JPWO2012111645A1 - 表面プラズモン励起増強蛍光分光法を用いた蛍光検出方法 - Google Patents

表面プラズモン励起増強蛍光分光法を用いた蛍光検出方法 Download PDF

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    • G01N21/645Specially adapted constructive features of fluorimeters
    • G01N21/648Specially adapted constructive features of fluorimeters using evanescent coupling or surface plasmon coupling for the excitation of fluorescence

Abstract

[課題]センサ構造体間で異なる電場強度を考慮して測定対象物質の蛍光量を補正し、センサ構造体間での測定結果を正確に対比できるようにした蛍光検出方法を提供すること。[解決手段]誘電体部材と、前記誘電体部材の上面に形成された金属薄膜と、前記金属薄膜の上面に形成された反応層と、から少なくとも構成されたセンサ構造体を用い、前記誘電体部材側から全反射条件となる入射角で励起光を照射して前記金属薄膜上の電場を増強させ、増強した電場により前記反応層に捕捉されたアナライトを標識する蛍光物質を励起させ、この励起された蛍光物質からの蛍光量を光検出手段にて測定するようにした蛍光検出方法であって、第1の測定条件で励起光を照射した際に測定された第1の散乱光量と、前記第1の測定条件とは異なる第2の測定条件で励起光を照射した際に測定された第2の散乱光量と、に基づいて、前記第1の測定条件で励起光を照射することにより測定された蛍光量を補正する。

Description

本発明は、表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS;Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy)の原理に基づいた蛍光検出方法に関する。
従来より、ナノメートルレベルなどの微細領域中で電子と光とが共鳴することにより、高い光出力を得る現象(表面プラズモン共鳴(SPR;Surface Plasmon Resonance)現象)を応用した表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS)の原理に基づき、高精度に所望のアナライト検出を行えるようにした表面プラズモン励起増強蛍光測定装置(以下、SPFS装置ともいう)が開発され、例えばバイオテクノロジーなどの分野で利用されている。
このようなSPFS装置100は、図11に示したように、例えば誘電体部材102と、誘電体部材102の主面上に形成された金属薄膜104と、金属薄膜104の上面に形成され、流路108内の所定位置にリガンドが固定化された反応層Gを備えたリガンド含有層106と、を有するセンサ構造体110を装填可能に構成されている。
そして、SPFS装置100にセンサ構造体110を装填した状態において、センサ構造体110の誘電体部材102側には、誘電体部材102内に入射され、金属薄膜104に向かって全反射条件となる入射角θaで励起光112を照射する光源114を備え、さらに光源114から照射され金属薄膜104で反射した反射光116を受光する受光手段118が備えられている。
なお光源114および受光手段118には、反応層Gの略中央を中心としてSPFS装置100の装置断面上で円弧状に移動可能な移動調整手段130,132がそれぞれ設けられ、これにより光源114より照射される励起光112の照射角度および受光手段118による反射光116の受光位置が調整できるようになっている。
一方、センサ構造体110のリガンド含有層106側には、反応層Gに捕捉されたアナライトを標識した蛍光物質が発する蛍光120を受光する光検出手段122が設けられている。
なお、リガンド含有層106の反応層Gと光検出手段122との間には、蛍光120を効率良く集光するための集光部材124と、蛍光120以外に含まれる光を除去し、必要な蛍光120のみを選択する波長選択機能部材126が設けられている。
そして、SPFS装置100の使用においては、反応層Gに流路108を介してアナライトを有する試料溶液を流入させ、その後、このアナライトを標識する蛍光物質を、同様に流路108を介して反応層Gへ流入させることで、反応層Gに蛍光物質で標識されたアナライトが捕捉された状態とする。
この状態で光源114より誘電体部材102を介して金属薄膜104に全反射条件となる入射角θaで励起光112を照射すると、誘電体部材102の表面からエバネッセント波が放出され、このエバネッセント波により金属薄膜104に表面プラズモン共鳴を生じ、金属薄膜104上の電場が増強されることとなる。
この表面プラズモン共鳴を利用して、反応層Gに固定化された蛍光物質による蛍光120を励起させ、励起させた蛍光120を集光部材124および波長選択機能部材126を介して光検出手段122で検出することで、極微量および/または極低濃度のアナライトを検出することができる。
なお、光検出手段122では、蛍光120検出用の波長選択機能部材126を散乱光検出用の波長選択機能部材(図示せず)に交換することで、反応層Gで散乱する励起光112を検出することができ、散乱光量が最大となる励起光112の照射角度を調べることで、電場強度が最大となる入射角θaを得ることもできる。このとき、散乱光量の検出用の光検出手段(図示せず)を別途設けても良いものである。
ところで金属薄膜104上の電場強度や散乱光量は、例えばセンサ構造体110を構成する誘電体部材102の材質や屈折率,金属薄膜104の材質や膜厚,リガンド含有層106の材質や膜厚,さらには流路108内の反応層Gに流入される流体や試料溶液の種類,蛍光物質の量など、様々な条件によって変化する。
このため、例えば同じ試料溶液を用い、複数のセンサ構造体110でそれぞれ蛍光検出を行っても、検出される蛍光量にばらつきが生じてしまい、結果、検出された蛍光量を、センサ構造体間で正しく対比できない場合があった。
そこで特許文献1では、蛍光検出時に測定する蛍光量とともに、蛍光検出時と同条件で金属薄膜に励起光を照射した際に生ずる散乱光量も測定しておき、センサ構造体間で異なる散乱光量を基準となる散乱光量に合わせる補正係数を算出し、蛍光検出により測定した蛍光量に、この補正係数を乗じて数値補正することで、センサ構造体間の検出結果を正確に対比できるようにしている。
特開2009−216532号公報
しかしながら特許文献1に開示された補正方法は、散乱光量と電場強度の関係が、センサ構造体を取替えても同様の傾向を示すのであれば確かに有用であるものの、実際には散乱光量と電場強度の関係は、図12に示したグラフから明らかなように、センサ構造体ごと(図12ではセンサ構造体(A−1)〜(C−3)までの7つを例示)に傾き具合が異なり、センサ構造体間での相関性は取れておらず、同様の傾向を示していない。
したがって、このような従来の補正方法では、センサ構造体間の検出結果を正しく対比できるように数値補正したことにはならず、更なる補正方法の開発が望まれる。
本発明はこのような現状に鑑みなされたものであって、センサ構造体間で異なる電場強度を考慮して測定対象物質の実測された蛍光量を数値補正し、センサ構造体間での測定結果を正確に対比できるようにした蛍光検出方法を提供することを目的とする。
本発明は、前述したような従来技術における問題点を解決するために発明されたものであって、
本発明の蛍光検出方法では、
誘電体部材と、前記誘電体部材の上面に形成された金属薄膜と、前記金属薄膜の上面に形成された反応層と、から少なくとも構成されたセンサ構造体を用い、
前記誘電体部材側から全反射条件となる入射角で励起光を照射して前記金属薄膜上の電場を増強させ、増強した電場により前記反応層に捕捉されたアナライトを標識する蛍光物質を励起させ、この励起された蛍光物質からの蛍光量を光検出手段にて測定するようにした蛍光検出方法であって、
第1の測定条件で励起光を照射した際に測定された第1の散乱光量と、前記第1の測定条件とは異なる第2の測定条件で励起光を照射した際に測定された第2の散乱光量と、に基づいて、
前記第1の測定条件で励起光を照射することにより測定された蛍光量を補正することを特徴とする。
このように第1の測定条件で測定された蛍光量の値を、第1の測定条件で励起光を照射した際に測定された第1の散乱光量と、第1の測定条件とは異なる第2の測定条件で励起光を照射した際に測定された第2の散乱光量と、に基づいて補正すれば、センサ構造体間で電場強度が異なっていても、このことを考慮した蛍光量を得ることができる。したがって、センサ構造体間において蛍光量を用いて正しく対比させることができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記第1の測定条件と前記第2の測定条件とは、
前記金属薄膜に対する励起光の入射角が異なることを特徴とする。
このような測定条件であれば、確実に第1の散乱光量と第2の散乱光量とを測定することができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記第1の測定条件は、
前記金属薄膜へ照射した励起光の反射光量が最少となる入射角で励起光を照射することであることを特徴とする。
このような入射角で有れば、確実に第1の散乱光量を測定することができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記第1の測定条件は、
前記金属薄膜へ照射した励起光の反射光量が最少となる入射角から所定角度オフセットした入射角で励起光を照射することであることを特徴とする。
このような入射角で有れば、確実に第1の散乱光量を測定することができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記第1の測定条件は、
前記第1の散乱光量が最大となる入射角で励起光を照射することであることを特徴とする。
このような入射角で有れば、確実に第1の散乱光量を測定することができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記第1の測定条件は、
前記第1の散乱光量が最大となる入射角から所定角度オフセットした入射角で励起光を照射することであることを特徴とする。
このような入射角で有れば、確実に第1の散乱光量を測定することができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記第2の測定条件は、
前記金属薄膜へ励起光を照射したとき反射光が全反射しない入射角であることを特徴とする。
このような入射角で有れば、確実に第2の散乱光量を測定することができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記第2の測定条件は、
前記金属薄膜へ励起光を照射したとき反射光が全反射する入射角であることを特徴とする。
このような入射角で有れば、確実に第2の散乱光量を測定することができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記反応層が流路中に形成されており、
前記第1の測定条件と前記第2の測定条件とは、
前記反応層が形成された流路に満たされた物質の屈折率が異なることを特徴とする。
このような測定条件であれば、確実に第1の散乱光量と第2の散乱光量とを測定することができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記第2の測定条件における前記反応層が形成された流路に満たされた物質は、
前記第1の測定条件における前記反応層が形成された流路に満たされた物質よりも屈折率の低い物質であることを特徴とする。
このような測定条件であれば、確実に第1の散乱光量と第2の散乱光量とを測定することができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記第2の測定条件における前記反応層が形成された流路に満たされた物質は、
前記第1の測定条件における前記反応層が形成された流路に満たされた物質よりも屈折率の高い物質であることを特徴とする。
このような測定条件であれば、確実に第1の散乱光量と第2の散乱光量とを測定することができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記第1の測定条件と前記第2の測定条件とは、
前記第1の測定条件に対して、前記第2の測定条件が前記金属薄膜に励起光が照射される領域に対応する反応層上の部分にコーティング処理が施されていることで異なることを特徴とする。
このように金属薄膜に励起光が照射される領域に対応する反応層上の部分にコーティング処理を施せば、確実に第1の散乱光量と第2の散乱光量とを得ることができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記コーティング処理は、ショ糖を用いて行われることを特徴とする。
このようにショ糖であれば入手も容易であり、また反応層のリガンドの保存にも有効であり、さらに反応層の洗浄も容易であるためコーティング処理の材料として好適である。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記第1の散乱光量及び前記蛍光量は、
前記第1の測定条件で励起光を照射した際に同時に測定されることを特徴とする。
このように測定すれば、測定の回数を最小限に抑えることができ、蛍光量の補正までに要する時間を少なくすることができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記蛍光量を補正するための補正量は、
前記第1の散乱光量及び前記第2の散乱光量を基に、予め設定されたデータベースを用いて求められることを特徴とする。
このように予めデータベースを用意しておけば、このデータベースを基に蛍光量の補正を瞬時に行うことができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記補正量は、
前記データベースより、前記第1の散乱光量と前記第2の散乱光量との比を用いて求められることを特徴とする。
このように第1の散乱光量と第2の散乱光量との比を用いれば、正確な蛍光量を求めることができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記データベースは、
複数のデータ収集用センサ構造体のそれぞれに対して前記第1の測定条件で励起光を照射した際に測定された第3の散乱光量と、前記第2の測定条件で励起光を照射した際に測定された第4の散乱光量と、を基に作成されていることを特徴とする。
このように蛍光量の測定対象となるセンサ構造体と同じように、データ収集用センサ構造体でも第1の測定条件で励起光を照射した際に測定された第3の散乱光量と第2の測定条件で励起光を照射した際に測定された第4の散乱光量とを求めれば、データベースとして好適である。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記データベースは、
複数のデータ収集用センサ構造体のそれぞれに対して前記第1の測定条件で励起光を照射した際に測定された第3の散乱光量と、前記第2の測定条件で励起光を照射した際に測定された第4の散乱光量と、電場強度に関するデータと、の関係を基に作成されていることを特徴とする。
このような関係を基にしてデータベースを作成すれば、測定対象のセンサ構造体の蛍光量を確実に補正することができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記データベースは、
前記第3の散乱光量と前記第4の散乱光量との関係と、前記電場強度に関するデータと、の関係を基に作成されていることを特徴とする。
本発明者は、第3の散乱光量と第4の散乱光量との関係と、電場強度に関するデータと、の関係が、センサ構造体が変わっても略同様の関係を示すことを見出した。
従って、測定された蛍光量の値を所望の基準となる電場強度に合わせて数値補正すれば、センサ構造体間で異なる電場強度をさらに考慮した、より正確な蛍光量を得ることができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記データベースには、
前記第3の散乱光量と前記第4の散乱光量との関係と、前記電場強度に関するデータを、前記複数のデータ収集用センサ構造体に対して収集することで導き出された相関式が保管されていることを特徴とする。
このような相関式をデータベースに保管しておけば、測定対象のセンサ構造体の蛍光量を確実に補正することができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記相関式に前記第1の散乱光量と前記第2の散乱光量を入力して補正係数を算出し、算出された前記補正係数を用いて、前記蛍光量を補正して推定蛍光量を算出することを特徴とする。
このようにして算出された補正係数を用いれば、測定対象のセンサ構造体の蛍光量を確実に補正することができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記電場強度に関するデータは、
電場強度の基準値に対する比であることを特徴とする。
このようなデータであれば、測定対象のセンサ構造体の蛍光量を確実に補正することができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記電場強度に関するデータは、
前記データ収集用センサ構造体をモデル化して測定することで算出された計算電場強度であることを特徴とする。
このようなデータであれば、測定対象のセンサ構造体の蛍光量を確実に補正することができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記計算電場強度は、
前記データ収集用センサ構造体の構成と蛍光量を測定する測定系とをモデル化した多層膜モデルを基に、光学計算で算出されることを特徴とする。
このような計算電場強度であれば、測定対象のセンサ構造体の蛍光量を確実に補正することができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記電場強度に関するデータは、
蛍光量または蛍光量の基準値に対する比から算出されたデータであることを特徴とする。
このようなデータであれば、測定対象のセンサ構造体の蛍光量を確実に補正することができる。
また、本発明の蛍光検出方法では、
前記電場強度に関するデータは、
前記複数のデータ収集用センサ構造体に同量の蛍光物質を反応層に配置してそれぞれの蛍光量を実測することにより得られた蛍光量に基づくデータであることを特徴とする。
このようなデータであれば、測定対象のセンサ構造体の蛍光量を確実に補正することができる。
本発明によれば、センサ構造体間で異なる電場強度を考慮して測定対象物質の蛍光量を補正し、この補正された蛍光量を用いてセンサ構造体間での測定結果を正確に対比できるようにした蛍光検出方法を提供することができる。
図1は、「励起光の入射角と反射率との関係」および「励起光の入射角と散乱光量との関係」を示したグラフである。 図2は、屈折率の異なる5種類の物質を反応層に導入した際における「励起光の入射角と電場強度との関係」を示したグラフである。 図3は、本発明の蛍光検出方法における基本手順を可視化したグラフであって、3つのデータ収集用センサ構造体における「第1の測定条件での第3の散乱光量」と「第2の測定条件での第4の散乱光量」との比、および「電場強度」との関係をグラフ中にプロットしたものである。 図4は、本発明の蛍光検出方法における基本手順を可視化したグラフであって、図3でプロットされた3点に相関する直線を作成したものである。 図5は、本発明の蛍光検出方法における基本手順を可視化したグラフであって、図4で作成した直線と、蛍光量を実際に測定するセンサ構造体における「第1の測定条件での第1の散乱光量」と「第2の測定条件での第2の散乱光量」との比との交点をプロットしたものである。 図6は、本発明の蛍光検出方法における基本手順を可視化したグラフであって、図5でプロットした直線と散乱光量比との交点から電場強度を算出したものである。 図7は、複数のデータ収集用センサ構造体において、「第1の測定条件として、反応層に検出対象となる物質(サンプル)を導入した際の散乱光量」と「第2の測定条件として、反応層に空気を導入した際の散乱光量」との比、および「計算電場強度」との関係を示したグラフである。 図8は、複数のデータ収集用センサ構造体において、「第1の測定条件として、散乱光量が最大となる入射角での散乱光量」と「第2の測定条件として、反射光量が最大となる臨界角での散乱光量」との比、および「計算電場強度」との関係を示したグラフである。 図9は、複数のデータ収集用センサ構造体において、「第1の測定条件として、散乱光量が最大となる入射角での散乱光量」と「第2の測定条件として、散乱光量が最大となる入射角から−10度オフセットした入射角での散乱光量」との比、および「計算電場強度」との関係を示したグラフである。 図10は、複数のデータ収集用センサ構造体において、「第1の測定条件として、散乱光量が最大となる入射角での散乱光量」と「第2の測定条件として、散乱光量が最大となる入射角から−2度オフセットした入射角での散乱光量」との比、および「計算電場強度」との関係を示したグラフである。 図11は、表面プラズモン励起増強蛍光測定装置の概略図である。 図12は、異なる7種類のセンサ構造体における「散乱光量」と「電場強度」との関係を示したグラフである。
以下、本発明の蛍光検出方法について図面を用いて説明する。
なお、本発明の蛍光検出方法に用いられるセンサ構造体および表面プラズモン励起増強蛍光測定装置(SPFS装置)は、背景技術の欄で説明した構成および操作方法と基本的に同じであるため、その説明を省略する。
さらに、背景技術の欄で説明したセンサ構造体および表面プラズモン励起増強蛍光測定装置(SPFS装置)の構成は、あくまで一例であってこれに限定されるものではなく、例えば反応層への試料溶液の供給を、流路方式以外にも直接滴下させる方式や、堰を設けて貯留させる方式などとしても良く、当業者が知り得る程度の変更は当然含まれるものである。
また、本明細書中の以下の用語については、次のように定義する。なお、下記記載以外の用語については、当業者が知り得る一般的な語句と解する。
「センサ構造体」は、実際に蛍光量が測定されるものであり、その構成は背景技術の欄で説明した通りである。
「データ収集用センサ構造体」は、実際に蛍光量が測定されるセンサ構造体と同様の構成であり、「センサ構造体」で実際に測定された蛍光量を補正するためのデータベース作成のため、データ取りに用いられるものである。
「反応層」は、センサ構造体の所定位置に形成された反応領域であり、例えばリガンドが固定化された領域である。
「流路に満たされた物質」は、反応層が形成された流路を満たす物質であり、具体的には、センサ構造体の流路内に流入されるものである。
「散乱光量」は、センサ構造体の金属薄膜に向かって一方から励起光を照射した際、金属薄膜の他方より生ずる励起光の散乱光の光量である。
「所定角度」は、予め決めた任意の角度である。なお個々の角度については明細書中にその都度記載している。
「相関式」は、第3の散乱光量と第4の散乱光量との関係と、電場強度に関するデータを、複数のデータ収集用センサ構造体に対して収集することで導き出されたものである。
「電場強度の基準値」は、データベース中で基準と決めたデータ収集用センサ構造体の電場強度のことである。
「計算電場強度」は、データ収集用センサ構造体の構成と蛍光量を測定する測定系とをモデル化した多層膜モデルを下に、光学計算で算出された電場強度である。
「測定系」は、光検出手段,波長選択機能部材,集光部材などを総称したものである。
「多層膜モデル」は、誘電体部材,金属薄膜,反応層から成るセンサ構造体の各構成の材質や寸法などをモデル化して組み合わせた架空モデルである。
「蛍光量の基準値」は、データ収集用センサ構造体の反応層に所定量の蛍光物質を配置し、所定の励起条件により蛍光量を測定した時に検出される、データベース中で基準と決めた蛍光量である。
本発明の蛍光検出方法では、第1の測定条件で励起光を照射した際に測定された第1の散乱光量と、第1の測定条件とは異なる第2の測定条件で励起光を照射した際に測定された第2の散乱光量と、の関係に基づいて、測定された蛍光量を補正するようにしている。
この測定された蛍光量の補正は、まず実際の蛍光量を検出する対象となるセンサ構造体を用意し、このセンサ構造体に、第1の測定条件(蛍光量を検出する条件)で励起光を照射し、励起された蛍光量を測定するとともに、この第1の測定条件での散乱光量(以下、第1の散乱光量と称する)を測定する。
さらにこのセンサ構造体に、今度は第2の測定条件(蛍光量を検出する条件とは異なる条件)で励起光を照射し、この時の散乱光量(以下、第2の散乱光量と称する)を測定する。
第1の測定条件による蛍光量と散乱光量の測定と、第2の測定条件による散乱光量との測定の順番は逆でも良い。
ここで「第1の測定条件」と「第2の測定条件」としては、以下の(1)〜(3)の条件が例示できる。
(1) 第1の測定条件と第2の測定条件とは、金属薄膜に対する励起光の入射角が異なる。
この条件の場合、第1の測定条件は、以下(1−1)〜(1−4)のいずれかの条件であることが好ましい。
(1−1) 金属薄膜へ照射した励起光の反射光量が最少となる入射角で、励起光を照射。
(1−2) 金属薄膜へ照射した励起光の反射光量が最少となる入射角から所定角度オフセットした入射角で、励起光を照射。
図1に示した励起光の入射角と反射率との関係を示したグラフでは谷形の曲線となっており、曲線の下降勾配および上昇勾配が急に成っている箇所が、蛍光検出可能な範囲である。図1においては、反射光量が最少となる入射角が大凡58度であって、この58度からプラスマイナス3度程度までが蛍光検出可能な範囲と言える。
なお、この角度範囲は、データ収集用センサ構造体の構成により適宜設定すれば良いものである。具体的には反射光量が最少となる入射角を基準として、好ましくはプラスマイナス10度、さらに好ましくはプラスマイナス5度までを蛍光検出可能な範囲とすれば良い。
(1−3) 散乱光量が最大となる入射角で、励起光を照射。
(1−4) 散乱光量が最大となる入射角から所定角度オフセットした入射角で、励起光を照射。
図1に示した励起光の入射角と散乱光量との関係を示したグラフは、山形の曲線となっており、曲線の上昇勾配および下降勾配が急に成っている箇所、およびピークとなっている箇所が、蛍光検出可能な範囲である。
図1においては、散乱光量が最大となる入射角が大凡57.5度であって、この57.5度からプラスマイナス3度程度までが蛍光検出可能な範囲と言える。
なお、この角度範囲についても、センサ構造体の構成により適宜設定すれば良いものである。具体的には散乱光量が最大となる入射角を基準として、好ましくはプラスマイナス10度、さらに好ましくはプラスマイナス5度までを蛍光検出可能な範囲とすれば良い。
さらに第2の測定条件は、以下(1−5)〜(1−6)のいずれかの条件であることが好ましい。
(1−5) 金属薄膜へ励起光を照射したとき反射光が全反射しない入射角で励起光を照射。
すなわち図1の入射角と反射率の関係を示した谷形の曲線で、反射光量が最大となる臨界角以下であることが好ましい。この臨界角以下はある範囲を持っているが、ここでの蛍光検出時における励起光の入射角とは異なる入射角は、臨界角以下の範囲中のある一つの角度である。
(1−6) 金属薄膜へ励起光を照射したとき反射光が全反射する入射角で励起光を照射。
すなわち図1の入射角と反射率の関係を示した谷形の曲線で、谷に落ち込む前と谷から上がった後の入射角の範囲であることが好ましい。
(2) 第1の測定条件と第2の測定条件とは、反応層が形成された流路に満たされた物質の屈折率が異なる。
この条件の場合、第1の測定条件と第2の測定条件は、以下(2−1)〜(2−2)のいずれかの条件であることが好ましい。
(2−1) 第2の測定条件における反応層が形成された流路に満たされた物質は、第1の測定条件における反応層が形成された流路に満たされた物質よりも屈折率の低い物質。
(2−2) 第2の測定条件における反応層が形成された流路に満たされた物質は、第1の測定条件における反応層が形成された流路に満たされた物質よりも屈折率の高い物質。
図2に示した屈折率の異なる5種類の物質(屈折率1.235〜1.435までの5種類の物質)を反応層に導入した際における励起光の入射角と電場強度との関係を示したグラフから明らかなように、仮に蛍光検出時に反応層に存在する物質を屈折率n=1.335の物質とした場合には、この物質(n=1.335)がグラフ略中央の山なりの曲線となる。
これに対し、蛍光検出時に反応層に存在する物質よりも屈折率が低い物質(n=1.235)の場合には、グラフ左方の山なりの曲線となり、また蛍光検出時に反応層に存在する物質よりも屈折率が高い物質(n=1.435)の場合には、グラフ右方の山なりの曲線となる。
このように反応層が形成された流路に満たされた物質を替えるだけで、励起光の入射角と電場強度の関係が異なることが明らかであるため、第1の測定条件と第2の測定条件とを作る方法として、反応層が形成された流路に満たされた物質を替える方法は好ましい。
(3) 第1の測定条件と第2の測定条件とは、第1の測定条件に対して、第2の測定条件が金属薄膜に励起光が照射される領域に対応する反応層上の部分にコーティング処理が施されていることで異なる。
この条件の場合、コーティング処理は、如何なる材質を用いて行っても良いが、例えばショ糖であれば、入手も容易であり、またアッセイ領域のリガンドの保存にも有効であり、さらに洗浄も容易であるためコーティング処理の材料として好適である。
また、金属薄膜に励起光が照射される位置に対応する領域が、第1の測定条件と第2の測定条件とで異なる屈折率になるようにすればよく、例えば、第1の測定条件と第2の測定条件とで、それぞれ屈折率が異なる材料でコーティング処理を施してもよい。
なお、少なくとも反応層全体を被覆するようにコーティング処理を施すことが、簡易なコーティング処理を実現する上で好ましい。
上記(1)〜(3)のようにして得られる第1の測定条件の第1の散乱光量と第2の測定条件の第2の散乱光量において、第1の散乱光量を測定する際には、同時に蛍光量も測定されることが好ましい。
この蛍光量は、最終的に補正対象となる数値であり、第1の散乱光量とともに蛍光量を測定すれば、測定の回数を最小限に抑えることができ、蛍光量の補正までに要する時間を少なくすることができる。
ここで具体的に蛍光量を補正する場合には、補正量(補正係数)が必要であるが、この補正量(補正係数)は、第1の散乱光量及び第2の散乱光量を基に、予め設定されたデータベースを用いて求められている。
以下、このデータベースについて説明する。
データベースを構成するデータは、例えば下記(A)〜(E)の通りである。
(A) データ収集用のセンサ構造体のそれぞれに対して第1の測定条件で励起光を照射した際に測定された第3の散乱光量のデータ。
(B) 第2の測定条件で励起光を照射した際に測定された第4の散乱光量のデータ。
(C) 電場強度に関するデータ。
(D) 第3の散乱光量と第4の散乱光量との比のデータ。
(E) 第3の散乱光量と第4の散乱光量との比及び電場強度に関するデータを、複数のデータ収集用センサ構造体に対して収集することで導き出された相関式のデータ。
なお「電場強度に関するデータ」としては、下記(a)〜(d)のものが挙げられる。
(a) 電場強度の基準値に対する比のデータ。
(b) データ収集用センサ構造体をモデル化して測定することで算出された計算電場強度のデータ。
(ここで計算電場強度としては、データ収集用センサ構造体の構成と蛍光量を測定する測定系とをモデル化した多層膜モデルを下に、光学計算で算出されたものである。)
(c) 蛍光量または蛍光量の基準に対する比から算出されたデータ。
(d) 複数のデータ収集用センサ構造体に同量の蛍光物質を反応層に配置してそれぞれの蛍光量を実測することにより得られた蛍光量に基づくデータ。
ここで用意されるデータ収集用センサ構造体の数については、特に限定されるものではないが、測定値の分布を明確にすることを鑑みれば多いほど良く、例えば20個以上であることが好ましい。
しかしながら以下の説明では、データ収集用センサ構造体の数を便宜上3つ用意したものとして説明する。
このデータ収集用センサ構造体を3つ用いて、補正量(補正係数)を求めるための相関式を作成する手順を可視化する。
図3に示したように、先ずX軸にデータ収集用センサ構造体の第3の散乱光量と第4の散乱光量との比をとり、Y軸に電場強度をとったグラフを用意し、このグラフ中に第3の散乱光量,第4の散乱光量,電場強度の値に基づく各データ収集用センサ構造体(ここでは(1)〜(3)までの3つ)の各点をプロットする。
次いで図4に示したように、先にプロットされた点の集合(ここでは3点)から「線」を得る。この「線」は例えば直線や曲線であり、この「線」を表した相関式(例えば一次関数,二次関数など)を求める。本図においては、右下がりの直線が得られたので、この直線を表す一次関数 y=−ax+b という相関式が得られる。
そして、このようにして得られた相関式に、センサ構造体における第1の散乱光量および第2の散乱光量を入力することで、補正量(補正係数)が算出されることとなる。
この手順を可視化すると、図5に示したように、実際の蛍光量検出用のセンサ構造体の第1の散乱光量および第2の散乱光量の比を、先に求めた相関式 y=−ax+b に入力し、電場強度を推定する。
そして、図6に示したように予め基準に決めた電場強度と、実際の蛍光量検出用のセンサ構造体の推定された電場強度との比から、補正係数を算出する。
ここでデータ収集用センサ構造体(1)を基準にすれば、データ収集用センサ構造体(1)の電場強度y1と、実際の蛍光量検出用のセンサ構造体の推定された電場強度y2の比(y2/y1)が補正係数となる。
この補正係数を、第1の散乱光量とともに測定しておいたセンサ構造体の蛍光量に乗じることで、実測された蛍光量から推定蛍光量が算出されることとなる。
このような経緯を経ることで、実測された蛍光量から推定された蛍光量(推定蛍光量)を算出でき、この推定蛍光量を用いれば、センサ構造体間での測定結果を正確に対比することができる。
以上、本発明の蛍光検出方法について説明したが、本発明は上記の方法のみに限定されるものではなく、その目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能なものである。
上記した本発明の蛍光検出方法について、データベースの作成からこれを元に相関式を作成するまでの実施例を説明する。
[実施例1]
金属薄膜(本実施例では金膜)の厚さが41nm,44nm,46nm,48nm,51nmとした5種類のデータ収集用センサ構造体を用意するとともに、反応層に導入する物質として、屈折率n=1.3325を中心として上下に値が振られるような複数の物質を用意した。
5種類のデータ収集用センサ構造体の反応層に、複数の物質を順番に導入し、それぞれのデータ収集用センサ構造体において、第1の測定条件として散乱光量が最大となる入射角で励起光を照射し、この時の散乱光量(第3の散乱光量)を測定した。
さらに、第2の測定条件として、散乱光量が最大となる入射角のまま、反応層に空気(屈折率n=1.0003)を導入し、この状態で金属薄膜へ励起光を照射した際の散乱光量(第4の散乱光量)を測定した。
第3の散乱光量,第4の散乱光量の測定を、用意したデータ収集用センサ構造体について行い、得られた結果からデータベースを作成した。
データベースを元にして、第3の散乱光量と第4の散乱光量との比を求め、さらにデータ収集用センサ構造体の構成および測定系をモデル化した多層膜モデルを元に、光学計算で算出された計算電場強度を算出した。
「第3の散乱光量と第4の散乱光量との比」と「計算電場強度」との関係を、用意したデータ収集用センサ構造体について求め、これらを線で表すと、図7に示したような右下がりの直線となり、相関式 y=−0.0076x+17.004 が得られた。
なお、用意したデータ収集用センサ構造体のデータの相関性を示す相関係数は0.8653であり、相関性は非常に高いことが確認できた。
[実施例2]
金属薄膜(本実施例では金膜)の厚さが41nm,44nm,46nm,48nm,51nmとした5種類のデータ収集用センサ構造体を用意するとともに、反応層に導入する物質として、屈折率n=1.3325を中心として上下に値が振られるような複数の物質を用意した。
5種類のデータ収集用センサ構造体の反応層に、複数の物質を順番に導入し、それぞれのデータ収集用センサ構造体において、第1の測定条件として散乱光量が最大となる入射角で励起光を照射し、この時の散乱光量(第3の散乱光量)を測定した。
さらに、第2の測定条件として、今度は反射光量が最大となる臨界角で金属薄膜へ励起光を照射した際の散乱光量(第4の散乱光量)を測定した。
第3の散乱光量,第4の散乱光量の測定を、用意したデータ収集用センサ構造体について行い、得られた結果からデータベースを作成した。
データベースを元にして第3の散乱光量と第4の散乱光量との比を求め、さらにデータ収集用センサ構造体の構成および測定系をモデル化した多層膜モデルを元に、光学計算で算出された計算電場強度を算出した。
「第3の散乱光量と第4の散乱光量との比」と「計算電場強度」との関係を、用意したデータ収集用センサ構造体について求め、これらを線で表すと、図8に示したような右下がりの直線となり、相関式 y=−0.0528x+16.671 が得られた。
なお、用意したデータ収集用センサ構造体のデータの相関具合を示す相関係数は0.6076であり、これらデータの相関性はある程度得られることが確認された。
[実施例3]
金属薄膜(本実施例では金膜)の厚さが41nm,44nm,46nm,48nm,51nmとした5種類のデータ収集用センサ構造体を用意するとともに、反応層に導入する物質として、屈折率n=1.3325を中心として上下に値が振られるような複数の物質を用意した。
5種類のデータ収集用センサ構造体の反応層に、複数の物質を順番に導入し、それぞれのデータ収集用センサ構造体において、第1の測定条件として散乱光量が最大となる入射角で励起光を照射し、この時の散乱光量(第3の散乱光量)を測定した。
さらに、第2の測定条件として、今度は散乱光量が最大となる入射角から−10度オフセットした入射角で金属薄膜へ励起光を照射した際の散乱光量(第4の散乱光量)を測定した。
第3の散乱光量,第4の散乱光量の測定を、用意したデータ収集用センサ構造体について行い、得られた結果からデータベースを作成した。
データベースを元にして第3の散乱光量と第4の散乱光量との比を求め、さらにデータ収集用センサ構造体の構成および測定系をモデル化した多層膜モデルを元に、光学計算で算出された計算電場強度を算出した。
「第3の散乱光量と第4の散乱光量との比」と「計算電場強度」との関係を、用意したデータ収集用センサ構造体について求め、これらを線で表すと、図9に示したような右下がりの直線となり、相関式 y=−0.0213x+15.946 が得られた。
なお、用意したデータ収集用センサ構造体のデータの相関具合を示す相関係数は0.3308であり、これらデータの相関性はある程度得られることが確認された。
[実施例4]
金属薄膜(本実施例では金膜)の厚さが41nm,44nm,46nm,48nm,51nmとした5種類のデータ収集用センサ構造体を用意するとともに、反応層に導入する物質として、屈折率n=1.3325を中心として上下に値が振られるような複数の物質を用意した。
5種類のデータ収集用センサ構造体の反応層に、複数の物質を順番に導入し、それぞれのデータ収集用センサ構造体において、第1の測定条件として散乱光量が最大となる入射角で励起光を照射し、この時の散乱光量(第3の散乱光量)を測定した。
さらに、第2の測定条件として、今度は散乱光量が最大となる入射角から−2度オフセットした入射角で金属薄膜へ励起光を照射した際の散乱光量(第4の散乱光量)を測定した。
第3の散乱光量,第4の散乱光量の測定を、用意したデータ収集用センサ構造体について行い、得られた結果からデータベースを作成した。
データベースを元にして第3の散乱光量と第4の散乱光量との比を求め、さらにデータ収集用センサ構造体の構成および測定系をモデル化した多層膜モデルを元に、光学計算で算出された計算電場強度を算出した。
「第3の散乱光量と第4の散乱光量との比」と「計算電場強度」との関係を、用意したデータ収集用センサ構造体について求め、これらを線で表すと、図10に示したような右下がりの直線となり、相関式 y=−0.5901x+15.694 が得られた。
なお、用意したデータ収集用センサ構造体のデータの相関具合を示す相関係数は0.1344であり、これらデータの相関性はある程度得られることが確認された。
上記実施例1〜4を比較すると、実施例1から実施例4に行くに従って、相関係数の値が下がっており、好ましい実施例の順序は実施例1から実施例4の順である。
特に実施例1では相関係数が0.8653と非常に高いため、本発明の蛍光検出方法として好適である。
100・・・表面プラズモン励起増強蛍光測定装置(SPFS装置)
102・・・誘電体部材
104・・・金属薄膜
106・・・リガンド含有層
108・・・流路
110・・・センサ構造体
112・・・励起光
114・・・光源
116・・・反射光
118・・・受光手段
120・・・蛍光
122・・・光検出手段
124・・・集光部材
126・・・波長選択機能部材
130・・・移動調整手段
132・・・移動調整手段
G・・・反応層
θa・・入射角

Claims (26)

  1. 誘電体部材と、前記誘電体部材の上面に形成された金属薄膜と、前記金属薄膜の上面に形成された反応層と、から少なくとも構成されたセンサ構造体を用い、
    前記誘電体部材側から全反射条件となる入射角で励起光を照射して前記金属薄膜上の電場を増強させ、増強した電場により前記反応層に捕捉されたアナライトを標識する蛍光物質を励起させ、この励起された蛍光物質からの蛍光量を光検出手段にて測定するようにした蛍光検出方法であって、
    第1の測定条件で励起光を照射した際に測定された第1の散乱光量と、前記第1の測定条件とは異なる第2の測定条件で励起光を照射した際に測定された第2の散乱光量と、に基づいて、
    前記第1の測定条件で励起光を照射することにより測定された蛍光量を補正することを特徴とする蛍光検出方法。
  2. 前記第1の測定条件と前記第2の測定条件とは、
    前記金属薄膜に対する励起光の入射角が異なることを特徴とする請求項1に記載の蛍光検出方法。
  3. 前記第1の測定条件は、
    前記金属薄膜へ照射した励起光の反射光量が最少となる入射角で励起光を照射することであることを特徴とする請求項2に記載の蛍光検出方法。
  4. 前記第1の測定条件は、
    前記金属薄膜へ照射した励起光の反射光量が最少となる入射角から所定角度オフセットした入射角で励起光を照射することであることを特徴とする請求項2に記載の蛍光検出方法。
  5. 前記第1の測定条件は、
    前記第1の散乱光量が最大となる入射角で励起光を照射することであることを特徴とする請求項2に記載の蛍光検出方法。
  6. 前記第1の測定条件は、
    前記第1の散乱光量が最大となる入射角から所定角度オフセットした入射角で励起光を照射することであることを特徴とする請求項2に記載の蛍光検出方法。
  7. 前記第2の測定条件は、
    前記金属薄膜へ励起光を照射したとき反射光が全反射しない入射角であることを特徴とする請求項2に記載の蛍光検出方法。
  8. 前記第2の測定条件は、
    前記金属薄膜へ励起光を照射したとき反射光が全反射する入射角であることを特徴とする請求項2に記載の蛍光検出方法。
  9. 前記反応層が流路中に形成されており、
    前記第1の測定条件と前記第2の測定条件とは、
    前記反応層が形成された流路に満たされた物質の屈折率が異なることを特徴とする請求項1に記載の蛍光検出方法。
  10. 前記第2の測定条件における前記反応層が形成された流路に満たされた物質は、
    前記第1の測定条件における前記反応層が形成された流路に満たされた物質よりも屈折率の低い物質であることを特徴とする請求項9に記載の蛍光検出方法。
  11. 前記第2の測定条件における前記反応層が形成された流路に満たされた物質は、
    前記第1の測定条件における前記反応層が形成された流路に満たされた物質よりも屈折率の高い物質であることを特徴とする請求項9に記載の蛍光検出方法。
  12. 前記第1の測定条件と前記第2の測定条件とは、
    前記第1の測定条件に対して、前記第2の測定条件が前記金属薄膜に励起光が照射される領域に対応する反応層上の部分にコーティング処理が施されていることで異なることを特徴とする請求項1に記載の蛍光検出方法。
  13. 前記コーティング処理は、ショ糖を用いて行われることを特徴とする請求項12に記載の蛍光検出方法。
  14. 前記第1の散乱光量及び前記蛍光量は、
    前記第1の測定条件で励起光を照射した際に同時に測定されることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の蛍光検出方法。
  15. 前記蛍光量を補正するための補正量は、
    前記第1の散乱光量及び前記第2の散乱光量を基に、予め設定されたデータベースを用いて求められることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の蛍光検出方法。
  16. 前記補正量は、
    前記データベースより、前記第1の散乱光量と前記第2の散乱光量との比を用いて求められることを特徴とする請求項15に記載の蛍光検出方法。
  17. 前記データベースは、
    複数のデータ収集用センサ構造体のそれぞれに対して前記第1の測定条件で励起光を照射した際に測定された第3の散乱光量と、前記第2の測定条件で励起光を照射した際に測定された第4の散乱光量と、を基に作成されていることを特徴とする請求項15または16に記載の蛍光検出方法。
  18. 前記データベースは、
    複数のデータ収集用センサ構造体のそれぞれに対して前記第1の測定条件で励起光を照射した際に測定された第3の散乱光量と、前記第2の測定条件で励起光を照射した際に測定された第4の散乱光量と、電場強度に関するデータと、の関係を基に作成されていることを特徴とする請求項15または16に記載の蛍光検出方法。
  19. 前記データベースは、
    前記第3の散乱光量と前記第4の散乱光量との関係と、前記電場強度に関するデータと、の関係を基に作成されていることを特徴とする請求項18に記載の蛍光検出方法。
  20. 前記データベースには、
    前記第3の散乱光量と前記第4の散乱光量との関係と、前記電場強度に関するデータを、前記複数のデータ収集用センサ構造体に対して収集することで導き出された相関式が保管されていることを特徴とする請求項19に記載の蛍光検出方法。
  21. 前記相関式に前記第1の散乱光量と前記第2の散乱光量を入力して補正係数を算出し、算出された前記補正係数を用いて、前記蛍光量を補正して推定蛍光量を算出することを特徴とする請求項20に記載の蛍光検出方法。
  22. 前記電場強度に関するデータは、
    電場強度の基準値に対する比であることを特徴とする請求項18〜21のいずれかに記載の蛍光検出方法。
  23. 前記電場強度に関するデータは、
    前記データ収集用センサ構造体をモデル化して測定することで算出された計算電場強度であることを特徴とする請求項18〜21のいずれかに記載の蛍光検出方法。
  24. 前記計算電場強度は、
    前記データ収集用センサ構造体の構成と蛍光量を測定する測定系とをモデル化した多層膜モデルを基に、光学計算で算出されることを特徴とする請求項23に記載の蛍光検出方法。
  25. 前記電場強度に関するデータは、
    蛍光量または蛍光量の基準値に対する比から算出されたデータであることを特徴とする請求項18〜21のいずれかに記載の蛍光検出方法。
  26. 前記電場強度に関するデータは、
    前記複数のデータ収集用センサ構造体に同量の蛍光物質を反応層に配置してそれぞれの蛍光量を実測することにより得られた蛍光量に基づくデータであることを特徴とする請求項18〜21のいずれかに記載の蛍光検出方法。
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