JPWO2012165460A1 - 太陽熱発電用反射装置、フィルムミラー及びフィルムミラーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明の課題は、太陽光を集光する実用に耐えうる高い耐傷性、耐候性と高い反射率を有し、かつ高い生産性を有する太陽熱発電用反射装置、フィルムミラー及びフィルムミラーの製造方法を提供することである。本発明のフィルムミラーは、光入射側から順に、透光性樹脂層、光反射層、樹脂基材、及び粘着層を少なくとも有するフィルムミラーであって、前記透光性樹脂層は紫外線吸収剤を含有しており、その透光性樹脂層の厚さが10μm以上150μm以下であることを特徴とする。
Description
本発明は、太陽熱発電用反射装置、フィルムミラー及びフィルムミラーの製造方法に関する。
近年の地球温暖化は一層深刻な事態に発展し、将来の人類の生存すら脅かされる可能性がでてきている。その主原因は、20世紀に入りエネルギー源として多量に使用されてきた化石燃料から放出された大気中の二酸化炭素(CO2)であると考えられている。したがって近い将来、化石燃料をこのまま使い続けることは許されなくなると考えられる。また、他方で、中国、インド、ブラジル等のいわゆる発展途上国の急激な経済成長に伴うエネルギー需用の増大により、かつては無尽蔵と考えられていた石油、天然ガスの枯渇が現実味を帯びてきている。
化石燃料の代替エネルギーとして最も安定しており、且つ量の多い自然エネルギーは、太陽エネルギーであると考えられる。特に世界のサンベルト地帯と呼ばれている赤道近くには、広大な砂漠が広がっており、そこに降りそそぐ太陽エネルギーは正に無尽蔵と言える。太陽エネルギーの利用に関して、米国南西部に拡がる砂漠のわずか数%を使えば、実に7,000GWものエネルギーを得ることが可能であると考えられている。また、アラビア半島、北アフリカの砂漠のわずか数%を使えば、全人類の使うエネルギーを全て賄うことができるとも考えられている。
このように、太陽エネルギーは非常に有力な代替エネルギーであるものの、これを社会活動の中で活用するためには、(1)太陽エネルギーのエネルギー密度が低いこと、並びに(2)太陽エネルギーの貯蔵及び移送が困難であることが、問題となると考えられる。これに対して、太陽エネルギーのエネルギー密度が低いという問題は、巨大な集光装置で太陽エネルギーを集めることによって解決することが提案されている。
集光装置は太陽光による紫外線や熱、風雨、砂嵐などに晒されるため、従来は耐候性のよいガラス製ミラーが用いられてきた。但し、そのガラス製ミラーは環境に対する耐久性が高い反面、輸送時に破損してしまうことや、質量が重いためにミラーを設置する架台の強度を持たせる必要が生じてプラントの建設費がかさむことといった問題があった。
上記問題を解決するために、ガラス製ミラーを樹脂製反射ミラーに置き換えることが考えられてきた(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
しかしながら、樹脂製反射ミラーの反射層に銀などの金属を用いると、樹脂層を介して酸素や水蒸気、硫化水素などが透過して、銀を腐食してしまうといった問題や、紫外線により樹脂層が劣化し、変色や膜剥がれが発生するなどの問題が生じるので、集光装置に樹脂製反射ミラーを適用することは困難であった。
このような樹脂製反射ミラーの問題に対して、紫外線に対する耐光性に優れたアクリルフィルムを表面に用いる技術が知られている(例えば、特許文献3)。
しかしながら、特許文献3で提案されている層構成では、アクリルフィルムとポリエステルフィルムを接着剤層で貼り合わせる際に、層間に気泡や異物が混入してしまい、光反射性が低下してしまうことがあるという問題があった。また、溶融成膜などによって成形されたアクリルフィルムが有する表面凹凸によって反射光が散乱してしまい集光効率が低下するといった問題があった。
また、粘着層と銀反射層の界面から汚染物質が侵入し、銀反射層が腐食して反射率が低下してしまうといった問題や、長期間の紫外線曝露によって接着剤層が劣化しアクリルフィルムが剥がれたり、銀反射層よりも光源側にあるポリエステルフィルムが黄変してしまったりするといった問題があった。
更に、銀反射層が粘着層と直接接触するため、粘着層が持っている凹凸が銀反射面に影響を及ぼしてしまい、反射光が散乱して集光効率が低下するといった問題があった。
これら問題が生じるため、特許文献3で提案されている樹脂製反射ミラーは、太陽光を集光するためのミラーとして、使用に耐えうるものでは無かった。
そこで、本発明の解決課題は、太陽光を集光する実用に耐えうる高い耐傷性、耐候性と高い反射率を有し、かつ高い生産性を有する太陽熱発電用反射装置、フィルムミラー及びフィルムミラーの製造方法を提供することである。
本発明の一の態様は、
光入射側から順に、透光性樹脂層、光反射層、樹脂基材、及び粘着層を少なくとも有するフィルムミラーであって、
前記透光性樹脂層は紫外線吸収剤を含有しており、その透光性樹脂層の厚さが10μm以上150μm以下であることを特徴としている。
光入射側から順に、透光性樹脂層、光反射層、樹脂基材、及び粘着層を少なくとも有するフィルムミラーであって、
前記透光性樹脂層は紫外線吸収剤を含有しており、その透光性樹脂層の厚さが10μm以上150μm以下であることを特徴としている。
好ましくは、前記透光性樹脂層が、前記光反射層の光入射側の面上または前記光反射層よりも光入射側に設けられた構成層の面上に、接着層を介さずに直接形成されている。
好ましくは、前記透光性樹脂層の表面の中心線平均粗さ(Ra)が3nm以上20nm以下である。
好ましくは、前記光反射層の光入射側に隣接して、腐食防止層が設けられている。
好ましくは、前記透光性樹脂層の光入射側の面に、ハードコート層が設けられている。
好ましくは、前記光反射層よりも光入射側に、ガスバリアー層が設けられている。
そして、上記したフィルムミラーを製造するフィルムミラーの製造方法は、
前記光反射層の光入射側の面上または前記光反射層よりも光入射側に設けられた構成層の面上に、前記透光性樹脂層となる材料を直接塗布することによって、前記透光性樹脂層を形成することを特徴としている。
前記光反射層の光入射側の面上または前記光反射層よりも光入射側に設けられた構成層の面上に、前記透光性樹脂層となる材料を直接塗布することによって、前記透光性樹脂層を形成することを特徴としている。
また、本発明の他の態様は、太陽熱発電用反射装置であって、
フィルムミラーが備える前記粘着層を、支持基材に接合して形成したことを特徴としている。
フィルムミラーが備える前記粘着層を、支持基材に接合して形成したことを特徴としている。
好ましくは、前記支持基材は、中空構造を有する樹脂材料からなる。
好ましくは、前記支持基材は、一対の金属平板と、前記金属平板間に介装された中間層を有し、前記中間層は中空構造を有する材料または樹脂材料からなる。
本発明によれば、太陽光を集光する実用に耐えうる高い耐傷性、耐候性と高い反射率を有し、かつ高い生産性を有する太陽熱発電用反射装置、フィルムミラー及びフィルムミラーの製造方法を提供することができる。
以下、本発明に係る太陽熱発電用フィルムミラーについて詳細について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
(1)太陽熱発電用フィルムミラーの構成概要
本発明のフィルムミラーは、光入射側から順に、紫外線吸収剤入り透光性樹脂層6と、光反射層としての銀反射層3と、樹脂フィルム状の樹脂基材1と、粘着層8とを少なくとも有している。なお、これらの層の間に他の層を介していてもよいし、それぞれの層が隣接していてもよい。粘着層8と銀反射層3が接していないため、粘着層8と銀反射層3の界面から汚染物質が侵入し、銀反射層3が腐食して反射率が低下してしまうという問題を防止できる。また、粘着層8と銀反射層3が接していると、粘着層8の凹凸が銀反射層3に直接反映されてしまい、銀反射層3で散乱が発生し、光反射性が低下してしまうが、粘着層8と銀反射層3の間に樹脂基材1を設けているため、粘着層8の凹凸が銀反射層3に反映されることがなくなり、平面性の高い銀反射層3を得ることができ、高い反射性能を得ることが可能となる。
(1)太陽熱発電用フィルムミラーの構成概要
本発明のフィルムミラーは、光入射側から順に、紫外線吸収剤入り透光性樹脂層6と、光反射層としての銀反射層3と、樹脂フィルム状の樹脂基材1と、粘着層8とを少なくとも有している。なお、これらの層の間に他の層を介していてもよいし、それぞれの層が隣接していてもよい。粘着層8と銀反射層3が接していないため、粘着層8と銀反射層3の界面から汚染物質が侵入し、銀反射層3が腐食して反射率が低下してしまうという問題を防止できる。また、粘着層8と銀反射層3が接していると、粘着層8の凹凸が銀反射層3に直接反映されてしまい、銀反射層3で散乱が発生し、光反射性が低下してしまうが、粘着層8と銀反射層3の間に樹脂基材1を設けているため、粘着層8の凹凸が銀反射層3に反映されることがなくなり、平面性の高い銀反射層3を得ることができ、高い反射性能を得ることが可能となる。
尚、本発明のフィルムミラーにおける紫外線吸収剤入り透光性樹脂層6は、銀反射層3の上面や、銀反射層3上に設けられた他の構成層の上面に、接着層を介さずに積層されていることが好ましい。接着層(11)を介して層を貼り合わせる必要がなくなるため、層間に気泡や異物が混入せず、光反射性の低下を防止できる。また、透光性樹脂層6を塗布により設けることが可能となるため、溶融製膜による透光性樹脂フィルムを貼り合わせる必要がなくなり、溶融製膜などに起因する表面凹凸による反射光の散乱といった問題も防止できる。
例えば、本発明のフィルムミラーの層構成としては、紫外線吸収剤入り透光性樹脂層6と銀反射層3が隣接したもの(図1参照)、紫外線吸収剤入り透光性樹脂層6と銀反射層3の間に腐食防止層4が設けられたもの(図2、図3参照)、紫外線吸収剤入り透光性樹脂層6と銀反射層3の間にガスバリアー層5と腐食防止層4が設けられたもの(図4参照)などが好ましい。
また、上記した各構成層の間や、構成層上に、更に別の構成層を設けてもよい。
例えば、樹脂基材1と銀反射層3の間にアンカー層2を設けてもよい。(図1、図2、図3、図4参照)
例えば、銀反射層3の光入射側に隣接して腐食防止層4を設けてもよい。(図2、図3、図4参照)
例えば、銀反射層3よりも光入射側に、ガスバリアー層5を設けてもよい。(図4参照)
例えば、紫外線吸収剤入り透光性樹脂層6の光入射側の面に、ハードコート層7を設けてもよい。(図3、図4参照)
そして、本発明に係るフィルムミラー全体の厚さは、撓み防止、正反射率、取り扱い性等の観点から80〜300μmが好ましく、より好ましくは80〜200μm、更に好ましくは80〜170μmである。また、フィルムミラーの光入射側の最表面層の中心線平均粗さ(Ra)が、3nm以上20nm以下であることが、反射光の散乱を防止でき集光効率を高めるという観点から好ましい。
例えば、銀反射層3の光入射側に隣接して腐食防止層4を設けてもよい。(図2、図3、図4参照)
例えば、銀反射層3よりも光入射側に、ガスバリアー層5を設けてもよい。(図4参照)
例えば、紫外線吸収剤入り透光性樹脂層6の光入射側の面に、ハードコート層7を設けてもよい。(図3、図4参照)
そして、本発明に係るフィルムミラー全体の厚さは、撓み防止、正反射率、取り扱い性等の観点から80〜300μmが好ましく、より好ましくは80〜200μm、更に好ましくは80〜170μmである。また、フィルムミラーの光入射側の最表面層の中心線平均粗さ(Ra)が、3nm以上20nm以下であることが、反射光の散乱を防止でき集光効率を高めるという観点から好ましい。
ここで、太陽熱発電用のフィルムミラーの好ましい層構成の一例について、図1Aから図4Aを用いて説明する。また、太陽熱発電用反射装置の概要を、図1Bから図4Bを用いて説明する。
フィルムミラー10aは、図1Aに示すように、樹脂基材1上にアンカー層2、銀反射層3、透光性樹脂層6が順に積層されて設けられている。また、樹脂基材1における光入射側の反対面に粘着層8が設けられている。
太陽熱発電用反射装置20aは、図1Bに示すように、フィルムミラー10aにおける粘着層8を支持基材9に接合し、フィルムミラー10aと支持基材9を貼り合わせてなる反射鏡である。
フィルムミラー10bは、図2Aに示すように、樹脂基材1上にアンカー層2、銀反射層3、腐食防止層4、透光性樹脂層6が順に積層されて設けられている。また、樹脂基材1における光入射側の反対面に粘着層8が設けられている。
太陽熱発電用反射装置20bは、図2Bに示すように、フィルムミラー10bにおける粘着層8を支持基材9に接合し、フィルムミラー10bと支持基材9を貼り合わせてなる反射鏡である。
フィルムミラー10cは、図3Aに示すように、樹脂基材1上にアンカー層2、銀反射層3、腐食防止層4、透光性樹脂層6、ハードコート層7が順に積層されて設けられている。また、樹脂基材1における光入射側の反対面に粘着層8が設けられている。
太陽熱発電用反射装置20cは、図3Bに示すように、フィルムミラー10cにおける粘着層8を支持基材9に接合し、フィルムミラー10cと支持基材9を貼り合わせてなる反射鏡である。
フィルムミラー10dは、図4Aに示すように、樹脂基材1上にアンカー層2、銀反射層3、腐食防止層4、ガスバリアー層5、透光性樹脂層6、ハードコート層7が順に積層されて設けられている。また、樹脂基材1における光入射側の反対面に粘着層8が設けられている。
太陽熱発電用反射装置20dは、図4Bに示すように、フィルムミラー10dにおける粘着層8を支持基材9に接合し、フィルムミラー10dと支持基材9を貼り合わせてなる反射鏡である。
以下、各構成層の詳細について記載する。
(2)透光性樹脂層
透光性樹脂層6は、光透過性を有する樹脂材料からなり、紫外線吸収剤を含有している樹脂層である。
(2)透光性樹脂層
透光性樹脂層6は、光透過性を有する樹脂材料からなり、紫外線吸収剤を含有している樹脂層である。
透光性樹脂層6に用いる樹脂材料には特に制限はないが、薄膜を形成した際に透明性を維持しうる、従来公知の種々の合成樹脂を用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、及びセルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン類、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
この透光性樹脂層6の形成方法としては、例えば塗布による方法を挙げることができる。塗布方式で透光性樹脂層6となる塗膜を塗設する場合には、従来用いられる種々の塗布方法、例えば、スプレーコート、スピンコート、バーコート等の方法を用いることができる。
そして、銀反射層3の光入射側の面上、または銀反射層3よりも光入射側に設けられた構成層(例えば、腐食防止層4、ガスバリアー層5)の面上に、透光性樹脂層6となる材料を直接塗布することによって、透光性樹脂層6を形成することができる。
こうした塗布方式で透光性樹脂層6を形成することによって、透光性樹脂層6の平滑性を高めることができる。具体的には、塗布方式で形成した透光性樹脂層6の中心線平均粗さ(Ra)は、3nm以上20nm以下にすることができる。換言すれば、中心線平均粗さがこの値を満たせば、溶融製膜によって製造された透光性樹脂フィルムを接着剤層で貼り合わせて設けられた透光性樹脂層ではなく、その透光性樹脂層6が塗布によって設けられたものとみなすことができる。
この透光性樹脂層6の厚さは、10〜150μmであることが好ましい。より好ましくは、20〜100μmであり、更に好ましくは、40〜100μmである。膜厚が150μmを超えると、乾燥の際に溶剤を十分に蒸発させるためには塗布速度を大幅に下げなければならず、生産性が著しく損なわれるために、好ましくない。
なお、透光性樹脂層6の平滑性の指標となる中心線平均粗さ(Ra)は、JIS B0601−1982に基づく測定方法により求めることができる。
なお、透光性樹脂層6の平滑性の指標となる中心線平均粗さ(Ra)は、JIS B0601−1982に基づく測定方法により求めることができる。
透光性樹脂層6を形成する材料として、上記例示した樹脂材料の中では、アクリルを好適に用いることができる。
透光性樹脂層6をアクリルで形成する場合、アクリル樹脂は固いので、柔らかくて破損しにくいアクリル製の透光性樹脂層6を得るため、可塑剤の微粒子を含有させてもよい。可塑剤の好ましい一例としては、例えば、ブチルゴムやブチルアクリレートなどが挙げられる。
アクリル製の透光性樹脂層6は、メタクリル樹脂を主成分としていることが好ましい。メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステル50質量%以上とこれ以外の単量体50質量%以下との共重合体であってもよい。ここで、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸のアルキルエステルが用いられる。特に好ましく用いられるメタクリル樹脂は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)である。
メタクリル樹脂の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸エステルが50〜100質量%、アクリル酸エステルが0〜50質量%、これら以外の単量体が0〜49質量%であり、より好ましくは、メタクリル酸エステルが50〜99.9質量%、アクリル酸エステルが0.1〜50質量%、これら以外の単量体が0〜49質量%である。
ここで、メタクリル酸アルキルの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、アクリル酸アルキルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
また、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単量体は、単官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する化合物であってもよいし、多官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物であってもよいが、単官能単量体が好ましく用いられる。そして、この単官能単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族アルケニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルの如きアルケニルシアン化合物などが挙げられる。また、多官能単量体の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートの如き多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリルの如き不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートの如き多塩基酸のポリアルケニルエステル、ジビニルベンゼンの如き芳香族ポリアルケニル化合物などが挙げられる。
なお、上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
メタクリル樹脂は、フィルムの耐熱性の点から、そのガラス転移温度が40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。このガラス転移温度は、単量体の種類やその割合を調整することにより、適宜設定することができる。
メタクリル樹脂は、その単量体成分を、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの方法により重合させることにより調製することができる。その際、好適なガラス転移温度を得るため、又は好適なフィルムへの成形性を示す粘度を得るため、重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤の量は、単量体の種類やその割合などに応じて、適宜決定すればよい。
(2−1)紫外線吸収剤
透光性樹脂層6に含まれる紫外線吸収剤には、特に制限はないが、例えばチアゾリドン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系、ベンゾフェノン系、アミノブタジエン系、トリアジン系、サリチル酸フェニル系、ベンゾエート系などの有機系の紫外線吸収剤、あるいは酸化セリウム、酸化マグネシウムなどの微粉末系の紫外線遮断剤や酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等などがあり、特に有機系の紫外線吸収剤が好ましい。
(2−1)紫外線吸収剤
透光性樹脂層6に含まれる紫外線吸収剤には、特に制限はないが、例えばチアゾリドン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系、ベンゾフェノン系、アミノブタジエン系、トリアジン系、サリチル酸フェニル系、ベンゾエート系などの有機系の紫外線吸収剤、あるいは酸化セリウム、酸化マグネシウムなどの微粉末系の紫外線遮断剤や酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等などがあり、特に有機系の紫外線吸収剤が好ましい。
有機系紫外線吸収剤として、例えば特開昭46−3335号、同55−152776号、特開平5−197074号、同5−232630号、同5−307232号、同6−211813号、同8−53427号、同8−234364号、同8−239368号、同9−31067号、同10−115898号、同10−147577号、同10−182621号各公報、独国特許第19739797A号、欧州特許第711804A号各公報及び特表平8−501291号公報、米国特許第1,023,859号、同第2,685,512号、同第2,739,888号、同第2,784,087号、同第2,748,021号、同第3,004,896号、同第3,052,636号、同第3,215,530号、同第3,253,921号、同第3,533,794号、同第3,692,525号、同第3,705,805号、同第3,707,375号、同第3,738,837号、同第3,754,919号、英国特許第1,321,355号明細書等に記載されている化合物を用いることができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659;市販品の例としては株式会社ADEKAのLA31)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(分子量447.6;市販品の例としてはチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社のチヌビン234)などが挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤としては、フェニルサルチレート、2−4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。ヒンダードアミン系紫外線吸収剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、〔2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシフェノール〕(チヌビン1577FF、商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)、〔2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール〕(CYASORB UV−1164、商品名、サイテックインダストリーズ製)等が挙げられる。
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(分子量438.7;市販品の例としては住友化学株式会社のSumisorb400)などが挙げられる。
これら紫外線吸収剤のなかでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、高沸点で揮発しにくく、高温成形時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に耐候性を改良することができる。
また、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、薄い透光性樹脂層6から他の構成層への移行性も小さく、積層体の表面にも析出しにくいため、含有された紫外線吸収剤量が長時間維持され、耐候性改良効果の持続性に優れるなどの点から好ましい。
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、さらには2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が特に好ましい。
また、紫外線吸収剤としては上記した以外に、紫外線の保有するエネルギーを分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを熱エネルギー等として放出する機能を有する化合物を用いることもできる。さらに、酸化防止剤あるいは着色剤等との併用により効果を発現するもの、あるいはクエンチャーと呼ばれる、光エネルギー変換剤的に作用する光安定剤等も併用することができる。但し、上記の紫外線吸収剤を使用する場合は、紫外線吸収剤の光吸収波長が、光重合開始剤の有効波長と重ならないものを選択する必要がある。通常の紫外線吸収剤を使用する場合は、可視光でラジカルを発生する光重合開始剤を使用することが有効である。
なお、上記紫外線吸収剤はそれぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。また、必要により、上記紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤、例えば、サリチル酸誘導体、置換アクリロニトリル、ニッケル錯体などを含有させることもできる。
透光性樹脂層6への紫外線吸収剤の含有量は、0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。また、紫外線吸収剤の透光性樹脂層6への含有量は、フィルム単位面積当たりの含有量が0.17〜2.28g/m2で、より好ましくは単位面積当たりの含有量が0.4〜2.28g/m2以上である。含有量を上記の範囲にすることによって、耐候性能を十分発揮しつつ、紫外線吸収剤のブリードアウトによるロールやフィルムの汚れを起こすことを防止できる。
(2−2)酸化防止剤
紫外線吸収剤入り透光性樹脂層6の劣化を防止するために、透光性樹脂層6に酸化防止剤を含有させてもよい。好ましい酸化防止剤の例を以下に挙げる。
(2−2)酸化防止剤
紫外線吸収剤入り透光性樹脂層6の劣化を防止するために、透光性樹脂層6に酸化防止剤を含有させてもよい。好ましい酸化防止剤の例を以下に挙げる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤を使用することが好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス−〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−2,4,8,10−テトラオキオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。特に、フェノール系酸化防止剤としては、分子量が550以上のものが好ましい。
チオール系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)等を挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4′−ビフェニレン−ジホスホナイト、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
なお、本発明においては、上記した酸化防止剤と下記の光安定剤を併用することもできる。
ヒンダードアミン系の光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1−メチル−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、トリエチレンジアミン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン等が挙げられる。
特に、ヒンダードアミン系の光安定剤としては、3級のアミンのみを含有するヒンダードアミン系の光安定剤が好ましく、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、または1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール/トリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との縮合物が好ましい。
その他、光安定剤としてニッケル系紫外線安定剤も使用可能である。ニッケル系紫外線安定剤としては、〔2,2′−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)〕−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチル−ジチオカーバメート等が挙げられる。
また、透光性樹脂層6に帯電防止剤を加えて、帯電防止性能を付与することも可能である。
また、透光性樹脂層6にリン系難燃剤を加えてもよい。ここで用いられるリン系難燃剤としては、赤リン、トリアリールリン酸エステル、ジアリールリン酸エステル、モノアリールリン酸エステル、アリールホスホン酸化合物、アリールホスフィンオキシド化合物、縮合アリールリン酸エステル、ハロゲン化アルキルリン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合ホスホン酸エステル、含ハロゲン亜リン酸エステル等から選ばれる1種、あるいは2種以上の混合物を挙げることができる。
具体的な例としては、トリフェニルホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシド、フェニルホスホン酸、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等が挙げられる。
(3)腐食防止層
腐食防止層4は、腐食防止剤を含有している樹脂層であり、例えば、透光性樹脂層6と銀反射層3の間に設けられており、特に腐食防止層4は銀反射層3に隣接していることが好ましい。
(3)腐食防止層
腐食防止層4は、腐食防止剤を含有している樹脂層であり、例えば、透光性樹脂層6と銀反射層3の間に設けられており、特に腐食防止層4は銀反射層3に隣接していることが好ましい。
腐食防止層4は、1層のみからなっていてもよいし、複数層からなっていてもよい。腐食防止層4の厚さは、1〜10μmが好ましく、より好ましくは2〜8μmである。
腐食防止層4に用いる樹脂としては、例えば、セルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン系、ポリカーボネート、ノルボルネン系、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂等を挙げることができる。中でも、アクリル樹脂が好ましい。
これら樹脂材料(バインダー)を銀反射層3上などに塗布、塗工するなどして、腐食防止層4を形成することができる。
(3−1)腐食防止剤
腐食防止剤としては、銀に対する吸着性基を有することが好ましい。ここで、「腐食」とは、金属(銀)がそれをとり囲む環境物質によって、化学的または電気化学的に浸食されるか若しくは材質的に劣化する現象をいう(JIS Z0103−2004参照)。
(3−1)腐食防止剤
腐食防止剤としては、銀に対する吸着性基を有することが好ましい。ここで、「腐食」とは、金属(銀)がそれをとり囲む環境物質によって、化学的または電気化学的に浸食されるか若しくは材質的に劣化する現象をいう(JIS Z0103−2004参照)。
なお、腐食防止剤の含有量は、使用する化合物によって最適量は異なるが、一般的には0.1〜1.0/m2の範囲内であることが好ましい。
銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤としては、アミン類およびその誘導体、ピロール環を有する化合物、ベンゾトリアゾール等トリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、銅キレート化合物類、チオ尿素類、メルカプト基を有する化合物、ナフタレン系の少なくとも一種またはこれらの混合物から選ばれることが望ましい。ベンゾトリアゾール等の化合物においては、紫外線吸収剤が腐食防止剤を兼ねる場合もある。また、シリコーン変性樹脂を用いることも可能である。シリコーン変性樹脂として特に限定されない。
アミン類およびその誘導体としては、エチルアミン、ラウリルアミン、トリ−n−ブチルアミン、O−トルイジン、ジフェニルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、アセトアミド、アクリルアミド、ベンズアミド、p−エトキシクリソイジン、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムサリシレート、モノエタノールアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンカーバメイト、ニトロナフタレンアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレート、シクロヘキシルアミンシクロヘキサンカルボキシレート、ジシクロヘキシルアンモニウムアクリレート、シクロヘキシルアミンアクリレート等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピロール環を有する物としては、N−ブチル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−3−ホルミル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−3,4−ジホルミル−2,5−ジメチルピロール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
トリアゾール環を有する化合物としては、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−メチル−1,2,3−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4,5,6,7−テトラハイドロトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659;市販品の例としては株式会社ADEKAのLA31)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(分子量447.6;市販品の例としてはチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社のチヌビン234)などが挙げられる。あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピラゾール環を有する化合物としては、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリジン、ピラゾリドン、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、4−アミノピラゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チアゾール環を有する化合物としては、チアゾール、チアゾリン、チアゾロン、チアゾリジン、チアゾリドン、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、P−ジメチルアミノベンザルロダニン、2−メルカプトベンゾチアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
イミダゾール環を有する化合物としては、イミダゾール、ヒスチジン、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、4−フォルミルイミダゾール、2−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−フォルミルイミダゾール、4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
インダゾール環を有する化合物としては、4−クロロインダゾール、4−ニトロインダゾール、5−ニトロインダゾール、4−クロロ−5−ニトロインダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
銅キレート化合物類としては、アセチルアセトン銅、エチレンジアミン銅、フタロシアニン銅、エチレンジアミンテトラアセテート銅、ヒドロキシキノリン銅等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チオ尿素類としては、チオ尿素、グアニルチオ尿素等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
メルカプト基を有する化合物としては、すでに上記に記載した材料も加えれば、メルカプト酢酸、チオフェノール、1,2−エタンジオール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、グリコールジメルカプトアセテート、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ナフタレン系としては、チオナリド等が挙げられる。
(4)光反射層
光反射層は、太陽光を反射する機能を有する金属等からなる層である。
(4)光反射層
光反射層は、太陽光を反射する機能を有する金属等からなる層である。
光反射層の表面反射率は好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。この光反射層は、Al、Ag、Cr、Cu、Ni、Ti、Mg、Rh、Pt及びAuからなる元素群の中から選ばれるいずれかの元素を含む材料により形成されることが好ましい。中でも、反射率、耐食性の観点からAlまたはAgを主成分としていることが好ましく、このような金属の薄膜を二層以上形成するようにしてもよい。本発明においては、特に銀を主成分とする光反射層としている。
光反射層の厚さは、反射率等の観点から、10〜200nmが好ましく、より好ましくは30〜150nmである。
また、光反射層にSiO2、TiO2等の金属酸化物からなる層を設けてさらに反射率を向上させてもよい。
この光反射層の形成法としては、湿式法及び乾式法のどちらも使用することができる。湿式法とは、めっき法の総称であり、溶液から金属を析出させ膜を形成する方法である。具体例をあげるとすれば、銀鏡反応などがある。一方、乾式法とは、真空製膜法の総称であり、具体的に例示するとすれば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。とりわけ、本発明には連続的に製膜するロールツーロール方式が可能な蒸着法が好ましく用いられる。例えば、太陽熱発電用フィルムミラーの製造方法において、銀反射層3を銀蒸着によって形成する製造方法であることが好ましい。
(4−1)気化・脱離しうる配位子を有する銀錯体化合物
また、銀反射層3を形成する際に、配位子が気化・脱離しうる銀錯体化合物を含有する塗布膜を加熱焼成することにより銀反射層3を形成するようにしてもよい。
(4−1)気化・脱離しうる配位子を有する銀錯体化合物
また、銀反射層3を形成する際に、配位子が気化・脱離しうる銀錯体化合物を含有する塗布膜を加熱焼成することにより銀反射層3を形成するようにしてもよい。
「気化・脱離しうる配位子を有する銀錯体化合物」とは、溶液中では銀が安定に溶解するための配位子を有するが、溶媒を除去し、加熱焼成することによって、配位子が熱分解し、CO2や低分子量のアミン化合物となり、気化・脱離し、金属銀のみが残存することのできる銀錯体化合物のことをいう。
このような錯体の例は、公知である特表2009−535661号、特表2010−500475号各公報等に記載されており、下記の一般式(1)で表される銀化合物と、一般式(2)〜(4)で表されるアンモニウムカルバメート系化合物、アンモニウムカーボネート系化合物又はアンモニウムバイカーボネート系化合物とを反応して得られる銀錯体化合物であることが好ましい。
また、銀錯体化合物は銀コーティング液組成物に含有され、これを塗布することによりフィルムミラーとなる支持体上に本発明に係る錯体を含有する塗布膜が形成される。すなわち、銀錯体化合物を用いてフィルム上に塗布膜を形成した後に、塗布膜を80〜250℃の範囲内の温度において加熱焼成することにより銀反射層3を形成することが好ましい。更に好ましくは100〜220の範囲内、特に好ましくは120〜200℃の範囲内である。加熱焼成手段としては、特に制限は無く、一般的に用いられる加熱手段はどんなものでも適用できる。
以下、下記の一般式(1)で表される銀化合物と、一般式(2)〜(4)で表されるアンモニウムカルバメート系化合物、アンモニウムカーボネート系化合物又はアンモニウムバイカーボネート系化合物等について説明をする。
上記した一般式(1)〜(4)において、Xは、酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアネート、カーボネート、ニトレート、ニトライト、サルフェート、ホスフェート、チオシアネート、クロレート、パークロレート、テトラフルオロボレート、アセチルアセトネート、カルボキシレート、及びこれらの誘導体から選択される置換基であり、nは、1〜4の整数であって、R1〜R6は、互いに独立して、水素、C1〜C30の脂肪族や脂環族アルキル基、アリール基又はアラルキル(aralkyl)基、官能基が置換されたアルキル及びアリール基、ヘテロ環化合物基と高分子化合物及びその誘導体から選択される置換基である。
一般式(1)の具体例としては、例えば、酸化銀、チオシアネート化銀、硫化銀、塩化銀、シアン化銀、シアネート化銀、炭酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、燐酸銀、過塩素酸銀、四フッ素ボレート化銀、アセチルアセトネート化銀、酢酸銀、乳酸銀、シュウ酸銀及びその誘導体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、一般式(2)〜(4)において、R1〜R6は、具体的に例えば、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、ヘキシル、エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール、ヒドロキシ、メトキシ、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、メトキシプロピル、シアノエチル、エトキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、ヘキサメチレンイミン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン、カルボキシメチル、トリメトキシシリルプロピル、トリエトキシシリルプロピル、フェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、フェノキシ、トリル、ベンジル及びその誘導体、そしてポリアリールアミンやポリエチレンアミンのような高分子化合物及びこれらの誘導体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
一般式(2)〜(4)の化合物例としては、例えば、アンモニウムカルバメート(ammonium carbamate)、アンモニウムカーボネート(ammoniumcarbonate)、アンモニウムバイカーボネート(ammonium bicarbonate)、エチルアンモニウム エチルカルバメート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメート、n−ブチルアンモニウム n−ブチルカルバメート、イソブチルアンモニウム イソブチルカルバメート、t−ブチルアンモニウム t−ブチルカルバメート、2−エチルヘキシルアンモニウム 2−エチルヘキシルカルバメート、オクタデシルアンモニウム オクタデシルカルバメート、2−メトキシエチルアンモニウム 2−メトキシエチルカルバメート、2−シアノエチルアンモニウム 2−シアノエチルカルバメート、ジブチルアンモニウム ジブチルカルバメート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカルバメート、メチルデシルアンモニウム メチルデシルカルバメート、ヘキサメチレンイミンアンモニウム ヘキサメチレンイミンカルバメート、モルホリニウム モルホリンカルバメート、ピリジウムエチルヘキシルカルバメート、トリエチレンジアミニウム イソプロピルバイカルバメート、ベンジルアンモニウム ベンジルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウム トリエトキシシリルプロピルカルバメート、エチルアンモニウム エチルカーボネート、イソプロピルアンモニウム イソプロピルカーボネート、イソプロピルアンモニウム バイカーボネート、n−ブチルアンモニウム n−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウム イソブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウム t−ブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウム バイカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム 2−エチルヘキシルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム バイカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム 2−メトキシエチルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム バイカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム 2−シアノエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム バイカーボネート、オクタデシルアンモニウム オクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウム ジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウム ジオクタデシルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウム バイカーボネート、メチルデシルアンモニウム メチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミンアンモニウム ヘキサメチレンイミンカーボネート、モルホリンアンモニウム モルホリンカーボネート、ベンジルアンモニウム ベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウム トリエトキシシリルプロピルカーボネート、ピリジウム バイカーボネート、トリエチレンジアミニウム イソプロピルカーボネート、トリエチレンジアミニウム バイカーボネート、及びその誘導体から選択される一種又は二種以上の混合物などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
一方、上記のアンモニウムカルバメート系化合物、アンモニウムカーボネート系化合物又はアンモニウムバイカーボネート系化合物の種類及び製造方法は、特に制限する必要はない。例えば、米国特許第4,542,214号では、第1アミン、第2アミン、第3アミン、又は少なくとも1つ以上のこれらの混合物と二酸化炭素からアンモニウムカルバメート系化合物が製造できると記述しており、前記アミン1モル当り水0.5モルをさらに添加すると、アンモニウムカーボネート系化合物が得られて、水1モル以上を添加する場合は、アンモニウムバイカーボネート系化合物を得ることができる。この際、常圧又は加圧状態で特別な溶媒を使用せずに直接製造するか、溶媒を使用する場合、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテートのようなアセテート類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系、ベンゼン、トルエンのような芳香族、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、カーボンテトラクロライドのようなハロゲン置換溶媒又はこれらの混合溶媒などが挙げられて、二酸化炭素は、気相状態でバブリング(bubbling)するか、固体相ドライアイスを使用することができて、超臨界(supercritical)状態でも反応することができる。アンモニウムカルバメート又はアンモニウムカーボネート誘導体の製造には、上記の方法の他にも、最終物質の構造が同一であれば、公知のいかなる方法を使用してもよい。即ち、製造のための溶媒、反応温度、濃度又は触媒などを特に限定する必要はなく、製造収率にも影響しない。
このように製造されたアンモニウムカルバメート系化合物、アンモニウムカーボネート系化合物又はアンモニウムバイカーボネート系化合物と銀化合物とを反応して、有機銀錯体化合物を製造することができる。例えば、一般式(1)に示したような少なくとも一つ以上の銀化合物と、一般式(2)〜(4)に示したような少なくとも一つ以上のアンモニウムカルバメート、アンモニウムカーボネート又はアンモニウムバイカーボネート系化合物及びこれらの混合物を、窒素雰囲気の常圧又は加圧状態で、溶媒を使用せずに直接反応するか、溶媒を使用する場合、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテートのようなアセテート類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系、ベンゼン、トルエンのような芳香族、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、カーボンテトラクロライドのようなハロゲン置換溶媒又はこれらの混合溶媒などを使用することができる。
このような銀錯体化合物(気化・脱離しうる配位子を有する銀錯体化合物)の製造には、上記の方法の他に、一般式(1)の銀化合物と一つ以上のアミン化合物とが混合された溶液を製造した後、二酸化炭素を反応して、銀錯体化合物を製造することもできる。上記のように、窒素雰囲気の常圧又は加圧状態で、溶媒を使用せずに直接反応するか、溶媒を使用して反応することができる。しかしながら、最終物質の構造が同一であれば、公知の如何なる方法を使用してもよい。即ち、製造のための溶媒、反応温度、濃度又は触媒の使用有無などを特に限定する必要はなく、製造収率にも影響しない。
このような銀錯体化合物は、特表2008−530001号公報にその製造方法が記載されており、下記の一般式(5)の構造で認識される。
Ag[A]m ・・・(5)
(一般式(5)において、Aは、一般式(2)〜(4)の化合物であり、mは、0.5〜1.5である。)
銀反射層3に高反射、高光沢の反射面を形成するために使用される銀コーティング液組成物は、上記の銀錯体化合物を含有し、必要に応じて、溶媒、安定剤、レベリング剤(Leveling agent)、薄膜補助剤、還元剤、熱分解反応促進剤等の添加剤を含むことができる。
(一般式(5)において、Aは、一般式(2)〜(4)の化合物であり、mは、0.5〜1.5である。)
銀反射層3に高反射、高光沢の反射面を形成するために使用される銀コーティング液組成物は、上記の銀錯体化合物を含有し、必要に応じて、溶媒、安定剤、レベリング剤(Leveling agent)、薄膜補助剤、還元剤、熱分解反応促進剤等の添加剤を含むことができる。
上記の安定剤としては例えば、第1アミン、第2アミン又は第3アミンのようなアミン化合物や、アンモニウムカルバメート、アンモニウムカーボネート、アンモニウムバイカーボネート系化合物、又はホスフィン(phosphine)、ホスファイ(phosphite)、ホスフェート(phosphate)のようなリン化合物、チオール(thiol)やスルフィド(sulfide)のような硫黄化合物と、少なくとも一つ以上のこれらの混合物が挙げられ、アミン化合物としては、具体的に例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、イソアミルアミン、n−ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、イソオクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ドコデシルアミン、シクロプロピルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、アリールアミン、ヒドロキシアミン、アンモニウムヒドロキシド、メトキシアミン、2−エタノールアミン、メトキシエチルアミン、2−ヒドロキシプロピルアミン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルアミン、メトキシプロピルアミン、シアノエチルアミン、エトキシアミン、n−ブトキシアミン、2−ヘキシルオキシアミン、メトキシエトキシエチルアミン、メトキシエトキシエトキシエチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、ジエタノールアミン、ヘキサメチレンイミン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、2,2−(エチレンジオキシ)ビスエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタル、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アニリン、アニシジン、アミノベンゾニトリル、ベンジルアミン及びその誘導体、そしてポリアリールアミンやポリエチレンイミンのような高分子化合物及びその誘導体などのようなアミン化合物が挙げられる。
アンモニウムカルバメート、カーボネート、バイカーボネート系化合物として具体的に例えば、アンモニウムカルバメート(ammonium carbamate)、アンモニウムカーボネート(ammonium carbonate)、アンモニウムバイカーボネート(ammonium bicarbonate)、エチルアンモニウム エチルカルバメート、イソプロピルアンモニウム イソプロピルカルバメート、n−ブチルアンモニウム n−ブチルカルバメート、イソブチルアンモニウム イソブチルカルバメート、t−ブチルアンモニウム t−ブチルカルバメート、2−エチルヘキシルアンモニウム
2−エチルヘキシルカルバメート、オクタデシルアンモニウム オクタデシルカルバメート、2−メトキシエチルアンモニウム 2−メトキシエチルカルバメート、2−シアノエチルアンモニウム 2−シアノエチルカルバメート、ジブチルアンモニウム ジブチルカルバメート、ジオクタデシルアンモニウム ジオクタデシルカルバメート、メチルデシルアンモニウム メチルデシルカルバメート、ヘキサメチレンイミンアンモニウム ヘキサメチレンイミンカルバメート、モルホリニウム モルホリンカルバメート、ピリジウムエチルヘキシルカルバメート、トリエチレンジアミニウム イソプロピルバイカルバメート、ベンジルアンモニウム ベンジルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウム トリエトキシシリルプロピルカルバメート、エチルアンモニウム エチルカーボネート、イソプロピルアンモニウム イソプロピルカーボネート、イソプロピルアンモニウム バイカーボネート、n−ブチルアンモニウム n−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウム イソブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウム t−ブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウム バイカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム
2−エチルヘキシルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム バイカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム 2−メトキシエチルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム バイカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム 2−シアノエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム バイカーボネート、オクタデシルアンモニウム オクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウム ジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウム ジオクタデシルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウム バイカーボネート、メチルデシルアンモニウム メチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミンアンモニウム ヘキサメチレンイミンカーボネート、モルホリンアンモニウム モルホリンカーボネート、ベンジルアンモニウム ベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウム トリエトキシシリルプロピルカーボネート、ピリジウム バイカーボネート、トリエチレンジアミニウム イソプロピルカーボネート、トリエチレンジアミニウム バイカーボネート、及びその誘導体などが挙げられる。
2−エチルヘキシルカルバメート、オクタデシルアンモニウム オクタデシルカルバメート、2−メトキシエチルアンモニウム 2−メトキシエチルカルバメート、2−シアノエチルアンモニウム 2−シアノエチルカルバメート、ジブチルアンモニウム ジブチルカルバメート、ジオクタデシルアンモニウム ジオクタデシルカルバメート、メチルデシルアンモニウム メチルデシルカルバメート、ヘキサメチレンイミンアンモニウム ヘキサメチレンイミンカルバメート、モルホリニウム モルホリンカルバメート、ピリジウムエチルヘキシルカルバメート、トリエチレンジアミニウム イソプロピルバイカルバメート、ベンジルアンモニウム ベンジルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウム トリエトキシシリルプロピルカルバメート、エチルアンモニウム エチルカーボネート、イソプロピルアンモニウム イソプロピルカーボネート、イソプロピルアンモニウム バイカーボネート、n−ブチルアンモニウム n−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウム イソブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウム t−ブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウム バイカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム
2−エチルヘキシルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム バイカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム 2−メトキシエチルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム バイカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム 2−シアノエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム バイカーボネート、オクタデシルアンモニウム オクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウム ジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウム ジオクタデシルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウム バイカーボネート、メチルデシルアンモニウム メチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミンアンモニウム ヘキサメチレンイミンカーボネート、モルホリンアンモニウム モルホリンカーボネート、ベンジルアンモニウム ベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウム トリエトキシシリルプロピルカーボネート、ピリジウム バイカーボネート、トリエチレンジアミニウム イソプロピルカーボネート、トリエチレンジアミニウム バイカーボネート、及びその誘導体などが挙げられる。
また、リン化合物としては、一般式R3P、(RO)3P又は(RO)3POで表されるリン化合物で挙げられる。ここでRは、炭素数1〜20のアルキル又はアリール基を示し、具体的に例えば、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、ジベンジルホスフェート、トリエチルホスフェートなどが挙げられる。
そして、硫黄化合物として、具体的に例えば、ブタンチオール、n−ヘキサンチオール、ジエチルスルフィド、テトラヒドロチオフェン、アリールジスルフィド、2−メルカプトベンゾアゾール、テトラヒドロチオフェン、オクチルチオグリコレートなどが挙げられる。
このような安定剤の使用量は、特に制限する必要はない。しかしながら、その含量は、銀化合物に対し、モル比で0.1%〜90%が好ましい。
また、薄膜補助剤としては、有機酸及び有機酸誘導体、又は少なくとも一つ以上のこれらの混合物が挙げられる。具体的に例えば、酢酸、酪酸(Butyric acid)、吉草酸(Valeric acid)、ピバル酸(Pivalic acid)、ヘキサン酸、オクタン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ネオデカン酸(Neodecanoic acid)、ラウリン酸(Lauric acid)、ステアリン酸、ナフタル酸などの有機酸が挙げられ、有機酸誘導体としては、具体的に例えば、酢酸アンモニウム塩、クエン酸アンモニウム塩、ラウリン酸アンモニウム塩、乳酸アンモニウム塩、マレイン酸アンモニウム塩、シュウ酸アンモニウム塩、モリブデン酸アンモニウム塩などの有機酸アンモニウム塩と、Au、Cu、Zn、Ni、Co、Pd、Pt、Ti、V、Mn、Fe、Cr、Zr、Nb、Mo、W、Ru、Cd、Ta、Re、Os、Ir、Al、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Pb、Bi、Sm、Eu、Ac、Thなどのような金属を含有するシュウ酸マンガン、酢酸金、シュウ酸パラジウム、2−エチルヘキサン酸銀、オクタン酸銀、ネオデカン酸銀、ステアリン酸コバルト、ナフタル酸ニッケル、ナフタル酸コバルトなどの有機酸金属塩が挙げられる。前記薄膜補助剤の使用量は、特に限定されないが、銀錯体化合物に対して、モル比で0.1〜25%が好ましい。
また、還元剤としては、ルイス酸又は弱いブレンステッド酸(bronsted acid)が挙げられ、具体的に例えば、ヒドラジン、ヒドラジンモノハイドレート、アセトヒドラジド、水酸化ホウ素ナトリウム又は水酸化ホウ素カリウム、ジメチルアミンボラン、ブチルアミンボランのようなアミン化合物、第1塩化鉄、乳酸鉄のような金属塩、水素、ヨウ化水素、一酸化炭素、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキサールのようなアルデヒド化合物、ギ酸メチル、ギ酸ブチル、トリエチル−o−ギ酸のようなギ酸化合物、グルコース、アスコルビン酸、ヒドロキノンのような還元性有機化合物を少なくとも一つ以上含有するこれらの混合物を挙げることができる。
また、熱分解反応促進剤としては、具体的に例えば、エタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ヘキサノールアミン、ジメチルエタノールアミンのようなヒドロキシアルキルアミン類、ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピペラジン、N,N′−ジメチルピペラジン、1−アミノ−4メチルピペラジン、ピロリジン、N−メチルピロリジン、モルホリンのようなアミン化合物、アセトンオキシム、ジメチルグリオキシム、2−ブタノンオキシム、2,3−ブタジオンモノオキシムのようなアルキルオキシム類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールのようなグリコール類、メトキシエチルアミン、エトキシエチルアミン、メトキシプロピルアミンのようなアルコキシアルキルアミン類、メトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシエタノールのようなアルコキシアルカノール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、アセトール、ジアセトンアルコールのようなケトンアルコール類、多価フェノール化合物、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ピロール、エチレンジオキシチオフェン(EDOT)のような酸化重合性樹脂などが挙げられる。
なお、銀コーティング液組成物の粘度調節や円滑な薄膜形成のために溶媒が必要な場合があるが、この際使用できる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−メトキシプロパノール、ブタノール、エチルヘキシルアルコール、テルピネオールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、エチルアセテート、ブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテートのようなアセテート類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタン、ドデカン、パラフィンオイル、ミネラルスピリットのような炭化水素系、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、カーボンテトラクロライドのようなハロゲン置換溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、又はこれらの混合溶媒などを使用することができる。
(4−2)含窒素環状化合物
銀反射層3を形成する際に、配位子が気化・脱離しうる銀錯体化合物を含有する塗布膜を加熱焼成する工程を有する場合、銀反射層3に隣接する構成層に含窒素環状化合物を含有することが好ましい。銀に対する吸着性基を有する含窒素環状化合物は、銀反射層3の腐食防止剤として好ましく用いられる。
(4−2)含窒素環状化合物
銀反射層3を形成する際に、配位子が気化・脱離しうる銀錯体化合物を含有する塗布膜を加熱焼成する工程を有する場合、銀反射層3に隣接する構成層に含窒素環状化合物を含有することが好ましい。銀に対する吸着性基を有する含窒素環状化合物は、銀反射層3の腐食防止剤として好ましく用いられる。
銀に対する吸着性基を有する含窒素環状化合物を腐食防止剤として用いることで、銀反射層3に対する所望の腐食防止効果を得ることができる。例えば、腐食防止剤としての含窒素環状化合物は、ピロール環を有する化合物、トリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物の少なくとも一種又はこれらの混合物から選ばれることが望ましい。
ピロール環を有する化合物としては、N−ブチル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−3−ホルミル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−3,4−ジホルミル−2,5−ジメチルピロール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
トリアゾール環を有する化合物としては、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−メチル−1,2,3−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4,5,6,7−テトラハイドロトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピラゾール環を有する化合物としては、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリジン、ピラゾリドン、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、4−アミノピラゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
イミダゾール環を有する化合物としては、イミダゾール、ヒスチジン、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、4−フォルミルイミダゾール、2−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−フォルミルイミダゾール、4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
インダゾール環を有する化合物としては、4−クロロインダゾール、4−ニトロインダゾール、5−ニトロインダゾール、4−クロロ−5−ニトロインダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
(4−3)酸化防止剤
銀反射層3の腐食防止を目的とし、酸化防止剤を用いることができる。
(4−3)酸化防止剤
銀反射層3の腐食防止を目的とし、酸化防止剤を用いることができる。
銀反射層3の酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤及びホスファイト系酸化防止剤を使用することが好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス−〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−2,4,8,10−テトラオキオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。特に、フェノール系酸化防止剤としては、分子量が550以上のものが好ましい。
チオール系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)等が挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4′−ビフェニレン−ジホスホナイト、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
なお、上記の酸化防止剤と下記の光安定剤を併用することもできる。
ヒンダードアミン系の光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1−メチル−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、トリエチレンジアミン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン等が挙げられる。
その他ニッケル系紫外線安定剤として、〔2,2′−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)〕−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチル−ジチオカーバメート等も使用することが可能である。
特にヒンダードアミン系の光安定剤としては、3級のアミンのみを含有するヒンダードアミン系の光安定剤が好ましく、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、又は1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール/トリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との縮合物が好ましい。
(5)樹脂基材
樹脂基材1としては、従来公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネート系フィルム、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、及びセルロースエステル系フィルム、アクリルフィルムが好ましい。特にポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム又はアクリルフィルムを用いることが好ましく、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
(5)樹脂基材
樹脂基材1としては、従来公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネート系フィルム、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、及びセルロースエステル系フィルム、アクリルフィルムが好ましい。特にポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム又はアクリルフィルムを用いることが好ましく、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
樹脂基材1は、銀反射層3よりも光入射側から遠い位置にあるため、紫外線が樹脂基材1に到達しにくい。特に、樹脂基材1よりも光入射側にある透光性樹脂層6等に紫外線吸収剤を含有させたりする場合は、紫外線が樹脂基材1により一層到達しにくい。従って、樹脂基材1は、紫外線に対して劣化しやすい樹脂であっても用いることが可能となる。そのような観点から、樹脂基材1として、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムを用いることが可能となる。
この樹脂基材1の厚さは、樹脂の種類及び目的等に応じて適切な厚さにすることが好ましい。例えば、一般的には、10〜250μmの範囲内である。好ましくは20〜200μmである。
(6)粘着層
粘着層8は、フィルムミラーを支持基材9に貼り付けることを可能にする粘着性を有しており、この粘着層8によってフィルムミラーを支持基材9に接合して、太陽熱発電用反射装置を形成するための構成層である。
(6)粘着層
粘着層8は、フィルムミラーを支持基材9に貼り付けることを可能にする粘着性を有しており、この粘着層8によってフィルムミラーを支持基材9に接合して、太陽熱発電用反射装置を形成するための構成層である。
粘着層8としては、特に制限されず、例えば、ドライラミネート剤、ウエットラミネート剤、粘着剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤等のいずれもが用いられる。粘着剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトリルゴム等が用いられる。ラミネート法は、特に制限されず、例えば、ロール式で連続的に行うのが経済性及び生産性の点から好ましい。また、粘着層の厚さは、粘着効果、乾燥速度等の観点から、通常1〜100μm程度の範囲であることが好ましい。
なお、フィルムミラーは、粘着層8における樹脂基材1とは反対側の面を覆う剥離シート(図示省略)を備えていてもよい。フィルムミラーが剥離シートを有する場合、剥離シートを粘着層8から剥離した後に、粘着層8を介してフィルムミラーを支持基材9に貼り付けることができる。
(6−1)剥離シート
剥離シートは、フィルムミラーにおける粘着層8の光入射側とは反対側の面を覆う部材である。
(6−1)剥離シート
剥離シートは、フィルムミラーにおける粘着層8の光入射側とは反対側の面を覆う部材である。
例えば、フィルムミラーの出荷時には剥離シートが粘着層8に張り付いた状態であり、その後、剥離シートをフィルムミラーの粘着層8から剥離し、そのフィルムミラーを支持基材9に貼り合わせて太陽熱発電用反射装置を形成することができる。
剥離シートとしては、粘着層8の粘着性を保護することができるものであればよく、例えば、アクリルフィルム又はシート、ポリカーボネートフィルム又はシート、ポリアリレートフィルム又はシート、ポリエチレンナフタレートフィルム又はシート、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はシート、フッ素フィルムなどのプラスチックフィルム又はシート、又は酸化チタン、シリカ、アルミニウム粉、銅粉などを練り込んだ樹脂フィルム又はシート、これらを練り込んだ樹脂にコーティングを施したりアルミニウム等の金属を金属蒸着したりなどの表面加工を施した樹脂フィルム又はシートが用いられる。
剥離シートの厚さは、特に制限はないが通常12〜250μmの範囲であることが好ましい。
(7)ハードコート層
ハードコート層7は、フィルムミラー表面の傷つきや汚れの付着を防止する目的に設けられる。透明なハードコート層7は、光入射側の最外層、または光入射側から2層目又は3層目のいずれかであることが好ましい。ハードコート層7の上に更に薄い(1μm以下が好ましい)別の層を設けてもよい。
(7)ハードコート層
ハードコート層7は、フィルムミラー表面の傷つきや汚れの付着を防止する目的に設けられる。透明なハードコート層7は、光入射側の最外層、または光入射側から2層目又は3層目のいずれかであることが好ましい。ハードコート層7の上に更に薄い(1μm以下が好ましい)別の層を設けてもよい。
ハードコート層7の作製方法としては、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法を挙げることができる。また、所定の材料を塗布、塗工することに加え、各種表面処理等を組み合わせてもよい。
なお、ハードコート層7の厚みは、十分な耐傷性を得つつ、フィルムミラーにそりが発生することを防止するという観点から、0.05μm以上、10μm以下であることが好ましい。より好ましくは、1μm以上、10μm以下である。
ハードコート層7を形成する材料としては、透明性、耐候性、硬度、機械的強度等が得られるものであれば、特に限定されるものではない。ハードコート層7は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂などで構成することができる。特に、硬度と耐久性などの点で、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。さらに、硬化性、可撓性および生産性の点で、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂、または熱硬化型のアクリル系樹脂からなるものが好ましい。
活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂または熱硬化型のアクリル系樹脂とは、重合硬化成分として多官能アクリレート、アクリルオリゴマーあるいは反応性希釈剤を含む組成物である。その他に必要に応じて光開始剤、光増感剤、熱重合開始剤あるいは改質剤等を含有しているものを用いてもよい。
アクリルオリゴマーとは、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとして、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどであり、また、メラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格にアクリル基を結合したものなども用いられ得る。
また、反応性希釈剤とは、塗工剤の媒体として塗工工程での溶剤の機能を担うと共に、それ自体が一官能性あるいは多官能性のアクリルオリゴマーと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるものである。
市販されている多官能アクリル系硬化塗料としては、三菱レイヨン株式会社;(商品名“ダイヤビーム(登録商標)”シリーズなど)、長瀬産業株式会社;(商品名“デナコール(登録商標)”シリーズなど)、新中村株式会社;(商品名“NKエステル”シリーズなど)、大日本インキ化学工業株式会社;(商品名“UNIDIC(登録商標)”シリーズなど)、東亞合成化学工業株式会社;(商品名“アロニックス(登録商標)”シリーズなど)、日本油脂株式会社;(商品名“ブレンマー(登録商標)”シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名“KAYARAD(登録商標)”シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名“ライトエステル”シリーズ、“ライトアクリレート”シリーズなど)などの製品を利用することができる。
更に具体的には、例えば、電子線や紫外線の照射により硬化する樹脂や熱硬化性の樹脂等を使用でき、特にアルコキシシラン系化合物の部分加水分解オリゴマーからなる熱硬化型シリコーン系ハードコート、熱硬化型のポリシロキサン樹脂からなるハードコート、不飽和基を有するアクリル系化合物からなる紫外線硬化型アクリル系ハードコート、熱硬化型無機材料であることが好ましい。また、ハードコート層7に用いることができる材料として、水性コロイダルシリカ含有アクリル樹脂(特開2005−66824号公報)、ポリウレタン系樹脂組成物(特開2005−110918号公報)、水性シリコーン化合物をバインダーとして用いた樹脂膜(特開2004−142161号公報)、酸化チタン等の光触媒性酸化物含有シリカ膜もしくはアルミナ、アスペクト比の高い酸化チタンもしくは酸化ニオブなどの光触媒膜(特開2009−62216)、光触媒含有フッ素樹脂コーティング(ピアレックス・テクノロジーズ社)、有機/無機ポリシラザン膜、有機/無機ポリシラザンに親水化促進剤(AZエレクトロニクス社)を用いた膜、等も挙げることができる。
熱硬化型シリコーン系のハードコート層7には公知の方法によって合成したアルコキシシラン化合物の部分加水分解オリゴマーを使用できる。その合成方法の一例は以下の通りである。まず、アルコキシシラン化合物としてテトラメトキシシラン、又はテトラエトキシシランを用い、これを塩酸、硝酸等の酸触媒の存在下に所定量の水を加えて、副生するアルコールを除去しながら室温から80℃で反応させる。この反応によりアルコキシシランは加水分解し、更に縮合反応により一分子中にシラノール基又はアルコキシ基を2個以上有し、平均重合度4〜8のアルコキシシラン化合物の部分加水分解オリゴマーが得られる。次にこれに酢酸、マレイン酸等の硬化触媒を添加し、アルコール、グリコールエーテル系の有機溶剤に溶解させて熱硬化型シリコーン系ハードコート液が得られる。そしてこれを通常の塗料における塗装方法によりフィルムミラー等の外面に塗布し、80〜140℃の温度で加熱硬化することによって透明ハードコート層を形成させる。但しこの場合、フィルムミラーの熱変形温度以下での硬化温度の設定が前提となる。なお、テトラアルコキシシランの代わりにジ(アルキルまたはアリール)ジアルコキシシラン、並びに/或いはモノ(アルキルまたはアリール)トリアルコキシシランを使用することにより、同様にポリシロキサン系の透明ハードコート層を製造することが可能である。
紫外線硬化型アクリル系のハードコート層7には、不飽和基を有するアクリル系化合物として、例えばペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート混合物等を使用することができ、これにベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン等の光重合開始剤を配合して用いる。そしてこれを反射フィルム基材の外面に塗布し、紫外線硬化することによって透明なハードコート層7が形成される。
また、ハードコート層7に表面処理を施して、親水性を付与することが好ましい。親水性を付与する処理としては、例えば、コロナ処理(特開平11−172028公報)、プラズマ表面処理、紫外線・オゾン処理、表面突起物形成(特開2009−226613公報)、表面微細加工処理などを挙げることができる。
ハードコート層7が無機物からなる場合、例えば酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化ランタン、窒化ランタン等を、真空製膜法により製膜することで形成できる。真空製膜法としては、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。
また、ハードコート層7が無機物からなる場合、ポリシラザンを塗布製膜し、加熱硬化した膜からなることが好ましい。ハードコート層の前駆体が、ポリシラザンを含有する場合、例えば下記の一般式(6)で表されるポリシラザンを含む有機溶剤中に必要に応じて触媒を加えた溶液を塗布した後、溶剤を蒸発させて除去し、それによってフィルムミラー上に0.05〜3.0μmの層厚を有するポリシラザン層を残す。そして、水蒸気を含む雰囲気中で酸素、活性酸素、場合によっては窒素の存在下で、上記のポリシラザン層を局所的加熱することによって、フィルムミラー上にガラス様の透明なハードコートの被膜を形成する方法を採用することが好ましい。
−(SiR1R2−NR3)n− ・・・(6)
一般式(6)中、R1、R2、及びR3は、同一か又は異なり、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基、好ましくは水素、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、フェニル、ビニル又は3−(トリエトキシシリル)プロピル、3−(トリメトキシシリルプロピル)からなる群から選択される基を表す。この際、nは整数であり、nは、ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる。
一般式(6)中、R1、R2、及びR3は、同一か又は異なり、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基、好ましくは水素、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、フェニル、ビニル又は3−(トリエトキシシリル)プロピル、3−(トリメトキシシリルプロピル)からなる群から選択される基を表す。この際、nは整数であり、nは、ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる。
触媒としては、好ましくは、塩基性触媒、特にN,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン又はN−複素環式化合物が使用される。触媒濃度は、ポリシラザンを基準にして通常0.1〜10モル%、好ましくは0.5〜7モル%の範囲である。
なお、好ましい態様の一つでは、一般式(6)中のR1、R2及びR3のすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザンを含む溶液が使用される。
また、別の好ましい態様の一つでは、ハードコート層7が、下記の一般式(7)で表される少なくとも一種のポリシラザンを含むことである。
−(SiR1R2−NR3)n−(SiR4R5−NR6)p− ・・・(7)
一般式(7)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基を表す。この際、n及びpは整数であり、特にnは、ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる。
一般式(7)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基を表す。この際、n及びpは整数であり、特にnは、ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる。
特に好ましいものは、R1、R3及びR6が水素を表し、そしてR2、R4及びR5がメチルを表す化合物。またR1、R3及びR6が水素を表し、そしてR2、R4がメチルを表し、そしてR5がビニルを表す化合物。また、R1、R3、R4及びR6が水素を表し、そしてR2及びR5がメチルを表す化合物である。
さらに、別の好ましい態様の一つでは、透明ハードコート層が、下記の一般式(8)で表される少なくとも一種のポリシラザンを含むことである。
−(SiR1R2−NR3)n−(SiR4R5−NR6)p−(SiR7R8−NR9)q− ・・・(8)
一般式(8)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基を表す。この際、n、p及びqは整数であり、特にnは、ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる。
一般式(8)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基を表す。この際、n、p及びqは整数であり、特にnは、ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる。
特に好ましいものは、R1、R3及びR6が水素を表し、そしてR2、R4、R5及びR8がメチルを表し、R9が(トリエトキシシリル)プロピルを表し、そしてR7がアルキル又は水素を表す化合物である。
溶剤中のポリシラザンの割合は、一般的には、ポリシラザン1〜80質量%、好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。
溶剤としては、特に、水及び反応性基(例えばヒドロキシ基又はアミン基)を含まず、ポリシラザンに対して不活性の有機系で好ましくは非プロトン性の溶剤が好適である。これは、例えば、脂肪族又は芳香族炭化水素、ハロゲン炭化水素、エステル、例えば酢酸エチル又は酢酸ブチル、ケトン、例えばアセトン又はメチルエチルケトン、エーテル、例えばテトラヒドロフラン又はジブチルエーテル、並びにモノ−及びポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)又はこれらの溶剤からなる混合物である。
このポリシラザン溶液の追加の成分に、塗料の製造に慣用されているもののような、更に別のバインダーを用いることができる。これは、例えば、セルロースエーテル及びセルロースエステル、例えばエチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート又はセルロースアセトブチレート、天然樹脂、例えばゴムもしくはロジン樹脂、又は合成樹脂、例えば重合樹脂もしくは縮合樹脂、例えばアミノプラスト、特に尿素樹脂及びメラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルもしくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネートもしくはブロック化ポリイソシアネート、又はポリシロキサンである。
また、このポリシラザン調合物に更に追加する別の成分として、例えば、調合物の粘度、下地の濡れ、成膜性、潤滑作用又は排気性に影響を与える添加剤、あるいは無機ナノ粒子、例えばSiO2、TiO2、ZnO、ZrO2又はAl2O3を用いることができる。
このようにして形成したポリシラザンの透明なハードコート層7は、酸素・水蒸気バリアー膜としても用いることができる。
また、透明なハードコート層7の特に好ましい例の一つとして、多官能アクリルモノマーとシリコーン樹脂を含有するハードコート層7が挙げられる。多官能アクリルモノマーを以下「A」成分とし、シリコーン樹脂を以下「B」成分とする。
(7−1)「A」成分
多官能アクリルモノマー「A」成分は、不飽和基、特に、活性エネルギー線反応性不飽和基を有することが好ましい。尚、本明細書で言う活性エネルギー線とは、好ましくは電子線か紫外線をいう。活性エネルギー線反応性不飽和基を有する多官能アクリルモノマーとしては、ラジカル重合系モノマーが用いられ、好ましくは、分子中にα,β−不飽和二重結合を有する2官能以上の多官能モノマーである多官能アクリレート型もしくは多官能メタクリレート型モノマー等が挙げられる。他に、ビニル型モノマー、アリル型モノマーや単官能のモノマーを有していてもよい。また、ラジカル重合系モノマーは、単独でも、または架橋密度を調整すべく2種類以上のモノマーを併用することも可能である。「A」成分としては、これら比較的低分子量化合物、例えば分子量が1000未満のいわゆる狭義のモノマーの他、ある程度分子量の大きい、例えば重量平均分子量が1000以上10000未満のオリゴマー、プレポリマーも用いることが可能である。
(7−1)「A」成分
多官能アクリルモノマー「A」成分は、不飽和基、特に、活性エネルギー線反応性不飽和基を有することが好ましい。尚、本明細書で言う活性エネルギー線とは、好ましくは電子線か紫外線をいう。活性エネルギー線反応性不飽和基を有する多官能アクリルモノマーとしては、ラジカル重合系モノマーが用いられ、好ましくは、分子中にα,β−不飽和二重結合を有する2官能以上の多官能モノマーである多官能アクリレート型もしくは多官能メタクリレート型モノマー等が挙げられる。他に、ビニル型モノマー、アリル型モノマーや単官能のモノマーを有していてもよい。また、ラジカル重合系モノマーは、単独でも、または架橋密度を調整すべく2種類以上のモノマーを併用することも可能である。「A」成分としては、これら比較的低分子量化合物、例えば分子量が1000未満のいわゆる狭義のモノマーの他、ある程度分子量の大きい、例えば重量平均分子量が1000以上10000未満のオリゴマー、プレポリマーも用いることが可能である。
単官能(メタ)アクリレートモノマーとして、具体的には、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、クレゾール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、コハク酸(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、およびこれらの誘導体、変性品等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートモノマーとして、具体的には、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエートトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびこれらの誘導体、変性品等が挙げられる。
このような重合性有機化合物である「A」成分の市販品としては、例えば、東亞合成(株)製アロニックスM−400、M−408、M−450、M−305、M−309、M−310、M−315、M−320、M−350、M−360、M−208、M−210、M−215、M−220、M−225、M−233、M−240、M−245、M−260、M−270、M−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−221、M−203、TO−924、TO−1270、TO−1231、TO−595、TO−756、TO−1343、TO−902、TO−904、TO−905、TO−1330、日本化薬(株)製KAYARAD D−310、D−330、DPHA、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、SR−295、SR−355、SR−399E、SR−494、SR−9041、SR−368、SR−415、SR−444、SR−454、SR−492、SR−499、SR−502、SR−9020、SR−9035、SR−111、SR−212、SR−213、SR−230、SR−259、SR−268、SR−272、SR−344、SR−349、SR−601、SR−602、SR−610、SR−9003、PET−30、T−1420、GPO−303、TC−120S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620、R−551、R−712、R−167、R−526、R−551、R−712、R−604、R−684、TMPTA、THE−330、TPA−320、TPA−330、KS−HDDA、KS−TPGDA、KS−TMPTA、共栄社化学(株)製ライトアクリレート PE−4A、DPE−6A、DTMP−4A等を挙げることができる。
重合性有機化合物「A」成分の含有量は、防汚性や耐光性を良好にする観点から、「A」+「B」の組成物全体を100質量%として、10〜90質量%であることが好ましく、15〜80質量%がさらに好ましい。
(7−2)「B」成分
シリコーン樹脂「B」成分としては、活性エネルギー線反応性不飽和基を有するシリコーン樹脂であることが好ましい。シリコーン樹脂は、ポリオルガノシロキサンを含有し、好ましくは、活性エネルギー線硬化性不飽和結合を分子内に有したポリオルガノシロキサン鎖を有する化合物である。特に、ラジカル重合性二重結合およびポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)1〜50質量%と、ラジカル重合性二重結合および反応性官能基を有する(a)以外の単量体(b)10〜95質量%と、(a)および(b)以外のラジカル重合性二重結合を有する単量体(c)0〜89質量%とを含む単量体を重合してなる重合体(α)に、前記した反応性官能基と反応可能な官能基、およびラジカル重合性二重結合を有する化合物(β)を反応させてなる数平均分子量5000〜100000のビニル共重合体である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
(7−2)「B」成分
シリコーン樹脂「B」成分としては、活性エネルギー線反応性不飽和基を有するシリコーン樹脂であることが好ましい。シリコーン樹脂は、ポリオルガノシロキサンを含有し、好ましくは、活性エネルギー線硬化性不飽和結合を分子内に有したポリオルガノシロキサン鎖を有する化合物である。特に、ラジカル重合性二重結合およびポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)1〜50質量%と、ラジカル重合性二重結合および反応性官能基を有する(a)以外の単量体(b)10〜95質量%と、(a)および(b)以外のラジカル重合性二重結合を有する単量体(c)0〜89質量%とを含む単量体を重合してなる重合体(α)に、前記した反応性官能基と反応可能な官能基、およびラジカル重合性二重結合を有する化合物(β)を反応させてなる数平均分子量5000〜100000のビニル共重合体である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
ラジカル重合性二重結合およびポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)として、具体的には、例えばチッソ(株)製のサイラプレーンFM−0711、FM−0721、FM−0725などの片末端(メタ)アクリロキシ基含有ポリオルガノシロキサン化合物、東亞合成(株)製のAC−SQ SI−20、Hybrid Plastics社製POSS(Polyhedral Oligomeric Silsesquioxane)シリーズのアクリレート、メタクリレート含有化合物等が挙げられる。
「B」成分は、要求性能に応じて1種、または2種以上を混合して用いることができる。また、重合比率は、重合体を構成する単量体の総質量を基準として1〜50質量%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜35質量%である。「B」成分の共重合比率が1質量%未満の場合には、硬化物の上部表面に防汚性、耐候性を付与することが困難となり、50質量%を越える場合には、耐擦傷性が低下する上、放射線硬化型組成物に含まれる他の成分との相溶性、基材との密着性、強靭性等の塗膜性能、および重合体の溶媒への溶解性を得ることが困難となる。上記成分中に、ポリシロキサンを適当量含有することもでき、「B」成分の化学構造や量比によっては、ポリシロキサンを添加することによって、耐久性が向上する。
このハードコート層7は、屈曲性があり、反りが生じないことが好ましい。フィルムミラーの最表面層における透明なハードコート層7は密な架橋構造を形成する場合があり、そのためフィルムが反り曲がることや、屈曲性がないためにクラックが入りやすいようなことがあり、取り扱いが困難になる。このような場合、ハードコート層組成中の無機物の量を調整するなどして、柔軟性があり、平面性が得られるように設計することが好ましい。
(7−3)添加剤
また、ハードコート層7に紫外線吸収剤や酸化防止剤を含有させてもよい。紫外線吸収剤や酸化防止剤としては、上述の透光性樹脂層6で用いた紫外線吸収剤や酸化防止剤を用いることができる。
(7−3)添加剤
また、ハードコート層7に紫外線吸収剤や酸化防止剤を含有させてもよい。紫外線吸収剤や酸化防止剤としては、上述の透光性樹脂層6で用いた紫外線吸収剤や酸化防止剤を用いることができる。
特に、多官能アクリルモノマーとシリコーン樹脂を含有するハードコート層7において好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である。ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤をハードコート層7に含有させることにより、耐候性を更に良好にするだけでなく、転落角も更に低下できるという優れた効果を得ることができる。特に、下記の一般式(9)で表される化合物をハードコート層7に含有させた場合、転落角の低下という効果が著しい。尚、転落角とは、水平なミラー上に水滴を滴下し、その後、当該ミラーの傾斜角を徐々に上げていき、静止していた所定質量の水滴が転落する最小の角度を計測したものをいう。転落角が小さければ小さい程、水滴が表面から転がり落ちやすく、水滴が付着しにくい表面であると言える。
なお、ハードコート層7における紫外線吸収剤の使用量は、密着性を良好に保ちつつ、耐候性を良好にするために、0.1〜20質量%であることが好ましい。さらに好ましくは0.25〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。
ハードコート層7に用いられる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤およびホスファイト系酸化防止剤など、有機系酸化防止剤を使用することが好ましい。有機系酸化防止剤をハードコート層7に含有させることでも、転落角を低下し得る。酸化防止剤と光安定剤を併用してもよい。
ヒンダードアミン系の光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1−メチル−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、トリエチレンジアミン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン等が挙げられる。
特に、ヒンダードアミン系の光安定剤としては、3級のアミンのみを含有するヒンダードアミン系の光安定剤が好ましく、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、または1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール/トリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との縮合物が好ましい。
その他、光安定剤としてニッケル系紫外線安定剤も使用可能であり、ニッケル系紫外線安定剤として、〔2,2′−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)〕−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチル−ジチオカーバメート等が挙げられる。
ハードコート層7、特に、多官能アクリルモノマーとシリコン樹脂を含有するハードコート層7は、重合を開始するための開始剤を含有することが好ましい。紫外線などの活性エネルギー線硬化性樹脂の光重合開始剤が好ましく用いられる。例えば、ベンゾイン及びその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。また、開始剤を光増感剤と共に使用してもよい。上記開始剤も光増感剤として使用できる。また、エポキシアクリレート系の開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。開始剤また光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部、より好ましくは、2〜5質量部である。2種類の開始剤を併用することもでき、特にラジカル系開始剤の場合、少なくとも2種類の開始剤、好ましくは互いに異なる波長を吸収するラジカル系開始剤を用いることである。より好ましくは、互いに紫外線吸収波長の異なる2種類の開始剤を使用することである。例えば、より短波長の波長を吸収する開始剤のみでは、開始剤によってモノマー全ての重合反応を行えない場合がある。一方、より長波長の波長を吸収する開始剤のみでは、反応性はよくなるが、長期使用時に開始剤が着色してしまう可能性がある。そこで、長期使用時においても着色することなく、耐候性を良好にし、更に、重合反応性も良好にするために、互いに異なる波長を吸収するラジカル系開始剤を用いることが好ましい。
ハードコート層7中には、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、界面活性剤、レベリング剤および帯電防止剤などを用いることができる。
レベリング剤は、表面凹凸低減に効果的である。レベリング剤としては、例えば、シリコーン系レベリング剤として、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(例えば東レダウコーニング(株)製SH190)が好適である。
(8)ガスバリアー層
ガスバリアー層5は、光反射層よりも光入射側に設けることが好ましい。特に、透光性樹脂層6と光反射層の間にガスバリアー層5を設けることが好ましい。
(8)ガスバリアー層
ガスバリアー層5は、光反射層よりも光入射側に設けることが好ましい。特に、透光性樹脂層6と光反射層の間にガスバリアー層5を設けることが好ましい。
ガスバリアー層5は、湿度の変動、特に高湿度による樹脂基材1及び樹脂基材1に支持される各構成層等の劣化を防止するためのものであるが、特別の機能・用途を持たせたものであってもよく、劣化防止機能を有する限りにおいて、種々の態様のガスバリアー層を設けることができる。
ガスバリアー層5の防湿性としては、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が、1g/m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは0.5g/m2・day以下、更に好ましくは0.2g/m2・day以下である。
また、ガスバリアー層5の酸素透過度としては、測定温度23℃、湿度90%RHの条件下で、0.6ml/m2/day/atm以下であることが好ましい。
ガスバリアー層5の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング、イオンビームアシスト、化学気相成長法等の方法により無機酸化物を形成する方法が挙げられるが、ゾル−ゲル法による無機酸化物の前駆体を塗布した後に、その塗布膜に加熱処理及び/又は紫外線照射処理を施して、無機酸化物膜を形成する方法も好ましく用いられる。
(8−1)無機酸化物
無機酸化物は、有機金属化合物を原料とするゾルから局所的加熱により形成されたものである。例えば、有機金属化合物に含有されているケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ニオブ(Nb)等の元素の酸化物であり、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等である。これらのうち、好ましくは、酸化ケイ素である。
(8−1)無機酸化物
無機酸化物は、有機金属化合物を原料とするゾルから局所的加熱により形成されたものである。例えば、有機金属化合物に含有されているケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ニオブ(Nb)等の元素の酸化物であり、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等である。これらのうち、好ましくは、酸化ケイ素である。
無機酸化物を形成する方法としては、いわゆるゾル−ゲル法またはポリシラザン法を用いることが好ましい。ゾル−ゲル法は無機酸化物の前駆体である有機金属化合物から無機酸化物を形成する方法であり、ポリシラザン法は無機酸化物の前駆体であるポリシラザンから無機酸化物を形成する方法である。
(8−2)無機酸化物の前駆体
ガスバリアー層5は、加熱により無機酸化物を形成する前駆体を塗布した後に、一般的な加熱方法が適用して形成することできるが、局所的加熱により形成することが好ましい。この前駆体は、ゾル状の有機金属化合物又はポリシラザンが好ましい。
(8−3)有機金属化合物
有機金属化合物は、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、リチウム(Li)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、及びニオブ(Nb)のうちの少なくとも一つの元素を含有することが好ましい。特に、有機金属化合物が、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、リチウム(Li)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、及びバリウム(Ba)のうちの少なくとも一つの元素を含有することが好ましい。さらに、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、及びリチウム(Li)のうちの少なくとも一つの元素を含有することが好ましい。
(8−2)無機酸化物の前駆体
ガスバリアー層5は、加熱により無機酸化物を形成する前駆体を塗布した後に、一般的な加熱方法が適用して形成することできるが、局所的加熱により形成することが好ましい。この前駆体は、ゾル状の有機金属化合物又はポリシラザンが好ましい。
(8−3)有機金属化合物
有機金属化合物は、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、リチウム(Li)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、及びニオブ(Nb)のうちの少なくとも一つの元素を含有することが好ましい。特に、有機金属化合物が、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、リチウム(Li)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、及びバリウム(Ba)のうちの少なくとも一つの元素を含有することが好ましい。さらに、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、及びリチウム(Li)のうちの少なくとも一つの元素を含有することが好ましい。
有機金属化合物としては、加水分解が可能なものであればよく、特に限定されるものではないが、好ましい有機金属化合物としては、金属アルコキシドが挙げられる。この金属アルコキシドは、下記の一般式(10)で表される。
MR2 m(OR1)n-m ・・・(10)
上記の一般式(10)において、Mは、酸化数nの金属を表す。R1及びR2は、各々独立にアルキル基を表す。mは、0〜(n−1)の整数を表す。また、R1及びR2は、同一でもよく、異なっていてもよい。R1及びR2としては、炭素原子4個以下のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基CH3(以下、Meで表す。)、エチル基C2H5(以下、Etで表す)、プロピル基C3H7(以下、Prで表す。)、イソプロピル基i−C3H7(以下、i−Prで表す。)、ブチル基C4H9(以下、Buで表す)、イソブチル基i−C4H9(以下、i−Buで表す)等の低級アルキル基がより好ましい。
上記の一般式(10)において、Mは、酸化数nの金属を表す。R1及びR2は、各々独立にアルキル基を表す。mは、0〜(n−1)の整数を表す。また、R1及びR2は、同一でもよく、異なっていてもよい。R1及びR2としては、炭素原子4個以下のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基CH3(以下、Meで表す。)、エチル基C2H5(以下、Etで表す)、プロピル基C3H7(以下、Prで表す。)、イソプロピル基i−C3H7(以下、i−Prで表す。)、ブチル基C4H9(以下、Buで表す)、イソブチル基i−C4H9(以下、i−Buで表す)等の低級アルキル基がより好ましい。
また、上記の一般式(10)で表される金属アルコキシドとしては、例えば、リチウムエトキシドLiOEt、ニオブエトキシドNb(OEt)5、マグネシウムイソプロポキシドMg(OPr−i)2、アルミニウムイソプロポキシドAl(OPr−i)3、亜鉛プロポキシドZn(OPr)2、テトラエトキシシランSi(OEt)4、チタンイソプロポキシドTi(OPr−i)4、バリウムエトキシドBa(OEt)2、バリウムイソプロポキシドBa(OPr−i)2、トリエトキシボランB(OEt)3、ジルコニウムプロポキシドZn(OPr)4、ランタンプロポキシドLa(OPr)3、イットリウムプロポキシドY(OPr)3、鉛イソプロポキシドPb(OPr−i)2等が好適に挙げられる。これらの金属アルコキシドは何れも市販品があり、容易に入手することができる。また、金属アルコキシドは、部分的に加水分解して得られる低縮合物も市販されており、これを原料として使用することも可能である。
(8−4)ゾル−ゲル法
ここで、「ゾル−ゲル法」とは、有機金属化合物を加水分解すること等により、水酸化物のゾルを得て、脱水処理してゲルとし、さらにこのゲルを加熱処理することで、ある一定の形状(フィルム状、粒子状、繊維状等)の金属酸化物ガラスを調製する方法をいう。異なる複数のゾル溶液を混合する方法、他の金属イオンを添加する方法等により、多成分系の金属酸化物ガラスを得ることも可能である。具体的には、下記の工程を有するゾル−ゲル法で、無機酸化物を製造することが好ましい。
(8−4)ゾル−ゲル法
ここで、「ゾル−ゲル法」とは、有機金属化合物を加水分解すること等により、水酸化物のゾルを得て、脱水処理してゲルとし、さらにこのゲルを加熱処理することで、ある一定の形状(フィルム状、粒子状、繊維状等)の金属酸化物ガラスを調製する方法をいう。異なる複数のゾル溶液を混合する方法、他の金属イオンを添加する方法等により、多成分系の金属酸化物ガラスを得ることも可能である。具体的には、下記の工程を有するゾル−ゲル法で、無機酸化物を製造することが好ましい。
すなわち、少なくとも水及び有機溶媒を含有する反応液中で、ホウ素イオン存在下にてハロゲンイオンを触媒として、pHを4.5〜5.0に調整しながら、有機金属化合物を加水分解及び脱水縮合して反応生成物を得る工程、及びその反応生成物を200℃以下の温度で加熱してガラス化する工程、を有するゾル−ゲル法により製造されてなることが、高温熱処理による微細孔の発生や膜の劣化等が発生しないという観点から特に好ましい。
このゾル−ゲル法において、原料として用いられる有機金属化合物としては、加水分解が可能なものであればよく、特に限定されるものではないが、好ましい有機金属化合物としては、上記した金属アルコキシドが挙げられる。
ゾル−ゲル法において、上記した有機金属化合物は、そのまま反応に用いてもよいが、反応の制御を容易にするため溶媒で希釈して用いることが好ましい。希釈用溶媒は、有機金属化合物を溶解することができ、かつ水と均一に混合することができるものであればよい。そのような希釈用溶媒としては、脂肪族の低級アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びそれらの混合物が好適に挙げられる。また、ブタノールとセロソルブとブチルセロソルブの混合溶媒、あるいはキシロールとセロソルブアセテートとメチルイソブチルケトンとシクロヘキサンの混合溶媒などを使用することもできる。
この有機金属化合物において、金属がCa、Mg、Al等である場合には、反応液中の水と反応して水酸化物を生成したり、炭酸イオンCO3 2-が存在すると炭酸塩を生成したりして沈殿を生ずるため、反応液に隠蔽剤としてトリエタノールアミンのアルコール溶液を添加することが好ましい。溶媒に混合溶解するときの有機金属化合物の濃度としては、70質量%以下が好ましく、5〜70質量%の範囲に希釈して使用することがより好ましい。
ゾル−ゲル法において用いられる反応液は、少なくとも水及び有機溶媒を含有する。有機溶媒としては、水及び酸、アルカリと均一な溶液をつくるものであればよく、通常、有機金属化合物の希釈に用いる脂肪族の低級アルコール類と同様のものが好適に挙げられる。脂肪族の低級アルコール類の中でも、メタノール、エタノールより、炭素数の多いプロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及びイソブタノールが好ましい。これは、生成する金属酸化物ガラスの膜の成長が安定であるためである。この反応液において、水の割合としては、水の濃度として0.2〜50mol/Lの範囲が好ましい。
また、ゾル−ゲル法においては、反応液中において、ホウ素イオンの存在下にて、ハロゲンイオンを触媒として、有機金属化合物を加水分解する。ホウ素イオンB3+を与える化合物としては、トリアルコキシボランB(OR)3が好適に挙げられる。その中でも、トリエトキシボランB(OEt)3がより好ましい。また、反応液中のB3+イオン濃度としては、1.0〜10.0mol/Lの範囲が好ましい。
ハロゲンイオンとしては、フッ素イオン及び/又は塩素イオンが好適に挙げられる。即ち、フッ素イオン単独、塩素イオン単独でもよく、これらの混合物でもよい。用いる化合物としては、上記した反応液中でフッ素イオン及び/又は塩素イオンを生ずるものであればよく、例えば、フッ素イオン源として、フッ化水素アンモニウムNH4HF・HF、フッ化ナトリウムNaF等が好適に挙げられ、塩素イオン源として、塩化アンモニウムNH4Cl等が好適に挙げられる。
また、反応液中のハロゲンイオンの濃度としては、製造しようとする無機マトリックスを有する無機組成物からなるフィルムの膜厚や、その他の条件によって異なるが、一般的には、触媒を含む反応液の合計質量に対して、0.001〜2mol/kg、特に0.002〜0.3mol/kgの範囲が好ましい。ハロゲンイオンの濃度が0.001mol/kgより低いと、有機金属化合物の加水分解が十分に進行し難くなり、膜の形成が困難となる。またハロゲンイオンの濃度が2mol/kgを超えると、生成する無機マトリックス(金属酸化物ガラス)が不均一になり易いため、いずれも好ましくない。
なお、反応時に使用したホウ素に関しては、得られる無機マトリックスの設計組成中にB2O3成分として含有させる場合は、その含有量に応じた有機ホウ素化合物の計算量を添加したまま生成物とすればよく、またホウ素を除去したいときは、成膜後、溶媒としてのメタノールの存在下、又はメタノールに浸漬して加熱すればホウ素はホウ素メチルエステルとして蒸発させて除去することができる。
有機金属化合物を、加水分解及び脱水縮合して反応生成物を得る工程においては、通常所定量の有機金属化合物を、所定量の水及び有機溶媒を含有する混合溶媒に混合溶解した主剤溶液、ならびに所定量のハロゲンイオンを含有する所定量の反応液を、所定の比で混合し十分に攪拌して均一な反応溶液とした後、酸又はアルカリで反応溶液のpHを希望の値に調整し、数時間熟成することにより進行させて反応生成物を得る。ホウ素化合物は、主剤溶液又は反応液に予め所定量を混合溶解しておく。また、アルコキシボランを用いる場合は、他の有機金属化合物と共に主剤溶液に溶解するのが有利である。
反応溶液のpHは、目的によって選択され、無機マトリックス(金属酸化物ガラス)を有する無機組成物からなる膜(フィルム)の形成を目的とするときは、例えば、塩酸等の酸を用いて測定温度25℃でpHを4.5〜5の範囲に調整して熟成するのが好ましい。この場合は、例えば、指示薬としてメチルレッドとブロモクレゾールグリーンとを混合したもの等を用いると便利である。
なお、ゾル−ゲル法においては、同一成分の同一濃度の主剤溶液、及び反応液(B3+及びハロゲンイオンを含む。)を所定のpHに調整しながら、逐次同一割合で追加添加することにより簡単に継続して、反応生成物を製造することもできる。なお、反応溶液の濃度は±50質量%の範囲で、水(酸又はアルカリを含む。)の濃度は、±30質量%の範囲で、及びハロゲンイオンの濃度は±30質量%の範囲で変化させることができる。
次に、前工程で得られた反応生成物(熟成後の反応溶液)を、200℃以下の温度に加熱して乾燥しガラス化させる。加熱にあたって、特に50〜70℃の温度区間を注意して徐々に昇温して、予備乾燥(溶媒揮散)工程を経た後さらに昇温することが好ましい。この乾燥は、膜形成の場合、無孔化膜とするために重要である。予備乾燥工程後、加熱し乾燥する温度としては、70〜150℃が好ましく、80〜130℃がより好ましい。
(9)アンカー層
アンカー層2は、樹脂からなり、樹脂基材1と銀反射層3とを密着させるものである。従って、アンカー層2は、樹脂基材1と銀反射層3とを密着する密着性、銀反射層3を真空蒸着法等で形成する際の熱にも耐え得る耐熱性、及び銀反射層3が本来有する高い反射性能を引き出すための平滑性が必要である。
(9)アンカー層
アンカー層2は、樹脂からなり、樹脂基材1と銀反射層3とを密着させるものである。従って、アンカー層2は、樹脂基材1と銀反射層3とを密着する密着性、銀反射層3を真空蒸着法等で形成する際の熱にも耐え得る耐熱性、及び銀反射層3が本来有する高い反射性能を引き出すための平滑性が必要である。
アンカー層2に使用する樹脂材料は、上記の密着性、耐熱性、及び平滑性の条件を満足するものであれば特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂等の単独またはこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の混合樹脂が好ましく、さらにイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。
アンカー層2の形成方法としては、所定の樹脂材料を塗布、塗工するグラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
アンカー層2の厚さは、0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。厚さが0.01μmより薄いと、密着性が悪くなりアンカー層2を形成した効果がなく、また樹脂基材1表面の凹凸を覆い隠し難くなり、平滑性が悪くなって結果的には銀反射層3の反射率が低くなってしまうので好ましくない。また、厚さが3μmより厚くても、密着性の向上は望めず、かえって塗りムラの発生により平滑性が悪くなり、アンカー層2の硬化が不充分となる場合があるので好ましくない。
(10)フィルムミラーの製造方法
上述した各構成層を適宜積層することによって、太陽熱発電用のフィルムミラーを製造することができる。
(10)フィルムミラーの製造方法
上述した各構成層を適宜積層することによって、太陽熱発電用のフィルムミラーを製造することができる。
ここでは、図4Aに示すフィルムミラー10dを例に説明する。
例えば、溶融製膜などで作製された樹脂基材1であるポリエチレンテレフタレートフィルム上に、所定の樹脂材料を塗布することによってアンカー層2を形成する。
次いで、アンカー層2上に、真空蒸着によって銀反射層3を形成する。
次いで、銀反射層3上に、腐食防止剤を含有した樹脂材料を塗布することによって腐食防止層4を形成する。
次いで、腐食防止層4上に、ゾル−ゲル法および加熱/UV処理を施すことによってガスバリアー層5を形成する。
次いで、ガスバリアー層5上に、紫外線吸収剤を含有した樹脂材料を塗布することによって透光性樹脂層6を形成する。
次いで、透光性樹脂層6上に、ハードコート材料を塗布することによってハードコート層7を形成する。
さらに、樹脂基材1の裏面側に、粘着材料を塗工して粘着層2を形成し、その粘着層2を剥離シートで覆うことによって、フィルムミラー10dが製造される。
なお、フィルムミラー10a、10b、10cを製造する際には、フィルムミラー10dには無い構成層を形成する工程を省き、各フィルムミラーに必要な構成層を樹脂基材1に所定順に積層することで、所望のフィルムミラーを製造することができる。
そして、本発明のフィルムミラーでは、樹脂基材1のみが溶融製膜などで作製された樹脂フィルムであり、他の構成層には樹脂フィルムを用いておらず、その樹脂基材1に対して順次、各構成層の材料の塗布・塗工や蒸着などによる成膜を繰り返し、所定の構成層を積層することでフィルムミラーを製造している。
つまり、本発明のフィルムミラーの製造方法は、少なくとも銀反射層を有する樹脂フィルムと、銀反射層よりも光入射側に配置される層(例えば、紫外線吸収剤入り透光性樹脂層)となる樹脂フィルムとを別々に製造し、その後2つの樹脂フィルムを接着剤(接着層)によって貼り合わせる工程を含まないことを特徴としている。
(11)太陽熱発電用反射装置
太陽熱発電用反射装置は、フィルムミラーと自己支持性の支持基材9とを有しており、粘着層8を介してフィルムミラーが支持基材9に接合されている反射鏡である。
(11)太陽熱発電用反射装置
太陽熱発電用反射装置は、フィルムミラーと自己支持性の支持基材9とを有しており、粘着層8を介してフィルムミラーが支持基材9に接合されている反射鏡である。
なお、ここで言う「自己支持性」とは、太陽熱発電用反射装置の支持基材として用いられる大きさに断裁された状態で、支持基材9がフィルムミラーの端縁部分を支持することで、フィルムミラーを担持することが可能な程度の剛性を有することを表す。太陽熱発電用反射装置の支持基材9が自己支持性を有することで、太陽熱発電用反射装置を設置する際に取り扱い性に優れるとともに、太陽熱発電用反射装置を保持するための保持部材を簡素な構成とすることが可能となるため、反射装置自体を軽量化することが可能となり、太陽追尾の際の消費電力を抑制することが可能となる。
(11−1)支持基材
自己支持性の支持基材9としては、一対の金属平板とその金属平板間に介装された中間層を有するもの(タイプA)か、中空構造を有する樹脂材料からなるもの(タイプB)であることが好ましい。
(11−2)支持基材タイプA
支持基材9が、一対の金属平板とその金属平板間に介装された中間層を有するものであって、その中間層が中空構造を有する材料または樹脂材料から構成されることにより、支持基材9は、金属平板による高い平面性を有するとともに、金属平板のみで支持基材を構成する場合に比べて、支持基材自体を大幅に軽量化することが可能となる。また、比較的軽量な中間層を用いつつ金属平板によって剛性を上げることができるため、軽量且つ自己支持性を有する支持基材として機能させることが可能になる。
(11−1)支持基材
自己支持性の支持基材9としては、一対の金属平板とその金属平板間に介装された中間層を有するもの(タイプA)か、中空構造を有する樹脂材料からなるもの(タイプB)であることが好ましい。
(11−2)支持基材タイプA
支持基材9が、一対の金属平板とその金属平板間に介装された中間層を有するものであって、その中間層が中空構造を有する材料または樹脂材料から構成されることにより、支持基材9は、金属平板による高い平面性を有するとともに、金属平板のみで支持基材を構成する場合に比べて、支持基材自体を大幅に軽量化することが可能となる。また、比較的軽量な中間層を用いつつ金属平板によって剛性を上げることができるため、軽量且つ自己支持性を有する支持基材として機能させることが可能になる。
更に、中間層が樹脂材料からなる場合においても、中空構造を有する樹脂材料の層とすることでより一層の軽量化を図ることができる。
また、中間層を中空構造とした場合には、中間層が断熱材としての機能を果たすため、粘着層8とは反対側の金属平板の温度変化がフィルムミラーへ伝わることを抑制し、結露の防止や、熱による劣化を抑制することが可能となる。
支持基材9の両面の表面層となる金属平板としては、鋼板、銅板、アルミニウム板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム系合金めっき鋼板、銅めっき鋼板、錫めっき鋼板、クロムめっき鋼板、ステンレス鋼板など熱伝導率の高い金属材料が好ましく用いることができる。本発明においては、特に、耐腐食性の良好なめっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板などを用いることが好ましい。
支持基材9の中間層としては、金属、無機材料(ガラス等)、樹脂材料等の素材を用いることができる。
この中間層を中空構造とする場合、発泡樹脂からなる気泡構造や、金属、無機材料又は樹脂材料からなる壁面を有する立体構造(ハニカム構造等)や、中空微粒子を添加した樹脂材料等を適用することができる。
発泡樹脂の気泡構造は、樹脂材料中にガスを細かく分散させ、発泡状又は多孔質形状に形成されたものを指す。その材料としては公知の発泡樹脂材料を使用可能であるが、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン等が好ましく用いられる。
ハニカム構造とは、空間が側壁で囲まれた複数の小空間で構成される立体構造全般を表すものとする。
中間層の中空構造を樹脂材料からなる壁面を有する立体構造とする場合、壁面を構成する樹脂材料としては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のアクリル誘導体、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン−ジエン類等のターポリマー、ABS樹脂、ポリオレフィンオキサイド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。なお、これらは一種類を単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。特に、熱可塑性樹脂のなかでもオレフィン系樹脂又はオレフィン系樹脂を主体にした樹脂、ポリプロピレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂を主体にした樹脂が、機械的強度及び成形性のバランスに優れている点で好ましい。樹脂材料には、添加剤が含まれていてもよく、その添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機フィラー、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。
また、中間層を樹脂プレートからなる層とすることも可能であり、この場合に中間層を構成する樹脂材料としては、前述のフィルムミラーの樹脂基材1を構成する材料と同様のものを好ましく用いることができる。
なお、中間層は、支持基材9の全ての領域に設けられる必要はなく、金属平板の平面性及び支持基材としての自己支持性を担保できる範囲であれば、一部の領域に設けられていてもよい。中間層を上述の立体構造とする場合、金属平板の面積に対して、90〜95%程度の領域に立体構造を設けることが好ましく、発泡樹脂を用いる場合は、30〜40%程度の領域に設けることが好ましい。
(11−3)支持基材タイプB
支持基材9が、中空構造を有する樹脂材料からなる層とすることも可能である。
(11−3)支持基材タイプB
支持基材9が、中空構造を有する樹脂材料からなる層とすることも可能である。
支持基材9を樹脂材料のみからなる層とした場合、自己支持性を持たせる程度の剛性を得るために必要な厚さが大きくなり、結果として支持基材9の質量が重くなるが、樹脂材料に中空構造を持たせることにより、自己支持性を持たせながら支持基材9を軽量化することができる。
支持基材9が、中空構造を有する樹脂材料からなる場合、中空構造を有する樹脂材料を中間層として用い、その両面の表面層として平滑な面を有する樹脂シートを設けることが、フィルムミラーの正反射率を高める観点で好ましい。この樹脂シートの材料としては、前述のフィルムミラーの樹脂基材1を構成する材料と同様のものを好ましく用いることができる。中空構造を有する樹脂材料としては、上述の発泡材料や立体構造(ハニカム構造)を有する樹脂材料を好ましく用いることができる。
(11−4)保持部材
太陽熱発電用反射装置は、反射装置自体を保持する保持部材を有する。
(11−4)保持部材
太陽熱発電用反射装置は、反射装置自体を保持する保持部材を有する。
保持部材は、太陽熱発電用反射装置における反射面(フィルムミラー)が、太陽を追尾可能な状態で保持することが好ましい。保持部材の形態としては、特に制限はないが、太陽熱発電用反射装置が所望の形状や姿勢を保持できるように、例えば、太陽熱発電用反射装置の裏面側の支持基材9における複数個所を棒状の柱状部材や梁状部材によって保持する形態が好ましい。
保持部材は、太陽を追尾可能な状態で太陽熱発電用反射装置を保持する構成を有するが、太陽追尾に際しては、手動で駆動させてもよいし、別途駆動装置を設けて自動的に太陽を追尾する構成としてもよい。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。本実施例のフィルムミラーは、図1A〜図4Aに示す実施態様である。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例や比較例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
[比較例1]
(比較例1のフィルムミラーの作製)
樹脂フィルム状支持体の樹脂基材1として、二軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ25μm)を用いた。上記樹脂基材1の片面に光反射層として、真空蒸着法により厚さ100nmの銀反射層3を形成した。
(比較例1のフィルムミラーの作製)
樹脂フィルム状支持体の樹脂基材1として、二軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ25μm)を用いた。上記樹脂基材1の片面に光反射層として、真空蒸着法により厚さ100nmの銀反射層3を形成した。
次に、上記樹脂基材1における銀反射層3とは反対面側に、ドライラミネーションプロセスにより、紫外線吸収剤を含有する透光性樹脂層6としての透明アクリルフィルム(三菱レイヨン製アクリプレンHBS010P 厚さ75μm)を、接着層11を介してラミネート温度60℃にて貼合した。
更に、重量平均分子量50万の付加反応型シリコーン系粘着剤100部に白金系触媒1部を加えて35質量%トルエン溶液としたものを、厚さ25μmのポリエステル製セパレートフィルムの片面に塗布し、120℃で5分間加熱して厚さ25μmの粘着層8(Si系)を形成した後、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの銀反射層3上にラミネートし、比較例1のフィルムミラー10e(図5A参照)を得た。
(太陽熱発電用反射装置の作製)
厚さ0.1mm、縦4cm×横5cmのアルミ板からなる支持基材9と、上記比較例1のフィルムミラー10eを、粘着層8を介して貼り合せて、太陽熱発電用反射装置20e(A−1)を得た(図5B参照)。
厚さ0.1mm、縦4cm×横5cmのアルミ板からなる支持基材9と、上記比較例1のフィルムミラー10eを、粘着層8を介して貼り合せて、太陽熱発電用反射装置20e(A−1)を得た(図5B参照)。
以下同様にして、下記実施例、比較例のフィルムミラーを用いて、太陽熱発電用反射装置をそれぞれ作製した。
[比較例2]
(比較例2のフィルムミラーの作製)
紫外線吸収剤を含有する透明アクリルフィルム(三菱レイヨン製アクリプレンHBS010P 厚さ75μm)からなる樹脂基材1の片側に光反射層として、真空蒸着法により厚さ100nmの銀反射層3を形成した。
(比較例2のフィルムミラーの作製)
紫外線吸収剤を含有する透明アクリルフィルム(三菱レイヨン製アクリプレンHBS010P 厚さ75μm)からなる樹脂基材1の片側に光反射層として、真空蒸着法により厚さ100nmの銀反射層3を形成した。
更に、重量平均分子量50万の付加反応型シリコーン系粘着剤100部に白金系触媒1部を加えて35質量%トルエン溶液としたものを、厚さ25μmのポリエステル製セパレートフィルムの片面に塗布し、120℃で5分間加熱して厚さ25μmの粘着層8(Si系)を形成した後、上記透明アクリルフィルムの銀反射層3上にラミネートし、比較例2の10f(図6A参照)を得た。
また、太陽熱発電用反射装置20e(A−1)と同様の方法により、比較例2のフィルムミラー10fを用いて、太陽熱発電用反射装置20f(B−1)を作製した(図6B参照)。
[実施例1]
(実施例1のフィルムミラーの作製)
樹脂フィルム状支持体の樹脂基材1として、二軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ25μm)を用いた。上記樹脂基材1の片面に、ポリエステル樹脂(ポリエスター SP−181 日本合成化学製)、メラミン樹脂(スーパーベッカミンJ−820 DIC製)、TDI(トリレンジイソシアネート)系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)、HMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系イソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率で20:1:1:2に、固形分濃度10%となるようにトルエン中に混合した樹脂を、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ0.1μmのアンカー層2を形成し、そのアンカー層2上に光反射層として、真空蒸着法により厚さ100nmの銀反射層3を形成した。
(実施例1のフィルムミラーの作製)
樹脂フィルム状支持体の樹脂基材1として、二軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ25μm)を用いた。上記樹脂基材1の片面に、ポリエステル樹脂(ポリエスター SP−181 日本合成化学製)、メラミン樹脂(スーパーベッカミンJ−820 DIC製)、TDI(トリレンジイソシアネート)系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)、HMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系イソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率で20:1:1:2に、固形分濃度10%となるようにトルエン中に混合した樹脂を、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ0.1μmのアンカー層2を形成し、そのアンカー層2上に光反射層として、真空蒸着法により厚さ100nmの銀反射層3を形成した。
更に、アクリル樹脂(三菱レイヨン製アクリペットVH)、UV吸収剤(BASF製Tinuvin477)を固形分比95:5で、MEK中に固形分20%で溶解した後、押し出しコーターにて上記銀反射層3上に、膜厚30μmとなるように塗布、乾燥(90℃、1分)を行い、透光性樹脂層6を形成した。
次に、重量平均分子量50万の付加反応型シリコーン系粘着剤100部に白金系触媒1部を加えて35質量%トルエン溶液としたものを、厚さ25μmのポリエステル製セパレートフィルムの片面に塗布し、120℃で5分間加熱して厚さ25μmの粘着層8(Si系)を形成した後、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの銀反射層3と反対面側にラミネートし、実施例1のフィルムミラー10aを得た(図1A参照)。
また、太陽熱発電用反射装置20e(A−1)と同様の方法により、実施例1のフィルムミラー10aを用いて、太陽熱発電用反射装置20a(C−1)を作製した(図1B参照)。
[実施例2]
(実施例2のフィルムミラーの作製)
樹脂フィルム状支持体の樹脂基材1として、二軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ25μm)を用いた。上記樹脂基材1の片面に、ポリエステル樹脂(ポリエスター SP−181 日本合成化学製)、メラミン樹脂(スーパーベッカミンJ−820 DIC製)、TDI系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)、HDMI系イソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率で20:1:1:2に、固形分濃度10%となるようにトルエン中に混合した樹脂を、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ0.1μmのアンカー層2を形成し、そのアンカー層2上に光反射層として、真空蒸着法により厚さ100nmの銀反射層3を形成した。
(実施例2のフィルムミラーの作製)
樹脂フィルム状支持体の樹脂基材1として、二軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ25μm)を用いた。上記樹脂基材1の片面に、ポリエステル樹脂(ポリエスター SP−181 日本合成化学製)、メラミン樹脂(スーパーベッカミンJ−820 DIC製)、TDI系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)、HDMI系イソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率で20:1:1:2に、固形分濃度10%となるようにトルエン中に混合した樹脂を、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ0.1μmのアンカー層2を形成し、そのアンカー層2上に光反射層として、真空蒸着法により厚さ100nmの銀反射層3を形成した。
更に、銀反射層3上に、ポリエステル系樹脂とTDI系イソシアネートを樹脂固形分比率で10:2に混合した樹脂に対して、銀の腐食防止剤として2−メルカプトベンゾチアゾールを樹脂に対して10質量%となるように添加し、MEKにより固形分を5%に調整した塗布液を、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ3.0μmの腐食防止層4を形成した。
次に、上記腐食防止層4上に、アクリル樹脂(三菱レイヨン製アクリペットVH)、UV吸収剤(BASF製Tinuvin477)を固形分比95:5で、MEK中に固形分20%で溶解した後、押し出しコーターにて上記銀反射層上に、膜厚30μmとなるように塗布、乾燥(90℃、1分)を行い、UV吸収剤入り透光性樹脂層6を形成した。
次に、重量平均分子量50万の付加反応型シリコーン系粘着剤100部に白金系触媒1部を加えて35質量%トルエン溶液としたものを、厚さ25μmのポリエステル製セパレートフィルムの片面に塗布し、120℃で5分間加熱して厚さ25μmの粘着層8(Si系)を形成した後、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの銀反射層3と反対面側にラミネートし、実施例2のフィルムミラー10bを得た(図2A参照)。
また、太陽熱発電用反射装置20e(A−1)と同様の方法により、実施例2のフィルムミラー10bを用いて、太陽熱発電用反射装置20b(D−1)を作製した(図2B参照)。
[実施例3]
(実施例3のフィルムミラーの作製)
実施例2のUV吸収剤入り透光性樹脂層6上に、UV硬化型透明ハードコート層7(東洋インキ製リオデュラスTYZ:膜厚5μm)を塗布する以外は、全て実施例2と同様の方法により、実施例3のフィルムミラー10cを得た(図3A参照)。
(実施例3のフィルムミラーの作製)
実施例2のUV吸収剤入り透光性樹脂層6上に、UV硬化型透明ハードコート層7(東洋インキ製リオデュラスTYZ:膜厚5μm)を塗布する以外は、全て実施例2と同様の方法により、実施例3のフィルムミラー10cを得た(図3A参照)。
また、太陽熱発電用反射装置20e(A−1)と同様の方法により、実施例3のフィルムミラー10cを用いて、太陽熱発電用反射装置20c(E−1)を作製した(図3B参照)。
[実施例4]
(実施例4のフィルムミラーの作製)
実施例3の腐食防止層4上に、ジブチルエーテル中(クラリアント社製 NL120)の3%パーヒドロポリシラザン液を用いて、乾燥後の膜の厚さが100nmとなるようにバーコーティングし、3分間自然乾燥した後、90℃のオーブンで30分間アニールし、ガスバリアー層5を設ける以外は、実施例3と同様の方法により、実施例4のフィルムミラー10dを得た(図4A参照)。
(実施例4のフィルムミラーの作製)
実施例3の腐食防止層4上に、ジブチルエーテル中(クラリアント社製 NL120)の3%パーヒドロポリシラザン液を用いて、乾燥後の膜の厚さが100nmとなるようにバーコーティングし、3分間自然乾燥した後、90℃のオーブンで30分間アニールし、ガスバリアー層5を設ける以外は、実施例3と同様の方法により、実施例4のフィルムミラー10dを得た(図4A参照)。
また、太陽熱発電用反射装置20e(A−1)と同様の方法により、実施例4のフィルムミラー10dを用いて、太陽熱発電用反射装置20d(F−1)を作製した(図4B参照)。
又、上記太陽熱発電用反射装置(C−1)〜(F−1)を作製する際に、厚さ0.1mm、縦4cm×横5cmのアルミ板からなる支持基材に替えて、各フィルムミラーの粘着層8と、サンドイッチ構造を有する支持基材9を貼り合わせた太陽熱発電用反射装置を作製した((C−2)〜(F−2))。
サンドイッチ構造を有する支持基材9とは、例えば、中空構造を有する樹脂層を金属平板で挟んだ材料を言う。ここでは、厚さ0.12mmのアルミニウムを用いた一対の金属平板で、中間層となる厚さ1.76mmの発泡ポリエチレン樹脂層を挟んでなる、厚さ2mmのサンドイッチ構造を有する支持基材9を使用した。
さらに、上記太陽熱発電用反射装置(C−1)〜(F−1)を作製する際に、厚さ0.1mm、縦4cm×横5cmのアルミ板からなる支持基材に替えて、各フィルムミラーの粘着層8と、中空構造を有する支持基材9を貼り合わせた太陽熱発電用反射装置を作製した((C−3)〜(F−3))。中空構造とは前述した支持基材9が、中空構造を有する樹脂材料からなる層とした場合で、具体的にはハニカム構造を有する厚さ3mmのポリプロピレン層を、厚さ0.3mmのアルミ板で両側からサンドイッチした構造の樹脂ハニカムプレートを用いた。
上記の支持基材を用いて作製した太陽熱発電用反射装置の重さ及び駆動電力消費率を測定した結果、従来の太陽熱発電用反射装置に対して大幅に軽量化でき、その結果、搬送効率がアップし、作業の短縮化が図れ、コスト低減にも寄与した。
なお、実施例1〜4のフィルムミラーの作製において、透光性樹脂層の中心線平均粗さ測定した結果、中心線平均粗さ(Ra)が3nm以上20nm以下であることを確認した。これに対し、銀反射層と粘着層が接触する比較例−1,2は中心線平均粗さ(Ra)がそれぞれ50nmと65nmであった。
中心線平均粗さ(Ra)はJIS B0601−1982に基づき測定した。測定機器はVeeco社製WYCO VISION32を用いて2mm角のエリアを測定した。
[評価]
上記で得た太陽熱発電用反射装置(太陽光反射用ミラー)について、下記の方法により正反射率及び耐候性、耐光性等の測定をそれぞれ行った。
上記で得た太陽熱発電用反射装置(太陽光反射用ミラー)について、下記の方法により正反射率及び耐候性、耐光性等の測定をそれぞれ行った。
<正反射率の測定>
島津製作所社製の分光光度計「UV265」に、積分球反射付属装置を取り付けたものを改造し、反射面の法線に対して、入射光の入射角を5°となるように調整し、反射角5°の正反射率を測定した。評価は、350nmから700nmまでの平均反射率として測定した。
島津製作所社製の分光光度計「UV265」に、積分球反射付属装置を取り付けたものを改造し、反射面の法線に対して、入射光の入射角を5°となるように調整し、反射角5°の正反射率を測定した。評価は、350nmから700nmまでの平均反射率として測定した。
<正反射率の耐候性試験>
温度85℃、湿度85%RHの条件で30日間放置後の太陽熱発電用反射装置(太陽光反射用ミラー)の正反射率を、上記光線反射率測定と同様の方法により測定し、強制劣化前の太陽光反射用ミラーの正反射率と強制劣化後のフィルムミラーの正反射率から、正反射率の低下率を算出した。以下に耐候性試験の評価基準を記す。
5:正反射率の低下率が5%未満
4:正反射率の低下率が5%以上10%未満
3:正反射率の低下率が10%以上15%未満
2:正反射率の低下率が15%以上20%未満
1:正反射率の低下率が20%以上
<太陽光反射用ミラーの黄色変化>
得られたサンプルを岩崎電気製アイスーパーUVテスターを用いて、65℃の環境下で7日間紫外線照射を行ったのち、目視により黄色変化を行った。
○:目視で色味の差が見えない。
△:目視で色味の差がわずかに見える。
×:目視で色味の差がはっきり見える。
温度85℃、湿度85%RHの条件で30日間放置後の太陽熱発電用反射装置(太陽光反射用ミラー)の正反射率を、上記光線反射率測定と同様の方法により測定し、強制劣化前の太陽光反射用ミラーの正反射率と強制劣化後のフィルムミラーの正反射率から、正反射率の低下率を算出した。以下に耐候性試験の評価基準を記す。
5:正反射率の低下率が5%未満
4:正反射率の低下率が5%以上10%未満
3:正反射率の低下率が10%以上15%未満
2:正反射率の低下率が15%以上20%未満
1:正反射率の低下率が20%以上
<太陽光反射用ミラーの黄色変化>
得られたサンプルを岩崎電気製アイスーパーUVテスターを用いて、65℃の環境下で7日間紫外線照射を行ったのち、目視により黄色変化を行った。
○:目視で色味の差が見えない。
△:目視で色味の差がわずかに見える。
×:目視で色味の差がはっきり見える。
<防汚性試験>
太陽光反射用ミラーを幅10cm×長さ10cmの試験片に切り抜き、アルミ製の枠に固定し、45°に傾けて屋外に暴露した(平成22年1〜6月、場所:東京都八王子市)。屋外暴露6ヵ月後の汚れの程度を目視観察し、3段階(○:埃の付着無し、△:埃の付着少々、×:埃の付着多い)で評価した。
太陽光反射用ミラーを幅10cm×長さ10cmの試験片に切り抜き、アルミ製の枠に固定し、45°に傾けて屋外に暴露した(平成22年1〜6月、場所:東京都八王子市)。屋外暴露6ヵ月後の汚れの程度を目視観察し、3段階(○:埃の付着無し、△:埃の付着少々、×:埃の付着多い)で評価した。
<鉛筆硬度試験>
JIS−K5400に基づいて、各サンプルの45°傾斜、1kg荷重における鉛筆硬度を測定した。
JIS−K5400に基づいて、各サンプルの45°傾斜、1kg荷重における鉛筆硬度を測定した。
<質量>
得られた太陽光反射用ミラーF−1、F−2の1.0m2サイズの質量を測定した結果を表3に示す。
得られた太陽光反射用ミラーF−1、F−2の1.0m2サイズの質量を測定した結果を表3に示す。
<駆動電力消費率>
太陽熱発電用反射装置を太陽追尾型の装置に組み込んだ際、太陽熱発電用反射装置F−1を組み込んだ1基の追尾にかかる駆動電力を100とした時の比率を表3に示す。
太陽熱発電用反射装置を太陽追尾型の装置に組み込んだ際、太陽熱発電用反射装置F−1を組み込んだ1基の追尾にかかる駆動電力を100とした時の比率を表3に示す。
得られた各種フィルムミラーの構成内容(層構成)を表1に、特性を評価した結果を表2に示す。
表2、3に示した評価結果から明らかなように、本発明に係る実施例の各種特性は、比較例に対して優れていることが分かる。すなわち、本発明の上記手段により、銀反射層3の劣化による正反射率の低下を防止するとともに、軽量で柔軟性があり、製造コストを抑え大面積化・大量生産することのできる耐光性、耐候性及び防汚性、耐傷性に優れ、太陽光に対して良好な正反射率を有するフィルムミラー、その製造方法、及びそれを用いた太陽熱発電用反射装置を提供することができることが分かる。
すなわち、本発明によれば、銀反射層3の劣化による正反射率の低下を防止するとともに、軽量で柔軟性があり、製造コストを抑え大面積化・大量生産することのでき、耐傷性、防汚性に優れ、過酷な環境に長期間設置しても、太陽光に対して良好な正反射率を長期間保ち続けることができる耐候性の優れた太陽熱発電用のフィルムミラー(10a、10b、10c、10d)と太陽熱発電用反射装置(20a、20b、20c、20d)を提供することができることが分かる。
特に、本発明に係るフィルムミラー(10a、10b、10c、10d)は、接着剤を用いた接着層で樹脂フィルム同士を貼り合わせることなく、樹脂基材1に対して順次、各構成層の材料の塗布・塗工や成膜を繰り返し、所定の構成層を積層するようにして製造しているので、構成層間に気泡や異物が混入してしまうようなことはない。従って、本発明のフィルムミラーでは、構成層間に気泡や異物が混入したことによる光反射性の低下を招くような不具合は生じない。
また、塗布方式で透光性樹脂層6を形成したことによって、透光性樹脂層6の平滑性を高めることができ、具体的には、透光性樹脂層6の中心線平均粗さ(Ra)を3nm以上20nm以下にすることができるので、従来技術のように、樹脂フィルムが有する表面凹凸によって反射光が散乱してしまうことはなく、本発明のフィルムミラーは、好適な光反射性を有する。
[実施例5]
(太陽熱発電用反射装置G−1の作製)
実施例3のフィルムミラー10cの作製において、30μmの透光性樹脂層の厚さを、押し出しコーターの流量のみを変え、膜厚が5μmになるようフィルムミラーを作製した。その後、太陽熱発電用反射装置20e(A−1)と同様の方法により、このフィルムミラーを用いて、太陽熱発電用反射装置(G−1)を作製した。
(太陽熱発電用反射装置G−1の作製)
実施例3のフィルムミラー10cの作製において、30μmの透光性樹脂層の厚さを、押し出しコーターの流量のみを変え、膜厚が5μmになるようフィルムミラーを作製した。その後、太陽熱発電用反射装置20e(A−1)と同様の方法により、このフィルムミラーを用いて、太陽熱発電用反射装置(G−1)を作製した。
(太陽熱発電用反射装置H−1及びI−1の作製)
太陽熱発電用反射装置G−1の作製において、透光性樹脂層の厚さのみ、表4のように変えて、フィルムミラーを作製した。このフィルムミラーを用いて、太陽熱発電用反射装置20e(A−1)と同様の方法により、それぞれ、太陽熱発電用反射装置H−1及びI−1を作製した。なお、透光性樹脂層の厚さのみを同様にして170μmに変更したフィルムミラーの作製を試みたが、乾燥の際に、溶剤を十分に蒸発させるためには塗布速度を下げなければならなかった。このため大幅に生産性を下げる結果となった。
太陽熱発電用反射装置G−1の作製において、透光性樹脂層の厚さのみ、表4のように変えて、フィルムミラーを作製した。このフィルムミラーを用いて、太陽熱発電用反射装置20e(A−1)と同様の方法により、それぞれ、太陽熱発電用反射装置H−1及びI−1を作製した。なお、透光性樹脂層の厚さのみを同様にして170μmに変更したフィルムミラーの作製を試みたが、乾燥の際に、溶剤を十分に蒸発させるためには塗布速度を下げなければならなかった。このため大幅に生産性を下げる結果となった。
これらの太陽熱発電用反射装置と実施例3で作製した太陽熱発電用反射装置(E−1)とについて、それぞれ、正反射率の耐候性試験及び太陽光反射用ミラーの黄色変化の試験と評価を前記した方法で行った。その結果を表4に示す。
表4の結果から、透光性樹脂層の厚さが10〜150μmの範囲内にあると、耐候性試験と太陽光反射用ミラーの黄色変化試験に加えて生産性が共に良好な結果が得られることが分かる。
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本発明のフィルムミラーは、太陽光を集光する実用に耐えうる高い耐傷性、耐候性と高い反射率を有し、太陽熱発電用反射装置に好適に使用できる。
1 樹脂基材
2 アンカー層
3 銀反射層(光反射層)
4 腐食防止層
5 ガスバリアー層
6 透光性樹脂層
7 ハードコート層
8 粘着層
9 支持基材
11 接着層
10a、10b、10c、10d フィルムミラー
20a、20b、20c、20d 太陽熱発電用反射装置
2 アンカー層
3 銀反射層(光反射層)
4 腐食防止層
5 ガスバリアー層
6 透光性樹脂層
7 ハードコート層
8 粘着層
9 支持基材
11 接着層
10a、10b、10c、10d フィルムミラー
20a、20b、20c、20d 太陽熱発電用反射装置
Claims (10)
- 光入射側から順に、透光性樹脂層、光反射層、樹脂基材、及び粘着層を少なくとも有するフィルムミラーであって、
前記透光性樹脂層は紫外線吸収剤を含有しており、その透光性樹脂層の厚さが10μm以上150μm以下であることを特徴とするフィルムミラー。 - 前記透光性樹脂層が、前記光反射層の光入射側の面上または前記光反射層よりも光入射側に設けられた構成層の面上に、接着層を介さずに直接形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルムミラー。
- 前記透光性樹脂層の表面の中心線平均粗さ(Ra)が3nm以上20nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルムミラー。
- 前記光反射層の光入射側に隣接して、腐食防止層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のフィルムミラー。
- 前記透光性樹脂層の光入射側の面に、ハードコート層が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のフィルムミラー。
- 前記光反射層よりも光入射側に、ガスバリアー層が設けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のフィルムミラー。
- 請求項1〜6の何れか一項に記載のフィルムミラーを製造するフィルムミラーの製造方法であって、
前記光反射層の光入射側の面上または前記光反射層よりも光入射側に設けられた構成層の面上に、前記透光性樹脂層となる材料を直接塗布することによって、前記透光性樹脂層を形成することを特徴とするフィルムミラーの製造方法。 - 請求項1〜6の何れか一項に記載のフィルムミラーにおける前記粘着層を、支持基材に接合して形成したことを特徴とする太陽熱発電用反射装置。
- 前記支持基材は、中空構造を有する樹脂材料からなることを特徴とする請求項8に記載の太陽熱発電用反射装置。
- 前記支持基材は、一対の金属平板と、前記金属平板間に介装された中間層を有し、前記中間層は中空構造を有する材料または樹脂材料からなることを特徴とする請求項8に記載の太陽熱発電用反射装置。
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