JP5052509B2 - アフィニティ分析法及びシステム - Google Patents

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Description

本発明は、検出面での分子結合相互作用を分析する方法に関するものであり、より詳細には、定常状態の結合データに基づいて相互作用についてのアフィニティを決定する方法であって、少なくとも部分的に自動化作業が可能な方法に関するものである。本発明は、こうした自動化されたアフィニティ評価のための手段を含む分析システム、並びに、この方法を実施するコンピュータプログラム、この方法を実施するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品、及びプログラムを含むコンピュータシステムにも関するものである。
分子、例えば生体分子の相互作用をリアルタイムで監視することのできる分析的な検出システムには、ますます注目されつつある。こうしたシステムは、光学的なバイオセンサーを利用したものであることが多く、通常、相互作用分析センサー又は生体特異的相互作用分析センサーと称されている。こうしたバイオセンサーの代表例は、Biacore社(スウェーデン、ウプサラ)から販売されているBIACORE(登録商標)計測装置であり、この製品は、サンプル中の分子と、検出面に固定された分子構造との間の相互作用を検出するにあたって、表面プラズモン共鳴(SPR)を利用する。検出面にサンプルを通過させた場合、結合の進行のしかたは、相互作用の生じる速度を直接反映する。サンプルを注入した後にバッファーを流すと、この間、検出器の応答は、表面上の複合体の解離速度を反映する。BIACORE(登録商標)システムで得られる代表的な出力は、分子同士の相互作用の進行が時間に対して描かれたグラフ、すなわち曲線であり、この曲線は、会合フェーズの部分と解離フェーズの部分とを含んでいる。この結合曲線は、通常、コンピュータ画面上に表示され、「センサーグラム」と呼ばれることが多い。
したがって、BIACORE(登録商標)システム(及び類似したセンサーシステム)を用いると、標識を用いなくても、そして往々にして関係物質の精製を行うこともなく、特定の分子(分析対象物質)のサンプル中の存否や濃度ばかりでなく、分子相互作用における結合(会合)及び解離についての速度論的速度定数などの相互作用変数、並びに表面での相互作用のアフィニティを、リアルタイムで測定することが可能となる。会合速度定数(k)と解離速度定数(k)は、サンプルの測定対象物質の各種の濃度について得られた速度論的データを、微分方程式のかたちで数学的に記述した相互作用モデルに当てはめることによって得ることができる。アフィニティ(アフィニティ定数K又は解離定数Kとして示されるアフィニティ)は、会合速度定数及び解離速度定数から計算することができる。しかし、決定的な速度論的データを得ることが困難なことも多いため、通常、アフィニティは、一連の分析対象物質の濃度について、結合相互作用の会合フェーズの終点又はその付近で到達したと仮定される平衡状態、すなわち定常状態での結合のレベルを測定する過程を含む平衡結合分析によって測定する方が信頼性が高い。結合曲線の会合フェーズが定常状態に実際に達したらしいことを確認するには、結合した測定対象物質が、アフィニティの測定に使用しようとする条件下で平衡状態に達するのに必要なサンプル注入の時間の長さ(すなわち、サンプルのセンサーチップ表面との接触時間)を前もって決定しておくのが通例である。平衡状態に達するのに要する時間と、分析対象物質が解離するのに要する時間とは、双方とも、第一義的には解離速度定数によって決まるので、おおよその注入時間は、解離定数からも推定することができる。
反応速度論敵性質及び/又はアフィニティに関してセンサーグラムを評価する前に、オペレータは、通常、品質管理を行って、機器関連の障害、例えば、液流に入り込んだ空気の泡によって生じた空気スパイクのせいで不適格となったセンサーグラムを廃棄する。
BIACORE(登録商標)及び類似した機器類によって得られた反応速度論及びアフィニティに関するデータの評価には、通常、専用のソフトウェアを利用するが、測定関連の障害、特にサンプル中に粒子が混在しているなどの理由でうまくフィッティングしない結合曲線を識別して除外する曲線のフィッティングのプロセスでは、大抵はオペレータが介入せねばならなかった。
分析を実施する際のスループットや情報密度に対する要求は、高まりつづけており、オペレータの負担も増大しつづけている。こうした動向に応じて、結合曲線の質の制御に関する自動化された手順、例えば国際公開第03/081245号に開示された手順、そして、反応速度論のデータの評価に関する自動化された手順、例えば国際公開第2005/029077号に開示された手順が開発された。
しかし、定常状態でのアフィニティデータについても、特に、相互作用についての大型のデータセット、例えばセンサーグラムが生成するようなケースについても同様の自動化された手順が依然として必要である。こうしたケースで解決せねばならない重要な問題としては、結合レベルを読みとる前に、得られた結合曲線が、少なくとも実質的に平衡状態に達していることを確認しておくことを挙げることがある。
国際公開第03/081245号パンフレット 国際公開第2005/029077号パンフレット
本発明の目的は、分子が結合する相互作用について、アフィニティを判定する過程を改善することにある。この目的は、データセット(通常は、結合曲線)中の定常状態についての結合レベルのデータ以外のデータを使用して、定常状態の結合データセットが信頼できるかどうかを推定又は判定できるという知見に基づく方法によって実現される。言い換えると、結合曲線のあるドメイン(例えば、解離フェーズ)のデータを使用して、同じ結合曲線の別のドメイン(例えば定常状態)のデータの評価を行うことに意味があるかどうかを判定できるということである。この方法は、少なくとも部分的には自動化して、定常状態の結合レベルについてのデータのうち信頼性の低いものを自動的に除外することができる。
したがって、本発明の一態様では、定常状態での結合についての測定データから、分子結合相互作用のアフィニティを判定する方法であって、
a)2種の化学(含む生化学)種が結合する相互作用について、結合について実験的に得た複数のデータセットを用意し、ここで、各データセットは、相互作用の会合フェーズと解離フェーズのそれぞれの複数の時点で測定された結合に関するデータを含み、
b)実験的に得られた結合についての複数のデータセットから、会合フェーズの終点又はその付近の所定の時点で測定した複数の結合データを、定常状態の結合データを表すものとして選択し、
c)定常状態の結合データの信頼性を、同じデータセットの他の結合データを評価することによって推定する過程を含む、各データセットの品質管理を行い、
d)過程c)で、信頼性の低い定常状態の結合データを含むものと推定された各データセットを除外し、
e)残りのデータセット中の定常状態での結合データからアフィニティを判定する
過程を含む方法を提供する。
この側面の一形態では、過程c)〜e)が、
実験的に得られた結合についての複数のデータセットから複数の定常状態以外の結合データを選択し、
複数の定常状態以外の結合データのうちどれが所定範囲内であるかを判定し、この所定範囲は、実験的結合データセットのデータの品質を表し、
最終的に残った複数の実験的結合データセットから、質のよくない実験的結合データセットを除外し、ここで質のよくない実験的結合データセットは、所定範囲外の定常状態以外の結合データを含むものとし、そして
最終的に残った複数の実験的結合データセットの定常状態の結合データからアフィニティを判定する
過程を含む。
本発明の別の態様では、上記の方法を実施するためのデータ処理手段を備えた分子間の相互作用研究用の分析システムを提供する。
本発明のさらに別の態様では、上記の方法を実施するためのプログラムコード手段を備えたコンピュータプログラムを提供する。
本発明のさらに別の態様では、上記の方法を実施するためのプログラムコード手段であって、コンピュータで読み出し可能な媒体に蓄積されるか、電気又は光学的信号に担持されているプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品を提供する。
本発明のさらに別の態様では、上記の方法を実施するためのプログラムコード手段を備えたコンピュータプログラムを搭載したコンピュータシステム提供する。
本発明をより完全に理解し、本発明のさらなる特徴や利点を理解するうえでは、以下の詳細な説明と図面を参照されたい。
特記しないかぎり、本明細書で使用する技術及び科学用語は、いずれも、本発明に関係する領域の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有するものである。また、定冠詞、不定冠詞を用いて単数で記載した場合も、特記しないかぎり、複数に関しての言及を含有するものである。
刊行物、特許出願、特許を始めとする参考文献は、すべて、この明細書で言及することをもって、その全体を本明細書に組み込むものである。
上述したように、本発明は、分子同士が結合する相互作用についての複数のデータセットのうち、分子結合相互作用の定常状態についての結合データを評価して、この相互作用のアフィニティを判定する過程に関するものであり、この過程では、データセットの、定常状態についての結合データ以外の他の相互作用のデータを使用して、定常状態についての結合データの信頼性を推定する。実験で得られた結合データは、通常、分子間の相互作用を調べるセンサーを主に用いた技術によって得られ、こうした技術では、分子間の相互作用を調べて、結果を、相互作用の進行と同時にリアルタイムで提示する。しかし、本発明を、さらに詳細に説明する前に、本発明を使用することになる一般的な文脈について説明する。
化学センサー又はバイオセンサーは、通常、センサーの表面の特性、例えば質量、屈折率、固定層の厚さの変化を検出し、標識を用いない方法に基づいている。しかし、センサーによっては、標識に依拠したものもある。代表的なセンサー検出法としては、質量検出法、例えば光学、熱―光学、及び圧電、又は音響波法(例えば、表面弾性波(SAW)及び水晶振動子マイクロバランス(QCM)法)及び電気化学的な方法、例えば、電位差測定、伝導度測定、電流測定、及び静電容量/インピーダンス法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。光学的な検出方法に関しては、代表的な方法として、質量表面濃度を検出する方法、例えば、角度、波長、偏向、又は位相に関して分解する外部反射法と内部反射法の双方を含む反射を利用した測定法を挙げることができ、こうした方法の例としては、エバネッセント波偏光解析及びエバネッセント波分光法(EWS、又は内部反射分光分析)(これらはいずれも、表面プラズモン共鳴(SPR)を介したエバネッセントフィールド増強を含むことができる)、ブリュースター角屈折率測定法、臨界角屈折率測定法、減衰全反射(FTR)、散乱内部全反射(STIR)(散乱増強標識を含み得る)、光学導波センサー、外部反射撮影、エバネッセント波に基づく撮影、例えば臨界角分解撮影、ブリュースター角分解撮影、SPR角分解撮影などを挙げることができる。また、例えば表面増強ラマン分光法(SERS)、表面増強共鳴ラマン分光法(SERRS)、エバネッセント波蛍光分光法(TIRF)、及びリン光に基づいた測光法及び撮影/顕微鏡撮影法それ自体、又は、それらと反射法との組み合わせを挙げることができ、また、導波干渉計、導波漏洩モード分光法、反射干渉分光法、透過干渉法、ホログラフィ分光法、原子間力顕微鏡法(AFR)を挙げることができる。
市販のバイオセンサーとしては、表面プラズモン共鳴(SPR)を利用した機器で、表面に結合したリガンドと目的とする分析対象物質との間の表面での結合相互作用をリアルタイムで監視し得る上述のBiacore社(スウェーデン、ウプサラ)が製造・販売しているBIACOREシステムの機器を挙げることができる。この文脈では、「リガンド」は、所定の分析対象物質に対する既知又は未知のアフィニティ分子のことであり、例えば、表面に固定した任意の捕捉用物質を挙げることができる。一方、「分析対象物質」としては、このリガンドに対する任意の特異的な結合相手物質を挙げることができる。
発明の詳細な説明と、それに引き続く実施例では、本発明を、SPR分光法の文脈、より詳細には、BIACORE(登録商標)システムに関して例示するが、本発明は、この検出方法に限定されるものではないと理解されたい。分析対象物質を、検出面に固定したリガンドに結合させるアフィニティを利用した検出法であれば、検出面に固定したリガンドへの分析対象物質の結合を定量的に示唆する検出面の変化を測定できる方法であるかぎり、任意の方法を用いることができる。
表面プラズモン共鳴(SPR)現象は周知であり、SPRは、光が、特定の条件で、屈折率の異なる2つの媒質の界面で反射され、この界面が金属フィルム、通常は銀又は金で被覆されている場合に生じると記載すれば十分である。Biacore社の機器では、これらの媒質は、サンプルと、センサーチップのガラスであり、このセンサーチップは、マイクロ流体フローシステムによってサンプルと接触する。金属フィルムは、チップの表面に設けられた金の薄層である。特定の反射角では、反射光の強度がSPRによって低減する。この反射光の強度が最小となる角度は、反射光とは逆の側、つまりBIACORE(登録商標)システムではサンプルの側の表面付近の屈折率によって変化する。
BIACORE(登録商標)システムの模式図を図1に示す。センサーチップ1には、金フィルム2が設けられ、この金フィルム2が、捕捉用分子(リガンド)3,例えば抗体を担持している。捕捉用分子(リガンド)3は、フローチャネル5を通って流れる、検出対象物質4、例えば抗原を含むサンプルの流れと接している。光源7(LED)から発せられたp偏向した単色光6が、プリズム8によって、ガラス/金属インタフェース9にカップリングされ、ここで、光が全反射する。反射光ビーム10の強度は、光学的検出ユニット11(光検出器アレイ)で検出される。
BIACORE(登録商標)の機器の技術的側面と、SPR現象については、米国特許第5313264号に詳述されている。バイオセンサーの検出面に設けるマトリクス皮膜については、例えば、米国特許第5242828号及び同第5436161号にさらに詳述されている。また、BIACORE(登録商標)の機器とともに使用するバイオセンサーチップの技術的側面については、米国特許第5492840号に詳述されている。
サンプル中の分子が、センサーチップ表面上の捕捉用分子と結合すると、表面の濃度、したがって屈折率が変化し、SPRの応答が検出される。この応答を、相互作用の時間に対してプロットすると、相互作用の進行についての定量的な測定結果が得られる。こうしたプロット、すなわち反応速度論的曲線又は結合曲線(結合等温線)は、通常センサーグラムと呼ばれ、当技術分野では、場合によっては、「アフィニティの軌跡」又は「アフィノグラム」と呼ばれることもある。BIACORE(登録商標)のシステムでは、SPRの応答値は、共鳴単位(RU)で表される。1RUは、反射光の強度が最小となる角度の0.0001°の変化を表し、この変化は、大抵のタンパク質を始めとする各種の生体分子では、センサー表面濃度の約1pg/mmの変化に対応する。分析対象物質を含むサンプルがセンサー表面と接触すると、センサー表面に結合した捕捉用分子(リガンド)が、「会合」と称される過程で、分析対象物質と相互作用する。この過程は、センサーグラムでは、サンプルがまずセンサー表面と接触するにつれて、RUの増加によって示される。逆に、「解離」は、通常、サンプルの流れが、例えばバッファーの流れに置き換わったときに生じる。この過程は、センサーグラムでは、分析対象物質が表面に結合したリガンドから解離するにつれて、時間とともにRUが降下することによって示される。
センサーチップ表面での可逆的な相互作用についての代表的なセンサーグラム(結合曲線)を図2に示す。検出面には、捕捉用分子、すなわちリガンド、例えば抗体が固定され、サンプル中の結合相手分子、すなわち分析対象物質と相互作用するようになっている。上述のような他の検出原理に基づくバイオセンサーシステムによって生成された結合曲線も、類似した形状をもつはずである。縦軸(Y軸)は、応答(ここでは共鳴単位RU)を示し、横軸(X軸)は、時間(ここでは秒)を示す。まず、検出面上にバッファーを通過させて、センサーグラムのベースラインの応答Aを得る。サンプルの注入中は、分析対象物質の結合に起因する信号の増大が観察される。結合曲線のこのB部分は、通常、「会合フェーズ」と呼ばれる。その結果、会合フェーズの終点又はその付近で定常状態条件に達し、Cに示す共鳴信号のプラトーに達する(しかし、この状態は実現されるとは限らない)。なお、「定常状態」という用語は、本発明では、「平衡」と同義で使用する(別の文脈では「平衡」は、理想的な相互作用のモデルについて記載するために留保しておく必要があることもある。これは、実際の局面では、システムが平衡状態にないにもかかわらず、結合が経時的に一定の状態にあることがあるからである。)サンプル注入を終えた時点で、サンプルに変えて、バッファーを連続的に流すと、信号が低減し、この低減は、分析対象物質の表面からの解離、すなわち放出を反映したものである。すなわち.結合曲線のこのD部分は、通常、「解離フェーズ」と呼ばれる。分析は、結合した分析対象物質を表面から取り除くことができ、しかも(理想的には)リガンドの活性を保持する溶液をセンサー表面に注入する再生の過程で終える。この過程は、センサーグラムのE部分に示されている。バッファーを注入すると、ベースラインAが戻り、表面は、新たな分析を行うことが可能な状態に復帰する。
会合フェーズB及び解離フェーズDのそれぞれのプロファイルから、結合及び解離の反応速度論的性質に関する情報が得られ、Cでの共鳴信号の強さが、アフィニティ(表面の質量濃度の変化に関連した相互作用の結果生じる応答)を表している.以下では、このことを、さらに詳しく説明する。
表面結合速度
反応対象物質Aと、表面に結合させた(固定した)捕捉用分子、すなわちBの間の可逆反応であって、拡散でも質量移動でもないものは、次式の疑似一次反応速度論に限定され、これに従うと仮定する。
A+B⇔AB
この相互作用モデル(通常ラングミュアモデルと称される)では、分析対象物質(A)が一価かつ均質であり、リガンド(B)が均質であり、すべての結合イベントが独立に生じると仮定しており、実際、大半のケースにあてはまる。
分析対象物質Aを注入する間の分析対象物質Aの表面濃度の変化速度(=形成された複合体ABの濃度の変化速度)は、分析対象物質Aの流入速度と流出速度の和である。
(式中の[A]は、分析対象物質Aの濃度、[B]リガンドBの濃度、[AB]は、反応複合体ABの濃度、kは会合速度定数、kは解離速度定数である。)
時間tの経過後、表面での未結合リガンドBの濃度は、[B]−[AB]となる(式中の[B]は、リガンドBの合計又は最大濃度である)。これを式(1)に代入すると、下記の式が得られる。
検出器の応答単位(ABが検出される)に勘案すると、この式は、下記の式として表すことができる。
(ここで、式中のRは、時間tの時点での応答(共鳴単位(RU))であり、Cは、溶液中の遊離分析対象物質(A)の初期又はバルク濃度であり、Rmaxは、分析対象物質(A)が表面上のすべてのリガンド(B)に結合した場合に得られる応答(共鳴単位(RU))である。)式(3)を整理すると、下記の式が得られる。
(ここで式中のRは、応答(共鳴単位(RU))である)。積分すると下記の式が得られる。
とk の計算
ここで、式(4)によると、dR/dtを、結合した分析対象物質の濃度Rに対してプロットすると、勾配は-(kC+k)となり、縦軸切片は、kmaxCとなる。バルク濃度Cが既知で、(例えば、表面を、大幅に過剰の分析対象物質で飽和させることによって)Rmaxが決定ずみであれば、会合速度定数kと解離速度定数kを計算で求めることができる。しかし、もっと簡便なのは、積分関数(5)のフィッティング、又は微分方程式式(4)の数値計算及びフィッティングを、好ましくは、コンピュータプログラムを用いて行うという方法である。
は、以下の方法によって決定することもできる。すなわち、解離速度は、下記式で表すことができ、
これを積分すると下記の式が得られ、
ここで式中のRは、解離フェーズ当初、バッファーによる表面の洗浄開始時点での応答である。
式(6)を線形化すると下記の式がえられ、
ln[R/R]をtに対してプロットすることで、勾配が−kの直線が得られる。しかし、より簡便な方法としては、会合速度定数kは、指数速度方程式(7)をフィッティングすることによって決定するができる。
信頼性の高い反応速度定数を得るためには、通常、上述の分析を、幾つもの異なる分析対象物質濃度について繰り返し、また、少なくとも1種の異なるセンサー表面リガンド濃度でも、上述の分析を繰り返すのが適切である。
アフィニティの計算
アフィニティは、会合定数K=k/k又は、解離定数(平衡状態定数とも称する)K=k/kによって表される。
会合定数Kは、式(3)からも決定することができ、平衡状態でdR/dt=0の場合には、この式は、下記の式となる。
ここで式中のReqは、平衡状態での検出器の応答である。k/k=Kであるので、これを式(9)に代入して整理すると、下記の式がえられる。
結合反応を複数の濃度で実施する場合には、Kは、データを、非線形の曲線フィッティングによって得ることができる。また、例えば、反応速度論のデータの信頼性が低かったり、会合及び解離が正確な測定を行うには迅速に進みすぎたりした場合には、Req/Cを、Reqに対してプロットすることができ、そうすると、勾配は−Kとなる(スキャッチャードプロット)。
式(10)を整理すると下記の式が得られる。
式(11)にK=1/Kを挿入すると、下記の式がえられる。
式(12)は、通常、変形して下記の式とする。
(式中の「Offset」は、システム全体の屈折率の誤差によるベースラインの平衡移動についての補償因子である。)
式(11)及び(12)は、分析対象物質の分子1つによって、平均で幾つの結合部位がブロックされるのかを記述した立体干渉因子nを導入することによって、修正することができる。
ソフトウェア援用分析
反応速度論及びアフィニティに関するデータを分析するソフトウェアは、市販されている。したがって、例えば、BIACORE(登録商標)の機器によって生成した反応速度論及びアフィニティに関するデータの評価は、通常、専用のBIAevaluationソフトウェア(Biacore社(スウェーデン、ウプサラ)製)で行い、その際には、残差の平方の和を減らして最小とする最も近接したフィットを与える可変変数についての値を見いだすことによって、数値積分法を使用して、微分速度方程式と、非線形回帰を計算して、反応速度論及びアフィニティの変数をフィッティングする。「残差(residual)」は、各地点での計算上の曲線と実験で得られた曲線の差で、残差の平方は、実験で得られた曲線の上下に、偏差を等しく重みづけするために使用される。残差の平方の和は、式(16)で表される。
(式中のSは、残差の平方の和であり、rは、所定の地点でフィッティングを行った値であり、rは、同じ地点での実験で得られた値である。)
例えば、以上に記載した分子の相互作用については、こうしたソフトウェア援用データ分析を、背景ノイズを差し引いた後に実施し、上記の式(5)及び(7)で表される上述の単純な1:1のラングミュア結合モデルを測定データにフィッティングしようとするものである。
通常、結合モデルは、異なる分析対象物質の濃度C(及び/又は異なるレベルの方面誘導Rmax)で得られた複数の結合カーブに同時にフィッティングされる。この方法は、「グローバルフィッティング」と呼ばれ、センサーグラムのデータに基づいて、このグローバルフィッティングは、単一のグローバルk又はkがすべてのデータに良好なフィッティングを示すかどうかを決定する。終了したフィッティングの結果を、オペレータに対してグラフィカルに提示し、もともとのセンサーグラムの曲線上に、フィッティングした曲線を重ねて示す。フィッティングの近接性は、カイ2乗(χ)値(以下では、「カイ2乗」と称する)でも示し、このカイ2乗(χ)は、標準的な統計学的値である。良好なフィッティングのためには、カイ二乗の値は、RUのノイズと同程度とする。必要に応じて、実験で得られたデータが、フィッティングした曲線からどのように逸脱しているかをグラフィカルに示す「残差のプロット」萌えられる。その後、オペレータは、フィッティングが十分良好であるかどうかについて判断する。十分良好でない場合には、最も不良なフィッティングを示す単一又は複数のセンサーグラムを除外し、除外後のセンサーグラムのセットでフィッティングの過程を再度実施する。良好なフィッティングが得られるまで、この過程を繰り返す。
測定した定常状態での結合レベルから、BIAevaluationソフトウェアを使用してアフィニティ定数を判定する過程は、以下の、
(i)曲線の定常状態領域に位置するセンサーグラムの報告地点から、定常状態の結合レベル(Req)を得、
(ii)ReqをCに対してプロットし、そして、
(iii)このプロットを、一般的な「定常状態のアフィニティ」適合モデル(例えば、式(13又は14)にフィッティングして、K/K及びRmaxを得る
過程を含むものである。
本発明
上述したように、本発明は、結合について測定した複数の定常状態の結合データから、分子結合相互作用のアフィニティ(K又はK)を判定する方法に関するものであり、この方法は、自動化して、複数の異なる相互作用について実験的に得られた結合についてのデータセットを集め、オペレータの最小限の労力で、異なる分析対象物質のそれぞれのアフィニティを判定することができる。「データセット」という用語は、本明細書で使用する場合には、結合曲線、例えばセンサーグラムを表すデータのことをいう。データセットの「バッチ」という用語は、本明細書で使用する場合には、2つ以上のデータセットを含むものである。
こうした自動化されたアフィニティ評価の過程で必要なのは、信頼性の低い定常状態のデータを自動的に除外することであり、すなわち、例えば、結合レベルのデータを読みとったときに結合相互作用が実質的に平衡状態に達していなかったり、結合曲線の定常状態部分に何か別の点で問題があったりするデータを除外するということである。
定常状態の結合データは、通常、会合フェーズの終了時点又はその付近の報告地点で読みとりを行う。こうした「報告地点」は、実際には、通常5秒程度のごく短い区間のことで、この区間について検出された応答値を平均する。結合曲線のこの段階で、平衡状態に達していたかどうかを判定するには、この結合曲線領域の勾配(平衡状態であれば平坦なはずである)を調べることで十分なはずである。しかし、報告地点は短い区間なので、検出ノイズのために、平衡状態に達した結合曲線であっても、大抵は、報告地点で勾配を生じてしまう。報告地点の区間を広げても、状況が有意に改善されるわけではない。
本発明では、結合曲線の定常状態のデータの信頼性を、結合曲線の他の部分、すなわちドメインから得られた結合データに基づいて推定する。こうした結合データからは、各種の「信頼性インジケータ」が推定可能である。
こうした信頼性インジケータの例としては、まず、解離速度を挙げることができ、この解離速度は、使用した実験条件で、会合フェーズにおいて相互作用が平衡状態に達したかどうかを判定する際に使用することができる。(平衡状態に実質的に達したと考えるためには、平衡状態の検出区間の曲線勾配が、通常は、約1%/秒未満、好ましくは、約1‰/秒(約30RUのRmaxについて約0.03RU/秒)未満である)。つまり、解離速度が低すぎる場合には、サンプルの検知面との接触時間が平衡状態に達すには不十分だった可能性がある。より詳細には、サンプルが流体の流れとして検知面を通過するBIACORE(登録商標)並びに類似したシステムでは、各サンプルの注入時間の長さ(つまり、サンプルの検知面との接触時間)について、解離速度の限界(この限界は、会合速度とは実質的に独立している)が存在し、その限界より下では、定常状態の分析で、アフィニティ(K又はK)を信頼性をもって計算することができないことを見いだした。この解離速度の限界は、経験的に、例えば、実際の試験又は後述するコンピュータシミュレーションによって決定することが好ましい。
図3に、アフィニティについての曲線フィッティングの誤差を、異なる注入長さでログ(解離速度)対ログ(会合速度)マップにプロットした12種の異なる図(プロット)を示す。これらの図は、MATLAB(登録商標)6.5(MathWorks社製(米国マサチューセッツ州ナティック))によって、(1)各種のRmaxでの、約k=10〜10及びk=10−1〜10−4についての一連の濃度でのセンサーグラムについて、(上述の式5とランダムノイズを使用して)シミュレーションし、(2)各センサーグラムから、報告地点を取り出し、(3)報告地点の値を、定常状態のアフィニティモデルにフィッティングし(上述の式12及び非線形回帰)、そして(4)k−kマップでのアフィニティについての曲線フィッティングの誤差をプロットすることによって得たものである。この手順を、12種の異なる注入長さに対して繰り返した。
各プロットで、右側の濃食の領域は、フィッティングしたKで誤差が比較的少なかったことを示し、左側の淡色の領域は、フィッティングしたKで誤差が比較的大きかったことを示し、これらの2領域は、比較的細い灰色の境界領域によって隔てられている。各プロット情報の「injlen 20s」などは、それぞれの注入長さ(injection length)を示す。
プロットからわかるように、各注入長さについて、Kを計算できるかどうかの限界となる解離速度が存在する。これもプロットからわかるように、このことは、会合速度が高い場合には、必ずしもあてはまらない。しかし、シミュレーションは、質量輸送の制限のない1:1のモデルで行ったものであることに注意されたい。質量輸送の制限がある場合、平衡状態に達するのに要する時間は、高い会合速度では長くなることがわかるはずである。
各プロットの経験的な値に基づいて、各種のKについて、数式(具体的には多項式)を用いて最低解離速度を計算することができる。
解離速度を判定するための結合データは、通常、解離フェーズから取り出されるが、会合フェーズから取り出しても、また、結合曲線の両方のドメインから取り出してもよい。平衡状態に達していそうもないセンサーグラムを(ソフトウェアによって)自動的に除外するには、注入長さによって決まる解離速度の限界を設定し、推定解離速度が、用いた注入長さについての設定値より低いセンサーグラムを、アフィニティの計算に使用するデータセットから自動的に除外すればよい。
結合曲線の、報告地点の区間とは異なる特定のドメインから基本的に判定することができる第二の信頼性のインジケータとしては、センサーグラムの最後の部分、例えば、会合フェーズの最後の30秒間を挙げることができる。この曲線部分(報告地点の区間を含む部分)の勾配が下向き(負)である場合には、何かがうまくいっていおらず、そのセンサーグラムは、アフィニティの判定に用いるセンサーグラムから除外すべきであることのインジケータとなる。
必要に応じて、信頼性についての他のインジケータも、上述の2種のインジケータと組み合わせて使用することができる。こうした他の信頼性のインジケータは、(例えば、上述の信頼性要因のように)単一の曲線に関するものであっても、(例えば、一連の濃度でのセンサーグラムのように)複数の曲線に関するものであってもよく、例えば、以下の1以上を含むことができる。
・ノイズレベルより高い信号(報告地点)を持つ曲線の数が少なすぎる
・グラフの信号(報告地点)対濃度の比が一定のトーンでない
・最高の信号と最低の信号との差が不十分
・濃度の幅が狭すぎる
・分析に用いることのできる曲線の数が少なすぎる。
データセットのうち信頼性の低いバッチを除外した後、「アフィニティモデル」を、それ自体は当技術分野で公知のように、すべての適格とされたバッチにフィッティングする。
好ましくは、フィッティングの質、アフィニティの計算値の信頼性、そして必要に応じて他の品質についての測定値を、アフィニティ評価の結果をオペレータに提示する前に計算する。
ソフトウェアを援用した評価についてのフローチャートの例を、図4に示す。このフローチャートは、広く一般に適用可能と考えるが、以下では、フローチャートを、BIACORE(登録商標)システム(例えば、BIACORE(登録商標)T100システム、又はBIACORE A100システム)とともに使用する場合について説明する。ユーザーは、複数(例えば、約30〜200)の分析対象物質とリガンドの相互作用について、かなり多数のセンサーグラム(例えば、24時間あたり約300〜2000)を生成したものと想定している(上述したように、本明細書では、「リガンド」は、センサー表面に固定された分析対象物質に対して特異的な相互作用物質のことである)。分析対象物質とリガンドの各ペアについて、異なる分析対象物質濃度を使用しながら、測定を実施しており、こうした一連の濃度で得た複数のセンサーグラムのことを、以下では、センサーグラムの「バッチ」という。アフィニティ検定のパフォーマンスが最適となるのは、分析対象物質の濃度として少なくとも6種類、例えば10種類を含む一連の濃度を用い、これらすべての濃度で平衡状態に達し、最高濃度では、Rmaxで平衡状態に達し、最低濃度Reqが、0.2×Rmaxより低い場合である。(或いは、単一のリガンド密度と、数種の異なる分析対象物質濃度を使用するかわりに、固定リガンドの密度(表面濃度)が異なる幾つかの表面領域と、単一の分析対象物質濃度とを使用することもできる。)
アフィニティについて評価する前に、結合データは、すでに、基準に関して減算され、バルク効果に関して補正され、曲線の品質管理、例えば、上述の国際公開第03/081245号に記載されたようにして、スパイクやニックの入ったセンサーグラムについては自動的に除去するなどの処理が行われているものと想定する。手動での一般的な検定の品質管理も利用し、その際には、オペレータに、対照の判断、キャリーオーバー、レファレンスへのまとめなどを行えるよう、報告地点のプロットをオペレータに提示することが好ましい。
第1の過程401では、ソフトウェアは、ユーザーに対して、分析を行った分析対象物質と固定されたリガンド(「スポット」)を提示し、そしてユーザーは、分析対象とするデータセット、すなわちセンサーグラムのバッチを選択する。
第2の過程402では、ソフトウェアは、それぞれの分析対象物質/リガンドの組み合わせに対してアフィニティ分析用のデータを切り出し、ベースライン、会合フェーズ、及び解離フェーズについては、流速と「注入停止(injection stop)」のイベントによって定義することによって、分析用のデータを準備する。報告ポイントの「結合遅延(binding late)」を、アフィニティの判定に使用し、センサーグラムのデータを、品質管理に使用する。
第3の過程403では、ソフトウェアは、個々のセンサーグラム並びにバッチ全体について、各種の信頼性インジケータをもとに予め定義した「ルール」の第1セットを適用することによって、各バッチについて、用意したデータについての第1の品質管理を実行する。以下の2つのルールが、定常状態の結合データについて評価するうえで特に有用である。
(1a)会合フェーズが負の勾配をもつすべての曲線の除外。
(1b)各曲線について、解離速度の推定と、この推定値の、使用した注入長さに対して予め設定した限界(この限界は、上述したようにして定義することができる)との比較を行う。その結果、単一の曲線、又は(通常は)バッチ全体が除外され、或いは、後述のように、バッチに「ペナルティ」が加えられる。
解離速度の判定は、通常、(i)解離フェーズを切り出し、(ii)解離速度をフィッティングし、フィッティングがうまくいけば、(iii)得られた解離速度が、予め設定した許容範囲内であるかどうかを判定することによって行われる。許容範囲でない場合には、曲線を含むバッチに、ペナルティが加えられる。
第一のルールセットは、さらに、下記のものを含むこともできる。
(1c)ノイズレベルより高い信号(報告地点での結合遅延(binding late))を持つ曲線の数が少なすぎるバッチは、ペナルティを与える。
(1d)グラフの信号(報告地点での結合遅延)が、一定のトーンでない場合には、バッチにペナルティを与える。
(1e)最高の信号と最低の信号との差が不十分な場合には、バッチにペナルティを与える。
(1f)濃度の幅が狭すぎる場合には、バッチにペナルティを与える。
(1g)分析に用いることのできる曲線の数が少なすぎる場合には、バッチにペナルティを与える。
例えば、以下の4つのバッチペナルティレベルを使用することができる。
3−バッチの除外を要請
2−ユーザーの点検を要請
1−疑いあり
0−問題点非検出。
ペナルティのないバッチ、又はペナルティが1のバッチは、そのまま分析に使用することができる。バッチが、いずれかの点についてペナルティが3であるか、バッチの全ペナルティの合計が5以上である場合には、バッチを自動的に除外する。ペナルティの合計が2、3、又は4である場合には、ユーザーによる点検を要請する印をつける。
第4の過程404では、ソフトウェアが、適格とされたバッチのすべてに対して、上述の非線形回帰によって、アフィニティモデル(例えば、上述の「1:1+Offset」モデル)をフィッティングする。
第5の過程405では、クロス確認、好ましくは、「一点除外(leave-one out)クロス確認」(例えば、Wold S., Technometrics, 20 (1978) 397-406参照)を実施して、(i)線外値が含まれているかどうかを検討し、(ii)計算されたパラメータの可変性についての推定値を得る(χ,標準偏差)
バッチ中の1曲線を除去したことによってχ2が、有意に改善されるなら(略99%の信頼レベル)、過程405aで、その曲線を除去する。曲線1つのみを、各バッチから除去すればよい。1以上の線外値が存在する場合には、バッチに、ペナルティを与える。曲線を過程405aで除去する場合、第3の過程403の第1セットのルールを、過程405bで再度評価し、アフィニティモデルを、過程405cのデータに再度フィッティングし、過程405dで、クロス確認を再度計算するが、曲線の除去は行わない。
第6の過程406では、過程405又は405cで得られたデータに、第2のルールセットを適用する。このルールは、以下のものを含むことができる。
(2a)過程405又は405cのクロス確認で計算されたKの標準偏差が大きすぎる場合、バッチにペナルティを与える。
(2b)過程405又は405cのクロス確認で計算されたKの標準偏差が大きすぎ、χ2が大きすぎる場合、バッチにペナルティを与える。
過程406では、第3のルールセットを適用して、得られた変数が、妥当な値かどうかを調べることができる。このルールは、以下のものを含むことができる。
(3a)過程404で得られたRmaxが、バッチで最も高い信号より大幅に高い場合は、バッチにペナルティを与える。
(3b)過程404で得られたオフセット項が、ノイズレベル及び平均信号レベルと比べて大きい場合には、バッチにペナルティを与える。
第7の過程では、各バッチについてのすべてのペナルティを集め、上述と同じペナルティ規準に基づいて、バッチに、除外、点検、又は適格の等級をつける。すべてのバッチについては、除外するべく等級をつけたバッチは、すべて除外し、点検するべく等級づけたバッチは、明瞭に印をつける。適格としたバッチは、適格の操作を行う。
第8の過程408では、曲線のバッチを、ユーザーに提示する。過程408aでは、ユーザーは、必要に応じて、それまでに除外した1以上のバッチを戻すことによってバッチを修正することもできる。また、ユーザーは、曲線をバッチに取り込んだりバッチから除去したりして、フィッティング過程の初期値を変化させることができる。こうしたバッチの修正を行った場合には、過程408bで、修正バッチに、アフィニティモデルを再度フィッティングする。
第9の過程409では、最終的な結果を表示し、ユーザーは、アフィニティの評価を「終了及びロック」することができる。
本発明は、コンピュータプログラム、特に、本発明の方法を実施するのに適した、キャリア上又はキャリア内のコンピュータプログラムにも関するものである。キャリアは、プログラムを担持し得る任意の実体又は装置とすることができる。例えば、キャリアは、記憶媒体、例えばROM、CD ROM、DVD、又は半導体ROM、又は磁気記録媒体、例えばフロッピー(登録商標)ディスク又はハードディスクとすることができる。キャリアは、移動可能なキャリア、例えば、電気又は光学的ケーブルを経由して、或いはラジオ又は他の手段によって搬送が可能な電気又は光学的信号とすることもできる。また、キャリアは、プログラムの組み込まれた集積回路とすることもできる。コンピュータシステムとともの使用するのに適した情報を蓄積することができる任意の既知又は新規開発された媒体を使用することができる。
本発明は、上述した本発明の特定の形態によって限定されるものではなく、発明の範囲は、添付した請求の範囲によって確定されるものと理解されたい。
この図は、表面プラズモン共鳴(SPR)に基づいたバイオセンサーシステムの模式図である。 この図は、代表的なセンサーグラムで、結合曲線が、明瞭な会合フェーズと解離フェーズを備えている。 この図には、アフィニティについての曲線のフィッティングのエラーを、サンプル注入時間を変えたそれぞれの場合について、ログ(解離速度定数)対ログ(会合速度定数)マップにプロットした12枚の異なる図を示す。 この図は、本発明のアフィニティ判定の一形態を示すフローチャートである。
符号の説明
1…センサーチップ
2…金フィルム
3…捕捉用分子(リガンド)3
4…検出対象物質
5…フローチャネル
6…単色光
7…光源
8…プリズム
9…ガラス/金属インタフェース
10…反射光ビーム
11…光学的検出ユニット

Claims (15)

  1. 分子結合相互作用に関するアフィニティを判定する方法であって、
    a)2種の化学種間の結合相互作用を測定して、結合相互作用に関する複数の実験結合データセットであって、各データセットが相互作用の会合フェーズと解離フェーズの間の複数の時点で測定した結合データを含む複数の実験結合データセットを得る工程と、
    自動化手段によって、
    b)複数の実験結合データセットから、会合フェーズの終点又はその付近の所定の時点で測定した複数の結合データを、定常状態の結合データを表すものとして選択する工程と、
    c)各データセットを品質管理に付す工程であって、定常状態の結合データの信頼性を同じデータセットの他の結合データを評価することによって推定することを含む工程と、
    d)工程c)で信頼性の低い定常状態の結合データを含むと推定された各データセットを除外する工程と、
    e)残りのデータセット中の定常状態での結合データからアフィニティを判定する工程と、
    f)工程e)の結果をユーザに提示する工程と
    を含む方法。
  2. 工程c)〜e)が、
    複数の実験結合データセットから複数の定常状態以外の結合データを選択し、
    複数の定常状態以外の結合データのうちどれが所定範囲内であるかを判定し、この所定範囲は、実験結合データセットのデータの品質を表し、
    複数の実験結合データセットから、定常状態以外の結合データが所定範囲外にある質のよくない実験結合データセットを除外し、
    残りの複数の実験結合データセットの定常状態の結合データからアフィニティを判定する
    工程を含む、請求項1記載の方法。
  3. 相互作用する化学種の一方が、固相担体上に固定され、もう一方の化学種が溶液中に存在している、請求項1又は請求項2記載の方法。
  4. 請求項1記載の工程c)が、少なくとも1種の信頼性インジケータを推定する工程を含む、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
  5. 上記の少なくとも1種の信頼性インジケータが解離速度であり、所定値より低い解離速度が定常状態の結合データの信頼性が低いことを示す、請求項4記載の方法。
  6. 上記の解離速度の所定値を、相互作用が実質的に定常状態に達するための会合フェーズの時間の長さと最低解離速度との予め樹立された関係から判定する、請求項5記載の方法。
  7. 相互作用が実質的に定常状態に達するための会合フェーズの時間の長さと最低解離速度との関係が、コンピュータでシミュレーションした相互作用データを含めた経験的相互作用データに基づいている、請求項6記載の方法。
  8. 解離速度を解離フェーズの結合データから推定する、請求項5乃至請求項7のいずれか1項記載の方法。
  9. 上記の少なくとも1種の信頼性のインジケータが会合フェーズの結合データによって表される結合曲線の勾配であり、負の勾配の存在が定常状態の結合データの信頼性が低いことを示す、請求項4乃至請求項8のいずれか1項記載の方法。
  10. アフィニティの判定が定常状態のアフィニティモデルをフィッティングする工程を含む、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の方法。
  11. 複数のデータセットが上記化学種の溶液中の幾つかの異なる濃度についての結合データを含む、請求項3乃至請求項7のいずれか1項記載の方法。
  12. 定常状態のアフィニティモデルに対するフィッティングの質について判定する工程を含む、請求項10又は請求項11記載の方法。
  13. 実験結合データをバイオセンサーで判定する、請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の方法。
  14. (i)少なくとも1つの検知面と、上記の少なくとも1つの検知面での分子結合相互作用を検出するための検出手段と、結合相互作用の経時的進行をそれぞれ表す結合曲線を複数含む検出データを生成する手段を備えたセンサー装置と、
    (ii)請求項1乃至請求項13のいずれか1項で定義された請求項1記載の工程a)〜e)を実施するデータ処理手段と
    を含む分子結合相互作用を検出するための分析システム。
  15. 第1の化学種と第2の化学種の間の分子結合相互作用についてのアフィニティを判定する方法であって、
    第2の化学種を固定した固相担持面を用意し、
    第1の化学種を含む流体を、所定の接触時間にわたって固相担持面と接触させ、
    第1の化学種の表面との会合について判定して、会合についてのデータを得、
    固相担持面を、第1の化学種を含まない流体と接触させ、表面からの解離について判定して解離についてのデータを得、
    平衡状態に達するための接触時間と最低解離速度との間の所定の関係に基づいて、解離についてのデータから、所定の接触時間内に相互作用が平衡状態に実質的に到達したかどうかを推定し、
    平衡状態に実質的に到達している場合には、会合についてのデータを相互作用のアフィニティ値の判定に使用する
    アフィニティ判定方法。
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