JPWO2012176903A1 - リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents

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Abstract

副反応による不純物を生成することなく、リチウム含有複合酸化物を所定の含有量の化合物で均一に被覆してなるサイクル特性およびレート特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供できる正極活物質の製造方法を提供する。リチウム含有複合酸化物の粉末の表面をX元素を含有するX元素含有化合物(X元素は、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、ハロゲン、およびAlからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素からなる。)で被覆してなる正極活物質製造方法であって、X元素含有化合物を0.001〜0.05mol/L含むX元素含有溶液をリチウム含有複合酸化物の粉末に噴霧しながら乾燥する被覆工程を行うことにより、リチウム含有複合酸化物に対するX元素含有化合物の含有量が0.005〜0.05倍モルである正極活物質を形成するリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法とする。

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法およびその製造方法を用いて製造された正極活物質を含む正極、リチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、携帯電話やノート型パソコン等の携帯型電子機器に広く用いられている。近年、携帯型電子機器や車載用のリチウムイオン二次電池の小型化・軽量化が求められ、単位質量あたりの放電容量と、充放電サイクルを繰り返した後に放電容量が低下しない特性(以下、サイクル特性ともいう。)の更なる向上が望まれている。また、車載用のリチウムイオン二次電池においては、高い放電レートで放電した際に放電容量が低下しない特性(以下、レート特性ともいう。)のさらなる向上も望まれている。
従来からリチウムイオン二次電池の正極活物質には、LiCoO、LiNiO、LiNi0.8Co0.2、LiMn等のLi元素と遷移金属等とを含む複合酸化物が用いられている。近年、正極の特性を向上させるために、正極活物質として用いるリチウム含有複合酸化物を種々の化合物で被覆することが検討されている。
たとえば、特許文献1には、導電剤、バインダおよびカソード活物質を含むカソード活物質組成物が集電体の一面上に形成され、前記カソード活物質が一般式:xLiMO−(1−x)LiMeO、(式中0<x<1であり、MおよびMeはそれぞれ独立的に、Mn、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Mg、B、およびMoからなる群から選択された少なくとも一種の金属)で表される固溶系酸化物と、炭素が表面コーティングされたAlF,AlPO等の電気化学的に不活性である物質とを含むカソードが示されている。
特許文献2には、フッ素含有化合物を水溶液中で元素前駆体と混合して、高分散度のフッ素化合物粉末を形成し、前記水溶液に、リチウム二次電池用正極活物質の溶液を添加し、その混合溶液を50〜100℃で3〜48時間反応させて該正極活物質を該フッ素化合物でコーティングする工程を含む、フッ素化合物でコーティングされたリチウム二次電池用正極活物質の製造方法が示されている。
特許文献3には、一般式:Li(ただし、Qはチタン、ジルコニウム、ニオブおよびタンタルからなる群から選ばれるいずれか一種の元素、NはCo、MnおよびNiからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素であり、MはQおよびN以外の遷移金属元素、Alおよびアルカリ土類金属元素からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素である。0.9≦p≦1.1、0<q≦0.03、0.97≦x<1.00、0≦y<0.03、1.9≦z≦2.1、q+x+y=1、0≦a≦0.02)で表わされるリチウム含有複合酸化物の製法であって、上記Q元素として、Q元素を含むpH0.5〜11の水溶液を使用するリチウム二次電池正極用リチウム含有複合酸化物の製造方法が開示されている。また、特許文献3には、リチウム複合酸化物粉末とQ元素化合物水溶液とを混合し、得られる混合物から水媒体を除去した後、酸素含有雰囲気において300〜1080℃で焼成する製造方法が示されている。
しかし、特許文献1に記載のカソード活物質は、固溶系酸化物に、炭素が表面コーティングされた電気化学的に不活性である物質を混合することにより得られるものであるため、炭素が表面コーティングされた電気化学的に不活性である物質が、固溶系酸化物の表面に均一に被覆されていなかった。このため、特許文献1の技術では、期待通りの特性を有するカソード活物質が得られない場合があった。
また、特許文献2に記載の技術では、混合溶液を反応させて正極活物質をフッ素化合物でコーティングする工程において、仕込み通りにフッ素化合物が反応せず、コーティングされた正極活物質のフッ素化合物の組成および含有量が仕込み通りになりにくいという問題があった。さらに、特許文献2に記載の技術では、フッ素化合物粉末の結合力を増加させるために、コーティングされた正極活物質を110℃で6〜24時間乾燥させた後、150℃〜900℃で1〜20時間熱処理する工程を行うことが必要である場合があった。このような熱処理を行った場合、熱処理によってフッ素化合物が分解するため、コーティングされた正極活物質のフッ素化合物の組成が期待通りにならないという問題があった。
また、特許文献3に記載の技術においては、リチウム複合酸化物粉末とQ元素化合物水溶液とを混合して焼成するので、焼成時の熱に起因する副反応によって、リチウム複合酸化物の正極としての特性を低下させる不純物が生成する問題があった。
また、溶液中で、リチウム含有複合酸化物に化合物を被覆する湿式方法を行う場合には、被覆後に、溶液中の化合物で被覆されたリチウム含有複合酸化物と溶媒とを分離するための濾過を行う必要がある。しかし、濾過を行う場合、リチウム含有複合酸化物を被覆していた化合物が、濾過によって濾液とともに流出する。このため、被覆後のリチウム含有複合酸化物に含まれる化合物の含有量が、所定の含有量になりにくいという問題があった。また、濾過を行う場合、濾過後に濾液を処理する必要であり、製造工程が煩雑になるという問題があった。
日本特開2009−152197号公報 日本特表2008−536285号公報 WO2005/106993号公報
本発明は、副反応による不純物を生成することなく、リチウム含有複合酸化物が所定の含有量の化合物で均一に被覆されてなり、サイクル特性およびレート特性に優れたリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法およびその製造方法を用いて製造された正極活物質を含む正極、リチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明は以下に示す発明である。
[1]Li元素と、遷移金属元素とを含むリチウム含有複合酸化物の粉末の表面を、X元素を含有するX元素含有化合物(ただし、X元素は、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、ハロゲン、およびAlからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素からなる。)で被覆してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法であって、前記X元素含有化合物を0.001〜0.05mol/L含むX元素含有溶液を、前記リチウム含有複合酸化物の粉末に噴霧しながら乾燥する被覆工程を行うことにより、前記リチウム含有複合酸化物に対する前記X元素含有化合物の含有量が0.005〜0.05倍モルである前記正極活物質を形成することを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
[2]前記リチウム含有複合酸化物の粉末に噴霧する前記X元素含有溶液の量を、前記リチウム含有複合酸化物の粉末に対する前記X元素含有溶液の質量比が1〜95になる範囲とする[1]に記載の製造方法。
[3]前記X元素含有溶液が水溶液であり、20℃の水に対する前記X元素含有化合物の溶解度が、0.1〜100g/Lである[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]前記X元素含有化合物が、LiF、LiPO、LiSO、NaF、AlF、およびZrFからなる群から選ばれる少なくとも1つである[1]〜[3]のいずれか一項に記載の製造方法。
[5]前記X元素含有溶液が噴霧される際の前記リチウム含有複合酸化物の粉末の温度が80〜140℃である[1]〜[4]のいずれか一項に記載の製造方法。
[6]前記噴霧されるX元素含有溶液の温度が10〜60℃である[1]〜[5]のいずれか一項に記載の製造方法。
[7]前記被覆工程の後に、乾燥温度が100〜300℃である乾燥工程をさらに有する[1]〜[6]のいずれか一項に記載の製造方法。
[8]前記被覆工程において、前記リチウム含有複合酸化物の粉末を前記X元素含有溶液とともに撹拌しながら加熱する[1]〜[7]のいずれか一項に記載の製造方法。
[9]前記被覆工程において、前記リチウム含有複合酸化物の粉末を前記X元素含有溶液とともに撹拌する水平軸型の撹拌手段と、前記X元素含有溶液を噴霧するスプレー式注液手段と、撹拌されている前記リチウム含有複合酸化物の粉末と前記X元素含有溶液とを加熱する加熱手段とを有する撹拌加熱装置を用いる[8]に記載の製造方法。
[10][1]〜[9]のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法を用いて製造された正極活物質と、導電材と、バインダーとを含む正極活物質層が、正極集電体上に形成されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池用の正極。
[11][10]に記載の正極と負極と非水電解質とを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
本発明の製造方法によれば、副反応による不純物を生成することなく、リチウム含有複合酸化物が所定の含有量の化合物で均一に被覆されてなり、サイクル特性およびレート特性に優れたリチウムイオン二次電池用正極活物質を製造できる。
また、本発明の製造方法を用いて製造された正極活物質を用いて、サイクル特性およびレート特性に優れた正極、リチウムイオン二次電池を提供できる。
図1は、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法において用いられる撹拌加熱装置の一例であるレーディゲミキサーを説明するための概略断面図である。
<正極活物質の製造方法>
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法は、Li元素と、遷移金属元素とを含むリチウム含有複合酸化物の粉末の表面を、X元素を含有するX元素含有化合物(ただし、X元素は、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、ハロゲン、およびAlからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素からなる。)で被覆してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の製造方法においては、X元素含有化合物を0.001〜0.05mol/L含むX元素含有溶液を、リチウム含有複合酸化物の粉末に噴霧しながら乾燥する被覆工程を行うことにより、リチウム含有複合酸化物に対するX元素含有化合物の含有量が0.005〜0.05倍モルである正極活物質を形成する。
(リチウム含有複合酸化物)
本発明におけるリチウム含有複合酸化物は、Li元素と遷移金属元素とを含む。リチウム含有複合酸化物としては、例えば、下記の化合物(i)〜化合物(iv)が好ましい。これらの化合物は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
リチウム含有複合酸化物としては、高容量であるという点で化合物(iii)が特に好ましく、下記式(iii−1)で表わされる化合物が最も好ましい。
(化合物(i))
化合物(i)は、下記式(i)で表される化合物である。
Li(NiMnCo)M ・・・ (i)
ただし、0.95≦a≦1.1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦b≦0.3、0.90≦x+y+z+b≦1.05、MはMg、Ca、Sr、Ba、およびAlからなる群から選ばれる少なくとも一種である。式(i)で表される化合物(i)の例としては、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn0.5Ni0.5、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiNi0.85Co0.10Al0.05、LiNi1/3Co1/3Mn1/3が挙げられる。
(化合物(ii))
化合物(ii)は、下記式(ii)で示される化合物またはこれらの複合体であるオリビン型金属リチウム塩である。
Lix’y’z’ ・・・ (ii)
ただし、XはFe(II)、Co(II)、Mn(II)、Ni(II)、V(II)、またはCu(II)を示し、YはPまたはSiを示し、0<L≦3、1≦x’≦2、1≦y’≦3、4≦z’≦12、0≦g≦1である。
オリビン型金属リチウム塩(ii)の例としては、LiFePO、LiFe(PO、LiFeP、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、LiFePOF、LiMnPOF、LiNiPOF、LiCoPOF、LiFeSiO、LiMnSiO、LiNiSiO、LiCoSiOが挙げられる。
(化合物(iii))
化合物(iii)は、下式(iii−1)で表される化合物である。式(iii−1)で表される化合物は、充放電や活性化の工程を経る前の組成である。ここで、活性化とは、酸化リチウム(LiO)、または、リチウムおよび酸化リチウムを、リチウム含有複合酸化物から取り除くことをいう。活性化方法としては、4.4Vもしくは4.6V(Li/Liの酸化還元電位との電位差として表される。)より大きな電圧を加える電気化学的な活性化方法や、硫酸、塩酸もしくは硝酸等の酸を用いた化学反応を行うことによる、化学的な活性化方法が挙げられる。
Li(LiMnMe)O ・・・ (iii−1)
式(iii−1)において、Meは、Mn以外の遷移金属、アルカリ土類金属、希土類、およびAlからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素である。式(iii−1)におけるMeとしては、Co、Ni、Cr、Fe、Al、Ti、Zr、Mo、Nb、V、およびMgからなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましく、CoおよびNiが特に好ましい。
式(iii−1)において、0.09<x<0.3、y>0、z>0、1.9<p<2.1、0≦q≦0.1であり、かつ、0.4≦y/(y+z)≦0.8、x+y+z=1、1.2<(1+x)/(y+z)である。式(iii−1)においては、0.1<x<0.25が好ましく、0.11<x<0.22がより好ましく、0.5≦y/(y+z)≦0.8が好ましく、0.55≦y/(y+z)≦0.75がより好ましい。
式(iii−1)で表わされる化合物において、MnとMeの合計に対するLi元素の組成比は、1.2<(1+x)/(y+z)<1.8であり、1.35≦(1+x)/(y+z)≦1.65が好ましく、1.45≦(1+x)/(y+z)≦1.55がより好ましい。該組成比が前記の範囲であれば、4.6V以上の高い充電電圧を印加した場合に、単位質量あたりの放電容量が高い正極材料が得られる。
また、式(iii−1)において、MnとMeの総量に対するMnの割合((y)/(y+z)モル比)は、0.4〜0.8が好ましく、0.55〜0.75がより好ましい。Mnの割合が前記の範囲であると、放電容量が高容量となる。qはFの割合を示すが、Fが存在しない場合、qは0である。pは、x、y、zおよびqに応じて決まる値であり、1.9〜2.1である。
化合物(iii)としては、下式(iii−2)で表される化合物であることがより好ましい。
Li(LiMnNiCo)O ・・・ (iii−2)
式(iii−2)において、0.09<x<0.3、0.36<y<0.73、0<v<0.32、0<w<0.32、1.9<p<2.1、x+y+v+w=1である。
式(iii−2)において、Mn、Ni、およびCo元素の合計に対するLi元素の組成比は、1.2<(1+x)/(y+v+w)<1.8であり、1.35<(1+x)/(y+v+w)<1.65が好ましく、1.45<(1+x)/(y+v+w)<1.55がより好ましい。
化合物(iii)としては、Li(Li0.16Ni0.17Co0.08Mn0.59)O、Li(Li0.17Ni0.17Co0.17Mn0.49)O、Li(Li0.17Ni0.21Co0.08Mn0.54)O、Li(Li0.17Ni0.14Co0.14Mn0.55)O、Li(Li0.18Ni0.12Co0.12Mn0.58)O、Li(Li0.18Ni0.16Co0.12Mn0.54)O、Li(Li0.20Ni0.12Co0.08Mn0.60)O、Li(Li0.20Ni0.16Co0.08Mn0.56)O、またはLi(Li0.20Ni0.13Co0.13Mn0.54)O、が特に好ましい。
化合物(iii)は、層状岩塩型結晶構造(空間群R−3m)であることが好ましい。また、化合物(iii)は、遷移金属元素に対するLi元素の比率が高いため、XRD(X線回折)測定では層状LiMnOと同様に2θ=20〜25°の範囲にピークが観察される。
(化合物(iv))
化合物(iv)は、下記式(iv)で表わされる化合物である。
Li(Mn2−xMe´)O ・・・ (iv)
ただし、0≦x<2、Me´はCo、Ni、Fe、Ti、Cr,Mg、Ba、Nb、Ag、またはAlである。
式(iv)で表される化合物(iv)の例としては、LiMn、LiMn1.5Ni0.5、LiMn1.0Co1.0、LiMn1.85Al0.15、LiMn1.9Mg0.1が挙げられる。
リチウム含有複合酸化物の平均粒子径(D50)は、0.03〜30μmが好ましく、0.04〜20μmがより好ましく、0.05〜15μmが特に好ましい。平均粒子径(D50)とは、体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積カーブにおいて、その累積カーブが50%となる点の粒子径である、体積基準累積50%径を意味する。粒度分布は、レーザー散乱粒度分布測定装置で測定した頻度分布および累積体積分布曲線で求められる。粒子径の測定は、粉末を水媒体中に超音波処理などで充分に分散させて粒度分布を測定する(たとえば、HORIBA社製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置Partica LA−950VII、などを用いる。)ことで行なわれる。
リチウム含有複合酸化物が化合物(i)、化合物(iii)、および化合物(iv)より選ばれる化合物である場合、平均粒子径(D50)は3〜30μmが好ましく、4〜25μmがより好ましく、5〜20μmが特に好ましい。リチウム複合酸化物が化合物(ii)より選ばれる化合物である場合、平均粒子径(D50)は0.03〜5μmが好ましく、0.04〜1μmがより好ましく、0.05〜0.5μmが特に好ましい。
リチウム含有複合酸化物の比表面積は、0.1〜30m/gであることが好ましく、0.15〜25m/gが特に好ましい。該比表面積が、0.1〜30m/gであると容量が高く、緻密な正極電極層が形成できる。
リチウム含有複合酸化物が化合物(i)または化合物(iv)より選ばれる化合物である場合、比表面積は0.1〜1m/gが好ましく、0.15〜0.6m/gがより好ましい。リチウム含有複合酸化物が化合物(iii)より選ばれる化合物である場合、比表面積は0.3〜10m/gが好ましく、0.5〜5m/gがより好ましく、1〜4m/gが特に好ましい。リチウム含有複合酸化物が化合物(ii)より選ばれる化合物である場合、比表面積は1〜30m/gが好ましく、10〜25m/gがより好ましい。
リチウム含有複合酸化物の製造方法としては、共沈法により得られたリチウム含有複合酸化物の前駆体とリチウム化合物を混合して焼成する方法、水熱合成法、ゾルゲル法、乾式混合法(固相法)、イオン交換法、ガラス結晶化法などが挙げられる。なお、リチウム含有複合酸化物中に遷移金属元素が均一に含有されると放電容量が向上する。このため、リチウム含有複合酸化物の製造方法として、共沈法により得られたリチウム含有複合酸化物の前駆体(共沈組成物)とリチウム化合物とを混合して焼成する方法を用いることが好ましい。
(X元素含有溶液)
X元素含有溶液は、X元素化合物を含むものであり、溶媒にX元素化合物が溶解されたものである。X元素化合物に含まれるX元素は、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、ハロゲン、およびAlからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素からなる。X元素としては、安定な価数で存在し、価数変化し難い元素で安定な化合物を形成することからLi、Al、Zr、Nb、またはLaが好ましい。X元素を含むX元素化合物としては、金属酸化物、金属フッ化物、金属リン酸塩、金属硫酸塩、および金属塩化物などが挙げられ、溶解度と化合物の安定性の点から、金属フッ化物、または金属リン酸塩を用いることが好ましい。
X元素化合物としては、具体的には、LiF、LiPO、NaF、NaPO、MgF、CaF、BaF、SrF、AlF、AlPO、ZrF、Zr(PO)などが挙げられる。X元素化合物が、LiF、LiPO、AlF、AlPO、ZrF、およびZr(PO)からなる群から選ばれる少なくとも一種である場合、電解液および溶媒との反応性が低く、リチウム含有複合酸化物の粉末の表面に電気化学的に安定な被膜を形成できるので好ましく、特に、LiF、LiPO、LiSO、NaF、AlF、およびZrFからなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
X元素含有溶液となる溶媒に溶解されるX元素化合物は、溶媒中での化学反応や熱分解によってX元素化合物を生成するものではなく、溶媒に溶解されるX元素化合物そのものであることが好ましい。X元素化合物がX元素化合物そのものである場合、X元素化合物からX元素化合物を生成するための熱処理などの工程が不要であり、X元素化合物を生成するための工程を行うことに起因する副生成物による不都合が生じない。
また、X元素化合物は、正極活物質を用いた正極を備えるリチウムイオン二次電池において、正極活物質中の遷移金属元素であるNi、Co、Mnなどの元素が電解液中に溶出することを抑制するために、電解液に対する溶解度が小さいほど好ましく、電解液との反応性が低く、電気化学的に安定であることが好ましい。
また、X元素化合物は、X元素含有溶液の溶媒に対する溶解度が低いことが好ましい。X元素化合物の溶媒への溶解度が低いと、X元素含有溶液をリチウム含有複合酸化物の粉末に噴霧しながら乾燥している際に、リチウム含有複合酸化物の粉末の表面に被覆されたX元素化合物が、後からリチウム含有複合酸化物に供給されたX元素含有溶液の溶媒に溶解しにくいため、X元素化合物によるリチウム含有複合酸化物の被覆をより均一にできる。
たとえば、X元素含有溶液が水溶液である場合、均一に効率よくリチウム含有複合酸化物を被覆するために、20℃の水に対するX元素含有化合物の溶解度は0.1〜100g/Lであることが好ましく、0.1〜50g/Lであることがより好ましく、0.3〜20g/Lであることが特に好ましい。
X元素含有溶液に用いられる溶媒としては、X元素化合物の安定性や反応性の点で水を含む溶媒が好ましく、水と水溶性アルコールおよび/またはポリオールとの混合溶媒がより好ましく、水のみが特に好ましい。溶媒が水のみである場合、安全面、環境面、取扱い性、コストの点で優れている。
溶媒に用いられる水溶性アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールが挙げられる。ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、グリセリンが挙げられる。溶媒中に含まれる水溶性アルコールとポリオールの合計の含有量としては、溶媒の合計量(溶媒全量)に対して0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%がより好ましい。
さらに、X元素含有溶液には、X元素化合物の溶解度を調整するために、pH調整剤が含まれていても良い。具体的には、pH調整剤として、酢酸、クエン酸、乳酸、ギ酸、マレイン酸、シュウ酸などの有機酸やアンモニアなどが挙げられ、中でも、酢酸、またはアンモニアは、低温で揮発し易いため特に好ましい。
pH調整剤として、揮発および/または分解しやすいpH調整剤を用いた場合、本発明の製造方法により得られた正極活物質を用いて製造したリチウムイオン二次電池に、不純物が残留しにくくなり、良好な電池特性を有するリチウムイオン二次電池が得られやすい。
X元素含有溶液のpHとしては、2〜12が好ましく、3〜11がより好ましく、4〜10が特に好ましい。pHが上記の範囲にあれば、リチウム含有複合酸化物とX元素含有溶液とを接触させたときにリチウム含有複合酸化物からのLi元素や遷移金属の溶出が少なく、また、pH調整剤等の不純物が少ないため良好な電池特性が得られやすい。
X元素含有溶液に含まれるX元素含有化合物の含有量は、X元素含有化合物の溶媒に対する溶解度以下であり、リチウム含有複合酸化物の粉末の表面にX元素含有化合物を均一に被覆するために、少ないことが好ましい。したがって、X元素含有溶液に含まれるX元素含有化合物の含有量は、化合物換算で0.05mol/L以下であり、0.04mol/L以下とすることが好ましく、0.03mol/L以下とすることが特に好ましい。
また、X元素含有溶液に含まれるX元素含有化合物の含有量を多くすると、X元素含有化合物の含有量が少ない場合と比較して、リチウム含有複合酸化物の粉末を所定の被覆量で被覆するために噴霧するX元素含有溶液の量を少なくすることができる。このため、生産性が良好になるとともに、リチウム含有複合酸化物の粉末に噴霧したX元素含有溶液を乾燥するために必要な熱量を少なくできるので、環境負荷を低減できる。したがって、X元素含有溶液に含まれるX元素含有化合物の含有量は、化合物換算で0.001mol/L以上であり、0.005mol/L以上とすることが好ましく、0.01mol/L以上とすることが特に好ましい。
(被覆工程)
X元素含有溶液を、リチウム含有複合酸化物の粉末に噴霧しながら乾燥する(被覆工程)方法としては、特に限定されないが、リチウム含有複合酸化物をX元素含有化合物で均一にかつ効率よく被覆するために、リチウム含有複合酸化物の粉末をX元素含有溶液とともに撹拌しながら加熱することが好ましい。この場合、被覆工程において、リチウム含有複合酸化物の粉末をX元素含有溶液とともに撹拌する水平軸型の撹拌手段と、X元素含有溶液を噴霧するスプレー式注液手段と、撹拌されているリチウム含有複合酸化物の粉末とX元素含有溶液とを加熱する加熱手段とを有する撹拌加熱装置を用いることが好ましい。
以下に、本発明の製造方法の一例として、図1に示す撹拌加熱装置を用いて被覆工程を行う場合について説明する。図1は、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法において用いられる撹拌加熱装置の一例であるレーディゲミキサーを説明するための概略断面図である。
図1に示すレーディゲミキサー10は、ドラム1と、撹拌手段2と、スプレー式注液手段3とを有している。
図1に示すドラム1は、リチウム含有複合酸化物の粉末5の収容されるものである。ドラム1は、略円筒形状を有しており、円筒形の中心軸方向が略水平方向となるように配置されている。ドラム1には、リチウム含有複合酸化物の粉末5をドラム1に供給する供給口(図示略)と、ドラム1内からX元素含有化合物で被覆されたリチウム含有複合酸化物である正極活物質を排出する排出口(図示略)と、ドラム1内の蒸気を排出する排気筒14とが設けられている。
撹拌手段2は、リチウム含有複合酸化物の粉末5をX元素含有溶液6とともに撹拌するものである。図1に示す撹拌手段2は、ドラム1の円筒形の中心軸方向に沿って配置された回転軸21と、回転軸21に取り付けられ、回転軸21を中心として回転するシャベル22とを有する水平軸型のものである。さらに、図1に示すドラム1の側面には、チョッパー羽根を備えたチョッパー23が設けられており、チョッパー23を回転させることにより、リチウム含有複合酸化物の粉末5とX元素含有溶液6とを、より一層均一に撹拌できるようになっている。
スプレー式注液手段3は、ドラム1の長さ方向中心部の上部に配置されており、所定の温度、粒径および流量で所定量のX元素含有溶液6をリチウム含有複合酸化物の粉末5に噴霧するスプレーノズルを有するものである。なお、図1に示すスプレー式注液手段3では、スプレーノズルを有するものを例に挙げて説明したが、本発明において用いる撹拌加熱装置はスプレー式でない注液手段を有するものであってもよい。なお、スプレーノズルを有するスプレー式注液手段3は、リチウム含有複合酸化物の粉末5にX元素含有溶液6を容易に均一に噴霧できるため好ましい。スプレーノズルを用いるスプレー式注入手段3において、X元素含有溶液6の放出速度は、リチウム含有複合酸化物1gに対して、0.005〜0.1g/分が好ましい。
さらに、図1に示すレーディゲミキサー10は、撹拌されているリチウム含有複合酸化物の粉末5とX元素含有溶液6とを加熱する加熱手段(図示略)を有している。加熱手段は、ドラム1内のリチウム含有複合酸化物の粉末5を所定の温度範囲にできるものであればよく、特に限定されないが、たとえば、ドラム1の外側から蒸気によって加熱するものを用いることができる。
図1に示すレーディゲミキサー10を用いて被覆工程を行うには、まず、ドラム1にリチウム含有複合酸化物の粉末5を供給する。次いで、撹拌手段2のシャベル22およびチョッパー23を回転させてリチウム含有複合酸化物の粉末5の撹拌を開始する。その後、スプレー式注液手段3を用いて所定の温度、粒径および流量でX元素含有溶液6を噴霧するとともに、加熱手段によるリチウム含有複合酸化物の粉末5の加熱により、X元素含有溶液6の噴霧されたリチウム含有複合酸化物の粉末5を乾燥する。
本発明では、図1に例示するように、X元素含有溶液6をリチウム含有複合酸化物の粉末5に噴霧しながら、噴霧されたリチウム含有複合酸化物の粉末5を乾燥する。本発明では、X元素含有溶液6が噴霧される際のリチウム含有複合酸化物の粉末5の温度を、80〜140℃とすることが好ましく、90〜120℃とすることがより好ましい。リチウム含有複合酸化物の粉末5の温度を80℃以上とすることで、リチウム含有複合酸化物の粉末5の乾燥を促進することができる。また、リチウム含有複合酸化物の粉末5の温度を140℃以下とすることで、リチウム含有複合酸化物の粉末5の乾燥を促進することに伴う副反応によって不純物が発生することを防止できる。
また、本発明では、噴霧するX元素含有溶液6の温度を、10〜60℃とすることが好ましく、20〜40℃とすることがより好ましい。噴霧するX元素含有溶液6の温度を10℃以上とすることで、リチウム含有複合酸化物の粉末5の乾燥を促進できる。また、噴霧するX元素含有溶液6の温度を60℃以下とすることで、X元素含有溶液6を加熱することによってX元素含有溶液6に含まれるX元素化合物の濃度が高くなりすぎたり、X元素含有溶液6に含まれるX元素化合物の組成が変化したりすることを防止できる。
本発明においては、被覆工程におけるリチウム含有複合酸化物の粉末およびX元素含有溶液の加熱によって、X元素含有化合物がリチウム含有複合酸化物の粉末5と反応しないことが好ましい。なお、被覆工程におけるリチウム含有複合酸化物の粉末およびX元素含有溶液の加熱によって、リチウム含有複合酸化物の粉末5を被覆しているX元素含有化合物の一部が、酸化されたり、リチウム含有複合酸化物の粉末5に拡散されたりしてもよい。
スプレー式注液手段3によって噴霧されるX元素含有溶液6の粒径は、0.1〜250μmであることが好ましく、1〜150μmであることがより好ましい。X元素含有溶液6の粒径が250μm以下である場合、リチウム含有複合酸化物の粉末5にX元素含有溶液6をより一層均一に噴霧できる。また、噴霧されるX元素含有溶液6の粒径が0.1μm以上である場合、噴霧後の粒径を容易に制御できる。
また、本発明の被覆工程においては、リチウム含有複合酸化物の粉末に噴霧するX元素含有溶液の合計量を、リチウム含有複合酸化物の粉末5に対するX元素含有溶液6の質量比が1〜95になる範囲とすることが好ましく、5〜40になる範囲とすることがより好ましい。リチウム含有複合酸化物5の粉末に対するX元素含有溶液6の質量比が1以上である場合、X元素含有溶液6の噴霧量を充分に多くすることができるので、リチウム含有複合酸化物の粉末5をX元素含有化合物でより一層均一に被覆できる。また、リチウム含有複合酸化物5の粉末に対するX元素含有溶液6の質量比が95以下である場合、X元素含有溶液6の噴霧量が多くなりすぎることがなく、効率よくリチウム含有複合酸化物の粉末5にX元素含有溶液6を被覆できる。
なお、本発明の被覆工程におけるX元素含有溶液6の噴霧は、間欠的に行ってもよいし、連続的に行ってもよい。
本発明の被覆工程においては、リチウム含有複合酸化物に対するX元素含有化合物の含有量が0.005〜0.05倍モルである正極活物質を形成する。正極活物質のリチウム含有複合酸化物に対するX元素含有化合物の含有量は、0.01〜0.03倍モルが好ましく、0.015〜0.025倍モルが特に好ましい。
正極活物質のリチウム含有複合酸化物に対するX元素含有化合物の含有量は、X元素含有溶液6に含まれるX元素含有化合物の含有量と、リチウム含有複合酸化物の粉末5に噴霧されるX元素含有溶液6の使用量とによって制御できる。
正極活物質のリチウム含有複合酸化物に対するX元素含有化合物の含有量が0.005倍モル以上である場合、リチウム含有複合酸化物の粉末5をX元素含有化合物で被覆したことによる効果が充分に得られる。また、X元素含有化合物の含有量が0.05倍モル以下である場合、リチウム含有複合酸化物の粉末5にX元素含有化合物が充分に均一に被覆されたものとなる。
以上の工程により、正極活物質が得られる。
本実施形態の被覆工程においては、図1に示すレーディゲミキサー10を用いているので、リチウム含有複合酸化物をX元素含有化合物で均一に容易にかつ効率よく被覆できる。なお、本発明は、図1に示すレーディゲミキサー10を用いる製造方法に限定されるものではなく、たとえば、ソリッドエアーを用いてもよい。
なお、本発明においては、被覆工程の後に、X元素含有化合物の被覆されたリチウム含有複合酸化物の粉末5(正極活物質)を乾燥する乾燥工程を行うのが好ましい。乾燥工程における乾燥温度は、100〜300℃が好ましく、乾燥時間は、2〜10時間が好ましい。乾燥工程を行うことにより、正極活物質のX元素含有化合物とリチウム含有複合酸化物の粉末5との結合力を増加させることができる。
本発明の製造方法によれば、リチウム含有複合酸化物とX元素含有化合物とを反応させずに、リチウム含有複合酸化物の表面をX元素含有化合物で被覆できる。すなわち、本実施形態の製造方法によって得られた正極活物質では、X元素含有化合物とリチウム含有複合酸化物の粉末5とが、主に、X元素含有化合物がリチウム含有複合酸化物の粉末5に物理的に付着(吸着)して結合している。よって、リチウム含有複合酸化物とX元素含有化合物とを反応させるための熱処理を行う必要はないし、リチウム含有複合酸化物とX元素含有化合物との反応に伴う副反応によって不純物が発生することもなく、不純物を除去するために洗浄を行う必要もない。
さらに、X元素化合物の溶媒に対する溶解度以下の充分に薄い濃度のX元素含有溶液をリチウム含有複合酸化物の粉末に噴霧しながら乾燥させるので、被覆後に濾過を行う必要はなく、生産性に優れ、濾過による被覆量のばらつきを抑制することができる。また、本実施形態の製造方法によれば、リチウム含有複合酸化物が所定の含有量の化合物で均一に被覆されてなる正極活物質を製造できるので、得られた正極活物質を用いてサイクル特性およびレート特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供できる。
<正極>
本発明のリチウムイオン二次電池用の正極は、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法を用いて製造された正極活物質と、導電材と、バインダーとを含む正極活物質層が、正極集電体上に形成されているものである。
正極は、たとえば、本発明の製造方法を用いて製造された正極活物質と導電材とバインダーとを、溶媒に溶解させるか、分散媒に分散させるか、又は溶媒と混練することによって、スラリー又は混錬物を調製し、調製したスラリー又は混錬物を正極集電板に塗布等により担持させることによって、製造できる。
導電材としては、アセチレンブラック、黒鉛、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック等が挙げられる。
バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等の不飽和結合を有する重合体およびその共重合体、アクリル酸共重合体、メタクリル酸共重合体等のアクリル酸系重合体およびその共重合体等が挙げられる。
正極集電体としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金が挙げられる。
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極と負極と非水電解質とを含み、活性化前の正極が、上記のリチウムイオン二次電池用の正極であるものである。
負極は、負極集電体上に、負極活物質を含有する負極活物質層が形成されてなる。たとえば、負極活物質を有機溶媒と混錬することによってスラリーを調製し、調製したスラリーを負極集電体に塗布、乾燥、プレスすることによって、製造することができる。
負極集電板としては、たとえばニッケル箔、銅箔等の金属箔を用いることができる。
負極活物質としては、比較的低い電位でリチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料であればよく、たとえば、リチウム金属、リチウム合金、炭素材料、周期表14、15族の金属を主体とする酸化物、炭素化合物、炭化ケイ素化合物、酸化ケイ素化合物、硫化チタンおよび炭化ホウ素化合物等を用いることができる。
負極活物質の炭素材料としては、たとえば、難黒鉛化性炭素、人造黒鉛、天然黒鉛、熱分解炭素類、ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等のコークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、フェノール樹脂やフラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化した有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭、カーボンブラック類等を用いることができる。
周期表14族の金属としては、ケイ素あるいはスズであり、ケイ素が好ましい。
その他に負極活物質として用いることができる材料としては酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化チタン、酸化スズ等の酸化物やLi2.6Co0.4N等の窒化物が挙げられる。
非水電解液としては、有機溶媒と電解質とを適宜組み合わせて調製されたものを用いることができる。有機溶媒としては、電解液用の有機溶媒として公知のものが使用でき、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジグライム、トリグライム、γ−ブチロラクトン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステル等を用いることができる。特に、電圧安定性の点からは、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類を使用することが好ましい。有機溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
電解質としては、電解質塩を含有させた固体電解質、高分子電解質、高分子化合物などに電解質を混合または溶解させた固体状もしくはゲル状電解質等を用いることができる。
固体電解質としては、リチウムイオン伝導性を有する材料であればよく、無機固体電解質および高分子固体電解質を用いることができる。
無機固体電解質としては、窒化リチウム、ヨウ化リチウム等を用いることができる。
高分子固体電解質としては、電解質塩と該電解質塩を溶解する高分子化合物等を用いることができる。電解質塩と該電解質塩を溶解する高分子化合物としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリホスファゼン、ポリアジリジン、ポリエチレンスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、およびポリヘキサフルオロプロピレン、もしくはこれらの誘導体、混合物、および複合体を用いることができる。
ゲル状電解質としては、前記の非水電解液を吸収してゲル化する種々の高分子化合物を用いることができる。ゲル状電解質に用いられる高分子化合物としては、ポリ(ビニリデンフルオロライド)、ポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)などのフッ素系高分子化合物等を用いることができる。また、ゲル状電解質に用いられる高分子化合物としては、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリルの共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドの共重合体、同架橋体などのエーテル系高分子を用いることができる。前記共重合体に用いるモノマーとしては、ポリプロピレンオキサイド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等を挙げることができる。
ゲル状電解質のマトリックスとしては、酸化還元反応に対する安定性の観点から、特にフッ素系高分子が好ましい。
前記の電解質中で用いられる電解質塩としては、LiClO、LiPF、LiBF、CFSOLi、LiCl、LiBr等を用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の形状は、コイン型、シート状(フィルム状)、折り畳み状、巻回型有底円筒型、ボタン型等の形状を、用途に応じて適宜選択することができる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(リチウム含有複合酸化物の合成例)
硫酸ニッケル(II)六水和物(140.6g)、硫酸コバルト(II)七水和物(131.4g)、および硫酸マンガン(II)五水和物(482.2g)に蒸留水(1245.9g)を加えて均一に溶解させて原料溶液とした。硫酸アンモニウム(79.2g)に蒸留水(320.8g)を加えて均一に溶解させてアンモニア源溶液とした。硫酸アンモニウム(79.2g)に蒸留水(1920.8g)を加えて均一に溶解させて母液とした。水酸化ナトリウム(400g)に蒸留水(600g)を加えて均一に溶解させてpH調整液とする。
2Lのバッフル付きガラス製反応槽に母液を入れてマントルヒーターで50℃に加熱し、pHが11.0となるようにpH調整液を加えた。反応槽内の溶液をアンカー型の攪撹拌翼で撹拌しながら、原料溶液を5.0g/分、アンモニア源溶液を1.0g/分の速度で添加し、ニッケル、コバルト、およびマンガンの複合水酸化物を析出させた。原料溶液を添加している間、反応槽内のpHを11.0に保つようにpH調整溶液を添加した。また、析出した水酸化物が酸化しないように、反応槽内に窒素ガスを流量0.5L/分で流した。また、反応槽内の液量が2Lを超えないように連続的に液の抜き出しを行った。
得られたニッケル、コバルト、マンガンの複合水酸化物から不純物イオンを取り除くため、加圧ろ過と蒸留水への分散を繰返して洗浄した。ろ液の電気伝導度が25μS/cmとなった時点で洗浄を終了し、120℃で15時間乾燥させて前駆体とした。
ICPで前駆体のニッケル、コバルト、およびマンガンの含有量を測定したところ、それぞれ10.8質量%、10.3質量%、および42.7質量%であった(モル比でニッケル:コバルト:マンガン=0.169:0.162:0.669)。
前駆体(20g)とリチウム含有量が26.9mol/kgの炭酸リチウム(12.7g)を混合して、酸素含有雰囲気下900℃で12時間焼成し、合成例のリチウム含有複合酸化物を得た。得られた合成例のリチウム含有複合酸化物の組成はLi(Li0.2Ni0.135Co0.130Mn0.535)Oであった。合成例のリチウム含有複合酸化物の平均粒子径D50は6.3μmであり、BET(Brunauer,Emmett,Teller)法を用いて測定した比表面積は2.3m/gであった。
(実施例1)ZrFで被覆したリチウム含有複合酸化物の製造例
ZrF水溶液として、X元素含有化合物であるZrF粉末0.58gに蒸留水299.42gを加えてZrF濃度(X元素含有溶液のX元素含有化合物濃度)が0.012mol/LのZrF水溶液を調製する。
次に、リチウム含有複合酸化物の粉末をX元素含有溶液とともに撹拌する水平軸型の撹拌手段と、X元素含有溶液を噴霧するスプレー式注液手段と、撹拌されているリチウム含有複合酸化物の粉末とX元素含有溶液とを加熱する加熱手段とを有する撹拌加熱装置を用いて、正極活物質を製造する。
まず、実施例(合成例)のリチウム含有複合酸化物15gを撹拌しながら90℃に加熱し、ZrF水溶液300gを間欠的に噴霧しながら乾燥し、合成例のリチウム含有複合酸化物とZrF水溶液とを混合する(被覆工程)。
次いで、得られた混合物を120℃で2時間、乾燥して、リチウム含有複合酸化物の表面にZrFが被覆された実施例1の正極活物質を得る(乾燥工程)。
正極活物質において、ZrF水溶液によって被覆したZrF(正極活物質のX元素含有化合物の含有量)は、合成例のリチウム含有複合酸化物に対して、モル比で{(ZrFのモル数)/(付加する前のリチウム含有複合酸化物のモル数)}0.02倍である。また、ZrFの20℃の水に対する溶解度は、13.2g/L(0.079mol/L)であり、リチウム含有複合酸化物に対するZrF水溶液の質量比は、20.0である。
そして、得られた正極活物質の粉末の断面を樹脂で包埋し、酸化セリウム微粒子で研磨した後、正極活物質の粒子断面をEPMA(X線マイクロアナライザ)でZrマッピングした結果、粒子外表面に均一にZrが検出できる。
次に、得られた正極活物質について、X線源としてCuKα線を用いるXRD測定を行う。XRD測定には、リガク社製の製品名RINT−TTR−IIIを用いる。XRD測定は、電圧50kV、管電流300mA、走査軸2θ/θで、測定範囲2θ=10〜80°、サンプリング幅0.02°、スキャンスピード1°/分で行う。XRDスペクトルから、正極活物質は層状岩塩型結晶構造(空間群R−3m)であることが確認される。また、2θ=20〜25°の範囲に層状LiMnOピークが観察される。XRDスペクトルでは2θ=24〜26°の範囲にZrFのメインピークが確認できる。
得られた正極活物質を用いて、以下に示す(正極の製造例)に記載の方法により正極体シート(正極)を形成し、以下に示す(電池の製造例)に記載の方法によりリチウムイオン二次電池を作製し、以下に示す(電池特性評価例)に記載の方法により評価する。その結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1のリチウムイオン二次電池は、優れたサイクル維持率とレート維持率とが得られることが分かる。
Figure 2012176903
(正極の製造例)
正極活物質とアセチレンブラック(導電材)とポリフッ化ビニリデン(バインダー)を12.1質量%含むポリフッ化ビニリデン溶液(溶媒N−メチルピロリドン)を混合し、さらにN−メチルピロリドンを添加してスラリーを作製する。正極活物質と、アセチレンブラックと、ポリフッ化ビニリデンは、質量比で82/10/8とする。スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔(正極集電体)にドクターブレードを用いて片面塗工する。120℃で乾燥し、ロールプレス圧延を2回行うことにより正極体シートを作製する。
(電池の製造例)
前記で製造した正極体シートを正極に用い、ステンレス鋼製簡易密閉セル型のリチウムイオン二次電池をアルゴングローブボックス内で組み立てる。厚さ500μmの金属リチウム箔を負極に用い、負極集電体に厚さ1mmのステンレス板を使用し、セパレータには厚さ25μmの多孔質ポリプロピレンを用い、さらに電解液には、濃度1(mol/dm)のLiPF/EC(エチレンカーボネート)+DEC(ジエチルカーボネート)(1:1)溶液(LiPFを溶質とするECとDECとの体積比(EC:DEC=1:1)の混合溶液を意味する。)を用いる。
(電池特性評価例)
初期容量、レート特性、およびサイクル特性の評価例
前記で製造したリチウムイオン二次電池を用いて下記評価を行う。すなわち、正極活物質1gにつき200mAの負荷電流で4.7Vまで充電し、正極活物質1gにつき50mAの負荷電流にて2.5Vまで放電する。続いて正極活物質1gにつき200mAの負荷電流で4.3Vまで充電し、正極活物質1gにつき100mAの負荷電流にて2.5Vまで放電する。
このような充放電を行ったリチウムイオン二次電池について、引き続き充放電正極活物質1gにつき200mAの負荷電流で4.6Vまで充電し、正極活物質1gにつき100mAの負荷電流にて2.5Vまで放電する。4.6〜2.5Vにおける正極活物質の放電容量を4.6V初期容量とする。そして、初期容量が220mAh/g以上である場合「○」、220mAh/g未満である場合「△」と評価する。
次いで充放電正極活物質1gにつき200mAの負荷電流で4.6Vまで充電し、正極活物質1gにつき2000mAの負荷電流にて2.5Vまで高レート放電する。高レート放電での4.6〜2.5Vにおける正極活物質の放電容量を4.6V初期容量で割った値をレート維持率とする。そして、レート維持率が60%超である場合「○」、50%超60%以下である場合「△」、50%以下である場合「×」と評価する。
次いで充放電正極活物質1gにつき200mAの負荷電流で4.6Vまで充電し、正極活物質1gにつき100mAの負荷電流にて2.5Vまで高レート放電する充放電サイクルを100回繰返する。4.6V充放電サイクル100回目の放電容量を4.6V初期容量で割った値をサイクル維持率とする。そして、サイクル維持率が90%超である場合「◎」、80%超90%以下である場合「○」、70%超80%以下である場合「△」、70%以下である場合「×」と評価する。
(実施例2)LiFで被覆したリチウム含有複合酸化物の製造例
LiF水溶液として、X元素含有化合物であるLiF粉末0.09gに蒸留水399.91gを加えてLiF濃度(X元素含有溶液のX元素含有化合物濃度)が0.009mol/LのLiF水溶液を調製する。
次に、LiF水溶液400gを用いて実施例1と同様にして、合成例のリチウム含有複合酸化物の表面にLiFが被覆された実施例2の正極活物質を得る。
正極活物質において、LiF水溶液によって被覆したLiF(正極活物質のX元素含有化合物の含有量)は、実施例のリチウム含有複合酸化物に対して、モル比で{(LiFのモル数)/(付加する前のリチウム含有複合酸化物のモル数)}0.02倍である。また、LiFの20℃の水に対する溶解度は、2.7g/L(0.104mol/L)であり、リチウム含有複合酸化物に対するLiF水溶液の質量比は、26.7である。
次に、得られた正極活物質について、実施例1と同様にして、XRD測定を行う。XRDスペクトルから、正極活物質は層状岩塩型結晶構造(空間群R−3m)であることが確認される。また、2θ=20〜25°の範囲に層状LiMnOピークが観察される。XRDスペクトルでは2θ=44〜46°の範囲にLiFのメインピークが確認できる。
得られた正極活物質を用いて、実施例1と同様にして、正極体シート(正極)を形成し、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして、評価する。その結果、表1に示すように、実施例2のリチウムイオン二次電池は、優れたサイクル維持率とレート維持率とが得られることが分かる。
(実施例3)AlFで被覆したリチウム含有複合酸化物の製造例
AlF水溶液として、X元素含有化合物であるAlF粉末0.30gに蒸留水299.70gを加えてAlF濃度(X元素含有溶液のX元素含有化合物濃度)が0.012mol/LのAlF水溶液を調製する。
次に、AlF水溶液300gを用いて実施例1と同様にして、合成例のリチウム含有複合酸化物の表面にAlFが被覆された実施例3の正極活物質を得る。
正極活物質において、AlF水溶液によって被覆したAlF(正極活物質のX元素含有化合物の含有量)は、合成例のリチウム含有複合酸化物に対して、モル比で{(AlFのモル数)/(付加する前のリチウム含有複合酸化物のモル数)}0.02倍である。また、AlFの20℃の水に対する溶解度は、5.6g/L(0.067mol/L)であり、リチウム含有複合酸化物に対するAlF水溶液の質量比は、20.0である。
実施例1と同様にして、正極活物質の粒子断面をEPMA(X線マイクロアナライザ)でZrマッピングした結果、粒子外表面に均一にAlが検出できる。
次に、得られた正極活物質について、実施例1と同様にして、XRD測定を行う。XRDスペクトルから、正極活物質は層状岩塩型結晶構造(空間群R−3m)であることが確認される。また、2θ=20〜25°の範囲に層状LiMnOピークが観察される。XRDスペクトルでは2θ=14〜15°の範囲にAlFのメインピークが確認できる。
得られた正極活物質を用いて、実施例1と同様にして、正極体シート(正極)を形成し、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして、評価する。その結果、表1に示すように、実施例3のリチウムイオン二次電池は、優れたサイクル維持率とレート維持率とが得られることが分かる。
(実施例4)LiPOで被覆したリチウム含有複合酸化物の製造例
LiPO水溶液として、X元素含有化合物であるLiPO粉末0.20gに蒸留水599.80gを加えてLiPO濃度(X元素含有溶液のX元素含有化合物濃度)が0.003mol/LのLiPO水溶液を調製する。
次に、LiPO水溶液600gを用いて実施例1と同様にして、合成例のリチウム含有複合酸化物の表面にLiPOが被覆された実施例4の正極活物質を得る。
正極活物質において、LiPO水溶液によって被覆したLiPO(正極活物質のX元素含有化合物の含有量)は、合成例のリチウム含有複合酸化物に対して、モル比で{(LiPOのモル数)/(付加する前のリチウム含有複合酸化物のモル数)}0.01倍である。また、LiPOの20℃の水に対する溶解度は、0.39g/L(0.003mol/L)であり、リチウム含有複合酸化物に対するLiPO水溶液の質量比は、40.0である。
実施例1と同様にして、正極活物質の粒子断面をEPMA(X線マイクロアナライザ)でZrマッピングした結果、粒子外表面に均一にPが検出できる。
次に、得られた正極活物質について、実施例1と同様にして、XRD測定を行う。XRDスペクトルから、正極活物質は層状岩塩型結晶構造(空間群R−3m)であることが確認される。また、2θ=20〜25°の範囲に層状LiMnOピークが観察される。XRDスペクトルでは2θ=22〜24°の範囲にLiPOのメインピークが確認できる。
得られた正極活物質を用いて、実施例1と同様にして、正極体シート(正極)を形成し、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして、評価する。その結果、表1に示すように、実施例4のリチウムイオン二次電池は、優れたサイクル維持率とレート維持率とが得られることが分かる。
(実施例5)ZrFで被覆したリチウム含有複合酸化物の製造例
ZrF水溶液として、X元素含有化合物であるZrF粉末0.58gに蒸留水599.42gを加えてZrF濃度(X元素含有溶液のX元素含有化合物濃度)が0.006mol/LのZrF水溶液を調製する。
次に、ZrF水溶液600gを用いて実施例1と同様にして、合成例のリチウム含有複合酸化物の表面にZrFが被覆された実施例5の正極活物質を得る。
正極活物質において、ZrF水溶液によって被覆したZrF(正極活物質のX元素含有化合物の含有量)は、実施例のリチウム含有複合酸化物に対して、モル比で{(ZrFのモル数)/(付加する前のリチウム含有複合酸化物のモル数)}0.02倍である。また、リチウム含有複合酸化物に対するZrF水溶液の質量比は、40.0である。
実施例1と同様にして、正極活物質の粒子断面をEPMA(X線マイクロアナライザ)でZrマッピングした結果、粒子外表面に均一にZrが検出できる。
次に、得られた正極活物質について、実施例1と同様にして、XRD測定を行う。XRDスペクトルから、正極活物質は層状岩塩型結晶構造(空間群R−3m)であることが確認される。また、2θ=20〜25°の範囲に層状LiMnOピークが観察される。XRDスペクトルでは2θ=24〜26°の範囲にZrFのメインピークが確認できる。
得られた正極活物質を用いて、実施例1と同様にして、正極体シート(正極)を形成し、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして、評価する。
その結果、表1に示すように、実施例5のリチウム電池は、優れたサイクル維持率とレート維持率を発揮することが分かる。また、正極活物質のX元素含有化合物の含有量が同じである実施例1と比較して、ZrF水溶液の濃度を低くした実施例5では、レート維持率が高くなっている。
(実施例6)ZrFで被覆したリチウム含有複合酸化物の製造例
ZrF水溶液として、実施例1と同様のZrF濃度が0.012mol/LのZrF水溶液を調製する。
次に、ZrF水溶液75gを用いて実施例1と同様にして、合成例のリチウム含有複合酸化物の表面にZrFが被覆された実施例6の正極活物質を得る。
正極活物質において、ZrF水溶液によって被覆したZrF(正極活物質のX元素含有化合物の含有量)は、実施例のリチウム含有複合酸化物に対して、モル比で{(ZrFのモル数)/(付加する前のリチウム含有複合酸化物のモル数)}0.005倍である。また、リチウム含有複合酸化物に対するZrF水溶液の質量比は、5.0である。
実施例1と同様にして、正極活物質の粒子断面をEPMA(X線マイクロアナライザ)でZrマッピングした結果、粒子外表面に均一にZrが検出できる。
次に、得られた正極活物質について、実施例1と同様にして、XRD測定を行う。XRDスペクトルから、正極活物質は層状岩塩型結晶構造(空間群R−3m)であることが確認される。また、2θ=20〜25°の範囲に層状LiMnOピークが観察される。XRDスペクトルでは2θ=24〜26°の範囲にZrFのメインピークが確認できる。
得られた正極活物質を用いて、実施例1と同様にして、正極体シート(正極)を形成し、実施例1と同様にして、リチウム電池を作製し、実施例1と同様にして、評価する。
その結果、表1に示すように、実施例6のリチウム電池は、優れたサイクル維持率とレート維持率とを発揮することが分かる。また、ZrF水溶液の濃度が同じである実施例1と比較して、正極活物質のX元素含有化合物の含有量を低くした実施例6では、4.6V初期容量およびレート維持率が高くなっている。
(実施例7)ZrFで被覆したリチウム含有複合酸化物の製造例
ZrF水溶液として、X元素含有化合物であるZrF粉末0.58gに蒸留水79.42gを加えてZrF濃度(X元素含有溶液のX元素含有化合物濃度)が0.043mol/LのZrF水溶液を調製する。
次に、ZrF水溶液80gを用いて実施例1と同様にして、合成例のリチウム含有複合酸化物の表面にZrFが被覆された実施例7の正極活物質を得る。
正極活物質において、ZrF水溶液によって被覆したZrF(正極活物質のX元素含有化合物の含有量)は、実施例のリチウム含有複合酸化物に対して、モル比で{(ZrFのモル数)/(付加する前のリチウム含有複合酸化物のモル数)}0.02倍である。また、リチウム含有複合酸化物に対するZrF水溶液の質量比は、5.3である。
実施例1と同様にして、正極活物質の粒子断面をEPMA(X線マイクロアナライザ)でZrマッピングした結果、粒子外表面に均一にZrが検出できる。
次に、得られた正極活物質について、実施例1と同様にして、XRD測定を行う。XRDスペクトルから、正極活物質は層状岩塩型結晶構造(空間群R−3m)であることが確認される。また、2θ=20〜25°の範囲に層状LiMnOピークが観察される。XRDスペクトルでは2θ=24〜26°の範囲にZrFのメインピークが確認できる。
得られた正極活物質を用いて、実施例1と同様にして、正極体シート(正極)を形成し、実施例1と同様にして、リチウム電池を作製し、実施例1と同様にして、評価する。
その結果、表1に示すように、実施例7のリチウム電池は、優れたサイクル維持率とレート維持率を発揮することが分かる。
(実施例8)ZrFで被覆したリチウム含有複合酸化物の製造例
ZrF水溶液として、実施例1と同様のZrF濃度が0.012mol/LのZrF水溶液を調製する。
次に、ZrF水溶液600gを用いて実施例1と同様にして、合成例のリチウム含有複合酸化物の表面にZrFが被覆された実施例8の正極活物質を得る。
正極活物質において、ZrF水溶液によって被覆したZrF(正極活物質のX元素含有化合物の含有量)は、実施例のリチウム含有複合酸化物に対して、モル比で{(ZrFのモル数)/(付加する前のリチウム含有複合酸化物のモル数)}0.04倍である。また、リチウム含有複合酸化物に対するZrF水溶液の質量比は、40.0である。
実施例1と同様にして、正極活物質の粒子断面をEPMA(X線マイクロアナライザ)でZrマッピングした結果、粒子外表面に均一にZrが検出できる。
次に、得られた正極活物質について、実施例1と同様にして、XRD測定を行う。XRDスペクトルから、正極活物質は層状岩塩型結晶構造(空間群R−3m)であることが確認される。また、2θ=20〜25°の範囲に層状LiMnOピークが観察される。XRDスペクトルでは2θ=24〜26°の範囲にZrFのメインピークが確認できる。
得られた正極活物質を用いて、実施例1と同様にして、正極体シート(正極)を形成し、実施例1と同様にして、リチウム電池を作製し、実施例1と同様にして、評価する。
その結果、表1に示すように、実施例8のリチウム電池は、優れたサイクル維持率とレート維持率とを発揮することが分かる。
(比較例1)
合成例のリチウム含有複合酸化物を比較例1の正極活物質とする。
比較例1の正極活物質を用いて、実施例1と同様にして、正極体シート(正極)を形成し、実施例1と同様にして、リチウム電池を作製し、実施例1と同様にして、評価する。
その結果、表1に示すように、比較例1のリチウム電池のレート維持率およびサイクル維持率は、実施例1〜8と比較して、低くなっている。これは、比較例1では、リチウム含有複合酸化物をX元素含有化合物で被覆していないためと推定される。
(比較例2)ZrFで被覆したリチウム含有複合酸化物の製造例
合成例のリチウム含有複合酸化物15gとZrF粉末0.58gとを混合し、直径10mmのZrO2からなるボールを用いて乾式ボールミル処理を12時間実施し、比較例2の正極活物質を得る。
正極活物質において、ZrF粉末によって被覆したZrF(正極活物質のX元素含有化合物の含有量)は、実施例のリチウム含有複合酸化物に対して、モル比で{(ZrFのモル数)/(付加する前のリチウム含有複合酸化物のモル数)}0.02倍である。
実施例1と同様にして、正極活物質の粒子断面をEPMA(X線マイクロアナライザ)でZrマッピングした結果、粒子外表面に均一にZrが検出できる。
次に、得られた正極活物質について、実施例1と同様にして、XRD測定を行う。XRDスペクトルから、正極活物質は層状岩塩型結晶構造(空間群R−3m)であることが確認される。また、2θ=20〜25°の範囲に層状LiMnOピークが観察される。XRDスペクトルでは2θ=24〜26°の範囲にZrFのメインピークが確認できる。
得られた正極活物質を用いて、実施例1と同様にして、正極体シート(正極)を形成し、実施例1と同様にして、リチウム電池を作製し、実施例1と同様にして、評価する。
その結果、表1に示すように、比較例2のリチウム電池の4.6V初期容量、レート維持率、サイクル維持率は、いずれも実施例1〜8と比較して、低くなっている。これは、比較例2では、正極活物質のX元素含有化合物の含有量が実施例1と同じであるが、リチウム含有複合酸化物とZrF粉末とを混合する方法により製造しているため、リチウム含有複合酸化物がZrFで均一に被覆されなかったことによるものと推定される。
(比較例3)ZrFで被覆したリチウム含有複合酸化物の製造例
ZrF水溶液として、X元素含有化合物であるZrF粉末0.58gに蒸留水49.42gを加えてZrF濃度(X元素含有溶液のX元素含有化合物濃度)が0.069mol/LのZrF水溶液を調製する。
次に、ZrF水溶液50gを用いて実施例1と同様にして、合成例のリチウム含有複合酸化物の表面にZrFが被覆された比較例3の正極活物質を得る。
正極活物質において、ZrF水溶液によって被覆したZrF(正極活物質のX元素含有化合物の含有量)は、実施例のリチウム含有複合酸化物に対して、モル比で{(ZrFのモル数)/(付加する前のリチウム含有複合酸化物のモル数)}0.02倍である。また、リチウム含有複合酸化物に対するZrF水溶液の質量比は、3.3である。
実施例1と同様にして、正極活物質の粒子断面をEPMA(X線マイクロアナライザ)でZrマッピングした結果、粒子外表面に均一にZrが検出できる。
次に、得られた正極活物質について、実施例1と同様にして、XRD測定を行う。XRDスペクトルから、正極活物質は層状岩塩型結晶構造(空間群R−3m)であることが確認される。また、2θ=20〜25°の範囲に層状LiMnOピークが観察される。XRDスペクトルでは2θ=24〜26°の範囲にZrFのメインピークが確認できる。
得られた正極活物質を用いて、実施例1と同様にして、正極体シート(正極)を形成し、実施例1と同様にして、リチウム電池を作製し、実施例1と同様にして、評価する。
その結果、表1に示すように、比較例3のリチウム電池のレート維持率およびサイクル維持率は、いずれも実施例1〜8と比較して、低くなっている。これは、比較例3では、ZrF水溶液の濃度が高いため、リチウム含有複合酸化物がZrFで均一に被覆されなかったためと推定される。
(比較例4)ZrFで被覆したリチウム含有複合酸化物の製造例
ZrF水溶液として、X元素含有化合物であるZrF粉末0.58gに蒸留水29.42gを加えてZrF濃度(X元素含有溶液のX元素含有化合物濃度)が0.116mol/LのZrF水溶液を調製しようとしたが、ZrF粉末が全量溶解せず、目的とするZrF水溶液が得られず、ZrFで被覆したリチウム含有複合酸化物を製造できなかった。なお、ZrFの20℃の水に対する溶解度は、13.2g/L(0.079mol/L)である。
(比較例5)ZrFで被覆したリチウム含有複合酸化物の製造例
ZrF水溶液として、実施例1と同様のZrF濃度が0.012mol/LのZrF水溶液を調製する。
次に、ZrF水溶液45gを用いて実施例1と同様にして、合成例のリチウム含有複合酸化物の表面にZrFが被覆された比較例5の正極活物質を得る。
正極活物質において、ZrF水溶液によって被覆したZrF(正極活物質のX元素含有化合物の含有量)は、実施例のリチウム含有複合酸化物に対して、モル比で{(ZrFのモル数)/(付加する前のリチウム含有複合酸化物のモル数)}0.003倍である。また、リチウム含有複合酸化物に対するZrF水溶液の質量比は、3.0である。
実施例1と同様にして、正極活物質の粒子断面をEPMA(X線マイクロアナライザ)でZrマッピングした結果、粒子外表面に均一にZrが検出できない。
次に、得られた正極活物質について、実施例1と同様にして、XRD測定を行う。XRDスペクトルから、正極活物質は層状岩塩型結晶構造(空間群R−3m)であることが確認される。また、2θ=20〜25°の範囲に層状LiMnOピークが観察される。XRDスペクトルではZrFのメインピークが確認できない。
得られた正極活物質を用いて、実施例1と同様にして、正極体シート(正極)を形成し、実施例1と同様にして、リチウム電池を作製し、実施例1と同様にして、評価する。その結果、表1に示すように、比較例5のリチウム電池は、実施例1〜8と比較して、サイクル維持率が低くなっている。これは、比較例5では、正極活物質のX元素含有化合物の含有量が低いため、リチウム含有複合酸化物をZrFで被覆することによる効果が得られなかったためと推定される。
(比較例6)ZrFで被覆したリチウム含有複合酸化物の製造例
ZrF水溶液として、実施例1と同様のZrF濃度が0.012mol/LのZrF水溶液を調製する。
次に、ZrF水溶液900gを用いて実施例1と同様にして、合成例のリチウム含有複合酸化物の表面にZrFが被覆された比較例6の正極活物質を得る。
正極活物質において、ZrF水溶液によって被覆したZrF(正極活物質のX元素含有化合物の含有量)は、実施例のリチウム含有複合酸化物に対して、モル比で{(ZrFのモル数)/(付加する前のリチウム含有複合酸化物のモル数)}0.06倍である。また、リチウム含有複合酸化物に対するZrF水溶液の質量比は、60.0である。
実施例1と同様にして、正極活物質の粒子断面をEPMA(X線マイクロアナライザ)でZrマッピングした結果、粒子外表面に均一にZrが検出できる。
次に、得られた正極活物質について、実施例1と同様にして、XRD測定を行う。XRDスペクトルから、正極活物質は層状岩塩型結晶構造(空間群R−3m)であることが確認される。また、2θ=20〜25°の範囲に層状LiMnOピークが観察される。XRDスペクトルでは2θ=24〜26°の範囲にZrFのメインピークが確認できる。
得られた正極活物質を用いて、実施例1と同様にして、正極体シート(正極)を形成し、実施例1と同様にして、リチウム電池を作製し、実施例1と同様にして、評価する。その結果、表1に示すように、比較例6のリチウム電池の4.6V初期容量およびレート維持率は、実施例1〜8と比較して、低くなっている。これは、比較例6では、正極活物質のX元素含有化合物の含有量が高いため、リチウム含有複合酸化物がZrFで均一に被覆されなかったためと推定される。
本発明によれば、単位質量あたりの放電容量が高く、かつレート特性とサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池の得られる正極の材料である正極活物質を提供できる。また、該正極活物質は、小型・軽量な携帯電話等の電子機器や、車載用のバッテリー等に用いられるリチウムイオン二次電池に利用できる。

なお、2011年6月24日に出願された日本特許出願2011−140495号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
1…ドラム、2…撹拌手段、3…スプレー式注液手段、10…レーディゲミキサー、5…リチウム含有複合酸化物の粉末、6…X元素含有溶液、14…排気筒、21…回転軸、22…シャベル、23…チョッパー羽根を備えたチョッパー。

Claims (11)

  1. Li元素と、遷移金属元素とを含むリチウム含有複合酸化物の粉末の表面を、X元素を含有するX元素含有化合物(ただし、X元素は、遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、ハロゲン、およびAlからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素からなる。)で被覆してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法であって、
    前記X元素含有化合物を0.001〜0.05mol/L含むX元素含有溶液を、前記リチウム含有複合酸化物の粉末に噴霧しながら乾燥する被覆工程を行うことにより、前記リチウム含有複合酸化物に対する前記X元素含有化合物の含有量が0.005〜0.05倍モルである前記正極活物質を形成することを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  2. 前記リチウム含有複合酸化物の粉末に噴霧する前記X元素含有溶液の量を、前記リチウム含有複合酸化物の粉末に対する前記X元素含有溶液の質量比が1〜95になる範囲とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記X元素含有溶液が水溶液であり、20℃の水に対する前記X元素含有化合物の溶解度が、0.1〜100g/Lである請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記X元素含有化合物が、LiF、LiPO、LiSO、NaF、AlF、およびZrFからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記X元素含有溶液が噴霧される際のリチウム含有複合酸化物の粉末の温度が80〜140℃である請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記噴霧されるX元素含有溶液の温度が10〜60℃である請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記被覆工程の後に、乾燥温度が100〜300℃である乾燥工程をさらに有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記被覆工程において、前記リチウム含有複合酸化物の粉末を前記X元素含有溶液とともに撹拌しながら加熱する請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記被覆工程において、前記リチウム含有複合酸化物の粉末を前記X元素含有溶液とともに撹拌する水平軸型の撹拌手段と、前記X元素含有溶液を噴霧するスプレー式注液手段と、撹拌されている前記リチウム含有複合酸化物の粉末と前記X元素含有溶液とを加熱する加熱手段とを有する撹拌加熱装置を用いる請求項8に記載の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法を用いて製造された正極活物質と、導電材と、バインダーとを含む正極活物質層が、正極集電体上に形成されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池用の正極。
  11. 請求項10に記載の正極と負極と非水電解質とを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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