JPWO2012035916A1 - リチウムイオン二次電池負極材料用原料炭組成物 - Google Patents

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Abstract

充放電サイクルの繰り返し、充電状態での保存、及びフローティング充電などに伴う容量劣化が抑制可能となる負極炭素材料を提供する。重質油をディレードコーキングし得る、真比重1.30以上の生コークスを原料炭組成物とし、炭化処理することによって、Arレーザーラマン分光法での1600cm−1近傍ピークのバンド半価幅が55〜68cm−1、且つ、I1350cm−1/I1600cm−1近傍のピーク強度比が、0.97以上となることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極炭素材料の原料炭組成物。

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の負極材料の原料となる原料炭組成物に関する。
リチウム二次電池は、従来の二次電池であるニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、鉛電池に比較し、軽量であり且つ高い入出力特性を有することから、近年、電気自動車やハイブリッド車用の電源として期待されている。通常、この種の電池は、リチウムの可逆的なインターカレーションが可能なリチウムを含んだ正極と、炭素材料から成る負極とが、非水電解質を介して対向することにより構成されている。従って、この種の電池は放電状態で組み立てられ、充電しなければ放電可能状態とはならない。以下、正極としてコバルト酸リチウム(LiCoO)、負極として炭素材料、電解質としてリチウム塩を含んだ非水電解液が使用された場合を例に取り、その充放電反応について説明する。
先ず、第一サイクル目の充電を行うと、正極に含まれたリチウムが電解液に放出され(下式1)、その正極電位は貴な方向へ移行する。負極では、正極から放出されたリチウムが炭素材料に吸蔵され(下式2)、その負極電位が卑な方向へ移行する。通常は、正・負極電位の差、即ち電池電圧が、所定の値に到達した時点で充電終止となる。この値は、充電終止電圧と呼称されている。そして放電させると、負極に吸蔵されたリチウムが放出され、負極電位は貴な方向へ移行し、そのリチウムは再び正極に吸蔵され、正極電位は卑な方向へ移行する。放電も、充電の場合と同様に、正・負極電位の差、即ち電池電圧が、所定の値に到達した時点で終止とされる。その値は、放電終止電圧と呼称されている。以上のような充電及び放電の全反応式は、下式3のように示される。その後に続く第二サイクル以降は、リチウムが正極と負極との間を行き来することで充放電反応(サイクル)が進行する。
Figure 2012035916
リチウム二次電池の負極材料として使用される炭素材料は、一般に黒鉛系と非晶質系に大別される。黒鉛系炭素材料は、非晶質系炭素材料と比較し、単位体積あたりのエネルギー密度が高いという利点がある。従って、コンパクトでありながら大きい充電放電容量が要求される携帯電話やノート型パソコン用のリチウムイオン二次電池においては、負極材料として黒鉛系炭素材料が一般に用いられている。黒鉛は炭素原子の六角網面が規則正しく積層した構造を有しており、充放電の際には六角網面のエッジ部でリチウムイオンの挿入離脱反応が進行する。
前述の通り、この種の電池は、近年、自動車用、産業用、電力供給インフラ用の蓄電装置としても盛んに検討されているが、これら用途に利用される場合には、携帯電話やノート型パソコン用として利用される場合より、極めて高度な信頼性が要求される。ここで信頼性とは寿命に関する特性であり、充放電サイクルが繰り返された場合でも、又は所定の電圧に充電された状態で保存された場合でも、あるいは一定の電圧で充電され続けた場合(フローティング充電された場合)でも、充放電容量や内部抵抗が変化し難い(劣化し難い)特性を指す。
一方、従来の携帯電話やノート型パソコンに利用されてきたリチウムイオン二次電池の寿命特性は、負極材料にも大きく依存することが一般的に知られている。その理由は、正極反応(式2)と負極反応(式3)の充放電効率を全く同じにすることが原理的に不可能で、その充放電効率は負極の方が低いからである。ここで充放電効率とは、充電に消費された電気容量に対する、放電が可能な電気容量の割合である。以下に、負極反応の充放電効率の方が低いことに起因して寿命特性が劣化する反応機構について詳述する。
充電過程では、前述の通り、正極の中のリチウムが放出され(式2)、負極に吸蔵される(式3)が、その充電に消費される電気容量は、正・負極反応とも同一である。しかしながら、充放電効率は負極の方が低いので、その後に続く放電反応では、正極側に吸蔵可能なリチウム量、即ち充電する前の正極側に吸蔵されていたリチウム量よりも、負極から放出されるリチウム量の方が少ない状態で放電が終止する事態が生ずることとなる。その理由は、負極で充電に消費された電気容量のうちの一部が副反応及び競争反応に消費され、リチウムが吸蔵される反応、即ち放電可能な容量として吸蔵される反応に消費されなかったからである。
このような充放電反応が生ずる結果、放電終止状態の正極電位は、充放電前の元の電位よりも貴な方向へ移行する一方、負極電位も充放電前の元の電位よりも貴な方向へ移行することとなる。この原因は、正極の充電過程で放出されたリチウムの全てが放電のときに吸蔵されない(戻らない)ため、充電過程で貴な方向へ移行した電位が、放電過程で卑な方向へ移行するときも、正・負極の充放電効率の差に相当する分だけ、元の正極電位に戻ることが不可能となり、元の正極電位より貴な電位で放電が終止することとなる。前述の通りリチウム二次電池の放電は、電池電圧(即ち、正極電位と負極電位との差)が所定の値(放電終止電圧)に達した時点で完了するため、放電終止時点での正極の電位が貴になれば、その分負極電位も同様に貴な方向へ移行することになるからである。
以上の通り、この種の電池は充放電サイクルを繰り返すと、正・負極の容量の作動領域が変化することで、所定の電圧範囲内(放電終止電圧と充電終止電圧の範囲内)で得られる容量が低下する問題が生じていた。このような容量劣化の反応機構は学会等でも報告されている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2)。また、いったん作動領域が変化した正・負極電位は不可逆であり、原理的に元に戻ることはあり得ず、容量回復の手段が無いことも、この問題を深刻化させている。
なお、前述の充放電サイクルが繰り返されたときに生ずる容量劣化の反応機構は、充電状態で電池が保存されたときの容量劣化、又はフローティング充電されたときの容量劣化の各々の反応機構と基本的には同様である。先ず電池が充電状態で保存された場合であるが、充電状態で生ずる副反応・競争反応によって失われる容量、即ち自己放電量は、正極よりも負極の方が大きいため、正・負極の容量の作動領域は、保存前後で変化することにより、保存後の電池容量は劣化することが知られている(例えば、非特許文献3)。充電状態における正・負極の自己放電速度の差も、前述の正・負極の充放電効率の差と同様に、充電状態の負極で生ずる副反応・競争反応の速度が、同じく充電状態の正極で生ずる副反応・競争反応の速度よりも高いことに起因している。
次にフローティング充電された場合であるが、充電初期には正・負極電位とも各々所定の電位で充電され続けることとなる。しかし、正極電位を、その電位に保持させておくために必要な電流値(正極側の漏れ電流)と、負極電位を、その電位に保持させておくために必要な電流値(負極側の漏れ電流)は異なるのが実情である。その原因は、前述の通り、充電状態での正極及び負極の自己放電速度が異なり、負極の自己放電速度の方が大きいからである。従ってフローティング充電時は、負極側の漏れ電流の方が、正極側の漏れ電流よりも大きくなることにより、負極電位は漏れ電流が小さくなる方向、即ち貴な方向へ移行し、正極電位は漏れ電流が大きくなる方向、即ち貴な方向へ移行する。このようにフローティング充電された場合も、正・負極の容量の作動領域は不可逆的に変化し、電池容量が劣化する問題が生じていた。
特開2009−87871号公報
第48回電池討論会要旨集1A11(2007年11月13日) 第76回電気化学会大会要旨集1P29(2009年3月26日) 第71回電気化学会大会要旨集2I07(2004年3月24日) 第23回炭素材料学会要旨集1C14(1996年12月3日) 第29回炭素材料学会要旨集2C08(2002年12月4日) 中溝実,炭素,90,105(1977) J. O. Besenhard, M. Winter, J. Yang, W. Biberacher, J. Power Sources, 54, 228(1995) 第35回電池討論会要旨集2B04(1994年11月14日)
本発明は、以上のようなリチウム二次電池の容量劣化を改良するためのものであって、その目的は、充放電サイクルの繰り返し、充電状態での保存、及びフローティング充電などに伴う容量劣化が抑制可能となる負極炭素材料を開発することにより、高度な信頼性が要求される自動車用、産業用、電力貯蔵インフラ用のリチウム二次電池の負極材料を提供しようとするものである。その目的のために本発明者らは重質油をディレードコーキングして得られる石油生コークス(原料炭組成物)について幅広く検討し、特定の特性を有する生コークスを用いることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、重質油をディレード・コーキングして得られる真比重1.30以上の原料炭組成物であって、該原料炭組成物を1400℃で30分炭化処理することによって、Arレーザーラマン分光法での1600cm−近傍ピークのバンド半価幅が55〜68cm−1、1350cm−1近傍のピーク強度と1600cm−1近傍のピーク強度の比 I1350cm−1/I1600cm−1が、0.97以上となることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極炭素材料の原料炭組成物に関する。ここで、炭化とは、生コークスを加熱して脱水し、揮発成分を燃焼させて除き、安定な品質の材料を得るための熱処理であり、通常、1000〜1800℃、好ましくは1200〜1400℃で処理される。
また本発明は、前記の原料炭組成物を、平均粒子径として30μm以下に粉砕してから炭化及び/もしくは黒鉛化することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極炭素材料の製造方法に関する。
また本発明は、前記のリチウムイオン二次電池負極材用原料炭組成物を用いたリチウムイオン二次電池用負極材に関する。
さらに本発明は、前記のリチウムイオン二次電池用負極材を用いたリチウムイオン二次電池に関する。
本発明の原料炭組成物を炭化、黒鉛化することで、充放電サイクルの繰り返し、充電状態での保存、及びフローティング充電などに伴う容量劣化が抑制可能となる負極炭素材料を得ることができる。
本願実施例の負極材料評価試験で使用したセルの模式的断面図である。 本願実施例の電池評価試験で使用したセルの模式的断面図である。
本出願に係る発明に記載されたような物性、即ち、本特徴は、重質油をディレードコーキングして得られる真比重1.30以上の原料炭組成物であって、該原料炭組成物を炭化(か焼)処理することによって、Arレーザーラマン分光法での1600cm−1近傍ピーク(1580cm−1±50cm−1)のバンド半価幅が55〜68cm−1、1350cm−1近傍(1350cm−1±50cm−1)のピーク強度と1600cm−1近傍(1580cm−1±50cm−1)のピーク強度の比I1350cm−1/I1600cm−1が、0.97以上となることを特徴とするリチウム二次電池負極用原料炭組成物である。
ディレートコーキングは、公知の方法を用いることができ、例えば、重質油組成物を、オートクレーブで加圧下(例えば1MPa)、450〜550℃程度の温度で数時間コーキングさせることにより、原料炭組成物が得られる。重質油組成物をディレートコーキング処理し得られた原料炭組成物の真比重は1.30以上が適し、好ましくは1.45以下、より好ましくは1.43以下である。1.30未満では、コーキングでの炭素の基本骨格形成が不十分で、その後の炭素化過程で溶融や発泡現象を起こす。そのため、コーキング過程で付与された整然としたリチウムイオンの拡散経路となる結晶組織が乱雑となる。このような原料炭組成物を用いた場合は、その後の炭素化及び/又は黒鉛化して得られた負極材料は、整然としたリチウムイオンの拡散経路が確保されず、充放電容量が低いものとなる。また、真比重が1.45を超えるものは、コーキング処理でより炭素化を進めることとなり、コーキング過程での分解ガスの発生が急速となる場合がある。このため原料炭の結晶組織が、急速な分解ガスの発生で乱雑となり、その後の炭素化過程を経ても、整然としたリチウムイオンの拡散経路を形成することが出来ない場合がある。真比重は、JIS K2151に準拠して測定するが、同等の評価が可能であれば、公知の別法によっても良い。
一般的に、リチウム二次電池用負極炭素材料の製造方法としては、所定の重質油をコーキング処理し、得られた生コークスを1400℃程度で炭化(か焼)し、所定の粒度となるように粉砕・分級し、2400℃程度で黒鉛化処理する工程が知られている(例えば、特許文献1)。このようなか焼コークスを粉砕・分級した後に黒鉛化された黒鉛粉末の結晶化度は、従来、粒子内部の結晶化度といわれるX線広角回折法で求められていた。
今回の充放電サイクルの繰り返し、充電状態での保存、及びフローティング充電などに伴う容量劣化が抑制可能となる負極炭素材料を得るには、炭化/黒鉛化以前に、所定の原料炭組成物を例えば、1400℃、30分の条件で炭化して得られたコークスの波長5145オングストロームのアルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析における、1580cm−1±50cm−1の波長領域に存在する1600cm−1近傍バンド半価幅Δνが55〜68cm−1であり、かつピーク強度比I1350cm−1/I1600cm−1が、0.97以上であることが必要であることを見出した。
炭化/黒鉛化工程において、結晶の規則的な成長と配列が修飾されるものの、基本となる構造は、原料炭組成物の段階で既に構築されているものと考えられる。
ここで、ラマンスペクトル分析における、1580cm−1±50cm−1の波長領域に存在するバンド半価幅Δνは、表面の結晶化度を表し、ピーク強度の比 I1350cm−1/I1600cm−1は結晶エッジ面を表すといわれる。Δνは、粒子表面のローカルな黒鉛結晶の完全性が高いほど、その半価幅は小さく、I1350cm−1/I1600cm−1近傍のピーク強度比が小さいほどエッジ面が少ないと一般的にいわれている(例えば、非特許文献6)。
リチウムイオン二次電池炭素材に望まれるのは、リチウムイオンの移動のための拡散経路やリチウムイオンの保持に必要な整然とした炭素層面の並びの結晶構造をもつ炭素材である。
また本発明者等は、原料炭組成物の粒子表面の結晶化度を適度に発達させること、即ち該原料炭組成物を炭化し、水分や揮発分を除去して結晶構造を発達させ得られたコークスのラマンスペクトル分析のΔνが所定の値となった場合に、この充放電効率を大幅に向上させることが可能であることを見出した。
充電過程においてリチウムが、黒鉛の結晶層間にインターカレーションするとき、電解質の溶媒分子も一緒に取り込まれてコインターカレーションし、結晶層間で還元分解される現象が一般的に知られている(例えば、非特許文献7)。このときコインターカレーションされた溶媒は、黒鉛の結晶層間で容易に還元分解されるので、必然的に充放電効率は著しく低下する。
バンド半価幅Δνが55cm−1未満では、その後の黒鉛化処理に於いて、黒鉛結晶のa軸方向の発達が過度となり、表面のみならず粒子内部の結晶化度が大きくなり過ぎ、充電過程において、前述のコインターカレーション現象が生じ易くなり、コインターカレーションされた溶媒等が、前述の通り結晶層間で還元分解される結果、その充放電効率が著しく低下するため好ましくない。
Δνが68cm−1を超える原料炭組成物は、その後の黒鉛化処理においても黒鉛結晶の発達が乏しく、表層における結晶エッジの露出領域が多く、粒子表面で電解質の還元分解に起因した副反応・競争反応が急速に生じ易くなり好ましくない。
また、ピーク強度の比 I1350cm−1/I1600cm−1が、0.97未満の場合は、リチウムイオンの挿入脱離反応の経路となる結晶子エッジ面が極めて少ないことを意味し、リチウムイオンの拡散経路が不十分となり、充分な容量が得られず好ましくない。
リチウム二次電池の負極炭素材料を製造するためのプロセスとして、「重質油組成物をディレードコーキングプロセスによってコーキング処理した後、熱処理する」方法は、一般的に知られている(前述の特許文献1)。この製造方法は、品質が高い炭素材料を大量生産するために大変適しており、多品種のコークス製品がこのプロセスで量産されている。本発明者等は、残油流動接触分解装置のボトム油を含む重質油を用い、コーキング条件を適切な範囲とすることにより、所定の原料炭組成物を製造できることを見出し、本出願に係る発明を完成するに至った。
本出願に係る発明の原料炭組成物は、前述の通り、Arレーザーラマン分光でえられる粒子表面(表層)の黒鉛化度及びエッジ面の特徴である。前述の通り、原料炭組成物を粉砕・分級し、粒度調整した後、炭化、黒鉛化して製造する方法が一般的である。粉砕した後に黒鉛化することで、得られた黒鉛粉末の粒子表面(表層)の黒鉛化度を、粒子内部(バルク)の黒鉛化度より高めることが可能だからである。ここで、原料炭組成物(生コークス)とは、残油流動接触装置のボトム油を含む重質油をディレードコーカーで熱分解したものを指す。
黒鉛化した後に粉砕することで得られた黒鉛粉末は、粉砕による力学的なエネルギーが粒子表面に付与される結果、粒子表面の黒鉛化度が粒子内部の黒鉛化度よりも低下するため、本出願に係る発明の物性が達成された負極材用炭素材料を得ることはできず、好ましくない。
従って本出願に係る発明は、前述の通り、粉砕される生コークスの結晶組織が、比較的小さなサイズの六角網平面から成る結晶子で構成された組織となるための製造方法が具体的に規定されているとも換言することができる。発明者らは、このような組織を有した原料炭組成物(生コークス)を、量産に適したディレードコーキングプロセスによって製造するためには、原料となる残油流動接触分解装置のボトム油を含む重質油の物性、コーキング条件を制御すれば可能となることを見出すに至った。
先ず、原料となる重質油であるが、残油流動接触装置(RFCC)のボトム油を含むことが好ましい。流動接触分解(FCC)による残油処理自体が、触媒の劣化や運転温度調節の困難さから不適当とされてきたが、本発明では、残油を流動接触分解(FCC)する残油流動接触分解装置(RFCC)のボトム油を好適に利用できる。残油流動接触分解装置(RFCC)は、原料油として残油(常圧残油等)を使用し、触媒を使用して分解反応を選択的に行わせ、高オクタン価のFCCガソリンを得る流動床式の流動接触分解する装置である。残油流動接触分解装置のボトム油としては、例えば、常圧残油等の残油をリアクター反応温度(ROT)510〜540℃の範囲で、触媒/油質量比率を6〜8の範囲で変化させて製造したボトム油が挙げられる。ここで、残油流動接触装置(RFCC)の運転条件としては、1例を挙げれば、密度0.9293g/cm、残留炭素5.5mass%の常圧蒸留残油を反応温度530℃、全圧0.21MPa、触媒/油比6で流動接触分解し得られる。
その特徴は、重質な飽和成分を含有することにある。飽和成分の含有率の好ましい範囲は、10〜40質量%であり、より好ましい上限は、35質量%である。
これらの重質油は高温処理されることによって、熱分解及び重縮合反応が起こり、メソフェーズと呼ばれる液晶が中間生成物として生成する過程を経て生コークスが製造される。このとき、良好なバルクメソフェーズを生成する重質油成分と、このバルクメソフェーズが重縮合して炭化及び固化する際に、一軸方向に規則正しく配列させる働きやメソフェーズを構成する六角網平面積層体の大きさを制限する機能を有したガスを生じ得る重質な飽和成分を含む重質油成分とが、両方とも含有された原料油組成物を用いることが有効である。このガスを生じ得る重質油成分として残油流動接触装置(RFCC)のボトム油が最適であることを見出した。
上記飽和成分の含有率は、TLC−FID法により測定したものである。TLC−FID法とは、薄層クロマトグラフィー(TLC)により試料を飽和成分、アロマ成分、レジン成分及びアスファルテン成分に4分割し、その後、水素炎イオン化検出器(Flame Ionization Detector:FID)にて各成分を検出し、各成分量の全成分量に対する百分率をもって組成成分値としたものである。
まず、試料0.2g±0.01gをトルエン10mlに溶解して、試料溶液を調整する。予め空焼きしたシリカゲル棒状薄層(クロマロッド)の下端(ロッドホルダーの0.5cmの位置)にマイクロシリンジを用いて1μlスポットし、ドライヤー等により乾燥させる。次に、このマイクロロッド10本を1セットとして、展開溶媒にて試料の展開を行う。展開溶媒としては、第1展開槽にヘキサン、第2展開槽にヘキサン/トルエン(体積比20:80)、第3展開槽にジクロロメタン/メタノール(体積比95:5)を使用する。飽和成分については、ヘキサンを溶媒とする第1展開槽にて溶出して展開する。アスファルテン成分については、第1展開、第2展開の後、ジクロロメタン/メタノールを溶媒とする第3展開槽にて溶出して展開する。展開後のクロマロッドを測定器(例えば、ダイアヤトロン社(現三菱化学ヤトロン社)製の「イアトロスキャンMK−5」(商品名))にセットし、水素炎イオン化検出器(FID)で各成分量を測定する。各成分量を合計すると全成分量が得られる。
重質な飽和成分は、前述の通り、コーキング処理時にガスを発生することで、バルクメソフェーズの大きさを、制限する重要な役割を演じている。また、このガス発生のタイミングが良く、隣接するメソフェーズどうしを一軸配向させ、系全体を選択的に配向させる機能も有している。このためメソフェーズのサイズは小さく制限されているにも拘らず、粉砕された粒子を炭化・黒鉛化した場合、特に粒子表層の結晶組織が発達し易くなる。
残油流動接触装置(RFCC)のボトム油の芳香族指数faは0.45〜0.70が好ましい。芳香族指数faが0.45未満となった場合は、重質油からのコークスの収率が極端に低くなるほか、良好なバルクメソフェーズを形成することができず、黒鉛化しても結晶組織が発達し難いため好ましくない。また0.70を超える場合には、生コークスの製造過程においてマトリックス中に急激にメソフェーズが多数発生し、主としてメソフェーズのシングル成長よりも、メソフェーズどうしの急激な合体が繰り返される。このためノルマルパラフィン含有成分によるガスの発生速度よりも、メソフェーズどうしの合体速度の方が速くなるため、一軸配向を付与することが不可能となり好ましくない。
ここでfaは、Knight法により求めることができる。Knight法では、炭素の分布を13C−NMR法による芳香族炭素のスペクトルとして3つの成分(A,A,A)に分割する。ここで、Aは芳香族環内部炭素数、置換されている芳香族炭素と置換されていない芳香族炭素の半分(13C−NMRの約40〜60ppmのピークに相当)、Aは置換していない残りの半分の芳香族炭素(13C−NMRの約60〜80ppmのピークに相当)Aは脂肪族炭素数(13C−NMRの約130〜190ppmのピークに相当)であり、これらから、faは
fa=(A+A)/(A+A+A
により求められる。13C−NMR法が、ピッチ類の化学構造パラメータの最も基本的な量であるfaを定量的に求められる最良の方法であることは、文献(「ピッチのキャラクタリゼーション II. 化学構造」横野、真田、(炭素、1981(No.105)、p73〜81)に示されている。
以上のような物性を有する重質油としては、残油流動接触装置(RFCC)のボトム油を含む、二種類以上の原料油をブレンドすることによっても得ることができる。この原料油としては、脱硫脱瀝油や流動接触分解装置(FCC)のボトム油、高度な水添脱硫処理を施した重質油、減圧蒸留装置の残油(VR)、石炭液化油、石炭の溶剤抽出油、常圧残渣油、シェルオイル、タールサンドビチューメン、ナフサタールピッチ、コールタールピッチ、エチレンボトム油及びこれらを水素化精製した重質油等が挙げられる。二種類以上の原料油をブレンドして原料油組成物を調製する場合、使用する原料油の性状に応じて配合比率を適宜調整すればよい。なお、原料油の性状は、原油の種類、原油から原料油が得られるまでの処理条件等によって変化する。
脱硫脱瀝油は、例えば、減圧蒸留残渣油等の油を、プロパン、ブタン、ペンタン、又はこれらの混合物等を溶剤として使用する溶剤脱瀝装置で処理し、そのアスファルテン分を除去し、得られた脱瀝油(DAO)を、好ましくは硫黄分0.05〜0.40質量%の範囲までに脱硫したものである。流動接触分解装置(FCC)のボトム油は、原料油として減圧軽油を使用し、触媒を使用して分解反応を選択的に行わせ、高オクタン価のFCCガソリンを得る流動床式の流動接触分解する装置のボトム油である。高度な水添脱硫処理を施した重質油は、例えば、硫黄分1質量%以上の重質油を水素分圧10MPa以上で水素化脱硫処理して得られる硫黄分1.0質量%以下、窒素分0.5質量%以下、芳香族炭素分率(fa)0.1以上の重質油である。減圧蒸留装置の残渣油(VR)は、原油を常圧蒸留装置にかけて、ガス・軽質油・常圧残油を得た後、この常圧残油を、例えば、10〜30Torrの減圧下、加熱炉出口温度320〜360℃の範囲で変化させて得られる減圧蒸留装置のボトム油である。
本実施形態に係る残油流動接触分解装置のボトム油を含む重質油は、コークス化され、ついで、炭化され、必要に応じて、黒鉛化され、リチウム二次電池の負極用の炭素材料として使用される。所定の条件を満たす重質油物をコークス化する方法としては、ディレードコーキング法が好ましい。より具体的には、加圧条件下、ディレードコーカーによって重質油を熱処理して生コークスを得る。このとき、本発明の効果を得るためには、ディレードコーカーの条件として、圧力が0.5〜0.7MPa、温度が500〜530℃の範囲が好ましい。
このディレードコーカープロセスの生コークスは、水分を多量に含むため、乾燥した後、粉砕、分級に供する。
前記圧力に好ましい範囲が規定されている理由は、飽和成分より発生するガスの系外への放出速度を、圧力で制限することができるからである。前述の通り、メソフェーズを構成する炭素六角網平面のサイズは、発生するガスで制御するため、発生ガスの系内への滞留時間は、前記六角網平面の大きさを決定するための重要な制御パラメーターとなる。
また、前記温度に好ましい範囲が規定されている理由は、本発明の効果を得るために調整された重質油から、メソフェーズを成長させるために重要な温度だからである。
負極用炭素材料の製造方法としては、乾燥機を用い水分を除いた原料炭組成物を機械式粉砕機で粉砕し、精密空気分級機で分級することにより、平均粒子径30μm以下、より好ましくは5〜30μmの炭素微粒子材料を得、ついでその炭素微粒子材料を1200〜1400℃で炭化し、さらに、上記炭化物をArガス気流中、最高到達温度2200〜2800℃で黒鉛化処理することが挙げられる。平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計による測定に基づく。
黒鉛化処理の1例を挙げると、炭素微粒子材料を所定の黒鉛るつぼに投入し、黒鉛化炉に設置して、Arガス気流中、最高到達温度2200〜2800℃で黒鉛化処理する。このとき昇温速度は200℃/時間、最高到達温度の保持時間は16時間、降温速度は1000℃までが100℃/時間とし、室温まで放冷させ、リチウムイオン二次電池負極用の炭素材料を得る。
次に、本発明に係る原料炭組成物から得られるリチウムイオン二次電池負極用炭素材料を用いたリチウム二次電池について説明する。
リチウム二次電池用負極の製造方法としては特に限定されず、例えば、本出願に係る発明が適用された炭素材料、バインダー(結着剤)、必要に応じて導電助剤、有機溶媒を含む混合物(負極合剤)を、所定寸法に加圧成形する方法が挙げられる。また他の方法としては、本出願に係る発明が適用された炭素材料、バインダー(結着剤)、導電助剤等を有機溶媒中で混練・スラリー化し、当該スラリーを銅箔等の集電体上に塗布・乾燥したもの(負極合剤)を圧延し、所定の寸法に裁断する方法も挙げることができる。
前記バインダー(結着剤)としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、SBR(スチレンーブタジエンラバー)等を挙げることができる。負極合剤の中のバインダーの含有率は、炭素材料100質量部に対して1〜30質量部程度を、電池の設計上、必要に応じて適宜設定すればよい。
前記導電助剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラック、又は導電性を示すインジウム−錫酸化物、又は、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン等の導電性高分子を挙げることができる。導電助剤の使用量は、炭素材料100質量部に対して1〜15質量部が好ましい。
前記有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、イソプロパノール、トルエン等を挙げることができる。
炭素材料、バインダー、必要に応じて導電助剤、有機溶媒を混合する方法としては、スクリュー型ニーダー、リボンミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー等の公知の装置を用いることができる。該混合物は、ロール加圧、プレス加圧することにより成形されるが、このときの圧力は100〜300MPa程度が好ましい。
前記集電体の材質については、リチウムと合金を形成しないものであれば、特に制限なく使用することができる。例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等を挙げることができる。また前記集電体の形状についても特に制限なく利用可能であるが、例示するとすれば、箔状、穴開け箔状、メッシュ状等にした帯状のものを挙げることができる。また、多孔性材料、例えばポーラスメタル(発泡メタル)やカーボンペーパーなども使用可能である。
前記スラリーを集電体に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、ダイコーター法など公知の方法を挙げることができる。塗布後は、必要に応じて平板プレス、カレンダーロール等による圧延処理を行うのが一般的である。
また、シート状、ペレット状等の形状に成形された負極材スラリーと集電体との一体化は、例えば、ロール、プレス、もしくはこれらの組み合わせ等、公知の方法により行うことができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池負極用炭素材料を用いたリチウム二次電池は、例えば、以上のようにして製造した負極と正極とが、セパレータを介して対向するように配置し、電解液を注入することにより得ることができる。
正極に用いる活物質としては、特に制限はなく、例えば、リチウムイオンをドーピング又はインターカレーション可能な金属化合物、金属酸化物、金属硫化物、又は導電性高分子材料を用いればよく、例示するのであれば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、及び複酸化物(LiCoNiMn、X+Y+Z=1)、リチウムバナジウム化合物、V、V13、VO、MnO、TiO、MoV、TiS、V、VS、MoS、MoS、Cr、Cr、オリビン型LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Fe)、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセン等の導電性ポリマー、多孔質炭素等及びこれらの混合物を挙げることができる。
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微多孔性フィルム又はそれらを組み合わせたものを使用することができる。なお、作製するリチウムイオン二次電池の正極と負極が直接接触しない構造にした場合は、セパレータを使用する必要はない。
リチウム二次電池に使用する電解液及び電解質としては公知の有機電解液、無機固体電解質、高分子固体電解質が使用できる。好ましくは、電気伝導性の観点から有機電解液が好ましい。
有機電解液としては、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル等のエーテル、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄化合物、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のジアルキルケトン、テトラヒドロフラン、2−メトキシテトラヒドロフラン等の環状エーテル、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状炭酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の鎖状炭酸エステル、N−メチル2−ピロリジノン、アセトニトリル、ニトロメタン等の有機溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの溶媒の溶質としては、各種リチウム塩を使用することができる。一般的に知られているリチウム塩にはLiClO、LiBF、LiPF、LiAlCl、LiSbF、LiSCN、LiCl、LiCFSO、LiCFCO、LiN(CFSO2、LiN(CSO等がある。
高分子固体電解質としては、ポリエチレンオキサイド誘導体及び該誘導体を含む重合体、ポリプロピレンオキサイド誘導体及び該誘導体を含む重合体、リン酸エステル重合体、ポリカーボネート誘導体及び該誘導体を含む重合体等が挙げられる。
なお、上記以外の電池構成上必要な部材の選択についてはなんら制約を受けるものではない。
リチウムイオン二次電池の構造は、特に限定されないが、帯状に成型された正極と負極とが、セパレータを介して渦巻状に巻回された巻回電極群を、電池ケースに挿入し、封口した構造や、平板状に成型された正極と負極とが、セパレータを介して順次積層された積層式極板群を外装体中に封入した構造とするのが一般的である。リチウム二次電池は、例えば、ペーパー型電池、ボタン型電池、コイン型電池、積層型電池、円筒型電池、角形電池などとして使用される。
本出願の発明に係る炭素材料を用いたリチウム二次電池は、従来の炭素材料を用いたリチウム二次電池と比較して、高度な信頼性を確保することが可能となるため、自動車用、具体的にはハイブリッド自動車用、プラグインハイブリッド自動車用、電気自動車用や、系統インフラの電力貯蔵用など産業用として利用することができる。
以下、実施例及び比較例に基づき本出願に係る発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<物性の測定>
<ラマンスペクトル分析>
光源をArレーザー(励起波長514.5 nm)としたラマン分光分析を行った。測定はマクロモードで、レーザーのスポット径は約100μmであり、レーザー照射範囲全体からの平均的な情報が得られるように設定した。測定装置はRamanor T−64000 (Jobin Yvon/愛宕物産)、測定配置は60°、レーザーパワーは10mWである。
得られたラマンスペクトル図において、1580cm−1±50cm−1の波長領域に存在するピークの半価幅Δνを、最小二乗法による直接読み取りにより算出した。なお測定・解析は3回ずつ実施し、その平均値をΔνとした。
併せて、1350cm−1及び1600cm−1近傍のピーク強度を求め1350cm−1/1600cm−1の比を得た。
実施例及び比較例に記載されたか焼コークスのΔνおよび1350cm−1/1600cm−1の強度比が測定された結果は、表1に示された通りである。
<負極材料評価用セルの作製と特性の評価方法>
(1)負極材料評価用セルの作製方法
負極材料として、下記実施例又は比較例で得られた黒鉛粉末と結着剤のポリフッ化ビニリデン(クレハ社製KF#9310)、アセチレンブラック(デンカ社製のデンカブラック)を質量比で90:2:8に混合し、N−メチル−2−ピロリジノンを加えて混練した後、ペースト状にして、厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥及び圧延した。得られたシート状の電極を直径φ15mmに打ち抜き作用極とした。この作用極及びその他の必要部材を十分に乾燥させ、露点−100℃のアルゴンガスが満たされたグローブボックス内に導入し、負極材料評価用セルを組み立てた。乾燥条件は、作用極が減圧状態の下150℃で12時間以上、その他部材が減圧状態の下70℃で12時間以上である。
図1に負極材料評価用セル1の断面図を示す。評価用セル1は、ポリ四弗化エチレン製パッキング4により内部の気密が保持可能な中空金属体2を容器としている。当該中空金属体2にはまず、参照極15と上記工程により得られた作用極7とを離間して配置した。次に、これらの電極上に直径φ24mmのポリプロピレン製のマイクロポーラスフィルム(セルガード社製#2400)からなるセパレータ9と、厚さ0.7mm、直径φ17mmの円盤状リチウム金属箔からなる対極5とを順に積層した。なおリチウム金属箔と作用極との積層位置関係は、リチウム金属箔を作用極側に投影したときにその外周部が作用極7の外周を包囲するように押さえ治具3によって保持した。さらに、対極5、作用極7および参照極15から各々金属枠2の外部に延びる端子8、10、12を設けた。
次いで、前記中空金属体3に電解液6を注入すると共に、この積層体が、厚さ1mm、直径φ20mmのステンレス(SUS304)製円盤11を介してステンレス製のバネ13で加圧され、帯状のニッケル製リード板(厚さ50μm,幅3mm)にリチウム金属が巻きつけられた参照極15が作用極7近傍で固定されるように前記中空金属体3を封止し、負極材料評価用セル1を作製した。使用した電解液6は、エチレンカーボネートとエチルエチルメチルカーボネートとを体積比で3:7に混合した溶媒にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を1mol/Lの濃度となるように溶解したものである。
(2)負極材料評価用セルの充放電試験方法
負極材料評価用セルを25℃の恒温室内に設置し、以下に示す充放電試験を行った。先ず作用極の面積を基準とし、電流密度が0.1mA/cmとなるような電流値で対極及び作用極の間を通電(放電)し、参照極に対する作用極の電位が0.01Vになるまで作用極にリチウムをドープした。10分間の休止の後、同じ電流値で参照極に対する作用極の電位が1.2Vになるまで通電(充電)し、作用極に吸蔵されたリチウムを脱ドープした。得られたリチウムドープ容量(mAh/g)とリチウム脱ドープ容量(mAh/g)を確認し、これらの値から初期充放電サイクルの充放電効率(%)を以下の式から算出した。
Figure 2012035916
実施例及び比較例に記載された黒鉛粉末のリチウム脱ドープ容量、及び充放電効率は、表1に示された通りである。
<電池の作製と特性の評価方法>
(1)電池の作製方法
図2に作製した電池20の断面図を示す。正極21は、正極材料である平均粒子径6μmのニッケル酸リチウム(戸田工業社製LiNi0.8Co0.15Al0.05)と結着剤のポリフッ化ビニリデン(クレハ社製KF#1320)、アセチレンブラック(デンカ社製のデンカブラック)を質量比で89:6:5に混合し、N−メチル−2−ピロリジノンを加えて混練した後、ペースト状にして、厚さ30μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥及び圧延操作を行い、塗布部のサイズが、幅30mm、長さ50mmとなるように切断されたシート電極である。このシート電極の一部はシートの長手方向に対して垂直に正極合剤が掻き取られ、その露出したアルミニウム箔が塗布部の集電体22(アルミニウム箔)と一体化して繋がっており、正極リード板としての役割を担っている。
負極23は、負極材料である下記実施例又は比較例で得られた黒鉛粉末と結着剤のポリフッ化ビニリデン(クレハ社製KF#9310)と、アセチレンブラック(デンカ社製のデンカブラック)とを質量比で90:2:8に混合し、N−メチル−2−ピロリジノンを加えて混練した後、ペースト状にして、厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥及び圧延操作を行い、塗布部のサイズが、幅32mm、長さ52mmとなるように切断されたシート電極である。このシート電極の一部はシートの長手方向に対して垂直に負極合剤が掻き取られ、その露出した銅箔が塗布部の集電体24(銅箔)と一体化して繋がっており、負極リード板としての役割を担っている。
電池20の作製は、正極21、負極23、セパレータ25、外装27及びその他部品を十分に乾燥させ、露点−100℃のアルゴンガスが満たされたグローブボックス内に導入して組み立てた。乾燥条件は、正極21及び負極23が減圧状態の下150℃で12時間以上、セパレータ25及びその他部材が減圧状態の下70℃で12時間以上である。
このようにして乾燥された正極21及び負極23を、正極の塗布部と負極の塗布部とが、ポリポロピレン製のマイクロポーラスフィルム(セルガード社製#2400)を介して対向させる状態で積層し、ポリイミドテープで固定した。なお、正極及び負極の積層位置関係は、負極の塗布部に投影される正極塗布部の周縁部が、負極塗布部の周縁部の内側で囲まれるように対向させた。得られた単層電極体を、アルミラミネートフィルムで包埋させ、電解液を注入し、前述の正・負極リード板がはみ出した状態で、ラミネートフィルムを熱融着することにより、密閉型の単層ラミネート電池を作製した。使用した電解液は、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートが体積比で3:7に混合された溶媒にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)が1mol/Lの濃度となるように溶解されたものである。
(2)電池の評価方法
得られた電池を25℃の恒温室内に設置し、以下に示す充放電試験を行った。先ず1.5mAの電流で、電池電圧が4.2Vとなるまで定電流で充電した。10分間休止の後、同じ電流で電池電圧が3.0Vとなるまで定電流で放電する充放電サイクルを10回繰り返した。この充放電サイクルは、電池の異常を検知するためのものであるため、充放電サイクル試験のサイクル数には含まなかった。本実施例で作製された電池は、全て異常がないことを確認した。
次の充放電サイクルを第1サイクル(初期サイクル)とする。75mAの電流で、電池電圧が4.2Vとなるまで定電流で充電し、1分間休止の後、同じ電流で電池電圧が3.0Vとなるまで定電流で放電する充放電サイクルを設定し、このサイクルを1000回繰り返した。充放電サイクルの容量維持率として、初期放電容量に対する1000サイクル目の放電容量の割合(%)を算出した。実施例及び比較例で作製した黒鉛粉末を負極用炭素材料として使用した電池の充放電サイクルの容量維持率を表1中に示す。
<実施例及び比較例の原料炭組成物の製造方法>
(実施例1)
密度0.9293g/cm 残留炭素 5.5mass%の常圧蒸留残油を反応温度530℃、全圧0.21MPa、触媒/油質量比6で流動接触分解し、残油流動接触分解装置(RFCC)のボトム油を得た。このボトム油の性状は、密度1.0386g/cm 硫黄分(TS) 0.33mass%、fa 0.57、ガスクロ蒸留 10%点 366℃、飽和成分比率21質量%であった。
南方系の低硫黄分常圧蒸留残油を減圧蒸留し、密度0.9304g/cm TS 0.22mass%、fa0.21の減圧残渣油を得た。
常圧蒸留残油を減圧蒸留し、更に水素化脱硫した、密度0.83g/cm、残留炭素 0.1mass%を、反応温度530℃、全圧0.21MPa、触媒/油質量比10で流動接触分解し、流動接触分解装置(FCC)のボトム油を得た。このボトム油の性状は、密度0.9971g/cm TS 0.03mass%、fa 0.51、ガスクロ蒸留 10%点 330℃であった。
次に、前述の残油流動接触分解装置(RFCC)のボトム油と減圧残渣油と流動接触分解装置(FCC)のボトム油とを6:3:1(質量比)で混合し、ディレードコーカー装置に導入して、圧力0.5MPa下、520℃でコーキング処理し、真比重 1.42の生コークスを得た。
生コークスは水分を多く含んでいるので、乾燥機を用い水分を除き原料炭組成物を得た。
Arレーザーラマン分光法の測定には、上記の原料炭組成物を回転数3rpmのロータリーキルン炉を用い1400℃で30分、炭化(か焼)したものを200mesh以下に微粉砕し供した。
か焼コークスのΔνは57cm−1、および1350cm−1/1600cm−1の強度比が1.02であった。
次いで、当該原料炭組成物を機械式粉砕機で粉砕し、精密空気分級機で分級することにより、平均粒子径16μmの炭素微粒子材料を得た。
炭素微粒子材料を所定の黒鉛るつぼに投入し、Nガス気流中で1500℃まで炭化の後、Arガス気流中、最高到達温度2400℃で黒鉛化処理した。このとき昇温速度は200℃/時間、最高到達温度の保持時間は16時間、降温速度は1000℃までが100℃/時間とし、その後、室温まで放冷させ、リチウムイオン二次電池負極用の炭素材料を得た。
この負極材料の評価結果は、放電容量(脱ドープ容量)が320mAh/gで充放電効率91%と高く、また、1000サイクル後の容量維持率も92%と優れた電池性能であった。
(実施例2)
前述の残油流動接触分解装置(RFCC)のボトム油と減圧残渣油と流動接触分解装置(FCC)のボトム油とを6:2:2(質量比)で混合し、ディレードコーカー装置に導入して、圧力0.5MPa下、520℃でコーキング処理し、生コークス得た。
それ以外は、実施例1と同じ評価を行ない、結果を表1に示した。
(実施例3)
前述の残油流動接触分解装置(RFCC)のボトム油と減圧残渣油と流動接触分解装置(FCC)のボトム油とを実施例1と同じ6:3:1(質量比)で混合し、ディレードコーカー装置に導入して、圧力0.5MPa下、500℃でコーキング処理し、生コークス得た。
それ以外は、実施例1と同じ評価を行ない、結果を表1に示した。
(実施例4)
前述の残油流動接触分解装置(RFCC)のボトム油と減圧残渣油とを1:9(質量比)で混合し、ディレードコーカー装置に導入して、圧力0.5MPa下、510℃でコーキング処理し、生コークス得た。
それ以外は、実施例1と同じ評価を行ない、結果を表1に示した。
(比較例1)
前述の流動接触分解装置(FCC)のボトム油を単独で、ディレードコーカー装置に導入して、圧力0.4MPa下、530℃でコーキング処理し、生コークス得た。それ以外は、実施例1と同じ評価を行ない、結果を表1に示した。
(比較例2)
前述の流動接触分解装置(FCC)のボトム油と減圧残渣油とを7:3(質量比)で混合し、ディレードコーカー装置に導入して、圧力0.4MPa下、490℃でコーキング処理し、生コークス得た。それ以外は、比較例1と同じ。
(比較例3)
前述の流動接触分解装置(FCC)のボトム油と減圧残渣油とを9:1(質量比)で混合し、ディレードコーカー装置に導入して、圧力0.5MPa下、490℃でコーキング処理し、生コークス得た。それ以外は、比較例1と同じ。
(比較例4)
減圧残渣油を単独で、ディレードコーカー装置に導入して、圧力0.5MPa下、530℃でコーキング処理し、生コークス得た。それ以外は、比較例1と同じ。
(比較例5)
前述の流動接触分解装置(FCC)のボトム油と減圧残渣油と常圧蒸留残油とを、触媒存在下、水素化分解率が25%以下となるように水素化脱硫し、水素化脱硫油を得た。水素化脱硫条件は、全圧8MPa、水素分圧7MPa、温度400℃である。これらを6:1:3(質量比)で混合し、ディレードコーカー装置に導入して、圧力0.4MPa下、540℃でコーキング処理し、生コークス得た。それ以外は、比較例1と同じ。
(比較例6)
前述の残油流動接触分解装置(RFCC)のボトム油と前述の水素化脱硫油とを2:8(質量比)で混合し、ディレードコーカー装置に導入して、圧力0.4MPa下、540℃でコーキング処理し、生コークス得た。それ以外は、比較例1と同じ。
Figure 2012035916
表1で、例えば、実施例4と比較例5との比較により、バンド半価幅が55〜68cm−1の範囲にあってもピーク強度の比 I1350cm−1/I1600cm−1が、0.97未満であると容量維持率が著しく低下することがわかった。
また実施例1、実施例2と比較例2、比較例4との比較により、ピーク強度の比が0.97を大きく超える場合であっても、バンド半価幅が68cm−1を上回る場合、充放電効率が著しく低下することがわかった。これはリチウムイオンの拡散経路が保持されているが、黒鉛結晶の粒子表面で電解質の還元分解が過度に進行したためと推測される。
さらに実施例2と比較例6との比較により、残油流動接触分解装置のボトム油を含んでいてもバンド半値幅が68cm−1を上回る場合、放電容量が低下することがわかった。
1 負極材料評価用セル
2 中空金属体
3 押さえ治具
4 パッキン
5、21 対極(正極)
6 電解液
7、23 作用極(負極)
8、10、12 端子
9、25 セパレータ
11 対極押さえ板
13 ばね
15 参照極
20 電池
22 正極集電体
24 負極集電体
27 外装

Claims (7)

  1. 重質油をディレード・コーキングして得られる真比重1.30以上の原料炭組成物であって、該原料炭組成物を1400℃で30分炭化処理することによって、Arレーザーラマン分光法での1600cm−1近傍ピークのバンド半価幅が55〜68cm−1、1350cm−1近傍のピーク強度と1600cm−1近傍のピーク強度の比I1350cm−1/I1600cm−1が、0.97以上となることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極炭素材料の原料炭組成物。
  2. 前記重質油が、残油流動接触分解装置のボトム油を含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極炭素材料の原料炭組成物。
  3. 前記残油流動接触分解装置のボトム油が、飽和成分を10〜40質量%含有することを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン二次電池負極材用の原料炭組成物。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の原料炭組成物を1200〜1400℃で炭化して得られることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極炭素材料の原料炭。
  5. 請求項1ないし3のいずれかに記載の原料炭組成物を、平均粒子径として30μm以下に粉砕してから炭化及び/もしくは黒鉛化することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極炭素材料の製造方法。
  6. 請求項1ないし3のいずれかに記載の原料炭組成物を、炭化及び/もしくは黒鉛化することにより得られたリチウムイオン二次電池用負極材。
  7. 請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用負極材を用いたリチウムイオン二次電池。
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