JPWO2012056577A1 - 熱交換器および磁気冷凍システム - Google Patents
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Abstract
Description
また、図中において、矢印x、y、zは互いに直交する三方向(軸)を表している。そして、z方向を磁場の方向としている。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る熱交換器の構成を例示するための模式図である。図1(a)は熱交換要素を例示するための模式図、図1(b)は複数の熱交換要素から構成された層状構成体を例示するための模式図、図1(c)は層状構成体を収納する容器を例示するための模式図、図1(d)は熱交換器の両端部に低温側熱交換器、高温側熱交換器を配置した状態を例示するための模式図である。
なお、本明細書において熱輸送媒体117が流れる方向とは、容器4内の熱輸送媒体117の流線をいい、容器4への熱輸送媒体117の導入方向ではない。
ここで、流線とは、y方向の中心点をY0,xとし、Y0,xと同じx位置におけるy方向の端点(容器4の壁面と接する点)をYr,x、Y−r,x、とした場合、Y0,xとYr,xとの距離が等距離となる軌跡を書いた線L1、および、Y0,xとY−r,xとの距離が等距離となる軌跡を描いた線L2、で定義する。例えば、容器4の断面が図1のような長方形の場合、L1、L2はx軸方向に平行である。
なお、熱交換要素1に関する詳細は後述する。
なお、容器4の内部に複数の熱交換要素1が収納、固定されたものが本実施の形態に係る熱交換器(ARM bed)20となる。
この場合、熱交換器20a〜20cに設けられた各熱交換要素が、それぞれ異なるキュリー温度(磁気転移温度)を有する磁気熱量効果材料を含んだものとすることができる。
この様に、熱交換器の熱輸送媒体117が流れる方向に生じる温度勾配に即して、キュリー温度の異なる磁気熱量効果材料を含んだ熱交換要素を設けるようにすれば、より広い温度領域において効率のよい熱交換を行うことができる。
図3は、熱交換要素を例示するための模式図である。なお、図3(a)は熱交換要素の側面図、図3(b)は熱交換要素の平面図、図3(c)は図3(b)におけるA部の拡大図である。
図3に示すように、熱交換要素1には、基部10、熱伝導部11が設けられている。
基部10は、磁気熱量効果材料を含んだものとすることができる。磁気熱量効果材料としては、例えば、Gd(ガドリニウム)、Gd(ガドリニウム)に各種元素を混合したGd化合物、各種希土類元素と遷移金属元素からなる金属間化合物、Ni2MnGa合金、GdGeSi系化合物、LaFe13系化合物、LaFe13H系化合物などを例示することができる。ただし、例示をしたものに限定されるわけではなく、磁気熱量効果を発現することができる材料を適宜選択することができる。
熱輸送媒体117が流れる方向と直交する方向に伸びるような熱伝導部11とすれば、熱伝導部11による軸熱伝導をさらに小さくすることができる。
この場合、図3(c)に示すように、熱伝導部11の幅寸法をL、熱伝導部11と熱伝導部11との間の寸法をSとすると、L/S比は、0.5以上、20以下とすることができる。また、L/S比は、0.5以上、10以下とすることがより好ましい。
L/S比が0.5未満となれば熱伝導部11の面積が小さくなりすぎるため軸熱伝導の抑制効果や熱交換効率の向上効果が著しく低下するおそれがある。L/S比が20を超えるものとなれば、熱伝導部11の面積が全体の95%を越えてしまうことになり、熱伝導部11による軸熱伝導が大きくなるおそれがある。
例えば、メッキ法を用いて熱伝導部11を形成する場合には、基部10の主面に所望の配設パターン形状を有するマスクを施した後、Cu(銅)メッキなどを行い、その後マスクを取り除くことで熱伝導部11を形成するようにすることができる。
熱交換要素1が設けられた熱交換器20においては、熱輸送媒体117に接する熱交換要素1の面積が大きくなるほど熱交換効率が向上する。従って、熱交換要素1の厚み寸法を薄くして、なるべく多くの熱交換要素1が熱交換器20に設けられるようにすることが好ましい。また、なるべく多くの熱交換要素1が熱交換器20に設けられるように空隙2も狭くすることが好ましい。
さらに、等方的で不連続な配設パターンとなるように基部10に熱伝導部を配設することで、軸熱伝導の低減と機械的強度の向上の両立を図るようにしている。
例えば、図3(b)に例示をした熱伝導部11は、互いに平行となるように設けられているので配設パターンに方向性(異方性)があり異方的な配設パターンとなる。この様な異方的な配設パターンとすれば、特定の方向における機械的強度を向上させることができるが、他の方向における機械的強度を向上させることができない。
これに対して、等方的な配設パターンとすれば、どの方向でも機械的強度を一様に向上させることができる。
また、不連続とは、熱伝導部が独立して形成されており、熱伝導部同士が接していないことを意味する。
図4(a)〜(c)に例示をするように、熱伝導部は基部10の表面に点在したものとすることができる。
熱輸送媒体117が流れる方向に対して不連続となるように熱伝導部11aを基部10に設けるようにすれば、熱伝導部11aによる軸熱伝導を抑制することができる。
また、隣接する熱伝導部11a同士の軸線が互いに交差するようにすれば等方的な配設パターンとすることができる。
平面視において円状を呈する熱伝導部11bを互いに接触しないように設けることで、熱輸送媒体117が流れる方向に対して不連続となるように熱伝導部11bを基部10に設けることができる。この様にすれば、熱伝導部11bによる軸熱伝導を抑制することができる。
また、熱伝導部11bを千鳥格子状に設けるようにすれば等方的な配設パターンとすることができる。
平面視において楕円状を呈する熱伝導部11cを互いに接触しないように設けることで、熱輸送媒体117が流れる方向に対して不連続となるように熱伝導部11cを基部10に設けることができる。この様にすれば、熱伝導部11cによる軸熱伝導を抑制することができる。
また、熱伝導部11cを千鳥格子状に設けるようにすれば等方的な配設パターンとすることができる。なお、隣接する熱伝導部11cの長軸または短軸が互いに交差するようにすることで等方的な配設パターンとしてもよい。
また、平面視において矩形状、円状、楕円状を呈する熱伝導部を例示したが、これらの形状に限定されるわけではない。平面視における熱伝導部の形状は適宜変更することができる。例えば、三角形などの他の多角形、任意の曲線から形成された形状、任意の曲線と任意の直線とから形成された形状などとすることもできる。また、形状や大きさなどが異なる熱伝導部が混在していても良い。
容器4の内部に複数の熱交換要素を設ける場合には、容器4の内壁に熱交換要素の厚みと空隙2とを考慮した溝を加工し、加工された溝に熱交換要素を挿入することで容器4の内部に層状構成体を形成するようにすることができる。しかしながら、熱交換要素の厚みが薄いため熱交換要素を溝に挿入する際に破損したり、曲がって挿入されたりするおそれがある。また、基部10の厚み寸法に、熱伝導部の厚みの2倍の寸法を加えた長さ以上のピッチ寸法で溝を加工する必要がある。そのため、容器4の内部に設けられる熱交換要素の数が少なくなったり、熱交換器が大型化したりするおそれがある。
図5は、層状構成体を例示するための模式図である。なお、図5(a)は層状構成体の模式側面図、図5(b)は図5(a)におけるB−B線矢視断面図である。
また、容器4の外部において層状構成体を形成し、これを容器4に収納するようにしているので、熱交換要素の組立て精度や組立の作業性などを向上させることができる。
なお、メッキ法を用いて厚み方向の断面形状が円弧状の熱伝導部を形成するには、例えば、配設パターンを形状する際に用いるマスクの厚みや、析出速度などを制御するようにすればよい。
次に、実施例について例示をする。
基部10の材料(磁気熱量効果材料)はGd(ガドリニウム)とした。また、基部10は矩形の板とし、その寸法を厚み0.5mm、幅15mm、長さ30mmとした。
基部10の両主面にフィルム製マスクを接着固定し、既知のメッキ法を用いてCu(銅)からなる熱伝導部11を形成した。
熱伝導部11の形成後、フィルム製マスクを溶剤加熱により剥がし、熱交換要素1を作成した。
フィルム製マスクには、L/S比が5となる配設パターンを形成するためのスリットが設けられている。この場合、Lを1mm、Sを0.2mmとした。また、形成される熱伝導部11の厚み(Cu(銅)の厚み)を約20μmとした。
そして、熱伝導部11が動かないようにするために、容器4の両端を仕切り板で固定した。これにより、熱交換器20が形成されたことになる。
熱交換器20に対する磁場の印加には永久磁石による磁気回路を用いた。また、磁気回路の位置をモータを用いて変化させることで、熱交換器20に対する磁場の印加と除去とが繰り返し行えるようにした。
また、比較のために、熱伝導部11を設けていない熱交換要素を用いて高温端と低温端との間に形成された温度差を測定したところ、温度差は約10℃であった。
この場合、高温端と低温端との間に形成された温度差を測定したところ、温度差は約23℃であった。
この場合、高温端と低温端との間に形成された温度差を測定したところ、温度差は約11℃であった。
また、L/S比を30としたものを熱伝導部とした。なお、L/S比以外は前述した熱伝導部11と同様とした。
この場合、高温端と低温端との間に形成された温度差を測定したところ、温度差は約9℃であった。
すなわち、L/S比を0.2、30とすれば温度差が小さくなることが判明した。
平面視において矩形状の熱伝導部の場合、高温端と低温端との間に形成された温度差を測定したところ、温度差は約23℃であった。
平面視において円状の熱伝導部の場合、高温端と低温端との間に形成された温度差を測定したところ、温度差は約22℃であった。
平面視において楕円状の熱伝導部の場合、高温端と低温端との間に形成された温度差を測定したところ、温度差は約25℃であった。
なお、Al2O3(酸化アルミニウム)の場合とAlN(窒化アルミニウム)の場合とでは温度差に大きな差はなかった。
熱伝導部11b1、11b2は、平面視において円状を呈したものとした。熱伝導部11b1、11b2は、厚み方向の断面形状が円弧状となっており、最も厚い部分の寸法(頂点部分の厚み)を30μmとした。熱伝導部11b1、11b2は、Cu(銅)から形成し、形成法は既知のメッキ法とした。
また、支持部12の寸法は、直径3mm、高さ0.13mmとし、その材料は樹脂とした。
熱伝導部11b1、11b2が設けられた熱交換要素を20枚重ねることで層状構成体3aを作成し、容器4内に収納、固定した。
なお、熱伝導部11b1と、熱伝導部11b2と、が積層方向から見て重ならないようになっている。
この様な層状構成体3aの場合、高温端と低温端との間に形成された温度差を測定したところ、温度差は約26℃であった。
基部10は矩形の板とし、その寸法を厚み0.4mm、幅20mm、長さ15mmとした。
熱伝導部11b1、11b2は、平面視において円状を呈したものとした。熱伝導部11b1、11b2は、厚み方向の断面形状が円弧状となっており、最も厚い部分の寸法(頂点部分の厚み)を30μmとした。熱伝導部11b1、11b2は、Cu(銅)から形成し、形成法は既知のメッキ法とした。
また、支持部12の寸法は、直径3mm、高さ0.13mmとし、その材料は樹脂とした。
熱伝導部11b1、11b2が設けられた熱交換要素を25枚重ねることで層状構成体3aを作成し、容器4内に収納、固定した。
なお、熱伝導部11b1と、熱伝導部11b2と、が積層方向から見て重ならないようになっている。
ここで、低温端側で用いる基部10をキュリー温度が低いGdHo合金から形成されたものとし、高温端側で用いる基部10をキュリー温度が高いGdから形成されたものとした。また、低温端側と高温端側との中間で用いる基部10をキュリー温度がこれらの中間にあるGdY合金から形成されたものとした。
図6は、第4の実施形態に係る磁気冷凍システムを例示するための模式系統図である。
なお、ここでは一例として、前述した熱交換器20が備えられた磁気冷凍システム100について説明する。
図6に示すように、熱交換器20を間に挟むように、一対の磁場発生部105a、105bが設けられている。磁場発生部105a、105bは、互いに対向するとともに、ヨーク(図示せず)を介して互いに結合されている。これによって、互いに対を成す磁場発生部105a、105bの間隙部分に、磁場空間が形成される。
磁場発生部105a、105bは、例えば、永久磁石などとすることができる。永久磁石としては、NdFeB(ネオジム・鉄・ホウ素)磁石、SmCo(サマリウムコバルト)磁石、フェライト磁石などを例示することができる。
ここで、相対位置を変化させるとは、磁場発生部105a、105bが熱交換器20に磁場を印加する位置(ON位置)と、熱交換器20に磁場を印加しない位置(OFF位置)とが切り替えられるように、熱交換器20と磁場発生部105a、105bとの相対位置を変化させることを意味する。
そのため、移動部106により熱交換器20と磁場発生部105a、105bとの相対位置を変化させることで、熱交換器20に磁場を印加したり、熱交換器20に印加されていた磁場を除去したりすることができる。
図6に例示をしたものの場合には、磁場発生部105a、105bと移動部106とが熱交換器20に対する磁場を変化させる磁場変化部となる。
配管103は、低温側熱交換器115、熱交換器20、高温側熱交換器116、輸送部111を閉ループ状に接続する。
磁気冷凍システム100は、AMR冷凍サイクルを繰り返すことにより熱交換要素1の両端(高温端と低温端)の間に温度勾配を形成させる。すなわち、高温端側の温度を上昇させ、低温端側の温度を下降させる。
そして、低温端側に設けられた低温側熱交換器115を介して、例えば、冷凍庫内に冷熱を移動させたり、空調により室内温度を下げたりすることができる。また、高温端側に設けられた高温側熱交換器116を介して、例えば、空調により室内温度を上げたりすることができる。
熱交換器20に磁場が印加されると、磁気熱量効果により熱交換要素1(基部10)の温度が上昇する。熱交換器20に磁場が印加された状態で、図7(a)中の矢印方向に熱輸送媒体117を移動させて、高温端側への熱の移動を行う。すなわち、温度上昇した熱交換要素1の表面と、これに接触する熱輸送媒体117との間における熱交換を経て、高温端側への熱の移動を行う。
熱交換器20に印加されていた磁場が除去されると、熱交換要素1(基部10)の温度が下降する。熱交換器20に印加されていた磁場が除去された状態で、図7(b)中の矢印方向に熱輸送媒体117を移動させて、低温端側への熱の移動を行う。すなわち、温度下降した熱交換要素1の表面と、これに接触する熱輸送媒体117との間における熱交換を経て、低温端側への熱の移動を行う。
1a 熱交換要素
1b 熱交換要素
2 空隙
3 層状構成体
3a 層状構成体
4 容器
10 基部
11 熱伝導部
11a〜11c 熱伝導部
11b1 熱伝導部
11b2 熱伝導部
12 支持部
20 熱交換器
20a〜20c 熱交換器
100 磁気冷凍システム
105a 磁場発生部
105b 磁場発生部
106 移動部
111 輸送部
115 低温側熱交換器
116 高温側熱交換器
117 熱輸送媒体
Claims (6)
- 熱輸送媒体が導入される容器と、
前記容器の内部に設けられ、前記熱輸送媒体が流れる方向に延在した磁気熱量効果材料を含む基部と、前記基部の表面に設けられた複数の熱伝導部と、を有した熱交換要素と、
を備え、
前記熱伝導部の熱伝導率は、前記基部の熱伝導率よりも高いこと、を特徴とする熱交換器。 - 前記複数の熱伝導部は、前記熱輸送媒体が流れる方向において互いに接していないことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
- 前記複数の熱伝導部は、前記熱輸送媒体が流れる方向と交差する方向に延在したことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
- 前記複数の熱伝導部は、隣接する熱伝導部同士の軸線が互いに交差したことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
- 前記複数の熱伝導部は、前記基部の表面に点在したことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
- 請求項1に記載された熱交換器と、
前記熱交換部に対する磁場を変化させる磁場変化部と、
前記熱交換部に熱輸送媒体を導入する輸送部と、
を備えたことを特徴とする磁気冷凍システム。
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