JPWO2013162053A1 - マイクロニードルおよびマイクロニードルアレイ - Google Patents

マイクロニードルおよびマイクロニードルアレイ Download PDF

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Abstract

本発明の目的は、薬剤のみならず安定剤や増粘剤を大量に担持することができ、かつ穿刺性が良好なマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイを提供することにある。本発明は、先端部、柱身部および台座部からなり、(i)先端頂角(α)が15〜60?の範囲にあり、(ii)先端直径(D0)が1〜20μmの範囲にあり、(iii)台座部上面の面積(A3)が柱身部底面(A2)の面積よりも大きく、(iv)下記式(1)および(2)を満足し、H/D4≧3 (1)(Hは全体の高さ、D4は台座部底面の直径である)β≧90−0.5α (2)(βは柱身部の側面と台座部上面のなす角度、αは先端頂角である)(v)柱身部の側面に薬剤を含有する固体組成物が固着し、下記式(5)を満足する、10?≦γ≦60? (5)(γは、先端部の頂点と、柱身部の側面に固着した固体組成物の表面を結ぶ接線とのなす角度である)経皮的に薬剤を投与するためのマイクロニードルである。

Description

本発明は、マイクロニードルおよびマイクロニードルアレイに関する。さらに詳しくは、本発明は、皮膚表層または皮膚角質層において、簡単に、安全にかつ効率的に薬品等を注入することが可能なマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイに関する。
従来、患者の生体表面、即ち皮膚や粘膜の表面に、薬品等を投与する方法としては、主に液状物質または、粉状物質を塗布する方法が殆どであった。しかしながら、これらの薬剤の塗布できる領域は、皮膚の表面に限られていたため、発汗や異物の接触等によって、塗布された薬剤が剥がれ落ちることが日常的に経験され、適量な薬剤等を効果的に投与することは困難であった。
生体表面への薬剤塗布に替わる手段として、マイクロニードルによる生体内への薬剤投与が提案されている。また該マイクロニードルの穿刺性を改善するための提案もこれまでになされている。
例えば特許文献1および特許文献2の方法は、折れにくくしかも屈曲しにくいマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイが提案されている。しかしその穿刺性は充分ではない。
特許文献3には、円錐面もしくは角錐面表面をマイクロニードル内側に湾曲させることにより、刺さりやすくする方法が提案されている。しかしながら、特許文献3に開示されている方法はポリマー溶液をスタンパーに塗布しゲル化乾燥させる際の体積収縮を利用する方法であり熱可塑性樹脂には適していない。
特許文献4には、水溶性または水膨潤性樹脂により形成された錘状、錐台状またはコニーデ状で、表面に潤滑成分が被覆されているマイクロニードルが記載されている。
特許文献5には、マイクロニードルに薬剤を効率的に搭載して、表皮下に投薬する方法が記載されているが、これは液状の薬剤に対して適用できる技術であり、固体化した薬剤について、穿刺性、搭載量、投薬性を並立させるような技術としての機能は不十分である。
特開2007−130030号公報 特開2007−190112号公報 特開2008−142183号公報 特開2010−029634号公報 特開2007−260351号公報
本発明の目的は、患者の皮膚表皮層になめらかに突き刺さり、安全性と簡便性を有し、痛みを伴うことなく所定の薬剤を投与し得るマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイを提供することにある。また本発明の目的は、薬剤のみならず安定剤や増粘剤を大量に担持することができ、かつ穿刺性が良好なマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイを提供することにある。さらに本発明の目的は、マイクロニードルアレイを含むマイクロニードルデバイスを提供することにある。
本発明は、先端部(top)、柱身部(shaft)および台座部(base)からなり、
(i)先端頂角(α)が15〜60°の範囲にあり、
(ii)先端直径(D)が1〜20μmの範囲にあり、
(iii)台座部上面の面積(A)が柱身部底面(A)の面積よりも大きく、
(iv)下記式(1)および(2)を満足し、
H/D≧3 (1)
(Hは全体の高さ、Dは台座部底面の直径である)
β≧90−0.5α (2)
(βは柱身部の側面と台座部上面のなす角度、αは先端頂角である)
(v)柱身部の側面に薬剤を含有する固体組成物が固着し、下記式(5)を満足する、
10°≦γ≦60° (5)
(γは、先端部の頂点と、柱身部の側面に固着した固体組成物の表面を結ぶ接線とのなす角度である)
経皮的に薬剤を投与するためのマイクロニードルである。
また本発明は前記マイクロニードルを複数設置したマイクロニードルアレイである。
図1は、本発明のマイクロニードルの概略図である。
図2は、本発明のマイクロニードルの先端部の概略図である。
図3は、薬剤を担持したマイクロニードルの概略図である。
図4は、実施例4において浸漬前のマイクロニードルである。
図5は、実施例4において1回浸漬後のマイクロニードルである。
図6は、実施例4において2回浸漬後のマイクロニードルである。
図7は、実施例4において3回浸漬後のマイクロニードルである。
図8は、実施例4において4回浸漬後のマイクロニードルである。
図9は、実施例4において5回浸漬後のマイクロニードルである。
図10は、実施例4において6回浸漬後のマイクロニードルである。
図11は、実施例4において7回浸漬後のマイクロニードルである。
図12は、実施例5〜7および比較例1〜3における穿刺性能の評価方法を示す概略図である。
図13は、実施例5〜7および比較例1〜3の評価結果である。
図14は、実施例8〜9および比較例4〜6における穿刺性能の評価方法を示す概略図である。
図15は、実施例8〜9および比較例4〜6の評価結果である。
:先端直径
:先端部底面の直径
:柱身部底面の直径
:台座部上面の直径
:台座部底面の直径
H:全体の高さ
:先端部の高さ
:柱身部の高さ
:台座部の高さ
α:先端頂角
β:柱身部の側面と台座部上面のなす角度
γ:先端部の頂点と、柱身部の側面に固着した固体組成物の最表層とのなす角度
δ:先端部の頂点と、先端部に固着した固体組成物の表面とを結ぶ線のなす角度
本発明のマイクロニードルは柱身部の側面に薬剤を含有する固体組成物が固着している、薬剤が担持されたマイクロニードルである。薬剤が担持されたマイクロニードルを担持マイクロニードルということがある。薬剤を担持する前のマイクロニードルを単にマイクロニードルということがある。マイクロニードルアレイも同様である。
<マイクロニードル>
マイクロニードルを図1により説明する。図1はマイクロニードルの全体図である。マイクロニードルは、台座部の上に薬剤を担持されるための柱身部、さらにその上部に皮膚を穿刺するための先端部の3つの部分が接合した形状を有する。
(台座部)
台座部は、三角錐台、四角錐台、六角錐台などの多角錐台であっても円錐台であっても良い。台座部底面の直径(D)は、好ましくは30〜500μm、より好ましくは100〜250μmである。台座部上面の直径(D)は、好ましくは30〜500μm、より好ましくは90〜240μmである。台座部の高さ(H)は、好ましくは35〜600μm、より好ましくは100〜500μmである。台座部底面の直径(D)およびは、台座部の底面を円形に近似した場合の直径で表わす。台座部上面の直径(D)は、台座部上面を円形に近似した場合の直径で表わす。
(柱身部)
柱身部は、三角錐台、四角錐台、六角錐台などの多角錐台であっても円錐台であっても良い。柱身部は、その上部に先端部を搭載できる台状形状を有する。柱身部底面の直径(D)は、好ましくは25〜450μm、より好ましくは25〜235μmである。柱身部底面の直径(D)は、柱身部の底面を円形に近似した場合の直径で表わす。柱身部上面の直径(D)は、先端部底面の直径(D)と同じである。柱身部の高さ(H)は、好ましくは50〜600μm、より好ましくは50〜500μm、さらに好ましくは50〜240μmである。柱身部は、その壁面に薬剤を固着させ、薬剤を所定の投薬位置まで運び込む機能を有する。
(先端部)
先端部は、三角錐、四角錐、六角錐などの多角錐であっても円錐であっても良い。先端部底面の直径(D)は、好ましくは1〜170μm、より好ましくは10〜80μmである。先端部底面の直径(D)は、先端部底面を円形に近似した場合の直径で表わす。先端部の高さ(H)は、好ましくは1〜640μm、より好ましくは10〜150μmである。
先端直径(D)は1〜20μmである。患者の皮膚表皮層になめらかに突き刺さることの効果を高める見地からは、先端直径(D)は1〜10μmの範囲が好ましい。一方、先端直径(D)が20μmを超えると皮膚に穿刺する際の抵抗が大きくなり皮膚に刺さり難く、先端が変形し易くなるので好ましくない。
先端頂角(α)は15〜60°、好ましくは30〜60°の範囲にある。先端頂角(α)が30〜45°の範囲にあるときに、さらに優れた効果が見出される。一方、先端頂角(α)が15〜60°の範囲を外れると皮膚に穿刺する際の抵抗が大きくなり皮膚に刺さり難くなり、さらには先端が変形し易くなるので好ましくない。
(全体の高さ)
全体の高さ(H)は、薬剤の効果が効率良く発現する皮膚の厚さ(X)とマイクロニードルをゆっくりと痛みが伴わないよう皮膚に押込む場合、皮膚の撓みを考慮した余裕の長さ(Y)の和である。Xは、好ましくは15〜800μm、より好ましくは100〜500μmである。Yは、好ましくは30〜500μm、より好ましくは50〜300μmである。全体の高さ(H)は、好ましくは120〜800μm、より好ましくは150〜500μmである。
(式(1)および(2))
マイクロニードルは、下記式(1)を満足する。
H/D≧3 (1)
(H:全体の高さ、D:台座部底面の直径)
H/Dの上限は、本発明の目的や成形性の見地から20以下とすることが好ましい。H/Dが3未満となると、皮膚に穿刺する際の抵抗が大きくなり皮膚に刺さり難くなり、さらには、マイクロニードルの先端が変形し易くなり、目的効果において不都合である。H/Dは、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜6である。
マイクロニードルは、下記式(2)を満足する。
β≧90−0.5α (2)
式(2)中βは、図1に示す、柱身部の側面と台座部上面のなす角度である。αは先端頂角である。マイクロニードルは、台座部上面の面積(A)が柱身部底面の面積(A)よりも大きい。
(A/A
先にも述べたように、マイクロニードルは、台座部の上に薬剤が多く担持されるための柱身部、さらにその上部に皮膚を穿刺するための先端部の3つの部分が接合した形状を有する。
マイクロニードルは、下記式(6)を満足することが好ましい。
1.2≦A/A≦10 (6)
(A:台座部上面の面積、A:柱身部底面の面積)
台座部上面の面積(A)が柱身部底面の面積(A)より大きいことで、薬剤を搭載したときに、台座の上面部分に薬剤を密着させて固着させることができ、先端部に近い部分の薬剤固着量を減らせるので、穿刺性を損なわずに薬剤搭載量を増やすことが可能である。A/Aは、さらに好ましくは、1.2から3の範囲である。この値が小さすぎると台座上の固着量を十分確保できず、また、大きすぎると柱身部への搭載量が減って、穿刺しても体内に直接的に投入できる薬剤量が減ってしまうからである。
(担持マイクロニードル)
本発明は、マイクロニードルの柱身部の側面に、薬剤を含有する固体組成物が固着しているマイクロニードルである。固体組成物中の薬剤の含有量は、固体組成物100重量部に対し、好ましくは5〜90重量部、より好ましくは10〜80重量部である。
固体組成物は、バインダー成分として水溶性高分子を含有することが好ましい。水溶性高分子としては、特に限定されるものはないが、皮膚刺激性の少ないものが好ましいものとして使用される。
マイクロニードルに薬剤を固着させると、その外形は固着薬剤の固着状態に応じた形状となる。本発明のマイクロニードルでは、図3に示すような形状を取ることが出来る。このような、柱身部に薬剤が固着し、先端部には薬剤がほぼ固着しない形状であれば、薬剤を担持しないマイクロニードルと同等の角質穿刺性を確保することが可能となる。また、薬剤を担持後,塗布後の先端部角度より薬剤の固着物が突出しないことが望ましい。
本発明の薬剤を担持したマイクロニードルは、下記式(5)、好ましくは下記式(5−i)、より好ましくは下記式(5−ii)を満足する。本発明の薬剤を担持したマイクロニードルの角度が下記式(5)の範囲にあれば、穿刺性を損なうことがなく薬剤を搭載することができる。
また、本発明の薬剤を担持したマイクロニードルは、下記式(6)を満足することが穿刺性および薬剤を搭載量の点から好ましい。更に、本発明の薬剤を担持したマイクロニードルは、下記式(7)を満足することが穿刺性および薬剤を搭載量の点から好ましい。
10°≦γ≦60° (5)
γは、先端部の頂点と、柱身部の側面に固着した固体組成物の表面を結ぶ接線のなす角度である。
10°≦γ≦50° (5−i)
10°≦γ≦45° (5−ii)
α≦δ≦60° (6)
δは、先端部の頂点と、先端部に固着した固体組成物の表面とを結ぶ線のなす角度である。
γ≧δ (7)
(薬剤)
薬剤としてホルモンなどの生理活性物質、ワクチンなどが挙げられる。薬剤として、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスルトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン、下垂体ホルモン(例えばHGH、HMG、酢酸デスモプレシンなど)、卵胞ルテオイド、aANF、成長因子放出因子(GFRF)のような成長因子、bMSH、GH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来増殖因子放出因子、アスパラギナーゼ、硫酸ブレオマイシン、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エリスロポエチン、エポプロステノール(血小板凝集阻害剤)、グルカゴン、HCG、ヒルログ、ヒアルロニダーゼ、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン、インターロイキン−10(IL−10)、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、グルカゴン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRHアナログ(ゴセレリン、リュープロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリンならびにナファレリン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)およびLH)のような)、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼ、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1−24)のようなACTHアナログ、ANP、ANP消失阻害剤、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラジキニンアンタゴニスト、セレデース、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチド抑制物質、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよびアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、副甲状腺ホルモン(PTH)、PTH(1−34)のようなPTHアナログ、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、プロテインC、プロテインS、レニン阻害薬、チモシンα−1、血栓溶解薬、TNF、バソプレシンアンタゴニストアナログ、α−1アンチトリプシン(組換え)ならびにTGF−βが挙げられる。
また薬剤として、タンパク質、多糖複合物、オリゴ糖およびリポタンパク質の形態の抗原が挙げられる。これらのサブユニットワクチンは、百日咳菌(Bordetella pertussis)(組換えPTアクシン−無細胞)、破傷風菌(Clostridium tetani)(精製、組換え)、ジフテリア菌(Corynebacterium diptheriae)(精製、組換え)、サイトメガロウイルス(糖タンパク質サブユニット)、A群連鎖球菌(糖タンパク質サブユニット、破傷風トキソイドを含む複合糖質A群多糖、トキシングサブユニット担体に結合されたMタンパク質/ペプチド、Mタンパク質、多価型特異的エピトープ、システインプロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組換えプレS1、プレ−S2、S、組換えコアタンパク質)、C型肝炎ウイルス(組換え−発現された表面タンパク質およびエピトープ)、ヒトパピローマウイルス(キャプシドタンパク質、TA−GN組換えタンパク質L2およびE7[HPV−6から]、HPV−11からのMEDI−501組換えVLPL1、四価の組換えBLP L1[HPV−6から]、HPV−11、HPV−16およびHPV−18、LAMP−E7[HPV−16から])、レジオネラ ニューモフィラ(Legionella pneumophila)(精製した細菌表面タンパク質)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)(破傷風トキソイドを含む複合糖質)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(合成ペプチド)、風疹ウイルス(合成ペプチド)、肺炎双球菌(Streptococcus pneumoniae)(髄膜炎菌のB OMPに複合させた複合糖質[1、4、5、6B、9N、14、18C、19V、23F]、CRM197に複合させた複合糖質[4、6B、9V、14、18C、19F、23F]、CRM1970に複合させた複合糖質[1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F]、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)(表面リポタンパク質)、帯状疱疹(Varicella zoster)ウイルス(サブユニット、糖タンパク質)ならびにコレラ菌(Vibrio cholerae)(複合物リポ多糖)を包含する。
また薬剤としてアドレナリン、ニコチン、ビスホスホネート、フェンタニルなどが挙げられる。
(表面粗さ)
マイクロニードルの柱身部の表面粗さは、好ましくは5nm≦Rz≦10μm、より好ましくは50nm≦Rz≦5μmである。特に柱身部分については、この薬液を担持する際に、表面粗さが大きいと薬剤担持量が増加するため好ましい。また表面粗さが大きいと、薬剤を担持する際の薬剤液の表面張力による球状化の防止する効果を有する。表面粗さの限界は、成形時に離型抵抗となり変形、折損、歩留り悪化が発生する一歩手前である。凹凸は意図的に機械加工跡を利用しても良い。RzはJIS B0601−2001で測定した値である。
(熱可塑性樹脂)
マイクロニードルおよびマイクロニードルアレイは、熱可塑性樹脂を主たる成分とすることが好ましい。マイクロニードルおよびマイクロニードルアレイ中の熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは100重量%である。
熱可塑性樹は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートおよびポリエチレンナフタレートからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
マイクロニードルおよびマイクロニードルアレイは、生体分解性樹脂を主たる成分とすることが好ましい。
生体分解性樹脂は、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸、植物由来ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンサクシネートからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
植物由来ポリカーボネート樹脂とは、植物由来原料を主たる成分とした樹脂であり、好ましくは下記式(a)で表されるカーボネート構成単位を含むポリカーボネート樹脂である。
本発明で使用するポリグリコール酸樹脂は、グリコール酸繰り返し単位のみからなるグリコール酸の単独重合体、すなわちグリコール酸ホモポリマー(PGA、グリコール酸の2分子間環状エステルであるグリコリド(GL)の開環重合物を含む)であることが好ましいが、具体的には上記繰り返し単位を90重量%以上の割合で維持する範囲で、他のコモノマーとの共重合体、すなわちグリコール酸共重合体であってもよい。ポリグリコール酸は、ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒を用いるGPC測定における分子量(ポリメチルメタクリレート換算のMw(重量平均分子量))が10万〜80万、特に13万〜75万、の範囲であることが好ましい。分子量が小さ過ぎると、成形物としたときの強度が不足しがちである。逆に分子量が大き過ぎると、溶融押出、成形加工が困難となる場合がある。
本発明で用いる熱可塑性樹脂には、安定剤、強化剤、可塑剤などの添加物を含んでいてもよい。安定剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、耐加水分解、電子線安定剤、紫外線安定剤などを挙げることができる。強化剤としては、無機フィラー、有機フィラーなどを用いてもよい。また、添加物としては生体に対して害を及ぼさないものを用いることが好ましい。
<マイクロニードルの製造方法>
マイクロニードルおよびマイクロニードルアレイは以下の工程により製造することができる。成形装置としては例えば特開2008−49646号公報に記載の装置を使用することができる。
(溶融工程)
樹脂を200℃〜300℃の温度範囲まで加熱し、溶融する工程である。
(塗布工程)
溶融樹脂を、100℃〜250℃に保たれた金型の上に塗布する工程である。
金型の昇温は5℃/秒〜10℃/秒で行うことが好ましい。本発明の方法では100℃〜250℃に保たれた金型に樹脂を塗布し、成形後、金型温度を下げ、成形品を離型する。即ち、成形を連続して行な場合には、金型は昇温および降温を繰り返すことになる。そのため昇温および降温の速度が大きい程、サイクルタイムが短縮される利点がある。上記昇温時間を達成するためには電磁誘導加熱を用いることが好ましい。電磁誘導加熱は金型全体を昇温するのではなく、局所的な昇温とすることができるため、成形に必要なエネルギーを少なくすることができる。
(成形工程)
0.1MPa〜30MPaで加圧し、5秒〜200秒間保持して成形する工程である。
(取出工程)
50℃〜100℃の温度範囲まで5℃/秒〜10℃/秒で降温して金型より取り出す工程である。
上記方法はフィルムをインプリントする方法に比べると、溶融樹脂を用いることにより樹脂昇温時間が短縮され成形時間が短い。また樹脂内部まで所定の温度に均一となっており精度の高い転写が可能となる。例えば成形するための金型の製造は金属を切削加工してマスターを製作し、電鋳にて反転し金型を製作する方法が用いられる。但しこれに限定される訳ではない。
(薬剤の担持工程)
薬剤を含有する固体組成物は、マイクロニードルおよびマイクロニードルアレイを、薬剤を含有する溶液中に浸漬し引き上げて乾燥することにより柱身部の側面に固着させることができる。それ故、所望の薬剤担持量になるように、浸漬および乾燥を繰り返すことが好ましい。
<マイクロニードルアレイ>
本発明においては、上記マイクロニードルを複数本含むマイクロニードルアレイとして使用することができる。マイクロニードルアレイは、安全性と簡便性の両面をもち備え、痛みを伴うことなく所定の薬剤の投与し得る見地からマイクロニードルの密度が好ましくは1〜1000本/cm、より好ましくは100〜1000本/cmの範囲である。密度が高い方が薬剤担持量を上げることができるが、密度を高くする程マイクロニードルおよびマイクロニードルアレイを押込む際に大きな力が必要となる。痛みを伴わない押込力の範囲となる密度とすることが好ましい。
押込力はマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイを皮膚に穿刺する際に必要な力である。大きすぎると押込む際に痛みを感じるため、好ましくは1〜10N、より好ましくは1〜5Nである。押込力が制限されるため、少ない荷重でもなめらかに突き刺さるマイクロニードルが必要となる。
マイクロニードルアレイは、皮膚表面より10mm押し込まれた場合に80%以上の穿刺性を示すことが好ましい。また直径10mmの基板に5ニュートン(N)の力を掛けて皮膚に押圧した場合、80%以上の穿刺性を示すことが好ましい。
<マイクロニードルデバイス>
本発明は、薬剤を担持させたマイクロニードルまたはマイクロニードルアレイ、および生体に投与するためのアプリケーターとを含むマイクロニードルデバイスを包含する。アプリケーターは、マイクロニードルアレイを指で押したり、機械で押したりする方式の公知のアプリケーターを用いることができる。
<薬剤の投与方法>
本発明によれば、薬剤を担持させたマイクロニードルまたはマイクロニードルアレイを、皮膚表面に突き刺すことからなる薬剤の投与方法が提供される。薬剤として生理活性物質、ワクチンなど前述のものが挙げられる。本発明の投与方法は、生体に適用が可能であり、牛、豚、ヒトなどの哺乳類に適用することができる。本発明の投与方法によれば、少ない力で痛みなく生体に突き刺すことができる。
本実施の形態における実施例を以下に示す。
実施例1(2段針:PGA、普通の固着)
マイクロニードルは以下のように作製した。金型は金型のもととなるマスターを、金属を切削加工して製作し、次いでマスター型をニッケル電鋳にて反転し作製した。マイクロニードルの形状は、先端直径(D)が7μm、先端部底面の直径(D)が60μm、柱身部底面の直径(D)が100μm、台座部底面の直径(D)が150μm、全体の高さ(H)が600μm、先端部の高さ(H)が65μm、柱身部の高さ(H)が240μm、先端頂角(α)が45°、針が120本とした。
マイクロニードルの成形には(株)日本製鋼所製、溶融微細転写(登録商標)装置を用いた。樹脂にはポリグリコール酸(PGA)を用いて、260℃で溶融させ、200℃の金型の上に塗布した。次いで20MPaの圧力で約30秒プレスした後、金型を80℃まで冷却し金型からのマイクロニードルアレイを得た。得られたマイクロニードルアレイについてレーザー顕微鏡による観察を行い、マイクロニードルアレイが折損や変形無く金型の形状が正確に転写されていることを確認した。
(薬剤担持)
ポリビニルピロリドン(K20)1.5g、薬剤として青色1号0.1gを水8.4gに溶解した。これを金属プレート上に液膜として展開した。XYZステージに成形したマイクロニードルを固定して、顕微鏡で観察しながら先の液膜に先端部を台座高さまで若しくは約0.3mmまで浸漬しすぐに引き上げて1分間乾燥した。これを5回繰り返して薬剤を固着させた。
(評価)
得られたマイクロニードルアレイについて、(1)固着した薬剤の定量、(2)固着物と先端のなす角度(γ)、(3)表面粗さ、(4)穿刺性を評価した。なお、γの測定は,マイクロニードル先端部の傾斜の延長線より上に、付着した薬剤が突出する場合は,先端部の頂点と固着物との接線のなす角度を測定した。また、付着する薬剤が少なく、薬剤の固着物がマイクロニードル先端部の傾斜の延長線より下にある場合には、先端部と固着物の最突出部とを結ぶ線との角度を測定した。
固着物と先端のなす角度(γ)の評価は、表1に示されるように45°以下であり、塗布前の先端頂角(α)の値(45°)と変化がない。このことは、本発明のマイクロニードルアレイの2段になった針の形状に基づき、マイクロニードルを薬液に浸漬して引き上げた際、マイクロニードルの先端部以外の部分が、先端部に付いた薬液を引き込むことができるため、先端部に薬剤が固定され難く、その結果、マイクロニードルの先端が露出し、薬液塗布後も鋭利な先端部が維持できていることが明らかとなった。
穿刺性の評価は、てい毛を行ったラットの腹部に対して10秒押付けたのち、針を観察して色素が剥離しているかどうかを観察する方法で行い以下の基準で評価した。
○: 70%以上の針で色素の剥離が観察された。
△: 20%以上の針で色素の剥離が観察された。
×: 20%未満の針で色素剥離が観察された。
実施例2(2段針:SUS、普通の固着)
実施例1と同じ形状の微細針を、ステンレス鋼を切削して作製し、実施例1と同じ方法によって薬剤を固着し、実施例1と同様に評価した。
実施例3(2段針:PGA、少な目の固着)
実施例1で作製したマイクロニードルを用い、実施例1と同じ方法によって薬剤を固着したが、浸漬回数を3回にとどめた。実施例1と同様に評価した。
その結果を表1に示した。なお、表1においては、本発明の2段針の形状を明示するための記載方法となっており、1段針の記載方法とは一致しない。例えば、1段針を2段針の記載方法で記載すれば、D=Dの場合であるということになる。一方、2段針はD<Dとなる。
実施例4
マイクロニードルは以下のように作製した。
金型は金型のもととなるマスターを、金属を切削加工して製作し、次いでマスター型をニッケル電鋳にて反転し作製した。マイクロニードルの形状は、先端直径(D)が7μm、先端部底面の直径(D)が60μm、柱身部底面の直径(D)が75μm、台座部底面の直径(D)が150μm、全体の高さ(H)が600μm、先端部の高さ(H)が65μm、柱身部の高さ(H)が235μm、先端頂角(α)が45°、針が120本とした。
マイクロニードルの成形には(株)日本製鋼所製、溶融微細転写(登録商標)装置を用いた。樹脂にはポリグリコール酸を用いて、260℃で溶融させ、200℃の金型の上に塗布した。次いで20MPaの圧力で約30秒プレスした後、金型を80℃まで冷却し金型からのマイクロニードルアレイを得た。得られたマイクロニードルアレイについてレーザー顕微鏡による観察を行い、マイクロニードルアレイが折損や変形無く金型の形状が正確に転写されていることを確認した。
ポリビニルピロリドン(K90)15g、青色一号1g、リドカイン塩酸塩10gを精製水74gに溶解した試液を調製した。
深さ400μm、幅400μmの溝に調製した試液を満たし、上記のように作成したマイクロニードルを台座まで薬液が固着するように浸漬し、1分乾燥した。浸漬・乾燥を7回繰り返し、薬剤固着後のマイクロニードルを顕微鏡にて観察し(図4〜図11)、固着物と先端のなす角度:γ(°)を実施例1と同様に評価した。
また、7回浸漬後のマイクロニードルから塩酸リドカイン量を定量した。
薬剤固着後のマイクロニードル形状から、薬剤は最初に台座の部分に多く担持され、複数回浸漬することにより柱身部にも担持されていくことが確認された。
薬剤は段部分に担持される傾向にあり、針の先端部分にはほとんど担持されないことから、段部分は薬剤の貯蔵部位として利用でき、また、針の先端形状を損ないにくい設計となっていることがわかる。
実施例5〜7および比較例1〜3
ポリビニルピロリドン(K90)20g、青色一号1g、リドカイン塩酸塩10gを精製水69gに溶解した試液を調製した。
深さ500μm、幅400μmの溝に調製した試液を満たし、表3に示す形状のステンレス製のマイクロニードルを台座までもしくは約0.3mmの深さまで溝に浸漬し、2分乾燥した。浸漬・乾燥を複数回繰り返した(実施例5では4回、実施例6では4回、実施例7では4回、比較例1では10回、比較例2と3では5回)。なお、比較例3の場合には、深さ500μm、幅700μmの溝を使用し、塗布を行なった。
薬剤固着後のマイクロニードルを顕微鏡にて観察し、固着物と先端のなす角度:γ(°)を実施例1と同様に評価した。またマイクロニードルから担持量を測定した。
さらに、以下の方法によって、その穿刺性能を評価した(図12参照)。
1.Wistar 5w ♂ 腹部皮膚を,シリコーンシート(5mm厚,硬度50°)に設置固定した。
2.1mm/minの速度で針を皮膚に侵入させ,応力が0.05Nになった時点で停止した。
3.針を除去し,2%ゲンチアナバイオレットを穿刺した箇所に垂らした。
4.数分放置した。
5.エタノールで穿刺部分を洗浄した。
6.実体顕微鏡で穿刺跡の有無を確認し、染色があったものを○、なかったものを×とした。
以上の評価結果を図13にまとめて示す。即ち、図13に示されるようにγの値が60°までは穿刺性が良好であることが示された。また、同じ塗布回数であっても、マイクロニードルの形状に基づいて、担持できる薬剤量が異なることが分かった。即ち、H/Dが3〜5までは約1μgの薬剤を担持できるが、H/Dが7.5になれば、約0.1μgの薬剤担持量と激減することが分かった。
実施例8、9(2段針)
マイクロニードルアレイの形状が、先端直径(D)が7μm、先端部底面の直径(D)が60μm、柱身部底面の直径(D)が75μm、台座部底面の直径(D)が150μm、全体の高さ(H)が600μm、先端部の高さ(H)が65μm、柱身部の高さ(H)が235μm、先端頂角(α)が45°、120本のマイクロニードルが800μmの間隔で12×10の配列で整列していること以外は実施例1と同様の成形法によって成形したマイクロニードルアレイを用いた。マイクロニードルの形状を表4に示す。
塗布は以下の通りの方法で実施した。
ポリビニルピロリドン(K90)1.0g,OVA 1.0g,青色一号0.1gを精製水7.9gに溶解した試液を調製した.深さ400μm、幅400μmの溝に調製した試液を満たし、マイクロニードルを台座までもしくは約0.3mmまで薬液が固着するように浸漬し、1分間乾燥した.浸漬・乾燥を表4の回数繰り返し,薬液担持量の異なるマイクロニードルを製造した。
さらに、以下の方法によって、その穿刺性能を評価した(図14)。
1.Wistar 5w ♂ 腹部皮膚を,シリコーンシート(5 mm厚、硬度50°)に設置固定した。
2.1mm/minの速度で針を皮膚に侵入させ,応力が0.03N/本になった時点で停止した。
3.針を除去し,2%ゲンチアナバイオレットを穿刺した箇所に垂らした。
4.数分放置した。
5.エタノールで穿刺部分を洗浄した。
6.実体顕微鏡で穿刺跡の有無を確認し、染色があったものを○、なかったものを×とした。
比較例4、5、6(1段針)
マイクロニードルを実施例1と同様に作製した。マイクロニードルの形状は、先端直径(D)が7μm、台座部底面の直径(D)が150μm、全体の高さ(H)が600μm、先端部の高さ(H)が65μm、先端頂角(α)が45°、針が97本とした。マイクロニードルの形状を表4に示す。
実施例1と同じ方法で薬剤を固着し、実施例1と同様に評価した。塗布および穿刺性評価は、実施例8、9と同様の方法で行った。
以上の評価結果を表5と図15に示す。この結果に示されるように、マイクロニードルアレイに230μgの薬剤を担持しても、図13および図15に示されるように1段針ではγは大きくなりやすく、2段針では大きくなりにくい。またδ(δは、先端部の頂点と先端部に固着した個体組成物の表面を結ぶ線とのなす角度である)も同様に1段針では大きくなりやすく、2段針では大きくなりにくい。γが60°以上で刺さりにくくなり、70°で穿刺性は悪くなった。δは60°では穿刺性は良いが、70°で穿刺性は悪くなった。即ち、マイクロニードルに薬剤を担持させると、1段針ではγおよびδが共に大きくなりやすく、2段針の形状であれば、同じ薬剤担持量であっても微小針の先端部の鋭さが維持されやすく、穿刺性が良好であることが示された。
このように塗布された薬剤量が多くなっても、2段針であれば、先端角度が維持され易いことが分かった。その結果、先端角が所定の範囲にある場合には、十分な薬剤を搭載しても穿刺性を損なうことがないことが示された。
発明の効果
本発明を構成するマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイは、2段になった針の形状を持つことから、マイクロニードルを薬液に浸漬して引き上げた際、段の部分が、先端部に付いた薬液を引き込むことができる。その結果、段の部分を薬剤の貯蔵部位として用いることができ、より多くの薬剤を担持しても,マイクロニードルの先端を露出させることができ、薬液塗布後も鋭利な先端部を維持することが可能になった。
マイクロニードルの2段になった図1の形状は、マイクロニードルの先端部に薬剤が固定され難い針の形状である。その結果、本発明のマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイは、鋭利な先端部が維持されるので、患者の皮膚表皮層になめらかに突き刺さり、安全性と簡便性の両面をもち備え、痛みを伴うことなく所定の薬剤を投与することができる特性を有する。また本発明を構成するマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイは、薬剤の担持容量に優れているので、薬剤の投与を効率的に行うことができる利点を有する。
本発明のマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイは、医療のみならず、微細な針状構造体を必要とするMEMSデバイス、創薬、化粧品などに用いることが可能である。
本発明は、マイクロニードルおよびマイクロニードルアレイに関する。さらに詳しくは、本発明は、皮膚表層または皮膚角質層において、簡単に、安全にかつ効率的に薬品等を注入することが可能なマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイに関する。
従来、患者の生体表面、即ち皮膚や粘膜の表面に、薬品等を投与する方法としては、主に液状物質または、粉状物質を塗布する方法が殆どであった。しかしながら、これらの薬剤の塗布できる領域は、皮膚の表面に限られていたため、発汗や異物の接触等によって、塗布された薬剤が剥がれ落ちることが日常的に経験され、適量な薬剤等を効果的に投与することは困難であった。
生体表面への薬剤塗布に替わる手段として、マイクロニードルによる生体内への薬剤投与が提案されている。また該マイクロニードルの穿刺性を改善するための提案もこれまでになされている。
例えば特許文献1および特許文献2の方法は、折れにくくしかも屈曲しにくいマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイが提案されている。しかしその穿刺性は充分ではない。
特許文献3には、円錐面もしくは角錐面表面をマイクロニードル内側に湾曲させることにより、刺さりやすくする方法が提案されている。しかしながら、特許文献3に開示されている方法はポリマー溶液をスタンパーに塗布しゲル化乾燥させる際の体積収縮を利用する方法であり熱可塑性樹脂には適していない。
特許文献4には、水溶性または水膨潤性樹脂により形成された錘状、錐台状またはコニーデ状で、表面に潤滑成分が被覆されているマイクロニードルが記載されている。
特許文献5には、マイクロニードルに薬剤を効率的に搭載して、表皮下に投薬する方法が記載されているが、これは液状の薬剤に対して適用できる技術であり、固体化した薬剤について、穿刺性、搭載量、投薬性を並立させるような技術としての機能は不十分である。
特開2007−130030号公報 特開2007−190112号公報 特開2008−142183号公報 特開2010−029634号公報 特開2007−260351号公報
本発明の目的は、患者の皮膚表皮層になめらかに突き刺さり、安全性と簡便性を有し、痛みを伴うことなく所定の薬剤を投与し得るマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイを提供することにある。また本発明の目的は、薬剤のみならず安定剤や増粘剤を大量に担持することができ、かつ穿刺性が良好なマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイを提供することにある。さらに本発明の目的は、マイクロニードルアレイを含むマイクロニードルデバイスを提供することにある。
本発明は、先端部(top)、柱身部(shaft)および台座部(base)からなり、
(i) 先端頂角(α)が15〜60°の範囲にあり、
(ii) 先端直径(D)が1〜20μmの範囲にあり、
(iii) 台座部上面の面積(A)が柱身部底面(A)の面積よりも大きく、
(iv) 下記式(1)および(2)を満足し、
H/D≧3 (1)
(Hは全体の高さ、Dは台座部底面の直径である)
β≧90−0.5α (2)
(βは柱身部の側面と台座部上面のなす角度、αは先端頂角である)
(v)柱身部の側面に薬剤を含有する固体組成物が固着し、下記式(5)を満足
10°≦γ≦60° (5)
(γは、先端部の頂点と、柱身部の側面に固着した固体組成物の表面を結ぶ接線とのなす角度である)
(vi) 薬剤を含有する固体組成物は、穿刺すると皮膚内で溶解して柱身部側面から剥離するものである、
経皮的に薬剤を投与するためのマイクロニードルである。
また本発明は前記マイクロニードルを複数設置したマイクロニードルアレイである。
本発明を構成するマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイは、2段になった針の形状を持つことから、マイクロニードルを薬液に浸漬して引き上げた際、段の部分が、先端部に付いた薬液を引き込むことができる。その結果、段の部分を薬剤の貯蔵部位として用いることができ、より多くの薬剤を担持しても,マイクロニードルの先端を露出させることができ、薬液塗布後も鋭利な先端部を維持することが可能になった。
マイクロニードルの2段になった図1の形状は、マイクロニードルの先端部に薬剤が固定され難い針の形状である。その結果、本発明のマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイは、鋭利な先端部が維持されるので、患者の皮膚表皮層になめらかに突き刺さり、安全性と簡便性の両面をもち備え、痛みを伴うことなく所定の薬剤を投与することができる特性を有する。また本発明を構成するマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイは、薬剤の担持容量に優れているので、薬剤の投与を効率的に行うことができる利点を有する。
本発明のマイクロニードルの概略図である。 本発明のマイクロニードルの先端部の概略図である。 薬剤を担持したマイクロニードルの概略図である。 実施例4において浸漬前のマイクロニードルである。 実施例4において1回浸漬後のマイクロニードルである。 実施例4において2回浸漬後のマイクロニードルである。 実施例4において3回浸漬後のマイクロニードルである。 実施例4において4回浸漬後のマイクロニードルである。 実施例4において5回浸漬後のマイクロニードルである。 実施例4において6回浸漬後のマイクロニードルである。 実施例4において7回浸漬後のマイクロニードルである。 実施例5〜7および比較例1〜3における穿刺性能の評価方法を示す概略図である。 実施例5〜7および比較例1〜3の評価結果である。 実施例8〜9および比較例4〜6における穿刺性能の評価方法を示す概略図である。 実施例8〜9および比較例4〜6の評価結果である。
本発明のマイクロニードルは柱身部の側面に薬剤を含有する固体組成物が固着している、薬剤が担持されたマイクロニードルである。薬剤が担持されたマイクロニードルを担持マイクロニードルということがある。薬剤を担持する前のマイクロニードルを単にマイクロニードルということがある。マイクロニードルアレイも同様である。
<マイクロニードル>
マイクロニードルを図1により説明する。図1はマイクロニードルの全体図である。マイクロニードルは、台座部の上に薬剤を担持されるための柱身部、さらにその上部に皮膚を穿刺するための先端部の3つの部分が接合した形状を有する。
(台座部)
台座部は、三角錐台、四角錐台、六角錐台などの多角錐台であっても円錐台であっても良い。台座部底面の直径(D)は、好ましくは30〜500μm、より好ましくは100〜250μmである。台座部上面の直径(D)は、好ましくは30〜500μm、より好ましくは90〜240μmである。台座部の高さ(H)は、好ましくは35〜600μm、より好ましくは100〜500μmである。台座部底面の直径(D)およびは、台座部の底面を円形に近似した場合の直径で表わす。台座部上面の直径(D)は、台座部上面を円形に近似した場合の直径で表わす。
(柱身部)
柱身部は、三角錐台、四角錐台、六角錐台などの多角錐台であっても円錐台であっても良い。柱身部は、その上部に先端部を搭載できる台状形状を有する。柱身部底面の直径(D)は、好ましくは25〜450μm、より好ましくは25〜235μmである。柱身部底面の直径(D)は、柱身部の底面を円形に近似した場合の直径で表わす。柱身部上面の直径(D)は、先端部底面の直径(D)と同じである。柱身部の高さ(H)は、好ましくは50〜600μm、より好ましくは50〜500μm、さらに好ましくは50〜240μmである。柱身部は、その壁面に薬剤を固着させ、薬剤を所定の投薬位置まで運び込む機能を有する。
(先端部)
先端部は、三角錐、四角錐、六角錐などの多角錐であっても円錐であっても良い。先端部底面の直径(D)は、好ましくは1〜170μm、より好ましくは10〜80μmである。先端部底面の直径(D)は、先端部底面を円形に近似した場合の直径で表わす。先端部の高さ(H)は、好ましくは1〜640μm、より好ましくは10〜150μmである。
先端直径(D)は1〜20μmである。患者の皮膚表皮層になめらかに突き刺さることの効果を高める見地からは、先端直径(D)は1〜10μmの範囲が好ましい。一方、先端直径(D)が20μmを超えると皮膚に穿刺する際の抵抗が大きくなり皮膚に刺さり難く、先端が変形し易くなるので好ましくない。
先端頂角(α)は15〜60°、好ましくは30〜60°の範囲にある。先端頂角(α)が30〜45°の範囲にあるときに、さらに優れた効果が見出される。一方、先端頂角(α)が15〜60°の範囲を外れると皮膚に穿刺する際の抵抗が大きくなり皮膚に刺さり難くなり、さらには先端が変形し易くなるので好ましくない。
(全体の高さ)
全体の高さ(H)は、薬剤の効果が効率良く発現する皮膚の厚さ(X)とマイクロニードルをゆっくりと痛みが伴わないよう皮膚に押込む場合、皮膚の撓みを考慮した余裕の長さ(Y)の和である。Xは、好ましくは15〜800μm、より好ましくは100〜500μmである。Yは、好ましくは30〜500μm、より好ましくは50〜300μmである。全体の高さ(H)は、好ましくは120〜800μm、より好ましくは150〜500μmである。
(式(1)および(2))
マイクロニードルは、下記式(1)を満足する。
H/D≧3 (1)
(H:全体の高さ、D:台座部底面の直径)
H/Dの上限は、本発明の目的や成形性の見地から20以下とすることが好ましい。H/Dが3未満となると、皮膚に穿刺する際の抵抗が大きくなり皮膚に刺さり難くなり、さらには、マイクロニードルの先端が変形し易くなり、目的効果において不都合である。H/Dは、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜6である。
マイクロニードルは、下記式(2)を満足する。
β≧90−0.5α (2)
式(2)中βは、図1に示す、柱身部の側面と台座部上面のなす角度である。αは先端頂角である。マイクロニードルは、台座部上面の面積(A)が柱身部底面の面積(A)よりも大きい。
(A/A
先にも述べたように、マイクロニードルは、台座部の上に薬剤が多く担持されるための柱身部、さらにその上部に皮膚を穿刺するための先端部の3つの部分が接合した形状を有する。
マイクロニードルは、下記式(6)を満足することが好ましい。
1.2≦A/A≦10 (6)
(A:台座部上面の面積、A:柱身部底面の面積)
台座部上面の面積(A)が柱身部底面の面積(A)より大きいことで、薬剤を搭載したときに、台座の上面部分に薬剤を密着させて固着させることができ、先端部に近い部分の薬剤固着量を減らせるので、穿刺性を損なわずに薬剤搭載量を増やすことが可能である。A/Aは、さらに好ましくは、1.2から3の範囲である。この値が小さすぎると台座上の固着量を十分確保できず、また、大きすぎると柱身部への搭載量が減って、穿刺しても体内に直接的に投入できる薬剤量が減ってしまうからである。
(担持マイクロニードル)
本発明は、マイクロニードルの柱身部の側面に、薬剤を含有する固体組成物が固着しているマイクロニードルである。固体組成物中の薬剤の含有量は、固体組成物100重量部に対し、好ましくは5〜90重量部、より好ましくは10〜80重量部である。
固体組成物は、バインダー成分として水溶性高分子を含有することが好ましい。水溶性高分子としては、特に限定されるものはないが、皮膚刺激性の少ないものが好ましいものとして使用される。
マイクロニードルに薬剤を固着させると、その外形は固着薬剤の固着状態に応じた形状となる。本発明のマイクロニードルでは、図3に示すような形状を取ることが出来る。このような、柱身部に薬剤が固着し、先端部には薬剤がほぼ固着しない形状であれば、薬剤を担持しないマイクロニードルと同等の角質穿刺性を確保することが可能となる。また、薬剤を担持後,塗布後の先端部角度より薬剤の固着物が突出しないことが望ましい。
本発明の薬剤を担持したマイクロニードルは、下記式(5)、好ましくは下記式(5−i)、より好ましくは下記式(5−ii)を満足する。本発明の薬剤を担持したマイクロニードルの角度が下記式(5)の範囲にあれば、穿刺性を損なうことがなく薬剤を搭載することができる。
また、本発明の薬剤を担持したマイクロニードルは、下記式(6)を満足することが穿刺性および薬剤を搭載量の点から好ましい。更に、本発明の薬剤を担持したマイクロニードルは、下記式(7)を満足することが穿刺性および薬剤を搭載量の点から好ましい。
10°≦γ≦60° (5)
γは、先端部の頂点と、柱身部の側面に固着した固体組成物の表面を結ぶ接線のなす角度である。
10°≦γ≦50° (5−i)
10°≦γ≦45° (5−ii)
α≦δ≦60° (6)
δは、先端部の頂点と、先端部に固着した固体組成物の表面とを結ぶ線のなす角度である。
γ≧δ (7)
(薬剤)
薬剤としてホルモンなどの生理活性物質、ワクチンなどが挙げられる。薬剤として、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスルトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン、下垂体ホルモン(例えばHGH、HMG、酢酸デスモプレシンなど)、卵胞ルテオイド、aANF、成長因子放出因子(GFRF)のような成長因子、bMSH、GH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来増殖因子放出因子、アスパラギナーゼ、硫酸ブレオマイシン、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エリスロポエチン、エポプロステノール(血小板凝集阻害剤)、グルカゴン、HCG、ヒルログ、ヒアルロニダーゼ、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン、インターロイキン−10(IL−10)、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、グルカゴン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRHアナログ(ゴセレリン、リュープロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリンならびにナファレリン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)およびLH)のような)、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼ、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1−24)のようなACTHアナログ、ANP、ANP消失阻害剤、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラジキニンアンタゴニスト、セレデース、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチド抑制物質、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよびアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、副甲状腺ホルモン(PTH)、PTH(1−34)のようなPTHアナログ、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、プロテインC、プロテインS、レニン阻害薬、チモシンα−1、血栓溶解薬、TNF、バソプレシンアンタゴニストアナログ、α−1アンチトリプシン(組換え)ならびにTGF−βが挙げられる。
また薬剤として、タンパク質、多糖複合物、オリゴ糖およびリポタンパク質の形態の抗原が挙げられる。これらのサブユニットワクチンは、百日咳菌(Bordetella pertussis)(組換えPTアクシン−無細胞)、破傷風菌(Clostridium tetani)(精製、組換え)、ジフテリア菌(Corynebacterium diptheriae)(精製、組換え)、サイトメガロウイルス(糖タンパク質サブユニット)、A群連鎖球菌(糖タンパク質サブユニット、破傷風トキソイドを含む複合糖質A群多糖、トキシングサブユニット担体に結合されたMタンパク質/ペプチド、Mタンパク質、多価型特異的エピトープ、システインプロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組換えプレS1、プレ−S2、S、組換えコアタンパク質)、C型肝炎ウイルス(組換え−発現された表面タンパク質およびエピトープ)、ヒトパピローマウイルス(キャプシドタンパク質、TA−GN組換えタンパク質L2およびE7[HPV−6から]、HPV−11からのMEDI−501組換えVLPL1、四価の組換えBLP L1[HPV−6から]、HPV−11、HPV−16およびHPV−18、LAMP−E7[HPV−16から])、レジオネラ ニューモフィラ(Legionella pneumophila)(精製した細菌表面タンパク質)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)(破傷風トキソイドを含む複合糖質)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(合成ペプチド)、風疹ウイルス(合成ペプチド)、肺炎双球菌(Streptococcus pneumoniae)(髄膜炎菌のB OMPに複合させた複合糖質[1、4、5、6B、9N、14、18C、19V、23F]、CRM197に複合させた複合糖質[4、6B、9V、14、18C、19F、23F]、CRM1970に複合させた複合糖質[1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F]、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)(表面リポタンパク質)、帯状疱疹(Varicella zoster)ウイルス(サブユニット、糖タンパク質)ならびにコレラ菌(Vibrio cholerae)(複合物リポ多糖)を包含する。
また薬剤としてアドレナリン、ニコチン、ビスホスホネート、フェンタニルなどが挙げられる。
(表面粗さ)
マイクロニードルの柱身部の表面粗さは、好ましくは5nm≦Rz≦10μm、より好ましくは50nm≦Rz≦5μmである。特に柱身部分については、この薬液を担持する際に、表面粗さが大きいと薬剤担持量が増加するため好ましい。また表面粗さが大きいと、薬剤を担持する際の薬剤液の表面張力による球状化の防止する効果を有する。表面粗さの限界は、成形時に離型抵抗となり変形、折損、歩留り悪化が発生する一歩手前である。凹凸は意図的に機械加工跡を利用しても良い。RzはJIS B0601−2001で測定した値である。
(熱可塑性樹脂)
マイクロニードルおよびマイクロニードルアレイは、熱可塑性樹脂を主たる成分とすることが好ましい。マイクロニードルおよびマイクロニードルアレイ中の熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは100重量%である。
熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートおよびポリエチレンナフタレートからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
マイクロニードルおよびマイクロニードルアレイは、生体分解性樹脂を主たる成分とすることが好ましい。
生体分解性樹脂は、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸、植物由来ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンサクシネートからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
植物由来ポリカーボネート樹脂とは、植物由来原料を主たる成分とした樹脂であり、好ましくは下記式(a)で表されるカーボネート構成単位を含むポリカーボネート樹脂である。
本発明で使用するポリグリコール酸樹脂は、グリコール酸繰り返し単位のみからなるグリコール酸の単独重合体、すなわちグリコール酸ホモポリマー(PGA、グリコール酸の2分子間環状エステルであるグリコリド(GL)の開環重合物を含む)であることが好ましいが、具体的には上記繰り返し単位を90重量%以上の割合で維持する範囲で、他のコモノマーとの共重合体、すなわちグリコール酸共重合体であってもよい。ポリグリコール酸は、ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒を用いるGPC測定における分子量(ポリメチルメタクリレート換算のMw(重量平均分子量))が10万〜80万、特に13万〜75万、の範囲であることが好ましい。分子量が小さ過ぎると、成形物としたときの強度が不足しがちである。逆に分子量が大き過ぎると、溶融押出、成形加工が困難となる場合がある。
本発明で用いる熱可塑性樹脂には、安定剤、強化剤、可塑剤などの添加物を含んでいてもよい。安定剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、耐加水分解、電子線安定剤、紫外線安定剤などを挙げることができる。強化剤としては、無機フィラー、有機フィラーなどを用いてもよい。また、添加物としては生体に対して害を及ぼさないものを用いることが好ましい。
<マイクロニードルの製造方法>
マイクロニードルおよびマイクロニードルアレイは以下の工程により製造することができる。成形装置としては例えば特開2008−49646号公報に記載の装置を使用することができる。
(溶融工程)
樹脂を200℃〜300℃の温度範囲まで加熱し、溶融する工程である。
(塗布工程)
溶融樹脂を、100℃〜250℃に保たれた金型の上に塗布する工程である。
金型の昇温は5℃/秒〜10℃/秒で行うことが好ましい。本発明の方法では100℃〜250℃に保たれた金型に樹脂を塗布し、成形後、金型温度を下げ、成形品を離型する。即ち、成形を連続して行な場合には、金型は昇温および降温を繰り返すことになる。そのため昇温および降温の速度が大きい程、サイクルタイムが短縮される利点がある。上記昇温時間を達成するためには電磁誘導加熱を用いることが好ましい。電磁誘導加熱は金型全体を昇温するのではなく、局所的な昇温とすることができるため、成形に必要なエネルギーを少なくすることができる。
(成形工程)
0.1MPa〜30MPaで加圧し、5秒〜200秒間保持して成形する工程である。
(取出工程)
50℃〜100℃の温度範囲まで5℃/秒〜10℃/秒で降温して金型より取り出す工程である。
上記方法はフィルムをインプリントする方法に比べると、溶融樹脂を用いることにより樹脂昇温時間が短縮され成形時間が短い。また樹脂内部まで所定の温度に均一となっており精度の高い転写が可能となる。例えば成形するための金型の製造は金属を切削加工してマスターを製作し、電鋳にて反転し金型を製作する方法が用いられる。但しこれに限定される訳ではない。
(薬剤の担持工程)
薬剤を含有する固体組成物は、マイクロニードルおよびマイクロニードルアレイを、薬剤を含有する溶液中に浸漬し引き上げて乾燥することにより柱身部の側面に固着させることができる。それ故、所望の薬剤担持量になるように、浸漬および乾燥を繰り返すことが好ましい。
<マイクロニードルアレイ>
本発明においては、上記マイクロニードルを複数本含むマイクロニードルアレイとして使用することができる。マイクロニードルアレイは、安全性と簡便性の両面をもち備え、痛みを伴うことなく所定の薬剤の投与し得る見地からマイクロニードルの密度が好ましくは1〜1000本/cm、より好ましくは100〜1000本/cmの範囲である。密度が高い方が薬剤担持量を上げることができるが、密度を高くする程マイクロニードルおよびマイクロニードルアレイを押込む際に大きな力が必要となる。痛みを伴わない押込力の範囲となる密度とすることが好ましい。
押込力はマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイを皮膚に穿刺する際に必要な力である。大きすぎると押込む際に痛みを感じるため、好ましくは1〜10N、より好ましくは1〜5Nである。押込力が制限されるため、少ない荷重でもなめらかに突き刺さるマイクロニードルが必要となる。
マイクロニードルアレイは、皮膚表面より10mm押し込まれた場合に80%以上の穿刺性を示すことが好ましい。また直径10mmの基板に5ニュートン(N)の力を掛けて皮膚に押圧した場合、80%以上の穿刺性を示すことが好ましい。
<マイクロニードルデバイス>
本発明は、薬剤を担持させたマイクロニードルまたはマイクロニードルアレイ、および生体に投与するためのアプリケーターとを含むマイクロニードルデバイスを包含する。アプリケーターは、マイクロニードルアレイを指で押したり、機械で押したりする方式の公知のアプリケーターを用いることができる。
<薬剤の投与方法>
本発明によれば、薬剤を担持させたマイクロニードルまたはマイクロニードルアレイを、皮膚表面に突き刺すことからなる薬剤の投与方法が提供される。薬剤として生理活性物質、ワクチンなど前述のものが挙げられる。本発明の投与方法は、生体に適用が可能であり、牛、豚、ヒトなどの哺乳類に適用することができる。本発明の投与方法によれば、少ない力で痛みなく生体に突き刺すことができる。
本実施の形態における実施例を以下に示す。
実施例1(2段針:PGA、普通の固着)
マイクロニードルは以下のように作製した。金型は金型のもととなるマスターを、金属を切削加工して製作し、次いでマスター型をニッケル電鋳にて反転し作製した。マイクロニードルの形状は、先端直径(D)が7μm、先端部底面の直径(D)が60μm、柱身部底面の直径(D)が100μm、台座部底面の直径(D)が150μm、全体の高さ(H)が600μm、先端部の高さ(H)が65μm、柱身部の高さ(H)が240μm、先端頂角(α)が45°、針が120本とした。
マイクロニードルの成形には(株)日本製鋼所製、溶融微細転写(登録商標)装置を用いた。樹脂にはポリグリコール酸(PGA)を用いて、260℃で溶融させ、200℃の金型の上に塗布した。次いで20MPaの圧力で約30秒プレスした後、金型を80℃まで冷却し金型からのマイクロニードルアレイを得た。得られたマイクロニードルアレイについてレーザー顕微鏡による観察を行い、マイクロニードルアレイが折損や変形無く金型の形状が正確に転写されていることを確認した。
(薬剤担持)
ポリビニルピロリドン(K20)1.5g、薬剤として青色1号0.1gを水8.4gに溶解した。これを金属プレート上に液膜として展開した。XYZステージに成形したマイクロニードルを固定して、顕微鏡で観察しながら先の液膜に先端部を台座高さまで若しくは約0.3mmまで浸漬しすぐに引き上げて1分間乾燥した。これを5回繰り返して薬剤を固着させた。
(評価)
得られたマイクロニードルアレイについて、(1)固着した薬剤の定量、(2)固着物と先端のなす角度(γ)、(3)表面粗さ、(4)穿刺性を評価した。なお、γの測定は,マイクロニードル先端部の傾斜の延長線より上に、付着した薬剤が突出する場合は,先端部の頂点と固着物との接線のなす角度を測定した。また、付着する薬剤が少なく、薬剤の固着物がマイクロニードル先端部の傾斜の延長線より下にある場合には、先端部と固着物の最突出部とを結ぶ線との角度を測定した。
固着物と先端のなす角度(γ)の評価は、表1に示されるように45°以下であり、塗布前の先端頂角(α)の値(45°)と変化がない。このことは、本発明のマイクロニードルアレイの2段になった針の形状に基づき、マイクロニードルを薬液に浸漬して引き上げた際、マイクロニードルの先端部以外の部分が、先端部に付いた薬液を引き込むことができるため、先端部に薬剤が固定され難く、その結果、マイクロニードルの先端が露出し、薬液塗布後も鋭利な先端部が維持できていることが明らかとなった。
穿刺性の評価は、てい毛を行ったラットの腹部に対して10秒押付けたのち、針を観察して色素が剥離しているかどうかを観察する方法で行い以下の基準で評価した。
○: 70%以上の針で色素の剥離が観察された。
△: 20%以上の針で色素の剥離が観察された。
×: 20%未満の針で色素剥離が観察された。
実施例2(2段針:SUS、普通の固着)
実施例1と同じ形状の微細針を、ステンレス鋼を切削して作製し、実施例1と同じ方法によって薬剤を固着し、実施例1と同様に評価した。
実施例3(2段針:PGA、少な目の固着)
実施例1で作製したマイクロニードルを用い、実施例1と同じ方法によって薬剤を固着したが、浸漬回数を3回にとどめた。実施例1と同様に評価した。
その結果を表1に示した。なお、表1においては、本発明の2段針の形状を明示するための記載方法となっており、1段針の記載方法とは一致しない。例えば、1段針を2段針の記載方法で記載すれば、D=Dの場合であるということになる。一方、2段針はD<Dとなる。
実施例4
マイクロニードルは以下のように作製した。
金型は金型のもととなるマスターを、金属を切削加工して製作し、次いでマスター型をニッケル電鋳にて反転し作製した。マイクロニードルの形状は、先端直径(D)が7μm、先端部底面の直径(D)が60μm、柱身部底面の直径(D)が75μm、台座部底面の直径(D)が150μm、全体の高さ(H)が600μm、先端部の高さ(H)が65μm、柱身部の高さ(H)が235μm、先端頂角(α)が45°、針が120本とした。
マイクロニードルの成形には(株)日本製鋼所製、溶融微細転写(登録商標)装置を用いた。樹脂にはポリグリコール酸を用いて、260℃で溶融させ、200℃の金型の上に塗布した。次いで20MPaの圧力で約30秒プレスした後、金型を80℃まで冷却し金型からのマイクロニードルアレイを得た。得られたマイクロニードルアレイについてレーザー顕微鏡による観察を行い、マイクロニードルアレイが折損や変形無く金型の形状が正確に転写されていることを確認した。
ポリビニルピロリドン(K90)15g、青色一号1g、リドカイン塩酸塩10gを精製水74gに溶解した試液を調製した。
深さ400μm、幅400μmの溝に調製した試液を満たし、上記のように作成したマイクロニードルを台座まで薬液が固着するように浸漬し、1分乾燥した。浸漬・乾燥を7回繰り返し、薬剤固着後のマイクロニードルを顕微鏡にて観察し(図4〜図11)、固着物と先端のなす角度:γ(°)を実施例1と同様に評価した。
また、7回浸漬後のマイクロニードルから塩酸リドカイン量を定量した。
薬剤固着後のマイクロニードル形状から、薬剤は最初に台座の部分に多く担持され、複数回浸漬することにより柱身部にも担持されていくことが確認された。
薬剤は段部分に担持される傾向にあり、針の先端部分にはほとんど担持されないことから、段部分は薬剤の貯蔵部位として利用でき、また、針の先端形状を損ないにくい設計となっていることがわかる。
実施例5〜7および比較例1〜3
ポリビニルピロリドン(K90)20g、青色一号1g、リドカイン塩酸塩10gを精製水69gに溶解した試液を調製した。
深さ500μm、幅400μmの溝に調製した試液を満たし、表3に示す形状のステンレス製のマイクロニードルを台座までもしくは約0.3mmの深さまで溝に浸漬し、2分乾燥した。浸漬・乾燥を複数回繰り返した(実施例5では4回、実施例6では4回、実施例7では4回、比較例1では10回、比較例2と3では5回)。なお、比較例3の場合には、深さ500μm、幅700μmの溝を使用し、塗布を行なった。
薬剤固着後のマイクロニードルを顕微鏡にて観察し、固着物と先端のなす角度:γ(°)を実施例1と同様に評価した。またマイクロニードルから担持量を測定した。
さらに、以下の方法によって、その穿刺性能を評価した(図12参照)。
1.Wistar 5w ♂ 腹部皮膚を,シリコーンシート(5mm厚,硬度50°)に設置固定した。
2.1mm/minの速度で針を皮膚に侵入させ,応力が0.05Nになった時点で停止した。
3.針を除去し,2%ゲンチアナバイオレットを穿刺した箇所に垂らした。
4.数分放置した。
5.エタノールで穿刺部分を洗浄した。
6.実体顕微鏡で穿刺跡の有無を確認し、染色があったものを○、なかったものを×とした。
以上の評価結果を図13にまとめて示す。即ち、図13に示されるようにγの値が60°までは穿刺性が良好であることが示された。また、同じ塗布回数であっても、マイクロニードルの形状に基づいて、担持できる薬剤量が異なることが分かった。即ち、H/Dが3〜5までは約1μgの薬剤を担持できるが、H/Dが7.5になれば、約0.1μgの薬剤担持量と激減することが分かった。
実施例8、9(2段針)
マイクロニードルアレイの形状が、先端直径(D)が7μm、先端部底面の直径(D)が60μm、柱身部底面の直径(D)が75μm、台座部底面の直径(D)が150μm、全体の高さ(H)が600μm、先端部の高さ(H)が65μm、柱身部の高さ(H)が235μm、先端頂角(α)が45°、120本のマイクロニードルが800μmの間隔で12×10の配列で整列していること以外は実施例1と同様の成形法によって成形したマイクロニードルアレイを用いた。マイクロニードルの形状を表4に示す。
塗布は以下の通りの方法で実施した。
ポリビニルピロリドン(K90)1.0g,OVA 1.0g,青色一号0.1gを精製水7.9gに溶解した試液を調製した.深さ400μm、幅400μmの溝に調製した試液を満たし、マイクロニードルを台座までもしくは約0.3mmまで薬液が固着するように浸漬し、1分間乾燥した.浸漬・乾燥を表4の回数繰り返し,薬液担持量の異なるマイクロニードルを製造した。
さらに、以下の方法によって、その穿刺性能を評価した(図14)。
1.Wistar 5w ♂ 腹部皮膚を,シリコーンシート(5 mm厚、硬度50°)に設置固定した。
2.1mm/minの速度で針を皮膚に侵入させ,応力が0.03N/本になった時点で停止した。
3.針を除去し,2%ゲンチアナバイオレットを穿刺した箇所に垂らした。
4.数分放置した。
5.エタノールで穿刺部分を洗浄した。
6.実体顕微鏡で穿刺跡の有無を確認し、染色があったものを○、なかったものを×とした。
比較例4、5、6(1段針)
マイクロニードルを実施例1と同様に作製した。マイクロニードルの形状は、先端直径(D)が7μm、台座部底面の直径(D)が150μm、全体の高さ(H)が600μm、先端部の高さ(H)が65μm、先端頂角(α)が45°、針が97本とした。マイクロニードルの形状を表4に示す。
実施例1と同じ方法で薬剤を固着し、実施例1と同様に評価した。塗布および穿刺性評価は、実施例8、9と同様の方法で行った。
以上の評価結果を表5と図15に示す。この結果に示されるように、マイクロニードルアレイに230μgの薬剤を担持しても、図13および図15に示されるように1段針ではγは大きくなりやすく、2段針では大きくなりにくい。またδ(δは、先端部の頂点と先端部に固着した個体組成物の表面を結ぶ線とのなす角度である)も同様に1段針では大きくなりやすく、2段針では大きくなりにくい。γが60°以上で刺さりにくくなり、70°で穿刺性は悪くなった。δは60°では穿刺性は良いが、70°で穿刺性は悪くなった。即ち、マイクロニードルに薬剤を担持させると、1段針ではγおよびδが共に大きくなりやすく、2段針の形状であれば、同じ薬剤担持量であっても微小針の先端部の鋭さが維持されやすく、穿刺性が良好であることが示された。
このように塗布された薬剤量が多くなっても、2段針であれば、先端角度が維持され易いことが分かった。その結果、先端角が所定の範囲にある場合には、十分な薬剤を搭載しても穿刺性を損なうことがないことが示された。
本発明のマイクロニードルおよびマイクロニードルアレイは、医療のみならず、微細な針状構造体を必要とするMEMSデバイス、創薬、化粧品などに用いることが可能である。
:先端直径
:先端部底面の直径
:柱身部底面の直径
:台座部上面の直径
:台座部底面の直径
H:全体の高さ
:先端部の高さ
:柱身部の高さ
:台座部の高さ
α:先端頂角
β:柱身部の側面と台座部上面のなす角度
γ:先端部の頂点と、柱身部の側面に固着した固体組成物の最表層とのなす角度
δ:先端部の頂点と、先端部に固着した固体組成物の表面とを結ぶ線のなす角度

Claims (12)

  1. 先端部、柱身部および台座部からなり、
    (i)先端頂角(α)が15〜60°の範囲にあり、
    (ii)先端直径(D)が1〜20μmの範囲にあり、
    (iii)台座部上面の面積(A)が柱身部底面(A)の面積よりも大きく、
    (iv)下記式(1)および(2)を満足し、
    H/D≧3 (1)
    (Hは全体の高さ、Dは台座部底面の直径である)
    β≧90−0.5α (2)
    (βは柱身部の側面と台座部上面のなす角度、αは先端頂角である)
    (v)柱身部の側面に薬剤を含有する固体組成物が固着し、下記式(5)を満足する、
    10°≦γ≦60° (5)
    (γは、先端部の頂点と、柱身部の側面に固着した固体組成物の表面を結ぶ接線とのなす角度である)
    経皮的に薬剤を投与するためのマイクロニードル。
  2. 固体組成物は、バインダー成分として水溶性高分子を含有する請求項1記載のマイクロニードル。
  3. 全体の高さ(H)が120〜800μmである請求項1に記載のマイクロニードル。
  4. 下記式(6)を満足する請求項1に記載のマイクロニードル。
    1.2≦A/A≦10 (6)
    (Aは台座部上面の面積、Aは柱身部底面の面積である)
  5. 台座部の高さ(H)が100〜500μmである請求項1に記載のマイクロニードル。
  6. 熱可塑性樹脂を主たる成分とする請求項1に記載のマイクロニードル。
  7. 熱可塑性樹が、ポリカーボネート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートおよびポリエチレンナフタレートからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項6に記載のマイクロニードル。
  8. 生体分解性樹脂を主たる成分とする請求項1に記載のマイクロニードル。
  9. 生体分解性樹脂が、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸、植物由来ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンサクシネートからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項8に記載のマイクロニードル。
  10. 100〜1000本/cmの請求項1〜9のいずれか一項に記載のマイクロニードルを含むマイクロニードルアレイ。
  11. 請求項10に記載のマイクロニードルアレイおよび生体に投与するためのアプリケーターを含むマイクロニードルデバイス。
  12. 請求項10に記載のマイクロニードルアレイを、皮膚表面に穿刺すことからなる薬剤の投与方法。
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