JPWO2012059957A1 - 空気調和機 - Google Patents
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Abstract
Description
圧縮機内に溜まりこんだ冷媒は圧縮機内の潤滑油に溶け込む。これにより、潤滑油の濃度が低下し、潤滑油の粘度が低下する。
この状態で圧縮機を起動すると、粘度の低い潤滑油が圧縮機の回転軸や圧縮部へ供給され、潤滑不良により圧縮機内の摺動部分等が焼き付く可能性がある。
また、圧縮機内に冷媒が溜まりこむことで圧縮機内の液面が上昇する。これにより、圧縮機を駆動する電動機の起動負荷が増加し、空気調和機の起動時に過電流とみなされ、空気調和機が起動できない場合がある。
圧縮機を加熱する加熱手段としては、圧縮機に巻きつけた電気ヒーターへ通電する方法がある。また、圧縮機に設置される電動機のコイルへ高周波数の低電圧を印加し、電動機を回転させずにコイルで発生するジュール熱によって加熱する方法がある。
しかし、停止中に圧縮機内へ冷媒が溜まりこむのを防止するために、圧縮機を加熱することで、空気調和機の停止中でも電力が消費されることになる。
そして、冷媒の凝縮は、例えば圧縮機を覆っているシェルの温度が圧縮機内の冷媒温度よりも低い場合に、圧縮機シェルと冷媒との温度差によって起こる。
逆に、圧縮機シェル温度が冷媒温度よりも高ければ冷媒の凝縮は起こらないので、圧縮機を加熱する必要はない。
このような圧縮機の回転軸や圧縮部の焼き付きは、実際には潤滑油の濃度が所定値まで低下する必要がある。
つまり、溜まりこむ冷媒量が所定値以下であれば、圧縮機に焼き付きが生じる潤滑油の濃度とはならない。
[全体の構成]
図1は本発明の実施の形態1における空気調和機の冷媒回路図である。
図1に示すように、空気調和機50は冷媒回路40を備えている。
冷媒回路40は、熱源側冷媒回路である室外冷媒回路41と、利用側冷媒回路である室内冷媒回路42とが、液側接続配管6とガス側接続配管7で接続されている。
室外冷媒回路41は、例えば屋外に設置されている室外機51に収容されている。
室外機51には、屋外の空気を室外機51内に供給する室外ファン11が設けられている。
室内冷媒回路42は、例えば屋内に設置されている室内機52に収容されている。
室内機52には、室内の空気を室内機52内に供給する室内ファン12が設けられている。
室外冷媒回路41は、圧縮機1と、四方弁2と、室外熱交換器3と、膨張弁4と、液側閉鎖弁8と、ガス側閉鎖弁9とが設けられており、順次冷媒配管で接続されている。
液側閉鎖弁8は液側接続配管6に接続されている。ガス側閉鎖弁9はガス側接続配管7に接続されている。空気調和機50設置後は、液側閉鎖弁8およびガス側閉鎖弁9は開放状態となっている。
なお、「室外熱交換器3」は、本発明における「熱源側熱交換器」に相当する。
なお、「膨張弁4」は、本発明における「膨張手段」に相当する。
室内冷媒回路42は、室内熱交換器5が設けられている。
室内冷媒回路42の一端は、液側接続配管6を介して液側閉鎖弁8に接続され、別の一端は、ガス側接続配管7を介してガス側閉鎖弁9に接続される。
なお、「室内熱交換器5」は、本発明における「利用側熱交換器」に相当する。
図2は本発明の実施の形態1における圧縮機の簡単な内部構造図である。
圧縮機1は、例えば図2に示すような全密閉式圧縮機により構成される。圧縮機1は、圧縮機シェル部61により外殻が構成される。
圧縮機シェル部61には、電動機部62と、圧縮部63とが収納されている。
圧縮機1には、冷媒を圧縮機1内に吸入する吸入部66が設けられている。
また、圧縮機1には、圧縮後の冷媒を吐出する吐出部65が設けられている。
吸入部66から吸入された冷媒は、圧縮部63へ吸引後、圧縮される。圧縮部63で圧縮された冷媒は、一旦、圧縮機シェル部61内に放出される。圧縮機シェル部61内に放出された冷媒は、吐出部65から冷媒回路40へ送り出される。このとき、圧縮機1内部は高圧となっている。
圧縮機1の電動機部62は、例えば三相電動機によって構成され、図示しないインバーターを通じて電力が供給される。
インバーターの出力周波数が変化すると、電動機部62の回転数が変化して、圧縮部63の圧縮容量が変化する。
室外熱交換器3および室内熱交換器5は、例えば、フィンアンドチューブ型熱交換器である。
室外熱交換器3は、室外ファン11から供給された屋外の空気と、冷媒回路40の冷媒とを熱交換する。
室内熱交換器5は、室内ファン12から供給された屋内の空気と、冷媒回路40の冷媒をと熱交換する。
四方弁2は、冷媒回路40の流れを切り替えるために用いられる。
なお、冷媒の流れを切り替える必要が無い場合、例えば冷房専用もしくは暖房専用で空気調和機50を用いる場合などでは、不要となるため冷媒回路40から取り外せる。
空気調和機50には、必要に応じて温度もしくは圧力センサが設けられている。
図1において、圧縮機温度センサ21と、冷媒温度センサ22と、外気温度センサ23と、室内温度センサ24と、圧力センサ25とが設けられている。
圧縮機温度センサ21は、圧縮機1(圧縮機シェル部61)の温度(以下「圧縮機温度」という。)を検出する。
冷媒温度センサ22は、圧縮機1内の冷媒温度を検出する。
外気温度センサ23は、室外熱交換器3が冷媒と熱交換する空気の温度(以下「外気温度」ともいう。)を検出する。
室内温度センサ24は、室内熱交換器5が冷媒と熱交換する空気の温度(以下「室内温度」ともいう。)を検出する。
圧力センサ25は、例えば圧縮機1の冷媒吸入側の配管に設けられ、冷媒回路40内の冷媒圧力を検出する
なお、圧力センサの配置位置はこれに限るものではない。圧力センサ25は、冷媒回路40の任意の位置に配置できる。
「圧縮機温度センサ21」は、本発明における「第2温度検出手段」に相当する。
「外気温度センサ23」は、本発明における「第3温度検出手段」に相当する。
「室内温度センサ24」は、本発明における「第4温度検出手段」に相当する。
「圧力センサ25」は、本発明における「圧力検出手段」に相当する。
制御装置31は、各センサの検出値が入力され、空気調和機の運転制御、例えば圧縮機の容量制御や、後述する圧縮機加熱部10の加熱制御を行う。
また、制御装置31は、演算装置32を備えている。
演算装置32は、圧縮機温度センサ21の検出値を用いて、所定時間あたりの冷媒温度の変化率(以下「冷媒温度変化率」という。)を求める。また、演算装置32は、演算に用いる所定時間前の冷媒温度を記憶する記憶装置(図示せず)と、所定時間の経過を計時するタイマ等(図示せず)を有する。
制御装置31は、演算装置32で演算した演算値を用いて、圧縮機加熱部10への加熱量を調整する。詳細は後述する。
なお、「制御装置31」および「演算装置32」は、本発明における「制御手段」に相当する。
圧縮機加熱部10は、圧縮機1を加熱するものである。
この圧縮機加熱部10は、例えば、圧縮機1の電動機部62により構成することができる。この場合、制御装置31は、空気調和機50が停止中、つまり圧縮機1が停止中に、圧縮機1の電動機部62へ欠相状態で通電する。これにより、欠相状態で通電された電動機部62は回転せず、コイルへ電流が流れることでジュール熱が発生し、圧縮機1を加熱することができる。つまり、空気調和機50の停止中は、電動機部62が圧縮機加熱部10となる。
なお、圧縮機加熱部10は、圧縮機1を加熱するものであれば良く、これに限るものではない。例えば、別途、電気ヒーターを設けても良い。
なお、「圧縮機加熱部10」は、本発明における「加熱手段」に相当する。
空気調和機50が停止中、冷媒回路40の冷媒は構成要素のうち一番温度が低い部分で凝縮して溜まりこむ。
このため、圧縮機1の温度が冷媒の温度よりも低ければ、圧縮機1に冷媒が溜まりこむ可能性がある。
圧縮機1は、例えば図2に示すような全密閉式圧縮機である。圧縮機1内には潤滑油100が貯留されている。
潤滑油100は、圧縮機1が運転すると圧縮部63や回転軸64へ供給され潤滑に利用される。
圧縮機1内で冷媒が凝縮して溜まると、潤滑油100へ冷媒が溶け込むことで潤滑油100の濃度が低下し、粘度も低下する。
この状態で圧縮機1を起動すると、粘度の低い潤滑油100が圧縮部63や回転軸64へ供給され、潤滑不良により焼き付く可能性がある。
また、冷媒が溜まりこむことで圧縮機内の液面が上昇すると、圧縮機1の起動負荷が増加し、空気調和機50の起動時に過電流とみなされ、空気調和機50が起動できない場合がある。
そこで、空気調和機50が停止中に制御装置31によって圧縮機加熱部10を操作して圧縮機1を加熱することで、圧縮機1内の潤滑油100に溶け込んだ液冷媒の蒸発により潤滑油100に溶け込んでいる冷媒量が減少させることができる。
また、圧縮機温度が冷媒温度よりも高い状態を維持できるように圧縮機を加熱することで圧縮機1への冷媒凝縮を防止し、潤滑油100の濃度低下を抑制できる。
図3に示すように、冷媒温度が変化すると、それに伴い、圧縮機1の圧縮機シェル部61の温度(以下「シェル温度」ともいう。)も変化する。
シェル温度の変化は、圧縮機1の熱容量によって、常に冷媒温度に対して遅れて追従する。
そして、冷媒温度とシェル温度との温度差と、その温度差が継続する時間によって圧縮機1内に存在するガス冷媒の凝縮量が異なる。
つまり、冷媒温度よりもシェル温度が低く、その温度差が大きいほど凝縮熱量が大きくなるため、冷媒を凝縮させないために行う圧縮機1への加熱量は大きくなる。
一方、冷媒温度とシェル温度との差が小さい場合は、圧縮機1内に凝縮する凝縮量が少ないため、圧縮機1への加熱量は小さくて済むことになる。
まず、圧縮機1内の冷媒温度Trと、圧縮機1の圧縮機温度Tsと、圧縮機1内の液冷媒量Mrとの関係について述べる。
ここで、圧縮機1に冷媒が寝込む場合を想定し、圧縮機温度Tsは冷媒温度Trよりも小さい状態と仮定する。
ここで、Aは圧縮機1と圧縮機1内の冷媒とが熱交換する面積を示す。Kは圧縮機1と圧縮機1内の冷媒との間の熱通過率を示す。
ここで、dHは冷媒の蒸発潜熱を示す。
ここで、C1は固定値であり、伝熱面積Aと熱通過率Kを蒸発潜熱dHで除した値である。
つまり、Tr−Tsは、冷媒温度Trの変化幅dTrに依存する。このため、冷媒温度Trの変化が、ある温度からdTrだけ変化して安定した場合、液冷媒量変化dMrは、式(5)で表すことができる。
ここで、C2は試験結果もしくは理論計算によって求めることができる比例定数である。
冷媒を圧縮機1内で凝縮させないためには、冷媒温度Trの変化時に発生する圧縮機1の熱交換量Qr(凝縮能力)と一致する加熱量を、圧縮機1に供給すれば良い。
このときの加熱量を、所定の加熱時間の間に得るために必要となる必要加熱能力Phは、式(7)の関係を持つ。
すなわち、図4に示すように、必要加熱能力Phは、冷媒温度Trの変化幅dTrと所定時間dtとの比である冷媒温度変化率(dTr/dt)に比例する。
逆に、冷媒温度変化率(dTr/dt)が小さければ、圧縮機1の熱交換量Qr(凝縮能力)が小さくなるため、必要加熱能力Phは小さくなる。
このように、冷媒温度変化率(dTr/dt)によって、圧縮機1内への冷媒凝縮を防止するために必要となる、圧縮機1へ供給する加熱能力を決めることができる。
次に、本実施の形態における圧縮機1の加熱制御について図5を用いて説明する。
以下、図5の各ステップに基づき説明する。
制御装置31は、空気調和機50の停止中、冷媒温度センサ22を用いて、現在の冷媒温度Trを検出する。
制御装置31の演算装置32は、検出した現在の冷媒温度Trと、所定時間dt前に記憶した冷媒温度Trx(後述)とを用いて、冷媒温度変化率Rr(=(dTr/dt)=(Tr−Trx)/dt)を算出する。
なお、初回動作時など、所定時間dt前の冷媒温度Trxが記憶されていない場合には、ステップS12〜S16を省略し、ステップS17に進む。
制御装置31は、算出した冷媒温度変化率Rrがゼロより大きいか否かを判断する。
冷媒温度変化率Rrがゼロより大きい場合、ステップS14に進む。
冷媒温度変化率Rrがゼロ以下の場合、ステップS16に進む。
制御装置31の演算装置32は、算出した冷媒温度変化率Rr(=dTr/dt)に比例する圧縮機1への必要加熱能力Phを求める。
また例えば、算出した冷媒温度変化率Rr(=dTr/dt)を上記式(6)に適用して、熱交換量Qrを算出し、これと一致する圧縮機1への加熱量を得る。そして、求めた加熱量を、所定の加熱時間(=所定時間dt)の間に得るために必要な加熱能力を、必要加熱能力Ph(=Qr/dt)として算出する。
制御装置31は、圧縮機加熱部10の加熱能力を、算出した必要加熱能力Phに設定し、所定の加熱時間(=所定時間dt)の間、圧縮機1の加熱を行う。
一方、冷媒温度変化率Rrがゼロ以下の場合、制御装置31の演算装置32は、必要加熱能力Phをゼロとする。制御装置31は、圧縮機加熱部10による圧縮機1の加熱を停止させる。
すなわち、冷媒温度変化率Rrがゼロ以下の場合、現在の冷媒温度Trよりも所定時間dt前の冷媒温度Trxが高いので冷媒は凝縮しないので、圧縮機1の加熱を行わない。
ステップS15により、圧縮機1を所定時間加熱した後、または、ステップS16により圧縮機1の加熱を停止させた後、制御装置31は、現在の冷媒温度Trを演算装置32に搭載された記憶装置に記憶させる。
制御装置31は、演算装置32に搭載されたタイマ等により、所定時間dtの経過を計時し、所定時間dt経過後、ステップS11に戻り、上記ステップを繰り返す。
なお、図6では、外気温度変化とそのときの加熱能力の関係を示している。これは、屋外に設置される室外熱交換器3は、室外空気と接触する表面の面積が大きく、通常、その熱容量が比較的小さい。このため、外気温度が変化すると、冷媒温度も殆ど同時に変化することから外気温度を用いている。
図6の上段は、外気温度と時刻との関係を示している。図6の下段は、上述した加熱制御動作による圧縮機加熱部10の加熱能力を示している。なお、所定時間dtは30分である。
図6に示すように、外気温度(冷媒温度)が一定または低下する間は、冷媒温度変化率Rrがゼロ以下となるため加熱能力がゼロとなる。
このように、シェル温度が冷媒温度よりも高く、冷媒の凝縮が起こらない場合には、圧縮機1の加熱を停止することが可能となる。
一方、外気温度(冷媒温度)が上昇する場合には、その変化率に比例して加熱能力が増減している。
このように、外気温度(冷媒温度)の上昇時において、圧縮機1の熱交換量Qr(凝縮能力)と一致する加熱量を、圧縮機1に供給することで、圧縮機1の加熱量を過度に供給することなく、圧縮機1内への冷媒凝縮を防止することが可能となる。
以上のように本実施の形態においては、圧縮機1が停止中の状態において、冷媒温度センサ22の検出値を用いて、所定時間dtあたりの冷媒温度Trの変化率を求め、圧縮機加熱部10による圧縮機1への加熱量を、冷媒温度Trの変化率に比例させる。
このため、圧縮機1の加熱量を過度に供給することなく、冷媒が圧縮機1で凝縮して溜まりこむこと防止することが可能となる。よって、空気調和機の停止中における電力消費、つまり待機電力を抑制することができる。
また、圧縮機1内への冷媒凝縮を防止することで、潤滑油の濃度の低下を抑制することができ、潤滑不良による圧縮機1内の焼き付きや、圧縮機の起動負荷の増加を防止することができる。
このため、冷媒の凝縮が起こらない場合には、圧縮機1の加熱を停止することが可能となる。よって、圧縮機1の加熱量を過度に供給することを防止し、空気調和機50の停止中における電力消費を抑制することができる。
また、所定の加熱時間の間に加熱量を得るように、圧縮機加熱部10の加熱能力を変化させる。
このため、冷媒を圧縮機1内で凝縮させないために、冷媒温度Trの変化時に発生する圧縮機1の熱交換量Qr(凝縮能力)と一致する加熱量を、圧縮機1に供給することができる。
よって、圧縮機1の加熱量を過度に供給することなく、冷媒が圧縮機1で凝縮して溜まりこむこと防止することが可能となる。
[冷媒温度の推定]
本実施の形態2では、所定時間dt後の冷媒温度Trpを推定し、この所定時間dt後の冷媒温度Trpと現在の冷媒温度Trとを用いて、冷媒温度変化率を求める形態について説明する。
なお、本実施の形態における構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
以下、図7の各ステップに基づき、上記実施の形態1(図5)との相違点を中心に説明する。
なお、上記実施の形態1と同一ステップには同一の符号を付する。
制御装置31の演算装置32は、ステップS11で検出した現在の冷媒温度Trと、前回のステップS17で記憶した所定時間dt前の冷媒温度Tr1と、前々回のステップS17で記憶した冷媒温度Tr2(冷媒温度Tr1の所定時間dt前)とを用いて、現在から所定時間dt後の冷媒温度Trpを推定する。
なお、初回動作時など、冷媒温度Tr1およびTr2が記憶されていない場合には、ステップS21、S22、13〜S16を省略し、ステップS17に進む。
また、冷媒温度Tr、Tr1、Tr2の相互間における増加分の変化率を求めてこの変化率から所定時間dt後の冷媒温度Trpを推定しても良い。
また、過去一日における外気温度の変化を逐次記憶し、この過去の外気温度の変化と、検出した冷媒温度Tr、Tr1、Tr2とを比較することで、冷媒温度Trpを推定しても良い。
少なくとも、現在の冷媒温度Trと、所定時間dt前の冷媒温度Tr1とを用いて、所定時間dt後の冷媒温度Trpを推定するようにしても良い。
また、前々回の冷媒温度Tr2より更に前に検出した冷媒温度Trn(n=3、4…)を用いても良い。
制御装置31の演算装置32は、ステップS22で推定した所定時間dt後の冷媒温度Trpと、ステップS11で検出した現在の冷媒温度Trとを用いて、冷媒温度変化率Rr(=(dTr/dt)=(Trp−Tr)/dt)を算出する。
以上のように本実施の形態においては、冷媒温度センサ22により検出された、現在の冷媒温度Trと所定時間dt前の冷媒温度Tr1とを少なくとも用いて、所定時間dt後の冷媒温度Trpを推定する。そして、所定時間dt後の冷媒温度Trpと現在の冷媒温度Trとを用いて、冷媒温度変化率Rrを求める。
このため、外気温度が刻々と変化して、それに伴い冷媒温度も変化する場合であっても、所定時間経過後に必要となる加熱量を推定することができ、所定時間後に加熱量が不足する可能性を軽減することができる。
よって、冷媒温度の変化に応じた加熱量を圧縮機1へ供給でき、より圧縮機1への冷媒凝縮を抑制することができる。
[シェル温度と冷媒温度とから加熱量を算出]
本実施の形態3では、制御装置31が行う加熱量の算出動作が上記実施の形態1、2と相違する。
なお、本実施の形態における構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
この温度差(Tr−Ts)を、上記式(1)に適用することで、圧縮機1内の冷媒が凝縮する際の熱交換量Qrを求める。
例えば制御装置31は、所定の加熱時間(=所定時間dt)の間に、熱交換量Qrと一致する加熱量を得るように、圧縮機加熱部10の加熱能力を設定する。
以上のように本実施の形態においては、圧縮機1が停止中の状態において、冷媒温度センサ22により検出された冷媒温度Trと、圧縮機温度センサ21により検出された圧縮機温度Tsとの差に基づき、圧縮機1内の冷媒が凝縮する際の熱交換量Qrを求める。そして、圧縮機加熱部10による圧縮機1への加熱量を、熱交換量Qrに比例させる。
このため、圧縮機1の周囲環境の影響を受けても、精度良く圧縮機1への必要加熱量を推算することが可能となり、空気調和機50の停止中における消費電力、つまり待機電力をより抑制することができる。
[加熱量一定制御]
本実施の形態4では、圧縮機加熱部10の加熱能力を所定値とし、求めた加熱量を得るように加熱時間を変化させる形態について説明する。
なお、本実施の形態における構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
また、加熱量を求める動作は、上記実施の形態1〜3の何れかと同様である。
図8の上段は冷媒温度と経過時間との関係を示している。
図8の中段は圧縮機加熱部10の加熱能力を変化させる場合の、加熱能力と経過時間との関係を示している。
図8の下段は圧縮機加熱部10による加熱時間を変化させる場合の、加熱能力と経過時間との関係を示している。
上記実施の形態1〜3では、図8の中段に示すように、所定時間dtの間の加熱能力Phを変化させることで、所望の加熱量を圧縮機1に供給した。
このとき、圧縮機1へ供給された加熱量Wは、式(8)で表すことができる。
以上のように本実施の形態においては、圧縮機加熱部10の加熱能力を所定値とし、加熱量を得るように加熱時間を変化させる。
このため、上記実施の形態1〜3と同様の効果を得ることができる。
さらに、圧縮機加熱部10の加熱能力を所定値(一定)とするので、加熱能力を設定するための制御動作が不要となり、単純なオンオフ制御とすることで制御装置31の制御動作を簡素化できる。よって、制御装置31を簡易な構成とすることができ、低コスト化を図ることができる。
[圧力から冷媒温度を算出]
本実施の形態5では、冷媒圧力を冷媒飽和ガス温度に換算し、冷媒飽和ガス温度を冷媒温度Trとして用いる形態について説明する。
なお、本実施の形態における構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
また、加熱量を求める動作は、上記実施の形態1〜4の何れかと同様である。
圧縮機1が停止中の場合、冷媒回路40の圧力はどこも同じとなる(均圧)。
そして、冷媒回路40は閉回路であり、回路中に液冷媒が存在すれば、圧力センサ25の検出値は飽和圧力となる。このため、図9に示すように、冷媒圧力は飽和温度に換算できる。
以上のように本実施の形態においては、圧縮機1が停止中の状態において、圧力センサ25により検出された冷媒圧力を冷媒飽和ガス温度に換算し、冷媒飽和ガス温度を冷媒温度Trとして用いる。
このため、直接的に冷媒温度を知ることができるので、加熱量を精度良く算出することができる。
よって、圧縮機1の過剰な加熱や加熱不足による冷媒凝縮などをより精度良く防止できる。したがって、空気調和機50の停止中における消費電力、つまり待機電力をより抑制しつつ信頼性が向上することができる。
[蒸発潜熱に応じて加熱量を制御]
本実施の形態6では、冷媒圧力または外気温度により異なる冷媒の蒸発潜熱に応じて、加熱量を制御する形態について説明する。
なお、本実施の形態における構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
また、加熱量を求める動作は、上記実施の形態1〜5の何れかと同様である。
上述した、式(2)、式(6)における冷媒の蒸発潜熱dHは、冷媒圧力によって異なる。
例えばR410Aの場合は、図10に示すように、冷媒圧力の低下に伴い蒸発潜熱は低下する。
つまり、冷媒圧力が低い場合は、圧縮機1の熱交換量Qrが大きくなり、冷媒圧力が高い場合は、圧縮機1の熱交換量Qrが小さくなる。
このことより、加熱量の過不足がないようにするため、冷媒温度変化率が同じ場合でも、冷媒圧力が低い場合には圧縮機1への加熱量を大きくする必要がある。また、冷媒圧力が高い場合には、圧縮機1への加熱量が小さくても良い。
または、制御装置31は、外気温度センサ23により検出された温度が大きいほど、圧縮機加熱部10の加熱量を小さくする。
以上のように本実施の形態においては、圧縮機1が停止中の状態において、圧力センサ25により検出された冷媒圧力が大きいほど、圧縮機加熱部10の加熱量を小さくする。
または、外気温度センサ23により検出された温度が大きいほど、圧縮機加熱部10の加熱量を小さくする。
このため、冷媒の蒸発潜熱の変化による圧縮機1の熱交換量Qrの変動に応じた加熱量を、圧縮機1に供給することができ、圧縮機1の加熱量を過度に供給することなく、圧縮機1内への冷媒凝縮を防止することが可能となる。
よって、空気調和機の停止中における電力消費、つまり待機電力を抑制することができる。
[冷媒温度の代替]
本実施の形態7では、冷媒温度Trに代えて、外気温度センサ23または室内温度センサ24の検出値を用いる形態について説明する。
なお、本実施の形態における構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
また、加熱量を求める動作は、上記実施の形態1〜6の何れかと同様である。
また、室外熱交換器3および室内熱交換器5は、例えばアルミニウムや銅などの熱伝導率が比較的高い金属からなる部材で構成されており、その熱容量が比較的小さい。
このことから、室外熱交換器3の熱容量が室内熱交換器5の熱容量よりも大きい場合には、制御装置31は、圧縮機1の停止中において、外気温度センサ23により検出された温度を冷媒温度Trとして用いる。
このことから、室内熱交換器5の熱容量が室外熱交換器3の熱容量よりも大きい場合には、制御装置31は、圧縮機1の停止中において、室内温度センサ24により検出された温度を冷媒温度Trとして用いる。
以上のように本実施の形態においては、外気温度センサ23または室内温度センサ24により検出された温度を冷媒温度Trとして用いる。
このため、圧縮機1内の冷媒温度を検出する冷媒温度センサ22が不要となる。よって、一般的な空気調和機50に搭載されている外気温度センサ23または室内温度センサ24を用いて、圧縮機1への加熱量を求めることができ、構成を複雑化することなく加熱量の算出が可能となる。
[通風の影響対策]
本実施の形態8では、室外熱交換器3を通過する空気の有無に応じて加熱量を制御する形態について説明する。
なお、本実施の形態における構成は、上記実施の形態1の構成に、後述する通風検出手段を追加するものである。その他の構成は上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
また、加熱量を求める動作は、上記実施の形態1〜7の何れかと同様である。
圧縮機1内で冷媒が凝縮する条件では、室外熱交換器3を通過する空気が無い場合よりも冷媒温度の変化は大きくなり、より冷媒が凝縮し易くなる。
この通風検知手段は、例えば、室外ファン11を駆動するファンモータに誘起される電位差を検出することで、室外熱交換器3を通過する空気の有無を検出する。
つまり、室外ファン11の停止中において、室外熱交換器3を通過する空気により室外ファン11が回転するとファンモータで電位差が生じることから、室外熱交換器3を通過する空気の有無を検出することが可能となる。
なお、通風検知手段の構成はこれに限るものではない。例えば、室外熱交換器3の近傍に風速計等を設けても良い。
以上のように本実施の形態においては、圧縮機加熱部10による圧縮機1の加熱中に、通風検出手段により通過する空気が有りと検出された場合、通過する空気が無い場合よりも、加熱量を増加させる。
このため、屋外の風が室外機51内に流入し、室外熱交換器3における冷媒と空気との熱交換量が増え、冷媒が凝縮し易い場合には、圧縮機1内への加熱量を増加させることができ、冷媒が圧縮機1で凝縮して溜まりこむこと防止することが可能となる。
よって、空気調和機の停止中における電力消費、つまり待機電力を抑制することができる。
ここで、C1は固定値であり、伝熱面積Aと熱通過率Kの積を蒸発潜熱dHで除した値である。
少なくとも、現在の冷媒温度Trと、所定時間dt前の冷媒温度Tr1とを用いて、所定時間dt後の冷媒温度Trpを推定するようにしても良い。
また、前々回の冷媒温度Tr2より更に前に検出した冷媒温度Trn(n=3、4…)を用いても良い。
Claims (13)
- 少なくとも、圧縮機、熱源側熱交換器、膨張手段、および利用側熱交換器が冷媒配管で接続され冷媒を循環させる冷媒回路と、
前記圧縮機を加熱する加熱手段と、
前記圧縮機内の冷媒温度を検出する第1温度検出手段と、
前記加熱手段を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記圧縮機が停止中の状態において、
前記第1温度検出手段の検出値を用いて、所定時間あたりの前記冷媒温度の変化率を求め、
前記加熱手段による前記圧縮機への加熱量を、前記冷媒温度の変化率に比例させる
ことを特徴とする空気調和機。 - 前記制御手段は、
前記冷媒温度の変化率がゼロ以下の場合、前記加熱手段による前記圧縮機の加熱を停止させる
ことを特徴とする請求項1記載の空気調和機。 - 前記制御手段は、
前記第1温度検出手段により検出された、現在の冷媒温度と所定時間前の冷媒温度とを用いて、前記冷媒温度の変化率を求める
ことを特徴とする請求項1または2記載の空気調和機。 - 前記制御手段は、
前記第1温度検出手段により検出された、現在の冷媒温度と所定時間前の冷媒温度とを少なくとも用いて、所定時間後の冷媒温度を推定し、
前記所定時間後の冷媒温度と現在の冷媒温度とを用いて、前記冷媒温度の変化率を求める
ことを特徴とする請求項1または2記載の空気調和機。 - 少なくとも、圧縮機、熱源側熱交換器、膨張手段、および利用側熱交換器が冷媒配管で接続され冷媒を循環させる冷媒回路と、
前記圧縮機を加熱する加熱手段と、
前記圧縮機内の冷媒温度を検出する第1温度検出手段と、
前記圧縮機の温度を検出する第2温度検出手段と、
前記加熱手段を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記圧縮機が停止中の状態において、
前記第1温度検出手段により検出された冷媒温度と、前記第2温度検出手段により検出された前記圧縮機の温度との差に基づき、前記圧縮機内の冷媒が凝縮する際の熱交換量を求め、
前記加熱手段による前記圧縮機への加熱量を、前記熱交換量に比例させる
ことを特徴とする空気調和機。 - 前記制御手段は、
所定の加熱時間の間に前記加熱量を得るように、前記加熱手段の加熱能力を変化させる
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の空気調和機。 - 前記制御手段は、
前記加熱手段の加熱能力を所定値とし、前記加熱量を得るように加熱時間を変化させる
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の空気調和機。 - 前記冷媒回路の任意の位置に配置され、前記冷媒回路内の冷媒圧力を検出する圧力検出手段を備え、
前記制御手段は、
前記圧縮機が停止中の状態において、前記圧力検出手段により検出された冷媒圧力を冷媒飽和ガス温度に換算し、前記冷媒飽和ガス温度を前記冷媒温度として用いる
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の空気調和機。 - 前記冷媒回路の任意の位置に配置され、前記冷媒回路内の冷媒圧力を検出する圧力検出手段を備え、
前記制御手段は、
前記圧縮機が停止中の状態において、前記圧力検出手段により検出された冷媒圧力が大きいほど、前記加熱手段の加熱量を小さくする
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の空気調和機。 - 前記熱源側熱交換器が前記冷媒と熱交換する空気の温度を検出する第3温度検出手段を備え、
前記制御手段は、
前記第3温度検出手段により検出された温度が大きいほど、前記加熱手段の加熱量を小さくする
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の空気調和機。 - 前記熱源側熱交換器が前記冷媒と熱交換する空気の温度を検出する第3温度検出手段を備え、
前記熱源側熱交換器の熱容量が、前記利用側熱交換器の熱容量よりも大きい場合、
前記制御手段は、
前記冷媒温度に代えて、前記第3温度検出手段により検出された温度を用いる
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の空気調和機。 - 前記利用側熱交換器が前記冷媒と熱交換する空気の温度を検出する第4温度検出手段を備え、
前記利用側熱交換器の熱容量が、前記熱源側熱交換器の熱容量よりも大きい場合、
前記制御手段は、
前記冷媒温度に代えて、前記第4温度検出手段により検出された温度を用いる
ことを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の空気調和機。 - 前記熱源側熱交換器を通過する空気の有無を検出する通風検出手段を備え、
前記制御手段は、
前記加熱手段による前記圧縮機の加熱中に、前記通風検出器により通過する空気が有りと検出された場合、通過する空気が無い場合よりも、前記加熱量を増加させる
ことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の空気調和機。
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