JP5264871B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
圧縮機内に溜まりこんだ冷媒は圧縮機内の潤滑油に溶け込む。これにより、潤滑油の濃度が低下し、潤滑油の粘度が低下する。
この状態で圧縮機を起動すると、粘度の低い潤滑油が圧縮機の回転軸や圧縮部へ供給され、潤滑不良により圧縮機内の摺動部分等が焼き付く可能性がある。
また、圧縮機内に冷媒が溜まりこむことで圧縮機内の液面が上昇する。これにより、圧縮機を駆動する電動機の起動負荷が増加し、空気調和機の起動時に過電流とみなされ、空気調和機が起動できない場合がある。
圧縮機を加熱する加熱手段としては、圧縮機に巻きつけた電気ヒーターへ通電する方法がある。また、圧縮機に設置される電動機のコイルへ高周波数の低電圧を印加し、電動機を回転させずにコイルで発生するジュール熱によって加熱する方法がある。
しかし、停止中に圧縮機内へ冷媒が溜まりこむのを防止するために、圧縮機を加熱することで、空気調和機の停止中でも電力が消費されることになる。
そして、冷媒の凝縮は、例えば圧縮機を覆っているシェルの温度が圧縮機内の冷媒温度よりも低い場合に、圧縮機シェルと冷媒との温度差によって起こる。
逆に、圧縮機シェル温度が冷媒温度よりも高ければ冷媒の凝縮は起こらないので、圧縮機を加熱する必要はない。
このような圧縮機の回転軸や圧縮部の焼き付きは、実際には潤滑油の濃度が所定値まで低下する必要がある。
つまり、溜まりこむ冷媒量が所定値以下であれば、圧縮機に焼き付きが生じる潤滑油の濃度とはならない。
[全体の構成]
図1は本発明の実施の形態1における空気調和機の冷媒回路図である。
図1に示すように、空気調和機50は冷媒回路40を備えている。
冷媒回路40は、熱源側冷媒回路である室外冷媒回路41と、利用側冷媒回路である室内冷媒回路42とが、液側接続配管6とガス側接続配管7で接続されている。
室外冷媒回路41は、例えば屋外に設置されている室外機51に収容されている。
室外機51には、屋外の空気を室外機51内に供給する室外ファン11が設けられている。
室内冷媒回路42は、例えば屋内に設置されている室内機52に収容されている。
室内機52には、室内の空気を室内機52内に供給する室内ファン12が設けられている。
室外冷媒回路41は、圧縮機1と、四方弁2と、室外熱交換器3と、膨張弁4と、液側閉鎖弁8と、ガス側閉鎖弁9とが設けられており、順次冷媒配管で接続されている。
液側閉鎖弁8は液側接続配管6に接続されている。ガス側閉鎖弁9はガス側接続配管7に接続されている。空気調和機50設置後は、液側閉鎖弁8およびガス側閉鎖弁9は開放状態となっている。
なお、「室外熱交換器3」は、本発明における「熱源側熱交換器」に相当する。
なお、「膨張弁4」は、本発明における「膨張手段」に相当する。
室内冷媒回路42は、室内熱交換器5が設けられている。
室内冷媒回路42の一端は、液側接続配管6を介して液側閉鎖弁8に接続され、別の一端は、ガス側接続配管7を介してガス側閉鎖弁9に接続される。
なお、「室内熱交換器5」は、本発明における「利用側熱交換器」に相当する。
図2は本発明の実施の形態1における圧縮機の簡単な内部構造図である。
圧縮機1は、例えば図2に示すような全密閉式圧縮機により構成される。圧縮機1は、圧縮機シェル部61により外殻が構成される。
圧縮機シェル部61には、電動機部62と、圧縮部63とが収納されている。
圧縮機1には、冷媒を圧縮機1内に吸入する吸入部66が設けられている。
また、圧縮機1には、圧縮後の冷媒を吐出する吐出部65が設けられている。
吸入部66から吸入された冷媒は、圧縮部63へ吸引後、圧縮される。圧縮部63で圧縮された冷媒は、一旦、圧縮機シェル部61内に放出される。圧縮機シェル部61内に放出された冷媒は、吐出部65から冷媒回路40へ送り出される。このとき、圧縮機1内部は高圧となっている。
圧縮機1の電動機部62は、例えば三相電動機によって構成され、図示しないインバーターを通じて電力が供給される。
インバーターの出力周波数が変化すると、電動機部62の回転数が変化して、圧縮部63の圧縮容量が変化する。
室外熱交換器3および室内熱交換器5は、例えば、フィンアンドチューブ型熱交換器である。
室外熱交換器3は、室外ファン11から供給された屋外の空気と、冷媒回路40の冷媒とを熱交換する。
室内熱交換器5は、室内ファン12から供給された屋内の空気と、冷媒回路40の冷媒とを熱交換する。
四方弁2は、冷媒回路40の流れを切り替えるために用いられる。
なお、冷媒の流れを切り替える必要が無い場合、例えば冷房専用もしくは暖房専用で空気調和機50を用いる場合などでは、不要となるため冷媒回路40から取り外せる。
空気調和機50には、必要に応じて温度もしくは圧力センサが設けられている。
図1において、圧縮機温度センサ21と、冷媒温度センサ22と、外気温度センサ23と、室内温度センサ24と、圧力センサ25とが設けられている。
圧縮機温度センサ21は、圧縮機1(圧縮機シェル部61)の温度(以下「圧縮機シェル温度」という。)を検出する。
冷媒温度センサ22は、圧縮機1内の冷媒温度を検出する。
外気温度センサ23は、室外熱交換器3が冷媒と熱交換する空気の温度(以下「外気温度」ともいう。)を検出する。
室内温度センサ24は、室内熱交換器5が冷媒と熱交換する空気の温度(以下「室内温度」ともいう。)を検出する。
圧力センサ25は、例えば圧縮機1の冷媒吸入側の配管に設けられ、冷媒回路40内の冷媒圧力を検出する
なお、圧力センサの配置位置はこれに限るものではない。圧力センサ25は、冷媒回路40の任意の位置に配置できる。
なお、「圧縮機シェル温度」は、本発明における「圧縮機の温度」に相当する。
制御装置31は、各センサの検出値が入力され、空気調和機の運転制御、例えば圧縮機の容量制御や、後述する圧縮機加熱部10の加熱制御を行う。
また、制御装置31は、演算装置32を備えている。
演算装置32は、圧縮機温度センサ21の検出値を用いて、所定時間あたりの冷媒温度の変化率(以下「冷媒温度変化率」という。)を求める。また、演算装置32は、演算に用いる所定時間前の冷媒温度を記憶する記憶装置(図示せず)と、所定時間の経過を計時するタイマ等(図示せず)を有する。
制御装置31は、演算装置32で演算した演算値を用いて、圧縮機加熱部10の加熱能力を調整する。詳細は後述する。
なお、「制御装置31」および「演算装置32」は、本発明における「制御手段」に相当する。
圧縮機加熱部10は、圧縮機1を加熱するものである。
圧縮機加熱部10は、制御装置31により、圧縮機1を加熱する加熱能力(電力)が、所定の上限値以下の範囲で設定される。
この圧縮機加熱部10は、例えば、圧縮機1の電動機部62により構成することができる。この場合、制御装置31は、空気調和機50が停止中、つまり圧縮機1が停止中に、圧縮機1の電動機部62へ欠相状態で通電する。これにより、欠相状態で通電された電動機部62は回転せず、コイルへ電流が流れることでジュール熱が発生し、圧縮機1を加熱することができる。つまり、空気調和機50の停止中は、電動機部62が圧縮機加熱部10となる。
なお、圧縮機加熱部10は、圧縮機1を加熱するものであれば良く、これに限るものではない。例えば、別途、電気ヒーターを設けても良い。
なお、「圧縮機加熱部10」は、本発明における「加熱手段」に相当する。
空気調和機50が停止中、冷媒回路40の冷媒は構成要素のうち一番温度が低い部分で凝縮して溜まりこむ。
このため、圧縮機1の温度が冷媒の温度よりも低ければ、圧縮機1に冷媒が溜まりこむ可能性がある。
圧縮機1は、例えば図2に示すような全密閉式圧縮機である。圧縮機1内には潤滑油100が貯留されている。
潤滑油100は、圧縮機1が運転すると圧縮部63や回転軸64へ供給され潤滑に利用される。
圧縮機1内で冷媒が凝縮して溜まると、潤滑油100へ冷媒が溶け込むことで潤滑油100の濃度が低下し、粘度も低下する。
この状態で圧縮機1を起動すると、粘度の低い潤滑油100が圧縮部63や回転軸64へ供給され、潤滑不良により焼き付く可能性がある。
また、冷媒が溜まりこむことで圧縮機内の液面が上昇すると、圧縮機1の起動負荷が増加し、空気調和機50の起動時に過電流とみなされ、空気調和機50が起動できない場合がある。
そこで、空気調和機50が停止中に制御装置31によって圧縮機加熱部10を操作して圧縮機1を加熱することで、圧縮機1内の潤滑油100に溶け込んだ液冷媒の蒸発により潤滑油100に溶け込んでいる冷媒量が減少させることができる。
また、圧縮機シェル温度が冷媒温度よりも高い状態を維持できるように圧縮機を加熱することで圧縮機1への冷媒凝縮を防止し、潤滑油100の濃度低下を抑制できる。
図3に示すように、冷媒温度が変化すると、それに伴い、圧縮機シェル温度も変化する。
圧縮機シェル温度の変化は、圧縮機1の熱容量によって、常に冷媒温度に対して遅れて追従する。
そして、冷媒温度と圧縮機シェル温度との温度差と、その温度差が継続する時間によって圧縮機1内に存在するガス冷媒の凝縮量が異なる。
つまり、冷媒温度よりも圧縮機シェル温度が低く、その温度差が大きいほど凝縮熱量が大きくなるため、冷媒を凝縮させないために行う圧縮機1への加熱量は大きくなる。
一方、冷媒温度と圧縮機シェル温度との差が小さい場合は、圧縮機1内に凝縮する凝縮量が少ないため、圧縮機1への加熱量は小さくて済むことになる。
まず、圧縮機1内の冷媒温度Trと、圧縮機1の圧縮機シェル温度Tsと、圧縮機1内の液冷媒量Mrとの関係について述べる。
ここで、圧縮機1に冷媒が寝込む場合を想定し、圧縮機シェル温度Tsは冷媒温度Trよりも小さい状態と仮定する。
ここで、Aは圧縮機1と圧縮機1内の冷媒とが熱交換する面積を示す。Kは圧縮機1と圧縮機1内の冷媒との間の熱通過率を示す。
ここで、dHは冷媒の蒸発潜熱を示す。
つまり、Tr−Tsは、冷媒温度Trの変化幅dTrに依存する。このため、冷媒温度Trの変化が、ある温度からdTrだけ変化して安定した場合、液冷媒量変化dMrは、式(5)で表すことができる。
ここで、C2は試験結果もしくは理論計算によって求めることができる比例定数である。
冷媒を圧縮機1内で凝縮させないためには、冷媒温度Trの変化時に発生する圧縮機1の熱交換量Qr(凝縮能力)と一致する加熱量を、圧縮機1に供給すれば良い。
このときの加熱量を得るために必要となる必要加熱能力P*は、式(7)の関係を持つ。
すなわち、図4に示すように、必要加熱能力P*は、冷媒温度Trの変化幅dTrと所定時間dtとの比である冷媒温度変化率(dTr/dt)に比例する。
逆に、冷媒温度変化率(dTr/dt)が小さければ、圧縮機1の熱交換量Qr(凝縮能力)が小さくなるため、必要加熱能力P*は小さくなる。
このように、冷媒温度変化率(dTr/dt)によって、圧縮機1内への冷媒凝縮を防止するために必要となる、圧縮機1へ供給する加熱能力を決めることができる。
上述のように圧縮機1内の冷媒温度Trを用いることで必要加熱能力P*を求めることができる。しかし、冷媒温度センサ22を別途設ける必要が生じる。また、冷媒温度は温度の変化幅が大きいため、例えば冷媒温度センサ22をサーミスタにより構成した場合、低温域では分解能が低く測定誤差が生じる場合がある。
また、室外熱交換器3および室内熱交換器5は、例えばアルミニウムや銅などの熱伝導率が比較的高い金属からなる部材で構成されており、その熱容量が比較的小さい。
このことから、室外熱交換器3の熱容量が室内熱交換器5の熱容量よりも大きく構成されている場合には、圧縮機1の停止中において、冷媒温度Trに代えて、外気温度センサ23の検出値を用いることができる。
このことから、室内熱交換器5の熱容量が室外熱交換器3の熱容量よりも大きく構成されている場合には、圧縮機1の停止中において、冷媒温度Trに代えて、室内温度センサ24の検出値を用いることができる。
よって、一般的な空気調和機50に搭載されている外気温度センサ23または室内温度センサ24を用いて、圧縮機1への加熱量を求めることができ、構成を複雑化することなく加熱量の算出が可能となる。
すなわち、上記式(5)の液冷媒量変化dMr[kg]は、外気温度Ta[℃]の所定時間dt[s]における変化幅dTa[℃]を用いて、式(8)で表すことができる。
ここで、αは試験結果もしくは理論計算によって求めることができる比例定数である。
ここで、dHは冷媒の蒸発潜熱[J/kg]を示す。
上述したように、冷媒を圧縮機1内で凝縮させないためには必要加熱能力P*以上の加熱能力(電力)を、圧縮機1に供給すれば良い。
しかし、実際には、圧縮機加熱部10から圧縮機1へ供給可能な加熱能力(電力)には限度がある。
このため、必要加熱能力P*が、圧縮機加熱部10の加熱能力の上限(以下「加熱能力上限Pmax」という。)を超える場合、加熱能力が不足した分、圧縮機1内に冷媒が凝縮することとなる。
図5は本発明の実施の形態1における加熱動作の遷移を示す図である。
まず、図5の各ステップに基づき、本実施の形態における圧縮機1の加熱動作の遷移について説明する。
制御装置31は、空気調和機50の停止中(圧縮機1が停止中の状態)において、外気温度変化率Tahを算出する。
制御装置31は、圧縮機1が停止中の状態であって、外気温度変化率Tahがゼロを超えた場合、第1加熱動作を開始する。
第1加熱動作において、制御装置31は、外気温度変化率Tahに基づき、圧縮機加熱部10の加熱能力を、加熱能力上限Pmax以下の範囲で設定し、圧縮機1の加熱を行う。
さらに、制御装置31は、外気温度変化率Tahと、圧縮機加熱部10の加熱能力の設定値とに基づき、第1加熱動作によっても蒸発されず圧縮機1内に凝縮した冷媒量である残留冷媒液量Msを求める。
第1加熱動作中に外気温度変化率Tahがゼロ以下となり、かつ、残留冷媒液量Msがゼロの場合、制御装置31は、加熱動作を停止する(S0)。
一方、第1加熱動作中に外気温度変化率Tahがゼロ以下となり、かつ、残留冷媒液量Msがゼロを超えた場合、制御装置31は、第2加熱動作を開始する。
第2加熱動作において、制御装置31は、残留冷媒液量Msに基づき圧縮機加熱部10を制御し、圧縮機1内に凝縮した冷媒を蒸発させる。
外気温度変化率Tahがゼロ以下、かつ、後述するアシスト加熱時間Δthが経過した場合、制御装置31は、加熱動作を停止する(S0)。
一方、第2加熱動作中に外気温度変化率Tahがゼロを超えた場合、第1加熱動作を開始する(S1)。
図6は本発明の実施の形態1における外気温度変化率の算出動作を示すフローチャートである。
まず、外気温度変化率Tahの算出動作を、図6の各ステップに基づき説明する。
制御装置31は、空気調和機50の停止中、外気温度センサ23を用いて、現在の外気温度Taを検出する。
制御装置31の演算装置32は、検出した現在の外気温度Ta(0)と、所定時間dt前に記憶した外気温度Ta(1)(後述)とを用いて、外気温度変化率Tah(=(dTa/dt)=(Ta(0)−Ta(1))/dt)を算出する。
なお、初回動作時など、所定時間dt前の外気温度Ta(0)が記憶されていない場合には、ステップS12を省略し、ステップS13に進む。
制御装置31は、現在の外気温度Taを演算装置32に搭載された記憶装置に記憶させる。
制御装置31は、演算装置32に搭載されたタイマ等により、所定時間dtの経過を計時し、所定時間dt経過後、ステップS11に戻り、上記ステップを繰り返す。
次に、第1加熱動作の詳細を説明する。
<開始条件>
以下の全ての条件を満足した場合(論理積)、第1加熱動作を開始する。
(a)圧縮機1が停止中の状態
(b)Tah>0
図7は本発明の実施の形態1における第1加熱動作を示すフローチャートである。
以下、図7の各ステップに基づき説明する。
制御装置31の演算装置32は、現在の外気温度変化率Tahに比例する必要加熱能力P*を求める。
この必要加熱能力P*の算出は、現在の外気温度変化率Tahを上記式(10)に適用して算出する。
また例えば、現在の外気温度変化率Tahに、予め設定した所定の係数を乗算することで算出できる。
制御装置31は、算出した必要加熱能力P*が、予め設定した加熱能力上限Pmaxより大きいか否かを判断する。
必要加熱能力P*が加熱能力上限Pmax以下の場合、ステップS23に進む。
必要加熱能力P*が加熱能力上限Pmaxより大きい場合、ステップS24に進む。
制御装置31は、圧縮機加熱部10の加熱能力を、算出した必要加熱能力P*に設定し、所定の加熱時間(=所定時間dt)の間、圧縮機1の加熱を行う。
一方、必要加熱能力P*が加熱能力上限Pmaxより大きい場合、制御装置31は、圧縮機加熱部10の加熱能力を、加熱能力上限Pmaxに設定し、所定の加熱時間(=所定時間dt)の間、圧縮機1の加熱を行う。
なお、ここでは、圧縮機加熱部10の加熱能力を加熱能力上限Pmaxに設定したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、制御装置31は、圧縮機加熱部10の加熱能力を、加熱能力上限Pmax以下の任意の値に設定し、所定の加熱時間(=所定時間dt)の間、圧縮機1の加熱を行うようにしても良い。
制御装置31の演算装置32は、圧縮機加熱部10の加熱能力(=加熱能力上限Pmax)と、上記ステップS21で算出した必要加熱能力P*とを上記式(11)に適用し、所定時間dtにおいて圧縮機1内に凝縮した推定凝縮液量ΔMs(i)を算出する。
なお、上記ステップS24で、加熱能力上限Pmax以下の加熱能力Phを設定した場合には、上記式(12)を適用して、推定凝縮液量ΔMs(i)を算出する。
制御装置31の演算装置32は、上記式(13)により、今回の推定凝縮液量ΔMs(i)を積算して、第1加熱動作によっても蒸発されずに圧縮機1内に凝縮した冷媒量の合計である残留冷媒液量Msを算出する。
制御装置31は、算出した残留冷媒液量Msを、演算装置32に搭載された記憶装置に記憶させる。
制御装置31は、演算装置32に搭載されたタイマ等により、所定時間dtの経過を計時し、所定時間dt経過後、ステップS21に戻り、上記ステップを繰り返す。
以下の何れかの条件を満足した場合(論理和)、第1加熱動作を終了する。
(a)Tah≦0
(b)圧縮機1が起動した場合
<開始条件>
以下の全ての条件を満足した場合(論理積)、第1加熱動作を開始する。
(a)圧縮機1が停止中の状態
(b)Tah≦0
(c)残留冷媒液量Ms>0
図8は本発明の実施の形態1における第2加熱動作を示すフローチャートである。
以下、図8の各ステップに基づき説明する。
制御装置31の演算装置32は、残留冷媒液量Msに基づき、圧縮機加熱部10が所定の加熱能力のとき、この残留冷媒液量Msを蒸発させるのに必要な時間であるアシスト加熱時間Δthを求める。
制御装置31は、上記アシスト加熱時間Δthを演算装置32に搭載された記憶装置に記憶させる。
なお、本発明はこれに限るものではなく、加熱能力上限Pmax以下の任意の加熱能力としても良い。
つまり、設定する加熱能力に応じた蒸発流量Geを用いることで、残留冷媒液量Msを蒸発させるために必要なアシスト加熱時間Δthを求めることができる。
制御装置31は、圧縮機加熱部10の加熱能力を、加熱能力上限Pmaxに設定し、所定の加熱時間(=所定時間dt)の間、圧縮機1の加熱を行う。
制御装置31は、演算装置32に搭載されたタイマ等により、所定時間dtの経過を計時し、所定時間dt経過後、ステップS34に進む。
制御装置31の演算装置32は、現在のアシスト加熱時間Δthから所定時間dtを減算し、アシスト加熱時間Δthを更新する。
制御装置31の演算装置32は、上記加熱を行った後の現在の残留冷媒液量Msを求めて、記憶装置に記憶された残留冷媒液量Msの値を更新し、ステップS32に戻り、上記ステップを繰り返す。
現在の残留冷媒液量Msは、上記式(14)と、更新後のアシスト加熱時間Δthと、式(15)により求めることができる。
以下の何れかの条件を満足した場合(論理和)、第2加熱動作を終了する。
(a)Tah>0
(b)圧縮機1が起動した場合
(c)更新後のアシスト加熱時間Δth≦0
そして、第1加熱動作で加熱不足が生じた場合には、上記更新後の残留冷媒液量Msに、推定凝縮液量ΔMs(i)が積算されることとなる。
なお、第1加熱動作に遷移するとき、更新後のアシスト加熱時間Δthを保持し、再度、第2加熱動作を行う際には保持したアシスト加熱時間Δthを用いるようにしても良い。
これにより、加熱動作が遷移した場合であっても、圧縮機1内に凝縮した残留冷媒液量Msを蒸発させることが可能となる。
これは圧縮機1の運転により冷媒温度が上昇し、圧縮機1内に寝込んだ冷媒は蒸発するからである。
図9の上段は、外気温度と時刻との関係を示している。図9の下段は、上述した加熱動作による圧縮機加熱部10の加熱能力を示している。
なお、所定時間dtは30分である。加熱能力上限Pmaxは25Wである。
このように、冷媒の凝縮が起こらない場合には、圧縮機1の加熱を停止することが可能となる。
このように、外気温度(冷媒温度)の上昇時において、圧縮機1の熱交換量Qr(凝縮能力)と一致する加熱能力で圧縮機1を加熱することで、圧縮機1を過度に加熱することなく、圧縮機1内への冷媒凝縮を防止することが可能となる。
以上のように本実施の形態においては、圧縮機1が停止中の状態であって、外気温度変化率Tah(冷媒温度変化率)がゼロを超えた場合、第1加熱動作を開始する。そして、第1加熱動作において、外気温度変化率Tah(冷媒温度変化率)に基づき、圧縮機加熱部10の加熱能力を、加熱能力上限Pmax以下の範囲で設定する。
このため、圧縮機1を過度に加熱することなく、冷媒が圧縮機1で凝縮して溜まりこむことを防止することが可能となる。よって、空気調和機の停止中における電力消費、つまり待機電力を抑制することができる。
また、圧縮機1内への冷媒凝縮を防止することで、潤滑油の濃度の低下を抑制することができ、潤滑不良による圧縮機1内の焼き付きや、圧縮機の起動負荷の増加を防止することができる。
このため、第1加熱動作での加熱能力不足により圧縮機1内に凝縮した冷媒を、第2加熱動作(アシスト加熱)により蒸発させることができる。よって、冷媒が圧縮機1で凝縮して溜まりこむこと防止することが可能となる。
このため、第1加熱動作での加熱能力不足により圧縮機1内に凝縮した冷媒を求めることができる。
このため、第1加熱動作での加熱能力不足により圧縮機1内に凝縮した冷媒を、蒸発させることができる。よって、冷媒が圧縮機1で凝縮して溜まりこむことを防止することが可能となる。
また、アシスト加熱時間Δthが経過した場合には、圧縮機1の加熱を停止することが可能となる。よって、圧縮機1を過度に加熱することを防止し、空気調和機50の停止中における電力消費を抑制することができる。
このため、圧縮機1の運転により圧縮機1内に寝込んだ冷媒が蒸発する場合には、残留冷媒液量Msおよびアシスト加熱時間Δthをゼロとすることができ、精度良く圧縮機1内に寝込んだ冷媒量を求めることができる。
このため、第1加熱動作と第2加熱動作との間で加熱動作が遷移しても、精度良く圧縮機1内に寝込んだ冷媒量を求めることができる。
そして、設定した加熱能力(=加熱能力上限Pmax)と必要加熱能力P*との差分に基づき、所定時間dtにおいて圧縮機1内で蒸発した冷媒量を求め、この冷媒量を残留冷媒液量Msから減算する
[圧縮機シェル温度による開始条件]
上述したように、圧縮機シェル温度が冷媒温度(外気温度)より低ければ、圧縮機1内に冷媒が溜まりこむ可能性がある。逆に、圧縮機シェル温度が冷媒温度(外気温度)よりも高ければ冷媒の凝縮は起こらないので、圧縮機を加熱する必要はない。
なお、本実施の形態における構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
図10に示すように、本実施の形態における制御装置31は、以下の全ての条件を満足した場合(論理積)、第1加熱動作を開始する。
なお、第1加熱動作のその他の動作、第2加熱動作は、上記実施の形態1と同様である。
<開始条件>
(a)圧縮機1が停止中の状態
(b)Tah>0
(c)圧縮機シェル温度<外気温度Ta
以上のように本実施の形態においては、圧縮機1が停止中の状態であって、外気温度(冷媒温度)が圧縮機シェル温度を超え、かつ、外気温度変化率Tah(冷媒温度変化率)がゼロを超えた場合、第1加熱動作を開始する。
このため、圧縮機1内に冷媒が溜まりこむ可能性が低い場合には、圧縮機1の加熱を行わないようにすることができる。よって、上記実施の形態1の効果に加え、さらに空気調和機の停止中における電力消費を抑制することができる。
上記実施の形態1、2では、第1加熱動作中に外気温度変化率Tahがゼロ以下となり、かつ、残留冷媒液量Msがゼロの場合、加熱動作を停止させた。
このような動作において、外気温度変化率Tahのハンチング等により一時的にゼロ以下となった場合、圧縮機加熱部10が一時的に停止した後、再度、加熱状態に移行することとなる。
圧縮機加熱部10として、例えば電動機部62に欠相通電を行う場合、停止状態から加熱状態に移行するには、インバーター制御による初期条件の演算や波形生成処理等が必要となる。このため、加熱動作開始までに若干の時間が必要となり、即時に所望の加熱能力が得られない場合も考えられる。
なお、本実施の形態における構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
以下、図11の各ステップに基づき、上記実施の形態1、2との相違点を中心に説明する。
上記実施の形態1と同様に、外気温度変化率Tahを算出し、外気温度変化率Tahがゼロを超えた場合、第1加熱動作を開始する。
第1加熱動作中に外気温度変化率Tahがゼロ以下となった場合、第1加熱動作を終了し、残留冷媒液量Msがゼロを超えている場合、第2加熱動作を開始する。
第1加熱動作の終了時に、圧縮機1が停止中の状態であって、残留冷媒液量がゼロの場合、第3加熱動作を開始する。
そして、第3加熱動作中に、第1加熱動作の開始条件を満足した場合には、第3加熱動作を終了し、第1加熱動作を開始する。
一方、外気温度変化率Tahがゼロ以下、かつ、後述する継続時間が経過した場合、制御装置31は、加熱動作を停止する(S0)。
[第3加熱動作]
<開始条件>
以下の全ての条件を満足した場合(論理積)、第3加熱動作を開始する。
(a)圧縮機1が停止中の状態
(b)第1加熱動作がTah≦0により終了(第1加熱動作の終了条件(a)を満足)。
(c)残留冷媒液量Ms=0
制御装置31は、圧縮機加熱部10の加熱能力を、所定の加熱能力とし、所定の継続時間が経過するまで圧縮機1を加熱させる。
ここで、継続時間としては、例えば30分を設定する。
また、所定の加熱能力としては、例えば、圧縮機加熱部10に設定可能な加熱能力の最小値(以下「加熱能力下限Pmin」という。)に設定する。なお、加熱能力下限Pmin≠0である。
なお、加熱能力はこれに限らず、ゼロより大きく加熱能力上限Pmax以下の範囲で任意に設定できる。
以下の何れかの条件を満足した場合(論理和)、第3加熱動作を終了する。
(a)継続時間を経過した場合
(b)圧縮機1が起動した場合
(c)第1加熱動作の開始条件を満足した場合
以上のように本実施の形態においては、第1加熱動作中に外気温度変化率Tahがゼロ以下となった場合、第1加熱動作を終了し、第1加熱動作を終了時に、圧縮機1が停止中の状態であって、残留冷媒液量がゼロの場合、第3加熱動作を開始する。そして、第3加熱動作において、圧縮機加熱部10を所定の加熱能力とし、所定の継続時間が経過するまで圧縮機1を加熱させる。
このため、外気温度変化率Tahがゼロ以下となった後、所定の継続時間が経過するまでは停止状態に移行せず、この継続時間の間に第1加熱動作の開始条件を満たした場合には、即時に所望の加熱能力を得ることが可能となる。
空気調和機50の据付後や長時間電源がオフの場合には、圧縮機1内に冷媒が寝込んでいる可能性がある。
本実施の形態4では、上記実施の形態1〜3の動作に加え、当該空気調和機50の電源投入時に、第4加熱動作により一定時間加熱を行う形態について説明する。
なお、本実施の形態における構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
図12に示すように、本実施の形態における制御装置31は、電源投入時、第4加熱動作を開始する。なお、第1〜第3加熱動作は、上記実施の形態1〜3と同様である。
以下、第4加熱動作の詳細を説明する。
以下の全ての条件を満足した場合(論理積)、第4加熱動作を開始する。
(a)空気調和機50の電源投入時(イニシャル処理完了直後)
(b)圧縮機1が停止中の状態
制御装置31は、圧縮機加熱部10の加熱能力を、所定の加熱能力とし、所定の第2継続時間が経過するまで圧縮機1を加熱させる。
ここで、所定の加熱能力としては、例えば加熱能力上限Pmaxに設定する。
なお、加熱能力はこれに限らず、ゼロより大きく加熱能力上限Pmax以下の範囲で任意に設定できる。
また、第2継続時間としては、例えば圧縮機1内に寝込む冷媒の最大量(ワーストケース)を想定し、この最大量の冷媒を上記所定の加熱能力で蒸発させるのに必要な時間を設定する。
以下の何れかの条件を満足した場合(論理和)、第4加熱動作を終了する。
(a)第2継続時間を経過した場合
(b)圧縮機1が起動した場合
例えば、圧縮機1が停止中の状態であって、圧縮機加熱部10による圧縮機1の加熱の停止状態が所定の停止時間以上経過した時、第4加熱動作を開始するようにしても良い。
これにより、例えば外気温度センサ23の凍結などにより、長時間に亘って温度上昇が検出されない場合であっても、第4加熱動作により、寝込んだ冷媒を蒸発させることができる。
以上のように本実施の形態においては、圧縮機1が停止中の状態であって、当該空気調和機50の電源投入時、および、圧縮機加熱部10による圧縮機1の加熱の停止状態が所定の停止時間以上経過した時、の少なくとも一方の時、第4加熱動作を開始する。そして、第4加熱動作において、圧縮機加熱部10を所定の加熱能力とし、所定の第2継続時間が経過するまで圧縮機1を加熱させる。
このため、電源投入前に圧縮機1内に凝縮した冷媒を蒸発させることができる。
また、長時間に亘って加熱動作が行われずに冷媒が寝込んでいる可能性が高い場合に、圧縮機1の加熱を行うことができる。
よって冷媒が圧縮機1で凝縮して溜まりこむことを防止することが可能となる。
本実施の形態5では、現在の動作状態の情報を報知手段に報知させる形態について説明する。
図13に示すように、本実施の形態における空気調和機50には、制御装置31の制御に関する情報を出力するための出力端子33が設けられている。
この出力端子33には、制御装置31からの情報を表示する情報表示装置300が接続される。
なお、その他の構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
なお、「情報表示装置300」は、本発明における「報知手段」に相当する。
例えば、制御装置31に7セグメントLEDなどの表示部を設けて、第1〜第4加熱動作を識別する表示をするようにしても良い。また、例えば付属のリモートコントローラーの表示部に当該表示をするようにしても良い。また、表示に限らず音により報知しても良い。
以上のように本実施の形態においては、第1〜第4加熱動作の何れかの動作状態において、現在の動作状態の情報を報知手段に報知させる。
このため、現在の動作状態を使用者が認識することが可能となる。
[冷媒温度の推定]
本実施の形態6では、所定時間dt後の外気温度Ta*を推定し、この所定時間dt後の外気温度Ta*と現在の外気温度Taとを用いて、冷媒温度変化率を求める形態について説明する。
なお、本実施の形態における構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
以下、図14の各ステップに基づき、上記実施の形態1(図6)との相違点を中心に説明する。
なお、上記実施の形態1と同一ステップには同一の符号を付する。
制御装置31の演算装置32は、ステップS11で検出した現在の外気温度Ta(0)と、前回のステップS13で記憶した所定時間dt前の外気温度Ta(1)と、前々回のステップS13で記憶した外気温度Ta(2)(外気温度Ta(1)の所定時間dt前)とを用いて、現在から所定時間dt後の外気温度Ta*を推定する。
なお、初回動作時など、外気温度Ta(1)およびTa(2)が記憶されていない場合には、ステップS41、S42を省略し、ステップS13に進む。
なお、推定方法はこれに限るものではなく、例えば最小二乗法などの統計的手法により所定時間dt後の外気温度Ta*を推定しても良い。
また、外気温度Ta(0)、Ta(1)、Ta(2)の相互間における増加分の変化率を求めてこの変化率から所定時間dt後の外気温度Ta*を推定しても良い。
また、過去一日における外気温度の変化を逐次記憶し、この過去の外気温度の変化と、検出した外気温度Ta(0)、Ta(1)、Ta(2)とを比較することで、外気温度Ta*を推定しても良い。
少なくとも、現在の外気温度Ta(0)と、所定時間dt前の外気温度Ta(1)とを用いて、所定時間dt後の外気温度Ta*を推定するようにしても良い。
また、前々回の外気温度Ta(2)より更に前に検出した外気温度Ta(n)(n=3、4…)を用いても良い。
制御装置31の演算装置32は、ステップS42で推定した所定時間dt後の外気温度Ta*と、ステップS11で検出した現在の外気温度Ta(0)とを用いて、外気温度変化率Tah(=(dTa/dt)=(Ta*−Ta(0))/dt)を算出する。
以上のように本実施の形態においては、現在の外気温度Ta(0)と所定時間dt前の外気温度Ta(1)とを少なくとも用いて、所定時間dt後の外気温度Ta*を推定し、所定時間dt後の外気温度Ta*と現在の外気温度Ta(0)とを用いて、外気温度変化率Tahを求める。
このため、外気温度が刻々と変化して、それに伴い冷媒温度も変化する場合であっても、所定時間経過後に必要となる加熱量を推定することができ、所定時間後に加熱量が不足する可能性を軽減することができる。
よって、外気温度(冷媒温度)の変化に応じた加熱能力で圧縮機1を加熱することができ、より圧縮機1への冷媒凝縮を抑制することができる。
[強制終了]
本実施の形態7では、圧縮機シェル温度が上限温度を超えた場合には、加熱を停止させる形態について説明する。
なお、本実施の形態における構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
そして、圧縮機シェル温度が外気温度(冷媒温度)を下回った場合には、強制終了を解除し、上述した各加熱動作の開始条件等に基づく制御を行う。
なお、上記圧縮機シェル温度としては、圧縮機温度センサ21の検出値をそのまま用いても良いし、センサの検出誤差を考慮して、検出値から所定値を減算した値を上記圧縮機シェル温度としても良い。
以上のように本実施の形態においては、圧縮機シェル温度を取得し、圧縮機シェル温度が外気温度(冷媒温度)を超え、かつ、圧縮機シェル温度が所定の上限温度を超えた場合、圧縮機加熱部10による圧縮機1の加熱を停止させる。
このため、圧縮機1内に冷媒が溜まりこむ可能性が低い場合には、圧縮機1の加熱を行わないようにすることができる。よって、上記実施の形態1〜6の効果に加え、さらに空気調和機の停止中における電力消費を抑制することができる。
[連続通電]
本実施の形態8では、外気温度(冷媒温度)が所定の下限温度以下の場合に、圧縮機1の加熱を行う形態について説明する。
なお、本実施の形態における構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
このような測定誤差が生じる場合、適切な必要加熱能力を求めることができず、また残留冷媒液量Msの算出値に誤差が生じ、圧縮機1内に冷媒が溜まりこむ可能性がある。
上記所定の加熱能力としては、例えば加熱能力上限Pmaxとする。
なお、本発明はこれに限るものではなく、加熱能力上限Pmax以下の任意の加熱能力としても良い。
これにより、外気温度が下限温度付近の温度の場合に、ハンチングの発生を抑制することができる。
以上のように本実施の形態においては、外気温度(冷媒温度)が所定の下限温度以下の場合、圧縮機加熱部10を所定の加熱能力として、圧縮機1を加熱させる。
このため、圧縮機1内に冷媒が溜まりこむ可能性が高い場合には、圧縮機1の加熱を行うことができる。よって、冷媒が圧縮機1で凝縮して溜まりこむことを防止することが可能となる。
Claims (15)
- 少なくとも、圧縮機、熱源側熱交換器、膨張手段、および利用側熱交換器が冷媒配管で接続され冷媒を循環させる冷媒回路と、
前記圧縮機を加熱する加熱手段と、
前記圧縮機内の冷媒温度を取得し、所定時間あたりの前記冷媒温度の変化率に基づき、前記加熱手段を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記圧縮機が停止中の状態であって、前記冷媒温度の変化率がゼロを超えた場合、第1加熱動作を開始し、
前記第1加熱動作において、
前記冷媒温度の変化率に比例した必要加熱能力を求め、
前記加熱手段の加熱能力を、加熱能力の上限以下の範囲で設定し、
前記必要加熱能力と前記加熱能力との差分に基づき、第1加熱動作によっても蒸発されず前記圧縮機内に凝縮した冷媒量である残留冷媒液量を求め、
前記圧縮機が停止中の状態であって、前記冷媒温度の変化率がゼロ以下、かつ、前記残留冷媒液量がゼロを超えた場合、第2加熱動作を開始し、
前記第2加熱動作において、
前記残留冷媒液量に基づき前記加熱手段を制御し、前記圧縮機内に凝縮した冷媒を蒸発させる
ことを特徴とする空気調和機。 - 前記制御手段は、
前記圧縮機の温度を取得し、
前記圧縮機が停止中の状態であって、前記冷媒温度が前記圧縮機の温度を超え、かつ、前記冷媒温度の変化率がゼロを超えた場合、第1加熱動作を開始する
ことを特徴とする請求項1記載の空気調和機。 - 前記制御手段は、
前記第1加熱動作中に前記冷媒温度の変化率がゼロ以下となった場合、前記第1加熱動作を終了し、
前記第1加熱動作を終了時に、前記圧縮機が停止中の状態であって、前記残留冷媒液量がゼロの場合、第3加熱動作を開始し、
前記第3加熱動作において、
前記加熱手段を所定の加熱能力とし、所定の継続時間が経過するまで前記圧縮機を加熱させる
ことを特徴とする請求項1または2記載の空気調和機。 - 前記制御手段は、
前記圧縮機が停止中の状態であって、
当該空気調和機の電源投入時、および、前記加熱手段による前記圧縮機の加熱の停止状態が所定の停止時間以上経過した時、の少なくとも一方の時、第4加熱動作を開始し、
前記第4加熱動作において、
前記加熱手段を所定の加熱能力とし、所定の第2継続時間が経過するまで前記圧縮機を加熱させる
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の空気調和機。 - 前記制御手段は、
前記第1〜第4加熱動作の何れかの動作状態において、現在の動作状態の情報を報知手段に報知させる
ことを特徴とする請求項4記載の空気調和機。 - 前記制御手段は、
前記第1加熱動作において、
前記冷媒温度の変化率に比例した必要加熱能力に応じて、前記加熱手段の加熱能力を、加熱能力の上限以下の範囲で設定し、
前記冷媒温度の変化率に比例した必要加熱能力と、設定した前記加熱能力との差分に基づき、前記所定時間において前記圧縮機内に凝縮した冷媒量を求め、前記冷媒量を積算して、前記残留冷媒液量を求める
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の空気調和機。 - 前記制御手段は、
前記第1加熱動作において、
前記冷媒温度の変化率に比例した必要加熱能力を求め、前記必要加熱能力が前記加熱能力の上限未満の場合、
前記加熱手段の加熱能力を、前記必要加熱能力を上回り前記加熱能力の上限以下の範囲で設定し、
設定した前記加熱能力と前記必要加熱能力との差分に基づき、前記所定時間において前記圧縮機内で蒸発した冷媒量を求め、
前記冷媒量を前記残留冷媒液量から減算する
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の空気調和機。 - 前記制御手段は、
前記第2加熱動作において、
前記残留冷媒液量に基づき、前記加熱手段が所定の加熱能力のとき、前記残留冷媒液量を蒸発させるのに必要な時間であるアシスト加熱時間を求め、
前記加熱手段を前記所定の加熱能力とし、前記アシスト加熱時間が経過するまで前記圧縮機を加熱させる
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の空気調和機。 - 前記制御手段は、
前記圧縮機が起動した場合、
前記第2加熱動作を停止させ、前記残留冷媒液量および前記アシスト加熱時間をゼロとし、
前記圧縮機が停止中の状態であって、前記冷媒温度の変化率がゼロを超えた場合、
前記第2加熱動作を停止させ、該停止時の前記残留冷媒液量および前記アシスト加熱時間の少なくとも一方を保持して、前記第1加熱動作を開始する
ことを特徴とする請求項8記載の空気調和機。 - 前記制御手段は、
現在の冷媒温度と所定時間前の冷媒温度とを用いて、前記冷媒温度の変化率を求める
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の空気調和機。 - 前記制御手段は、
現在の冷媒温度と所定時間前の冷媒温度とを少なくとも用いて、所定時間後の冷媒温度を推定し、
前記所定時間後の冷媒温度と現在の冷媒温度とを用いて、前記冷媒温度の変化率を求める
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の空気調和機。 - 前記制御手段は、
前記圧縮機の温度を取得し、
前記圧縮機の温度が前記冷媒温度を超え、かつ、前記圧縮機の温度が所定の上限温度を超えた場合、
前記加熱手段による前記圧縮機の加熱を停止させる
ことを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の空気調和機。 - 前記制御手段は、
前記冷媒温度が所定の下限温度以下の場合、
前記加熱手段を所定の加熱能力として、前記圧縮機を加熱させる
ことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の空気調和機。 - 前記熱源側熱交換器は、
熱容量が、前記利用側熱交換器の熱容量よりも大きく構成され、
前記制御手段は、
前記冷媒温度に代えて、前記熱源側熱交換器が前記冷媒と熱交換する空気の温度を用いる
ことを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の空気調和機。 - 前記利用側熱交換器は、
熱容量が、前記熱源側熱交換器の熱容量よりも大きく構成され、
前記制御手段は、
前記冷媒温度に代えて、前記利用側熱交換器が前記冷媒と熱交換する空気の温度を用いる
ことを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の空気調和機。
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