JPWO2012140761A1 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、電子写真装置、および電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、電子写真装置、および電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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Abstract

接触部材等との接触ストレスの持続的な緩和と、繰り返し使用時の電位安定性との両立に優れた電子写真感光体を提供する。電子写真感光体の表面層である電荷輸送層が、成分〔β〕(特定の繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂D)、および電荷輸送物質を含むマトリックスと、成分〔α〕(特定のシロキサン部位を含む繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂A)を含むドメインで構成されているマトリックス−ドメイン構造を有する。

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、電子写真装置、および電子写真感光体の製造方法に関する。
電子写真装置に搭載される電子写真感光体として有機光導電性物質(電荷発生物質)を含有する有機電子写真感光体(以下、「電子写真感光体」という)がある。電子写真プロセスにおいて、電子写真感光体の表面には、現像剤、帯電部材、クリーニングブレード、紙、転写部材などの種々のもの(以下「接触部材等」ともいう)が接触する。そのため、電子写真感光体は、これら接触部材等との接触ストレスによる画像劣化の発生を低減させることが求められている。特に、近年、電子写真感光体の耐久性が向上するのに伴い、電子写真感光体は、接触ストレスによる画像劣化の低減効果の持続性が求められている。
持続的接触ストレスの緩和に関して、特許文献1には、シロキサン構造を分子鎖中に組み込んだシロキサン樹脂を用いて表面層中にマトリックス−ドメイン構造を形成する方法が提案されている。その中で特定のシロキサン構造を組み込んだポリエステル樹脂を用いることにより、持続的な接触ストレスの緩和と、電子写真感光体の繰り返し使用時の電位安定性(変動の抑制)とを両立させることが示されている。
一方、シロキサン構造を分子鎖中に有するシロキサン変性樹脂を電子写真感光体の表面層に含有させることが提案されている。特許文献2、および特許文献3には、特定構造のシロキサン構造を組み込んだポリカーボネート樹脂を含有する電子写真感光体の提案がなされ、離型作用による耐ソルベントクラック性や使用初期における感光体表面の潤滑性向上といった効果の報告がなされている。
国際公開WO2010/008095号公報 特開平06−075415号公報 特開2007−199688号公報
特許文献1で開示されている電子写真感光体は、持続的な接触ストレスの緩和と繰り返し使用時の電位安定性とが両立されている。しかしながら、本発明者らが検討を進めた結果、更に改善が必要であることがわかった。すなわち、特許文献1の知見を元に、特定のシロキサン構造を組み込んだポリカーボネート樹脂においても同一の効果を得ようとした場合、ポリカーボネート樹脂では表面層中に効率的なマトリックス−ドメイン構造を形成する事が困難であった。そして、持続的な接触ストレスの緩和と電子写真感光体の繰り返し使用時の電位安定性との両方について、改善が必要であることがわかった。
特許文献2では、樹脂の主鎖に特定構造のシロキサン構造を組み込んだポリカーボネート樹脂とシロキサン構造を有さない特定構造の共重合ポリカーボネート樹脂を混合した表面層を有する電子写真感光体が開示されている。そして、引用文献2の電子写真感光体は、耐ソルベントクラック性や耐トナー付着性が向上することが示されている。しかしながら、特許文献2の電子写真感光体では、持続的な接触ストレスの緩和の効果が不十分であった。また、特許文献3には、樹脂の主鎖及び末端に特定構造のシロキサン構造を組み込んだポリカーボネート樹脂と、シロキサン構造を有さないポリカーボネート樹脂とを混合した表面層を有する電子写真感光体が開示されている。そして、使用初期の潤滑性が向上することが示されている。しかしながら、特許文献3に記載の電子写真感光体は、持続的な接触ストレスの緩和効果が不十分であった。これは、特許文献3に記載のシロキサン構造を組み込んだ樹脂は、高い表面移行性を有するため、持続的に接触ストレスを緩和する効果が低いと思われる。
本発明の目的は、接触部材等との接触ストレスの持続的な緩和と、繰り返し使用時の電位安定性との両立に優れた電子写真感光体を提供することである。また、本発明の別の目的は、前記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。
本発明は、支持体、該支持体上に設けられた電荷発生層および該電荷発生層上に設けられた電荷輸送層を有し、かつ、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体において、
該電荷輸送層が、下記成分〔β〕および電荷輸送物質を含むマトリックスと、下記成分〔α〕を含むドメインで構成されているマトリックス−ドメイン構造を有することを特徴とする電子写真感光体に関する。
成分〔α〕は、下記式(A)で示される繰り返し構造単位、下記式(B)で示される繰り返し構造単位および下記式(C)で示される繰り返し構造単位を有し、シロキサン部位の含有量が5質量%以上40質量%以下であり、下記式(B)で示される繰り返し構造単位の含有量が10質量%以上30質量%以下であり、下記式(C)で示される繰り返し構造単位の含有量が25質量%以上質量85%以下であるポリカーボネート樹脂Aである。
式(A)中、nは、各括弧内の構造の繰り返し数を示し、ポリカーボネート樹脂Aに対するnの平均値は、20以上60以下である。
式(B)中、Yは酸素原子または硫黄原子を示す。
成分〔β〕は、下記式(D)で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂Dである。
また、本発明は、前記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジに関する。
また、本発明は、前記電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、および転写手段を有する電子写真装置に関する。
また、本発明は、前記電子写真感光体の製造方法であって、前記成分〔α〕、〔β〕および電荷輸送物質を含む電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層上に塗布し、これを乾燥させて前記電荷輸送層を形成する工程を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法に関する。
本発明によれば、接触部材等との接触ストレスの持続的な緩和と、繰り返し使用時の電位安定性との両立に優れた電子写真感光体を提供することができる。また、本発明によれば、前記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ、および電子写真装置を提供することができる。また、本発明によれば、前記電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
本発明の電子写真感光体は、上記のとおり、支持体と、該支持体上に設けられた電荷発生層と、該電荷発生層上に設けられた電荷輸送層、かつ、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体において、該電荷輸送層が、成分〔β〕および電荷輸送物質を含むマトリックスと、成分〔α〕を含むドメインで構成されているマトリックス−ドメイン構造を有する。
本発明におけるマトリックス−ドメイン構造は、「海島構造」でいうならば、マトリックスが海に相当し、ドメインが島に相当する。成分〔α〕を含むドメインは、成分〔β〕および電荷輸送物質を含むマトリックス中に形成された粒状(島状)構造を示す。成分〔α〕を含むドメインは、前記マトリックス中にドメインが独立して存在している。このようなマトリックス−ドメイン構造は、電荷輸送層の表面観察あるいは電荷輸送層の断面観察を行うことにより確認することができる。
マトリックス−ドメイン構造の状態観察あるいはドメインの計測は、たとえば、市販のレーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡、原子力間顕微鏡を用いて測定することが可能である。上記顕微鏡を用いて、所定の倍率により、マトリックス−ドメイン構造の状態観察あるいはドメインの計測をすることができる。
本発明における成分〔α〕を含むドメインの数平均粒径は、50nm以上1000nm以下であることが好ましい。また、各ドメインの粒径の粒度分布は狭いほうが接触ストレスの緩和効果の持続性の観点から好ましい。本発明における数平均粒径は、本発明の電荷輸送層を垂直に切断した断面を上述の顕微鏡で観察することによって観測されるドメインのうち任意に100個選択する。選択されたそれぞれのドメインの最大径を測定し、それぞれのドメインの最大径を平均化することにより、ドメインの数平均粒径を算出している。なお、電荷輸送層の断面を上述の顕微鏡で観察することにより、深さ方向の画像情報が得られ、電荷輸送層の三次元画像を取得することも可能である。
本発明の電子写真感光体の電荷輸送層のマトリックス−ドメイン構造は、成分〔α〕、〔β〕、および電荷輸送物質を含有する電荷輸送層用塗布液を用いて形成することができる。そして、この電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層上に塗布し、これを乾燥させることにより、本発明の電子写真感光体を製造することができる。
本発明のマトリックス−ドメイン構造は、成分〔β〕および電荷輸送物質を含むマトリックス中に、成分〔α〕を含むドメインを形成している構造である。電荷輸送層の表面だけでなく、電荷輸送層の内部に成分〔α〕を含むドメインが形成されていることにより、接触ストレスの緩和効果が持続的に発現していると考えられる。詳しくは、紙やクリーニングブレードなどの部材の摺擦により減少した接触ストレスの緩和効果を有するシロキサン樹脂成分を電荷輸送層中のドメインより供給可能となるためであると考えられる。
本発明者らは、本発明の電子写真感光体において、持続的な接触ストレスの緩和と繰り返し使用時の電位安定性との両立に優れる理由を以下のように推測している。
本発明のマトリックス−ドメイン構造を有する電荷輸送層を含む電子写真感光体の繰り返し使用時の電位変動が抑制されるためには、形成されたマトリックス−ドメイン構造におけるドメイン中の電荷輸送物質の含有量を極力低減することが重要である。
さらに、ポリカーボネート樹脂A中の構造に特定量の式(B)示される繰り返し構造単位及び式(C)で示される繰り返し構造単位を含有させることで、マトリックス中にドメインを形成しやすくなっていると考えられる。これは、ポリカーボネート樹脂Aは樹脂中に式(B)に示される繰り返し構造単位を有することに起因している。すなわち、式(B)の中心骨格であるエーテル構造、チオエーテル構造は折れ曲がりやすく、ポリカーボネート樹脂Aは空間の中で比較的自由な配置をとることができる。これらの理由により、ポリカーボネート樹脂Aはドメインを形成しやすくなっている。ポリカーボネート樹脂A中の式(B)で示される繰り返し構造単位の含有量は、ポリカーボネート樹脂Aの全質量に対して10質量%以上30質量%以下である。式(C)で示される繰り返し構造単位の含有量は、ポリカーボネート樹脂Aの全質量に対して25質量%以上85質量%以下である。式(B)で示される繰り返し構造単位の含有量が10質量%未満であると、ポリカーボネート樹脂Aが空間的に広がりやすく、電荷輸送層用塗布液の分離が促進され、ポリカーボネート樹脂Dとの極端な分離が促進されやすい。その結果、本発明のマトリックス−ドメイン構造のドメインを形成できず、電荷輸送層の光透過率の低下や電荷輸送物質の凝集や、電荷輸送層表面への析出が起き、繰り返し使用時の電位安定性が低下する。式(B)で示される繰り返し構造単位の含有量が30質量%を越えると、ドメインの形成が不安定になり、ドメインの大きさが不均一なりやすい。その結果、繰り返し使用時の電位安定性が低下する。これはドメイン中に取り込まれる電荷輸送物質の量が多くなっていると思われる。
〔成分〔α〕について〕
本発明の成分〔α〕は、下記式(A)で示される繰り返し構造単位、下記式(B)で示される繰り返し構造単位および下記式(C)で示される繰り返し構造単位を有し、シロキサン部位の含有量が5質量%以上40質量%以下であり、下記式(B)で示される繰り返し構造単位の含有量が10質量%以上30質量%以下であり、下記式(C)で示される繰り返し構造単位の含有量が25質量%以上質量85%以下であるポリカーボネート樹脂Aである。
式(A)中、nは、各括弧内の構造の繰り返し数を示し、ポリカーボネート樹脂Aに対するnの平均値は、20以上60以下である。
式(B)中、Yは酸素原子または硫黄原子を示す。
式(A)中のnは、各括弧内の構造の繰り返し数を示し、ポリカーボネート樹脂Aに対するnの平均値は、20以上60以下である。さらに、30以上50以下であることが、持続的ストレス緩和と繰り返し使用時の電位変動抑制の両立の観点から好ましい。さらに括弧内の構造の繰り返し数nは、nの繰り返し数の平均値で示した値の±10%以内の範囲内であることが、本発明の効果が安定的に得られる点で好ましい。
表1に上記式(A)で示される繰り返し構造単位の例を示す。
これらの中でも、上記繰り返し構造単位例(A−3)が好ましい。
また、ポリカーボネート樹脂Aは、末端構造として下記式(E)に示すシロキサン構造を有してもよい。
式(E)中のmは、各括弧内の構造の繰り返し数を示し、ポリカーボネート樹脂Aに対するmの平均値は、20以上60以下である。さらに、30以上50以下であり、かつ、式(A)おける各括弧内の構造の繰り返し数nの平均値、および(E)における各括弧内の構造の繰り返し数mの平均値の双方の平均値が等しいと、持続的ストレスの緩和と繰り返し使用時の電位安定性の両立の観点からより好ましい。さらに括弧内の構造の繰り返し数mは、mの繰り返し数の平均値で示した値の±10%以内の範囲内であることが、本発明の効果が安定的に得られる点で好ましい。
表2にシロキサン構造として式(A)で示される繰り返し構造単位と、末端構造として式(E)で示される繰り返し構造単位とを有するポリカーボネート樹脂Aの例を示す。
以下に、式(B)で示される繰り返し構造単位の具体例を示す。
これらの中でも、式(B−1)で示される繰り返し構造単位が好ましい。
また、ポリカーボネート樹脂Aは、ポリカーボネート樹脂Aの全質量に対して式(B)で示される繰り返し構造単位を10質量%以上30質量%以下で含有する。式(B)で示される繰り返し構造単位の含有量が10質量%以上であると、成分〔β〕、および電荷輸送物質を含むマトリックス中に効率的にドメインが形成される。また、式(B)で示される繰り返し構造単位の含有量が30質量%以下であると、成分〔α〕を含むドメイン中で電荷輸送物質が凝集体を形成することが抑制され、繰り返し使用時の電位安定性が十分に得られる。
次に、式(C)で示される繰り返し構造単位について説明する。ポリカーボネート樹脂Aは、ポリカーボネート樹脂Aの全質量に対して式(C)で示される繰り返し構造単位を25質量%以上85質量%以下で含有する。式(C)で示される繰り返し構造単位の含有量が25質量%以上であると、成分〔β〕、および電荷輸送物質を含むマトリックス中に効率的にドメインが形成される。また、式(C)で示される繰り返し構造単位の含有量が85質量%以下であると、成分〔α〕を含むドメイン中で電荷輸送物質が凝集体を形成することが抑制され、繰り返し使用時の電位安定性が十分に得られる。
また、ポリカーボネート樹脂Aは、ポリカーボネート樹脂Aの全質量に対してシロキサン部位を5質量%以上40質量%以下で含有する。シロキサン部位の含有量が5質量%未満であると、接触ストレスの持続的な緩和効果が十分に得られず、かつ、成分〔β〕および電荷輸送物質を含むマトリックス中に効率的にドメインを形成することができない。また、シロキサン部位の含有量が40質量%より多いと、成分〔α〕を含むドメイン中で電荷輸送物質が凝集体を形成し、繰り返し使用時の電位安定性が十分に得られない。
本発明において、シロキサン部位とは、シロキサン部分を構成する両端のケイ素原子、およびそれらに結合する基と、該両端のケイ素原子に挟まれた酸素原子、ケイ素原子およびそれらに結合する基を含む部位である。具体的にいえば、本発明において、シロキサン部位とは、たとえば、下記式(A−S)で示される繰り返し構造単位の場合、下記破線で囲まれた部位のことである。また、ポリカーボネート樹脂Aは末端構造としてシロキサン構造を有してもよい。その場合、同じようにシロキサン部位とは、たとえば、下記式(E−S)で示される繰り返し構造単位の場合、下記破線で囲まれた部位のことである。この場合、ポリカーボネート樹脂A中のシロキサン部位の含有量は、下記式(A−S)および下記式(E−S)の下記破線部分の合計がポリカーボネート樹脂Aの全質量に対して5質量%以上40質量%以下である。
すなわち、以下に示す構造が上記式(A−S)および上記式(E−S)のシロキサン部位である。
本発明のポリカーボネート樹脂Aの全質量に対するシロキサン部位の含有量は一般的な分析手法で解析可能である。以下に、分析手法の例を示す。
まず、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層を溶剤で溶解させる。その後、サイズ排除クロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーなどの各組成成分を分離回収可能な分取装置で、表面層である電荷輸送層に含有される種々の材料を分取する。分取されたポリカーボネート樹脂Aをアルカリ存在下などで加水分解させ、カルボン酸部分とビスフェノール及びフェノール部分に分解する。得られたビスフェノール及びフェノール部分に対し、核磁気共鳴スペクトル分析や質量分析をおこない、シロキサン部分の繰り返し数やモル比を算出し、含有量(質量比)に換算する。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂Aは、式(A)で示される繰り返し構造単位と式(B)で示される繰り返し構造単位および式(C)で示される繰り返し構造単位との共重合体である。そして、その共重合形態は、ブロック共重合、ランダム共重合、交互共重合などのいずれの形態であってもよい。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂Aの重量平均分子量は、成分〔β〕および電荷輸送物質を含むマトリックス中でドメインを形成する点で、30,000以上150,000以下であることが好ましい。さらには、40,000以上100,000以下であることがより好ましい。
本発明において、樹脂の重量平均分子量とは、常法に従い、特開2007−79555号公報に記載の方法により測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量である。
本発明において、ポリカーボネート樹脂Aの共重合比は、一般的な手法である樹脂のH−NMR測定による水素原子(樹脂を構成している水素原子)のピーク位置、ピーク面積比による換算法によって確認することができる。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂Aは、エステル交換法やホスゲン法によって合成することが可能である。
本発明におけるポリカーボネート樹脂Aのシロキサン部位の含有量は、電荷輸送層中の全樹脂の全質量に対して1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。シロキサン部位の含有量が1質量%以上20質量%以下であると、マトリックス−ドメイン構造が安定して形成され、持続的な接触ストレスの緩和と繰り返し使用時の電位安定性とを高いレベルで両立することができる。さらには、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、持続的な接触ストレスの緩和と繰り返し使用時の電位安定性をさらに高めることができる。
〔成分〔β〕について〕
成分〔β〕は、下記式(D)で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂Dである。
本発明の成分〔β〕に含まれる、式(D)で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネートD樹脂に関して説明する。本発明における式(D)で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネートD樹脂は、ポリカーボネート樹脂Aとの組合せでは、ドメイン中に取り込まれ難く、電荷輸送物質との均一なマトリックスを形成する。これにより、接触ストレスの持続的な緩和と、繰り返し使用時の電位安定性との効果が得られる。成分〔β〕は、電荷輸送物質との均一なマトリックスを形成するという観点から、シロキサン部位を有さない方が好ましい。さらに、成分〔β〕は、エーテル構造、チオエーテル構造を有する繰り返し構造単位を有さない方が好ましい。また、成分〔β〕は、式(D)に示される繰り返し構造単位を含有する他に、式(D)との共重合構造として他の繰り返し構造単位を含有しても良い。成分〔β〕における式(D)に示される繰り返し構造単位の含有量は、電荷輸送物質との均一なマトリックスを形成するという観点から、成分〔β〕に対して50質量%以上含有することが好ましい。さらには、式(D)に示される繰り返し構造単位が70質量%以上含有することが好ましい。以下に、他の繰り返し構造単位の具体例を示す。
これらの中でも、上記式(2−1)または(2−3)で示される繰り返し構造単位が好ましい。
〔電荷輸送物質について〕
電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベンゼン化合物などが挙げられる。これら電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。本発明においては、下記式(1a)、(1a’)、(1b)または(1b’)で示される構造を有する化合物などが用いられる。
式(1a)および式(1a’)中、Arは、フェニル基、または置換基としてメチル基、またはエチル基を有するフェニル基を示す。Arは、フェニル基、置換基としてメチル基を有するフェニル基、置換基として−CH=CH−Ta(式中、Taは、トリフェニルアミンのベンゼン環から水素原子1個を除いて導き出される1価の基、または置換基としてメチル基、もしくはエチル基を有するトリフェニルアミンのベンゼン環から水素原子1個を除いて導き出される1価の基を示す。)で示される1価の基を有するフェニル基、またはビフェニリル基を示す。Rは、フェニル基、置換基としてメチル基を有するフェニル基、または置換基として−CH=C(Ar)Ar(式中、ArおよびArは、それぞれ独立にフェニル基、または置換基としてメチル基を有するフェニル基を示す。)で示される1価の基を有するフェニル基を示す。Rは、水素原子、フェニル基、または置換基としてメチル基を有するフェニル基を示す。
式(1b)中、Ar21およびAr22は、それぞれ独立にフェニル基、またはトリル基を示す。式(1b’)中、Ar23およびAr26は、それぞれ独立にフェニル基、または置換基としてメチル基を有するフェニル基を示す。Ar24、Ar25、Ar27、およびAr28は、それぞれ独立にフェニル基、またはトリル基を示す。
以下に、本発明で用いられる電荷輸送物質の具体例を示す。なお、下記式(1−1)〜(1−10)は、上記式(1a)または(1a’)で示される構造を有する化合物の具体例である。下記式(1−15)〜(1−18)は、上記式(1b)または(1b’)で示される構造を有する化合物の具体例である。
これらの中でも、電荷輸送物質は、上記式(1−1)、(1−3)、(1−5)、(1−7)、(1−11)、(1−13)、(1−14)、(1−15)、(1−17)で示される構造を有する電荷輸送物質であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体の表面層である電荷輸送層は、樹脂としてポリカーボネート樹脂Aおよびポリカーボネート樹脂Dを含有するが、さらに他の樹脂を混合して用いてもよい。混合して用いてもよい他の樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。これらの中でも、電子写真特性の向上の点で、ポリエステル樹脂が好ましい。他の樹脂を混合して用いる場合、ポリカーボネート樹脂Dとその他の樹脂との割合は、9:1〜99:1(質量比)の範囲が好ましい。本発明において、ポリカーボネート樹脂Dに加えて、他の樹脂を混合して用いる場合、電荷輸送物質との均一なマトリックスを形成するという観点から、他の樹脂はシロキサン構造を有さない樹脂を用いることが好ましい。
混合してもよいポリエステル樹脂の具体例としては下記式(3)で示される繰り返し構造単位を有する樹脂であることが好ましい。
次に、本発明に用いられる成分〔α〕であるポリカーボネート樹脂Aの合成例を示す。ポリカーボネート樹脂Aは、特開2007−199688号公報に記載の合成方法を用いて合成することが可能である。本発明においても同様の合成方法を用い、式(A)で示される繰り返し構造単位、式(B)で示される構造単位および式(C)で示される構造単位に応じた原材料を用いて表3の合成例に示すポリカーボネート樹脂Aを合成した。合成したポリカーボネート樹脂Aの重量平均分子量およびポリカーボネート樹脂A中のシロキサン部位の含有量を表3に示す。
なお、表3において、ポリカーボネート樹脂A(1)〜A(31)は、シロキサン部位として式(A)に示される繰り返し構造単位のみを有するポリカーボネート樹脂Aである。ポリカーボネート樹脂A(32)〜A(40)は、シロキサン部位として式(A)に示される繰り返し構造単位、および式(E)に示される繰り返し構造単位の両方を有するポリカーボネート樹脂Aである。表3におけるシロキサン部位の含有量は、前述の通り、ポリカーボネート樹脂Aに対する式(A)に示される繰り返し構造単位、および式(E)に示される繰り返し構造単位に含まれるシロキサン部位の合計量である。ポリカーボネート樹脂A(32)〜A(40)の合成においては、式(A)に示される繰り返し構造単位、および式(E)に示される繰り返し構造単位の原材料比を1:1の質量比になるようにして合成した。
ポリカーボネート樹脂A(3)において、上記式(A−3)で示される構造の括弧内の繰り返し数nの最大値は43、最小値は37であった。ポリカーボネート樹脂A(33)において、上記式(A)で示される構造の括弧内の繰り返し数nの最大値は43、最小値は37であり、上記式(E)で示される構造の括弧内の繰り返し数mの最大値は42、最小値は38であった。
次に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。
本発明の電子写真感光体は、支持体、該支持体上に設けられた電荷発生層、および該電荷発生層上に設けられた電荷輸送層を有する電子写真感光体である。また、電荷輸送層が電子写真感光体の表面層(最上層)である電子写真感光体である。
また、本発明の電子写真感光体の電荷輸送層は、上記成分〔α〕、〔β〕および電荷輸送物質を含有する。また、電荷輸送層を積層構造としてもよく、その場合は、少なくとも最も表面側の電荷輸送層に上記マトリックス−ドメイン構造を有させる。
電子写真感光体は、一般的には、円筒状支持体上に感光層を形成してなる円筒状の電子写真感光体が広く用いられるが、ベルト状、シート状などの形状とすることも可能である。
〔支持体〕
本発明の電子写真感光体に用いられる支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましく、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどが挙げられる。アルミニウム、またはアルミニウム合金製の支持体の場合は、ED管、EI管や、これらを切削、電解複合研磨、湿式または乾式ホーニング処理した支持体を用いることもできる。また、金属支持体、樹脂支持体上にアルミニウム、アルミニウム合金、または酸化インジウム−酸化スズ合金等の導電性材料の薄膜を形成したものも挙げられる。支持体の表面は、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよい。
また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子のような導電性粒子を樹脂などに含浸した支持体や、導電性樹脂を有するプラスチックを用いることもできる。 本発明の電子写真感光体において、支持体上に導電性粒子と樹脂を有する導電層を設けてもよい。導電層は、導電性粒子を樹脂に分散させた導電層用塗布液を用いて形成される層である。導電性粒子としては、カーボンブラック、アセチレンブラックや、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉や、導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体が挙げられる。
導電層に用いられる樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂およびアルキッド樹脂などが挙げられる。
導電層用塗布液の溶剤としては、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、および芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。導電層の膜厚は、0.2μm以上40μm以下であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましい。さらには5μm以上30μm以下であることがより好ましい。
本発明の電子写真感光体では、支持体または導電層と、電荷発生層との間に中間層を設けてもよい。
中間層は、樹脂を含有する中間層用塗布液を支持体上、または導電層上に塗布し、これを乾燥または硬化させることによって形成することができる。
中間層に用いられる樹脂としては、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどが挙げられる。中間層に用いられる樹脂は熱可塑性樹脂が好ましく、具体的には、熱可塑性のポリアミドが好ましい。ポリアミドとしては、溶液状態で塗布できるような低結晶性または非結晶性の共重合ナイロンが好ましい。
中間層の膜厚は、0.05μm以上40μm以下であることが好ましく、0.1μm以上30μm以下であることがより好ましい。また、中間層には、半導電性粒子、電子輸送物質、あるいは電子受容性物質を含有させてもよい。
〔電荷発生層〕
本発明の電子写真感光体において、支持体、導電層または中間層上には、電荷発生層が設けられる。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ顔料およびペリレン顔料が挙げられる。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンなどが高感度であるため好ましい。
電荷発生層に用いられる樹脂としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、および尿素樹脂が挙げられる。これらの中でも、ブチラール樹脂が特に好ましい。これらの樹脂は、単独、混合、または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を樹脂および溶剤とともに分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。
分散方法としては、たとえば、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルを用いた方法が挙げられる。
電荷発生物質と樹脂との割合は、樹脂1質量部に対して、電荷発生物質が0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上3質量部以下がより好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、または芳香族炭化水素溶剤などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。また、電荷発生層において電荷の流れが滞らないようにするために、電荷発生層には、電子輸送物質、または電子受容性物質を含有させてもよい。
〔電荷輸送層〕
本発明の電子写真感光体において、電荷発生層上には、電荷輸送層が設けられる。
本発明の電子写真感光体の表面層である電荷輸送層は、成分〔α〕、〔β〕および電荷輸送物質を含有するが、上述のように他の樹脂をさらに混合して用いてもよい。混合して用いてもよい他の樹脂は、上述のとおりである。本発明の電荷輸送層に用いられる電荷輸送物質についても1種または2種以上を混合して用いることができる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質、および上記各樹脂を溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
電荷輸送物質と樹脂との割合は、樹脂1質量部に対して、電荷輸送物質が0.4質量部以上2質量部以下が好ましく、0.5質量部以上1.2質量部以下がより好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、および芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で使用してもよいが、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤、または芳香族炭化水素溶剤を使用することが、樹脂溶解性の観点から好ましい。
電荷輸送層の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以上35μm以下であることがより好ましい。また、電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
本発明の電子写真感光体の各層には、各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤のような劣化防止剤や、有機微粒子、無機微粒子などの微粒子が挙げられる。劣化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系耐光安定剤、硫黄原子含有酸化防止剤、リン原子含有酸化防止剤が挙げられる。有機微粒子としては、フッ素原子含有樹脂粒子、ポリスチレン微粒子、ポリエチレン樹脂粒子のような高分子樹脂粒子が挙げられる。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナのような金属酸化物が挙げられる。
上記各層の塗布液を塗布する際には、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
〔電子写真装置〕
図1に、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図1において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度をもって回転駆動される。回転駆動される電子写真感光体1の表面は、回転過程において、帯電手段(一次帯電手段:帯電ローラーなど)3により、負の所定電位に均一に帯電される。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5の現像剤に含まれるトナーで反転現像により現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材(紙など)Pに順次転写されていく。なお、転写材Pは、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に給送される。また、転写手段6には、バイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ搬入されてトナー像の定着処理を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ搬送される。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって転写残りの現像剤(転写残トナー)の除去を受けて清浄面化される。次いで、前露光手段(不図示)からの前露光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図1に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
本発明において、上記の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6、およびクリーニング手段7などの構成要素の中から複数のものを選択し、これらを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に支持して構成してもよい。そして、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図1では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5、およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
〔実施例1〕
直径30mm、長さ260.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体とした。次に、SnOコート処理硫酸バリウム(導電性粒子)10部、酸化チタン(抵抗調節用顔料)2部、フェノール樹脂6部、シリコーンオイル(レベリング剤)0.001部を、メタノール4部およびメトキシプロパノール16部の混合溶剤を用いて導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を上記アルミニウムシリンダー上に浸漬塗布し、これを140℃で30分間硬化(熱硬化)させ、膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、N−メトキシメチル化ナイロン3部、および共重合ナイロン3部を、メタノール65部およびn−ブタノール30部の混合溶剤に溶解させて、中間層用塗布液を調製した。この中間層用塗布液を上記導電層上に浸漬塗布し、これを100℃で10分間乾燥させて、膜厚が0.7μmの中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン(電荷発生物質)10部を用意した。それに、シクロヘキサノン250部およびポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部を混合し、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で1時間分散した。分散後、酢酸エチル250部を加えて、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を上記中間層上に浸漬塗布し、これを100℃で10分間乾燥させて、膜厚が0.26μmの電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送物質として上記式(1−11)で示される構造を有する電荷輸送物質9部および上記式(1−14)で示される構造を有する電荷輸送物質1部、成分〔α〕として合成例1で合成したポリカーボネート樹脂A(1)3部、および成分〔β〕としてポリカーボネート樹脂D(重量平均分子量80,000)7部を、o−キシレン60部およびジメトキシメタン20部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、これを120℃で1時間乾燥させて、膜厚が16μmの電荷輸送層を形成した。形成された電荷輸送層には成分〔β〕および電荷輸送物質を含むマトリックス中に成分〔α〕を含むドメインが含有されていること(マトリックス−ドメイン構造)が確認された。
このようにして、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を製造した。電荷輸送層に含有される成分〔α〕、〔β〕、電荷輸送物質、ポリカーボネート樹脂A中のシロキサン部位の含有量、および電荷輸送層の全樹脂の全質量に対するポリカーボネート樹脂A中のシロキサン部位の含有量を表3に示す。
次に、評価について説明する。
評価は、3,000枚繰り返し使用時の明部電位の変動(電位変動)、初期および3,000枚繰り返し使用時のトルクの相対値、およびトルク測定時の電子写真感光体の表面の観察について行った。
評価装置としては、キヤノン(株)製レーザービームプリンターLBP−2510を、電子写真感光体の帯電電位(暗部電位)を調整できるように改造して用いた。また、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレードを、電子写真感光体の表面に対して、当接角22.5°および当接圧35g/cmとなるように設定した。評価は、温度23℃、相対湿度15%環境下で行った。
<電位変動評価>
評価装置の780nmのレーザー光源の露光量(画像露光量)については、電子写真感光体の表面での光量が0.3μJ/cmとなるように設定した。電子写真感光体の表面電位(暗部電位および明部電位)の測定は、電子写真感光体の端部から130mmの位置に電位測定用プローブが位置するように固定された冶具と現像器とを交換して、現像器位置で行った。電子写真感光体の非露光部の暗部電位が−450Vとなるように設定し、レーザー光を照射して暗部電位から光減衰させた明部電位を測定した。また、A4サイズの普通紙を用い、連続して画像出力を3,000枚行い、その前後での明部電位の変動量を評価した。テストチャートは、印字比率4%のものを用いた。結果を表10中の電位変動に示す。
<トルクの相対値評価>
上記電位変動評価条件と同条件において、電子写真感光体の回転モーターの駆動電流値(電流値A)を測定した。この評価は、電子写真感光体とクリーニングブレードとの接触ストレス量を評価したものである。得られた電流値の大きさは、電子写真感光体とクリーニングブレードとの接触ストレス量の大きさを示す。
さらに、以下の方法でトルク相対値の対照となる電子写真感光体を製造した。実施例1の電子写真感光体の電荷輸送層に用いた成分〔α〕であるポリカーボネート樹脂A(1)を、表4中の成分〔β〕に変更し、樹脂として成分〔β〕のみの構成に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。これを対照用の電子写真感光体とした。
製造された対照用の電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に電子写真感光体の回転モーターの駆動電流値(電流値B)を測定した。
このようにして得られた本発明に関わる成分〔α〕を含有する電子写真感光体の回転モーターの駆動電流値(電流値A)と、成分〔α〕を用いなかった対照用の電子写真感光体の回転モーターの駆動電流値(電流値B)との比を算出した。得られた(電流値A)/(電流値B)の数値を、トルクの相対値として比較した。このトルクの相対値の数値は、成分〔α〕を用いたことによる電子写真感光体とクリーニングブレードとの接触ストレス量の低減の程度を示し、トルクの相対値の数値が小さいほうが電子写真感光体とクリーニングブレードとの接触ストレス量の低減の程度が大きいことを示す。結果を、表10中の初期トルクの相対値に示す。
続いて、A4サイズの普通紙を用い、連続して画像出力を3,000枚行った。テストチャートは、印字比率4%のものを用いた。その後、3,000枚繰り返し使用後のトルクの相対値測定を行った。3,000枚繰り返し使用後のトルクの相対値は初期トルクの相対値と同様の評価で行った。この場合、対照用の電子写真感光体に対しても3,000枚繰り返し使用を行い、そのときの回転モーターの駆動電流値を用いて3,000枚繰り返し使用後のトルクの相対値を算出した。結果を、表10中の3,000枚後トルクの相対値に示す。
<マトリックス−ドメイン構造の評価>
上記の方法により製造された電子写真感光体に対して、電荷輸送層を垂直方向に切断した電荷輸送層の断面を超深度形状測定顕微鏡VK−9500((株)キーエンス社製)を用いて断面観察を行った。その際、対物レンズ倍率50倍とし、電子写真感光体の表面の100μm四方(10,000μm)を視野観察とし、視野内にあるランダムに選択された100個の形成されたドメインの最大径の測定を行った。得られた最大径より平均値を算出し、数平均粒径とした。結果を表10に示す。
〔実施例2〜100〕
実施例1において、電荷輸送層の成分〔α〕、〔β〕、および電荷輸送物質を表5、6に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、評価した。形成された電荷輸送層には成分〔β〕および電荷輸送物質を含むマトリックス中に、成分〔α〕を含むドメインが含有されていることが確認された。結果を表10に示す。
〔実施例101〜150〕
実施例1において、電荷輸送層の成分〔α〕、〔β〕、および電荷輸送物質を表7に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、評価した。形成された電荷輸送層には成分〔β〕および電荷輸送物質を含むマトリックス中に、成分〔α〕を含むドメインが含有されていることが確認された。結果を表11に示す。
なお、成分〔β〕として用いたポリカーボネート樹脂Dの重量平均分子量は、
(D)/(2−3)=5/5:60,000
(D)/(2−1)=8/2:65,000
(D)/(2−2)=8/2:75,000
であった。
〔実施例151〜187〕
実施例1において、電荷輸送層の成分〔α〕、〔β〕、および電荷輸送物質を表8に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、評価した。形成された電荷輸送層には成分〔β〕および電荷輸送物質を含むマトリックス中に、成分〔α〕を含むドメインが含有されていることが確認された。結果を表12に示す。
なお、成分〔β〕として用いたポリカーボネート樹脂Dの重量平均分子量は、
(D)/(2−2)=8/2:75,000
(D)/(2−1)/(2−4)=6/2/2:60,000
であった。
また、成分〔β〕として、樹脂(D)の他に混合した上記式(3)に示されるポリエステル樹脂の重量平均分子量は、
(3):120000
であった。また、上記式(3)で示される繰り返し構造単位は、いずれもテレフタル酸/イソフタル酸の比が、1/1である。
〔比較例〕
比較樹脂として、ポリカーボネート樹脂Aの替わりに、表4に示す樹脂F(ポリカーボネート樹脂F)を合成した。
〔比較例1〕
実施例1において、ポリカーボネート樹脂A(1)を、上記表4に示す樹脂F(1)に変更し、表9に示す変更を行った以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。電荷輸送層に含有される樹脂の構成、およびシロキサン部位の含有量を表9に示す。実施例1と同様に評価を行い、結果を表12に示す。形成された電荷輸送層には、マトリックス−ドメイン構造は確認されなかった。
〔比較例2〜6、15〜20、27〜36〕
実施例1において、ポリカーボネート樹脂A(1)を、上記表4に示す樹脂Fに変更し、表9に示す変更を行った以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。電荷輸送層に含有される樹脂の構成およびシロキサン部位の含有量を表9に示す。実施例1と同様に評価を行い、結果を表12に示す。形成された電荷輸送層には、マトリックス−ドメイン構造は確認されなかった。
〔比較例7、14〕
実施例1において、電荷輸送層中に含有する樹脂として上記表4に示す樹脂Fのみを含有するように変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。電荷輸送層に含有される樹脂の構成、およびシロキサン部位の含有量を表9に示す。実施例1と同様に評価を行い、結果を表12に示す。形成された電荷輸送層には、マトリックス−ドメイン構造は確認されなかった。なお、トルク相対値の対照となる電子写真感光体は、実施例1で用いた対照用の電子写真感光体を用いた。
〔比較例8〜13、21〜26〕
実施例1において、ポリカーボネート樹脂A(1)を、上記表4に示す樹脂Fに変更し、表9に示す変更を行った以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。電荷輸送層に含有される樹脂の構成およびシロキサン部位の含有量を表9に示す。実施例1と同様に評価を行い、結果を表12に示す。形成された電荷輸送層には、マトリックス−ドメイン構造が形成されていたが、いずれもドメインは大きく不均一であった。
〔比較例37、38〕
実施例1におけるポリカーボネート樹脂A(15)について、繰り返し構造単位例(A−2)を下記式(A−13)に変更したポリカーボネート樹脂F(8)に変更し、表9に示す変更を行った以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。電荷輸送層に含有される樹脂の構成およびシロキサン部位の含有量を表9に示す。実施例1と同様に評価を行い、結果を表12に示す。形成された電荷輸送層には、マトリックス−ドメイン構造は確認されなかった。なお、下記式(A−13)で示される繰り返し構造単位中のシロキサン部位の繰り返し数を示す数値は、繰り返し数の平均値を示す。この場合、樹脂F(8)における下記式(A−13)で示される繰り返し構造単位中のシロキサン部位の繰り返し数の平均値は10である。
〔比較例39、40〕
実施例1におけるポリカーボネート樹脂A(15)について、繰り返し構造単位例(A−2)を下記式(A−14)に変更した樹脂F(9)に変更し、表9に示す変更を行った以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。電荷輸送層に含有される樹脂の構成およびシロキサン部位の含有量を表9に示す。実施例1と同様に評価を行い、結果を表12に示す。形成された電荷輸送層には、マトリックス−ドメイン構造が形成されていたが、いずれもドメインは大きく不均一であった。なお、トルク相対値の対照となる電子写真感光体は、実施例1で用いた対照用の電子写真感光体を用いた。なお、下記式(A−14)で示される繰り返し構造単位中のシロキサン部位の繰り返し数を示す数値は、繰り返し数の平均値を示す。この場合、樹脂F(9)における下記式(A−14)で示される繰り返し構造単位中のシロキサン部位の繰り返し数の平均値は70である。
〔比較例41〜46〕
実施例1において、ポリカーボネート樹脂A(1)を、国際公開WO2010/008095号公報に記載されている構造である下記式(G)で示される繰り返し構造単位、および上記式(3)で示される繰り返し構造単位を含有し、樹脂中のシロキサン部位の含有量が30質量%である樹脂(G(1):重量平均分子量60,000)に変更し、表9に示す変更を行った以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。上記式(G)、および上記式(3)で示される繰り返し構造単位は、テレフタル酸/イソフタル酸の比が1/1である。電荷輸送層に含有される樹脂の構成、およびシロキサン部位の含有量を表9に示す。実施例1と同様に評価を行い、結果を表12に示す。形成された電荷輸送層には、マトリックス−ドメイン構造が形成されていた。なお、トルク相対値の対照となる電子写真感光体は、実施例1で用いた対照の電子写真感光体を用いた。なお、下記式(G)で示される繰り返し構造単位中のシロキサン部位の繰り返し数を示す数値は、繰り返し数の平均値を示す。この場合、樹脂G(1)における下記式(G)で示される繰り返し構造単位中のシロキサン部位の繰り返し数の平均値は40である。
〔比較例47〜52〕
実施例1におけるポリカーボネート樹脂A(15)について、上記式(C)で示される繰り返し構造単位を上記式(2−3)で示される繰り返し構造単位に変更した樹脂F(10)に変更し、表9に示す変更を行った以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。電荷輸送層に含有される樹脂の構成およびシロキサン部位の含有量を表9に示す。実施例1と同様に評価を行い、結果を表12に示す。形成された電荷輸送層には、マトリックス−ドメイン構造は確認されなかった。
〔比較例53〜55〕
実施例1において、電荷輸送層の成分〔α〕、〔β〕、および電荷輸送物質を表9に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、評価した。結果を表12に示す。形成された電荷輸送層には、マトリックス−ドメイン構造は確認されなかった。なお、成分〔β〕として用いたポリカーボネート樹脂の繰り返し構造単位を上記式(2−1)、(2−3)および下記式(2−5)、(2−6)に示す。なお、成分〔β〕として用いたポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、
(2−3)/(2−5)=5/5:70,000
(2−3)/(2−1)=8/2:65,000
(2−6):50,000
であった。
表5〜8中の「電荷輸送物質」は、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を意味する。電荷輸送物質を混合して用いた場合は、電荷輸送物質の種類と混合比を意味する。表5〜8中の「成分〔α〕」は、成分〔α〕の構成を意味する。表5〜8中の「シロキサン含有量A(質量%)」は、ポリカーボネート樹脂A中のシロキサン部位の含有量(質量%)を意味する。表5〜8中の「成分〔β〕」は、成分〔β〕の構成を意味する。表5〜8中の「成分〔α〕と成分〔β〕の混合比」は、電荷輸送層中の成分〔α〕と成分〔β〕の混合比(成分〔α〕/成分〔β〕)を意味する。表5〜8中の「シロキサン含有量B(質量%)」は、電荷輸送層中の樹脂の全質量に対するポリカーボネート樹脂A中のシロキサン部位の含有量(質量%)を意味する。表8中の実施例171〜187における「成分〔β〕」に示す式(D)、式(3)の部数は、樹脂の混合量を示す。
表9中の「電荷輸送物質」は、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を意味する。電荷輸送物質を混合して用いた場合は、電荷輸送物質の種類と混合比を意味する。表9中の「樹脂F」は、シロキサン部位を有する樹脂Fを意味する。表9中の「シロキサン含有量A(質量%)」は、「樹脂F」中のシロキサン部位の含有量(質量%)を意味する。表9中の「成分〔β〕」は、成分〔β〕の構成を意味する。表9中の「樹脂Fと成分〔β〕の混合比」は、電荷輸送層中の樹脂F、あるいはポリカーボネート樹脂Aと成分〔β〕との混合比(樹脂F/成分〔β〕)を意味する。表9中の「シロキサン含有量B(質量%)」は、電荷輸送層中の全樹脂の全質量に対する「樹脂F」中のシロキサン部位の含有量(質量%)を意味する。

表10〜12中の「粒径」は、ドメインの数平均粒径を意味する。
実施例と比較例1〜6との比較により、電荷輸送層中のシロキサン部位を含有するポリカーボネート樹脂に対するシロキサン部位の含有量が低い場合、十分な接触ストレスの緩和効果が得られていない。このことは、本評価法の初期、および3,000枚後の評価においてトルク低減の効果がないことにより示されている。また、比較例7では、シロキサン部位を有するポリカーボネート樹脂に対するシロキサン部位の含有量が低い場合には、シロキサン含有樹脂の電荷輸送層中の含有量を増やしても十分な接触ストレスの緩和効果が得られないことが示されている。
実施例と比較例8〜13との比較により、電荷輸送層中のシロキサン部位を含有するポリカーボネート樹脂に対するシロキサン部位の含有量が高い場合には、繰り返し使用時の電位安定性が不十分である結果が得られている。この場合は、シロキサン部位を含有するポリカーボネート樹脂によるマトリックス−ドメイン構造は形成されるものの、ポリカーボネート樹脂中や電荷輸送層中に過剰量のシロキサン構造を有するため、電荷輸送物質との相溶性が不十分となる。そのため、十分な繰り返し使用時の電位安定性の効果が得られていない。また、比較例14においても繰り返し使用時の電位安定性が十分ではない結果が得られている。比較例14の結果より、マトリックス−ドメイン構造を形成していなくとも大きな電位変動を発生している。すなわち、比較例8〜14では、電荷輸送物質と過剰量のシロキサン構造を有する樹脂を含有する場合では、電荷輸送物質との相溶性が不十分となっていると考えられる。
実施例と比較例15〜20及び比較例27〜36との比較により、成分〔α〕であるポリカーボネート樹脂A中の式(B)で示される繰り返し構造単位の含有量が低い場合は、マトリックス−ドメイン構造を形成せず、十分な接触ストレスの緩和効果が得られていない。このことは、本評価法の初期、および3,000枚後の評価においてトルク低減の効果が十分ではないことにより示されている。
実施例と比較例21〜26との比較により、ポリカーボネート樹脂A中の式(B)で示される繰り返し構造単位の含有量が高い場合は、ポリカーボネート樹脂Aによるマトリックス−ドメイン構造は形成されるものの、繰り返し使用時の電位安定性の効果が不十分である。
実施例と比較例37〜40との比較により、ポリカーボネート樹脂A中の式(A)で示される繰り返し構造単位が本発明の範囲外の場合は、接触ストレスの持続的な緩和効果と繰り返し使用時の電位安定性とが十分に両立されていない。
実施例と比較例41〜46との比較により、シロキサン構造を有するポリエステル樹脂を用いてマトリックス−ドメイン構造を形成した場合と比較し、本発明の構成の方が、より高い接触ストレスの持続的な緩和効果が得られることが示されている。これは、本発明のポリカーボネート樹脂Aを用いることにより、繰り返し使用時の電位安定性と持続的な接触ストレス緩和の更なる両立が達成できることが示されている。この理由としては、本発明における上記式(B)に示される繰り返し構造単位が、特定の含有量で含まれていることにより、ドメインの更なる微細化、均一化が図られ、より電荷輸送層中で、マトリックス−ドメイン構造の分離が明確に形成されているためであると思われる。また、実施例と比較例47〜52との比較により、成分〔α〕中の上記式(C)に示される繰り返し構造単位でない場合、持続的な接触ストレスの緩和効果が十分に得られていない。このことは、本評価法の初期、および3,000枚後の評価においてトルク低減の効果が十分ではないことにより示されている。同様に、実施例と比較例53〜55の比較により、成分〔β〕が上記式(D)に示される繰り返し構造単位でない場合、持続的な接触ストレスの緩和効果が十分に得られていない。このことは、本評価法の初期、および3,000枚後の評価においてトルク低減の効果が十分ではないことにより示されている。
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために以下の請求項を添付する。
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
P 転写材

Claims (5)

  1. 支持体、該支持体上に設けられた電荷発生層および該電荷発生層上に設けられた電荷輸送層を有し、かつ、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体において、
    該電荷輸送層が、下記成分〔β〕および電荷輸送物質を含むマトリックスと、下記成分〔α〕を含むドメインで構成されているマトリックス−ドメイン構造を有することを特徴とする電子写真感光体。
    〔α〕下記式(A)で示される繰り返し構造単位、下記式(B)で示される繰り返し構造単位および下記式(C)で示される繰り返し構造単位を有し、シロキサン部位の含有量が5質量%以上40質量%以下であり、下記式(B)で示される繰り返し構造単位の含有量が10質量%以上30質量%以下であり、下記式(C)で示される繰り返し構造単位の含有量が25質量%以上質量85%以下であるポリカーボネート樹脂A:
    (式(A)中、nは、各括弧内の構造の繰り返し数を示し、ポリカーボネート樹脂Aに対するnの平均値は、20以上60以下である。)
    (式(B)中、Yは酸素原子または硫黄原子を示す。)
    〔β〕下記式(D)で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂D:
  2. 前記電荷輸送層中の前記シロキサン部位の含有量が、前記電荷輸送層中の全樹脂の全質量に対して1質量%以上20質量%以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  4. 請求項1または2のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、および転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
  5. 請求項1または2のいずれかに記載の電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法であって、
    前記成分〔α〕、〔β〕、および電荷輸送物質を含む電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層上に塗布し、これを乾燥させて前記電荷輸送層を形成する工程を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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