JP6732529B2 - 伝導冷却装置及び伝導冷却方法 - Google Patents
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Description
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る伝導冷却装置及び伝導冷却方法について、図1及び図2を用いて説明する。
本実施形態に係る伝導冷却装置は、図1に示すように、超電導コイル1、極低温冷凍機2、永久電流スイッチ(以下、「PCS」という。)3、コイル用伝熱部材4、PCS用伝熱部材5から構成される。
PCS用伝熱部材5は、一方が極低温冷凍機2側の端子41に接続され、他方がPCS3側の端子43に接続される。
なお、超電導コイル1、PCS3、外部電源(図示せず)等は、それぞれ電流回路により接続されているが、図1では回路構成を省略している。
PCS用伝熱部材5は、図2(a)、(b)に示すように、複数の接続端子61〜63と、各接続端子間に設けられた可撓性の帯状の伝熱体51、52から構成される。そして、両端の接続端子61、63の間にある中間の接続端子62は、両端の接続端子61又は62に接触可能となるように、移動可能に構成されている。なお、接続端子62の移動機構は公知の機械的又は空圧式の移動装置や、電磁気的な移動装置を用いることができる(図示せず)。
さらに、移動可能な接続端子は中間の接続端子62に限定されず、端部の接続端子61、63を移動可能に構成してもよい。
上記のように構成された第1の実施形態において、外部電源(図示せず)から超電導コイル1を励磁する場合、PCS3の近傍に設けられた加熱装置等により(図示せず)、PCS3を臨界温度以上になるまで加熱してオフ状態にする。その際、図2(a)に示すように、接続端子61〜63を相互に離間した状態とし、PCS3からの熱は63→52→62→51→61を伝わることになり、伝熱経路が長くなるため熱抵抗が大きくなる。
本第1の実施形態によれば、PCS3のオフ状態時には、PCS用伝熱部材5内の伝熱経路を長くして熱抵抗を増大させることで、極低温冷凍機2側へ熱が伝わりにくくし、これにより極低温冷凍機2は超電導コイル1を効率的に冷却することができるため超電導コイル1の励磁化時間の短縮化を図ることができる。また、PCS3のオン状態時には、PCS用伝熱部材5内の伝熱経路を短くして熱抵抗を小さくすることで極低温冷凍機2によりPCS3を急速に冷却することが可能となり、永久電流モード運転を速やかに開始することができる。
第2の実施形態に係る伝導冷却装置及び伝導冷却方法について、図3及び図4を用いて説明する。
高純度のアルミニウム金属(例えば、純度6N8(99.99998質量%)以上)は、伝熱方向に垂直の磁場を印加すると残留抵抗比RRRが低下する一方、伝熱方向と平行に磁場を印加すると残留抵抗比RRRが向上する性質を有する。これは、材料表面での電子散乱の影響の違いに起因する磁場に対する導電率の異方性(磁場角度異方性)の挙動によるものと考えられる。
すなわち、本第2の実施形態では、超電導コイル1からの磁場印加方向に対し、可撓性の伝熱体51の位置を変化させることで、伝熱体51の熱抵抗を変化させる。
本実施形態では、図3(a)に示すように、可撓性を有する2つの伝熱体51、52のうち、1つの伝熱体51を、磁場角度異方性を有する高純度のアルミニウム金属(例えば、純度6N8(99.99998質量%)以上)から構成し、他の伝熱体52を伝熱体51よりも純度の低いアルミニウム金属又は銅金属から構成する。この純度の低いアルミニウム金属又は銅金属からなる伝熱体52は、磁場角度異方性を有さず、磁場の印加方向によって熱抵抗はほとんど変化しない性質を有する。
また、本実施形態のPCS用伝熱部材5は、図3(a)、(b)に示すように、超電導コイル1からの磁束Aに対し略水平になるように配置されている。
上記のように構成された第2の実施形態において、PCS3のオフ状態時には、図3(a)に示すように、接続端子62を接続端子61に近接する位置に移動させることで、伝熱体51を逆U字状に屈曲させる一方、伝熱体52を平坦にする。これにより、伝熱体51は磁束Aの向きに垂直になることで熱抵抗が大きくなり、PCS3からの熱は、極低温冷凍機2側へ伝わりにくくなる。これにより、超電導コイル1の温度上昇を抑制し、極低温冷凍機2の熱負荷が過大になるのを防止することができる。
なお、伝熱体52の熱抵抗は磁束Aの向きに影響を受けないため常に略一定であり、PCS用伝熱部材5の熱抵抗は伝熱体51の位置によってのみ変化する。
本第2の実施形態によれば、上記の実施形態と同様な作用効果を奏するほか、高純度アルミニウム金属の使用量を低減させることができる。
本変形例では、PCS用伝熱部材5の伝熱体を、磁場角度異方性を有する伝熱体のみから構成する。
本変形例は、図4に示すように、PCS用伝熱部材5として、2つの接続端子61、63の間に磁場角度異方性を有する高純度のアルミニウム金属からなる可撓性の伝熱体51を配置し、一方の接続端子61を移動可能に構成する。
なお、接続端子数を3以上とし、磁場角度異方性を有する伝熱体51の数を増やしてもよい。
第3の実施形態に係る伝導冷却装置及び伝導冷却方法について、図5(a)、(b)を用いて説明する。
本実施形態に係るPCS用伝熱部材5は、図5(a)、(b)に示すように、2つの接続端子61、63の間に、略平行に配置した少なくとも1つ以上の板状の伝熱体53と、各伝熱体53の両端部にそれぞれ接続された接続端子64a、64bとからなり、板状の伝熱体53が水平方向又は垂直方向に向くように駆動部材(図示せず)により回転可能に構成されている。また、接続端子64a、64bは接続端子61、63に可撓性の帯状の伝熱体51、52を介して接続されている。
上記のように構成された第3の実施形態において、PCS3のオフ状態時には、図5(a)に示すように、磁束Aに対し、板状の伝熱体53が垂直になるように配置する。これにより、伝熱体53は磁束Aの向きに対し垂直になることで熱抵抗が大きくなり、PCS3からの熱は、極低温冷凍機2側へ伝わりにくくなる。これにより、超電導コイル1の温度上昇を抑制し、極低温冷凍機2の熱負荷が過大になるのを防止することができる。
なお、図5(a)、(b)の例では、複数の板状の伝熱体53を用いているが、これに限定されず板状の伝熱体53の数を1つとしてもよい。
本第3の実施形態によれば、上記実施形態と同様な作用効果を奏するほか、板状の伝熱体53の数を適宜増減することで、PCS用伝熱部材5の熱抵抗の値を調整することができる。
第4の実施形態に係る伝導冷却装置及び伝導冷却方法について、図6を用いて説明する。
(構成)
本実施形態では、図6に示すように、少なくとも1つ以上の板状の伝熱体53が略水平に配列されたPCS用伝熱部材5(図5(b)参照)の下部に磁気遮蔽体7を設置した構成としている。
上記のように構成された第4の実施形態において、PCS3のオン状態時(永久電流モード運転時)では、PCS用伝熱部材5には板状の伝熱体53に平行な磁束Aのみが入るため熱抵抗が小さくなり、極低温冷凍機2によりPCS3を速やかに冷却することができる。
本変形例では、磁場角度異方性を有する可撓性の伝熱体51から構成されるPCS用伝熱部材5を駆動機構により(図示せず)移動可能な箱状の磁気遮蔽体7で覆う構成としている。その際、伝熱体51は、図7に示すように、略平坦状に配置されている。
また、伝熱体51の数は1つに限定されず、接続端子数を増やし、複数の伝熱体を用いてもよい。
Claims (8)
- 極低温冷凍機と、超電導コイルと、前記極低温冷凍機に永久電流スイッチ用伝熱部材を介して熱的に接続された永久電流スイッチと、を備えた伝導冷却装置において、
前記永久電流スイッチ用伝熱部材は、2以上の接続端子と、前記接続端子の間に設けられ、少なくとも一つが磁場角度異方性を有する可撓性の伝熱体と、を有し、前記超電導コイルからの磁束が平行に印加されるように配置されるとともに、前記接続端子のうちの少なくとも1つの接続端子は、前記伝熱体の磁束の方向に対する磁場角度異方性の方向が変わるように、移動可能に構成されていることを特徴とする伝導冷却装置。 - 極低温冷凍機と、超電導コイルと、前記極低温冷凍機に永久電流スイッチ用伝熱部材を介して熱的に接続された永久電流スイッチと、を備えた伝導冷却装置において、
前記永久電流スイッチ用伝熱部材は、2以上の接続端子と、前記接続端子の間に設けられた磁場角度異方性を有する少なくとも1つの板状の伝熱体と、を有し、前記超電導コイルからの磁束が平行に印加されるように配置されるとともに、前記板状の伝熱体を回転可能に構成したことを特徴とする伝導冷却装置。 - 極低温冷凍機と、超電導コイルと、前記極低温冷凍機に永久電流スイッチ用伝熱部材を介して熱的に接続された永久電流スイッチと、を備えた伝導冷却装置において、
前記永久電流スイッチ用伝熱部材は、磁場角度異方性を有する少なくとも1つの可撓性の伝熱体又は板状の伝熱体と、を有し、前記超電導コイルからの磁束が平行に印加されるように配置されるとともに、前記永久電流スイッチ用伝熱部材に前記超電導コイルからの平行又は垂直の磁束を遮断する磁気遮蔽部材を当該永久電流スイッチ用伝熱部材の下部又は側面に設けたことを特徴とする伝導冷却装置。 - 前記伝熱体は高純度のアルミニウム金属であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の伝導冷却装置。
- 極低温冷凍機と、超電導コイルと、前記極低温冷凍機に永久電流スイッチ用伝熱部材を介して熱的に接続された永久電流スイッチと、を備えた伝導冷却装置の伝導冷却方法において、
前記永久電流スイッチ用伝熱部材は、2以上の接続端子と、前記各接続端子の間に設けられた少なくとも1つの可撓性の伝熱体とを有し、
前記永久電流スイッチがオフ状態の場合は前記各接続端子を相互に離間させ、前記永久電流スイッチがオン状態の場合は接続端子の1つを移動させ、隣接する接続端子の1つに接触させることを特徴とする伝導冷却方法。 - 極低温冷凍機と、超電導コイルと、前記極低温冷凍機に永久電流スイッチ用伝熱部材を介して熱的に接続された永久電流スイッチと、を備え、前記永久電流スイッチ用伝熱部材は、2以上の接続端子と、前記各接続端子の間に設けられ、少なくとも1つが磁場角度異方性を有する可撓性の伝熱体と、を有する伝導冷却装置の伝導冷却方法において、
前記永久電流スイッチ用伝熱部材を前記超電導コイルからの磁束が平行に印加されるように配置し、
前記永久電流スイッチがオフ状態の場合は前記磁場角度異方性を有する伝熱体が略平坦状になるように前記接続端子の1つを移動させ、前記永久電流スイッチがオン状態の場合は前記磁場角度異方性を有する伝熱体が逆U字状になるように当該接続端子を移動させることを特徴とする伝導冷却方法。 - 極低温冷凍機と、超電導コイルと、前記極低温冷凍機に永久電流スイッチ用伝熱部材を介して熱的に接続された永久電流スイッチと、を備え、前記永久電流スイッチ用伝熱部材は、2以上の接続端子と、前記接続端子の間に設けられた少なくとも1つの磁場角度異方性を有する可撓性の伝熱体と、を有する伝導冷却装置の伝導冷却方法において、
前記永久電流スイッチ用伝熱部材は前記超電導コイルからの磁束が平行に印加されるように配置し、
前記永久電流スイッチがオフ状態の場合は前記可撓性の伝熱体が前記磁束に略平行になるように前記接続端子の1つを移動させ、前記永久電流スイッチがオン状態の場合は前記可撓性の伝熱体が前記磁束に略垂直になるように当該接続端子を移動させることを特徴とする伝導冷却方法。 - 極低温冷凍機と、超電導コイルと、前記極低温冷凍機に永久電流スイッチ用伝熱部材を介して熱的に接続された永久電流スイッチと、を備え、前記永久電流スイッチ用伝熱部材は、2以上の接続端子と、前記接続端子の間に設けられた少なくとも1つの磁場角度異方性を有する板状の伝熱体と、を有する伝導冷却装置の伝導冷却方法において、
前記永久電流スイッチ用伝熱部材は前記超電導コイルからの磁束が平行に印加されるように配置し、
前記永久電流スイッチがオフ状態の場合は前記板状の伝熱体を前記磁束に略平行になるように回転させ、前記永久電流スイッチがオン状態の場合は前記板状の伝熱体が前記磁束に略垂直になるように回転させることを特徴とする伝導冷却方法。
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