JPWO2012176792A1 - 炎症性疾患、アレルギー性疾患および自己免疫疾患用途のための医薬組成物 - Google Patents

炎症性疾患、アレルギー性疾患および自己免疫疾患用途のための医薬組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、下記一般式(I)で表される脂肪酸誘導体による免疫抑制するための方法および医薬組成物に関する。さらに本発明は、前記脂肪酸誘導体による、炎症性疾患、アレルギー性疾患および自己免疫疾患処置のための方法および医薬組成物に関する。

Description

本発明は、特定の構造を有する脂肪酸誘導体による免疫抑制するための方法および医薬組成物に関する。さらに本発明は、炎症性疾患、アレルギー性疾患および自己免疫疾患処置のための方法および医薬組成物に関する。
適応免疫系細胞は、特定の型の白血球であり、リンパ球と呼ばれる。リンパ球は、B細胞とT細胞とに大別され、どちらも骨髄中の造血幹細胞に由来するが、B細胞は胸腺とは無関係に成熟し、T細胞は胸腺中で分化成熟する。どちらも特定の抗原標的を認識し、B細胞は体液性免疫応答に関与し、T細胞は細胞性免疫応答に関与する。B細胞は、骨髄中の造血幹細胞がインターロイキン等のサイトカインの刺激によりプレB細胞、成熟B細胞に分化し、さらに抗原刺激を受けて活性化され、最終的に抗体産生能有する形質細胞となる。一方、T細胞は、骨髄中の造血幹細胞がプレT細胞に分化後、胸腺へ移動し、さらに分化を繰り返し成熟T細胞となる。その後抗原刺激により活性化され、増殖能あるいは細胞傷害能を有する活性化T細胞なる。従って、活性化されたB細胞および/またはT細胞の増殖を抑制することで、免疫を抑制することが可能となる。
炎症は、免疫系が感染や傷害に対し最初に起こす応答である。一過性の炎症は感染等からの保護に有効であるのに対し、制御されない炎症は組織に損傷を与え、多くの疾患の潜在的要因となる。炎症は、通常、抗原がT細胞抗原受容体と結合することにより引き起こされる。
細菌やウイルスなどの外来抗原に対する免疫応答は、感染等を防御し、排除する。しかし、制御されない異常な免疫応答は、アレルギー性疾患や自己免疫疾患を引き起こす。アレルギー性疾患は、外部からの抗原に対し、免疫反応が過剰に起こる疾患であり、その特徴はT細胞の活性化とB細胞によるIgEの過剰産生である。一方、自己免疫疾患は、自己由来の抗原に対して免疫反応が起こり、自己抗体が種々の障害をもたらす疾患であり、その特徴はT細胞およびB細胞の活性化と炎症性サイトカインの過剰産生である。
アレルギー性疾患や自己免疫疾患は、多くが炎症によって引き起こされるため密接に関連し、アレルギー性疾患や自己免疫疾患と炎症性疾患とみなされる疾患の多くは重複している。
脂肪酸誘導体はヒトまたは他の哺乳類の組織または器官に含有され、広範囲の生理学的活性を示す有機カルボン酸の1群である。天然に存在する幾つかの脂肪酸誘導体は一般的に、式(A)に示すプロスタン酸骨格を有する。
一方、天然プロスタグランジン(PG)類の幾つかの合成アナログは修飾された骨格を持っている。天然PG類は5員環部分の構造特性によって、PGA類、PGB類、PGC類、PGD類、PGE類、PGF類、PGG類、PGH類、PGI類およびPGJ類に分類され、さらに炭素鎖部分の不飽和の数と位置によって以下の3タイプに分類される。
(下付1)...13,14−不飽和−15−OH
(下付2)...5,6−および13,14−ジ不飽和−15−OH
(下付3)...5,6−、13,14−および17,18−トリ不飽和−15−OH
さらに、PGF類は9位および11位の水酸基の配置によってα(水酸基がアルファー配置である)およびβ(水酸基がベータ配置である)に分類される。
15位の炭素に2つのヘテロ原子を有する特定の脂肪酸誘導体は当該技術分野で知られている。米国特許第4088775号(特許文献1)は特定の15−エチレンジオキシ−脂肪酸誘導体を開示している。さらに、米国特許第4870104号(特許文献2)は15位にエチレンジオキシメチレン基を有していてもよい11−ハロゲン−脂肪酸誘導体およびその胃酸分泌阻害剤としての使用を開示している。さらに、米国特許第6353014号(特許文献3)は、高眼圧症および緑内障の処置に有用な9位および11位が水酸基である特定の15−ケタール−脂肪酸誘導体を開示している。さらに国際公開WO2005/013928号(特許文献4)や国際公開WO2006/070942号(特許文献5)は15位の炭素に2つのヘテロ原子を有する脂肪酸誘導体が育毛促進に有用であることが開示されている。
これら従来技術は、15位の炭素に2つのヘテロ原子を有する脂肪酸誘導体が活性化されたB細胞および/またはT細胞の増殖を抑制すること、および、炎症性疾患、アレルギー性疾患および自己免疫疾患の処置のために有用であり得ることを開示も示唆もしていない。
米国特許第4088775号明細書 米国特許第4870104号明細書 米国特許第6353014号明細書 国際公開WO2005/013928号 国際公開WO2006/070942号(上記文献はいずれも引用により本明細書に含まれる。)
本発明の目的は、免疫抑制するための方法および医薬組成物、さらに炎症性疾患、アレルギー性疾患および自己免疫疾患処置のための方法および医薬組成物を提供することにある。
本発明者は、特定の構造を有する脂肪酸誘導体が活性化されたB細胞および/またはT細胞の増殖を抑制することで、免疫を抑制することが可能となること、これらにより特定の構造を有する脂肪酸誘導体が炎症性疾患、アレルギー性疾患および自己免疫疾患の処置に有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)下記一般式(I)で表される脂肪酸誘導体を有効成分として含有する免疫抑制するための医薬組成物。

[式中、L、MおよびNは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、ヒドロキシ(低級)アルキル、低級アルカノイルオキシまたはオキソ; ここで、LおよびMの少なくとも一方は水素以外の基であり、5員環は少なくとも1つの二重結合を有していてもよい;
Aは、−CH3、−CHOH、−COCHOH、−COOH またはそれらの官能性誘導体;
Bは、単結合、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH−CH−CH−、−CH=CH−CH−、−CH−CH=CH−、−C≡C−CH−または−CH−C≡C−;
およびZは、酸素、窒素または硫黄;
およびRは低級アルキルであり、一緒につながって低級アルキレンを形成してもよい;
は、非置換またはハロゲン、アルキル、ヒドロキシ、オキソ、アリールまたは複素環基で置換された、飽和または不飽和の二価の低〜中級脂肪族炭化水素であり、脂肪族炭化水素における少なくとも1つの炭素原子は酸素、窒素または硫黄で置換されていてもよい;および、
は、非置換またはハロゲン、オキソ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、シクロ(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、複素環基または複素環オキシ基で置換された飽和または不飽和の低〜中級脂肪族炭化水素残基; 低級アルコキシ; 低級アルカノイルオキシ; シクロ(低級)アルキル; シクロ(低級)アルキルオキシ; アリール; アリールオキシ; 複素環基; 複素環オキシ基;]。
(2)LおよびMがヒドロキシである、(1)記載の医薬組成物。
(3)Aが−COOH またはその官能性誘導体である、(1)または(2)記載の医薬組成物。
(4)Bが−CH−CH−、−CH=CH−または−C≡C−である、(1)〜(3)のいずれかに記載の医薬組成物。
(5)ZおよびZが酸素である、(1)〜(4)のいずれかに記載の医薬組成物。
(6)RおよびRが一緒につながって低級アルキレンを形成する、(1)〜(5)のいずれかに記載の医薬組成物。
(7)低級アルキレンが炭素数3のアルキレンである、(6)記載の医薬組成物。
(8)脂肪酸誘導体がイソプロピル (Z)-7-[(1R,2R,3R,5S)-2-(3,3-エチレンジオキシデシル)-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]ヘプト-5-エノエートである、(1)〜(7)のいずれかに記載の医薬組成物。
(9)炎症性疾患を処置するためのものである、(1)〜(8)のいずれかに記載の医薬組成物。
(10)皮膚の炎症またはそれに伴う脱毛症を処置するためのものである、(9)記載の医薬組成物。
(11)皮膚の炎症に伴う脱毛症を処置するためのものである、(10)記載の医薬組成物。
(12)アレルギー性疾患を処置するためのものである、(1)〜(8)のいずれかに記載の医薬組成物。
(13)アトピー性皮膚炎またはそれに伴う脱毛症を処置するためのものである、(12)記載の医薬組成物。
(14)アトピー性皮膚炎に伴う脱毛症を処置するためのものである、(13)記載の医薬組成物。
(15)自己免疫疾患を処置するためのものである、(1)〜(8)のいずれかに記載の医薬組成物。
(16)有効量の(1)記載の一般式(I)で表される脂肪酸誘導体を必要とする対象に投与することを含む、哺乳類対象において免疫抑制する方法。
(17)哺乳類対象において免疫抑制するための、(1)記載の一般式(I)で表される脂肪酸誘導体の使用。
化合物AのB細胞増殖抑制試験の結果 化合物AのT細胞増殖抑制試験の結果 化合物AのNF-AT遺伝子転写抑制試験の結果 化合物AのNF-κB遺伝子転写抑制試験の結果
本発明の脂肪酸誘導体の命名に際しては、前記式(A)に示したプロスタン酸の番号を用いる。
前記式(A)はC−20の基本骨格のものであるが、本発明では炭素数がこれによって限定されるものではない。即ち、基本骨格を構成する炭素の番号はカルボン酸を1とし5員環に向って順に2〜7までをα鎖上の炭素に、8〜12までを5員環の炭素に、13〜20までをω鎖上に付しているが、炭素数がα鎖上で減少する場合、2位から順次番号を抹消し、α鎖上で増加する場合2位にカルボキシル基(1位)に代わる置換基がついたものとして命名する。同様に、炭素数がω鎖上で減少する場合、20位から炭素の番号を順次減じ、ω鎖上で増加する場合、21番目以後の炭素原子は20位における置換基として命名する。また、立体配置に関しては、特にことわりのないかぎり、上記式(A)の基本骨格の有する立体配置に従うものとする。
また、例えばPGD、PGE、PGFは、9位および/または11位に水酸基を有する脂肪酸誘導体をいうが、本発明では、9位および/または11位の水酸基に代えて他の基を有するものも包含する。これらの化合物を命名する場合、9−デオキシ−9−置換体あるいは11−デオキシ−11−置換体の形で命名する。なお、水酸基の代わりに水素を有する場合は、単に9あるいは11−デオキシ化合物と称する。
前述のように、本発明では脂肪酸誘導体の命名はプロスタン酸骨格に基づいて行うが、化合物が天然脂肪酸誘導体と類似の部分構造を有する場合には、簡略化のため「PG」の略名を利用することがある。この場合、α鎖の骨格炭素数が2個延長されたPG化合物、即ち、α鎖の骨格炭素数が9である脂肪酸誘導体は、2−デカルボキシ−2−(2−カルボキシエチル)−PG化合物と命名することもある。同様にα鎖の骨格炭素数が11である脂肪酸誘導体は、2−デカルボキシ−2−(4−カルボキシブチル)−PG化合物と命名することもある。また、ω鎖の骨格炭素数が2個延長された脂肪酸誘導体、すなわちω鎖の骨格炭素数が10である脂肪酸誘導体は、20−エチル−PG化合物と命名することもある。なお、命名はこれをIUPAC命名法などに基づいて行うことも可能である。
本発明で使用する脂肪酸誘導体は、あらゆる脂肪酸誘導体の置換体あるいは誘導体を包含してよい。従って、例えば13−14位に二重結合を有し、15位に水酸基を有する脂肪酸誘導体、さらに5−6位にもう一つの二重結合を有する脂肪酸誘導体、さらに17−18位に二重結合を有する脂肪酸誘導体、15位の水酸基の代わりにオキソ基を有する脂肪酸誘導体、15位の水酸基の代わりに水素を有する脂肪酸誘導体、15位の水酸基の代わりにフッ素を有する脂肪酸誘導体あるいはこれらの13−14位の二重結合が単結合となった脂肪酸誘導体もしくは13−14位の二重結合が三重結合となった脂肪酸誘導体のいずれであってもよい。また、置換体または誘導体を含む類似体の例としては、上記化合物のα鎖の末端カルボキシル基がエステル化あるいはアミド化された化合物、生理学的に許容し得る塩、α鎖またはω鎖の炭素数が減少あるいは延長された化合物、α鎖またはω鎖上に側鎖(例えば炭素数1〜3)を有する化合物、5員環上にヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、ヒドロキシ(低級)アルキルおよびオキソ等の置換基あるいは二重結合を有する化合物、α鎖上にハロゲン、オキソ、アリールおよび複素環基等の置換基を有する化合物、ω鎖上にハロゲン、オキソ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、シクロ(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、複素環および複素環-オキシ基等の置換基を有する化合物、ω鎖が通常のプロスタン酸より短い化合物のω鎖末端に低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、シクロ(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、複素環基および複素環-オキシ基等の置換基を有する化合物などが挙げられる。
本発明で使用される脂肪酸誘導体は、下記式(I)によって示されるものである:
[式中、L、MおよびNは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、ヒドロキシ(低級)アルキル、低級アルカノイルオキシまたはオキソ; ここで、LおよびMの少なくとも一方は水素以外の基であり、5員環は少なくとも1つの二重結合を有していてもよい;
Aは、−CH3、−CHOH、−COCHOH、−COOH またはそれらの官能性誘導体;
Bは、単結合、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH−CH−CH−、−CH=CH−CH−、−CH−CH=CH−、−C≡C−CH−または−CH−C≡C−;
およびZは、酸素、窒素または硫黄;
およびRは低級アルキルであり、一緒につながって低級アルキレンを形成してもよい;
は、非置換またはハロゲン、アルキル、ヒドロキシ、オキソ、アリールまたは複素環基で置換された、飽和または不飽和の二価の低〜中級脂肪族炭化水素であり、脂肪族炭化水素における少なくとも1つの炭素原子は酸素、窒素または硫黄で置換されていてもよい;および、
は、非置換またはハロゲン、オキソ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、シクロ(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、複素環基または複素環オキシ基で置換された飽和または不飽和の低〜中級脂肪族炭化水素残基; 低級アルコキシ; 低級アルカノイルオキシ; シクロ(低級)アルキル; シクロ(低級)アルキルオキシ; アリール; アリールオキシ; 複素環基; 複素環オキシ基]。
本発明に用いられる好ましい脂肪酸誘導体は式(II)で表される:

[式中、LおよびMは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、ヒドロキシ(低級)アルキル、低級アルカノイルオキシまたはオキソ、ここで、LおよびMの少なくとも一方は水素以外の基であり、5員環は少なくとも1つの二重結合を有していてもよい;
Aは、−CH3、−CHOH、−COCHOH、−COOH またはそれらの官能性誘導体;
Bは、単結合、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH−CH−CH−、−CH=CH−CH−、−CH−CH=CH−、−C≡C−CH−または−CH−C≡C−;
およびZは、酸素、窒素または硫黄;
およびRは低級アルキルであり、一緒につながって低級アルキレンを形成してもよい;
およびXは、水素、低級アルキルまたはハロゲン;
は、非置換またはハロゲン、アルキル、ヒドロキシ、オキソ、アリールまたは複素環で置換された、二価の飽和または不飽和の低〜中級の脂肪族炭化水素残基であり、脂肪族炭化水素における少なくとも1つの炭素原子は任意に酸素、窒素または硫黄によって置換されていてもよい;
は、単結合または低級アルキレン;そして、
は、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、シクロ(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、複素環または複素環オキシ基]。
上記式中、RおよびRaの定義における「不飽和」の語は、主鎖および/または側鎖の炭素原子間の結合として、1つまたはそれ以上の二重結合および/または三重結合を孤立、分離または連続して含むことを意味する。通常の命名法に従って、連続する2つの位置間の不飽和結合は若い方の位置番号を表示することにより示し、連続しない2つの位置間の不飽和結合は両方の位置番号を表示して示す。
「低〜中級脂肪族炭化水素」の語は、炭素原子数1〜14の直鎖または分枝鎖(ただし、側鎖は炭素原子数1〜3のものが好ましい)を有する炭化水素基を意味し、好ましくは炭素原子数1〜10、特に1〜8の炭化水素基である。
「ハロゲン原子」の語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を包含する。
「低級」の語は、特にことわりのない限り炭素原子数1〜6を有する基を包含するものである。
「低級アルキル」の語は、炭素原子数1〜6の直鎖または分枝状の飽和炭化水素基を意味し、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチルおよびヘキシルを含む。
「低級アルキレン」の語は、炭素原子数1〜6の直鎖または分枝状の二価飽和炭化水素基を意味し、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、t−ブチレン、ペンチレンおよびヘキシレンを含む。
「低級アルコキシ」の語は、低級アルキルが上述と同意義である低級アルキル−O−基を意味する。
「ヒドロキシ(低級)アルキル」の語は、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換された上記のような低級アルキルを意味し、例えばヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチルおよび1−メチル−1−ヒドロキシエチルが挙げられる。
「低級アルカノイルオキシ」の語は、式RCO−O−(ここで、RCO−は上記のような低級アルキル基が酸化されて生じるアシル基、例えばアセチル)で示される基を意味する。
「シクロ(低級)アルキル」の語は、炭素原子3個以上を含む上記のような低級アルキル基が閉環して生ずる環状基を意味し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルを含む。
「シクロ(低級)アルキルオキシ」の語は、シクロ(低級)アルキルが上述と同意義であるシクロ(低級)アルキル−O−基を意味する。
「アリール」の語は、非置換または置換の芳香族炭化水素環基を包含し、(好ましくは単環式基の)、例えばフェニル、トリル、キシリルが例示される。置換基としては、ハロゲン原子、ハロ(低級)アルキル(ここで、ハロゲン原子および低級アルキルは前記の意味)が含まれる。
「アリールオキシ」の語は、式ArO−(ここで、Arは上記のようなアリール)で示される基を意味する。
「複素環基」の語としては、置換されていてもよい炭素原子および、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる1種または2種のヘテロ原子を1〜4個、好ましくは1〜3個含む、5〜14員環、好ましくは5〜10員環の、単環式〜3環式、好ましくは単環式の複素環基が含まれる。複素環基としては、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、フラザニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、2−ピロリニル基、ピロリジニル基、2−イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、2−ピラゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、インドリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、プリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズイミダゾリニル基、ベンゾチアゾリル基、フェノチアジニル基などが例示される。置換基としてはハロゲン、ハロゲン置換低級アルキル基(ここで、ハロゲンおよび低級アルキル基は前記の意味)が例示される。
「複素環オキシ基」の語は、式HcO−(ここでHcは上記のような複素環基)で示される基を意味する。
Aの「官能性誘導体」の語は、塩(好ましくは、医薬上許容し得る塩)、エーテル、エステルおよびアミド類を含む。
適当な「医薬上許容し得る塩」としては、慣用される非毒性塩を含み、無機塩基との塩、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩;または有機塩基との塩、例えばアミン塩(例えばメチルアミン塩、ジメチルアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、ベンジルアミン塩、ピペリジン塩、エチレンジアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、トリス(ヒドロキシメチルアミノ)エタン塩、モノメチル−モノエタノールアミン塩、プロカイン塩、カフェイン塩等)、塩基性アミノ酸塩(例えばアルギニン塩、リジン塩等)、テトラアルキルアンモニウム塩等が挙げられる。これらの塩類は、例えば対応する酸および塩基から常套の反応によってまたは塩交換によって製造し得る。
エーテルの例としてはアルキルエーテル、例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、イソブチルエーテル、t−ブチルエーテル、ペンチルエーテル、1−シクロプロピルエチルエーテル等の低級アルキルエーテル;オクチルエーテル、ジエチルヘキシルエーテル、ラウリルエーテル、セチルエーテル等の中級または高級アルキルエーテル;オレイルエーテル、リノレニルエーテル等の不飽和エーテル;ビニルエーテル、アリルエーテル等の低級アルケニルエーテル;エチニルエーテル、プロピニルエーテル等の低級アルキニルエーテル;ヒドロキシエチルエーテル、ヒドロキシイソプロピルエーテル等のヒドロキシ(低級)アルキルエーテル;メトキシメチルエーテル、1−メトキシエチルエーテル等の低級アルコキシ(低級)アルキルエーテル;例えばフェニルエーテル、トシルエーテル、t−ブチルフェニルエーテル、サリチルエーテル、3,4−ジメトキシフェニルエーテル、ベンズアミドフェニルエーテル等の所望により置換されたアリールエーテル;およびベンジルエーテル、トリチルエーテル、ベンズヒドリルエーテル等のアリール(低級)アルキルエーテルが挙げられる。
エステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、1−シクロプロピルエチルエステル等の低級アルキルエステル;ビニルエステル、アリルエステル等の低級アルケニルエステル;エチニルエステル、プロピニルエステル等の低級アルキニルエステル;ヒドロキシエチルエステル等のヒドロキシ(低級)アルキルエステル;メトキシメチルエステル、1−メトキシエチルエステル等の低級アルコキシ(低級)アルキルエステルのような脂肪族エステル;および例えばフェニルエステル、トリルエステル、t−ブチルフェニルエステル、サリチルエステル、3,4−ジメトキシフェニルエステル、ベンズアミドフェニルエステル等の所望により置換されたアリールエステル;ベンジルエステル、トリチルエステル、ベンズヒドリルエステル等のアリール(低級)アルキルエステルが挙げられる。
Aのアミドは、式−CONR’R’’(式中、R’およびR’’はそれぞれ水素、低級アルキル、アリール、アルキル−またはアリール−スルホニル、低級アルケニルおよび低級アルキニル)で示される基を意味し、例えばメチルアミド、エチルアミド、ジメチルアミド、ジエチルアミド等の低級アルキルアミド;アニリド、トルイジド等のアリールアミド;メチルスルホニルアミド、エチルスルホニルアミド、トリルスルホニルアミド等のアルキル-またはアリール-スルホニルアミドが挙げられる。
好ましいLおよびMの例は、水素、ヒドロキシ、オキソを含み、特にLがヒドロキシでMがヒドロキシである。
好ましいAの例は、−COOH、その官能性誘導体である。
好ましいBの例は、−CH−CH−、−CH=CH−または−C≡C−である。
好ましいZおよびZの例は、ともに酸素である。
好ましいRおよびRの例は、RおよびRが一緒につながって低級アルキレンを形成するものであり、より好ましくは炭素数3のアルキレンを形成するものが挙げられる。
好ましいXおよびXの例は、水素またはハロゲンであり、より好ましくは両方が水素あるいはフッ素であるものが挙げられる。
好ましいRは、炭素原子数1〜10であり、特に好ましくは炭素原子数6〜10の炭化水素残基である。脂肪族炭化水素における少なくとも1の炭素原子は酸素、窒素または硫黄で置換されていてもよい。
の具体例としては、例えば、次のものが挙げられる:
−CH−CH−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH=CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH=CH−、
−CH−C≡C−CH−CH−CH−、
−CH−CH−CH−CH−O−CH−、
−CH−CH=CH−CH−O−CH−、
−CH−C≡C−CH−O−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH=CH−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH−CH=CH−、
−CH−C≡C−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH−CH(CH)−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH(CH)−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH=CH−CH−CH−CH−CH−CH−、
−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH=CH−、
−CH−C≡C−CH−CH−CH−CH−CH−、および、
−CH−CH−CH−CH−CH−CH−CH(CH)−CH−。
好ましいRaは、1−10炭素原子、より好ましくは1−8炭素原子を有する炭化水素である。Raは1の炭素原子を有する1または2の側鎖を有していてもよい。
上記式(I)および(II)における環、および、α−および/またはω−鎖の配置は、天然PG類の配置と同じであっても異なっていてもよい。しかしながら、本発明は、天然タイプの配置を有する化合物と非天然タイプの配置を有する化合物の混合物も包含する。
本発明においては、個々の互変異性体、その混合物または光学異性体、その混合物、ラセミ体、その他の立体異性体等の異性体も、同じ目的に使用することが可能である。
本発明の脂肪酸誘導体は、免疫抑制するための医薬組成物として有用であり、さらに炎症性疾患、アレルギー性疾患および自己免疫疾患処置のための医薬組成物として有用である。
本発明にいう「処置」および/または「改善」には、対象とする疾患の予防、治療、症状の軽減、症状の減退、進行停止等、あらゆる管理が含まれる。
本発明において処置の対象となる炎症性疾患としては、関節リウマチなどの関節炎、肺炎、ウイルス性を含む肝炎、感染症に伴う炎症、炎症性腸疾患、糸球体腎炎などの腎炎、胃炎、血管炎、膵炎、腹膜炎、気管支炎、心筋炎、脳炎、乾癬、接触性皮膚炎などの皮膚炎などが挙げられる。また、本発明において炎症性疾患の処置には、炎症性疾患に伴う症状の処置、例えば皮膚炎に伴う脱毛症(粃糠性脱毛症、脂漏性脱毛症、瘢痕性脱毛症等)の処置が含まれる。
本発明において処置の対象となるアレルギー性疾患としては、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、花粉症などが挙げられる。また、本発明においてアレルギー性疾患の処置には、アレルギー性疾患に伴う症状の処置、例えばアトピー性皮膚炎に伴う脱毛症の処置が含まれる。
本発明において処置の対象となる自己免疫疾患としては、全身性エリテマトーデス、シェーングレン症候群、多発性硬化症、慢性関節リウマチ、類天疱瘡、強皮症、潰瘍性大腸炎などが挙げられる。また、本発明において自己免疫疾患の処置には、自己免疫疾患に伴う症状の処置が含まれる。
本発明において用いられる脂肪酸誘導体の濃度は、使用する化合物、対象の種類、年齢、体重、処置されるべき症状、所望の治療効果、投与容量、処置期間等により異なり、適宜適切な用量を選択しうる。一般に本発明の脂肪酸誘導体は、1日当り約0.001μg/kg〜約500mg/kgの用量、好ましくは1日当り約0.01μg/kg〜約50mg/kgの用量を1日に1〜4回全身または局所投与または連続投与することにより、十分な効果が得られる。
本発明によれば、脂肪酸誘導体は全身的にまたは局所的に適用し得る。通常、脂肪酸誘導体は、局所投与、経口投与、鼻腔内投与、口腔内投与、吸入による投与、により投与し得る。本発明において、脂肪酸誘導体は、従来法により投与に適した医薬組成物として製剤化するのが好ましい。その組成物は、局所投与、経口投与、鼻腔内投与、口腔内投与、吸入による投与、静脈内注射(点滴を含む)、皮下注射または灌流に適したもの、ならびに直腸内投与、膣内投与、経皮投与などに適した外用薬、坐薬または腟坐薬であり得る。
本発明の医薬組成物は生理学的に許容し得る添加剤をさらに含んでもよい。そのような添加剤には本発明の化合物とともに用いる成分、例えば、賦形剤、希釈剤、増量剤、溶剤、潤滑剤、補助剤、結合剤、崩壊剤、被覆剤、カプセル化剤、軟膏基剤、坐薬用基剤、エアゾール剤、乳化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤、保存剤、抗酸化剤、矯味剤、芳香剤、着色剤、機能性物質(例えばシクロデキストリン、生体内分解高分子等)、安定剤等があり得る。これらの添加剤は当業者によく知られており、一般的な製剤学の参考書に記載されているものから選択すればよい。
本発明の医薬組成物における上記に規定の脂肪酸誘導体の量は、組成物の処方に応じて変化させてよく、一般に0.001〜10.0w/v%、より好ましくは0.005〜5.0w/v%、最も好ましくは0.01〜1.0w/v%、であり得る。
経口投与のための固体組成物の例には、錠剤、トローチ剤、舌下錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末剤、顆粒剤等がある。固体組成物は1以上の活性成分と少なくとも1つの不活性希釈剤を混合して調製してもよい。その組成物に、不活性希釈剤以外の添加剤、例えば、潤滑剤、崩壊剤および安定剤をさらに含ませてもよい。錠剤および丸剤は、所望により、腸溶性または胃腸溶性フィルムによって被覆してもよい。それらは2以上の層によって被覆してもよい。それらは徐放性物質に吸収させても、またはマイクロカプセル化してもよい。さらに、本組成物は、ゼラチン等の易分解性物質を用いてカプセル化してもよい。それらは、脂肪酸またはそのモノ、ジもしくはトリグリセリド等の適切な溶媒にさらに溶解させて軟カプセルとしてもよい。即効性が必要な場合は舌下錠を用いてもよい。
経口投与のための液体組成物の例には、乳剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤等がある。そのような組成物は、慣用される不活性希釈剤、例えば精製水またはエチルアルコールをさらに含んでもよい。この組成物は、不活性希釈剤以外の添加剤、例えば湿潤剤や懸濁剤といった補助剤、甘味剤、香味剤、芳香剤および保存剤等を含んでもよい。
本発明の医薬組成物は、1以上の活性成分を含有する噴霧用組成物の形態であってもよく、これは既知の方法によって調製することができる。
鼻腔内用製剤の例は、1以上の活性成分を含む水性もしくは油性溶液剤、懸濁剤または乳剤であり得る。活性成分の吸入による投与において、本発明の組成物は、エアロゾルとして提供可能な懸濁液、溶液または乳液の形態、または乾燥粉末の吸入に適する粉末形態であり得る。吸入による投与のための組成物は、慣用される噴射剤をさらに含み得る。
非経口投与のための本発明の注射用組成物の例には、滅菌した水性もしくは非水性溶液剤、懸濁剤および乳剤等がある。水性溶液剤または懸濁剤のための希釈剤には、例えば、注射用蒸留水、生理食塩水およびリンゲル液等があり得る。
溶液剤および懸濁剤のための非水性希釈剤には、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(オリーブ油等)、アルコール(エタノール等)およびポリソルベート等があり得る。この組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤等の添加剤をさらに含んでもよい。それらは、例えば細菌保留フィルターを通して濾過することによって、滅菌剤を配合することによって、またはガスもしくは放射性同位体照射滅菌によって滅菌してもよい。注射用組成物は、滅菌粉末組成物として提供し、使用前に注射用の滅菌溶媒に溶解させることもできる。
本発明の外部薬には、皮膚科学および耳鼻科学の分野において用いられるあらゆる外用製剤が含まれ、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤およびスプレー剤などがある。
本発明の別の形態は坐剤または腟坐剤であり、これらは通常用いられる基剤、例えば体温で軟化するカカオバターに活性成分を混合することによって調製することができ、吸収性を向上させるために適切な軟化温度を有する非イオン性界面活性剤を用いてもよい。
本発明の組成物は本発明の目的を損なわない限りその他の成分をさらに含んでいてもよい。
また、本発明においては他の薬剤との併用投与も可能である。併用投与は、本発明の脂肪酸誘導体の投与の前に、同時(同一の製剤または別の製剤の組合せ)に、あるいは投与後に、他の薬剤を投与することを意味する。併用投与可能な他の薬剤としては、例えば、コルチゾール、プレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾンなどのステロイド類、シクロスポリン、タクロリムス、シクロフォスファミドなどの免疫抑制剤、アスピリン、インドメタシン、ジクロルフェナックなどの非ステロイド系消炎鎮痛剤等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
合成例1
イソプロピル (5Z)-7-[(1R,2R,3R,5S)-2-[2-(2-ヘプチル-1,3-ジオキサン-2-イル)エチル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]ヘプト-5-エノエート (5)
トルエン (10.2ml)中の化合物 1 (510.0mg、1.273mmol)の溶液に、1,3-プロパンジオール (0.92ml、12.73mmol)および触媒量のp-トルエンスルホン酸を添加し、混合物を17時間還流下で加熱した。その後、反応を室温まで冷えるまで放置し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液、および塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下でエバポレートした。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し(Merck 7734、ヘキサン: 酢酸エチル=3:2)、化合物 2 (581.3mg)を得た。
トルエン (11.6ml)中の化合物 2 (580.0mg、1.265mmol)の溶液を-78℃に冷却し、1.5M-DIBAH (トルエン中、2.95ml、4.427mmol)をそれに滴下し、混合物を1時間撹拌し、次いで、メタノール (1.79ml)を結果として得られた混合物に滴下した。ロッシェル塩飽和水溶液(100ml)をそれに添加し、混合物を30分間激しく撹拌した。結果として得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下でエバポレートした。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し(Merck 7734、ヘキサン: 酢酸エチル=1:9-0:10)、化合物3 (275.2mg、1からの収率 61.4%)を得た。
THF (6ml)中の (4-カルボキシブチル)トリフェニル臭化ホスホニウム (1.346g、3.038mmol)の分散液に、0℃のTHF 中の1M- カリウムt-ブトキシド(6.07ml、6.07mmol)を添加した。反応を室温で1時間撹拌し、-20℃に冷却した。THF (7ml)中の化合物 3 (269.2mg、0.7594mmol)をそれに滴下し、-20-0℃で2時間撹拌した。氷冷水を反応に添加し、THFを減圧下でエバポレートして除いた。濃縮され残渣に、0℃で、氷冷 1N 塩酸水溶液を滴下し、溶液をpH 4に調整した。
溶液を酢酸エチルで抽出し、有機層を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下でエバポレートした。残渣にエーテルを添加し、17 時間室温で撹拌し、セライトでろ過した。ろ液を減圧下でエバポレートし、粗化合物 4を得た。
アセトニトリル (7.6ml)中の化合物 4 (0.7594mmol)にDBU (0.45ml、3.038mmol)、ヨウ化イソプロピル (0.30ml、3.038 mmol) を添加し、4時間45℃で撹拌した。反応混合物を減圧下でエバポレートした。残渣に水を添加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下でエバポレートした。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し(Merck 9385、ヘキサン : 酢酸エチル= 2:3)、727.2mgの目的生成物 (3からの収率 72.1%)を得た。こうして得られた化合物 4 (カルボン酸、259.0mg)を分取HPLCでさらに精製し、化合物 5 (イソプロピルエステル、240.3mg、HPLC 精製収率 92.8%)を得た。
化合物 51H-NMR スペクトル (200MHz,CDCl3):δ5.57-5.14(2H、m)、 5.01(1H、sept、J=6.2Hz)、4.17(1H、bs)、3.97(1H、bs)、4.00-3.78(4H、m)、2.76(1H、d、J=6.2Hz)、2.29(2H、t、J=7.5Hz)、 2.44-2.06 (5H、m,)、1.88(2H、bt,)、1.93-1.18(22H、m)、1.23(6H、d、J=6.2Hz)、0.89(3H、t、J=6.8Hz)
合成例 2
イソプロピル (5Z)-7-[(1R,2R,3R,5S)-2-(3,3-ジメトキシデシル)-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]ヘプト-5-エノエート(10)
メタノール (2.4ml)中の化合物 1 (797.8mg、2.002mmol) の溶液に、触媒量の p-トルエンサルフェート、オルトギ酸メチル(2.19ml、20.02mmol)および無水硫酸マグネシウム (1.20g、10.01mmol)を添加し、還流下で4時間加熱した。反応を冷却し、炭酸水素ナトリウムを添加し、セライトでろ過した。ろ液を減圧下でエバポレートし、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し(Merck 7734g、ヘキサン : 酢酸エチル = 3:2)、化合物 7 (884.3mg、収率 98.9%)を得た。
トルエン(15.4ml)中の化合物 7 (767.5mg、1.719mmol) の溶液を-78℃に冷却し、1.5M-DIBAH (トルエン中、4.0ml、6.016mmol)をそれに滴下し、混合物を1時間撹拌した。次いで、メタノールを反応に滴下し、反応を室温まで加熱した。ロッシェル塩飽和水溶液(150ml)をそれに添加し、混合物を30分間激しく撹拌した。結果として得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下でエバポレートした。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し(Merck 9385、ヘキサン: 酢酸エチル=1:9)、化合物 8 (415.8mg、収率 70.2%)を得た。
THF中の(4-カルボキシブチル)トリフェニル臭化ホスホニウム(1.250g、2.819mmol)の分散液に、THF中の1M- カリウム t-ブトキシド(5.64ml、5.64mmol)を0℃ で添加した。反応を室温で1時間撹拌し、-20℃に冷却した。THF (4ml)中の化合物 8 (242.8mg、0.7048mmol)をそれに滴下し、-20-0℃で2時間撹拌した。氷冷水を反応に添加し、THFを減圧下でのエバポレーションによって除いた。残渣に0℃で、氷冷 1N 塩酸水溶液を滴下して溶液をpH 5に調整した。溶液を酢酸エチルで抽出し、有機層を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下でエバポレートした。残渣にエーテルを添加し、17 時間室温で撹拌し、セライトでろ過した。ろ液を減圧下でエバポレートして粗化合物 9 (カルボン酸)を得た。
アセトニトリル (7ml)中の化合物 9 (0.7048mmol)の溶液に、DBU (0.42ml、2.819mmol)、ヨウ化イソプロピル (0.28ml、2.819mmol)を添加し、混合物を16 時間45℃で撹拌した。反応混合物を減圧下でエバポレートした。残渣に水を添加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下でエバポレートした。残渣をシリカゲルカラム (Merck 9385、ヘキサン:酢酸エチル= 1:2)で精製し、化合物 10(268.0mg、8からの収率 80.8%)を得た。
上記のようにして得た化合物 10 (合計370 mg)をさらに分取HPLCで精製し、純粋な化合物 10 (341.9mg、HPLC 精製収率 92.4%)を得た。
化合物 10の1H-NMR スペクトル (200MHz,CDCl3):δ5.54-5.13(2H、m)、5.00(1H、sept、J=6.2Hz)、4.18(1H、bs)、3.95(1H、bs)、3.16(6H、s)、2.66(1H、d、J=6.4Hz)、2.29(2H、t、J=7.3Hz)、2.48-2.06(5H、m)、1.89(2H、bt)、1.79-1.17(20H、m)、1.23(6H、d、J=6.2Hz)、0.89(3H、t、J=6.8Hz)
合成例 3
イソプロピル (5Z)-7-[(1R,2R,3R,5S)-3,5-ジヒドロキシ-2-{2-[2-(2-フェニルエチル)-1,3-ジオキソラン-2-イル]エチル}シクロペンンチル]ペプト-5-エノエート (12)
化合物 12を合成例 1と同様にして化合物 11から調製した。
化合物 111H-NMR スペクトル (200MHz、CDCl3):δ8.04-7.93(2H、m)、7.63-7.38(3H、m)、7.35-7.11(5H、m)、5.215.03(2H、m)、2.98-2.24(11H、m)、2.12-1.98(1H、m)、1.80-1.50(2H、m)
化合物 121H-NMR スペクトル (200MHz、CDCl3):δ7.35-7.12(5H,m)、5.56-5.35(2H、m)、5.00(1H、sept、J=6.2Hz)、4.15(1H、bs)、3.96(4H、s)、3.92(1H、bs)、3.18(1H、bd)、2.86(1H、bd)、2.75-2.63(2H、m)、2.28(2H、t、J=7.3Hz)、2.46-1.15(17H、m)、1.22(6H、d、J=6.2Hz)
合成例 4
エチル(Z)-7-[(1R,2R,3R,5S)-2-(3,3-エチレンジオキシデシル)-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]ヘプト-5-エノエート (15)
メタノール (91.8 ml)中の化合物 13 (9.18 g、19.59 mmol)の溶液に、8N-水酸化ナトリウム水溶液 (24.49 ml)を0℃で添加した。反応混合物を3時間室温で撹拌し、0℃で6N-塩酸で酸性にした。混合物を酢酸エチル (100 ml + 50 ml) で抽出した。有機層を塩化ナトリウム飽和水溶液 (100 ml x 2)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。抽出物を減圧下でエバポレートし、粗酸 14を油として得た。
アセトニトリル (60 ml)中の粗酸 14および1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エン(11.72 ml)の溶液に、ヨウ化エチル (6.27 ml)を0℃で滴下した。反応混合物を45℃で17 時間撹拌し、室温まで冷却し、エバポレートした。残渣に、水(100 ml)を添加した。混合物を酢酸エチル (100 ml x 2)で抽出した。有機層を0.1N-塩酸、重炭酸ナトリウム飽和水溶液 (100 ml)および塩化ナトリウム飽和水溶液 (100 ml)で洗浄した。抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレートした。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで2回精製し (Merck 7734、220 g、ヘキサン : 酢酸エチル= 2:3、-> BW-300、210g、ヘキサン:2-プロパノール=6:1)、エチルエステル 15 (8.60 g、18.92 mmol、13から96.6%)を無色油として得た。
化合物151H-NMR (200MHz、CDCl3中、TMS = 0ppm):δ5.58-5.29(2H、m)、4.15(1H、brs)、4.13(2H、q、J=7.1Hz)、3.97(1H、brs)、3.94(4H、s)、2.80-2.70(1H、br)、2.49-2.36(1H、m)、2.32(2H、t、J=7.4Hz)、2.36-2.15 (4H、m)、1.90-1.83(2H、m)、1.83-1.12(20H、m)、1.26(3H、t、J=7.1Hz)、0.88(3H、t、J=6.5Hz)
試験例1(免疫抑制作用)
I.B細胞増殖抑制試験
Balb/cマウス(体重17±1g)の脾臓から単離したBリンパ球細胞、2x106/mLを、任意の濃度の化合物A及び10mg/mLリポ多糖(LPS)を含むpH7.4 AIM−V培地中で37°C、24時間培養後、120nM3Hチミジンを加え、16時間さらに培養した。細胞をフィルター濾過で集め、液体シンチレーションカウンターを用いて、チミジンの細胞への取り込みを測定することで、細胞増殖抑制作用を評価し、IC50を求めた。結果を表1及び図1に示す。
II.T細胞増殖抑制試験
Balb/cマウス(体重17±1g)の胸腺から単離したTリンパ球細胞、5x106/mLを、任意の濃度の化合物A及び3.3mg/mL コンカナバリンA(Con A)を含むpH7.4 AIM−V培地中で37°C、24時間培養後、120nM3Hチミジンを加え、16時間さらに培養した。細胞をフィルター濾過で集め、液体シンチレーションカウンターを用いて、チミジンの細胞への取り込みを測定することで、細胞増殖抑制作用を評価し、IC50を求めた。結果を表1及び図2に示す。
III.NF-AT遺伝子転写抑制試験
転写因子NFAT-1のDNA結合部位を転写制御領域に持つβ-ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)で形質転換したヒトTリンパ球Jurkat細胞、2.3 x 106 /mLを、pH7.4、RPMI-1640培地中で、任意の濃度の化合物Aとともに、37°C、20分、培養後、0.5 mM A23187(Calcium ionophore)及び50 ng /mL PMA(Phorbol 12-myristate 13-acetate) を加え、4時間さらに培養した。βガラクトシダーゼ活性は、FDG(蛍光色素ジ-β-D-ガラクトピラノシド)からの蛍光色素への変換で測定し、蛍光発光は、SpectroFluor Plus plate reader を用いて測定し、IC50を求めた。結果を表1及び図3に示す。
IV.NF-κB遺伝子転写抑制試験
転写因子NF-κBのDNA結合部位を転写制御領域に持つβ-ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)で形質転換したヒトTリンパ球Jurkat細胞、2.3 x 106 /mLを、pH7.4、RPMI-1640培地中で、任意の濃度の化合物Aとともに、37°C、20分、培養後、0.5 mM A23187(Calcium ionophore)及び50 ng /mL PMA(Phorbol 12-myristate 13-acetate) を加え、4時間さらに培養した。βガラクトシダーゼ活性は、FDG(蛍光色素ジ-β-D-ガラクトピラノシド)からの蛍光色素への変換で測定し、蛍光発光は、SpectroFluor Plus plate reader を用いて測定し、IC50を求めた。結果を表1及び図4に示す。
化合物A:イソプロピル (Z)-7-[(1R,2R,3R,5S)-2-(3,3-エチレンジオキシデシル)
-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]ヘプト-5-エノエート
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(上記文献はいずれも引用により本明細書に含まれる。)
試験例2(アトピー性皮膚炎マウスモデル試験)
マウス(NC/NgaTndCrlj、雄性)の塩化ピクリル(PiCl)誘発アトピー性皮膚炎モデルを用いて、皮膚炎症に対する効果および皮膚炎症を起こしている皮膚における毛の状態を評価した。
試験群は表2に示す群を用いた。PiCl誘発アトピー性皮膚炎モデルマウスは、毛刈りした腹部および足蹠にPiCl溶液を塗布して感作し、感作5日後から週1回、5週間、毛刈りした背部および左右の耳(内外両側)にPiCl溶液を塗布して誘発を繰り返して作製した。各群、PiCl感作18日後から1日1回、28 日間投与した。化合物Aならびにタクロリムス軟膏0.1%はモデル動物の頚背部約3 cm×約5 cmの領域に開放塗布した。第5群、すなわちプレドニゾロンと0.6w/v% 化合物Aの併用投与群では、プレドニゾロン1 mg/kgの経口投与に引続き、0.6w/v% 化合物Aを経皮投与した。第6群、すなわちタクロリムス軟膏0.1%と0.6w/v% 化合物Aの併用投与群では、0.6w/v%化合物Aの投与 3 時間 30 分以降にタクロリムス軟膏0.1%を投与した。
化合物A:試験例1と同じ化合物
各評価は、皮膚炎スコアならびに育毛スコアを用いた。各スコアは、投与1、8、15、22日および29日(最終投与翌日)の皮膚炎ならびに発毛・育毛状態を下記の基準で評点化した。
<皮膚炎所見>各個体の皮膚炎スコアは、皮膚炎所見(1)〜(5)の評点(0:無症状〜3:重度)の合計とした。
(1) 掻痒行動:2 分間の行動を観察し、誘発部位を掻く行動を観察
0:無症状: 誘発部位に対する掻痒行動が見られない状態
1:軽 度: 連続的な掻痒行動が 2 回以上で、累積で約1分を超えない行動
2:中等度: 累積で約1分を超え、約 1 分半を超えない行動
3:重 度: 累積で約1分半を超えるか、2 分間掻き続ける行動
(2) 発赤・出血:誘発部位の発赤および出血症状を観察
0:無症状: 誘発部位に発赤および出血症状が認められない状態
1:軽 度: 誘発部位に局所的に認められるか、連続的な擦傷に伴う出血が認められない状態
2:中等度: 誘発部位に散在的に認められるか、局所的に連続的な擦傷に伴う発赤および出血症状が認められる状態
3:重 度: 誘発部位に全体的に認められるか、連続的な擦傷が広範囲に広がり、発赤および出血症状が認められる状態
(3) 浮腫:誘発部位である耳介の浮腫を定性的に観察
0:無症状: 左右の耳介に厚みが認められない状態
1:軽 度: 左右のどちらか 1 方にわずかに厚みが認められる状態
2:中等度: いずれの耳介にも明らかな厚み、張りが認められる状態
3:重 度: いずれの耳介にも明らかな厚み、張りおよび反りが認められ、指で触れたときに硬さが感じられる状態
(4) 擦傷・組織欠損:誘発部位の擦傷および組織欠損症状を観察
0:無症状: 誘発部位に擦傷および組織欠損症状が認められない状態
1:軽 度: 誘発部位に局所的に認められ、連続的でない擦傷が認められ、組織欠損は認められない状態
2:中等度: 誘発部位に散在的に認められるか、小規模に連続的な擦傷が認められ、組織欠損は認められない状態
3:重 度: 誘発部位に全体的に認められるか、連続的な擦傷が広範囲に広がり、組織欠損が認められる状態
(5) 痂皮形成・乾燥:誘発部位の痂皮形成および乾燥症状を観察
0:無症状: 誘発部位の痂皮形成および乾燥症状なし
1:軽 度: 誘発部位に局所的に認められ、誘発部位の皮膚がわずかに白色化、角質の剥離がわずかに認められる状態
2:中等度: 誘発部位に散在的に認められるか、明らかに角質の剥離が認められる状態
3:重 度: 誘発部位に全体的に認められるか、明らかに角質の剥離が認められる状態
<発毛・育毛状態>各個体の経皮投与領域(頚背部 約3 cm×約5 cm)を観察領域とした。
0:発毛、育毛が観察部位で観察できない
1:発毛、育毛が観察部位の 0<25%
2:発毛、育毛が観察部位の 25 ≦75%
3:発毛、育毛が観察部位の 75≦100%
1.皮膚炎症に対する効果の評価
投与8日における皮膚炎スコアによりアトピー性皮膚炎症に対する効果を評価した。結果を表3に示す。
化合物A投与群は、化合物A基剤群に対して、初期の皮膚炎の増悪を抑制する傾向を示すことが分かる。また、化合物Aとタクロリムス軟膏の併用群では、化合物A基剤群に対して、初期の皮膚炎の増悪を有意に抑制していることが分かる。
以上の結果から、本発明の脂肪酸誘導体がアトピー性などの皮膚炎の悪化を抑制する可能性を有すること、免疫抑制剤を併用することによりさらにアトピー性皮膚炎に対する効果が期待できることが分かる。
2.皮膚炎症を起こしている皮膚における毛の状態の評価
投与15日、22日および29日における育毛スコアにより、皮膚炎症を起こしている皮膚における毛の状態を評価した。結果を表4に示す。
化合物A基剤群は、投与15日以降投与22日、投与29日と皮膚炎スコアの上昇(皮膚炎の悪化)とともに育毛スコアが低下(脱毛が進行)している。一方、薬剤投与群はいずれも投与22日、投与29日と皮膚炎スコアの上昇が認められるにも関わらず、育毛スコアは、投与22日に比較し投与29日で上昇(脱毛の改善)が認められることが分かる。この効果は、化合物A投与群で用量依存的に認められ、プレドニゾロンおよびタクロリムス軟膏との併用群でも認められる。
以上の結果から、本発明の脂肪酸誘導体が皮膚炎症状の悪化に伴う脱毛の進行を抑制・改善すること、ステロイドや免疫抑制剤との併用も可能であることが分かる。特にまず皮膚炎そのものの治療が求められる(アトピー性)皮膚炎に伴う脱毛症に対して、本発明の脂肪酸誘導体が皮膚炎症状悪化の進行下でも脱毛の抑制・改善を可能とすることができることが分かる。

Claims (17)

  1. 下記一般式(I)で表される脂肪酸誘導体を有効成分として含有する免疫抑制するための医薬組成物。

    [式中、L、MおよびNは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、ヒドロキシ(低級)アルキル、低級アルカノイルオキシまたはオキソ; ここで、LおよびMの少なくとも一方は水素以外の基であり、5員環は少なくとも1つの二重結合を有していてもよい;
    Aは、−CH3、−CHOH、−COCHOH、−COOH またはそれらの官能性誘導体;
    Bは、単結合、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH−CH−CH−、−CH=CH−CH−、−CH−CH=CH−、−C≡C−CH−または−CH−C≡C−;
    およびZは、酸素、窒素または硫黄;
    およびRは低級アルキルであり、一緒につながって低級アルキレンを形成してもよい;
    は、非置換またはハロゲン、アルキル、ヒドロキシ、オキソ、アリールまたは複素環基で置換された、飽和または不飽和の二価の低〜中級脂肪族炭化水素であり、脂肪族炭化水素における少なくとも1つの炭素原子は酸素、窒素または硫黄で置換されていてもよい;および、
    は、非置換またはハロゲン、オキソ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、シクロ(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、複素環基または複素環オキシ基で置換された飽和または不飽和の低〜中級脂肪族炭化水素残基; 低級アルコキシ; 低級アルカノイルオキシ; シクロ(低級)アルキル; シクロ(低級)アルキルオキシ; アリール; アリールオキシ; 複素環基; 複素環オキシ基]。
  2. LおよびMがヒドロキシである、請求項1記載の医薬組成物。
  3. Aが−COOH またはその官能性誘導体である、請求項1または2記載の医薬組成物。
  4. Bが−CH−CH−、−CH=CH−または−C≡C−である、請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。
  5. およびZが酸素である、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物。
  6. およびRが一緒につながって低級アルキレンを形成する、請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
  7. 低級アルキレンが炭素数3のアルキレンである、請求項6記載の医薬組成物。
  8. 脂肪酸誘導体がイソプロピル (Z)-7-[(1R,2R,3R,5S)-2-(3,3-エチレンジオキシデシル)-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]ヘプト-5-エノエートである、請求項1〜7のいずれかに記載の医薬組成物。
  9. 炎症性疾患を処置するためのものである、請求項1〜8のいずれかに記載の医薬組成物。
  10. 皮膚の炎症またはそれに伴う脱毛症を処置するためのものである、請求項9記載の医薬組成物。
  11. 皮膚の炎症に伴う脱毛症を処置するためのものである、請求項10記載の医薬組成物。
  12. アレルギー性疾患を処置するためのものである、請求項1〜8のいずれかに記載の医薬組成物。
  13. アトピー性皮膚炎またはそれに伴う脱毛症を処置するためのものである、請求項12記載の医薬組成物。
  14. アトピー性皮膚炎に伴う脱毛症を処置するためのものである、請求項13記載の医薬組成物。
  15. 自己免疫疾患を処置するためのものである、請求項1〜8のいずれかに記載の医薬組成物。
  16. 有効量の請求項1記載の一般式(I)で表される脂肪酸誘導体を必要とする対象に投与することを含む、哺乳類対象において免疫抑制する方法。
  17. 哺乳類対象において免疫抑制するための、請求項1記載の一般式(I)で表される脂肪酸誘導体の使用。
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