JPWO2012165380A1 - 電子増倍部及びそれを含む光電子増倍管 - Google Patents

電子増倍部及びそれを含む光電子増倍管 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2012165380A1
JPWO2012165380A1 JP2012547375A JP2012547375A JPWO2012165380A1 JP WO2012165380 A1 JPWO2012165380 A1 JP WO2012165380A1 JP 2012547375 A JP2012547375 A JP 2012547375A JP 2012547375 A JP2012547375 A JP 2012547375A JP WO2012165380 A1 JPWO2012165380 A1 JP WO2012165380A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dynodes
columnar
lower frame
electron
electron multiplier
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012547375A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5154717B2 (ja
Inventor
英樹 下井
英樹 下井
浩之 久嶋
浩之 久嶋
圭祐 井上
圭祐 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hamamatsu Photonics KK
Original Assignee
Hamamatsu Photonics KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hamamatsu Photonics KK filed Critical Hamamatsu Photonics KK
Application granted granted Critical
Publication of JP5154717B2 publication Critical patent/JP5154717B2/ja
Publication of JPWO2012165380A1 publication Critical patent/JPWO2012165380A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J43/00Secondary-emission tubes; Electron-multiplier tubes
    • H01J43/04Electron multipliers
    • H01J43/06Electrode arrangements
    • H01J43/18Electrode arrangements using essentially more than one dynode
    • H01J43/22Dynodes consisting of electron-permeable material, e.g. foil, grid, tube, venetian blind
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J43/00Secondary-emission tubes; Electron-multiplier tubes
    • H01J43/04Electron multipliers
    • H01J43/06Electrode arrangements
    • H01J43/10Dynodes

Landscapes

  • Electron Tubes For Measurement (AREA)
  • Measurement Of Radiation (AREA)

Abstract

本発明は、小型化された場合でも発光ノイズを効果的に抑制する電子増倍部等に関し、各段のダイノードは、それぞれが物理的に分離された外周面を有する複数の柱状部を備え、各柱状部は、電子増倍部が配置される設置面に平行な断面の面積又は外周長が当該柱状部における外周面上のいずれかの位置で最小になる形状に加工されている。

Description

本発明は、外部からの入射光を検出する光電子増倍管、及び該光電子増倍管を含む種々のセンサデバイスに適用可能な電子増倍部に関するものである。
従来から、微細加工技術を利用した小型の光電子増倍管の開発が進められている。例えば、透光性の絶縁基板上に光電面、ダイノード、及びアノードが配置された平面型の光電子増倍管が知られている(特許文献1参照)。このような構造によって、微弱光の検出が実現されるとともに、装置の小型化も図られている。
米国特許第5,264,693号
発明者は上述の従来の光電子増倍管について検討した結果、以下のような課題を発見した。
すなわち、従来の光電子増倍管では、絶縁基板上に電位の異なる構造物が近接して配置されている。そのため、光電子増倍管が小型化された場合、生成された二次電子が絶縁基板上に入射することで、不要な発光が生じてしまい、これがノイズ源となってしまう。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、小型化された場合でも発光ノイズを効果的に抑制するためのダイノード構造を備えた電子増倍部、及びそれを含む光電子増倍管を提供することを目的としている。
本発明に係る電子増倍部は、所定の設置面上の第1方向に沿って該設置面上に順次配置され、第1方向と平行な方向に沿って進行する電子をカスケード増倍する複数段のダイノードを備える。また、複数段のダイノードそれぞれは、設置面上で第1方向と直交する第2方向に沿って伸びた共通の台座部と、それぞれが所定距離だけ離間した状態で台座部に設置されることにより台座部を介して電気的に接続された複数の柱状部を備える。なお、各柱状部は、設置面に垂直な第3方向に沿って伸び、かつ、物理的に分離された外周面で規定される側壁形状を有する。
上述のような構造を備えた電子増倍部の第1の態様として、複数段のダイノードそれぞれにおいて、複数の柱状部のうち少なくともいずれかの柱状部は、第3方向に直交する断面の面積又は外周長が、当該柱状部における外周面のいずれかの位置で最小になるよう加工された形状を有するのが好ましい。
上述のような構造を備えた電子増倍部の第2の態様として、複数段のダイノードそれぞれにおいて、複数の柱状部のうち少なくともいずれかの柱状部の外周面のうち単一の二次電子放出面が形成される領域の表面形状は、第1及び第3方向の双方を含む平面によって規定される断面において、当該柱状部の内部に向かって突出した1又はそれ以上の窪み形状を含む線分により規定されるのが好ましい。
さらに、上述のような構造を備えた電子増倍部の第3の態様として、複数段のダイノードそれぞれにおいて、複数の柱状部のうち少なくともいずれかの柱状部は、第1及び第3方向の双方を含む平面によって規定される断面において、第1方向に沿った長さで規定される当該柱状部の幅が当該柱状部における外周面のいずれかの位置で最小になるよう加工された断面形状を有するのが好ましい。
なお、上記第1〜第3の態様のそれぞれは、単独でも実施可能であり、また、第1〜第3の態様のうち2以上の態様の組合せも実施可能である。これら第1〜第3の態様は、単独でもまたそれらの組み合わせによっても、二次電子放出面が形成される領域がくびれた構造を有するダイノード、特に柱状部を実現し得る。
上記第1〜第3の態様のうち少なくともいずれかに適用可能な第4の態様として、複数段のダイノードそれぞれにおいて、複数の柱状部のうち少なくともいずれかの柱状部の外周面のうち単一の二次電子放出面が形成される領域の表面形状は、1又はそれ以上の曲面、1又はそれ以上の平面、又はこれらの組み合わせにより構成されるのが好ましい。
さらに、第5の態様として、本発明に係る光電子増倍管は、外囲器と、光電面と、電子増倍部と、陽極を備える。外囲器は、内部が減圧状態に維持された外囲器であって、少なくともその一部が、設置面を有する絶縁性材料からなる基板により構成されている。光電面は、外囲器の内部空間に収納され、外囲器を介して取り込まれた光に応じて光電子を該外囲器の内部に放出する。電子増倍部は、外囲器の内部空間に収納された状態で設置面上に配置されている。また、第5態様に係る光電子増倍管の電子増倍管には、上記第1〜第4の態様のうち少なくともいずれかの態様に係る電子増倍部が適用可能である。陽極は、外囲器の内部空間に収納された状態で設置面上に配置され、電子増倍部でカスケード増倍された電子のうち到達した電子を信号として取り出すための電極である。
上記第5の態様に適用可能な第6の態様として、隣接するダイノード間における互いに対面する領域の関係として、一方のダイノードにおける柱状部の外周面のうち単一の二次電子放出面が形成される領域と、他方のダイノードにおける柱状部の外周面のうち単一の二次電子放出面が形成される領域とは、前記第1及び第3方向の双方を含む平面によって規定される断面において互いに遠ざかる方向に窪んだ表面形状を有するのが好ましい。
上記第5〜第6の態様のうち少なくともいずれかに適用可能な第7の態様として、外囲器は、下側フレーム、上側フレーム、側壁フレームにより構成されてもよい。下側フレームは、設置面を有する少なくとも一部が絶縁材料からなる。上側フレームは、下側フレームに対向するよう配置され、下側フレームの設置面に対面する面を有する少なくとも一部が絶縁材料からなる。側壁フレームは、上側フレーム及び下側フレームの間に設けられ、電子増倍部及び陽極を取り囲む形状を有する。また、この第7の態様において、電子増倍部と陽極は、互いに所定距離だけ離間した状態で設置面上に配置されるのが好ましい。
上記第5〜第7の態様のうち少なくともいずれかに適用可能な第8の態様として、当該光電子増倍管は、設置面上に所定距離だけ離間した状態で配置された複数の窪み部であって、それぞれが、設置面上の第2方向に沿って伸びた複数の窪み部を備えてもよい。この第8の態様において、複数段のダイノードそれぞれは、その台座部が複数の窪み部の間に位置するよう該設置面上に配置されるのが好ましい。
なお、この発明に係る各実施例は、以下の詳細な説明及び添付図面によりさらに十分に理解可能となる。これら実施例は単に例示のために示されるものであって、この発明を限定するものと考えるべきではない。
また、この発明のさらなる応用範囲は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、詳細な説明及び特定の事例はこの発明の好適な実施例を示すものではあるが、例示のためにのみ示されているものであって、この発明の範囲における様々な変形及び改良はこの詳細な説明から当業者には自明であることは明らかである。
本実施形態に係る光電子増倍管によれば、電子増倍部が、下側フレームの対向面に平行な第1方向に沿って順次配置された複数段のダイノードで構成されている。また、第1方向を含みかつ下側フレームの対向面に直交する面で規定される、ダイノードにおける各柱状部の断面は、第1方向に沿った幅が該柱状部の下側フレーム側端部と上側フレーム側端部との間で最小になる形状を有する。このように、柱状部における二次電子放出面の形状を、該柱状部の高さ方向に沿って窪んだ形状に加工することにより、二次電子放出面から下側フレーム又は上側フレームへ向かう電子の軌道が効果的に修正される。
は、本発明に係る光電子増倍管の一実施形態の構成を示す斜視図である。 は、図1の光電子増倍管の分解斜視図である。 は、図1の側壁フレームの平面図である。 は、図1の側壁フレーム及び下側フレームの要部を示す一部破断斜視図(図1の光電子増倍管のII−II線に沿った断面を含む)である。 は、図1の光電子増倍管のV−V線に沿った断面図である。 は、図1の側壁フレーム及び下側フレームの、特に電子増倍部近傍の一部破断斜視図である。 は、図6の電子増倍部及びその構成要素の構造を説明するための図であり、(A)は、図6の電子増倍部の一部破断図、(B)は、柱状部の形状を示す斜視図、(C)は、柱状部表面の形状を示す斜視図である。 は、柱状部の構造を説明するための図であり、(A)は、図7(B)のI−I線に沿った柱状部の一部破断図、(B)は、(A)における断面形状を曲線により実現する場合のバリエーションを示す図、(C)は、(A)における断面形状を直線により実現する場合のバリエーションを示す図である。 は、二次電子放出面が形成される柱状部表面の加工シミュレーションを説明するための図である。 は、図1の光電子増倍管のII−II線に沿った断面であって、電子増倍部の一部を構成するダイノード(二次電子放出面が形成された柱状部)の一例の、具体的な設置状態を説明するための図である。 は、図10と同様に光電子増倍管内に設置されたダイノード(二次電子放出面が形成された柱状部)の他の例の構造を示す図(図1の光電子増倍管のII−II線に沿った断面に一致)であって、(A)は、従来のダイノードの断面形状、(B)は、第1変形例に係るダイノードの断面形状、(C)は、第2変形例に係るダイノードの断面形状を示す図である。 は、本実施形態の効果を説明するための図(図1の光電子増倍管のII−II線に沿った断面に一致)であり、(A)は、従来構造を示し、(B)は、本実施形態の構造を示す図である。 は、第3変形例に係るダイノードの断面形状を具体的な設置状態とともに示すとともに、該第3変形例に係るダイノードの効果を説明するための図(図1の光電子増倍管のII−II線に沿った断面に一致)である。 は、図1の光電子増倍管における各部の構造を示す図あり、(A)は、図1の上側フレームを裏面側から見た底面図、(B)は、図1の側壁フレームの平面図である。 は、図14の上側フレームと側壁フレームとの接続状態を示す斜視図である。 は、図1の側壁フレーム及び下側フレームの一部破断斜視図(図1の光電子増倍管のII−II線に沿った断面に一致)であり、(A)は、第1構造の下側フレームが適用された図、(B)は、第2構造例の下側フレームが適用された図である。 は、第1比較例に係る電子増倍部の平面図である。 は、第2比較例に係る電子増倍部の平面図である。 は、本発明の第1変形例に係る光電子増倍管における下側フレームの斜視図である。 は、図19の下側フレームを裏面側から見た底面図である。 は、本発明の第2変形例に係る光電子増倍管における下側フレームの斜視図であり、(A)は、第2変形例に係る光電子増倍管に適用可能な下側フレームの第3構造、(B)は、第2変形例に係る光電子増倍管に適用可能な下側フレームの第4構造を示す図である。
以下、本発明に係るダイノード、電子増倍部、及び光電子増倍管の各実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明に係る光電子増倍管の一実施形態の構成を示す斜視図であり、図2は、図1の光電子増倍管1の分解斜視図である。
図1に示された光電子増倍管1は、透過型の光電面を有する光電子増倍管であって、上側フレーム(第2の基板)2と、側壁フレーム3と、上側フレーム2に対して側壁フレーム3を挟んで対向する下側フレーム(第1の基板)4により構成された外囲器である筐体5を備える。この光電子増倍管1は、光電面への光の入射方向と、電子増倍部での電子の増倍方向が交差する電子管である。つまり、光電子増倍管1は、図1の矢印Aで示された、下側フレーム4が構成する平面と交わる方向から光が入射されると、光電面から放出された光電子が電子増倍部に入射し、矢印Bで示された、矢印Aで示された方向と交わる方向に二次電子をカスケード増幅し、陽極部から信号を取り出す電子管である。
なお、以下の説明においては、電子増倍方向に沿って、電子増倍路(電子増倍チャネル)の上流側(光電面側)を“一端側”とし、下流側(陽極部側)を“他端側”とする。引き続いて、光電子増倍管1の各構成要素について詳細に説明する。
図2に示されたように、上側フレーム2は、矩形平板状の絶縁性のセラミックスを主材料とする配線基板20を基材として構成されている。このような配線基板としては、微細な配線設計が可能で、かつ表裏の配線パターンを自由に設計できるLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics:低温同時焼成セラミックス)等を用いた多層配線基板が用いられる。配線基板20には、その主面20b上に、側壁フレーム3、後述する光電面41、集束電極31、壁状電極32、電子増倍部33、及び陽極部34と電気的に接続されて外部からの給電や信号の取り出しを行う複数の導電性端子201A〜201Dが設けられている。導電性端子201Aは側壁フレーム3の給電用として、導電性端子201Bは、光電面41、集束電極31、及び壁状電極32の給電用として、導電性端子201Cは、電子増倍部33の給電用として、導電性端子201Dは、陽極部34の給電及び信号取り出し用として、それぞれ設けられている。これらの導電性端子201A〜201Dは、配線基板20の内部で主面20bに対して対向する絶縁性の対向面20a上の導電膜や導電性端子(詳細は後述する)と相互に接続され、これらの導電膜、導電性端子と側壁フレーム3、光電面41、集束電極31、壁状電極32、電子増倍部33、及び陽極部34とが接続される。また、上側フレーム2は、導電性端子201を設けた多層配線基板に限らず、外部からの給電や信号の取り出しを行う導電性端子が貫通して設けられた、ガラス基板等の絶縁材料からなる板状部材でもよい。
側壁フレーム3は、矩形平板状のシリコン基板30を基材として構成されている。シリコン基板30の主面30aからそれに対向する面30bに向かって、枠状の側壁部302に囲まれた貫通部301が形成されている。この貫通部301はその開口が矩形であって、その外周はシリコン基板30の外周に沿うように形成されている。
この貫通部301内には、一端側から他端側に向かって、壁状電極32、集束電極31、電子増倍部33、及び陽極部34が配置されている。これらの壁状電極32、集束電極31、電子増倍部33、及び陽極部34は、シリコン基板30をRIE(Reactive Ion Etching)加工等によって加工することにより形成され、シリコンを主要材料としている。
壁状電極32は、後述するガラス基板40の対向面40aと正対する方向(対向面40aに対する略垂直方向)から見て、後述する光電面41を取り囲むように形成された枠状の電極である。また、集束電極31は、光電面41から放出された光電子を集束して電子増倍部33へと導くための電極であり、光電面41と電子増倍部33との間に設けられている。
電子増倍部33は、光電面41から陽極部34に向う電子増倍方向(図1の矢印Bで示された方向、以下同じ)に沿って異なる電位に設定されるN段(Nは2以上の整数)のダイノード(電子増倍部)から構成されており、各段を跨って電子増倍方向に伸びる、複数の電子増倍路(電子増倍チャネル)を有している。また、陽極部34は光電面41とともに電子増倍部33を挟む位置に配置される。
これら壁状電極32、集束電極31、電子増倍部33、及び陽極部34は、それぞれ、下側フレーム4に陽極接合、拡散接合、さらには低融点金属(例えばインジウム)等の封止材を用いた接合等によって固定されており、これにより該下側フレーム4上に二次元的に配置される。
下側フレーム4は、矩形平板状のガラス基板40を基材として構成されている。このガラス基板40は、絶縁材料であるガラスによって配線基板20の対向面20aに対向し、筐体5の内面である対向面40aを形成する。対向面40a上における、側壁フレーム3の貫通部301に対向する部位(側壁部302との接合領域以外の部位)であって、陽極部34側と反対側の端部には、透過型光電面である光電面41が形成されている。また、対向面40a上の電子増倍部33及び陽極部34が搭載される部位には、増倍電子の対向面40aへの入射を防止するための、複数の矩形状の窪み部42が形成されている。なお、電子増倍部33を構成する複数段のダイノード、及び陽極34は、複数の窪み部42の間の平面部である中間部42a上に配置される。
次に、図3〜図5を参照して、光電子増倍管1の内部構造について詳細に説明する。図3は、図1の側壁フレーム3の平面図、図4は、図1の側壁フレーム3及び下側フレーム4の要部を示す一部破断斜視図(図1の光電子増倍管のII−II線に沿った断面を含む)、図5は、図1の光電子増倍管のV−V線に沿った断面図である。
図3に示されたように、貫通部301内の電子増倍部33は、対向面40a上の一端側から他端側に向けて(電子増倍方向である矢印Bの示す方向に向けて)、順に離間して配列された複数段のダイノード33a〜33lから構成されている。これらの複数段のダイノード33a〜33lは、矢印Bの示す方向に沿って、一端側の第1段目のダイノード33aから他端側の最終段(第N段目)のダイノード33lにかけて連続するように設けられたN個の電子増倍孔から構成された電子増倍チャネルCを複数並列に形成している。なお、集束電極31と第1段目のダイノード33aとの間と、複数段のダイノード33a〜33lにおける隣接するダイノード同士の間、及び最終段のダイノード33lと陽極34との間には窪み部42が設けられており、複数段のダイノード33a〜33lは、図2の下側フレーム2に設けられた複数の窪み部42の間に位置する平面部である中間部42a上にそれぞれ配置される。
また、光電面41は、一端側の第1段目のダイノード33aから、集束電極31を挟んだ対向面40a上の一端側に離間して設けられている。この光電面41は、ガラス基板40の対向面40a上に矩形状の透過型光電面として形成されている。外部から下側フレーム4であるガラス基板40を透過した入射光が光電面41に到達すると、この入射光に応じた光電子が放出され、その光電子は壁状電極32及び集束電極31によって第1段目のダイノード33aへと導かれる。
また、陽極部34は、他端側の最終段のダイノード33lから対向面40a上の他端側に離間して設けられている。この陽極部34は、電子増倍部33によって電子増倍チャネルC内を矢印Bの示す方向に増倍してきた電子を、電気信号として外部に取り出すための電極であり、電子増倍チャネルCのそれぞれに対して複数の凹部を有している。各凹部は、下側フレーム4の対向面40aと垂直な方向から見て、電子増倍部33に対面する一方の側壁面側が開放される一方で他方の側壁面側で閉じられた袋状になっており、一方の側壁面側の凹部の入り口部には、入り口空間を狭窄するような突出部を備えている。つまり、陽極部34は、凹部に入り込んだ増倍電子を閉じ込めるような形状になっており、より確実に増倍電子を信号として取り出すことができる。なお、陽極部34と、陽極部34の他端側面に対向する側壁部302との間にも窪み部42が存在し、陽極部34は窪み部42の間に位置する平面部である中間部42a上に配置される。
図4に示されたように、複数段のダイノード33a〜33dのそれぞれは、下側フレーム4の対向面40a上に形成された複数の窪み部42の間に位置する平面部である中間部42a上に配置されており、該複数の窪み部42それぞれの底部からは離間している。ダイノード33aは、対向面40aに沿って電子増倍方向に対してほぼ垂直な方向に配列され、上側フレーム2の対向面20aに向かってほぼ垂直に延びる複数の柱状部51aと、複数の柱状部51a(51)の窪み部42側の端部に連続的に形成され、窪み部42の底部に沿って電子増倍方向に対してほぼ垂直な方向に延びる台座部(支持台)52a(330)とを含む。また、ダイノード33b〜33dに関しても、それぞれの複数の柱状部51b〜51d、及びそれぞれの台座部52b〜52dに関して、ダイノード33aと同様の構造を有する。それぞれの柱状部51a〜51dにおける隣接する部材間に電子増倍チャネルCが形成され、台座部52a〜52dはこの電子増倍チャネルCが形成される領域A(図3)を跨るように設けられている。ここで、台座部52a〜52dは、それぞれの複数の柱状部51a〜51dを互いに電気的に接続するとともに、複数の柱状部51a〜51dを窪み部42の底部から離間して保持する役目を有する。なお、本実施形態においては、ダイノード33a〜33dにおいて、複数の柱状部51a〜51d、及び台座部52a〜52dはそれぞれ一体に形成されているが、柱状部と台座部を別体にしても良い。なお、複数の柱状部51a〜51dの所定領域には二次電子放出面が形成されており、これら複数の柱状部51a〜51dの断面形状は、図4に示されたように、下側フレーム4と上側フレーム2のほぼ中間(又は、下側フレーム4により近い側)に位置するx−y平面P付近において幅が最小になるよう設計されている。また、図示していないが、ダイノード33e〜33lも同様の構造を有する。
さらに、この台座部52b,52dの電子増倍方向に垂直な方向の一方の端部には、その端部から上側フレーム2に向けてほぼ垂直に伸びるように略円柱形状を有する給電部53b,53dが、一体的に形成されている。この給電部53b,53dは、台座部52b,52dを経由して複数の柱状部51b,51dを給電するための部材である。なお、他のダイノードも同様の構造を有する。
図5に示されたように、ダイノード33bは、電子増倍方向に対して垂直であり、且つ対向面40aに沿った方向の台座部52bの下面が、対向面40aの平面部である中間部42aに接合されることによって下側フレーム4に対して固定されている。また、細かい形状上の差異はあるが、その他のダイノード33a,33c〜33lも柱状部、台座部、給電部に関して同様の基本構造を有している。これに対応して対向面40a上の窪み部42は、複数段のダイノード33a〜33lの台座部及び陽極部34の配置間隔よりも若干広い幅で形成されている。つまり、窪み部42は、ダイノード33a〜33lの台座部及び陽極部34の間の沿面距離を拡大するよう、下側フレーム4の対向面40aに平面部である中間部42aを介して断続的に形成されている。なお、複数の柱状部51bには二次電子放出面が形成されており、これら複数の柱状部51bの断面形状は、図5に示されたように、下側フレーム4と上側フレーム2のほぼ中間に位置するx−y平面P付近において幅が最小になるよう設計されている。
続いて、複数段のダイノード33a〜33lそれぞれを構成する柱状部の形状、特に、二次電子放出面の形状について詳細に説明する。
図6は、図1の側壁フレーム及び下側フレームの、特に電子増倍部近傍の一部破断斜視図である。図7は、図6の電子増倍部及びその構成要素の構造を説明するための図であり、図7(A)は、図6の電子増倍部の一部破断図、図7(B)は、図7(A)中のSで示された部位の柱状部の形状を示す斜視図、図7(C)は、柱状部表面の形状を示す斜視図である。図8は、柱状部の構造を説明するための図であり、図8(A)は、図7(B)のI−I線に沿った柱状部の一部破断図、図8(B)は、図8(A)における断面形状を曲線により実現する場合のバリエーションを示す図、図8(C)は、図8(A)における断面形状を直線により実現する場合のバリエーションを示す図である。図9は、二次電子放出面が形成される柱状部表面の加工シミュレーションを説明するための図であり、図9(A)は、柱状部の加工領域を示し、図9(B)は、図9(A)中の最小加工要素を示し、図9(C)は、加工プロセスの進行状況を時間経過とともに示す図である。
図6は、図中のx軸が図1のII−II線に沿った断面に含まれるよう電子増倍部33近傍の構造が示されている。すなわち、下側フレーム40(ガラス基板)の対向面40a上には複数の窪み部42が設けられ、これら複数の窪み部42の間に位置する中間部42a上に、複数段のダイノード33a〜33lそれぞれが配置されている。複数段のダイノード33a〜33lそれぞれの台座部の側面は、湾曲形状又はテーパー形状に加工されている。上側フレーム2の対向面20aに設けられた導電膜202(ヒステリシス対策用の蒸着電極)は、導電性端子201Cに接続され、複数段のダイノード33a〜33lそれぞれの給電部53a〜53lと導電膜202とが導電性材料205(後述)により電気的に接続されている。
また、図7(A)に示されたように、複数段のダイノード33a〜33lの台座部330の側面は、上側フレーム2から下側フレーム4に向かって細くなるようテーパー形状に加工されている。このように加工されることにより、隣接するダイノード間の距離を長くすることができる。さらに、隣接するダイノード間に窪み部42が設けられることにより、下側フレーム4の対向面40a上において規定される、隣接するダイノード間の沿面距離をより長くすることが可能になる。また、柱状部51の二次電子放出面520が形成される領域は、図7(B)に示されたように、該二次電子放出面520の各部における垂直ベクトルが柱状部51の中間点(図5のx−y平面Pと交差する位置)に向かうような形状を有している。図7(B)中に示された垂直ベクトルの方向が、最も放出確率の高い二次電子の放出方向である。なお、本実施形態の例では、柱状部51の高さ(下側フレーム4から上側フレーム2に向かう方向に沿った長さ)は、800μmであり、この柱状部51の二次電子放出面が形成される領域は、当該柱状部51の高さ方向に沿った中間位置(図5のx−y平面Pと交差する位置)において、50μmだけ当該柱状部51の内部に向かって突出した、くびれ構造を有する。
すなわち、図6及び図7に示されたように、各段のダイノード33a〜33dを構成する複数の柱状部51(51a〜51lに相当)それぞれは、下側フレーム4の対向面40aに直交する断面(以下、垂直断面と言い、x−z平面に相当する)、具体的には、二次電子放出面520が形成される領域Rの形状が、z軸方向(図6及び図7(A)参照)に沿って湾曲又はテーパー状に窪むよう加工されている。例えば、図7(B)及び図7(C)に示されたように、各柱状部の高さ(z軸方向)は、800μmであり、その中間点(図5のx−y平面Pと交差する位置)において、各端部(下側フレーム4側に位置する端部と上側フレーム2側に位置する端部)から50μmだけ窪んだ形状になるよう、二次電子放出面が形成される領域の形状が加工されている。
各柱状部51の垂直断面(x−z平面)の例が図8(A)に示されている。なお、この図8(A)における柱状部51の断面510(斜線部分)は、図7(B)中のI−I線に沿った垂直断面である。この垂直断面の加工に当たっては、例えば、図8(B)に示されたように、二次電子放出面520が湾曲した曲面で規定されるように加工されてもよく、また、図8(C)に示されたように、直線で規定されるよう加工されてもよい。
すなわち、本実施形態に係る光電子増倍管1では、図8(A)〜8(C)に示されたように、複数段のダイノード33a〜33lは、二次電子放出面が形成される領域がくびれた構造を有している。より具体的には、図1のII−II線に沿った断面(x−z平面)において、二次電子放出面520が形成される領域Rが、x軸方向(矢印Bで示された方向)の幅が例えば柱状部51のいずれかの位置Qで最小になる形状を有する(他の柱状部でも同様)。また、図1のII−II線に沿った断面(x−z平面)において、二次電子放出面520が形成される領域Rが1又はそれ以上のくびれ形状を有する。そして、各くびれ形状は下側フレーム4から上側フレーム2に向かって、x軸方向の幅が単調に減少した後に単調に増加する形状である。さらに、例えばダイノード33aの二次電子放出面は、図1のII−II線に沿った断面(x−z平面)において、柱状部51の内部に向かって突出した1又はそれ以上の窪み形状を含む線分により規定されている。また、x−y平面に沿って柱状部51の断面形状を見たとき、該断面の面積又は外周長が、二次電子放出面520が形成される領域R内の位置Qで最小になっている。
図8(B)及び図8(C)において、断面510a、510dにおける「くびれ」(断面のx軸方向に沿った幅が最小になる部分)の位置Qは、二次電子放出面520が形成される領域Rの中間点に位置する。断面510b、510eにおける「くびれ」(断面のx軸方向に沿った幅が最小になる部分)の位置Qは、二次電子放出面520が形成される領域Rの上側(中間点よりも上側フレーム2に近い位置)に位置する。断面510c、510fにおける「くびれ」(断面のx軸方向に沿った幅が最小になる領域)の位置Qは、二次電子放出面520が形成される領域Rの下側(中間点よりも下側フレーム4に近い領域)に位置する。
いずれのバリエーションにおいても、各柱状部51の垂直断面510の最も幅の小さい部分Qは、二次電子放出面が形成される領域R内に存在している。なお、領域Rにおいて、y軸方向に沿った各柱状部の垂直断面(y−z平面に相当する)も、下側フレーム4から上側フレームに向かう各柱状部の高さ方向(z軸方向)に沿って、単調に減少した後に図中Qで示される部分から単調に増加する。
上述のような垂直断面を有する柱状部51は、例えば、図9に示されたようにエッチング加工により形成可能である。なお、図9(A)には、垂直断面510dを有する柱状部51の一部(図9(A)中の領域ARで示された領域)が、示されている。なお、二次電子放出面520は、エッチング加工された領域に形成される。図9(C)には、加工シミュレーションの結果を示す図であり、エッチング加工の進行状況が時間経過とともに示されている。また、図9(C)の断面900A〜900Rのそれぞれは、図9(B)に示された最小加工要素で構成されている。この図9(B)に示された最小加工要素からも分かるように、エッチングされた面は湾曲している。さらに、図9(C)の断面900A〜900Rのそれぞれにおいて、910はエッチングマスクである。また、920は、エッチング加工の予定線521に沿ってエッチングされた領域に、エッチングマスクとして機能するよう充填される内部保護膜である。
次に、上述のような種々の断面形状により実現可能な柱状部51の具体的な設置状態について図10及び図11(A)〜図11(C)を参照しながら説明する。なお、図10は、図1の光電子増倍管1のII−II線に沿った断面であって、電子増倍部33の一部を構成するダイノード33a〜33l(二次電子放出面が形成された柱状部51)の一例の、具体的な設置状態を説明するための図である。図11は、図10と同様に光電子増倍管1内に設置されたダイノード33a〜33l(二次電子放出面が形成された柱状部51)の他の例の構造を示す図(図1の光電子増倍管1のII−II線に沿った断面に一致)であって、図11(A)は、従来のダイノードの断面形状、図11(B)は、第1変形例に係るダイノードの断面形状、図11(C)は、第2変形例に係るダイノードの断面形状を示す図である。また、図10及び図11(A)〜図11(C)の例では、上側フレーム2はガラス基板20により構成されているものとする。
図10に示されたように、下側フレーム4のガラス基板40には、その対向面40a上に複数の窪み部42が設けられており、これら窪み部42の間に位置する中間部42a上に各段のダイノードの台座部330(厚み200μmを有する)が設置されている。台座部330の上には二次電子放出面がその側面上に形成される柱状部51が、該台座部330と一体的に設置されている。これら一体化された台座部330と柱状部51により各段のダイノードが構成されている。一方、上側フレーム2のガラス基板20には、導電性端子201Cが、該ガラス基板20の対向面20a上に蒸着された導電膜202に接触しており、該導電膜202が、導電性材料205を介して各柱状部51の上部(実際には各段のダイノードの給電部53a〜53l)と電気的に接続されている。この構造において、ガラス基板20と柱状部51の上部とは50μm離間している。
図10に示された各柱状部51の二次電子放出面520が形成される領域Rの形状は、領域Rの中間位置よりも下側フレーム2に近い位置でくびれた構造(Lだけ柱状部51の内部に向かって突出した形状)を有している。すなわち、くびれた位置よりも上側の領域Aの方が、くびれた位置よりも下側の領域Bよりも広くなっている。具体的に、二次電子放出面520が形成される領域Rの、高さ方向の長さは、800μmであり、領域Aの高さ方向の長さと領域Bの高さ方向の長さの比(A:B)は、1:1〜10:1であればよく、好ましくは、3:2〜7:1である。また、くびれ構造を規定する深さCは20μm〜150μmであればよく、好ましくは、30μm〜80μmである。
また、図11(A)には、従来の断面形状が適用されたダイノードの設置状態を示しており、柱状部51の断面形状を除き、図10に示された設置状態と同じである。図11(B)には、第1変形例に係るダイノードの設置状態が示されており、図10に示された構造とは、台座部330の断面形状と柱状部51の断面形状が異なる。すなわち、図11(B)に示された例では、台座部330の側面がテーパー形状に加工されている。また、柱状部51におけるくびれた位置が、二次電子放出面520が形成される領域Rの中間点近傍にある(放出される二次電子が集中する極大点も中間点近傍となる)。図11(C)に示された例では、台座部330の側面がテーパー形状に加工されている点で、図10に示された構造と異なる。さらに、図11(C)の設置状態では、柱状部51におけるくびれた位置が、二次電子放出面520が形成される領域Rの中間点よりも下側(ガラス基板40側)にあり、必然的に、放出される二次電子が集中する極大点も中間点より下側となる。
なお、図11(A)において、二次電子放出面520の、柱状部51の高さ方向の長さを2aとするとき、図11(B)における二次電子放出面520の長さは2.83aとなり、図11(C)における二次電子放出面520の長さは2.92aとなる。このように、図11(C)に示された構造が採用された場合、二次電子放出面520の面積自体が大きくなるという効果がある。また、製造時におけるブラックシリコン(トゲ状異物)の発生が抑制されると言う効果がある。さらに、放出される二次電子が集中する極大点をガラス基板(特に、上側フレーム2のガラス基板20)から遠ざけることができるので、不要な発光が抑制され、特に当該発光がガラス基板20と柱状部51の上部との間の離間空間を通って光電面41に至ることで発生するノイズを抑制することができる。また、上側フレーム2のガラス基板20への二次電子入射による各導電膜202間の耐電圧特性の低下も抑制することができる。加えて、図11(B)及び図11(C)の例では、図11(B)の台座部330に記載の長さDの分だけ、隣接するダイノード間の沿面距離を大きくすることが可能になるため、耐電圧特性を大幅に改善することが可能になる。
以上のように加工された柱状部51の効果を、図12を用いて説明する。なお、図12は、本実施形態の効果を説明するための図(図1の光電子増倍管のII−II線に沿った断面に一致)であり、図12(A)は、従来構造を示し、図12(B)は、本実施形態の構造を示す図である。また、図12(A)の左側及び図12(B)の左側には、電子増倍部33の中央部分を構成する各段のダイノードの一部が示されている。一方、図12(A)の右側及び図12(B)の右側には、陽極34を含む電子増倍部33の後段側を構成する各段のダイノードの一部が示されている。
図12(A)に示された従来構造の場合(柱状部51の垂直断面の幅は、高さ方向に沿って一定になっている)、下側フレーム4のガラス基板40には、各段のダイノードの台座部330が設置されている。台座部330の上には二次電子放出面がその側面上に形成される柱状部51が、該台座部330と一体的に設置されている。これら一体化された台座部330と柱状部51により各段のダイノードが構成されている。一方、上側フレーム2のガラス基板20には、導電性端子201Cが、該ガラス基板20の対向面20a上に蒸着された導電膜202に接触しており、該導電膜202が、導電性材料205を介して各柱状部51の上部(実際には各段のダイノードの給電部53a〜53l)と電気的に接続されている。陽極34も台座部及び柱状部から構成されており、導電性端子201Dを介して到達した二次電子を信号として取り出している。
図12(A)の例では、ガラス基板40(下側フレーム4)に対して、二次電子放出面520(電極)は垂直になっている。この場合、絶縁支持基板(下側フレーム4)及び貫通電極基板(上側フレーム2)の表面、すなわち絶縁材料であるガラスの表面への二次電子の衝突が多く、不要な光が発生してしまう。この発光がノイズ源となり、従来構造が採用された光センサでは、そのS/Nを低下させる原因となる。また、ガラス表面に衝突する二次電子は、電子増倍には寄与しないので、電子増倍率(ゲイン特性)を低下させるとともに電極間の耐電圧特性も低下させる。
一方、図12(B)に示された本実施形態の構造の場合(柱状部の垂直断面の幅は、高さ方向に沿って中心付近で細くなっている)、下側フレーム4のガラス基板40には、その対向面40a上に複数の窪み部42が設けられており、これら窪み部42の間に位置する平面部である中間部42a上に各段のダイノードの台座部330が設置されている。台座部330の上には湾曲形状の二次電子放出面がその側面上に形成される柱状部51が、該台座部330と一体的に設置されている。これら一体化された台座部330と柱状部51により各段のダイノードが構成されている。一方、上側フレーム2のガラス基板20には、導電性端子201Cが、該ガラス基板20の対向面20a上に蒸着された導電膜202に接触しており、該導電膜202が、導電性材料205を介して各柱状部51の上部(実際には各段のダイノードの給電部53a〜53l)と電気的に接続されている。陽極34も台座部及び柱状部から構成されており、導電性端子201Dを介して到達した二次電子を信号として取り出している。また、陽極34の台座部も、窪み部42に挟まれた平面部である中間部42a上に設置されている。
図12(B)の例では、二次電子放出面(電極)はその中心に向かって湾曲している。すなわち、この形状では、二次電子放出面の中心付近よりも端部側の方が隣接するダイノード間隔が狭くなっている。この場合、ガラス基板40(下側フレーム4)及びガラス基板20(上側フレーム2)の表面、すなわち絶縁材料であるガラスの表面への二次電子の衝突が大幅に低減され、その結果、不要な発光が効果的に抑制される。したがって、本実施形態の構造が採用された光センサでは、発光抑制の効果として、そのS/Nが向上し、高精度な光検出が可能になる。また、二次電子放出面520自体が湾曲形状を有することで、各柱状部51の高さを変化させることなく当該二次電子放出面520の有効面積が大きくなる。そのため、発光を生じさせる二次電子の減少による電子増倍率増加と有効面積拡大の相乗効果で、電子増倍率を飛躍的に向上させることが可能になる。
さらに、ダイノードの他の断面形状により実現可能な柱状部51の具体的な設置状態について図13を参照しながら説明する。なお、図13は、第3変形例に係るダイノードの断面形状を具体的な設置状態とともに示すとともに、該第3変形例に係るダイノードの効果を説明するための図(図1の光電子増倍管のII−II線に沿った断面に一致)である。なお、図13の構成においても、上側フレーム2はガラス基板20で構成されているものとする。
図13に示されたように、下側フレーム4のガラス基板40には、その対向面40a上に複数の窪み部42が設けられており、これら窪み部42の間に位置する平面部である中間部42a上に各段のダイノードの台座部330(厚み200μmを有する)が設置されている。台座部330の上には二次電子放出面がその側面上に形成される柱状部51が、該台座部330と一体的に設置されている。これら一体化された台座部330と柱状部51により各段のダイノードが構成されている。一方、上側フレーム2のガラス基板20には、導電性端子201Cが、該ガラス基板20の対向面20a上に蒸着された導電膜202に接触しており、該導電膜202が、導電性材料205を介して各柱状部51の上部(実際には各段のダイノードの給電部53a〜53l)と電気的に接続されている。この構造において、ガラス基板20と柱状部51の上部とは50μm離間している。
特に、図13に示された各柱状部51の二次電子放出面520が形成される領域の形状は、2つのくびれた構造(3つ以上のくびれた構造でもよい)を有する点で、上述の図10、図11(B)及び図11(C)に示された構造と異なっている。すなわち、図13の例では、よりガラス基板20に近い部分(領域R2)に曲率の大きい湾曲面を形成することで、放出される二次電子を該ガラス基板20から遠ざけるよう誘導している(領域R2で発生した二次電子を領域R1へ誘導)。これにより、上側フレーム2のガラス基板20へ衝突する二次電子が減少し、発光によるノイズ、帯電による耐電圧不良を効果的に低減することが可能になる。
次に、図14及び図15を参照して、光電子増倍管1の配線構造について説明する。図14(A)は、上側フレーム2を裏面20a側から見た底面図、図14(B)は、側壁フレーム3の平面図である。図15は、上側フレーム2と側壁フレーム3との接続状態を示す斜視図である。
図14(A)に示されたように、上側フレーム2(ガラスなどの絶縁材料で構成されてもよい)の対向面20aには、導電性端子201B,201C,201Dのそれぞれに上側フレーム2の内部で電気的に接続された複数の導電膜(給電部)202と、導電性端子201Aに上側フレーム2の内部で電気的に接続された導電性端子203が設けられている。また、図14(B)に示されたように、電子増倍部33には、既に述べたように、導電膜202との接続用の給電部53a〜53lが立設されており、陽極部34の端部には、導電膜202との接続用の給電部37が立設されている。さらに、壁状電極32の隅部には、導電膜202との接続用の給電部38が立設されている。また、集束電極31は、壁状電極32と下側フレーム4側で一体形成されることで壁状電極32に対して電気的に接続されている。さらに、壁状電極32には、下側フレーム4の対向面40a側に矩形平板状の接続部39が一体的に形成されており、この接続部39と、対向面40a上で光電面41に電気的に接触して形成された導電膜(図示せず)とが接合されることで、壁状電極32と光電面41とが電気的に接続されている。
図15に示されたように、上記構成の上側フレーム2と側壁フレーム3とが接合されると、導電性端子203が側壁フレーム3の側壁部302に電気的に接続される。併せて、電子増倍部33の給電部53a〜53l、陽極部34の給電部37,及び壁状電極32の給電部38が、それぞれ、金(Au)などからなる導電部材を介して対応する導電膜202に独立に接続される。このような接続構成により、側壁部302、電子増倍部33、陽極部34が、それぞれ、導電性端子201A、201C,201Dに電気的に接続されて外部から給電(又は外部への信号取り出し)可能にされるとともに、壁状電極32が、集束電極31及び光電面41とともに、導電性端子201Bに電気的に接続されて外部から給電される(図15参照)。
ここで、図14(B)に示されたように、ダイノード33bの台座部52bの両端部のうちの給電部53bに繋がる一方の端部の対向面40aに沿った断面積Sは、その両端部のうちの他方の端部の対向面40aに沿った断面積Sよりも大きくなるように、ダイノード33bの台座部52b及び給電部53bの形状が規定されている。このダイノード33bにおける、給電部53bが設けられた一方の端部と他方の端部との大小関係は、ダイノード33bの端部全体、つまり上側フレーム2側の面に到るまで連続的に満たされている。そのため、対向面40aから正対する方向から見た場合の面積や、その体積においても、給電部53bが設けられた一方の端部の方が他方の端部よりも大きい。このように、給電部53bが設けられた一方の端部の方が物理的な強度に優れていることに加え、上側フレーム2側の面が大きいことから、金(Au)などからなる導電部材との接触面積も稼ぐことができ、確実な電気的接続にも有効となる。そして、電子増倍部33を構成するその他のダイノード33a,33c〜33lも、同様な関係を満たす断面形状に規定されている。また、複数段のダイノード33a〜33lは、対向面40a上において、電子増倍方向に沿って給電部53a〜53l側の一方の端部と、それと反対側の他方の端部とが互い違いに並ぶように配置されている。換言すれば、複数段のダイノード33a〜33lは、その給電部53a〜53lの配置方向を基準にした台座部の向き(給電部の設けられた一方の端部から他方の端部に延びる方向で規定した台座部の向き)が交互に反対向きになるように対向面40a上に配設されている。
以上説明した光電子増倍管1によれば、入射光が光電面41に入射することによって光電子に変換され、この光電子が、筐体5内の下側フレーム4の内面40a上の複数段のダイノード33a〜33lによって形成された電子増倍チャネルCに入射することによって増倍され、増倍された電子が電気信号として陽極部34から取り出される。
ここで、ダイノード33a〜33dを例に説明すれば、各ダイノード33a〜33dには、その下側フレーム4側の端部に台座部52a〜52dが設けられ、この台座部52a〜52dには、その片端部から下側フレーム4と対向する上側フレーム2に向けて伸びる給電部53a〜53dが電気的に接続され、この給電部53a〜53dが上側フレーム2の内面20aに設けられた導電膜202に接続されることにより、各ダイノード33a〜33dが給電される。さらに、下側フレーム4の対向面40aにおいて、破線で囲まれた領域には図2に示されたような複数の窪み部42が形成されており、台座部52a〜52dは、窪み部42の間に位置する平面部である中間部42a上に設置されている。また、給電部53a〜53d側の一方の端部の対向面40aに沿った断面積Sが、他方の端部の断面積Sよりも大きくされている。上側フレーム2の導電膜202と接触する部位側の台座部52a〜52dの端部の強度を高めることで、給電のための接触による加圧に対して電子増倍部33の物理的な強度を確保することができる。その結果、変形や破損等を起こすことがなく、電極間の耐電圧の低下を抑制することができる。
なお、本実施形態では、下側フレーム4の対向面40a上の破線で囲まれた領域に、平面部である中間部42aを介して配置された複数の窪み部42が形成されているが、破線部分全体を底面とする1つの共通窪み部が形成されてもよい。この場合、台座部52a〜52dの中央部は、共通窪み部上に配置されているので、電子増倍部33の強度を低下させることなく台座部52a〜52dの中央部を下側フレーム4の絶縁面から離間させることができる。さらに、共通窪み部は、複数の台座部52a〜52dの中央部を跨って形成されているので、複数段のダイノード33a〜33d間を通過する二次電子の絶縁面への入射による帯電を防止することにより、耐電圧の低下をさらに抑制することができる。
さらに、共通窪み部は、各ダイノード33a〜33lが下側フレーム4の対向面40aから離間することで、次のような効果も有する。なお、図16は、図1の側壁フレーム及び下側フレームの一部破断斜視図(図1の光電子増倍管のII−II線に沿った断面に一致)であり、図16(A)は、第1構造の下側フレームが適用された図、図16(B)は、第2構造例の下側フレームが適用された図である。下側フレーム4のガラス基板40における対向面40a上には、図16(A)に示されたように、中間部42aを挟んだ複数の窪み部42が形成されてもよく、また、図16(B)に示されたように、1つの共通窪み部42が形成されてもよい。ただし、以下の説明では、図16(B)の構成に沿って行うものとする。
ダイノード33a,33bで例示すれば、その柱状部51a,51bの湾曲形状又はテーパー形状の表面の二次電子放出面の活性時において、ダイノード33a,33b段間及びダイノード33a,33b下部において(図16(B)の矢印で示す方向において)、アルカリ金属(K、Cs等)蒸気の流れが良くなり、均一な二次電子面を形成することが容易になる。また、電子増倍部33と下側フレーム4との間の接合面積を小さくできるため、電子増倍部33と下側フレーム4との間に異物を挟み込んでしまうことによる接合不良を防止して信頼性を高めることができる。さらに、共通窪み部42を設けてダイノード33a〜33lを離間させるような構造により、筐体5の内部容積を大きくすることができるので、内部構成部材からガスの放出があっても真空度の低下を抑制することができる。例えば、ダイノード33a〜33lの厚さが1mmであって窪み部42のない光電子増倍管に対して、ダイノード33a〜33lの厚さが等しく、共通窪み部42の深さを0.2mm、共通窪み部42の対向面40aに対する加工面積の割合を50%とした光電子増倍管は、その内部容積を10%程度大きくすることが可能になる。さらに言えば、筐体5内に異物があるような場合であっても、ダイノード33a〜33lと離間している共通窪み部42の底部に異物が落ちやすいためにダイノード33a〜33l間に異物が挟まりにくく、異物による耐電圧不良が少なくなる。また、筐体5とダイノード33a〜33lとの接触面積が小さくなるため、筐体5での温度変化の影響が電子増倍部33に及びにくくなり、周囲温度の上昇に伴う二次電子放出面のダメージを軽減できる。特に、この効果は筐体5の内面に直接に電子増倍部等の電極が配置された構造において重要である。
さらに、複数段のダイノード33a〜33lに対応する複数の台座部は、下側フレーム4の対向面40aに沿って、給電部53a〜53l側の一端部とそれと反対側の他端部とが互い違いに並べられている。つまり、例えば隣り合うダイノード33b、ダイノード33cにおいて、ダイノード33bの給電部53b側の一方の端部と対面するダイノード33cの端部は他端部であり、ダイノード33bの他端部と対面するダイノード33cの端部は給電部53c側の一方の端部となるように並べられている。そして、複数段のダイノード33a〜33lにわたってこの関係を満たすように並べられている。つまり、給電部53a〜53l側の一方の端部に隣接するのは、隣り合うダイノードの他方の端部であることから、それぞれの台座部の給電部53a〜53l側の端部の下側フレーム4に沿った断面積を大きくすることができるので、電子増倍部33の物理的強度をさらに高めることが可能になる。さらに、他方の端部の下側フレーム4に沿った断面形状(下側フレーム4の対向面40aと正対する方向から見た形状)は、電子増倍方向に対してほぼ垂直な方向(各ダイノードにおいて一方の端部から他方の端部に向かう方向)に向かって延びる尖頭形状を備えている。このように尖頭形状を有することで、給電部53a〜53lとの間隔を保ちつつ、下側フレーム4への接合面積も大きくすることができ、電極間の耐電圧の低下を抑制することができる。
これに対して、図17に示されたように、給電部53a〜53l側の端部を対向面40aに沿って隣接して並べるような配置の場合は、給電部53a〜53l間の耐電圧を考慮するとダイノード間の間隔を大きく(例えば、ダイノードの厚さが0.35mmの場合は0.5mm)設定する必要がある。その結果、同数のダイノードを配置する場合は大きな面積を必要とし、シリコン基板をバッチ処理にて加工する場合には1チップあたりの面積を増大させてしまい、しいてはチップコストを上昇させることにもなる。また、ダイノード間隔が大きくなることで電子増倍率の低下を招き、光電子増倍管としての性能を低下させてしまう。一方、ダイノード間隔を狭めるためには、図18に示されたように、ダイノード33a〜33fの給電部53a〜53fを対向面40aに沿って蛇行するように交互にずらして隣接して配置することも考えられる。これにより、ダイノード間隔が狭められ(例えば、0.2mm)、電子増倍率をある程度高くすることができるが、給電部53b,53dが突出したダイノード33b,33dにおいて段間の耐電圧を維持するために給電部53b,53d側の端部とダイノード33b,33dの中央部との間の部位を著しく細く(例えば、0.05mm)する必要がある。その結果、ダイノード33b,33dの強度が低下してクラックが発生して破損したりして、二次電子面への給電が不可能になる場合がある。あるいは、クラックの発生が無くても電気抵抗値が大きくなり、給電部53b,53dから二次電子面を有するダイノード中央部への電位供給の妨げになることも考えられる。このことから、本実施形態におけるダイノード33a〜33lの配置が、耐電圧の低下を抑制するとともに、ダイノード間隔を狭めた配置を可能とすることから電子増倍率の面からも有利であることがわかった。
なお、図17は、第1比較例に係る電子増倍部の平面図であり、図17において、520a〜520fは、格段のダイノード33a〜33fそれぞれに設けられた二次電子放出面である。また、図18は、第2比較例に係る電子増倍部の平面図である。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、図19及び図20に示されたように、下側フレーム4の窪み部42の底面上に、電子増倍部33のダイノード33a〜33lにおける各段間、及び電子増倍部33(ダイノード33l)と陽極部34との間の位置に対応して、下側フレーム4の絶縁面が露出しないように、複数の帯状の導電膜43が形成されてもよい。この導電膜43は、下側フレーム4に貫通して設けられた導電性端子44によって給電される。これにより、電子増倍部33を通過する電子の下側フレーム4への入射による耐電を確実に防止することができる。さらには、図21(A)に示されたように、電子増倍部33の全体に跨って窪み部42の底面上に導電膜45を設けることによっても、下側フレーム4の帯電を防止することができる。ただし、この場合は導電膜45と電子増倍部33の各ダイノードとの電位差が大きくなってしまうので、図19の構成の方がより好ましい。この場合、図21(B)に示されたように、中間部42aを挟むように配置された複数のくぼみ部42の底面に導電膜43が形成されればよい。
なお、図19は、本発明の第1変形例に係る光電子増倍管における下側フレームの斜視図である。図20は、図19の下側フレームを裏面側から見た底面図である。さらに、図21は、本発明の第2変形例に係る光電子増倍管における下側フレームの斜視図であり、図21(A)は、第2変形例に係る光電子増倍管に適用可能な下側フレームの第3構造、図21(B)は、第2変形例に係る光電子増倍管に適用可能な下側フレームの第4構造を示す図である。
本実施形態においては、光電面41は透過型光電面であったが、反射型光電面でも良いし、光電面41は上側フレーム2側に配置されてもよい。光電面41を上側フレーム2側に配置した場合、上側フレーム2としてはガラス基板等の光透過性を有する絶縁性基板に給電端子を埋め込んだものを使用することができ、下側フレーム4としてはガラス基板以外に様々な絶縁性基板を用いることができる。また、陽極部34は、ダイノード33kとダイノード33lの間に配置されても良い。
以上のように、本実施形態に係る光電子増倍管によれば、電子増倍部が、下側フレームの対向面に平行な第1方向に沿って順次配置された複数段のダイノードで構成されている。また、第1方向を含みかつ下側フレームの対向面に直交する面で規定される、少なくともいずれかのダイノードの断面は、第1方向に沿った幅が該ダイノードの下側フレーム側端部と上側フレーム側端部との間で最小になる形状を有する。このように、ダイノードにおける二次電子放出面の形状を、該ダイノードの高さ方向に沿って窪んだ形状に加工することにより、二次電子放出面から下側フレーム又は上側フレームへ向かう電子の軌道が効果的に修正される。
以上の本発明の説明から、本発明を様々に変形しうることは明らかである。そのような変形は、本発明の思想及び範囲から逸脱するものとは認めることはできず、すべての当業者にとって自明である改良は、以下の請求の範囲に含まれるものである。
1…光電子増倍管、2…上側フレーム、4…下側フレーム、33…電子増倍部、41…光電面、42…窪み部、42a…中間部、51a〜51d、51…柱状部、52a〜52d、330…台座部、520二次電子放出面、34…陽極。
図3に示されたように、貫通部301内の電子増倍部33は、対向面40a上の一端側から他端側に向けて(電子増倍方向である矢印Bの示す方向に向けて)、順に離間して配列された複数段のダイノード33a〜33lから構成されている。これらの複数段のダイノード33a〜33lは、矢印Bの示す方向に沿って、一端側の第1段目のダイノード33aから他端側の最終段(第N段目)のダイノード33lにかけて連続するように設けられたN個の電子増倍孔から構成された電子増倍チャネルCを複数並列に形成している。なお、集束電極31と第1段目のダイノード33aとの間と、複数段のダイノード33a〜33lにおける隣接するダイノード同士の間、及び最終段のダイノード33lと陽極34との間には窪み部42が設けられており、複数段のダイノード33a〜33lは、図2の下側フレームに設けられた複数の窪み部42の間に位置する平面部である中間部42a上にそれぞれ配置される。
図10に示された各柱状部51の二次電子放出面520が形成される領域Rの形状は、領域Rの中間位置よりも下側フレームに近い位置でくびれた構造(Lだけ柱状部51の内部に向かって突出した形状)を有している。すなわち、くびれた位置よりも上側の領域Aの方が、くびれた位置よりも下側の領域Bよりも広くなっている。具体的に、二次電子放出面520が形成される領域Rの、高さ方向の長さは、800μmであり、領域Aの高さ方向の長さと領域Bの高さ方向の長さの比(A:B)は、1:1〜10:1であればよく、好ましくは、3:2〜7:1である。また、くびれ構造を規定する深さは20μm〜150μmであればよく、好ましくは、30μm〜80μmである。

Claims (8)

  1. 所定の設置面上の第1方向に沿って前記設置面上に順次配置され、前記第1方向と平行な方向に沿って進行する電子をカスケード増倍する複数段のダイノードを備えた電子増倍部であって、
    前記複数段のダイノードそれぞれは、前記設置面上で前記第1方向と直交する第2方向に沿って伸びた共通の台座部と、それぞれが前記設置面に垂直な第3方向に沿って伸び、それぞれが物理的に分離された外周面で規定される側壁形状を有し、かつ、それぞれが所定距離離間した状態で前記共通の台座部上に配置された複数の柱状部と、を備え、
    前記複数段のダイノードそれぞれにおいて、前記複数の柱状部のうち少なくともいずれかの柱状部は、前記第3方向に直交する断面の面積又は外周長が、当該柱状部における外周面のいずれかの位置で最小になるよう加工された形状を有する電子増倍部。
  2. 前記複数段のダイノードそれぞれにおいて、前記複数の柱状部のうち少なくともいずれかの柱状部の外周面のうち単一の二次電子放出面が形成される領域の表面形状は、前記第1及び第3方向の双方を含む平面によって規定される断面において、当該柱状部の内部に向かって突出した1又はそれ以上の窪み形状を含む線分により規定されていることを特徴とする請求項1に記載の電子増倍部。
  3. 前記複数段のダイノードそれぞれにおいて、前記複数の柱状部のうち少なくともいずれかの柱状部は、前記第1及び第3方向の双方を含む平面によって規定される断面において、前記第1方向に沿った長さで規定される当該柱状部の幅が当該柱状部における外周面のいずれかの位置で最小になるよう加工された断面形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子増倍部。
  4. 前記複数段のダイノードそれぞれにおいて、前記複数の柱状部のうち少なくともいずれかの柱状部の外周面のうち単一の二次電子放出面が形成される領域の表面形状は、1又はそれ以上の曲面、1又はそれ以上の平面、又はこれらの組み合わせにより構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に項記載の電子増倍部。
  5. 内部が減圧状態に維持された外囲器であって、少なくともその一部が、設置面を有する絶縁性材料からなる基板により構成された外囲器と、
    前記外囲器の内部空間に収納された光電面であって、前記外囲器を介して取り込まれた光に応じて光電子を前記外囲器の内部に放出する光電面と、
    前記外囲器の内部空間に収納された状態で前記設置面上に配置された、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子増倍部と、そして、
    前記外囲器の内部空間に収納された状態で前記設置面上に配置された陽極であって、前記電子増倍部でカスケード増倍された電子のうち到達した電子を信号として取り出すための陽極とを備えた光電子増倍管。
  6. 隣接するダイノード間における互いに対面する領域の関係として、一方のダイノードにおける柱状部の外周面のうち単一の二次電子放出面が形成される領域と、他方のダイノードにおける柱状部の外周面のうち単一の二次電子放出面が形成される領域とは、前記第1及び第3方向の双方を含む平面によって規定される断面において互いに遠ざかる方向に窪んだ表面形状を有することを特徴とする請求項5に記載の光電子増倍管。
  7. 前記外囲器は、前記設置面を有する少なくとも一部が絶縁材料からなる下側フレームと、前記下側フレームに対向するよう配置された上側フレームであって前記下側フレームの設置面に対面する面を有する少なくとも一部が絶縁材料からなる上側フレームと、前記上側フレーム及び下側フレームの間に設けられ、前記電子増倍部及び前記陽極を取り囲む形状を有する側壁フレームとを備え、
    前記電子増倍部と前記陽極は、互いに所定距離だけ離間した状態で前記設置面上に配置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の光電子増倍管。
  8. 前記設置面上に所定距離だけ離間した状態で配置された複数の窪み部であって、それぞれが、前記設置面上の第2方向に沿って伸びた複数の窪み部を備え、
    前記複数段のダイノードそれぞれは、その台座部が前記複数の窪み部の間に位置するよう前記設置面上に配置されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の光電子増倍管。
JP2012547375A 2011-06-03 2012-05-28 電子増倍部及びそれを含む光電子増倍管 Active JP5154717B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201161492857P 2011-06-03 2011-06-03
US61/492857 2011-06-03
PCT/JP2012/063645 WO2012165380A1 (ja) 2011-06-03 2012-05-28 電子増倍部及びそれを含む光電子増倍管

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5154717B2 JP5154717B2 (ja) 2013-02-27
JPWO2012165380A1 true JPWO2012165380A1 (ja) 2015-02-23

Family

ID=47259236

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012547375A Active JP5154717B2 (ja) 2011-06-03 2012-05-28 電子増倍部及びそれを含む光電子増倍管

Country Status (6)

Country Link
US (2) US9293309B2 (ja)
EP (1) EP2557589B1 (ja)
JP (1) JP5154717B2 (ja)
KR (1) KR101357364B1 (ja)
CN (1) CN102918624B (ja)
WO (1) WO2012165380A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10026583B2 (en) * 2016-06-03 2018-07-17 Harris Corporation Discrete dynode electron multiplier fabrication method
US11848180B2 (en) * 2018-03-23 2023-12-19 Adaptas Solutions Pty Ltd Particle detector having improved performance and service life
EP4328633A1 (en) 2022-08-23 2024-02-28 Hamamatsu Photonics K.K. Concentrating lens, photodetector with concentrating lens, concentrating lens unit technical field

Family Cites Families (28)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB1434053A (en) 1973-04-06 1976-04-28 Mullard Ltd Electron multipliers
US4149106A (en) * 1977-08-08 1979-04-10 Rca Corporation Electron multiplier output electron optics
US4147929A (en) 1977-08-31 1979-04-03 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Navy Optical photoemissive detector and photomultiplier
GB2080016A (en) * 1980-07-09 1982-01-27 Philips Electronic Associated Channel plate electron multiplier
GB2154053A (en) * 1984-02-08 1985-08-29 Philips Electronic Associated High resolution channel multiplier dynodes
NL8801657A (nl) * 1988-06-30 1990-01-16 Philips Nv Elektronenbuis.
US5264693A (en) 1992-07-01 1993-11-23 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Navy Microelectronic photomultiplier device with integrated circuitry
JP3466712B2 (ja) * 1994-06-28 2003-11-17 浜松ホトニクス株式会社 電子管
US5568013A (en) 1994-07-29 1996-10-22 Center For Advanced Fiberoptic Applications Micro-fabricated electron multipliers
JPH09131569A (ja) * 1995-11-09 1997-05-20 Daishinku Co ボルト締めランジュバン型振動子用梱包具
JPH10116582A (ja) * 1996-10-09 1998-05-06 Sumitomo Electric Ind Ltd マイクロ光電子増倍管アレイおよびマイクロ光電子増倍管アレイ用金属プレート
JP4146529B2 (ja) * 1997-06-11 2008-09-10 浜松ホトニクス株式会社 電子増倍管
US5880458A (en) * 1997-10-21 1999-03-09 Hamamatsu Photonics K.K. Photomultiplier tube with focusing electrode plate having frame
JP4108905B2 (ja) * 2000-06-19 2008-06-25 浜松ホトニクス株式会社 ダイノードの製造方法及び構造
US6876802B2 (en) * 2002-11-26 2005-04-05 Itt Manufacturing Enterprises, Inc. Microchannel plate having microchannels with deep funneled and/or step funneled openings and method of manufacturing same
US7049747B1 (en) 2003-06-26 2006-05-23 Massachusetts Institute Of Technology Fully-integrated in-plane micro-photomultiplier
GB2409927B (en) 2004-01-09 2006-09-27 Microsaic Systems Ltd Micro-engineered electron multipliers
JP4708118B2 (ja) * 2005-08-10 2011-06-22 浜松ホトニクス株式会社 光電子増倍管
JP4819437B2 (ja) * 2005-08-12 2011-11-24 浜松ホトニクス株式会社 光電子増倍管
US7659666B2 (en) * 2006-10-16 2010-02-09 Hamamatsu Photonics K.K. Photomultiplier
JP5290804B2 (ja) * 2009-02-25 2013-09-18 浜松ホトニクス株式会社 光電子増倍管
JP5290805B2 (ja) 2009-02-25 2013-09-18 浜松ホトニクス株式会社 光電子増倍管
JP5497331B2 (ja) * 2009-05-01 2014-05-21 浜松ホトニクス株式会社 光電子増倍管
JP5518364B2 (ja) * 2009-05-01 2014-06-11 浜松ホトニクス株式会社 光電子増倍管
JP5330083B2 (ja) * 2009-05-12 2013-10-30 浜松ホトニクス株式会社 光電子増倍管
US8492694B2 (en) 2010-10-14 2013-07-23 Hamamatsu Photonics K.K. Photomultiplier tube having a plurality of stages of dynodes with recessed surfaces
US8354791B2 (en) 2010-10-14 2013-01-15 Hamamatsu Photonics K.K. Photomultiplier tube
US8587196B2 (en) 2010-10-14 2013-11-19 Hamamatsu Photonics K.K. Photomultiplier tube

Also Published As

Publication number Publication date
WO2012165380A1 (ja) 2012-12-06
EP2557589A4 (en) 2013-08-21
JP5154717B2 (ja) 2013-02-27
US9293309B2 (en) 2016-03-22
KR20130026437A (ko) 2013-03-13
US20130033175A1 (en) 2013-02-07
EP2557589B1 (en) 2014-05-14
CN102918624A (zh) 2013-02-06
CN102918624B (zh) 2013-11-06
US9589774B2 (en) 2017-03-07
US20160172169A1 (en) 2016-06-16
KR101357364B1 (ko) 2014-02-03
EP2557589A1 (en) 2013-02-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5000137B2 (ja) 光電子増倍管及びその製造方法
JP5290804B2 (ja) 光電子増倍管
JP4819437B2 (ja) 光電子増倍管
JP2009289693A (ja) 荷電粒子検出器
JP5290805B2 (ja) 光電子増倍管
JP5154717B2 (ja) 電子増倍部及びそれを含む光電子増倍管
WO2007099958A1 (ja) 光電子増倍管、放射線検出装置および光電子増倍管の製造方法
JP4708117B2 (ja) 光電子増倍管
JP5330083B2 (ja) 光電子増倍管
US20230369035A1 (en) Phototube
US8587196B2 (en) Photomultiplier tube
JP5789021B2 (ja) 光電子増倍管
JP5951203B2 (ja) 検出器
JP5518364B2 (ja) 光電子増倍管
US8354791B2 (en) Photomultiplier tube
JP5497331B2 (ja) 光電子増倍管
US11894223B2 (en) Photoelectric tube
EP3190603B1 (en) Photomultiplier tube
EP2442347B1 (en) Photomultiplier tube

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20121120

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121127

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121205

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151214

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5154717

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250