JPWO2013005621A1 - パラジウム錯体及びその製造方法、ビニルエーテル化合物の製造方法、並びにパラジウム錯体の回収方法 - Google Patents

パラジウム錯体及びその製造方法、ビニルエーテル化合物の製造方法、並びにパラジウム錯体の回収方法 Download PDF

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Abstract

高い耐熱性を有し、ビニル交換反応に対して高い活性を有するパラジウム錯体を提供する。本発明のパラジウム錯体は、下記式(1)で表されるパラジウム錯体である。
【化1】
Figure 2013005621

[式(1)中、L1は分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。Xはアシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。R1は炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、[RbO−(RaO)ra−]で表されるポリオキシアルキレン残基、又は、水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基を示す。なお、Raはアルキレン基を示し、Rbは水素原子、アルキル基、アシル基、又はビニル基を示し、rは1〜20の整数を示す。]

Description

本発明は、パラジウム錯体及びその製造方法、並びにビニルエーテル化合物の製造方法に関する。より詳しくは、耐熱性に優れたパラジウム錯体及びその製造方法、並びにビニル交換反応により目的のビニルエーテル化合物を高収率で得ることができるビニルエーテル化合物の製造方法に関する。さらに、活性を維持したパラジウム錯体を高回収率で回収する方法に関する。
これまで、パラジウム触媒(Pd触媒)を用いたビニルエーテル化合物(ビニルエーテル類)とアルコール化合物(アルコール類)のビニル交換反応が知られている(非特許文献1、特許文献1、2参照)。具体的には、非特許文献1及び特許文献1には、酢酸パラジウムと1,10−フェナントロリンより作製したパラジウム錯体が、ビニル交換反応に活性を有することが開示されている。また、特許文献2には、触媒の存在下、アルコールとアルキルビニルエーテルとをビニル交換反応させて新たなビニルエーテルを溶液中で生成させる際に、溶液中の溶存酸素濃度を10ppm以上にコントロールすることで、ビニル交換反応の収率が向上することが開示されている。
Tetrahedron,1972,28,p.233
特開平9−87224号公報 特開2003−206251号公報
上記ビニル交換反応の反応物(基質)として、室温で固体であったり有機溶媒への溶解度が低いアルコール化合物を用いる場合、溶液中で均一にビニル交換反応を進行させるために、反応温度を高くすること、具体的には60℃を超える温度で反応させることが求められていた。一方、ビニル交換反応に使用するパラジウム触媒の原料であるパラジウムは高価であるため、当該パラジウム触媒の使用量を低減するという観点でも、触媒使用量を低減しつつビニル交換反応の速度を速めることを目的として、反応温度をより高くすることが求められていた。
しかしながら、非特許文献1、特許文献1には、60℃以下の反応温度でのビニル交換反応についてしか具体的な開示はなく、さらに、60℃を超える反応温度でビニル交換反応を実施することによって、生成物の収率を向上させることについては言及されていない。また、特許文献2にも、40℃以下の反応温度でのビニル交換反応についてしか具体的な開示はない。
そこで、非特許文献1及び特許文献1に記載されたビニル交換反応を、60℃を超える反応温度で実施したところ、パラジウム触媒が失活して反応溶液が黒色に変化し、ビニル交換反応が途中で停止してしまうことが明らかとなった。また、特許文献2に記載された酸素をバブリングしながらビニル交換反応を実施する方法においても、反応温度を60℃を超える温度に高めた場合には、同様に、パラジウム触媒が反応途中で失活することが明らかとなった。このため、より高い反応温度でビニル交換反応を実施した場合にも失活しにくい、耐熱性の高いパラジウム錯体が求められているのが現状である。
一方、特許文献2には、ビニル交換反応を促進するために反応溶液中の溶存酸素濃度を高める方法として、純酸素により5MPaまで加圧してビニル交換反応を実施する方法と、過酸化水素水を滴下しながらビニル交換反応を実施する2つの方法が開示されている。しかしながら、前者の方法は純酸素を用いているため、安全性の問題に加え、工業的に実施する際には高圧設備が必要となって設備コストが高くなるという問題を有していた。また、後者の方法は、ビニルエーテル化合物が過酸化水素水に含まれる水分によりアルコールとアセトアルデヒドに分解(加水分解)する可能性があるという問題を有しており、いずれの方法も十分に満足のいく方法ではなかった。
さらに、省資源及びコストダウンの観点から、上述のビニル交換反応における触媒は、再使用可能であることが望まれるが、特に、生成物の沸点が高い場合などには、当該生成物と触媒との分離が容易でなく、例えば、加熱を伴う減圧留去により触媒と生成物とを分離する際には、触媒が劣化してしまい、再使用ができなくなるという問題も生じていた。
従って、本発明の目的は、高温で反応を実施した場合でも失活しにくく、高い耐熱性を有し、なおかつビニル交換反応に対して高い活性(触媒能)を有するパラジウム錯体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、高温で反応を実施した場合でも失活しにくく、高い耐熱性を有し、なおかつビニル交換反応に対して高い活性(触媒能)を有するパラジウム錯体を生成させることができるパラジウム錯体の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、目的のビニルエーテル化合物を高収率で得ることができるビニルエーテル化合物の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、本発明のパラジウム錯体を容易に回収することができ、なおかつ回収の際のパラジウム錯体の劣化が抑制されたパラジウム錯体の回収方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構造を有するパラジウム錯体が、高温で反応を実施した場合にも失活しにくく(即ち、耐熱性に優れ)、ビニル交換反応に対して高い活性を有することを見出した。また、本発明者らは、特定の二価のパラジウム錯体、特定の二座配位子、及びビニルエーテル化合物(又は、特定の二価のパラジウム錯体、及びビニルエーテル化合物)を、酸素の存在下において特定条件で反応させる方法により、耐熱性に優れ、ビニル交換反応に対して高い活性を有するパラジウム錯体が得られることを見出した。さらに、本発明者らは、特定の構造を有するパラジウム錯体を用いたビニル交換反応により、目的のビニルエーテル化合物を高収率で得ることができることを見出した。さらに、本発明者らは、ビニル交換反応後の反応溶液に水及び特定の有機溶媒を添加し、水層を分離することにより、本発明のパラジウム錯体を容易に回収し、なおかつ回収の際のパラジウム錯体の劣化が抑制されることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、下記式(1)で表されるパラジウム錯体を提供する。
Figure 2013005621
[式(1)中、L1は分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。Xはアシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。R1は炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、[RbO−(RaO)ra−]で表されるポリオキシアルキレン残基、又は、水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基を示す。なお、Raはアルキレン基を示し、Rbは水素原子、アルキル基、アシル基、又はビニル基を示し、rは1〜20の整数を示す。]
さらに、L1がビピリジン誘導体又は1,10−フェナントロリン誘導体であり、Xがアセチルオキシ基であり、R1が炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、1以上の水酸基を有する炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、1以上のビニルオキシ基を有する炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、[HO−(CH2CH2O)sCH2CH2−]若しくは[CH2=CHO−(CH2CH2O)sCH2CH2−]で表されるポリオキシエチレン残基(sは、1〜4の整数を示す)である前記のパラジウム錯体を提供する。
さらに、L1が2,2'−ビピリジン又は1,10−フェナントロリンであり、R1が炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜6のシクロアルキル基である前記のパラジウム錯体を提供する。
また、本発明は、下記式(1)で表されるパラジウム錯体の製造方法であって、下記式(2)で表される二価のパラジウム錯体、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子、及び下記式(3)で表されるビニルエーテル化合物を、酸素の存在下で反応させる反応工程を含み、前記反応工程は、20〜60℃の温度で0.3時間以上反応させる第1反応工程と、前記第1反応工程の後、さらに40〜120℃の温度で0.3時間以上反応させる第2反応工程とを含み、なおかつ反応全体を通して反応温度が120℃以下に制御された工程であることを特徴とするパラジウム錯体の製造方法を提供する。
Figure 2013005621
[式(1)中、L1は分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。Xはアシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。R1は炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、[RbO−(RaO)ra−]で表されるポリオキシアルキレン残基、又は、水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基を示す。なお、Raはアルキレン基を示し、Rbは水素原子、アルキル基、アシル基、又はビニル基を示し、rは1〜20の整数を示す。]
Figure 2013005621
[式(2)中、X1、X2は同一又は異なって、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。Lは、分子内に窒素原子を1個以上有する単座配位子、又は分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。nは0以上の整数を表す。]
Figure 2013005621
[式(3)中、R1は前記に同じ。]
また、本発明は、下記式(1)で表されるパラジウム錯体の製造方法であって、下記式(2)で表される二価のパラジウム錯体及び下記式(3)で表されるビニルエーテル化合物を、酸素の存在下で反応させる反応工程を含み、前記反応工程は、20〜60℃の温度で0.3時間以上反応させる第1反応工程と、前記第1反応工程の後、さらに40〜120℃の温度で0.3時間以上反応させる第2反応工程とを含み、なおかつ反応全体を通して反応温度が120℃以下に制御された工程であることを特徴とするパラジウム錯体の製造方法を提供する。
Figure 2013005621
[式(1)中、L1は分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。Xはアシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。R1は炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、[RbO−(RaO)ra−]で表されるポリオキシアルキレン残基、又は、水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基を示す。なお、Raはアルキレン基を示し、Rbは水素原子、アルキル基、アシル基、又はビニル基を示し、rは1〜20の整数を示す。]
Figure 2013005621
[式(2)中、X1、X2は同一又は異なって、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。Lは、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。nは1以上の整数を表す。]
Figure 2013005621
[式(3)中、R1は前記に同じ。]
さらに、L1がビピリジン誘導体又は1,10−フェナントロリン誘導体であり、Xがアセチルオキシ基であり、R1が炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、1以上の水酸基を有する炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、1以上のビニルオキシ基を有する炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、[HO−(CH2CH2O)sCH2CH2−]若しくは[CH2=CHO−(CH2CH2O)sCH2CH2−]で表されるポリオキシエチレン残基(sは、1〜4の整数を示す)である前記のパラジウム錯体の製造方法を提供する。
さらに、L1が2,2'−ビピリジン又は1,10−フェナントロリンであり、R1が炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜6のシクロアルキル基である前記のパラジウム錯体の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記のパラジウム錯体の存在下、下記式(4)で表されるアルコール化合物と下記式(5)で表されるビニルエーテル化合物とを反応させ、下記式(6)で表されるビニルエーテル化合物を生成させることを特徴とするビニルエーテル化合物の製造方法を提供する。
Figure 2013005621
[式(4)中、R2は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示し、pは1以上の整数を示す。]
Figure 2013005621
[式(5)中、R3〜R5は同一又は異なって、水素原子若しくは式中に示される炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示し、R6は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。]
Figure 2013005621
[式(6)中、qは1〜pの整数を示し、R2〜R5は前記に同じ。]
さらに、前記のパラジウム錯体として、下記式(2)で表される二価のパラジウム錯体、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子、及び下記式(3)で表されるビニルエーテル化合物を、酸素の存在下で、20〜60℃の温度で0.3時間以上反応させる第1反応工程と、前記第1反応工程の後、さらに40〜120℃の温度で0.3時間以上反応させる第2反応工程とを含み、なおかつ反応全体を通して反応温度が120℃以下に制御された反応工程にて反応させた後、さらに単離することによって得られたパラジウム錯体を用いる前記のビニルエーテル化合物の製造方法を提供する。
Figure 2013005621
[式(2)中、X1、X2は同一又は異なって、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。Lは、分子内に窒素原子を1個以上有する単座配位子、又は分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。nは0以上の整数を表す。]
Figure 2013005621
[式(3)中、R1は、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、[RbO−(RaO)ra−]で表されるポリオキシアルキレン残基、又は、水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基を示す。なお、Raはアルキレン基を示し、Rbは水素原子、アルキル基、アシル基、又はビニル基を示し、rは1〜20の整数を示す。]
さらに、前記のパラジウム錯体として、下記式(2)で表される二価のパラジウム錯体及び下記式(3)で表されるビニルエーテル化合物を、酸素の存在下で、20〜60℃の温度で0.3時間以上反応させる第1反応工程と、前記第1反応工程の後、さらに40〜120℃の温度で0.3時間以上反応させる第2反応工程とを含み、なおかつ反応全体を通して反応温度が120℃以下に制御された反応工程にて反応させた後、さらに単離することによって得られたパラジウム錯体を用いる前記のビニルエーテル化合物の製造方法を提供する。
Figure 2013005621
[式(2)中、X1、X2は同一又は異なって、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。Lは、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。nは1以上の整数を表す。]
Figure 2013005621
[式(3)中、R1は、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、[RbO−(RaO)ra−]で表されるポリオキシアルキレン残基、又は、水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基を示す。なお、Raはアルキレン基を示し、Rbは水素原子、アルキル基、アシル基、又はビニル基を示し、rは1〜20の整数を示す。]
さらに、前記のパラジウム錯体として、下記式(2)で表される二価のパラジウム錯体、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子、及び下記式(3)で表されるビニルエーテル化合物を、酸素の存在下で、20〜60℃の温度で0.3時間以上反応させる第1反応工程と、前記第1反応工程の後、さらに40〜120℃の温度で0.3時間以上反応させる第2反応工程とを含み、なおかつ反応全体を通して反応温度が120℃以下に制御された反応工程にて反応させることによって得られたパラジウム錯体溶液を用いる前記のビニルエーテル化合物の製造方法を提供する。
Figure 2013005621
[式(2)中、X1、X2は同一又は異なって、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。Lは、分子内に窒素原子を1個以上有する単座配位子、又は分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。nは0以上の整数を表す。]
Figure 2013005621
[式(3)中、R1は、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、[RbO−(RaO)ra−]で表されるポリオキシアルキレン残基、又は、水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基を示す。なお、Raはアルキレン基を示し、Rbは水素原子、アルキル基、アシル基、又はビニル基を示し、rは1〜20の整数を示す。]
さらに、前記のパラジウム錯体として、下記式(2)で表される二価のパラジウム錯体及び下記式(3)で表されるビニルエーテル化合物を、酸素の存在下で、20〜60℃の温度で0.3時間以上反応させる第1反応工程と、前記第1反応工程の後、さらに40〜120℃の温度で0.3時間以上反応させる第2反応工程とを含み、なおかつ反応全体を通して反応温度が120℃以下に制御された反応工程にて反応させることによって得られたパラジウム錯体溶液を用いる前記のビニルエーテル化合物の製造方法を提供する。
Figure 2013005621
[式(2)中、X1、X2は同一又は異なって、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。Lは、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。nは1以上の整数を表す。]
Figure 2013005621
[式(3)中、R1は、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、[RbO−(RaO)ra−]で表されるポリオキシアルキレン残基、又は、水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基を示す。なお、Raはアルキレン基を示し、Rbは水素原子、アルキル基、アシル基、又はビニル基を示し、rは1〜20の整数を示す。]
また、本発明は、前記のパラジウム錯体の存在下、下記式(4)で表されるアルコール化合物と下記式(5)で表されるビニルエーテル化合物とを反応させ、下記式(6)で表されるビニルエーテル化合物を生成させたビニル交換反応後の反応溶液に対し、水と、下記式(6)で表されるビニルエーテル化合物の良溶媒であり、且つ水と相分離する有機溶媒とを加え、次いで、水層を分離することにより前記パラジウム錯体を回収することを特徴とするパラジウム錯体の回収方法を提供する。
Figure 2013005621
[式(4)中、R2は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示し、pは1以上の整数を示す。]
Figure 2013005621
[式(5)中、R3〜R5は同一又は異なって、水素原子若しくは式中に示される炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示し、R6は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。]
Figure 2013005621
[式(6)中、qは1〜pの整数を示し、R2〜R5は前記に同じ。]
本発明のパラジウム錯体は上記構成を有するため、高温で反応を実施した場合でも失活しにくく、高い耐熱性を有する。また、ビニル交換反応に対して高い活性を有する。このため、本発明のパラジウム錯体を用いると、ビニル交換反応をより高温で実施することができ、目的のビニルエーテル化合物を高収率で得ることができる。さらに、本発明のパラジウム錯体は、該パラジウム錯体を用いることにより、低温で反応を行うことが困難な化合物(例えば、室温で固体であったり、溶媒への溶解度が低いものなど)をビニル交換反応の反応物(基質)として使用可能とする等、ビニル交換反応の汎用性を拡大できる点でも有利である。また、本発明のパラジウム錯体の製造方法によると、耐熱性が高く、ビニル交換反応に対して高い活性を有するパラジウム錯体を得ることができる。さらに、本発明のビニルエーテル化合物の製造方法によると、目的のビニルエーテル化合物を高収率で得ることできる。さらに、本発明のパラジウム錯体の回収方法によると、容易にパラジウム錯体と生成物とを分離し、それぞれを高い収率で回収することができ、さらに、分離に際して熱を加える必要がないため、回収したパラジウム錯体の活性低下が抑制される。
実施例1で得られたパラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)]のIRスペクトルのチャートである。
[本発明のパラジウム錯体]
本発明のパラジウム錯体は、下記式(1)で表されるパラジウム錯体である。
Figure 2013005621
式(1)中のL1は、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子(含窒素二座配位子)を示す。上記含窒素二座配位子としては、分子内に窒素原子を2個以上有し、これらの窒素原子の2個がパラジウム(パラジウム金属)との間に配位結合を形成して二座配位することで錯体を形成し得る化合物であればよく、特に限定されないが、例えば、ビピリジン誘導体(ビピリジル誘導体)、1,10−フェナントロリン誘導体(1,10−フェナンソロリン誘導体)などの芳香族性複素環化合物;エチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、2,4−ペンタンジアミンなどの脂肪族ジアミン化合物;1,2−シクロヘキサンジアミンなどの脂環式ジアミン化合物;芳香族ジアミン化合物;環状ジアミン化合物等が挙げられる。なお、上記ビピリジン誘導体とは、ビピリジン骨格(ビピリジル骨格)を有する化合物を意味し、例えば、2,2'−ビピリジン、置換基を有するビピリジン等が含まれる。上記1,10−フェナントロリン誘導体とは、1,10−フェナントロリン骨格(1,10−フェナンソロリン骨格)を有する化合物を意味し、例えば、1,10−フェナントロリン、置換基を有する1,10−フェナントロリンなどが含まれる。
上記置換基を有するビピリジン、上記置換基を有する1,10−フェナントロリンにおける置換基としては、特に限定されないが、例えば、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;アダマンチル基、ノルボルニル基等の橋かけ環式基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等の炭素数1〜10のアシル基;水酸基(ヒドロキシ基);カルボキシル基;シアノ基;ニトロ基;オキソ基などが挙げられる。即ち、上記置換基を有するビピリジンとしては、例えば、2,2'−(4,4'−ジメチル)ビピリジン、2,2'−(4,4'−ジ−t−ブチル)ビピリジン、2,2'−(4,4'−ジ−n−ノニル)ビピリジンなどが挙げられる。また、上記置換基を有する1,10−フェナントロリンとしては、例えば、2−ヒドロキシ−1,10−フェナントロリン、3−ヒドロキシ−1,10−フェナントロリン、4−ヒドロキシ−1,10−フェナントロリン、5−ヒドロキシ−1,10−フェナントロリンなどが挙げられる。
中でも、上記L1としては、特に、ビピリジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体が好ましく、より好ましくは2,2'−ビピリジン、1,10−フェナントロリンである。
また、上記ビピリジン誘導体、上記1,10−フェナントロリン誘導体として、ポリマー、シリカゲル、アルミナ、活性炭などの固体に担持されたビピリジン誘導体や1,10−フェナントロリン誘導体を用いることにより、担体に固定化された本発明のパラジウム錯体を得ることも可能である。
式(1)中のXは、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレート(BF4:テトラフルオロボレートイオン)を示す。上記アシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基(OCOCH3)、プロパノイルオキシ基(OCOC25)、トリフルオロアセチルオキシ基(OCOCF3)などが挙げられる。上記ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、フッ素原子(F)、ヨウ素原子(I)などが挙げられる。上記アルキルスルホニルオキシ基としては、例えば、メチルスルホニルオキシ基(OSO2CH3)、エチルスルホニルオキシ基などが挙げられる。上記ハロアルキルスルホニルオキシ基としては、例えば、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ノナフルオロブタンスルホニルオキシ基などが挙げられる。上記アリールスルホニルオキシ基としては、例えば、トルエンスルホニルオキシ基(OSO264CH3)などが挙げられる。上記ハロアリールスルホニルオキシ基としては、例えば、p−クロロベンゼンスルホニルオキシ基などが挙げられる。中でも、上記Xとしては、原料の入手が容易である点で、アシルオキシ基が好ましく、より好ましくはアセチルオキシ基である。
式(1)中のR1は、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、[RbO−(RaO)ra−]で表されるポリオキシアルキレン残基、又は、水酸基(ヒドロキシ基)、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基を示す。
上記炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。上記炭素数3〜18のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。上記ヘテロアリール基としては、例えば、酸素、窒素、イオウなどのヘテロ原子を含む各種の複素芳香環基(例えば、チエニル基、フリル基、ピリジル基、ピロリル基等)などが挙げられる。
上記ポリオキシアルキレン残基[[RbO−(RaO)ra−]]におけるRaは、アルキレン基を示す。上記アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などの炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基(より好ましくは炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基)が挙げられる。上記ポリオキシアルキレン残基におけるRbは、水素原子、アルキル基、アシル基、又はビニル基を示す。中でも、上記Rbとしては、例えば、水素原子、ビニル基が好ましい。また、上記ポリオキシアルキレン残基におけるrは、(RaO)単位の繰り返し数を表し、1〜20の整数を示す。
上記水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、1以上の水酸基を有するアルキル基[例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシアルキル基など]、1以上のカルボニル基を有するアルキル基[例えば、メチルオキシカルボニルメチル基、エチルオキシカルボニルメチル基、カルボキシメチル基、エチルオキシカルボニルエチル基、カルボキシエチル基など]、1以上のシアノ基を有するアルキル基[例えば、シアノメチル基など]、1以上のアルコキシ基を有するアルキル基(アルコキシアルキル基)[例えば、メトキシメチル基、ブトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基等の直鎖又は分岐鎖状のアルコキシアルキル基など]、1以上のオキセタニル基を有するアルキル基[例えば、3−エチル−3−オキセタニルメチル基など]、1以上のビニルオキシ基を有するアルキル基[例えば、ビニルオキシエチル基、ビニルオキシプロピル基、ビニルオキシブチル基、2,2−ジメチル−3−ビニルオキシプロピル基、6−ビニルオキシメチルシクロヘキシルメチル基、6−ビニルオキシシクロヘキシル基等のビニルオキシアルキル基など]、上記置換基の2種以上を有するアルキル基[例えば、3−ヒドロキシメチルオキセタン−3−イルメチル基、3−ビニルオキシメチルオキセタン−3−イルメチル基など]等が挙げられる。
上記水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数3〜18のシクロアルキル基としては、例えば、1以上の水酸基を有するシクロアルキル基[例えば、6−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチル基、6−ヒドロキシシクロヘキシル基など]、1以上のカルボニル基を有するシクロアルキル基[例えば、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基など]、1以上のシアノ基を有するシクロアルキル基[例えば、2−シアノシクロヘキシル基、3−シアノシクロヘキシル基、4−シアノシクロヘキシル基、2−シアノシクロペンチル基、3−シアノシクロペンチル基など]、1以上のアルコキシ基を有するシクロアルキル基[例えば、メトキシシクロヘキシル基、プロポキシシクロヘキシル基、オクトキシシクロヘキシル基など]、1以上のオキセタニル基を有するシクロアルキル基、1以上のビニルオキシ基を有するシクロアルキル基、上記置換基の2種以上を有するシクロアルキル基等が挙げられる。
上記水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有するアリール基としては、例えば、1以上の水酸基を有するアリール基[例えば、ヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、トリヒドロキシフェニル基、テトラヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ジヒドロキシナフチル基など]、1以上のカルボニル基を有するアリール基[例えば、べンゾイルオキシ基、ナフトリルオキシ基など]、1以上のシアノ基を有するアリール基[例えば、シアノフェニル基、シアノナフチル基など]、1以上のアルコキシ基を有するアリール基[例えば、メトキシフェニル基,プロポキシフェニル基、ブトキシフェニル基など]、1以上のオキセタニル基を有するアリール基、1以上のビニルオキシ基を有するアリール基[例えば、ビニルオキシフェニル基など]、上記置換基の2種以上を有するアリール基等が挙げられる。
上記水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有するヘテロアリール基としては、例えば、1以上の水酸基を有するヘテロアリール基[例えば、ヒドロキシフリル基、ヒドロキシチエニル基、ヒドロキシピリジル基など]、1以上のカルボニル基を有するヘテロアリール基、1以上のシアノ基を有するヘテロアリール基[例えば、シアノチエニル基、シアノピリジル基など]、1以上のアルコキシ基を有するヘテロアリール基[例えば、メトキシピリジル基,プロポキシピリジル基、メトキシチエニル基など]、1以上のオキセタニル基を有するヘテロアリール基、1以上のビニルオキシ基を有するヘテロアリール基、上記置換基の2種以上を有するヘテロアリール基等が挙げられる。
中でも、上記R1としては、炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、1以上の水酸基を有する炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基(炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基の水素原子の1以上を水酸基に置換したヒドロキシアルキル基)、1以上のビニルオキシ基を有する炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基(炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基の水素原子の1以上をビニルオキシ基に置換したビニルオキシアルキル基)、HO−(CH2CH2O)s−CH2CH2−(sは、オキシエチレン単位(CH2CH2O)の繰り返し数を表し、1〜4の整数を示す)若しくはCH2=CHO−(CH2CH2O)s−CH2CH2−(sは前記に同じ)で表されるポリオキシエチレン残基が好ましく、特に、パラジウム錯体の原料としてのビニルエーテル化合物を容易に入手可能である点で、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数3〜6のシクロアルキル基が好ましい。
本発明のパラジウム錯体は、式(1)で表されるパラジウム錯体であり、より具体的には、下記式(1')で表される構造(錯体構造)を有する。本発明のパラジウム錯体は、下記式(1')で表される構造を有することにより、高い耐熱性と、ビニル交換反応に対する高い触媒能を発揮する。
Figure 2013005621
本発明のパラジウム錯体は、下記式(2)で表される二価のパラジウム錯体、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子(含窒素二座配位子)、及び下記式(3)で表されるビニルエーテル化合物を、酸素の存在下で反応させる工程(「反応工程」と称する)を含む方法により製造することができる。
Figure 2013005621
Figure 2013005621
また、本発明のパラジウム錯体は、特に、上記式(2)で表される二価のパラジウム錯体におけるnが1以上の整数であって、なおかつLが分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子である場合には、上記式(2)で表される二価のパラジウム錯体、及び下記式(3)で表されるビニルエーテル化合物を、酸素の存在下で反応させる工程(反応工程)を含む方法により製造することができる。
式(2)中、X1、X2はそれぞれ、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。上記X1及びX2は、同一であってもよいし異なっていてもよい。上記アシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基としては、例えば、上述の式(1)中のXとして例示したものなどが挙げられる。上記X1又はX2は、式(1)中のXを構成する。
式(2)中、Lは、分子内に窒素原子を1個以上有する単座配位子(含窒素単座配位子)、又は分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子(含窒素二座配位子)を示す。上記含窒素単座配位子とは、分子内に窒素原子を1個以上有し、これらの窒素原子の1個がパラジウム(パラジウム金属)との間に配位結合を形成して単座配位することで錯体を形成し得る化合物である。上記含窒素単座配位子としては、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、アンモニア、アミン化合物(イミダゾールやイミダゾリンなどの環状アミン化合物も含む)、ピリジン等の芳香族性複素環化合物などが挙げられる。また、上記含窒素二座配位子としては、例えば、上述の式(1)中のL1として例示したもの(特に、ビピリジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体)などが挙げられる。
式(2)中、nは0以上の整数を表す。即ち、式(2)で表される二価のパラジウム錯体は、Lを有していてもよいし、有していなくてもよい。nとしては、特に限定されないが、例えば、0〜4が好ましく、より好ましくは0〜2である。なお、nが2以上の整数である場合、それぞれのLは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
特に、式(2)中のLが含窒素二座配位子(例えば、ビピリジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体)であり、なおかつnが1以上の整数である場合は、上述のように、反応工程において含窒素二座配位子を使用しなくても本発明のパラジウム錯体を生成させることが可能である。但し、このような場合であっても、反応工程において含窒素二座配位子を使用してもよい。
式(2)で表される二価のパラジウム錯体としては、特に、入手が容易である点で、例えば、酢酸パラジウム[Pd(OAc)2]、トリフルオロ酢酸パラジウム[Pd(OCOCF32]、メタンスルホン酸パラジウム[Pd(OSO2CH32]、トルエンスルホン酸パラジウム[Pd(OSO264CH32]、塩化パラジウム[PdCl2]、臭化パラジウム[PdBr2]、ヨウ化パラジウム[PdI2]、ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)ジクロリド[PdCl2(CH3CN)2]、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリド[PdCl2(C65CN)2]、テトラフルオロほう酸テトラキス(アセトニトリル)パラジウム(II)[Pd(BF42(CH3CN)4]、1,10−フェナントロリンパラジウムジクロリド、1,10−フェナントロリンパラジウムジアセテート、2,2'−ビピリジンパラジウムジクロリド、2,2'−ビピリジンパラジウムジアセテートなどが好ましい。
上記反応工程において反応物として使用する含窒素二座配位子としては、例えば、上述の式(1)中のL1として例示したものが挙げられ、特に、ビピリジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体が好ましく、より好ましくは2,2'−ビピリジン、1,10−フェナントロリンである。
式(3)中のR1は、前記に同じ(式(1)におけるR1と同じ)であり、具体的には、上述の例が挙げられる。
式(3)で表されるビニルエーテル化合物としては、特に、入手が容易である点で、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ノルマルプロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ノルマルブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルなどが好ましい。
本発明のパラジウム錯体の製造方法の反応工程においては、式(2)で表される二価のパラジウム錯体、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子、及び式(3)で表されるビニルエーテル化合物(又は、式(2)で表される二価のパラジウム錯体、及び式(3)で表されるビニルエーテル化合物)の反応を溶液中で進行させることが好ましい。即ち、上記溶液は、式(2)で表される二価のパラジウム錯体、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子、及び式(3)で表されるビニルエーテル化合物(又は、式(2)で表される二価のパラジウム錯体、及び式(3)で表されるビニルエーテル化合物)を少なくとも含む溶液(「錯体調製用溶液」と称する場合がある)である。
本発明のパラジウム錯体の製造方法においては、上記錯体調製用溶液を得るために、溶媒を使用してもよい。上記溶媒としては、特に限定されないが、本発明のパラジウム錯体の生成反応に関与しないものが好ましく、具体的には、例えば、ヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、トルエン、ベンゼンメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。溶媒は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、本発明のパラジウム錯体の製造方法は、溶媒を使用することなく実施することもできる(即ち、上記錯体調製用溶液は溶媒を含まなくてもよい)。
上記分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子(含窒素二座配位子)の使用量は、特に限定されないが、式(2)で表される二価のパラジウム錯体1モルに対して、1〜200モルが好ましく、より好ましくは1.5〜100モル、さらに好ましくは3〜15モルである。使用量が1モル未満であると、式(1)で表されるパラジウム錯体の生成が不十分となる場合がある。一方、使用量が200モルを超えると、コスト面で不利となる場合がある。なお、上述のように、式(2)中のLが含窒素二座配位子であり、なおかつnが1以上の整数である場合は、含窒素二座配位子を使用しなくてもよい。
上記式(3)で表されるビニルエーテル化合物の使用量は、特に限定されないが、式(2)で表される二価のパラジウム錯体1モルに対して、1〜300モルが好ましく、より好ましくは5〜200モル、さらに好ましくは10〜100モル、特に好ましくは5〜100モルである。使用量が1モル未満であると、式(1)で表されるパラジウム錯体の生成が不十分となる場合がある。一方、使用量が300モルを超えると、コスト面で不利となる場合がある。
本発明のパラジウム錯体の製造方法においては、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、公知乃至慣用の添加剤を使用することもできる。
上記反応工程においては、式(2)で表される二価のパラジウム錯体、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子、及び式(3)で表されるビニルエーテル化合物(又は、式(2)で表される二価のパラジウム錯体、及び式(3)で表されるビニルエーテル化合物)を、酸素(酸素分子)の存在(共存)下で反応させる必要がある。酸素を存在させる方法としては、上記錯体調製用溶液中で酸素をバブリングさせる方法、反応器の気相部に酸素を存在させる方法、過酸化水素、過酢酸、過硫酸、メタクロロ過安息香酸等の過酸、ターシャリーブチルハイドロパーオキシド等の有機過酸化物などの、酸素分子を発生しうる化合物を共存させる方法などが挙げられるが、酸素を共存させることができればよく、特に限定されない。酸素をバブリングさせたり、反応器の気相部に酸素を存在させる場合には、純酸素を使用してもよいし、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの酸素以外のガスで希釈された混合ガスを使用してもよい。なお、上記混合ガス中の酸素の濃度は、特に限定されないが、安全上の観点からは、10%(体積%)以下とするのが望ましい。なお、上記反応工程において酸素(酸素分子)は、上記式(3)で表されるビニルエーテル化合物と反応することによって、式(1)で表される本発明のパラジウム錯体中の「CH2COOR1」構造を生成させる役割を担う。
上記反応工程は、20〜60℃の温度で0.3時間以上反応させる第1反応工程と、上記第1反応工程の後、さらに40〜120℃の温度で0.3時間以上反応させる第2反応工程とを含み、なおかつ反応全体を通して反応温度が120℃以下に制御された工程である。このような反応工程を経ることにより、本発明のパラジウム錯体を得ることができる。
上記第1反応工程における温度(反応温度:T1)は、20〜60℃であればよく、特に限定されないが、25〜55℃が好ましく、より好ましくは30〜50℃である。また、第1反応工程における反応時間は、0.3時間以上であればよく、特に限定されないが、0.3〜18時間が好ましく、より好ましくは0.5〜15時間、さらに好ましくは0.8〜10時間である。第1反応工程における反応温度(T1)が20℃未満、又は、第1反応工程における反応時間が0.3時間未満であると、第1反応工程での錯体形成が不十分となるために、第2反応工程以後に黒色沈殿を生じやすく、本発明のパラジウム錯体の収率が低下し、さらに当該黒色沈殿を除去することが困難となる場合がある。第1反応工程における反応温度(T1)が60℃を超える場合も同様である。なお、反応温度T1は、第1反応工程において常に一定(実質的に一定)としてもよいし、20〜60℃の範囲で連続的若しくは段階的に昇温又は降温させてもよい。
上記第2反応工程における温度(反応温度:T2)は、40〜120℃であればよく、特に限定されないが、50〜110℃が好ましく、より好ましくは60〜100℃である。また、第2反応工程における反応時間は、0.3時間以上であればよく、特に限定されないが、0.3〜18時間が好ましく、より好ましくは0.5〜15時間、さらに好ましくは0.8〜10時間である。第2反応工程における反応温度(T2)が40℃未満、又は、第2反応工程における反応時間が0.3時間未満であると、パラジウム錯体の形成が不十分となり、本発明のパラジウム錯体の収率が低下する場合がある。また、第2反応工程における反応温度(T2)が120℃を超えると、加熱により黒色沈殿を生じやすいため、望ましくない。なお、反応温度T2は、第2加熱工程において常に一定(実質的に一定)としてもよいし、40〜120℃の範囲で連続的若しくは段階的に昇温又は降温させてもよい。
上記第1反応工程における反応温度T1と、上記第2反応工程における反応温度T2とは、同じ温度(実質的に同じ温度)であってもよいし、異なる温度であってもよい。特に、本発明のパラジウム錯体の収率を向上させる観点では、反応温度T2が反応温度T1よりも高い温度であることが好ましい。なお、「反応温度T2が反応温度T1よりも高い温度である」とは、第2反応工程における反応温度T2の最小値が、第1反応工程における反応温度T1の最高値よりも高いことを意味する。
なお、反応温度T1と反応温度T2がともに40〜60℃の範囲にある場合、第1反応工程と第2反応工程とを明確に区別することはできないが、上記反応工程において40〜60℃の温度で反応させる時間が合計で0.6時間以上ある場合には、上記反応工程は、第1反応工程(20〜60℃の温度で0.3時間以上反応させる工程)と第2反応工程(40〜120℃の温度で0.3時間以上反応させる工程)とを含むものとする。
上記反応工程は、上記第1反応工程と第2反応工程以外の反応工程を含んでいてもよいが、上記反応工程における反応温度は、反応全体を通して(反応工程全体にわたって)120℃以下に制御される。特に限定されないが、上記反応工程は反応全体を通して、反応温度が115℃以下に制御されることが好ましく、より好ましくは110℃以下である。120℃を超える温度で反応を行うと、本発明のパラジウム錯体を得ることが困難となる。
さらに、上記反応工程の第1反応工程の前には、該第1反応工程における反応温度T1の上限である60℃を超える温度で反応させる(加熱する)工程が含まれないことが好ましい。
なお、本発明のパラジウム錯体の製造方法は、上記反応工程以外にも、例えば、本発明のパラジウム錯体を単離、精製する工程等の他の工程を含んでいてもよい。
上述の製造方法(本発明のパラジウム錯体の製造方法)により、本発明のパラジウム錯体を得ることができる。本発明のパラジウム錯体は、上記製造方法により得られた反応生成物(例えば、本発明のパラジウム錯体及びその原料等を含む溶液)から単離することなく使用することもできるし、公知乃至慣用の精製手法(例えば、再結晶、減圧留去、蒸留、クロマトグラフィー等)を利用して単離したものを使用することもできる。特に、本発明のパラジウム錯体を固体として単離することによって、ビニル交換反応を阻害する不純物等が低減され、なおかつ取り扱いが容易な、ビニル交換反応用固体状パラジウム錯体触媒を得ることができる。
推定される本発明のパラジウム錯体の生成機構を以下に示す。なお、式(2)で表される二価のパラジウム錯体として酢酸パラジウム[Pd(OAc)2]を用い、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子として2,2'−ビピリジンを用い、式(3)で表されるビニルエーテル化合物として、ノルマルプロピルビニルエーテルを用いた場合の例を示すが、他の原料を用いた場合も同様の機構で本発明のパラジウム錯体の生成反応が進行するものと考えられる。
Figure 2013005621
[本発明のビニルエーテル化合物の製造方法]
本発明のパラジウム錯体を、アルコール化合物(水酸基を有する化合物)の水酸基の水素原子とビニルエーテル化合物(ビニルエーテル基を有する化合物)のビニル基とを交換して新たなビニルエーテル化合物を生成させるビニル交換反応の触媒(ビニル交換反応用触媒)として用いることにより、目的のビニルエーテル化合物を高収率で得ることができる。本明細書では、本発明のパラジウム錯体を用いたビニル交換反応によってビニルエーテル化合物を生成させる方法を、「本発明のビニルエーテル化合物の製造方法」と称する場合がある。
即ち、本発明のビニルエーテル化合物の製造方法は、具体的には、本発明のパラジウム錯体の存在下、下記式(4)で表されるアルコール化合物と下記式(5)で表されるビニルエーテル化合物とを反応させ、下記式(6)で表されるビニルエーテル化合物を生成させる方法である。
Figure 2013005621
Figure 2013005621
Figure 2013005621
式(4)中のR2は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基(有機残基)を示す。上記R2における有機基としては、本発明のビニルエーテル化合物の製造方法におけるビニル交換反応に対し非反応性であり、なおかつ式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基であればよく、特に限定されないが、例えば、炭化水素基及び/又は複素環式基を含有する有機基などが挙げられる。
上記炭化水素基及び複素環式基には、置換基を有する炭化水素基及び複素環式基も含まれる。上記炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらの基が結合した基が含まれる。
上記脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜3)のアルキル基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基などの炭素数2〜20(好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜3)のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基などの炭素数2〜20(好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜3)のアルキニル基などが挙げられる。上記脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好ましくは5〜8員)のシクロアルキル基;シクロペンテニル基、シクロへキセニル基などの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好ましくは5〜8員)のシクロアルケニル基;パーヒドロナフタレン−1−イル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−3−イル基などの橋かけ環式炭化水素基などが挙げられる。上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などの炭素数6〜14(好ましくは6〜10)の芳香族炭化水素基が挙げられる。上記脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とが結合した基としては、例えば、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、2−シクロヘキシルエチル基などのシクロアルキル−アルキル基(例えば、C3-20シクロアルキル−C1-4アルキル基など)などが挙げられる。また、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した基には、例えば、アラルキル基(例えば、C7-18アラルキル基など)、アルキル置換アリール基(例えば、1〜4個程度のC1-4アルキル基が置換したフェニル基又はナフチル基など)などが挙げられる。
上記炭化水素基は、種々の置換基、例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基など)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基などを有していてもよい。上記ヒドロキシル基やカルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基(例えば、アシル基、アルコキシカルボニル基、有機シリル基、アルコキシアルキル基、オキサシクロアルキル基など)で保護されていてもよい。また、脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基の環には芳香族性又は非芳香族性の複素環が縮合していてもよい。
上記置換又は無置換カルバモイル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基、若しくはアセチル基、ベンゾイル基等のアシル基等を有するカルバモイル基、又は無置換カルバモイル基などが挙げられる。また、上記置換又は無置換アミノ基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基等を有するアミノ基、もしくは、無置換アミノ基等が挙げられる。
上記複素環式基を構成する複素環には、芳香族性複素環及び非芳香族性複素環が含まれる。このような複素環としては、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、オキシラン環などの3員環、オキセタン環などの4員環、フラン、テトラヒドロフラン、オキサゾール、γ−ブチロラクトン環などの5員環、4−オキソ−4H−ピラン、テトラヒドロピラン、モルホリン環などの6員環、ベンゾフラン、4−オキソ−4H−クロメン、クロマン環などの縮合環、3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン環、3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン環などの橋かけ環)、ヘテロ原子として硫黄原子を含む複素環(例えば、チオフェン、チアゾール、チアジアゾール環などの5員環、4−オキソ−4H−チオピラン環などの6員環、ベンゾチオフェン環などの縮合環など)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール環などの5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン環などの6員環、インドール、インドリン、キノリン、アクリジン、ナフチリジン、キナゾリン、プリン環などの縮合環など)などが挙げられる。上記複素環式基には、上記炭化水素基が有していてもよい置換基のほか、アルキル基(例えば、メチル、エチル基などのC1-4アルキル基など)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基など)などの置換基を有していてもよい。また、複素環を構成する窒素原子は、慣用の保護基(例えば、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アラルキル基、アシル基、アリールスルホニル基、アルキルスルホニル基など)により保護されていてもよい。
上記R2は、1又は2以上の炭化水素基及び/又は複素環式基と、1又は2以上の連結基とで構成された有機基であってもよい。上記連結基としては、例えば、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−CONH−)、カルボニル基(−CO−)、これらが2以上結合した基などが挙げられる。
式(4)中のpは1以上の整数を示す。pとしては、特に限定されないが、例えば、1〜4の範囲から適宜選択することができる。
式(4)で表されるアルコール化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、へプタノール、オクタノール、アリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、3−メチルオキセタン−3−イルメタノール、3−エチルオキセタン−3−イルメタノール等の水酸基を1つ有するアルコール(即ち、式(4)のpが1であるアルコール);エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタン、オキセタンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンと3−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンの混合物(ONB)、1,6−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の2以上の水酸基を有するアルコール(即ち、式(4)のpが2以上の整数であるアルコール)などが挙げられる。
式(5)中のR3〜R5(R3、R4、R5)は、同一又は異なって、水素原子若しくは式中に示される炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。上記有機基としては、ビニル交換反応を阻害せず、なおかつ式中に示される炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基であればよく、特に限定されないが、例えば、上記R2における有機基と同様のものが挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ブチル基(n−ブチル基)、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、デセニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基などのアリール基等が挙げられる。中でも、R3〜R5としては、水素原子が好ましく、特に、R3〜R5がいずれも水素原子であることがより好ましい。
式(5)中のR6は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。上記有機基としては、ビニル交換反応を阻害せず、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基であればよく、特に限定されないが、上記R2における有機基と同様のものが挙げられる。上記R6における有機基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基などが挙げられ、より具体的には、上記R3〜R5において例示したものと同様のものが挙げられる。
式(5)で表されるビニルエーテル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メチルイソプロペニルビニルエーテル、エチルイソプロペニルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル等が挙げられる。
上記式(4)で表されるアルコール化合物と式(5)で表されるビニルエーテル化合物の、本発明のパラジウム錯体の存在下での反応(ビニル交換反応)は、溶媒の存在下又は非存在下で実施することができる。上記溶媒としては、特に限定されないが、ビニル交換反応に対し非反応性の溶媒が好ましく、例えば、ヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、トルエン、エチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、塩化メチレン、クロロホルム、2−ブタノンなどが挙げられる。溶媒は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記式(5)で表されるビニルエーテル化合物の使用量は、反応物の種類等により異なり、特に限定されないが、式(4)で表されるアルコール化合物が有する水酸基1モルに対して、0.1〜100モルが好ましく、より好ましくは1〜50モル、さらに好ましくは2〜20モルである。使用量が0.1モル未満であると、目的のビニルエーテルの収量が低下する場合がある。一方、使用量が100モルを超えると、コスト面で不利となる場合がある。
本発明のパラジウム錯体の使用量は、反応物の種類や反応温度等により異なり、特に限定されないが、式(5)で表されるビニルエーテル化合物1モルに対して、0.0001〜50モルが好ましく、より好ましくは0.01〜10モル、さらに好ましくは0.1〜5モルである。使用量が0.0001モル未満であると、目的のビニルエーテルの収量が低下する場合がある。一方、使用量が50モルを超えると、コスト面で不利となる場合がある。
本発明のビニルエーテル化合物の製造方法においては、本発明のパラジウム錯体として、単離したもの(例えば、上述の本発明のパラジウム錯体の製造方法における反応工程の後、さらに単離することによって得られたパラジウム錯体)を用いることもできるし、本発明のパラジウム錯体を含む溶液(パラジウム錯体溶液)(例えば、上述の本発明のパラジウム錯体の製造方法における反応工程により得られたパラジウム錯体溶液)を用いることもできる。
本発明のビニルエーテル化合物の製造方法においては、式(4)で表されるアルコール化合物、式(5)で表されるビニルエーテル化合物、及び本発明のパラジウム錯体に加えて、さらに、本発明のパラジウム錯体を構成する分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子(含窒素二座配位子、特に、ビピリジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体)を添加してもよい。上記含窒素二座配位子のさらなる添加により、反応系中に本発明のパラジウム触媒をより有効に存在させることができ、さらに安定的にビニル交換反応を進行させやすい傾向がある。上記含窒素二座配位子の添加量(使用量)としては、特に限定されないが、本発明のパラジウム錯体1モルに対して、0モルを超え100モル以下とすることが好ましく、より好ましくは1〜80モルである。上記含窒素二座配位子を、本発明のパラジウム錯体に対して100モルを超えて添加した場合には、コスト面で不利となる場合がある。
本発明のビニルエーテル化合物の製造方法における反応温度(ビニル交換反応の反応温度)は、特に限定されないが、−10〜100℃が好ましく、より好ましくは0〜80℃である。反応温度が−10℃未満の場合には、十分な反応速度が得られない場合があり、100℃を超えると反応副生物の生成が促進されたり、パラジウム触媒が失活してしまう場合がある。なお、反応温度は、反応開始から反応終了まで実質的に一定に保持してもよいし、例えば、上記温度範囲で段階的に変更してもよい。
特に、本発明のビニルエーテル化合物の製造方法では、本発明のパラジウム錯体を触媒として用いることにより、例えば、反応速度を高めるためにより高い反応温度(例えば、60℃以上)とした場合であっても、黒色沈殿の生成や触媒の失活が生じにくいため、目的とするビニルエーテル化合物の生産性が向上する。
本発明のビニルエーテル化合物の製造方法における反応時間(ビニル交換反応を実施する反応時間)は、反応物の種類等によって異なり、特に限定されないが、例えば、0.6〜100時間の範囲から適宜選択することができる。
本発明のビニルエーテル化合物の製造方法における反応圧力(ビニル交換反応を実施する反応圧力)は、特に限定されず、常圧で行ってもよいし、減圧下又は加圧下で実施することもできる。特に、製造工程が煩雑とならない点で、常圧が好ましい。
本発明のビニルエーテル化合物の製造方法において、ビニル交換反応を実施する雰囲気は特に限定されず、不活性ガス(例えば、窒素など)中、空気中等のいずれの雰囲気においても実施することができる。
本発明のビニルエーテル化合物の製造方法は、特に限定されず、回分方式(バッチ式)、半回分方式、連続流通方式のいずれの方式によっても実施することができる。例えば、本発明のビニルエーテル化合物の製造方法を回分方式で実施する場合には、例えば、回分式の反応器に、式(4)で表されるアルコール化合物、式(5)で表されるビニルエーテル化合物、本発明のパラジウム錯体、及び必要に応じて、含窒素二座配位子や溶媒等を仕込み、さらに必要に応じて加熱、攪拌する方法等により実施することができる。
本発明のビニルエーテル化合物の製造方法は、例えば、ビニル交換反応の終了後に、式(6)で表されるビニルエーテル化合物を単離するための、溶媒の減圧留去、蒸留、再結晶、クロマトグラフィー等を行う精製工程などを含んでいてもよい。
本発明のビニルエーテル化合物の製造方法により、式(4)で表されるアルコール化合物の水酸基の少なくとも1つの水素原子が、式(5)で表されるビニルエーテル化合物のビニル基(R34C=CR5−)で置換(交換)された、式(6)で表されるビニルエーテル化合物が得られる。即ち、式(6)中のqは、1〜pの整数を示し、R2〜R5(R2、R3、R4、R5)は、前記に同じ(式(4)及び式(5)におけるR2〜R5と同じ)である。具体的には、例えば、pが1の場合は、qは1を示し、pが2の場合は、qは1又は2を示す。
式(6)で表されるビニルエーテル化合物は、医薬品や農薬等の精密化学品の原料、機能性樹脂(例えば、レジスト用樹脂、光学樹脂、透明樹脂、架橋樹脂等)の原料、カチオン重合用硬化剤等に適用することができる。
[本発明のパラジウム錯体の回収方法]
本発明のビニルエーテル化合物の製造方法によりビニルエーテル化合物を生成させた後には、ビニル交換反応後の反応溶液から本発明のパラジウム錯体を回収し、回収した該パラジウム錯体をビニルエーテル化合物の製造方法において使用(再使用)することができる。本発明のパラジウム錯体を回収する方法としては、特に限定されず、公知乃至慣用の触媒の回収方法を利用することができる。具体的には、例えば、特開平9−087224号公報には、パラジウムと窒素二座配位子と窒素化合物を触媒として用い、メチルビニルエーテルにエタノールを反応させてエチルビニルエーテルを製造する方法において、反応後の反応溶液から生成物のエチルビニルエーテル、原料のメチルビニルエーテル、エタノールを減圧留去により除去することによって、触媒を残渣として回収し、回収した触媒を反応に再使用する方法が開示されており、本発明も同様の方法によりパラジウム錯体を回収し、再使用することができる。
しかしながら、本発明のビニルエーテル化合物における生成物としてのビニルエーテル化合物が比較的高い沸点を有する場合には、反応溶液から減圧留去により生成物等を取り除く際の加熱により、本発明のパラジウム錯体が失活する場合がある。例えば、生成物としてのビニルエーテル化合物を減圧留去するために、高温(例えば、約90℃)で加熱した場合には、残渣が黒色に変化し、当該残渣を触媒として用いてビニル交換反応を実施しても全く触媒活性を示さないことが判明している。従って、このようなパラジウム錯体の触媒活性の低下を抑制する観点では、本発明のパラジウム錯体は、本発明のビニルエーテル化合物の製造方法により得られた反応溶液(本発明のパラジウム錯体の存在下、式(4)で表されるアルコール化合物と式(5)で表されるビニルエーテル化合物とを反応させ、式(6)で表されるビニルエーテル化合物を生成させた後の反応溶液)に対し、本発明のパラジウム錯体の良溶媒である水と、式(6)で表されるビニルエーテル化合物の良溶媒であり、且つ水と相分離する有機溶媒(以下、単に「有機溶媒」と称する場合がある)とを加え、次いで、水層を分離することにより回収する方法(「本発明のパラジウム錯体の回収方法」と称する場合がある)により回収することが好ましい。
上記反応溶液に添加する有機溶媒としては、式(6)で表されるビニルエーテル化合物の良溶媒であり、且つ水と相分離する有機溶媒であればよく、特に限定されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカンなどの脂肪族炭化水素(直鎖又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素);シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタンなどの脂環式炭化水素(環状の脂肪族炭化水素);トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。中でも、飽和脂肪族炭化水素が好ましく、より好ましくは炭素数5〜7の飽和脂肪族炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタンなど)である。
上記反応溶液に対して加える水の量は、特に限定されないが、反応溶液100重量部に対して、1〜200重量部が好ましく、より好ましくは10〜150重量部である。使用する水の量が1重量部未満であると、パラジウム錯体の回収率が低下する場合がある。一方、使用する水の量が200重量部を超えると、その後のビニル交換反応において水を除去する時間が長くなる等により、経済的に不利となる場合がある。
上記反応溶液に対して加える有機溶媒の量は、特に限定されないが、反応溶液100重量部に対して、1〜500重量部が好ましく、より好ましくは10〜200重量部である。使用する有機溶媒の量が1重量部未満であると、パラジウム錯体の回収率が低下する場合がある。一方、使用する有機溶媒の量が500重量部を超えると、設備面や有機溶媒費用などの点で経済的に不利となる場合がある。
上記反応溶液に対して加える水と有機溶媒の割合([水/有機溶媒]:重量基準)は、特に限定されないが、0.01/1〜10/1が好ましく、より好ましくは0.1/1〜3/1、より好ましくは0.15/1〜2/1である。使用する水と有機溶媒の割合が上記範囲を外れると、本発明のパラジウム錯体と生成物との分離の効率が低下する場合がある。
次いで、反応溶液に含まれる本発明のパラジウム錯体、原料(式(4)で表されるアルコール化合物、式(5)で表されるビニルエーテル化合物)、生成物(式(6)で表されるビニルエーテル化合物)、及び溶媒を水層と有機層とに分配させるために、反応溶液(水及び有機溶媒を加えた反応溶液)を攪拌することが好ましい。攪拌は、公知乃至慣用の攪拌器等を使用することができる。
その後、水及び有機溶媒を加えた反応溶液を静置したり遠心分離する等により、水層と有機層とに分液させる。本発明のパラジウム錯体は、水に対する溶解性が非常に高いため、大部分が水層に分配される。一方、原料である式(5)で表されるビニルエーテル化合物、生成物である式(7)で表されるビニルエーテル化合物は、有機溶媒に対する溶解性が高いため、大部分が有機層に分配される。従って、上記反応溶液から水層を分離することにより、本発明のパラジウム錯体を回収することができる。本発明のパラジウム錯体は、水溶液(分離した水層)の状態でそのまま次のビニル交換反応に使用(再使用)することもできるし、公知乃至慣用の方法(例えば、再結晶、カラムクロマトグラフィーなど)により水溶液から単離して使用することも可能である。なお、原料である式(6)で表されるアルコール化合物、溶媒、配位子等は、構造により水層、有機層のいずれに分配されるかが異なるが、これらが水層に分配された場合には、当該水層(水溶液)をそのまま次の反応に使用することができる。
本発明のパラジウム錯体の回収方法によると、容易にパラジウム錯体と生成物とを分離し、回収することができ、さらに、分離に際して熱を加える必要がないため、水層(水溶液)として回収したパラジウム錯体の活性低下が抑制される。本発明のパラジウム錯体の回収方法は、経済的に有利な方法である。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
[パラジウム錯体の調製]
30mLのフラスコに、酢酸パラジウム[Pd(OAc)2]0.405g(1.8mmol)、2,2'−ビピリジン[bpy]2.80g(18mmol)、及びノルマルプロパノール3.6g(61mmol)を入れ、酢酸パラジウムが溶解するまで室温で攪拌した。次に、ノルマルプロピルビニルエーテル12g(140mmol)を加えた後、120mL/分の流量で空気の液中バブリングを実施しながら、液温50℃で1時間加熱し(「第1加熱工程」とする)、次いで、液温を60℃に昇温して1時間加熱し、さらにその後、液温65℃で4時間還流させた(「第2加熱工程」とする)。この結果、得られた溶液(反応液)は赤色であり、黒色沈殿の生成は認められなかった。上記溶液を室温まで冷却した後、ロータリーエバポレーターを用いて、水浴温度40℃にて濃縮した。得られた濃縮液に酢酸エチル0.8g、及びアセトン0.4gを加えて黄色の結晶を析出させ、上記結晶を分離した後、酢酸エチル、アセトンで洗浄し、真空下で乾燥させて、パラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)]0.296g(0.70mmol、収率:39%)を得た。
上記で得られたパラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)]の1H−NMRスペクトルのピークは以下の通りである。
1H−NMR(DMSO、400MHz):δ0.85ppm(t、3H)、1.51ppm(q、2H)、1.93ppm(s、3H)、2.16ppm(s、2H)、3.80ppm(t、2H)、7.77ppm(t、2H)、8.29ppm(m、3H)、8.58ppm(d、2H)、8.94ppm(d、2H)
図1には、上記で得られたパラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)]のIRスペクトル(測定条件:KBr錠剤、透過、測定分解能4cm-1、スキャン回数16回、測定ゲイン2)のチャートを示す。
実施例2
[パラジウム錯体の調製]
ノルマルプロピルビニルエーテルの代わりに、ノルマルブチルビニルエーテル14g(140mmol)を使用したこと以外は実施例1と同様の操作を実施することにより、パラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C49)]を得た(収量:0.314g(0.72mmol)、収率:40%)。
上記で得られたパラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C49)]の1H−NMRスペクトルのピークは以下の通りである。
1H−NMR(DMSO、400MHz):δ0.82ppm(t、3H)、1.30ppm(q、2H)、1.47ppm(t、2H)、1.93ppm(s、3H)、2.16ppm(s、2H)、3.84ppm(t、2H)、7.77ppm(t、2H)、8.29ppm(m、3H)、8.58ppm(d、2H)、8.94ppm(d、2H)
実施例3
[パラジウム錯体の調製]
2,2'−ビピリジンの代わりに、1,10−フェナントロリン[phen]3.24g(18mmol)を使用したこと以外は実施例1と同様の操作を実施することにより、パラジウム錯体[Pd(OAc)(phen)(CH2COO−n−C37)]を得た(収量:0.273g(0.61mmol)、収率:34%)。
上記で得られたパラジウム錯体[Pd(OAc)(phen)(CH2COO−n−C37)]の1H−NMRスペクトルのピークは以下の通りである。
1H−NMR(DMSO、400MHz):δ0.85ppm(t、3H)、1.51ppm(q、2H)、2.01ppm(s、3H)、2.35ppm(s、2H)、3.83ppm(t、2H)、8.06ppm(m、2H)、8.18ppm(s、2H)、8.62ppm(d、1H)、8.85ppm(dd、2H)、9.22ppm(d、1H)
実施例4
[パラジウム錯体の調製]
ノルマルプロピルビニルエーテルの代わりに、ノルマルブチルビニルエーテル14g(140mmol)を使用し、さらに、2,2'−ビピリジンの代わりに、1,10−フェナントロリン3.24g(18mmol)を使用したこと以外は実施例1と同様の操作を実施することにより、パラジウム錯体[Pd(OAc)(phen)(CH2COO−n−C49)]を得た(収量:0.373g(0.81mmol)、収率:45%)。
上記で得られたパラジウム錯体[Pd(OAc)(phen)(CH2COO−n−C49)]の1H−NMRスペクトルのピークは以下の通りである。
1H−NMR(DMSO、400MHz):δ0.82ppm(t、3H)、1.30ppm(q、2H)、1.47ppm(t、2H)、2.01ppm(s、3H)、2.35ppm(s、2H)、3.87ppm(t、2H)、8.06ppm(m、2H)、8.18ppm(s、2H)、8.62ppm(d、1H)、8.85ppm(dd、2H)、9.22ppm(d、1H)
実施例5
[パラジウム錯体の調製]
ノルマルプロピルビニルエーテルの代わりに、イソプロピルビニルエーテル12g(140mmol)を使用したこと以外は実施例1と同様の操作を実施することにより、パラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−i−C37)]を得た(収量:0.312g(0.74mmol)、収率:41%)。
上記で得られたパラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−i−C37)]の1H−NMRスペクトルのピークは以下の通りである。
1H−NMR(DMSO、400MHz):δ1.14ppm(d、6H)、1.93ppm(s、3H)、2.16ppm(s、2H)、4.03ppm(m、1H)、7.77ppm(t、2H)、8.29ppm(m、3H)、8.58ppm(d、2H)、8.94ppm(d、2H)
実施例6
[パラジウム錯体の調製]
ノルマルプロピルビニルエーテルの代わりに、イソブチルビニルエーテル14g(140mmol)を使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を実施することにより、パラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−i−C49)]を得た(収量:0.252g(0.58mmol)、収率:32%)。
上記で得られたパラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−i−C49)]の1H−NMRスペクトルのピークは以下の通りである。
1H−NMR(DMSO、400MHz):δ0.92ppm(d、6H)、1.77ppm(m、1H)、1.93ppm(s、3H)、2.16ppm(s、2H)、3.40ppm(d、2H)、7.77ppm(t、2H)、8.29ppm(m、3H)、8.58ppm(d、2H)、8.94ppm(d、2H)
実施例7
[パラジウム錯体の調製]
ノルマルプロピルビニルエーテルの代わりに、イソプロピルビニルエーテル12g(140mmol)を使用し、さらに、2,2'−ビピリジンの代わりに、1,10−フェナントロリン3.24g(18mmol)を使用したこと以外は実施例1と同様の操作を実施することにより、パラジウム錯体[Pd(OAc)(phen)(CH2COO−i−C37)]を得た(収量:0.322g(0.72mmol)、収率:40%)。
上記で得られたパラジウム錯体[Pd(OAc)(phen)(CH2COO−i−C37)]の1H−NMRスペクトルのピークは以下の通りである。
1H−NMR(DMSO、400MHz):δ1.14ppm(d、6H)、2.01ppm(s、3H)、2.35ppm(s、2H)、4.03ppm(m、1H)、8.06ppm(m、2H)、8.18ppm(s、2H)、8.62ppm(d、1H)、8.85ppm(dd、2H)、9.22ppm(d、1H)
実施例8
[パラジウム錯体の調製]
ノルマルプロピルビニルエーテルの代わりに、イソブチルビニルエーテル14g(140mmol)を使用し、さらに、2,2'−ビピリジンの代わりに、1,10−フェナントロリン3.24g(18mmol)を使用したこと以外は実施例1と同様の操作を実施することにより、パラジウム錯体[Pd(OAc)(phen)(CH2COO−i−C49)]を得た(収量:0.357g(0.774mmol)、収率:43%)。
上記で得られたパラジウム錯体[Pd(OAc)(phen)(CH2COO−i−C49)]の1H−NMRスペクトルのピークは以下の通りである。
1H−NMR(DMSO、400MHz):δ0.92ppm(d、6H)、1.77ppm(m、1H)、2.01ppm(s、3H)、2.35ppm(s、2H)、3.40ppm(d、2H)、8.06ppm(m、2H)、8.18ppm(s、2H)、8.62ppm(d、1H)、8.85ppm(dd、2H)、9.22ppm(d、1H)
実施例1〜8にて得られたパラジウム錯体を表1に示す。
Figure 2013005621
実施例9
[パラジウム錯体の調製]
第1加熱工程における加熱温度を25℃、加熱時間を1時間とし、第2加熱工程における加熱温度を80℃、加熱時間を1時間に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を実施したところ、収率40%でPd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)を得た。なお、加熱の結果得られた溶液(反応液)は赤色であり、黒色沈殿の生成は見られなかった。結果を表2に示す。
実施例10
[パラジウム錯体の調製]
第1加熱工程における加熱温度を40℃、加熱時間を1時間とし、第2加熱工程における加熱温度を80℃、加熱時間を1時間に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を実施したところ、収率38%でPd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)を得た。なお、加熱の結果得られた溶液(反応液)は赤色であり、黒色沈殿の生成は見られなかった。結果を表2に示す。
実施例11
[パラジウム錯体の調製]
第1加熱工程における加熱温度を55℃、加熱時間を1時間とし、第2加熱工程における加熱温度を80℃、加熱時間を1時間に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を実施したところ、収率37%でPd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)を得た。なお、加熱の結果得られた溶液(反応液)は赤色であり、黒色沈殿の生成は見られなかった。結果を表2に示す。
実施例12〜20
[パラジウム錯体の調製]
第1加熱工程における加熱温度及び加熱時間、第2加熱工程における加熱温度及び加熱時間を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様の操作を実施して、Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)を調製した。結果を表2に示す。
Figure 2013005621
表2に示すように、反応工程における加熱条件(加熱温度及び加熱時間)を本発明の規定する範囲に制御した場合(実施例9〜20)には、得られたパラジウム錯体の溶液中に黒色沈殿が生じることなく、高い収率で目的とするパラジウム錯体を得ることができた。
実施例21
[ビニル交換反応]
ジムロート冷却管を備えた30mLの三口フラスコに、実施例1で得られたPd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)38.0mg(0.09mmol)、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタン0.36g(3mmol)、2,2'−ビピリジン0.186g(1.2mmol)、ノルマルプロピルビニルエーテル0.52g(6.0mmol)、及びテトラグライム0.73gを加え、65℃で6時間加熱してビニル交換反応を実施したところ、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンの転化率は87%、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンモノビニルエーテルの収率は49%、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンジビニルエーテルの収率は38%であった。
実施例22
[ビニル交換反応]
ジムロート冷却管を備えた30mLの三口フラスコに、酢酸パラジウム[Pd(OAc)2]27.3mg(0.12mmol)、2,2'−ビピリジン0.196g(1.2mmol)、ノルマルプロピルビニルエーテル0.71g(8.0mmol)、及びテトラグライム0.95gを加え、120mL/分の流量で空気の液中バブリングを実施しながら、液温50℃で1時間加熱し(第1加熱工程)、次いで、液温を60℃に昇温して1時間加熱した後、さらに液温65℃で4時間還流させて(第2加熱工程)、パラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)]を調製した。
このパラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)]を溶液中から取り出すことなく、以下の手順でビニル交換反応を実施した。
即ち、上記パラジウム錯体を含む溶液を窒素雰囲気下に置き、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタン0.48g(4mmol)を添加し、65℃で6時間加熱してビニル交換反応を実施したところ、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンの転化率は82%、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンモノビニルエーテルの収率は52%、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンジビニルエーテルの収率は29%であった。
実施例23
[ビニル交換反応]
ジムロート冷却管を備えた30mLの三口フラスコに、酢酸パラジウム[Pd(OAc)2]12.1mg(0.054mmol)、2,2'−ビピリジン0.0795g(0.509mmol)、ノルマルプロピルビニルエーテル0.31g(3.6mmol)、及びジメチルスルホキシド1.56gを加え、酸素8vol%・窒素92vol%の混合ガスを10mL/分の流量で液中バブリングさせながら、液温50℃で1時間加熱し(第1加熱工程)、次いで、液温を60℃に昇温して1時間加熱した後、さらに液温65℃で4時間還流させて(第2加熱工程)、パラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)]を調製した。
このパラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)]を溶液中から取り出すことなく、以下の手順でビニル交換反応を実施した。
即ち、上記パラジウム錯体を含む溶液に、1,4−シクロヘキサンジオール1.99g(17.1mmol)及びノルマルプロピルビニルエーテル14.6g(170mmol)を添加し、酸素8vol%・窒素92vol%の混合ガスを10mL/分の流量で液中バブリングさせながら、65℃で16.5時間加熱して、還流状態でビニル交換反応を実施した。反応中の反応液の溶存酸素濃度((株)ハック・ウルトラ製 マイクロロガー酸素計 型番:3650で測定)は2ppm以下であった。反応の結果、1.4−シクロヘキサンジオールの転化率は71%、1,4−シクロヘキサンジオールモノビニルエーテルの収率は36%、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテルの収率は33%であった。
実施例24
[ビニル交換反応]
ジムロート冷却管を備えた30mLの三口フラスコに、酢酸パラジウム[Pd(OAc)2]118mg(0.52mmol)、2,2'−ビピリジン0.813g(5.2mmol)、ノルマルプロピルビニルエーテル2.98g(34.6mmol)、及びジグライム4.29gを加え、酸素8vol%・窒素92vol%の混合ガスを10mL/分の流量で液中バブリングさせながら、液温50℃で1時間加熱し(第1加熱工程)、次いで、液温を60℃に昇温して1時間加熱した後、さらに液温65℃で4時間還流させて(第2加熱工程)、パラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)]を調製した。
このパラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)]を溶液中から取り出すことなく、以下の手順でビニル交換反応を実施した。
即ち、上記パラジウム錯体を含む溶液に、2−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンと3−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンの混合物(ONB)2.6g(18.1mmol)、及びノルマルプロピルビニルエーテル12.1g(140mmol)を添加し、酸素8vol%・窒素92vol%の混合ガスを10mL/分の流量で液中バブリングさせながら、65℃で11時間加熱して、還流状態でビニル交換反応を実施した。反応中の反応液の溶存酸素濃度((株)ハック・ウルトラ製 マイクロロガー酸素計 型番:3650で測定)は2ppm以下であった。反応の結果、ONBの転化率は95%、ONBのモノビニルエーテルの収率は57%、ONBのジビニルエーテルの収率は38%であった。
実施例25
[ビニル交換反応]
ジムロート冷却管を備えた30mLの三口フラスコに、酢酸パラジウム[Pd(OAc)2]11.4mg(0.051mmol)、2,2'−ビピリジン0.0807g(0.52mmol)、ノルマルプロピルビニルエーテル0.29g(3.4mmol)、及びジグライム1.54gを加え、酸素8vol%・窒素92vol%の混合ガスを10mL/分の流量で液中バブリングさせながら、液温50℃で1時間加熱し(第1加熱工程)、次いで、液温を60℃に昇温して1時間加熱した後、さらに液温65℃で4時間還流させて(第2加熱工程)、パラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)]を調製した。
このパラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)]を溶液中から取り出すことなく、以下の手順でビニル交換反応を実施した。
即ち、上記パラジウム錯体を含む溶液に、1,4−シクロヘキサンジメタノール2.5g(17.3mmol)、及びノルマルプロピルビニルエーテル14.4g(167mmol)を添加し、酸素8vol%・窒素92vol%の混合ガスを10mL/分の流量で液中バブリングさせながら、65℃で16.5時間加熱して、還流状態でビニル交換反応を実施した。反応中の反応液の溶存酸素濃度((株)ハック・ウルトラ製 マイクロロガー酸素計 型番3650で測定)は、2ppm以下であった。反応の結果、1,4−シクロヘキサンジメタノールの転化率は99%、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルの収率は26%、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルの収率は73%であった。
比較例1
[ビニル交換反応]
ジムロート冷却管を備えた30mLの三口フラスコに、酢酸パラジウム[Pd(OAc)2]27.3mg(0.12mmol)、2,2'−ビピリジン0.196g(1.2mmol)、ノルマルプロピルビニルエーテル0.71g(8.0mmol)、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタン0.48g(4mmol)、及びテトラグライム0.95gを加えて、窒素雰囲気下にて65℃で6時間加熱してビニル交換反応を実施したところ、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンの転化率は72%、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンモノビニルエーテルの収率は56%、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンジビニルエーテルの収率は17%であった。また、反応後の溶液中には黒色沈殿が生成していた。
実施例26
[パラジウム錯体の回収及びリサイクル]
(1回目のビニル交換反応)
ジムロート冷却管及びディーンスターク脱水器を備えた30mLの三口フラスコに、酢酸パラジウム[Pd(OAc)2]0.3g(1.20mmol)、2,2'−ビピリジン1.9g(12mmol)、ノルマルプロピルビニルエーテル0.71g(8.0mmol)、及びテトラグライム10.4gを加え、空気を120mL/分の流量で液中バブリングさせながら、液温50℃で1時間加熱し(第1加熱工程)、次いで、液温を60℃に昇温して1時間加熱した後、さらに液温65℃で4時間還流させて(第2加熱工程)、パラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)]を調製した。
次に、このパラジウム錯体[Pd(OAc)(bpy)(CH2COO−n−C37)]を溶液中から取り出すことなく、以下の手順でビニル交換反応を実施した。即ち、上記パラジウム錯体を含む溶液を窒素雰囲気下に置き、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタン4.7g(39.8mmol)、及びノルマルプロピルビニルエーテル6.9g(80.2mmol)を添加し、酸素8vol%・窒素92vol%の混合ガスを130mL/分の流量で液中バブリングさせながら、70℃で24時間加熱して、還流状態でビニル交換反応を実施した。反応中の反応液の溶存酸素濃度((株)ハック・ウルトラ製 マイクロロガー酸素計 型番3650で測定)は、2ppm以下であった。なお、反応中は、副生するノルマルプロピルアルコールを系外に留去させるために、ノルマルプロピルビニルエーテルと共沸させてディーンスターク脱水器より抜き取り、反応液量が変わらないように、抜き取った液重量分のノルマルプロピルビニルエーテルを反応器に追加した。反応開始から8時間後、16時間後、24時間後に反応溶液をサンプリングし、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンジビニルエーテルの収率をガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製「GC−2010」)を用いて測定、算出したところ、それぞれ44%、71%、82%であった。
収率(%)=100×[生成した3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンジビニルエーテルの量(mol)]/[仕込んだ3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンの量(mol)]
上記で得られた反応溶液(黄色溶液)24gを放冷後、ヘキサン8g及び水2.6gを添加し、攪拌した。その後、静置したところ二層(上層:有機層、下層:水層)に分離した。上層(有機層)及び下層(水層)をそれぞれ分析したところ、上層には、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンジビニルエーテル、下層には、パラジウム錯体、テトラグライム、2,2'−ビピリジンが主に含まれており、それぞれの回収率をガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製「GC−2010」)(但し、パラジウム錯体については、ICPプラズマ発光分析装置((株)島津製作所製「ICP−S−7510」)を用いて測定した)により算出したところ、上層における3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンジビニルエーテルの回収率は97.4%であり、下層におけるパラジウム錯体の回収率は80.1%、テトラグライムの回収率は29.2%、2,2'−ビピリジンの回収率は21.6%であった。
なお、上層(有機層)、下層(水層)における各成分の回収率は、下記式により算出した。各層中に存在する各成分の量(重量)は、上記装置により、検量線法にて各層(溶液)中の各成分濃度を測定、算出し、各層(溶液)の重量から各成分の重量を算出した。以下も同様である。
・水層における回収率(%)=100×[水層中の各成分量(mol)]/([有機層中の各成分量(mol)]+[水層中の各成分量(mol)])
・有機層における回収率(%)=100×[有機層中の各成分量(mol)]/([水層中の各成分量(mol)]+[有機層中の各成分量(mol)])
(2回目のビニル交換反応:パラジウム触媒のリサイクル1回目)
ジムロート冷却管及びディーンスターク脱水器を備えた30mLの三口フラスコに、上記1回目のビニル交換反応において得られた下層(水層)6.09g、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタン2.4g(20.3mmol)、テトラグライム3.1g、2,2'−ビピリジン0.7g(4.5mmol)、及びノルマルプロピルビニルエーテル3.8g(44.7mmol)を加え、酸素8vol%・窒素92vol%の混合ガスを130mL/分の流量で液中バブリングさせながら、70℃で24時間加熱して、還流状態でビニル交換反応を実施した。反応中の反応液の溶存酸素濃度((株)ハック・ウルトラ製 マイクロロガー酸素計 型番3650で測定)は、2ppm以下であった。なお、反応開始時には反応液が2層に分液していたので、反応中は、ノルマルプロピルビニルエーテルを追加しながら、水を共沸留去した。ノルマルプロピルビニルエーテルの追加量は、留出したノルマルプロピルビニルエーテルの量(重量)と合わせるように調整した。また、副生するノルマルプロピルアルコールを系外留去させるために、ノルマルプロピルビニルエーテルと共沸させてディーンスターク脱水器より抜き取り、反応液量が変わらないように、抜き取った液重量分のノルマルプロピルビニルエーテルを反応器に追加しながら反応を実施した。反応開始から8時間後、16時間後、24時間後に反応溶液をサンプリングし、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンジビニルエーテルの収率を、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製「GC−2010」)を用いて1回目のビニル交換反応と同様に測定、算出したところ、それぞれ48%、66%、76%であった。
上記で得られた反応溶液(黄色から茶色の溶液)13.8gを放冷後、ヘキサン13.8g及び水2.23gを添加し、攪拌した。その後、静置したところ二層(上層:有機層、下層:水層)に分離した。上層(有機層)及び下層(水層)をそれぞれ分析したところ、上層には、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンジビニルエーテル、下層には、パラジウム錯体、テトラグライム、2,2'−ビピリジンが主に含まれており、それぞれの回収率をガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製「GC−2010」)(但し、パラジウム錯体については、ICPプラズマ発光分析装置((株)島津製作所製「ICP−S−7510」)を用いて測定した)により算出したところ、上層における3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンジビニルエーテルの回収率は95.6%であり、下層におけるパラジウム錯体の回収率は96.8%、テトラグライムの回収率は47.4%、2,2'−ビピリジンの回収率は32.6%であった。
(3回目のビニル交換反応:パラジウム触媒のリサイクル2回目)
ジムロート冷却管及びディーンスターク脱水器を備えた30mLの三口フラスコに、上記2回目のビニル交換反応において得られた下層(水層)9.87g、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタン2.4g(20.3mmol)、テトラグライム2.7g、及び2,2'−ビピリジン0.6g(4.1mmol)、及びノルマルプロピルビニルエーテル3.5g(41.5mmol)を加え、酸素8vol%・窒素92vol%の混合ガスを130mL/分の流量で液中バブリングさせながら、70℃で24時間加熱して、還流状態でビニル交換反応を実施した。反応中の反応液の溶存酸素濃度((株)ハック・ウルトラ製 マイクロロガー酸素計 型番3650で測定)は、2ppm以下であった。なお、反応中は、リサイクル1回目と同様に、ノルマルプロピルビニルエーテルを追加しながら、水を共沸留去した。ノルマルプロピルビニルエーテルの追加量は留出したノルマルプロピルビニルエーテルの量(重量)と合わせるように調整した。また、副生するノルマルプロピルアルコールを系外留去させるために、ノルマルプロピルビニルエーテルと共沸させてディーンスターク脱水器より抜き取り、反応液量が変わらないように、抜き取った液重量分のノルマルプロピルビニルエーテルを反応器に追加しながら反応を実施した。反応開始から8時間後、16時間後、24時間後に反応溶液をサンプリングし、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンジビニルエーテルの収率を、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製「GC−2010」)を用いて1回目のビニル交換反応と同様に測定したところ、それぞれ17%、41%、53%であった。
上記で得られた反応溶液(茶色溶液)13.7gを放冷後、水13.7g及びヘキサン13.7gを添加し、攪拌した。その後、静置したところ二層(上層:有機層、下層:水層)に分離した。上層(有機層)及び下層(水層)をそれぞれ分析したところ、上層には、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンジビニルエーテル、下層には、パラジウム錯体、テトラグライム、2,2'−ビピリジンが主に含まれており、それぞれの回収率をガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製「GC−2010」)(但し、パラジウム錯体については、ICPプラズマ発光分析装置((株)島津製作所製「ICP−S−7510」)を用いて測定した)により算出したところ、上層における3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンジビニルエーテルの回収率は96.1%であり、下層におけるパラジウム錯体の回収率は94.3%、テトラグライムの回収率は92.3%、2,2'−ビピリジンの回収率は34.3%であった。
(4回目のビニル交換反応:パラジウム触媒のリサイクル3回目)
ジムロート冷却管及びディーンスターク脱水器を備えた30mLの三口フラスコに、上記3回目のビニル交換反応において得られた下層(水層)6.39g、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタン1.7g(14.6mmol)、2,2'−ビピリジン0.5g(2.9mmol)、及びノルマルプロピルビニルエーテル2.8g(32.2mmol)を加え、酸素8vol%・窒素92vol%の混合ガスを130mL/分の流量で液中バブリングさせながら、70℃で42時間加熱して、還流状態でビニル交換反応を実施した。反応中の反応液の溶存酸素濃度((株)ハック・ウルトラ製 マイクロロガー酸素計 型番3650で測定)は、2ppm以下であった。なお、反応中は、リサイクル1回目、2回目と同様にノルマルプロピルビニルエーテルを追加しながら、水を共沸留去した。ノルマルプロピルビニルエーテルの追加量は留出したノルマルプロピルビニルエーテルの量(重量)と合わせるように調整した。また、副生するノルマルプロピルアルコールを系外留去させるために、ノルマルプロピルビニルエーテルと共沸させてディーンスターク脱水器より抜き取り、反応液量が変わらないように、抜き取った液重量分のノルマルプロピルビニルエーテルを反応器に追加しながら反応を実施した。反応開始から8時間後、16時間後、24時間後、32時間後、42時間後に反応溶液をサンプリングし、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンジビニルエーテルの収率を、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製「GC−2010」)を用いて1回目のビニル交換反応と同様に測定したところ、それぞれ0%、5%、26%、42%、55%であった。
上記のように、リサイクル3回目のパラジウム錯体を使用した場合でも、ビニル交換反応は進行した。なお、3回目のビニル交換反応及び4回目のビニル交換反応においては、それぞれ加熱開始から反応が開始するまでに一定の時間(誘導期)が存在していたが、これは、リサイクルしたパラジウム錯体を含む溶液が水を含んでいたため、反応溶液中の水が共沸して系外に除去され、パラジウム錯体が反応基質と接触できるようになるまでの時間に対応しているものと推測される。現に、3回目のビニル交換反応と4回目のビニル交換反応を比較すると、反応開始時の反応溶液中の水の量が多い4回目のビニル交換反応の方が上記誘導期が長いという結果が得られた。
比較例2
実施例26の1回目のビニル交換反応と同様の手順でビニル交換反応を行った後、反応終了後の反応溶液(黄色溶液)について、液温89℃、90Paの条件で単蒸留し、反応溶液から生成物である3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンジビニルエーテルを濃縮留去させた。3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンジビニルエーテルを留去した後の反応溶液は黒色に変化していた。
上記で得られた黒色の反応溶液を触媒溶液として使用し、実施例26の2回目のビニル交換反応と同様の手順でビニル交換反応を行ったが、ビニル交換反応は全く進行しなかった。
本発明のパラジウム錯体は、高温で反応を実施した場合でも失活しにくく、高い耐熱性を有し、また、ビニル交換反応に対して高い活性を有する。このため、本発明のパラジウム錯体を用いると、医薬品や農薬等の精密化学品の原料、機能性樹脂(例えば、レジスト用樹脂、光学樹脂、透明樹脂、架橋樹脂等)の原料、カチオン重合用硬化剤等に適用可能な、目的のビニルエーテル化合物を高収率で得ることができる。

Claims (13)

  1. 下記式(1)で表されるパラジウム錯体。
    Figure 2013005621
    [式(1)中、L1は分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。Xはアシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。R1は炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、[RbO−(RaO)ra−]で表されるポリオキシアルキレン残基、又は、水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基を示す。なお、Raはアルキレン基を示し、Rbは水素原子、アルキル基、アシル基、又はビニル基を示し、rは1〜20の整数を示す。]
  2. 1がビピリジン誘導体又は1,10−フェナントロリン誘導体であり、Xがアセチルオキシ基であり、R1が炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、1以上の水酸基を有する炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、1以上のビニルオキシ基を有する炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、[HO−(CH2CH2O)sCH2CH2−]若しくは[CH2=CHO−(CH2CH2O)sCH2CH2−]で表されるポリオキシエチレン残基(sは、1〜4の整数を示す)である請求項1に記載のパラジウム錯体。
  3. 1が2,2'−ビピリジン又は1,10−フェナントロリンであり、R1が炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜6のシクロアルキル基である請求項1又は2に記載のパラジウム錯体。
  4. 下記式(1)で表されるパラジウム錯体の製造方法であって、
    下記式(2)で表される二価のパラジウム錯体、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子、及び下記式(3)で表されるビニルエーテル化合物を、酸素の存在下で反応させる反応工程を含み、
    前記反応工程は、20〜60℃の温度で0.3時間以上反応させる第1反応工程と、前記第1反応工程の後、さらに40〜120℃の温度で0.3時間以上反応させる第2反応工程とを含み、なおかつ反応全体を通して反応温度が120℃以下に制御された工程であることを特徴とするパラジウム錯体の製造方法。
    Figure 2013005621
    [式(1)中、L1は分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。Xはアシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。R1は炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、[RbO−(RaO)ra−]で表されるポリオキシアルキレン残基、又は、水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基を示す。なお、Raはアルキレン基を示し、Rbは水素原子、アルキル基、アシル基、又はビニル基を示し、rは1〜20の整数を示す。]
    Figure 2013005621
    [式(2)中、X1、X2は同一又は異なって、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。Lは、分子内に窒素原子を1個以上有する単座配位子、又は分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。nは0以上の整数を表す。]
    Figure 2013005621
    [式(3)中、R1は前記に同じ。]
  5. 下記式(1)で表されるパラジウム錯体の製造方法であって、
    下記式(2)で表される二価のパラジウム錯体及び下記式(3)で表されるビニルエーテル化合物を、酸素の存在下で反応させる反応工程を含み、
    前記反応工程は、20〜60℃の温度で0.3時間以上反応させる第1反応工程と、前記第1反応工程の後、さらに40〜120℃の温度で0.3時間以上反応させる第2反応工程とを含み、なおかつ反応全体を通して反応温度が120℃以下に制御された工程であることを特徴とするパラジウム錯体の製造方法。
    Figure 2013005621
    [式(1)中、L1は分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。Xはアシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。R1は炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、[RbO−(RaO)ra−]で表されるポリオキシアルキレン残基、又は、水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基を示す。なお、Raはアルキレン基を示し、Rbは水素原子、アルキル基、アシル基、又はビニル基を示し、rは1〜20の整数を示す。]
    Figure 2013005621
    [式(2)中、X1、X2は同一又は異なって、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。Lは、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。nは1以上の整数を表す。]
    Figure 2013005621
    [式(3)中、R1は前記に同じ。]
  6. 1がビピリジン誘導体又は1,10−フェナントロリン誘導体であり、Xがアセチルオキシ基であり、R1が炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、1以上の水酸基を有する炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、1以上のビニルオキシ基を有する炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、[HO−(CH2CH2O)sCH2CH2−]若しくは[CH2=CHO−(CH2CH2O)sCH2CH2−]で表されるポリオキシエチレン残基(sは、1〜4の整数を示す)である請求項4又は5に記載のパラジウム錯体の製造方法。
  7. 1が2,2'−ビピリジン又は1,10−フェナントロリンであり、R1が炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜6のシクロアルキル基である請求項4〜6のいずれか1項に記載のパラジウム錯体の製造方法。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のパラジウム錯体の存在下、下記式(4)で表されるアルコール化合物と下記式(5)で表されるビニルエーテル化合物とを反応させ、下記式(6)で表されるビニルエーテル化合物を生成させることを特徴とするビニルエーテル化合物の製造方法。
    Figure 2013005621
    [式(4)中、R2は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示し、pは1以上の整数を示す。]
    Figure 2013005621
    [式(5)中、R3〜R5は同一又は異なって、水素原子若しくは式中に示される炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示し、R6は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。]
    Figure 2013005621
    [式(6)中、qは1〜pの整数を示し、R2〜R5は前記に同じ。]
  9. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のパラジウム錯体として、下記式(2)で表される二価のパラジウム錯体、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子、及び下記式(3)で表されるビニルエーテル化合物を、酸素の存在下で、20〜60℃の温度で0.3時間以上反応させる第1反応工程と、前記第1反応工程の後、さらに40〜120℃の温度で0.3時間以上反応させる第2反応工程とを含み、なおかつ反応全体を通して反応温度が120℃以下に制御された反応工程にて反応させた後、さらに単離することによって得られたパラジウム錯体を用いる請求項8に記載のビニルエーテル化合物の製造方法。
    Figure 2013005621
    [式(2)中、X1、X2は同一又は異なって、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。Lは、分子内に窒素原子を1個以上有する単座配位子、又は分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。nは0以上の整数を表す。]
    Figure 2013005621
    [式(3)中、R1は、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、[RbO−(RaO)ra−]で表されるポリオキシアルキレン残基、又は、水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基を示す。なお、Raはアルキレン基を示し、Rbは水素原子、アルキル基、アシル基、又はビニル基を示し、rは1〜20の整数を示す。]
  10. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のパラジウム錯体として、下記式(2)で表される二価のパラジウム錯体及び下記式(3)で表されるビニルエーテル化合物を、酸素の存在下で、20〜60℃の温度で0.3時間以上反応させる第1反応工程と、前記第1反応工程の後、さらに40〜120℃の温度で0.3時間以上反応させる第2反応工程とを含み、なおかつ反応全体を通して反応温度が120℃以下に制御された反応工程にて反応させた後、さらに単離することによって得られたパラジウム錯体を用いる請求項8に記載のビニルエーテル化合物の製造方法。
    Figure 2013005621
    [式(2)中、X1、X2は同一又は異なって、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。Lは、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。nは1以上の整数を表す。]
    Figure 2013005621
    [式(3)中、R1は、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、[RbO−(RaO)ra−]で表されるポリオキシアルキレン残基、又は、水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基を示す。なお、Raはアルキレン基を示し、Rbは水素原子、アルキル基、アシル基、又はビニル基を示し、rは1〜20の整数を示す。]
  11. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のパラジウム錯体として、下記式(2)で表される二価のパラジウム錯体、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子、及び下記式(3)で表されるビニルエーテル化合物を、酸素の存在下で、20〜60℃の温度で0.3時間以上反応させる第1反応工程と、前記第1反応工程の後、さらに40〜120℃の温度で0.3時間以上反応させる第2反応工程とを含み、なおかつ反応全体を通して反応温度が120℃以下に制御された反応工程にて反応させることによって得られたパラジウム錯体溶液を用いる請求項8に記載のビニルエーテル化合物の製造方法。
    Figure 2013005621
    [式(2)中、X1、X2は同一又は異なって、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。Lは、分子内に窒素原子を1個以上有する単座配位子、又は分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。nは0以上の整数を表す。]
    Figure 2013005621
    [式(3)中、R1は、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、[RbO−(RaO)ra−]で表されるポリオキシアルキレン残基、又は、水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基を示す。なお、Raはアルキレン基を示し、Rbは水素原子、アルキル基、アシル基、又はビニル基を示し、rは1〜20の整数を示す。]
  12. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のパラジウム錯体として、下記式(2)で表される二価のパラジウム錯体及び下記式(3)で表されるビニルエーテル化合物を、酸素の存在下で、20〜60℃の温度で0.3時間以上反応させる第1反応工程と、前記第1反応工程の後、さらに40〜120℃の温度で0.3時間以上反応させる第2反応工程とを含み、なおかつ反応全体を通して反応温度が120℃以下に制御された反応工程にて反応させることによって得られたパラジウム錯体溶液を用いる請求項8に記載のビニルエーテル化合物の製造方法。
    Figure 2013005621
    [式(2)中、X1、X2は同一又は異なって、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロアルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ハロアリールスルホニルオキシ基、又はテトラフルオロボレートを示す。Lは、分子内に窒素原子を2個以上有する二座配位子を示す。nは1以上の整数を表す。]
    Figure 2013005621
    [式(3)中、R1は、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、[RbO−(RaO)ra−]で表されるポリオキシアルキレン残基、又は、水酸基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基、オキセタニル基、及びビニルオキシ基からなる群より選ばれた少なくとも1の置換基を有する炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基を示す。なお、Raはアルキレン基を示し、Rbは水素原子、アルキル基、アシル基、又はビニル基を示し、rは1〜20の整数を示す。]
  13. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のパラジウム錯体の存在下、下記式(4)で表されるアルコール化合物と下記式(5)で表されるビニルエーテル化合物とを反応させ、下記式(6)で表されるビニルエーテル化合物を生成させたビニル交換反応後の反応溶液に対し、水と、下記式(6)で表されるビニルエーテル化合物の良溶媒であり、且つ水と相分離する有機溶媒とを加え、次いで、水層を分離することにより前記パラジウム錯体を回収することを特徴とするパラジウム錯体の回収方法。
    Figure 2013005621
    [式(4)中、R2は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示し、pは1以上の整数を示す。]
    Figure 2013005621
    [式(5)中、R3〜R5は同一又は異なって、水素原子若しくは式中に示される炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示し、R6は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。]
    Figure 2013005621
    [式(6)中、qは1〜pの整数を示し、R2〜R5は前記に同じ。]
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