JPH0987224A - ビニルエーテル類の製造方法 - Google Patents
ビニルエーテル類の製造方法Info
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- JPH0987224A JPH0987224A JP7269492A JP26949295A JPH0987224A JP H0987224 A JPH0987224 A JP H0987224A JP 7269492 A JP7269492 A JP 7269492A JP 26949295 A JP26949295 A JP 26949295A JP H0987224 A JPH0987224 A JP H0987224A
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- palladium
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- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
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- Catalysts (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 エーテル交換反応の反応触媒の失活を防止
し、速やかなビニルエーテル類の製造方法を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で表されるビニルエー
テルに、下記一般式(2)で表されるアルコールを反応
させて下記一般式(3)で表されるビニルエーテルを製
造する方法において、反応系にパラジウムと窒素二座配
位子との錯体を使用し、かつ、前記錯体の窒素二座配位
子となり得る窒素化合物を前記パラジウム錯体のパラジ
ウム原子に対し0を超え100モル比以下存在させる。
錯体は、酢酸パラジウムと1,10−フェナントロリン
とから得られる錯体が好ましい。 【化1】
し、速やかなビニルエーテル類の製造方法を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で表されるビニルエー
テルに、下記一般式(2)で表されるアルコールを反応
させて下記一般式(3)で表されるビニルエーテルを製
造する方法において、反応系にパラジウムと窒素二座配
位子との錯体を使用し、かつ、前記錯体の窒素二座配位
子となり得る窒素化合物を前記パラジウム錯体のパラジ
ウム原子に対し0を超え100モル比以下存在させる。
錯体は、酢酸パラジウムと1,10−フェナントロリン
とから得られる錯体が好ましい。 【化1】
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エーテル交換によ
るビニルエーテル類の製造方法に関し、より詳細にはパ
ラジウム化合物と窒素二座配位子との錯体を反応系中に
有効に存在させることにより、安定かつ速やかにエーテ
ル反応を促進させるビニルエーテルの製造方法に関す
る。
るビニルエーテル類の製造方法に関し、より詳細にはパ
ラジウム化合物と窒素二座配位子との錯体を反応系中に
有効に存在させることにより、安定かつ速やかにエーテ
ル反応を促進させるビニルエーテルの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ビニルエーテル類は、樹脂原料として、
または医薬、農薬若しくは香料等の中間原料として各種
の産業において重要な化合物である。ここにビニルエー
テルは、一般に下記一般式(1)で表わされ、当然なが
ら、その産業上の用途に応じてR4には多様な置換基が
要求される。従って、ビニルエーテルと下記一般式
(2)で表されるアルコールとの間において、ビニルエ
ーテルの置換基R4とアルコールの置換基R5との間でエ
ーテル交換が速やかに進行すれば、一般式(3)で表さ
れるビニルエーテルを容易に得ることができる。これ
は、用途、需要に応じた各種ビニルエーテルをアルコー
ルとの相互変換により自由に製造できることを示し、工
業上も極めて重要である。
または医薬、農薬若しくは香料等の中間原料として各種
の産業において重要な化合物である。ここにビニルエー
テルは、一般に下記一般式(1)で表わされ、当然なが
ら、その産業上の用途に応じてR4には多様な置換基が
要求される。従って、ビニルエーテルと下記一般式
(2)で表されるアルコールとの間において、ビニルエ
ーテルの置換基R4とアルコールの置換基R5との間でエ
ーテル交換が速やかに進行すれば、一般式(3)で表さ
れるビニルエーテルを容易に得ることができる。これ
は、用途、需要に応じた各種ビニルエーテルをアルコー
ルとの相互変換により自由に製造できることを示し、工
業上も極めて重要である。
【0003】
【化2】
【0004】このようなビニルエーテルとアルコールと
のエーテル交換反応において、反応系中にパラジウムと
窒素二座配位子による錯体を触媒として用いるとエーテ
ル交換が進行することが、マックコーエン(J.E.M
cKeon)等によりテトラヘドロンに論文発表されて
いる(J.E.McKeon他、Tetrahedro
n,28,233,(1972))。
のエーテル交換反応において、反応系中にパラジウムと
窒素二座配位子による錯体を触媒として用いるとエーテ
ル交換が進行することが、マックコーエン(J.E.M
cKeon)等によりテトラヘドロンに論文発表されて
いる(J.E.McKeon他、Tetrahedro
n,28,233,(1972))。
【0005】しかし、本発明者らが上記論文の内容につ
いて追試したところ、マックコーエン等の論文で使用さ
れている錯体触媒は反応系中で速やかに分解し失活する
ため、工業上の実用性は得られなかった。
いて追試したところ、マックコーエン等の論文で使用さ
れている錯体触媒は反応系中で速やかに分解し失活する
ため、工業上の実用性は得られなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような現状より、
ビニルエーテルとアルコールとのエーテル交換によって
原料とは異なる置換基を有するビニルエーテルを得るビ
ニルエーテルの製造方法において、パラジウムと窒素二
座配位子からなる錯体を反応系中に有効に存在させ、速
やかにエーテル交換反応を進行させるビニルエーテルの
製造方法の開発が熱望されている。
ビニルエーテルとアルコールとのエーテル交換によって
原料とは異なる置換基を有するビニルエーテルを得るビ
ニルエーテルの製造方法において、パラジウムと窒素二
座配位子からなる錯体を反応系中に有効に存在させ、速
やかにエーテル交換反応を進行させるビニルエーテルの
製造方法の開発が熱望されている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ビニルエ
ーテルとアルコールのエーテル交換反応系中に、パラジ
ウムと窒素二座配位子とからなる錯体を使用し、さらに
反応系中に前記窒素二座配位子となり得る化合物を過剰
に添加することにより、前記錯体の分解を防止し、これ
により前記エーテル交換が速やかに進行し得ること見い
出し、本発明を完成するに至った。
ーテルとアルコールのエーテル交換反応系中に、パラジ
ウムと窒素二座配位子とからなる錯体を使用し、さらに
反応系中に前記窒素二座配位子となり得る化合物を過剰
に添加することにより、前記錯体の分解を防止し、これ
により前記エーテル交換が速やかに進行し得ること見い
出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、下記一般式(1)で表
されるビニルエーテルに、下記一般式(2)で表される
アルコールを反応させて下記一般式(3)で表されるビ
ニルエーテルを製造する方法において、反応系にパラジ
ウムと窒素二座配位子との錯体を使用し、かつ、前記錯
体の窒素二座配位子となり得る窒素化合物を前記パラジ
ウム錯体のパラジウム原子に対し0を超え100モル比
以下存在させることを特徴とするビニルエーテル類の製
造方法を提供するものである。また、パラジウムと窒素
二座配位子との錯体が、酢酸パラジウムと1,10−フ
ェナントロリンとから得られる錯体であることを特徴と
する前記ビニルエーテル類の製造方法を提供するもので
ある。以下、本発明を詳細に説明する。
されるビニルエーテルに、下記一般式(2)で表される
アルコールを反応させて下記一般式(3)で表されるビ
ニルエーテルを製造する方法において、反応系にパラジ
ウムと窒素二座配位子との錯体を使用し、かつ、前記錯
体の窒素二座配位子となり得る窒素化合物を前記パラジ
ウム錯体のパラジウム原子に対し0を超え100モル比
以下存在させることを特徴とするビニルエーテル類の製
造方法を提供するものである。また、パラジウムと窒素
二座配位子との錯体が、酢酸パラジウムと1,10−フ
ェナントロリンとから得られる錯体であることを特徴と
する前記ビニルエーテル類の製造方法を提供するもので
ある。以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
【化3】
【0010】本発明で原料として使用できるビニルエー
テルは、上記一般式(1)で表わされ、R1、R2および
R3は各々アルキル基、アルケニル基、アリール基また
は水素原子を表し、R4はアルキル基、アルケニル基、
アリール基を表す。また、それら自身が官能基としてカ
ルボニル基、エ−テル基、水酸基、あるいは窒素、ハロ
ゲン、硫黄等のヘテロ原子を保有していても構わない。
ただし官能基として水酸基を保有する場合には、エーテ
ル交換の原料となるアルコールとの競争反応が生ずる
が、原料ビニルエーテルとアルコールの仕込み比や反応
の進行度の調節により、選択的に原料アルコールの水酸
基との反応を促進させることができる。本発明で使用で
きるビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、
i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテ
ル、t−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテ
ル、ヘキシルビニルエーテル、メチルイソプロペニルエ
ーテル、エチルイソプロペニルエーテル、アリルビニル
エーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエ
ーテル等が例示できる。
テルは、上記一般式(1)で表わされ、R1、R2および
R3は各々アルキル基、アルケニル基、アリール基また
は水素原子を表し、R4はアルキル基、アルケニル基、
アリール基を表す。また、それら自身が官能基としてカ
ルボニル基、エ−テル基、水酸基、あるいは窒素、ハロ
ゲン、硫黄等のヘテロ原子を保有していても構わない。
ただし官能基として水酸基を保有する場合には、エーテ
ル交換の原料となるアルコールとの競争反応が生ずる
が、原料ビニルエーテルとアルコールの仕込み比や反応
の進行度の調節により、選択的に原料アルコールの水酸
基との反応を促進させることができる。本発明で使用で
きるビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、
i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテ
ル、t−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテ
ル、ヘキシルビニルエーテル、メチルイソプロペニルエ
ーテル、エチルイソプロペニルエーテル、アリルビニル
エーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエ
ーテル等が例示できる。
【0011】本発明で原料として使用し得るアルコール
は、上記一般式(2)で表わされ、R5は、アルキル
基、アルケニル基、アリール基を表し、原料であるビニ
ルエーテルのR4と同一種、例えば同じアルキル基同士
であってもよいが、エチル基とメチル基のように同一で
はない。また、それ自身が官能基としてカルボニル基、
エ−テル基、水酸基、あるいは窒素、ハロゲン、硫黄等
のヘテロ原子を保有していてもよい。なお、R5が官能
基として水酸基を保有する場合は、分子内に複数個ある
水酸基の全てが反応に関与する可能性が生じるが、原料
ビニルエーテルとアルコールの仕込みモル比や反応の進
行度の調整により、選択的に原料アルコールの特定の水
酸基との反応を進行させることができる。本発明で使用
できるアルコールとしては、メタノール、エタノール、
n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノー
ル、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘ
プタノール、オクタノール、アリルアルコール、フェノ
ール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,
2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、
1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、
1,4−ブタンジオール等が例示できる。
は、上記一般式(2)で表わされ、R5は、アルキル
基、アルケニル基、アリール基を表し、原料であるビニ
ルエーテルのR4と同一種、例えば同じアルキル基同士
であってもよいが、エチル基とメチル基のように同一で
はない。また、それ自身が官能基としてカルボニル基、
エ−テル基、水酸基、あるいは窒素、ハロゲン、硫黄等
のヘテロ原子を保有していてもよい。なお、R5が官能
基として水酸基を保有する場合は、分子内に複数個ある
水酸基の全てが反応に関与する可能性が生じるが、原料
ビニルエーテルとアルコールの仕込みモル比や反応の進
行度の調整により、選択的に原料アルコールの特定の水
酸基との反応を進行させることができる。本発明で使用
できるアルコールとしては、メタノール、エタノール、
n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノー
ル、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘ
プタノール、オクタノール、アリルアルコール、フェノ
ール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,
2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、
1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、
1,4−ブタンジオール等が例示できる。
【0012】本発明のビニルエーテルの製造方法におい
ては、原料となるビニルエーテルとアルコールと間でエ
ーテル交換反応が起こるが、この反応系中に触媒として
パラジウムと窒素二座配位子からなる錯体(以下、「パ
ラジウム錯体」と称する。)を使用する。パラジウム錯
体を構成する窒素二座配位子となり得る窒素化合物とし
ては、1,10−フェナントロリン、2,2’−ビピリ
ジン、エチレンジアミン、2,4−ペンタンジアミン、
1,2−シクロヘキサンジアミンが好ましく、特には
1,10−フェナントロリン、2,2’−ビピリジンで
あることが好ましい。パラジウム錯体を構成するパラジ
ウム原子を供給するパラジウム化合物としては、酢酸パ
ラジウムや塩化パラジウムを使用することができる。
ては、原料となるビニルエーテルとアルコールと間でエ
ーテル交換反応が起こるが、この反応系中に触媒として
パラジウムと窒素二座配位子からなる錯体(以下、「パ
ラジウム錯体」と称する。)を使用する。パラジウム錯
体を構成する窒素二座配位子となり得る窒素化合物とし
ては、1,10−フェナントロリン、2,2’−ビピリ
ジン、エチレンジアミン、2,4−ペンタンジアミン、
1,2−シクロヘキサンジアミンが好ましく、特には
1,10−フェナントロリン、2,2’−ビピリジンで
あることが好ましい。パラジウム錯体を構成するパラジ
ウム原子を供給するパラジウム化合物としては、酢酸パ
ラジウムや塩化パラジウムを使用することができる。
【0013】本発明のパラジウム錯体は、パラジウム錯
体の窒素二座配位子となり得る窒素化合物とパラジウム
原子を供給するパラジウム化合物とを等モル比で混合す
ることにより容易に得ることができる。パラジウム錯体
としては、ビニルエーテルの製造におけるエーテル交換
反応の触媒活性および反応系中での安定性に優れ、かつ
入手容易なものとして、パラジウム化合物に酢酸パラジ
ウムを使用し、窒素化合物に1,10−フェナントロリ
ンまたは2,2’−ビピリジンを使用して得たジアセタ
ト(1,10−フェナントロリン)パラジウム(II)
またはジアセタト(2,2’−ビピリジン)パラジウム
(II)であることが好ましい。これらのパラジウム錯
体は、予めパラジウム錯体として合成および単離したも
のをビニルエーテルとアルコールとのエーテル交換の反
応系中に添加して使用する。しかし、パラジウム錯体と
して反応系中に添加するばかりでなく、エーテル交換反
応系の原料であるビニルエーテルとアルコールと共にパ
ラジウム錯体の原料となる前記パラジウム化合物と前記
窒素化合物を添加し、反応系中でパラジウム錯体を生成
させる方法であってもよい。
体の窒素二座配位子となり得る窒素化合物とパラジウム
原子を供給するパラジウム化合物とを等モル比で混合す
ることにより容易に得ることができる。パラジウム錯体
としては、ビニルエーテルの製造におけるエーテル交換
反応の触媒活性および反応系中での安定性に優れ、かつ
入手容易なものとして、パラジウム化合物に酢酸パラジ
ウムを使用し、窒素化合物に1,10−フェナントロリ
ンまたは2,2’−ビピリジンを使用して得たジアセタ
ト(1,10−フェナントロリン)パラジウム(II)
またはジアセタト(2,2’−ビピリジン)パラジウム
(II)であることが好ましい。これらのパラジウム錯
体は、予めパラジウム錯体として合成および単離したも
のをビニルエーテルとアルコールとのエーテル交換の反
応系中に添加して使用する。しかし、パラジウム錯体と
して反応系中に添加するばかりでなく、エーテル交換反
応系の原料であるビニルエーテルとアルコールと共にパ
ラジウム錯体の原料となる前記パラジウム化合物と前記
窒素化合物を添加し、反応系中でパラジウム錯体を生成
させる方法であってもよい。
【0014】本発明はビニルエーテルとアルコールのエ
ーテル交換反応の反応系中に、パラジウム錯体に対して
前記窒素化合物をさらに過剰に添加する。さらに添加す
る窒素化合物の量は、パラジウム錯体を構成するパラジ
ウム原子に対するモル比(以下、「L/Pd比」と称
す。)が、0を超え100以下の範囲が好ましく、より
好ましくは1以上80以下の範囲である。反応系中にパ
ラジウム化合物に対し上記範囲で窒素化合物を添加する
ことにより、パラジウム錯体の分解を防止することがで
きる。窒素化合物が全く添加されない場合には、パラジ
ウム錯体が反応系中で速やかかつ非可逆的に分解する共
にパラジウムが金属パラジウムとして析出し、触媒とし
ての活性が失なわれる。また窒素化合物の添加量が10
0モル比以上である場合には、パラジウム錯体の安定性
がそれ以上に向上することは無いため、実用上無意味で
あり非経済的でもある。
ーテル交換反応の反応系中に、パラジウム錯体に対して
前記窒素化合物をさらに過剰に添加する。さらに添加す
る窒素化合物の量は、パラジウム錯体を構成するパラジ
ウム原子に対するモル比(以下、「L/Pd比」と称
す。)が、0を超え100以下の範囲が好ましく、より
好ましくは1以上80以下の範囲である。反応系中にパ
ラジウム化合物に対し上記範囲で窒素化合物を添加する
ことにより、パラジウム錯体の分解を防止することがで
きる。窒素化合物が全く添加されない場合には、パラジ
ウム錯体が反応系中で速やかかつ非可逆的に分解する共
にパラジウムが金属パラジウムとして析出し、触媒とし
ての活性が失なわれる。また窒素化合物の添加量が10
0モル比以上である場合には、パラジウム錯体の安定性
がそれ以上に向上することは無いため、実用上無意味で
あり非経済的でもある。
【0015】使用するパラジウム錯体の量としては、ビ
ニルエーテルとアルコールの種類やエーテル交換反応の
反応温度等によって異なるが、ビニルエーテルに対する
モル比で1/10から1/1,000の範囲であること
が好ましく、より好ましくは1/20〜1/200の範
囲である。1/1,000以下では十分な反応速度が得
られない場合があり、1/10以上では非経済的なばか
りでなく触媒の安定性からも好ましくない。
ニルエーテルとアルコールの種類やエーテル交換反応の
反応温度等によって異なるが、ビニルエーテルに対する
モル比で1/10から1/1,000の範囲であること
が好ましく、より好ましくは1/20〜1/200の範
囲である。1/1,000以下では十分な反応速度が得
られない場合があり、1/10以上では非経済的なばか
りでなく触媒の安定性からも好ましくない。
【0016】ビニルエーテルとアルコールのエーテル交
換反応の反応温度は、−10〜100℃の範囲、より好
ましくは0〜80℃の範囲で実施することが好ましい。
−10℃以下では十分な反応速度が得られない場合があ
り、100℃以上では、反応副生物が増加するばかりで
なく触媒の安定性からも好ましくない。
換反応の反応温度は、−10〜100℃の範囲、より好
ましくは0〜80℃の範囲で実施することが好ましい。
−10℃以下では十分な反応速度が得られない場合があ
り、100℃以上では、反応副生物が増加するばかりで
なく触媒の安定性からも好ましくない。
【0017】上記エーテル交換反応の反応時の圧力は、
原料であるビニルエーテルとアルコールあるいは生成物
の蒸気圧に依存し、通常は常圧で実施するのが好まし
い。但し、前記原料または前記生成物が低沸点化合物の
場合には、加圧下で反応温度を高めることにより反応速
度を上げることができる。また、後述のように反応蒸留
を実施する場合には、生成物の沸点によって減圧下で行
うこともできる。
原料であるビニルエーテルとアルコールあるいは生成物
の蒸気圧に依存し、通常は常圧で実施するのが好まし
い。但し、前記原料または前記生成物が低沸点化合物の
場合には、加圧下で反応温度を高めることにより反応速
度を上げることができる。また、後述のように反応蒸留
を実施する場合には、生成物の沸点によって減圧下で行
うこともできる。
【0018】上記エーテル交換反応は平衡反応であるた
め、原料のビニルエーテルの転化率を上げるために、も
う一方の原料であるアルコールをビニルエーテルに対し
過剰に仕込み、反応で生成するアルコールを系外に除去
しつつ反応を実施することにより生産性が向上する。
め、原料のビニルエーテルの転化率を上げるために、も
う一方の原料であるアルコールをビニルエーテルに対し
過剰に仕込み、反応で生成するアルコールを系外に除去
しつつ反応を実施することにより生産性が向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0020】(実施例1)マックコーエンの論文に従
い、1,10−フェナントロリン一水和物5.4gをベ
ンゼン250mlに溶解した溶液に、酢酸パラジウム
6.42gをベンゼン200mlに溶解した溶液を添加
し、生じた沈澱物を濾別し、塩化メチレン溶液中で再結
晶させてジアセタト(1,10−フェナントロリン)パ
ラジウム(II)を5.2g得た。容量200mlのフ
ラスコにエタノール50g(1.09モル)、メチルビ
ニルエーテル(以下、「MVE」と称す。)6.5g
(0.11モル)、1,10−フェナントロリン一水和
物6.3g(31.8ミリモル)、ジアセタト(1,1
0−フェナントロリン)パラジウム(II)0.65g
(1.6ミリモル)を仕込み、25℃で攪拌しながら、
20時間保持した。反応液をガスクロマトグラフィーに
て分析した結果、MVEの転化率は86.5%、仕込み
MVE基準のエチルビニルエーテル(以下、「EVE]
と称す。)の収率は82.2%であった。反応後の反応
液はオレンジ色の均一透明状態を保ち、析出物は全く認
められず、反応液の原子吸光分析からも仕込んだパラジ
ウムは全量溶解状態を保持していることが確認された。
い、1,10−フェナントロリン一水和物5.4gをベ
ンゼン250mlに溶解した溶液に、酢酸パラジウム
6.42gをベンゼン200mlに溶解した溶液を添加
し、生じた沈澱物を濾別し、塩化メチレン溶液中で再結
晶させてジアセタト(1,10−フェナントロリン)パ
ラジウム(II)を5.2g得た。容量200mlのフ
ラスコにエタノール50g(1.09モル)、メチルビ
ニルエーテル(以下、「MVE」と称す。)6.5g
(0.11モル)、1,10−フェナントロリン一水和
物6.3g(31.8ミリモル)、ジアセタト(1,1
0−フェナントロリン)パラジウム(II)0.65g
(1.6ミリモル)を仕込み、25℃で攪拌しながら、
20時間保持した。反応液をガスクロマトグラフィーに
て分析した結果、MVEの転化率は86.5%、仕込み
MVE基準のエチルビニルエーテル(以下、「EVE]
と称す。)の収率は82.2%であった。反応後の反応
液はオレンジ色の均一透明状態を保ち、析出物は全く認
められず、反応液の原子吸光分析からも仕込んだパラジ
ウムは全量溶解状態を保持していることが確認された。
【0021】(比較例1)実施例1で調製したジアセタ
ト(1,10−フェナントロリン)パラジウム(II)
を使用し、1,10−フェナントロリン一水和物を仕込
まなかった以外は、実施例1と全く同様にMVEとエタ
ノールを反応させた。MVEの転化率は65.0%、仕
込みMVE基準のEVEの収率は61.4%であり、反
応後の反応液は黒褐色に変色し、黒色の析出固体が認め
られた。反応液を遠心分離した上澄液の原子吸光分析よ
り、仕込んだパラジウムの22%のみが溶解状態を保持
していることが確認された。
ト(1,10−フェナントロリン)パラジウム(II)
を使用し、1,10−フェナントロリン一水和物を仕込
まなかった以外は、実施例1と全く同様にMVEとエタ
ノールを反応させた。MVEの転化率は65.0%、仕
込みMVE基準のEVEの収率は61.4%であり、反
応後の反応液は黒褐色に変色し、黒色の析出固体が認め
られた。反応液を遠心分離した上澄液の原子吸光分析よ
り、仕込んだパラジウムの22%のみが溶解状態を保持
していることが確認された。
【0022】(実施例2)実施例1で調製したジアセタ
ト(1,10−フェナントロリン)パラジウム(II)
を使用し、エタノールの代わりに同一モルのn−ブタノ
ールを使用した以外は、実施例1と全く同様に反応させ
た。MVEの転化率は85.6%、仕込みMVE基準の
n−ブチルビニルエーテルの収率は81.0%であり、
パラジウムの析出は認められなかった。
ト(1,10−フェナントロリン)パラジウム(II)
を使用し、エタノールの代わりに同一モルのn−ブタノ
ールを使用した以外は、実施例1と全く同様に反応させ
た。MVEの転化率は85.6%、仕込みMVE基準の
n−ブチルビニルエーテルの収率は81.0%であり、
パラジウムの析出は認められなかった。
【0023】(実施例3)実施例1で調製したジアセタ
ト(1,10−フェナントロリン)パラジウム(II)
を使用し、エタノールの代わりに同一モルのi−プロパ
ノールを使用した以外は、実施例1と全く同様に反応さ
せた。MVEの転化率は85.1%、仕込みMVE基準
のi−プロピルビニルエーテルの収率は80.2%であ
り、パラジウムの析出は認められなかった。
ト(1,10−フェナントロリン)パラジウム(II)
を使用し、エタノールの代わりに同一モルのi−プロパ
ノールを使用した以外は、実施例1と全く同様に反応さ
せた。MVEの転化率は85.1%、仕込みMVE基準
のi−プロピルビニルエーテルの収率は80.2%であ
り、パラジウムの析出は認められなかった。
【0024】(実施例4)実施例1で調製したジアセタ
ト(1,10−フェナントロリン)パラジウム(II)
を使用し、実施例1と全く同様に反応を行った。反応終
了後、反応液をロータリーエバポレーターを使用して、
減圧下、浴温40℃で乾固し、残渣に1回目と同一仕込
み組成となるようにエタノールとMVEを加え、1回目
と同様に反応させた。以下、同一のサイクルを、更に8
回実施し、合計9回繰返した。なお、各回での反応液分
析のためのサンプリングロスは各回の原料仕込み量を減
らすことにより補正した。各回のMVE転化率と、仕込
みMVE基準のEVE収率を表−1に示す。なお、10
回目の反応後においてもパラジウムの析出は目視上およ
び分析上全く認められなかった。
ト(1,10−フェナントロリン)パラジウム(II)
を使用し、実施例1と全く同様に反応を行った。反応終
了後、反応液をロータリーエバポレーターを使用して、
減圧下、浴温40℃で乾固し、残渣に1回目と同一仕込
み組成となるようにエタノールとMVEを加え、1回目
と同様に反応させた。以下、同一のサイクルを、更に8
回実施し、合計9回繰返した。なお、各回での反応液分
析のためのサンプリングロスは各回の原料仕込み量を減
らすことにより補正した。各回のMVE転化率と、仕込
みMVE基準のEVE収率を表−1に示す。なお、10
回目の反応後においてもパラジウムの析出は目視上およ
び分析上全く認められなかった。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、エーテル交換反応の触
媒が反応系中に有効に存在し得るため、エーテル交換反
応が速やかに進行し、安定にビニルエーテルを製造する
ことができる。しかも、原料となるビニルエーテルやア
ルコールの種類を問わず、目的とするビニルエーテルを
得ることができる。
媒が反応系中に有効に存在し得るため、エーテル交換反
応が速やかに進行し、安定にビニルエーテルを製造する
ことができる。しかも、原料となるビニルエーテルやア
ルコールの種類を問わず、目的とするビニルエーテルを
得ることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるビニルエー
テルに、下記一般式(2)で表されるアルコールを反応
させて下記一般式(3)で表されるビニルエーテルを製
造する方法において、反応系にパラジウムと窒素二座配
位子との錯体を使用し、かつ、前記錯体の窒素二座配位
子となり得る窒素化合物を前記パラジウム錯体のパラジ
ウム原子に対し0を超え100モル比以下存在させるこ
とを特徴とするビニルエーテル類の製造方法。 【化1】 - 【請求項2】 パラジウムと窒素二座配位子との錯体
が、酢酸パラジウムと1,10−フェナントロリンとか
ら得られる錯体であることを特徴とする請求項1記載の
ビニルエーテル類の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7269492A JPH0987224A (ja) | 1995-09-22 | 1995-09-22 | ビニルエーテル類の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7269492A JPH0987224A (ja) | 1995-09-22 | 1995-09-22 | ビニルエーテル類の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0987224A true JPH0987224A (ja) | 1997-03-31 |
Family
ID=17473196
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7269492A Pending JPH0987224A (ja) | 1995-09-22 | 1995-09-22 | ビニルエーテル類の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0987224A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003048857A (ja) * | 2001-08-03 | 2003-02-21 | Nippon Mektron Ltd | フルオロアルキルビニルエーテルの製造法 |
WO2013005621A1 (ja) * | 2011-07-01 | 2013-01-10 | 株式会社ダイセル | パラジウム錯体及びその製造方法、ビニルエーテル化合物の製造方法、並びにパラジウム錯体の回収方法 |
JP2013018744A (ja) * | 2011-07-12 | 2013-01-31 | Daicel Corp | ビニルエーテルの製造方法 |
JP2014073980A (ja) * | 2012-10-03 | 2014-04-24 | Kansai Univ | ビニルエーテルの製造方法、ビニル交換反応用触媒、及びエーテル交換反応用触媒 |
CN113903934A (zh) * | 2021-10-11 | 2022-01-07 | 先进能源产业研究院(广州)有限公司 | 一种多孔Pd-PdO纳米棒的制备方法及其应用 |
WO2023163050A1 (ja) * | 2022-02-25 | 2023-08-31 | 日東電工株式会社 | 触媒反応方法、ギ酸塩の製造方法、及びギ酸の製造方法 |
-
1995
- 1995-09-22 JP JP7269492A patent/JPH0987224A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003048857A (ja) * | 2001-08-03 | 2003-02-21 | Nippon Mektron Ltd | フルオロアルキルビニルエーテルの製造法 |
WO2013005621A1 (ja) * | 2011-07-01 | 2013-01-10 | 株式会社ダイセル | パラジウム錯体及びその製造方法、ビニルエーテル化合物の製造方法、並びにパラジウム錯体の回収方法 |
CN103635480A (zh) * | 2011-07-01 | 2014-03-12 | 株式会社大赛璐 | 钯络合物及其制造方法、乙烯基醚化合物的制造方法以及钯络合物的回收方法 |
JP2013018744A (ja) * | 2011-07-12 | 2013-01-31 | Daicel Corp | ビニルエーテルの製造方法 |
JP2014073980A (ja) * | 2012-10-03 | 2014-04-24 | Kansai Univ | ビニルエーテルの製造方法、ビニル交換反応用触媒、及びエーテル交換反応用触媒 |
CN113903934A (zh) * | 2021-10-11 | 2022-01-07 | 先进能源产业研究院(广州)有限公司 | 一种多孔Pd-PdO纳米棒的制备方法及其应用 |
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WO2023163050A1 (ja) * | 2022-02-25 | 2023-08-31 | 日東電工株式会社 | 触媒反応方法、ギ酸塩の製造方法、及びギ酸の製造方法 |
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