JPWO2013039129A1 - リチウム二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用正極活物質の製造方法 Download PDF

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Abstract

Li源とM源(ただし、MはMg,Ca,Fe,Mn,Ni,Co,Zn,Ge,Cu,Cr,Ti,Sr,Ba,Sc,Y,Al,Ga,In,Si,B,希土類元素からなる群より選ばれる1種または2種以上の元素である)とリン酸源とを原料にして、かんらん石型のLiMPO4への水熱合成反応を行うことにより、前記LiMPO4からなるリチウム二次電池用正極活物質を製造する方法において、前記リン酸源に、(RO)(R’O)(R”O)P=Oで表される有機リン酸エステル(ただし、R,R’,R”はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アラアルキル基、シクロアルキル基または水素原子の何れかである。)が含有されているリチウム二次電池用正極活物質の製造方法を採用する。

Description

本発明は、リチウム二次電池用正極活物質の製造方法に関する。
本願は、2011年9月13日に、日本に出願された特願2011−199408号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
かんらん石型のリチウム金属リン酸塩の一種であるLiMPO(MはFe,Mn等)は、リチウム二次電池の正極活物質として従来広く用いられてきたLiCoOよりも安価であるから、今後リチウム二次電池、特に自動車用などの大型のリチウム二次電池の正極活物質として期待されている。
LiMPOの製造方法としては、下記の先行技術文献に記載されているように、固相合成法、水熱合成法、ゾルゲル法が知られているが、これらのうち、比較的低温、短時間で粒径が小さいLiMPOが得られる水熱合成法が最も優れているとされている。
国際公開第97/040541号 国際公開第05/051840号
Chemistry Letters 36 (2007) 436 Electrochemical and Solid-State Letters, 9 (2006) A277-A280
しかし従来の水熱合成法では、生成物の粒径制御手段の一例として、反応液のpHの調整が挙げられるが、pH調整は比較的煩雑である。また、反応中にpHが変化しやすいため、生成物の粒径の制御を意のままに制御することが困難であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、LiMPOの水熱合成反応において、LiMPOの粒径制御に優れたリチウム二次電池用正極活物質の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
[1] Li源とM源(ただし、MはMg,Ca,Fe,Mn,Ni,Co,Zn,Ge,Cu,Cr,Ti,Sr,Ba,Sc,Y,Al,Ga,In,Si,B,希土類元素からなる群より選ばれる1種または2種以上の元素である)とリン酸源とを原料にして、かんらん石型のLiMPOを合成する水熱合成反応を行うことにより、前記LiMPOからなるリチウム二次電池用正極活物質を製造する方法において、前記リン酸源に、(RO)(R’O)(R”O)P=Oで表される有機リン酸エステル(ただし、R,R’,R”はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アラアルキル基、シクロアルキル基または水素原子の何れかである。)が含有されているリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
[2] 前記M源が、M元素の硫酸塩、ハロゲン化塩、硝酸塩、リン酸塩、有機塩の何れか1種又は2種以上である[1]に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
[3] 前記リチウム源が、LiOH、LiCO、CHCOOLiまたは(COOLi)の何れか1種又は2種以上である[1]または[2]に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
[4] 前記水熱合成反応の反応温度が100℃以上である[1]乃至[3]の何れか一項に記載の製造方法。
[5] [1]乃至[4]の何れか一項に記載の製造方法によって得られた前記LiMPOに炭素源を混合して、不活性ガス雰囲気中または還元雰囲気中で加熱することにより、前記LiMPOの表面に炭素膜を形成するリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
[6] 前記炭素源として、スクロース、ラクトース、アスコルビン酸、1,6-ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、カルボキシメチルセルロース、カーボンブラック、繊維状炭素のいずれか1種以上を用いる[5]に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
本発明によれば、LiMPOの水熱合成反応において、LiMPOの粒径制御に優れたリチウム二次電池用正極活物質の製造方法を提供できる。
図1は、実施例1〜4及び比較例1の正極活物質のX線回折図である。 図2は、実施例1の正極活物質のSEM写真である。 図3は、実施例2の正極活物質のSEM写真である。 図4は、実施例3の正極活物質のSEM写真である。 図5は、実施例4の正極活物質のSEM写真である。 図6は、比較例1の正極活物質のSEM写真である。
以下、本発明の実施形態であるリチウム二次電池用正極活物質の製造方法について図面を参照して説明する。
本実施形態のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法は、Li源とM源とリン酸源とを原料にして、かんらん石型のLiMPOへの水熱合成反応を行う際に、リン酸源として、(RO)(R’O)(R”O)P=Oで表される有機リン酸エステルを含有したものを用いるものである。有機リン酸エステルを使用することで、LiMPOの平均粒径を従来に比べて小さくすることができ、また、有機リン酸エステルの種類を変更することで、LiMPOの平均粒径を制御することができる。
本実施形態の好ましい実施態様における製造方法によって製造されるかんらん石型のLiMPOは、より具体的には、LiMnなる組成のリチウム金属リン酸塩を例示できる。ただし、モル比を表すx、y、z、wは、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5、0.9<w<1.1である。
以下、製造方法の詳細について説明する。
(Li源)
Li源は、水熱合成時に融解する化合物が好ましく、例えば、LiOH、LiCO、CHCOOLiまたは(COOLi)の何れか1種又は2種以上の化合物などが挙げられる。これらのうちLiOHが好ましい。
(M源)
M源としては、水熱合成時に融解する化合物であって、M元素を含む化合物が好ましい。ここで、M元素は、Mg,Ca,Fe,Mn,Ni,Co,Zn,Ge,Cu,Cr,Ti,Sr,Ba,Sc,Y,Al,Ga,In,Si,B,希土類元素のうちの1種または2種以上の元素を例示できる。これらのうち、特に2価遷移金属が好ましく、2価遷移金属としてFe、Mn、NiまたはCoのいずれか1種又は2種以上の元素を例示でき、より好ましくはFeおよび/またはMnを例示できる。M源としては、M元素の硫酸塩、ハロゲン化物(塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物)、硝酸塩、リン酸塩、有機酸塩(例えばシュウ酸塩または酢酸塩)などが挙げられる。M源は、水熱合成反応に用いる溶媒に溶解しやすい化合物が好ましい。これらのうち、2価遷移金属硫酸塩が好ましく、硫酸鉄(II)および/または硫酸マンガン(II)ならびにこれらの水和物がより好ましい。
(リン酸源)
リン酸源は任意に選択されるが、リン酸イオンを含むものであればよく、また、極性溶媒に溶解しやすい化合物が好ましい。例えば、リン酸(オルトリン酸)、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、テトラリン酸、リン酸水素、リン酸二水素、リン酸アンモニウム、無水リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸リチウム、リン酸鉄などが挙げられる。リン酸リチウムまたは2価遷移金属リン酸塩は、Li源またはM源としても使用できる。
また、リン酸源には、(RO)(R’O)(R”O)P=Oで表される有機リン酸エステルが含まれることが好ましい。R,R’,R”はそれぞれ独立に、アルキル基(炭素鎖数1〜10)、アリール基(炭素鎖数1〜3)、アラアルキル基(炭素鎖数1〜3)、シクロアルキル基(炭素鎖数1〜2)または水素原子の何れかである。特に、炭素数が1〜10までのアルキル基が好ましく、炭素数が1〜4までのアルキル基がより好ましい。ただし、R,R’,R”の全部が水素原子のものはリン酸になるので、これは有機リン酸エステルには含まれない。アルキル基、アリール基、アラアルキル基、シクロアルキル基には、ハロゲン基(-Cl、-Br、-I、-F)ヒドロキシル基(-OH)、アミノ基(-NH2)、イミノ基(=NH)、N-オキシド基(N→O)、N-ヒドロアミノ基(-NH-OH)、ニトロ基(-NO2)、ニトロソ基(-NO)、アゾ基(-N=N-)、ジアゾ基(-N+≡N)、アジド基(-N3)、エポキシ等のエーテル基(-O-)、オキソ基(=O)、カルボニル基-CO-)、チオ基(-S-)、S-オキシド基(S→O)、チオキシ基(=S)が任意に組み合わされていてもよい。R,R’,R”は同じでもよく、それぞれ異なっていてもよい。
有機リン酸エステルにおける置換基R、R’、R”のサイズが大きいほど、LiMPOの平均粒径が小さくなる。これは、置換基R、R’、R”のサイズが大きくなるほど、水熱合成反応が進みにくくなり、そのため、LiMPOの結晶成長が阻害されて、小粒径のLiMPOが得られるためと推定される。例えば置換基がアルキル基の場合は炭素数が大きくなるほどLiMPOの粒径が小さくなる。また、置換基R、R’、R”のうち、水素原子の数が少ないほど、LiMPOの粒径が小さくなる。LiMPOの粒径を制御するには、これらの傾向を踏まえて有機リン酸を選択すればよい。
有機リン酸エステルとして具体的には、リン酸メチル、リン酸ジメチル、リン酸トリメチル、リン酸エチル、リン酸ジエチル、リン酸トリエチル、リン酸プロピル、リン酸ジプロピル、リン酸トリプロピル、リン酸ブチル、リン酸ジブチル、リン酸トリブチル、リン酸メチルエチル、リン酸トリエタノールアミンまたはこれらの混合物を例示できる。
リン酸源における有機リン酸エステルの含有率は、5〜20質量%の範囲が好ましく、10〜15質量%の範囲がより好ましい。リン酸源における有機リン酸の含有率が5質量%以上であれば、粒径の制御が容易になり、また、有機リン酸の含有率が20質量%以下であれば、副反応の進行を抑制できる。
Li源、M源及びリン酸源の配合比については、製造するリチウム金属リン酸塩、より具体的にはLiMnなる組成のリチウム金属リン酸塩の化学両論比に一致するように決めればよい。これにより、水熱合成後の合成物中に過剰なLiが残存する虞が無く、水熱合成後の合成物の洗浄が不要になり、工程の大幅に簡素化が可能になる。
また、Li源、M源及びリン酸源の他に、水を添加してもよい。水は、Li源、M源またはリン酸源の各化合物に含まれる結晶水を用いてもよい。M源の化合物またはLi源の化合物に十分な量の結晶水が含まれているならば、Li源、M源及びリン酸源を混合して水熱合成用の原料にすればよく、水はあえて添加しなくてもよい。
水熱合成用の原料における水の添加量は、10〜99質量%の範囲が好ましく、24〜93質量%の範囲がより好ましく、55〜80質量%の範囲が最も好ましい。水の添加量がこの範囲内であれば、水熱合成が円滑に進む。また、水の添加量を調整することで、リチウム金属リン酸塩の粒子の粒径を制御できる。水の添加量が少なくなるとリチウム金属リン酸塩の粒径が小さくなる傾向があり、水の添加量が多いとリチウム金属リン酸塩の粒径が大きくなる傾向があるので、必要とする粒径に応じて水の量を調整すればよい。ただし、水の添加量は少なすぎても粒径が大きくなる傾向がある。
尚、水の他に水熱合成が可能な極性溶媒としては任意に選択されるが、メタノール、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、アセトン、シクロヘキサノン、2−メチルピロリドン、エチルメチルケトン、2−エトキシエタノール、プロピレンカルボネート、エチレンカルボネート、ジメチルカルボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。水に代えてこれらの溶媒を単独で用いてもよく、また、水にこれらの溶媒を混合して用いても良い。
以上が本実施形態の好ましい実施態様の製造方法における主な原料であるが、上記の主な原料以外に、以下の物質を添加してもよい。
アスコルビン酸等の還元性物質は、炭素源であるとともに水熱合成中の原料の酸化を防止する酸化防止剤として用いることができる。このような酸化防止剤としてはアスコルビン酸の他に、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル等を用いることができる。
本実施形態の好ましい実施態様における製造方法においては、Li源とM源とリン酸源とを100℃以上で反応させる。ここで、Li源とM源とリン酸源を同時に混合すると、予期しない副反応が進むことがあるので、反応の進行を制御する必要がある。
従って本製造方法では、溶媒に、リチウム源、リン酸源またはM源の何れか1種が含まれる第1原料液と、溶媒にそれ以外のものが含まれてなる第2原料液とを別々に用意する。第1原料と第2原料はこの後に混合される。これら第1、第2原料液を混合すると共に温度及び圧力を所定の条件に設定して変換反応を開始するとよい。
第1、第2原料液の調製の具体例としては、第1原料液としてLi源を含む液を調製し、第2原料液としてM源およびリン酸源を含む液を調製する態様;第1原料液としてリン酸源を含む液を調製し、第2原料液としてM源およびLi源を含む液を調製する態様;第1原料液としてM源を含む液を調製し、第2原料液としてリン酸源およびLi源を含む液を調製する態様が挙げられる。後述する反応を行う時までは第1、第2原料液とが接触しないようにする。具体的には第1、第2原料液を混ぜ合わせないようにしておく。このようにして、変換反応が100℃未満で実質的に起きないようにする。
各Li源、M源及びリン酸源の調製においては、Liイオン、M金属イオンおよびリン酸イオンが、LiMPOの化学量論比と概ね同じになる割合にすることが好ましい。
また、本製造方法によれば、M源としてFe、Mn、NiまたはCoのいずれか1種の元素を含む化合物を用いることによって、1種類の金属Mを有するLiMPOを製造できる。また、M源としてFe、Mn、NiまたはCoのいずれか2種以上の元素を含む化合物を用いることによって、2種以上の金属Mを有するLiMPOを製造できる。
次に、第1、第2原料液を接触させて、LiMPOへの変換反応を100℃以上で開始および進行させる。
前記反応はオートクレーブのような耐圧反応器で行われる。第1、第2原料液を接触させる際は、予め第1、第2原料液を60〜100℃程度まで加熱しておいてもよく、加熱しなくても良い。耐圧反応器において第1、第2原料液を混合してから容器を密閉し、その後、オートクレーブにより直ちに(例えば1〜2時間以内に)100℃以上に加熱する。反応器内は不活性ガスまたは還元性ガスで置換されていることが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴンなどが挙げられる。
次に、温度を180〜260℃とし、圧力を1.0〜4.7MPaとし、30分〜30時間保持する。温度が180℃以上なら結晶の質が向上し、260℃以下であれば加熱に必要なエネルギーが必要以上に大きくならず、エネルギーが無駄にならない。また時間が30分以上であれば結晶の欠陥が十分修復され、30時間以下であれば生産効率が低下することがない。また、圧力1.0〜4.7MPaの範囲であれば、反応を円滑に進めることができる。
この変換反応によって、LiMPOからなる粒子が成長する。このようにして、本実施形態に係る正極活物質を含む懸濁液が得られる。
得られた懸濁液を室温まで冷却して固液分離する。分離された液体には、未反応のリチウムイオン等が含まれていることがあるので、分離された液からLi源等を回収することができる。回収方法は、特に制限されない。例えば、分離された液に塩基性リン酸源を加えて、リン酸リチウムを沈殿させる。前記沈殿物を回収しLi源またはリン酸源として再使用することができる。
懸濁液から分離された正極活物質は、必要に応じて洗浄して乾燥させる。乾燥では金属Mが酸化されない条件を選択することが好ましい。前記乾燥では真空乾燥法が好ましく用いられる。
また、正極活物質であるLiMPOに更に導電性を付与するために、得られたLiMPOと、炭素源とを混ぜ合わせ、前記混合物を必要に応じて真空乾燥させ、次いで不活性ガス雰囲気下または還元雰囲気下で、好ましくは500℃〜800℃の温度で焼成し、より好ましくは650℃〜750℃の温度で焼成する。
このような焼成を行うと、LiMPO粒子の表面に炭素膜が被覆された正極材料を得ることができる。焼成では元素Mが酸化されない条件を選択することが好ましい。
上記焼成で使用可能な炭素源としては任意に選択されるが、スクロース、ラクトース等に例示される糖類、アスコルビン酸、1,6-ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、カルボキシメチルセルロースの水溶性有機物が望ましい。また、カーボンブラック、繊維状炭素を用いてもよい。
このようにして得られたLiMPOは、かんらん石型のLiMn(M,M’)(ただし、モル比を表すx、y、z、wは、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5、0.9<w<1.1である。)なる組成を示す。リチウム金属リン酸塩の組成は、リチウム源、M源及びリン酸源の配合比を変更することで調整できる。
(リチウム二次電池用の正極活物質)
本実施形態のリチウム二次電池用の正極活物質は、前述の製造方法によって製造されたかんらん石型のLiMPOである。この正極活物質は、LiMPOの粒子が炭素膜で被覆されたものがより好ましい。
また、この正極活物質は、体積基準の累積50%径である平均粒径D50が、好ましくは0.01〜1μm、より好ましくは0.05〜0.5μmである。本実施形態では、有機リン酸の種類を変更することで、正極活物質の平均粒径D50を自在に制御することができる。
(リチウム二次電池)
本実施形態のリチウム二次電池は、正極と負極と非水電解質とを具備して構成されている。このリチウム二次電池においては、正極に含まれる正極活物質として、上記の方法によって製造されたLiMPOが用いられる。このような正極活物質が備えられることによって、リチウム二次電池のエネルギー密度を向上させることが可能になる。以下、リチウム二次電池を構成する正極、負極及び非水電解質について順次説明する。
(正極)
本実施形態の好ましい実施態様におけるリチウム二次電池では、正極として、正極活物質と導電助材と結着剤とが含有されてなる正極合材と、正極合材に接合される正極集電体とからなるシート状の電極を用いることができる。また、正極として、上記の正極合材を円板状に成形させてなるペレット型若しくはシート状の正極も用いることができる。
正極活物質には、上記の方法によって製造されたリチウム金属リン酸塩が用いられるが、このリチウム金属リン酸塩に、従来公知の正極活物質を混合して用いても良い。
結着剤としては任意に選択されるが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、エチレンプロピレンターポリマー、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエピクロルヒドリン、ポリファスファゼン、ポリアクリロニトリル、等を例示できる。
更に導電助材としては、銀粉などの導電性金属粉;ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどの導電性カーボン粉;カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、気相法炭素繊維などが挙げられる。導電性助剤としては気相法炭素繊維が好ましい。気相法炭素繊維は、その繊維径が5nm以上0.2μm以下であることが好ましく、10nm以上0.1μm以下であることがより好ましい。繊維長さ/繊維径の比が5〜1000であることが好ましく、100〜500であることがより好ましい。気相法炭素繊維の含有量は正極合材の乾燥質量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
更に正極集電体としては任意に選択されるが、導電性金属の箔、導電性金属の網、導電性金属のパンチングメタルなどが挙げられる。導電性金属としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金が好ましい。
(負極)
負極は、負極活物質、結着剤及び必要に応じて添加される導電助材が含有されてなる負極合材と、負極合材に接合される負極集電体とからなるシート状の電極を用いることができる。また、負極として、上記の負極合材を円板状に成形させてなるペレット型若しくはシート状の負極も用いることができる。
負極活物質としては、従来公知の負極活物質を用いることができ、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛などの炭素材料や、Sn、Si等の金属または半金属材料を用いることができる。
結着剤としては、正極で使用する結着剤と同様のものを用いることができる。
更に導電助材は、必要に応じて添加してもよく、添加しなくても良い。例えば、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどの導電性カーボン粉;カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、気相法炭素繊維などを用いることができる。導電助剤としては気相法炭素繊維が特に好ましい。気相法炭素繊維は、その繊維径が5nm以上0.2μm以下であることが好ましい。繊維長さ/繊維径の比が5〜1000であることが好ましい。気相法炭素繊維の含有量は負極合材の乾燥質量に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。
更に負極集電体としては任意に選択されるが、導電性金属の箔、導電性金属の網、導電性金属のパンチングメタルなどが挙げられる。導電性金属としては銅または銅の合金が好ましい。
(非水電解質)
次に、非水電解質としては、例えば、非プロトン性溶媒にリチウム塩が溶解されてなる非水電解質を例示できる。
非プロトン性溶媒は任意に選択されるが、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ―ブチロラクトン、およびビニレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上の混合溶媒が好ましい。
また、リチウム塩には、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSO3CF3、CH3SO3Li、CF3SO3Li等が挙げられる。
また非水電解質として、いわゆる固体電解質またはゲル電解質を用いることもできる。固体電解質またはゲル電解質としては、スルホン化スチレン−オレフィン共重合体などの高分子電解質、ポリエチレンオキシドとMgClO4を用いた高分子電解質、トリメチレンオキシド構造を有する高分子電解質などが挙げられる。高分子電解質に用いられる非水系溶媒としては任意に選択されるが、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ―ブチロラクトン、およびビニレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
更に、本実施形態の好ましい実施態様におけるリチウム二次電池は、正極、負極、非水電解質のみに限られず、必要に応じて他の部材等を備えていても良く、例えば正極と負極を隔離するセパレータを具備しても良い。セパレータは、非水電解質がポリマー電解質でない場合には必須である。例えば、不織布、織布、微細孔質フィルムなどや、それらを組み合わせたものなどが挙げられる。より具体的には、多孔質のポリプロピレンフィルム、多孔質のポリエチレンフィルム等を適宜使用できる。
本実施形態のリチウム二次電池は、種々な分野において用いることができる。例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、ノート型コンピュータ、携帯電話、無線機、電子手帳、電子辞書、PDA(Personal Digital Assistant)、電子メーター、電子キー、電子タグ、電力貯蔵装置、電動工具、玩具、デジタルカメラ、デジタルビデオ、AV機器、掃除機などの電気・電子機器;電気自動車、ハイブリッド自動車、電動バイク、ハイブリッドバイク、電動自転車、電動アシスト自転車、鉄道機関、航空機、船舶などの交通機関;太陽光発電システム、風力発電システム、潮力発電システム、地熱発電システム、熱差発電システム、振動発電システムなどの発電システムなどが挙げられる。
以上説明したように、本実施形態のリチウム二次電池の正極活物質の製造方法によれば、Li源とM源とリン酸源とを原料にして、LiMPOからなるリチウム二次電池用正極活物質を製造する際に、リン酸源に、(RO)(R’O)(R”O)P=O で表される有機リン酸エステルを含有させることで、LiMPOの平均粒径を調整することができる。
(実施例1)
1.水熱合成工程
アルゴンガスで満たされたグローブボックス中で、蒸留水にアルゴンガスを15時間バブリングさせて蒸留水に溶存する炭酸ガスや酸素を追い出させた。この蒸留水60mlに、0.12gのL(+)−アスコルビン酸(関東化学製 特級)を溶解し、続けて12.66gのMnSO・5HO(関東化学製 特級)および4.87gのFeSO・7HO(和光純薬製 特級)を溶解した。更に続けて7.26gのHPO(関東化学製特級 85.0%)および0.83gのメチルリン酸エステル(モノメチルリン酸エステル及びジメチルリン酸エステルの混合物)(東京化成工業製))を溶解した。リン酸源におけるメチルリン酸エステルの含有率は10質量%であった。これをA液とした。
次に、上記と同様のバブリング処理をした蒸留水40mlに、8.81gのLiOH・HO(関東化学製 鹿特級)を溶解した。これをB液とした。B液のpHは14であった。
アルゴンガスで満たされたグローブボックス中でA液とB液を混合して10分間撹拌し、この混合液を100mlのPTFE製試料容器にいれ、これを耐圧ステンレス製外筒(HUS−100)に入れて蓋を閉じた。
次いで、水熱合成用原料を仕込んだ耐圧ステンレス製外筒をオートクレーブにいれ、昇温時間1時間で200℃まで昇温し、200℃で7時間保持することにより、水熱合成反応を進行させた。7時間保持後、加熱をやめ室温まで冷却した。
室温まで冷却後、オートクレーブから懸濁液を取り出し、懸濁液を遠心分離機で固液分離した。生じた上澄み液を捨て、新たに蒸留水を加えて固形物を撹拌して再分散させ、その再分散液を再び遠心分離して上澄みを捨てるという操作を、上澄み液の導電率が1×10−4S/cm以下になるまで繰り返した。その後、90℃に制御された真空乾燥機内で乾燥を行った。このようにして、LiFem1Mnm2POを得た。
2.炭素膜形成工程
乾燥して得られたLiFem1Mnm2POを5.0g分取し、0.5gのスクロースを添加し、更に蒸留水を2.5ml添加して混合後、90℃に制御された真空乾燥機で乾燥した。乾燥物をアルミナボートに入れ、直径80mmの石英管を炉心管とした管状炉にセットした。1L/分の流量で窒素を流しながら100℃/時間の速度で昇温し、400℃で1時間保持することで、スクロースの分解生成ガスを系外に排出した。その後、100℃/時間の速度で700℃まで昇温し、窒素を流しながら4時間保持した。保持終了後、窒素を流しながら100℃以下まで冷却し、管状炉から焼成物を取り出して正極活物質とした。
3.電池評価
1.5gの正極活物質、0.43gの導電助材としてのアセチレンブラック(電気化学工業製 HS-100)、0.21gのバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(クレハ製 KFポリマー W#1300)をそれぞれ秤量した。これらを充分に混合した後に、3.0gのN-メチル-2-ピロリドン(キシダ化学製)を徐々に添加して塗工液とした。ギャップを調整したドクターブレードでこの塗工液を20μm厚のAl箔上に塗工した。得られた塗膜からN-メチル-2-ピロリドンを乾燥させた後に、直径15mmの円形に切り出した。その後、切り出した塗膜を3MPaで20秒間プレスして厚さを測定したところ、平均膜厚は49μmであった。また、塗膜の重量は8.7mgであった。このようにして正極を製造した。
得られた正極をアルゴンで充満され露点が−75℃以下に制御されたグローブボックス内に導入した。正極を2320型のコイン型電池用の蓋(宝泉製)に置き、電解液(1MLiPF EC:MEC=40:60)を添加した。更にその上に、直径20mmで切り出したセパレータ(セルガード2400)、直径17.5mmで切り出した金属リチウム箔を順次重ねた。その上から、ガスケットを取り付けたキャップをし、かしめることにより、直径23mm、厚み2mmのコイン型電池を製造した。
(実施例2)
メチルリン酸エステルに代えて、0.99gのメチルリン酸エステル(モノメチルリン酸エステルとジメチルリン酸エステルの混合物(東京化成工業製))を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でコイン型電池を製造し、充放電サイクル試験を行った。
(実施例3)
メチルリン酸エステルに代えて、1.30gのトリエチルリン酸エステル(東京化成工業製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でコイン型電池を製造し、充放電サイクル試験を行った。
(実施例4)
メチルリン酸エステルに代えて、1.73gのトリエタノールアミンホスフェート(東京化成工業製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でコイン型電池を製造し、充放電サイクル試験を行った。
(実施例5)
メチルリン酸エステルに代えて、1.50gのブチルリン酸エステル(東京化成工業製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でコイン型電池を製造し、充放電サイクル試験を行った。
(実施例6)
メチルリン酸エステルに代えて、1.90gのトリブチルリン酸エステル(東京化成工業製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でコイン型電池を製造し、充放電サイクル試験を行った。
(実施例7)
メチルリン酸エステルに代えて、3.10gのトリオクチルリン酸エステル(東京化成工業製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でコイン型電池を製造し、充放電サイクル試験を行った。
(実施例8)
メチルリン酸エステルに代えて、2.70gのジデシルリン酸エステル(東京化成工業製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でコイン型電池を製造し、充放電サイクル試験を行った。
(実施例9)
メチルリン酸エステルに代えて、1.98gのジベンジルリン酸エステル(東京化成工業製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でコイン型電池を製造し、充放電サイクル試験を行った。
(実施例10)
メチルリン酸エステルに代えて、2.30gのジ2−エチルヘキシルリン酸エステル(東京化成工業製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でコイン型電池を製造し、充放電サイクル試験を行った。
(実施例11)
メチルリン酸エステルに代えて、2.59gの2−ヘキシルジフェニルリン酸エステル(東京化成工業製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でコイン型電池を製造し、充放電サイクル試験を行った。
(実施例12)
メチルリン酸エステルに代えて、1.78gのジフェニルリン酸エステル(東京化成工業製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でコイン型電池を製造し、充放電サイクル試験を行った。
(実施例13)
メチルリン酸エステルに代えて、2.11gの2−メタクリロイロシル2−トリメディルアンモオリン酸エステル(東京化成工業製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でコイン型電池を製造し、充放電サイクル試験を行った。
(実施例14)
メチルリン酸エステルに代えて、1.83gの4−メチルムベルリフェリルリン酸エステル(東京化成工業製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でコイン型電池を製造し、充放電サイクル試験を行った。
(実施例15)
メチルリン酸エステルに代えて、1.56gのトリアリルリン酸エステル(東京化成工業製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でコイン型電池を製造し、充放電サイクル試験を行った。
(実施例16)
メチルリン酸エステルに代えて、2.20gのトリアミルリン酸エステル(東京化成工業製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でコイン型電池を製造し、充放電サイクル試験を行った。
(実施例17)
メチルリン酸エステルに代えて、2.63gのトリクレシルリン酸エステル(東京化成工業製)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でコイン型電池を製造し、充放電サイクル試験を行った。
(比較例1)
リン酸源として、8.84gのHPO(関東化学製 特級 85.0%)を用いたこと以外は実施例1と同じ条件でコイン型電池を製造し、充放電サイクル試験を行った。
(材料評価)
実施例1〜4および比較例1の正極活物質を、CuKα線を用いたX線回折法による測定(パナリティカル製 X'Pert Powder)を行った結果、図1に示すように、LiFem1Mnm2PO(m1=0.25、m2=0.75)の生成を確認した。図1の下側には、LiFePOの回折線(2θ)を示した。実施例1〜4および比較例1で得られた正極活物質から得られた回折線はこれらの回折線のパターンと一致した。また、組成はベガード側よりすべてのサンプルで、LiFem1Mnm2PO(m1=0.25、m2=0.75)であることを確認した。
また、実施例1〜4および比較例1で得られた正極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)像をそれぞれ図2〜図6に示す。図2〜図6によれば、有機りん酸エステルの種類により正極活物質の粒径の比較が可能である。実施例1に比べて実施例2、実施例2に比べ実施例3のほうが小粒径であることがわかる。また、実施例4では平面視正方形に近い形の正極活物質が得られることが分かる。これらの結果より、有機りん酸エステルの種類を調節することで、LiMPOの粒径および粒径の制御が可能であることが判明した。実施例5〜17でも同様の結果が得られている。
また、炭素膜を形成する前の実施例1〜17および比較例1の正極活物質におけるカーボン含有率を下記表2に示す。カーボン含有率は燃焼酸化法により測定した。この結果より、有機りん酸エステルを用いることで炭素膜形成前の正極活物質が少量のカーボンを含んでいることが分かる。


また、水熱合成において、有機リン酸エステルを添加すると、有機リン酸エステルが反応した時点で結晶の粒成長が止まりやすい。そのため、有機リン酸エステルの未反応物が存在すると仮定すると、正極活物質の表面により多くの炭素が存在していると考えられる。
(電池評価)
実施例1乃至実施例4および比較例1のコイン型電池について、温度25℃で、0.1Cの電流値で4.5Vまで定電流充電した後、4.5Vで0.01Cになるまで定電圧充電した。その後、2.5Vまで定電流放電するサイクルを15回繰り返した。下記表2に放電容量と放電容量維持率を示す。放電容量は、正極活物質の質量当たりの放電容量である。また、放電容量維持率は、1サイクル目の放電容量に対する15サイクル目の放電容量の百分率である。
この結果より、実施例1〜17では初期サイクル特性が良いことが確認された。これは、出発原料に有機りん酸エステルを用いたものでは表面にLiMPO4と強固に結びついた薄いカーボン層を有していると考えられるため、電解液等由来の劣化に対して耐性があるためと考えられる。

本発明によれば、LiMPOの水熱合成反応において、LiMPOの粒径制御に優れるリチウム二次電池用正極活物質の製造方法を提供できる。

Claims (9)

  1. Li源とM源(ただし、MはMg,Ca,Fe,Mn,Ni,Co,Zn,Ge,Cu,Cr,Ti,Sr,Ba,Sc,Y,Al,Ga,In,Si,B,希土類元素からなる群より選ばれる1種または2種以上の元素である)とリン酸源とを原料にして、かんらん石型のLiMPOへの水熱合成反応を行うことにより、前記LiMPOからなるリチウム二次電池用正極活物質を製造する方法において、
    前記リン酸源に、(RO)(R’O)(R”O)P=Oで表される有機リン酸エステル(ただし、R,R’,R”はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アラアルキル基、シクロアルキル基または水素原子の何れかである。)が含有されているリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  2. 前記M源が、M元素の硫酸塩、ハロゲン化塩、硝酸塩、リン酸塩、有機塩の何れか1種又は2種以上である請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  3. 前記リチウム源が、LiOH、LiCO、CHCOOLiまたは(COOLi)の何れか1種又は2種以上である請求項1または2に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  4. 前記水熱合成反応の反応温度が100℃以上である請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の製造方法によって得られた前記LiMPOに炭素源を混合して、不活性ガス雰囲気中または還元雰囲気中で加熱することにより、前記LiMPOの表面に炭素膜を形成するリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  6. 前記炭素源として、スクロース、ラクトース、アスコルビン酸、1,6-ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、カルボキシメチルセルロース、カーボンブラック、繊維状炭素のいずれか1種以上を用いる請求項5に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  7. 前記有機リン酸エステルはリン酸メチル、リン酸ジメチル、リン酸トリメチル、リン酸エチル、リン酸ジエチル、リン酸トリエチル、リン酸プロピル、リン酸ジプロピル、リン酸トリプロピル、リン酸ブチル、リン酸ジブチル、リン酸トリブチル、リン酸メチルエチル、リン酸トリエタノールアミンまたはこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つである請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  8. 前記リン酸源における前記有機リン酸エステルの含有率は、5〜20質量%の範囲である請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  9. 前記水熱合成用の全原料における水の添加量は、10〜99質量%の範囲である請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。






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