JPWO2013128792A1 - エキスパンド格子及びその製造方法、それを用いる鉛蓄電池用極板、並びに鉛蓄電池 - Google Patents

エキスパンド格子及びその製造方法、それを用いる鉛蓄電池用極板、並びに鉛蓄電池 Download PDF

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Abstract

エキスパンド格子及びその製造方法、並びに該エキスパンド格子を用いた鉛蓄電池用極板及び鉛蓄電池を提供する。前記エキスパンド格子はエキスパンド法によって形成され、格子骨で構成される複数の菱形の網目を備え、前記格子骨のうち一部の格子骨にはシワが発生し、突出する湾曲部を形成しており、前記エキスパンド格子の投影図において、菱形の網目における辺の長さである、シワが発生していない2本の平行且つ対向する格子骨間を菱形の残りの2つの格子骨と平行に計測した距離をD1とし、シワが発生している格子骨の湾曲の頂点からそれと平行で且つ対向する他の格子骨までを菱形の残りの2つの格子骨と平行に計測した距離をD2とするとき、格子骨の湾曲の程度を表すシワ形成度W=(D2−D1)/D1(但し、D2>D1)は、0.09〜0.19の範囲にあることを特徴とする。

Description

本発明は、エキスパンド格子及びその製造方法、並びに該エキスパンド格子を用いた鉛蓄電池用極板及び鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池には、安価で、出力が安定し、大電流放電に適している等の特長があり、車両の始動、電動車両又は電動工具の主電源、バックアップ電源等の分野において広く用いられてきた。
鉛蓄電池には、主に、開放式(ベント形)である液式鉛蓄電池と、密封式である制御弁式鉛蓄電池とがある。その中で、制御弁式鉛蓄電池はメンテナンスフリーであるという特長を有するので、さらに広く用いられている。制御弁式鉛蓄電池は、正極板や負極板、セパレータ、電解液、安全弁付きケーシング等の部分からなり、正負極板には、特殊な工程で製造した合金製格子に活物質を充填してなるペースト式極板がともに用いられている。鉛蓄電池に用いる格子は、鋳造格子及びエキスパンド格子の2種類に大別することができる。鋳造格子に比べ、エキスパンド格子(expand grid)は材料コストの節約が可能なだけでなく、製造される格子の重さにばらつきが少なく、生産効率も大幅に向上する。よって、現在では、従来からの鋳造格子に替わり、エキスパンド格子を用いることが多くなってきている。
通常、エキスパンド格子の作製にはエキスパンド法が用いられる。例えば、特許文献1には押抜き(punching)せん断型エキスパンド装置が開示されている。該エキスパンド装置は主に上刃と下刃とからなり、上下の刃はともに歯状の構造を有している。鉛シートがエキスパンド装置へ送り込まれると、上刃が下刃と対向しつつ垂直方向に上下押抜き運動を行う。それから、押し抜いた鉛シートを水平方向に伸張して網状の構造を形成している。
上記エキスパンド法によって生産されたエキスパンド格子には、次のような問題が起こりやすい。即ち、鉛シートを水平方向に伸張するとき、網目を構成する格子骨が引っ張られて直線形状になり、格子骨の受ける応力が大きくなるとともに、格子骨の交点(即ち結節点)が引っ張られすぎて、容易に裂けてしまう場合がある、という問題である。特に、極板の結晶成長中に格子骨のごく短期間での破断が起こりやすく、それによって格子集電性の分布に影響が出たり、格子骨破断部付近の活物質が脱落したりして、有効に利用することができず、放電容量の低下を招いてしまう。しかも、格子骨が破断するので、格子がより腐食しやすくなり、電池の寿命が短くなってしまう。上記の問題を解決するため、特許文献2においては、エキスパンド変形中にエキスパンド格子が受けた応力を緩和するため、エキスパンド加工によって得られたエキスパンド格子に熱処理を施し、それによって高容量且つ長寿命の鉛蓄電池を得る、ということが提案されている。
一方、エキスパンド加工のプロセス条件が変化した場合や、例えば鉛シートの進行速度と型の押抜き速度とが合っていない場合には、網目を構成する一部の格子骨にシワが発生する場合がある。この場合には、広げた後のエキスパンド格子が平らにならず、後に続く極板生産の安定性に影響してしまう。通常、このようなシワはランダムで発生するので、その発生の数や程度を制御することは不可能である。よって、現在のところ、エキスパンド法でエキスパンド格子を製造する際に発生するシワについては意識的に検討されていない。しかも、エキスパンド格子において、シワの発生は生産性が低いことを表すと考えられており、このようなシワの発生をできるだけ回避することが望まれている。
中国特許出願第CN1126378A号明細書 特開2003−157853号明細書
本願発明者らは、従来のエキスパンド工程においてエキスパンド格子に応力及びシワが発生する原因についてさらに検討を行った。その結果、エキスパンド工程のプロセス条件を意識的に調整することで、エキスパンド格子におけるシワの発生を制御し、それによって格子骨が受ける応力を緩和することができるということを発見した。さらに、所定のシワ発生率及びシワ形成度を有するエキスパンド格子を鉛蓄電池に用いることで、予期せぬ効果が生まれ、優れた放電容量及び電池サイクル寿命を得ることができ、本発明の完成に至った。
具体的に、本発明のエキスパンド格子は、エキスパンド法によって形成され、格子骨で構成される複数の菱形の網目を備えるエキスパンド格子であって、前記格子骨のうち一部の格子骨にはシワが発生し、突出する湾曲部を形成しており、前記エキスパンド格子の投影図において、菱形の網目における辺の長さである、シワが発生していない2本の平行且つ対向する格子骨間を菱形の残りの2つの格子骨と平行に計測した距離をD1とし、シワが発生している格子骨の湾曲の頂点からそれと平行で且つ対向する他の格子骨までを菱形の残りの2つの格子骨と平行に計測した距離をD2とするとき、格子骨の湾曲の程度を表すシワ形成度Wは、下記の式(1)、即ち
W=(D2−D1)/D1 (1)
によって決まり(但し、D2>D1)、前記シワ形成度は0.09〜0.19の範囲にあることを特徴とする。ここでシワとは、本来は直線形状である格子骨(ストランド)に生じた湾曲であり、この湾曲は格子の菱形形状を変形させるものである。
前記シワ形成度Wは0.11〜0.17の範囲にあることが好ましい。
前記エキスパンド格子においてシワが発生している格子骨数の、前記エキスパンド格子を構成する全格子骨数に対する百分率であるシワ発生率は、5〜20%の範囲にあることが好ましい。
前記シワ発生率は6〜17%の範囲にあることがより好ましい。
前記シワ発生率は7〜15%の範囲にあることがさらに好ましい。
また、本発明の鉛蓄電池用極板は、前記エキスパンド格子と、前記エキスパンド格子に充填された活物質と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の鉛蓄電池は、前記極板を備えることを特徴とする。
前記極板は正極板であることが好ましい。
また、本発明のエキスパンド格子の製造方法は、前記エキスパンド格子を製造し、下記の工程、即ち、
(1)押抜き型を用いて鉛シートに押抜きを行い、上型の下型に対する相対運動によって、斜めに並ぶ複数のスリットを鉛シートの長さ方向に沿って形成するとともに、該スリットを鉛シート表面と垂直な方向に広げた後、上型を元の位置に戻して1ストロークのステップを完了し、鉛シートが長さ方向に所定距離移動するたびに前記ステップを繰り返すことで、複数の菱形の網目を有する網状シートを形成するエキスパンド工程と、
(2)得られた網状シートをガイドローラで水平方向に整形し、平面の網状体を得る整形工程と、
(3)得られた網状体を所定の形状及び寸法に裁断することでエキスパンド格子を形成する裁断工程と、
を備えるエキスパンド格子の製造方法であって、
前記エキスパンド工程において、外部機器によって前記上型の切込み深さ及び/又はストローク数を制御することにより、得られるエキスパンド格子が所定のシワ形成度及び/又はシワ発生率を有するようにすることを特徴とする。
前記切込み深さは2.965〜3.045mmであることが好ましい。
前記切込み深さは2.98〜3.03mmであることがより好ましい。
前記ストローク数は600〜1800rpmであることがより好ましい。
前記ストローク数は750〜1500rpmであることがさらに好ましい。
前記ストローク数は800〜1300rpmであることがより一層好ましい。
本発明のエキスパンド格子の製造方法によれば、シワ発生率及びシワ形成度が所定の範囲内に収まったエキスパンド格子を高い歩留まりで得ることができ、このようなエキスパンド格子を鉛蓄電池に用いることで、優れた放電容量及びサイクル寿命を得ることができる。
(a)は従来のエキスパンド格子を模式的に示す正面図であり、(b)は前記エキスパンド格子の一部を拡大して示す模式図である。 (a)は本発明のエキスパンド格子を模式的に示す正面図であり、(b)は前記エキスパンド格子の一部を拡大して示す模式図である。 本発明のエキスパンド格子における一部の格子骨にシワが発生している状態を示す投影図である。 本発明の押抜き型が鉛シートに押抜きを行っている状態を示す模式図であり、(a)は押抜き前の状態であり、(b)は押抜き後の状態である。 本発明の押抜き型が鉛シートに押抜きを行う際の切込み深さを示す模式図である。 押抜き型の切込み深さと格子骨のシワ形成度との関係を示すグラフである。 押抜き型のストローク数とシワ発生率との関係を示すグラフである。 本発明の鉛蓄電池を一部切除して模式的に示す斜視図である。
従来より、電池の性能及び寿命の改善については、主に活物質(鉛ペースト)の調製方法及び格子の合金成分等の検討に重点が置かれていた。しかし、エキスパンド格子を構成する格子骨が破断しやすければ、電池の性能及び寿命に大きな影響を及ぼすと本願発明者らは考えた。そこで、エキスパンド格子の形状の改良に着目し、エキスパンド格子の構造を変更することで電池の放電容量及び寿命等の電池性能を向上させることを期した。
以下、具体的な実施形態によって本発明を説明するが、本発明は以下の具体的な実施形態に限定されない。
(本発明のエキスパンド格子)
図1に示す通り、従来のエキスパンド格子は複数の網目を備え、端縁部の不規則な形状の網目を除き、各網目は4本の格子骨で構成され、平面への投影形状は略菱形である。網目を構成する格子骨は、ふつう直線形状である。
従来より、欠陥なく生産されたエキスパンド格子における網目は平ら且つ均一であるべきで、網目を構成する格子骨にシワが発生すれば歩留まりは下がるものと考えられてきた。また、シワはランダムで発生するので、エキスパンド格子の生産は制御不能な状態になっていた。
しかし、本願発明者らは従来の技術上の偏見を克服しようと図り、エキスパンド格子のエキスパンド工程を意識的に調整することによって、生産されるエキスパンド格子における一部の格子骨にシワを発生させた。即ち、一部の格子骨を湾曲させ、元の直線形状から非直線形状にした。
図2は本発明のエキスパンド格子1の模式図である。図2(a)に示す通り、エキスパンド格子1は複数の網目iを有している。各網目は4本の格子骨gに囲まれてなり、略菱形の投影形状を有している。本発明のエキスパンド格子の特徴は、その中の一の網目i’において、網目i’を構成する一の格子骨g’にシワが発生し、突出する湾曲部1aを形成しており、非直線形状になっている点にある。
本願発明者らは、シワが発生しているエキスパンド格子において、格子骨の湾曲の程度が電池の各性能に影響することを発見した。そして、エキスパンド格子における格子骨の湾曲の程度が適切な範囲内にあるとき、電池のサイクル寿命及び放電容量を著しく向上させることができる。
本明細書において、「シワ形成度」とは、エキスパンド格子における格子骨の湾曲の程度を表す。計算の便宜上、本発明のエキスパンド格子をエキスパンド格子が存在する平面へ垂直に投影し、本発明のエキスパンド格子における一部の格子骨にシワが発生している状態の投影図を得た(図3)。該投影図において、シワが発生していない2本の平行且つ対向する格子骨間を菱形の残りの2つの格子骨と平行に計測した距離をD1とし、シワが発生している格子骨の湾曲の頂点からそれと平行で且つ対向する他の格子骨までを菱形の残りの2つの格子骨と平行に計測した距離をD2とするとき、シワ形成度Wは、下記の式(1)、即ち
W=(D2−D1)/D1 (1)
によって決まる。
該投影図において、エキスパンド格子における一部の網目iは正常な菱形であるが、他の一部の網目i’には変形が発生し、即ち該網目を構成する一の格子骨にシワが発生し、上向きに突出する湾曲部1aを形成していることが分かる。図3に示す通り、D1はシワが発生していない格子骨g1と、それと平行で且つ対向する他の格子骨g2との距離であり、網目iが菱形である場合、D1は菱形の辺の長さに等しく、即ち正常な格子骨のそれぞれの長さに相当する。一方、網目i’において、D2はシワが発生している格子骨g1’の湾曲の頂点1aからそれと平行で且つ対向する他の格子骨g2までの距離であり、格子骨g1’は格子骨g1の存在する直線(図中の破線)からずれて外側へ突出した湾曲部を形成している。よって、D2は菱形の辺の長さよりわずかに大きく、D2/D1の比は1より大きい。
本願発明者らは多くの試験を行い、格子骨のシワ形成度Wが0.09〜0.19の範囲内にあるとき、電池の放電容量及びサイクル寿命等の特性に対して有益な影響をもたらすことができるということを証明した。シワ形成度Wは、大きいほど格子骨の湾曲の程度が大きいことを表す。シワ形成度の比Wが0.19を超えている場合、格子骨が著しく変形していることを表すが、このような場合には、格子骨の破断を招きやすく、電池の寿命特性に悪影響を及ぼしてしまう。一方、シワ形成度Wが0.09未満の場合、格子骨の湾曲による上記の有益な影響があまり現れない。なお、シワ形成度Wは0.11〜0.17の範囲にあるのがより好ましい。
シワ形成度が電池性能に有益な影響をもたらす理由に関しては、以下のように推測される。即ち、湾曲形状の格子骨は、直線形状の格子骨に比べて表面積がより大きいので、単位体積あたりでの活物質との接触面積が大きくなる。よって、より多くの反応面積を確保し、それによって格子の集電性を高め、格子の電流分布を改善し、活物質の利用率を高めることができる。よって、格子骨にシワを発生させることにより、電池の体積を増やすことなく活物質の利用率を高め、それによって電池の放電容量を向上させることができる。
さらに、直線形状の格子骨は、エキスパンド工程中に応力の作用を受けやすく、且つ変形の余地に乏しいので、電池使用中に格子が極板の高さ方向に伸長するうちに、格子骨の破断が極めて起こりやすく、破断した格子骨は格子の集電性及び寿命に著しい悪影響を与えてしまう。一方、湾曲形状の格子骨は、自身の形状により、エキスパンド工程で加わった応力に対して一定の緩和作用を有するほか、格子が高さ方向に伸長する際、湾曲形状の格子骨は直線形状の格子骨に比べて変形の余地がより大きい。よって、格子骨にシワを発生させることで、格子骨が受ける応力を緩和することができる。これにより、格子の寿命を延ばし、ひいては電池の寿命特性を向上させることができる。
以上の説明においては、網目i’を構成する4本の格子骨のうち1本の格子骨g’のみにシワが発生しているが、これに限定されず、シワを発生させる格子骨g’は2本以上でもよい。しかし、エキスパンド格子におけるシワの分布の均一性を考慮し、各網目においてシワを発生させる格子骨の数は2本以下であることが好ましい。
さらに、本願発明者らは、エキスパンド格子におけるシワを発生させる格子骨数の比が適切な範囲内にあると、電池のサイクル寿命及び放電容量をさらに著しく向上させることができるということを実験により発見した。
本明細書においては、「シワ発生率」によってエキスパンド格子におけるシワの発生比を表している。即ち、「シワ発生率」は、エキスパンド格子においてシワが発生している格子骨数の、エキスパンド格子を構成する全格子骨数に対する百分率であると定義される。
本発明において、エキスパンド格子を構成する格子骨に所定のシワ形成度を持たせさえすれば、従来に比べ電池性能に関して一定の向上効果が得られるので、シワ発生率の範囲については特に限定されない。しかし、シワ発生率が低すぎる場合、例えば5%未満である場合には、シワを発生させる格子骨数が少なすぎて本発明の効果を得られないおそれがある。一方、シワ発生率が高すぎる場合、例えば20%より高い場合には、後述の活物質の過度な利用が起こるおそれがある。よって、エキスパンド格子における格子骨のシワ発生率を5〜20%の範囲に収める必要がある。なお、該シワ発生率は、6〜17%の範囲に収めるのが好ましく、7〜15%の範囲に収めるのがさらに好ましい。
シワ発生率が電池性能に有益な影響をもたらす理由については、次のように推測される。即ち、シワ発生率が6%以上であると、シワが発生しているこれらの格子骨によって、活物質とエキスパンド格子との接触面積が適度に大きくなるので、活物質の利用率を高めることができると推測される。しかし、活物質の利用率が高すぎると、かえって電池の寿命に影響してしまう場合がある。実験により、格子骨のシワ発生率が20%を上回ると、活物質の利用率が40%以上に達することもあるということが証明されているが、活物質の利用率が40%を上回ると、活物質の反応が進みすぎて電池の寿命を縮めてしまうことがある。よって、シワ発生率の上限は20%以下に収める必要があり、17%以下に収めるのが好ましい。シワ発生率が6〜17%の範囲内にあると、電池の充電効率及び硫酸と活物質との反応スペースが最良のバランスに達するという効果が得られる。
また、本願発明者らは、シワの発生する部位が電池性能に与える影響についても調べた。具体的に、エキスパンド格子を上中下の3つの部分に分けて評価した。その結果、該3つの部分において、どの部分の格子骨にシワが発生していても、シワ形成度が適切で、且つエキスパンド格子全体におけるシワ発生率が20%以下でさえあれば、基本的に同じ効果が得られることが分かった。
(本発明のエキスパンド格子の製造方法)
本発明の製造方法においては、原料の鉛シートを通常のエキスパンド法で用いる押抜き型に送り込み、エキスパンド工程における具体的な条件を調整することで、本発明のエキスパンド格子、即ち一部の格子骨にシワが発生しているエキスパンド格子を得ることができる。
本発明のエキスパンド格子の製造方法は、下記の工程、即ち、
(1)押抜き型を用いて鉛シートに押抜きを行い、上型の下型に対する相対運動によって、斜めに並ぶ複数のスリットを鉛シートの長さ方向に沿って形成するとともに、該スリットを鉛シート表面と垂直な方向に広げた後、上型を元の位置に戻して1ストロークのステップを完了し、鉛シートが長さ方向に所定距離移動するたびに前記ステップを繰り返すことで、複数の菱形の網目を有する網状シートを形成するエキスパンド工程と、
(2)得られた網状シートをガイドローラで水平方向に整形し、平面の網状体を得る整形工程と、
(3)得られた網状体を所定の形状及び寸法に裁断することでエキスパンド格子を形成する裁断工程と、
を備える。
鉛シートの材料には、例えばCa及びSnのうち少なくとも1種の金属を含むPb合金箔など、当分野で通常用いられる鉛合金箔を用いることができるが、耐食性及び機械的強度から、Pb−Ca−Sn三元合金からなるものが好ましい。このような合金組成を有する鉛シートを用いると、鉛蓄電池のサイクル寿命特性を容易に改善できる。
上記エキスパンド工程において用いる押抜き型としては、図4に示すような刀状の複数の可動型2(上型)とうね状の複数の固定型3(下型)とを有する押抜き型が挙げられる。このうち、可動型2のバイト及び固定型3のうねは、鉛シート4の幅方向中心線に対してV字形になるように対称に分布している。上記鉛シート4を可動型2と固定型3との間へ長さ方向に送り込み、押抜きを行う。この時、鉛シートの幅方向中央部は押抜きされないように、可動型におけるバイト及び固定型におけるうねの並び方を調整する。可動型2のバイトが図の矢印方向に鉛シート4を押し抜いて固定型3のうねの上端を通過する時、鉛シート4が長さ方向に沿って切られ、V字状になるように斜めに並ぶ複数列のスリットが形成されると同時に、可動型2のバイトが引き続き下へ押し抜き、上記のスリットを鉛シート表面に垂直な方向へ広げ、その後可動型2は元の位置に戻る。このような1回の押抜き過程を1ストロークと呼ぶ。その後、鉛シート4を長さ方向前方へ所定距離移動させ、上記のステップを繰り返すことによって、斜めに並ぶ複数のスリットを再び鉛シートに形成する。各列における隣り合う2つのスリット間の連結部は、隣の列における1つのスリットの中心部と対応している。よって、スリットを広げると菱形の網目が複数形成される。上記のステップを繰り返し、菱形の複数の網目を有する網状シートを得る。
その後、上記のようにして得られた網状シートを1対のガイドローラで水平方向に平坦化処理(整形処理)することで、網状シートを水平方向に広げ、平面の網状体を得る。その後、該網状体を必要に応じて所定の形状及び寸法に裁断し、鉛シートの中心部に耳部を形成して、エキスパンド格子を得る。
本発明の製造方法の特徴は以下の点にある。即ち、上記のエキスパンド工程において、外部機器によって可動型の切込み深さを制御することにより、得られるエキスパンド格子が所定のシワ形成度を有するようにできる。さらに、外部機器によって可動型の押抜き速度を制御することにより、得られるエキスパンド格子が所定のシワ発生率を有するようにできる。
本願発明者らは、エキスパンド工程の条件とシワの発生とは密接に関連しており、型の切込み深さ及び押抜き速度という2つの方面を最適化することで、得られるエキスパンド格子のシワ形成度及びシワ発生率の大きさを制御できるということを発見した。
図5に示す通り、可動型の切込み深さとは、可動型2のバイトが1ストロークにおいて固定型3の上端面に対し下方へ移動する最大距離tであり、単位はmmである。
エキスパンド工程において、可動型の切込み深さが深ければ、格子骨の湾曲が顕著になり、シワ形成度が大きくなる。図6に示す通り、切込み深さtとエキスパンド格子のシワ形成度Wとの間には正の比例関係が存在する。切込み深さtが小さいと、シワ形成度Wは0に近く、切込み深さtが増すにしたがい、格子骨の湾曲の程度は徐々に大きくなり、シワ形成度Wもこれに伴って大きくなる。そして、ある範囲を超えるとシワ形成度Wは急激に増加する。図6から、シワ形成度Wを好ましい範囲(0.09〜0.19)内に収めるには、切込み深さtを2.965mm〜3.045mmの範囲内に収める必要があることが分かる。切込み深さが2.965mm未満であれば、シワ形成度は0.09未満となる。この場合、格子骨は直線形状に近くなり、本発明の格子骨の湾曲による効果を得ることができない。反対に、切込み深さtが3.045mmを超えると、シワ形成度Wが0.19を超え、エキスパンド格子の加工中に大きな応力が発生し、格子骨の断面積が小さくなって折損しやすくなるので、電池の性能に悪影響を及ぼしてしまう場合がある。よって、所定のシワ形成度を有するエキスパンド格子を得るには、型の切込み深さを2.965mm〜3.045mmの範囲、好ましくは2.97mm〜3.04mmの範囲、さらに好ましくは2.98mm〜3.03mmの範囲内に制限する必要がある。
また、可動型の押抜き速度はストローク数によって表される。ストローク数は単位時間(1min)あたりに完了する押抜き回数を表し、単位はrpmである。例えば、ストローク数が100rpmであれば、可動型のバイトが1分間に鉛シートに対して100回押抜きを行うということを表す。ストローク数が大きいほど型の押抜き速度は速く、エキスパンド格子の生産効率もこれに伴って向上する。
以前、エキスパンド格子の生産性を高めるためにストローク数の増加が試みられたが、ストローク数が大きすぎると、生産されるエキスパンド格子にはシワができ、即ち網目を構成する格子骨に湾曲が発生し、生産性が良くない等の問題を招くことが分かった。よって、従来のエキスパンド工程においては、このような現象を回避するために、均一且つ平らなエキスパンド格子が得られるようストローク数を通常500rpm以下に制限していた。
本願発明者らは検討の結果、図7に示す通り、エキスパンド工程における型のストローク数とエキスパンド格子のシワ発生率との間に一定の比例関係が存在することを発見した。ストローク数が大きいほどシワが発生する可能性は高くなり、シワ発生率はこれに従って高くなる。ストローク数が500rpmを下回るとき、シワ発生率は3%以下であり、ストローク数が600rpmを上回ると、シワ発生率は5%に近づき、ストローク数が1800rpmを超えると、シワ発生率は20%を超える。よって、所定のシワ発生率を有するエキスパンド格子を得るには、型のストローク数を600〜1800rpmの範囲、好ましくは750〜1500rpmの範囲、さらに好ましくは800〜1300rpmの範囲に制限する必要がある。本発明は従来よりも大きなストローク数を用いることができるので、エキスパンド格子を高い生産効率で得ることができる。
ストローク数がシワ発生率に与える影響は、推測によれば下記の要素によってもたらされる。即ち、ストローク数が600rpmを上回ると、鉛シートの前進速度が、可動型のバイトが下方へ押し抜いてスリットを形成する速度とある程度合わなくなりやすく、格子骨の受ける力が不均一になり、一部の格子骨にシワが発生することとなる。ストローク数が500rpmを下回ると、エキスパンド格子に充分な数のシワを形成できず、本発明の効果が得られない。しかし、ストローク数が大きすぎると、シワ発生数が過剰になり、エキスパンド格子全体がでこぼこになって、生産性に影響してしまう場合がある。
本発明のエキスパンド工程においては、上型の切込み深さを2.97〜3.04mmの範囲に収めることで、得られるエキスパンド格子における格子骨のシワ形成度を0.09〜0.19の範囲内にするのが好ましい。また、上型のストローク数を600〜1800rpmの範囲に収めることで、得られるエキスパンド格子のシワ発生率を5〜20%の範囲内にすることが好ましい。
上型の切込み深さを2.98〜3.03mmの範囲に収めることで、得られるエキスパンド格子における格子骨のシワ形成度を0.11〜0.17の範囲内にするのがより好ましい。また、上型のストローク数を750〜1500rpmの範囲に収めることで、得られるエキスパンド格子のシワ発生率を6〜17%の範囲内にすることができるためさらに好ましい。上型のストローク数を800〜1300rpmの範囲に収めることで、得られるエキスパンド格子のシワ発生率を7〜15%の範囲内にすることができるためより一層好ましい。
本発明のエキスパンド格子の製造方法によれば、エキスパンド工程において可動型のバイトのストローク数及び切込み深さを制御することで、所定のシワ発生率及びシワ形成度を有するエキスパンド格子を容易に得ることができる。それによって、大容量放電且つ長サイクル寿命が必要となる用途に適し、優れた放電容量及びサイクル特性を有する鉛蓄電池を製造することができる。
上記の実施形態においては、型の切込み深さと押抜き速度との2つを調整することで、得られるエキスパンド格子のシワ形成度及びシワ発生率の大きさを制御したが、これに限定されず、所定のシワ形成度及びシワ発生率を有するエキスパンド格子が得られさえすれば、本発明のエキスパンド工程又は後に続く工程において他のプロセス条件を調整してもよい。例えば、鉛シートの進行速度、可動型の高さ、ガイドローラの押圧力の調整、水平方向のガイドローラの増設等、さまざまな方法によってシワ形成度及びシワ発生率を所定の範囲内にすることができ、これらの方法は単独で用いても、本実施形態の調整方法と組み合わせて用いてもよい。
本発明のエキスパンド格子は、エキスパンド格子を使用する任意の電池に用いることができる。以下、鉛蓄電池を例に説明を行う。
(鉛蓄電池)
本発明のエキスパンド格子は、本発明の鉛蓄電池の製造に用いることができる。本発明のエキスパンド格子を用いることを除き、本発明の鉛蓄電池の製造方法は通常の製造方法と同じである。
本発明の鉛蓄電池の製造方法は、例えば上記の整形工程によって得られた平面の網状体に鉛ペースト充填を行う工程を備える。活物質としての鉛ペーストは、60〜90質量%の酸化鉛と10〜40質量%の鉛金属とからなる鉛粉に、水と硫酸とを加え、混練してなる。鉛ペーストは網状体の片面から充填してもよく、網状体の表裏両面から充填してもよい。その後、裁断工程において、鉛ペーストが充填された網状体を所定の寸法に切断し、耳部を有する形状にして、活物質が充填されたエキスパンド格子を得る。そして、熟成、乾燥を経て本発明の極板が形成される。
正極板が鉛蓄電池の性能に与える影響は、負極板よりも相対的に大きいので、本発明のエキスパンド格子による効果も負極板より顕著である。よって、鉛蓄電池の正極板として本発明の極板を用いるのが好ましい。
図8に示す通り、本発明の鉛蓄電池11は、電槽8と、電槽8内で隔壁によって複数に区画されているセル(単電池)とを有する。各セルには極板群が1つずつ収容されている。極板群は、正極板5、負極板6及び正極板と負極板との間に介在するセパレータ7が交互に積層されてなる。各セルの正極側のストラップを直接又は極柱を介して隔壁ごしに隣のセルにおける負極側のストラップと溶接することで、各セルを直列に接続している。電槽8の開口部には安全弁を内蔵した電池中蓋9を取り付け、電槽の両側端部の正極柱及び負極柱を電池中蓋に設けられた正極端子及び負極端子にそれぞれ接続するとともに、電槽8を中蓋9と接着剤で接着する。それから、電槽8に電解液(図示せず)を注入し、注液後に電池上蓋10を電槽8及び中蓋9に密封固定することで、本発明の鉛蓄電池11を形成する。
電解液には鉛蓄電池の分野において通常用いられている硫酸溶液を用いることができ、特に制限はなく、例えば質量分率1.1〜1.4g/mlの希硫酸を用いることができる。制御弁式鉛蓄電池については、例えば電解質の吸着を利用し、ガラス繊維を主体とするセパレータに電解質を吸着させてもよく、ゲル化したコロイド電解質を用いてもよい。
本発明の鉛蓄電池においては、エキスパンド格子を構成する格子骨にシワが発生しているので、エキスパンド格子と活物質との接触面積が大きくなり、活物質の利用率が高まることにより、電池の放電容量が向上している。また、鉛蓄電池の使用中には、正極格子中の鉛が次第に酸化して酸化鉛となり、格子の体積が増加することがあり、マクロ的には格子の極板高さ方向への伸長として現れる。本発明は、湾曲した格子骨を用いているので、結晶成長中にエキスパンド格子に発生する応力を緩和し、格子骨が破断する可能性を低減して、電池のサイクル寿命を向上させることができる。
本発明の鉛蓄電池は、正極板に本発明のシワが発生している格子骨を有するエキスパンド格子を用いており、且つ、エキスパンド格子におけるシワ形成度及びシワ発生率を適切な範囲に収めているので、優れた放電容量及びサイクル寿命を得ることができる。
実施例
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されない。
−実施例1−
(正極板の作製)
Pb−Ca−Sn三元合金のシートからなる鉛材料シートを押抜き型に送り込みながら、外部機器によって可動型の固定型に対する相対運動を制御し、鉛シートを上下に繰り返し押し抜いた後、得られた網状シートを整形型の1対のガイドローラで水平方向に整形し、平面の網状体を得た。
その後、原料の鉛粉に水及び硫酸を重量比100:15:10になるように添加して混練し、正極鉛ペーストを得た。そして整形後の網状体に正極鉛ペーストを充填した。その後、鉛ペーストが充填された網状体を所定の形状及び寸法に切断し、鉛ペーストが充填されたエキスパンド格子を得て、熟成及び乾燥を行い、本発明の正極板(縦139mm、横64mm、厚さ2.9mm)を形成した。
この間、外部機器によって可動型の切込み深さ及びストローク数を調整することにより、エキスパンド格子のシワ形成度及びシワ発生率が所望の値になるように制御した。
(負極板の作製)
通常のエキスパンド法で得られた、シワが発生していない水平な網状体を使用し、原料の鉛粉に水及び硫酸を重量比100:5:10になるように添加して混練し、負極鉛ペーストを得た。その後、網状体に負極鉛ペーストを充填した後、所定の形状及び寸法に切断するとともに、熟成及び乾燥を行い、負極板(縦142mm、横65mm、厚さ1.70mm)を得た。
(鉛蓄電池の作製)
上記のようにして得られた正極板と負極板とを、ガラス繊維を主体とするセパレータを介して交互に積層し、同極性の極板の耳部をそれぞれ重ね溶接してストラップを形成した。その後、電槽の隔壁によって区画された6つのセル室に各極板群を1つずつ収容した。本実施例において、極板群間の直列接続は、極柱無しのストラップ溶接によって行った。
その後、各セルに電解液として濃度1.242g/mlの硫酸を170mm注入した後、電槽の開口部に中蓋及び上蓋を取り付けて密封し、化成処理を施して、電池容量20Ahの鉛蓄電池を得た。
組立完了後の電池を分解し、正極板から鉛ペーストを取り除き、その中のエキスパンド格子を取り出して、シワ形成度及びシワ発生率の測定を次のように行った。本実施例において、測定されたシワ形成度は0.09であり、シワ発生率は11%であった。
(1)シワ形成度の測定
組立完了後の電池から取り出したエキスパンド格子に対し、まず該エキスパンド格子の平面への正投影図を作成した。その後、菱形の網目における辺の長さと、シワが発生している格子骨における湾曲の頂点から対辺までを菱形の残りの2つの格子骨と平行に計測した距離とを測長器でそれぞれ測定した。上記湾曲の頂点から対辺までの距離を菱形の辺の長さで除し、その比から1を引いた値をシワ形成度として記録した。10個の電池のエキスパンド格子についてそれぞれ上記の測定を行い、測定によって得られた10個のシワ形成度の平均値をエキスパンド格子のシワ形成度とした。
(2)シワ発生率の測定
組立完了後の電池から取り出したエキスパンド格子に対し、該エキスパンド格子中の全格子骨数及びシワが発生している格子骨数についてそれぞれ統計を取り、シワが発生している格子骨数を全格子骨数で除し、その百分率をシワ発生率として記録した。10個の電池のエキスパンド格子についてそれぞれ上記の測定を行い、測定によって得られた10個のシワ発生率の平均値をエキスパンド格子のシワ発生率とした。
−実施例2−
正極板の作製において、外部機器で可動型の切込み深さ及びストローク数を調整することにより、エキスパンド格子について測定されるシワ発生率が11%、シワ形成度が0.11になるようにした。それ以外は実施例1と同様に正極板を作製し、且つ実施例1と同様の方法で負極板及び鉛蓄電池を作製した。
−実施例3−
正極板の作製において、外部機器で可動型の切込み深さ及びストローク数を調整することにより、エキスパンド格子について測定されるシワ発生率が11%、シワ形成度が0.14になるようにした。それ以外は実施例1と同様に正極板を作製し、且つ実施例1と同様の方法で負極板及び鉛蓄電池を作製した。
−実施例4−
正極板の作製において、外部機器で可動型の切込み深さ及びストローク数を調整することにより、エキスパンド格子について測定されるシワ発生率が11%、シワ形成度が0.17になるようにした。それ以外は実施例1と同様に正極板を作製し、且つ実施例1と同様の方法で負極板及び鉛蓄電池を作製した。
−実施例5−
正極板の作製において、外部機器で可動型の切込み深さ及びストローク数を調整することにより、エキスパンド格子について測定されるシワ発生率が11%、シワ形成度が0.19になるようにした。それ以外は実施例1と同様に正極板を作製し、且つ実施例1と同様の方法で負極板及び鉛蓄電池を作製した。
−比較例1−
正極板の作製において、外部機器で可動型の切込み深さ及びストローク数を調整することにより、エキスパンド格子について測定されるシワ発生率が11%、シワ形成度が0.08になるようにした。それ以外は実施例1と同様に正極板を作製し、且つ実施例1と同様の方法で負極板及び鉛蓄電池を作製した。
−比較例2−
正極板の作製において、外部機器で可動型の切込み深さ及びストローク数を調整することにより、エキスパンド格子について測定されるシワ発生率が11%、シワ形成度が0.21になるようにした。それ以外は実施例1と同様に正極板を作製し、且つ実施例1と同様の方法で負極板及び鉛蓄電池を作製した。
−実施例6−
正極板の作製において、外部機器で可動型の切込み深さ及びストローク数を調整することにより、エキスパンド格子について測定されるシワ発生率が6%、シワ形成度が0.14になるようにした。それ以外は実施例1と同様に正極板を作製し、且つ実施例1と同様の方法で負極板及び鉛蓄電池を作製した。
−実施例7−
正極板の作製において、外部機器で可動型の切込み深さ及びストローク数を調整することにより、エキスパンド格子について測定されるシワ発生率が7%、シワ形成度が0.14になるようにした。それ以外は実施例1と同様に正極板を作製し、且つ実施例1と同様の方法で負極板及び鉛蓄電池を作製した。
−実施例8−
正極板の作製において、外部機器で可動型の切込み深さ及びストローク数を調整することにより、エキスパンド格子について測定されるシワ発生率が11%、シワ形成度が0.14になるようにした。それ以外は実施例1と同様に正極板を作製し、且つ実施例1と同様の方法で負極板及び鉛蓄電池を作製した。
−実施例9−
正極板の作製において、外部機器で可動型の切込み深さ及びストローク数を調整することにより、エキスパンド格子について測定されるシワ発生率が15%、シワ形成度が0.14になるようにした。それ以外は実施例1と同様に正極板を作製し、且つ実施例1と同様の方法で負極板及び鉛蓄電池を作製した。
−実施例10−
正極板の作製において、外部機器で可動型の切込み深さ及びストローク数を調整することにより、エキスパンド格子について測定されるシワ発生率が17%、シワ形成度が0.14になるようにした。それ以外は実施例1と同様に正極板を作製し、且つ実施例1と同様の方法で負極板及び鉛蓄電池を作製した。
−実施例11−
正極板の作製において、外部機器で可動型の切込み深さ及びストローク数を調整することにより、エキスパンド格子について測定されるシワ発生率が11%、シワ形成度が0.14になるようにした。また、負極板の作製においても、同様に外部機器で可動型の切込み深さ及びストローク数を調整することにより、エキスパンド格子について測定されるシワ発生率が11%、シワ形成度が0.14になるようにした。それ以外は実施例1と同様に正極板及び負極板を作製し、且つ実施例1と同様の方法で鉛蓄電池を作製した。
上記の実施例1〜11及び比較例1、2において得られた各鉛蓄電池について、下記の条件で電池性能の評価試験を行った。
(一)放電容量の評価
満充電状態の電池に対し、25±2℃の環境温度下で放電電流0.05Cの定電流放電を行い、放電終止電圧が1.75V/cell(セル)になった時点で放電を終了し、各電池の放電時間(単位は分)を記録して、表1にまとめた。放電時間によって電池の放電容量を評価した。
(二)サイクル寿命の評価
(1)初期容量Cの測定
まず、満充電状態の電池に対し、25±2℃の環境温度下で放電電流0.25Cの定電流放電を行い、放電終止電圧が1.75V/cellになった時点で放電を終了し、電池の放電時間hを記録して、以下の公式により初期容量Cを求めた。
初期容量C=放電電流(I)×放電時間(h
(2)回復充電
上記測定後の電池に対して、25±2℃の環境温度下で充電電圧2.275V/cellの定電圧充電を行い、最大充電電流0.4Cで6〜16時間充電して満充電状態にした。
(3)高温トリクル充電
上記の電池を60±2℃の恒温槽に入れ、充電電圧2.275V/cellの定電圧充電を行い、3週間充電し続けた。
(4)放電容量Cの測定
上記の電池を恒温槽から取り出し、25±2℃の環境で12〜25時間放置した後、(1)と同条件で放電を行い、この時の放電時間hを測定し、以下の公式によって放電容量Cを求めた。この過程を1回の充放電サイクルとした。
放電容量C=放電電流(I)×放電時間(h)
(5)上記の(2)〜(4)のステップを繰り返し、計算で得られた放電容量Cが初期容量Cの50%よりも低くなった時点で試験を終了し、充放電が行われたサイクル数を記録し、表1にまとめた。サイクル数によって電池のサイクル寿命を評価した。
上記各蓄電池の各パラメータ及び各試験結果をまとめて以下の表1に示す。
Figure 2013128792
表1の結果から、所定のシワ形成度(0.09〜0.19)を有するエキスパンド格子を用いた本発明の実施例1〜11の鉛蓄電池においては、すべて20時間を超える放電時間及び10回以上のサイクル数が得られ、本発明の鉛蓄電池が優れた放電容量及びサイクル寿命を有することを示しているのが分かった。一方、シワ形成度が上記の範囲外にある比較例1、2の電池の放電時間はともに20時間未満で、サイクル数も8回しかなかった。しかも、シワ形成度が0.11〜0.17であることと、シワ発生率が7〜15%であることとを同時に満たす実施例2〜4及び7〜9の電池においては、21時間を超える放電時間及び11回以上のサイクル数が得られた。また、負極板にも本発明のエキスパンド格子を用いた実施例11の電池については、負極板に本発明のエキスパンド格子を用いていない実施例8の電池と同じ効果が得られた。

Claims (14)

  1. エキスパンド法によって形成され、格子骨で構成される複数の菱形の網目を備えるエキスパンド格子であって、
    前記格子骨のうち一部の格子骨にはシワが発生し、突出する湾曲部を形成しており、
    前記エキスパンド格子の投影図において、菱形の網目における辺の長さである、シワが発生していない2本の平行且つ対向する格子骨間を菱形の残りの2つの格子骨と平行に計測した距離をD1とし、シワが発生している格子骨の湾曲の頂点からそれと平行で且つ対向する他の格子骨までを菱形の残りの2つの格子骨と平行に計測した距離をD2とするとき、格子骨の湾曲の程度を表すシワ形成度Wは、下記の式(1)、即ち
    W=(D2−D1)/D1 (1)
    によって決まり(但し、D2>D1)、
    前記シワ形成度は0.09〜0.19の範囲にあることを特徴とするエキスパンド格子。
  2. 前記シワ形成度Wは0.11〜0.17の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載のエキスパンド格子。
  3. 前記エキスパンド格子においてシワが発生している格子骨数の、前記エキスパンド格子を構成する全格子骨数に対する百分率であるシワ発生率は、5〜20%の範囲にあることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエキスパンド格子。
  4. 前記シワ発生率は6〜17%の範囲にあることを特徴とする、請求項3に記載のエキスパンド格子。
  5. 前記シワ発生率は7〜15%の範囲にあることを特徴とする、請求項4に記載のエキスパンド格子。
  6. 鉛蓄電池用極板であって、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のエキスパンド格子と、前記エキスパンド格子に充填された活物質と、を備えることを特徴とする鉛蓄電池用極板。
  7. 鉛蓄電池であって、
    請求項6に記載の極板を備えることを特徴とする鉛蓄電池。
  8. 前記極板は正極板であることを特徴とする、請求項7に記載の鉛蓄電池。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のエキスパンド格子を製造し、
    下記の工程、即ち、
    (1)押抜き型を用いて鉛シートに押抜きを行い、上型の下型に対する相対運動によって、斜めに並ぶ複数のスリットを鉛シートの長さ方向に沿って形成するとともに、該スリットを鉛シート表面と垂直な方向に広げた後、上型を元の位置に戻して1ストロークのステップを完了し、
    鉛シートが長さ方向に所定距離移動するたびに前記ステップを繰り返すことで、複数の菱形の網目を有する網状シートを形成するエキスパンド工程と、
    (2)得られた網状シートをガイドローラで水平方向に整形し、平面の網状体を得る整形工程と、
    (3)得られた網状体を所定の形状及び寸法に裁断することでエキスパンド格子を形成する裁断工程と、
    を備えるエキスパンド格子の製造方法であって、
    前記エキスパンド工程において、前記上型の切込み深さ及び/又はストローク数を制御することにより、得られるエキスパンド格子が所定のシワ形成度及び/又はシワ発生率を有するようにすることを特徴とするエキスパンド格子の製造方法。
  10. 前記切込み深さは2.965〜3.045mmであることを特徴とする、請求項9に記載のエキスパンド格子の製造方法。
  11. 前記切込み深さは2.98〜3.03mmであることを特徴とする、請求項10に記載のエキスパンド格子の製造方法。
  12. 前記ストローク数は600〜1800rpmであることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載のエキスパンド格子の製造方法。
  13. 前記ストローク数は750〜1500rpmであることを特徴とする、請求項12に記載のエキスパンド格子の製造方法。
  14. 前記ストローク数は800〜1300rpmであることを特徴とする、請求項12に記載のエキスパンド格子の製造方法。
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