JP6063230B2 - 歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法 - Google Patents

歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6063230B2
JP6063230B2 JP2012264764A JP2012264764A JP6063230B2 JP 6063230 B2 JP6063230 B2 JP 6063230B2 JP 2012264764 A JP2012264764 A JP 2012264764A JP 2012264764 A JP2012264764 A JP 2012264764A JP 6063230 B2 JP6063230 B2 JP 6063230B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
signal
correction
frequency
level
harmonic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012264764A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014110567A (ja
Inventor
藤田 康弘
康弘 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Faurecia Clarion Electronics Co Ltd
Original Assignee
Clarion Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Clarion Co Ltd filed Critical Clarion Co Ltd
Priority to JP2012264764A priority Critical patent/JP6063230B2/ja
Priority to US14/647,125 priority patent/US9380386B2/en
Priority to EP13859997.2A priority patent/EP2916564B1/en
Priority to CN201380063305.0A priority patent/CN104823460B/zh
Priority to PCT/JP2013/081076 priority patent/WO2014087833A1/ja
Publication of JP2014110567A publication Critical patent/JP2014110567A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6063230B2 publication Critical patent/JP6063230B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R3/00Circuits for transducers, loudspeakers or microphones
    • H04R3/04Circuits for transducers, loudspeakers or microphones for correcting frequency response
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R2430/00Signal processing covered by H04R, not provided for in its groups
    • H04R2430/03Synergistic effects of band splitting and sub-band processing
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R2499/00Aspects covered by H04R or H04S not otherwise provided for in their subgroups
    • H04R2499/10General applications
    • H04R2499/13Acoustic transducers and sound field adaptation in vehicles

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Acoustics & Sound (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Tone Control, Compression And Expansion, Limiting Amplitude (AREA)
  • Circuit For Audible Band Transducer (AREA)
  • Amplifiers (AREA)

Description

本発明は歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法に関し、より詳細には、スピーカより出力される出力信号に生じる歪音を抑制すると共に、音質の向上を図ることが可能な歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法に関する。
従来より、車室内の音響特性を補正するためのさまざまな装置・方法が提案されている。例えば、まず、車室内等のリスニング環境において、運転席などの特定の位置にマイクを設置し、スピーカとマイクとの間の周波数特性の測定を行う。次に、目標応答曲線の許容範囲に入るように、フィルタの周波数設定、振幅設定および帯域設定を最適化することにより、周波数特性を補正する方法等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−224100号公報
しかしながら、前述のような周波数特性の補正を行っても、特定の周波数帯域の補正量が大きい場合に比較的大きな音量で音楽などを出力すると、スピーカの再生能力を超えて歪音が発生し、音質が大きく劣化するおそれがあった。
また、近年では、小型車市場が拡大し、比較的価格の手頃な車の人気が高まっている。小型車に搭載されるパワーアンプやスピーカは、必ずしも再生能力が高いとは言えないことから、音響機器の再生能力がパワーアンプやスピーカの性能により制限されるおそれがあった。このような状況においては、上述したような周波数特性の補正を行っても、アンプやスピーカの再生能力との整合性が取れない場合が生じ得るという問題があった。
例えば、歪音が発生した場合には、音場補正を用いて、該当する帯域(多くの場合には低域)のゲインを下げることにより歪みを抑制できるが、単にゲインを下げるだけでは、低域の出力が低下して、聴感上低域が薄くなってしまうという問題が生じる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、スピーカ等の特性により特定の周波数で歪みが出やすい場合であっても、該当する周波数における音の歪みを大幅に低減し、音質の向上を図ることが可能な歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る歪み音補正補完装置は、出力信号が出力されるスピーカにおいて歪みが発生する周波数を特定周波数とし、前記スピーカより出力される前記出力信号が前記特定周波数において歪みを生じない最大の信号レベルを特定信号レベルとして、前記特定周波数を中央周波数とするピーキングフィルタを用いて、入力信号にフィルタ処理を行うことにより、補正帯域信号を生成する第1フィルタ手段と、該補正帯域信号の振幅の絶対値を算出して最大値検出を行うことにより、前記補正帯域信号の信号レベル検出を行う信号レベル検出手段と、該信号レベル検出手段により検出された信号レベルに基づいて、当該検出された信号レベルに対して前記特定信号レベルを超えた信号レベルの割合を制御信号の値として決定する第1ルックアップテーブル手段と、前記信号レベル検出手段により検出された信号レベルに基づいて、前記特定周波数に基づいて生成される倍音信号を増幅するための補正量を決定する第2ルックアップテーブル手段と、前記補正帯域信号に対して前記制御信号を乗算することにより、補正帯域抽出信号を生成する補正帯域抽出信号生成手段と、前記入力信号より前記補正帯域抽出信号を減算することにより、補正信号を生成する補正信号生成手段と、前記補正帯域抽出信号の絶対値を算出してDC成分をカットすることにより、レベル検出信号を生成するレベル検出信号生成手段と、前記補正帯域抽出信号が負側から正側へと変わるタイミングを検出することにより振幅が1となるインパルス列を前記倍音信号として生成する第1エッジ検出手段と、前記倍音信号に前記レベル検出信号を乗算することにより、当該倍音信号の重み付けを行う第1重み付け手段と、前記第1重み付け手段により重み付けが行われた倍音信号の位相反転を行う第1位相反転手段と、該第1位相反転手段により位相反転された倍音信号に対して、ローパスフィルタを用いてフィルタ処理を行うことにより、前記倍音信号の高域側の信号レベルを抑制するローパスフィルタ手段と、該ローパスフィルタ手段によりフィルタ処理された倍音信号の低域側の信号レベルを抑制するハイパスフィルタ手段と、前記入力信号に基づいて決定される増幅初期値に前記補正量を加算して求められるゲインを、前記ハイパスフィルタ手段によりフィルタ処理された倍音信号に対して乗算することにより、当該倍音信号の増幅を行う第1増幅手段と、該第1増幅手段により増幅された倍音信号に対して、前記第1フィルタ手段で用いられる前記ピーキングフィルタの逆特性を有するフィルタを用いてフィルタ処理を行うことにより、増幅された前記倍音信号における前記特定周波数の信号レベルを抑制して補完信号を生成する第2フィルタ手段と、該補完信号を前記補正信号に加算することにより出力信号を生成する出力信号生成手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る歪み音補正補完装置の歪み音補正補完方法は、出力信号が出力されるスピーカにおいて歪みが発生する周波数を特定周波数とし、前記スピーカより出力される前記出力信号が前記特定周波数において歪みを生じない最大の信号レベルを特定信号レベルとして、前記特定周波数を中央周波数とするピーキングフィルタを用いて、入力信号のフィルタ処理を行うことにより、第1フィルタ手段が補正帯域信号を生成する補正帯域信号生成ステップと、該補正帯域信号の振幅の絶対値を算出して最大値検出を行うことにより、信号レベル検出手段が前記補正帯域信号の信号レベル検出を行う信号レベル検出ステップと、該信号レベル検出ステップにおいて検出された信号レベルに基づいて、第1ルックアップテーブル手段が、検出された前記信号レベルに対して前記特定信号レベルを超えた信号レベルの割合を制御信号の値として決定する制御信号決定ステップと、前記信号レベル検出ステップにおいて検出された信号レベルに基づいて、第2ルックアップテーブル手段が、前記特定周波数に基づいて生成される倍音信号を増幅するための補正量を決定する補正量決定ステップと、前記補正帯域信号に対して前記制御信号を乗算することにより、補正帯域抽出信号生成手段が補正帯域抽出信号を生成する補正帯域抽出信号生成ステップと、前記入力信号より前記補正帯域抽出信号を減算することにより、補正信号生成手段が補正信号を生成する補正信号生成ステップと、前記補正帯域抽出信号の絶対値を算出してDC成分をカットすることにより、レベル検出信号生成手段がレベル検出信号を生成するレベル検出信号生成ステップと、前記補正帯域抽出信号が負側から正側へと変わるタイミングを検出することにより、第1エッジ検出手段が振幅を1とするインパルス列を前記倍音信号として生成する倍音信号生成ステップと、前記倍音信号に前記レベル検出信号を乗算することにより、第1重み付け手段が前記倍音信号の重み付けを行う第1重み付けステップと、第1位相反転手段が、前記第1重み付けステップにおいて重み付けが行われた倍音信号の位相反転を行う第1位相反転ステップと、該第1位相反転ステップにおいて位相反転された倍音信号に対して、ローパスフィルタを用いてフィルタ処理を行うことにより、ローパスフィルタ手段が前記倍音信号の高域側の信号レベルを抑制するローパスフィルタ処理ステップと、ハイパスフィルタ手段が、前記ローパスフィルタ処理ステップにおいてフィルタ処理された倍音信号の低域側の信号レベルを抑制するハイパスフィルタ処理ステップと、前記入力信号に基づいて決定される増幅初期値に前記補正量を加算して求められるゲインを、前記ハイパスフィルタ処理ステップにおいてフィルタ処理された倍音信号に対して乗算することにより、第1増幅手段が当該倍音信号の増幅を行う第1増幅ステップと、該第1増幅ステップにおいて増幅された倍音信号に対して、前記補正帯域信号生成ステップにおいて用いられる前記ピーキングフィルタの逆特性を有するフィルタを用いてフィルタ処理を行うことにより、第2フィルタ手段が増幅された前記倍音信号における前記特定周波数の信号レベルを抑制して補完信号を生成する補完信号生成ステップと、該補完信号を前記補正信号に加算することにより、出力信号生成手段が出力信号を生成する出力信号生成ステップとを備えることを特徴とする。
本発明に係る歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法によれば、スピーカにおいて歪みが発生する周波数(特定周波数)成分を入力信号より抽出することによって、補正帯域信号が生成され、補正帯域信号に対して特定信号レベルを超えた信号レベルの割合が制御信号の値として決定され、倍音信号を増幅するための補正量が決定される。このため、補正帯域信号に制御信号が乗算された補正帯域抽出信号は、入力信号における特定周波数の信号レベルであって、特定信号レベルを超えた信号レベルを示すことになる。従って、入力信号より補正帯域抽出信号を減算することにより生成される補正信号は、特定周波数の信号レベルを歪みが発生しない信号レベルまで低減させた信号となる。
一方で、補正帯域抽出信号に基づいて倍音信号が生成される。生成される倍音信号は、特定周波数を基準として2倍、3倍・・・倍の周波数におけるインパルス列からなる信号である。さらに、生成される倍音信号は、増幅初期値に補正量を加算することにより求められるゲインを乗算することにより増幅されている。ここで、補正量は、入力信号より特定周波数成分が抽出された信号である補正帯域信号の信号レベルに基づいて決定されるため、特定周波数において抑制された信号レベルを補正量に応じて倍音信号で補うことが可能となる。
このため、第2フィルタ手段において特定周波数の信号レベルを抑制した倍音信号(補完信号)と、特定周波数において歪みが発生しないように信号レベルが低減された補正信号とを、出力信号生成手段で加算することにより、歪音を抑制しつつ、倍音信号によって特定周波数における聴感上の音質が補完された出力信号を生成することが可能となる。
さらに、増幅された倍音信号は、ローパスフィルタを用いてフィルタ処理を行うことにより、高域側の倍音信号の信号レベルが抑制されているため、高域側の倍音信号の信号出力による歪音や異音の発生を防止することができる。
また、上記歪み音補正補完装置において、前記ローパスフィルタ手段において用いられる前記ローパスフィルタのカットオフ周波数は、前記第1フィルタ手段において用いられる前記ピーキングフィルタの中央周波数よりも高い周波数に設定されるものであっても良い。
さらに、上記歪み音補正補完装置の歪み音補正補完方法において、前記ローパスフィルタ処理ステップにおいて用いられる前記ローパスフィルタのカットオフ周波数は、前記補正帯域信号生成ステップにおいて用いられる前記ピーキングフィルタの中央周波数よりも高い周波数に設定されるものであっても良い。
このように、本発明に係る歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法では、ローパスフィルタ手段において用いられるローパスフィルタのカットオフ周波数が、第1フィルタ手段において用いられるピーキングフィルタの中央周波数よりも高い周波数に設定される。このため、特定周波数の2倍の周波数における倍音信号の出力や3倍の周波数における倍音信号の出力の抑制を抑えつつ、それ以上の倍数の周波数における倍音信号の出力を段階的に抑制することができる。従って、倍音信号により補完される特定周波数の聴感上の音質を聴取者に十分に知感させることができるとともに、高域側の倍音信号の信号出力によって生じるおそれのある歪音や異音を効果的に防止することが可能になる。
また、上記歪み音補正補完装置において、前記増幅初期値は、前記入力信号のサンプリング周波数と前記特定周波数とに基づいて、
増幅初期値[dB]
=20log10(特定周波数[Hz]/サンプリング周波数[Hz])
により決定されるものであっても良い。
さらに、上記歪み音補正補完装置の歪み音補正補完方法において、前記増幅初期値は、前記入力信号のサンプリング周波数と前記特定周波数とに基づいて、
増幅初期値[dB]
=20log10(特定周波数[Hz]/サンプリング周波数[Hz])
により決定されるものであっても良い。
本発明に係る歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法では、上述した関係式を用いることにより、入力信号のサンプリング周波数と特定周波数とに基づいて増幅初期値を決定する。このようにして増幅初期値を決定することにより、特定周波数に最適な倍音信号の増幅初期値を求めることが可能となる。さらに、この増幅初期値に補正量を加えて増幅手段で倍音信号の増幅処理を行うことにより、入力信号における特定周波数の信号レベル変動に応じた適切な増幅を倍音信号に付加することができ、出力信号における音質の向上を図ることが可能となる。
また、上記歪み音補正補完装置において、前記第1ルックアップテーブル手段において決定される制御信号の値は、検出された信号レベルに対して前記特定信号レベルを超えた信号レベルの割合を示すゲイン係数であって、前記特定信号レベル以下の場合には、ゲイン係数が0に決定され、前記特定信号レベルを超えた場合には、検出された前記信号レベルの増加量に応じてゲイン係数が0より大きい値であって1より小さい値に決定されるものであっても良い。
さらに、上記歪み音補正補完装置の歪み音補正補完方法において、前記制御信号決定ステップにおいて決定される制御信号の値は、検出された信号レベルに対して前記特定信号レベルを超えた信号レベルの割合を示すゲイン係数であって、前記特定信号レベル以下の場合には、ゲイン係数が0に決定され、前記特定信号レベルを超えた場合には、検出された前記信号レベルの増加量に応じてゲイン係数が0より大きい値であって1より小さい値に決定されるものであっても良い。
本発明に係る歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法では、補正帯域信号の信号レベルが特定信号レベル以下の場合には、ゲイン係数の値が0に決定され、特定信号レベルを超えた場合には、ゲイン係数の値が0より大きい値であって1より小さい値に決定される。このため、補正帯域信号の信号レベルが特定信号レベル以下であって、歪みが発生しない場合には、ゲイン係数の値が0となり、補正帯域抽出信号の信号レベルも0となるので、入力信号がそのまま補正信号(補正信号=入力信号)となっても、出力信号において歪みを生じることがない。
一方で、補正帯域信号の信号レベルが特定信号レベルを超えた場合であって、出力信号から歪みが生じ得る場合には、ゲイン係数が0より大きな値となるので、補正帯域抽出信号は特定信号レベルを超えた信号レベルを示すことになる。このため、入力信号から補正帯域抽出信号を減算した補正信号は、特定信号レベルを超えないように信号レベルが抑制された信号になる。さらに、特定信号レベルを超えた信号レベルに基づいて(補正帯域抽出信号の信号レベルに基づいて)倍音信号の増幅が行われるので、抑制された信号レベルに対応する補正量を用いて倍音信号の増幅を行うことができ、聴感上、抑制された信号レベルを倍音信号で十分に補う(補完する)ことが可能となる。
また、上記歪み音補正補完装置において、前記第2ルックアップテーブル手段において決定される前記補正量は、前記補正帯域信号の信号レベルが前記特定信号レベル以下の場合には0の値となり、前記補正帯域信号の信号レベルが前記特定信号レベルを超えた場合には、前記補正帯域信号の信号レベルから前記特定信号レベルまでの信号レベルの差の値に基づいて決定されるものであっても良い。
さらに、上記歪み音補正補完装置の歪み音補正補完方法において、前記補正量決定ステップにおいて決定される前記補正量は、前記補正帯域信号の信号レベルが前記特定信号レベル以下の場合には0の値となり、前記補正帯域信号の信号レベルが前記特定信号レベルを超えた場合には、前記補正帯域信号の信号レベルから前記特定信号レベルまでの信号レベルの差の値に基づいて決定されるものであっても良い。
本発明に係る歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法では、補正帯域信号の信号レベルが特定信号レベル以下の場合には、補正量の値が0となる。ここで、補正帯域信号の信号レベルが特定信号レベル以下の場合には、出力信号に歪みが生じないため、倍音信号の増幅を行う必要がない。このため、補正量を0に設定することにより不要な増幅処理を抑制することが可能となる。
一方で、補正帯域信号の信号レベルが特定信号レベルを超えた場合には、補正帯域信号の信号レベルから特定信号レベルまでの信号レベルの差の値に基づいて補正量の値が決定される。ここで、補正帯域信号の信号レベルが特定信号レベルを超えた場合には、出力信号において歪みが生じるおそれがある。このため、補正帯域信号の信号レベルから特定信号レベルまでの信号レベルの差の値を補正量として用いて倍音信号の増幅を行うことにより、特定周波数において信号レベルの抑制が行われた補正信号の音質を、倍音信号の増幅で十分に補う(補完する)ことが可能となる。
また、上記歪み音補正補完装置において、前記補正帯域抽出信号が負側から正側へと変わるタイミングを検出することにより生成されるインパルス列から1パルス毎に間引きを行った振幅が1となる信号を1/2倍音信号として生成する第2エッジ検出手段と、該1/2倍音信号に前記レベル検出信号を乗算することにより前記1/2倍音信号の重み付けを行う第2重み付け手段と、該第2重み付け手段により重み付けが行われた1/2倍音信号の位相反転を行う第2位相反転手段と、該第2位相反転手段により位相反転された1/2倍音信号に対して、前記特定周波数の半分の周波数を中心周波数とするピーキングフィルタを用いてフィルタ処理を行うピーキングフィルタ手段と、20log10(特定周波数[Hz]/2×入力信号のサンプリング周波数[Hz])により求められる1/2倍音用増幅初期値に前記補正量を加算することにより求められるゲインを、前記ピーキングフィルタ手段によりフィルタ処理された1/2倍音信号に対して乗算することにより、当該1/2倍音信号の増幅を行う第2増幅手段と、前記第1増幅手段により増幅処理された倍音信号と、前記第2増幅手段により増幅処理された1/2倍音信号とを加算することにより新たな倍音信号を生成する加算手段とを備え、前記第2フィルタ手段は、前記加算手段により生成された新たな倍音信号に対して、前記第1フィルタ手段で用いられる前記ピーキングフィルタの逆特性を有するフィルタを用いてフィルタ処理を行うことにより、前記新たな倍音信号における前記特定周波数の信号レベルを抑制して補完信号を生成し、前記出力信号生成手段は、該補完信号を前記補正信号に加算することにより出力信号を生成するものであっても良い。
さらに、上記歪み音補正補完装置の歪み音補正補完方法において、前記補正帯域抽出信号が負側から正側へと変わるタイミングを検出することにより生成されるインパルス列から1パルス毎に間引きを行った振幅が1となる信号を、第2エッジ検出手段が1/2倍音信号として生成する1/2倍音信号生成ステップと、第2重み付け手段が、前記1/2倍音信号に前記レベル検出信号を乗算することにより、前記1/2倍音信号の重み付けを行う第2重み付けステップと、該第2重み付けステップにおいて重み付けが行われた1/2倍音信号の位相反転を、第2位相反転手段が行う第2位相反転ステップと、該第2位相反転ステップにおいて位相反転された1/2倍音信号に対して、ピーキングフィルタ手段が、前記特定周波数の半分の周波数を中心周波数とするピーキングフィルタを用いてフィルタ処理を行うピーキングフィルタ処理ステップと、20log10(特定周波数[Hz]/2×入力信号のサンプリング周波数[Hz])により求められる1/2倍音用増幅初期値に前記補正量を加算することにより求められるゲインを、前記ピーキングフィルタ処理ステップにおいてフィルタ処理された1/2倍音信号に対して乗算することにより、第2増幅手段が当該1/2倍音信号の増幅を行う第2増幅ステップと、前記第1増幅ステップにおいて増幅処理された倍音信号と、前記第2増幅ステップにおいて増幅処理された1/2倍音信号とを加算することにより、加算手段が新たな倍音信号を生成する加算ステップとを備え、前記補完信号生成ステップにおいて、前記第2フィルタ手段は、前記加算手段により生成された新たな倍音信号に対して、前記補正帯域信号生成ステップにおいて用いられる前記ピーキングフィルタの逆特性を有するフィルタを用いてフィルタ処理を行うことにより、前記新たな倍音信号における前記特定周波数の信号レベルを抑制して補完信号を生成し、前記出力信号生成ステップにおいて、前記出力信号生成手段は、該補完信号を前記補正信号に加算することにより出力信号を生成するものであっても良い。
このように、本発明に係る歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法では、倍音信号と1/2倍音信号とを加算して補完信号を生成し、この補完信号を補正信号に加算して出力信号を生成するので、スピーカより出力される出力信号の音質を、倍音信号と1/2倍音信号との相乗効果によってより向上させることが可能となる。
本発明に係る歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法によれば、スピーカにおいて歪みが発生する周波数(特定周波数)成分を入力信号より抽出することによって、補正帯域信号が生成され、補正帯域信号に対して特定信号レベルを超えた信号レベルの割合が制御信号の値として決定され、倍音信号を増幅するための補正量が決定される。このため、補正帯域信号に制御信号が乗算された補正帯域抽出信号は、入力信号における特定周波数の信号レベルであって、特定信号レベルを超えた信号レベルを示すことになる。従って、入力信号より補正帯域抽出信号を減算することにより生成される補正信号は、特定周波数の信号レベルを歪みが発生しない信号レベルまで低減させた信号となる。
一方で、補正帯域抽出信号に基づいて倍音信号が生成される。生成される倍音信号は、特定周波数を基準として2倍、3倍・・・倍の周波数におけるインパルス列からなる信号である。さらに、生成される倍音信号は、増幅初期値に補正量を加算することにより求められるゲインを乗算することにより増幅されている。ここで、補正量は、入力信号より特定周波数成分が抽出された信号である補正帯域信号の信号レベルに基づいて決定されるため、特定周波数において抑制された信号レベルを補正量に応じて倍音信号で補うことが可能となる。
このため、第2フィルタ手段において特定周波数の信号レベルを抑制した倍音信号(補完信号)と、特定周波数において歪みが発生しないように信号レベルが低減された補正信号とを、出力信号生成手段で加算することにより、歪音を抑制しつつ、倍音信号によって特定周波数における聴感上の音質が補完された出力信号を生成することが可能となる。
さらに、増幅された倍音信号は、ローパスフィルタを用いてフィルタ処理を行うことにより、高域側の倍音信号の信号レベルが抑制されているため、高域側の倍音信号の信号出力による歪音や異音の発生を防止することができる。
実施の形態1に係る歪み音補正低域補完装置の概略構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る歪み補正部の概略構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る信号レベル検出部の概略構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る補正ゲイン計算部の概略構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係るゲイン設定部の概略構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る低域補完部の概略構成を示すブロック図である。 (a)は、実施の形態1に係る歪み補正部の各機能部のパラメータを示す表1であり、(b)は、実施の形態1に係る低域補完部の各機能部のパラメータを示す表2である。 (a)は、実施の形態1において、スピーカの出力信号の入力レベルを変化させた場合に発生する歪み成分の信号レベルを示す図であり、(b)は、実施の形態1に係る歪み補正部の第1フィルタ部のピーキングフィルタのフィルタ特性を示す図である。 (a)は、図7の表1のパラメータを第1フィルタ部に設定し、入力信号として正弦波を用いた場合の入力信号の振幅変化を示し、(b)は、(a)に示す入力信号において第1フィルタ部より出力される出力信号の振幅変化を示し、(c)は、表1のパラメータを設定して、入力信号として音楽信号を用いた場合の入力信号の振幅変化を示し、(d)は、(c)に示す入力信号において第1フィルタ部より出力される出力信号の振幅変化を示す図である。 (a)(b)は、入力信号として正弦波を用いた場合に、最大値検出部および最大値ホールド部より出力される最大値検出信号および最大値ホールド信号を、リニア表示およびデシベル表示し、(c)(d)は、入力信号として音楽信号を用いた場合に、最大値検出部および最大値ホールド部より出力される最大値検出信号および最大値ホールド信号を、リニア表示およびデシベル表示する図である。 (a)は、第1ルックアップテーブル部の変換テーブルを示し、(b)は、第2ルックアップテーブル部の変換テーブルを示す図である。 (a)(b)は、入力される信号の信号レベルに応じて、歪み補正部で歪み補正が行われる周波数帯域の補正特性を示す図である。 (a)〜(d)は、アタックリリースフィルタ部へと入力される最大値ホールド信号と、アタックリリースフィルタ部より出力されるARフィルタ出力信号とを示す図であって、(a)(b)は、入力信号が正弦波である場合のリニア表示出力とデシベル表示出力とを示し、(c)(d)は、入力信号が音楽信号である場合のリニア表示出力とデシベル表示出力とを示す図である。 (a)(c)は、第1ルックアップテーブル部へ入力されるARフィルタ出力信号と、第1LPF部より出力される制御信号とを示し、(b)(d)は、第2ルックアップテーブル部へ入力されるARフィルタ出力信号と、第2ルックアップテーブル部より出力される補正量とを示す図であって、(a)(b)は、入力信号が正弦波である場合のリニア表示出力とデシベル表示出力とを示し、(c)(d)は、入力信号が音楽信号である場合のリニア表示出力とデシベル表示出力とを示す図である。 (a)(c)は、第2加算部に入力される入力信号を示し、(b)(d)は、第2加算部において求められる補正信号を示す図であって、(a)(b)は、入力信号が正弦波である場合を示し、(c)(d)は、入力信号が音楽信号である場合を示す図である。 (a)は、入力信号が正弦波である場合の補正帯域抽出信号の振幅変化を示し、(b)は、入力信号が音楽信号である場合の補正帯域抽出信号の振幅変化を示す図である。 (a)は、第1HPF部および第2LPF部のフィルタ特性を示す図であり、(b)は、第3LPF部および第2HPF部の特性を示す図である。 (a)は、入力信号が正弦波である場合の低域用補正帯域抽出信号を示し、(b)は(a)に示す低域用補正帯域抽出信号の時間間隔を拡大した図である。 (a)は、入力信号が音楽信号である場合の低域用補正帯域抽出信号を示し、(b)は(a)に示す低域用補正帯域抽出信号の時間間隔を拡大した図である。 (a)(b)は、レベル検出信号生成部から出力されるレベル検出信号とエッジ検出部から出力される倍音信号とを示す図であり、(a)は、入力信号が正弦波の場合を示し、(b)は、入力信号が音楽信号の場合を示す図である。 (a)(b)は、特定周波数が抽出された入力信号の周波数特性と、位相反転部で位相反転が行われた倍音信号の周波数特性とを示す図であって、(a)は、入力信号が正弦波の場合を示し、(b)は、入力信号が音楽信号の場合を示す図である。 (a)(b)は、増幅処理が行われる前の倍音信号の周波数特性と、増幅処理が行われた後の倍音信号の周波数数特性とを示す図であって、(a)は、入力信号が正弦波の場合を示し、(b)は、入力信号が音楽信号の場合を示す図である。 (a)(c)は、増幅部における増幅値(増幅初期値+補正量)をリニア表示で示す図であり、(b)(d)はデシベル表示で示す図であって、(a)(b)は入力信号が正弦波の場合を示し、(c)(d)は入力信号が音楽信号の場合を示す図である。 (a)は、第2フィルタ部に用いられるピーキングフィルタのフィルタ特性を示す図であり、(b)は、実施の形態2に係るピーキングフィルタ部のフィルタ特性を示す図である。 (a)(b)は、第2フィルタ部によりフィルタ処理された倍音信号の周波数特性を示す図であり、(a)は入力信号が正弦波の場合を示し、(b)は入力信号が音楽信号の場合を示す図である。 (a)は、実施の形態2に係る歪み音補正低域補完装置の概略構成を示すブロック図であり、(b)は、実施の形態2に係る第2フィルタ部を通過した後の補完信号を示す図である。 実施の形態2に係る低域補完部の概略構成を示すブロック図である。 (a)は、レベル検出信号生成部より出力されるレベル検出信号と、倍音信号とを示し、(b)は、レベル検出信号生成部より出力されるレベル検出信号と、1/2倍音信号とを示す図である。 (a)は、実施の形態2に係る歪み補正部の各機能部のパラメータを示す表3であり、(b)は、実施の形態2に係る低域補完部の各機能部のパラメータを示す表4である。 (a)は、実施の形態2に係る歪み音補正低域補完装置の入力信号を示し、(b)は補正信号を示し、(c)は補正帯域抽出信号を示す図である。 (a)は、第2増幅値に基づいて第2増幅部で増幅された1/2倍音信号の周波数特性と、入力信号の周波数特性とを示す図であり、(b)は、実施の形態2における第2フィルタ部のフィルタ特性を示す図である。 (a)(b)は、入力信号として50[Hz]および60[Hz]の正弦波を用い、歪み補正処理や低域補完処理を行うことなくスピーカより出力された音をマイクで集音した結果を示した周波数特性を示す図である。 (a)(b)は、図32(a)(b)の入力信号の信号レベルを低減させた場合の周波数特性を示す図である。 2つの特定周波数に対して歪み補正処理・低域補完処理を行う歪み音補正低域補完装置の概略構成を示すブロック図である。 図6に示す低域補完部に対して、第1HPF部、第2LPF部および第4加算部を省略した低域補完部の概略構成を示すブロック図である。
以下、本発明に係る歪み音補正補完装置の一例である歪み音補正低域補完装置について、図面を示して詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は、歪み音補正低域補完装置の概略構成を示すブロック図である。歪み音補正低域補完装置1は、図1に示すように、歪み補正部100と、低域補完部200と、第1加算部(出力信号生成手段)300とを備える。
歪み音補正低域補完装置1では、歪み補正部100において、歪音が発生する周波数帯域(以下、歪音が発生する周波数を、特定周波数とする。)における信号の出力レベルを制限する。さらに、歪み音補正低域補完装置1では、低域補完部200において、制限された出力レベルを補完するための倍音信号を生成し、第1加算部300で、出力レベルが制限された信号に倍音信号を合成することにより、歪みを抑えつつ、出力レベルが制限された帯域の音が聴感上十分に認識(感知)できるような出力信号を生成する。
図2は、歪み補正部100の概略構成を示すブロック図である。歪み補正部100は、第1フィルタ部(第1フィルタ手段)10と、信号レベル検出部(信号レベル検出手段)20と、補正ゲイン計算部30と、ゲイン設定部40とを有する。
第1フィルタ部10は、音源(図示省略)より入力された入力信号の特定周波数の信号だけを通過させるためのフィルタである。実施の形態1に係る第1フィルタ部10では、後述するように、2次のピーキングフィルタを用いることにより、特定周波数の信号の抽出を行う。特定周波数は、予め車室内においてスピーカの歪みを測定することにより決定される。歪み音補正低域補完装置1では、特定周波数を歪み音補正低域補完装置1における補正帯域として、歪み補正処理および該当する帯域の補完処理を行う。第1フィルタ部10を通過した信号は補正帯域信号として、信号レベル検出部20およびゲイン設定部40へ出力される。
図3は、信号レベル検出部20の概略構成を示すブロック図である。信号レベル検出部20は、最大値検出部21と、最大値ホールド部22とを有する。最大値検出部21は、第1フィルタ部10を通過した信号(補正帯域信号)における振幅の絶対値を検出し、所定時間内の最大値検出を行う役割を有する。最大値検出部21において最大値の検出が行われた信号は、最大値検出信号として最大値ホールド部22へ出力される。
最大値ホールド部22は、最大値検出部21において検出された最大値(最大値検出信号の検出値)を所定時間だけホールド(維持)する役割を有している。最大値ホールド部22によりホールドされた信号は最大値ホールド信号として、補正ゲイン計算部30へ出力される。
図4は、補正ゲイン計算部30の概略構成を示すブロック図である。補正ゲイン計算部30は、アタックリリースフィルタ部31と、第1ルックアップテーブル部(第1ルックアップテーブル手段)32と、第1LPF(Low-pass filter)部33と、第2ルックアップテーブル部(第2ルックアップテーブル手段)34とを有する。
アタックリリースフィルタ部31は、最大値ホールド部22より入力された最大値ホールド信号に対して、アタック時間とリリース時間とに対応した応答速度になるように、フィルタ処理を行う役割を有する。アタック時間とリリース時間とは予め設定されており、具体的な設定値の例については後述する。アタックリリースフィルタ部31によりアタック時間とリリース時間とのフィルタ処理が行われた信号(ARフィルタ出力信号)は、第1ルックアップテーブル部32と第2ルックアップテーブル部34とのそれぞれに出力される。
第1ルックアップテーブル部32および第2ルックアップテーブル部34は、アタックリリースフィルタ部31より入力された信号のレベル変換を行う役割を有する。第1ルックアップテーブル部32と第2ルックアップテーブル部34との具体的な設定内容(変換テーブルの内容)は、補正帯域の信号レベル(詳細には、ARフィルタ出力信号の信号レベル)に基づいて決定される。
第1ルックアップテーブル部32は、入力された信号の信号レベル([dB]の値)に基づいてゲイン係数を求めて、第1LPF部33へ出力する役割を有する。第1ルックアップテーブル部32に基づいて求められるゲイン係数は、入力された信号(ARフィルタ出力信号)の信号レベルに対して特定信号レベルを超えた信号レベルの割合を示している。ここで、特定信号レベルとは、スピーカより出力される出力信号が特定周波数において歪みを生じない最大の信号レベルを意味する。特定信号レベルは、スピーカより出力される信号の歪みを測定することにより求められるが、その詳細については後述する。
ゲイン係数は、入力された信号(ARフィルタ出力信号)の信号レベルに対して特定信号レベルを超えた信号レベルの割合を示しているため、入力された信号の信号レベルが特定信号レベル以下の場合には、ゲイン係数の値が0に決定され、特定信号レベルを超えた場合には、信号レベルの増加量に応じてゲイン係数の値が0より大きい値であって1より小さい値に決定される。ここで、入力された信号(ARフィルタ出力信号)の信号レベルは実質的に補正帯域信号の信号レベルに該当する。
補正帯域信号の信号レベルが特定信号レベル以下の場合には、後述するゲイン設定部40において、入力信号から歪みが生じるおそれのある特定周波数の信号レベルを減算しなくても、出力信号において歪みが生じるおそれがない。このため、補正帯域信号の信号レベルが特定信号レベル以下であって、歪みが発生しない場合には、ゲイン係数の値を0に設定することにより、ゲイン設定部40において入力信号から減算を行う補正帯域抽出信号(後述する図5参照)の信号レベルを0とすることができ、入力信号における特定周波数の信号レベルを不必要に低減(減算)してしまうことを抑制できる。
一方で、補正帯域信号の信号レベルが特定信号レベルを超えた場合には、出力信号から歪みが生じるおそれがある。このため、補正帯域信号の信号レベルが特定信号レベルを超えた場合には、ゲイン係数を0より大きな値にすることによって、後述するゲイン設定部40の処理において特定信号レベルを超えた信号レベルを、補正帯域抽出信号により求めることが可能となる。このため、ゲイン設定部40において、入力信号から補正帯域抽出信号を減算することにより、入力信号の特定周波数において歪みが生じるおそれのある信号レベルを低減させること(歪音の補正を行うこと)が可能となり、出力信号における歪みの発生を抑制することが可能となる。
第2ルックアップテーブル部34は、入力された信号(ARフィルタ出力信号)の信号レベル([dB]の値)に基づいて、後述する倍音信号の増幅を行うための補正量を求める役割を有する。ここで、後述するゲイン設定部40において入力信号から歪みが生じるおそれのある特定周波数の信号レベルを減算して求められる補正信号に対して、倍音信号は、減算された特定周波数の補完を行うために生成される信号である。このため、倍音信号の増幅は、減算された信号レベルに応じて設定され、補正量はその信号レベルに応じて増幅量を調整する役割を有する。この補正量は、第1ルックアップテーブル部32の設定内容(変換テーブルの内容)を考慮して決定される。このため、ゲイン係数が0から1へと増加するに従って、補正量の値が増加する傾向を示す。
具体的に、第2ルックアップテーブル部34において決定される補正量は、入力された信号(ARフィルタ出力信号)の信号レベルが特定信号レベル以下の場合には0の値となり、入力された信号(ARフィルタ出力信号)の信号レベルが特定信号レベルを超えた場合には、入力された信号の信号レベルから特定信号レベルまでの信号レベルの差の値に基づいて決定される。ここで、入力された信号(ARフィルタ出力信号)の信号レベルは実質的に補正帯域信号の信号レベルに該当する。
入力された信号の信号レベルが特定信号レベル以下の場合には、補正量の値が0となる。ここで、入力された信号の信号レベルが特定信号レベル以下の場合、つまり、補正帯域信号の信号レベルが特定信号レベル以下の場合には、出力信号に歪みが生じないので、歪みが生じるおそれのある特定周波数の信号レベルを入力信号から減算する必要がなくなる。この場合には、倍音信号を増幅する必要がないので、補正量を0に設定することにより不要な増幅処理を抑制することが可能となる。
一方で、入力された信号の信号レベルが特定信号レベルを超えた場合、つまり、補正帯域信号の信号レベルが特定信号レベルを超えた場合には、超えた信号レベルの量、つまり、補正帯域信号(=入力される信号)の信号レベルから特定信号レベルまでの信号レベルの差の値に基づいて補正量の値が決定される。ここで、補正帯域信号の信号レベルが特定信号レベルを超えた場合には、出力信号において歪みが生じるおそれがある。このため、補正帯域信号の信号レベルから特定信号レベルまでの信号レベルの差の値を補正量として用いて倍音信号の増幅を行うことにより、特定周波数において信号レベルの抑制がされた補正信号の音質を、倍音信号の増幅で十分に補う(補完する)ことが可能となる。
第1ルックアップテーブル部32で求められたゲイン係数は、第1LPF部33の低域通過フィルタによって平滑化されて、制御信号としてゲイン設定部40へ出力される。一方で、第2ルックアップテーブル部34で求められた補正量は、低域補完部200へ出力される。
図5は、ゲイン設定部40の概略構成を示すブロック図である。ゲイン設定部40は、第1乗算部(補正帯域抽出信号生成手段)41と、第2加算部(補正信号生成手段)42とを有する。第1乗算部41には、第1フィルタ部10において入力信号から歪みが生じる周波数の抽出が行われた補正帯域信号と、第1LPF部33において平滑化されたゲイン係数が制御信号として入力される。前述したようにゲイン係数は1以下の値であるため、制御信号も1以下の値となる。このため、第1乗算部41において、補正帯域信号に制御信号を乗算することにより、補正帯域信号において特定信号レベルを超えた信号レベルを示す信号を生成することができる。この信号を補正帯域抽出信号と呼ぶ。
第2加算部42には、第1乗算部41により生成された補正帯域抽出信号と、音源(図示省略)によって出力された入力信号とが入力される。第2加算部42では、入力信号から補正帯域抽出信号を減算することにより補正信号を生成する。ここで、補正帯域抽出信号は、歪みが生じた周波数(特定周波数)の信号であって、特定信号レベルを超えた信号レベルを示す信号である。このため、音源より出力された入力信号から補正帯域抽出信号を減算することにより、入力信号における特定周波数の信号レベルを、歪みが生じない信号レベルまで抑制した信号が生成される。つまり、第2加算部42より出力される補正信号は、特定周波数において歪みが発生しない入力信号に該当する。第2加算部42より出力された補正信号は、第1加算部300へ出力される。
図6は、低域補完部200の概略構成を示すブロック図である。低域補完部200は、図6に示すように、第1HPF(High-pass filter)部51と、第2LPF部52と、レベル検出信号生成部(レベル検出信号生成手段)53と、エッジ検出部(第1エッジ検出手段)54と、第2乗算部(第1重み付け手段)55と、位相反転部(第1位相反転手段)56と、第3LPF部(ローパスフィルタ手段)57と、第2HPF部(ハイパスフィルタ手段)58と、増幅部(第1増幅手段)59と、第3加算部60と、第4加算部61と、第2フィルタ部(第2フィルタ手段)62とを有する。
ゲイン設定部40より出力された補正帯域抽出信号は、第1HPF部51と第2LPF部52とに入力される。第1HPF部51および第2LPF部52は、一例として3次のバタワースフィルタにより構成することができる。
第1HPF部51は、入力された信号の高域周波数成分を通過させるフィルタである。第1HPF部51により、補正帯域抽出信号の高域周波数成分が抽出されて高域用補正帯域抽出信号(第1補正帯域抽出信号)として第4加算部61へ出力される。一方で、第2LPF部52は、入力された信号の低域周波数成分を通過させるフィルタである。第2LPF部52により、補正帯域抽出信号の低域周波数成分が抽出されて低域用補正帯域抽出信号(第2補正帯域抽出信号)として、レベル検出信号生成部53およびエッジ検出部54へ出力される。
レベル検出信号生成部53は、入力された低域用補正帯域抽出信号の絶対値を算出し、DC成分のカットを行った後に、レベル検出信号として信号を第2乗算部55へ出力する。一方で、エッジ検出部54は、入力された低域用補正帯域抽出信号において、信号値が負側から正側に変わる位置(タイミング)を検出し、検出された位置(タイミング)でインパルス出力を設定することにより、インパルス列を生成する。ここで、インパルス列の振幅は1に設定され、生成されたインパルス列を倍音信号と呼ぶ。
第2乗算部55では、レベル検出信号生成部53より入力されたレベル検出信号と、エッジ検出部54より入力された倍音信号との乗算を行う。第2乗算部55における乗算処理により、倍音信号に対して低域用補正帯域抽出信号の信号レベルに対応する重み付けを付加することが可能となる。
位相反転部56は、重み付けが行われた倍音信号の位相反転を行う。また、第3LPF部57は、入力された信号の低域周波数成分を通過させるフィルタであり、位相反転された倍音信号にフィルタ処理を施すことにより、倍音信号の上限帯域(高帯域)の信号出力を制限する。一方で、第2HPF部58は、入力された信号の高域周波数成分を通過させるフィルタであり、倍音信号にフィルタ処理を施すことにより、下限帯域(低帯域)の信号出力を制限する。第3LPF部57および第2HPF部58によって、高域および低域において帯域制限を受けた倍音信号は、増幅部59へ出力される。
なお、実施の形態1においては、第3LPF部57の一例として、5次のバタワースローパスフィルタを用い、第2HPF部58の一例として、3次のバタワースハイパスフィルタを用いる。
増幅部59では、帯域制限を受けた倍音信号の増幅処理を行う役割を有する。増幅部59において、倍音信号の振幅値にリニアのゲイン[dB]が乗算されることにより増幅処理が行われる。増幅部59で増幅されるゲインは、第3加算部60において、歪み補正の対象となった入力信号の帯域(周波数)に基づいて設定される増幅初期値に対して、第2ルックアップテーブル部34で求められた補正量(ゲイン[dB])を加えることにより求められる。
第2ルックアップテーブル部34で求められた補正量は、既に説明したように、補正帯域信号の信号レベルから特定信号レベルまでの信号レベルの差の値に基づいて決定される値である。このため、第2加算部42において、入力信号から補正帯域抽出信号の信号レベルだけ周波数帯域の信号レベルが低減されても、増幅部59において、低減された信号レベルに基づいて決定された補正量を増幅初期値に加算して倍音信号に増幅処理を行うことにより、出力信号において抑制された周波数帯域の音が聴感上薄く感じられてしまうことを防止して、十分な音響効果を聴取者に知覚させることが可能となる。増幅初期値の詳しい算出方法などについては、後述する。
増幅部59において増幅処理が行われた倍音信号は、第4加算部61へ出力される。第4加算部61には、第1HPF部51より入力される高域用補正帯域抽出信号(第1補正帯域抽出信号)が入力される。高域用補正帯域抽出信号は、スピーカにおいて歪みが生じ得る周波数(特定周波数)の信号レベルを低減させた信号(補正帯域抽出信号)の高域周波数成分の信号である。第4加算部61では、高域用補正帯域抽出信号と倍音信号とを加算することにより、スピーカの歪みが生じない信号成分を高域周波数成分に有し、さらに、特定周波数とは異なる周波数に対してその音を聴覚的に認識させることが可能な倍音を有する信号を生成することが可能になる。
次に、高域用補正帯域抽出信号と倍音信号とが加算された信号は、第2フィルタ部62に入力される。第2フィルタ部62は、第1フィルタ部10の逆特性を有するフィルタである。第1フィルタ部10は、特定周波数の信号の抽出を行うピーキングフィルタであり、このフィルタを用いることにより、スピーカにおいて歪みの生じる周波数(特定周波数)を入力信号より抽出することが可能となっている。一方で、第2フィルタ部62は、第1フィルタ部10の逆特性を有するピーキングフィルタである。第2フィルタ部62で、高域用補正帯域抽出信号と倍音信号とが加算された信号にフィルタ処理を行うことにより、スピーカにおいて歪みが生じる周波数(特定周波数)の信号レベルだけを抑制し、他の周波数帯域(特定周波数以外の帯域)の信号を通過させることが可能となる。
第2フィルタ部62を通過した信号は補完信号として、第1加算部300へ出力される。第1加算部300は、歪み補正部100のゲイン設定部40より入力される補正信号と、低域補完部200の第2フィルタ部62より入力される補完信号とを加算して出力信号を出力する役割を有する。
ここで、補正信号は、入力信号においてスピーカで歪みが生じないように特定周波数の信号レベルを抑制した信号である。また、補完信号は上述したように、スピーカで歪みが生じる周波数(特定周波数)の信号レベルを抑制した信号であり、特定周波数の音質を他の周波数帯域(特定周波数以外の帯域)の倍音により補完した信号である。このため、第1加算部300において、補正信号と補完信号とが加算されることにより、入力信号に歪みが生じる周波数成分(特定周波数成分)の信号レベルを歪みが生じないレベルまで低減させつつ、その周波数成分(特定周波数成分)の音を倍音信号によって聴覚的に認識させることが可能な出力信号を生成することが可能となる。
[歪み音補正低域補完装置における具体的な動作説明]
次に、上述した歪み音補正低域補完装置1を用いて、実際に歪み補正処理および低域補完処理を行う場合について説明する。
図7(a)は、歪み補正部100の各機能部で設定されるパラメータ(設定値)の一例を示す表1である。表1に示すパラメータの各設定値は、車室内に設置されるスピーカで発生する歪音に基づいて決定される。
図8(a)は、対象となる車室内において、スピーカより出力される信号の入力レベルを−8[dB]〜0[dB]へと変化させた場合にスピーカで発生する歪み成分の信号レベル[dB]を示す図である。図8(a)に示すように、スピーカより出力される信号の入力レベルが上がるほど、歪み成分が増加することが確認できる。ここで、入力信号(例えば、正弦波)をスイープさせてマイクで集音し、入力信号から集音された信号を差し引くことで、入力信号(正弦波)以外の余計な信号を求めることができる。このようにして求められた余計な信号は、高調波歪みとノイズとにより構成される。歪み成分の多い帯域を求めることにより補正処理の対象となる帯域(つまり、特定周波数の帯域)を明確にすることが可能となる。図8(a)の例では、35[Hz]〜40[Hz]周辺、具体的には、36[Hz]が特定周波数に該当する。さらに、図8(a)より明らかなように、35[Hz]〜40[Hz]において、入力信号の信号レベルを−8[dB]から0[dB]へと8[dB]ほど低減させることにより、スピーカにおける歪みの発生を抑制することが可能となる。従って、図8(a)の例では、−8[dB]が特定信号レベルに該当する。
図8(b)は、歪み補正部100の第1フィルタ部10におけるピーキングフィルタのフィルタ特性を示す図である。図8(b)に示すピーキングフィルタでは、上述した図8(a)において特定される特定周波数36[Hz]に該当する周波数帯域に中心周波数(カットオフ周波数)が設定される。
図9(a)は、図7(a)の表1に示すパラメータの値を第1フィルタ部10に設定し、入力信号として正弦波を用いた場合の入力信号の振幅変化を示し、図9(b)は、(a)に示す入力信号において第1フィルタ部10より出力される出力信号の振幅変化を示している。また、図9(c)は、同じ表1に示すパラメータの値を設定し、入力信号として音楽信号を用いた場合の入力信号の振幅変化を示している。図9(d)は、(c)に示す入力信号において第1フィルタ部10より出力される出力信号の振幅変化を示している。
図9(b)に示す正弦波の出力信号では、第1フィルタ部10のピーキングフィルタにより、特定周波数だけ抽出されていることが分かり難いが、図9(d)に示す音楽信号の出力信号では、(c)に示す入力信号に比べて全体の振幅が低減されていることから、ピーキングフィルタによって、特定周波数だけ抽出されていると判断できる。
図10(a)(b)は、入力信号として正弦波を用いた場合に、最大値検出部21および最大値ホールド部22より出力される信号(最大値検出信号と最大値ホールド信号)をリニア表示(振幅表示)およびデシベル表示(ゲイン表示)した図である。一方で、図10(c)(d)は、入力信号として音楽信号を用いた場合に、最大値検出部21および最大値ホールド部22より出力される信号(最大値検出信号と最大値ホールド信号)をリニア表示(振幅表示)およびデシベル表示(ゲイン表示)した図である。最大値ホールド信号は、最大値ホールド部22によって、最大値検出部21により検出された信号の最大値がホールドされた信号となる。
図11(a)は、第1ルックアップテーブル部32の変換テーブルを示し、図11(b)は、第2ルックアップテーブル部34の変換テーブルを示している。図7(a)の表1に示す設定値に基づいて、アタックリリースフィルタ部31でアタックリリース制御が行われた信号(ARフィルタ出力信号)は、第1ルックアップテーブル部32および第2ルックアップテーブル部34にそれぞれ入力され、それぞれの変換テーブルに基づいてレベル変換処理が行われる。
図11(a)に示す第1ルックアップテーブル部32の変換テーブルでは、入力される信号(ARフィルタ出力信号)の信号レベルが−30[dB]から−8[dB]までの間、変換後のゲイン係数が0に設定されている。ここで、図8(a)で入力信号の歪み成分に関するグラフを示し説明したように、実施の形態1では、−8[dB]が特定信号レベルに該当する。このため、入力される信号が特定信号レベル以下の信号レベル、つまり、−30[dB]から−8[dB]までの信号レベルの場合には、スピーカにおいて歪みが生じ難く、変換後のゲイン係数を0に設定しても問題が生じない。
一方で、入力される信号(ARフィルタ出力信号)の信号レベルが、特定信号レベルより大きい信号レベル、つまり−8[dB]を超えた場合には、スピーカより歪みが生じる。このため、図11(a)に示す変換テーブルでは、入力される信号(ARフィルタ出力信号)の信号レベルが−8[dB]より大きい値になると、信号レベルの上昇に合わせてゲイン係数が増加する設定となっている。
つまり、特定周波数(第1フィルタ部10において抽出された周波数)の信号レベルが、設定した閾値(特定信号レベル:実施の形態1では、信号レベルが−8[dB])以下の場合には、ゲイン係数を0に設定して実質的に信号レベルの補正を行わず、設定した閾値(特定信号レベル)を超える場合には、閾値を超えた信号レベルの値に応じて信号レベルを低減させるようなゲイン係数の設定を行う。実施の形態1では、図11(a)に示すように、入力される信号レベルが−8[dB]を超える場合には、入力される信号レベルが−8[dB]から0[dB]に上昇するに応じて、ゲイン係数が0から0.6へと上昇する。ゲイン係数は第1LPF部33を経て制御信号として出力される。その後、第1乗算部41において、制御信号(ゲイン係数)と補正帯域信号とが乗算された信号(補正帯域抽出信号)を入力信号から減算することによって、特定周波数で歪みが生じる信号の抑制が行われた補正信号が生成される。
一方で、図11(b)に示す第2ルックアップテーブル部34の変換テーブルでは、入力される信号の信号レベルが−30[dB]から−8[dB]までの間、第1ルックアップテーブル部32と同様に、変換後の補正量(ゲイン)が0に設定されている。この−30[dB]から−8[dB]までの間は、図8(a)で入力信号の歪み成分に関するグラフを示し説明したように、スピーカで歪みが生じ難い。一方で、入力される信号の信号レベルが−8[dB]を超える場合には、信号レベルが上昇するのに比例するようにして、補正量(ゲイン)が増加するように変換テーブルが設定されている。図11(b)に示すように、入力される信号レベルが−8[dB]を超える場合には、入力される信号レベルが−8[dB]から0[dB]へ上昇するのに比例して、補正量が0[dB]から8[dB]へと上昇する。
ここで、第1ルックアップテーブル部32の変換テーブルと、第2ルックアップテーブル部34の変換テーブルとを比較する。両方の変換テーブルともに、入力される信号(ARフィルタ出力信号)の信号レベルが−30[dB]から−8[dB]までの間、変換テーブルによるレベル変換後の値が0に設定され、積極的な補正を行わない点で共通する。つまり、−30[dB]〜−8[dB]においては、レベル変換の出力が、それぞれゲイン係数0と補正量(補正用のゲイン)0[dB]となる。一方で、入力される信号の信号レベルが−8[dB]を超える場合には、第1ルックアップテーブル部32の変換テーブルのゲイン係数も、第2ルックアップテーブル部34における変換テーブルの補正量(ゲイン)も、信号レベルに応じて増加するが、その増加量が異なる。例えば、入力される信号(ARフィルタ出力信号)の信号レベルが0[dB]の場合、第1ルックアップテーブル部32のゲイン係数は0.6となるが、第2ルックアップテーブル部34の補正量は8[dB]となる。しかしながら、ゲイン係数0.6と補正量8[dB]とは、値が異なっていても、互いに同じだけ信号レベルを補正することが可能となる値である。
一般に、音圧を計算する一般式は下記で示すことができる。
SPL=20log10(p/p) ・・・式1
ここで、SPLは、音圧レベル[dB(デシベル)]、pは、音圧[Pa(パスカル)]、pは基準音圧(=20×10−6[Pa])を示す。
このように音圧レベル(SPL)は、音圧の大きさ(パスカル)を基準とする値との比の常用対数によって表される。
基準音圧pを基準値1として、フルスケール0[dB]の入力信号(最大振幅値は1)を0.4倍にすると音圧が音圧レベル[dB]でどの程度の値になるかを考える。
音圧比0.4のSPLは、式1より、
SPL=20log10(0.4/1)
=−7.95880017[dB]となる。
ここで、上述したように、入力される信号の信号レベルが0[dB]の場合のゲイン係数は、図11(a)では0.6となっている。このゲイン係数は、第1乗算部41において、補正帯域信号と乗算されて補正帯域抽出信号となり、この補正帯域抽出信号は音源からの入力信号を減算することになるので、入力信号の最大振幅値を1(基準値=1)とすると、補正帯域抽出信号は、入力信号に対して最大振幅値が0.6となり、さらに、入力信号から補正帯域抽出信号が減算された補正信号の最大振幅値は0.4となる。従って、補正信号の最大振幅値0.4は、上述した式により、−8[dB]だけ入力信号に対して信号レベルが減算(補正)された信号に該当することになり、この−8[dB]は、入力される信号が0[dB]の場合に、第2ルックアップテーブル部34の変換テーブルの補正量(ゲイン)の値8[dB]に対応する。
つまり、第1ルックアップテーブル部32の変換テーブルで求められるゲイン係数と、第2ルックアップテーブル部34の変換テーブルで求められる補正量とは、互いに同じゲイン(レベル)だけ信号レベルを補正することを目的として設定された値となる。
また、式1において基準音圧pを基準値1とすることにより、上述のように、基準音圧pを無視することができるので、式1は、
=10SPL/20 ・・・式2
と示すことが可能となる。
また、この式2に基づいて考えると、第1ルックアップテーブル部32の変換テーブルで求められるゲイン係数は、入力信号から減算を行うための制御信号であるため、
'=1−10SPL/20 ・・・式3
として示すことが可能となる。この式3では、フルスケール0[dB]における最大振幅値を1として示す。
例えば、入力される信号の信号レベルが−3[dB]のときゲイン係数は、図11(a)に示す第1ルックアップテーブル部32の変換テーブルに基づいて0.4377となる。ゲイン係数が0.4377の場合の音圧レベルSPL[dB(デシベル)]は、式3から−5.0006[dB]として求められる。一方で、図11(b)に示す第2ルックアップテーブル部34の変換テーブルに基づいて、入力される信号の信号レベルが−3[dB]のとき補正量を求めると、5[dB]となり、式3から求められる−5[dB]に対応する補正量となる。なお、図12(a)(b)は、入力される信号の信号レベルに応じて、歪み補正部100で歪み補正が行われる周波数帯域の補正特性を示す図である。図12(a)(b)に示すように、スピーカで歪みが生じる周波数である特定周波数(36Hz)において補正が行われ、さらに、−8[dB]以上の信号レベルに対しては、特定周波数の信号レベルが−8[dB]以下になるようにゲインの抑制が行われている。
図13(a)〜(d)は、最大値ホールド部22よりアタックリリースフィルタ部31へと入力される最大値ホールド信号と、アタックリリースフィルタ部31より出力されるARフィルタ出力信号とを示す図である。なお、図13(a)(b)は、入力信号が正弦波の場合における各信号(最大値ホールド信号とARフィルタ出力信号)のリニア表示出力(図13(a))とデシベル表示出力(図13(b))とを示し、図13(c)(d)は、入力信号が音楽信号の場合における各信号(最大値ホールド信号とARフィルタ出力信号)のリニア表示出力(図13(c))とデシベル表示出力(図13(d))とを示している。
アタックリリースフィルタ部31において、最大値ホールド信号に対してアタックリリースフィルタ処理が施されるため、出力される信号(ARフィルタ出力信号)が平滑化されていることが分かる。アタックリリースフィルタ部31で設定されるアタック時間とリリース時間との値を大きくすることによって、平滑化される度合いを大きくすることができる。このように、アタックリリースフィルタ部31におけるアタックリリースフィルタのパラメータを調整することにより、出力される信号(ARフィルタ出力信号)の平滑化の度合いを調整することが可能となる。
図14(a)(c)は、アタックリリースフィルタ部31より第1ルックアップテーブル部32へ入力されるARフィルタ出力信号と、第1ルックアップテーブル部32を経て第1LPF部33より出力される制御信号とを示し、図14(b)(d)は、アタックリリースフィルタ部31より第2ルックアップテーブル部34へ入力されるARフィルタ出力信号と、第2ルックアップテーブル部34より出力される補正量とを示す図である。なお、図14(a)(b)は、入力信号が正弦波の場合における各信号(ARフィルタ出力信号と制御信号と補正量)のリニア表示出力(図14(a))とデシベル表示出力(図14(b))とを示し、図14(c)(d)は、入力信号が音楽信号の場合における各信号のリニア表示出力(図14(c))とデシベル表示出力(図14(d))とを示している。
また、図15(a)(c)は、第2加算部42に入力される入力信号を示し、図15(b)(d)は、入力信号から補正帯域抽出信号を減算することにより求められる補正信号を示す。なお、図15(a)(b)は、入力信号が正弦波の場合における各信号(入力信号と補正信号)の振幅変化を示し、図15(c)(d)は、入力信号が音楽信号の場合における各信号(入力信号と補正信号)の振幅変化を示している。
図15(a)に示す正弦波の図では、入力信号の最大振幅値が1(フルスケール)の場合が示されている。図15(b)より求められる補正信号の最大振幅値(ゲイン係数)は、0.4(約−8[dB]に相当)となっていることから、歪み補正部100において、入力信号の信号レベルが8[dB]だけ抑制(補正)されたことを確認できる。なお、図16(a)には、入力信号が正弦波の場合における補正帯域抽出信号の振幅変化が示されている。この補正帯域抽出信号の振幅値は、入力信号の最大振幅値を1とすると、0.6となって示されている。
また、図15(c)(d)では入力信号が音楽信号の場合を示しているが、音楽信号の場合には、特定周波数の信号レベルだけが抑制されても全体の抑制量が振幅値に現れ難い傾向がある。このため図15(d)の補正信号は、図15(b)の補正信号ほど最大振幅値が減少していないように感じるが、図15(c)で示される入力信号と比較を行うことにより、振幅値が減少していることを確認できる。図16(b)は、入力信号が音楽信号の場合における補正帯域抽出信号の振幅変化が示されている。この補正帯域抽出信号も、音楽信号の場合の振幅変化が正弦波に比べて、小さく示されている。
図16(a)(b)に示される補正帯域抽出信号と、図14(b)(d)に示される補正量とが、歪み補正部100から低域補完部200へ出力されて、低域補完部200において倍音信号が生成される。
図7(b)は、低域補完部200の各機能部で設定されるパラメータ(設定値)を示す表2である。表2に示すパラメータの各設定値は、スピーカで発生する歪音に基づいて決定される。
図17(a)は、第1HPF部51および第2LPF部52のフィルタ特性を示す図である。歪み補正部100より入力される補正帯域抽出信号は、図17(a)に示すフィルタ特性を備えた第1HPF部51によって高域周波数が抽出されて高域用補正帯域抽出信号(第1補正帯域抽出信号)が生成され、第2LPF部52によって低域周波数が抽出されて低域用補正帯域抽出信号(第2補正帯域抽出信号)が生成される。図18(a)は、入力信号が正弦波である場合の低域用補正帯域抽出信号を示し、図18(b)は(a)に示す低域用補正帯域抽出信号の時間間隔を拡大した図である。また、図19(a)は、入力信号が音楽信号である場合の低域用補正帯域抽出信号を示し、図19(b)は(a)に示す低域用補正帯域抽出信号の時間間隔を拡大した図である。
第2LPF部52より出力される低域用補正帯域抽出信号は、レベル検出信号生成部53およびエッジ検出部54へ出力される。図20(a)および図20(b)は、レベル検出信号生成部53から出力されるレベル検出信号とエッジ検出部54から出力される倍音信号とを示す図である。図20(a)は、入力信号が正弦波の場合を示し、図20(b)は、入力信号が音楽信号の場合を示している。
実施の形態1に係るレベル検出信号生成部53では、DC成分の除去のために、1次のバタワースフィルタが用いられており、カットオフ周波数として20[Hz]が設定されている(図7(b)に示す表2参照)。また、エッジ検出部54では、入力された低域用補正帯域抽出信号において負側から正側に変化する位置を検出して、その位置のインパルス列を生成する。なお、図20(a)(b)において、レベル検出信号は、DC成分の除去に伴って信号レベルがインパルス列の位置において負側にオフセットされた状態で示されている。インパルス列の位置における負側のオフセット量が、検出された低域信号の信号レベルである。
その後、第2乗算部55でインパルス列に低域信号の信号レベルに応じた重み付けが行われ、さらに、位相反転部56で倍音信号の位相反転が行われる。図21(a)(b)は、第1フィルタ部10において特定周波数が抽出された入力信号の周波数特性と、第2乗算部55で重み付けが行われ、さらに位相反転部56で位相反転が行われた後の倍音信号の周波数特性とを示す図である。なお、図21(a)は、入力信号が正弦波の場合を示し、図21(b)は、入力信号が音楽信号の場合を示している。
図21(a)に示すように、入力信号では、特定周波数36[Hz]のゲイン(信号レベル)だけが高い値となっているが、倍音信号では、36[Hz]だけでなく、72[Hz],108[Hz],144[Hz]・・・のように、36[Hz]の倍数の周波数のゲイン(信号レベル)が全て同一のレベル(ゲイン)の値を示している。図21(a)では、倍音信号のゲインは入力信号のゲインに比べて小さい状態となっている。これは、倍音信号において正弦波の1周期毎のパルスを抽出したため、図21(a)に示す倍音信号では、1周期の正弦波に対して1サンプル分のレベル(エネルギー)[dB]のみが示されているためである。一方で、図21(a)に示す入力信号の信号レベルは、正弦波の1周期分のレベル(エネルギー)[dB]が示されている。このため、入力信号の信号レベルは倍音信号の信号レベルに比べて約60[dB]程度の信号レベル(ゲイン)差があり、この差分を増幅部59で増幅させる必要が生じる。
36[Hz]の正弦波の1周期は、1225サンプルであるため(=44100[Hz](サンプリング周波数)÷36[Hz])、36[Hz]の正弦波に対して、1サンプル分のレベル(エネルギー)は、
20×log10(1/1225)=−61.7627[dB]
となる。つまり、約61[dB]分だけ増幅させる必要が生じる。このため、増幅部59で増幅を行うにあたって、増幅初期値として61[dB](図7(b)の表2参照)が設定される。さらに、増幅初期値に歪み補正部100で求められた補正量を加えた値を用いて、増幅部59で倍音信号の増幅が行われる。なお、実施の形態1に係る補正量は、図11(b)を示し説明したように、第2ルックアップテーブル部34によって、0[dB]から8[dB]の値が設定される。
図17(b)は、図7(b)に示す表2で設定されたカットオフ周波数を備えた、第3LPF部57および第2HPF部58の帯域制限フィルタの特性を示す図である。位相反転された倍音信号は、図17(b)に示すフィルタ特性を備えた第3LPF部57および第2HPF部58で帯域制限が行われた後に、増幅部59へ出力される。
ここで、第3LPF部57で設定されるカットオフ周波数は、第1フィルタ部10において用いられるピーキングフィルタの中央周波数よりも高い周波数に設定されている。具体的に、第3LPF部57で設定されるカットオフ周波数が70[Hz]であるのに対して、第1フィルタ部10において設定される中央周波数は、36[Hz]である。このように、第3LPF部57のカットオフ周波数を、第1フィルタ部10中央周波数よりも高い周波数に設定することによって、特定周波数(36[Hz])の2倍の周波数における倍音信号の出力や3倍の周波数における倍音信号の出力の抑制を抑えつつ、それ以上の倍数の周波数の倍音信号の出力を段階的に抑制することができる。このため、高域側の倍音信号の信号出力によって生じるおそれのある歪音や異音を効果的に防止することが可能になる。
図22(a)(b)は、増幅部59に入力される倍音信号(増幅処理が行われる前の倍音信号)の周波数特性と、増幅部59で増幅処理が行われた後の倍音信号の周波数数特性とを示す図である。なお、図22(a)は、入力信号が正弦波の場合を示し、図22(b)は、入力信号が音楽信号の場合を示している。図22(a)(b)に示すように、増幅部59により倍音信号の信号レベルが増幅されることが分かる。
また、図23(a)(c)は、増幅部59における増幅値(増幅初期値+補正量)をリニア表示した図であり、図23(b)(d)はデシベル表示した図である。なお、図23(a)(b)は入力信号が正弦波の場合を示し、図23(c)(d)は入力信号が音楽信号の場合を示している。図23(b)(d)のデシベル表示を参照すると、実施の形態1の増幅初期値である61[dB]を基準として、増幅値が、補正量(0[dB]〜8[dB])が加算された値の範囲内、つまり、61[dB]〜69[dB]の範囲で変化している。
ところで、増幅された倍音信号には、図22(a)(b)より明らかなように、特定周波数である36[Hz]に信号出力が含まれている。このため、増幅された倍音信号をそのまま補正信号に加えると、歪みが生じる36[Hz]の信号レベルも増強されてしまい、最終的な出力信号に歪みが発生してしまう。このため、第2フィルタ部62では、特定周波数の倍音信号の出力を遮断するために、第1フィルタ部10で用いた特定周波数のピーキングフィルタの逆特性を備えたフィルタを用いて、特定周波数の信号出力を抑制する。
図24(a)は、第2フィルタ部62に用いられるピーキングフィルタの逆特性のフィルタ特性を示し、このフィルタを増幅された倍音信号に適用することにより特定周波数36[Hz]の出力を抑制した倍音信号を生成することができる。図25(a)(b)は、第2フィルタ部62によりフィルタ処理された倍音信号の周波数特性を示している。なお、図25(a)は入力信号が正弦波の場合を示し、図25(b)は入力信号が音楽信号の場合を示している。図25(a)(b)に示す倍音信号の周波数特性より明らかなように、図22(a)(b)に示す増幅した倍音信号に比べて、フィルタ処理した倍音信号では、36[Hz]の信号出力が抑制されていることが分かる。
このようにして特定周波数の信号出力を抑制しつつ、特定周波数を基準とする倍音信号を生成することにより補完信号を生成する。そして、第1加算部300において、特定周波数の信号レベルが抑制された補正信号に対して、特定周波数の信号出力を抑制した倍音からなる補完信号を加算することにより、特定周波数の信号レベルをスピーカで歪みが生じないレベルまで抑制された信号(歪みの補正が行われた信号)であって、特定周波数の音質を聴感上認識できるように、倍音信号で低域補完が行われた信号が、歪み音補正低域補完装置1より出力信号として出力される。
このため、出力信号は、スピーカの再生時における歪音や異音の発生を補正により抑えることができる。また、補正により抑えられて聴感上薄く感じる帯域(低域)に関しては、特定周波数においては影響のない他の帯域に係る倍音を生成することで十分な補完を行うことが可能となる。また、歪み音補正低域補完装置1では、音源からの入力信号に応じて、歪み補正処理および低域補完処理を行うことができるため、歪みのレベルに応じた補完信号を生成し、違和感のない音を聴取者に知覚させることが可能になる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、歪みが生じる周波数(特定周波数)において音源からの入力信号の信号レベルを低減させると共に、特定周波数を基本とする倍音信号を生成することによって、スピーカからの歪みを抑制しつつ、聴感上、抑制された特定周波数の音を倍音信号で知覚させる方法について説明した。しかしながら、抑制された特定周波数の音を補完する方法は、必ずしも倍音信号だけに限定されるものではなく、倍音信号に対して、さらに1/2倍音信号を付加した新たな倍音信号を生成する方法を用いることも可能である。実施の形態2では、倍音信号と1/2倍音信号とを用いることにより、聴感上の補完を行う場合について説明する。なお、実施の形態2の歪み音補正低域補完装置において、実施の形態1で説明した内容と同様の構成・機能を備える部分については、同一符号を用いて説明を行うと共に、その構成・機能に関する詳細な説明は省略する。
図26(a)は、実施の形態2に係る歪み音補正低域補完装置の概略構成を示すブロック図である。歪み音補正低域補完装置2は、歪み補正部100と、低域補完部210と、第1加算部300とを有する。歪み補正部100および第1加算部300は、実施の形態1において説明した歪み補正部100および第1加算部300と同じ構成・機能を備える。
図27は、低域補完部210の概略構成を示すブロック図である。低域補完部210は、第1HPF部51と、第2LPF部52と、レベル検出信号生成部(レベル検出信号生成手段)53と、第1エッジ検出部(第1エッジ検出手段)54aと、第2乗算部(第1重み付け手段)55と、第1位相反転部(第1位相反転手段)56aと、第3LPF部(ローパスフィルタ手段)57と、第2HPF部(ハイパスフィルタ手段)58と、第1増幅部(第1増幅手段)59aと、第3加算部60と、第4加算部(加算手段)61と、第2フィルタ部(第2フィルタ手段)62と、第2エッジ検出部(第2エッジ検出手段)71と、第3乗算部72(第2重み付け手段)と、第2位相反転部(第2位相反転手段)73と、ピーキングフィルタ部(ピーキングフィルタ手段)74と、第2増幅部(第2増幅手段)75とを備える。
なお、低域補完部210の第1HPF部51と、第2LPF部52と、レベル検出信号生成部53と、第2乗算部55と、第3LPF部57と、第2HPF部58と、第3加算部60と、第4加算部61と、第2フィルタ部62とは、実施の形態1の歪み音補正低域補完装置1における低域補完部200の各機能部と同じである。また、第1エッジ検出部54aは、実施の形態1のエッジ検出部54に該当し、第1位相反転部56aは、実施の形態1の位相反転部56に該当し、第1増幅部59aは、実施の形態1の増幅部59に該当する。これらの機能部については、既に説明したので詳細な説明を省略する。さらに、第3乗算部72は、第2乗算部55と同じ構成であって、同一の機能を有し、また第2位相反転部73および第2増幅部75も、位相反転部56および増幅部59と同一構成であって、同一の機能を有するものであるため、説明を省略する。
第2エッジ検出部71は、入力された低域用補正帯域抽出信号において、信号値が負側から正側に変わる位置(タイミング)を検出し、検出された位置(タイミング)において、1パルスずつ間引いた信号からなるインパルス列を生成する。ここで、インパルス列の振幅は1に設定され、生成されたインパルス列を、1/2倍音信号と呼ぶ。つまり、1/2倍音信号は、第1エッジ検出部54aから出力されるインパルス列(倍音)から1パルスずつ間引かれた信号となる。1パルスずつ間引くことによって、1/2倍音信号は周期が2倍となり、周波数が半分となる。
図28(a)は、レベル検出信号生成部53より出力されるレベル検出信号と、倍音信号とを示す図であり、図28(b)は、レベル検出信号生成部53より出力されるレベル検出信号と、1/2倍音信号とを示す図である。図28(a)(b)より明らかなように、倍音信号のインパルス列に対して、1/2倍音信号のインパルス列は、1パルスずつ間引きが行われた状態となっている。
ピーキングフィルタ部74は、生成した1/2倍音信号に対する帯域制限を施すフィルタである。図24(b)に、ピーキングフィルタ部74のフィルタ特性の一例を示す。なお、実施の形態2では、音源信号として100[Hz]の正弦波が用いられる場合を一例として用いる。また、歪み音補正低域補完装置2の歪み補正部100では、図29(a)に示す表3に基づいて各機能部の設定が行われ、低域補完部210では、図29(b)に示す表4に基づいて各機能部の設定が行われる。さらに、実施の形態2では、特定周波数を100[Hz]に設定する。このため、ピーキングフィルタ部74では、図24(b)より明らかなように、特定周波数である100[Hz]の1/2の周波数である50[Hz]を中心周波数(カットオフ周波数)に設定している。
図30(a)〜(c)は、歪み音補正低域補完装置2における入力信号(図30(a))と、補正信号(図30(b))と、補正帯域抽出信号(図30(c))とを示している。実施の形態2における特定信号レベルも−8[dB]に設定されており、図30(a)〜(c)においても、入力信号の振幅を1として、補正信号の最大振幅値が約0.4の場合が示されており、補正量の−8[dB]に対応する信号出力だけ補正信号が減衰している状態が示されている。
第2増幅部75では、ピーキングフィルタ部74において帯域制限された1/2倍音信号に対して増幅処理を行う。第2増幅部75における増幅処理は第1増幅部59aと同じ処理が行われ、増幅初期値に歪み補正部100より入力される補正量を加えた値に基づいて増幅されることになる。なお、第1増幅部59aにおける増幅初期値と、第2増幅部75における増幅初期値とは、図29(b)の表4に示すように値が異なる。
実施の形態2では、特定周波数を100[Hz]としているため、倍音信号により補完を行う低域の周波数も100[Hz]である。このため、倍音信号の増幅を行う第1増幅部59aの増幅初期値は、20log10(100[Hz]/44100[Hz])=−52.8888[dB]となり、約53[dB]が増幅初期値として設定される。1/2倍音信号により補完を行う低域の周波数は、100[Hz]の1/2の50[Hz]である。このため、1/2倍音信号の増幅を行う第2増幅部75の増幅初期値は、20log10(50[Hz]/44100[Hz])=−58.9094[dB]となり、約59[dB]が増幅初期値として設定される。第3加算部60では、53[dB]の値に歪み補正部100より入力される補正量を加えた値を第1増幅部59a用の増幅値(第1増幅値)として、第1増幅部59aへ出力し、59[dB]の値に歪み補正部100より入力される補正量を加えた値を第2増幅部75用の増幅値(第2増幅値)として、第2増幅部75へ出力する。図31(a)に、第2増幅値に基づいて第2増幅部75で増幅された1/2倍音信号の周波数特性と、入力信号(100[Hz]の正弦波)の周波数特性とを示す。
第2フィルタ部62では、第4加算部61において加算された信号に対して、特定周波数(100[Hz])を除去した倍音および1/2倍音の信号を補完信号として出力する。第2フィルタ部62は、第1フィルタ部10のピーキングフィルタの逆特性を有するフィルタであり、特定周波数以外の信号の通過を許容するフィルタである。実施の形態2における第2フィルタ部62のフィルタ特性を図31(b)に示し、第2フィルタ部62を通過した後の補完信号を図26(b)に示す。図26(b)から明らかなように、補完信号では、100[Hz](実施の形態2の特定周波数)周辺の信号出力が抑制されている。なお、50[Hz]の出力信号が1/2倍音に該当し、200[Hz],300[Hz],400[Hz]・・・に示される出力信号が倍音に該当する。
このようにして低域補完部210において生成された補完信号と歪み補正部100において生成された補正信号とを加算して出力信号を生成し、スピーカより出力することにより、スピーカで歪みが生じる特定周波数(実施の形態2では100[Hz])の信号レベルを歪みが生じないレベルまで低減させることができ、さらに、低減された特定周波数の音を、1/2倍音信号と倍音信号とによって補完することができる。このため、生成される出力信号は、聴感上、音質の劣化等を知感させることなく良質の音を出力することが可能となり、さらに、出力信号に1/2倍音信号が付加されるので、倍音信号だけが付加される場合よりもより良い音質での出力が可能となる。
[補正帯域の設定について]
以上、実施の形態1および実施の形態2において、スピーカで歪みの生じ得る周波数を特定周波数として、この特定周波数の信号出力を抑制すると共にその音を補完する方法について説明を行った。
この特定周波数は、スピーカで歪みが生じ得る帯域であるため、スピーカに応じてその帯域を変更する必要が生じる。また、車室内に設けられたスピーカの振動がスピーカ周辺部品や車室内の部品などに伝わり、共振して異音が発生する可能性がある。図32(a)(b)は、それぞれ、入力信号として50[Hz]および60[Hz]の正弦波を用い、歪み補正処理や低域補完処理を行うことなくスピーカより出力された音をマイクで集音した結果を示す周波数特性である。図32(a)(b)では、スピーカの振動に周辺部分が共振して異音が発生しているため、中高域にかけて強い成分の信号出力が生じていることを確認できる。
一方で、図33(a)(b)は、図32(a)(b)に対して入力信号の信号レベルを低減させた場合の周波数特性を示している。図33(a)(b)より明らかなように、入力信号の信号レベルを低くすることにより、異音の発生を抑えることが可能となる。特に、図33(a)(b)では、図32(a)(b)に示される共振が発生していた中高域成分の異音が効果的に抑制されている。このように、スピーカの特性だけでなく、車両の構造などによっても異音や歪音の発生するため、歪音や異音が発生する帯域を求めて歪み補正処理・低域補完処理を行う必要がある。
図34は、2つの特定周波数に対して歪み補正処理・低域補完処理を行う歪み音補正低域補完装置3の概略構成を一例として示すブロック図である。歪み音補正低域補完装置3は、歪み補正部130と、低域補完部230と、第1加算部300とを備える。2つの周波数帯域で異音や歪音が生じる場合には、それぞれの特定周波数の信号レベルを抑制して歪音・異音の発生を抑制し、さらに、それぞれの特定周波数を基本とする倍音信号等を用いて聴感上の音質補完を行う必要が生じる。このため、歪み補正部130では、それぞれの帯域に応じて特定周波数の信号レベルを抑制する機能部が必要になり、低域補完部230では、それぞれの帯域に基づいて倍音信号を生成する必要が生じる。
図34において、歪み補正部130の内部に示される[A]と[B]との機能ブロックは、それぞれの特定周波数に応じて信号出力の抑制を行う機能部を示している。[A]は、一方の特定周波数の歪み補正処理を行う歪み補正部としての機能部を示し、[B]は、他方の特定周波数の歪み補正処理を行う歪み補正部としての機能部を示している。また、低域補完部230の内部に示される[A]の機能ブロックは、一方の特定周波数に基づいて倍音信号の生成を行う機能部を示し、[B]の機能ブロックは、他方の特定周波数に基づいて倍音信号の生成を行う機能部を示している。
ただし、2つの帯域の補正・補完処理を行う場合であっても、補完を行う特定周波数は低域の帯域であることが望ましい。150[Hz]〜200[Hz]以上の帯域を特定周波数に設定すると、補完信号となる倍音信号によって、異音が発生する可能性が生じる。例えば、特定周波数が500[Hz]の場合に、この500[Hz]に基づいて生成される倍音は、1[kHz]、1.5[kHz]、2[kHz]・・・となり、高域の倍音が生成されるため、出力される出力信号において異音が発生するおそれがある。
また、歪み補正部130における補正処理が、[A]と[B]とで示されるように、2帯域必要となるため、低域補完部230における補完処理(倍音生成処理)に必要とされる信号が4信号([A]および[B]の歪み補正部130における2つの補正帯域抽出信号(補正帯域抽出信号A、補正帯域抽出信号B)と、2つの制御信号(制御信号A、制御信号B))となる。
さらに、低域補完部230で生成される倍音信号も2帯域分生成されるため、補完信号も2つ(補完信号A、補完信号B)生成される。このため、歪み音補正低域補完装置3では、2つの補完信号を加算するための第5加算部81が設けられる。さらに、第5加算部81において補完信号Aと補完信号Bとが加算された信号は、それぞれの特定周波数の信号が含まれるため、そのまま第1加算部300で補正信号に加算されると出力信号が歪むおそれがある。このため、歪み音補正低域補完装置3では、第3フィルタ部82が設けられており、補完信号Aと補完信号Bとが加算された信号から、それぞれの特定周波数の成分を除去するフィルタ処理を行う。つまり、[A]と[B]とで示される2つ周波数帯域の信号出力が、それぞれ除去される。
なお、第3フィルタ部82を第5加算部81の上流側に設置することも可能であるが、その場合には、補完信号Aの特定周波数の信号出力を除去するためのフィルタ部と、補完信号Bの特定周波数の信号出力を除去するためのフィルタ部とをそれぞれ別々に設置してフィルタ処理を行う必要が生じるので、処理が重複し処理負担が増えることになる。このため重複した処理を防ぎ処理負担の軽減を図ることを考えると、第3フィルタ部82を第5加算部81の下流側に設置することが好ましい。
また、第3フィルタ部82を第5加算部81の上流側に設置すると、[A]の特定周波数と、[B]の特定周波数との関係によっては、補完信号Aの特定周波数の信号出力を除去するフィルタ処理と、補完信号Bの特定周波数の信号出力を除去するフィルタ処理とをそれぞれ別々に行っても、第5加算部81の加算処理後に、除去すべき特定周波数の信号が残ってしまうおそれがある。
例えば、[A]の特定周波数が40[Hz]付近であり、[B]の特定周波数が80[Hz]付近であるとする。この場合、補完信号Aの倍音の周波数は、40[Hz],80[Hz],120[Hz]・・・であり、補完信号Bの倍音の周波数は、80[Hz],160[Hz],240[Hz]・・・である。一方の第3フィルタ部82で、補完信号Aの特定周波数である40[Hz]の信号出力を除去し、他方の第3フィルタ部82で、補完信号Bの特定周波数である80[Hz]の信号出力を除去すると、補完信号Aにおける40[Hz]の信号出力と、補完信号Bにおける80[Hz]の信号出力とは除去されるが、補完信号Aには、補完信号Bの特定周波数である80[Hz]の信号出力が含まれたままとなる。このような状態で、第5加算部81でそれぞれの信号が合成されると、合成された信号の中に、補完信号Bの特定周波数である80[Hz]の信号出力が含まれたままとなる。
従って、80[Hz]の信号出力が含まれた信号(補完信号)を第1加算部300で補正信号に加算すると、出力信号がスピーカから出力される際に、80[Hz]の信号出力に基づいて歪みが発生するおそれがある。このような特定周波数における信号レベルの抑制処理(補正処理)を、より効果的かつ簡単に行うために、第3フィルタ部82は、第5加算部81の下流側に設置することが望ましい。
以上、本発明に係る歪み音補正補完装置について、実施の形態1および実施の形態2を一例として示し説明を行ったが、本発明に係る歪み音補正補完装置は、上述した実施の形態1および実施の形態2には限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものである。
例えば、実施の形態1では、補正を行う周波数(特定周波数)が36[Hz]の場合について説明を行い、実施の形態2では、特定周波数が100[Hz]の場合について説明を行った。しかしながら、特定周波数は、スピーカの歪みが生じる帯域に基づいて決定されるものであるため、出力信号が出力されるスピーカに応じて特定周波数を変更する必要がある。
また、特定周波数をスピーカの歪みの生じる帯域に基づいて決定したとしても、その特定周波数においてどの程度ゲインを抑制するかを歪みの大きさなどに基づいて決定する必要がある。実施の形態1および実施の形態2では、低減させるゲイン(特定信号レベル)を−8[dB]に設定したが、このゲインの設定も、歪みを大きく低減させたい場合には、設定値をマイナス方向に大きくして設定を行い、歪みが少し残っても音質に厚みを持たせたい場合には、設定値をマイナス方向に小さくして設定することが望ましい。
さらに、歪み補正部100の信号レベル検出部20において設定される最大値検出部21の最大値検出値および最大値ホールド部22の最大値ホールド値は、図7(a)、図29(a)に示す値には限定されず、設定値をレベル検出の目的に応じて調整することが可能である。しかしながら、値を大きく設定しすぎると、信号のレベル変動に対応することができなくなるおそれもあるため、値をレベル変動に対応できる程度の値に設定することが望まれる。さらに、設定値が小さすぎると、信号レベル検出部20における演算処理に負担を掛けすぎるため、装置の演算処理能力に応じて適宜調節を行う必要がある。
また、補正ゲイン計算部30のアタックリリースフィルタ部31におけるアタックリリースフィルタは、信号のレベル変動に応じて補正量(補正の程度)を制御するためのパラメータである。このため、緩やかに補正を行う場合には、アタック時間またはリリース時間の一方、あるいは両方を長く設定することが望ましい。素早く補正を行う場合(補正を迅速に行う場合)には、アタック時間またはリリース時間の一方、あるいは両方を短く設定することが望ましい。
例えば、音源からの入力信号が音楽信号の場合には、アタック時間を短く設定し、リリース時間を長く設定することが望ましい。また、補正を行う周波数(特定周波数)の入力信号において信号レベルの変動量が大きい場合には、入力信号の信号レベルが、補正を行うために設定されたゲイン(特定周波数において抑制する信号レベルのゲインであって、実施の形態1、2では−8[dB]がこのゲインに該当する)以上の場合には、アタック時間を短く設定することにより、信号レベル変動に素早く対応することが可能である。一方で、リリース時間を長く設定することによって、信号レベル変動に対して緩やかに制御を行うことが可能となり、聴感上違和感のない制御を行うことが可能になる。
また、低域補完部200、210において説明した第1HPF部51と第2LPF部52とのカットオフ周波数は、歪み補正部100の第1フィルタ部10において設定される中心周波数の値、つまり、特定周波数の値に設定する。第1HPF部51と第2LPF部52は、倍音を生成するための信号を抽出する役割を有する。従って、倍音信号により聴感上感じられる特定周波数の音質をより効果的に発現させるために、第1HPF部51と第2LPF部52とのカットオフ周波数は、特定周波数の値に設定する必要が生じる。例えば、実施の形態1では、第1HPF部51および第2LPF部52のカットオフ周波数として、特定周波数に該当する36[Hz]が設定され、実施の形態2では、第1HPF部51および第2LPF部52のカットオフ周波数として、特定周波数に該当する100[Hz]が設定される。
一方で、低域補完部200、210における第3LPF部57および第2HPF部58は、倍音信号に対する帯域制限フィルタである。このため、第3LPF部57および第2HPF部58のカットオフ周波数は、倍音の効果を低減させることなくより効果的になるように設定する必要がある。
一般的に、第3LPF部57のカットオフ周波数は、第2LPF部52のカットオフ周波数よりも大きな値に設定する。実施の形態1では、約2倍、実施の形態2では、約1.3倍に設定している。例えば、倍音信号を生成する場合、2倍の周波数の倍音はその効果をはっきりさせるために信号レベルを強くしておくことが望ましいが、3倍よりも大きな周波数の倍音は、信号レベルが強いと、却って異音として聞こえてしまうおそれがある。このため、第3LPF部57のカットオフ周波数を、第2LPF部52のカットオフ周波数よりも大きな値に設定することにより、2倍の倍音に比べて3倍の倍音、3倍の倍音に比べて4倍の倍音と、高域になるに従って倍音信号の信号レベルを段階的に抑制することができ、異音の発生を抑えることが可能になる。
また、第2HPF部58のカットオフ周波数は、第1HPF部51のカットオフ周波数と同じ値か、それよりも大きい値に設定する。第2HPF部58のカットオフ周波数を第1HPF部51のカットオフ周波数と同じ値か、それよりも大きい値に設定することにより、特定周波数よりも高い倍音信号の信号レベルを許容し、倍音信号の効果をより確実にすることが可能となる。
さらに、低域補完部200、210における増幅部59、第1増幅部59aおよび第2増幅部75における増幅初期値は、補正したい周波数(特定周波数)によって決定される。既に説明したように、増幅初期値は、
増幅初期値[dB]
=20log10(特定周波数[Hz]/サンプリング周波数[Hz])
によって決定される。この式で求められた増幅初期値に対して歪み補正部100において求められた補正量を加算し、倍音信号を増幅することによって、聴感上違和感のない補完信号を生成することが可能となる。
また、実施の形態1および実施の形態2の低域補完部200、210では、入力された補正帯域抽出信号を第1HPF部51と第2LPF部52とで高域信号と低域信号とに分割し、分割された低域信号に基づいて倍音信号を生成して、第4加算部61で倍音信号を高域信号に合成する処理を行う。ここで、低域補完部200、210に入力される補正帯域抽出信号は、既に第1フィルタ部10のピーキングフィルタによって、特定周波数の抽出が行われた信号に基づいて生成される信号であり、さらに上述したように、第1HPF部51と第2LPF部52のカットオフ周波数は、第1フィルタ部10のピーキングフィルタの中心周波数と同じ周波数である。
しかしながら、実施の形態1において用いた第1フィルタ部10のピーキングフィルタのフィルタ特性(図8(b)参照)と、第1HPF部51および第2LPF部52のフィルタ特性(図17(a)参照)とは異なっている。具体的には、第1フィルタ部10のピーキングフィルタを通過した信号では、第1HPF部51および第2LPF部52を通過した信号に比べて、中域成分が多少含まれた信号となる。このため、例えば、第1HPF部51、第2LPF部52および第4加算部61を省略して構成の簡略化を図り、低域補完部200へ入力された補正帯域抽出信号をそのまま用いて倍音信号を生成した場合には、倍音信号に異音が含まれるおそれが生じる。
一方で、例えば、第1フィルタ部10を通過した信号に中域成分が含まれないようにピーキングフィルタのフィルタ特性を変更・調整したり、生成された倍音信号の帯域を調整する第3LPF部57や第2HPF部58のフィルタ特性を変更・調整することにより、補正帯域抽出信号をそのまま用いて生成された倍音信号を、第4加算部61で加算された信号(補正帯域抽出信号の高域成分と、低域成分により生成された倍音信号とが、加算された信号)と共通した特性にすることも可能である。
このため、第1フィルタ部10、あるいは第3LPF部57、第2HPF部58のフィルタ特性を変更・調整することにより、図35に示すように、図6の構成から、第1HPF部51と、第2LPF部52と、第4加算部61とを省略することにより構成の簡略化を図ることが可能になる。さらに、このようにして構成の簡略化が図られた場合であっても、第1フィルタ部10、あるいは第3LPF部57、第2HPF部58のフィルタ特性を変更・調整することにより、入力される補正帯域抽出信号をそのまま用いて生成される倍音信号によって生成された補完信号から、実施の形態1および実施の形態2と同様に、歪音の発生を抑制し、聴感上違和感のない出力信号を生成することが可能である。
1、2、3 …歪み音補正低域補完装置(歪み音補正補完装置)
10 …第1フィルタ部(第1フィルタ手段)
20 …信号レベル検出部(信号レベル検出手段)
21 …最大値検出部
22 …最大値ホールド部
30 …補正ゲイン計算部
31 …アタックリリースフィルタ部
32 …第1ルックアップテーブル部(第1ルックアップテーブル手段)
33 …第1LPF部
34 …第2ルックアップテーブル部(第2ルックアップテーブル手段)
40 …ゲイン設定部
41 …第1乗算部(補正帯域抽出信号生成手段)
42 …第2加算部(補正信号生成手段)
51 …第1HPF部
52 …第2LPF部
53 …レベル検出信号生成部(レベル検出信号生成手段)
54 …エッジ検出部(第1エッジ検出手段)
54a …第1エッジ検出部(第1エッジ検出手段)
55 …第2乗算部(第1重み付け手段)
56 …位相反転部(第1位相反転手段)
56a …第1位相反転部(第1位相反転手段)
57 …第3LPF部(ローパスフィルタ手段)
58 …第2HPF部(ハイパスフィルタ手段)
59 …増幅部(第1増幅手段)
59a …第1増幅部(第1増幅手段)
60 …第3加算部
61 …第4加算部(加算手段)
62 …第2フィルタ部(第2フィルタ手段)
71 …第2エッジ検出部(第2エッジ検出手段)
72 …第3乗算部(第2重み付け手段)
73 …第2位相反転部(第2位相反転手段)
74 …ピーキングフィルタ部(ピーキングフィルタ手段)
75 …第2増幅部(第2増幅手段)
81 …第5加算部
82 …第3フィルタ部
100、130 …歪み補正部
200、210、230 …低域補完部
300 …第1加算部(出力信号生成手段)

Claims (12)

  1. 出力信号が出力されるスピーカにおいて歪みが発生する周波数を特定周波数とし、前記スピーカより出力される前記出力信号が前記特定周波数において歪みを生じない最大の信号レベルを特定信号レベルとして、
    前記特定周波数を中央周波数とするピーキングフィルタを用いて、入力信号にフィルタ処理を行うことにより、補正帯域信号を生成する第1フィルタ手段と、
    該補正帯域信号の振幅の絶対値を算出して最大値検出を行うことにより前記補正帯域信号の信号レベル検出を行う信号レベル検出手段と、
    該信号レベル検出手段により検出された信号レベルに基づいて、当該検出された信号レベルに対して前記特定信号レベルを超えた信号レベルの割合を制御信号の値として決定する第1ルックアップテーブル手段と、
    前記信号レベル検出手段により検出された信号レベルに基づいて、前記特定周波数に基づいて生成される倍音信号を増幅するための補正量を決定する第2ルックアップテーブル手段と、
    前記補正帯域信号に対して前記制御信号を乗算することにより、補正帯域抽出信号を生成する補正帯域抽出信号生成手段と、
    前記入力信号より前記補正帯域抽出信号を減算することにより、補正信号を生成する補正信号生成手段と、
    前記補正帯域抽出信号の絶対値を算出してDC成分をカットすることにより、レベル検出信号を生成するレベル検出信号生成手段と、
    前記補正帯域抽出信号が負側から正側へと変わるタイミングを検出することにより振幅が1となるインパルス列を前記倍音信号として生成する第1エッジ検出手段と、
    前記倍音信号に前記レベル検出信号を乗算することにより、当該倍音信号の重み付けを行う第1重み付け手段と、
    前記第1重み付け手段により重み付けが行われた倍音信号の位相反転を行う第1位相反転手段と、
    該第1位相反転手段により位相反転された倍音信号に対して、ローパスフィルタを用いてフィルタ処理を行うことにより、前記倍音信号の高域側の信号レベルを抑制するローパスフィルタ手段と、
    該ローパスフィルタ手段によりフィルタ処理された倍音信号の低域側の信号レベルを抑制するハイパスフィルタ手段と、
    前記入力信号に基づいて決定される増幅初期値に前記補正量を加算して求められるゲインを、前記ハイパスフィルタ手段によりフィルタ処理された倍音信号に対して乗算することにより、当該倍音信号の増幅を行う第1増幅手段と、
    該第1増幅手段により増幅された倍音信号に対して、前記第1フィルタ手段で用いられる前記ピーキングフィルタの逆特性を有するフィルタを用いてフィルタ処理を行うことにより、増幅された前記倍音信号における前記特定周波数の信号レベルを抑制して補完信号を生成する第2フィルタ手段と、
    該補完信号を前記補正信号に加算することにより出力信号を生成する出力信号生成手段と
    を備えることを特徴とする歪み音補正補完装置。
  2. 前記ローパスフィルタ手段において用いられる前記ローパスフィルタのカットオフ周波数は、前記第1フィルタ手段において用いられる前記ピーキングフィルタの中央周波数よりも高い周波数に設定されること
    を特徴とする請求項1に記載の歪み音補正補完装置。
  3. 前記増幅初期値は、前記入力信号のサンプリング周波数と前記特定周波数とに基づいて、
    増幅初期値[dB]
    =20log10(特定周波数[Hz]/サンプリング周波数[Hz])
    により決定されること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の歪み音補正補完装置。
  4. 前記第1ルックアップテーブル手段において決定される制御信号の値は、検出された信号レベルに対して前記特定信号レベルを超えた信号レベルの割合を示すゲイン係数であって、前記特定信号レベル以下の場合には、ゲイン係数が0に決定され、前記特定信号レベルを超えた場合には、検出された前記信号レベルの増加量に応じてゲイン係数が0より大きい値であって1より小さい値に決定されること
    を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の歪み音補正補完装置。
  5. 前記第2ルックアップテーブル手段において決定される前記補正量は、
    前記補正帯域信号の信号レベルが前記特定信号レベル以下の場合には0の値となり、
    前記補正帯域信号の信号レベルが前記特定信号レベルを超えた場合には、前記補正帯域信号の信号レベルから前記特定信号レベルまでの信号レベルの差の値に基づいて決定されること
    を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の歪み音補正補完装置。
  6. 前記補正帯域抽出信号が負側から正側へと変わるタイミングを検出することにより生成されるインパルス列から1パルス毎に間引きを行った振幅が1となる信号を1/2倍音信号として生成する第2エッジ検出手段と、
    該1/2倍音信号に前記レベル検出信号を乗算することにより前記1/2倍音信号の重み付けを行う第2重み付け手段と、
    該第2重み付け手段により重み付けが行われた1/2倍音信号の位相反転を行う第2位相反転手段と、
    該第2位相反転手段により位相反転された1/2倍音信号に対して、前記特定周波数の半分の周波数を中心周波数とするピーキングフィルタを用いてフィルタ処理を行うピーキングフィルタ手段と、
    20log10(特定周波数[Hz]/2×入力信号のサンプリング周波数[Hz])により求められる1/2倍音用増幅初期値に前記補正量を加算することにより求められるゲインを、前記ピーキングフィルタ手段によりフィルタ処理された1/2倍音信号に対して乗算することにより、当該1/2倍音信号の増幅を行う第2増幅手段と、
    前記第1増幅手段により増幅処理された倍音信号と、前記第2増幅手段により増幅処理された1/2倍音信号とを加算することにより新たな倍音信号を生成する加算手段と、
    を備え、
    前記第2フィルタ手段は、前記加算手段により生成された新たな倍音信号に対して、前記第1フィルタ手段で用いられる前記ピーキングフィルタの逆特性を有するフィルタを用いてフィルタ処理を行うことにより、前記新たな倍音信号における前記特定周波数の信号レベルを抑制して補完信号を生成し、
    前記出力信号生成手段は、該補完信号を前記補正信号に加算することにより出力信号を生成すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の歪み音補正補完装置。
  7. 出力信号が出力されるスピーカにおいて歪みが発生する周波数を特定周波数とし、前記スピーカより出力される前記出力信号が前記特定周波数において歪みを生じない最大の信号レベルを特定信号レベルとして、
    前記特定周波数を中央周波数とするピーキングフィルタを用いて、入力信号のフィルタ処理を行うことにより、第1フィルタ手段が補正帯域信号を生成する補正帯域信号生成ステップと、
    該補正帯域信号の振幅の絶対値を算出して最大値検出を行うことにより、信号レベル検出手段が前記補正帯域信号の信号レベル検出を行う信号レベル検出ステップと、
    該信号レベル検出ステップにおいて検出された信号レベルに基づいて、第1ルックアップテーブル手段が、検出された前記信号レベルに対して前記特定信号レベルを超えた信号レベルの割合を制御信号の値として決定する制御信号決定ステップと、
    前記信号レベル検出ステップにおいて検出された信号レベルに基づいて、第2ルックアップテーブル手段が、前記特定周波数に基づいて生成される倍音信号を増幅するための補正量を決定する補正量決定ステップと、
    前記補正帯域信号に対して前記制御信号を乗算することにより、補正帯域抽出信号生成手段が補正帯域抽出信号を生成する補正帯域抽出信号生成ステップと、
    前記入力信号より前記補正帯域抽出信号を減算することにより、補正信号生成手段が補正信号を生成する補正信号生成ステップと、
    前記補正帯域抽出信号の絶対値を算出してDC成分をカットすることにより、レベル検出信号生成手段がレベル検出信号を生成するレベル検出信号生成ステップと、
    前記補正帯域抽出信号が負側から正側へと変わるタイミングを検出することにより、第1エッジ検出手段が振幅を1とするインパルス列を前記倍音信号として生成する倍音信号生成ステップと、
    前記倍音信号に前記レベル検出信号を乗算することにより、第1重み付け手段が前記倍音信号の重み付けを行う第1重み付けステップと、
    第1位相反転手段が、前記第1重み付けステップにおいて重み付けが行われた倍音信号の位相反転を行う第1位相反転ステップと、
    該第1位相反転ステップにおいて位相反転された倍音信号に対して、ローパスフィルタを用いてフィルタ処理を行うことにより、ローパスフィルタ手段が前記倍音信号の高域側の信号レベルを抑制するローパスフィルタ処理ステップと、
    ハイパスフィルタ手段が、前記ローパスフィルタ処理ステップにおいてフィルタ処理された倍音信号の低域側の信号レベルを抑制するハイパスフィルタ処理ステップと、
    前記入力信号に基づいて決定される増幅初期値に前記補正量を加算して求められるゲインを、前記ハイパスフィルタ処理ステップにおいてフィルタ処理された倍音信号に対して乗算することにより、第1増幅手段が当該倍音信号の増幅を行う第1増幅ステップと、
    該第1増幅ステップにおいて増幅された倍音信号に対して、前記補正帯域信号生成ステップにおいて用いられる前記ピーキングフィルタの逆特性を有するフィルタを用いてフィルタ処理を行うことにより、第2フィルタ手段が増幅された前記倍音信号における前記特定周波数の信号レベルを抑制して補完信号を生成する補完信号生成ステップと、
    該補完信号を前記補正信号に加算することにより、出力信号生成手段が出力信号を生成する出力信号生成ステップと
    を備えることを特徴とする歪み音補正補完装置の歪み音補正補完方法。
  8. 前記ローパスフィルタ処理ステップにおいて用いられる前記ローパスフィルタのカットオフ周波数は、前記補正帯域信号生成ステップにおいて用いられる前記ピーキングフィルタの中央周波数よりも高い周波数に設定されること
    を特徴とする請求項7に記載の歪み音補正補完装置の歪み音補正補完方法。
  9. 前記増幅初期値は、前記入力信号のサンプリング周波数と前記特定周波数とに基づいて、
    増幅初期値[dB]
    =20log10(特定周波数[Hz]/サンプリング周波数[Hz])
    により決定されること
    を特徴とする請求項7又は請求項8に記載の歪み音補正補完装置の歪み音補正補完方法。
  10. 前記制御信号決定ステップにおいて決定される制御信号の値は、検出された信号レベルに対して前記特定信号レベルを超えた信号レベルの割合を示すゲイン係数であって、前記特定信号レベル以下の場合には、ゲイン係数が0に決定され、前記特定信号レベルを超えた場合には、検出された前記信号レベルの増加量に応じてゲイン係数が0より大きい値であって1より小さい値に決定されること
    を特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の歪み音補正補完装置の歪み音補正補完方法。
  11. 前記補正量決定ステップにおいて決定される前記補正量は、前記補正帯域信号の信号レベルが前記特定信号レベル以下の場合には0の値となり、
    前記補正帯域信号の信号レベルが前記特定信号レベルを超えた場合には、前記補正帯域信号の信号レベルから前記特定信号レベルまでの信号レベルの差の値に基づいて決定されること
    を特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の歪み音補正補完装置の歪み音補正補完方法。
  12. 前記補正帯域抽出信号が負側から正側へと変わるタイミングを検出することにより生成されるインパルス列から1パルス毎に間引きを行った振幅が1となる信号を、第2エッジ検出手段が1/2倍音信号として生成する1/2倍音信号生成ステップと、
    第2重み付け手段が、前記1/2倍音信号に前記レベル検出信号を乗算することにより、前記1/2倍音信号の重み付けを行う第2重み付けステップと、
    該第2重み付けステップにおいて重み付けが行われた1/2倍音信号の位相反転を、第2位相反転手段が行う第2位相反転ステップと、
    該第2位相反転ステップにおいて位相反転された1/2倍音信号に対して、ピーキングフィルタ手段が、前記特定周波数の半分の周波数を中心周波数とするピーキングフィルタを用いてフィルタ処理を行うピーキングフィルタ処理ステップと、
    20log10(特定周波数[Hz]/2×入力信号のサンプリング周波数[Hz])により求められる1/2倍音用増幅初期値に前記補正量を加算することにより求められるゲインを、前記ピーキングフィルタ処理ステップにおいてフィルタ処理された1/2倍音信号に対して乗算することにより、第2増幅手段が当該1/2倍音信号の増幅を行う第2増幅ステップと、
    前記第1増幅ステップにおいて増幅処理された倍音信号と、前記第2増幅ステップにおいて増幅処理された1/2倍音信号とを加算することにより、加算手段が新たな倍音信号を生成する加算ステップと、
    を備え、
    前記補完信号生成ステップにおいて、前記第2フィルタ手段は、前記加算手段により生成された新たな倍音信号に対して、前記補正帯域信号生成ステップにおいて用いられる前記ピーキングフィルタの逆特性を有するフィルタを用いてフィルタ処理を行うことにより、前記新たな倍音信号における前記特定周波数の信号レベルを抑制して補完信号を生成し、
    前記出力信号生成ステップにおいて、前記出力信号生成手段は、該補完信号を前記補正信号に加算することにより出力信号を生成すること
    を特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載の歪み音補正補完装置の歪み音補正補完方法。
JP2012264764A 2012-12-03 2012-12-03 歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法 Active JP6063230B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012264764A JP6063230B2 (ja) 2012-12-03 2012-12-03 歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法
US14/647,125 US9380386B2 (en) 2012-12-03 2013-11-18 Distortion sound correction complement device and distortion sound correction complement method
EP13859997.2A EP2916564B1 (en) 2012-12-03 2013-11-18 Device and method for correcting and compensating for distorted sound
CN201380063305.0A CN104823460B (zh) 2012-12-03 2013-11-18 失真声音校正补充装置和失真声音校正补充方法
PCT/JP2013/081076 WO2014087833A1 (ja) 2012-12-03 2013-11-18 歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012264764A JP6063230B2 (ja) 2012-12-03 2012-12-03 歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014110567A JP2014110567A (ja) 2014-06-12
JP6063230B2 true JP6063230B2 (ja) 2017-01-18

Family

ID=50883258

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012264764A Active JP6063230B2 (ja) 2012-12-03 2012-12-03 歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US9380386B2 (ja)
EP (1) EP2916564B1 (ja)
JP (1) JP6063230B2 (ja)
CN (1) CN104823460B (ja)
WO (1) WO2014087833A1 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102423753B1 (ko) * 2015-08-20 2022-07-21 삼성전자주식회사 스피커 위치 정보에 기초하여, 오디오 신호를 처리하는 방법 및 장치
US9917565B2 (en) * 2015-10-20 2018-03-13 Bose Corporation System and method for distortion limiting
JP6730580B2 (ja) * 2016-01-06 2020-07-29 株式会社Jvcケンウッド 帯域拡張装置および帯域拡張方法
US10397700B2 (en) 2016-05-31 2019-08-27 Avago Technologies International Sales Pte. Limited System and method for loudspeaker protection
US10483931B2 (en) * 2017-03-23 2019-11-19 Yamaha Corporation Audio device, speaker device, and audio signal processing method
US10225654B1 (en) * 2017-09-07 2019-03-05 Cirrus Logic, Inc. Speaker distortion reduction
CN112532208B (zh) * 2019-09-18 2024-04-05 惠州迪芬尼声学科技股份有限公司 谐波发生器及用于生成谐波的方法
JP7474130B2 (ja) 2019-09-27 2024-04-24 株式会社コーエーテクモゲームス プログラム、情報処理方法、及び情報処理装置
EP3840404B8 (en) * 2019-12-19 2023-11-01 Steelseries France A method for audio rendering by an apparatus
US11540052B1 (en) * 2021-11-09 2022-12-27 Lenovo (United States) Inc. Audio component adjustment based on location
DE102021129623A1 (de) * 2021-11-12 2023-05-17 Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft System zum filtern eines audiosignals

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001224100A (ja) 2000-02-14 2001-08-17 Pioneer Electronic Corp 自動音場補正システム及び音場補正方法
JP4303026B2 (ja) * 2003-04-17 2009-07-29 パナソニック株式会社 音響信号処理装置及びその方法
EP1473965A2 (en) 2003-04-17 2004-11-03 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Acoustic signal-processing apparatus and method
JP2009044268A (ja) * 2007-08-06 2009-02-26 Sharp Corp 音声信号処理装置、音声信号処理方法、音声信号処理プログラム、及び、記録媒体
JP5018339B2 (ja) * 2007-08-23 2012-09-05 ソニー株式会社 信号処理装置、信号処理方法、プログラム
JP5268581B2 (ja) * 2008-11-17 2013-08-21 クラリオン株式会社 低域補完装置
US8532803B2 (en) * 2009-03-06 2013-09-10 Lg Electronics Inc. Apparatus for processing an audio signal and method thereof

Also Published As

Publication number Publication date
EP2916564A1 (en) 2015-09-09
EP2916564B1 (en) 2018-05-16
CN104823460B (zh) 2017-11-28
US20150304775A1 (en) 2015-10-22
US9380386B2 (en) 2016-06-28
CN104823460A (zh) 2015-08-05
EP2916564A4 (en) 2016-08-17
WO2014087833A1 (ja) 2014-06-12
JP2014110567A (ja) 2014-06-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6063230B2 (ja) 歪み音補正補完装置および歪み音補正補完方法
JP5345067B2 (ja) 聴覚感度補正装置
JP6038135B2 (ja) 信号処理装置
JP5295238B2 (ja) 音響処理装置
US10750278B2 (en) Adaptive bass processing system
WO2009110087A1 (ja) 信号処理装置
JP5707963B2 (ja) オーディオアンプ
WO2013136846A1 (ja) 音響信号処理装置および音響信号処理方法
WO2013183103A1 (ja) 周波数特性変形装置
JP2015012366A (ja) 伝搬遅延補正装置及び伝搬遅延補正方法
JP5391992B2 (ja) 信号処理装置
JP6155132B2 (ja) 低域補完装置および低域補完方法
WO2017183405A1 (ja) 音響処理装置および音響処理方法
JP5715910B2 (ja) ダイナミックレンジ拡張装置
JP5841405B2 (ja) ダイナミックレンジ拡張装置
CN116320903B (zh) 基于听觉感知的虚拟低音方法、装置和扬声器系统
JP5774218B2 (ja) 周波数特性変形装置
JP2009200777A (ja) オーディオ信号の利得制御装置および利得制御方法
JP5652515B2 (ja) 信号処理装置
JP2013126063A (ja) 音声信号処理装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161216

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6063230

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250