JPWO2012029643A1 - 複合粒子、その製造方法およびその用途 - Google Patents

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Abstract

例えば、化粧料に配合すると、良好なすべり性および密着性(肌へののり)を有する複合粒子、その製造方法およびその用途を提供する。半球状または半楕円球状で、かつ中央に凹部を有するおわん状母粒子(A)の該凹部の内部に、微粒子(B)が包接されてなる複合粒子、前記おわん状母粒子(A)は、平均径が0.05〜100μmの有機高分子からなることを特徴とする複合粒子、前記有機高分子は、有機シロキサン架橋体であることを特徴とする複合粒子、その製造方法およびその用途など。

Description

本発明は、複合粒子、その製造方法およびその用途に関し、さらに詳しくは、粒子の中央部が凹状に窪んだ空洞部を有する粒子(以下、「おわん状母粒子」という)の中央の凹部の内部に、微粒子が包接された形状であって、例えば、化粧料に配合すると、良好なすべり性および密着性(肌へののり)を有する複合粒子、その製造方法およびその用途に関する。
従来、有機微粒子として、合成高分子系のものや天然高分子系のもの等、各種が知られている。特に、合成高分子系の有機微粒子である有機シリコーン微粒子については、それが潤滑性、非粘着性、吸油性、分散性、耐熱性、耐溶剤性、撥水性等に優れていることから注目され、表面の滑らかな中実球状の有機シリコーン微粒子(例えば、特許文献1参照。)、表面に多数のくぼみを有する全体としては中実球状の有機シリコーン微粒子(例えば、特許文献2参照。)や、本発明に係るおわん状母粒子に類似の断面馬蹄形を呈する有機シリコーン微粒子(例えば、特許文献3参照。)、全体として中空半球状体様を呈する特定形状の有機シリコーン微粒子(例えば、特許文献4参照。)等が提案されている。
また、上記のシリコーン系以外の樹脂製微粒子についても、例えば、半球状あるいは半楕円球状の、中央に大きな凹部を有するおわん状微粒子や、おわん状微粒子を含有する固型粉末化粧料(例えば、特許文献5、6参照。)が提案されている。
ところが、従来提案されている有機シリコーン微粒子やおわん状微粒子には、それらを使用する場合に幾つかの問題がある。例えば、化粧品分野の現状は、肌上での使用感触の多様化への対応、液状化粧品成分や紫外線吸収剤等の内包或は吸着による多機能化ないし高機能化への対応が求められているところ、例えば、表面の滑らかな中実球状の有機シリコーン微粒子では、その構造から、表面への吸着は少なく、また全体の形状として他の粒子と容易に結合するものでないため、かかる求めに応えることができない。また、断面馬蹄形を呈する有機シリコーン微粒子や、全体として中空半球状体様を呈する特定形状の有機シリコーン微粒子、中央に大きな凹部を有するおわん状微粒子などでは、液状化粧品成分や紫外線吸収剤等の内包或は吸着による多機能化ないし高機能化への対応において改善されているものの、化粧品原料として用いた場合の肌へののりや密着感において、未だ不充分という問題がある。
一方、複合粒子も、化粧料へのニーズの多様化に伴い、検討が進められている。例えば、ファンデーション等のメイクアップ化粧料においては、シミやソバカスをカバーしながらも、素肌感や透明感のある仕上がりを得ることが求められている。このような化粧料を得るため、種々の複合粒子が検討されている(例えば、特許文献7〜10参照。)。
しかしながら、例えば、前記特許文献10のものは、ポリオルガノシロキサン以外の有機球状粒子表面にポリオルガノシロキサンからなる凹凸状突起物を持ったコアシェル型複合粒子を配合した化粧料であって、立体感を付与し、自然な仕上がり感とすることができるものの、肌への伸び広がり、のりや密着感において、未だ不充分という問題がある。
特開平6−279589号公報 特許第3846667号公報 特開2000−191789号公報 特許第3701016号(特開2003−128788号)公報 特許第3229011号(特開平5−317688号)公報 特許第3160398号公報 特開2002−3744号公報 特許第3771187号(特開2003−300809号)公報 特開2005−298228号公報 特開2009−280570号公報
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点に鑑み、例えば、化粧料に配合すると、良好なすべり性および密着性(肌へののり)を有する複合粒子を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、中央に凹部を有するおわん状母粒子(A)と、微粒子(B)とを均一に混合し、乾式のメカノケミカル処理を施すと、おわん状母粒子(A)の中央の凹部の内部に、微粒子(B)が包接された構造の複合粒子が得られ、その複合粒子は、新規な形状であって、例えば、化粧料に配合すると、良好なすべり性および密着性(肌へののり)を有することを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
ここで、上記の「おわん状母粒子(A)」とは、外形が半球状または半楕円球状の粒子であって、かつ、該粒子の中央に、他の粒子を内部に包接しうる大きさの空洞である凹部を有する粒子を指す。同様に、「微粒子(B)」とは、上記のおわん状母粒子(A)の凹部の内部に包接される他の粒子を指すものである。また、本発明の「複合粒子」とは、前記のおわん状母粒子(A)の中央の凹部の内部に微粒子(B)が包接された構造を有する複合粒子を指すものである。なお、微粒子(B)が、おわん状母粒子(A)の凹部の内部に包接された構造は、微粒子(B)が、凹部内に充填または内包された構造を含む。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、半球状または半楕円球状で、かつ中央に凹部を有するおわん状母粒子(A)の該凹部の内部に、微粒子(B)が包接されてなる複合粒子が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記おわん状母粒子(A)は、前記凹部の開孔部(楕円形の場合は長尺開孔部)の平均直径が0.05〜100μmであり、有機高分子からなることを特徴とする複合粒子が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、前記有機高分子は、有機シロキサン架橋体であることを特徴とする複合粒子が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記微粒子(B)が有機高分子からなることを特徴とする複合粒子が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、前記微粒子(B)が有機シロキサン架橋体からなることを特徴とする複合粒子が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、前記微粒子(B)が無機粉体からなることを特徴とする複合粒子が提供される。
さらに、本発明の第7の発明によれば、第1の発明において、複合粒子の外観形状が母粒子(A)の内部に、球状の微粒子(B)の周辺部からその直径の1/4以上の高さとなる部分が包接された形状を有するどんぐり状であって、前記母粒子(A)の凹部の開孔部の直径の0.5以上、1未満の直径を有する前記球状の微粒子(B)が1個充填されていることを特徴とする複合粒子が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明に係る複合粒子を少なくとも含有することを特徴とする化粧品用組成物が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明に係る複合粒子を少なくとも含有することを特徴とする有機樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第10の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明に係る複合粒子を少なくとも含有することを特徴とする熱伝導性組成物が提供される。
一方、本発明の第11の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明に係る複合粒子の製造方法であって、次の工程(I)〜(III)を含むことを特徴とする複合粒子の製造方法が提供される。
工程(I):母粒子(A)の作製工程または準備工程
工程(II):微粒子(B)の作製工程または準備工程
工程(III):微粒子(B)が母粒子(A)の凹部の内部に物理化学的に包接される工程
また、本発明の第12の発明によれば、第11の発明において、前記工程(III)は、乾式のメカノケミカル処理にて行われることを特徴とする複合粒子の製造方法が提供される。
本発明の複合粒子は、おわん状母粒子の中央の凹部の内部に、微粒子が包接された構造の複合粒子であって、例えば、化粧料に配合すると、良好なすべり性および密着性(付着性、肌へののり)を有し、樹脂組成物に配合すると、基材樹脂からの脱落が著しく少ないという効果を得ることができる。
また、本発明の複合粒子の製造方法は、公知の方法で得た微粒子(B)と母粒子(A)を、乾式のメカノケミカル処理するものであり、高速回転ミキサー等の公知の機械力を用いた攪拌装置によって簡便に実施することができる。これにより、高額の設備投資が不要で、特徴的な構造を有する複合粒子を効率よく製造することができる。このため、本発明にかかる製法は、工業的な観点から、非常に有用である。
図1は、本発明に係る母粒子(A)の一例を示す走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」と略す。)写真(写真1)である。 図2は、本発明に係る母粒子(A)の他の一例を示すSEM写真(写真2)である。 図3は、本発明の複合粒子の一例を示すSEM写真(写真3)である。 図4は、本発明の複合粒子の他の一例を示すSEM写真(写真4)である。 図5は、本発明の複合粒子の他の一例を示すSEM写真(写真5)である。 図6は、本発明の複合粒子の他の一例を示すSEM写真(写真6)である。 図7は、本発明の複合粒子の他の一例を示すSEM写真(写真7)である。 図8は、本発明の複合粒子の他の一例を示すSEM写真(写真8)である。 図9は、本発明の複合粒子の他の一例を示すSEM写真(写真9)である。 図10は、本発明の複合粒子の他の一例を示すSEM写真(写真10)である。 図11は、本発明の複合粒子の他の一例を示すSEM写真(写真11)である。 図12は、本発明の複合粒子の他の一例を示すSEM写真(写真12)である。 図13は、本発明の複合粒子の他の一例を示すSEM写真(写真13)である。 図14は、本発明の複合粒子の他の一例を示すSEM写真(写真14)である。 図15は、本発明に係る母粒子(A)を説明する模式図である。 図16は、本発明のどんぐり状の複合粒子を説明する模式図である。
本発明の複合粒子は、その外形が半球状または半楕円球状で、かつ中央に凹部を有するおわん状母粒子(A)の凹部の内部に、微粒子(B)が包接(充填または内包の概念を含む)されてなるものである。
以下、本発明の複合粒子、その製造方法およびその用途について、項目毎に、詳細に説明する。
1.複合粒子
(1)母粒子(A)
本発明に係る母粒子(A)は、その外形がほぼ半球状または半楕円球状であり、かつ中央に凹部を有する、おわん状の粒子である。そして、その形状は、例えば、図1に示すような形状である。
本発明に係るおわん状母粒子(A)は、有機高分子からなり、おわん状の粒子の粒径は、凹部の開孔部(楕円形の場合は長尺開孔部)の平均直径が0.05〜100μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜50μm程度である。より具体的には、図15に基づいて、Wで示される外側大劣弧の端部間の幅が、母粒子の直径に相当し、Wで示される内側小劣弧の端部間の幅が、凹部の開孔部の直径に相当する。ここで、おわん状母粒子(A)の平均直径は、凹部の開孔部の直径と、母粒子(A)の厚みを足した値であり、母粒子(A)の厚みに応じて、該粒子の凹部の開孔部の平均直径の1.01倍〜3.0倍程度の大きさが一般的である。おわん状母粒子(A)が薄すぎると、凹部の開孔部が広く、粒子内部の空洞部分が大きくなる一方、粒子自体が脆くなり、複合化時に母粒子(A)が破壊される場合がある。一方、母粒子(A)の厚さが開孔部の直径を上回るほど厚いと、粒子内部の空洞部分が狭くなる傾向がある。好適には、おわん状母粒子(A)の平均直径は、該粒子の凹部の開孔部の平均直径の1.03〜2.0倍の大きさであり、1.05〜1.50倍の大きさであることが特に好ましい。
この範囲の粒径を有するおわん状母粒子(A)を選択することにより、光を多方向に散乱する効果が高まり、ファンデーション等の化粧品として配合した場合には、肌への付着性がより向上し、すべり性(ローリング効果)と肌への密着性に優れた粒子とすることができる。
ただし、前記おわん状母粒子(A)の凹部の開孔部の平均直径と、その平均粒子径は、前記おわん状母粒子(A)を光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡像で観察し、一視野中に存在するすべての微粒子または抽出した任意の100個について、その凹部の開孔部分が円形の場合は、その直径を測定し、楕円形の場合は、その長径を測定し、その数平均値で表す。
また、上記のおわん状母粒子(A)を形成する有機高分子としては、例えば、(i)重合性モノマー類と架橋剤とから得られるポリマー(樹脂)、或いは(ii)有機シロキサン架橋体などが挙げられる。
(i)重合性モノマー類と架橋剤とから得られるポリマー(樹脂)
上記(i)ポリマー(樹脂)に係る重合性モノマー類としては、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、酢酸ビニル、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、イソプレン、ブタジエン、アクロレイン、アクリルアミド、アリルアルコール、ビニルピリジン、安息香酸ビニル、安息香酸アリル等が例示される。これらの混合物を用いてもよい。アクリル酸、メタクリル酸等のエステル残基としては、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜4、特にメチル又はエチルエステルが好ましい。
また、上記(i)ポリマー(樹脂)に係る架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸エチレン、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、メタクリル酸アリル、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等の一種または二種以上から選ばれる。
上記(i)ポリマー(樹脂)を用いた本発明に係るおわん状母粒子(A)の製造方法としては、例えば、重合性単量体を架橋剤、疎水性液体及び重合開始剤の存在下、水中で攪拌しながら懸濁重合させる方法が挙げられる。
この際、疎水性液体は、重合体の重合膜中に内包されるが、本発明においては、おわん状母粒子(A)として、この疎水性液体内包粒子をそのまま用いてもよく、また疎水性液体として化粧品に有用な成分を使用してもよい。
また、本発明においては、本発明に係るおわん状母粒子(A)として、上記のように製造してもよいが、市販されているおわん状微粒子を使用してもよい。
市販のおわん状微粒子としては、例えば、松本油脂製薬(株)製の「マイクロスフェアーM−310」(ポリメタクリル酸メチルの微粒子、おわん状)、「マイクロスフェアーM−311」(ポリメタクリル酸メチルの微粒子、楕円おわん状)などが挙げられる。
(ii)有機シロキサン架橋体
本発明に係るおわん状母粒子(A)は、また、(ii)有機シロキサン架橋体、すなわち、ポリシロキサン架橋構造体からなるものである。このポリシロキサン架橋構造体は、シロキサン単位が3次元の網目構造を形成した構造体である。
本発明では、ポリシロキサン架橋構造体を構成するシロキサン単位の種類や割合を特に制限するものではないが、かかるシロキサン単位としては、下記式1で示されるシロキサン単位と、下記式2で示されるシロキサン単位とから構成されたものが好ましい。
式1:SiO
式2:RSiO1.5
(R:ケイ素原子に直結した炭素原子を有する有機基)
上記式2で示されるシロキサン単位において、式2中のRは、ケイ素原子に直結した炭素原子を有する有機基であって、反応性基でない有機基又は反応性基を有しない有機基である場合と、反応性基である有機基又は反応性基を有する有機基である場合とがあるが、反応性基である有機基又は反応性基を有する有機基が好ましい。
式2中のRにおいて、反応性基でない有機基又は反応性基を有しない有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基等が挙げられるが、これらのうちではメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。式2中のRがかかる有機基である場合、式2で示されるシロキサン単位のうちで好ましいシロキサン単位としては、メチルシロキサン単位、エチルシロキサン単位、プロピルシロキサン単位、ブチルシロキサン単位、フェニルシロキサン単位等が挙げられる。
また、式2中のRにおいて、反応性基である有機基又は反応性基を有する有機基としては、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アルケニル基、メルカプトアルキル基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、グリセロキシ基、ウレイド基、シアノ基等が挙げられるが、なかでも2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基等のエポキシ基を有するアルキル基、3−メタクロキシプロピル基、3−アクリロキシプロピル基等の(メタ)アクリロキシ基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等のアルケニル基、メルカプトプロピル基、メルカプトエチル基等のメルカプトアルキル基、3−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、3−アミノプロピル基、N,N−ジメチルアミノプロピル基等のアミノアルキル基が好ましい。
式2中のRがかかる有機基である場合、式2で示されるシロキサン単位としては、
1)3−グリシドキシプロピルシロキサン単位、3−グリシドキシプロピルシロキサン単位、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシロキサン単位、2−グリシドキシエチルシロキサン単位等のエポキシ基を有するシロキサン単位、
2)3−メタクロキシプロピルシロキサン単位、3−アクリロキシプロピルシロキサン単位等の(メタ)アクリロキシ基を有するシロキサン単位、
3)ビニルシロキサン単位、アリルシロキサン単位、イソプロペニルシロキサン単位等のアルケニル基を有するシロキサン単位、
4)メルカプトプロピルシロキサン単位、メルカプトエチルシロキサン単位等のメルカプトアルキル基を有するシロキサン単位、
5)3−アミノプロピルシロキサン単位、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルシロキサン単位、N,N−ジメチルアミノプロピルシロキサン単位、N,N−ジエチルアミノプロピルシロキサン単位、N,N−ジメチルアミノエチルシロキサン単位等のアミノアルキル基を有するシロキサン単位、
6)3−クロロプロピルシロキサン単位、トリフルオロプロピルシロキサン単位等のハロアルキル基を有するシロキサン単位、
7)3−グリセロキシプロピルシロキサン単位、2−グリセロキシエチルシロキサン単位等のグリセロキシ基を有するシロキサン単位、
8)3−ウレイドプロピルシロキサン単位、2−ウレイドエチルシロキサン単位等のウレイド基を有するシロキサン単位、
9)シアノプロピルシロキサン単位、シアノエチルシロキサン単位等のシアノ基を有するシロキサン単位、
等が挙げられるが、なかでも1)エポキシ基を有するシロキサン単位、2)(メタ)アクリロキシ基を有するシロキサン単位、3)アルケニル基を有するシロキサン単位、4)メルカプトアルキル基を有するシロキサン単位、5)アミノアルキル基を有するシロキサン単位が好ましい。
ポリシロキサン架橋構造体を前記したようなシロキサン単位で構成する場合、双方のシロキサン単位の構成割合は、特に制限されないが、式1で示されるシロキサン単位/式2で示されるシロキサン単位=30/70〜50/50(モル比)の構成割合とするのが好ましい。
本発明に係るおわん状母粒子(A)は、以上説明したように、ポリシロキサン架橋構造体からなるものであって、全体として中空半球状体様または中空半楕円球状体を呈するものであり、言い替えれば、中空球状体または中空半楕円球状体を概ね均等に二分割した際に得られる、中空球体の一部分の形状をもつ凹形粒子の形状を呈するものである。なお、本発明に係るおわん状母粒子(A)をその中心線において切断した横断面は、一般に弓形である。
また、本発明に係るおわん状母粒子(A)の製造方法としては、下記の式3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物と下記の式4で示されるシラノール基形成性化合物とを、式3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物/式4で示されるシラノール基形成性化合物=30/70〜50/50(モル比)の割合で用い、これらを触媒を存在させた条件下で水と接触させて加水分解することにより、シラノール化合物を生成させ、引き続き生成させたシラノール化合物を縮合反応させて、おわん状の有機シリコーン微粒子を製造する方法である。
式3:SiX
式4:RSiY
[式3、4中、Rは、ケイ素原子に直結した炭素原子を有する有機基を表わし、XとYは、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシエトキシ基、炭素数2〜4のアシロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基を有するN,N−ジアルキルアミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は水素原子を表わす。]
式3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物は、結果として式1で示されるシロキサン単位を形成することとなる化合物である。式3中のXは、1)メトキシ基やエトキシ基等の、炭素数1〜4のアルコキシ基、2)メトキシエトキシ基やブトキシエトキシ基等の、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシエトキシ基、3)アセトキシ基やプロピオキシ基等の、炭素数2〜4のアシロキシ基、4)ジメチルアミノ基やジエチルアミノ基等の、炭素数1〜4のアルキル基を有するN,N−ジアルキルアミノ基、5)ヒドロキシル基、6)塩素原子や臭素原子等のハロゲン原子、又は7)水素原子である。
具体的に、式3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、トリメトキシエトキシシシラン、トリブトキシエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラプロピオキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラ(ジメチルアミノ)シラン、テトラ(ジエチルアミノ)シラン、シランテトラオール、クロルシラントリオール、ジクロルジシラノール、テトラクロルシラン、クロルトリハイドロジェンシラン等が挙げられるが、なかでもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシランが好ましい。
また、式4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物は、結果として式2で示されるシロキサン単位を形成することとなる化合物である。式4中のYは、前記した式3中のXと同様であり、また、式4中のRは、前記した式2中のRと同様である。
式4中のRが反応性基でない有機基又は反応性基を有しない有機基である場合、かかる式4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリブトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロピオキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリ(ジメチルアミノ)シラン、メチルトリ(ジエチルアミノ)シラン、メチルシラントリオール、メチルクロルジシラノール、メチルトリクロルシラン、メチルトリハイドロジェンシラン等が挙げられる。
なかでも式2中のRについて、前記したように、結果としてメチルシロキサン単位、エチルシロキサン単位、プロピルシロキサン単位、ブチルシロキサン単位又はフェニルシロキサン単位を形成することとなるシラノール基形成性ケイ素化合物が好ましい。
また、式4中のRが反応性基である有機基又は反応性基を有する有機基である場合、式4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物としては、1)3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシラン化合物、2)3−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ基を有するシラン化合物、3)ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン等のアルケニル基を有するシラン化合物、4)メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトエチルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するシラン化合物、5)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピル・トリメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン等のアミノアルキル基を有するシラン化合物、6)3−クロロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のハロアルキル基を有するシラン化合物、7)3−グリセロキシプロピルトリメトキシシラン等のグリセロキシ基を有するシラン化合物、8)3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン等のウレイド基を有するシラン化合物、9)シアノプロピルトリメトキシシラン等のシアノ基を有するシラン化合物等が挙げられる。
なかでもエポキシ基を有するシラン化合物、(メタ)アクリロキシ基を有するシラン化合物、アルケニル基を有するシラン化合物、メルカプト基を有するシラン化合物、アミノアルキル基を有するシラン化合物が好ましい。
本発明に係るおわん状母粒子(A)の製造方法では、先ず、以上説明した式3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物と式4で示されるシラノール基形成性化合物とを、式3で示されるシラノール基形成性化合物/式4で示されるシラノール基形成性化合物=30/70〜50/50(モル比)、好ましくは35/65〜45/55(モル比)の割合で用い、双方を触媒存在下で、水と接触させて加水分解し、シラノール化合物を生成させる。上記の反応条件において、式4で示されるシラノール基形成性化合物の割合がモル比で70を超えると、特に80を超えると、おわん状でなく、凹部の開口部が小さくなり、球状に近くなる。一方、式4で示されるシラノール基形成性化合物の割合がモル比で50未満であると、目的とするおわん状の形態が形成されず、不定形となるなど、凹部である粒子内の空洞が潰れた異形粒子が形成される場合がある。
加水分解するための触媒は、従来公知のものを用いることができる。これには、例えば、塩基性触媒として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基類や、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、ドデシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド、ナトリウムメトキシド等の有機塩基類が挙げられる。また、酸性触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸類や、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等の有機酸類が挙げられる。
式3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物と式4で示されるシラノール基形成性化合物とを、触媒存在下で、水と接触させて加水分解する場合、通常、水にシラノール基形成性ケイ素化合物と触媒とを加えて撹拌し、水に不溶のシラノール基形成性化合物が反応系から消失して均一な液層が形成された時点を加水分解の終点とする。シラノール基形成性ケイ素化合物の種類により、本来的な加水分解反応性の他に、水に対する分散性の差に基づく加水分解反応性が異なるため、反応系に加える触媒の種類、その使用量及び反応温度等を適宜選択するが、シラノール基形成性ケイ素化合物と水との接触反応を容易にするため、反応系に界面活性剤を加えることもできる。
触媒と共に反応系に加える界面活性剤としては、いずれも公知のノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、オキシアルキレン基がオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基からなる、α−アルキル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシアルキレン)、α−(p−アルキルフェニル)−ω−ヒドロキシ(ポリオキシアルキレン)、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油等の、ポリオキシアルキレン基を有するノニオン性界面活性剤が挙げられる。ノニオン性界面活性剤は、反応系に0.001〜0.05重量%の濃度で存在させるのが好ましい。
また、アニオン性界面活性剤としては、オクチル硫酸塩、セチル硫酸塩、ラウリル硫酸塩等の炭素数8〜18の有機硫酸塩、オクチルスルホン酸塩、セチルスルホン酸塩、ラウリルスルホン酸塩、ステアリルスルホン酸塩、オレイルスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、オレイルベンゼンスルホン酸塩、ナフチルスルホン酸塩、ジイソプロピルナフチルスルホン酸塩等の炭素数8〜30の有機スルホン酸塩等が挙げられる。アニオン性界面活性剤は、反応系に0.005〜0.55重量%の濃度で存在させるのが好ましい。
反応系に界面活性剤を存在させる場合、以上説明したようなノニオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤を単独で存在させることもできるが、双方を共存させるのが好ましく、双方を共存させる場合、ノニオン性界面活性剤を0.001〜0.55重量%の濃度で、また、アニオン性界面活性剤を0.005〜0.55重量%の濃度で存在させるのが好ましい。
また、水/シラノール基形成性ケイ素化合物全量の仕込み割合は、通常、10/90〜70/30(重量比)とする。
また、触媒の使用量は、その種類及びシラノール基形成性ケイ素化合物の種類によっても異なるが、通常、シラノール基形成性ケイ素化合物の全量に対して、1重量%以下とするのが好ましい。また、反応温度は、通常0〜40℃とするが、加水分解反応によって生成させたシラノール化合物の即製的な縮合反応を避けるために、30℃以下とするのが好ましい。
式3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物と式4で示されるシラノール基形成性化合物とは、例えば、水中へ一度にこれらのシラノール基形成性ケイ素化合物を投入してから加水分解してもよいし、又は遂次投入しつつ加水分解してもよい。用いるシラノール基形成性ケイ素化合物の間で加水分解速度が著しく異なるような場合には、予め加水分解速度の遅いシラノール基形成性ケイ素化合物の加水分解を行ない、次いで、加水分解速度の速いシラノール基形成性ケイ素化合物を投入して引き続き加水分解を行なうのが好ましい。
本発明に係るおわん状母粒子(A)の製造方法では、次に、以上で生成させたシラノール化合物を含有する反応液を、引き続き縮合反応に供し、おわん状母粒子(A)を生成させる。本発明において、縮合反応の触媒としては、加水分解における前記したような触媒を使用できるので、加水分解させて生成したシラノール化合物を含有する反応液をそのまま或は更に触媒を加え、30〜80℃に加温して反応を続けることにより、縮合反応させて、おわん状母粒子(A)をその水性懸濁液として得る。
おわん状母粒子(A)は、前記の水性懸濁液から分離し、乾燥することにより、得られる。例えば、水性懸濁液を遠心分離法、加圧濾過法等により、おわん状母粒子(A)を分離し、その分離した粒子を50〜250℃で加熱乾燥する方法により得られる、また、水性懸濁液をスプレードライヤーにより直接50〜250℃で加熱乾燥する方法によっても、得られる。
以上の水性懸濁液から脱水物を得る過程において、該水性懸濁液をメッシュフィルターや多孔質膜で分別処理すると、大きさのばらつきを少なくしたおわん状母粒子(A)を得ることができる。かかる多孔質膜としては、分相法で製造された多孔質セラミックス膜、相転換法や延伸法で製造された高分子メンブランフィルター、高分子延伸糸をワインディングして製造されたカートリッジフィルター、中性子線照射によって得られるポア−フィルター等が挙げられるが、高分子メンブランフィルター、中性子線照射によって得られるポア−フィルターが好ましく、高分子メンブランフィルターがより好ましい。
おわん状母微粒子(A)には、微粒子(B)との密着性を高めるために、表面処理を施してもよい。表面処理剤としては、界面活性剤、シランカップリング剤などが挙げられる。
上記界面活性剤の種類は、特に限定されるものではないが、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び半極性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種とすることができる。また、シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のアミノシランカップリング剤;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のエポキシシランカップリング剤;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが例示される。
(2)微粒子(B)
本発明に係る微粒子(B)は、前記おわん状母粒子(A)の中央の凹部の内部に、包接(充填または内包の概念を含む)されることが可能であれば、特に限定されない。すなわち、微粒子(B)は、前記おわん状母粒子(A)の凹部の内部に包接され得る大きさ(サイズ)であれば、その形状・材質等を問わずに使用することができる。本発明に係る微粒子(B)は、その平均一次粒子径(長径)がおわん状母粒子(A)の1/2〜1未満、或いは1/2未満の範囲にある無機粉体または有機粉体(樹脂粉体を含む)から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の複合粒子の用途、例えば、高分子材料用改質剤、化粧品原料などの用途を考慮して、本発明に係る微粒子(B)の種類や形状(サイズも含む)などを、適宜選定することができる。
本発明の複合粒子は、本発明に係る微粒子(B)として、その用途、機能、形状または粒子径の異なる2種類以上の微粒子を選択し、本発明の複合粒子を形成させることにより、各々の微粒子単独の性能を組み合わせた多機能粒子または高機能粒子を得られることが期待できる点で、特に有用である。
本発明の複合粒子が化粧品原料として用いられる場合、本発明に係る微粒子(B)としては、例えば、無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料、シリコーンエラストマー粉体等が挙げられる。
具体的には、無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン等;有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、シリコーンパウダー、ポリメチルシルセスキオキサン球状粉体、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジン等;界面活性剤金属塩粉体としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等;有色顔料としては、ベンガラ、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γー酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等のタール系色素をレーキ化したもの、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等の天然色素をレーキ化したもの等;パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、雲母チタン、酸化鉄処理雲母チタン、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料としては、アルミニウム、金、銀、銅、白金、ステンレス等の金属粉末が挙げられる。
また、本発明の複合粒子が化粧品原料として用いられる場合、他の成分として、保湿剤:ベタイン、イノシトール、尿素、酸性ムコ多糖類、ムコ多糖、キチン、キトサン、加水分解コムギ、加水分解ダイズタンパク、米ぬかエキスなど、を配合しても良い。
中でも、化粧品の目的に応じて、例えば、日焼け防止用としての紫外線を散乱して遮弊するための紫外線散乱剤として、酸化亜鉛、酸化チタン、タルク、カオリン等が好ましく、また、温度変化に依存しない形状保持性や塗布時に伸び広がりを向上させ、均一な化粧膜を得るための成分として、ポリメチルシルセスキオキサン、架橋型シリコーン・網状型シリコーン共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ナイロン、ポリエチレン、結晶セルロース、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、デンプン等が好ましく、さらに、マット感を演出するためには、光散乱効果が高い無水ケイ酸等が好ましい。無水ケイ酸は、皮膚から経時的に分泌される皮脂を吸収し、皮脂によるテカリを抑えるため、マットに演出する効果を高めるものである。
また、本発明の複合粒子が樹脂組成物に配合される場合、本発明に係る微粒子(B)としては、樹脂組成物において、無機充填剤、顔料、着色剤、光散乱剤、紫外線吸収剤等として使用される無機粉体、有機粉体またはこれらの混合物が例示される。また、樹脂組成物において、これらの無機粉体、有機粉体またはこれらの混合物は、硬化物の剛性等の物理的強度、耐熱性、高温成形時の熱安定性、熱伝導性、成形品白色性、耐アーク性/耐トラッキング性等の電気特性、光反射性、隠蔽性等の光学特性の改善を目的として配合されるものであり、板状、粒状および針状の粉体が例示される。これらの微粒子は、前段落において例示した各種粉体と同様の成分が挙げられるが、タルク、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ、クレー、炭酸マグネシウム、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、水酸化亜鉛、マイカ、雲母粉、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、中空ビーズ、ガラス繊維等の無機充填剤;酸化チタン、酸化亜鉛、塩基性炭酸塩、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン等の白色顔料;酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム等の酸化物の粉末、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の窒化物粉末、炭化ケイ素等の炭化物粉末、銅、銀、半田等の金属粉末、ダイヤモンド等の微粒子状熱伝導性物質が挙げられ、これらの1種以上使用してよい。
また、本発明の複合粒子は、熱伝導性組成物に用いることができる。特に、本発明の複合粒子において、本発明に係る微粒子(B)として、熱伝導性粒子を選択することにより、単純に熱伝導性粒子を配合した場合に比して、おわん状母粒子(A)中に熱伝導性粒子が取り込まれていることにより、当該熱伝導性粒子の特定方向への配向が抑制され、異方性が維持できる場合があり、熱伝導性組成物、特に放熱材料としての特性を改善できる可能性がある。
上記熱伝導性粒子は、公知の物を特に限定なく使用することができ、例えば、金属、合金、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ケイ化物、炭素、軟磁性合金、フェライト、の中から選ばれた少なくとも1種以上の粉末および/またはファイバーである。
さらに詳しくは、前記金属は、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、亜鉛、インジウム、錫、金属ケイ素であり、前記合金は、ビスマス、鉛、錫、アンチモン、ビスマス、インジウム、カドニウム、亜鉛、銀、アルミニウム、カドニウム、鉄、などの二種以上の金属からなる合金であり、前記金属酸化物は、アルミナ、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化クロム、酸化チタン、前記金属窒化物が、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、前記金属炭化物は、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、金属ケイ化物が、ケイ化マグネシウム、ケイ化チタン、ケイ化ジルコニウム、ケイ化タンタル、ケイ化ニオブ、ケイ化クロム、ケイ化タングステン、ケイ化モリブデン、前記炭素は、ダイヤモンド、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン、活性炭、不定形カーボンブラックであり、前記軟磁性合金は、Fe−Si合金、Fe−Al合金、Fe−Si−Al合金、Fe−Si−Cr合金、Fe−Ni合金、Fe−Ni−Co合金、Fe−Ni−Mo合金、Fe−Co合金、Fe−Si−Al−Cr合金、Fe−Si−B合金、Fe−Si−Co−B合金であり、前記フェライトは、Mn−Znフェライト、Mn−Mg−Znフェライト、Mg−Cu−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Ni−Cu−Znフェライト、Cu−Znフェライトである、これらの中から選ばれた少なくとも1種以上の粉末および/またはファイバーである。
また、その形状としては、例えば、球状、針状、円盤状、棒状、扁平形状、不定形状、ファイバー状などが挙げられる。
さらに、この粉体および/またはファイバーは、各種表面処理剤により処理されているものを用いても良い。表面処理剤としては、界面活性剤、シランカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シリコーン系表面処理剤、などが用いられる。
さらに、本発明の複合粒子において、前記のおわん状母粒子(A)と本発明に係る微粒子(B)との組み合わせは、本発明の複合粒子の用途に応じて、適宜、選択することができ、特に限定されない。
例えば、化粧品用途の場合、おわん状母粒子(A)として、ポリメタクリル酸メチルの微粒子を選択し、微粒子(B)として、酸化亜鉛、酸化チタンなどの無機粉体、或いはシリコーン樹脂やポリメタクリル酸エステルなどの有機粉体を、適宜、選択することができ、また、おわん状母粒子(A)として、ポリシロキサン架橋構造体からなる微粒子を選択し、微粒子(B)として、酸化亜鉛、酸化チタンなどの無機粉体、或いはシリコーン樹脂やポリメタクリル酸エステルなどの有機粉体を、適宜、選択することができる。
2.複合粒子の製造方法
本発明の複合粒子の製造方法としては、前記のおわん状母粒子(A)の中央の凹部の内部に、微粒子(B)が包接された構造の複合粒子が得ることができれば、特に限定されないが、例えば、次の工程(I)〜(III)を含むことを特徴とする複合粒子の製造方法が好ましい。
工程(I):母粒子(A)の作製工程または準備工程
工程(II):微粒子(B)の作製工程または準備工程
工程(III):微粒子(B)が母粒子(A)の凹部の内部に物理化学的に包接される工程
特に、本発明の複合粒子の製造方法は、前記工程(III)が、乾式のメカノケミカル処理にて行われることを特徴とするものである。メカノケミカル処理とは、機械的な剪断力を外部から与えることにより、物理化学的な相互作用を起こさせる粉体の処理方法である。
かかるメカノケミカル処理の具体的な方法としては、おわん状母粒子(A)と微粒子(B)とを、機械的な剪断手段を有する混合装置において、機械力のみの攪拌を施すことにより、本発明の複合粒子を得ることができる。機械的な剪断力の強さは、母粒子(A)を衝撃力で粉砕、破壊しない範囲であれば特に制限されるものではないが、機械的な剪断手段として、直径5cm〜50cm程度の回転翼を有し、攪拌容器の底面の直径が10〜100cmの混合装置の場合、回転速度1000〜10000rpmで攪拌処理を施すことにより、本発明の複合粒子を得ることができる。また、上記の回転翼を有する機械的な混合装置であれば、回転速度2000〜6000rpmで攪拌処理を施すことが好適であり、2000〜4000rpmの範囲が特に好ましい。
また、同時に、シランカップリング剤や界面活性剤等のバインダーとなる添加剤を加えてもよい。
機械的剪断下でこれらの粉末を混合する混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等があり、これらを特に制限無く用いることができる。また、これらの粉末を混合する際の温度としては、特に限定されず、例えば、室温下で行うこともできる。
なお、高い剪断力がかかる混合装置であれば、前記以外の装置、あるいは形状によらず実施が可能であるが、一方、ビーズミル等の強力な衝撃、剪断力がかかるものを用いると、おわん状母粒子が粉砕、破壊されてしまうことがあり、望ましくない。
本発明の複合粒子は、前記したように、おわん状母粒子(A)の凹部の内部に、微粒子(B)が包接されてなる複合粒子であって、微粒子(B)としては、一つでもよく、2個以上、例えば、3〜5個が該凹部の内部に包接されてなるものでもよい(図6の写真6;実施例4参照。)。また、微粒子(B)の平均粒子径が非常に細かい粒子が多数、該凹部の内部に包接されたものでもよい(図5の写真5;実施例3参照)。
また、本発明の複合粒子は、図3の写真3(実施例1)に示すように、外観形状が母粒子(A)の凹状部に球状の微粒子(B)の中心から1/4以上の部分が包接されている、いわゆるどんぐり状であって、母粒子(A)の凹部の径の0.5以上、1未満の径を有する球状の微粒子(B)が1個充填されている複合粒子と、することもできる。
このような複合粒子は、より具体的には、球状の微粒子(B)が1個充填されている複合粒子において、前記球状の微粒子(B)の直径が、凹部の径の0.5以上、1未満であり、母粒子(A)の凹状部の内部に球状粒子(B)の周辺部から球状粒子(B)全体の直径の1/4以上の部分が包接されていることによって、その外観形状が、どんぐり状である複合粒子である。このような複合粒子の構造として、図16に示す構造が例示できる。図16において、Hで示される球状粒子(B)の高さは、球状粒子(B)の周辺部から球状粒子(B)全体の直径のうち、母粒子(A)の凹状部の内部に包接された部分の高さに相当する。すなわち、図16において、H/Hは1/4以上である。複合粒子の物理的安定性の観点から、球状粒子(B)は、母粒子(A)の凹状部に深く接していることが好適であり、周辺部から球状粒子(B)全体の直径の1/3以上、特に好適には、1/2以上の部分が(A)の凹状部の内部に包接された構造の複合粒子が好ましい。
なお、おわん状母粒子(A)、微粒子(B)および両者を複合化した本発明の複合粒子は、その一部又は全部が撥水化処理、親水化処理等の表面処理が施されていてもよい。また、一般油剤、シリコーン化合物、フッ素化合物、界面活性剤、増粘剤等で表面処理が施されたものも、使用することができ、必要に応じて、表面処理剤の1種又は2種以上を用いることができる。
上記撥水化処理は、特に限定されるものではないが、粉体を各種の撥水化表面処理剤で処理することが挙げられ、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、シリコーンレジン処理、シリコーンガム処理、アクリルシリコーン処理、フッ素化シリコーン処理等のオルガノシロキサン処理;ステアリン酸亜鉛処理等の金属石鹸処理;シランカップリング剤処理、アルキルシラン処理等のシラン処理;パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩、パーフルオロポリエーテル処理等のフッ素化合物処理;N−ラウロイル−L−リジン処理等のアミノ酸処理;スクワラン処理等の油剤処理;アクリル酸アルキル処理等のアクリル処理等が挙げられ、これらの2種以上を組み合わせて使用することも可能である。
本発明に係るおわん状母粒子(A)自体は、光を多方向に散乱する性質に優れるものであり、肌上でファンデーションを透過した光を多方向に散乱させるため、マット感を演出する化粧効果に優れるものであり、また、本発明に係る微粒子(B)である無水ケイ酸やポリメチルメタクリレート等の球状粒子でも、光散乱特性を有するが、本発明の複合粒子は、両者の相乗効果により、肌上で球状粒子のように均一に粒子が並ばず、粒子が不均一に化粧膜を形成するため、より多方向に光を散乱する効果に優れるものである。更に、その形状から肌との密着性が高く、付着性を向上させる効果に優れるものである。
よって、本発明の複合粒子は、おわん状母粒子(A)と微粒子(B)の組み合わせにより、新規な形状であって、例えば、化粧料に配合すると、良好なすべり性および密着性(肌へののり)が期待できる。
3.複合粒子の用途、使用方法
本発明の複合粒子は、高分子材料用改質剤、化粧品原料、コーティング材、塗料原料、熱伝導性材料等として広く利用できるが、特に、高分子材料用改質剤、化粧品原料、熱伝導性材料として有用である。
本発明の複合粒子を用いる高分子材料用改質剤は、高分子材料に高度の平滑性、撥水性等の表面特性を付与し、とりわけ高分子材料からの脱落が殆どない。本発明に係る高分子材料用改質剤を適用する高分子材料としては、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリカプロラクトン、アクリル樹脂等の合成高分子から成形された合成高分子フィルムやシート、同様の合成高分子から成形されたフィラメントヤーンやステープルファイバー等の合成繊維が挙げられる。本発明に係る高分子材料用改質剤は、なかでも合成高分子フィルムやシート、或は合成繊維の滑剤として適用する場合に特に有用である。
本発明の複合粒子からなる高分子材料用改質剤を、合成高分子フィルムやシートの滑剤として適用する方法には、当業者に公知の方法を用いることができ、例えば、高分子材料用改質剤を合成高分子に含有させた後、フィルムやシートに成形する方法などがある。この方法では、本発明に係る高分子材料用改質剤を、フィルムやシートに成形する合成高分子100重量部当たり、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部となるように含有させる。高分子材料用改質剤を合成高分子に含有させる方法、高分子材料用改質剤を含有させた合成高分子を溶融製膜してフィルムやシートに成形する方法は、特に制限されず、公知の方法を適用できる。
また、本発明に係る高分子材料用改質剤を合成繊維の滑剤として適用する方法には、(i)高分子材料用改質剤を合成高分子に含有させた後、合成繊維とする方法、(ii)合成繊維に紡糸油剤や紡績油剤等と共に高分子材料用改質剤を付着させる方法などがあるが、前記(i)の方法が好適である。前記(i)の方法では、高分子材料用改質剤を、合成繊維とする合成高分子100重量部当たり、0.01〜2重量部、好ましくは0.05〜1重量部となるように含有させる。高分子材料用改質剤を合成高分子に含有させる方法、高分子材料用改質剤を含有させた合成高分子を合成繊維とする方法は、特に制限されず、公知の方法を適用できる。また、前記(ii)の方法では、高分子材料用改質剤の例えば水性液を調製し、これをローラー給油法、ガイド給油法、浸漬給油法等の公知の方法によって合成繊維の表面に付着させる。付着させる工程は、紡糸工程、延伸工程、更には延伸後の各工程等、いずれでもよいが、いずれの工程で付着させる場合でも通常は、高分子材料用改質剤を、合成繊維に対し0.01〜5重量%となるように付着させる。
本発明の複合粒子からなる化粧品原料は、液状化粧品成分や紫外線吸収剤等の内包或は吸着による多機能化または高機能化への対応において、優れ、特に肌へののりや密着感、すべり感において優れる。
本発明の複合粒子を配合できる化粧料は、特に制限されず、具体的な製品としては、皮膚洗浄剤製品、スキンケア製品、メイクアップ製品、制汗剤製品、紫外線防御製品などの皮膚用化粧品;毛髪用洗浄剤製品、整髪料製品、毛髪用着色料製品、養毛料製品、ヘアリンス製品、ヘアコンディショナー製品、ヘアトリートメント製品等の頭髪用化粧品;浴用化粧品が例示される。また、外用剤としては、発毛剤、育毛剤、鎮痛剤、殺菌剤、抗炎症剤、清涼剤、皮膚老化防止剤が例示される。
特に、本発明に係る化粧品原料は、粉末原料として、フェイシャル化粧品、メークアップ化粧品、ボディー化粧品、腋臭防止剤等の皮膚外用剤、頭髪化粧品、口腔衛生品、入浴剤、フレグランス等に適用できるが、特に肌上での使用感触の多様化への適応性、更には液状化粧品成分や紫外線吸収剤等の内包や吸着等による多機能化または高機能化への適応性の点で、メークアップ化粧品、皮膚外用剤に用いる原料として、特に有用である。
また、本発明に係る化粧品原料の使用量は、適用する化粧品の使用形態により適宜選択するが、例えば、メークアップ化粧品の場合、プレス状メークアップ化粧品においては1.0〜50重量%とするのが好ましく、また、液状メークアップ化粧品においては0.1〜30重量%とするのが好ましい。また、下地化粧料では、本発明の複合粒子からなる化粧品原料の含有量は、0.5〜20重量%が好ましく、この範囲で用いると、光の多方向への散乱効果やファンデーションの付着性がより向上する。
また、例えば、メークアップ化粧品の場合、本発明に係る化粧品原料と共に用いる他の原料としては、顔料粉体、結合油剤、水、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料等が挙げられるが、かかるメークアップ化粧品は、本発明に係る化粧品原料と共に他の原料を均一に分散させる公知の方法で調製できる。
さらに、本発明の複合粒子は、微粒子(B)がメカノケミカル処理による物理化学的な相互作用によって、母粒子(A)の凹部の内部に包接され、乾式粉体としての室温で保管した場合、あるいは、サスペンジョンのような水分散体としたような場合には、両者が熱力学的に安定な状態で包接された複合体を形成している。このため、一般に、室温で長期間保管することができ、安定な複合粒子である。
一方、該複合粒子を、微粒子(B)に対して特に親和性の高い特定の溶媒を選択して、該溶媒中に分散させた場合には、母粒子(A)の凹部の内部に包接されていた微粒子(B)を、溶媒側に放出させることも可能である。
この効果を応用して、高活性の微粒子(B)を母粒子(A)に内包させた複合粒子を得た後、該複合粒子に対して、特定の溶媒の導入、温度差、pH変化、圧力、剪断力等の熱力学的な変化を及ぼすことにより、母粒子(A)の凹部の内部に包接されていた微粒子(B)を放出させるという、制御放出(コントロール・リリース)の技術として、利用することもできる。
同様に、化学的あるいは物理的に安定な母粒子(A)の凹部の内部に、微粒子単独では反応性の高い微粒子(B)を包接した複合粒子を設計することができ、微粒子(B)の系中における安定性を改善する手段として、本発明の複合粒子を採用することができる。
以下、本発明を、より具体的にかつ明確に説明する。
なお、以下の諸例において、複合粒子作製工程は、全て精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は、脱水した後に精製窒素でバブリングして脱気して使用した。
また、実施例における物性測定、分析等は、前述した方法と下記の方法に従ったものであり、母粒子および複合粒子の走査電子顕微鏡(SEM)観察においては、走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製 FESEM JEOL JSM−6335F Field Emission Scanning Electron Microscope、加速電圧15kV)を用いた。
[おわん状微粒子]
母粒子(A)となるおわん状粒子は、前記の特許文献4に記載された方法に従い、複数の有機ケイ素化合物の加水分解縮合により得ることができ、合成例を次に示した。
また、お椀型有機樹脂は、市販のものを用いることが可能である。例えば、松本油脂製薬株式会社製の「マイクロスフェアーM−310」などを用いることができる。
次に示す合成例に従い、得られたお椀型シリコーン微粒子(P−1)の走査型電子顕微鏡による写真の例を、図1の写真1に示した。また、「マイクロスフェアーM−310」の走査型電子顕微鏡による写真の例を、図2の写真2に示した。
[お椀型シリコーン微粒子(P−1)の合成]
反応容器にイオン交換水700gを仕込み、2%アンモニア水溶液4.0gを添加して水溶液とした。この水溶液に、メチルトリメトキシシラン81.7g(0.6モル)及びテトラエトキシシラン83.3g(0.4モル)を添加し、温度を10〜15℃に保ちながら1時間加水分解反応を行ない、更に、10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液3gを添加し、同温度で3時間加水分解反応を行なった。
次いで得られた反応物の温度を70〜80℃に保ちながら5時間縮合反応を行なって、有機シリコーン微粒子を含有する水性懸濁液を得た。
この水性懸濁液を遠心分離機に供して白色微粒子を分離した。分離した白色微粒子を水洗し、80℃で12時間、熱風乾燥を行なって有機シリコーン微粒子(P−1)30.9gを得た。
有機シリコーン微粒子(P−1)について、以下の走査型電子顕微鏡による観察、元素分析、FT−IRスペクトル分析を行なったところ、図15に示すように、この有機シリコーン微粒子(P−1)は、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された、全体として中空半球状体様を呈し、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W)の平均値が5.2μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W)の平均値が5.6μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が3.2μmの有機シリコーン微粒子であって、式1のシロキサン単位/式2のシロキサン単位=40/60(モル比)の割合で有するポリシロキサン架橋構造体から成るものであった。
尚、有機シリコーン微粒子(P−1)の形状、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W)の平均値、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W)の平均値及び外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値は、走査型電子顕微鏡を用い、5,000〜10,000倍で任意の100個の有機シリコーン微粒子(P−1)を観察し、各部位を測定して、その平均を求めた値である。
また、結合有機基の分析は、次のように行なった。
有機シリコーン微粒子(P−1)5gを精秤し、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液250mlに加え、有機シリコーン微粒子中の加水分解性基を全て水溶液に抽出処理した。抽出処理液から超遠心分離により有機シリコーン微粒子を分離し、分離した有機シリコーン微粒子を水洗した後、200℃で5時間乾燥したものを、元素分析、FT−IRスペクトル分析に供して、全炭素含有量及びケイ素含有量を測定すると共に、ケイ素−炭素結合、ケイ素―酸素―ケイ素結合を確認した。これらの分析値と、原料に用いた式4で示されるシラノール形成性ケイ素化合物のRの炭素数より、式1で示されるシロキサン単位/式2で示されるシロキサン単位の割合を算出した。
[実施例1〜12]
母粒子(A)として、実施例1〜11では、上記で合成したお椀型シリコーン微粒子(P−1)を用い、また、実施例12では、松本油脂製薬(株)製の「マイクロスフェアーM−310」(ポリメタクリル酸メチルの微粒子、流動パラフィン含有、おわん状)を用い、微粒子(B)として、表1、2に示す粒子を用いて、以下の手順、要領にて、複合粒子を作製した。
シリコーン微粒子(P−1)または「マイクロスフェアーM−310」と、他の粒子(B)とを表1および表2に示す組成で、サンプルミルSM−1(HSIANGTAI社製)に仕込み、3000rpmの条件で、1分攪拌し、掻き落とし、さらに、同条件で1分混合することにより、機械力による粒子の複合化を行った。
粒子(B)の有機シリコーン微粒子(P−1)または「マイクロスフェアーM−310」への内包は、走査型電子顕微鏡を用い、1,000〜10,000倍で任意の100個のお椀型微粒子を観察し、そのお椀内部に他の粒子(B)が明らかに内包されている数を数え、母粒子(A)へ取り込まれた粒子(B)の割合(%)として表1、2に示した。
また、それぞれの実施例で得た複合粒子の走査型電子顕微鏡写真を、図3〜図14の写真3〜14に示した。なお、左側の写真が10,000倍の拡大率で観察した複合粒子であり、右側の写真が3,000倍の拡大率で観察した複合粒子である。
上記のようにして、複合粒子が得られた。この複合粒子のSEM写真の一例である図3の写真3などから、明らかに、おわん状母粒子(A)の凹部の内部に、球状の微粒子(B)が包接されてなる複合粒子であることがわかる。
Figure 2012029643
Figure 2012029643
[実施例13〜15および比較例1〜4]
日焼け止め用化粧料クリームを以下の方法で調製した。また、表3に各成分の商品名、製造元、添加部数を示した。ただし、市販で容易に入手できる精製水、エタノール等の汎用原料については、成分名と添加部数のみを示した。
実施例13〜15では、実施例1、2及び4で作製した複合粒子を配合し、一方、比較例1では、合成例1で作製した、おわん状シリコーン微粒子(P−1)を配合し、比較例2では、実施例2で、粒子(B)として用いたテイカ株式会社製 MT−100TV(二酸化チタン、一次粒子径15nm)を配合し、また、比較例3では、複合化する前のおわん状シリコーン微粒子(P−1)と「MT−100TV」を別個に配合し、比較例4では、粒子を配合していないものである。
(調製方法)
以下の工程1〜3により、日焼け止め用化粧料クリームを調製した。
<工程1>
表3に記載の組成(A)、(B)および(C)の各成分をそれぞれビーカーに入れ、均一になるまで攪拌し、それぞれ[組成物A]、[組成物B]および[組成物C]を調製した。
<工程2>
上記[組成物A]をホモディスパー(特殊機化製、TKホモディスパー)を用いて回転数3000rpmで攪拌しながら、[組成物B]および[組成物C]を少しずつ注入することにより、全体が乳化したエマルジョンクリーム状となった。
<工程3>
さらに、[組成D]として、本発明成分にかかる複合粒子または比較例1〜3の粒子を加えて、へらを用いて混合することにより、日焼け止め化粧料クリームを調製した。
(評価)
調製したクリームをパネリスト5人により、肌上に塗布して感触を、以下の基準で評価した。また、分散性を、目視にて以下の基準で判定した。
1.感触評価:
◎:極めて満足。
○:満足。
△:やや使用感が悪い。
×:使用感が悪い。
2.分散性評価:
◎:きわめて良好。
○:良好、僅かに小粒子残る。
△:やや不良で、小粒子が残る。
×:分散不良。
−:適用外(比較例4のみ)。
3.しっとり感/すべり性/密着性(肌へののり)評価:
◎:各評価項目について、きわめて良好。
○:各評価項目について、良好(「◎」評価に比して相対的に劣る。)。
△:各評価項目について、やや不良。
×:各評価項目について、不良。
4.なめらかな表面の観察評価:
◎:クリームを塗布した際に、均一に伸び広がり、かつきわめて滑らかな表面状態。
○:クリームを塗布した際に、均一に伸び広がり、かつ滑らかな表面状態。
△:クリームを塗布した際に、伸び広がりがやや不均一であり、滑らかさのない表面状態。
×:クリームを塗布した際に、伸び広がりが不均一で、滑らかさのない表面状態。
Figure 2012029643
Figure 2012029643
表3、4から明らかなように、本発明の複合粒子は、実施例13〜15の如く、化粧料原料として用いると、しっとり感、すべり性、密着性(肌へののり)等を含めた感触全般に優れ、かつ均一かつ瑞々しく伸び広がり、なめらかな表面が実現される等の特色を示すものであった。
一方、本発明の複合粒子を含有しない比較例1〜4の化粧料においては、ざらつき感など、化粧料として好ましくない感触を示し、かつ、しっとり感、すべり性、密着性(肌へののり)等の評価項目において、本発明に係る実施例の化粧料に劣るものであった。また、本発明に係る実施例の化粧料に比して、塗布時の伸び広がりが不均一で、なめらかな表面を得ることができないものであった。
[実施例16(熱伝導性組成物の調製例)]
母粒子(A)として、前記で合成したお椀型シリコーン微粒子(P−1)を用い、微粒子(B)として、窒化ホウ素粉体粒子を用いて、実施例1と同様の方法により、複合化を行い、複合粒子を作製した。
この複合粒子60gとシリコーンオイル「DC200−100cs」40gを、自転公転ミキサー(シンキー社製AR−100)を用いて混合し、熱伝導性組成物を調製した。この熱伝導性組成物は、粘度が100Pa・s、熱伝導率が2.0W/m・Kであった。
本発明の複合粒子は、化粧料に配合すると、良好なすべり性、密着性(肌へののり)、マット感の演出、光の散乱によるしわを目立たなくする効果、日焼け防止成分の安定な包含などの効果を得ることが期待できる。また、樹脂組成物に配合して得た複合樹脂では、剛性等の物理的強度、耐熱性、高温成形時の熱安定性、熱伝導性、成形品白色性、耐アーク性/耐トラッキング性等の電気特性、光反射性、隠蔽性等の光学特性の改善が期待できる。
さらに、微粒子(B)として、高熱伝導性粉体を用いて複合粒子を作製した場合、高い熱伝導性を示す材料を得ることができる。
10 おわん状母粒子(A)
11 内側小劣弧
21 外側大劣弧
31 稜線
内側小劣弧の端部間の幅
外側大劣弧の端部間の幅
外側大劣弧の高さ
40 おわん状母粒子(A)の内部に包接された球状微粒子(B)
微粒子(B)が粒子(A)の凹部に包接された高さ
微粒子(B)が粒子(A)の凹部から外に出た高さ
球状微粒子(B)の直径

Claims (12)

  1. 半球状または半楕円球状で、かつ中央に凹部を有するおわん状母粒子(A)の該凹部の内部に、微粒子(B)が包接されてなる複合粒子。
  2. 前記おわん状母粒子(A)は、前記凹部の開孔部の平均直径が0.05〜100μmであり、有機高分子からなることを特徴とする請求項1に記載の複合粒子。
  3. 前記有機高分子は、有機シロキサン架橋体であることを特徴とする請求項2に記載の複合粒子。
  4. 前記微粒子(B)が有機高分子からなることを特徴とする請求項1に記載の複合粒子。
  5. 前記微粒子(B)が有機シロキサン架橋体からなることを特徴とする請求項1に記載の複合粒子。
  6. 前記微粒子(B)が無機粉体からなることを特徴とする請求項1に記載の複合粒子。
  7. 複合粒子の外観形状が母粒子(A)の内部に、球状の微粒子(B)の周辺部からその直径の1/4以上の高さとなる部分が包接された形状を有するどんぐり状であって、前記母粒子(A)の凹部の開孔部の直径の0.5以上、1未満の直径を有する前記球状の微粒子(B)が1個充填されていることを特徴とする請求項1に記載の複合粒子。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の複合粒子を少なくとも含有することを特徴とする化粧品用組成物。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の複合粒子を少なくとも含有することを特徴とする有機樹脂組成物。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の複合粒子を少なくとも含有することを特徴とする熱伝導性組成物。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の複合粒子の製造方法であって、次の工程(I)〜(III)を含むことを特徴とする複合粒子の製造方法。
    工程(I):母粒子(A)の作製工程または準備工程
    工程(II):微粒子(B)の作製工程または準備工程
    工程(III):微粒子(B)が母粒子(A)の凹部の内部に物理化学的に包接される工程
  12. 前記工程(III)は、乾式のメカノケミカル処理にて行われることを特徴とする請求項11に記載の複合粒子の製造方法。
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