JP2001506503A - フィターゼポリペプチド - Google Patents

フィターゼポリペプチド

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、フィターゼ活性を有する単離されたポリペプチド、対応するクローン化DNA配列、そのようなポリペプチドの調製方法、および多数の工業的用途へのそれらの使用に関する。特に、本発明は、担子菌門由来のフィターゼ、幾つかの共通配列を有するフィターゼおよび真菌6−フィターゼに関する。

Description

【発明の詳細な説明】 フィターゼポリペプチド発明の分野 本発明は、フィターゼ活性を有する単離されたポリペプチド、対応するクロー ン化DNA配列、前記ポリペプチドの生産方法、および多数の工業用途へのそれ らの使用に関する。詳しくは、本発明は、担子菌門由来のフィターゼ、ある共通 の配列を有するフィターゼおよび真菌6−フィターゼに関する。発明の背景 フィチン酸、即ちミオイノシトール1,2,3,4,5,6−ヘキサキスリン 酸二水素エステル(短縮してミオイノシトール六リン酸ともいう)はイノシトー ルの主要源であり、植物種子中のリン酸の主要貯蔵形態である。実際、それは種 子や穀粒の成熟の間に自然に作られる。マメ科の種子ではそれはリン酸含量の約 70%を占め、そしてイノシトールのカリウム、マグネシウムおよびカルシウム混 合塩であるフィチンとしてタンパク質組織と構造的に統合される。種子、穀粒お よび豆果は食物や飼料、特に動物試料の重要な成分である。それだけでなく、人 間の食用穀物および豆果においてもますます重要になってきている。 フィチン酸のリン酸成分は二価および三価のカチオン、例えば金属イオン、即 ちカルシウム、鉄、亜鉛およびマグネシウム並びに微量金属のマンガン、銅およ びモリブデンといった栄養上重要なイオンとキレートを作る。 一方、フィチン酸は静電的相互作用によりタンパク質もある程度 結合する。タンパク質の等電点(pI)より下のpHでは、正に帯電したタンパ ク質が直接フィターゼと結合する。pIより上のpHでは、負に帯電したタンパ ク質が金属イオンを介してフィターゼに結合する。 フィチン酸およびその塩、フィテートは、胃腸消化器系から吸収されないので 、即ちそれのリンも、キレート化した金属イオンも、結合したタンパク質も栄養 として利用できないので、それらはしばしば代謝されない。 従って、リンは全ての生物の成長にとって必須の元素であるから、食物や飼料 に無機リンを補給する必要がある。鉄やカルシウムのような栄養上必須のイオン も、頻繁に補給しなければならない。また一方で、フィチン酸によるタンパク質 の結合のために、与えられた食事の栄養価が低下する。従って、フィチン酸はし ばしば栄養阻害因子と呼ばれる。 更に、フィチン酸が代謝されないために、フィチン酸のリンが動物の胃腸管を 素通りし、糞便と共に排泄され、その結果例えば水環境の富栄養化と藻類の過剰 増殖を引き起こし、望ましくないリン酸環境汚染を引き起こす。 特に断らない限り、本明細書中で同意義にまたは無作為に使われるフィチン酸 またはフィテートという用語は、フィターゼにより分解されるものである。 フィチン酸を含む植物種子の大部分には、内因性フィターゼ酵素も見つかる。 それらの酵素は種子の発芽の間に形成され、そしてリン酸を遊離させ、そして植 物の生長の間に使われる遊離のミオイノシトールを最終生成物として遊離させる 目的を果たす。 摂取すると、食物または飼料成分のフィターゼは理論上は問題の種子の内因性 植物フィターゼにより、腸内の微生物叢に由来するフ ィターゼにより、および腸粘膜のフィターゼにより、加水分解可能である。しか しながら実際は、内因性植物フィターゼと腸粘膜フィターゼ(存在する場合)の 加水分解力は、フィテートの結合成分または構成成分の生物学的利用性(バイオ アベイラビリティ)を有意に高めるのに十分とは決して言えない。しかしながら 、食物または飼料を製造する工程が発芽、醗酵または浸漬を含む場合、内因性フ ィターゼがより一層フィテートの分解に役立つかもしれない。 ウマやウシのような反芻動物または多胃動物では、胃腸系がフィチン酸を分解 できる微生物を有する。しかしながら、ヒト、家禽およびブタのような単胃動物 の場合にはそうでない。したがって、そのような単胃動物に関しては主として上 述の問題が主として重大である。 植物並びに微生物によるフィターゼの生産は既に報告されている。微生物の中 でフィターゼ産生細菌並びにフィターゼ産生真菌が知られている。 植物界からは例としてふすまフィターゼが知られている 〔Thomlinson他、Biochemistry,1(1962),161-171〕。ユリ花粉からのアルカ リ性フィターゼがBarrientos他、Plant Physiol.,106(1994),1489-1495により 記載されている。 細菌の中では、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)由来のフィターゼ (Paver & Jagannathan,1982,J.of Bacteriology 151:1102-1108)およびシ ュードモナス(Pseudomonas)由来のフイターゼ(Cosgrove,1970,Australian Journal of Biological Sciences 23:1207-1220)が記載されている。更に、Gre iner他(Arch.Biochem.Biophys.,303:107-113,1993)によりE.コリ(Esch erichia coli )由来のフィターゼが精製されそして特徴付けられている。しかし 、この酵素はおそらく酸性ホスファターゼで あろう。 サッカロミセス・セレビシェ(Saccharomyces cerevisiae)のようなフィター ゼ産生酵母も記載されている(Nayini他,1984,Lebensmittel Wissenschaft un d Technologie 17:24-26)。しかしなから、この酵素はおそらくミオイノシトー ルモノホスファターゼであろう(Wodzinski他、Adv.Appl.Microbiol.,42:263 -303)。オーストラリア国特許出願公開AU-A-24840/95は、酵母シワンニオマイ セス・オシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)のフィターゼのクロー ニングと発現を記載している。 フィターゼ産生糸状菌の記載が幾つかあるけれども、それは真菌の子嚢菌門( 子嚢菌亜門)に属するものだけである。特に、アスペルギルス・テレウス(Aspe rgillus terreus )のようなアスペルギルス属のフィターゼ産生子嚢菌類につい ての記載は幾つかある(Yamada他,1986,Agric.Biol.Chem.322:1275-1282) 。また、アスペルギルス・ニガー変種アワモリ(Aspergillus niger var. awamo ri)からのフィターゼ遺伝子のクローニングと発現も記載されている(Piddingt on他,1993,Gene 133:55-62)。ヨーロッパ特許EP 0 420 353は、アスペルギル ス・フィクウム(ニガー)(Aspergills ficuum)からのフィターゼのクローニ ングと発現を記載している。ヨーロッパ特許EP 0 684 313は、子嚢菌亜門のミセ リオフトラ・テルモフィラ(Myceliophthora thermophila)およびアスペルギル ス・テレウス(Aspergillus terreus)のフィターゼのクローニングと発現を記 載している。フィターゼの命名法および位置特異性 本明細書中では、フィターゼはフィテート(ミオイノシトール六リン酸)から (1)ミオイノシトールおよび/または(2)それのモノ−、ジ−、トリ−、テトラ− および/またはペンタ−リン酸エステルお よひ(3)無機リン酸への加水分解を触媒する酵素てある。下記では、短縮して、 上記化合物をしばしばそれぞれIP6,I,IP1,IP2,IP3,IP4, IP5およびPと記載する。これは、フィターゼの作用により、IP6が、Pと IP5,IP5,IP3,IP2,IP1およびIのうちの1または複数成分に 分解されることを意味する。あるいは、p,q,r…の位置に結合した合計n個 のリン酸基を有するミオイノシトールをIns(p,q,r…)Pnと表す。便 宜上、Ins(1,2,3,4,5,6)P6(フィチン酸)をPAと略す。 酵素命名データベースExPASy〔EC(酵素分類)番号が提供されている特徴付 けられた酵素の各種を記載している国際生化学および分子生物学連合(IUBMB) の命名法委員会の推奨に主に基づいた酵素の命名に関する情報の宝庫〕によると 、2種類の異なる型のフィターゼ:いわゆる3−フィターゼ(ミオイノシトール 六リン酸3−ホスホヒドロラーゼ、EC 3.1.3.8)と、いわゆる6−フィターゼ( ミオイノシトール六リン酸6−ホスホヒドロラーゼ、EC3.1.3.26)が知られてい る。3−フィターゼは3位のエステル結合を最初に加水分解し、そして6−フィ ターゼは6位のエステル結合を最初に加水分解する。イノシトールリン酸命名法 フィチン酸に対して作用するフィターゼの一次加水分解生成物を考えると、生 成するエステルはジアステレオマーのものもあり、また鏡像体であるものもある 。一般に、ジアステレオマーは異なる物性を有するので、それらを区別すること は容易であるが、一方で、互いに鏡像である鏡像体間を区別することはずっと難 しい。 よって、Ins(1,2,4,5,6)P5(3−リン酸が除去されたもの) とIns(1,2,3,4,5)P5(6−リン酸が 除去されたもの)はジアステレオマーであるから容易に区別できるが、一方でI ns(1,2,4,5,6)P5(3−リン酸が除去されたもの)とIns(2 ,3,4,5,6)P5(1−リン酸が除去されたもの)は鏡像体である。In s(1,2,3,4,5)P5(6−リン酸が除去されたもの)とIns(1, 2,3,5,6)P5(4−リン酸が除去されたもの)のペアにも同じことが当 てはまる。従って、フィターゼにより触媒される加水分解の第一段階から生じる 6つの五リン酸エステルのうち、2−,3−,5−および6−リン酸が除去され たエステル間だけか区別でき、すなわち、4つのジアステレオマーだけを有し、 残りの2つの各エステルは上記化合物のうちの1つの鏡像体である(4−と6− が鏡像体であり、1−と3−が鏡像体である)。最低ローカント法則の使用 Ins(2,3,4,5,6)P5およびIns(1,2,3,5,6)P5の 表記を使う時、ミオイノシトールの原子の番号付けに関する従来の推奨は緩和さ れる。この最低ローカント法則(lowest-locant rule;置換基の位置を示す数字 や記号、例えば2−リン酸の2などが最低になるように命名する規則)の緩和は 、著者が構造的関係を明らかにしたいと思う時は常に、国際生化学連合の命名法 委員会により勧められる〔Biochem.J.(1989)258:1-2〕。 この最低ローカント法則では、L−およびD−命名法が推奨される:ミオイノ シトールのリン酸エステルであるイノシトールリン酸は通常、1D−(またはI L−)Ins(r,s,t,u,w,x)Pnと表示され、ここでnはリン酸基 の数を示し、ローカントr,s,t,u,wおよびxはそれらの位置を示す。そ れらの位置は上述した国際生化学連合の命名法委員会(NC−IUB)(および本明 細書中の参考文献)に従って番号付けられ、そしてIDおよびILは、 置換基が最低の可能なローカント記号または数字を有するように(「最低ローカ ント法則」)用いられる。従って、IL−ミオイノシトール−1−リン酸〔IL −Ins(1)P、イノシトールの生合成の中間生成物〕およびID−ミオイノ シトール−1−リン酸〔ID−Ins(1)P、リン脂質の一成分〕は、図38か ら明らかなように番号付けられる。フィターゼ特異性 上述したように、フィターゼは、最初の加水分解段階におけるそれらの特異性 に従って、即ちリン酸エステル基が最初に加水分解される特異性に従って分類さ れる。 既知フィターゼの特異性に関しては、植物フィターゼは一般に6−フィターゼ であると言われている。しかしながら、ユリ花粉フィターゼは5−フィターゼで あると言われている。微生物由来のフィターゼは主に3−フィターゼであると言 われている。例えば上述したExPASyデータベースは、3−フィターゼとしてアス ペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)(株ALK0243)とアスペルギル ス・ニガー(Aspergillus niger)(株NRRL 3135)の4つのフィターゼを照会 している〔Gene 133:55-62(1993)およびGene 127:87-94(1993)〕。 ここでD/L表記(D−およびL−配置は1位について言う)を使うと、ふす まフィターゼはL−6位のリン酸エステル基を最初に加水分解するが、一方3− フィターゼはD−3位のリン酸エステル基を最初に加水分解する。 特異性は幾つかの方法で、例えはHPLCによりまたはNMR分光法により調 べることができる。しかしながら、加水分解生成物のD−Ins(1,2,3, 4,5)P5とL−Ins(1,2,3,4,5)P5は鏡像体であり、従ってそ れらは同一のNMRスペク トルを有するので、それらの方法は例えばD−6位とL−6位のリン酸エステル 基の加水分解をすぐには区別できない。 言い換えれば、本明細書中では6−フィターゼはL−6−フィターゼもしくは D−6−フィターゼのいずれか一方または両方を意味し、即ちフィターゼはL− 6−フィターゼ、D−6−フィターゼまたは〔(D−6−)+(L−6−)〕フ ィターゼ(両方の活性を有する)である。後者は時々D/L−6−フィターゼと も呼ばれる。発明の要約 本発明の目的は、特に熱安定性の増加またはフィテートからのリン酸の遊離の 迅速化といった優れた性質を有し、且つ商業的に有用な量で生産させることがで きる、代わりのフィターゼを提供することである。 驚くべきことに、本発明者らは興味深い性質を有する真菌フィターゼの全サブ ファミリーを発見した。このフィターゼサブファミリーは、共通の部分配列(共 通配列)または高度の保存領域を有することにより特徴付けられる。このサブフ ァミリーの代表は、例えば位置特異性や比活性のような様々な酵素性質に関して 、既知のフィターゼに比べて有利であることがわかった。 本発明のフィターゼ共通配列は全ての担子菌類フィターゼに共通であると今の ところ期待される。 本明細書中、担子菌類は担子菌門の微生物を意味する。この担子菌門は、例え ば子嚢菌門(「子嚢菌類」)と一緒に真菌界に含まれる。Julich,1981,Higher Taxa of Basidiomycetes;Ainsworth & Bisby,1995,Dictionary of Fungi;Han sen & Knudsen編,Nordic Macromycetes,第2巻(1992)および第3巻(1997) を参照のこと。あるいは、下記のアドレスでワールドワイドウエッブ(WWW) 上からインターネットにより、真菌分類学データベース(NIH Data Base(Entrez))が入手できる:http://www3.ncbi.nlm.nih.gov/Taxonomy/tax. html。 PCRを使ったそのようなフィターゼのスクリーニング方法も与えられ、組換 えDNA技術を使ってそれらのフィターゼ酵素を単離および生成する一般手順も 与えられる。 第一の面では、本発明はフィターゼ活性を有し且つ担子菌門に由来する単離さ れたポリペプチドに関する。 第二の面では、本発明はフィターゼ活性を有し且つ数個の共通配列の少なくと も1つを含んで成る単離されたポリペプチドに関する。 第三の面では、本発明は、フィターゼ活性を有し、且つ本明細書中に開示され た整列から誘導された適当なプライマーのセットと標的配列(例えばDNAライ ブラリー)を使ったPCR反応の生成物と高緊縮性条件下でハイブリダイズする DNA配列によりコードされる、単離されたポリペプチドに関する。 第四の面では、本発明は、6−フィターゼ活性を有し且つ真菌に由来する単離 されたポリペプチドに関する。 第五の面では、本発明は、フィターゼ活性を有し且つ5つの特異的配列に相同 である単離されたポリペプチドに関する。 更なる面では、本発明は、上記ポリペプチドをコードするクローン化DNA配 列、並びにそれらのクローン化DNA配列を含んで成るベクターおよび宿主細胞 を提供する。 本発明の範囲内では、更なる面として、フィチン酸から無機リン酸を遊離させ るための本発明のフィターゼの使用、および幾つかのより具体的な使用、並びに 、本発明のフィターゼを含んで成る組成物、特に食物および飼料並びに添加物に 関する。 一般に、本明細書中で用いる用語および表現は当業界で普通に用いられように 解釈すべきである。しかしながら、疑わしい場合、本 明細書の定義が有用であるだろう。一般定義 「フィターゼ活性を有する/示す単離されたポリペプチド/酵素」または「 離された フィターゼ」という表現は、フィターゼ活性(下記参照)を有し且つ他 の非フィターゼポリペプチドを本質的に含まない、例えばSDS-PAGEにより測定し た時に少なくとも約20%の純度、好ましくは少なくとも約40%の純度、より好ま しくは少なくとも約60%の純度、更により好ましくは少なくとも約80%の純度、 好ましくは約90%の純度、最も好ましくは約95%の純度である、任意のペプチド またはタンパク質を意味する。そのようなポリペプチドは代わりに「精製された フィターゼ」と呼称することもある。 「単離されたポリペプチド」の定義には、そのポリペプチドまたはその断片の N末端またはC末端に別のポリペプチドが融合されている、融合ポリペプチドま たは開裂可能な融合ポリペプチドも含まれる。融合ポリペプチドは、別のポリペ プチドをコードする核酸配列(またはその部分)を本発明の核酸配列(またはそ の部分)に融合せしめることにより製造される。融合ポリペプチドの製造技術は 当該技術分野で既知であり、例えば、ポリペプチドをコードするそれらのコード 配列がフレーム内にあり且つ融合ポリペプチドの発現が同じプローモーターとタ ーミネーターの調節下にあるように、それらのコード配列を連結せしめることを 含む。 「フィターゼ活性を示すポリペプチドまたは酵素」または「フィターゼ」とい う表現は、様々なミオイノシトールリン酸エステルから無機リン酸またはリンを 遊離させることができる任意の酵素を包含する。そのようなミオイノシトールリ ン酸エステル(フィターゼ基質)の例はフィチン酸およびそれの任意の塩、例え ばフィチン酸ナトリウムもしくはフィチン酸カリウムまたは混合塩である。ミオ イノシトールの−リン酸、二リン酸、三リン酸、四リン酸または五リン酸のいず れの立体異性体もフィターゼ基質として働き得る。 上記定義に従って、フィターゼ活性はそれらの基質の1つを用いる任意アッセ イを使って測定することができる。本明細書中では(特に断らない限り)、フィ ターゼ活性はFYTの単位として測定される。1FYT単位は、次の条件下て1 分あたり1マイクロモルの無機オルトリン酸を遊離する酵素の量である:pH5.5 ;温度37℃;基質0.0050モル/lの濃度のフィチン酸ナトリウム(C6H6O24P6-Na1 2 )。適当なフィターゼアッセイは実験の部に記載される。 「ポリペプチド相同性」または「アミノ酸相同性」は、2つの配列間の同一性 の程度(一致度)として決定される。相同性は、例えば適切にはGCGバージョ ン8プログラムパッケージにおいて提供されたGAP(Program Manual for the Wisconsin Package,Version 8,Genetics Computer Group,575 Science Driv e,Madison,Wisconsin,USA 53711)〔Needleman,S.B.およびWunsch,C.D.,( 1979),Journal of Molecular Biology,48,p.443-453〕のような当業界で既 知のコンピュータープログラムを使って決定することができる。ポリペプチド配 列比較のために次の設定:GAP生成ペナルティー5.0およびGAP延長ペナル ティー0.3でGAPを使った時、2つの配列は好ましくは少なくとも50%、より 好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少 なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95% 、特に少なくとも97%の同一性を示す。 本明細書中では、「6−フィターゼ」は、フィチン酸中の6位を最初に加水分 解するかまたはそれらの位置(この用語は2つの位置を包含するので、複数形を 用いる)に優先性を示すフィターゼを意味する。特に、初段階の加水分解生成物 の50%より多くが、Ins (1,2,3,4,5)P5および/またはIns(1,2,3,5,6)P5で ある。好ましくは、それらの2つの化合物が、PAの最初の加水分解段階の生成 物の少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なく とも80%、特に少なくとも90%、最も好ましくは95%より多くを占める。 他の特異性用語、例えば「3−フィターゼ」、「(3+6)−フィターゼ」「 6D−フィターゼ」および「6L−フィターゼ」は、上記と同じ好ましい態様を 含むようにそれぞれ対応して解釈すべきである。 「寄託されたE.コリ株中に存在するプラスミド中にクローニングされたDN A配列のフィターゼコード部分」および「配列表に与えられた対応するDNA配 列のフィターゼコード部分」という表現は、現在のところ同一であると考えられ 、従ってそれらは互いに交換可能に用いることかできる。 主に、DNA配列に関連して使われる「フィターゼコード部分」という語は、 フィターゼ活性を有するポリペプチド配列に翻訳される、DNA配列の領域を意 味する。これはしばしば最初の「ATG」開始コドン(mRNA中ではAUGコ ドン)とその後の最初の終止コドン(「TAA」、「TAG」または「TGA」 )との間の領域である。 しかしながら、上述したように翻訳されるポリペプチドは、しばしば、フィタ ーゼ活性を示す成熟配列に加えて、N末端シグナル配列および/またはプロペプ チド配列を含むことがある。通常、シグナル配列はポリペプチドの分泌を指令し 、そしてプロペプチドはポリペプチドの折畳みを指令する。更なる情報について は、Egnell,P.他、Molecular Microbiol.6(9):1115-1119(1992)またはStryl er,L.,“Bichemistry”W.H.Freeman and Company/New York,ISBN 0-7167-1920-7を参照のこと。従って、「フィターゼコード部分」と いう語は、翻訳されるポリペプチドの成熟部分、または複数存在するならば、そ のような成熟部分の各々に相当するDNA配列を包含するものである。 更に、フィターゼ活性をまだ幾らか保持しているポリペプチド断片をコードす るそのような配列の断片も、この定義に含めることができる。 単離されたDNA分子、あるいは「クローン化DNA配列」または「DNA構 成物」、「DNAセグメント」または「単離されたDNA配列」とは、DNAセ グメントをそれの天然の位置から、それが複製されるような別の部位へと配置転 換するために遺伝子工学において用いられる標準的クローニング技術に従ってク ローニングすることができるDNA分子または配列のことを言う。この用語は通 常、別の核酸配列を本質的に含まない、例えば、アガロースゲル電気泳動により 測定した時、少なくとも約20%の純度、好ましくは少なくとも約40%の純度、よ り好ましくは約60%の純度、更に好ましくは約80%の純度、最も好ましくは約90 %の純度、特に最も好ましくは約95%の純度である、核酸配列のことを言う。ク ローニング操作は、着目のポリペプチドをコードする核酸配列を含んで成る所望 の核酸断片を切り出し、ベクター分子中に単離し、そしてこの組換えベクターを 核酸配列の多重コピーまたはクローンが複製される宿主細胞へと導入することを 含むだろう。核酸配列はゲノムDNA、cDNA、RNA、半合成起源、合成起 源、またはそれらの任意組合せの配列であることができる。 同一性または「相同性」の程度は、適切にはGCGプログラムパッケージに提供 されたGAP(Program Manual for the Wisconsin PacKage,Version 8,1996 年8月,Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,Wisconsin,USA 53711)〔Needleman,S.B.& Wunsc h,C.D.,(1979),Journal of Molecular Biology,48,p.443-453〕のような 当業界で既知のコンピュータープログラムを使って、DNA配列比較のために次 の設定:GAP生成ペナルティー5.0およびGAP延長ペナルティー0.3でGAP を使って、測定することができる。 与えられたDNAまたはRNA配列が特定のヌクレオチドまたはオリゴヌクレ オチドプローブに「ハイブリダイズ」するかどうかを調べる適当な実験条件は、 該DNA断片またはRNAを含むフィルターを予備浸漬して5×SSC(塩化ナ トリウム/クエン酸ナトリウム)中でのハイブリダイゼーション(J.Sambrook ,E.F.Fritsch & T.Maniatis,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manua l,第2版,Cold Spring Harbor,New York)を調べ、そして該フィルターを5 ×SSC、5×デンハーツ溶液(Sambrook他,1989)、0.5%SDSおよび100μ g/mlの音波処理した変性サケ精子DNA(Sambrook他,1989)を含む溶液中で予 備ハイブリダイゼーションし、次いで10ng/mflのランダムプライムド(Feinberg ,A.P.& Vogelstein,B.(1983)Anal.Biochem.132:6-13)32P−dCTP標識(比 活性>1×109cpm/μg)プローブを含む同溶液中で約45℃で12時間ハイブリダイ セーションを行うことを含む。 次いでフィルターを2×SSC,0.5%×SDS中で少なくとも55℃(低緊縮 性)、少なくとも60℃(中緊縮性)、少なくとも65℃(中/高緊縮性)、少なく とも70℃(高緊縮性)または少なくとも75℃(超高緊縮性)にて30分間2回洗浄 する。 それらの条件下でオリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイズした分子は、 X線フィルムを使って検出される。 2つの与えられたDNA配列が或る特定の条件下でハイブリダイ ズするかしないかを理論上推測することが可能なことは知られている。 従って、上述した実験方法に代わるものとして、類似のDNA配列が上記ヌク レオチドプローブにハイブリダイズするかどうかの決定は、既知配列を有する2 つの非相同DNA配列が特定条件下で(例えばカチオン濃度および温度に関して )ハイブリダイズするであろうTm(融解温度)の理論的計算に基づくことがで きる。 非相同DNA配列の融解温度〔Tm(hetero)〕を決定するためには、まず 相同DNA配列の融解温度〔Tm(homo)〕を決定することが必要である。 十分に相補的な2つのDNA鎖(同種二重鎖形成)間の融解温度〔Tm(homo )〕は次の式を使って決定することができる。 Tm(homo)=81.5℃+16.6(log M)+0.41(%GC)− 0.61(%form)−500/L (“Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley and Sons,1995 ) 上式中、 “M”は洗浄緩衝液中のカチオンのモル濃度であり、 “%GC”はDNA配列中の塩基の総数のグアニン(G)とシトシン(C)の% であり、 “%form”は洗浄緩衝液中のホルムアミドの%であり、そして “L”はDNA配列の長さである。 上式により求められたTmは、2つの十分に相補的なDNA配列間の同種二重 鎖形成のTm〔Tm(homo)〕である。このTm値を2つの非相同DNA配列の ものに適合させるために、2つの非相同配列間のヌクレオチド配列の1%の相違 が、Tmの1℃の減少に等しいと仮定する(“Current Protocols in Molecular Biology”, John Wiley and Sons,1995)。従って、異種二重鎖形成のTm(hetero)は、 Tm(homo)から問題の類似配列と上述のヌクレオチドプローブとの相同性%差 を差し引くことにより求められる。差し引かれるべきDNA相同性%は本明細書 中に記載のようにして算出される(上記参照)。 「ベクター」という語は、「核酸構成物」、「DNA構成物」、「発現ベクタ ー」または「組換えベクター」のような用語/対象を包含するものである。 核酸構成物は、調節配列に適した条件下で適当な宿主細胞中でコード配列の発 現を指令することができる1または複数の調節配列に作用可能に連結された本発 明の核酸配列を含んで成る。 「核酸構成物」は、本明細書中では、天然に存在する遺伝子から単離されるか 、または天然に存在しないような形で組み合わされそして並置された核酸のセグ メントを含むように改変されている、一本鎖または二本鎖のいずれかの核酸分子 として定義される。 核酸構成物という語は、核酸構成物が本発明のコード配列の発現に要求される 全ての調節配列を含む時には、発現カセットという語と同意義である。 本明細書中で定義される「コード配列」という語は、上述した調節配列の調節 下に置かれた時に、mRNAに転写されそして本発明のポリペプチドに翻訳され る配列を主として含んで成る。コード配列の境界は、通常、5’末端のところの 翻訳開始コドンATGと3’末端のところの翻訳終止コドンとにより決定される 。コード配列としてはDNA、cDNAおよび組換え核酸配列が挙げられるが、 それらに限定されない。 「調節配列」という語は、核酸配列のコード配列の発現に必要であるかまたは 有利である全ての成分を包含するものとして定義され る。各調節配列はポリペプチドをコードする核酸配列にとって生来であっても外 来であってもよい。そのような調節配列としては、リーダー、ポリアデニル化配 列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナル配列および転写ターミネーター が挙げられるが、それらに限定されない。最小限でも、調節配列はプロモーター 並びに転写および翻訳終止シグナルを含む。調節配列には、調節配列とポリペプ チドをコードする核酸配列のコード領域との連結を容易にする特定の制限部位を 導入する目的で、リンカーを提供してもよい。 発現ベクター中、フィターゼをコードするDNA配列は適当なプロモーターお よびターミネーター配列に作用可能に連結されるべきである。プロモーターは、 選択した宿主細胞中で転写活性を示す任意のDNA配列であってもよく、そして 宿主細胞にとって相同または非相同のいずれかであるタンパク質をコードする遺 伝子から得られてもよい。フィターゼをコードするDNA配列、プロモーターお よびターミネーターを連結させそしてそれらを適当なベクター中に挿入するのに 用いる方法は、当業者に周知である〔Sambrook他(1989),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NYを参照のこと〕。 組換え発現ベクターは、組換えDNA操作に便利に付すことができ且つ核酸配 列の発現をもたらすことができる任意のベクター(例えばプラスミドまたはウイ ルス)であってもよい。 本発明のポリペプチドをコードする核酸配列の複数コピーを宿主細胞中に挿入 して、核酸配列の発現を増幅することができる。核酸配列の安定した増幅は、当 該技術分野で周知の方法を使って宿主細胞ゲノム中に少なくとも1つの追加の該 配列のコピーを組み込みそして形質転換体について選択することにより、得るこ とができる。 上述した要素を連結せしめて本発明の組換えベクターを作製する のに用いる手順は当業者に周知である(例えば、Sambrook他,1989,前掲を参照 のこと)。 「宿主細胞」または「組換え宿主細胞」は、複製中に起こる突然変異のために 親細胞と同一でない、親細胞の任意の子孫を包含する。 宿主細胞は好ましくは本発明の核酸配列を含んて成るベクターを用いて形質転 換され、次いで該ベクターが宿主染色体中に組み込まれる。 「形質転換」は、ベクターが染色体組み込み物としてまたは自己複製性染色体 外ベクターとして維持されるように、宿主細胞中に本発明の核酸配列を含むベク ターを導入することを意味する。組み込みは、一般に核酸配列が細胞内に安定し て維持されるようであるから有利と考えられる。宿主染色体中へのベクターの組 み込みは、上述したような相同組換えまたは非相同組換えにより起こり得る。 宿主細胞は、単細胞微生物、例えば原核生物、または多細胞微生物、例えば真 菌生物であることができる。真核細胞の例は、哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞 または真核細胞である。有用な哺乳類細胞としては、チャイニーズハムスター卵 巣(CHO)細胞、ヘラ(HeLa)細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、 COS細胞、または例えばATCC(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクショ ン)から入手可能な多数の他の不死化細胞系が挙げられる。 好ましい態様では、宿主細胞が真菌細胞である。本明細書中で用いる「真菌」 という語は、子嚢菌門(Ascomycota)、担子菌門(Basidiomycota)、ツボカビ 門(Chytridiomycota)および接合菌門(Zygomycota)(Hawksworth他、Ainswor th and Bisby's Dictionary of The Fungi,第8版,1995,CAB International, University Press,Cambridge,UKにより定義されたような)並びに卵菌門(Haw ksworth他,1995,前掲,第171頁に言及されたよう な)および全ての有糸分裂性真菌類(Hawksworth他,1995,前掲)を包含する。 真菌細胞は、それ自体既知の方法でプロトプラスト形成、プロトプラストの形 質転換および細胞壁の再形成を含む方法により形質転換せしめることができる。 本発明はまた、本発明のフィターゼを発現または生産するように該フィターゼ をコードするDNA配列により形質転換されている、トランスジェニック植物、 植物部分(例えば植物種子)または植物細胞にも関する。組成物およびそのよう な植物または植物部分の使用、特に本発明の使用および食物/飼料請求項の系統 に沿って、それの食物および飼料としてまたはそれの添加剤としての使用も、本 発明の範囲内である。 トランスジェニック植物は、双子葉類または単子葉類(省略して双子葉または 単子葉)であることができる。主に着目されるのは、潜在的に食物または飼料成 分であり且つフィチン酸を含むそのような植物である。飼料成分の通常のフィチ ン酸レベルは0.1〜100g/kg、より普通には0.5〜50g/kg、最も普通には0.5〜2 0g/kgである。単子葉植物の例は、イネ科牧草類、例えば牧草(ブルーグラス、 Poa)、飼料牧草、例えばウシノケグサ(Festuca)、ドクムギ(Lolium)、寒地 型牧草、例えばコヌカグサ(Agrostis)、並びに穀類、例えば小麦、エンバク、 ライ麦、大麦、米、ジャガイモおよびトウモロコシ(コーン)である。 双子葉植物の例は、マメ科植物、例えばハウチワマメ、エンドウマメ、インゲ ンマメおよびダイズ;並びにアブラナ科(Brassicaceae)、例えばカリフラワー 、油料種子および近縁モデル生物アラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thal iana )である。 そのようなトランスジェニック植物等は自身のフィチン酸を分解 することができ、従って、そのような植物を含む食物や飼料にそのような酵素を 添加する必要はない。好ましくは、植物または植物部分(例えば種子)は、酵素 分解速度を実用に適するようにするために、粉砕または精白され、そして多分そ れを食物もしくは飼料に添加する前または使用する前(例えば摂取前)に浸漬さ れるだろう。 所望であれば、植物から植物が産生した酵素を回収することもできる。場合に よって、その後行われるペレット化工程で熱安定性組成物を獲得するために、植 物からの回収が好ましいこともある。 植物部分の例は茎、カルス、葉、根、果実、種子、塊茎などである。しかし、 いずれの植物組織もこの定義に包含される。 組織の起源が何であれ、どんな植物細胞でも上記植物細胞の定義に包含される 。 そのような植物、植物部分および植物細胞の子孫も本発明の範囲に含まれる。 当業者は、例えば酵素を組織特異的な形で分泌させるべきかどうかに注意を払 いながら、問題の植物中に挿入するためのDNA発現構成物を作製する方法を知 っているだろう。この評価に適するのは、植物の発現コンパートメント中でのフ ィターゼの安定性(pH安定性、内因性プロテアーゼによる分解性など)である 。当業者は、プロモーターやターミネーター配列のような適当な調節配列、並び に必要ならばシグナル配列やトランジット配列を選択することもできるだろう( Taque他,Plant Phys.,86,506,1988)。 植物や植物部分等は、任意の既知の方法を使ってこのDNA構成物により形質 転換せしめることができる。そのような方法の例は、ウイルスまたは細菌ベクタ ー、例えば本発明のフィターゼをコードする遺伝子を含んで成るように遺伝子操 作されたアグロバクテリウム属(Agrobacterium)の細菌種のベクターによる形 質転換である。 植物細胞または植物組織中にフィターゼDNAを直接導入する方法、例えばマイ クロインジェクションやエレクトロポレーションも当該技術分野で知られている (Gasser他,Science,244,1293;Potrylus,Bio/Techn.8,535,1990;Shimamo to他,Nature,338,274,1989)。 形質転換後、当業者に既知の任意の方法を使って形質転換体がスクリーニング され、その後、それらが完全植物へと再生される。 それらの植物等およびそれらの子孫は、それらの遺伝装置の一部としてフィタ ーゼをコードするDNAを担持している。 一般に、WO 91/4782AおよびWO 91/14772Aを参照されたい。 アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)媒介 遺伝子伝達は、トランスジェニック双子葉植物を作製するのに好まれる方法であ る(概説については、Hooykas & Schilperoort,1992,Plant Mol.Biol.19:15 -38を参照のこと)。 宿主域限界のために、A.ツメファシエンスの助けによって単子葉植物を形質転 換することは通常不可能である。よって、別の方法を使わなければならない。ト ランスジェニック単子葉植物を作製するのに一般に好まれる方法は、胚カルスま たは発育中の胚の粒子衝撃(形質転換用DNAをコーティングした微視的金粒子 またはタングステン粒子)である(Christou,1992,Plant J.2:275-281;Shima moto,1994,Curr.Opin.Biotechnol.5:158-162;Vasil他,1992,Bio/Technol ogy 10:667-674)。 遊離DNAをそれらの植物中に導入する別の方法、例えばウイルスベクター( Joshi & Joshi,1991,FEBS Lett.281:1-8)、ポリエチレングリコールを用い たプロトプラスト形質転換またはエレクトロポレーション(概説についてはPoty rkus,1991,Annu.Rev.Plant Physiol.Plant Mol.Biol.42:205-225)、葉 肉プロトプラ スト中へのDNAのマイクロインジェクション(Crossway他,1986,Mol.Gen. Genet.202:79-85)、および穀類植物の幼花分げつ枝中へのDNAのマクロイン ジェクション(de la Pena他,1987,Nature 325:274-276)もまた好ましい方法 である。 一般に、本発明のフィターゼをコードするcDNAまたは遺伝子は、標的植物 中で活性である適当なプロモーターと適当なターミネーター(転写の終結)から 成る発現カセット(例えばPietrzak他,1986,Nucleic Acids Res.14:5857-586 8)中に置かれる。このカセット(もちろん適当な選択マーカーも含む;下記参 照)を用いて、単子葉植物の場合には粒子衝撃によるなどして、植物が形質転換 される。双子葉植物の場合には、T−DNAボーダーと適当な選択マーカーを提 供する適当なベクター中に発現カセットを導入し、次いでそのベクターを用いて アグロバクテリウム・ツメファシエンスを形質転換せしめる。次いで、標準プロ トコール(例えばAkama他,1992,Plant Cell Reports 12:7-11)に従って、T −DNAにより隣接された発現カセットと選択マーカーを含むアグロバクテリウ ムにより、双子葉植物が形質転換されるだろう。アグロバクテリウムから植物細 胞へのT−DNAの伝達が最近概説されている(Zupan & Zambryski,1995,Pla nt Physiol.107:1041-1047)。アグロバクテリウムによる植物形質転換のため のベクターは市販されているか、またはそのようなべクターを作製する多数の研 究所から入手することができる(例えば、Deblaere他,1985,Nucleic Acids Re s.13:4777-4788:概説についてはKlee他,1987,Annu.Rev.Plant Physiol.38 :467-486を参照のこと)。 入手可能な植物プロモーター:操作方法によって、器官および/または細胞特 異的発現並びに適当な発育および環境制御が要求される。例えば、トウモロコシ 内胚乳などにおいてフィターゼcDNA を発現させることが望ましい。最も汎用されるプロモーターは構成的35S-CaMV( カリフラワーモザイクウイルス)プロモーターである(Franck他,1980,Cell:2 85-294)。発現は植物全体を通して大体等しいだろう。このプロモーターは除草 剤および病原体耐性植物を作製するのに好結果に用いられている(概説について はStitt & Sonnewald,1995,Annu.Rev.Plant Physiol.Plant Mol.Biol.46 :341-368を参照のこと)。種子、ジャガイモ塊茎および果実のような埋没貯蔵組 織(Edwards & Coruzzi,1990,Annu.Rev.Genet.24:275-303)並びに分裂組 織のような埋没代謝組織(Ito他,1994,Plant Mol.Biol.24:863-878)につい て器官特異的プロモーターが報告されている。 形質転換された宿主細胞を培養するのに使われる培地は、問題の宿主細胞を増 殖するのに適当な任意の常用培地であることができる。発現されたフィターゼは 、便利には培地中に分泌され、そして遠心分離や濾過により培地から細胞を分離 し、次いでイオン交換クロマトグラフィーやアフィニティークロマトグラフィー 等のようなクロマトグラフィー手段により精製することを含む周知の方法により そこから回収されてもよい。 好ましい宿主細胞は、フザリウム(Fusarium)、トリコデルマ(Trichoderma )またはアスペルギルス(Aspergillus)の菌株、特にフザリウム・グラミネア ルム(Fusariumgraminearum)、フサリウム・ベネアタム(Fusarium veneatum )、フザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、PCT/US95/07743に記載の ようなフザリウムATCC 20334の同定用特徴を有するフザリウム種、トリコデルマ ・ハージアナム(Trichoderma harzianum)またはトリコデルマ・リーセイ(Tr ichodermareesei )、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)またはア スペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae)である。図面の簡単な説明 本発明の詳細な説明において、下記の図面を参照すべきである。 図1 ペニオフォラ・リシイ(Peniophora lycii)からのphyA cDNAのヌクレオチド 配列およびPHYAフィターゼの推定一次構造(シグナルペプチドは枠で囲まれ、cD NAクローニングに使われる制限部位には下線が引かれている)。 図2 図1と同様に記載した、アグロキベ・ペディアデス(Agrocybe pediades)か らのフィターゼのヌクレオチド配列である。 図3 シグナルペプチドのSignalP V1.1推定部分を枠で囲むこと以外は図1と同様に 記載した、パキシルス・インボルタス(Paxillus involtus)からの第一のフィ ターゼPHYA1のヌクレオチド配列。 図4 図3と同様に記載した、パキシルス・インボルタス(Paxillus involtus)か らの第二のフィターゼPHYA2のヌクレオチド配列。 図5 図3と同様に記載した、トラメテス・ピュベセンス(Trametes pubescense) からのフィターゼのヌクレオチド配列。 図6 図1〜5のヌクレオチド配列によりコードされるフィターゼの推定アミノ酸配 列の整列であり、該配列の少なくとも3つ配列に同一である残基が灰色の箱によ り指摘されている。 図7 全て真菌の子嚢菌門に属する5つの既知のフィターゼと一緒の図6の5つのフ ィターゼの整列であり、該配列の少なくとも7つの配列に同一である残基が灰色 の箱により指摘されている。 図8 ペニオフォラフィターゼのpH活性曲線。 図9 それのpH安定性曲線。 図10 それの温度−活性曲線。 図11 それの温度−安定性曲線。 図12 それの示差走査熱量測定(DSC)曲線。 図13〜14 それぞれ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)およびペニオフォ ラのフィターゼの生成物プロフィールを示す、NMRスペクトルの積み重ねプロ ット(24時間まで)。 図15〜16 上記と同様であるが、4.5時間までのNMRスペクトルの積み重ねプロット。 図17〜19 それぞれ、20分後(pH5.5)、24時間後(pH5.5)および20分後(pH3.5)に観 察されたNMRプロフィール。 図20 それぞれIns(1,2)P2およびIns(2)Pの濃度の経時変化を示す 曲線。 図21〜22 それぞれpH5.5とpH3.5でのトウモロコシからの無機リン酸の遊離の経時変化を 示す曲線。 図23 アグロキベフィターゼのpH−活性曲線。 図24 それのpH安定性曲線。 図25 それの温度−活性曲線。 図26 それの温度−安定性曲線。 図27 それの示差走査熱量測定(DSC)曲線。 図28〜29 それぞれ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)およびアグロキベ (Agrocybe)のフィターゼの生成物プロフィールを示す、NMRスペクトルの積 重ねプロット(24時間まで)。 図30〜31 上記と同様であるが、4.5時間までのNMRスペクトルの積み重ねプロット。 図32〜33 それぞれ、20分後および24分後に観察されたNMRプロフィール。 図34〜35 それぞれIns(1,2)P2およびIns(2)Pの濃度の経時変化を示す 曲線。 図36〜37 それぞれpH5.5とpH3.5でのトウモロコシからの無機リン酸の遊離の経時変化を 示す曲線。 図38 ID−およびIL−ミオイノシトール−1−リン酸の構造(P=−OPO3 2-微生物寄託 本発明のフィターゼか得られたペニオフォラ・リシイ(Peniophora lycii)、 アグロキベ・ペディアデス(Agrocybe pediades)、パキシルス・インボルタス (Paxillus involtus)およびトラメテス・ピュベセンス(Trametes pybescens )の分離株は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約に 従って、CBS(オランダ国の3740 AG Baarn,P.O.Box 273のThe Centraalbur eau voor Schimmelcultures)に寄託した。 更に、本発明のそれらのフィターゼをコードする全長cDNA配列を含んで成 る発現プラスミド(シャトルベクター)pYES2.0をE.コリの菌株中に形質転換 せしめたものを、本発明者らは特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブ ダペスト条約に従ってDSM(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Ze llkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D-38124 Braunschweig,ドイツ連邦共 和国)に寄託した(パキシルス・インボルタスのフィターゼは2種)。 発明の詳細な説明 担子菌類由来の本発明のフィターゼは、好ましくは、腹菌鋼(Gasteromycetes )、帽菌鋼(Hymenomycetes)、サビ菌鋼(Urediniomycetes)、クロボシ菌鋼( Ustilaginomycetes)または未分類の担子菌門に由来し、より好ましくは帽菌鋼 に由来する。 帽菌鋼由来のフィターゼは、好ましくはハラタケ目(Agaricales)、ヒダナシ タケ目(Aphyllophorales)、キクラゲ目(Auriculariales)、イグチ目(Bolet ales)、アンズタケ目(Cantharellares)、ツノタンシキン目(Ceratobasidial es)、アカキクラゲ目(Dacrymycetales)、マンネンハリタケ目(Echinodontia ceae)、ハリタケ目(Hericiales)、ウロコタケ目(Stereales)、イボタケ目 (Thelephorales)、シロキクラゲ目(Tremellales)、シラズネラ目(Tulasnel lales)の菌株または分裂胞子の帽菌鋼に由来する。 別の好ましい目はカワラタケ目(Coriolales)、Hyphodermatales、スエヒロ タケ目(Scizophyllales)、タバコウロコタケ目(Hymenochaetales)およびマ クカワタケ目(Phanerochaetales)である。 それらの目のうちの幾つかの好ましい科を下記に列挙し、そして各科の中の好 ましい属の例を各科の名前の後ろの角括弧内に加える。 ヒダナシタケ目(Aphylloophorales)の好ましい科は、タコウキン科(Polypo raceae)〔例えばホウロクタケ属(Trametes)、Bjerkandra属、ウスバタケ属( Irpex)、シロサルノコシカケ属(Oxyporus)、(Trichaptum)、ニクウチワタ ケ属(Daedalea)、ツリガネタケ属(Fomes)〕、イトダケ科(Coniophoraceae )〔例えばイドタケ属(Conilophora)〕、コウクタケ科(Corticiaceae)〔例 えばHyphoderma属、Trechispora属、ニクハリタケ属 (Steccherinum)、シワタケ属(Merulius)、カワタケ属(Peniophora)〕、ス エヒロタケ科(Schizophyllaceae)〔例えばスエヒロタケ属(Schizophyllum) 〕である。 ハラタケ目(Agaricales)の好ましい科は、オキナタケ科(Bolbitiaceae)〔 例えばフミヅキタケ属(Agrocybe)、コガサタケ属(Conocybe)、オキナタケ属 (Bolbitius)〕、ヒトヨタケ科(Coprinaceae)〔例えばヒトヨタケ属(Coprin us)、ヒカゲタケ属(Panaeolus)〕、ヒラタケ科(Pleuteaceae)〔例えばフク ロタケ属(Volvariella)〕、エツキホコリタケ科(Podaxaceae)〔例えばエツ キホコリタケ属(Podaxus)〕、キシメジ科(Tricholomaceae)〔例えばホウラ イタケ属(Marasmiellus)、シメジ属(Lyophyllum)、シワカラカワタケ属(Cy stoderma)、Merismodes属〕、モエギタケ科(Strophariaceae)〔例えばモエギ タケ属(Stropharia)、クリタケ属(Hypholoma)〕である。 キクラゲ目(Auriculariales)の好ましい科はヒメキクラゲ科(Exidiaceae) 〔例えばヒメキクラゲ属(Exidia)〕である。 ベニキクラゲ目(Dacrymycetales)の好ましい科はベニキクラゲ科(Dacrymyc etaceae)〔例えばFemsjonia属〕である。 ウロコタケ目(Streales)の好ましい科はHyphodermataceae科(例えばHyphod ontia属およびウロコタケ科(Stereaceae)〔例えばシロウロコタケ属(Amylost ereum)およびキウロコタケ属(Streum)〕である。 イグチ目(Boletales)の好ましい科は、ヒダハタケ科(Paxillaceae)〔例え ばヒダハタケ属(Paxillus)およびヒロアンズタケ属(Hygrophoropsis)〕であ る。 上記属の好ましい株の例は、ストロファリア・キュベンシス(Stropharia cu bensis )(特にATCC 13966)、アグロキベ・ペディアデス(Agrocybe pediades )(特にCBS 900.96)、ビジェルカンデラ・アダスタ(Bjerkandera adusta)( 特にCBS 580.95)、トラメテス・ゾナテラ(Trametes zonatella)、トラメテス ・ピュベセンス(Trametes pubescens)(特にCBS 100232)、パキシルス・イン ボルタス(Paxillus involtus)(特にCBS 100231)、トラメテス・ヒルスタ(Trametes hirsuta )(特にDSM 2987)、ペニオフォラ・ケルシナ(Peniophora quercina )、ハイフォデルマ・アルギラセウム(Hyphoderma argillaceum)、シ ゾフィルム種(Schizophyllum sp.)(特にCBS 443.97)、ペニオフォラ・リシ イ(Peniophora lycii)(特にCBS 686.97)、アミロステレウム・チャイレテイ (Amylostereum Chailletli)、オキシポラス種(Oxyporus sp.)(特にCBS 42 2.97)である。好ましい株の追加の例は実施例5の表6に列挙される。 請求項2のフィターゼは、配列表中に配列番号1〜14として記載される14個の 共通の部分アミノ酸配列(いわゆる共通配列)のうちの少なくとも1つを有する 。 配列表では、アミノ酸の三文字記号を使用し、幾つかのアミノ酸はXaaと記 されるが、これは一般に下記に説明するように「任意のアミノ酸」を意味する。 しかしながら、それらのXaa位置の幾つかでは、例えば位置NNのXが2つの アミノ酸のいずれかを意味するという意味の注釈が配列表中に挿入される(下記 参照)。 請求の範囲中では、それらの配列にはアミノ酸一文字記号が使われ、「X」は 、非天然アミノ酸および構造的にまたは機能的に類似した変異体を包含する、任 意のアミノ酸を表す。「〔A/E〕」〕のような表示は、アミノ酸AとEのいず れかを意味する。従って、 与えられた式の部分配列中にそのような多岐選択箇所が2個存在するならば、そ の式によりカバーされる配列の数は22個である。同様に、「N」個のそういっ た多岐選択箇所があるならば、この式によりカバーされる配列の数は2N個であ る。 配列番号1〜9は、ポリペプチドのN末端からC末端の方向で記載される。配 列番号10〜14は、実施例5において具体的に列挙されるPCRプローブに相当す るアミノ酸配列である〔それぞれ、522−センスおよび540−アンチセンス(配列 番号15);537−センス(配列番号16);538−センス(配列番号17);525−ア ンチセンス(配列番号18);および539−アンチセンス(配列番号19)プライマ ーに相当する〕。 好ましい態様では、単離されたポリペプチドは、好ましくは請求項3に指摘さ れる位置に、配列番号1〜14のうちの少なくとも2,3,4,5,6,7,8, 9,10,11,12,13または14個(全部)の配列を含んで成る。請求項3は図6の 整列に言及することもできる。 請求項4のアミノ酸配列のセットは、実施例5と6のPCR実験を反映する( 即ち提案されるプライマーセット)。 幾つかの欠失もこのフィターゼサブファミリーの特徴的であると思われる。特 定の欠失領域は請求項5に列挙される。この請求項は図6の整列を参照できる。 それらの部分配列は、図7に示された整列に基づいて同定された。この整列て は、上側に列挙されたphyA1_P.involtus,phyA2_P.involtus,phyA_T.pubesc ens、phyA_A.pediadesおよびphyA_P.lyciiの5つのフィターゼは全て担子菌亜 門由来のものであり、そして本明細書の実験の項目において報告されたようにク ローニングされた。この整列の下側に列挙された5つのフィターゼは全て子嚢 菌門由来のものであり、そしてそれらの配列は以前に報告された従来技術から既 知である。この整列に関する更なる詳細と説明については実施例4を参照された い。また、このサブファミリーのフィターゼについてスクリーニングを行う1つ の方法については実施例5を参照されたい。実施例8〜18は、本発明の5つのフ ィターゼ、即ち、ペニオフォラ・リシイ(Peniophora lycii)、アグロキベ・ペ ディアデス(Agrocybe pediades)、パキシルス・インボルタス(Paxillus in voltus )およびトラメテス・ピュベセンス(Trametes pubescens)のフィターゼ の精製と特徴づけを記載する。 請求項6〜8は、実施例5,6および7の実験に関連する。「中〜高緊縮性」 という用語に相当する条件は上記の一般定義に記載されており、即ち、洗浄条件 が2×SSCでありそして65℃の温度である。好ましくは、洗浄条件は65℃以上 の、高緊縮性、非常に高い緊縮性もしくは特に高い緊縮性に相当する例えば70, 80または85℃である。 好ましくは、PCR反応が、例えばゲノムDNAまたはcDNAであることが できる、鋳型または標的配列、例えばヌクレオチド配列を使って実施される。し かし、例えば鋳型としてmRNAを使うこともできる。ゲノムDNAは単離され てなくてもよく、PCR反応は例えば真菌の菌糸上で直接行うこともできる。 あるいは、PCR反応はそれの任意のPE変異体の野性型遺伝子を使って実施 される。特に、野性型遺伝子に対して少なくとも1つのプライマーセットを使っ て少なくとも1つのPCRバンドが得られる。 PCR反応に使う幾つかの特異的プライマーセットは実験の部分に示唆されて いる。しかしながら、当業者は担子菌類フィターゼに特徴的と思われる他の特異 的プライマーも図6の整列(担子菌類フ ィターゼ)から提案することができるはずだ。即ち、当業者は図7の整列(担子 菌類フィターゼに加えて既知の子嚢菌類フィターゼも示す)を考慮に入れるはず だ。従って、請求項6は、一般に当業者が、彼らの普通の一般知識と図6および 7の整列に基づいて担子菌類フィターゼに特異的であるとわかるようなプライマ ーに関連する。 6−フィターゼについては、本発明は、任意の真菌に由来するそのようなフィ ターゼに関する。「真菌」は上に定義した通りであり、この用語は担子菌亜門( 担子菌類)を包含する。この特異性をいかに解釈すべきかは本明細書中の一般定 義の部分に説明されている。 本明細書中では、「6−フィターゼ」の概念がD6−,L6−またはD/L−6 −フィターゼのいずれも意味することに注目されたい。驚くべきことに、そのよ うな真菌6−フィターゼが既知の真菌3−フィターゼに比べて優れた性能を有す る(6−フィターゼとしてのペニオフォラフィターゼを明らかにする実施例10〜 12を参照されたい)および既知のアスペルギルスフィターゼに比べて非常に優れ た性能を有することが判明した。特に、例えばPAの加水分解の初速度が高めら れ、そしてそれらの位置(PA中の4位および6位)がその他の位置のいずれよ りも立体的障害が少ないため、このフィターゼが6−フィターゼであるというこ とが、非常にもっともらしい説明であろう。 好ましくは真菌6−フィターゼは担子菌類フィターゼであり、より好ましくは 、「発明の詳細な説明」という項目の冒頭に記載したような鋼、亜鋼、目、属お よび株のものである。別の好ましい態様では、フィターゼがD6−フィターゼで ある。別の好ましい態様では、フィターゼがL6−フィターゼである。 請求項32〜36から明らかなように、本出願は例えば、食物および飼料における 真菌6−フィターゼの使用、そのような真菌6−フィ ターゼを含んで成る組成物、特に食品添加物および飼料添加物、並びにフィチン 酸またはフィチン酸塩から無機リン酸を遊離させるためのそのような真菌6−フ ィターゼの使用に関する。 請求項1〜8の好ましい態様では、フィターゼが(3+6)−フィターゼ、即 ちD3−/D6−;L3−/L6−;D3−/L6−;L3−/D6−フィター ゼのいずれかであり、既知のアスペルギルスフィターゼに比較して同じく優れた 性能を有するアグロキベフィターゼに関する本明細書中の実施例15〜17を参照さ れたい。 好ましくは、(3+6)−フィターゼが担子菌類フィターセであり、更により 好ましくは、「発明の詳細な説明」という表題の項目の冒頭に記載したような鋼 、亜鋼、目、属および株のものである。 更により好ましくは、(3+6)−フィターゼが記載の位置のいずれか一方に 僅かな優先性を有し、特に6位に優先性を有する。 請求項11,14,17,19および21のフィターゼは全て、配列番号22,24,26,28 および30にそれぞれ相当するアグロキベ・ペディアデス(Agrocybe pediades) 、ペニオフォラ・リシイ(Peniophora lycii)、パキシルス・インボルタス(Pa xillus involtus )(PhyA1とPhyA2)およびトラメテス・ピュベセンス(Tramet es pubescens)の単離されたフィターゼ(またはフィターゼ活性をまだ保持して いるそれらの成熟ポリペプチドまたは任意の断片)それぞれに対して50%より高 い相同性を有するである。「相同」の定義については、「一般定義」の項目を参 照されたい。既知フィターゼに対する相同性は、例えば実施例4の表1から明ら かである。好ましくは、上記に記載した断片中のアミノ酸の数が、配列表に列挙 した配列のアミノ酸の数の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、更 に好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、特に少なく とも90%である。これは本明細書中に開示 される全てのポリペプチド断片にも当てはまる。 好ましくは、本願明細書の全てのアミノ酸相同性は、少なくとも55%、または 少なくとも60%、または少なくとも65%、特に少なくとも70%である。好ましく は、相同性の程度が少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、更に好ま しくは少なくとも95%、特に少なくとも97%である。 請求項12は、アグロキベ由来の配列番号22のアミノ酸配列の任意断片に関する が、それらの断片はフィターゼ活性をまだ保持している。下記の実験の部分にお いてより詳細に記載するように(実施例13〜15)、酵母中で発現されると、アグ ロキベフィターゼ酵素の約80%がN末端アミノ酸Val(配列番号22のアミノ酸番 号27)を有し、一方で約20%がN末端アミノ酸Thr(配列番号22のアミノ酸番号2 5)を有する。アスペルギルス中で発現されると、約2/3がN末端アミノ酸Phe( 配列番号22のアミノ酸番号31)を有し、一方1/3がN末端アミノ酸Gln(配列番号 22のアミノ酸番号28)を有する。従って、少なくとも4つの成熟アミノ酸配列が 考えられる。 同様に、請求項15は、ペニオフォラ由来の配列番号24のアミノ酸配列の断片に 関するが、この断片はフィターゼ活性をまだ保持している。下記の実験の部分に おいてより詳細に記載するように、アスペルギルス中で発現されると、ペニオフ ォラフィターゼはLeu-Pro-Ile-Pro-Ala-Gln-Asn-(配列番号24のアミノ酸番号31 〜37)のN末端アミノ酸配列を有する。従って、配列番号24のアミノ酸番号31〜 439の配列が成熟フィターゼ配列であると今のところ考えられる。 請求項13,16,18,20および22は、それぞれアグロキベ・ペディアデス(Agro cybe pediades )、ペニオフォラ・リシイ(Peniophora lycii)、パキシルス・ インボルタス(Paxillus involtus)(PhyA1とPhyA2)およびトラメテス・ピュ ベセンス (Trametes pubescens)の単離されたフィターゼに相同であるフィターゼに向け られる。 これらのフィターゼは、 i) 配列番号21,23,25,27および29として配列表にそれぞれ記載されたDN A配列(パキシルス・インボルタスのphyA1とphyA2);または ii) E.コリDSM 11313,11312,11842,11843および11844中にそれぞれ存在 するプラスミドpYES2.0中にクローニングされたDNA配列;または i)もしくはii)のDNA配列に対し少なくとも50%相同であるそれらの類似体も しくは誘導体 のフィターゼコード部分によりコードされるものとして定義される。 「フィターゼコード部分」の定義については、一般定義の項目を参照されたい 。 寄託された親株からまたは寄託されたE.コリ株から、当該技術分野で既知で ある方法〔Sambrook他(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY.〕によってプラスミドD NAを抽出することにより、直接5つのDNA配列が得られる。 請求項23〜26は本発明のフィターゼをコードするヌクレオチド配列、特にDN A配列に関する。 請求項24のDNA分子は、本明細書中に与えられた特異的プライマーのうちの 少なくとも1つを含んで成る。好ましい態様では、それはそれらの配列のうちの 少なくとも2,3,4,5または6つを含んで成る。 請求項25のDNA分子は、フィターゼをコードし且つ (a) アグロキベ、ペニオフォラ、パキシルスおよびトラメネスフィ ターゼ(パキシルスのphyA1およびphyA2)の特定ヌクレオチド配列、例えば指摘 される配列番号を有する配列表に記載のDNA(またはそれの相補鎖); (b) (a)と同じ配列であるが寄託されたプラスミドクローンから発現される配列 ; (c) それらの配列に対し少なくとも55%相同である配列; (d) 低緊縮性下で(a)または(b)の配列とハイブリダイズする配列; (e) 遺伝暗号の縮重のためにハイブリダイズしないか特定のポリペプチドまた はそれのフィターゼ活性断片をコードする配列 から選ばれる。 「ハイブリダイゼーション」の定義については、好ましいハイブリダイゼーシ ョン条件も挙げられている「一般定義」の項目を参照されたい。 特徴(c)の相同性に関しては、(a)および(b)のもとに示された核酸配列に対す る相同性の程度か少なくとも約55%である(フィターゼ活性を示すポリペプチド をコードする)。特に、相同性は少なくとも60%、または少なくとも65%、特に 少なくとも70%、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90 %、更により好ましくは少なくとも約95%、最も好ましくは少なくとも約97%で ある。特に、相同性の程度は列挙された完全な配列もしくはそれらの相補鎖また は「成熟」フィターゼに相当する部分配列のいずれかに基づく。 既知フィターゼに対する本発明の特定のフィターゼのDNAの相同性は、例え ば実施例4の表1から明らかである。 ヌクレオチド請求項26はポリペプチド請求項6〜8に関連し、そしてそれらの 請求項に関して言及される対応の好ましい態様は、このDNA請求項に関しても この中に組み込まれる〔実施例5,6, および7参照;「中〜高緊縮性」は、洗浄条件が2×SSCおよび65℃の温度、 好ましくは65℃以上、例えば70,75,80または85℃であることを意味する;PC R反応は、標的ヌクレオチド配列、例えばDNA、例えばゲノムDNAまたはc DNA(またはmRNA);それらの任意のPE変異体の野性型遺伝子を用いて 実施される〕。 本発明のDNA配列は、下記の段階を含むいずれの一般方法によってもクロー ニングすることができる: ・ 適当なベクター中に、着目のフィターゼを生産すると予想される任意の生物 からのcDNAライブラリーをクローニングし、 ・ 前記ベクターを用いて適当な酵母宿主細胞を形質転換せしめ、 ・ 前記cDNAライブラリー中の1クローンによりコードされる着目の酵素を 発現させるのに適当な条件下で、前記宿主細胞を培養し、 ・ そのようなクローンにより生産された酵素のいずれかのフィターゼ活性を測 定することにより、陽性クローンについてスクリーニングし、そして ・ そのようなクローンからの酵素をコードするDNAを単離する。 一般的な単離方法は、WO 93/11249とWO 94/14953中に開示されており、その内 容が参考として本明細書中に組み込まれる。スクリーニング方法の詳細な説明は 実験の部分に与えられる。 請求項27は、図6の整列から得られるプライマー、プローブ、オリゴヌクレオ チド/DNA分子に関する。もちろん、本発明の新規フィターゼに特異的なまた は特有のプライマーだけが本明細書中に含まれ、即ち図7の整列も考慮すべきで ある(上記の請求項6〜8に対する注釈を参照)。 フィターゼ産生細胞、特に微生物を更に同定する方法が請求項31に開示される 。特に、これはフィターゼ産生微生物について選択ま たはスクリーニングする方法でもある。「細胞」の概念は、本明細書の一般定義 の項目における「宿主細胞」の用語と一般に同様に定義される。好ましい細胞は 微生物細胞、特に真菌細胞、好ましくは担子菌門の細胞である。より好ましい担 子菌類細胞は本発明の詳細な説明の冒頭部に列挙されている。 通常はゲノムDNA、cDNAまたはmRNAの形の鋳型または標的配列を提 供するために、任意の入手源、特に任意の微生物を選択することができる。 標準的反応条件を含むPCR反応に対する一般的言及は実験の部分にある。適 当なプライマーの選択に関しては、上記請求項6〜8の注釈を参照すべきである 。 好ましくは、鋳型から誘導された増幅PCR断片が特異的であることを実証す べきである。 適当な実証手順の例は下記の通りである: a) アガロースゲル中で電気泳動を行って、増幅PCR断片に相当するPCRバ ンドの存在を明らかにすること;および所望であれば更に、 b) 増幅PCR断片のサイズが予想通りであることを照査すること; および所望であれば、更に c) PCR断片またはバンドを単離しそして配列決定して、そこからプライマー を誘導した親の配列に対する相同性の程度が高いことを証明すること。 b)について:正確なサイズ一致から偏差が生じる幾つかの理由の1つはイント ロンの潜在的存在(一例:300塩基のうち50塩基)である。好ましくは、例えは 塩基の数により測定した時に増幅PCR断片(イントロンを含む)のサイズが、 プライマーの起源である親の配列(図6)中のプライマーの中間の塩基/ヌクレ オチドの数の 50〜150%、60〜140%、70〜130%、80〜120%、85〜115%、90〜110%、95〜10 5%の範囲内である。別の好ましい態様では(イントロンを除く)、増幅PCR 断片のサイズがプライマーを誘導した親の配列(図6)中のプライマーの中間塩 基の数の80〜120%、85〜115%、90〜110%、95〜105%の範囲内である。 c)について:好ましくは、相同性の程度が50,60,70,75,80,85,90,95% 相同性より大きい(上述のように決定した時)。あるいは、増幅PCR断片が、 使用するプライマー中に少なくとも1つの保存領域を含むかどうかを調べる。前 記保存領域は図6に灰色の陰影が付けられている。好ましくは、該断片がそのよ うな保存領域の少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ等、または全部を含んで成る 。相同性を調べる別の方法は、図6の親の配列に特徴的な欠失領域の有無を調べ ることによる方法である。相同性を調べる更に別の方法は、保存領域間の特徴的 な距離を調べることである(例えば請求項5参照)。 請求項34はフィターゼポリペプチドを調製する方法に関し、この方法は請求項 31の前記スクリーニング方法から必然的に生じる。 請求項34の段階a)+d)は、野性型細胞、特に微生物株からのフィターゼの調製 に関する。 段階b)+d)は、a)において同定されたフィターゼ産生細胞(特に微生物)から の完全なフィターゼをコードする遺伝子をクローニングし、そして任意の一般的 組換えDNA技術、例えば上述した通りにそして例えばManiatis(前掲)を一般 的に参照して、この遺伝子を非相同または相同宿主細胞中に移入することに関す る。 段階c)+d)は、フィターゼをコードするDNA分子(フィターゼコード遺伝子 またはフィターゼコード部分)を同定および単離するためのハイブリダイゼーシ ョンプローブとしての増幅PCR断片の 使用に関する。そのようなDNA分子は、ゲノムDNA、cDNAおよびmRN Aのようなポリヌクレオチドを含んで成る任意の入手源(標的配列、鋳型)から 単離することができる。 ハイブリダイゼーション実験および特にハイブリダイゼーション条件(好まし い条件を含む)並びに単離方法は、一般に上記に記載した通りである。 一度単離されれば、上記に一般的に記載した通りに、該DNA分子が宿主細胞 中に導入される。 最後に、本発明はまた、任意のフィターゼ基質からリン(P)を遊離させるた め(またはリンの遊離を触媒するため)、特にフィテートまたはフィチン酸から 無機リン酸を遊離させるため;あるいは、フィテートを無機リン酸と(ミオイノ シトールおよび/またはそれの一リン酸、二リン酸、三リン酸、四リン酸、五リ ン酸エステル)とに変換するための、請求項1〜22のいずれかに記載のポリペプ チドの使用に関する。この請求項は、本発明のフィターゼが以前に定義されたよ うなフィターゼ活性を発揮する任意のプロセスを包含する。 本発明に係る具体的な使用は、人間の食物もしくは動物の飼料における使用ま たはそのような組成物中への添加物における使用である。ここでフィターゼは例 えば次の目的を果たす (i) 糞便中のフィテートレベルを減少させる目的; (ii) 例えば他の状態ではフィテートにより結合されているタンパク質を利用可 能にすることによって、消化性を向上させ、生長を促進し、または食物および飼 料利用性を向上させる目的; (iii) 必須イオンやリン酸の欠乏により引き起こされる栄養失調や貧血のよう な病気を予防し、即ちミネラルの生物学的利用性を高めまたはそれの吸収を増大 させ、リン酸補給やイオンな どを加える必要性をなくす目的。 特に、本発明のフィターゼは、卵殻の質を向上させる(割れることによる損失 を減らす)ために鶏餌に使用することもできる。例えば、The Merck Veterinary Manual(第7版,Merck & Co.,Inc.,Rahway,N.J.,USA,1991,p.1268); Jeroch他,Bodenkultur,第45巻,第4号,361〜368頁(1994);Poultry Scien ce,第75巻,第1号,62〜68頁(1996);Canadian Journal of Animal Science ,第75巻,第3号,439〜444頁(1995);Poultry Science,第74巻,第5号,7 84〜787頁(1995);Poultry Science,第73巻,第10号,1590〜1596頁(1994) を参照のこと。 「飼料」および「食物」は、それぞれ動物および人間が食し、摂取し、消化す る目的のまたはそれに適した、任意の自然のまたは人工的な飲食物、食事などま たはそのような食事の成分を意味する。 フィターゼは試験管内または生体内で、即ちそれぞれ摂取前または個体の胃の 中で、その作用を発揮することができる。組み合わせた作用も可能である。 本発明のフィターゼ組成物は、必ず本発明のフィターゼを少なくとも1つ含ん で成る。 一般に、フィターゼ組成物は液体または乾燥形である。 液体組成物は、好ましくは高度に純粋な形の、フィターゼ酵素以外はそれ以上 何も含む必要はない。しかしながら普通は、グリセロール、ソルビトールまたは モノプロピレングリコールのような安定剤も加えられる。液体組成物は他の添加 物、例えば塩、糖、防腐剤、pH調節剤、タンパク質、フィテート(フィターゼ 基質)を含んでもよい。典型的な液体組成物は水性または油性スラリーである。 液体組成物は、随意それをペレット化した後に、食物または飼料に添加すること ができる。 乾燥組成物は噴霧乾燥組成物であってもよく、その場合には乾燥形態の該酵素 の他には何も含む必要はない。しかしながら普通は、乾燥組成物は、例えば食物 もしくは飼料成分と容易に混合できまたはより好ましくはプレミックスの成分を 構成することもできる、いわゆる顆粒である。酵素顆粒の粒子の大きさは、好ま しくは混合物の他の成分のものに合ったものである。これは、例えば動物飼料に 酵素を含めるための安全で且つ便利な手段を提供する。 高剪断ミキサー(例えばLodige)中での凝集形成技術を用いて凝集顆粒が調製 され、その間に充填剤と酵素が一緒に凝集して顆粒を形成する。吸収顆粒は、担 体材料のコアを提供して酵素により吸収/コーティングせしめることにより調製 される。 典型的な充填剤は硫酸二ナトリウムのような塩である。他の充填剤はカオリン 、タルク、ケイ酸アルミニウムマグネシウムおよびセルロース繊維である。所望 により、デキストリンのような結合剤も凝集顆粒に含められる。 典型的な担体は、例えばカッサバ、トウモロコシ、ジャガイモ、米および小麦 デンプンの形のデンプンでる。塩も使用され得る。 所望により、顆粒はコーティング混合物でコーティングされる。 そのような混合物は、コーティング剤、好ましくは疎水性コーティング剤、例え ば水素化パーム油および牛脂、並びに所望であれば他の添加剤、例えば炭酸カル シウムまたはカオリンを含んで成る。 その上、フィターゼ組成物は着色剤、芳香性化合物、安定剤、ビタミン類、ミ ネラル類、他の飼料または食物強化酵素などを含んでもよい。これは特にいわゆ るプレミックスに当てはまる。 「食物または飼料添加物」は、食物または飼料に添加するためのまたはそれに 適した、本質的に純粋な化合物または多成分組成物である。特に、意図する用途 により、食物もしくは飼料製品の一成分 となるものであるかまたは食物もしくは飼料製品の何らかの特性に影響を与える 物質である。それはフィターゼ組成物について上記に指摘したように構成される 。典型的な添加物は、通常、ビタミン類、ミネラル類もしくは飼料強化酵素のよ うな1もしくは複数の成分並びに適当な担体および/賦形剤を含んで成る。 好ましい態様では、本発明のフィターゼ組成物は、1もしくは複数の飼料強化 酵素、特に、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、特にラクターゼ、 別のフィターゼ、β−グルカナーゼ、特にエンド−β−1,4−グルカナーゼお よびエンド−β−1,3−(4)−グルカナーゼ、セルラーゼ、キシロシダーゼ 、ガラクタナーゼ、特にアラビノガラクタン エンド−1,4−β−ガラクトシ ダーゼおよびアラビノガラクタン エンド−1,3−β−ガラクトシダーゼ、エ ンドグルカナーゼ、特にエンド−1,3−β−グルカナーゼ、エンド−1,3− α−グルカナーゼおよびエンド−1,3−β−グルカナーゼ、ペクチン分解酵素 、特にぺクチナーゼ、ペクチンエステラーゼ、ペクチンリアーゼ、ポリガラクツ ロナーゼ、アラビナナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ラムノガラクツロナンア セチルエステラーゼ、ラムノガラクツロナン−α−ラムノシダーゼ、ペクテート リアーゼおよびα−ガラクツロニシダーゼ、マンナーゼ、β−マンノシダーゼ、 マンナンアセチルエステラーゼ、キシランアセチルエステラーゼ、プロテアーゼ 、キシラナーゼ、アラビノキシラナーゼ、並びに脂質分解酵素、例えばリパーゼ 、ホスホリパーゼおよびクチナーゼから成る群より選ばれた特定の飼料強化酵素 の有効量を更に含んで成る。 本発明の動物飼料添加物は食事の前にまたは同時に、単胃動物の胃に供給され る。好ましくは、本発明の動物飼料添加物は食事と同時に単胃動物に供給される 。より好ましい動物では、動物飼料添加 物が顆粒または安定化された液体の形で食事に添加される。 食物または飼料中のフィターゼの有効量は、約10〜20,000、好ましくは約10〜 15,000、より好ましくは約10〜10,000、特に約100〜5,000、特に約100〜約2,000 FYT/kg食物または飼料である。 本発明のフィターゼの別の特定用途の例は、大豆加工およびイノシトールまた はその誘導体の製造における使用である。 本発明はまた、動物糞便肥料中のフィテートレベルを減少させる方法に関し、 この方法では動物に本発明のフィターゼの有効量を含んで成る飼料を与える。本 明細書の冒頭部に記載したように、それの1つの重要な効果は、フィテートによ る環境汚染を減少させることである。 本発明の範囲には、食物もしくは飼料製品または食物もしくは飼料添加物の調 製の間に本発明のフィターゼを使用することも含まれ、即ち、フィターゼは製造 の間だけフィターゼ活性を発揮しそして最終食物または飼料製品中では活性でな い。この観点は、例えばパン生地(ドウ)製造およびベーキングに関連する。 本発明は、寄託した微生物の実質的に純粋な生物学的培養物およびそれらの遺 伝的備品の一部として、本発明のフィターゼをコードする配列を含んで成る株に も関する。実質的に純粋な生物学的微生物の定義には、フィターゼをコードする 能力が保持されている前記株の任意変異体も含まれる。 本発明を下記の実施例においてより詳細に説明するが、この実施例は本発明の 範囲を決して限定するためのものではない。実施例 材料および方法 培地: フィテート複製培地: 融解したSC寒天2007mlに、 20%ガラクトース 20ml 5%スレオニン 800μl 溶液A 25ml 溶液B 25ml 微量元素溶液(DSMカタログ141) 200μl を加える。 溶液A: CaCl2・2H2O 6g MgCl2・6H2O 8g H2Oを加えて 1lに pH=6.5 溶液B: フィチン酸Na 35.12g H2Oを加えて 1lに pH=6.5 培地A: Yeast Nitrogen Base w/o Amino acids 7.5g/l (Difco 0919) コハク酸(Merck 822260) 11.3g/l NaOH(Merck 6948) 6.8g/l カザミノ酸w/o ビタミン(Difco 0288) 5.6g/l トリプトファン(Merck 8374) 0.1g/l スレオニン 1.0g/l フィチン酸ナトリウム(35.12g/l,pH6.5) 125 ml ガラクトース 20.0g/l 微量金属溶液(DSM 141) 1.0ml H2Oで1lにする 微量金属溶液: ニトリロ三酢酸 1.50g MgSO4・7H2O 3.00g MnSO4・2H2O 0.50g NaCl 1.00g FeSO4・7H2O 0.10g CoSO4・7H2O 0.18g CaCl2・2H2O 0.10g ZnSO4・7H2O 0.18g CuSO4・5H2O 0.01g KAl(SO4)2・12H2O 0.02g Na2MoO4・2H2O 0.01g NiCl2・6H2O 0.025g Na2Se3O・5H2O 0.30g 蒸留水 1l pH7.0 最初にニトリロ三酢酸を水に溶かし、そしてKOHでpHを6.5に調整し、次いで無 機質類を加える。最終pH7.0(KOHで)。 培地B: ガラクトースの代わりに炭素源としてグルコースを加えること以外は培地Aと 同じである。 YPD: 10gの酵母エキス、20gのペプトン、H2Oを加えて900mlにする。オートクレーブ 滅菌し、100mlの20%グルコース(滅菌濾過済のもの)を加える。 YPM: 10gの酵母エキス、20gのペプトン、H2Oを加えて900mlにする。オートクレー ブ滅菌し、100mlの20%マルトデキストリン(滅菌濾過済のもの)を加える。 10×基礎塩: 75gのYeast Nitrogen Base、113gのコハク酸、68gのNaOH、H2Oを加えて1000 mlにし、滅菌濾過する。 SC−URA: 100mlの10×基礎塩、28mlのビタミン不含有カザミノ酸、10mlの1%トリプ トファン、H2Oを加えて900mlにし、オートクレーブ滅菌し、3.6mlの5%スレオ ニンと100mlの20%グルコースまたは20%ガラクトースを加える。 SC−寒天: 20g/lの寒天を加えたSC−URA。 SC−変形寒天: 20gの寒天、20mlの10×基礎塩、H2Oを加えて900mlにし、オートクレーブ滅 菌する。フィターゼ活性 フィターゼ活性は次のアッセイを使って測定することができる。 10μlの希釈酵素試料(0.1M酢酸ナトリウム,0.01%Tween 20,pH5.5中に希 釈)を、0.1M酢酸ナトリウム,0.01% Tween 20,pH5.5中に溶かした5mMフィチ ン酸ナトリウム(Sigma)250μl(フィチン酸ナトリウムを溶かした後でpH調整し た;基質は予熱した)に加え、そして37℃で30分間インキュベートした。250μ lの10%TCAを加えることにより反応を停止させ、次いで100mlのモリブデン 酸試薬〔8mlのH2SO4中の2.5g(NH4)6Mo7O24・4H2Oの溶液を2507mlに希釈したも の〕中の7.3g FeSO4の溶液500μlを 加えることにより、遊離のリン酸を測定した。96ウエルのマイクロタイタープレ ートに添加した200μl試料を用いて750nmでの吸光度を測定した。基質ブランク と酵素ブランクを含めた。リン酸標準曲線も含めた(0〜2mMリン酸)1FYT 単位は、与えられた条件で1分間あたり1μモルのリン酸を遊離せしめる酵素の 量に等しい。一般的な分子生物学方法 特に断らない限り、DNA操作と形質転換は分子生物学の標準法〔Sambrook他 (1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Labora tory,Cold Spring Habor,NY;Ausubel,F.M.他編,“Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley and Sons,1995;Harwood,C.R.& Cutting, S.M.編,“Molecular Biological Methods for Bacillus”,John and Sons,19 90〕を用いて実施した。 特に断らない限り、DNA操作に用いる酵素、例えば制限エンドヌクレアーゼ 、リガーゼなどは全て、New England Biolabs,Inc.から入手した。これらの酵 素は製造業者の使用説明書に従って使用した。実施例1 ペニオフォラ・リシイCBS No.686.96からのフィターゼのクローニングおよび発 寄託生物: ペニオフォラ・リシイ(Peniophora lycii)CBS No.686.96は本発明のフィタ ーゼをコードするDNA配列を含んで成る。 エシェリキア・コリ(Escherichia coli)DSM 11312は、シャトルベクターpYE S 2.0中に本発明のフィターゼをコードする全長cDNA配列を含んで成るプラ スミドを含有する。他の菌株: 酵母株:使用するサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomycescerevisiae) 株はW3124であった〔van den Hazel,H.B.,Kielland-Brandt,M.C.;Winther ,J.R.,Eur.J.Biochem.,207,277-283,1992;(MATa;ura 3-52;leu 2-3,11 2;his 3-D200;pep 4-1137;prc1::HIS3;prb1::LEU2:cir+)〕。 E.コリ株:DH10B(Life Technologies)。プラスミド: アスペルギルス発現ベクターpHD414は、プラスミドp775(EP238 023中に記載 )の誘導体である。pHD414の作製はWO 93/11249中に記載されている。 pYES 2.0(Invitrogen)。 pA2phy2(実施例1参照)。酵母中での発現クローニング 酵母中での発現クローニングは、H.Dalboege他〔H.Dalboege他,Mol.Gen. Genet.(1994)243:253-260;WO 93/11249;WO 94/14953;これらの刊行物は参考 として本明細書中に組み込まれる〕により記載された通りに行った。全RNの抽 出、cDNA合成、マングビーンヌクレアーゼ処理、T4 DNAポリメラーゼ による平滑末端化、およびライブラリーの作製といった全ての各段階は、上述し た参考文献に従って実施した。mRNA単離のためのペニオフォラ・リシイCBS No.686.96の醗酵方法 100mlの培地(ダイズ30g/l,マルトデキストリン15g/l,バクトペプトン5g/l ,プルロニック0.2g/l)の入った振盪フラスコ中に、過剰増殖菌糸のプレートか らペニオフォラ・リシイ(Peniophora lycii)CBS 686.96を接種した。培養物を 26℃で15日間静置培養した。得られた培養ブロスをミラクロスを通して濾過し、 そして菌糸を液体窒素中で凍結させた。 この培養物の菌糸から、H.Dalboege他,Mol.Gen.Genet.(1994)243:253- 260:WO 93/11249;WO 94/14953に記載された通りにmRNAを単離した。 全RNAの抽出はチオシアン酸グアニジン処理に続く5.7M CsClクッションを 通した限外濾過により行い、ポリ(A)+RNAの単離は、WO 94/14953に記載さ れた手順を使ったオリゴ(dT)セルロースアフィニティークロマトグラフィー により行った。cDNA合成: 二本鎖cDNAはRNアーゼH法〔Gubler & Hoffman(1983)Gene 25:263-26 9;Sambrook他(1989)Molecular Cloning:ALaboratory Manual,Cold Spring Ha bor Laboratory,Cold Spring Habor,NY〕により、5mgのポリ(A)+RNAか ら合成した。ポリ(A)+RNA(DEPC処理水5μl中5μg)を、事前にシリ コン処理したRNアーゼ不含有のエッペンドルフ管の中で、70℃で8分間加熱し 、次いで氷上で急冷し、そして1mM dATP,dGTPおよびdTTPと0.5mMの5−メチル dCTP(Pharmacia)、40単位のヒト胎盤リボヌクレアーゼ阻害剤(RNasin,Prome ga)、1.45μgのオリゴ(dT)18−NotIプライマー(Pharmacia)並びに1000単位 のSuper-ScriptII RNアーゼH逆転写酵素を含有する、逆転写酵素緩衝液(50m M Tris-Cl,pH8.3,75mM KCl,3mM MgCl2,10mM DTT,Bethesda Research Labo ratories)と合わせて50μlの最終容量とした。その反応混合物を45℃で1時間 インキュベートすることにより第一鎖cDNAを合成した。合成後、mRNA: cDNAハイブリッド混合物を、製造業者の指示に従ってMicroSpin S-400 HR( Pharmacia)を通してゲル濾過した。 ゲル濾過した後、ハイブリッドを、200μlの各dNTP,60単位の E.コリDNAポリメラーゼI(Pharmacia)、5.25単位のRNアーゼH(Prome ga)および15単位のE.コリDNAリガーゼ(Boehringer Mannheim)を含有す る、250μlの第二鎖緩衝液〔20mM Tris-Cl,pH7.4,90mM KCl,4.6mM MgCl2,1 0mM(NH4)2SO4,0.16mM bNAD+〕中に希釈した。反応チューブを16℃で2時間そし て更に25℃で15分間インキュベートすることにより、第二鎖cDNAを合成した 。EDTAを20mMの最終濃度まで添加することにより反応を停止させ、次いてフェノ ールとクロロホルムにより抽出した。マングビーンヌクレアーゼ処理: 二本鎖cDNAを2容の96%EtOH,0.2容の10M NH4Acの添加により−20℃で12 時間沈澱させた後、遠心分離により回収し、70%EtOH中で洗浄し、乾燥し、そし て25単位のマングビーンヌクレアーゼ(Pharmacia)を含む30μlのマングビーン ヌクレアーゼ緩衝液(30mM NaAc,pH4.6,300mM NaCl,1mM ZnSO4,0.35mM DTT ,2%グリセロール)中に再懸濁した。30℃で30分間反応液をインキュベートし 、次いで70μlの10mM Tris-Cl,pH7.5,1mM EDTAを添加し、フェノール抽出し 、そして2容の96%EtOHと0.1容の3MNaAc,pH5.2を用いた氷上で30分間の沈澱に より、一本鎖ヘアピンDNAを削除した。T4 DNAポリメラーゼによる平滑末端化: 遠心分離により二本鎖cDNAを回収し、そして0.5mMの各dNTPと5単位のT 4 DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)を含む30mlのT4 DNAポ リメラーゼ緩衝液中で反応混合物を16℃で1時間インキュベートすることにより 、平滑末端化した。最終濃度20mMへのEDTAの添加により反応を停止させ、次いで フェノールとクロロホルムにより抽出し、2容の96%EtOHと0.1容の3 M NaAc, pH5.2の添加により−20℃で12時間cDNAを沈澱させた。アダプター連結、NotI消化およびサイズ選択: フィルイン反応の後、遠心分離によりcDNAを回収し、次いで70%EtOH中で 洗浄しそして乾燥した。cDNAペレットを、2.5μgの非回文式BstXIアダプタ ー(Invitrogen)と30単位のT4リガーゼ(Promega)を含む25μlの連結緩衝 液(30mM Tris-Cl,pH7.8,10mM MgCl2,10mM DTT,0.5mM ATP)中に再懸濁し、 そして16℃で12時間インキュベートした。65℃で20分間加熱し、次いで氷上で5 分間冷却することにより、反応を停止させた。2Oμlの水、5μlの10×NotI 制限酵素緩衝液(New England Biolabs)および50単位のNotI(New England Bi olabs)を添加し、次いで37℃で2.5時間インキュベートすることにより、アダプ ターが連結されたcDNAをNotI制限酵素で消化した。65℃で10分間加熱して 反応を停止させた。1×TBE中での0.8% SeaPlaque GTG低融点アガロースゲ ル(FMC)上でのゲル電気泳動によりcDNAをサイズ分画して、未連結のア ダプターと小さいcDNA断片を分離した。0.7Rbでのカットオフ値でcDNA をサイズ選択し、β−アガラーゼ(New England Biolabs)を用いてゲルから救 済し、そして2容の96%EtOHと0.1容の3 M NaAc pH5.2を添加することにより− 20℃で12時間沈澱させた。ライブラリーの作製: サイズ選択した指向性のcDNAを遠心分離により回収し、70%EtOH中で洗浄 し、乾燥し、そして30μlの10mM Tris-Cl,pH7.5,1mM EDTA中に再懸濁した。 製造業者の指示に従って行ったMicroSpin S-300HR(Pharmacia)スピンカラムを 通したゲル濾過により、cDNAを脱塩した。5μlの二本鎖cDNA(反応チ ューブ#1と#2)、15単位のT4リガーゼ(Promega)並びに30ng (チューブ#1)、40ng(チューブ#2)および40ng(チューブ#3、ベクター バックグラウンド対象)のBstXI−NotI開裂したpYES 2.0ベクターを含有する10 μlの連結緩衝液(30mM Tris-Cl,pH7.8,10mM MgCl2,10mM DTT,0.5mM ATP) 中で3種類の試験連結を実施した。連結反応は16℃で12時間のインキュベーショ ン、70℃で20分間の加熱および各チューブへの10μlの水の添加により行った。 各連結混合物の1μlを、記載された通りに〔Sambrook他(1989)Molecular Cl oning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Ha bor,NY〕40μlのエレクトロコンピテント(電気応答能のある)E.コリDH10B 細胞(Bethesda Reserch Laboratories)中にエレクトロポレーションした。最 適条件を使って、E.コリ中にプールから成るライブラリーを作製した。各プー ルは、37℃で24時間インキュベーションした後、15,000〜30,000コロニー/プレ ートを与えるようにLB+アンピシリン寒天プレート上に形質転換したE.コリ を塗抹することにより作製した。20mlのLB+アンピシリンを各プレートに添加 し、細胞をその中に懸濁させた。細胞懸濁液を50mPの試験管中で37℃で1時間振 盪した。製造業者の指示に従って、Quagenプラスミドキットを使って細胞からプ ラスミドDNAを単離し、そして−20℃で保存した。 個々のプールからの精製プラスミドDNA(100μg/ml)の1μlアリコート を用いて、エレクトロポレーション〔Becker & Guarante(1991)Methods Enzym ol.194.182-187〕によりS.セレビシエ(S .Cerevisiae)W3124中に形質転換 せしめ、2%グルコースを含むSC寒天上に形質転換体を塗布し、そして30℃で インキュベートした。陽性コロニーの同定: 3〜5日間の増殖後、寒天プレートを1組のフィテート複製プレ ート上にレプリカ培養し、そして30℃で3〜5日間インキュベートした。0.2M C aCl2を含む1%LSB−アガロース(Sigma)をそのプレート上に注ぎ、そして 1〜4日後、透明ゾーンにより取り囲まれたコロニーとしてフィターゼ陽性コロ ニーが同定された。 酵素陽性コロニーからの細胞を寒天上での単一コロニー単離のために塗抹し、 そして同定されたフィターゼ産生コロニーの各々について酵素を産生する単一コ ロニーを選択した。アスペルギルス中での発現のためのcDNA遺伝子の単離: フィターゼ産生酵母コロニーを、5Omlのガラス試験管に入った20mlのYPDブ ロス中に接種した。この試験管を30℃で2日間振盪培養した。3000rpmでの10分 間の遠心分離により細胞を収得した。 WO 94/14953に従ってDNAを単離し、50mlの水に溶かした。このDNAを用 いて標準手順によりE.コリを形質転換せしめた。標準手順を使ってE.コリか らプラスミドDNAを単離し、そして制限酵素分析により分析した。 制限酵素HindIIIとXbaIを使ってcDNA挿入断片を切り出し、そのcDNA 断片をアスペルギルス発現ベクターpHD414に連結せしめてプラスミドpA2phy2を 得た。 pA2phy2のQuagen(Quiagen,USA)精製プラスミドDNAのcDNA挿入断片 を、Taqデオキシターミナルサイクル配列決定キット(Perkin Elmer,USA)と合 成オリゴヌクレオチドプライマーを使って、製造業者の指示に従ってApplied Bi osystems ABI PRISMTM377 DNA Sequencerを用いて配列決定した。アスペルギルス・オリゼまたはアスペルギルス・ニガーの形質転換 WO 95/02043の第16頁の21行目〜第17頁の12行目に記載した通りにプロトプラ ストを調製した。 100μlのプロトプラスト懸濁液を、10μlのSTC(1.2Mソ ルピトール,10mM Tris-HCl,pH=7.5,10mM CaCl2)中の5〜25μgの適当なDN Aと混合した。プロトプラストをp3SR2(A.ニデュランスamdS遺伝子を担持す るプラスミド)(ToveChrlstensen他,Bio/Technology,1419〜1422頁,第6巻, 1988年12月)と混合した。この混合物を室温で25分間置いておいた。次いで0.2ml の60%PEG 4000(BDH 29576),10mM CaCl2および10mM Tris-HCl,pH7.5を加え、 注意深く混合し(2回)そして最後に0.85mlの同溶液を加えて注意深く混合した 。この混合物を室温で25時間置いておき、2500×gで15分間回転させ、そして生 じたペレットを2mlの1.2Mソルビトール中に再懸濁した。もう1回沈澱させた後 、プロトプラストを、1.0Mショ糖,pH7.0,窒素源としての10mMアセトアミドお よびバックグラウンド増殖を抑制するための20mM CsClを含む最少プレート〔Cov e,Biochem.Biophys.Acta 113(1966)51-56〕上に塗布した。37℃で4〜7日 間インキュベートした後、胞子を摘み、それを塗布して単一コロニーを得た。こ の手順を繰り返し、そして2回目の再単離の後の単一コロニーを、限定形質転換 体として保存した。A.オリゼ形質転換体の試験 A.オリゼ形質転換体の各々を10mlのYPM(上記参照)中に接種し、そして 増殖させた。30℃で2〜5日間のインキュベーション後、上清を取り出した。 20μlの上清を、0.1M酢酸ナトリウムpH4.5と0.1%イノシトール六リン酸を含 む1%LSB−アガロースプレート中に空けられた直径4mmの穴に添加すること により、フィターゼ活性を同定した。このプレートを37℃で一晩置いておいた。 0.1M CaCl2と0.2M酢酸ナトリウムpH4.5から成る緩衝液をプレートの上に注ぎ入 れ、そしてプレートを室温で1時間維持した。次いで透明ゾーンと してフィターゼ活性を同定した。フェドバッチ培養: フェドバッチ培養は、炭素源としてマルトデキストリン、窒素源として尿素お よび酵母エキスを含んで成る培地中で行った。問題のA.オリゼ宿主細胞の振盪 フラスコ培養物を、3.5%の炭素源と0.5%の窒素源を含む培地中に接種すること により、フェドバッチ培養を行った。pH7.0および34℃で24時間の培養の後、追 加の炭素および窒素源の連続補給を開始した。炭素源を制限因子として維持し、 確実に酸素が過剰に存在するようにした。フェドバッチ培養は4日間続けた。配列番号23に示されるDNA配列の単離: 本発明のフィターゼをコードする配列番号23に示されるDNA配列のフィター ゼコード部分は、当該技術分野において既知の方法〔SambrooK他(1989)Molecu lar Clonlng:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spr ing Harbor,NY〕によるプラスミドDNAの抽出により、寄託生物エシェリキア ・コリ(Escherichia coli)DSM 11312から得ることができる。 クローニングと発現は、上述したような酵母中での発現クローニング技術を使 って行った。 mRNAは、上述したように増殖させたペニオフォラ・リシイ(Peniophora l ycii )CBS No.686.96から単離した。 15日間の増殖後に菌糸を収得し、すぐに液体窒素中で凍結させ、そして−80℃ で保存した。約9×105個の個々のクローンから成るペニオフォラ・リシイCBS N o.686.96からのライブラリーを、記載した通りに1%のベクターバッククラウ ンドと共にE.コリ中に作製した。幾つかのプールからのプラスミドDNAを用 いて酵母を形質転換せしめ、そして250〜400個の酵母コロニーから成る50〜 100プレートを各プールより得た。 上述した通りにフィターゼ陽性コロニーを同定・単離し、そして50mlのガラス 試験管に入った20mlのYPDブロス中に接種した。試験管を30℃で2日間振盪し た。3000rpmでの10分間の遠心分離により細胞を収得した。WO 94/14953に従って DNAを単離し、50μlの水に溶かした。このDNAを用いて標準手順によりE .コリを形質転換せしめた。標準手順を使ってE.コリからプラスミドDNAを 単離し、そしてTaqデオキシターミナルサイクル配列決定キット(PerRin Elmer ,USA)と合成オリゴヌクレオチドプライマーを使って、製造業者の指示に従っ てApplied Biosystems ABI PRISMTM377 DNA Sequencerを用いて、フィターゼを コードするcDNAのDNA配列を決定した。フィターゼをコードするcDNA のDNA配列を配列番号23に示し、そして対応するアミノ酸配列を配列番号24に 示す。配列番号23では、第1位〜第1320位のDNAヌクレオチドが、フィターゼ コード領域である。 フィターゼの成熟部分をコードする配列番号23のDNA配列の部分は第91位〜 第1320位であり、それは配列番号24のアミノ酸位置31〜439に相当する。 該cDNAはDSM 11312中のプラスミドから単離できる。 酵母コロニーから全DNAを単離し、そして上述したようなE.コリ形質転換 によりプラスミドDNAを救済した。アスペルギルス中でフィターゼを発現させ るために、該DNAを適当な制限酵素で消化し、ゲル上でサイズ分画し、そして フィターゼ遺伝子に相当する断片を精製した。この遺伝子を次いでpHD414に連結 せしめ、適当な制限酵素で消化し、プラスミドpA2phy2を得た。 E・コリ中での該DNAの増幅後、上述した通りに、プラスミドpA2phy2を用 いてアスペルギルス・オリゼを形質転換せしめた。A.オリゼ形質転換体の試験 形質転換体の各々を上述した通りに酵素活性について試験した。幾つかの形質 転換体は、アスペルギルス・オリゼバックグラウンドよりも有意に大きいフィタ ーゼ活性を有した。これは、アスペルギルス・オリゼ中でのフィターゼの効率的 発現を証明する。実施例2 アグロキベ・ペディアデスCBS No.900.96からのフィターゼのクローニングと発 寄託生物: アグロキベ・ペディアデス(Agrocybe pedlades)CBS No.900.96は、本発 明のフィターゼをコードするDNA配列を含んで成る。 エシェリキア・コリ(Escherichia coli)DSM No.11313は、シャトルベクタ ーpYES 2.0中に本発明のフィターゼをコードする全長cDNA配列を含んで成る プラスミドを含有する。配列番号21に示されるDNA配列の単離: 本発明のフィターゼをコードする配列番号21に示されるDNA配列のフィター ゼコード部分は、当該技術分野で既知の方法 〔Sambrook他(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring H arbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY〕によるプラスミドDNAの抽出に より、寄託生物エシェリキア・コリ(Escherichia coli)DSM 11313から得ること ができる。 クローニングと発現は、実施例1に記載したように酵母中での発現クローニン グ技術を使って行った。 mRNAは、十分な通気を確保するように攪拌しなから上述したように増殖さ せたアグロキベ・ペディアデス(Agrocybe pediades)CBS No.900.96から単離 した。 3〜5日間の増殖後に菌糸を収得し、すぐに液体窒素中で凍結さ せ、そして−80℃で保存した。約9×105個の個々のクローンから成るアグロキ ベ・ペディアデスCBS No.900.96からのライブラリーを、上述した通りに1%の ベクターバッククラウンドでE.コリ中に作製した。幾つかのプールからのプラ スミドDNAを用いて酵母を形質転換せしめ、そして250〜400個の酵母コロニー から成る50〜100プレートを各プールより得た。 上述した通りにフィターゼ陽性コロニーを同定・単離した。酵母コロニーから 直接cDNA挿入断片を増幅せしめ、そして上記「材料および方法」の項目に記 載した通りに特徴づけた。フィターゼをコードするcDNAのDNA配列を配列 番号21に示し、そして対応するアミノ酸配列を配列番号22に示す。配列番号21で は、第1位〜第1362位のDNAヌクレオチドがフィターゼコード領域を限定する 。 フィターゼの成熟部分をコードする配列番号21のDNA配列の部分は第79位〜 第1362位であり、それは配列番号22のアミノ酸第27位〜第453位に相当する。 該cDNAはDSM 11313中のプラスミドから単離できる。 酵母コロニーから全DNAを単離し、そして上述したようなE.コリ形質転換 によりプラスミドDNAを救済した。アスペルギルス中でフィターゼを発現させ るために、該DNAを適当な制限酵素で消化し、ゲル上でサイズ分画し、そして フィターゼ遺伝子に相当する断片を精製した。この遺伝子を次いでpHD414に連結 せしめ、適当な制限酵素で消化し、プラスミドpA3phy3を得た。 E・コリ中での該DNAの増幅後、実施例1に記載の通りにプラスミドpA3phy 3を用いてアスペルギルス・オリゼを形質転換せしめた。A.オリゼ形質転換体の試験 形質転換体の各々を実施例1に記載した通りに酵素活性について 試験した。幾つかの形質転換体は、アスペルギルス・オリゼバックグラウンドよ りも有意に大きいフィターゼ活性を有した。これは、アスペルギルス・オリゼ中 でのフィターゼの効率的発現を証明する。実施例3 パキシルス・インボルタスCBS No.100231およびトラメテス・ピュベセンスCBS No.100232からのフィターゼのクローニングと発現 寄託生物: パキシルス・インボルタス(Paxillus involtus)CBS 100231は本発明の2種 類のフィターゼをコードするDNA配列を含んで成り、そしてトラメテス・ピュ ベセンス(Trametes pubescens)CBS No.100232は本発明の1つのフィターゼを コードするDNA配列を含んで成る。 エシェリキア・コリ(Escherichia coli)DSM No.11842,11843および11844 は、シャトルベクターpYES 2.0中に本発明の上記フィターゼ、即ちそれぞれパキ シルス・インボルタスのPhyA1とPhyA2およびトラメテス・ピュベセンスのフィタ ーゼをコードする全長cDNA配列を含んで成るプラスミドを含有する。配列番号25,27および29に示されるDNA配列の単離: 本発明のフィターゼをコードする配列番号25,27および29に示されるDNA配 列のフィターゼコード部分は、当該技術分野で既知の方法〔SambrooR他(1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,C old Spring Harbor,NY〕によるプラスミドDNAの抽出により、寄託生物エシ ェリキア・コリ(Escherichia coli)DSM 11842,11843および11844から得るこ とができる。 クローニングと発現は、実施例1に記載したように酵母中での発 現クローニング技術を使って行った。 mRNAは、十分な通気を確保するように攪拌しながら上述したように増殖さ せた各微生物から単離した。 3〜5日間の増殖後に菌糸を収得し、すぐに液体窒素中で凍結させ、そして− 80℃で保存した。約9×105個の個々のクローンから成るライブラリーを、実施 例1に記載した通りに1%のベクターバッククラウンドでE.コリ中に作製した 。幾つかのプールからのプラスミドDNAを用いて酵母を形質転換せしめ、そし て250〜400個の酵母コロニーから成る50〜100プレートを各プールより得た。 上述した通りにフィターゼ陽性コロニーを同定・単離した。酵母コロニーから 直接cDNA挿入断片を増幅せしめ、そして前記「材料および方法」の項目に記 載した通りに特徴づけた。それらのフィターゼをコードするcDNAのDNA配 列を配列番号25,27および29それぞれに示し、そして対応するアミノ酸配列を配 列番号26,28および30にそれぞれ示す。 該cDNAはDSM 11842,11843および11844中のプラスミドから単離できる。 酵母コロニーから全DNAを単離し、そして上述したようなE.コリ形質転換 によりプラスミドDNAを救済した。アスペルギルス中でフィターゼを発現させ るために、該DNAを適当な制限酵素で消化し、ゲル上でサイズ分画し、そして フィターゼ遺伝子に相当する断片を精製した。この遺伝子を次いでpHD414に連結 せしめ、適当な制限酵素で消化した。 E・コリ中での該DNAの増幅後、上述した通りに、該プラスミドを用いてア スペルギルス・オリゼを形質転換せしめた。A.オリゼ形質転換体の試験 形質転換体の各々を実施例に記載した通りに酵素活性について試 験した。幾つかの形質転換体は、アスペルギルス・オリゼバックグラウンドより も有意に大きいフィターゼ活性を有した。これは、アスペルギルス・オリゼ中で のそれらのフィターゼの効率的発現を証明する。 パキシルス・インボルタスCBS 100231の2種類のフィターゼ(PhyA1 P.i.とP hyA2 P.1.)およびトラメテス・ピュベセンスのフィターゼ(PhyA T.p.)は次の特 徴を有する。 実施例4 担子菌類アグロキベ・ペディアデス、ペニオフォラ・リシイ、パキシルス・イン ボルタスおよびトラメテス・ピュベセンスからの5種類のフィターゼ(phyA)c DNAの発現クローニングおよび特徴づけ 4つの担子菌類A.ペディアデス、P.リシイ、P.インボルタスおよびT. ピュベセンスからのフィターゼ誘導菌糸から、上記実施例に記載した通りに、酵 母発現ベクターpYES 2.0中に指向性cDNAライブラリーを作製した。 cDNAライブラリーをフィターゼ活性についてスクリーニングすると、5種 類の異なるフィターゼcDNA、即ちphyA P.lycii,phyA A.pediades,phyA1 P .involtus,phyA2 P.involtusおよびphyA T.pubescensが単離された。 これらのクローンからのphyA cDNAの特徴づけは、担子菌類フィターゼに 明らかに特徴的である保存領域を明らかにした。これ は、担子菌類フィターゼが、真菌フィターゼのグループの中のそれら自身のサブ ファミリーに属することを示す。 組換え酵素の精製および特徴づけを容易にするために、この5つの新規フィタ ーゼを形質転換せしめそしてA.オリゼ中で過剰発現させた。酵母中での発現クローニングによるphyA cDNAの単離 真菌株A.ペディアデス、P.リシイ、P.インボルタスおよびT.ピュベセ ンスを、FG−4培地(30g/lの大豆ミール、15g/lのマルトデキストリン、5g/ lのバクトペプトン、0.2g/lのプルロニック)上で静置培養した。 培養上清中の全フィターゼ活性の蓄積を、実施例1の「A.オリゼ形質転換体 の試験」の項目に記載したようなプレートアッセイによりモニタリングした。 5〜15日間の増殖後に最高レベルのフィターゼ活性か観察されたので、この時 期に収得した菌糸から単離されたポリ(A)+RNAを使って、酵母発現ベクタ ーpYES 2.0中に4つのcDNAライブラリーを作製した。該ライブラリーのアリ コートを用いてS.セレビシエW3124を形質転換せしめ、そして形質転換体を2 %グルコース含有SC寒天上に塗布し、30℃でインキュベートした。 ポリ(A)+RNAの単離とcDNAライブラリーの作製は、実施例1に記載 した通りに行った(「mRNA単離のためのペニオフォラ・リシイCBS No.686. 96の醗酵方法」の項目から「アスペルギルス・オリゼまたはアスペルギルス・ニ ガーの形質転換」の項目まで)。陽性コロニーの同定 実施例1に記載した通りに同じ加熱下で陽性コロニーを同定した。 各ライブラリーからの20000〜30000個の酵母クローンをフィタ ーゼ活性についてスクリーニングすると、各ライブラリーにおいて1個〜4個の フィターゼ陽性酵母クローンが観察された。その陽性コロニーは5種類の異なる フィターゼ遺伝子、phyA P.lycii(pC1phy2),phyA A.pedlades(pC1phy3),phyA1 P.involtus(pC1phy5),phyA2 P.involtus(pC1phy7)およびphyA T.pubescens(p C1phy6)に対応した。phyAc DNA の特徴づけ ペニオフォラ・リシイ(Peniophora lycii)のPhyAをコードするphyA cDN Aの一次構造を図1に示す。pC1phy2からの1593bpcDNAは、47560の計算分子 量を有する439残基のポリペプチドをコードする、1320bpの転写解読枠(ORF )を含む。phyA cDNAは30アミノ酸シグナルペプチドをコードする。成熟タ ンパク質は44473の計算分子量とpI 4.15の等電点を有する。cDNA配列とアミ ノ酸配列は、それぞれ配列表の配列番号23と配列番号24に含まれる。 A.ペディアデス(A .pediades)からのphyA cDNA配列とPHYAの推定アミ ノ酸配列は図2に与えられる。pC1phy3からの1501bpc DNAは、31アミノ酸の 長いシグナルペプチドを有する453残基ポリペプチドをコードする1362 bp OR Fを含む。422アミノ酸成熟タンパク質は46781の計算分子量とpI 4.82の等電点 を有する。cDNA配列とアミノ酸配列はそれぞれ配列表の配列番号21と配列番 号22に含まれる。 パキシルス・インボルタス(Paxilus Involtus)からクローニングされたphyA 1とphyA2 cDNAのヌクレオチド配列、およびPHY1とPHY2の推定アミノ酸配列 はそれぞれ図3と図4に示される。 pC1phy5(phyA1)中の1522bp挿入断片は、442アミノ酸ポリペプチドをコード する1329bp ORFを含む。SignalP V1.1推定プロ グラム〔Henrik Nielsen,Jacob Engelbrecht,Stren Brunak & Gunnar von Hei jne:“Identification of prokaryotic and eukaryotic signal peptides and Prediction of their cleavagesites”,Protein Engineering 10,1-6(1997)〕 によると、シグナルペプチドは19アミノ酸から成る。従って成熟タンパク質は45 932の推定分子量と6.39のpIを有する。cDNA配列とアミノ酸配列はそれぞ れ配列番号25と配列番号26として配列表中に含められる。 プラスミドpC1phy7(phyA2)は、442残基ポリペプチドをコードする1329bp OR Fを有する1642bp挿入断片を含む。上述したSignalP V1.1プログラムは、推定シ グナルペプチダーゼ開裂部位がphyA2によりコードされるプレタンパク質中のAla -19とAla-20の間であり、よって成熟タンパク質の推定分子量が45466でありそし て推定等電点が4.50であることを推測する。cDNA配列およびアミノ酸配列は それぞれ配列番号27および配列番号28として配列表中に含められる。 図5には、T.ピュベセンス(T .pubescens)phyAcDNA配列およびPHYAの 推定アミノ酸配列が示される。pC1phy6中の1536bp挿入断片は、443残基ポリペプ チドをコードする1332bp ORFを含む。上述したSignalP V1.1プログラムによ ると、シグナルペプチドは17残基から成る。従って成熟タンパク質は426アミノ 酸から也り、そして45905の推定分子量と4.34のpIを有する。cDNA配列お よびアミノ酸配列はそれぞれ配列番号29および配列番号30として配列表中に含め られる。担子菌類フィターゼ保存領域 子嚢菌類の既知フィターゼと担子菌類の本発明のフィターゼとの間の全体同一 性(相同性)を下の表に示す(“X/Y”はGAPGCGv8により決定された “DNA/ポリペプチド”一致度を意 味する)。 表1 子嚢菌類フィターゼと担子菌類フィターゼの相同性 (完全cDNAを比較) この実験では、完全cDNA配列を比較した。表1によると、担子菌類グルー プ内のフィターゼについてのDNA相同性は81%〜56%の同一性の範囲内であり 、そして子嚢菌類グループ内では約65%〜33%の同一性の範囲内である。従って 、グループ内相同性は子嚢菌類フィターゼに比べて担子菌類のグループ内の方が 高いようである。 しかしながら、担子菌類フィターゼ対子嚢菌類フィターゼのDNA相同性はわ ずか約54%〜48%の範囲内である。従って、それらの2つのグループはそれ自体 のグループ内で観察される相違よりも互いのグループ間同士では大きく異なって いる(そして子嚢菌類フィ ターゼと担子菌類フィターゼとの区別に対してこの点は理にかなっている)。 この関係は図6および図7の整列においても想像される。 表1のフィターゼの幾つかについて、下表2はORFのcDNA配列および成 熟タンパク質(シグナルペプチドを除去したもの)のペプチド配列を比較した時 の結果を示す。 表2 特定の子嚢菌類および担子菌類フィターゼの相同性 (ORFのcDNAおよび成熟ペプチドを比較) この表中、ペプチド相同性が表の右上半分に示され、DNA相同性が表の左下 半分に示される(共にGAP GCGv8による同一性%)。 図6および図7の整列から、幾つかの配列モチーフが5つの担子菌類フィター ゼ内で保存されていることが明らかである。この整列に基づいて、幾つかの保存 された部分配列が誘導された(配列番号1〜14)。更に、担子類フィターゼ内で 同じく保存されている幾つ かの欠失領域も誘導された(例えは請求項5を参照のこと)。 特に高度に保存された配列の代表例は、下記に示すいわゆる配列I,配列IIお よび配列IIIであり、その対応する整列は下記の表3および4に示される。それ らの表では、記載の配列のうちの少なくとも9つに同一である残基が灰色のボッ クスにより示され、そして担子菌類からのフィターゼに同一の残基は白いボック スにより示される。 共通配列I:I-Q-R-H-G−A-R[F/W]-P-T-S-G-A-X-X-R (配列番号3) 共通配列II:N-W-T[A/E]-G-F-X-X-A-S (配列番号5) 共通配列III:F-V-E-S-Q-X-[Y/F]-A-R-X-X-G-X-G-D-F-[E/A]-K-C (配列番号9) 表3 共通配列IとIIに相当する部分整列 表4 共通配列IIIに相当する部分整列 下表5も、図7と同様に整列した幾つかの共通配列、即ち配列番号2、配列番 号5および配列番号9を示す。表5 整列した担子菌類フィターゼ共通配列 図7のPHYA P.lyciiについての番号付け法を用いた時の残基位置68〜83の共通 配列I(配列番号3)は活性部位の周辺であり、そして5つの担子菌類フィター ゼの全てがこの配列、即ち13個の保存残基を有するI-Q-R-H-G-A-R-[F/W]-P-T-S- G-A-X-X-Rを有する。更に、5つのフィターゼのうちの4つが、14番目に共通残 基F75を有する。これは、同じ領域中に8個の保存残基しか持たない子嚢菌類フ ィターゼと対照的である。 P.リシイのアミノ酸(AA)位置162〜171である共通配列II(配列番号5)を 子嚢菌類フィターゼと比較すると、担子菌類フィターゼがP.リシイF167(A. ニガーF177)からP.リシイP177(A.ニガーP194)までの間の6個〜7個の 残基を欠いていること(図7参照)、そして担子菌類フィターゼ全体が10個のう ち7個の同一残基を有する非常に高度の保存性を有することがわかる。子嚢菌類 フィターゼは同一領域の17個のうちわずか3個の保存残基しか持たない。 P.リシイのAA位置415〜433の共通配列III(配列番号9)は、担子菌類フィ ターゼ内で保存されている13個の残基を有する19残基から成る。全ての真菌フィ ターゼを通して保存されている3個の残基がこの共通配列中にある。P.リシイ 配列中ではその保存残基はA422,G428およびC433であり、そしてA.ニガー配 列中ではA454,G458およびC463である。全ての担子菌類フィターゼが保存アラ ニンからグリシンまでの5残基を有するのに対し、全ての子嚢菌類フィターゼで は3残基しか保存されていない(表4)。アスペルギルス・オリゼ中でのPHYAの発現 PHYAフィターゼタンパク質の更なる精製および特徴づけを行うため、アスペル ギルス・オリゼ(Asperglilus oryzae)中でのPHYフィターゼの高レベルの発現 を得る目的で、A.ペディアデス、P. リシイ、P.インボルタスおよびT.ピュベセンスからの5つのphyAcDNAを 真菌発現ベクターpHD414中にサプクローニングした。ここでphyAcDNAは、TA KA−アミラーゼプロモーター配列の3'側で且つA.ニガーグルコアミラーゼ遺伝 子由来のポリAとターミネーター配列の5’側に挿入した。amdS選択プラスミド (実施例1の「アスペルギルス・オリゼまたはアスペルギルス・ニガーの形質転 換」の項目を参照のこと)との同時形質転換により、pHD414 phyA構成物を用い てA.オリセを形質転換せしめた。形質転換体を上清中のフィターゼ活性につい てスクリーニングし、そして最高収率の形質転換体を醗酵用に選択した。結論 担子菌類フィターゼのグループ内で高度に保存された領域は、それらが真菌フ ィターゼのグループ内のそれら自身のサブファミリーに属することを示す。 それらの領域に基づいて、関連フィターゼの分子スクリーニングに特異的なP CRプライマーをデザインすることができる(実施例5)。実施例5 分子スクリーニング(プライマーセット522/538) 5つの担子菌類フィターゼ内で高度に保存された領域をコードする下記の縮重 オリゴヌクレオチドプライマーを分子スクリーニング用にデザインした。 ・522センスプライマー: これはCCCとHindIII部位5’末尾を有するアミノ酸N-W-T-[A,E,D]-G-[F,L]に 相当する。 ・537センスプライマー これはCCCとHindIII部位5’末尾を有するアミノ酸D-K-[F,Y]-Y-G-Tに相当す る。 ・538アンチセンスプライマー: これはGCとXbaI部位5’末尾を有するアミノ酸D-[F,L]-D-K-[F,Y]-Y-Gに相当 する。 ・525アンチセンスプライマー: これはGCとXbaI部位5’末尾を有するアミノ酸G-D-F-[A,D,E]-Kに相当する。 ・539センスプライマー: これはCCCとHindIII部位5’末尾を有するアミノ酸Q-V-[N,H]-[I,L,M]-I-[Q, H](配列番号15)に相当する。 ・540アンチセンスプライマー: これはGCとXbaI部位5’末尾を有するアミノ酸N-W-T-[A,D,E]-G-Fに相当する 。 *上記配列で、N=A,C,GまたはT;R=AまたはG;Y=CまたはT;M =AまたはC;W=AまたはTである。 プライマーのデザインは図7の整列に基づく。 PCR反応に関する一般的な参照については、例えばSambrook他,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,第2版;またはLubert Stryer,Biochemisty, 第4版,Freeman and Company,New York,1995,132-134頁を参照することがで きる。 まず、522/538プライマーセットを下記の表6に示す特定の子嚢菌類および担 子菌類からのゲノムDNAに対して試験した。 ゲノムDNAは下記の手順に従って単離した。真菌ゲノムDNAの単離手順 1.乳鉢中で液体窒素下で菌糸を粉砕する 2.菌糸を0.5mlの標線まで2.0mlのエッペンドルフ管に移す 3.1.0mlの溶解緩衝液を加え、混合する 4.4mg/mlのDNアーゼ不含有RNアーゼA(New England Biolabs)10μl を加える 5.37℃で30分間インキュベートする 6.16mg/mlのプロテアーゼK(New England Biolabs)40μlを加える 7.穏やかに攪拌しながら50℃で1時間インキュベートする 8.超遠心機中でフルスピードで15分間遠心する 9.上清をQIAprepスピンカラムに適用する。1分間スピンし、そして濾液を捨 てる 10.0.57mlの緩衝液PBで洗浄し、1分間スピンし、そして濾液を捨てる 11.0.75mlの緩衝液PEで洗浄し、1分間スピンし、そして濾液を捨てる 12.高速スピンで残存するPE緩衝液を排水し、完全に乾燥させる 13.スピンカラムを清浄な超遠心管の中に置き、そして125μlの H2Oを加えることにより溶出させる。5分間静置し、次いで3分間スピンす る 溶解緩衝液: 100mM EDTA 10mM Tris pH8 1% Trlton X-100 200mM NaCl 500mMグアニジンHCl QIAprepスピンカラム、PB緩衝液およびPE緩衝液に関する詳細な情報につ いては、QIAGEN GmbHからのQIAprepTMプラスミドハンドブックを参照されたい。実験手順 約100〜200ngのゲノムDNAまたは10〜20ngの二本鎖cDNAをPCR増幅用 の鋳型として、200μMの各dNTP,3.5mM MgCl2,2.5単位のAmpliTaq GoldTM,並び に100ピコモルの各縮重プライマー522および538を含有するPCR緩衝液(10mM Tris-HCl,pH8.3,50mM KCl)中で使用した。PCR反応は、Perkin-Elmer Gene Amp PCR System 2400を使って行った。PCR反応は次のサイクルプロフィール を使って行った: 増幅生成物の5μlアリコートを、1.5%アガロースゲル中での電気泳動によ り分析した。 表6は、このプライマーセットの試験の結果を示し、即ち特異的PCRバンド が検出されたか否かを示す。表6 子嚢菌類および担子菌類からのゲノムDNAに対する プライマーセット522/538の試験 表6(続き) 表6(続き) 実施例6 分子スクリーニング(他のプライマーセット) プライマーセット522/525,539/540,539/538,539/525および537/525の プライマーセットを、センス縮重プライマーとアンチセンス縮重プライマーの各 々100ピコモルを使って、実施例5に記載した通りに試験した。増幅には、Ampli Taq Gold(TW)用に変更したタッチダウンPCRを用いた〔R.H.Don他(1991),Nu cleic Acid Research,第19巻,第14号を参照のこと〕。PCR反応は次のサイク ルプロフィールを使って行った: 実施例7 PCRバンドの精製および配列決定 PCR断片はJet Sorb Gel抽出キット(Genomed GmbH,Germany)を使って製 造業者の指示に従って精製しそして配列決定することができる。増幅されたPC R断片のヌクレオチド配列を、鋳型として200〜300ngの精製PCR生成物、Taq デオキシターミナルサイクル配列決定キット(Perkin-Elmer,USA)、蛍光標識 ターミネーターおよび5ピコモルの配列プライマーを使って、ABI PRISMt 377 DNA Sequencer(Perkin-Elmer)上で直接決定した。 プライマーセット522/538、および鋳型としてシゾフィルム(Schizophyllum )種CBS 443.97を使って生成されたPCR断片を上述した通りに精製すると、次 のようなDNA配列が推定され(5’→3’): (配列番号31) そして下記のようなアミノ酸配列に翻訳された: (配列番号32) 実施例1に記載の通りに二本鎖cDNAを合成した。実施例8 アスペルギルス・オリゼ中で発現されたペニオフォラ・リシイ由来のフィターゼ の精製および特徴づけ ペニオフォラ・リシイ(Peniophora lycii)のフィターゼをアスペルギルス・ オリゼ(Aspergillus oryzae)IFO 4177中で発現させた。 培養ブロスに濾過助剤を加え、そして濾布を通して濾過した。この溶液を更に Seits深型フィルター板を通して濾過して透明な溶液を与えた。この濾液を3kDa カットオフのポリエーテルスルホン膜上での限外濾過により濃縮し、次いで蒸留 水を使って透析して伝導率を下げた。濃縮酵素のpHをpH7.5に調整した。濃縮酵 素の伝導率は1.2mS/cmであった。 このフィターゼを、20mM Tris/CH3COOH,pH7.5中で平衡化されたQ−セファ ロースFFカラムに適用し、そして増加する直線NaCl勾配(0→0.5M)を用いて溶 出させた。フィターゼ活性は単一ピークとして溶出した。このピークを集め、そ して1.5Mの最終濃度になるように(NH4)2SO4を加えた。フェニルトロパール(Ph enyl Toyopearl)650Sカラムを1.5M(NH4)2SO4,10mMコハク酸/NaOH,pH6.0中 で平衡化し、そしてこのカラムにフィターゼを適用し、そして減少する直線(NH4 )2SO4勾配(1.5M→0M)を用いて溶出させた。フィターゼ含有画分をプールし、 そしてセファデックスG25カラム上で緩衝液を20mM Tris/CH3COOH,pH7.5に交 換した。このG25溶出液を、20mM Tris/CH3COOH,pH7.5中で平衡化されたQ− セファロースFFカラムに適用した。このカラムを平衡緩衝液で十分に洗浄した 後、増加する直線NaCl勾配(0→0.5M)を用いてフィターゼを溶出させた。フィ ターゼ活性画分を集め、そして透析により緩衝液を20mM Tris/CH3COOH,pH7.5 に交換した。透析したフィターゼを、20mM Tris/CH3COOH,pH7.5中で平衡化さ れたSOURCE 30Qカラムに適用した。カラムを平衡緩衝液で徹底的に洗浄した後、 増加する直線NaCl勾配(0→0.3M)を用いてフィターセを溶出させた。SOURCE 3 0Qカラムからの画分をSDS-PAGEにより分析し、純粋なフィターゼ画分を集めた。 ペニオフォラフィターゼはゲル中でMr=67kDaを有する一本のバンドとして移 動する。SDS-PAGEを行いそしてPVDF膜上に電気ブロッティングした後、この67kD a成分のN末端アミノ酸配列の決定を行った。次のアミノ酸配列が推定できた: Leu-Pro-Ile-Pro-Ala-Gln-Asn- 上記配列はcDNA由来のアミノ酸配列中のアミノ酸残基31〜37に相当する。 従って、アスペルギルス中で発現させた時のフィターゼの成熟アミノ酸配列は 、配列番号24の31〜439位であると思われる。実施例9 ペニオフォラ・リシイの精製フィターゼの更なる特徴づけ ペニオフォラ・リシイのフィターゼを実施例8に記載したようにアスペルギル ス中で発現させそして精製した。 次のアッセイを使ってフィターゼ活性を測定した: 10μlの希釈酵素試料(0.1M酢酸ナトリウム,0.01%Tween 20,pH5.5中に希釈 したもの)を、0.1M酢酸ナトリウム,0.01%Tween 20,pH5.5中の5mMフィチン 酸ナトリウム(Sigma)250μl(フィチン酸ナトリウムを溶かした後でpHを調整 した;基質は予熱した)に添加し、そして37℃で30分間インキュベートした。25 0μlの10%TCAを加えることにより反応を停止させ、そして100mlのモリブデ ン酸試薬〔8mlのH2SO4に溶かした2.5gの(NH4)6Mo7O24・4H2Oの溶液を250mlに希 釈したもの〕中の7.3gのFeSO4の溶液500μlを加えることにより測定した。96 ウエルマイクロタイタープレート中の200μlの試料に対して750nmでの吸光度を 測定した。基質ブランクと酵素ブランクを含めた。リン酸標準曲線も含めた(0 〜2mMリン酸)。IFYTは、与えられた条件で1分あたり1μモルのリン酸を 遊離させる酵素の量に等しい。 アッセイを様々な温度(基質を予熱する)で行うことにより温度プロフィール を得た。 フィターゼを0.1Mリン酸ナトリウム,pH5.5中で様々な温度で予備インキュベ ートした後で残余活性を測定することにより、温度安定性を調べた。 酵素をpH3(25mMグリシン-HCl)、pH4-5(25mM酢酸ナトリウム)、pH6(25m M MES)、pH7-9(25mM Tris-HCl)において 40℃で1時間インキュベートした後で残余活性を測定することにより、pH安定性 を測定した。 同一緩衝系(50mM,基質を溶解した後でpHを再調整した)を使って様々なpHで アッセイを行うことにより、pHプロフィールを得た。 上記pHプロフィール、pH安定性、温度プロフィールおよび温度安定性実験の結 果はそれぞれ図8,9,10および11に示される。図9から、ペニオフォラ・リシ イのフィターゼが、pH3〜9の全範囲において40℃で1時間に渡り非常に安定で ある(最大活性の80%以上が保持された)ことが明らかである。そして図11に示 される60〜80℃での温度安定性結果についても、残余活性の50〜60%がまだ保持 されることが明らかである。この事実は驚くべきことに酵素が熱変性の後でも再 生(refolding)できるためであると予想される。再生の程度は正確な条件(pH 、酵素濃度)に依存するだろう。 図12は、ペニオフォラのフィターゼについての示差走査熱量測定(DSC)の 結果を示す。DSCでは、試料細胞において一定の温度上昇を維持するために消 費される熱量が参照細胞に比較して測定される。一定加熱速度が維持される(例 えば90℃/時間)。一定の温度上昇を維持するために細胞に伝達される熱量の増 加として、吸熱工程(熱消費工程、例えば酵素/タンパク質の変性)を観察する 。DSCはMicroCalからのMC2装置を使って行った。細胞を20℃で20分間平衡化 した後、90℃/時間の走査速度で90℃まで走査した。0.1M酢酸ナトリウム,pH5 .5中およそ2.5mg/mlのペニオフォラフィターゼの試料を負荷した。実施例10 ペニオフォラフィターゼの比活性の測定 高度に精製されたフィターゼ試料(SDS−ポリアクリルアミドゲル上で1成 分のみの存在を示すことにより、純度を事前に確認し た)について比活性を測定した。 フィターゼ試料中のタンパク質濃度を次のようにしてアミノ酸分析により測定 した:フィターゼ試料のアリコートを排気したガラス試験管中で6N HCl,0.1% フェノール中で110℃にて16時間加水分解した。生じたアミノ酸を、製造業者の 指示に従って操作するApplied Biosystems 420Aアミノ酸分析装置を使って定量 した。アミノ酸の量から、加水分解したアリコート中のタンパク質の全質量が算 出でき、よってタンパク質濃度も算出できる。 活性はFYTの単位で測定する。IFYTは、pH5.5,37℃で1分あたりフィ チン酸塩(5mMフィチン酸塩)から1マイクロモルの無機リン酸を遊離させる酵 素の量に等しい。アッセイは例えば実施例11に記載の通りである。 比活性は987 FTY/mg酵素タンパク質であると算出された。実施例11 1H-NMR 分光法によるフィチン酸のフィターゼ触媒加水分解の時間分解生成物プロ フィリング ペニオフォラのフィターゼと市販のアスペルギルス・ニガーのフ の加水分解を、24時間に渡り生成物混合物を1H-NMRプロファイリングすることに より調べた(27mMフィチン酸、1FTY/ml、pH5.5および3.5、27℃)。 下記においてIns(p,q,r・・・)Pnは、合計n個のリン酸基がp,q, r・・・の位置に結合されているミオイノシトールを表す。便宜上、Ins(1, 2,3,4,5,6)P6(フィチン酸)はPAと省略される。しかしながら、 本明細書の「フィターゼの命名法および位置特異性」の項目を参照されたい。 上記技術は、PA分子上の酵素による最初の攻撃の位置に関する 具体的情報、並びに最終生成物の正体に関する情報を提供する。他方で、中間生 成物混合物の組成を反映するピークの発生パターンは、個々の酵素間の類似と相 違の同定に適当な定量手段であるフィンガープリントを提供する。 NMRは他の大部分の分析方法と同様に、鏡像ではない立体異性体(ジアステ レオマー)間を識別することができるが、鏡像である一組の異性体(鏡像異性体 )は共に同じNMRスペクトルを示すので、それらを識別することはできない。 Ins(1,2,4,5,6)P5(3−リン酸が除去されたもの)は、In s(1,2,3,4,5)P5(6−リン酸が除去されたもの)とは異なるNM Rスペクトルを示す(これらの異性体はジアステレオマーであるため)。 しかしながら、Ins(1,2,4,5,6)P5とIns(2,3,4,5 ,6)P5(1−リン酸が除去されたもの)のNMRスペクトルは、それらの異 性体が鏡像体であるために同一である。同じことがIns(1,2,3,4,5 )P5とIns(1,2,3,5,6)P5(4−リン酸が除去されたもの)にも 当てはまる。 よって、NMRでは3−フィターゼと1−フィターゼとを区別することができ ず、また6−フィターゼと4−フィターゼとも区別することができない(または 最低ローカント法則を使うとL−6−フィターゼとD−6−フィターゼ)。 文献中の3−フィターゼと6−フィターゼの記載により、我々は本発明の酵素 に3−フィターゼと6−フィターゼという言い方を用いるが、ありそうにないけ れども代わりに1−フィターゼと4−フィターゼを有するのかどうかは実際には 分からない。実験 5mmの選択逆プローブヘッドを装備したBruker DRX400装置上で 300K(27℃)でNMRスペクトルを記録した。8Kデータポイントに及ぶ2003H z(5ppm)のスウィープ幅を使って、4つのダミースキャンの後に続いて16スキ ャンを集積した。3秒間の予備飽和期間により残余HOD共振の減衰が達成され た。スペクトルはHODシグナル(δ4.70)を基準にした。 NMR分析用のPA試料は次のようにして調製した:PA(100mg,フィチン 酸二カリウム塩,Sigma P-5681)を脱イオン水(4.0ml)に溶かし、そして水性N aOH(4N)の添加によりpHを5.5または3.5に調整した。脱イオン水を加え(5m lまで)そして各々20mgのフィチン酸に相当する1ml部分をスクリューキャップ付 バイアルに移し、溶媒を蒸発させた(真空遠心分離)。乾燥試料を酸化ジュウテ リウム(2ml,MercK 99.5%D)中に溶かし、そして再び蒸発乾固せしめた(使 用まで−18℃で保存)。 NMR分析用に、1つの20mgフィチン酸試料を酸化ジュウテリウム(1.0ml,M erck 99.95%D)中に溶かした。この溶液をNMR管に移し、そして1H−NM Rスペクトルを記録した。 酵素溶液(1FTU、酸化ジュウテリウム中に溶かすかまたは適当に希釈した もの)を加えた後、徹底的に混合した(1分)。酵素の添加直後(t=0)に1 H−NMRスペクトルを記録し、次いで5,10,15,20,25,30,45,60,75, 90,105,120,135,150,165,180,195,210分(=3.5時間)後、4.5,5.5,6. 5,7.5,8.5,9.5,11.5,13.5,15.5,17.5,19.5,21.5および23.5時間後に記 録した。NMR管中のpHを測定した。48時間後と120時間後(5日後)にも追加 のスペクトルを得、もし酵素がその触媒活性を保持していたら、そこに基質の一 部(PA,6mg)をプローブに加えた。 発表されたNMRデータ〔Scholz,P.,Bergmann,G.& Mayr,G.W.:Methods in Inositide Research(Irvine,R-F.編),pp.65-82,Raven Press,Ltd.,New York(1990)〕と共に、PAの部分消化により得られたイノシトールリン酸混合 物の二次元NMR分析を用いて、Ins(1,2,3,4,5,6)P6(=P A)、Ins(1,2,4,5,6)P5、Ins(1,2,3,4,5)P5、 Ins(1,2,5,6)P4、Ins(1,2,6)P3、Ins(1,2)P2 およびIns(2)Pに起因する特徴的1H−NMRシグナルを同定し、そして 反応経過中のそれらの種の相対的定量を可能にした。 pH5.5で24時間の反応時間に渡るアスペルギルスのフィターゼとペニオフォラ のフィターゼについての生成物プロフィールの積重ねプロットをそれぞれ図13と 図14に与える。 δ3.25(t)のシグナルはIns(1,2)P2中のH−5を表し、δ3.15(t )のシグナルはIns(2)P中のH−5を表す。Ins(1,2)P2は、ア スペルギルスのフィターゼでは約4時間の反応時間後に蓄積し始め、そしてぺニ オフォラのフィターゼでは約1時間の反応時間後に蓄積し始める。Ins(2) Pはアスペルギルスのフィターゼでは約10時間の反応時間後に観察され、そして ペニオフォラのフィターゼでは約3時間の反応時間後に観察される。24時間の反 応後には、両フィターゼともにIns(1,2)P2の量またはレベルが非常に 低くなり、一方でIns(2)Pの量は両フィターゼともに24時間後に最大であ る。 従って、24時間の反応時間後に観察されたプロフィールは、両フィターゼがP AをIns(2)Pに分解したことを証明する。 両酵素とも、24時間の反応混合物はIns(2)Pに加えて少量のIns(1 ,2)P2を含んだ。長い反応時間(数日)は残余の Ins(1,2)P2の消失をもたらしたが、完全に脱リン酸された種であるイ ノシトール(Ins)は全く観察されなかった。酵素が室温で5日間維持した後 のNMR管に添加した新たなPA部分を消化できたことにより証明されるように 、酵素が長期間に渡りそれらの触媒活性を保持したので、この観察結果は酵素の 不可逆性阻害/変性によるものであるとは説明できない。 図15および16に目を移すと、それらは最初の4.5時間の間にpH5.5で生じるプロ フィールをより詳細に描写する。Ins(1,2,4,5,6)P5(Aと表示 )中のH−3がδ3.66(dd)のシグナルを示し、Ins(1,2,3,4,5)P5 (Bと表示)中のH−6がδ3.87(t)のシグナルを示し、そしてIns(1, 2,5,6)P4(Cと表示)中のH−3がδ3.56(dd)のシグナルを示すことが 図10から推測される。よって化合物Aは3位のリン酸が加水分解されており、化 合物Bは6位のリン酸が加水分解されており、そして化合物Cは3位と4位が加 水分解されているものに相当する。 図15から、化合物Aはアスペルギルスのフィターゼを使った時に主な一次生成 物(t=5分)として現れるが化合物Bは現れないことが判る。化合物Cは20〜 25分後に現れる。 図16(ペニオフォラのフィターゼ)から、化合物Bがペニオフォラのフィター ゼを使った時の主な一次生成物(t=5分)として現れることが推測される。 δ4.82(dt,H-2),4.38(q,H-4/H-6),4.13(q,H-5)および4.11(dt,H-1/H-3) のところのシグナルは、基質のフィチン酸に由来する。図15と16を比較すると、 それらのピークはアスペルギルスのフィターゼよりもペニオフォラのフィターゼ を使った時に速く減少することが明らかである。 それらの相違は、pH5.5で20分後に観察されるプロフィールを与 える、上記診断シグナル(A,B,C)を表示した図17において強調される。 図18は、pH5.5でのフィチン酸の加水分解(上記条件下で)の最終結果(即ち 図13および図14の上行に相当する)を示す。上側のペニオフォラ態様に表示した 全てのシグナルは、化合物Ins(2)Pを表し、即ち右から左に向かって、そ れのプロトン:H−5,H−1およびH−3,H−4およびH−6,並びに最後 にH−2を表す。相対強度は1:2:2:1である。対応するシグナルは下側の アスペルギルスの態様にも認められる。これは、両態様とも最終生成物がIns (2)Pであることを意味する。しかしながら、両態様において少量のIns( 1,2)P2(対応するピークはアスペルギルス態様にだけ示してある)も検出 される。 以下のような顕著な相違が観察される: ・アスペルギルス 3−,4−および5−位のリン酸基の連続除去に相当する、最初の主生成物I ns(1,2,4,5,6)P5(Aと表示)に続いてIns(1,2,5,6 )P4(C)およびIns(1,2,6)P3(D)(1.5時間後のδ3.49(dd)の ところのH−3)が現れる。Ins(1,2)P2(E)の濃度は4時間目にゆ っくりと生成し始め、そして12〜14時間目に非常に急激に減少し、それと同時に Ins(2)P(F)レベルが急激に増加する。このことは、基質に相当するシ グナル(t=0)の下の面積に対して、Ins(1,2)P2〔δ3.25(t)〕お よびIns(2)P〔δ3.18(t)〕中のH−5にそれぞれ相当するシグナルの 下の面積を求めることにより測定したIns(1,2)P2とIns(2)Pの それぞれの時間依存濃度を表す、図11において視覚化される。 .ペニオフォラ pH5.5では最初に6位のみが攻撃される。特徴は、PAがアスペルギルスのフ ィターゼに比べてより速い速度で消化されることである。追加の特徴は、アスペ ルギルスのフィターゼに観察される反応の終わりの法にIns(2)Pレベルが 非常に急激に増加することと対照的に、最終生成物のIns(2)P(F)が非 常に早期(3時間目)に現れ、そしてゆっくりと生成されることである。 図19は図17と同様なプロットであるが、pH3.5におけるものである。驚くべき ことに、このpHでは、ペニオフォラフィターゼがPAの6位だけでなく3位に対 しても(6位にわずかな優先性がある)高度の初期親和性を有するようになる。 得られたデータから次の結論を導くことができる: pH5.5とpH3.5では、アスペルギルスのフィターゼは3位において高度な選択性 でPAを攻撃するのに対し、ペニオフォラのフィターゼはpH5.5で6位において 高度な選択性でPAを攻撃するが、pH3.5ではそれは3位と6位のリン酸基を同 等の速度で加水分解するようである。 pH5.5では、ペニオフォラのフィターゼはアスペルギルスのフィターゼよりも 速い速度でPAを消化する。 最終生成物は、適用した条件の下、pH3.5と5.5の両方でIns(2)P(F) である。 全体の反応速度〔PA→Ins(2)P〕は同等であり、約20時間である(図 20,pH5.5)。 従って、アスペルギルスフィターゼは本質的に純粋な3−フィターゼであるこ とが証明された一方で、ペニオフォラフィターゼはpH5.5では本質的に純粋な6 −フィターゼでありそしてpH3.5では今までに未知のタイプのフィターゼ、即ち 3+6−フィターゼであると思われる。 ペニオフォラフィターゼによるフィチン酸の部分加水分解によって生成される ミオイノシトールテトラキスリン酸の正確な立体配置は後述するようにして決定 することができ、それは更にペニオフォラフィターゼがD−,L−またはD/L −6−フィターゼであるかどうかを結論できるようにする。 正確な特異性を決定する別の方法は、光学旋光度を測定することによるかまた はキラルHPLCカラムを使うことによるものである。 1.ペニオフォラフィターゼによるフィチン酸の部分分解により生じたミオイノ シトールテトラキスリン酸のHPLC単離。脱塩(イオン交換、透析、下記の参 考文献(2),(4)および(9))。 2.(i)純度を調べるため、(ii)幾つかのジアステレオマーテトラキスリン酸 エステルが生成されたかどうかを調べるため、そして(ii)それらのいずれが生成 されるかを調べるための、NMR分析。 3.対応する炭水化物のホウ化水素(BH)還元を使った関連ポリオールの合成 (下記参考文献(10))。 4.参考文献(2)に従った、過ヨウ素酸塩を使った崩壊、ホウ化水素による還元 および脱リン酸。HPLCを使ったポリオールの同定。 5.L−イジトールデヒドロゲナーゼを使ったポリオールの酸化およびHPLC を使った炭水化物の最終同定。 実施例12 アスペルギルスフィターゼとペニオフォラフィターゼの比較アッセイ トウモロコシからの無機リン酸の遊離 本例は、pH3.5とpH5.5でのトウモロコシからのフィターゼにより触媒されるリ ンの遊離についての簡単なアッセイを提供する。P遊離の速度とレベルの2つの パラメーターに注目した。材料と方法: トウモロコシはノースカロライナ州立大学から入手し(試料No.R27)そして6. 8のポイントでミル(Buhler Universal)中で粉砕した。 250mlの青色の蓋が付いた瓶に20gのトウモロコシ粉を秤量し、そして100mlの 緩衝液を加えることにより、トウモロコシ懸濁液(16.7%w/w)を調製した。 次の緩衝液を使用した:0.22M酢酸緩衝液、pH5.5。 3.5のpH値は8N HCl/NaOHによって調整した。 試験した酵素:市販のアスペルギルス・ニガーのフィターゼ(Ph ニオフォラのフィターゼの2種類のフィターゼを試験した。 用量:全ての酵素は25FYT/20gのトウモロコシ(1250FYT/kgに相当す る)の用量で使用した。 トウモロコシ懸濁液の入った瓶の蓋を締め、すぐに37℃の水浴中に置き、そし て一定の攪拌を行った。この段階と24時間後にpHを測定した。30分間の攪拌後、 5mlの試料を採取した。 次いでフィターゼ酵素を25FYT/20gトウモロコシの用量で加えた。 次いでフィターゼを添加してから5,10,15,20,25,30,40, 50,60および120分後に試料を採取し、そして次のようにして遊離されたリン( P)の含有量を測定した。 フィターゼを含む試料を緩衝液中に1:4希釈した。次いでその試料を3000rp mで5分間遠心し、上清1mlを採取した。2.0mlの緩衝液と2.0mlのMoV停止溶液( 実施例6のFYTアッセイを参照のこと)を加えた。全ての試料が415nmで分光 光度計により測定できるようになるまで、試料を3〜5℃で冷蔵庫中に入れてお いた。 0時間目と20時間目にpHを測定した。 測定のために、50mMのリン酸標準溶液または原液を調製した。0.5,1.0,1.5 および2.0mlの原液を緩衝液を使って50mlの総容量に希釈した。各溶液の3.0mlを 2.0mlのMoV停止溶液に加えた。 pH5.5とpH3.5において2つの実験を行った。分析結果は図21と図22(それぞれ pH5.5とpH3.5)に示される。それらの図において、記号◆は対照実験を表し、▲ はペニオフォラフィターゼを表し、そして■はアスペルギルスフィターゼを表す 。結果と考察: 図21(pH5.5)は、このpHで、ペニオフォラフィターゼが、アスペルギルスフ ィターゼに比べてかなり高められた速度でトウモロコシからPを遊離させること を示す。 図22(pH3.5)から、このpHでペニオフォラフィターゼがアスペルギルスフィ ターゼに比べてトウモロコシ粉からかなり速くリンを遊離させることが明らかで ある(0〜120分)。 例えばニワトリ/ブロイラーの消化系の通過時間は通常30分〜2時間の程度で あるので、観察された相違はどんなpHでも確かに重要である。それでも、3.5のp H値がpH5.5値よりもこの点でより適当である。 これはペニオフォラ酵素が、驚くべきことに例えばブロイラーの 消化系におけるP遊離剤として既知のアスペルギルスフィターゼよりも効率的で あることを暗示する。実施例13 酵母中で発現されるアグロキベ・ペディアデスのフィターゼの醗酵、精製および 特徴づけ 酵母株を100mlの培地A中で250rpmで振盪しながら30℃で一晩インキュベート することにより、種子培養物を調製した。2mlの種子培養物に100mlの培地Bを 接種し、菌株を250rpmで振盪しながら30℃で7〜12日間インキュベートした。 アグロキベ・ペディアデス(Agrocybe pediades)フィターゼを実施例2に記 載の通りに酵母中で発現させた。酵母クローンは、配列番号22に示されるアミノ 酸配列を有する本発明のフィターゼをコードするクローン化配列を含んで成る。 培養上清に濾過助剤を加え、濾布を通して濾過した。この溶液を更にseitz深 型フィルター板を通して濾過して透明溶液を得た。この濾液を3kDaカットオフ のポリエーテルスルホン膜上での限外濾過により濃縮し、そして微生物フィルタ ー板上で再濾過した。濾液のpHをpH7.5に調整し、そして蒸留水での希釈により 伝導率を2mS/cmに調整した。 このフィターゼを、20mM Tris/CH3COOH,pH7.5で平衡化されたQ−セファロ ースFFカラムに適用し、そして増加する直線NaCl勾配(0→0.5M)を用いて 溶出させた。Q−セファロースカラムからのフィターゼ含有画分をプールし、そ して1.3Mの最終濃度になるように(NH4)2SO4を加えた。フェニルトヨパール(Ph enyl Toyopearl)650Sカラムを1.3M(NH4)2SO4,10mMコハク酸/NaOH,pH6.0で 平衡化し、このカラムにフィターゼを適用し、そして減少する直線(NH4)2SO4勾 配(1.3M→0M)を用いて溶出させ た。フィターゼ含有画分をプールし、そしてセファデックスG25カラム上で緩衝 液を20mM Tris/CH3COOH,pH7.5に交換した。20mM Tris/CH3COOH,pH7.5で平衡 化されたSOURCE Qカラム上てフィターゼを更に精製し、直線NaCl勾配(0→0.5 M)を用いて溶出させた。最後に、SOURCE Qカラムからのフィターゼ含有画分を プールし、10kDaカットオフの再生セルロース膜上で濃縮し、そして25mM CH3COO H/NaOH,100mM NaCl,pH5.0で平衡化されたスーパーデックス(Superdex)200 カラムに適用した。 スーパーデックス200カラムからの画分をSDS-PAGEにより分析した。フィター ゼはゲル中でおよそMr=150kDaを有する分散した幅広いバンドとして移動する 。これは、このフィターゼ酵素が高度にグリコシル化されていたことを示す。 SDS-PAGEとPVDF膜上への電気ブロッティングを行った後、この150kDa成分のN 末端アミノ酸配列決定を実施した。 約4:1(上の配列:下の配列)の相対量において2つのN末端配列が推定で きた: Val-Gln-Pro-Phe-Phe-Pro-Pro-Gln-Ile-Gln-Asp-Ser-Trp-Ala-Ala-Tyr-Thr-Pro- Tyr-Tyr-Pro-Val-Gln- および Thr-Phe-Val-Gln-Pro-Phe-Phe-Pro-Pro-Gln-Ile-Gln-Asp-Ser-Trp-Ala-Ala-Tyr- Thr-Pro-Tyr-Tyr-Pro- 上記2つのN末端アミノ酸“Val”と“Thr”は、それぞれ配列番号2の22位と 25位に見つかる。これは、酵母中で発現されると、本発明の成熟フィターゼ酵素 が配列番号22の27位または25位で始まることを示す。 従って、酵母中で発現させ時のフィターゼの成熟アミノ酸配列は、配列番号22 の27〜453位または25〜453位であると思われる。実施例14 アスペルギルス・オリゼ中で発現されたアグロキベ・ペディアデス由来のフィタ ーゼの精製および特徴づけ アグロキベ・ペディアデス(Agrocybe pedlades)フィターゼをアスペルギル ス・オリゼ(Asperglllusoryzae)IFO 4177中で発現させそして分泌させた。 培養ブロスに濾過助剤を加え、濾布を通して濾過した。この溶液を更にSeitz 深型フィルター板を通して濾過して透明溶液を得た。この濾液を3kDaカットオ フのポリエーテルスルホン膜上での限外濾過により濃縮し、そして蒸留水に対す る透析により伝導率を下げた。この濃縮酵素のpHをpH7.5に調整した。 このフィターゼを、20mM Tris/CH3COOH,pH7.5で平衡化されたQ−セファロ ースFFカラムに適用し、そして増加する直線NaCl勾配(0→0.5M)を用いて 溶出させた。フィターゼ活性は単一ピークとして溶出した。このピークをプール し、そして1.3Mの最終濃度になるように(NH4)2SO4を加えた。フェニルトロパー ル(Phenyl Toyopearl)650Sカラムを1.3M(NH4)2SO4,10mMコハク酸/NaOH,pH 6.0で平衡化し、このカラムにフィターゼを適用し、そして減少する直線(NH42 SO4勾配(1.3M→0M)を用いて溶出させた。フィターゼ含有画分をプールし、透 析により緩衝液を20mM Tris/CH3COOH,pH7.5に交換した。20mM Tris/CH3COOH ,pH7.5で平衡化されたSOURCE 30Qカラムにフィターゼを適用し、そして増加す る直線NaCl勾配(0→0.25M)を用いて酵素を溶出させた。フィターゼ活性をプ ールし、1.6Mの最終濃度になるように(NH42SO4を加えた。SOURCEフェニルカ ラムを1.6M(NH4)2SO4,25mMコハク酸/NaOH,pH6.0で平衡化し、このカラムにフ ィターゼを適用し、そして減少する直線(NH4)2SO4勾配(1.6M→0M) を用いて溶出させた。SOURCEフェニルカラムからの画分をSDS-PAGEにより分析し 、純粋なフィターゼ画分をプールした。このフィターゼプールを20mM Tris/CH3 COOH,pH7.5に対して透析し、同緩衝液で平衡化されたHighTrap Qカラムに適用 し、そして20mM Tris/CH3COOH,0.5M NaCl,pH7.5を用いて段階溶出せしめた。 アグロキベのフィターゼはSDS-PAGE上でMr=60kDaを有する一本のバンドとし て移動する。 SDS-PAGEとPVDF膜上への電気ブロッティングを行った後、この60kDa成分のN 末端アミノ酸配列決定を実施した。 約2:1(上の配列・下の配列)の相対量において2つのN末端配列が推定で きた: Phe-Pro-Pro-Gln-Ile-Gln-Asp-Ser-Trp-Ala-Ala-Tyr-Thr-Pro-Tyr-Tyr-Pro-Val- Gln- および Gln-Pro-Phe-Phe-Pro-Pro-Gln-Ile-Gln-Asp-Ser-Trp-Ala-Ala-Tyr-Thr-Pro-Tyr- Tyr- 上の配列はcDNA由来のアミノ酸配列中のアミノ酸残基31〜49に相当し、そ して下の配列ばアミノ酸残基28〜46に相当する。 従って、アスペルギルス中で発現させた時のフィターゼの成熟アミノ酸配列は 、配列番号22の31〜453位または28〜453位であると思われる。 従って、実施例13の結果と本例の結果を合わせると、配列番号21中、次の配列 がフィターゼをコードする部分配列である:第79〜1362位、第73〜1362位、第91 〜1362位または82〜1362位のヌクレオチド配列(即ち、それそれ配列番号22の第 27〜453位、第25〜453位、第31〜453位または第28〜453位のアミノ酸配列に相当 する)。 従って、成熟フィターゼ酵素のN末端配列にはわずかな可変性が ある。この可変性は、酵素を単一株中で発現させた時にも、異なる株中で発現さ せた時と同様に観察される。酵母では、成熟フィターゼ酵素は第27位または第25 位アミノ酸で始まり(それぞれ約80%:20%の相対量);アスペルギルス中では 成熟フィターゼ酵素は第31位または第28位アミノ酸で始まる(それぞれ約65%: 35%の相対量)。実施例15 アグロキベ・ペディアデスの精製フィターゼの特徴づけ アグロキベ・ペディアデスのフィターゼを実施例14に記載の通りにアスペルギ ルス中で発現させそして精製した。 次のアッセイを使ってフィターゼ活性を測定した: 10μlの希釈酵素試料(0.1M酢酸ナトリウム,0.01%Tween 20,pH5.5中に希釈 したもの)を、0.1M酢酸ナトリウム,0.01%Tween 20,pH5.5中の5mMフィチン 酸ナトリウム(Sigma)溶液250μl(フィチン酸ナトリウムを溶かした後でpHを調 整した;基質は予熱した)に添加し、そして37℃で30分間インキュベートした。 250μlの10%TCAを加えることにより反応を停止させ、そして100mlのモリブ デン酸試薬〔8mlのH2SO4に溶かした2.5gの(NH4)6Mo7O24・4H2Oの溶液を2507ml に希釈したもの〕中の7.3gのFeSO4の溶液500μlを加えることにより遊離のリン 酸を測定した。96ウエルマイクロタイタープレート中の200μlの試料に対して7 50nmで吸光度を測定した。基質ブランクと酵素ブランクを含めた。リン酸標準曲 線も含めた(0〜2mMリン酸)。IFYTは、与えられた条件で1分あたり1μ モルのリン酸を遊離させる酵素の量に等しい。 アッセイを様々な温度(基質を予熱する)で行うことにより温度プロフィール を得た。 フィターゼを0.1Mリン酸ナトリウム,pH5.5中で様々な温度で 予備インキュベートした後で残余活性を測定することにより、温度安定性を調べ た。 酵素をpH3(25mMグリシン-HCl)、pH4-5(25mM酢酸ナトリウム)、pH6(25m M MES)、pH7-9(25mMTris-HCl)において40℃で1時間インキュベートした後で 残余活性を測定することにより、pH安定性を測定した。 アッセイを同一緩衝液系(50mM,基質を溶解した後でpHを再調整した)を使っ て様々なpHにおいて行うことにより、pHプロフィールを得た。 上記pHプロフィール、pH安定性、温度プロフィールおよび温度安定性実験の結 果はそれぞれ図23,24,25および26に示される。 図23から、アグロキベ・ペディアデスのフィターゼが、pH3〜9の範囲において 穏当な活性を有する(即ち、最大活性の50%以上が保持される)ことが明らかで ある。pH4〜6では、最大活性の70%以上が検出され、そしてpH5〜6では90%以上 が検出される。最適pHはpH5.5〜6の領域にあると思われる。 図24から、アグロキベ・ペディアスのフィターゼが、pH3〜9の全範囲において 40℃で1時間に渡り非常に安定である(即ち、最大活性の80%以上が保持される )ことが明らかである。 温度プロフィールについては、アグロキベ・ペディアデスのフィターゼが35〜 55℃の温度では穏当な活性(即ち、最大活性の60%以上)を有し、一方で40〜52 ℃の温度では活性が最大活性の70%以上であり、そして最適な温度は50℃付近で あることが明らかである。 最後に、図26に示される温度安定性結果については、フィターゼは0〜約55℃ の温度で非常に安定である(即ち、60%以上の残余活性)。60℃の予備インキュ ベーション後には、残余活性の鋭い低下が見られる。それでも、60℃では残余活 性が少なくとも20%、好ま しくは25%、より好ましくは30%まだ保持されている。また、60℃より高い予備 インキュベーション温度、例えば70℃や80℃でも、20%以上、好ましくは30%以 上、特に40%以上の、驚くべき程の高い残余活性が保持されている。 この事実は、驚くべきことに酵素がそれの熱変性の後でも再生できるためであ ると予想される。再生の程度は正確な条件(pH、酵素濃度)に依存するだろう。 図27は、アグロキベのフィターゼについての示差走査熱量測定(DSC)の結 果を示す。 DSCでは、試料細胞において一定温度上昇を維持するために消費される熱量 が参照細胞に比較して測定される。一定加熱速度が維持される(例えば90℃/時 間)。一定温度上昇を維持するために細胞に伝達される熱量の増加として、吸熱 工程(熱消費工程、例えば酵素/タンパク質の変性)を観察する。 DSCはMicroCalからのMC2装置を使って行った。細胞を20℃で20分間平衡化 した後、90℃/時間の走査速度で90℃まで走査した。0.1M酢酸ナトリウム,pH5 .5中およそ2.5mg/mlのアグロキベフィターゼの試料を負荷した。 図5からアグロキベフィターゼがpH5.5で約58℃の変性または「融解」温度を 有することが明らかであるので、温度安定性実験をDSCにより確認した。アグ ロキベフィターゼの再走査は58℃で小さいピークを示し、これも該酵素の一部が 事実上再生されて最初の走査による熱不活性化酵素が折り畳まれるという事実の 指標である。実施例16 1H-NMR 分光法によるフィチン酸のフィターゼ触媒加水分解の時間分解生成物プロ ファイリング アグロキベのフィターゼおよび市販のアスペルギルス・ニガーの の加水分解を、24時間に渡り生成物混合物を1H-NMRプロファィリングすることに より調べた(27mMフィチン酸、1FTY/ml、pH5.5および3.5、27℃)。 下記においてIns(p,q,r・・・)Pnは、合計n個のリン酸基がp,q, r・・・の位置に結合されているミオイノシトールを表す。便宜上、Ins(1,2 ,3,4,5,6)P6(フィチン酸)はPAと省略される。しかしながら、本 明細書の「フィターゼの命名法および位置特異性」の項目を参照されたい。 上記技術は、PA分子上の酵素による最初の攻撃位置に関する詳細な情報、並 びに最終生成物の正体に関する情報を提供する。他方で、中間生成物混合物の組 成を反映するピークの発生パターンは、個々の生物間の類似と相違の同定に適当 な定量手段であるフィンガープリントを提供する。 NMRは他の大部分の分析方法と同様に、鏡像ではない立体異性体(ジアステ レオマー)間を識別することができるが、鏡像である一組の異性体(鏡像異性体 )は共に同じNMRスペクトルを示すので、それらを識別することはできない。 Ins(1,2,4,5,6)P5(3−リン酸が除去されたもの)は、In s(1,2,3,4,5)P5(6−リン酸が除去されたもの)とは異なるNM Rスペクトルを示す(これらの異性体はジアステレオマーであるため)。 しかしながら、Ins(1,2,4,5,6)P5とIns(2,3,4,5 ,6)P5(1−リン酸が除去されたもの)のNMRスペクトルは、それらの異 性体が鏡像体であるために同一である。同じことがIns(1,2,3,4,5 )P5とIns(1,2,3,5,6)P5(4−リン酸が除去されたもの)にも 当てはまる。 よって、NMRでは3−フィターゼと1−フィターゼとを区別することができ ず、また6−フィターゼと4−フィターゼとも区別することができない(または 最低ローカント法則を使うとL−6−フィターゼとD−6−フィターセ)。 文献中の3−フィターゼと6−フィターゼの記載により、我々は本発明の酵素 に3−フィターゼと6−フィターゼという言い方を用いるが、ありそうにないけ れども代わりに1−フィターゼと4−フィターゼを有するかどうかは実際には分 からない。実験 5mmの選択的逆プローブヘッドを装備したBruker DRX400装置上で300K(27℃ )でNMRスペクトルを記録した。8Kデータポイントに及ぶ2003Hz(5ppm) のスウィープ幅を使って、4つのダミースキャンの後に続いて16スキャンを集積 した。3秒間の予備飽和期間により残余HOD共振の減衰が達成された。スペク トルはHODシグナル(δ4.70)を基準にした。 NMR分析用のPA試料は次のようにして調製した:PA(100mg,フィチン 酸二カリウム塩,Sigma P-5681)を脱イオン水(4.0ml)に溶かし、そして水性N aOH(4N)の添加によりpHを5.5または3.5に調整した。脱イオン水を加え(5m lまで)そして各々20mgのフィチン酸に相当する1ml部分をスクリューキャップ 付バイアルに移し、溶媒を蒸発させた(真空遠心分離)。乾燥試料を酸化ジュウ テリウム(2ml,Merck 99.5%D)中に溶かし、そして再び蒸発乾固せしめた( 使用まで−18℃で保存)。 NMR分析用に、1つの20mgフィチン酸試料を酸化ジュウテリウム(1.0ml, Merck 99.95%D)中に溶かした。この溶液をNMR管に移し、そして1H−NM Rスペクトルを記録した。酵素溶液(1FTU、酸化ジュウテリウム中に溶かす かまたは適当に希釈し たもの)を加えた後、徹底的に混合した(1分)。酵素の添加直後(t=0)に1 H−NMRスペクトルを記録し、次いで5,10,15,20,25,30,45,60,75 ,90,105,120,135,150,165,180,195,210分(=3.5時間)後、4.5,5.5 ,6.5,7.5,8.5,9.5,11.5,13.5,15.5,17.5,19.5,21.5および23.5時間後 に記録した。NMR管中のpHを測定した。48時間後と120時間後(5日後)にも 追加のスペクトルを得、もし酵素かその触媒活性を保持していたら、基質の一部 (PA,6mg)をプローブに加えた。 発表されたNMRデータ〔Scholz,P.,Bergmann,G.& Mayr,G.W.:Methods in Inositide Research(Irvine,R.F.編),pp.65-82,Raven Press,Ltd., New York(1990)〕と共に、PAの部分消化により得られたイノシトールリン酸 混合物の二次元NMR分析を用いて、Ins(1,2,3,4,5,6)P6( =PA)、Ins(1,2,4,5,6)P5、Ins(1,2,3,4,5) P5、Ins(1,2,5,6)P4、Ins(1,2,6)P3、Ins(1, 2)P2およびIns(2)Pに起因する特徴的1H−NMRシグナルを同定し、 そして反応経過中のそれらの種の相対的定量を可能にした。 24時間の反応時間に渡るアスペルギルスのフィターゼとアグロキベのフィター ゼについての生成物プロフィールの積重ねプロットをそれぞれ図28と2914に与え る。 δ3.25(t)のシグナルはIns(1,2)P2中のH−5を表し、δ3.15(t )のシグナルはIns(2)P中のH−5を表す。Ins(1,2)P2は、ア スペルギルスのフィターゼでは約4時間の反応時間後に蓄積し始め、そしてアグ ロキベのフィターゼでは約2時間の反応時間後に蓄積し始める。Ins(2)P はアスペルギルスのフィターゼでは約10時間の反応時間後に観察され、そして アグロキベのフィターゼでは約5時間の反応時間後に観察される。24時間の反応 後には、両フィターゼともにIns(1,2)P2の量またはレベルが非常に低 くなり、一方でIns(2)Pの量は両フィターゼともに24時間後に最大である 。 従って、24時間の反応時間後に観察されたプロフィールは、両フィターゼがP AをIns(2)Pに分解したことを証明する。完全に脱リン酸された種である イノシトール(Ins)は全く観察されなかった。 両酵素とも、24時間の反応混合物はIns(2)Pに加えて少量のIns(1 ,2)P2を含んだ。長い反応時間(数日間)は残余Ins(1,2)P2の消失 をもたらしたか、完全に脱リン酸された種であるイノシトール(Ins)は全く 観察されなかった。酵素が室温で5日間維持した後のNMR管に添加した新たな PA部分を消化できたことにより証明されるように、酵素が長期間に渡りそれら の触媒活性を保持したので、この観察結果は酵素の不可逆性阻害/変性によるも のであるとは説明できない。 図30および31に目を移すと、それらは最初の4.5時間の間に生じるプロフィー ルをより詳細に描写する。Ins(1,2,4,5,6)P5(Aと表示)中の H−3がδ3.66(dd)のシグナルを示し、Ins(1,2,3,4,5)P5(B と表示)中のH−6がδ3.87(t)のシグナルを示し、そしてIns(1,2,5 ,6)P4(Cと表示)中のH−3がδ3.56(dd)のシグナルを示すことが図32か ら推測される。よって、化合物Aは3位のリン酸が加水分解されており、化合物 Bは6位のリン酸が加水分解されており、そして化合物Cは3位と4位が加水分 解されているものに相当する。 図30から、化合物Aはアスペルギルスのフィターゼを使った時の主な一次生成 物(t=5分)として現れるが化合物Bは現れないこ とが判る。化合物Cは20〜25分後に現れる。 図31(アグロキベのフィターゼ)から、非常に早期に、即ち最初の15分間以内 に、化合物Aよりも化合物Bの方が多く現れることが推測される。 δ4.82(dt,H-2),4.38(q,H-4/H-6),4.13(q,H-5)および4.11(dt,H-1/H-3) のところのシグナルは、基質のフィチン酸に由来する。図30と31を比較すると、 それらのピークはアスペルギルスのフィターゼよりもアグロキベのフィターゼを 使った時に速く減少することが明らかである。 それらの相違は、20分後に観察されるプロフィールを与える、上記診断シグナ ル(A,B,C)を表示した図32において強調される。 図33は、pH5.5でのフィチン酸の加水分解(上記条件下で)の最終結果(即ち 図28および図29の上行に相当する)を示す。上側のアグロキベ態様に表示した全 てのシグナルは、化合物Ins(2)Pを表し、即ち右から左に向かって、それ のプロトン:H−5,H−1およびH−3,H−4およびH−6,並びに最後に H−2を表す。相対強度は1:2.2:1である。対応するシグナルは下側のア スペルギルスの態様にも認められる。これは、両態様とも最終生成物がIns( 2)Pであることを意味する。しかしなから、両態様とも少量のIns(1,2 )P2(対応するピークはアスペルギルス態様にだけ示してある)も検出される 。 以下のような顕著な相違が観察される: ・アスペルギルス 3−,4−および5−位のリン酸基の連続除去に相当する、最初の主生成物I ns(1,2,4,5,6)P5(Aと表示)の同定に続いてIns(1,2, 5,6)P4(C)およびIns(1,2,6)P3(D)(1.5時間後のδ3.49( dd)のところのH−3) か現れる。Ins(1,2)P2(E)の濃度は2時間目にゆっくりと生成し始 め、そして12〜14時間目に非常に急激に減少し、それと同時にIns(2)P( F)レベルが急激に増加する。これは図34と図35において観察され、これらの図 は、それぞれIns(1,2)P2とIns(2)P中のH−5の化学シフト値 (δ)のところで図28〜29の時間次元に沿って切った切片から作成した、Ins (1,2)P2とIns(2)Pのそれぞれの時間依存濃度を表す(時間の目盛 りはセグメント中だけ直線であることに注意)。 ・アグロキベ 最初に3位と6位の両方が攻撃され、6位に幾らかの選択性がある。特徴は、 PAがアスペルギルスのフィターゼに比べてより速い速度で消化されることであ る。追加の特徴は、アスペルギルスのフィターゼにおいて観察される反応の終わ りの方にIns(2)Pレベルが非常に急激に増加することと対照的に、最終生 成物のIns(2)P(F)が非常に早期(5時間目)に現れ、そしてゆっくり と生成されることである。 得られたデータから次の結論を導くことができる: アスペルギルスのフィターゼは3位において高度な選択性でPAを攻撃するの に対し、アグロキベのフィターゼはあまり特異的でないようである。 アグロキベのフィターゼはアスペルギルスのフィターゼに比べて速い速度でP Aを消化する。 最終生成物は、適用した条件の下、どちらの場合もIns(2)P(F)であ る。 全体の反応速度〔PA→Ins(2)P〕は同等であり、約20時間である(図 35)。 従って、アスペルギルスのフィターゼは本質的に純粋な3−フィ ターゼであると証明された一方で、アグロキベのフィターゼはあまり特異的でな いと思われるけれども6位に幾らかの選択性がある。 2D−ホモおよびヘテロ核(1H,13C)相関技術の適用により(後者は13C 核の大きな化学シフト分散を利用することにより、かなり重複する1H−共鳴を 伴う問題を回避する)、原則的には、任意の所定の時間に存在する中間体を同定 ・定量することが可能であり、それによって反応順序を全体的に精密に計画立て ることが可能であろう。言い換えれば、時間の関数として濃度を表す図34と図35 に示されるもののような曲線を、理論上別の中間体イノシトールリン酸について も作成することができる。実施例17 アスペルギルスフィターゼとペニオフォラフィターゼの比較アッセイ トウモロコシからの無機リン酸の遊離 本例は、pH3.5とpH5.5でのトウモロコシからのフィターゼにより触媒されるリ ンの遊離についての簡単なアッセイを提供する。P遊離の速度とレベルの2つの パラメーターに注目した。材料と方法: トウモロコシはノースカロライナ州立大学から入手し(試料No.R27)そして6 .8ポイントでミル(Buhler Universal)中で粉砕した。 250mlの青色の蓋が付いた瓶に20gのトウモロコシ粉を秤量し、そして100mlの 緩衝液を加えることにより、トウモロコシ懸濁液(16.7%w/w)を調製した。 次の緩衝液を使用した: pH5.5:0.22M酢酸緩衝液 pH3.5:0.05Mクエン酸緩衝液。 試験した酵素:市販のアスペルギルス・ニガーのフィターゼ 発明のアグロキベのフィターゼの2種類のフィターゼを試験した。 用量:全ての酵素は25FYT/20gトウモロコシ(1250FYT/kgに相当する )の用量で使用した。 トウモロコシ懸濁液の入った瓶の蓋を締め、すぐに37℃の水浴中に置き、そし て一定の攪拌を行った。この段階と24時間後にpHを測定した。30分間の攪拌後、 5mlの試料を採取した。 次いでフィターゼ酵素を25FYT/20gトウモロコシの用量で加えた。 フィターゼを添加してから10,20,30,40,50,60,120分および20時間後に 試料を採取し、そして次のようにして遊離されたリン(P)の含有量を測定した 。 フィターゼを含む試料を緩衝液中に1:4希釈した。次いでその試料を3000rp mで5分間遠心し、上清1.0mlを採取した。2.0mlの緩衝液と2.07mlのMoV停止溶液 (実施例15のFYTアッセイを参照のこと)を加えた。全ての試料が415nmで分 光光度計により測定できるようになるまで、試料を3〜5゜Cで冷蔵庫中に入れ ておいた。 0時間目と20時間目にpHを測定した。 測定のために、50mMのリン酸標準溶液または原液を調製した。0.5,1.0,1.5 および2.0mlの原液を緩衝液を使って50mlの総容量に希釈した。各溶液の3.0mlを 2.0mlのMoV停止溶液に加えた。 pH5.5とpH3.5で2つの実験を行った。分析結果は図36と図37(それぞれpH5.5 とpH3.5)に示される。それらの図において、記号◆は対照実験を表し、▲はア グロキベフィターゼを表し、そして■はアスペルギルスフィターゼを表す。結果と考察: 図36と37は、pH5.5とpH3.5において、アグロキベのフィターゼが、アスペルギ ルスのフィターゼに比べて速くトウモロコシからリンを遊離させることを示す。 しかしながら、pH5.5で40分後(図36)およびpH3.5で120分後(図37)には、 アスペルギルスのフィターゼがアグロシベのフィターゼとほぼ同じリン遊離レベ ルを示すようになる。 ただ例えばニワトリ/ブロイラーの消化系の通過時間が通常30分〜2時間の程 度であることを考えると、この相違は確かに重要である。一方、この点で3.5のp H値がpH5.5値よりもより適当であることを言及しておく。 これはアグロキベ酵素が、驚くべきことに、例えばブロイラーの消化系におけ るP遊離剤として既知のアスペルギルスフィターゼよりも効率的であることを暗 示する。実施例18 パキシルス・インボルタスおよびトラメテス・ピュベセンスからのフィターゼの 精製および特徴づけ パキシルス・インボルタスからのPhyA1フィターゼ パキシルス・インボルタス(Paxillus involtus)PhyA1フィターゼを、実施 例3および1に記載のようにしてアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae )IFO 4177中て発現させそして分泌させた。 培養上清に濾過助剤を加え、濾布を通して濾過した。この溶液を更にSeitz深 型フィルター板を通して濾過して透明溶液を得た。この濾液を3kDaカットオフ のポリエーテルスルホン膜上での限外濾過により濃縮し、そしてフィターゼを10 mMコハク酸/NaOH,pH6.0に移してセファデックスG25カラム上に適用した。G2 5濾液のpHをpH7.0に調整した。 このフィターゼを、20mM HEPES/NaOH,pH7.0で平衡化されたQ−セファロー スFFカラムに適用した。酵素は該カラムからの素通り画分中にあることかわか った。素通り液に2.0Mの最終濃度になるように(NH4)2SO4を加えた。ブチルトヨ パール650Sカラムを2.0M(NH4)2SO4,10mM CH3COOH/NaOH,pH5.5で平衡化し、 このカラムにフィターゼを適用し、そして減少する直線(NH4)2SO4勾配(2.0M→ 0M)を用いて溶出させた。フィターゼ含有画分をプールし、そしてセファデッ クスG25カラム上で緩衝液を20mM HEPES/NaOH,pH7.5に交換した。20mM HEPES /NaOH,pH7.5で平衡化されたQ−セファロースFFカラムにG25濾液を適用し た。カラムを平衡緩衝液で十分に洗浄した後、増加する直線NaCl勾配(0→0.5M )を用いてフィターゼを溶出させた。フィターゼ活性をプールし、セファデック スG25カラム上で緩衝液を20mM Tris/CH3COOH,pH8.0に交換した。20mM Tris/ CH3COOH,pH7.5で平衡化されたSOURCE 30QカラムにG25濾液を適用した。カラム を平衡緩衝液で十分に洗浄した後、増加する直線NaCl勾配(0→0.3M)を用いて フィターゼを溶出させた。フィターゼ含有画分をプールし、2.0Mの最終濃度に なるように(NH4)2SO4を加えた。フェニルトヨパール650Sカラムを2.OM(NH4)2SO4 ,10mM CH3COOH/NaOH,pH5.5で平衡化し、このカラムにフィターゼを適用し、 そして減少する直線(NH4)2SO4勾配(2.0M→0M)を用いて溶出させた。フィタ ーゼ含有画分をプールし、2.0Mの最終濃度になるように(NH4)2SO4を加えた後、 同じフェニルトヨパールカラムに再度適用した。2回目のフェニルトヨパールカ ラムからの画分をSDS-PAGEにより分析し、純粋なフィターゼ画分をプールした。 パキシルス・インボルタスのPhyA1フィターゼはSDS-PAGE上でおよそMr=65kD aを有する一本のバンドとして移動する。SDS-PAGE とPVDF上への電気ブロッティングを行った後、この65kDa成分のN末端アミノ酸 配列決定を実施した。次のN末端配列が推定できた: Ser-Val-Pro-Lys-Asn-Thr-Ala-Pro-Thr-Phe-Pro-Ile-Pro- この配列は、cDNA由来のアミノ酸配列中のアミノ酸残基21〜33に相当する 。 従って、アスペルギルス中で発現させた時の該フィターゼの成熟アミノ酸配列 は、配列番号26の第21〜442位であると思われる。よって、図3に記載の推定シ グナルペプチドは、このフィターゼをアスペルギルス中で発現させた時の実際の シグナルペプチドと一致しない。これは、配列表中の配列番号25および26のとこ ろに記載した成熟ペプチドに関する指示についてもそうである。パキシルス・インボルタスからのPhyA2フィターゼ パキシルス・インボルタス(Paxillus involtus)PhyA2フィターゼを、実施 例3および1に記載のようにしてアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae )IFO 4177中で発現させそして分泌させた。 培養ブロスに濾過助剤を加え、濾布を通して濾過した。この溶液を更にSeitz 深型フィルタ一板を通して濾過して透明溶液を得た。この濾液を3kDaカットオ フのポリエーテルスルホン膜上での限外濾過により濃縮し、そして2.0Mの最終 濃度になるように(NH4)2SO4を加えた。 このフィターゼを、2.0M(NH4)2SO4,20mM CH3COOH/NaOH,pH5.5で平衡化され たフェニルセファロースFFカラムに適用し、減少する直線(NH42SO4勾配(2. 0M→0M)を用いて酵素を溶出させた。フィターゼ活性は単一ピークとして溶出 した。このピークをプールし、そして2.0Mの最終濃度になるように(NH42SO4 を加えた。ブチルトヨパール650Sを2.OM(NH4)2SO4,10mM CH3COOH/ NaOH,pH5.5で平衡化し、このカラムにフィターゼを適用し、そして減少する直 線(NH4)2SO4勾配(2.0M→0M)を用いて溶出させた。フィターゼ含有画分をプ ールし、セファデックスG25カラム上で緩衝液を20mM HEPES/NaOH,pH7.0に交 換した。20mM HEPES/NaOH,pH7.0で平衡化されたQ−セファロースFFカラム にG25濾液を適用した。カラムを平衡緩衝液で十分に洗浄した後、増加する直線 NaCl勾配(0→0.5M)を用いてフィターゼを溶出させた。フィターゼ活性をプー ルし、透析により緩衝液を20mM HEPES/NaOH,pH7.0に交換した。この透析した フィターゼを20mM HEPES/NaOH,pH7.Oで平衡化されたSOURCE 30Qカラムに適用 した。カラムを平衡緩衝液で十分に洗浄した後、増加する直線NaCl勾配(0→0.3 M)を用いてフィターゼを溶出させた。SOURCE 30Qカラムからの画分をSDS-PAGE により分析し、純粋なフィターゼ画分をプールした。 パキシルス・インボルタスのPhyA2フィターゼはSDS-PAGE上でMr=52kDaを有 する一本のバンドとして移動する。SDS-PAGEとPVDF上への電気ブロッティングを 行った後、この52kDa成分のN末端アミノ酸配列決定を実施した。次のN末端配 列が推定できた: Asn-Ile-Ala-Pro-Lys-Phe- この配列は、cDNA由来のアミノ酸配列中のアミノ酸残基25〜30に相当する 。 従って、アスペルギルス中で発現させた時の該フィターゼの成熟アミノ酸配列 は、配列番号28の第25〜442位であると思われる。よって、図4に記載の推定シ グナルペプチドは、このフィターゼをアスペルギルス中で発現させた時の実際の シグナルペプチドと一致しない。これは、配列表中の配列番号27および28のとこ ろに記載した成熟ペプチドに関する指示についてもそうである。トラメテス・ピュベセンスからのフィターゼ トラメテス・ピュベセンス(Trametes pubescens)フィターゼをアスペルギル ス・オリゼ(Aspergillus oryzae)IFO 4177中で発現させそして分泌させた。 培養ブロスに濾過助剤を加え、濾布を通して濾過した。この溶液を更にSeitz 深型フィルター板を通して濾過して透明溶液を得た。この濾液を10kDaカットオ フのポリエーテルスルホン膜上での限外濾過により濃縮し、次いで蒸留水に対す る透析により伝導率を下げた。濃縮酵素のpHをpH6.0に調整し、そして脱イオン 水での希釈により伝導率を10mMコハク酸/NaOH,pH6.0のものに調整した。 このフィターゼを、10mMコハク酸/NaOH,pH6.0で平衡化されたQ−セファロ ースFFカラムに適用し、増加する直線NaOH勾配(0→0.5M)を用いて酵素を溶 出させた。フィターゼ活性は単一ピークとして溶出した。このピークをプールし 、そして2.0Mの最終濃度になるように(NH42SO4を加えた。ブチルトヨパール6 50Sを2.0M(NH42SO4,10mM CH3COOH/NaOH,pH5.5で平衡化し、このカラムに フィターゼを適用し、そして減少する直線(NH4)2SO4勾配(2.0M→0M)を用い て溶出させた。フィターゼ含有画分をプールし、セファデックスG25カラム上で 緩衝液を10mMコハク酸/NaOH,pH6.5に交換した。10mMコハク酸/NaOH,pH6.5で 平衡化されたQ−セファロースFFカラムにG25濾液を適用した。カラムを平衡 緩衝液で十分に洗浄した後、増加する直線NaCl勾配(0→0.3M)を用いてフィタ ーゼを溶出させた。フィターゼ活性をプールし、セファデックスG25カラム上で 緩衝液を10mMコハク酸/NaOH,pH7.0に交換した。10mMコハク酸/NaOH,pH7.0で 平衡化されたSOURCE 30QカラムにG25濾液を適用した。カラムを平衡緩衝液で十 分に洗浄した後、増加する直線NaCl勾配(0→0.2M)を用いてフ ィターゼを溶出させた。SOURCE 30Qカラムからの画分をSDS-PAGEにより分析し、 純粋なフィターゼ画分をプールした。 トラメテス・ピュベセンスのフィターゼはSDS-PAGE上でMr=57kDaを有する一 本のバンドとして移動する。SDS-PAGEとPVDF上への電気ブロッティングを行った 後、この57kDa成分のN末端アミノ酸配列決定を実施した。次のN末端配列か推 定できた: Xaa-Ala-Cys-Leu-Asp-Val-Thr-Arg-Asp-(Ala/Val)-Gln- この配列は、cDNA由来のアミノ酸配列中のアミノ酸残基31〜41に相当する 。 従って、アスペルギルス中で発現させた時の該フィターゼの成熟アミノ酸配列 は、配列番号30の第31〜443位であると思われる。よって、図5に記載の推定シ グナルペプチドは、このフィターゼをアスペルギルス中で発現させた時の実際の シグナルペプチドと一致しない。これは、配列表中の配列番号29および30のとこ ろに記載した成熟ペプチドに関する指示についてもそうである。 トラメテス・ピュベセンスのフィターゼ並びにパキシルス・インボルタスのPh yA1およびPhyA2の3つのフィターゼの分子量(kDa;キロダルトン)はそれぞれ 、65,55および65kDaである。 これらの3つのフィターゼのpHプロフィールは、ペニオフォラのフィターゼお よびアグロキベのフィターゼについての図8および23と同様である(最適pHは5 〜6あたり;pH>7では非常に小さい活性)。アスペルギルス・フィクウム(As pergillus ficuum )の既知のフィターゼに比較した時(この試験では50℃付近の 最適温度を有する)、パキシルス・インボルタスのPhyA1フィターゼは60℃付近 のわずかに高い最適温度を有し、一方PhyA2は40℃付近の最適温度を有する。パ キシルス・インボルタスのPhyA1フィターゼの熱安定性はアスペルギルス・フィ クウムのものと同等であり、そしてパキ シルス・インボルタスのPhyA1フィターゼおよびトラメテス・ピュベセンスのフ ィターゼのものより優れている。70℃および80℃での60分間のインキュベーショ ン後、PhyA1の残余活性はそれぞれ約60%および40%である。 DSCでは、パキシルス・インボルタスのフィターゼPhyA1とPhyA2についてお よびトラメテス・ピュベセンスのフィターゼについて、それぞれ48℃,59℃およ び55℃のTdが観察された。 比活性はそれらの3つのフィターゼ全てについて驚くべき程に高い。即ち、ト ラメテス・ピュベセンスのフィターゼ、パキシルス・インボルタスPhyA2およびP hyA1それぞれについて、1450,1370および810FYT/mg酵素タンパク質の比活 性である(それぞれ、3.58,5.72および3.08のA280;5184,7808および2497の FYT/ml;11/(g×cm)の仮吸光係数)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:645) (C12N 1/19 C12R 1:69) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 9/16 C12R 1:69) (31)優先権主張番号 0301/97 (32)優先日 平成9年3月18日(1997.3.18) (33)優先権主張国 デンマーク(DK) (31)優先権主張番号 0529/97 (32)優先日 平成9年5月7日(1997.5.7) (33)優先権主張国 デンマーク(DK) (31)優先権主張番号 1388/97 (32)優先日 平成9年12月1日(1997.12.1) (33)優先権主張国 デンマーク(DK) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID ,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN,Y U,ZW (72)発明者 オーマン,アンデルス デンマーク国,デーコー―2880 バグスバ エルト,ノボ アレ,ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (72)発明者 ブレインホルト,イェンス デンマーク国,デーコー―2880 バグスバ エルト,ノボ アレ,ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (72)発明者 フグルサン,クラウス クローネ デンマーク国,デーコー―2880 バグスバ エルト,ノボ アレ,ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. フィターゼ活性を示し且つ担子菌門に由来する、単離されたポリペプチド 。 2. フィター活性を示し且つ次のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つ: (ここでXは任意のアミノ酸を表す) を含んで成る、単離されたポリペプチド。 3.次のアミノ酸配列のうちの少なくとも1つ: 配列番号1の第46〜57位のアミノ酸配列 配列番号2の第64〜80位のアミノ酸配列 配列番号3の第68〜83位のアミノ酸配列 配列番号4の第155〜167位のアミノ酸配列 配列番号5の第162〜171位のアミノ酸配列 配列番号6の第166〜177位のアミノ酸配列 配列番号7の第358〜373位のアミノ酸配列 配列番号8の第395〜405位のアミノ酸配列 配列番号9の第415〜433位のアミノ酸配列 配列番号10の第162〜167位のアミノ酸配列 配列番号11の第273〜278位のアミノ酸配列 配列番号12の第271〜277位のアミノ酸配列 配列番号13の第428〜432位のアミノ酸配列 配列番号14の第64〜69位のアミノ酸配列 を含んでなり、ここで前記配列は図7の整列から誘導されそしてアミノ酸番号は phyA_P.lyciiに従って付けられている、請求項2に記載のポリペプチド。 4.次のアミノ酸配列のセットのうちの少なくとも1つ: 配列番号10と配列番号12 配列番号10と配列番号13 配列番号14と配列番号10 配列番号14と配列番号12 配列番号14と配列番号13 配列番号11と配列番号13 を含んで成る、請求項3に記載のポリペプチド。 5.次の条件のうちの1つまたは複数: (a) P46〜P57の10アミノ酸残基があること; (b) F167〜P177の9アミノ酸残基があること; (c) P177〜N188の10アミノ酸残基があること; (d) C196〜D203の6アミノ酸残基があること; (e) L353〜P371の17アミノ酸残基があること。 を満たすアミノ酸配列を含んで成り、ここでアミノ酸番号は図7の整列に基づき 且つphyA_P.lyciiに従って付けられている、請求項1〜4のいずれか一項に記 載のポリペプチド 6. フィターゼ活性を示す単離されたポリペプチドであって、図6の整列から 得られる特異的プライマーの任意の適当なセットを使ったPCR反応の生成物と 中〜高緊縮性の条件下でハイブリダイズするDNA配列によりコードされるポリ ペプチド。 7.前記プライマーのセットが、次のもの: センスプライマーとして センスプライマーとして アンチセンスプライマーとして アンチセンスプライマーとして センスプライマーとして アンチセンスブライマーとして (ここで、NはA,C,G,Tのいずれかを表し; RはAかGのいずれかを表し; YはCかTのいずれかを表し; MはAかCのいずれかを表し;そして WはAかTのいずれかを表す) の中から選ばれたセンスプライマーとアンチセンスプライマーから成る、請求項 6に記載のポリペプチド。 8.前記プライマーのセットが、次のセット: 配列番号15と配列番号17 配列番号15と配列番号18 配列番号19と配列番号20 配列番号19と配列番号17 配列番号19と配列番号18 配列番号16と配列番号18 から選ばれる、請求項6〜7のいずれか一項に記載のポリペプチド。 9. フィターゼ活性を示し且つ真菌6−フィターゼである、単離されたポリペ プチド。 10.(3+6)−フィターゼである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポ リペプチド。 11.フィターゼ活性を示し、且つ配列番号22のアミノ酸配列またはこの配列に 少なくとも50%相同であるアミノ酸配列を含んで成る、 単離されたポリペプチド。 12.フィターゼ活性を示し、且つ配列番号22のアミノ酸番号25,27,28もしく は31からアミノ酸番号453までのアミノ酸配列またはこれらの配列のいずれかに 少なくとも50%相同であるアミノ酸配列を含んで成る、単離されたポリペプチド 。 13.フィターゼ活性を示し、且つ i)配列番号21、もしくは ii)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)DSM 11313中に存在するプラス ミドpYES 2.0中にクローニングされたDNA配列 のフィターゼコード部分によりコードされる単離されたポリペプチド、または 前記ポリペプチドに少なくとも50%相同であるそれの類似体もしくは誘導体。 14.フィターゼ活性を示し、且つ配列番号24のアミノ酸配列またはこの配列に 少なくとも50%相同であるアミノ酸配列を含んで成る、単離されたポリペプチド 。 15.フィターゼ活性を示し、且つ配列番号24のアミノ酸番号31〜439のアミノ 酸配列またはこの配列に少なくとも50%相同であるアミノ酸配列を含んで成る、 単離されたポリペプチド。 16.フィターゼ活性を示し、且つ i)配列番号23、もしくは ii)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)DSM 11313中に存在するプラス ミドpYES 2.0中にクローニングされたDNA配列 のフィターゼコード部分によりコードされる単離されたポリペプチド、または 前記ポリペプチドに少なくとも50%相同であるそれの類似体もしくは誘導体。 17.フィターゼ活性を示し、且つ配列番号26のアミノ酸配列またはこの配列に 少なくとも50%相同であるアミノ酸配列を含んで成る、単離されたポリペプチド 。 18.フィターゼ活性を示し、且つ i)配列番号25、もしくは ii)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)DSM 11842中に存在するプラス ミドpYES 2.0中にクローニングされたDNA配列 のフィターゼコード部分によりコードされる単離されたポリペプチド、または 前記ポリペプチドに少なくとも50%相同であるそれの類似体もしくは誘導体。 19.フィターゼ活性を示し、且つ配列番号28のアミノ酸配列またはこの配列に 少なくとも50%相同であるアミノ酸配列を含んで成る、単離されたポリペプチド 。 20.フィターゼ活性を示し、且つ i)配列番号27、もしくは ii)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)DSM 11843中に存在するプラス ミドpYES 2.0中にクローニングされたDNA配列 のフィターゼコード部分によりコードされる単離されたポリペプチド、または 前記ポリペプチドに少なくとも50%相同であるそれの類似体もしくは誘導体。 21.フィターゼ活性を示し、且つ配列番号30のアミノ酸配列また はこの配列に少なくとも50%相同であるアミノ酸配列を含んで成る、単離された ポリペプチド。 22.フィターゼ活性を示し、且つ i)配列番号29、もしくは ii)エシェリキア・コリ(Escherichia coli)DSM 11844中に存在するプラス ミドpYES 2.0中にクローニングされたDNA配列 のフィターゼコード部分によりコードされる単離されたポリペプチド、または 前記ポリペプチドに少なくとも50%相同であるそれの類似体もしくは誘導体。 23.請求項1〜22のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするDNA分 子。 24.フィターゼ活性を示すポリペプチドをコードし、且つ次のDNA配列:(ここで、NはA,C,G,Tのいずれかを表し; RはAかGのいずれかを表し; YはCかTのいずれかを表し; MはAかCのいずれかを表し;そして WはAかTのいずれかを表す) のうちの少なくとも1つを含んで成る、DNA分子。 25.フィターゼ活性を示すポリペプチドをコードし、且つ次のもの: (a) 配列番号21,23,25,27または29のいずれかのフィターゼコード部分; (b) エシェリキア・コリ(Escherichia coli)DSM 11313,11312,11842,1184 3または11844のいずれかに存在するプラスミドpYES 2.0中にクローニングされた DNA配列のフィターゼコード部分; (c) (a)または(b)に定義されたDNA配列の類似体であって、前記DNA配列 に少なくとも55%相同である類似体; (d) 低緊縮性条件下で、(a)または(b)の配列とハイブリダイズすることができ るDNA配列; (e) 遺伝暗号の縮重のために、(a)または(b)の配列とハイブリダイズしないが 、配列番号22,24,26,28もしくは30のいずれかに示されるアミノ酸配列を含ん て成るポリペプチドまたはその断片をコードするDNA配列 から選ばれたDNA配列を有する、DNA分子。 26.フィターゼ活性を示すポリペプチドをコードするDNA分子であって、中 /高緊縮性条件下で、図6の整列から誘導される特異的プライマーの適当なセッ トまたは請求項7もしくは8に記載のプライマーを使ったPCR反応の生成物と ハイブリダイズするDNA 分子。 27.PCR反応での使用に適当であり且つ図6の整列から誘導できる特異的プ ライマー。 28.次のもの: (ここで、NはA,C,G,Tのいずれかを表し; RはAかGのいずれかを表し; YはCかTのいずれかを表し; MはAかCのいずれかを表し;そして WはAかTのいずれかを表す) の中から選ばれる、請求項27に記載のプライマー。 29.請求項23〜26のいずれか一項に記載のDNA分子を含んで成るベクター。 30.請求項23〜26のいずれか一項に記載のDNA分子または請求項29に記載の ベクターを含んで成る宿主細胞。 31.フィターゼ産生細胞を同定する方法であって、次の段階: i)細胞を選択して鋳型を提供し; ii)図6の整列に基づいて、PCRに適当な特異的プライマーセットを選択し; iii)前記鋳型上で前記プライマーを使ってPCRを行い、前記鋳型から誘導さ れた増幅されたPCR断片を得; iv)前記PCR断片が特異的であることを確認し;そして v)鋳型を提供した細胞をフィターゼ産生細胞として同定するを含んで成る方法 。 32.前記プライマーセットが、次の配列: センスプライマーとして センスプライマーとして アンチセンスプライマーとして アンチセンスプライマーとして センスプライマーとして アンチセンスプライマーとして (ここで、NはA,C,G,Tのいずれかを表し; RはAかGのいずれかを表し; YはCかTのいずれかを表し; MはAかCのいずれかを表し;そして WはAかTのいずれかを表す) の中から選ばれたセンスプライマーとアンチセンスプライマーから成る、請求項 31に記載の方法。 33.前記プライマーセットが、次のセット: 配列番号15と配列番号17 配列番号15と配列番号18 配列番号19と配列番号20 配列番号19と配列番号17 配列番号19と配列番号18 配列番号16と配列番号18 の中から選ばれる、請求項32に記載の方法。 34.フィターゼ活性を示すポリペプチドを調製する方法であって、次の段階: a) 請求項31〜33のいずれか一項に記載の方法を用いてフィターゼ産生細胞を同 定し;または b) 段階a)を実施し、更に前記フィターゼ産生細胞からフィターゼをコードする DNA分子をクローニングし、そして前記DNA分子を用いて宿主細胞を形質転 換せしめ;または c) 請求項31〜33のいずれか一項に記載の方法に従って得られた増幅されたPC R断片をハイブリダイゼーションプローブとして使って、フィターゼポリペプチ ドをコードするDNA分子を単離し、そして前記DNA分子を用いて宿主細胞を 形質転換せしめ;そして d) 上記段階a),b)またはc)から得られた細胞を、前記ポリペプチドの産生を許 容する条件下で培養し、そして培養ブロスから前記ポリペプチドを回収する を含んで成る方法。 35.フィターゼ活性を示すポリペプチドを調製する方法であって、請求項30に 記載の宿主細胞を、前記ポリペプチドの産生を許容する条件下で培養し、そして 培養ブロスから前記ポリペプチドを回収することを含んで成る方法。 36.請求項1〜22のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリペプチドまた は請求項33〜34のいずれか一項の方法に従って得られる少なくとも1つのポリペ プチドを含んで成る、飼料または食物。 37.請求項36に記載の飼料または食物を製造する方法であって、 食物または飼料成分に少なくとも1つのポリペプチドを添加する方法。 38.請求項1〜22のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリペプチドまた は請求項33〜34のいずれか一項に記載の方法に従って得られる少なくとも1つの ポリペプチドを含んで成る組成物。 39.食物または飼料調製における使用に適する、請求項38に記載の組成物。 40.動物飼料添加物である、請求項38〜39のいずれか一項に記載の組成物。 41.動物糞便肥料中のフィターゼレベルを減少させる方法であって、請求項36 に記載の飼料または請求項37に記載の方法に従って得られる飼料の有効量を前記 動物に供給する方法。 42.フィターゼ基質からリンを遊離させるための、請求項1〜22のいずれか一 項に記載のポリペプチド;または請求項34〜35のいずれか一項に記載の方法によ り得られるポリペブチド;または請求項38〜39のいずれか一項に記載の組成物の 使用。 43.食物または飼料の利用度を向上させるための、請求項1〜22のいずれか一 項に記載のポリペプチド;または請求項34〜35のいずれか一項に記載の方法によ り得られるポリペプチド;または請求項38〜39のいずれか一項に記載の組成物の 使用。
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