力信号を入力し、HPF702でカットされる低域を抽出し、得られた信号2005を高調波生成部2006に向けて出力する。ここで、HPF702でカットされる低域を抽出する低域抽出部2004の実現方法は、実施例4と同様に求められるため、説明を省略する。
乗算器2201では、入力された信号2002とゲイン係数710を乗じて、得られた信号2202を加算器2204に向けて出力する。ここで、乗算器2201では、低域減衰効果に応じて、カットした低域の高調波の加算量を変化させることができる。低域減衰効果に応じた高調波の加算イメージについては、実施例4と同様となるため、説明を省略する。
加算器2204では、入力された2つの信号2202、2203を加算し、得られた信号を出力信号107として出力する。
Claims (7)
- 対象とする信号が入力され、入力された前記対象とする信号の周波数特性を変更したフィルタ出力信号をそれぞれ生成する互いにカットオフ周波数の異なる複数の高域通過フィルタと、
それぞれの前記フィルタ出力信号に対して、当該フィルタ出力信号を生成した前記高域通過フィルタを除く他の前記高域通過フィルタに応じた位相特性の補正を行って、位相特性を補正された複数の前記フィルタ出力信号の位相特性を略同一とする位相補正部と、
前記位相補正部において位相特性を補正された複数の前記フィルタ出力信号のそれぞれに対応し、当該対応する信号のゲインを調整する複数の乗算器と、
前記複数の乗算器のゲイン係数の合計が一定値となるように前記複数の乗算器のゲイン係数を決定する係数決定部と、
前記係数決定部が決定した前記ゲイン係数により前記乗算器が重みづけを行ってゲインを調整された複数の信号を加算する加算器と、
を備えたことを特徴とする周波数特性変形装置。 - 前記係数決定部は、目標とする特性のカットオフ周波数を低くする場合には、カットオフ周波数の低い前記高域通過フィルタからのフィルタ出力信号に対応する前記乗算器の前記ゲイン係数を最大値に近づけ、目標とする特性のカットオフ周波数を高くする場合には、カットオフ周波数の高い前記高域通過フィルタからのフィルタ出力信号に対応する前記乗算器の前記ゲイン係数を最大値に近づけることで、目標とする特性のカットオフ周波数を変化させることを特徴とする請求項1記載の周波数特性変形装置。
- 対象とする信号が入力され、入力された前記対象とする信号の周波数特性を変更したフィルタ出力信号をそれぞれ生成する互いにカットオフ周波数の異なる複数の低域通過フィルタと、
それぞれの前記フィルタ出力信号に対して、当該フィルタ出力信号を生成した前記低域通過フィルタを除く他の前記低域通過フィルタに応じた位相特性の補正を行って、位相特性を補正された複数の前記フィルタ出力信号の位相特性を略同一とする位相補正部と、
前記位相補正部において位相特性を補正された複数の前記フィルタ出力信号のそれぞれに対応し、当該対応する信号のゲインを調整する複数の乗算器と、
前記複数の乗算器のゲイン係数の合計が一定値となるように前記複数の乗算器のゲイン係数を決定する係数決定部と、
前記係数決定部が決定した前記ゲイン係数により前記乗算器が重みづけを行ってゲインを調整された複数の信号を加算する加算器と、
を備えたことを特徴とする周波数特性変形装置。 - 前記係数決定部は、目標とする特性のカットオフ周波数を低くする場合には、カットオフ周波数の低い前記低域通過フィルタからのフィルタ出力信号に対応する前記乗算器の前記ゲイン係数を最大値に近づけ、目標とする特性のカットオフ周波数を高くする場合には、カットオフ周波数の高い前記低域通過フィルタからのフィルタ出力信号に対応する前記乗算器の前記ゲイン係数を最大値に近づけることで、目標とする特性のカットオフ周波数を変化させることを特徴とする請求項3記載の周波数特性変形装置。
- 前記高域通過フィルタを通してカットされる低域を抽出する低域抽出部と、
前記低域抽出部から出力された信号の高調波を生成する高調波生成部とを備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の周波数特性変形装置。 - 前記高域通過フィルタを通してカットされる低域を抽出する低域抽出部と、
前記低域抽出部から出力された信号の高調波を生成する高調波生成部と、
前記高調波生成部から出力された信号と前記高域通過フィルタから出力された信号を加算する第二の加算器とを、それぞれ複数備え、
前記第二の加算器から出力された複数の信号のゲインを前記複数の乗算器で変化させ、前記高調波生成部から出力された複数の信号のゲインを低域の減衰特性に応じて変化させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の周波数特性変形装置。 - 前記高域通過フィルタを通してカットされる低域を抽出する低域抽出部と、
前記低域抽出部から出力された信号の高調波を生成する高調波生成部と、
前記係数決定部で決定された前記乗算器で乗じる前記ゲイン係数を前記高調波生成部から出力される信号に乗じる第二の乗算器と、をそれぞれ複数備え、
前記高調波生成部から出力された複数の信号のゲインを低域の減衰特性に応じて変化させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の周波数特性変形装置。
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