JPWO2012081081A1 - エンジンの冷却装置 - Google Patents
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Abstract
冷却装置1AはW/J501、502が設けられているエンジン50のシリンダブロック51、シリンダヘッド52を備える。第1のW/J501は、シリンダブロック51のうち、排気側の部分に冷却水を流通させる。また、シリンダヘッド52のうち、点火プラグ54周辺の所定の領域を含め、排気側の部分に冷却水を流通させる。第2のW/J502は、第1のW/J501が組み込まれる第1の循環経路C1とは異なる第2の循環経路C2に組み込まれている。第2のW/J502は、シリンダブロック51のうち、吸気側の部分に冷却水を流通させる。また、シリンダヘッド52のうち、吸気側の部分に冷却水を流通させる。
Description
本発明はエンジンの冷却装置に関する。
エンジンでは一般に冷却水による冷却が行われている。また、エンジンではシリンダヘッドの熱負荷が高くなることも知られている。特許文献1では、シリンダヘッドの冷却性を高める一方で、シリンダブロックの過剰冷却を防止する多気筒エンジンの冷却装置が開示されている。特許文献2では、燃焼室の排気ポート側の壁面を積極的に冷却させ、内燃機関の冷却効率を向上させる内燃機関の冷却装置が開示されている。
図10はエンジンのヒートバランスの内訳を示す図である。図10では、火花点火式内燃機関の一般的なヒートバランスの内訳を全負荷の場合と部分負荷の場合とについてそれぞれ示している。火花点火式内燃機関では、排気損失や冷却損失など正味仕事に使われない熱が多く発生する。そしてエネルギ損失全体の大きな割合を占める冷却損失の低減は、熱効率(燃費)の向上にとって非常に重要な要素である。ところが、冷却損失を低減し、熱を有効に利用することは必ずしも容易ではなく、このことが熱効率向上の妨げとなっている。
冷却損失の低減が困難である理由としては、例えば一般的なエンジンは、局部的に熱伝達の状態を可変にする構成にはなっていないことが挙げられる。すなわち、一般的なエンジンでは構成上、冷却が必要な部位を必要な度合いだけ冷却することが困難なことが挙げられる。具体的にはエンジンの熱伝達の状態を可変にするにあたっては、一般にはエンジンの出力で駆動する機械式ウォータポンプにより、エンジン回転数に応じて冷却水の流量を変更することが行われている。ところが、冷却水の流量を全体的に調節するウォータポンプでは、仮に流量を可変にする可変ウォータポンプを用いた場合であっても、機関運転状態に応じて局部的に熱の伝達状態を可変にすることはできない。
図11はシリンダの内壁温度および熱透過率を示す図である。図11では、これらを通常の構成の場合と断熱性を高めた場合とについてそれぞれ示している。通常の構成の場合としては、シリンダブロック下部からシリンダヘッドへ向かって重力に逆らうようにして冷却水を流通させる1系統の冷却水循環経路が設けられた一般的なエンジンの場合を示している。また、断熱性を高めた場合としては、シリンダの壁厚増加とともに材質変更を行った場合と、より断熱性の高い空気断熱を行った場合とについてそれぞれ示している。
ここで、冷却損失を低減するにあたっては、例えばエンジンの断熱性を高めることも考えられる。そしてこの場合には、図11に示すように大幅な冷却損失の低減を期待できる。ところがこの場合には、エンジンの断熱性を高めることで、同時に燃焼室の内壁温度の上昇する。そしてこの場合には、これに伴い混合気の温度が上昇することで、ノッキングが誘発されることになる。
本発明は上記課題に鑑み、冷却損失の低減とノック性能とを両立できるエンジンの冷却装置を提供することを目的とする。
本発明は第1の冷却媒体通路と第2の冷却媒体通路とが設けられているエンジンのシリンダブロックおよびシリンダヘッドを備え、前記第1の冷却媒体通路が、前記シリンダブロックのうち、排気側の部分に冷却媒体を流通させるとともに、前記シリンダヘッドのうち、前記シリンダヘッドに設けられた点火プラグ周辺の所定の領域を含め、排気側の部分に冷却媒体を流通させ、前記第2の冷却媒体通路が、前記第1の冷却媒体通路が組み込まれる冷却媒体循環経路とは異なる冷却媒体循環経路に組み込まれ、前記シリンダブロックのうち、吸気側の部分に冷却媒体を流通させるとともに、前記シリンダヘッドのうち、吸気側の部分に冷却媒体を流通させるエンジンの冷却装置である。
また本発明は前記エンジンに冷却媒体を流通させる場合に、前記第1の冷却媒体通路に冷却媒体を流通させるとともに、前記第2の冷却媒体通路に冷却媒体を流通させるにあたり、前記エンジンの負荷が低中負荷である場合に、高負荷である場合よりも前記第2の冷却媒体通路に流通させる冷却媒体の流量を減少させる冷却媒体制御手段をさらに備える構成であることが好ましい。
また本発明は前記エンジンが、排気還流が行われるエンジンであり、流通する冷却媒体との間の熱交換によって前記エンジンに還流させる排気を冷却可能な冷却器と、前記第1の冷却媒体通路を流通する冷却媒体を分流し、前記冷却器に流通させる第1の分岐部と、をさらに備える構成であることが好ましい。
また本発明は流通する冷却媒体との間の熱交換によって空気を加熱可能な加熱器と、前記第1の冷却媒体通路を流通する冷却媒体を分流し、前記加熱器に流通させる第2の分岐部と、をさらに備える構成であることが好ましい。
本発明によれば、冷却損失の低減とノック性能とを両立できる。
図面を用いて、本発明の実施例について説明する。
図1はエンジンの冷却装置(以下、冷却装置と称す)1Aの概略構成図である。冷却装置1Aは図示しない車両に搭載されている。冷却装置1Aはウォータポンプ(以下、W/Pと称す)11と、ラジエータ12と、サーモスタット13と、流量調節弁14と、エンジン50とを備えている。
W/P11は冷却媒体圧送手段であり、冷却媒体である冷却水を圧送する。W/P11は具体的には圧送する冷却水の流量を可変にする可変W/Pである。W/P11はエンジン50の出力で駆動する機械式のW/Pであってもよい。W/P11が圧送する冷却水はエンジン50に供給される。エンジン50には、第1のウォータジャケット(以下、W/Jと称す)501と第2のW/J502とが設けられている。W/P11が圧送する冷却水は具体的にはW/J501、502に供給される。
図2はW/J501、502を示す図である。図3はW/J501、502の冷却領域R1、R2を示す図である。図4は冷却領域R1、R2の拡大図である。図2はエンジン50の斜視図でW/J501、502の概略構造を示す。図3はエンジン50の上面図で冷却領域R1、R2を示す。図4は図3に示す冷却領域R1、R2のうち、エンジン50の一気筒当たりの冷却領域R1、R2を拡大して示す。冷却領域R1はシリンダヘッド52における第1のW/J501の冷却領域、冷却領域R2はシリンダヘッド52における第2のW/J502の冷却領域を示す。
エンジン50はシリンダブロック51と、シリンダヘッド52と、ガスケット53と、点火プラグ54とを備えている。シリンダブロック51にはシリンダ51aが形成されている。シリンダブロック51には、ガスケット53を介してシリンダヘッド52が設けられている。ガスケット53は高い断熱性を有している。シリンダヘッド52には、シリンダ51a毎に点火プラグ54が設けられている。シリンダブロック51とシリンダヘッド52とは図示しないピストンとともに燃焼室を形成している。
第1のW/J501は、シリンダブロック51のうち、排気側の部分に冷却水を流通させるとともに、シリンダヘッド52のうち、点火プラグ54周辺の所定の領域を含め、排気側の部分に冷却媒体を流通させる。所定の領域は、シリンダヘッド52のうち、点火プラグ54周辺の部分を冷却可能な領域である。このため、シリンダヘッド52のうち、点火プラグ54周辺の部分は冷却領域R1に含まれている。
第2のW/J502は、シリンダブロック51のうち、吸気側の部分に冷却水を流通させるとともに、シリンダヘッド52のうち、吸気側の部分に冷却水を流通させる。
W/J501、502それぞれは、シリンダブロック51から冷却水を流入させるとともに、シリンダヘッド52から冷却水を流出させる縦流しの構造を有している。また、エンジン50の出力を取り出す側をリア側として、エンジン50のフロント側から冷却水を流入させるとともに、リア側から冷却水を流出させるようになっている。
図1に示すように、冷却装置1Aでは複数の冷却水循環経路が形成されている。冷却水循環経路としては、例えば第1のW/J501が組み込まれた循環経路である第1の循環経路C1がある。第1の循環経路C1を流通する冷却水は、W/P11から吐出された後、第1のW/J501を流通し、さらにサーモスタット13を介するか、或いはラジエータ12およびサーモスタット13を介してW/P11に戻るようになっている。
ラジエータ12は熱交換器であり、流通する冷却水と空気との間で熱交換を行うことで冷却水を冷却する。サーモスタット13はW/P11に入口側から連通する流通経路を切り替える。具体的にはサーモスタット13は、冷却水温が所定値未満の場合にラジエータ12をバイパスする流通経路を連通状態にし、所定値以上の場合にラジエータ12を流通する流通する流通経路を連通状態にする。
また冷却水循環経路としては、例えば第2のW/J502が組み込まれた循環経路である第2の循環経路C2がある。第2の循環経路C2を流通する冷却水は、W/P11から吐出された後、流量調節弁14を流通し、さらにサーモスタット13を介するか、或いはラジエータ12およびサーモスタット13を介してW/P11に戻るようになっている。
流量調節弁14は、第2の循環経路C2のうち、循環経路C1、C2が分岐した後の部分、且つエンジン50よりも上流側の部分に設けられている。流量調節弁14は、第2のW/J502を流通する冷却水の流量を調節することで、第2のW/J502の冷却能力を調整可能な冷却能力調整手段となっている。
また、流量調節弁14は、第1のW/J501の冷却能力を抑制することなく、第2のW/J502の冷却能力を抑制可能な冷却能力調整手段となっている。具体的には例えばW/J501、502にともに冷却水を流通させる高回転高負荷時の第1のW/J501の冷却能力および第2のW/J502の冷却能力がある場合に、これらの冷却能力に対して第1のW/J501の冷却能力を抑制することなく、第2のW/J502の冷却能力を抑制可能な冷却能力調整手段となっている。
さらに、流量調節弁14は、第2のW/J502の冷却能力を抑制するように、第2のW/J502を流通する冷却水の流量を調節した場合に、第1のW/J501の冷却能力を高めるように、第1のW/J501を流通する冷却水の流量を調節可能な冷却能力調整手段となっている。
冷却装置1Aでは、第1の循環経路C1を流通する冷却水が、W/P11によって圧送された後、一巡するまでの間に第2のW/J502を流通することがないようになっている。また、第2の循環経路C2を流通する冷却水が、W/P11によって圧送された後、一巡するまでの間に第1のW/J501を流通することがないようになっている。すなわち、冷却装置1Aでは第1のW/J501と第2のW/J502とが互いに異なる冷却媒体循環経路に組み込まれている。第1のW/J501は第1の冷却媒体通路に相当し、第2のW/J502は第2の冷却媒体通路に相当する。
図5はECU70の概略構成図である。冷却装置1Aは電子制御装置であるECU70をさらに備えている。ECU70はCPU71、ROM72、RAM73等からなるマイクロコンピュータと入出力回路75、76とを備えている。これらの構成は互いにバス74を介して接続されている。
ECU70には、エンジン50の回転数を検出するためのクランク角センサ81や、吸入空気量を計測するためのエアフロメータ82や、アクセル開度を検出するためのアクセル開度センサ83や、冷却水の温度を検知する水温センサ84などの各種のセンサ・スイッチ類が電気的に接続されている。この点、エンジン50の負荷はエアフロメータ82やアクセル開度センサ83の出力に基づきECU70で検出される。ECU70には、W/P11や流量調節弁14などの各種の制御対象が電気的に接続されている。
ROM72はCPU71が実行する種々の処理が記述されたプログラムやマップデータなどを格納するための構成である。CPU71がROM72に格納されたプログラムに基づき、必要に応じてRAM73の一時記憶領域を利用しつつ処理を実行することで、ECU70では各種の制御手段や判定手段や検出手段や算出手段などが機能的に実現される。
例えばECU70では、W/P11と流量調節弁14とを制御する制御手段が機能的に実現される。制御手段は、エンジン50に冷却水を流通させる場合に、W/P11を駆動する制御を行う。そしてこれにより、エンジン50に冷却水を流通させる場合に、W/J501に冷却水を流通させる。エンジン50に冷却水を流通させる場合は、例えば機関運転中である。エンジン50に冷却水を流通させる場合は、例えば機関冷間始動後、所定時間が経過した場合であってもよい。
また、制御手段は、エンジン50に冷却水を流通させる場合に、第2のW/J502に冷却水を流通させるにあたり、エンジン50の負荷が低中負荷である場合に、高負荷である場合よりも流量調節弁14の開度を小さくする制御を行う。そしてこれにより、エンジン50の負荷が低中負荷である場合に、高負荷である場合よりも第2のW/J502に流通させる冷却水の流量を減少させる。
制御手段はエンジン50の負荷が高負荷である場合、流量調節弁14を例えば全開にすることができる。また、エンジン50の負荷が低中負荷である場合、流量調節弁14を例えば全閉、或いは冷却水の沸騰を抑制可能な態様で開弁することができる。W/P11を駆動する制御を行うにあたり、制御手段は、例えばエンジン50の回転数が高くなるほど吐出量が多くなるように制御を行うことができる。冷却装置1Aでは、W/P11と流量調節弁14とECU70とが冷却媒体制御手段に相当している。
次にECU70の動作を図6に示すフローチャートを用いて説明する。ECU70は機関運転中であるか否かを判定する(ステップS1)。否定判定であれば。W/P11を停止する(ステップS7)。そして、本フローチャートを一旦終了する。一方、肯定判定であれば、ECU70はW/P11を駆動する(ステップS2)。これにより、エンジン50に冷却水を流通させる場合に、第1のW/J501に冷却水が常時流通する。
続いてECU70はエンジン50の負荷を検出する(ステップS3)。そして、検出した負荷が高負荷であるか否かを判定する(ステップS4)。肯定判定であれば、ECU70は流量調節弁14を開弁する(ステップS5)。否定判定であれば、ECU70は閉弁することを含め、流量調節弁14を高負荷である場合よりも小さい開度で開弁する(ステップS6)。これにより、エンジン50の負荷が低中負荷である場合に、高負荷である場合よりも第2のW/J502に流通させる冷却水の流量が減少する。
次に冷却装置1Aの作用効果について説明する。図7はクランク角度に応じた燃焼室の熱伝達率および表面積割合を示す図である。図7に示すように、熱伝達率は圧縮行程上死点付近で高まることがわかる。そして表面積割合については、圧縮行程上死点付近でシリンダヘッド52とピストンの表面積割合が大きくなることがわかる。したがって冷却損失については、シリンダヘッド52の温度の影響力が大きいことがわかる。
一方、ノッキングについては圧縮端温度に依存するところ、圧縮端温度に影響する吸気圧縮行程ではシリンダ51aの表面積割合が大きいことがわかる。したがってノッキングについてはシリンダ51aの温度の影響力が大きいことがわかる。また、ノッキングについては、燃焼室に流入する吸気が当たる関係上、シリンダ51aのうち、排気側の部分のほうが吸気側の部分よりも温度の影響力が大きくなる。
これに対し、冷却装置1Aは第1のW/J501に冷却水を流通させることで、エンジン50の排気側の部分を冷却することができる。そしてこれにより、シリンダ51aの排気側の部分を冷却することができる。また、エンジン50の排気側の部分は排気の都合上、高温になり易い部分となっている。このため、冷却装置1Aは第1のW/J501に冷却水を流通させることで、ノッキングの発生を好適に抑制できる。また、同時に点火プラグ54周辺の部分を冷却することで、エンジン50の信頼性も確保できる。
また、冷却装置1Aは第2のW/J502を流通する冷却水の流量を制限することで、エンジン50の吸気側の部分で冷却損失を低減できる。そしてこれにより、シリンダヘッド52の吸気側の部分で冷却損失を低減できる。さらに、冷却装置1Aはエンジン50の排気側に第1のW/J501を設けるとともに、エンジン50の吸気側に第2のW/J502を設けることで、比較的製造し易い簡便な縦流しの構造を有することができる。
このため、冷却装置1Aは上述した知見に基づき、簡便な縦流しの構造で熱伝達の状態を局部的に可変することができる。そしてこれにより、冷却損失の低減とノック性能とを両立させることで、熱効率を向上させることができる。
具体的には、冷却装置1Aはエンジン50に冷却水を流通させる場合に、第1のW/J501に冷却水を常時流通させることで、ノッキングの発生を好適に抑制できる。そして、同時にエンジン50の信頼性も好適に確保できる。また、第2のW/J502に冷却水を流通させるにあたり、エンジン50の負荷が低中負荷である場合に、高負荷である場合よりも第2のW/J502に流通させる冷却水の流量を減少させることで、低中負荷時に冷却損失を低減できる。そしてこれにより、冷却損失の低減とノック性能とを好適に両立させることができる。
また冷却装置1Aでは、流量調節弁14が、第2のW/J502の冷却能力を抑制するように、第2のW/J502を流通する冷却水の流量を調節した場合に、第1のW/J501の冷却能力を高めるように、第1のW/J501を流通する冷却水の流量を調節する。このため、冷却装置1Aはこれによって吸気をより一層冷却できる。結果、ノッキングの発生をさらに好適に抑制できる。
図8は冷却装置1Bの概略構成図である。冷却装置1Bは冷却装置1Aと比較して、EGR装置21と第1の分岐部22とをさらに備えている。EGR装置21はエンジン50に対して排気還流を行う。換言すれば、エンジン50は排気還流が行われるエンジンとなっている。
EGR装置21は、EGR配管211とEGR流量調節弁212とEGRクーラ213とを備えている。EGR配管211はエンジン50に排気を還流させる。EGR流量調節弁212はエンジン50に還流させる排気の流量を調節する。EGRクーラ213は、冷却水との熱交換によってエンジン50に還流させる排気を冷却する。EGRクーラ213は冷却器に相当する。
第1の分岐部22は第1のW/J501を流通する冷却水を分流し、EGRクーラ213に流通させる。第1のW/J501を流通する冷却水とは、第1の循環経路C1を流通する冷却水のことである。したがって、第1の循環経路C1のうち、循環経路C1、C2が分岐してから合流するまでの間の部分を流通する冷却水を分流することで、第1のW/J501を流通する冷却水を分流することができる。
この点、第1の分岐部22は具体的には、第1のW/J501を流通する冷却水を第1のW/J501よりも下流側で分流し、EGRクーラ213に流通させる。EGRクーラ213に流通させた冷却水は、第1の循環経路C1のうち、第1の分岐部22よりも下流側、且つ循環経路C1、C2の合流地点よりも上流側の部分で合流させることができる。
次に冷却装置1Bの作用効果について説明する。ここで、EGRクーラ213はエンジン50に高温の排気を還流させるにあたり、ノッキングの発生を抑制するために設けられている。ところが、仮にエンジン50の冷却損失を低減するのに合わせて、EGRクーラ213に流通させる冷却水の流量を低下させたり、EGRクーラ213への冷却水の流通を停止したりすると、還流させる排気の温度上昇や冷却水の沸騰が発生することが懸念される。
これに対し、冷却装置1Bは第1のW/J501を流通する冷却水を分流し、EGRクーラ213に流通させる。このため、冷却装置1BはEGR装置21の使用を好適に可能にすることができる。そしてこれにより、さらに排気還流による燃費向上を図ることができる。また、第1のW/J501を流通する冷却水を第1のW/J501よりも下流側で分流させることで、第1のW/J501の冷却性能に影響が及ぶことも防止できる。
図9は冷却装置1Cの概略構成図である。冷却装置1Cは冷却装置1Aと比較して、ヒータコア31と第2の分岐部32とをさらに備えている。なお、同様の変更を例えば冷却装置1Bに対して行うこともできる。ヒータコア31は車両の暖房に用いられ、流通する冷却水との熱交換によって空気を加熱する。ヒータコア31は加熱器に相当する。
第2の分岐部32は第1のW/J501を流通する冷却水を分流し、ヒータコア31に流通させる。具体的には、第1のW/J501を流通する冷却水を第1のW/J501よりも下流側で分流し、ヒータコア31に流通させる。ヒータコア31に流通させた冷却水は、第1の循環経路C1のうち、第2の分岐部32よりも下流側、且つ循環経路C1、C2の合流地点よりも上流側の部分で合流させることができる。
次に冷却装置1Cの作用効果について説明する。冷却装置1Cは、第1のW/J501を流通する冷却水を分流し、ヒータコア31に流通させる。このため、冷却装置1Cはエンジン50の冷却損失を低減するのに合わせて、車両の暖房性能が低下することを抑制できる。すなわち、暖房の使用を好適に可能にすることができる。また、第1のW/J501を流通する冷却水を第1のW/J501よりも下流側で分流させることで、受熱量が多い冷却水を暖房に利用できる。結果、暖房性能を好適に高めることもできる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
冷却装置 1A、1B、1C
W/P 11
ラジエータ 12
サーモスタット 13
流量調節弁 14
EGR装置 21
EGRクーラ 213
第1の分岐部 22
ヒータコア 31
第2の分岐部 32
エンジン 50
第1のW/J 501
第2のW/J 502
シリンダブロック 51
シリンダヘッド 52
ガスケット 53
点火プラグ 54
ECU 70
W/P 11
ラジエータ 12
サーモスタット 13
流量調節弁 14
EGR装置 21
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シリンダヘッド 52
ガスケット 53
点火プラグ 54
ECU 70
【0002】
。すなわち、一般的なエンジンでは構成上、冷却が必要な部位を必要な度合いだけ冷却することが困難なことが挙げられる。具体的にはエンジンの熱伝達の状態を可変にするにあたっては、一般にはエンジンの出力で駆動する機械式ウォータポンプにより、エンジン回転数に応じて冷却水の流量を変更することが行われている。ところが、冷却水の流量を全体的に調節するウォータポンプでは、仮に流量を可変にする可変ウォータポンプを用いた場合であっても、機関運転状態に応じて局部的に熱の伝達状態を可変にすることはできない。
[0006]
図11はシリンダの内壁温度および熱透過率を示す図である。図11では、これらを通常の構成の場合と断熱性を高めた場合とについてそれぞれ示している。通常の構成の場合としては、シリンダブロック下部からシリンダヘッドへ向かって重力に逆らうようにして冷却水を流通させる1系統の冷却水循環経路が設けられた一般的なエンジンの場合を示している。また、断熱性を高めた場合としては、シリンダの壁厚増加とともに材質変更を行った場合と、より断熱性の高い空気断熱を行った場合とについてそれぞれ示している。
[0007]
ここで、冷却損失を低減するにあたっては、例えばエンジンの断熱性を高めることも考えられる。そしてこの場合には、図11に示すように大幅な冷却損失の低減を期待できる。ところがこの場合には、エンジンの断熱性を高めることで、同時に燃焼室の内壁温度の上昇する。そしてこの場合には、これに伴い混合気の温度が上昇することで、ノッキングが誘発されることになる。
[0008]
本発明は上記課題に鑑み、冷却損失の低減とノック性能とを両立できるエンジンの冷却装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0009]
本発明は冷却媒体を流通させる第1の冷却媒体通路と第2の冷却媒体通路とが設けられているエンジンのシリンダブロックおよびシリンダヘッドを備え、前記第1の冷却媒体通路が、前記冷却媒体を前記シリンダブロックのう
。すなわち、一般的なエンジンでは構成上、冷却が必要な部位を必要な度合いだけ冷却することが困難なことが挙げられる。具体的にはエンジンの熱伝達の状態を可変にするにあたっては、一般にはエンジンの出力で駆動する機械式ウォータポンプにより、エンジン回転数に応じて冷却水の流量を変更することが行われている。ところが、冷却水の流量を全体的に調節するウォータポンプでは、仮に流量を可変にする可変ウォータポンプを用いた場合であっても、機関運転状態に応じて局部的に熱の伝達状態を可変にすることはできない。
[0006]
図11はシリンダの内壁温度および熱透過率を示す図である。図11では、これらを通常の構成の場合と断熱性を高めた場合とについてそれぞれ示している。通常の構成の場合としては、シリンダブロック下部からシリンダヘッドへ向かって重力に逆らうようにして冷却水を流通させる1系統の冷却水循環経路が設けられた一般的なエンジンの場合を示している。また、断熱性を高めた場合としては、シリンダの壁厚増加とともに材質変更を行った場合と、より断熱性の高い空気断熱を行った場合とについてそれぞれ示している。
[0007]
ここで、冷却損失を低減するにあたっては、例えばエンジンの断熱性を高めることも考えられる。そしてこの場合には、図11に示すように大幅な冷却損失の低減を期待できる。ところがこの場合には、エンジンの断熱性を高めることで、同時に燃焼室の内壁温度の上昇する。そしてこの場合には、これに伴い混合気の温度が上昇することで、ノッキングが誘発されることになる。
[0008]
本発明は上記課題に鑑み、冷却損失の低減とノック性能とを両立できるエンジンの冷却装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0009]
本発明は冷却媒体を流通させる第1の冷却媒体通路と第2の冷却媒体通路とが設けられているエンジンのシリンダブロックおよびシリンダヘッドを備え、前記第1の冷却媒体通路が、前記冷却媒体を前記シリンダブロックのう
【0003】
ち、排気側の部分に流通させた後に、前記シリンダヘッドのうち、前記シリンダヘッドに設けられた点火プラグ周辺の所定の領域を含め、排気側の部分に流通させ、前記第2の冷却媒体通路が、前記第1の冷却媒体通路が組み込まれる冷却媒体循環経路とは異なる冷却媒体循環経路に組み込まれ、前記冷却媒体を前記シリンダブロックのうち、吸気側の部分に流通させた後に、前記シリンダヘッドのうち、吸気側の部分に流通させるエンジンの冷却装置である。
[0010]
また本発明は前記エンジンに前記冷却媒体を流通させる場合に、前記第1の冷却媒体通路に前記冷却媒体を流通させるとともに、前記第2の冷却媒体通路に前記冷却媒体を流通させるにあたり、前記エンジンの負荷が低中負荷である場合に、高負荷である場合よりも前記第2の冷却媒体通路に流通させる前記冷却媒体の流量を減少させる冷却媒体制御手段をさらに備える構成であることが好ましい。
[0011]
また本発明は前記エンジンが、排気還流が行われるエンジンであり、流通する前記冷却媒体との間の熱交換によって前記エンジンに還流させる排気を冷却可能な冷却器と、前記第1の冷却媒体通路を流通する前記冷却媒体を分流し、前記冷却器に流通させる第1の分岐部と、をさらに備える構成であることが好ましい。
[0012]
また本発明は流通する前記冷却媒体との間の熱交換によって空気を加熱可能な加熱器と、前記第1の冷却媒体通路を流通する前記冷却媒体を分流し、前記加熱器に流通させる第2の分岐部と、をさらに備える構成であることが好ましい。
発明の効果
[0013]
本発明によれば、冷却損失の低減とノック性能とを両立できる。
図面の簡単な説明
[0014]
[図1]実施例1のエンジンの冷却装置の概略構成図である。
[図2]ウォータジャケットを示す図である。
[図3]ウォータジャケットの冷却領域を示す図である。
ち、排気側の部分に流通させた後に、前記シリンダヘッドのうち、前記シリンダヘッドに設けられた点火プラグ周辺の所定の領域を含め、排気側の部分に流通させ、前記第2の冷却媒体通路が、前記第1の冷却媒体通路が組み込まれる冷却媒体循環経路とは異なる冷却媒体循環経路に組み込まれ、前記冷却媒体を前記シリンダブロックのうち、吸気側の部分に流通させた後に、前記シリンダヘッドのうち、吸気側の部分に流通させるエンジンの冷却装置である。
[0010]
また本発明は前記エンジンに前記冷却媒体を流通させる場合に、前記第1の冷却媒体通路に前記冷却媒体を流通させるとともに、前記第2の冷却媒体通路に前記冷却媒体を流通させるにあたり、前記エンジンの負荷が低中負荷である場合に、高負荷である場合よりも前記第2の冷却媒体通路に流通させる前記冷却媒体の流量を減少させる冷却媒体制御手段をさらに備える構成であることが好ましい。
[0011]
また本発明は前記エンジンが、排気還流が行われるエンジンであり、流通する前記冷却媒体との間の熱交換によって前記エンジンに還流させる排気を冷却可能な冷却器と、前記第1の冷却媒体通路を流通する前記冷却媒体を分流し、前記冷却器に流通させる第1の分岐部と、をさらに備える構成であることが好ましい。
[0012]
また本発明は流通する前記冷却媒体との間の熱交換によって空気を加熱可能な加熱器と、前記第1の冷却媒体通路を流通する前記冷却媒体を分流し、前記加熱器に流通させる第2の分岐部と、をさらに備える構成であることが好ましい。
発明の効果
[0013]
本発明によれば、冷却損失の低減とノック性能とを両立できる。
図面の簡単な説明
[0014]
[図1]実施例1のエンジンの冷却装置の概略構成図である。
[図2]ウォータジャケットを示す図である。
[図3]ウォータジャケットの冷却領域を示す図である。
Claims (4)
- 第1の冷却媒体通路と第2の冷却媒体通路とが設けられているエンジンのシリンダブロックおよびシリンダヘッドを備え、
前記第1の冷却媒体通路が、前記シリンダブロックのうち、排気側の部分に冷却媒体を流通させるとともに、前記シリンダヘッドのうち、前記シリンダヘッドに設けられた点火プラグ周辺の所定の領域を含め、排気側の部分に冷却媒体を流通させ、
前記第2の冷却媒体通路が、前記第1の冷却媒体通路が組み込まれる冷却媒体循環経路とは異なる冷却媒体循環経路に組み込まれ、前記シリンダブロックのうち、吸気側の部分に冷却媒体を流通させるとともに、前記シリンダヘッドのうち、吸気側の部分に冷却媒体を流通させるエンジンの冷却装置。 - 前記エンジンに冷却媒体を流通させる場合に、前記第1の冷却媒体通路に冷却媒体を流通させるとともに、前記第2の冷却媒体通路に冷却媒体を流通させるにあたり、前記エンジンの負荷が低中負荷である場合に、高負荷である場合よりも前記第2の冷却媒体通路に流通させる冷却媒体の流量を減少させる冷却媒体制御手段をさらに備える請求項1記載のエンジンの冷却装置。
- 前記エンジンが、排気還流が行われるエンジンであり、
流通する冷却媒体との間の熱交換によって前記エンジンに還流させる排気を冷却可能な冷却器と、前記第1の冷却媒体通路を流通する冷却媒体を分流し、前記冷却器に流通させる第1の分岐部と、をさらに備える請求項2記載のエンジンの冷却装置。 - 流通する冷却媒体との間の熱交換によって空気を加熱可能な加熱器と、前記第1の冷却媒体通路を流通する冷却媒体を分流し、前記加熱器に流通させる第2の分岐部と、をさらに備える請求項2または3記載のエンジンの冷却装置。
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