JPWO2012132419A1 - ガラス板の製造方法及びガラス板製造装置 - Google Patents

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Abstract

ダウンドロー法によるガラス板の製造方法は、成形炉と徐冷炉とを含む炉と前記炉を覆う覆い部との間に形成される炉外部空間、の気圧制御を行う気圧制御工程と、ガラス原料を溶解して溶融ガラスとする溶解工程と、前記溶融ガラスを、前記成形炉の内部に配置される成形体に供給する供給工程と、前記成形体において溶融ガラスを流下させてガラス板を成形する成形工程と、前記徐冷炉において前記ガラス板を一方向に流しながら前記ガラス板を冷却する徐冷工程と、冷却された前記ガラス板を切断する切断工程と、を備える。前記気圧制御工程では、前記炉外部空間内の前記ガラス板の流れる方向の上流側の位置ほど気圧が高くなるように気圧制御を行う。

Description

本発明は、ガラス板の製造方法及びガラス板製造装置に関する。
従来、例えば、液晶ディスプレイ等のフラットディスプレイ用のガラス板やカバーガラス用のガラス板の成形方法の一つとして、ダウンドロー法が用いられている。
ダウンドロー法を使用してガラス板を成形する設備として、例えば、特許文献1(特開2009−196879号公報)に記載のように、成形炉において、溶融ガラスを頂部から溢れさせることで下方においてガラス板を成形する成形体、当該ガラス板を徐冷するための徐冷炉・冷却室等を備えるものがある。
近年、液晶ディスプレイは高精度が求められているため、液晶ディスプレイに用いられるガラス板の内部歪を低減することが要求されている。また、液晶ディスプレイは、ますます大型化の傾向にあり、使用されるガラス板も大型化している。しかし、ガラス板は、大型化するほど内部歪が大きくなるという問題がある。
また、ガラス板の大型化に伴い、ガラス板を製造する設備も大型化している。例えば、ダウンドロー法を使用してガラス板を製造する場合、当該ガラス板を徐冷する徐冷炉やガラス板を成形する成形炉等の炉も、ガラス板の大型化に伴い大型化させる必要がある。
ここで、炉が大型化すると、特許文献1(特開2009−196879号公報)に記載の設備では、例えば、炉の大型化に伴って炉の炉壁の外面に沿ってより大きな上昇気流が発生することが想定される。このため、炉壁の外面の温度が不安定になり、炉内の温度が変動してしまうことが懸念される。さらに、ガラス板の表面の近傍の空気とそれよりも外側(炉壁に近い領域)の空気との間で温度差が生じることによって、ガラス板の表面に沿って上昇する上昇気流が発生し、炉内の温度が変動してしまうことが懸念される。ここで、変動とは、温度が、設定温度から意図せずに変化してしまうことを示す。
しかし、徐冷炉や冷却室を利用したガラス板を徐冷する工程は、ガラス板に歪みが発生しないようにするための重要な工程である。よって、炉内の温度の変動は抑制できることが好ましい。
そこで、本発明の課題は、炉内の温度の変動を抑制することで、ガラス板の品質を維持できる、例えばガラス板の内部歪が増大することを抑制することができるガラス板の製造方法及びガラス板製造装置を提供することにある。
本発明のガラス板の製造方法は、ダウンドロー法によるガラス板の製造方法である。
当該製造方法は、成形炉と徐冷炉とを含む炉と前記炉を覆う覆い部との間に形成される炉外部空間、の気圧制御を行う気圧制御工程と、ガラス原料を溶解して溶融ガラスとする溶解工程と、前記溶融ガラスを、前記成形炉の内部に配置される成形体に供給する供給工程と、
前記成形体において溶融ガラスを流下させてガラス板を成形する成形工程と、前記徐冷炉において前記ガラス板を一方向に流しながら前記ガラス板を冷却する徐冷工程と、冷却された前記ガラス板を切断する切断工程と、を備える。
前記炉外部空間は、前記成形炉の設置位置に対応する領域を含む成形炉外部空間と、前記徐冷炉の設置位置に対応する領域を含む徐冷炉外部空間と、を含み、前記気圧制御工程では、少なくとも前記成形炉外部空間の気圧が前記徐冷炉外部空間の気圧よりも高くなるように、前記気圧制御を行う
前記気圧制御工程では、前記炉外部空間内の前記ガラス板の流れる方向の上流側の位置ほど気圧が高くなるように気圧制御を行う、ことが好ましい。
また、炉外部空間は、成形炉外部空間と徐冷炉外部空間とを含む上方空間、の下方に位置する下方空間をさらに含み、気圧制御工程では、下方空間の気圧が大気圧以上の気圧になるように、気圧制御を行うことが好ましい。
前記成形炉外部空間の気圧と前記徐冷炉外部空間の気圧の差は、0<(前記成形炉外部空間の気圧−前記徐冷炉外部空間の気圧)<20[Pa]を満たす、ことが好ましい。
また、ガラス板の幅方向の長さは、2000mm以上であることが好ましい。
また、ガラス板は、液晶ディスプレイ用のガラス板であることが好ましい。
なお、前記成形工程は、前記ガラス板の幅方向の両端部を、前記ガラス板の幅方向の中央部よりも急冷し、前記両端部のガラスの粘度ηがlogη=9〜14.5を満たす工程を含むことが好ましい。
また、前記徐冷工程は、前記ガラス板の流れ方向に引張り応力が働くように、
少なくとも、前記ガラス板のガラス徐冷点に150℃を足した温度から、前記ガラス板のガラス歪点から200℃引いた温度までの温度領域において、
前記ガラス板の幅方向の中央部の冷却速度は前記ガラス板の幅方向の両端部の冷却速度よりも速く、
前記ガラス板の幅方向の中央部の温度が前記幅方向の両端部よりも高い状態から前記中央部の温度が前記両端部よりも低い状態へ前記ガラス板を変化させる、ことが好ましい。
また、前記徐冷工程では、下記のガラス歪点上温度制御工程、が行われることが好ましい。
前記ガラス歪点上温度制御工程は、
前記成形体の下部からガラス歪点の近傍の温度領域を下回るまでの温度領域において前記ガラス板の幅方向の温度制御を行う工程であって、
前記ガラス板の幅方向の両端部が前記両端部に挟まれた中央領域の温度より低く、且つ、前記中央領域の温度が均一になるようにする工程と、
前記ガラス板の幅方向の温度が前記中央部から前記両端部に向かって低くなるように制御する工程と、ガラス歪点の近傍の温度領域において、前記両端部と前記中央部との温度勾配がなくなるように制御する工程とを含む。
また、前記ガラス板の幅方向の温度制御を行う工程では、ガラス歪点下温度制御工程が、さらに行われることが好ましい。
前記ガラス歪点下温度制御工程は、
前記ガラス板のガラス歪点の近傍の温度領域において、前記ガラス板の幅方向の両端部から前記ガラス板の幅方向の中央部にかけての温度が均一になるようにする工程と、
前記両端部から前記中央部にかけて均一になった前記ガラス板の温度を、前記両端部から前記中央部に向かって低くなるようにする工程とを含む。
前記徐冷工程は、第1の冷却工程と、第2の冷却工程と、第3の冷却工程とを含むことが好ましい。
前記第1の冷却工程は、前記ガラス板の幅方向の中央部の温度が、前記ガラス板のガラス徐冷点になるまで、第1の平均冷却速度で冷却する。
前記第2の冷却工程は、前記中央部の温度が、前記ガラス徐冷点からガラス歪点−50℃になるまで、第2の平均冷却速度で冷却する。
前記第3の冷却工程は、前記中央部の温度が、前記ガラス歪点−50℃から前記ガラス歪点−200℃になるまで、第3の平均冷却速度で冷却する。
前記第1の平均冷却速度は、5.0℃/秒以上である。
前記第1の平均冷却速度は、前記第3の平均冷却速度より速い。
前記第3の平均冷却速度は、前記第2の平均冷却速度より速い。
また、前記ガラス板が、SrO及びBaOの合計含有率が8質量%未満であり、かつガラス歪点が675℃以上であり、前記徐冷工程における、前記ガラス板のガラス徐冷点から(ガラス歪点−50℃)の温度までの平均冷却速度が0.5〜5.5℃/秒未満であることが好ましい。
前記徐冷工程では、前記ガラス板の牽引に用いるローラで狭持される部分に対して前記ガラス板の幅方向内側に隣接する隣接領域に塑性変形が生じないように、前記隣接領域の温度が前記ガラス板のガラス転移点以上ガラス軟化点以下となる温度領域において、前記ガラス板に対して前記ガラス板の流れる方向に引っ張り張力を働かせる、ことが好ましい。
また、前記徐冷工程では、前記ガラス板を引き下げるローラの回転は、前記ガラス板の温度がガラス徐冷点となる温度領域よりも前記ガラス板の流れる方向の下流側に設けられたローラ周速度が、ガラス板の温度がガラス転移点以上ガラス軟化点以下となる温度領域に設けられたローラの周速度以上となるように、制御されている、ことが好ましい。
本発明のガラス製造装置は、成形炉と、徐冷炉と、制御部とを備える。成形炉は、ダウンドロー法によってガラス板を成形する。徐冷炉は、成形炉において成形されたガラス板を一方向に流しながらガラス板を冷却する。制御部は、成形炉と徐冷炉とを含む炉とこの炉を覆う覆い部との間に形成される炉外部空間の気圧制御を行う。制御部は、前記炉外部空間内の前記ガラス板の流れる方向の上流側の位置ほど気圧が高くなるように気圧制御を行う。
また、ガラス板製造装置では、成形炉と、徐冷炉と、制御部とを備える。成形炉は、ダウンドロー法によってガラス板を成形する。徐冷炉は、成形炉において成形されたガラス板を冷却する。制御部は、炉外部空間の気圧制御を行う。炉外部空間は、炉と覆い部との間に形成される。炉は、成形炉と徐冷炉とを含む。炉外部空間は、成形炉の設置位置に対応する領域を含む成形炉外部空間と、徐冷炉の設置位置に対応する領域を含む徐冷炉外部空間と、を含む。制御部は、成形炉外部空間の気圧が徐冷炉外部空間の気圧よりも高くなるように、気圧制御を行う。
本発明では、炉内の温度の変動を抑制することで、ガラス板の品質を維持できる。例えば、ガラス板の内部歪が増大することを抑制できる。
本実施形態に係るガラス板の製造方法の一部のフローチャート。 ガラス板製造装置に含まれる溶解装置を主として示す模式図。 建物の内部を示す模式図。 成形装置の概略の側面模式図。 制御装置の制御ブロック図。 炉外部空間を示すための建物の内部空間を示す模式図。 変形例1Aに係る炉外部空間を示すための建物の内部空間を示す模式図。
以下、図面を参照しながら、本実施形態のガラス板製造装置100を用いてガラス板を製造するガラス板の製造方法について説明する。
また、本明細書における下記語句は、以下のように定める。
ガラス徐冷点とは、ガラスの粘度ηに関してlogη=13となる温度をいう。
ガラス歪点とは、ガラスの粘度ηに関してlogη=14.5となる温度をいう。
ガラス歪点の近傍とは、(歪点+25℃)から(歪点−50℃)となる温度の範囲をいう。
ガラスの軟化点とは、ガラスの粘度ηに関してlogη=7.65となる温度をいう。
ガラスリボンの中央部とは、ガラスリボンの幅方向の幅のうちガラスリボンの幅方向の中心をいう。
ガラスリボンの端部とは、ガラスリボンの幅方向の縁から100mm以内の範囲をいう。
(1)ガラス板の製造方法の概要
図1は、本実施形態に係るガラス板の製造方法の一部のフローチャートである。以下、図1を用いてガラス板の製造方法について説明する。
ガラス板は、図1に示すように、溶解工程ST1と、清澄工程ST2と、均質化工程ST3と、供給工程ST4と、成形工程ST5と、徐冷工程ST6と、切断工程ST7とを含む種々の工程を経て製造される。以下、これらの工程について説明する。
溶解工程ST1では、ガラス原料を加熱して溶解することにより溶融ガラスとする。ガラス原料は、SiO2、Al23等の組成からなる。
清澄工程ST2では、溶融ガラスを清澄する。具体的には、溶融ガラス中に含まれるガス成分を溶融ガラスから放出する、或いは、溶融ガラス中に含まれるガス成分を溶融ガラス中に吸収する。
均質化工程ST3では、溶融ガラスを均質化する。この工程では、清澄が済んだ溶融ガラスの温度調整も行う。
供給工程ST4では、溶融ガラスを成形する成形装置300(具体的には、成形体310)(後述する)に供給する。この工程では、ガラス板Gの成形を開始するために適した温度になるように溶融ガラスを冷却する。
成形工程ST5では、溶融ガラスを板状のガラス板Gに成形する。本実施形態では、溶融ガラスは、オーバーフローダウンドロー法により板状のガラス板Gを成形する。
徐冷工程ST6では、成形工程ST5で成形された板状のガラス板Gを冷却する。
切断工程ST7では、冷却されたガラス板Gを、所定の長さ毎に切断する。
なお、所定の長さ毎に切断されたガラス板G1(図3等を参照)は、その後、さらに切断されて、研削・研磨、洗浄、検査が行われてガラス板(記号を付与せず単にガラス板と表現するものは、最終的に製造されたガラス板を意味している)となり、液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイなどに適用される。
(2)ガラス板製造装置100の概要
図2は、ガラス板製造装置100に含まれる溶解装置200を主として示す模式図である。図3は、ガラス板製造装置100に含まれる各種の装置等が収容されたり取り付けられたりする建物Bの内部を示す模式図である(なお、図3においては、成形装置300や炉30等を概略の断面模式図によって示す)。以下、ガラス板製造装置100について説明する。
ガラス板製造装置100は、主として、溶解装置200(図2を参照)と、成形装置300(図2や図3を参照)と、切断装置400(図3を参照)とを有する。溶解装置200、成形装置300、及び、切断装置400は、建物B(図3を参照)内に配置される。
(2−1)溶解装置200の構成
溶解装置200は、溶解工程ST1、清澄工程ST2、均質化工程ST3、及び、供給工程ST4を行うための装置である。
溶解装置200は、図2に示すように、溶解槽201、清澄槽202、攪拌槽203、第1配管204、及び、第2配管205を有する。
溶解槽201は、ガラス原料を溶解するための槽である。溶解槽201では、溶解工程ST1を行う。
清澄槽202は、溶解槽201で溶解された溶融ガラスから泡を除去するための槽である。溶解槽201より送り込まれた溶融ガラスを、清澄槽202でさらに加熱することで、溶融ガラス中の気泡の脱泡が促進される。清澄槽202では、清澄工程ST2を行う。
攪拌槽203は、溶融ガラスを収容する容器と、回転軸と、当該回転軸に取り付けられた複数の攪拌翼とを備える。容器、回転軸、及び、攪拌翼としては、例えば、白金等の白金族元素又は白金族元素の合金製のものを適用できるが、特には限定されない。駆動部(図示せず)の駆動によって回転軸が回転することによって、回転軸に取り付けられた複数の攪拌翼が、溶融ガラスを攪拌する。攪拌槽203では、均質化工程ST3を行う。
第1配管204及び第2配管205は、白金族元素(白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等)又は白金族元素合金製の配管である。第1配管204は、清澄槽202と攪拌槽203とを接続する配管である。第2配管205は、攪拌槽203と成形装置300とを接続する配管である。
(2−2)成形装置300の構成
図4は、成形装置300の概略の側面図である。
成形装置300は、成形工程ST5、及び、徐冷工程ST6を行うための装置である。
成形装置300は、成形体310と、雰囲気仕切り部材320と、冷却ローラ330と、冷却ユニット340と、送りローラ350a〜350hと、温度調整ユニット360a〜360g(図4を参照)とを有する。以下、これらの構成について説明する。
(2−2−1)成形体310
成形体310は、図3に示すように、成形装置300における上方部分に位置し、溶解装置200から流れてくる溶融ガラスを、板状のガラス(すなわち、ガラス板G)に成形する機能を有する。成形体310は、垂直方向に切断した断面形状が楔形形状を有し、レンガにより構成されている。
成形体310には、図4に示すように、溶融ガラスが流れる流路方向の上流側に、供給口311が形成されている。当該供給口311を介して、溶解装置200から流れてくる溶融ガラスが成形体310(成形装置300)に供給される。
成形体310には、その長手方向に沿って、上方に開放された溝部312(図3を参照)が形成されている。溝部312は、溶融ガラスの流路方向の上流側から下流側に向かうにつれ、徐々に浅くなるように形成されている。成形体310の溝部312から溢れ出て成形体310の側壁を流下した溶融ガラスが下端部313で合流することで、ガラス板Gが得られる。
(2−2−2)雰囲気仕切り部材320
図3や図4に示すように、雰囲気仕切り部材320は、成形体310の下端部313の近傍に配置される板状の部材である。雰囲気仕切り部材320は、成形体310の下端部313で溶融ガラスが合流して鉛直下方向である第1方向の下流側に流れるガラス板Gの厚み方向の両側に、略水平となるように配置されている。雰囲気仕切り部材320は、断熱材として機能する。すなわち、雰囲気仕切り部材320は、その上下の空間を熱的に仕切ることにより、雰囲気仕切り部材320の上側から下側への熱の移動を抑制している。雰囲気仕切り部材320の上側から下側への熱の移動を抑制することで、雰囲気仕切り部材320の下側において、成形された板状のガラス板Gの幅方向の両端部を十分に急冷するという制御が容易にできる。これにより、成形体310からオーバーフローした溶融ガラスが成形体310の下端部313で合流することにより成形されたガラス板Gが、成形体310を離れた後に幅方向に収縮することを抑制することができる。
(2−2−3)冷却ローラ330
冷却ローラ330は、雰囲気仕切り部材320の下方に配置されている。また、冷却ローラ330は、成形体310の下端部313で合流して第1方向の下流側に流れるガラス板Gの厚み方向の両側、且つ、その幅方向の両端部(両側部分)の近傍に配置されている。冷却ローラ330は、ガラス板Gの幅方向の両端部(両側部分)に接触することにより、当該ガラス板Gを冷却する。より具体的には、冷却ローラ330は、ガラス板Gを第1方向の下流側に引き下げることで、所望の厚さのガラス板Gを成形すると共に冷却する。以下の説明では、ガラス板Gが流れる方向を第1方向とする。
ここで、成形体310と、雰囲気仕切り部材320と、冷却ローラ330とは、建物B内に配置される成形炉40によって覆われている。成形炉40は、下方に開放された空間が形成される直方体形状を有する。成形炉40内において、成形工程ST5が行われる。
(2−2−4)冷却ユニット340
冷却ユニット340は、成形炉40の下方に配置される。冷却ユニット340は、冷却ローラ330を通って第1方向の下流側に流れるガラス板Gを冷却する。この冷却効果により、ガラス板の反りを低減できる。
(2−2−5)送りローラ350a〜350h
送りローラ350a〜350hは、冷却ローラ330の下方に、第1方向に所定の間隔をもって配置される。また、送りローラ350a〜350hは、それぞれ、ガラス板Gの厚み方向の両側に配置される。送りローラ350a〜350hは、ガラス板Gを第1方向の下流側に牽引する。
(2−2−6)温度調整ユニット360a〜360g
温度調整ユニット360a〜360gは、ガラス板Gの近傍の雰囲気温度を調整する(具体的には、昇温する)機器であり、第1方向に複数且つガラス板Gの幅方向に複数配置されている。
ここで、送りローラ350a〜350hと、温度調整ユニット360a〜360gは、徐冷炉50に覆われている。徐冷炉50は、第1方向に延びるように空間が形成される略直方体形状を有する。
徐冷炉50内では、送りローラ350a〜350hによってガラス板Gが第1方向の下流側に牽引されることによって、ガラス板Gが徐冷される(粘性域から粘弾性域を経て弾性域へと推移する)徐冷工程ST6が行われる。徐冷工程ST6では、温度調整ユニット360a〜360gが、ガラス板の内部歪が抑制されるように、ガラス板Gの近傍の雰囲気温度を調整している。
なお、温度調整ユニット360a〜360gのそれぞれの近傍には、ガラス板Gの近傍の雰囲気温度を検出する雰囲気温度検出手段としての複数の温度センサがガラス板Gの幅方向に沿って配置されている。当該複数の温度センサを、ここでは、温度センサユニット380(図5を参照)と呼ぶ。
(2−3)切断装置400
切断装置400では、切断工程ST7を行う。切断装置400は、成形装置300において第1方向の下流側に流下する板状のガラス板Gを、下流側に延在する面に対して垂直な方向から切断する装置である。これにより、板状のガラス板Gは、所定の長さを有する複数のガラス板G1となる。
(3)制御装置500
図5は、制御装置500の制御ブロック図である。
まず、制御装置500は、CPU、ROM、RAM、ハードディスク等から構成され、ガラス板製造装置100に含まれる種々の機器の制御を行う制御部として機能する。
具体的には、制御装置500は、図5に示すように、温度調整ユニット360a〜360gの温度調整制御や、冷却ローラ330、送りローラ350a〜350h、切断装置400等を駆動するための第1駆動ユニット390(例えば、モータ)や第2駆動ユニット450(後述する)の駆動制御等を行う。なお、温度調整ユニット360a〜360gの温度調整制御は、温度センサユニット380によって検出されるガラス板Gの雰囲気温度に基づいて行われる。
また、制御装置500は、さらに、建物Bの内部空間の気圧を制御している。これについては、後述する。また、図5に記載の各種のセンサに関しても後述する。
(4)成形装置300におけるガラス板Gの成形
以下、成形装置300においてガラス板Gが成形される過程を説明する。
まず、溶解装置200から供給口311を介して成形体310に供給される溶融ガラスは、成形体310の溝部312に流れる。そして、溝部312においてオーバーフローされる。溝部312においてオーバーフローされた溶融ガラスは、成形体310の両側面に沿って第1方向の下流側に流れて、図3に示すように、下端部313において合流する。下端部313において合流した溶融ガラスは、第1方向の下流側に流下する。
第1方向の下流側に流下する溶融ガラスは、厚み方向の両側に配置される冷却ローラ330によって、幅方向の両端部が挟まれて第1方向の下流側に引き下げられる。このとき、溶融ガラスは、板状のガラス板Gに成形されると共に冷却される。冷却ローラ330によって引き下げられたガラス板Gは、送りローラ350a〜350hによってさらに下方に引き下げられると共に徐冷が行われる。
なお、送りローラ350a〜350hによって引き下げられたガラス板Gは、その後、切断装置400によって所定の長さ毎に切断され複数のガラス板G1となる。
(5)建物Bの内部空間の気圧の制御
図6は、炉外部空間Sを示すための建物Bの内部空間を示す模式図である。
従来、ダウンドロー法を使用してガラス板を成形する設備として、例えば、特許文献1(特開2009−196879号公報)に記載のように、溶融ガラスを頂部から溢れさせることで下方においてガラス板を成形する成形体、当該ガラス板を徐冷するための徐冷炉・冷却室(本実施形態の徐冷工程ST6に相当する工程を行うもの)等を備えるものがある。
特許文献1(特開2009−196879号公報)に記載の設備では、例えば、ガラス板の表面の近傍の空気とそれよりも外側(炉壁に近い領域)の空気との間で温度差が生じることによって、ガラス板の表面に沿って上昇する上昇気流が発生する場合、炉内の温度が変動してしまうことが懸念される。例えば、特許文献1に記載の設備では、炉壁の外面に沿う上昇気流が生じることで炉壁の外面が冷却されてしまうという問題を十分に抑制することができない。つまり、炉壁の外面が冷却されることで、冷却された炉壁の内面近傍の炉内雰囲気が冷却され、これにより、炉内の雰囲気温度が変動してしまうという問題が生じる。しかし、成形炉を利用したガラス板を成形する工程は、ガラス板の板厚偏差などを低減するための重要な工程である。また、徐冷炉や冷却室を利用したガラス板を徐冷する工程は、ガラス板の内部歪や反りなどを低減するための重要な工程である。よって、炉内の温度の変動は抑制できることが好ましい。
そこで、本実施形態では、成形体310等を内部に配置する成形炉40や送りローラ350a〜350h等を内部に配置する徐冷炉50を含む炉30と炉30を覆う建物Bの内面部10(覆い部に相当)とによって形成される炉外部空間S、すなわち、建物Bの内部空間であって、炉30の外部空間の気圧制御を行っている。当該気圧制御を行う気圧制御工程は、例えば、均質化工程ST3を行う時期に開始される。すなわち、気圧制御工程は、成形工程ST5や徐冷工程ST6の前に行われる。
(5−1)炉外部空間S
炉外部空間Sは、より具体的には、図6に示すように、建物Bの内部空間から、成形炉40の成形炉内部空間S5(太線と一点鎖線とによって囲まれる空間)と、ガラス板Gの厚み方向の両側に配置される冷却ユニット340によって挟まれる空間S6と、徐冷炉50の徐冷炉内部空間S8(太線と二点鎖線とによって囲まれる空間)と空間S7を除いた空間(図6の斜線で示す空間)である。
炉外部空間Sは、建物B内に配置される床411,412,413によって、複数の空間に分割される。すなわち、床411,412,413は、炉外部空間Sを複数の空間に分割するための仕切り部材としての役割を有する。
具体的には、炉外部空間Sは、床411,412,413によって、成形炉外部上方空間S1と、成形炉外部下方空間S2と、徐冷炉外部空間S3と、徐冷炉下方空間S4とに分割される。
成形炉外部上方空間S1は、炉外部空間Sにおいて、床411と建物Bの上部とによって挟まれる空間である。床411は、その高さ位置が、成形体310の上部の位置に近く、炉40の上部に近い位置に配置される。
成形炉外部下方空間S2は、成形炉外部上方空間S1よりも第1方向の下流側に形成される空間である。具体的には、成形炉外部下方空間S2は、炉外部空間Sにおいて、床411と床412と冷却ユニット340とによって挟まれる空間である。また、成形炉外部下方空間S2は、成形炉40の設置位置に対応する(具体的には、成形炉40の設置位置と高さ位置が同じ)領域である成形路対応領域A1を含む。床412は、その高さ位置が、冷却ユニット340の下部に近い位置に配置される。
徐冷炉外部空間S3は、成形炉外部下方空間S2よりも第1方向の下流側に形成される空間である。徐冷炉外部空間S3は、炉外部空間Sにおいて、床412と床413とによって挟まれる空間である。また、徐冷炉外部空間S3は、徐冷炉50の設置位置に対応する(具体的には、徐冷炉50の設置位置と高さ位置が同じ)領域である徐冷炉対応領域A2を含む。床413は、その高さ位置が、切断装置400と近い位置に配置される。
また、徐冷炉外部空間S3は、徐冷炉外部空間S3と高さが同じ(すなわち、床412の下面から床413の上面までの距離に相当する)炉内空間S8(図6の横の点線のエッチングで示す空間)を流れるガラス板Gの雰囲気温度が、例えば、800℃〜110℃となる空間である、或いは、徐冷炉外部空間S3は、炉内空間S8を流れるガラス板Gが(徐冷点+5℃)から(歪点―50℃)となる領域を含む空間である。
徐冷炉下方空間S4は、徐冷炉外部空間S3の第1方向の下流側に形成される空間である。徐冷炉下方空間S4は、炉外部空間Sにおいて、床413と建物Bの下部とによって挟まれる空間である。徐冷炉下方空間S4では、成形装置300において第1方向に流れるガラス板Gが切断装置400によって所定の長さ毎に切断される。
ここで、炉30(成形炉40や徐冷炉50を含む)は、例えば、耐火材や断熱材等により構成される。また、建物Bには、一般に建物を建設する際に用いられる公知の耐火物等を適用できる。さらに、仕切り部材として床411,412,413を用いる例を挙げて説明したが、当該床411,412,413は、一般に建物を建設する際に用いられる公知の床であれば適用可能である。
(5−2)気圧制御
気圧制御では、炉外部空間Sを加圧することによって、炉外部空間Sの気圧が第1方向の上流側ほど気圧が高くなるようにしている。具体的には、気圧制御では、複数に区切られた空間(すなわち、成形炉外部上方空間S1、成形炉外部下方空間S2、徐冷炉外部空間S3、及び、徐冷炉下方空間S4)の気圧を独立に制御することによって、各空間の気圧の値が、成形炉外部上方空間S1>成形炉外部下方空間S2>徐冷炉外部空間S3>徐冷炉下方空間S4となるようにしている。
なお、当該気圧制御を行うために、成形炉外部上方空間S1、成形炉外部下方空間S2、徐冷炉外部空間S3、及び、徐冷炉下方空間S4の外方(すなわち、建物Bの壁部を介した外部空間)には、それぞれの空間を加圧するための送風機421,422,423,424が配置されている。
また、気圧制御を行うために、成形炉外部上方空間S1、成形炉外部下方空間S2、徐冷炉外部空間S3、及び、徐冷炉下方空間S4の気圧を検出する検出手段である第1圧力センサ431、第2圧力センサ432、第3圧力センサ433、第4圧力センサ434(図5を参照)がそれぞれの空間に配置されている。
気圧制御では、成形炉外部上方空間S1、成形炉外部下方空間S2、徐冷炉外部空間S3、及び、徐冷炉下方空間S4の気圧を検出することによって、炉外部空間Sの気圧が第1方向の上流側ほど気圧が高くなるようにしている。具体的には、成形炉外部上方空間S1、成形炉外部下方空間S2、徐冷炉外部空間S3、及び、徐冷炉下方空間S4の気圧を検出することによって、送風機421,422,423,424を駆動するための第2駆動ユニット450(例えば、モータ)の動作(例えば、モータの場合は、回転数)を制御している。なお、ここで検出された各空間S1、S2、S3、S4の気圧のデータは、制御装置500内にデータとして記憶される。
また、気圧制御では、炉外部空間Sにおいて最も気圧が低い徐冷炉下方空間S4の気圧が大気圧以上の気圧になるように制御している。なお、徐冷炉下方空間の気圧が所定の圧力以上になると、炉へ流れる空気流が発生しやすくなり、炉の内部の温度に影響がでることが懸念される。よって、気圧制御では、徐冷炉下方空間S4の気圧は、大気圧以上であって所定の圧力未満になるように制御している。より具体的には、徐冷炉下方空間S4の気圧は、大気圧以上であって炉内部空間の気圧(炉内部空間の気圧)以下となるように制御している。例えば、徐冷炉下方空間S4の気圧は、0<(徐冷炉下方空間S4の気圧―大気圧)であることが好ましく、0<(徐冷炉下方空間S4の気圧―大気圧)<40[Pa]であることがより好ましく、5[Pa]<(徐冷炉下方空間S4の気圧―大気圧)<40[Pa]であることがさらに好ましい。
また、徐冷炉外部空間S3と徐冷炉下方空間S4との気圧差は、0<(徐冷炉外部空間S3の気圧−徐冷炉下方空間S4の気圧)であることが好ましく、0<(徐冷炉外部空間S3の気圧−徐冷炉下方空間S4の気圧)<20[Pa]であることがより好ましく、1[Pa]<(徐冷炉外部空間S3の気圧−徐冷炉下方空間S4の気圧)<15[Pa]であることがさらに好ましく、2[Pa]<(徐冷炉外部空間S3の気圧−徐冷炉下方空間S4の気圧)<15[Pa]であることが一層好ましい。
また、成形炉外部下方空間S2と徐冷炉外部空間S3との気圧差は、0<(成形炉外部下方空間S2の気圧−徐冷炉外部空間S3の気圧)であることが好ましく、0<(成形炉外部下方空間S2の気圧−徐冷炉外部空間S3の気圧)<20[Pa]であることがより好ましく、1[Pa]<(成形炉外部下方空間S2の気圧−徐冷炉外部空間S3の気圧)<15[Pa]であることがさらに好ましく、2[Pa]<(成形炉外部下方空間S2の気圧−徐冷炉外部空間S3の気圧)<15[Pa]であることが一層好ましい。
また、成形炉外部上方空間S1と成形炉外部下方空間S2との気圧差は、0<(成形炉外部上方空間S1の気圧−成形炉外部下方空間S2の気圧)であることが好ましく、0<(成形炉外部上方空間S1の気圧−成形炉外部下方空間S2の気圧)<30[Pa]であることがより好ましく、1[Pa]<(成形炉外部上方空間S1の気圧−成形炉外部下方空間S2の気圧)<25[Pa]であることがさらに好ましく、2[Pa]<(成形炉外部上方空間S1の気圧−成形炉外部下方空間S2の気圧)<15[Pa]であることが一層好ましい。徐冷炉外部空間S3と徐冷炉下方空間S4との気圧差、成形炉外部下方空間S2と徐冷炉外部空間S3との気圧差及び成形炉外部上方空間S1と成形炉外部下方空間S2との気圧差を大きくしすぎると、成形炉外部上方空間S1、成形炉外部下方空間S2、徐冷炉外部空間S3の気圧の絶対値が大きくなり過ぎ、炉外部空間Sから炉30内に空気が流入してしまい、炉30内の温度が変動してしまうという問題が生じる虞がある。さらに、炉外部空間Sにおいて局部的な気流の集中や、気流の流速が局部的に速くなるということが生じ、炉外部空間Sの気圧安定性が低下する虞があり、その結果、炉30内の温度が変動してしまうという問題が生じる虞もある。
(5’)炉30内の溶融ガラスあるいはガラス板Gの温度の管理
成形炉40内では、冷却ローラ330が、成形体310の下端部313で合流した溶融ガラスから形成されたガラス板Gの幅方向の両端部(両側部分)に接触することにより、当該ガラス板Gを冷却する。また、幅方向の両端部(両側部分)近傍に設けられ、ガラス板Gよりも低温である冷却ユニット340が、上記ガラス板Gの幅方向の両端部(両側部分)を冷却する。
このとき、ガラス板Gの幅方向の両端部を、ガラス板Gの幅方向の中央部よりも急冷し、ガラスの粘度ηがlogη=9〜14.5を満たすようにすることが好ましい。冷却ローラ30によってガラス板Gの両端部を冷却することで両端部の粘度が高くなり、ガラス板Gの幅方向の収縮を抑制できる。
なお、ガラス板Gに用いるガラスの失透温度が、例えば1050℃〜1250℃のような高温となる場合がある。この場合、本実施形態のようなダウンドロー法(オーバーフローダウンドロー法)を用いて成形しようとすると、失透が生じないように溶融ガラスの温度を失透温度よりも高く保つ必要がある。しかし、溶融ガラスの温度を高くすると、溶融ガラスの粘度が低くなる傾向にあるため、ガラス板Gの幅方向の両端部の冷却を十分に行うことができない。この結果、成形体310から溶融ガラスが離れた後に、幅方向への収縮が生じやすくなる。これらのことを考慮すると、ガラス板Gの両端部の粘度ηが、log=9〜14.5を満足するように急冷することが好ましい。
上述したように、徐冷炉50で行われる徐冷工程では、温度調整ユニット360a〜360gの温度調整制御が、温度センサユニット380によって検出されるガラス板Gの雰囲気温度に基づいて制御装置550の指示によって行われる。
その際、ガラス板Gの中央部に引張り応力が働くように以下のようにガラス板Gの温度を制御することが好ましい。
すなわち、少なくとも、ガラス板Gの徐冷点に150℃を足した温度から歪点から200℃引いた温度までの温度領域において、ガラス板Gの幅方向の中央部の冷却速度を幅方向にの両端部の冷却速度よりも速くする。さらに、ガラス板Gの幅方向の中央部の温度が幅方向の両端部よりも高い状態からガラス板Gの幅方向の中央部の温度が幅方向の端部よりも低い状態へガラス板Gを変化させる。このようなガラス板Gの温度変化により、ガラス板Gの流れる方向(第1方向)の下流側に向けて引っ張り張力が作用する。このため、ガラス板Gは、ガラス板Gの第1方向の反りを抑制することができる。
また、徐冷工程は、成形体310の下部からガラス板Gのガラス歪点の近傍の温度領域を下回るまでの温度領域においてガラス板Gの幅方向の温度制御を行う以下の工程を含むことが好ましい。
すなわち、ガラス板Gの幅方向の両端部がこの両端部に挟まれた中央部を含む中央領域の温度より低く、且つ、この中央領域の温度が均一になるようにする工程と、ガラス板Gの幅方向の温度が中央部から両端部に向かって低くなるようにする工程と、ガラス板Gの歪点の近傍の温度領域において、ガラス板Gの幅方向の両端部と中央部との温度勾配がなくなるようにする工程とを含むガラス歪点上温度制御工程が、徐冷工程に含まれることが好ましい。
これにより、ガラス板Gの中央部に第1方向に向かって引張り応力が働くので、ガラス板Gの反りを抑制することができる。さらに、ガラス板Gのガラス歪点の近傍の温度領域において、ガラス板Gの幅方向の両端部と中央部との温度勾配がなくなるように、ガラス板Gの温度分布を制御することで、ガラス板Gの内部歪みを抑制することができる。
また、徐冷工程では、ガラス板Gのガラス歪点の近傍の温度領域において、ガラス板Gの幅方向の両端部から中央部にかけての温度が均一になるように温度制御する工程と、ガラス板Gの幅方向の両端部から中央部にかけて均一になったガラス板Gの温度を、両端部から中央部に向かって低くなるように温度制御する工程とを含むことができる。このようにガラス板Gの温度を制御することにより、ガラス板Gの幅方向の中央部の温度がガラス歪点近傍未満の領域において、ガラス板Gの幅方向の中央部に第1方向の引張り応力が働く。これにより、ガラス板Gの第1方向の反りを抑制することができる。
さらに、徐冷工程は、第1の冷却工程と、第2の冷却工程と、第3の冷却工程と、を含むことができる。
第1の冷却工程は、ガラス板Gの幅方向の中央部の温度が、ガラス徐冷点になるまで、第1の平均冷却速度で冷却する工程である。
第2の冷却工程は、ガラス板Gの幅方向の中央部の温度が、ガラス徐冷点からガラス歪点−50℃になるまで、第2の平均冷却速度で冷却する工程である。
第3の冷却工程は、ガラス板Gの幅方向の中央部の温度が、ガラス歪点−50℃からガラス歪点−200℃になるまで、第3の平均冷却速度で冷却する工程である。
この場合、第1の平均冷却速度は、5.0℃/秒以上であり、第1の平均冷却速度は、第3の平均冷却速度より速く、第3の平均冷却速度は、第2の平均冷却速度より速くすることが好ましい。すなわち、平均冷却速度は、高い順番に、第1の平均冷却速度、第3の平均冷却速度、第2の平均冷却速度となっている。ガラス板Gの第1方向の冷却速度は、製造されるガラス板Gの熱収縮に影響を与える。しかし、徐冷工程において、上記冷却速度を設定することにより、ガラス板Gの製造量を向上させつつ、好適な熱収縮率を有するガラス板を得ることができる。
以上のようなガラス板Gの温度の制御は、温度調整ユニット360a〜360gの温度調整制御を通して行われる。
また、製造されるガラス板Gが、SrO及びBaOの合計含有率が8質量%未満であり、かつガラス歪点が675℃以上である場合、徐冷工程における、ガラス板Gのガラス徐冷点から(ガラス歪点−50℃)の温度までの平均冷却速度が0.5〜5.5℃/秒未満であることが、好ましい。SrO及びBaOの合計含有率を8質量%未満とすることにより、最終製品としてのガラス板Gの重量や熱膨張係数を抑制することができる。また、ガラス歪点が675℃以上であるガラスは、熱収縮率を小さくすることができる。この場合、ガラス板Gのガラス徐冷点から(ガラス歪点−50℃)の温度までの平均冷却速度が0.5〜5.5℃/秒未満となるように温度を制御する。このガラス板Gの温度の制御により、ガラス板Gの生産性を確保しつつ、熱収縮率を十分に小さくすることができる。上記平均冷却速度が0.5℃/秒未満の場合、製造設備が巨大化しガラス板Gの生産性が低下する。一方、上記平均冷却速度が5.5℃/秒以上の場合、最終製品のガラス板Gの熱収縮率を小さくできない。後述するように高精細が要求される、p−Si・TFT(ポロシリコンTFT(Thin Film Transistor))や酸化物半導体を用いるフラットパネルディスプレイ等には、熱収縮率が小さいガラス板が求められている。このような用途に用いるガラス板には、徐冷工程においてガラス板Gのガラス徐冷点から(ガラス歪点−50℃)の温度までの平均冷却速度が0.5〜5.5℃/秒未満であることが効果的である。
(6)ガラス板の好ましい形態
本実施形態に係るガラス板製造装置及びガラス板の製造方法を用いて製造されるガラス板の好ましい形態について以下に説明する。なお、下記の形態に限られるものではない。
(ガラス板の厚み)
ガラス板の厚みは、0.1mm〜1.5mmを想定している。あるいは、フラットパネルディスプレイ用のガラス板としては、0.01〜1.0mmを想定している。そして、より好ましい上限値は、好ましい順にいうと、0.4mm、0.5mm、0.8mm、1.0mm、1.2mmである。さらに、より好ましい下限値は、好ましい順にいうと、0.3mm、0.2mm、0.1mmである。例えば、フラットパネルディスプレイ用のガラス板は、軽量化及び薄板化が求められる。このため、ガラス板の厚みは薄いほど好ましい。他方、ガラス板の厚みが薄くなるほどガラス板の強度が低下してしまう。例えば、ガラス板の厚みが薄くなるほどディスプレイ製造工程でガラス板の破損や、撓みによる工程内搬送時の不具合が生じやすくなる。これらのことを考慮すると、フラットディスプレイ用のガラス板の厚みは、0.01〜1.0mmであることが好ましく、0.1〜0.8mmであることがより好ましく、0.2〜0.8mmであることがさらに好ましい。ここで、製造するガラス板の厚さが薄いほど、成形炉30及び徐冷炉40内のガラス板Gの単位面積あたりの保有熱は小さくなり、成形炉30内及び徐冷炉40内の雰囲気の温度の変動の影響を受けやすくなる。そのため、内部歪、反り、ガラス板Gの反転が生じやすくなる。つまり、ガラス板Gの厚みが0.01〜0.5mm以下であると、成形炉30内及び徐冷炉40内の雰囲気の温度の変動を抑制できる本発明の効果が顕著となる。ガラス板Gの厚みが0.01〜0.5mm未満であるとより本発明の効果が顕著となり、ガラス板Gの厚みが0.01〜0.4mmであるとさらに本発明の効果が顕著となる。ここで、反転とは、ガラス板Gが幅方向で弓なりに撓んで、流れるガラス板Gの両側の2つの主表面に凹凸ができ、この凹凸が時間的に変動して波打つ状態をいう。
(ガラス板の大きさ)
また、ガラス板の大きさは、幅方向の長さが500mm−3500mmであり、長手方向の長さが500mm−3500mmを想定している。なお、ガラス板が大型化すると、ガラス製造装置を大型化させる必要がある。つまり、成形炉40や徐冷炉50を含む炉30も大型化する傾向にあるため、炉外部空間Sは広くなる。炉外部空間Sが広くなると、炉外部空間Sに生じる上昇気流も大きくなりやすい。すなわち、ガラス板が大型化するほど、炉壁の外面の温度が不安定となりやすく、炉内の温度が変動してしまう可能性が高くなる。よって、ガラス板の幅方向の長さが2000mm以上の場合、本発明の効果が顕著となる。さらに、ガラス板の幅方向の長さが2500mm以上、3000mm以上となるほど、本発明の効果は顕著となる。
(ガラス板の種類)
また、ガラス板の種類は、ボロシリケイトガラス、アルミノシリケイトガラス、アルミノボロシリケイトガラス、ソーダライムガラス、アルカリシリケイトガラス、アルカリアルミノシリケイトガラス、アルカリアルミノゲルマネイトガラスを想定している。
(ガラス板の内部歪)
また、ガラス板の内部歪の最大値(リターデーションの最大値)は、板厚が0.5mmのガラス板に対して、1.7nm以下(0〜1.7nm)であることを想定している。好ましくは、1.5nm以下(0〜1.5nm)、より好ましくは、1.0nm以下(0〜1nm)、さらに好ましくは、0.7nm以下(0〜0.7nm)である。なお、内部歪は、ユニオプト社製の複屈折測定装置によって測定した。ここで、液晶ディスプレイは高精度な組立が求められているため、ガラス板の平面歪を低減させることができる本実施形態の方法は、液晶ディスプレイ用ガラス基板としてガラス板を製造する際に特に好適である。
(ガラス板の特性:熱収縮率) 本実施形態で製造されるガラス板は、550℃の温度雰囲気に2時間放置した際の熱収縮率が、110ppm以下であることが好ましく、80ppm以下であることがさらに好ましく、60ppm以下であることがさらに好ましい。特に、p−Si・TFTを形成するガラス板では、80ppm以下であることが好ましい。なお、熱収縮率は、熱収縮量/初期の長さ×10(ppm)にて算出される。熱収縮率の測定方法として、以下の方法が例示される。1.ガラス板の両端にダイヤモンドペンを用いて平行なケガキ線を入れる。2.ガラス板をケガキ線に対して垂直方向に半分に切断し、1つを熱処理する(上記では、550℃2時間)。3.熱処理後のガラス板と、他方のガラス板とをつき合わせて、ケガキ線のズレ量を測定する。
(ガラス板:反り) ガラス板の反りは、以下の方法で測定を行った場合に、反りの最大値が0から0.2mmまでの範囲であることは好ましく、好ましくは0〜0.15mmであり、より好ましく0〜0.1mmであり、さらに好ましくは0〜0.05mmであり、特に好ましくは0〜0.05mmである。 反りの測定は、1.まず、ガラス板から複数枚の小板(約400mm四方の矩形板)を切り出す。2.次に、各小板につき、角4箇所と中央部4箇所との反りを、表裏のそれぞれにおいて測定する(すなわち、計16箇所の反りを測定する)。例えば、小板8枚の反りを測定した場合、16箇所×8枚で128箇所の反りの測定データが得られる。3.2で得られた測定データの中の最大値が、上述の範囲であるか否かを確認する。なお、本実施形態では、複数の小板で測定した反りの最大値を、ガラス板の反りとする。
(ガラス板の適用例)
また、ガラス板は、フラットパネルディスプレイ(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイあるいはプラズマディスプレイ等)、太陽電池用のパネル、カバーガラスに使用されることを想定している。なお、近年、液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイは高精度が求められているため、液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイに用いられるガラス板の内部歪を低減させることができる本発明は、液晶ディスプレイ用のガラス板及び有機ELディスプレイ用のガラス板に特に好適である。特に、AV機器(携帯端末等)に使用されるフラットパネルディスプレイは高精細が求められるため、内部歪を低減できる本発明が好適である。なお、カバーガラスとは、例えば、AV機器(携帯端末等)の表示画面や筐体を保護するために、ガラス板を化学的あるいは物理的に強化した強化ガラスである。
また、フラットパネルディスプレイ(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)用のガラス基板としては、ガラス板が質量%表示で、以下の成分を含むものが例示される。下記括弧内の表示は各成分の好ましい含有率であり、後半ほど好ましい数値である。
SiO2:50〜70%(55〜65%、57〜64%、58〜62%)、
Al23:5〜25%(10〜20%,12〜18%,15〜18%)、
23:0〜15%(5〜15%,6〜13%,7〜12%)。
このとき、任意成分として、下記の組成を含んでもよい。
MgO:0〜10%(下限は0.01%、下限は0.5%、上限は5%、上限は4%、上限は2%)、
CaO:0〜20%(下限は1%、下限は3%、下限は4%、上限は9%、上限は8%、上限は7%、上限は6%)、
SrO:0〜20%(下限は0.5%、下限は3%、上限は9%、上限は8%、上限は7%、上限は6%)、
BaO:0〜10%(上限は8%、上限は3%、上限は1%、上限は0.2%)、
ZrO2:0〜10%(0〜5%,0〜4%,0〜1%,0〜0.1%)。
また、特に、SiO2 50〜70%、B23 5〜18%、Al23 10〜25%、MgO 0〜10%、CaO 0〜20%、SrO 0〜20%、BaO 0〜10%、RO 5〜20%(ただし、RはMg、Ca、Sr及びBaから選ばれる、ガラス板Gに含まれる全成分で、少なくとも1種である)を含有することが好ましい。さらに、R’ 2O(但し、R’はLi、Na及びKから選ばれる、ガラス板Gに含まれる全成分で、少なくとも1種である)は必須ではないため、含有させなくてもよい。この場合、R’ 2Oを実質的に含まない無アルカリガラスとなり、ガラス板からR’ 2Oが流出してTFTを破壊するおそれを低減することができる。他方、あえてR’ 2Oを、0.10質量%を超え2.0質量%以下含有させてアルカリ微量含有ガラスとすることもできる。この場合、TFT特性の劣化やガラスの熱膨張を一定範囲内に抑制しつつ、ガラスの塩基性度を高め、価数変動する金属の酸化を容易にして、清澄性を高めることができる。さらに、ガラスの比抵抗を低下させることができるので、熔解槽201にて電気溶融を行うためには好適となる。
さらに、R’2O 0.20%を超え2.0%以下(ただし、R’はLi、Na及びKから選ばれる少なくとも1種である)を含むことがさらに好ましい。また、清澄剤を合計で0.05〜1.5%含み、As23、Sb23及びPbOを実質的に含まないことが好ましい。また、ガラス中の酸化鉄の含有量が0.01〜0.2%であることがさらに好ましい。
ガラス組成を上述したような組成範囲に定めることで、ガラス板Gを、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ用ガラス基板に要求される特性を満たすようなガラス板とすることができる。より詳細には、ガラス歪点650℃以上を満たすガラス板を実現できる。また、密度2.6g/cm3以下を満たすガラス板を実現できる。また、ヤング率が70GPa以上のガラス板を実現できる。さらに、失透温度1250℃以下のガラス板を実現できる。失透温度1250℃以下のガラス板を実現できるので、オーバーフローダウンドロー法を適用することが可能となる。ただし、失透温度が1050℃未満を実現しつつ、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板に要求される上述した特性を満たすことは困難であるため、失透温度を1050℃〜1250℃とすることが好ましい。
また、化学強化を施した後、カバーガラスや太陽電池用のガラス板に適用されるガラス板としては、例えば、ガラス板が質量%表示で、以下の成分を含むものが例示される。
SiO2:50〜70%(55〜65%,57〜64%,57〜62%)、
Al23:5〜20%(9〜18%,12〜17%)、
Na2O:6〜30%(7〜20%,8〜18%,10〜15%)。
このとき、任意成分として、下記の組成を含んでもよい。
Li2O:0〜8%(0〜6%,0〜2%,0〜0.6%,0〜0.4%,0〜0.2%)、
23:0〜5%(0〜2%,0〜1%,0〜0.8%)、
2O:0〜10%(下限は1%、下限は2%、上限は6%、上限は5%、上限は4%)、
MgO:0〜10%(下限は1%、下限は2%、下限は3%、下限は4%、上限は9%、上限は8%、上限は7%)、
CaO:0〜20%(下限は0.1%、下限は1%、下限は2%、上限は10%、上限は5%、上限は4%、上限は3%)、
ZrO2:0〜10%(0〜5%、0〜4%、0〜1%、0〜0.1%)。
特に化学強化されるカバーガラスや太陽電池用ガラス基板としては、
SiO2:50〜70質量%、
Al23:5〜20質量%、
Na2O:6〜30質量%,
2O:0〜10質量%、
MgO:0〜10質量%、
CaO:0〜20質量%を、含有することが好ましい。
さらに、近年さらなるフラットパネルディスプレイの組み立ての高精細化を実現するために、α-Si・TFT(Thin Film Transistor)ではなく、p−Si(低温ポリシリコン)・TFTや酸化物半導体を用いたフラットパネルディスプレイが求められている。ここで、p−Si・TFTや酸化物半導体を用いたフラットパネル製造工程では、α-Si・TFTを用いたフラットパネル製造工程よりも高温な熱処理工程が存在する。そのため、p−Si・TFTや酸化物半導体が形成されるガラス板には、熱収縮率が小さいことが求められている。熱収縮率を小さくするためには、ガラス板の徐冷条件と、ガラスの歪点を高くすることが好ましい。特に、p−Si・TFTや酸化物半導体には、ガラス歪点が675℃以上(ガラス歪点675℃〜750℃)のガラス板が好適であり、ガラス歪点680℃以上(ガラス歪点680℃〜750℃)のガラス板がさらに好適であり、ガラス歪点690℃以上(歪点690℃〜750℃)のガラス板が特に好適である。
ガラス歪点が675℃以上のガラス板の組成としては、例えば、ガラス板が質量%表示で、以下の成分を含むものが例示される。
SiO2:52〜78質量%、
Al23:3〜25質量%、
23:3〜15質量%、
RO(但し、ROはMgO、CaO、SrO及びBaOうち、ガラス板に含有される全成分のの合量):3〜20質量%、
質量比(SiO2+Al23)/B23は7〜20の範囲であるガラス板。
この場合、SrO及びBaOの合計含有率が8質量%未満であることが軽量化及び熱膨張係数を小さくする点で好ましい。SrO及びBaOの合計含有率は、0〜7質量%であることが好ましく、より好ましくは、0〜5質量%であり、さらに好ましくは、0〜3質量%であり、より一層好ましくは0〜1質量%であり、特に、ガラス板Gの密度を低下させる場合には、SrO及びBaOを実質的に含有させないことが好ましい。実質的に含有させないとは、意図的に含有しないことを意味し、不可避的に不純物としてSrO及びBaOが混入することは排除しない。
さらに、ガラス歪点をより上昇させるために、質量比(SiO2+Al23)/ROは7.5以上であることが好ましい。さらに、ガラス歪点を上昇させるために、β−OH値を0.1〜0.3[mm-1]とすることが好ましい。他方、溶解時に溶融ガラスではなく溶解槽201に電流が流れないようにするために、ガラス板は、R2O(但し、R2Oは、Li2O、Na2O及びK2Oのうち、ガラス板に含有される全成分の合量)を0.01〜0.8質量%含有することが、ガラスの比抵抗を低下させる点で好ましい。あるいは、ガラスの比抵抗を低下させるために、Fe23を0.01〜1質量%含有することが好ましい。さらに、ガラス板は、高いガラス歪点を実現しつつ失透温度の上昇を防止するためにCaO/ROは0.65以上とすることが好ましい。失透温度を1250℃以下とすることにより、オーバーフローダウンドロー法の適用が可能となる。また、モバイル通信端末のようなモバイル機器などに適用されることを考慮すると、軽量化の観点からはSrO及びBaOの合計含有率が0質量%以上2質量%未満であることが好ましい。
(各成分)
SiO2はガラス板のガラスの骨格をなす成分であり、ガラスの化学的耐久性と耐熱性を高める効果を有している。SiO2の含有率が低すぎる場合には化学的耐久性と耐熱性の効果が十分に得られず、SiO2の含有率が高すぎるとガラスが失透を起こしやすくなり、成形が困難になるとともに、粘性が上昇してガラスの均質化が困難になる。
Al23はガラスの骨格をなす成分であり、ガラスの耐熱性を高める、言い換えると歪点を高める効果を有している。また、エッチング速度を高める効果を有している。Al23の含有率が低すぎる場合にはガラスの効果が十分に得られない。一方、Al23の含有率が高すぎると、ガラスの粘性が上昇して溶解が困難になるとともに、耐酸性が低下する。
23はガラスの粘性を下げて、ガラスの熔解及び清澄を促進する成分である。B23の含有率が低すぎると、ガラスの耐酸性が低下してガラスの均質化が困難になる。一方、B23の含有率が高すぎると、歪点が低下してしまう。
MgO及びCaOは、ガラスの粘性を下げて、ガラスの熔解及び清澄を促進する成分である。また、Mg及びCaは、アルカリ土類金属の中ではガラスの密度を上昇させる割合が小さいため、得られるガラスを軽量化しつつ熔解性を向上するためには有利な成分である。ただしそのMgO及びCaOの含有率が高くなりすぎると、ガラスの化学的耐久性が低下する。
SrO及びBaOは、ガラスの粘性を下げて、ガラスの熔解及び清澄を促進する成分である。また、ガラス原料の酸化性を高めて清澄性を高める成分でもある。ただし、SrO及びBaOの含有率が高くなりすぎると、ガラスの密度が上昇し、ガラス板の軽量化が図れないととともに、ガラスの化学的耐久性が低下する。
Li2Oは、ガラスの粘度を低下させて、ガラスの熔解性や成形性を向上させる成分である。また、Li2Oは、ガラスのヤング率を向上させる成分である。しかし、Li2Oの含有率が高くなり過ぎると、ガラスが失透しやすくなるため、ダウンドロー法の適用が困難となる。また、歪点が低下してしまう。
Na2O及びK2Oは、ガラスの高温粘度を低下させて、ガラスの熔融性や成形性を向上させる成分である。また、ガラスの耐失透性を改善する成分である。Na2OやK2Oの含有率が低すぎる場合にはガラスの熔解性が低下し、熔解のためのコストが高くなる。また、ガラスが失透を起こしやすくなり、耐失透性も低下するので、ガラスをオーバーフローさせるダウンドロー法の適用が困難となる。他方、Na2OやK2Oの含有率が高くなり過ぎると、ガラスバランスの悪化による耐失透性低下も生じる。
なお、Li2O、Na2O、K2Oは、ガラスから溶出してTFT特性を劣化させるおそれがあり、また、ガラスの熱膨張係数を大きくして熱処理時に基板を破損するおそれがある成分であることから、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板(例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板、有機LEディスプレイ用ガラス基板)として適用する場合には、多量に含有することは好ましくなく、その合量は2.0%以下に規制すべきであり、TFTの破損などを考慮すると、実質的に含有しないことが好ましい。しかし、ガラス中に上記成分を敢えて特定量含有させることによって、TFT特性の劣化やガラスの熱膨張を一定範囲内に抑制しつつ、ガラスの塩基性度を高め、価数変動する金属の酸化を容易にして、清澄性を発揮させることが可能である。そのため、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板(例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板、有機LEディスプレイ用ガラス基板)としては、アルカリ金属酸化物(Li2O、Na2O、K2Oのうち、ガラス板が含有する全成分の合量)の含有率は、0.05質量%を超え2.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%を超え2.0質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%を超え1.0質量%以下であることがさらに好ましい。
ZrO2は、ガラスの失透温度付近の粘性や歪点を高くする成分である。しかし、ZrO2の含有率が高くなりすぎると、失透温度が上昇し、耐失透性が低下する。
TiO2は、ガラスの高温粘度を低下させる成分である。しかし、TiO2の含有率が高くなり過ぎると、耐失透性が低下してしまう。さらに、ガラスが着色し、電子機器の表示画面のカバーガラスなどへの適用は好ましくない。また、ガラスが着色することから、紫外線透過率が低下するので、紫外線硬化樹脂を使用した処理を行う場合に、紫外線硬化樹脂を十分に硬化することができないという不都合が生じる。
ガラス板のガラスにおいて、ガラス中の気泡を脱泡させる成分として清澄剤を添加することができる。清澄剤としては、環境負荷が小さく、ガラスの清澄性に優れたものであれば特に制限されないが、例えば、酸化スズ、酸化鉄、酸化セリウム、酸化テルビウム、酸化モリブデン及び酸化タングステンといった金属酸化物から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。ここで、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ用ガラス基板は、泡に対する要求が特に厳しい。そのため、清澄剤としては、酸化スズ、酸化鉄、酸化セリウム、酸化テルピウム、酸化モリブデン及び酸化タングステンといった金属酸化物の中でも特に清澄効果の高い酸化スズを少なくとも含有することが好ましい。
なお、As23、Sb23及びPbOは、溶融ガラス中で価数変動を伴う反応を生じ、ガラスを清澄する効果を有する物質であるが、As23、Sb23及びPbOは環境負荷が大きい物質であることから、本実施形態のガラス板10においては、ガラス中にAs23、Sb23及びPbOを実質的に含まない。なお、本明細書において、As23、Sb23及びPbOを実質的に含まないとは、0.01%質量未満であって不純物を除き意図的に含有させないことを意味する。
(7)特徴
(7−1)
本実施形態では、成形炉40と徐冷炉50とを含む炉30と炉30を覆う建物Bの内壁(覆い部に相当)とによって形成される炉外部空間Sの気圧制御を行っている(気圧制御工程)。具体的には、炉外部空間Sは、複数の空間(本実施形態では、4つの空間S1,S2,S3,S4)に分割されている。そして、気圧制御では、炉外部空間Sを送風機421,422,423,424によって加圧し、炉外部空間Sの気圧が第1方向の上流側ほど高くなるようにしている。そして、炉外部空間Sの気圧制御が行われている状態において、成形炉40においてガラス板Gが成形され(成形工程ST5)、徐冷炉50においてガラス板Gが徐冷される(徐冷工程ST6)。なお、気圧制御は、制御装置500が行う。
本実施形態では、まず、炉外部空間Sを加圧して炉外部空間Sの気圧が第1方向の上流側ほど気圧が高くなるようにすることによって、炉30の内部の空気が炉外部空間Sに漏れることを抑制できる。これにより、ガラス板Gの表面に沿って上昇する上昇気流の発生を抑制し、炉30の内部の温度の変動を抑制できる。また、ガラス板Gの表面に沿って上昇する上昇気流の発生を抑制することで、ガラス板Gの反転も抑制することができる。炉30内の温度の変動を抑制することで、あるいはガラス板Gの反転を抑制することで、ガラス板Gの幅方向及び流れ方向の温度プロファイルを精度よく実現することが可能となる。これにより、ガラス板の反り、内部歪、熱収縮を低減することができる。
本実施形態では、まず、炉外部空間Sを加圧することによって、炉30の内部の空気が炉外部空間Sに漏れることを抑制できる。これにより、ガラス板Gの表面に沿って上昇する上昇気流の発生を抑制し、炉30の内部の温度の変動を抑制できる。
ここで、上昇気流は、ガラス板の表面に沿って上昇する上昇気流だけでなく、炉の炉壁の外面に沿っても生じていると考えられる。炉の炉壁の外面に沿う上昇気流が生じると、炉壁の外面、ひいては、内面の温度が変動することが想定される。そして、この場合、炉内の温度の変動にも繋がることが懸念される。この場合、製造されるガラス板の品質に影響がでることが懸念される。
ガラス板の表面に沿って上昇する上昇気流は、煙突効果によって発生する場合と、温度が高い領域の気体が温度の低い領域に流れることにより生じる対流により発生する場合と、が考えられる。ここで、炉壁から隙間を完全になくすことは困難であるため、上記煙突効果によって上昇気流が発生してしまう。なお、上昇気流は、炉に設けられたローラ等の部材間の隙間が大きい領域に発生しやすい。ここで、ダウンドロー法を用いる場合、ガラス板の中央部の製品となる領域は、部材と非接触で成形及び徐冷される。つまり、ガラス板の中央部の製品となる領域付近には部材は接触しておらず、部材間の隙間が大きくなり、上昇気流が発生しやすい。
ここで、炉外部空間の気圧が炉30内の気圧に比べて小さくなりすぎると、炉内部空間から炉外部空間へ空気が流出しやすくなる。炉30内部の空間から流出する空気量が増加すると、煙突効果によってガラス板Gに反った上昇気流が発生しやすくなる。
また、上記上昇気流は規則的に生じるものではないため、ガラス板Gに反って上昇する上昇気流の風量が、ガラス板Gの両側の主表面で均一にならない場合が多い。例えば、ガラス板Gの表側の主表面(表面)に沿った上昇気流の風量が、ガラス板Gの裏側の主表面(裏面)に沿った上昇気流の風量よりも多い場合、ガラス板Gの裏面よりも表面の冷却量が多くなり、ガラス板Gの裏面よりも表面の収縮量が多くなる。この場合、ガラス板Gの裏面側が凸部となるような弓なりの撓みが生じる。なお、上述したように上昇気流は定常的に生じるものではないため、ガラス板Gの表面に沿った上昇気流の風量とガラス板Gの裏面に沿った上昇気流の風量が時間的に変化し、ガラス板Gを反転させる。ガラスの反転が生じると、内部歪や反りを低減するようなガラス板Gの温度プロファイルを実現することが困難となり、結果、内部歪や反りが生じてしまう。
他方、建物の内壁から完全に隙間をなくすことは困難である。このため、煙突効果によって炉外部空間にも上昇気流が発生すると考えられる。なお、炉壁の近傍ほど雰囲気温度が高くなるため、上昇気流が発生しやすい。また、温度が高い領域の気体が温度の低い領域に流れることにより対流も生じる。これは、炉壁側よりも建物の内壁側の雰囲気温度のほうがより低いと考えられるためである。つまり、建物の内壁に沿って下降気流が発生し、炉壁に沿って上昇気流が発生することで、大きな対流が生じる。
一方、本実施形態では、炉外部空間Sを加圧して、炉外部空間Sの気圧が第1方向の上流側ほど高くなるようにすることで、ガラス板Gに沿って発生する上昇気流を抑制することができ、炉30内部の空間の温度の変動を抑制することができる。また、本実施形態では、炉外部空間Sの気圧を上流側ほど高くすることによって、炉外部空間Sにおいて炉30の炉壁の外面に沿って上昇する空気流を抑制できる。これにより、炉30の炉壁の外面の温度を極力安定させることができる。よって、さらに炉30の内部の温度の変動を抑制できる。
なお、炉30内部の空間の気圧も上流側の位置ほど高くすることが好ましい。これにより、炉30内部の空間の下流側にある空気が上流側の位置に流れ込むことを抑制することができ、ガラス板Gに沿った上昇気流の発生を抑制することができる。このように炉30内部の空間の気圧が上流側の位置ほど高い場合、炉外部空間Sの気圧が一定であるとすると、炉30内部の空間の上流側の位置ほど、炉30内部の空間と炉外部空間Sの気圧差が大きくなり、炉30内部の空間から炉外部空間Sへ空気が流出しやくなる。つまり、本実施形態のように、炉外部空間Sの気圧を上流側ほど高くすることによって、炉30内部の空間の気圧も上流側ほど高くなるように気圧制御した場合であっても、炉30内部の空間の上流側(例えば、空間S1あるいは空間S2)から炉外部空間Sへの空気流出を抑制することができる。
また、本実施形態では、ガラス板の内部歪が抑制されるように、徐冷工程ST6においてガラス板Gの雰囲気温度を温度調整ユニット360a〜360gによって温度調整している。すなわち、ガラス板Gの温度制御を温度調整ユニット360a〜360gによって間接的に行っている。
炉30の内部の温度の変動を抑制できることにより、ガラス板Gの温度制御を精度よく行うことができる。よって、内部歪、反り、熱収縮率を抑制するようなガラス板の温度プロファイルを実現することができ、ガラス板の内部歪、反り、熱収縮率を抑制でき、ガラス板の品質を向上できる。また、このようなガラス板を極力安定して得ることができる。
また、例えば、炉外部空間Sの気圧が、炉30内部の空間の同じ高さ位置の気圧に対して低くなるように、炉外部空間Sの気圧を調整することにより、僅かな炉壁の隙間を通して炉外部空間Sから炉30内部の空間へ空気が流れ込むことを抑制することができるので、炉30の内部の温度の変動を抑制できる。
特に、炉内空間S8(図6参照)において、ガラス板Gは、ガラス徐冷点からガラス歪点までの温度領域と、ガラス歪点からガラス歪点以下の温度領域を通過するので、炉内空間S8におけるガラス板の温度プロファイルは、ガラス板Gの内部歪、反り、熱収縮率に大きく影響を与える。このため、炉30内部の空間よりも温度の低い炉外部空間Sから炉30内部の空間への冷えた空気の流れ込みは望ましくない。この点で、炉外部空間Sから炉30内部の空間への空気の流れ込みを抑制することができる本実施形態は好適である。特に、p−Si・TFTをガラス基板に形成するようなフラットパネルディスプレイ用ガラス基板には、熱収縮を低減し、熱収縮のばらつきを抑制することが望まれるので、本実施形態により製造される熱収縮率が小さく、かつ熱収縮率のばらつきも抑えることができるガラス板は、上記フラットパネルディスプレイ用ガラス基板に好適に用いられ得る。
(7−2)
本実施形態では、炉外部空間Sには、複数の空間(本実施形態では、4つの空間S1,S2,S3,S4)に分割するための仕切り部材として機能する床411,412,413が配置されている。
ここでは、床411,412,413によって炉外部空間Sを複数の空間に分割しやすくしている。すなわち、気圧制御を行いやすくしている。
(7−3)
本実施形態では、炉外部空間Sは、成形炉外部上方空間S1、成形炉外部下方空間S2、徐冷炉外部空間S3、及び、徐冷炉下方空間S4に分割される。これにより、炉外部空間Sに比べて、成形炉外部上方空間S1、成形炉外部下方空間S2、徐冷炉外部空間S3、及び、徐冷炉下方空間S4における第1方向の温度差が小さくなる。よって、炉30の外壁に沿って上昇する空気流が発生したとしても、炉30の炉壁の外面に沿って上昇する空気流の範囲を狭くできる(つまり、各空間S1〜S4内にその空気流をとどめることができる)。すなわち、炉外部空間Sの気圧を複数の空間に分割し上流側ほど高くしているので、複数の空間をまたいで上昇するような(例えば、空間S1〜S4の少なくとも2以上の空間に渡るような)大きな空気流の発生を抑制できる。これにより、炉30の炉壁の外面の温度がより安定する。よって、炉30の内部の温度への影響を低減でき、炉30の内部の温度をより安定させることができる。炉30の内部の温度を極力安定させることができることにより、ガラス板Gの温度制御を精度よく行うことができる。よって、ガラス板の内部歪を抑制でき、ガラス板の品質を向上できる。
(7−4)
本実施形態では、徐冷炉外部空間S3は、徐冷炉外部空間S3と高さが同じ(すなわち、床412の下面から床413の上面までの距離に相当する)炉内空間S8を流れるガラス板Gの雰囲気温度が800℃〜110℃となる空間、或いは、炉内空間S8を流れるガラス板Gが(徐冷点+5℃)から(歪点―50℃)となる領域を含む空間である。である。すなわち、炉内空間S8では、ガラス板の品質に関わる重要な工程である徐冷工程ST6が行われる。よって、徐冷炉外部空間S3の温度は、他の空間S1,S2,S4に比べてもより安定していることが望ましい。
本実施形態では、上述したように、徐冷工程ST6を行う炉内空間S8と高さが同じ外部空間である徐冷炉外部空間S3において、徐冷炉50の炉壁の外面の温度を極力安定させることができる。よって、炉内空間S8の温度の変動を抑制できる。よって、ガラス板の品質を向上できる。
(7−5)
本実施形態の気圧制御では、炉外部空間Sにおいて最も気圧が低い徐冷炉下方空間S4の気圧が大気圧以上の気圧になるようにしている。これにより、建物Bの外方にある空気が建物B内に流入しにくくなる。よって、炉外部空間Sの外気による影響を受けにくくできる。従って、ガラス板の品質を維持できる。
(8)変形例
以上、本実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(8−1)変形例1A
図7は、本変形例1Aに係る炉外部空間Sを示すための建物Bの内部の空間を示す模式図である。
上記実施形態では、炉外部空間Sを成形炉外部上方空間S1、成形炉外部下方空間S2、徐冷炉外部空間S3、及び、徐冷炉下方空間S4に分割し、これらの4空間において上流側ほど気圧が高くなるように制御すると説明した。
しかし、これに限られるものではなく、炉外部空間Sは、成形炉外部上方空間S1と成形炉外部下方空間S2とを含む成形炉外部空間S10と、徐冷炉外部空間S3と、徐冷炉下方空間S4との3空間に分割されてもよい。この場合であっても、上述と同様の効果を奏する。
また、炉外部空間Sを、上方に位置する上方空間と、上方空間の第1方向の下流側(下方)に位置する下方空間とに分割し、上方空間においてのみ、上流側ほど気圧が高くなるように気圧制御を行ってもよい。
なお、このとき、上方空間は、成形炉外部上方空間S1と成形炉外部下方空間S2と徐冷炉外部空間S3との3空間に分割されてもよいし、成形炉外部上方空間S1と成形炉外部下方空間S2とを含む成形炉外部空間S10と、徐冷炉外部空間S3との2空間に分割されてもよい。
なお、これらの場合、徐冷炉外部空間S3と徐冷炉下方空間S4とは同じ気圧に制御される。
ここで、成形炉の炉壁と徐冷炉の炉壁との温度差は特に大きい。よって、成形炉外部空間や成形炉外部下方空間、成形炉内部空間、及び、徐冷炉内部空間では、より大きな上昇気流が発生しやすい。一方、ガラス板の品質向上のためには、成形炉内部空間と徐冷炉内部空間とにおける温度変動は小さいことが好ましい。
そこで、上昇気流が特に発生しやすくガラス板の品質の維持のために重要な空間である、成形炉外部空間S10(或いは、成形炉外部下方空間S2)、及び、徐冷炉外部空間S3においてのみ、気圧制御を行ってもよい。具体的には、成形炉外外部空間S10の気圧が徐冷炉外部空間S3の気圧よりも高くなるように気圧制御をする、或いは、成形炉外部下方空間S2の気圧が徐冷炉外部空間S3の気圧よりも高くなるように気圧制御をする。
これにより、これらの空間において、上昇気流の発生を抑制でき、ガラス板の品質も効果的に維持できる。
また、成形炉40での温度変動を抑制することで、板厚のばらつきなどを抑制することができる。また、徐怜炉50において、ガラス板の温度が徐冷点以上となる領域で、炉内雰囲気の温度変動を抑制することで、ガラス板の変形を抑制することができる。また、徐怜炉50において、ガラス板の温度が徐冷点〜歪点近傍となる領域で、炉内雰囲気の温度の変動を抑制することで、ガラス板の内部歪の発生を抑制することができる。さらに、徐怜炉50において、ガラス板の温度が歪点以下となる領域における炉内雰囲気の温度変動を抑制することで、ガラス板の反りなどを防止することができる。
(8−2)変形例1B
上記実施形態では、仕切り部材として機能する3の床411,412,413が配置されているが、これに限られるものではない。
上記実施形態では、物理的な仕切り部材を配置することによって、複数の空間を形成しやすくして気圧制御を行いやすくしているが、第1方向の上流側ほど気圧が高くなるように気圧制御がされれば、上述と同様の効果を奏する。
なお、床が配置されている場合であっても、例えば、床によって分割された複数の空間の間で、空間同士が連通する隙間がある場合がある。具体的には、炉30を移動可能にするために、床と炉30は接続されないことが多く、この場合、床によって分割された複数の空間の間で、空間同士が連通する隙間が存在する。そのため、本実施形態を適用しない場合には、当該隙間を介して下流側の空間から上流側の空間に向かって空気が流出し、炉30の外壁に沿った上昇気流が発生する。
しかし、この場合であっても、上述と同様の効果を奏する。すなわち、本実施形態では、第1方向の上流側ほど気圧が高くなるように制御しているので、第1方向の下流側の空間から上流側の空間へと流れる空気流は抑制できる。よって、炉30の炉壁の外面の温度をより安定させることができ、炉30の内部の温度の変動を抑制できる。
(8−3)変形例1C
上記実施形態では、炉外部空間Sを4つの空間S1,S2,S3,S4に分割すると説明した。しかし、炉外部空間Sの分割数はこれに限られるものではなく、複数の空間に分割されていればよい。なお、炉外部空間Sを分割すればするほど、炉30の炉壁の外面に沿って上昇する空気流を小さくすることができるので、炉30の内部の温度の変動をより抑制できる。
(8−4)変形例1D
上記実施形態の他に、徐冷炉外部空間S3を複数に分割し、上流側ほど気圧が高くなるように気圧制御を行ってもよい。これにより、ガラス板の内部歪の発生及びガラス板の変形をより効果的に抑制できる。なお、このとき、当該空間を床等によって物理的に分割する必要は必ずしもない。
(8−5)変形例1E
上記実施形態では、上述の気圧制御を行うために、成形炉外部上方空間S1、成形炉外部下方空間S2、徐冷炉外部空間S3、及び、徐冷炉下方空間S4の外方に、それぞれの空間を加圧するための送風機421,422,423,424が配置されていると説明した。しかし、気圧制御を行う方法は、送風を行ってするものに限られるものではなく、送風と排風を組み合わせて行う方法や、ダンパー等で圧力差を調整する方法なども適用できる。
(8−6)変形例1F
上記実施形態では、炉外部空間Sを加圧している。しかし、必ずしも炉30の内部の空間よりも炉外部空間Sの気圧を高くする必要はない。例えば、炉30の内部の空間と炉外部空間Sとの気圧差を小さくすれば、炉30の内部の空間から漏れ出す空気量を低減でき、ガラス板Gに沿って発生する上昇気流を抑制できる。
(8−7)変形例1G
上記実施形態では、オーバーフローダウンドロー法によってガラス板Gを成形すると説明したが、これに限られるものではなく、ダウンドロー法であればよい。
(8−9)変形例1H
本変形例では、徐冷工程において、ガラス板Gの送りローラ350a〜350hで狭持される部分に対して幅方向内側に隣接する隣接領域に塑性変形が生じないように、この隣接領域の温度がガラス板Gのガラス転移点以上ガラス軟化点以下となる温度領域において、ガラス板Gに対して第1方向に引っ張り張力を働かせる。
また、ガラス板Gを引き下げる送りローラ350a〜350hの回転は、ガラス板Gの流れる第1方向の下流側に設けられたローラの周速度が、ガラス板Gの流れる方向の上流側に設けられたローラの周速度以上となるように、制御装置500により制御されている。これにより、ガラス板Gに対して、常に第1方向の下流側に向けて引っ張り張力をかけてガラス板Gの反りを防止することができる。また、これにより、上記隣接領域の温度がガラス板Gのガラス転移点以上ガラス軟化点以下となる温度領域において、ガラス板Gに対して第1方向に引っ張り張力を働かせることができる。
特に、ガラス板Gの温度がガラス徐冷点となる位置よりも下流側に設けられた送りローラの周速度を、ガラス板Gの温度がガラス転移点以上ガラス軟化点以下となる温度領域に設けられた送りローラの周速度よりも速くすることが、ガラス板Gの塑性変形を抑制するためにはより効果的である。また、特に、上記隣接領域の温度がガラス徐冷点となる位置よりも下流側に設けられた送りローラの周速度を、上記隣接領域の温度がガラス転移点以上ガラス軟化点以下となる温度領域に設けられた送りローラの周速度よりも速くすることが、上記隣接領域の塑性変形を抑制するためにはより効果的である。
以下、本発明の実施例について説明する。
ガラス原料を溶解して溶融ガラスとし、清澄、攪拌を行った後、成形装置に溶融ガラスを供給して、オーバーフローダウンドロー法によりガラス板Gを形成した。その後、ガラス板Gを切断し、長手方向1100mm、幅方向1300mm、厚さ0.5mmのガラス板を製造した。このとき、炉外部空間Sの気圧は、下記表1に示すように上流側ほど高くなるように制御されていた。なお、溶融ガラスに含まれる各成分の含有率は、以下の通りである。
SiO2 60%
Al23 19.5%
23 10%
CaO 5%
SrO 5%
SnO2 0.5%
このとき、実施例1〜5で製造されたガラス板の最大歪(リターデーションの最大値)は、1.6nm以下であった。また、ガラス板の反りは、0.18mm以下であった。特に、実施例2〜4で製造されたガラス板の最大歪(リターデーションの最大値)は、1.0nm以下であった。また、ガラス板の反りは、0.15mm以下であった。
一方、比較例1として、気圧制御も行わずに同様のサイズのガラス板を製造した。このときの溶融ガラスの各成分の含有率は上記と同様である。このとき、製造されたガラス板の最大歪(リターデーションの最大値)は、1.8nmであった。また、ガラス板の反りは、0.2mmを越えていた。また、比較例2として、炉外部空間Sの気圧が一定である点を除き、実施例と同様の方法でガラス板を製造した。このとき、製造されたガラス板の最大歪(リターデーションの最大値)は、1.8nmであった。また、ガラス板の反りは、0.2mmを越えていた。
P1:成形炉外部上方空間S1の気圧[Pa]
P2:成形炉外部下方空間S2の気圧[Pa]
P3:徐冷炉外部空間S3の気圧[Pa]
P4:徐冷炉下方空間S4の気圧[Pa]
Figure 2012132419
よって、本発明は、ガラス板の品質の向上に有用である。
本発明は、ダウンドロー法を使用してガラス板を製造するガラス板の製造方法及び製造装置に種々適用可能である。
10 建物の内面部(覆い部)
30 炉
40 成形炉
50 徐冷炉
110 製造されたガラス板
411,412,413 床(仕切り部材)
500 制御装置(制御部)
B 建物
G 成形されたガラス板
S 炉外部空間
S1 成形炉外部上方空間(成形炉外部空間)
S2 成形炉外部下方空間(成形炉外部空間)
S3 徐冷炉外部空間
S4 徐冷炉下方空間(下方空間)

Claims (15)

  1. ダウンドロー法によるガラス板の製造方法であって、
    成形炉と徐冷炉とを含む炉と前記炉を覆う覆い部との間に形成される炉外部空間、の
    気圧制御を行う気圧制御工程と、
    ガラス原料を溶解して溶融ガラスとする溶解工程と、
    前記溶融ガラスを、前記成形炉の内部に配置される成形体に供給する供給工程と、
    前記成形体において溶融ガラスを流下させてガラス板を成形する成形工程と、
    前記徐冷炉において前記ガラス板を一方向に流しながら前記ガラス板を冷却する徐冷工程と、
    冷却された前記ガラス板を切断する切断工程と、
    を備え、
    前記炉外部空間は、前記成形炉の設置位置に対応する領域を含む成形炉外部空間と、前記徐冷炉の設置位置に対応する領域を含む徐冷炉外部空間と、を含み、
    前記気圧制御工程では、前記成形炉外部空間の気圧が前記徐冷炉外部空間の気圧よりも高くなるように、前記気圧制御を行う、
    ガラス板の製造方法。
  2. 前記気圧制御工程では、前記炉外部空間内の前記ガラス板の流れる方向の上流側の位置ほど気圧が高くなるように気圧制御を行う、
    請求項1に記載のガラス板の製造方法。
  3. 前記炉外部空間は、前記成形炉外部空間と前記徐冷炉外部空間とを含む上方空間の下方に位置する下方空間をさらに含み、
    前記気圧制御工程では、前記下方空間の気圧が大気圧以上の気圧になるように、前記気
    圧制御を行う、
    請求項1または2に記載のガラス板の製造方法。
  4. 前記成形炉外部空間の気圧と前記徐冷炉外部空間の気圧の差は、下記式(1)を満たす、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
    0<(成形炉外部空間の気圧−徐冷炉外部空間の気圧)<20[Pa]・・・・(1)
  5. 前記ガラス板の幅方向の長さが、2000mm以上である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
  6. 前記ガラス板は、フラットパネルディスプレイ用のガラス板である、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
  7. 前記成形工程は、前記ガラス板の幅方向の両端部を、ガラス板の幅方向の中央部よりも急冷し、前記両端部のガラスの粘度ηがlogη=9〜14.5を満たす工程を含む、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
  8. 前記徐冷工程は、
    前記ガラス板の幅方向の中央部に、前記ガラス板の流れ方向に引張り応力が働くように、
    少なくとも、前記ガラス板のガラス徐冷点に150℃を足した温度から、前記ガラス板のガラス歪点から200℃引いた温度までの温度領域において、
    前記ガラス板の幅方向の中央部の冷却速度は前記両端部の冷却速度よりも速く、
    前記ガラス板の幅方向の中央部の温度が前記両端部よりも高い状態から前記中央部の温度が前記両端部よりも低い状態へ前記ガラス板を変化させる、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
  9. 前記徐冷工程では、
    前記成形体の下部からガラス歪点の近傍の温度領域を下回るまでの温度領域において前記ガラス板の幅方向の温度制御を行う工程であって、
    前記ガラス板の幅方向の両端部が前記両端部に挟まれた中央領域の温度より低く、且つ、前記中央領域の温度が均一になるように制御する工程と、
    前記ガラス板の幅方向の温度分布が前記ガラス板の幅方向の中央部から両端部に向かって低くなるように制御する工程と、ガラス歪点の近傍の温度領域において、前記両端部と前記中央部との温度勾配がなくなるように制御する工程とを含む、ガラス歪点上温度制御工程、が行われる、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
  10. 前記ガラス板の幅方向の温度制御を行う工程では、
    前記ガラス板のガラス歪点の近傍の温度領域において、前記ガラス板の幅方向の両端部から前記ガラス板の幅方向の中央部にかけての温度が均一になるように制御する工程と、前記両端部から前記中央部にかけて均一になった前記ガラス板の温度を、前記両端部から前記中央部に向かって低くなるようにする工程とを含む、ガラス歪点下温度制御工程が、さらに行われる、
    請求項9に記載のガラス板の製造方法。
  11. 前記徐冷工程は、
    前記ガラス板の幅方向の中央部の温度が、前記ガラス板のガラス徐冷点になるまで、第1の平均冷却速度で冷却する第1の冷却工程と、
    前記中央部の温度が、前記ガラス徐冷点からガラス歪点−50℃になるまで、第2の平均冷却速度で冷却する第2の冷却工程と、
    前記中央部の温度が、前記ガラス歪点−50℃から前記ガラス歪点−200℃になるまで、第3の平均冷却速度で冷却する第3の冷却工程と、
    を含み、
    前記第1の平均冷却速度は、5.0℃/秒以上であり、
    前記第1の平均冷却速度は、前記第3の平均冷却速度より速く、
    前記第3の平均冷却速度は、前記第2の平均冷却速度より速い、
    請求項1〜10のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
  12. 前記ガラス板が、SrO及びBaOの合計含有率が8質量%未満であり、かつガラス歪点が675℃以上であり、
    前記徐冷工程における、前記ガラス板のガラス徐冷点から(ガラス歪点−50℃)の温度までの平均冷却速度が0.5〜5.5℃/秒未満である、
    請求項1〜11のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
  13. 前記徐冷工程では、前記ガラス板の牽引に用いるローラで狭持される部分に対して前記ガラス板の幅方向内側に隣接する隣接領域に塑性変形が生じないように、前記隣接領域の温度が前記ガラス板のガラス転移点以上ガラス軟化点以下となる温度領域において、前記ガラス板に対して前記ガラス板の流れる方向に引っ張り張力を働かせる、
    請求項1〜12のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
  14. 前記徐冷工程では、前記ガラス板を引き下げるローラの回転は、前記ガラス板の温度がガラス徐冷点となる温度領域よりも前記ガラス板の流れる方向の下流側に設けられたローラ周速度が、ガラス板の温度がガラス転移点以上ガラス軟化点以下となる温度領域に設けられたローラの周速度以上となるように、制御されている、
    請求項1〜13のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
  15. ダウンドロー法によってガラス板を成形する成形炉と、
    前記成形炉において成形された前記ガラス板を一方向に流しながら前記ガラス板を冷却する徐冷炉と、
    前記成形炉と前記徐冷炉とを含む炉と前記炉を覆う覆い部との間に形成される炉外部空間の気圧制御を行う制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記炉外部空間内の前記ガラス板の流れる方向の上流側の位置ほど気圧が高くなるように気圧制御を行う、
    ガラス板製造装置。
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