JP2014073980A - ビニルエーテルの製造方法、ビニル交換反応用触媒、及びエーテル交換反応用触媒 - Google Patents

ビニルエーテルの製造方法、ビニル交換反応用触媒、及びエーテル交換反応用触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】触媒の構成成分としての配位子が不要であり、さらに、触媒の使用量を少なくでき、当該触媒の回収及び再利用が行いやすく操作性に優れたビニルエーテルの製造方法を提供する。
【解決手段】アルコールと、ビニルエステルとを、金属ナノクラスターの存在下でビニル交換反応させ、下記式(3a)で表されるビニルエーテルを生成させる工程を含み、前記金属ナノクラスターは、配位性有機溶媒を含む溶媒中で遷移金属化合物を加熱することにより得られる金属ナノクラスターであることを特徴とするビニルエーテルの製造方法。

【選択図】なし

Description

本発明は、アルコールとビニルエステルとの反応(ビニル交換反応)、又は、アルコールとビニルエーテルとの反応(エーテル交換反応)によるビニルエーテルの製造方法に関する。また、本発明は、上記ビニル交換反応及びエーテル交換反応において触媒として使用されるビニル交換反応用触媒及びエーテル交換反応用触媒に関する。
ビニルエーテル(ビニルエーテル化合物)は、医薬品や農薬等の精密化学品の原料のほか、例えば、レジスト用樹脂、光学樹脂、透明性樹脂、架橋性樹脂などのポリマー原料として有用である。これまで、ビニルエーテルを製造する方法としては、例えば、パラジウム触媒(Pd触媒)を用いたビニルエーテルとアルコール(ヒドロキシ化合物)のエーテル交換反応が知られている(非特許文献1、特許文献1参照)。非特許文献1及び特許文献1には、具体的には、酢酸パラジウムと1,10−フェナントロリンより作製した金属錯体(パラジウム錯体)が、上記エーテル交換反応に活性を有することが開示されている。
また、ビニルエーテルを製造する他の方法として、例えば、遷移元素化合物の存在下、ビニルエステルとヒドロキシ化合物(アルコール)を反応させるビニル交換反応も知られている(特許文献2参照)。特許文献2には、具体的には、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)[Ir(cod)Cl]2などの金属錯体が、上記ビニル交換反応に活性を有することが開示されている。
Tetrahedron,1972,28,p.233
特開平9−87224号公報 特開2003−73321号公報
しかしながら、上述のような金属錯体(例えば、パラジウム錯体等)を触媒として使用する方法は、配位子としての化合物(例えば、1,10−フェナントロリン、1,5−シクロオクタジエン等)の使用が必須であり、また、触媒自体の熱安定性が低いためにその使用量を多くする必要があり、コスト面で不利であって取り扱い性に劣るという問題を有していた。さらに、上述の金属錯体は、酸素の非存在下で不安定であり、生成物の分離・精製操作や触媒等の分離・回収操作における加熱によっても失活しやすいため、反応後に回収しにくく、このため、再使用も困難という問題を有していた。
従って、本発明の目的は、触媒の存在下でアルコールとビニルエステル又はビニルエーテルとを反応させてビニルエーテルを製造する方法であって、触媒の構成成分としての配位子が不要であり、さらに、触媒の使用量を少なくでき、当該触媒の回収及び再利用が行いやすく操作性に優れたビニルエーテルの製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、配位子を構成成分とせず、製造が簡便であり、回収や再使用が容易なビニル交換反応用触媒及びエーテル交換反応用触媒を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、アルコールとビニルエステル又はビニルエーテルとを反応させることによってビニルエーテルを製造する方法において、特定の触媒を使用することによって、当該方法が、触媒の構成成分としての配位子が不要であり、さらに、触媒の使用量を少なくでき、当該触媒の回収及び再利用が行いやすく操作性に優れることを見出した。また、本発明者らは、特定の製造方法により製造される金属ナノクラスターを含む触媒が、アルコールとビニルエステル又はビニルエーテルとを原料としてビニルエーテルを生成させる反応における触媒(ビニル交換反応用触媒又はエーテル交換反応用触媒)として使用でき、さらに、当該触媒は製造が簡便であり、回収や再使用が容易であることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、下記式(1)
[式(1)中、R1は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。]
で表されるアルコールと、下記式(2a)
[式(2a)中、R2は、式中に示される炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。Ra〜Rcは、同一又は異なって、水素原子若しくは式中に示される炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。]
で表されるビニルエステルとを、金属ナノクラスターの存在下でビニル交換反応させ、下記式(3a)
[式(3a)中、R1、Ra〜Rcは、前記に同じ。]
で表されるビニルエーテルを生成させる工程を含み、
前記金属ナノクラスターは、配位性有機溶媒を含む溶媒中で遷移金属化合物を加熱することにより得られる金属ナノクラスターであることを特徴とするビニルエーテルの製造方法を提供する。
また、本発明は、下記式(1)
[式(1)中、R1は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。]
で表されるアルコールと、下記式(2b)
[式(2b)中、R3は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。Rd〜Rfは、同一又は異なって、水素原子若しくは式中に示される炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。]
で表されるビニルエーテルとを、金属ナノクラスターの存在下でエーテル交換反応させ、下記式(3b)
[式(3b)中、R1、Rd〜Rfは、前記に同じ。]
で表されるビニルエーテルを生成させる工程を含み、
前記金属ナノクラスターは、配位性有機溶媒を含む溶媒中で遷移金属化合物を加熱することにより得られる金属ナノクラスターであることを特徴とするビニルエーテルの製造方法を提供する。
さらに、塩基を共存させて前記ビニル交換反応又はエーテル交換反応を行う前記のビニルエーテルの製造方法を提供する。
さらに、前記遷移金属化合物が、第8族から第11族遷移金属からなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属元素を含む化合物である前記のビニルエーテルの製造方法を提供する。
さらに、前記遷移金属化合物が、イリジウム、ロジウム、及びルテニウムからなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属元素を含む化合物である前記のビニルエーテルの製造方法を提供する。
さらに、前記配位性有機溶媒が、下記式(a)で表される化合物、下記式(b)で表される化合物、下記式(c)で表される化合物、下記式(d)で表される化合物、及び下記式(e)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物である前記のビニルエーテルの製造方法を提供する。
[式(a)中、R4は水素原子又はアルキル基を示し、R5、R6は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。]
[式(b)中、R7は水素原子又はアルキル基を示し、R8、R9は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。lは、2〜6の整数を示す。]
[式(c)中、R10、R11は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。R12、R13は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。mは、1〜5の整数を示す。]
[式(d)中、R14、R15は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。]
[式(e)中、R16、R17は、同一又は異なって、アルキレン基を示す。nは、0〜20の整数を示す。]
また、本発明は、イリジウム、ロジウム、及びルテニウムからなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属元素を含む遷移金属化合物を、配位性有機溶媒を含む溶媒中で加熱することにより得られる金属ナノクラスターを含むビニル交換反応用触媒を提供する。
さらに、前記配位性有機溶媒が、下記式(a)で表される化合物、下記式(b)で表される化合物、下記式(c)で表される化合物、下記式(d)で表される化合物、及び下記式(e)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物である前記のビニル交換反応用触媒を提供する。
[式(a)中、R4は水素原子又はアルキル基を示し、R5、R6は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。]
[式(b)中、R7は水素原子又はアルキル基を示し、R8、R9は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。lは、2〜6の整数を示す。]
[式(c)中、R10、R11は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。R12、R13は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。mは、1〜5の整数を示す。]
[式(d)中、R14、R15は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。]
[式(e)中、R16、R17は、同一又は異なって、アルキレン基を示す。nは、0〜20の整数を示す。]
また、本発明は、イリジウム、ロジウム、及びルテニウムからなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属元素を含む遷移金属化合物を、配位性有機溶媒を含む溶媒中で加熱することにより得られる金属ナノクラスターを含むエーテル交換反応用触媒を提供する。
さらに、前記配位性有機溶媒が、下記式(a)で表される化合物、下記式(b)で表される化合物、下記式(c)で表される化合物、下記式(d)で表される化合物、及び下記式(e)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物である前記のエーテル交換反応用触媒を提供する。
[式(a)中、R4は水素原子又はアルキル基を示し、R5、R6は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。]
[式(b)中、R7は水素原子又はアルキル基を示し、R8、R9は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。lは、2〜6の整数を示す。]
[式(c)中、R10、R11は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。R12、R13は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。mは、1〜5の整数を示す。]
[式(d)中、R14、R15は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。]
[式(e)中、R16、R17は、同一又は異なって、アルキレン基を示す。nは、0〜20の整数を示す。]
本発明のビニルエーテルの製造方法は上記構成を有するため、触媒の構成成分としての配位子が不要であり、触媒の使用量を少なくすることができる。また、触媒の回収及び再利用を行いやすいため、操作性(作業性)にも優れる。さらに、本発明のビニル交換反応用触媒及びエーテル交換反応用触媒は上記構成を有するため、アルコールとビニルエステル又はビニルエーテルとを原料としてビニルエーテルを生成させる反応における触媒として使用され、さらに、当該触媒は製造が簡便であって、配位子を使用する必要がなく、回収や再利用が容易である。
実施例1で得られたイリジウムナノクラスターのDMF溶液のUV−visスペクトルのチャートである。 実施例1で得られたイリジウムナノクラスターのDMF溶液の蛍光スペクトルのチャートである。 実施例1で得られたイリジウムナノクラスターの透過型電子顕微鏡像である。
<ビニルエーテルの製造方法>
本発明のビニルエーテルの製造方法は、後述の特定の金属ナノクラスターの存在下で、アルコールとビニルエステルとを原料(反応物、反応基質)としてビニルエーテルを生成させる反応(「ビニル交換反応」と称する場合がある)、又は、アルコールとビニルエーテルとを原料としてビニルエーテルを生成させる反応(「エーテル交換反応」と称する場合がある)を行う工程を必須の工程として含むビニルエーテルの製造方法である。本明細書においては、上記ビニル交換反応を行う工程を少なくとも含むビニルエーテルの製造方法を、「本発明のビニルエーテルの製造方法の第1態様」と称し、一方、上記エーテル交換反応を行う工程を少なくとも含むビニルエーテルの製造方法を、「本発明のビニルエーテルの製造方法の第2態様」と称する場合がある。また、本発明のビニルエーテルの製造方法の第1態様と第2態様とを総称して、単に「本発明のビニルエーテルの製造方法」と称する場合がある。
[金属ナノクラスター]
本発明のビニルエーテルの製造方法において使用される金属ナノクラスターは、配位性有機溶媒を含む溶媒中で遷移金属化合物を加熱することにより得られる金属ナノクラスター(「本発明の金属ナノクラスター」と称する場合がある)である。本発明の金属ナノクラスターは、遷移金属を含む集合体であって、その平均粒子径がナノサイズの粒子(遷移金属含有ナノ粒子)である。
(配位性有機溶媒を含む溶媒)
上記配位性有機溶媒は、遷移金属に対して配位することが可能なヘテロ原子(酸素原子、窒素原子、硫黄原子など)を分子内に1以上有する化合物であって、なおかつ有機溶媒として使用することが可能な化合物である。上記配位性有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、N,N−ジブチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド(カルボン酸アミド系溶媒);ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)などのリン酸アミド(リン酸アミド系溶媒);トリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミンなどのアミン(アミン系溶媒);イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール(アルコール系溶媒);ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル(エーテル系溶媒);アセトン、2−ブタノンなどのケトン(ケトン系溶媒);酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル(エステル系溶媒);アセトニトリルなどのニトリル(ニトリル系溶媒);ニトロメタンなどのニトロ化合物(ニトロ系溶媒);ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド(スルホキシド系溶媒)などが挙げられる。なお、上記配位性有機溶媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
中でも、上記配位性有機溶媒としては、下記式(a)で表される化合物、下記式(b)で表される化合物、下記式(c)で表される化合物、下記式(d)で表される化合物、及び下記式(e)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物が好ましい。
上記式(a)中のR4は、水素原子又はアルキル基を示す。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜3)のアルキル基などが挙げられる。また、上記式(a)中のR5、R6は、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。上記R5、R6におけるアルキル基としては、上記R4におけるアルキル基と同様の基が挙げられる。上記式(a)で表される化合物としては、具体的には、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、N−ブチルホルムアミド、N,N−ジブチルアセトアミド、N−ブチルアセトアミド等が挙げられる。
上記式(b)中のR7は、水素原子又はアルキル基を示す。また、上記式(b)中のR8、R9は、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。上記R7〜R9におけるアルキル基としては、上記R4におけるアルキル基と同様の基が挙げられる。また、上記式(b)中のlは、2〜6の整数を示す。なお、それぞれの括弧内(lが付された括弧内)におけるR8、R9は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。上記式(b)で表される化合物としては、具体的には、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、5−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピペリドン、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、1−アザ−2−シクロオクタノンなどが挙げられる。
上記式(c)中のR10、R11は、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。また、上記式(c)中のR12、R13は、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。上記R10〜R13におけるアルキル基としては、上記R4におけるアルキル基と同様の基が挙げられる。また、上記式(c)中のmは、1〜5の整数を示す。mが2以上の整数の場合、それぞれの括弧内(mが付された括弧内)におけるR12、R13は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。上記式(c)で表される化合物としては、具体的には、例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−イミダゾリジノン、1−メチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1−エチル−2−イミダゾリジノン、1−イソプロピル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチルテトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、1−イソプロピルテトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンなどが挙げられる。
上記式(d)中のR14、R15は、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。なお、それぞれの括弧内(3が付された括弧内)におけるR14、R15は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。上記式(d)で表される化合物としては、具体的には、例えば、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ヘキサエチルホスホリックトリアミド、ヘキサプロピルホスホリックトリアミドなどが挙げられる。
上記式(e)中のR16、R17は、同一又は異なって、アルキレン基を示す。上記アルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基などが挙げられる。また、上記式(e)中のnは0〜20の整数を示す。なお、nが2以上の整数の場合、それぞれの括弧内(nが付された括弧内)におけるR17は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。上記式(e)で表される化合物としては、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(オリゴエチレングリコール)、ポリプロピレングリコール(オリゴプロピレングリコール)などが挙げられる。
中でも、上記配位性有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドン、エチレングリコール、及びヘキサメチルホスホリックトリアミドからなる群より選択された少なくとも1種の化合物が好ましく、より好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドである。
本発明の金属ナノクラスターを製造する際の溶媒として使用する「配位性有機溶媒を含む溶媒」は、少なくとも上記配位性有機溶媒を含んでいればよく、上記配位性有機溶媒のみで構成された溶媒であってもよいし、上記配位性有機溶媒と該配位性有機溶媒以外の溶媒(「その他の溶媒」と称する場合がある)を含む溶媒であってもよい。上記配位性有機溶媒を含む溶媒(100重量%)における配位性有機溶媒の含有量は、特に限定されないが、60重量%以上(例えば、60〜100重量%)が好ましく、より好ましくは90重量%以上である。上記その他の溶媒としては、上記配位性有機溶媒以外の公知乃至慣用の溶媒を使用することができ、特に限定されないが、例えば、水;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。なお、上記その他の溶媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
(遷移金属化合物)
上記遷移金属化合物は、本発明の金属ナノクラスターの原料である。上記遷移金属化合物としては、公知乃至慣用の遷移金属元素を含有する化合物(遷移金属元素の単体も含まれるものとする)を使用することができ、特に限定されないが、例えば、ランタン、セリウムなどの第3族遷移金属(特にランタノイド元素);チタン、ジルコニウムなどの第4族遷移金属;バナジウムなどの第5族遷移金属;クロム、モリブデン、タングステンなどの第6族遷移金属;マンガンなどの第7族遷移金属;鉄、ルテニウム、オスミウムなどの第8族遷移金属;コバルト、ロジウム、イリジウムなどの第9族遷移金属;ニッケル、パラジウム、白金などの第10族遷移金属;銅、銀などの第11族遷移金属などの遷移金属元素を含有する化合物などが挙げられる。中でも、ビニル交換反応及びエーテル交換反応に対する触媒活性の観点で、第8族から第11族遷移金属からなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属元素を含む化合物が好ましく、より好ましくは、イリジウム、ロジウム、及ぶルテニウムからなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属元素を含む化合物である。
上記遷移金属化合物としては、具体的には、上述の遷移金属の単体(金属)、上記遷移金属を含む酸化物、硫化物、水酸化物、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物など)、硫酸塩、オキソ酸又はその塩、無機錯体などの無機化合物;上記遷移金属元素を含むシアン化物、有機酸塩(酢酸塩など)、有機錯体などの有機化合物などが挙げられる。上記遷移金属化合物における遷移金属元素の価数は、特に限定されないが、0〜6価が好ましく、より好ましくは0〜3価である。中でも、上記遷移金属化合物が後述のイリジウム化合物の場合には、イリジウムの価数は1価又は3価が好ましい。中でも、上記遷移金属化合物としては、金属ナノクラスターを生成させやすい点で、ハロゲン化物が好ましく、より好ましくは塩化物である。
即ち、上記遷移金属化合物としては、第8族から第11族遷移金属からなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属元素のハロゲン化物(特に、塩化物)が好ましく、より好ましくは、イリジウム、ロジウム、及びルテニウムからなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属元素のハロゲン化物(特に、塩化物)である。なお、上記遷移金属化合物は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記遷移金属化合物の一例であるイリジウム化合物の具体例としては、例えば、金属イリジウム、酸化イリジウム、硫化イリジウム、水酸化イリジウム、フッ化イリジウム、塩化イリジウム、臭化イリジウム、ヨウ化イリジウム、硫酸イリジウム、イリジウム酸又はその塩(例えば、イリジウム酸カリウムなど)、無機イリジウム錯体[例えば、ヘキサアンミンイリジウム(III)塩、クロロペンタアンミンイリジウム(III)塩等]などの無機化合物;シアン化イリジウム、有機イリジウム錯体[例えば、トリス(アセチルアセトナト)イリジウム、ドデカカルボニル四イリジウム(0)、クロロトリカルボニルイリジウム(I)、ジ−μ−クロロテトラキス(シクロオクテン)二イリジウム(I)、ジ−μ−クロロテトラキス(エチレン)二イリジウム(I)、ジ−μ−クロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二イリジウム(I)、ジ−μ−クロロジクロロビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)二イリジウム(III)、トリクロロトリス(トリエチルホスフィン)イリジウム(III)、ペンタヒドリドビス(トリメチルホスフィン)イリジウム(V)、クロロカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)イリジウム(I)、クロロカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)イリジウム(I)、クロロエチレンビス(トリフェニルホスフィン)イリジウム(I)、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジカルボニルイリジウム(I)、ビス{1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン}イリジウム(I)塩化物、ペンタメチルシクロペンタジエニルビス(エチレン)イリジウム(I)、カルボニルメチルビス(トリフェニルホスフィン)イリジウム(I)、(1,5−シクロオクタジエン)(ジホスフィン)イリジウム(I)ハロゲン化物、1,5−シクロオクタジエン(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)イリジウム(I)ヘキサフルオロリン酸塩、(1,5−シクロオクタジエン)ビス(トリアルキルホスフィン)イリジウム(I)ハロゲン化物、ビス(1,5−シクロオクタジエン)イリジウムテトラフルオロボレート、(1,5−シクロオクタジエン)(アセトニトリル)イリジウムテトラフルオロボレート等]などの有機化合物などが挙げられる。
上記イリジウム化合物以外の遷移金属化合物としては、例えば、上述のイリジウム化合物に対応する化合物[例えば、塩化ルテニウム、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)白金、塩化ロジウム、ジクロロビス(1,5−シクロオクタジエン)二ロジウム等]などが挙げられる。
(金属ナノクラスターの製造方法)
本発明の金属ナノクラスターは、上述のように、配位性有機溶媒を含む溶媒中で遷移金属化合物を加熱することにより製造できる。
本発明の金属ナノクラスターの製造方法において使用する配位性有機溶媒、その他の溶媒、遷移金属化合物の量(使用量)は、適宜調整可能であり、特に限定されない。例えば、上記遷移金属化合物の使用量は、特に限定されないが、配位性有機溶媒100重量部に対して、0.001〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.03〜0.3重量部である。遷移金属化合物の使用量が0.001重量部未満であると、生産性が低下する場合がある。一方、遷移金属化合物の使用量が5重量部を超えると、金属ナノクラスターの一部が凝集する場合がある。
上記配位性有機溶媒を含む溶媒中で遷移金属化合物を加熱する際の温度(加熱温度)は、特に限定されないが、使用する配位性有機溶媒(2種以上の配位性有機溶媒を使用する場合には、最も沸点が高い配位性有機溶媒)の沸点付近の温度で加熱し、当該配位性有機溶媒を還流させることが好ましい。加熱の手順としては、特に、反応容器に配位性有機溶媒を含む溶媒を入れた後、これを加熱して還流状態とした段階で、遷移金属化合物を一度に(急峻に)添加して加熱還流させることが好ましい。これにより、平均粒子径がより制御された金属ナノクラスターを生成させやすくなる傾向がある。
より具体的には、上記加熱温度は、例えば、40〜220℃が好ましく、より好ましくは60〜200℃、さらに好ましくは100〜180℃である。加熱温度が40℃未満であると、金属ナノクラスターを効率良く生成させることが困難となる場合がある。一方、加熱温度が220℃を超えると、コスト面で不利となる場合がある。なお、加熱温度は、加熱の間一定(実質的に一定)となるように制御されてもよいし、連続的又は段階的に変動するように制御されてもよい。なお、加熱は、公知乃至慣用の手段により実施することができる。
上記配位性有機溶媒中で遷移金属化合物を加熱する時間(加熱時間)は、特に限定されないが、2〜24時間が好ましく、より好ましくは4〜10時間である。加熱時間が2時間未満であると、金属ナノクラスターの収率が高くならず、生産性が低下する場合がある。一方、加熱時間が24時間を超えると、省エネルギーの観点で不利となったり、生産性に悪影響が及ぶ場合がある。なお、加熱の終了は、例えば、生成した金属ナノクラスターの平均粒子径が目的の値に到達した時点とすることができる。
上記加熱は、攪拌しながら実施することが好ましい。攪拌の条件は、特に限定されないが、例えば、攪拌の回転数を100〜3000rpmとすることが好ましく、より好ましくは500〜2500rpmである。回転数が100rpm未満であると、金属ナノクラスターの生成が不十分となる場合がある。一方、回転数が3000rpmを超えると、コスト面で不利となる場合がある。なお、上記攪拌は、公知乃至慣用の手段(攪拌機など)により実施することができる。
なお、上記加熱は、一段階で実施することもできるし、二段階以上に分けて実施することもできる。また、上記加熱は、空気雰囲気下などの酸素存在下で実施することもできるし、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下などの不活性ガス雰囲気下で実施することもできる。また、上記加熱は、常圧下で実施することもできるし、加圧下又は減圧下で実施することもできる。
上記加熱の際には、加熱と同時にマイクロ波を照射してもよい。マイクロ波を照射することにより、金属ナノクラスターをいっそう効率良く生成させることができる傾向がある。上記マイクロ波の照射条件は、特に限定されないが、周波数としては2.45GHz程度が好ましく、照射量としては100〜300W程度が好ましい。
本発明の金属ナノクラスターの製造方法は、回分方式(バッチ式)、半回分方式、連続流通方式などのいずれの方式によっても実施することができる。例えば、本発明の金属ナノクラスターの製造方法を回分方式で実施する場合には、例えば、回分式の反応容器に配位性有機溶媒を含む溶媒を入れ加熱した後、ここに遷移金属化合物を一括で投入し、攪拌しながら加熱を続ける方法などにより実施することができる。
上記配位性有機溶媒中で遷移金属化合物を加熱することによって、本発明の金属ナノクラスターが生成する。上記加熱を終了した段階では、通常、配位性有機溶媒を含む溶媒中に本発明の金属ナノクラスターが含まれた溶液又は分散液が得られる。本発明の金属ナノクラスターは、上記溶媒又は分散液から配位性有機溶媒などの成分を除いた上で使用することもできるし、上記溶媒や分散液の状態で使用することもできる。なお、上記溶媒又は分散液から配位性有機溶媒などの成分を除く方法は、特に限定されず、例えば、減圧留去などの公知乃至慣用の方法を利用できる。
本発明の金属ナノクラスターの平均粒子径は、特に限定されないが、0.5〜4nmが好ましく、より好ましくは0.5〜3nm、さらに好ましくは0.5〜2nmである。平均粒子径が0.5nm未満であると、金属ナノクラスターの回収が困難となる場合がある。一方、平均粒子径が4nmを超えると、ビニル交換反応やエーテル交換反応を促進する効果が不十分となる場合がある。なお、上記金属ナノクラスターの平均粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)などの電子顕微鏡を使用して求めることができる。
本発明の金属ナノクラスターは、上述のように、配位性有機溶媒中で遷移金属化合物を加熱することにより得られる金属ナノクラスターであるため、遷移金属化合物を構成する遷移金属を含む粒子が配位性有機溶媒(特に、DMF)によって保護された構造を有するナノ粒子(溶媒保護化物)であると考えられる。溶媒保護化物であることは、例えば、NMRスペクトル測定により確認可能である(例えば、Nanoscale,2012,4,4148参照)。このため、本発明の金属ナノクラスターは特殊な表面処理剤、保護剤、ポリマーなどを使用しなくても、凝集しにくく、各種溶媒への分散性が高い。
本発明の金属ナノクラスターは、上述のように、ビニルエーテルを生成させる方法(本発明のビニルエーテルの製造方法の第1態様、本発明のビニルエーテルの製造方法の第2態様)における触媒として使用することができる。即ち、本発明の金属ナノクラスターを含む触媒は、ビニル交換反応における触媒(ビニル交換反応用触媒)として使用することができるし、エーテル交換反応における触媒(エーテル交換反応用触媒)として使用することもできる。なお、本明細書におけるビニルエーテルの「ビニル」には、ビニル基及びビニル基の水素原子の1以上が1価の有機基で置換された基(即ち、式(2a)中の「RbcC=CRa−」及び式(2b)中の「RefC=CRd−」)の意味が含まれるものとする。
[本発明のビニルエーテルの製造方法の第1態様]
本発明のビニルエーテルの製造方法の第1態様は、下記式(1)で表されるアルコールと、下記式(2a)で表されるビニルエステルとを、本発明の金属ナノクラスターの存在下で反応(ビニル交換反応)させ、下記式(3a)で表されるビニルエーテルを生成させる工程(「ビニル交換反応工程」と称する場合がある)を必須の工程として含む。
(アルコール)
上記式(1)中のR1は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基(1価の有機基)(単に「有機基」と称する場合がある)を示す。上記1価の有機基としては、公知乃至慣用の有機基が挙げられ、特に限定されないが、例えば、炭化水素基及び/又は複素環式基(炭化水素基及び複素環式基のいずれか一方又は両方)を含有する有機基などが挙げられる。
上記炭化水素基及び複素環式基には、置換基を有する炭化水素基及び複素環式基も含まれる。上記炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらの基が結合した基などが含まれる。
上記脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜3)のアルキル基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基などの炭素数2〜20(好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜3)のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基などの炭素数2〜20(好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜3)のアルキニル基などが挙げられる。上記脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好ましくは5〜8員)のシクロアルキル基;シクロペンテニル基、シクロへキセニル基などの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好ましくは5〜8員)のシクロアルケニル基;パーヒドロナフタレン−1−イル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−3−イル基などの橋かけ環式炭化水素基などが挙げられる。上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などの炭素数6〜14(好ましくは6〜10)の芳香族炭化水素基が挙げられる。上記脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とが結合した基としては、例えば、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、2−シクロヘキシルエチル基などのシクロアルキル−アルキル基(例えば、C3-20シクロアルキル−C1-4アルキル基など)などが挙げられる。また、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した基には、例えば、アラルキル基(例えば、C7-18アラルキル基など)、アルキル置換アリール基(例えば、1〜4個程度のC1-4アルキル基が置換したフェニル基又はナフチル基など)などが挙げられる。
上記炭化水素基は、種々の置換基、例えば、ハロゲン原子、オキソ基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基など)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基などを有していてもよい。また、上記炭化水素基はヒドロキシル基を有していてもよい。即ち、上記式(1)で表されるアルコールは、式(1)で表されるヒドロキシル基以外のヒドロキシル基を有していてもよい(言い換えれば、式(1)で表されるアルコールは、分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する多価アルコールであってもよい)。上記ヒドロキシル基やカルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基(例えば、アシル基、アルコキシカルボニル基、有機シリル基、アルコキシアルキル基、オキサシクロアルキル基など)で保護されていてもよい。また、脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基の環には芳香族性又は非芳香族性の複素環が縮合していてもよい。なお、上記置換基の数は特に限定されない。
上記置換又は無置換カルバモイル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基、若しくはアセチル基、ベンゾイル基等のアシル基等を有するカルバモイル基、又は無置換カルバモイル基などが挙げられる。また、上記置換又は無置換アミノ基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基等を有するアミノ基、若しくは、無置換アミノ基等が挙げられる。
上記複素環式基を構成する複素環には、芳香族性複素環及び非芳香族性複素環が含まれる。このような複素環としては、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、オキシラン環などの3員環、オキセタン環などの4員環、フラン、テトラヒドロフラン、オキサゾール、γ−ブチロラクトン環などの5員環、4−オキソ−4H−ピラン、テトラヒドロピラン、モルホリン環などの6員環、ベンゾフラン、4−オキソ−4H−クロメン、クロマン環などの縮合環、3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン環、3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン環などの橋かけ環など)、ヘテロ原子として硫黄原子を含む複素環(例えば、チオフェン、チアゾール、チアジアゾール環などの5員環、4−オキソ−4H−チオピラン環などの6員環、ベンゾチオフェン環などの縮合環など)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール環などの5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン環などの6員環、インドール、インドリン、キノリン、アクリジン、ナフチリジン、キナゾリン、プリン環などの縮合環など)などが挙げられる。上記複素環式基には、上記炭化水素基が有していてもよい置換基のほか、アルキル基(例えば、メチル、エチル基などのC1-4アルキル基など)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基など)などの置換基を有していてもよい。また、複素環を構成する窒素原子は、慣用の保護基(例えば、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アラルキル基、アシル基、アリールスルホニル基、アルキルスルホニル基など)により保護されていてもよい。
上記式(1)中のR1は、1又は2以上の炭化水素基及び/又は複素環式基と、1又は2以上の連結基とで構成された有機基であってもよい。上記連結基としては、例えば、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−CONH−)、カルボニル基(−CO−)、これらの2以上が結合した基などの2価の基などが挙げられる。
上記式(1)で表されるアルコールとしては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、へプタノール、オクタノール、アリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、3−メチルオキセタン−2−イルメタノール、3−エチルオキセタン−2−イルメタノール等の分子内にヒドロキシル基を1個有するアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3,3−ビス(ヒドロキシメチル)オキセタン、オキセタンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンと3−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンの混合物(ONB)、1,6−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の分子内に2個以上のヒドロキシル基を有するアルコールなどが挙げられる。
(ビニルエステル)
上記式(2a)中のR2は、式中に示される炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基(1価の有機基)を示す。上記式(2a)中のR2としては、具体的には、上記式(1)中のR1と同様の基が挙げられる。但し、通常、上記式(1)中のR1と上記式(2a)中のR2とは、異なる基である。
上記式(2a)中のRa〜Rcは、同一又は異なって、水素原子若しくは式中に示される炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基(1価の有機基)を示す。上記有機基としては、ビニル交換反応を阻害せず、なおかつ式中に示される炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基であればよく、特に限定されない。上記Ra〜Rcとしての1価の有機基としては、上記式(1)中のR1と同様の基が挙げられ、より具体的には、例えば、メチル基、エチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ブチル基(n−ブチル基)、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、デセニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基などのアリール基等が挙げられる。中でも、Ra〜Rcとしては水素原子が好ましく、特に、Ra〜Rcがいずれも水素原子であることが好ましい。
上記式(2a)で表されるビニルエステルとしては、具体的には、例えば、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル、酢酸1−プロペニル、酢酸2−メチル−1−プロペニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられる。
(ビニル交換反応)
上記式(1)で表されるアルコールと上記式(2a)で表されるビニルエステルとの反応(ビニル交換反応)は、溶媒の存在下で進行させることもできるし、溶媒の非存在下で進行させることもできる。上記溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、トルエンなどが挙げられる。なお、上記溶媒は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて(即ち、混合溶媒として)使用することもできる。また、上記式(1)で表されるアルコールや式(2a)で表されるビニルエステルを溶媒(溶媒兼基質)として使用することもできる。
上記溶媒の使用量は、式(1)で表されるアルコールの種類、式(2a)で表されるビニルエステルの種類、溶媒の種類等に応じて適宜調整でき、特に限定されないが、上記式(1)で表されるアルコール100重量部に対して、10〜5000重量部が好ましく、より好ましくは100〜3000重量部である。
上記ビニル交換反応に付す式(1)で表されるアルコールと式(2a)で表されるビニルエステルの量論比は、反応基質の種類や反応条件等に応じて適宜調整可能であり、特に限定されない。通常、式(1)で表されるアルコールが有するヒドロキシル基に対して、式(2a)で表されるビニルエステルが有するビニル基が等量又は過剰量となるように設定する。具体的には、上記式(2a)で表されるビニルエステルの使用量は、上記式(1)で表されるアルコールが有するヒドロキシル基1当量に対して、式(2a)で表されるビニルエステルが有するビニル基が0.8〜10当量となるような量であることが好ましく、より好ましくは1〜8当量、さらに好ましくは1.5〜5当量である。
上記ビニル交換反応は、本発明の金属ナノクラスターの存在下で進行させる。上記ビニル交換反応において反応物(反応基質)と共存させる本発明の金属ナノクラスターの量(使用量;金属ナノクラスターを構成する金属原子換算)は、特に限定されないが、上記式(1)で表されるアルコールが有するヒドロキシル基100モルに対して、10-7〜1モルが好ましく、より好ましくは10-7〜10-1モル、さらに好ましくは10-7〜10-2モルである。本発明の金属ナノクラスターの使用量が10-7モル未満であると、ビニル交換反応が進行しないか、その進行が不十分となり、ビニルエーテルの生産性が低下する場合がある。一方、本発明の金属ナノクラスターの使用量が1モルを超えると、コスト面で不利となる場合がある。なお、上記ビニル交換反応において本発明の金属ナノクラスターは、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記ビニル交換反応においては、さらに、塩基を共存させることが好ましい。塩基を共存させることにより、ビニル交換反応が加速する傾向がある。上記塩基としては、公知乃至慣用の塩基を使用することができ、特に限定されないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩などの無機塩基が挙げられる。また、上記塩基としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウムなどのアルカリ金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);酢酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド;ナトリウムフェノキシドなどのアルカリ金属のフェノキシド;トリエチルアミン、N−メチルピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エンなどのアミン類(第3級アミンなど);ピリジン、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリンなどの含窒素芳香族複素環化合物などの有機塩基も例示される。なお、上記ビニル交換反応において塩基は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。中でも、無機塩基が好ましく、より好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩、さらに好ましくは炭酸ナトリウムである。
上記ビニル交換反応において共存させる塩基の量(使用量)は、特に限定されないが、上記式(1)で表されるアルコールが有するヒドロキシル基100モルに対して、5〜120モルが好ましく、より好ましくは10〜100モル、さらに好ましくは40〜80モルである。塩基の量が5モル未満であると、式(3a)で表されるビニルエーテルの生産性が低下する場合がある。一方、塩基の量が120重量部を超えると、コスト面で不利となる場合がある。
上記ビニル交換反応を進行させる際の温度(反応温度)は、特に限定されないが、30〜250℃が好ましく、より好ましくは80〜200℃である。反応温度が30℃未満であると、反応速度が遅く、式(3a)で表されるビニルエーテルの生産性が低下する場合がある。一方、反応温度が250℃を超えると、反応基質の分解反応等が併発しやすく、式(3a)で表されるビニルエーテルの生産性が低下する場合がある。なお、反応温度は、一定(実質的に一定)となるように制御することもできるし、段階的又は連続的に変動するよう制御することもできる。
また、上記ビニル交換反応の反応時間は、反応基質や反応温度等に応じて適宜調整することができ、特に限定されないが、1〜48時間が好ましく、より好ましくは3〜30時間である。反応時間が1時間未満であると、式(3a)で表されるビニルエーテルを十分に生成させることが困難となる場合がある。一方、反応時間が48時間を超えると、式(3a)で表されるビニルエーテルの生産性が低下し、コスト面で不利となる場合がある。
なお、上記ビニル交換反応を進行させる雰囲気は、特に限定されず、空気雰囲気下や酸素雰囲気下などであってもよいし、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下などの不活性ガス雰囲気下であってもよい。中でも、上記ビニル交換反応は、不活性ガス雰囲気下で進行させることが好ましい。また、上記ビニル交換反応は、常圧下で進行させることもできるし、加圧下又は減圧下で進行させることもできる。
上記ビニル交換反応は、回分方式(バッチ式)、半回分方式、連続流通方式などのいずれの方式によっても実施することができる。例えば、上記ビニル交換反応を回分方式で実施する場合には、例えば、回分式の反応容器に、式(1)で表されるアルコール、式(2a)で表されるビニルエステル、本発明の金属ナノクラスター、及び溶媒等を仕込み、さらに必要に応じて加熱し、攪拌する方法等により実施することができる。一方、上記ビニル交換反応を連続流通方式で実施する場合には、例えば、連続流通方式の反応容器中に本発明の金属ナノクラスターを保持し、当該反応容器に、上記式(1)で表されるアルコール及び上記式(2a)で表されるビニルエステルを含む溶液を流通させる方法等により実施することができる。
上記ビニル交換反応工程により、上記式(1)で表されるアルコールの水酸基の少なくとも1つの水素原子が、式(2a)で表されるビニルエステルのビニル基(RbcC=CRa−)で置換された、上記式(3a)で表されるビニルエーテルが得られる。即ち、上記式(3a)中のR1、Ra〜Rcは前記に同じ(式(1)及び式(2a)におけるものと同じ)である。
本発明のビニルエーテルの製造方法の第1態様は、上記ビニル交換反応工程の後、生成させた上記式(3a)で表されるビニルエーテルを精製するための減圧留去、蒸留、再結晶、クロマトグラフィーなどを行うための精製工程などのその他の工程を含んでいてもよい。
[本発明のビニルエーテルの製造方法の第2態様]
本発明のビニルエーテルの製造方法の第2態様は、上記式(1)で表されるアルコールと、下記式(2b)で表されるビニルエーテルとを、本発明の金属ナノクラスターの存在下で反応(エーテル交換反応)させ、下記式(3b)で表されるビニルエーテルを生成させる工程(「エーテル交換反応工程」と称する場合がある)を必須の工程として含む。
なお、本発明のビニルエーテルの製造方法の第2態様においては、特に、上記式(2b)で表されるビニルエーテルを「原料ビニルエーテル」、上記式(3b)で表されるビニルエーテルを「生成ビニルエーテル」と区別して称する場合がある。
(原料ビニルエーテル)
上記式(2b)中のR3は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基(1価の有機基)を示す。上記式(2b)中のR3としては、具体的には、上記式(1)中のR1と同様の基が挙げられる。なお、上記エーテル交換反応における反応物(反応基質)としての原料ビニルエーテルと、生成物である生成ビニルエーテルとは、通常、異なる化合物(ビニルエーテル)であるため、上記式(2b)中のR3と上記式(1)中のR1とは、通常、異なる基である。
上記式(2b)中のRd〜Rfは、同一又は異なって、水素原子若しくは式中に示される炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基(1価の有機基)を示す。上記有機基としては、エーテル交換反応を阻害せず、なおかつ式中に示される炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基であればよく、特に限定されない。上記Rd〜Rfとしては、上記式(1)中のR1と同様の基が挙げられ、より具体的には、例えば、メチル基、エチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ブチル基(n−ブチル基)、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、デセニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基などのアリール基等が挙げられる。中でも、Rd〜Rfとしては水素原子が好ましく、特に、Rd〜Rfがいずれも水素原子であることが好ましい。
上記式(2b)で表されるビニルエーテルとしては、具体的には、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、s−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルなどが挙げられる。
(エーテル交換反応)
上記式(1)で表されるアルコールと上記式(2b)で表されるビニルエーテル(原料ビニルエーテル)とのエーテル交換反応は、溶媒の存在下で進行させることもできるし、溶媒の非存在下で進行させることもできる。上記溶媒としては、特に限定されず、例えば、上記ビニル交換反応において使用可能な溶媒などが挙げられる。なお、上記溶媒は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて(即ち、混合溶媒として)使用することもできる。また、上記式(1)で表されるアルコールや式(2b)で表されるビニルエーテルを溶媒(溶媒兼基質)として使用することもできる。
上記溶媒の使用量は、上記式(1)で表されるアルコールの種類、上記式(2b)で表されるビニルエーテルの種類、溶媒の種類等に応じて適宜調整でき、特に限定されないが、上記式(1)で表されるアルコール100重量部に対して、10〜5000重量部が好ましく、より好ましくは100〜3000重量部である。
上記エーテル交換反応に付す式(1)で表されるアルコールと上記式(2b)で表されるビニルエーテル(原料ビニルエーテル)の量論比は、反応基質の種類や反応条件等により異なり適宜調整可能であり、特に限定されない。通常、式(1)で表されるアルコールが有するヒドロキシル基に対して、式(2b)で表されるビニルエーテルが有するビニル基が等量又は過剰量となるように設定する。具体的には、上記式(2b)で表されるビニルエーテルの使用量は、上記式(1)で表されるアルコールが有するヒドロキシル基1当量に対して、式(2b)で表されるビニルエーテルが有するビニル基が0.8〜10当量となる量が好ましく、より好ましくは1〜8当量、さらに好ましくは1.5〜5当量である。
上記エーテル交換反応は、本発明の金属ナノクラスターの存在下で進行させる。上記エーテル交換反応において反応物(反応基質)と共存させる本発明の金属ナノクラスターの量(使用量;金属ナノクラスターを構成する金属原子換算)は、特に限定されないが、上記式(1)で表されるアルコールが有するヒドロキシル基100モルに対して、10-7〜1モルが好ましく、より好ましくは10-7〜10-1モル、さらに好ましくは10-7〜10-2モルである。本発明の金属ナノクラスターの使用量が10-7モル未満であると、エーテル交換反応が進行しないか、その進行が不十分となり、ビニルエーテルの生産性が低下する場合がある。一方、本発明の金属ナノクラスターの使用量が1重量部を超えると、コスト面で不利となる場合がある。なお、上記エーテル交換反応において本発明の金属ナノクラスターは、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記エーテル交換反応は、さらに、塩基を共存させて進行させることが好ましい。塩基を共存させることにより、エーテル交換反応が加速する傾向がある。上記塩基としては、公知乃至慣用の塩基を使用することができ、特に限定されないが、例えば、上記ビニル交換反応において使用可能な塩基と同様の塩基が例示される。なお、上記エーテル交換反応において塩基は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記エーテル交換反応において共存させる塩基の量(使用量)は、特に限定されないが、上記式(1)で表されるアルコールが有するヒドロキシル基100モルに対して、5〜120モルが好ましく、より好ましくは10〜100モル、さらに好ましくは40〜80モルである。塩基の量が5モル未満であると、式(3b)で表されるビニルエーテルの生産性が低下する場合がある。一方、塩基の量が120重量部を超えると、コスト面で不利となる場合がある。
上記エーテル交換反応を進行させる際の温度(反応温度)は、特に限定されないが、30〜250℃が好ましく、より好ましくは80〜200℃である。反応温度が30℃未満であると、反応速度が遅く、式(3b)で表されるビニルエーテルの生産性が低下する場合がある。一方、反応温度が250℃を超えると、反応基質の分解反応等が併発しやすく、式(3b)で表されるビニルエーテルの生産性が低下する場合がある。なお、反応温度は、一定(実質的に一定)となるように制御することもできるし、段階的又は連続的に変動するよう制御することもできる。
また、上記エーテル交換反応の反応時間は、反応基質や反応温度等に応じて適宜調整することができ、特に限定されないが、1〜48時間が好ましく、より好ましくは3〜30時間である。反応時間が1時間未満であると、式(3b)で表されるビニルエーテルを十分に生成させることが困難となる場合がある。一方、反応時間が48時間を超えると、式(3b)で表されるビニルエーテルの生産性が低下し、コスト面で不利となる場合がある。
なお、上記エーテル交換反応を進行させる雰囲気は、特に限定されず、空気雰囲気下や酸素雰囲気下などであってもよいし、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下などの不活性ガス雰囲気下であってもよい。中でも、上記エーテル交換反応は、不活性ガス雰囲気下で進行させることが好ましい。また、上記エーテル交換反応は、常圧下で進行させることもできるし、加圧下又は減圧下で進行させることもできる。
上記エーテル交換反応は、回分方式(バッチ式)、半回分方式、連続流通方式などのいずれの方式によっても実施することができる。例えば、上記エーテル交換反応を回分方式で実施する場合には、例えば、回分式の反応容器に、式(1)で表されるアルコール、式(2b)で表されるビニルエーテル、本発明の金属ナノクラスター、及び溶媒等を仕込み、さらに必要に応じて加熱し、攪拌する方法等により実施することができる。一方、上記エーテル交換反応を連続流通方式で実施する場合には、例えば、連続流通方式の反応容器中に本発明の金属ナノクラスターを保持させ、当該反応容器に、上記式(1)で表されるアルコール及び上記式(2b)で表されるビニルエーテルを含む溶液を流通させる方法等により実施することができる。
上記エーテル交換反応工程により、上記式(1)で表されるアルコールの水酸基の少なくとも1つの水素原子が、式(2b)で表されるビニルエステルのビニル基(RefC=CRd−)で置換された、上記式(3b)で表されるビニルエーテルが得られる。即ち、上記式(3b)中のR1、Rd〜Rfは前記に同じ(式(1)及び式(2b)におけるものと同じ)である。
本発明のビニルエーテルの製造方法の第2態様は、上記エーテル交換反応工程の後、生成させた上記式(3b)で表されるビニルエーテルを精製するための減圧留去、蒸留、再結晶、クロマトグラフィーなどを行うための精製工程などのその他の工程を含んでいてもよい。
本発明のビニルエーテルの製造方法(第1態様及び第2態様)により生成物として得られる式(3a)又は式(3b)で表されるビニルエーテルは、例えば、医薬品や農薬等の精密化学品の原料、機能性樹脂(例えば、レジスト用樹脂、光学樹脂、透明樹脂、架橋樹脂等)の原料、カチオン重合用硬化剤等に適用することができる。
本発明のビニルエーテルの製造方法においては、ビニルエーテルを生成させるための反応(ビニル交換反応、エーテル交換反応)用の触媒として、耐熱性に優れる本発明の金属ナノクラスターを使用しているため、反応温度を高く設定することができ、ビニルエーテルを優れた生産性で生成させることが可能となる。従って、これまでに反応基質として使用することが困難であった化合物(例えば、溶媒に溶解させるためには高温での加熱が必要な化合物など)を、上記ビニル交換反応やエーテル交換反応における反応基質として使用することも可能となる。さらに、加熱を伴う精製工程においても本発明の金属ナノクラスターは失活しにくいため、ビニルエーテルの精製・回収操作や金属ナノクラスターの回収操作等の作業性にも優れ、金属ナノクラスターの再使用も容易である。これに対して、従来のビニル交換反応やエーテル交換反応の触媒として使用されている金属錯体(例えば、パラジウム錯体、イリジウム錯体など)は、本発明の金属ナノクラスターに比べて耐熱性に劣るため、従来のビニルエーテルの製造方法においては反応温度を比較的低い範囲に設定しなければならず、また、ビニル交換反応やエーテル交換反応における反応基質として使用できる化合物は限定されていた。また、上記金属錯体は耐熱性に劣るため、加熱を伴う精製工程等において失活しやすく、その回収及び再使用は困難であった。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
[金属ナノクラスター(触媒;金属ナノクラスターのDMF溶液)の製造]
三口フラスコに回転子を入れ、DMFで共洗いした後、DMFを15mL入れ、空気雰囲気下、140℃で6分間予備加熱した。その後、ここに、0.1MのIrCl3水溶液を150μL加え、140℃で8時間加熱還流し(回転数:1300rpm)、金属ナノクラスター(イリジウムナノクラスター;「Ir NCs」と称する)溶液(DMF溶液)を得た。なお、上記溶液におけるIr NCsの濃度は1mMである。
上記Ir NCs溶液(1mM Ir NCs in DMF)について、後述のように、紫外可視吸収スペクトル(UV−visスペクトル)測定、蛍光スペクトル測定、TEM(透過型電子顕微鏡)観察により分析した結果、直径が約1.5nmの粒子(イリジウムナノクラスター)の生成が確認された。図1は上記Ir NCs溶液のUV−visスペクトルのチャートであり、図2は上記Ir NCs溶液の蛍光スペクトルのチャートである。また、図3は、上記Ir NCs溶液におけるイリジウムナノクラスターの透過型電子顕微鏡像である。
実施例2
[金属ナノクラスターのメタノール溶液の製造]
実施例1で得られたイリジウムナノクラスターのDMF溶液(1mM Ir NCs in DMF)からDMF(15mL)をエバポレーターを用いて留去した後、メタノール(MeOH)15mLを加えてイリジウムナノクラスターを再分散させ、イリジウムナノクラスターのメタノール溶液(1mM Ir NCs in MeOH)を得た。
実施例3
[金属ナノクラスターのイソプロパノール溶液の製造]
実施例1で得られたイリジウムナノクラスターのDMF溶液(1mM Ir NCs in DMF)からDMF(15mL)をエバポレーターを用いて留去した後、イソプロパノール(iPrOH)15mLを加えてイリジウムナノクラスターを再分散させ、イリジウムナノクラスターのイソプロパノール溶液(1mM Ir NCs in iPrOH)を得た。
実施例4
[金属ナノクラスターのN−メチルピロリドン溶液の製造]
実施例1で得られたイリジウムナノクラスターのDMF溶液(1mM Ir NCs in DMF)からDMF(15mL)をエバポレーターを用いて留去した後、N−メチルピロリドン(NMP)15mLを加えてイリジウムナノクラスターを再分散させ、イリジウムナノクラスターのN−メチルピロリドン溶液(1mM Ir NCs in NMP)を得た。
実施例5
[金属ナノクラスターのジグライム溶液の製造]
実施例1で得られたイリジウムナノクラスターのDMF溶液(1mM Ir NCs in DMF)からDMF(15mL)をエバポレーターを用いて留去した後、ジグライム(Diglyme;ジエチレングリコールジメチルエーテル)15mLを加えてイリジウムナノクラスターを再分散させ、イリジウムナノクラスターのジグライム溶液(1mM Ir NCs in Diglyme)を得た。
実施例6
[金属ナノクラスターのヘキサノール溶液の製造]
実施例1で得られたイリジウムナノクラスターのDMF溶液(1mM Ir NCs in DMF)からDMF(15mL)をエバポレーターを用いて留去した後、ヘキサノール(Hexanol)0.15molを加えてイリジウムナノクラスターを再分散させ、イリジウムナノクラスターのヘキサノール溶液(0.01mol% Ir NCs in Hexanol)を得た。
実施例7
[金属ナノクラスターのブタノール溶液の製造]
実施例1で得られたイリジウムナノクラスターのDMF溶液(1mM Ir NCs in DMF)からDMF(15mL)をエバポレーターを用いて留去した後、ブタノール(Butanol)0.15molを加えてイリジウムナノクラスターを再分散させ、イリジウムナノクラスターのブタノール溶液(0.01mol% Ir NCs in Butanol)を得た。
実施例8
[金属ナノクラスターのベンジルアルコール溶液の製造]
実施例1で得られたイリジウムナノクラスターのDMF溶液(1mM Ir NCs in DMF)からDMFをエバポレーターを用いて留去した後、ベンジルアルコール50mmolを加えてイリジウムナノクラスターを再分散させ、イリジウムナノクラスターのベンジルアルコール溶液(1mM Ir NCs in PhCH2OH)を得た。
実施例9
[金属ナノクラスターのブタノール溶液の製造]
実施例7で得られたイリジウムナノクラスターのブタノール溶液を1mLとり、ブタノール10mL中に加えて10倍希釈し、イリジウムナノクラスターのブタノール溶液(0.001mol% Ir NCs in Butanol)を得た。
実施例10
[金属ナノクラスターのブタノール溶液の製造]
実施例7で得られたイリジウムナノクラスターのブタノール溶液を100μLとり、ブタノール10mL中に加えて100倍希釈し、イリジウムナノクラスターのブタノール溶液(0.0001mol% Ir NCs in Butanol)を得た。
実施例11
[金属ナノクラスターのブタノール溶液の製造]
実施例1で得られたイリジウムナノクラスターのDMF溶液(1mM Ir NCs in DMF)からDMF(15mL)をエバポレーターを用いて留去した後、アセトフェノン(Acetophenone)0.15molを加えてイリジウムナノクラスターを再分散させ、イリジウムナノクラスターのアセトフェノン溶液(0.01mol% Ir NCs in Acetophenone)を得た。
(イリジウムナノクラスターのUV−visスペクトル測定)
実施例1で得られたIr NCs溶液(1mM Ir NCs in DMF)、及び、当該Ir NCs溶液をDMFで10倍希釈して得られたIr NCs溶液(0.1mM Ir NCs in DMF)について、UV−visスペクトルを測定した。得られたスペクトルのチャートを図1に示す。
なお、UV−visスペクトルは、「V−650 spectrophotometer」(JASCO製)を使用して測定した。
(イリジウムナノクラスターの蛍光スペクトル測定)
実施例1で得られたIr NCs溶液(1mM Ir NCs in DMF)、及び、当該Ir NCs溶液をDMFで10倍希釈して得られたIr NCs溶液(0.1mM Ir NCs in DMF)について、蛍光スペクトルを測定した。得られたスペクトルのチャートを図2に示す。なお、濃度1mMの方が発光が弱いのは、濃度消光によるものと考えられる。
なお、蛍光スペクトルは、「F−2500型分光蛍光光度計」((株)日立製作所製)を使用して測定した。
(イリジウムナノクラスターのTEM測定)
実施例1で得られたIr NCs溶液におけるDMFを実施例2と同様の方法でメタノールで置換したものをサンプルとして使用し、透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行った。図3に示すように、直径が約1.5nmのIr NCsの生成が確認された。
実施例12
[ビニルエーテルの製造(エーテル交換反応)]
50mLプレッシャーチューブに、実施例8で得られた1mMIr NCsベンジルアルコール溶液0.31g(ベンジルアルコール換算3mmol、Ir NCs換算:0.0003mmol)、n−ブチルビニルエーテル0.77g(6mmol)、及び炭酸ナトリウム0.19g(1.8mmol)を入れ、攪拌し、次いで、得られた溶液中でアルゴンをバブリングさせ、容器内をアルゴンで置換した。その後、アルゴン雰囲気下、上記溶液を150℃で24時間加熱し、反応を行った。なお、上記Ir NCsベンジルアルコール溶液におけるベンジルアルコールは、溶媒(Ir NCsの分散溶媒、反応溶媒)であるのと同時に反応基質でもある。
上記反応(150℃、24時間)後、得られた反応溶液についてガスクロマトグラフィーで分析を行ったところ、ベンジルビニルエーテルが生成していることが確認された(収率:0.4%)。なお、ベンジルアルコールの転化率は1%未満、n−ブチルビニルエーテルの転化率は3.0%であり、ベンジルブチルエーテルは生成していなかった。また、生成したベンジルビニルエーテルの量(mol)と触媒として使用したIr NCsの量(mol)から算出されるターンオーバー数(TON)[ベンジルビニルエーテル(mol)/Ir NCs(mol)]は、40であった。
このように、ベンジルアルコールとn−ブチルビニルエーテルとの反応(エーテル交換反応)によるベンジルビニルエーテルの生成が確認された。
実施例13
[ビニルエーテルの製造(ビニル交換反応)]
50mLプレッシャーチューブに、実施例8で得られた1mMIr NCsベンジルアルコール溶液0.31g(ベンジルアルコール換算3mmol、Ir NCs換算:0.0003mmol)、ピバル酸ビニル0.78g(3mmol)、及び炭酸ナトリウム0.19g(1.8mmol)を入れ、攪拌し、次いで、得られた溶液中でアルゴンをバブリングさせ、容器内をアルゴンで置換した。その後、アルゴン雰囲気下、上記溶液を150℃で24時間加熱し、反応を行った。なお、上記Ir NCsベンジルアルコール溶液におけるベンジルアルコールは、溶媒(Ir NCsの分散溶媒、反応溶媒)であるのと同時に反応基質でもある。
上記反応(150℃、24時間)後、得られた反応溶液についてガスクロマトグラフィーで分析を行ったところ、ベンジルビニルエーテルが生成していることが確認された(収率:1.3%)。なお、ベンジルアルコールの転化率及びピバル酸ビニルの転化率は99%を超えており、ピバル酸ベンジルの収率は68%であった。また、生成したベンジルビニルエーテルの量(mol)と触媒として使用したIr NCsの量(mol)から算出されるターンオーバー数(TON)[ベンジルビニルエーテル(mol)/Ir NCs(mol)]は、1.3×102であった。
このように、ベンジルアルコールとピバル酸ビニルとの反応(ビニル交換反応)によるベンジルビニルエーテルの生成が確認された。
1 イリジウムナノクラスター

Claims (10)

  1. 下記式(1)
    [式(1)中、R1は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。]
    で表されるアルコールと、下記式(2a)
    [式(2a)中、R2は、式中に示される炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。Ra〜Rcは、同一又は異なって、水素原子若しくは式中に示される炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。]
    で表されるビニルエステルとを、金属ナノクラスターの存在下でビニル交換反応させ、下記式(3a)
    [式(3a)中、R1、Ra〜Rcは、前記に同じ。]
    で表されるビニルエーテルを生成させる工程を含み、
    前記金属ナノクラスターは、配位性有機溶媒を含む溶媒中で遷移金属化合物を加熱することにより得られる金属ナノクラスターであることを特徴とするビニルエーテルの製造方法。
  2. 下記式(1)
    [式(1)中、R1は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。]
    で表されるアルコールと、下記式(2b)
    [式(2b)中、R3は、式中に示される酸素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。Rd〜Rfは、同一又は異なって、水素原子若しくは式中に示される炭素原子との結合部位に炭素原子を有する有機基を示す。]
    で表されるビニルエーテルとを、金属ナノクラスターの存在下でエーテル交換反応させ、下記式(3b)
    [式(3b)中、R1、Rd〜Rfは、前記に同じ。]
    で表されるビニルエーテルを生成させる工程を含み、
    前記金属ナノクラスターは、配位性有機溶媒を含む溶媒中で遷移金属化合物を加熱することにより得られる金属ナノクラスターであることを特徴とするビニルエーテルの製造方法。
  3. さらに、塩基を共存させて前記ビニル交換反応又はエーテル交換反応を行う請求項1又は2に記載のビニルエーテルの製造方法。
  4. 前記遷移金属化合物が、第8族から第11族遷移金属からなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属元素を含む化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載のビニルエーテルの製造方法。
  5. 前記遷移金属化合物が、イリジウム、ロジウム、及びルテニウムからなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属元素を含む化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載のビニルエーテルの製造方法。
  6. 前記配位性有機溶媒が、下記式(a)で表される化合物、下記式(b)で表される化合物、下記式(c)で表される化合物、下記式(d)で表される化合物、及び下記式(e)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載のビニルエーテルの製造方法。
    [式(a)中、R4は水素原子又はアルキル基を示し、R5、R6は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。]
    [式(b)中、R7は水素原子又はアルキル基を示し、R8、R9は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。lは、2〜6の整数を示す。]
    [式(c)中、R10、R11は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。R12、R13は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。mは、1〜5の整数を示す。]
    [式(d)中、R14、R15は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。]
    [式(e)中、R16、R17は、同一又は異なって、アルキレン基を示す。nは、0〜20の整数を示す。]
  7. イリジウム、ロジウム、及びルテニウムからなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属元素を含む遷移金属化合物を、配位性有機溶媒を含む溶媒中で加熱することにより得られる金属ナノクラスターを含むビニル交換反応用触媒。
  8. 前記配位性有機溶媒が、下記式(a)で表される化合物、下記式(b)で表される化合物、下記式(c)で表される化合物、下記式(d)で表される化合物、及び下記式(e)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物である請求項7に記載のビニル交換反応用触媒。
    [式(a)中、R4は水素原子又はアルキル基を示し、R5、R6は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。]
    [式(b)中、R7は水素原子又はアルキル基を示し、R8、R9は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。lは、2〜6の整数を示す。]
    [式(c)中、R10、R11は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。R12、R13は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。mは、1〜5の整数を示す。]
    [式(d)中、R14、R15は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。]
    [式(e)中、R16、R17は、同一又は異なって、アルキレン基を示す。nは、0〜20の整数を示す。]
  9. イリジウム、ロジウム、及びルテニウムからなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属元素を含む遷移金属化合物を、配位性有機溶媒を含む溶媒中で加熱することにより得られる金属ナノクラスターを含むエーテル交換反応用触媒。
  10. 前記配位性有機溶媒が、下記式(a)で表される化合物、下記式(b)で表される化合物、下記式(c)で表される化合物、下記式(d)で表される化合物、及び下記式(e)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物である請求項9に記載のエーテル交換反応用触媒。
    [式(a)中、R4は水素原子又はアルキル基を示し、R5、R6は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。]
    [式(b)中、R7は水素原子又はアルキル基を示し、R8、R9は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。lは、2〜6の整数を示す。]
    [式(c)中、R10、R11は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。R12、R13は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。mは、1〜5の整数を示す。]
    [式(d)中、R14、R15は、同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。]
    [式(e)中、R16、R17は、同一又は異なって、アルキレン基を示す。nは、0〜20の整数を示す。]
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