JPWO2012074017A1 - セラミック製刃物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 刃物としてジルコニア以上の硬度と摺動性を得ることができ、食材を切断し易くなるとともに切れ味を低下しにくくすること。【解決手段】 切刃部を有するジルコニアセラミック基材と、切刃部の表面に形成された窒化物層と、該窒化物層の表面に形成されたダイヤモンドライクカーボン層とを有するセラミック製包丁である。

Description

本発明はセラミック製刃物およびその製造方法に関する。
近年、包丁等の刃物用の材料としてセラミック、特に、より摺動性と靭性が優れているジルコニアセラミックが採用されている。これらのセラミック製刃物は、硬度と摺動性をさらに上げる目的で、ダイヤモンドライクカーボン(以下、DLCともいう)膜を表面に被膜する場合がある。
しかし、セラミックスにDLC膜を直接被覆する場合は、セラミックスが導電体ではないために、DLC膜との密着性が悪く、セラミックスからDLC膜が剥がれる傾向があった。そのため、セラミックスの表面上にTi、Crなどの金属の下地層を設け、その上にDLC膜を形成することなどが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−253473号公報
しかし、特許文献1のような金属の下地層をジルコニアセラミック製刃物に適用した場合においてもセラミックスとDLC膜との密着性は十分ではなく、切刃を研磨したときに切刃付近のDLC膜が剥がれて金属の下地層が露出してしまう場合があった。さらに、切刃付近から下地層の腐食が刃物全体に伝播し、DLC膜が剥がれていく場合があった。
本発明の目的は、硬度、摺動性および切れ味が優れたセラミック製刃物を提供することにある。
本発明のセラミック製刃物は、切刃部を有するジルコニアセラミック基材と、前記切刃部の表面に形成された窒化物層と、該窒化物層の表面に形成されたダイヤモンドライクカーボン層とを有する。
本発明のセラミック製刃物の製造方法は、切刃部を有するジルコニアセラミック基材の前記切刃部の表面にスパッタリング法またはイオン注入法による処理で窒化物層を形成する第1工程と、前記窒化物層の表面にダイヤモンドライクカーボン層を形成する第2工程とを有する。
本発明によれば、ジルコニアセラミック基材とDLC層との間に窒化物層を介するため、ジルコニアセラミック基材とDLC層との密着性を向上することができる。そして、刃物砥ぎで切刃部のDLCが除去された場合であっても、切刃部以外の部分にDLC膜の剥がれが伝播していくことを低減できる。これにより、長期間使用しても優れた硬度および摺動性が維持され、刃こぼれ等を低減できるとともに、食材の切断し易さを維持できる。
さらに、窒化物層表面に形成されたDLC層の内部応力の作用によって、曲げ強度が高いジルコニアセラミック製刃物が得られる。
(a)は本発明の一実施形態に係るセラミック製刃物の一部を示す斜視図であり、(b)は(a)のA−A断面における模式図である。 本発明の一実施形態に係るセラミック製刃物に係る応力状態を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係るセラミック製刃物に係る応力状態を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係るセラミック製刃物に係る製造プロセスを示す模式図であり、(a)〜(e)はセラミック製刃物の表面付近の層構成を示す断面図である。 本発明の他の実施形態に係るセラミック製刃物に係る製造プロセスを示す模式図であり、(a)〜(e)はセラミック製刃物の表面付近の層構成を示す断面図である。
<セラミック製刃物>
以下、本発明のセラミック製刃物の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態のセラミック製刃物は、図1に示すように、切刃部12を有するジルコニアセラミック基材1と、切刃部12の表面に形成された窒化物層3(1a)と、窒化物層3(1a)の表面に形成されたDLC層2とを有している。ジルコニアセラミック基材1とDLC層2との間に窒化物層3を介しているため、ジルコニアセラミック基材1とDLC層2との密着性を向上することができる。
本実施形態においては、さらに図1(a)に示される切刃部12の刃先11を除く部分に、図1(b)に示されるようにDLC層2が形成されている。すなわち、本実施形態においては、切刃部12の刃先11が露出している。
基材1としてジルコニアセラミックスを用いた刃物は、錆びないというだけではなく、他のセラミックスを用いた場合よりも靭性が高いので折れ難く、また摺動性が高い点で包丁の材料に適している。
DLC層2は水素を含有するアモルファス構造である。これにより、DLCから炭素が遊離することを低減できるので、安定したDLC層2を得ることができる。
このようなDLC層2の形成は、例えば、固体核磁気共鳴法(NMR)を用いて構造解析を行なうことで分析可能である。例えば、DLCの場合は、固体13C NMRスペクトルにおいて、SP炭素由来のピークが136ppm付近に、SP炭素由来のピークが55ppm付近に観測される。
なお、成膜電力の増大に伴ってSP炭素は20〜40%程度変化し、これに伴い、ピークがシフトする場合が認められ、SPピークのシフトが一部グラファイトに近い構造をとり、SPピークのシフトが62ppm付近に観測される四級炭素の増減を反映する場合がある。
DLC層2は、刃先11部分に形成されていてもよい。この場合には、例えばDLC層2の除去には、ダイヤモンド砥粒の研磨機が用いられる。
なお、鉄の表面にDLCを形成した場合は、DLCから炭素が遊離して鉄と結びついて、DLCが脆弱になってしまう場合があるため、鉄に対してDLCを用いることは不向きである。
DLC層2は透明であるが、窒化物層3(1a)は黒いので、刃先11を研いだときの砥ぎ具合を、窒化物層3(1a)の黒色とジルコニアセラミック基材1の白色とのコントラストによって、目視で確認することができる。
本実施形態では、上述のように切刃部12の刃先11が露出している。すなわち、刃先11以外の表面に窒化物層3(1a)およびDLC層2が形成されているが、刃先11の表面に窒化物層3(1a)だけが形成されていてもよい。刃先11にDLC層2が形成されないことで、刃先11を硬度が低い砥石であっても研磨できるとともに、刃先11の縁部を起点としてDLC層2が剥がれていかないようにすることができる。これにより、長期間使用してもジルコニアセラミックス以上の硬度と摺動性とを有するセラミック製刃物10を得ることができ、刃こぼれ等を低減できるとともに、食材の切断し易さを維持できる。
ここで、刃先11とは切刃部12の稜辺のことであり、一般的に、刃先11は切刃部12の小刃の範囲内である。
なお、小刃とは切刃部12において刃先角度が大きくなっている部分であり、砥石で研磨される範囲はこの大きく傾いた角度の小刃の範囲である。
このようなDLC層2の縁部は、切刃部12の小刃の範囲内で次第に薄くなることが好ましい。これによりDLC層2の縁部が傾斜するので、縁部からの剥離をさらに低減でき、耐食性が向上する。
窒化物層3に用いる材料としては、窒化ジルコニウム(例えばZrN)、窒化珪素(例えばSiN)、窒化アルミニウム(例えばAlN)などが挙げられ、特に、これらの材料が化学量論比となっていることが耐食性の点で好ましい。
窒化物層3は、DLC層2との密着性の点から、窒化ジルコニウムを含むのが好ましい。
ジルコニアセラミック基材1の上に、例えばZrNを形成する場合は、ジルコニアセラミック基材1のZr元素と窒化物層3(1a)のZr元素との結合、またはジルコニアセラミック基材1のO元素と窒化物層3(1a)のZr元素との結合、またはジルコニアセラミック基材1のZr元素と窒化物層3(1a)のN元素との結合、またはジルコニアセラミック基材1のO元素と窒化物層3(1a)のN元素との結合によって、密着性を強固なものとすることができる。
あるいは、窒化物層3(1a)が、窒化珪素(例えばSiN)および窒化アルミニウム(例えばAlN)のように、Zr元素を含まない窒化物3(1a)の場合であっても、ジルコニアセラミック基材1のZr元素と窒化物層3(1a)のN元素との結合、またはジルコニアセラミック基材1のO元素と窒化物層3(1a)のSi、Al元素との結合、またはジルコニアセラミック基材1のO元素と窒化物層3(1a)のN元素との共有結合によって、密着性を強固なものとすることができる。
蒸着などによって窒化物層3(1a)上に形成されたDLC層2は、DLC層2のC元素と窒化物層3(1a)のN元素との共有結合によって強固に結合するため、密着性が強固なものとなる。
また、刃先11を砥ぐことによって刃先11部分のDLC層2が除去されてしまった場合であっても、窒化物層1aでジルコニアセラミック基材1が被覆されていることによって、ジルコニアセラミック特有の問題点である耐水熱劣化性を低減させることができる。
さらに、本実施形態によれば、窒化物層3の厚さは、DLC層2の厚さ以下である。
窒化物層3(1a)とDLC層2との厚さの関係は、DLC層2から炭素が遊離することを窒化物層3(1a)で低減できる厚さの関係とすることが好ましい。
窒化物層3(1a)がDLC層2の厚さ以上に厚くても、DLC層2の炭素の遊離を低減する効果に変わりは無いが、この場合には下地として逆に弱くなってしまう場合がある。
さらに、本実施形態によれば、窒化物層3の厚さとDLC層2の厚さとの比は、1:1〜1:10の割合である。この範囲の比であれば、ジルコニアセラミック基材1と窒化物層3(1a)とDLC層2との密着性を維持し、硬度および摺動性を確保することができる。
さらに、本実施形態によれば、窒化物層の厚さは0.1〜1μmである。この範囲の厚さであれば、DLC層2の密着性を向上し、硬度および摺動性を確保するとともに、刃物10の耐水熱劣化性を低減させることができる。
さらに、本実施形態によれば、DLC層2の厚さは0.1〜10μmである。この範囲の厚さであれば、DLC層2は応力層として働き、これによって曲げ強度を向上させることができる。
すなわち、図2に示すようにDLC層2は矢印A方向に応力を有し、このDLC層2の片面に対して、図3に示すように矢印B方向(鉛直方向)から外力が加わると、外力が加わった周辺の領域aには矢印C方向に応力が発生する。この矢印C方向の応力を、DLC層2が有する矢印A方向の応力にて相殺することができるので、ジルコニアセラミック製刃物10が破壊に至ることを抑制することができる。
一方、前記外力が加わったDLC層2の片面とは反対側である他の面であって、領域aと対向する領域bには、矢印D方向に応力が発生する。
また、領域bには、DLC層2が有する矢印A方向の応力も加わるが、ジルコニア結晶粒子が正方晶から単斜晶へ相変態することによって領域bの体積が増加するので(いわゆる応力誘起変態)、ジルコニアセラミック製刃物10が破壊に至ることを抑制することができる。
また、窒化物層3(1a)の表面性状については、算術平均表面粗さが大きい方がDLC層2との密着性がよいが、窒化物層3(1a)の表面性状の凹凸がDLC層2の摺動性を悪化させない程度の高低差であることが好ましい。
また、窒化物層3(1a)の窒素の濃度勾配は、DLC層2側の窒素濃度が高ければ、窒化物層3(1a)とDLC層2との密着性が良い。
以上のような本発明におけるジルコニアセラミック製刃物10としては、例えばナイフ、包丁、ハサミおよびピーラー等が挙げられる。
<セラミック製刃物の製造方法>
次に、本実施形態に係るセラミック製刃物の製造方法について説明する。
(原料)
本実施形態に係るジルコニアセラミック製刃物の基材の原料は、ジルコニアを主成分とし、イットリア、シリカ、酸化ナトリウムおよびアルミナを特定の割合で含有する。
例えば、ジルコニアは、具体的には90質量%以上、好ましくは95質量%以上含まれ、焼結助材としてイットリアを1.5〜3.5モル%、シリカを0.03〜0.3質量%、酸化ナトリムを0.001〜0.01質量%、アルミナを0.005〜2質量%の割合で含有する。
これにより、焼結性が向上し、結晶構造を均一化しやすくなり、また、ジルコニア焼結体の破壊靭性が低下するのを抑制することができる。
このようなジルコニア原料は、ジルコニア、イットリア、シリカ、酸化ナトリウムおよびアルミナを粉砕および混合して乾燥したものであり、例えば、平均粒径0.4〜1μm、最大粒径1〜3μmとしたものである。
平均粒径および最大粒径を前記範囲内にしておけば、乾燥後のジルコニア原料の成形体の密度が低下するのを抑制することができるので、緻密な焼結体を得易くなる。
ここで、平均粒径および最大粒径は、水に少量のジルコニア原料を添加し、適当な分散剤を添加して超音波洗浄機で十分に分散させた後、レーザー回折式の粒度分析装置で測定して得られる値である。
比表面積は、例えば、4〜16m/gであれば、焼結性および焼結密度が低下するのを抑制することができ、また、成形体密度が低下するのを抑制することができる。
ここで、比表面積は、BET一点法で測定して得られる値である。
以上のようなジルコニア原料は、ジルコニア、イットリア、シリカ、酸化ナトリウムおよびアルミナを粉砕および混合する工程と、その後で乾燥を行なう工程とを経て得ることができる。
基材原料として用いるジルコニアは、その製造方法において特に限定はなく、例えば共沈法、加水分解法、水熱法等の公知の方法を採用して得ることができる。
また、イットリア、シリカ、酸化ナトリウムおよびアルミナは、酸化物のまま粉砕および混合してもよいし、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ:Yttria Stabilized Zirconia)のようにジルコニアに成分として含まれていてもよく、これを粉砕してから混合してもよい。
粉砕および混合は、例えばビーズミル、ボールミル、振動ミル等を用いて行なうことができ、粉砕および混合時間は、1〜10時間程度が適当である。
また、溶媒を用いて湿式粉砕してもよく、溶媒としては、例えば水および有機溶媒等が挙げられ、有機溶媒としては、例えばエタノール、アセトンおよびイソプロピルアルコール等が挙げられ、湿式粉砕後のスラリーの固形分濃度が40〜60質量%となる割合で添加するのが好ましい。
また、成形方法に応じて湿式粉砕後のスラリーにポリビニルアルコールまたはメチルセルロース等のバインダーを添加することもできる。
粘度が高くて粉砕性が低下する場合には、分散剤を添加してもよく、この分散剤としては、例えばポリエチレングリコール、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリカルボン酸アンモニウムおよびヘキサメタリン酸ナトリウム等が挙げられる。
乾燥方法は特に限定されるものではなく、当業者が通常用いる乾燥方法が採用可能である。
例えば、乾燥機による窒素雰囲気中での乾燥の他、スプレードライ法(噴霧乾燥法)等が挙げられ、効率よく原料が得られる点でスプレードライ法が好ましい。
スプレードライ法を採用する場合には、スプレードライヤーの熱風温度は150〜250℃が好ましく、乾燥後の乾燥粉末は80〜200メッシュ程度のふるいを通して整粒するのが好ましい。
一方、乾燥機等を用いる場合には、乾燥温度は100〜200℃程度が適当であり、乾燥後の原料はピンミル等を用いて解砕するのが好ましい。
なお、乾燥後のジルコニア原料において、通常、ジルコニアおよびイットリアは固溶状態にあり、シリカ、酸化ナトリウムおよびアルミナは混合状態にある。
(成形および焼結工程)
ジルコニア焼結体は、ジルコニア原料から成形体を作製する工程と、成形体を焼結する工程とを経て得ることができる。
ジルコニア原料からの成形体の作製は、例えば鋳込み成形、射出成形、押出し成形、加圧成形および金型成形等の公知の成形方法が採用可能である。
特に、加圧成形を採用する場合には、均質かつ高密度な成形体が得られる上でCIP成形が好ましく、成形圧力としては50〜200MPa程度が適当である。
なお、CIP成形を行なう前に、一軸加圧成形機等を用いて仮成形してもよい。金型成形を採用する場合の成形圧力としては50〜100MPa程度が適当である。
成形体の焼成は1300〜1600℃、好ましくは1350〜1450℃で、1〜3時間程度行なうのが好ましい。
このようにして焼成すると、結晶粒界が大きくなるのを抑制することができ、水熱劣化環境下における強度低下を抑制することができる。
また、バインダーを添加したジルコニア原料を使用する場合には、350〜600℃で脱脂を行なうのが好ましい。
この範囲で脱脂すると、バインダーが残留したり、急激に脱脂が進んだりすることによるクラックが成形体に発生することを抑制することができる。
また、焼成雰囲気としては大気中の他、焼結体の気孔を減らすために真空等で行なってもよい。
(表面加工工程)
本実施形態では、切刃部を有するジルコニアセラミック基材の切刃部の表面にスパッタリング法またはイオン注入法による処理で窒化物層を形成する第1工程と、窒化物層の表面にDLC層を形成する第2工程とを有する。
本発明の製造方法の実施形態としては、前記焼結体を切削、研磨し、刃付けして刃物の刃体としたジルコニアセラミック基材1に、以下の処理を行なう。
すなわち、切刃部12を有するジルコニアセラミック基材1の切刃部12の表面にスパッタリング法またはイオン注入法による処理で窒化物層3(1a)を形成する第1工程と、窒化物層3(1a)の表面にDLC層2を形成する第2工程とを有する。
以下、図4および図5を用いて、ジルコニアセラミック基材1にDLC層2を形成するまでの製造プロセスの説明をする。
まず、図4(a)および図5(a)における刃体であるジルコニアセラミック基材1の表面を図4(b)および図5(b)のように、フッ化処理して異物を除去する。
これにより、均一に窒化物層3(1a)を得ることができる。
次に、図4(c)のように、ジルコニアセラミック基材1の表面に窒素化物3を蒸着法またはスパッタリング法で形成するか、あるいは、図5(c)のように、ジルコニアセラミック基材1の表面に窒素雰囲気中でのボンバードや窒素のイオン注入法などで窒化物層3(1a)を形成する(図4(d)および図5(d)参照)。図5(c)および(d)に示す処理により、ジルコニアセラミック基材1と窒化物層1aとの密着性は強固なものとなる。
なお、ボンバードや窒素のイオン注入法における成膜条件としては、高周波20kHz、100〜200Vで10〜30分間、窒素ガス雰囲気中で圧力2〜20Paにて形成する。
そして、反応性のCVD法などによって、図4(e)および図5(e)のようなDLC層2を形成することができる。
CVD法における成膜条件としては、プラズマCVD法で処理温度20〜200℃、成膜電力RF1〜5kWで10〜40分間、メタン60〜80%および水素20〜40%のガス雰囲気中で圧力2〜20Paにて形成する。
さらに、本実施形態では、第1工程と第2工程との間において、切刃部12の刃先11に沿ってマスキング材(図示せず)を塗布する。
マスキング方法については、例えばノボラック樹脂を20質量%でエタノールに溶解したものをシート上に所定厚で塗布して、刃先11をシート表面に当接させる。
これにより、窒化物層3(1a)が刃先11の表面でDLC層2から露出するようにすることで、刃先11の表面が黒くなる。
よって、別途切刃部12を研磨する際に、研磨されている領域(白色)と研磨されていない領域(黒色)との境を区別して視認することができる。
なお、別途切刃部12を研磨することを考慮しない場合は、予め第1工程の前に切刃部12の刃先に沿ってマスキング材を塗布しておいても構わない。
以下、実施例を挙げて本発明およびその実施形態についてさらに詳細に説明するが、本発明およびその実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
(試料作製)
実施例において、基材1として、イットリアを2モル%、シリカを0.2質量%、酸化ナトリムを0.005質量%、アルミナを1質量%、残部をジルコニアとしたジルコニアセラミック製刃物を用意した。
これは加圧成形で成形したものであり、成形圧力は100MPaとし、焼成は1450℃にて、2時間行なったものである(試料番号3−22)。
次に、実施例において窒化物層3(1a)は、表1に示す膜厚によって、スパッタリング法で形成したもの(試料番号3−5)と、イオン注入法で形成したもの(試料番号6−22)とに分けた。
そして、DLC層2は、表1に示す膜厚によって、反応性CVD法によって形成した(試料番号3−22)。
なお、試料番号6と9および試料番号16と21は、便宜的に同一条件で作製したものである。
比較例(試料番号1、2、23−25)において、基材1が窒化珪素セラミックスのもの(試料番号1)と、基材1がジルコニアセラミックスのもの(試料番号2、23−25)に分けた。
次に、表1に示す膜厚によって、スパッタリング法でチタン層を形成したもの(試料番号2)と、イオン注入法で窒化物層3(1a)を形成したもの(試料番号24)と、下地層1a(3)なしのもの(試料番号1、23、25)とに分けた。
そして、表1に示す材質および膜厚によって、反応性CVD法によってDLC層2を形成したもの(試料番号1、2、23)と、形成しないもの(試料番号24、25)とに分けた。
なお、試料番号25は、窒化物層3(1a)およびDLC層2を形成していないジルコニアセラミック製包丁である。
(試料評価)
硬度や摺動性およびDLC層2の密着性は、水熱劣化試験後(100℃、2時間後)のジルコニアセラミック製包丁について、本田式切れ味試験機(包丁先端で100Nを荷重)を用い、1度に切れる紙の枚数を100回測定して平均値を算出することで評価した。
強度は、水熱劣化試験後(100℃:2時間後)のジルコニアセラミック製包丁について、JIS1601に準拠した3点曲げ強さ(抗折強度)で評価した。
以下、結果を表1に示す。
Figure 2012074017
実施例である試料番号3−22については、切れ味および抗折強度ともに所望の結果を得ることができ、とりわけ、試料番号5、6、8、9、13、17および20で優れた結果を示した。
ここで、窒化物層3(1a)が薄くなりすぎると、DLC層2との密着性が悪くなる傾向が見られたが、使用可能な範囲であった(試料番号7)。
窒化物層3(1a)が厚くなりすぎると、窒化物層3(1a)自体の内部応力でジルコニアセラミック基材1およびDLC層2との密着性が悪くなる傾向が見られたが、使用可能な範囲であった(試料番号10)。
また、DLC層2が薄くなりすぎると、刃先11のDLC層2が剥がれ易い傾向が見られたが、使用可能な範囲であった(試料番号11)。
DLC層2が厚くなりすぎると、刃先11を砥ぐのが困難になる傾向が見られたが、使用可能な範囲であった(試料番号14)。
一方、比較例である試料番号1は、切れ味は満足するものの曲げ強度に劣り、包丁として使用に耐えるものではなかった。
これは、もともと窒化珪素の硬度が高すぎ、靭性についてはジルコニアに劣るためである。
また、比較例である試料番号2、23は、DLC層2の剥がれにより、切れ味および曲げ強度ともに従来のジルコニアセラミック製包丁(試料番号25)並みであった。
これは、磨耗した切刃部12から水分が浸入することによって、DLC層2の剥がれが発生し易くなっていたことによる。
また、比較例である試料番号24は、そもそもDLC層2がないため、切れ味および曲げ強度ともに従来のジルコニアセラミック製包丁(試料番号25)並みであった。
なお、試料番号6と24とを比較すると、窒化物層3(1a)の表面に形成されたDLC層2の内部応力の作用によって、ジルコニアセラミック製刃物の曲げ強度が向上していることが分かる。
1:ジルコニアセラミック基材
1a:窒化物層
2:DLC(ダイヤモンドライクカーボン)層
3:窒化物層
10:刃物
11:刃先
12:切刃部

Claims (10)

  1. 切刃部を有するジルコニアセラミック基材と、
    前記切刃部の表面に形成された窒化物層と、
    該窒化物層の表面に形成されたダイヤモンドライクカーボン層とを有するセラミック製刃物。
  2. 前記ダイヤモンドライクカーボン層は水素を含むアモルファス炭素構造を有している請求項1に記載のセラミック製刃物。
  3. 前記窒化物層を形成した前記切刃部の刃先が前記ダイヤモンドライクカーボン層から露出している請求項1または2に記載のセラミック製刃物。
  4. 前記窒化物層は窒化ジルコニウムを含む請求項1〜3のいずれかに記載のセラミック製刃物。
  5. 前記窒化物層の厚さは、前記ダイヤモンドライクカーボン層の厚さ以下である請求項1〜4のいずれかに記載のセラミック製刃物。
  6. 前記窒化物層の厚さと前記ダイヤモンドライクカーボン層の厚さとの比は、1:1〜1:10の割合である請求項1〜5のいずれかに記載のセラミック製刃物。
  7. 前記窒化物層の厚さは0.1〜1μmである請求項1〜6のいずれかに記載のセラミック製刃物。
  8. 前記ダイヤモンドライクカーボン層の厚さは0.1〜10μmである請求項1〜7のいずれかに記載のセラミック製刃物。
  9. 切刃部を有するジルコニアセラミック基材の前記切刃部の表面にスパッタリング法またはイオン注入法による処理で窒化物層を形成する第1工程と、
    前記窒化物層の表面にダイヤモンドライクカーボン層を形成する第2工程とを有するセラミック製刃物の製造方法。
  10. 前記第1工程と第2工程との間において、前記切刃部の刃先に沿ってマスキング材を塗布する請求項9に記載のセラミック製刃物の製造方法。
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