JPWO2013168438A1 - ラクターゼ活性を有するタンパク質、該タンパク質をコードする遺伝子、該遺伝子を含有する組み換えベクター、形質転換体、及びその製造方法並びに用途 - Google Patents

ラクターゼ活性を有するタンパク質、該タンパク質をコードする遺伝子、該遺伝子を含有する組み換えベクター、形質転換体、及びその製造方法並びに用途 Download PDF

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Abstract

pH1〜2においても安定であり、かつ、pH4〜5における活性の高い新規なラクターゼ活性を有するタンパク質を提供すること。本発明では、pH3.0〜4.0付近で最も活性が高く、安定pH範囲がpH1.5〜7.0であるラクターゼ活性を有するタンパク質を提供する。本発明に係るタンパク質は、空腹時における胃内において安定であり、かつ、食中食後の胃内において、高い活性を示すため、これを有効成分とする酵素製剤、医薬品組成物、医薬部外品組成物又は食品組成物は、食前に摂取することが可能であり、さらに、食中食後においても非常に高い乳糖分解作用を実現することができる。

Description

本発明は、ラクターゼ活性を有するタンパク質に関する。より詳しくは、ラクターゼ活性を有する耐酸性タンパク質、該タンパク質をコードする遺伝子、該遺伝子を含有する組み換えベクター、形質転換体、前記タンパク質を用いた酵素製剤、医薬品組成物、医薬部外品組成物、および食品組成物、並びに、ラクターゼ活性を有する耐酸性タンパク質の製造方法に関する。
ラクターゼは、β−ガラクトシダーゼの1種であり、ラクトース(乳糖)をグルコースとガラクトースに加水分解する酵素である。工業的には、低乳糖乳の製造やアイスクリームの製造、その他、乳清からシロップを製造する際にも用いられている。ヒトでは、小腸の上皮細胞に多く存在し、乳製品中などに含有される乳糖をグルコースとガラクトースに分解して小腸で吸収させるための消化酵素として機能している。
乳糖は、二糖類であり、このままでは吸収することができず、ラクターゼによってグルコースとガラクトースに分解されることによって、はじめて小腸で吸収することができる。しかし、ラクターゼは、一般に、哺乳類では離乳期に至ると活性が低下すると言われている。ヒトでも、周産期には活性が高くなっているが、5歳ころになると自然に活性が低下してくる。一般に、授乳期を終え、幼児から大人になるにつれて、乳糖を含む牛乳などを大量に摂取することは少なくなるため、ラクターゼの活性が低下しても、常識的な量を摂取している限り、健康上の問題は生じない場合が多い。
しかし、小腸内にラクターゼが全く存在しなかったり、存在してもその量が十分でなかったり、あるいは、ラクターゼの活性が極端に低下している場合などにおいては、乳糖をうまく吸収できないために、腹部の不快感や下痢などの症状を起こす場合があり、この症状は、乳糖不耐症と呼ばれている。授乳期を過ぎてから起こる乳糖不耐症は遅発性の乳糖不耐症と呼ばれており、稀ではあるものの、先天的にラクターゼが欠損する例もあり、先天性の乳糖不耐症と呼ばれている。
乳糖不耐症の場合、小腸内で分解されなかった乳糖は、小腸では吸収されず、そのまま大腸へ達する。大腸に達した乳糖は、大腸内の浸透圧を上昇させる。大腸内での浸透圧が上昇すると、大腸における水分の吸収が妨げられ、その結果、浸透圧性の下痢が発生する。また、大腸に達した乳糖は、大腸内に存在する微生物などによって発酵され、乳酸や二酸化炭素などのガスが発生し、その結果、不快感、腹痛、下痢などの症状が発生する。
このような症状を緩和する方法として、乳糖を含む飲食品の摂取を制限する方法がある。牛乳などの乳製品の摂取自体を避けるという方法もあるが、それでは乳製品などに含まれる乳糖以外の栄養素(例えば、カルシウムなど)の摂取も損なわれてしまうため、最近では、食品中に含まれる乳糖の量を低下させる技術が開発されつつある。
例えば、特許文献1では、乳中の乳糖を乳糖分解酵素により分解し、次いでエタノール発酵により糖質をアルコールと二酸化炭素に変換した後乾燥させて粉乳を製造することにより、低乳糖粉乳を得る技術が開示されている。
また、乳糖不耐症の対処方法としては、乳酸菌を含有する乳酸発酵された食品などを摂取し、乳酸菌の持つ乳糖分解酵素を小腸内に補給するという方法もある。例えば、特許文献2には、腸管付着性およびラクトース分解酵素活性が共に増強された、乳糖不耐症の改善能を有するラクトバチルス属乳酸菌に関する技術が開示されている。
一方、乳糖不耐症の対処方法として、特に欧米などにおいては、ラクターゼ製剤をサプリメントなどとして摂取する方法も行われている。例えば、特許文献3では、β−ガラクトシダーゼと賦形剤と約10%未満の還元糖とを含有し、潮解性賦形剤の使用を避けることにより安定性を向上させたラクターゼ組成物が開示されている。
確かにラクターゼ製剤を摂取する方法は、ラクターゼをダイレクトに投与する方法であるため、高い効果が期待できる。しかし、現在使用されているラクターゼ製剤は、酸性条件下における安定性が極めて低いという問題がある。通常、空腹時の胃内のpHは1〜2であるため、ラクターゼ製剤を空腹時に摂取すると、胃内において失活してしまう。そのため、実際には、食事の際、一口目と一緒か、あるいは一口目の後にラクターゼ製剤を服用するという方法がとられている。
ラクターゼの酸性条件下における安定性の問題に対し、近年、耐酸性ラクターゼに関する技術が開発されつつある。例えば、非特許文献1には、Bispora sp.由来であって、pH1〜2において安定性の高い耐酸性ラクターゼに関する技術が開示されている。
このように、空腹時の胃内と同様のpH1〜2において安定性の高い耐酸性ラクターゼを用いた製剤であれば、食事前にあらかじめラクターゼ製剤を服用しておくという方法も実現可能である。
特開平8−256682号公報 WO2008/001676パンフレット 特開2002−187854号公報
J. Agric. Food Chem., 57(12), 5535-5541(2009)
上述のように、近年においては、pH1〜2において安定性の高い耐酸性ラクターゼに関する技術が開発されつつある。しかしながら、非特許文献1のラクターゼは、確かに、pH1〜2において安定であるものの、至適pHも酸性側にあり、pH4〜5における活性値は、至適pHの30%程度しかない(非特許文献1Figure 3. a 参照)。
空腹時の胃内のpHは、1〜2であるが、食事をすることでpH4〜5へと上昇する。そのため、食中食後の実際に乳糖の分解が行われる際において、非特許文献1のラクターゼは、本来の活性を発揮することができないという問題があった。
そこで、本発明では、pH1〜2においても安定であり、かつ、pH4〜5における活性の高いラクターゼ活性を有する新規なタンパク質を提供することを主目的とする。
本願発明者らは、耐酸性ラクターゼについて鋭意研究を行った結果、pH1〜2においても安定であり、かつ、pH4〜5における活性の高いラクターゼ活性を有するタンパク質の生産に成功し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明ではまず、次の理化学的性質を有するタンパク質を提供する。
(1)作用:ラクトースをグルコースとガラクトースに加水分解する。
(2)至適pH:pH3.0〜4.0。
(3)安定pH範囲:pH1.5〜7.0。
(4)至適温度:70℃。
(5)分子質量:約140kDa(ゲル濾過法)。
本発明に係るタンパク質は、空腹時および食中食後における胃内において安定であり、かつ、食中食後の胃内においても、高い活性を示す。
本発明に係るタンパク質は、前記の理化学的性質を有するものであれば、その他の性質については特に限定されないが、さらに、(6)Km値:2−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシドに対して約0.19mM、であることが好ましい。
本発明に係るタンパク質は、前記の理化学的性質で特定されるタンパク質であれば、その由来は特に限定されないが、例えば、Teratosphaeria属に属する微生物に由来するものが挙げられる。この場合、Teratosphaeria属に属する微生物としては、Teratosphaeria acidothermaが挙げられる。
本発明では次に、以下の(a)、(b)または(c)に記載のタンパク質を提供する。
(a)配列番号17で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b)配列番号17で表されるアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列からなり、ラクターゼ活性を有するタンパク質。
(c)配列番号17で表されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、ラクターゼ活性を有するタンパク質。
また、本発明では、前記タンパク質をコードする遺伝子を提供する。具体的な一例としては、以下の(a)、(b)または(c)に記載のDNAからなる遺伝子が挙げられる。
(a)配列番号16または20で表される塩基配列からなるDNA。
(b)配列番号16または20で表される塩基配列において、1から数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列からなり、ラクターゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(c)配列番号16または20で表される塩基配列と90%以上の相同性を有する塩基配列からなり、ラクターゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
これらの本発明に係る遺伝子は、これを含有する組み換えベクターとして用いることができる。
また、本発明に係る組み換えベクターは、該組み換えベクターにより宿主細胞が形質転換されてなる形質転換体として用いることも可能である。
本発明に係るタンパク質は、これを有効成分として含有させることにより酵素製剤として好適に用いることができる。
また、本発明に係るタンパク質および酵素製剤は、医薬品組成物、医薬部外品組成物又は食品組成物に好適に用いることができる。
本発明に係るタンパク質の製造方法は特に限定されないが、例えば、前記タンパク質の生産能を有する微生物または前記形質転換体を栄養培地で培養して得られる培養物から、ラクターゼ活性を有するタンパク質を採取することにより製造することが可能である。
本発明に係るタンパク質は、空腹時における胃内において安定であり、かつ、食中食後の胃内において、高い活性を示すため、これを有効成分とする酵素製剤、医薬品組成物、医薬部外品組成物又は食品組成物は、食前に摂取することが可能であり、さらに、食中食後においても非常に高い乳糖分解作用を実現することができる。その結果、乳糖不耐症における酵素製剤等の服用方法の選択の幅が広がり、かつ、乳糖不耐症により症状を効果的に抑制することが可能となる。
実施例3におけるpHに対する相対活性(%)を示す図面代用グラフである。 実施例4におけるpHに対する残存活性(%)を示す図面代用グラフである。 実施例5における温度に対する相対活性(%)を示す図面代用グラフである。 実施例6における時間に対する残存活性(%)を示す図面代用グラフである。 実施例6における温度に対する残存活性(%)を示す図面代用グラフである。 実施例7におけるドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法の結果を示す図面代用写真である。
以下、本発明を実施するための好適な形態について、詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<1.ラクターゼ活性を有するタンパク質>
本発明に係るタンパク質は、後述する理化学的性質およびラクターゼ活性を有するタンパク質である。
本発明において、ラクターゼ活性の測定方法は特に限定されず、公知の方法を自由に選択して行うことができる。本発明では、特に、後述する実施例に記載の方法によって、ラクターゼ活性を測定した。
(1)作用
本発明に係るタンパク質は、ラクトース(乳糖)に作用して、グルコースとガラクトースに加水分解する。以下、本明細書において、ラクトースと乳糖は、同一の意味で用いる。ラクトースは、化学式C12H22O11、分子量342.3で、D−ガラクトースとD−グルコースが、β−1,4ガラクシド結合した二糖類の一種である。本発明に係るタンパク質は、ラクトースのβ−1,4ガラクシド結合を加水分解することにより、ラクトースをグルコースとガラクトースに分解する。
(2)至適pH
本発明に係るタンパク質は、37℃で15分間および3時間の反応条件において、pH3.0〜4.0付近で最もラクターゼ活性が高く、pH4〜5において至適pH時の80%以上の活性を示す(後述する実施例3参照)。通常、食中食後の胃内のpHは、4〜5であるため、本発明に係るタンパク質は、飲食物に含まれる乳糖(ラクトース)を実際に加水分解する際に、高い活性を示す。即ち、従来の耐酸性ラクターゼに比べて、食中食後における乳糖分解作用が高い。
また、本発明に係るタンパク質は、37℃で15分間および3時間の反応条件において、pH1.0およびpH7.0において至適pH時の40%以上のラクターゼ活性を示す(後述する実施例3参照)。そのため、飲食物の内容や何らかの原因により、胃内のpHが通常よりも酸性若しくは中性側に傾いた場合であっても、一定以上の乳糖分解作用を保持することが可能である。
(3)安定pH範囲
本発明に係るタンパク質は、pH1.5〜7において安定である(後述する実施例4参照)。即ち、本発明に係るタンパク質は、空腹時の胃内においても、食中食後の胃内においても安定である。そのため、本発明に係るタンパク質を有効成分とする酵素製剤、医薬品組成物、医薬部外品組成物又は食品組成物は、従来の食中摂取に加え、食前においても摂取することが可能である。
(4)至適温度
本発明に係るタンパク質は、pH4.5で15分間の反応条件において、70℃付近で最もラクターゼ活性が高い(後述する実施例5参照)。
(5)分子質量
本発明に係るタンパク質は、ゲル濾過法による分子質量が約140kDaであり、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)における分子質量が約86kDaと約50kDaのサブユニットに分離される(後述する実施例7参照)。
(6)Km値
本発明に係るタンパク質のKm値(ミカエリス定数)は、2−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシドに対して約0.19mM、4−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシドに対するKm値は約1.2mM、ラクトース(Glucose oxidaseを使用して測定)に対するKm値は約170mMである(後述する実施例8参照)。本発明において、Km値の具体的な算出方法は特に限定されず、公知の方法を自由に選択して算出することができる。本発明では、特に、後述する実施例8に記載の方法によって、Km値を算出した。
(7)安定温度範囲
本発明に係るタンパク質は、pH4.5およびpH7.0において37℃で3時間以上、ラクターゼ活性が低下しない(後述する実施例6参照)。即ち、飲食物を消化する間、高いラクターゼ活性が保持される。
また、本発明に係るタンパク質は、pH1.5において37℃で90分間失活は認められず、3時間加熱しても約70%の活性が残存する(後述する実施例6参照)。即ち、本発明に係るタンパク質を有効成分とする酵素製剤、医薬品組成物、医薬部外品組成物又は食品組成物を、食前に服用または摂取した場合であっても、高いラクターゼ活性が保持される。
更に、60分加熱する場合、pH2.0の場合は40℃までは活性が低下せず、50℃でも90%以上の活性が残存する(後述する実施例6参照)。また、pH5.0の場合は、60℃までは活性が低下しない(後述する実施例6参照)。更に、pH7.0の場合は、40℃までは活性が低下せず、50℃でも約60%の活性が残存する(後述する実施例6参照)。
(8)由来について
以上説明した本発明に係るタンパク質は、前述の理化学的性質に従来にない特徴を持つため、前述の理化学的性質で特定されるタンパク質であれば、その由来は特に限定されない。本発明においては、例えば、Teratosphaeria属に属する微生物に由来するものが挙げられる。この場合、Teratosphaeria属に属する微生物としては、Teratosphaeria acidothermaが挙げられる。
Teratosphaeria acidothermaは、Ascomycota(子嚢菌)類のCapnodiales目に属する真菌の一種であり、多くは、温泉の土壌中などに、好酸性菌として存在する。本発明においては、秋田県および岩手県内の酸性温泉における高温(概ね40℃)の場所の土壌から、Teratosphaeria acidothermaを分離・精製した。具体的なスクリーニング方法は、後述の実施例1で述べる。
(9)アミノ酸配列
本発明に係るタンパク質は、前述の理化学的性質に従来にない特徴を持つため、前述の理化学的性質で特定されるタンパク質であれば、そのアミノ酸構造は限定されないが、一例を挙げると、以下のアミノ酸配列により特定することができる。
具体的には、本発明に係るタンパク質は、配列番号17で表されるアミノ酸配列で特定することができる。
ここで、一般に、あるタンパク質のアミノ酸配列の一部に改変を施した場合において改変後のタンパク質が改変前のタンパク質と同等の機能を有することがある。即ち、アミノ酸配列の改変がタンパク質の機能に対して実質的な影響を与えず、タンパク質の機能が改変前後において維持されることがある。そこで、本発明は他の態様として、配列番号17で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列からなり、ラクターゼ活性を有するタンパク質を提供する。「アミノ酸配列を構成する1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加」とは、典型的にアミノ酸配列の一部の相違のことをいう。
ここでのアミノ酸配列の相違は、ラクターゼ活性が保持されうる限り許容される(活性の多少の変動があってもよい)。この条件を満たす限り、アミノ酸配列が相違する位置は特に限定されず、また複数の位置で相違が生じていてもよい。ここでの複数とは、例えば、全アミノ酸配列の約30%未満に相当する数であり、好ましくは約20%未満に相当する数であり、さらに好ましくは約10%未満に相当する数であり、より一層好ましくは約5%未満に相当する数であり、最も好ましくは約1%未満に相当する数である。
即ち、配列番号17のアミノ酸配列と、例えば約70%以上、好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、より一層好ましくは約95%以上、最も好ましくは約99%以上の同一性を有することを指す。
また、好ましくは、ラクターゼ活性に必須でないアミノ酸残基において、保存的アミノ酸置換を生じさせることによって、タンパク質を得る方法がよい。ここでの「保存的アミノ酸置換」とは、あるアミノ酸残基を、同様の性質の側鎖を有するアミノ酸残基に置換することをいう。アミノ酸残基は、その側鎖によって塩基性側鎖(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)のように、いくつかのファミリーに分類されている。保存的アミノ酸置換は好ましくは、同一のファミリー内のアミノ酸残基間の置換である。
本発明に係るタンパク質は、より大きいタンパク質(例えば融合タンパク質)の一部であってもよい。融合タンパク質において付加される配列としては、例えば、多重ヒスチジン残基のような精製に役立つ配列、組み換え生産の際の安定性を確保する付加配列等が挙げられる。
<2.遺伝子、組み換えベクター、形質転換体>
(1)遺伝子
本発明では、前記タンパク質をコードする遺伝子を提供する。一態様において本発明の遺伝子は、配列番号17のアミノ酸配列をコードするDNAを含む。当該態様の具体例は、配列番号16または配列番号20の塩基配列からなるDNAである。
ところで、一般に、あるタンパク質をコードするDNAの一部に改変を施した場合において、改変後のDNAがコードするタンパク質が、改変前のDNAがコードするタンパク質と同等の機能を有することがある。即ち、DNA配列の改変が、コードするタンパク質の機能に実質的に影響を与えず、コードするタンパク質の機能が改変前後において維持されることがある。そこで、本発明では他の態様として、配列番号16または配列番号20の塩基配列と等価な塩基配列を有し、ラクターゼ活性をもつタンパク質をコードするDNA(以下、「等価DNA」ともいう)を提供する。ここでの「等価な塩基配列」とは、配列番号16または配列番号20に示す核酸と一部で相違するが、当該相違によってそれがコードするタンパク質の機能(本発明ではラクターゼ活性)が実質的な影響を受けていない塩基配列のことをいう。
等価DNAの具体例は、配列番号16または配列番号20の塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAである。ここでの「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。このようなストリンジェントな条件は当業者に公知であって例えばMolecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)やCurrent protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987)を参照して設定することができる。ストリンジェントな条件として例えば、ハイブリダイゼーション液(50%ホルムアミド、10×SSC(0.15M NaCl, 15mM sodium citrate, pH 7.0)、5×Denhardt溶液、1% SDS、10% デキストラン硫酸、10μg/mlの変性サケ精子DNA、50mMリン酸バッファー(pH7.5))を用いて約42℃〜約50℃でインキュベーションし、その後0.1×SSC、0.1% SDSを用いて約65℃〜約70℃で洗浄する条件を挙げることができる。更に好ましいストリンジェントな条件として、例えば、ハイブリダイゼーション液として50%ホルムアミド、5×SSC(0.15M NaCl, 15mM sodium citrate, pH 7.0)、1×Denhardt溶液、1%SDS、10%デキストラン硫酸、10μg/mlの変性サケ精子DNA、50mMリン酸バッファー(pH7.5))を用いる条件を挙げることができる。
等価DNAの他の具体例として、配列番号16または配列番号20に示す塩基配列を基準として1若しくは複数(好ましくは1〜数個)の塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含む塩基配列からなり、ラクターゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを挙げることができる。塩基の置換や欠失などは複数の部位に生じていてもよい。ここでの「複数」とは、当該DNAがコードするタンパク質の立体構造におけるアミノ酸残基の位置や種類によっても異なるが例えば2〜40塩基、好ましくは2〜20塩基、より好ましくは2〜10塩基である。以上のような等価DNAは例えば、制限酵素処理、エキソヌクレアーゼやDNAリガーゼ等による処理、位置指定突然変異導入法(Molecular Cloning, Third Edition, Chapter 13 ,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)やランダム突然変異導入法(Molecular Cloning, Third Edition, Chapter 13 ,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)による変異の導入などを利用して、塩基の置換、欠失、挿入、付加、及び/又は逆位を含むように、配列番号16または配列番号20に示す塩基配列を有するDNAを改変することによって得ることができる。また、紫外線照射など他の方法によっても等価DNAを得ることができる。
等価DNAの更に他の例として、SNP(一塩基多型)に代表される多型に起因して上記のごとき塩基の相違が認められるDNAを挙げることができる。
本発明の遺伝子は、本明細書又は添付の配列表が開示する配列情報を参考にし、標準的な遺伝子工学的手法、分子生物学的手法、生化学的手法などを用いることによって単離された状態に調製することができる。具体的には、適当なTeratosphaeria acidothermaのゲノムDNAライブラリー又はcDNAライブラリー、或はTeratosphaeria acidothermaの菌体内抽出液から、本発明の遺伝子に対して特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドプローブ・プライマーを適宜利用して調製することができる。オリゴヌクレオチドプローブ・プライマーは、市販の自動化DNA合成装置などを用いて容易に合成することができる。尚、本発明の遺伝子を調製するために用いるライブラリーの作製方法については、例えば、Molecular Cloning, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkを参照できる。
例えば、配列番号16または配列番号20の塩基配列を有する遺伝子であれば、当該塩基配列又はその相補配列の全体又は一部をプローブとしたハイブリダイゼーション法を利用して単離することができる。また、当該塩基配列の一部に特異的にハイブリダイズするようにデザインされた合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いた核酸増幅反応(例えばPCR)を利用して増幅及び単離することができる。また、配列番号17に示すアミノ酸配列や配列番号16または配列番号20の塩基配列の情報を元にして、化学合成によって目的とする遺伝子を得ることもできる(参考文献:Gene,60(1), 115−127 (1987))。
以下、本発明の遺伝子の取得法の具体例を示す。まず、Teratosphaeria acidothermaから本発明に係るタンパク質(ラクターゼ活性を有するタンパク質)を単離・精製し、その部分アミノ酸配列に関する情報を得る。部分アミノ酸配列決定方法としては、例えば、精製したタンパク質を直接常法に従ってエドマン分解法〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第256巻、第7990〜7997頁(1981)〕によりアミノ酸配列分析〔プロテイン―シーケンサー476A、アプライド バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製等〕に供する方法が挙げられる。タンパク質加水分解酵素を作用させて限定加水分解を行い、得られたペプチド断片を分離精製し、得られた精製ペプチド断片についてアミノ酸配列分析を行うのが有効である。
このようにして得られる部分アミノ酸配列情報を基に、本発明に係るタンパク質をコードする遺伝子をクローニングする。例えば、ハイブリダイゼーション法又はPCRを利用してクローニングを行うことができる。ハイブリダイゼーション法を利用する場合、例えば、Molecular Cloning(Third Edition, Cold Spring HarborLaboratory Press, New York)に記載の方法を用いることができる。
PCR法を利用する場合、以下の方法を用いることができる。まず、本発明に係るタンパク質を産生する微生物のゲノムDNAを鋳型とし、部分アミノ酸配列の情報を基にデザインした合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCR反応を行い、目的の遺伝子断片を得る。PCR法は、例えば、PCRテクノロジー〔PCR Technology、エルリッヒ(Erlich)HA編集、ストックトンプレス社(Stocktonpress)、1989年発行〕に記載の方法に準じて行うことができる。更に、この増幅DNA断片について通常用いられる方法、例えば、ジデオキシチェーンターミネーター法で塩基配列を決定すると、決定された配列中に合成オリゴヌクレオチドプライマーの配列以外に、本発明に係るタンパク質の部分アミノ酸配列に対応する配列が見出され、目的の遺伝子の一部を取得することができる。得られた遺伝子断片をプローブとして更にハイブリダイゼーション法等を行うことによって本発明に係るタンパク質をコードする遺伝子をクローニングすることができる。
また全塩基配列が明らかにされた本発明に係る遺伝子(配列番号16または20)の全体あるいは一部分をハイブリダイゼーション用のプローブとして用いることによって、他のラクターゼ活性を有するタンパク質を産生する微生物のゲノムDNAライブラリーあるいはcDNAライブラリーから、配列番号16または配列番号20の遺伝子と相同性の高いDNAを選別することも可能である。
同様に、PCR用のプライマーをデザインすることができる。このプライマーを用いてPCR反応を行うことによって、配列番号16または配列番号20の遺伝子と相同性の高い遺伝子断片を検出し、さらにはその遺伝子全体を得ることもできる。
(2)組み換えベクター
本発明に係る遺伝子は、適当なベクター中に挿入して使用することができる。本発明において用いることができるベクターの種類は、それに挿入された核酸分子を細胞等のターゲット内へと輸送することができる核酸性分子をいい、その種類、形態は特に限定されるものではない。従って、本発明のベクターはプラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター(アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター等)の形態をとり得る。
使用目的(クローニング、タンパク質の発現)に応じて、また宿主細胞の種類を考慮して適当なベクターが選択される。ベクターの具体例を挙げれば、大腸菌を宿主とするベクター(M13ファージ又はその改変体、λファージ又はその改変体、pBR322又はその改変体(pB325、pAT153、pUC8など)など)、酵母を宿主とするベクター(pYepSec1、pMFa、pYES2等、昆虫細胞を宿主とするベクター(pAc、pVLなど)、哺乳類細胞を宿主とするベクター(pCDM8、pMT2PCなど)等である。
本発明の組換えベクターは好ましくは発現ベクターである。「発現ベクター」とは、それに挿入された核酸を目的の細胞(宿主細胞)内に導入することができ、且つ当該細胞内において発現させることが可能なベクターをいう。発現ベクターは通常、挿入された核酸の発現に必要なプロモーター配列や発現を促進させるエンハンサー配列等を含む。選択マーカーを含む発現ベクターを使用することもできる。かかる発現ベクターを用いた場合には選択マーカーを利用して発現ベクターの導入の有無(及びその程度)を確認することができる。
本発明の遺伝子のベクターへの挿入、選択マーカー遺伝子の挿入(必要な場合)、プロモーターの挿入(必要な場合)等は、標準的な組換えDNA技術(例えば、Molecular Cloning, Third Edition, 1.84, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkなどに記載された方法など)を用いて行うことができる。
(3)形質転換体
本発明に係る組み換えベクターを適当な宿主に導入することによって形質転換体を作製することができる。本発明の形質転換体では、本発明の遺伝子が外来性の分子として存在することになる。本発明の形質転換体は、好ましくは、上記本発明のベクターを用いたトランスフェクション乃至はトランスフォーメーションによって調製される。トランスフェクション、トランスフォーメーションはリン酸カルシウム共沈降法、エレクトロポーレーション(Potter, H. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81, 7161−7165(1984))、リポフェクション(Felgner, P.L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84,7413−7417(1984))、マイクロインジェクション(Graessmann, M. & Graessmann,A., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 73,366−370(1976))、Hanahanの方法(Hanahan, D., J. Mol. Biol. 166, 557−580(1983))、酢酸リチウム法(Schiestl, R.H. et al., Curr. Genet. 16, 339−346(1989))、プロトプラスト−ポリエチレングリコール法(Yelton, M.M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 81, 1470−1474(1984))等によって実施することができる。
本発明において用いることができる宿主細胞は、本発明のラクターゼ活性を有するタンパク質が発現する限りにおいて特に限定されない。例えば、大腸菌、Bacillus属、Lactococcus属、Lactobacillus属、Streptococcus属、Leuconostoc属、Bifidobacterium属、Streptomyces属などに属する細菌:Saccharomyces属、Schizosaccharomyces属、Kluyberomyces属、Candida属、Pichia属、Torula属、Torulopsis属に属する酵母:Aspergillus属、Penicillium属、Trichoderma属、Fusarium属に属する糸状菌などが挙げられる。この中でも本発明では特に、酵母または糸状菌から選択することが好ましい。酵母の中では特に、Saccharomyces属、Schizosaccharomyces属、Pichia属に属する酵母を選択することがより好ましく、Saccharomyces属としては、例えば、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces属としては、例えば、Schizosaccharomyces pombe、Pichia属としては、例えば、Pichia pastorisが挙げられる。糸状菌の中では特に、Aspergillus属に属する糸状菌を選択することがより好ましく、Aspergillus属としては、例えば、Aspergillus oryzae、Aspergillus niger、Aspergillus nidulans、Aspergillus terreus、Aspergillus awamoriが挙げられる。
<3.酵素製剤、医薬品組成物、医薬部外品組成物>
本発明に係るタンパク質は、その優れたラクターゼ活性を利用して、酵素製剤、医薬品組成物および医薬部外品組成物に好適に用いることができる。本発明に係る酵素製剤、医薬品組成物および医薬部外品組成物において、具体的な剤型は、内服または経口摂取する剤型であれば特に限定されず、あらゆる剤型に適用することができる。例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エキス剤、丸剤、などの経口剤に適用することができる。
本発明に係る酵素製剤、医薬品組成物および医薬部外品組成物には、薬理学的に許容される添加剤を1種または2種以上自由に選択して含有させることができる。例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、保存剤、着色剤、矯味剤、香料、安定化剤、防腐剤、酸化防止剤等の、医薬製剤の分野で通常使用し得る全ての添加剤を含有させることができる。また、ドラックデリバリーシステム(DDS)を利用して、徐放性製剤等にすることもできる。
本発明に係る酵素製剤、医薬品組成物および医薬部外品組成物は、既存のあらゆる薬剤を1種または2種以上自由に選択して、合剤とすることもできる。例えば、制酸剤、健胃剤、消化剤、整腸剤、H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害剤、止瀉剤、鎮痛鎮痙剤、緩下剤、下剤など、あらゆる薬剤を配合することも可能である。
<3.食品組成物>
本発明に係るタンパク質は、その優れたラクターゼ活性を利用して、食品組成物に好適に用いることができる。例えば、牛乳、ジュース、スポーツ飲料、お茶、コーヒー、紅茶などの飲料、醤油などの調味料、スープ類、クリーム類、各種乳製品類、アイスクリームなどの冷菓、各種粉末食品(飲料を含む)、保存用食品、冷凍食品、パン類、菓子類などの加工食品など、あらゆる飲食物に用いることができる。また、保健機能食品(特定保健機能食品、栄養機能食品、飲料を含む)や、いわゆる健康食品(飲料を含む)、濃厚栄養剤、流動食、乳児・幼児食にも用いることができる。更に、牛、馬、豚などの家畜用哺乳類、鶏、ウズラなどの家禽類、爬虫類、鳥類あるいは小型哺乳類などのペット類、養殖魚類などの飼料にも使用することが可能である。
本発明に係る食品組成物には、本発明に係るタンパク質に加え、通常飲食物に用いることができる成分を、1種または2種以上自由に選択して配合することが可能である。例えば、各種調味料、賦形剤、緩衝剤、懸濁剤、保存剤、乳化剤、安定剤、香料、油脂、光沢剤、増粘剤、着色剤、防腐剤、結着剤、結着補強剤、乳化安定剤、pH調整剤などの、食品分野で通常使用し得る全ての添加剤を含有させることができる。
賦形剤としては、例えば、デンプン、デキストリン、マルトース、トレハロース、乳糖、D−グルコース、ソルビトール、D−マンニトール、白糖、グリセロール等を用いることができる。
緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。
安定剤としては、例えば、プロピレングリコール、アスコルビン酸等を用いることができる。
pH調製剤としては、例えば、イタコン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルコン酸、ピロリン酸、酢酸、乳酸、α−ケトグルタル酸、フィチン酸等の有機酸又は有機酸塩;炭酸等の無機酸又は無機酸塩;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸;アルギニン、リジン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸等を用いることができる。
香料としては、例えば、ジャコウ、シベット、カストリウム、アンバーグリス等の動物性香料;アニス精油、アンゲリカ精油、イランイラン精油、イリス精油、ウイキョウ精油、オレンジ精油、カナンガ精油、カラウェー精油、カルダモン精油、グアヤクウッド精油、クミン精油、黒文字精油、ケイ皮精油、シナモン精油、ゲラニウム精油、コパイババルサム精油、コリアンデル精油、シソ精油、シダーウッド精油、シトロネラ精油、ジャスミン精油、ジンジャーグラス精油、杉精油、スペアミント精油、西洋ハッカ精油、大茴香精油、チュベローズ精油、丁字精油、橙花精油、冬緑精油、トルーバルサム精油、バチュリー精油、バラ精油、パルマローザ精油、桧精油、ヒバ精油、白檀精油、プチグレン精油、ベイ精油、ベチバ精油、ベルガモット精油、ペルーバルサム精油、ボアドローズ精油、芳樟精油、マンダリン精油、ユーカリ精油、ライム精油、ラベンダー精油、リナロエ精油、レモングラス精油、レモン精油、ローズマリー精油、和種ハッカ精油等の植物性香料;その他合成香料等を用いることができる。
増粘剤としては、例えば、天然高分子またはデンプン系もしくはセルロース系天然高分子誘導体等を用いることができる。天然高分子としては、例えば、フコイダン、カラギーナン等の海藻抽出物、グァーガム等の種子粘出物、アラビアガム等の樹脂様粘着物、またはキサンタンガム等の微生物産生粘着物質等を挙げることができる。デンプン系もしくはセルロース系天然高分子誘導体としては、例えば、リン酸デンプン等のデンプン系またはメチルセルロースなどのセルロース系の天然高分子誘導体が挙げられる。
油脂としては、例えば、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、ウイキョウ油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラファー油、カカオ脂、カミツレ油、カロット油、キューカンバー油、ココナッツ油、ゴマ油、コメ油、サフラワー油、シア脂、液状シア脂、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、ヒマワリ油、葡萄種子油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、卵黄油、パーム油、パーム核油、モクロウ、ヤシ油、牛脂、豚脂等を用いることができる。また、これらの油脂に水素添加、分別、エステル交換等の処理をして改質された油脂も利用できる。
光沢剤としては、例えば、ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックス、スクワレン、スクワラン、プリスタン等のロウ類(植物性、動物性を問わない。);流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、オゾケライド、セレシン、マイクロクリスタンワックス等の鉱物油を用いることができる。
結着剤としては、例えば、大豆蛋白質、卵蛋白質、乳蛋白質、カゼイン、デンプン、ト
ランスグルタミナーゼ等を用いることができる。
その他添加物として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、1 2-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油、ラノリン脂肪酸等の天然脂肪酸;イソノナン酸、カプロン酸、2 -エチルブタン酸、イソペンタン酸、2-メチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、イソペンタン酸等の合成脂肪酸等の脂肪酸を含有しても良い。
また、本発明に係る食品組成物には、本発明に係るタンパク質に加え、他の有効成分を必要に応じて自由に配合することができる。
<4.ラクターゼ活性を有するタンパク質の製造方法>
本発明に係る製造方法は、本発明に係るタンパク質の生産能を有する微生物または本発明に係る形質転換体を栄養培地で培養して得られる培養物から、ラクターゼ活性を有するタンパク質を採取する方法である。
本発明に係る製造方法において、用いることができる微生物は、前述した理化学的性質およびラクターゼ活性有するタンパク質の生産能を有する微生物であれば、特に限定されず、公知の微生物を自由に選択して用いることができる。例えば、Teratosphaeria属に属する微生物を挙げることができる。この場合、Teratosphaeria属に属する微生物としては、Teratosphaeria acidothermaが挙げられる。
本発明に係る製造方法における培養には、公知の手法を適宜採用することができ、例えば液体培養及び固体培養の何れも任意に用いることができる。
また、本発明に係る製造方法において使用する前記微生物は、野生株に限らず、上記野生株を紫外線、エックス線、放射線、各種薬品などを用いる人工的変異手段で変異した変異株であっても、前記のラクターゼ活性を有する耐酸性酵素の生産能を有する限り、使用することが可能である。
本発明に係る製造方法における培養に際し、誘導剤として、好ましくは乳糖が用いられる。その他、用いることができる培地の炭素源は特に限定されず、公知の培地に用いられる炭素源を、1種または2種以上自由に選択して用いることができる。
また、窒素原も特に限定されず、公知の培地に用いられる窒素源を、1種または2種以上自由に選択して用いることができる。例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸‐アンモニウム、リン酸二アンモニウム、塩化アンモニウムなどの無機窒素源や、コーングルテンミール、大豆粉、カザミノ酸、コーヒー粕、綿実油粕、酵母エキス、麦芽エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解物、ふすま、肉エキス、アミノ酸、ペプトンなどの有機窒素原など、いずれも用いることが可能である。
更に、無機栄養源も特に限定されず、公知の培地に用いられる無機栄養源を、1種または2種以上自由に選択して用いることができる。例えば、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、鉄、亜鉛、カルシウム、マンガンの塩類の他、ビタミンなどを挙げることができる。
本発明に係る製造方法における培養を行う具体的温度は特に限定されず、本発明の効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本発明においては特に、25〜45℃の温度範囲で行うことが好ましく、28〜32℃の温度範囲で行うことがより好ましく、30℃で行うことが最も好ましい。
また、培地のpHも特に限定されず、本発明の効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本発明においては特に、pH3.0〜5.0に設定することが好ましく、pH3.8〜4.2に設定することがより好ましく、pH4.0に設定することが最も好ましい。
本発明に係る製造方法における培養期間も特に限定されず、本発明の効果を損なわない限り、菌体濃度、培地pH、培地温度、培地の構成などに応じて自由に設定することができる。本発明においては特に、培養期間を2〜5日に設定することが好ましく、3〜4日に設定することがより好ましい。培養法としては例えば静置培養、振盪培養法、ジャー・ファーメンターによる好気的深部培養法が利用できる。
このようにして、菌体を培養した後、本発明のタンパク質を精製・回収する。タンパク質の精製・回収方法は、特に限定されず、公知の方法を自由に選択して行うことができる。例えば、菌体を培養した後、濾過などにより菌体を回収し、菌体破砕などを行なって粗酵素液を調製し、濃縮・脱塩などを行った後、各種クロマトグラフィー(イオン交換カラムクロマトグラフィー、疏水カラムクロマトグラフィー、アフィニティーカラムクロマトグラフィー、ゲル濾過カラムクロマトグラフィーなど)を順次行うことで、本発明のタンパク質を得ることができる。
本発明に係る形質転換体を用いる製造方法では、まず、形質転換体に導入された遺伝子によってコードされるタンパク質が産生される条件下にて、前記形質転換体を培養する。様々なベクター宿主系に関して形質転換体の培養条件が公知であり、当業者であれば適切な培養条件を容易に設定することができる。培養ステップに続き、産生されたタンパク質を回収する。回収及びその後の精製については、前記の微生物を用いた製造方法の場合と同様に行うことができる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するとともに、本発明の効果を検証する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
なお、本実施例において、特に記載しない限り、ラクターゼ活性の測定は、以下の方法で行った。
12.3mMの2−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)溶液2mLを37℃で10分間放置した後、試料溶液0.5mLを添加し、直ちに混合した。この液を、37℃で正確に15分間放置した後、10g/dL炭酸ナトリウム溶液2.5mLを加え、混合して反応を停止させた。
さらに水20mLを加え混合した。調整した混合液について、水を対照として、吸収波長420nmにおける吸光度を測定した。
ブランクとしては、試料溶液の代わりに水0.5mLを用い、同様に吸光度を測定した。
下記の数式(1)を用いて、得られた吸光度からラクターゼ活性値を算出した。
なお、1分間に1μmolの2−ニトロフェノールを遊離する酵素量を1Uとした。
A1:試料の吸光度
A2:ブランクの吸光度
n:希釈倍率
<実施例1:菌体分離>
秋田県および岩手県内の酸性温泉で高温(概ね40℃)の場所の土壌の希釈懸濁液を、pH1またはpH2.5のグルコース含有寒天培地に塗沫し、42〜45℃で10日間培養した。その後、生育した菌株を単離した。
単離した菌株を、pH4.5のラクトース含有培地を用いて30℃で培養した。
培養した菌体を破砕し、粗酵素液を調製した。粗酵素液のラクターゼ活性を、pH1.5、pH4.5、pH7.0で測定した後、各pHの活性比率を求めた。また、粗酵素液をpH1.5およびpH5.0で37℃、3時間加熱し耐酸性を検討した。
前記で優良菌株として選抜した株を液体培養し、菌体破砕を行ない、粗酵素液を調製した。この粗酵素液をDEAE-Toyopearl(登録商標、東ソー株式会社製)カラムクロマトグラフィーにより部分精製した。カラムクロマトグラフィーの各フラクションのラクターゼ活性をpH1.5、pH4.5、pH7.0で測定し、pH活性比率をまとめた。また、pH1.5およびpH5.0で37℃、3時間加熱し耐酸性を検討した。
以上の方法で強酸性(pH2.0以下)〜中性付近(pH7.0付近)までラクターゼ活性を示し、かつ、高い安定性を有するラクターゼを生産する菌株をスクリーニングした。
スクリーニングにより得られた菌株のrRNAを抽出し、菌株の同定を行った。糸状菌の同定指標となるD2領域及びITS領域の遺伝子配列を解析した結果、スクリーニングにより得られた菌株は、Teratosphaeria acidothermaであることが同定された。得られた菌株のD2領域の遺伝子配列を配列番号1、ITS領域の遺伝子配列を配列番号2、Teratosphaeria acidothermaのD2領域の遺伝子配列を配列番号3、ITS領域の遺伝子配列を配列番号4にそれぞれ示す。
<実施例2:ラクターゼ活性を有する耐酸性タンパク質の精製>
(1)培養
まず、前記実施例1で得られたTeratosphaeria acidothermaを培養するために、下記表1に示す液体培地を調製した。
表1の(1)〜(7)を含有する液体培地を、pH4.0±0.1に調整後、液体培地80mLを、500mL容坂口フラスコへあるいは、液体培地800mLを3L平底フラスコへ入れて、オートクレーブにより蒸気殺菌を行なった。その後、終濃度2.0%となるように、0.45μmのフィルターで除菌した10%Lactose溶液20mLまたは200mLを坂口フラスコまたは平底フラスコにそれぞれ添加した。
以上のように調製した500mL容坂口フラスコ液体培地へ、前記実施例1で得られたTeratosphaeria acidotherma胞子懸濁液を接種し、前培養を行なった。30℃、回転数120rpmで2日間培養した後、前培養液100mLを新たな3L容平底フラスコ液体培地へ接種し、本培養を行なった。30℃、回転数115rpmで4日間培養した後、ろ紙ろ過により菌体を回収した。
(2)粗酵素液の調整
前記で培養・回収した菌体を、10mMリン酸カリウム緩衝液pH6.5に懸濁し、ガラスビーズを添加した。マルチビーズショッカーで菌体を破砕した後、遠心上清を回収し、粗酵素液とした。また、破砕後の沈殿に緩衝液を加え再度マルチビーズショッカーで破砕を行なった。この操作を合計3回繰り返し、粗酵素液を回収した。
(3)硫安塩析
前記で回収した粗酵素液に、硫酸アンモニウムを添加して45%飽和濃度にし、生じた沈殿を遠心分離で除去した。上清に硫酸アンモニウムを追加して80%飽和濃度にし、生じた沈殿を遠心分離で回収した。沈殿は40mMリン酸カリウム緩衝液pH6.5に懸濁した。
(4)イオン交換カラムクロマトグラフィー
80%塩析沈殿懸濁液を、40mMリン酸カリウム緩衝液pH6.5に対して透析を行なった。この透析液を、40mMリン酸カリウム緩衝液pH6.5で平衡化したDEAE-Toyopearl(登録商標、東ソー株式会社製)カラムに供し、0.1MNaCl含有40mMリン酸カリウム緩衝液pH6.5を用いて直線濃度勾配法で溶出した。
(5)疎水カラムクロマトグラフィー
前記のイオン交換カラムクロマトグラフィーで分取した目的画分に終濃度1.2Mとなるように硫酸アンモニウムを添加した。この目的画分を、1.2M硫酸アンモニウム含有20mMリン酸カリウム緩衝液pH6.5で平衡化したPhenyl-Toyopearl(登録商標、東ソー株式会社製)カラムに供し、吸着した酵素を20mMリン酸カリウム緩衝液pH6.5を用いて直線濃度勾配法で溶出した。
(6)前記の疎水カラムクロマトグラフィーで分取した目的画分を、40mMリン酸カリウム緩衝液pH6.5で透析した後、40mMリン酸カリウム緩衝液pH6.5で平衡化したDEAE-Toyopearl(登録商標、東ソー株式会社製)カラムに供し、0.1MNaCl含有40mMリン酸カリウム緩衝液pH6.5を用いて直線濃度勾配法で溶出した。
(7)アフィニティーカラムクロマトグラフィー
前記の疎水カラムクロマトグラフィーで分取した目的画分を、10mMリン酸カリウム緩衝液pH6.5で透析した後、10mMリン酸カリウム緩衝液pH6.5で平衡化したToyoperalAF-Epoxy-650(登録商標、東ソー株式会社製)に4-aminophenyl β-D-galactopyranosideを結合させた樹脂カラムに供し、0.2M塩化ナトリウム含有10mMリン酸カリウム緩衝液pH6.5を用いて直線濃度勾配法で溶出した。
(7)ゲルろ過カラムクロマトグラフィー
前記のアフィニティーカラムクロマトグラフィーで分取した目的画分を濃縮し、50mMリン酸カリウム緩衝液pH6.5で平衡化したToyopearl HW-55(登録商標、東ソー株式会社製)カラムに供し、ゲルろ過を行い、ラクターゼ活性を有する耐酸性タンパク質を精製した。
<実施例3:至適pHの検討>
前記実施例2で精製したタンパク質溶液と、下記の各pH緩衝液を等量混合し、37℃で15分間反応させ、ラクターゼ活性を測定した。
pH1.0〜pH4.5:0.1M酢酸ナトリウム−塩酸緩衝液
pH4.0〜pH5.5:0.1M酢酸ナトリウム−酢酸緩衝液
pH5.5〜pH8.0:0.1Mリン酸カリウム緩衝液
結果を図1に示す。図1に示す通り、本発明に係るタンパク質は、pH3.0〜4.0付近で最もラクターゼ活性が高いことが分かった。
また、pH4〜5において至適pH時の80%以上、pH1.0およびpH7.0において至適pH時の40%以上のラクターゼ活性を示すことも確認できた。
<実施例4:安定pH範囲の検討>
前記実施例2で精製したタンパク質溶液と、前記実施例3で用いた各pH緩衝液を等量混合し、50℃で60分間インキュベートした後、残存するラクターゼ活性を、pH4.5で測定した。
結果を図2に示す。図2に示す通り、本発明に係るタンパク質は、pH1.5〜7.0において安定であることが確認できた。
<実施例5:至適温度の検討>
前記実施例2で精製したタンパク質溶液と、pH4.5の0.1M酢酸ナトリウム−酢酸緩衝液とを等量混合し、30〜80℃、pH4.5で15分間反応させ、ラクターゼ活性を測定した。
結果を図3に示す。図3に示す通り、本発明に係るタンパク質は、70℃付近で最もラクターゼ活性が高いことが分かった。
<実施例6:安定温度範囲の検討>
前記実施例2で精製したタンパク質溶液と、pH1.5の0.1M酢酸ナトリウム−塩酸緩衝液、pH4.5の0.1M酢酸ナトリウム−酢酸緩衝液、pH7.0の0.1Mリン酸カリウム緩衝液とを、それぞれ等量で混合し、37℃で0〜3時間インキュベートした後、残存するラクターゼ活性を、pH4.5で測定した。
また、同様に、前記実施例2で精製したタンパク質溶液と、pH2.0の0.1M酢酸ナトリウム−塩酸緩衝液、pH5.0の0.1M酢酸ナトリウム−酢酸緩衝液、pH7.0の0.1Mリン酸カリウム緩衝液とを、それぞれ等量で混合し、0〜60℃で60分間加熱した後の残存するラクターゼ活性も調べた。
結果を図4および図5に示す。図4に示す通り、本発明に係るタンパク質は、pH4.5およびpH7.0において37℃で3時間以上、ラクターゼ活性が低下しないことが分かった。即ち、飲食物を消化する間、高いラクターゼ活性が保持されることが分かった。
また、本発明に係るタンパク質は、pH1.5において37℃で90分間失活は認められず、3時間加熱しても約70%の活性が残存することが分かった。即ち、本発明に係るタンパク質を有効成分とする酵素製剤、医薬品組成物、医薬部外品組成物又は食品組成物を、食前に服用または摂取した場合であっても、高いラクターゼ活性が保持されることが分かった。
更に、図5に示す通り、60分加熱する場合、pH2.0の場合は40℃までは活性が低下せず、50℃でも90%以上の活性が残存することが分かった。また、pH5.0の場合は、60℃までは活性が低下しないことが分かった。更に、pH7.0の場合は、40℃までは活性が低下せず、50℃でも約60%の活性が残存することが分かった。
<実施例7:分子質量の測定>
前記実施例2で精製したタンパク質について、ゲル濾過法により分子質量を算出した結果、約140kDaであることが分かった。
また、前記実施例2で精製したタンパク質について、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE)に供したところ、タンパク質を示す2つのバンドが現れ(図6)、本発明に係るタンパク質が、2つのサブユニットからなることが分かった。更に、SDS-PAGEの結果から、2つのサブユニットの分子質量は、約86kDaと約50kDaであることが確認できた。
<実施例8:Km値の測定>
前記実施例2で精製したタンパク質について、2−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)、4−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(PNPG)、ラクトース濃度を変化させてラクターゼ活性測定を行い、Hanes-Woolfプロットから、それぞれのミカエリス定数(Km)を求めた。この結果、2−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシドに対するKm値は0.19mM、4−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシドに対するKm値は1.2mM、ラクトース(Glucose oxidaseを使用して測定)に対するKm値は170mMであることが判明した。
<実施例9:各種化学物質・金属の酵素への影響の検討>
前記実施例2で精製したタンパク質について、下記表2に示す各種化学物質および金属を、1mMになるように反応液に添加し、pH4.5で37℃、15分間反応させ、ラクターゼ活性を測定した。結果を表2に示す。
<実施例10:基質特異性の検討>
前記実施例2で精製したタンパク質の基質特異性について、2-nitrophenyl-b-D-galactopyranoside(ONPG)、4-nitrophenyl-b-D-galactopyranoside、4-nitrophenyl-b-D-fucopyranoside、4-nitrophenyl-b-D-glucopyranoside、4-nitrophenyl-b-D-xylopyranoside、4-nitrophenyl-b-D-mannopyranoside、4-nitrophenyl-b-D-galactopyranoside、4-nitrophenyl-b-D-glucopyranoside、4-nitrophenyl-b-L-arabinofuranoside、4-nitrophenyl-b-D-mannopyranosideについて検討した。結果を表3に示す。
<実験例11:部分アミノ酸配列の決定>
前記実施例2で精製したタンパク質をSDS-PAGEに供し、約86kDaのバンドの内部アミノ酸配列(配列番号5)および約50kDaのN末端配列(配列番号6)を解析した。
前記実施例2で精製したタンパク質をSDS-PAGEに供した後、PVDF膜へブロッティングした。CBB染色により確認された約86kDaのタンパク質バンドについて、トリプシン処理を行った。HPLCによりタンパク質消化物を分離し、得られたタンパク質ピークの1部のアミノ酸配列について、解析を行った(配列番号5)。また、CBB染色により確認された約50kDaのタンパク質バンドについて、N末端アミノ酸配列を解析した(配列番号6)。
<実験例12:cDNA断片の取得>
前記実施例11で得られたアミノ酸配列情報を用いて、前記実施例2で精製したタンパク質をコードするcDNAの取得を行った。
約86kDaのバンドの内部アミノ酸配列(配列番号5)を元に、配列番号7のDegenerate Primer(Primer (1))を作製した。
一方、約86kDaタンパク質のアミノ酸配列をBLASTサーチしたところ、β-ガラクトシダーゼBがヒットした。そこで、β-ガラクトシダーゼB遺伝子で保存されているアミノ酸配列を元に、配列番号8のDegenerate Primer(Primer (2))を作製した。
また、テンプレートはTeratosphaeria acidothermaより調製した。液体培養により得られたTeratosphaeria acidothermaの菌体を回収し凍結した後、凍結乾燥により乾燥した。乾燥菌体にビーズを添加し、ビーズショッカーにより菌体を粉砕した。粉砕した菌体について、DNeasy Plant Mini Kit (QIAGEN製)を使用しGenomeを回収した。このGenomeをテンプレートとして使用した。
プライマーとして前記で作製した配列番号7のPrimer (1)及び配列番号8のPrimer (2)を、テンプレートとして前記で調製したTeratospharia acidothermaのGenomeを用いて、PCRにより遺伝子の増幅を行なった。DNA Polymeraseはタカラバイオ製のTaKaRa Taqを使用した。なお、反応は下記表4に示す組成及び下記表5に示す条件で行なった。
PCR反応液をアガロース電気泳動に供し、エチジウムブロマイドで染色して、UV下で増幅したDNAバンドの確認を行なった。約1,600bpのDNAバンドを切り出し、アガロースゲルからDNAを抽出した。抽出したDNAをpGEM-T Easy Vector Systems(プロメガ製)を使用してTAクローニングした。TAクローニング反応液でE. coli JM109を形質転換し、目的DNAが導入されたプラスミドを獲得した。プラスミドへ導入されたDNAの塩基配列を解読し、前記実施例2で精製したタンパク質をコードする遺伝子の一部の塩基配列を明らかにした。得られた塩基配列情報を元に目的遺伝子全長配列の決定を試みた。得られた塩基配列を元に、配列番号9〜15のPrimer (3)〜(9)(primer (5)の5’末端はリン酸化)を設計した。
[3’末端塩基配列の決定]
次に、前記で明らかにした遺伝子部分配列よりさらに下流の3’末端塩基配列について、決定を行なった。3’末端塩基配列を得るにあたり、まず、前記実施例2で精製したタンパク質をコードする遺伝子のcDNAの取得を行なった。
Teratosphaeria acidothermaを、前記表1に示す培地を用いて、以下のように培養した。調製した500mL容坂口フラスコ液体培地へ、Teratosphaeria acidotherma胞子懸濁液を接種し、前培養を行なった。30℃、回転数120rpmで2日間培養した後、前培養液100mLを新たな3L容平底フラスコ液体培地へ接種し、本培養を行なった。30℃、回転数115rpmで1日間培養した後、ろ紙ろ過により菌体を回収した。
回収した菌体はすぐに液体窒素により凍結を行なった。凍結した菌体から、RNeasy Plant Mini Kit(QIAGEN製)を使用してTotal RNAを抽出した。得られたTotal RNAをテンプレートとして、cDNAの合成を行なった。cDNAの合成は、Prime Script(登録商標)RT-PCR Kit(タカラバイオ製)を使用し、以下の方法で行った。
まず、下記表6に示す反応組成を調製し、65℃で5分間反応を行なった。反応後、4℃に冷却した。
次いで、反応の終了した前記表6に示す反応組成に、下記表7に示す反応組成を添加し、下記表8に示す反応条件下で反応を行なった。
合成したcDNAをテンプレートとして、Primer (3)及びPrimer (4)を用いて、下記表9に示す組成及び下記表10に示す反応条件でPCRを行い、目的酵素遺伝子の3’末端部分のDNAを増幅した。なお、DNA Polymeraseはタカラバイオ製のTaKaRa Taqを使用した。
PCR反応液をアガロース電気泳動に供し、エチジウムブロマイドで染色して、UV下で増幅したDNAバンドの確認を行なった。約2,000bpのDNAバンドを切り出し、アガロースゲルからDNAを抽出した。抽出したDNAを、pGEM-T Easy Vector Systems(プロメガ製)を使用してTAクローニングした。TAクローニング反応液でE. coli JM109を形質転換し、目的DNAが導入されたプラスミドを獲得した。プラスミドへ導入されたDNAの塩基配列を解読し、導入されたDNAが、前記実施例2で精製したタンパク質をコードする遺伝子の3'末端領域を含むcDNAの一部の断片であることを明らかにした。
[5’末端塩基配列の決定]
一方、得られた遺伝子部分配列よりさらに上流の5’末端塩基配列の決定には5’-RACE法を用いた。5’-Full RACE Core Set(タカラバイオ製)を用い、前記で得たTotal RNAから目的DNAの取得を試みた。
まず、下記表11に示す反応組成A及び下記表12に示す反応条件で、反応を行なった。
反応を終了した前記反応組成Aを用いて、下記表13に示す反応組成Bを調製した。この反応組成Bについて、30℃で1時間の反応を行った。
前記反応終了後、エタノール沈殿によりDNAの回収を行なった。エタノール沈殿により回収したDNAに、下記表14に示す反応組成Cを添加し、15℃で15時間の反応を行なった。
前記反応が終了した反応組成Cをテンプレートとして、Primer (6)及びPrimer (7)を用いて、下記表15に示す反応組成D及び下記表16に示す反応条件下にて、PCRを実施した。なお、DNA Polymeraseはタカラバイオ製のTaKaRa LA Taqを使用した。
前記反応が終了した反応組成Dをテンプレートとして、Primer (8)及びPrimer (9)を用いて、下記表17に示す反応組成E及び下記表18に示す反応条件下にて、更にPCRを行った。なお、DNA Polymeraseはタカラバイオ製のTaKaRa LA Taqを使用した。
前記反応組成EでのPCR反応液をアガロース電気泳動に供し、エチジウムブロマイドで染色して、UV下で増幅したDNAバンドの確認を行なった。約1,800bpのDNAバンドを切り出し、アガロースゲルからDNAを抽出した。抽出したDNAを、pGEM-T Easy Vector Systems(プロメガ製)を使用して、TAクローニングした。TAクローニング反応液でE. coli JM109を形質転換し、目的DNAが導入されたプラスミドを獲得した。プラスミドへ導入されたDNAの塩基配列を解読し、導入されたDNAが、前記実施例2で精製したタンパク質をコードする遺伝子の5’末端領域を含むcDNAの一部の断片であることを明らかにした。
以上で獲得した前記タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列を整列化し、前記タンパク質をコードする遺伝子の全長塩基配列(配列番号16)および前記タンパク質のアミノ酸配列(配列番号17)を決定した。
<実験例14:Genome中での塩基配列の決定>
前記実験例13で得た全長塩基配列(配列番号16)の情報を元に、配列番号18のPrimer (10)及び配列番号19のPrimer(11)を設計した。Teratosphaeria acidothermaのGenemoをテンプレートとし、Primer (10)(配列番号18)及びPrimer(11)(配列番号19)を用いてPCRを行い、前記タンパク質をコードする遺伝子のGenome中での塩基配列を決定した(配列番号20)。
本発明に係るタンパク質は、空腹時における胃内において安定であり、かつ、食中食後の胃内において、高い活性を示す。そのため、これを有効成分とする酵素製剤、医薬品組成物、医薬部外品組成物又は食品組成物を、食前に摂取することを可能とし、さらに、食中食後においても非常に高い乳糖分解作用を実現することができる。その結果、乳糖不耐症における酵素製剤等の服用方法の選択の幅が広がり、かつ、乳糖不耐症により症状を効果的に抑制することが可能となる。

Claims (14)

  1. 次の理化学的性質を有するタンパク質。
    (1)作用:ラクトースをグルコースとガラクトースに加水分解する。
    (2)至適pH:pH3.0〜4.0。
    (3)安定pH範囲:pH1.5〜7.0。
    (4)至適温度:約70℃。
    (5)分子質量:約140kDa(ゲル濾過法)。
  2. さらに次の理化学的性質を有する請求項1に記載のタンパク質。
    (6)Km値:2−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシドに対して約0.19mM。
  3. Teratosphaeria属に属する微生物に由来する請求項1または2に記載のタンパク質。
  4. 前記微生物が、Teratosphaeria acidothermaである請求項3記載のタンパク質。
  5. 以下の(a)、(b)または(c)に記載のタンパク質。
    (a)配列番号17で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
    (b)配列番号17で表されるアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列からなり、ラクターゼ活性を有するタンパク質。
    (c)配列番号17で表されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、ラクターゼ活性を有するタンパク質。
  6. 請求項5に記載のタンパク質をコードする遺伝子。
  7. 以下の(a)、(b)または(c)に記載のDNAからなる遺伝子。
    (a)配列番号16で表される塩基配列からなるDNA。
    (b)配列番号16で表される塩基配列において、1から数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列からなり、ラクターゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
    (c)配列番号16で表される塩基配列と90%以上の相同性を有する塩基配列からなり、ラクターゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  8. 以下の(a)、(b)または(c)に記載のDNAからなる遺伝子。
    (a)配列番号20で表される塩基配列からなるDNA。
    (b)配列番号20で表される塩基配列において、1から数個の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列からなり、ラクターゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
    (c)配列番号20で表される塩基配列と90%以上の相同性を有する塩基配列からなり、ラクターゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  9. 請求項6から8のいずれか一項に記載の遺伝子を含有する組み換えベクター。
  10. 請求項9に記載の組み換えベクターにより宿主細胞が形質転換されてなる形質転換体。
  11. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のタンパク質を有効成分とする酵素製剤。
  12. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のタンパク質、または請求項11に記載の酵素製剤を含有する医薬品組成物、医薬部外品組成物又は食品組成物。
  13. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のタンパク質の生産能を有する微生物を栄養培地で培養して得られる培養物から、請求項1から5のいずれか一項に記載のタンパク質を採取するラクターゼ活性を有するタンパク質の製造方法。
  14. 請求項10記載の形質転換体を培地で培養し、培養物からラクターゼ活性を有するタンパク質を採取するタンパク質の製造方法。
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