JPWO2011158445A1 - 弾性波素子 - Google Patents

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庄司 岡本
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令 後藤
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    • H03H9/02559Characteristics of substrate, e.g. cutting angles of lithium niobate or lithium-tantalate substrates

Abstract

IDT電極は、圧電体側から順に、Moを主成分とする第1電極層と、第1電極層の上に設けられたAlを主成分とする第2電極層とを有し、IDT電極は、0.15λ以下の総膜厚を有すると共に、第1電極層は、0.05λ以上の膜厚を有し、第2電極層は、0.025λ以上の膜厚を有する。

Description

本発明は、弾性波素子に関する。
図39は、従来の弾性波素子の断面模式図である。従来、弾性波素子1を用いたフィルタの温度特性の改善手段としては、圧電体2上にIDT電極7を覆うように酸化ケイ素膜4を形成する手段が提案されている。
また、IDT電極7にモリブデン(Mo)を用いることで、ドライエッチングによる電極パターン形成を可能とすると共に、弾性波素子1の耐電力性の向上を図っていた。
また、Moはアルミニウム(Al)よりも比重が大きいので、Al電極よりも薄い膜厚3によるIDT電極形成を可能としていた。これにより、酸化ケイ素膜4の成膜バラツキを低減することができた。
なお、この出願に関連する先行技術文献として特許文献1が知られている。
しかしながら、このような従来の弾性波素子では、Moは導電性が悪く、弾性波素子1での挿入損失が大きくなるという課題がある。
特開2009−290914号公報
本発明は、ドライエッチングによりパターン形成可能なMo(モリブデン)もしくはW(タングステン)もしくはPt(白金)をIDT電極として用いた場合に弾性波素子の挿入損失を抑制することを目的とする。
本発明の弾性波素子は、圧電体と、圧電体の上に設けられて波長λの主要弾性波を励振させるIDT電極と、圧電体の上にIDT電極を覆うように設けられて膜厚0.20λ以上1λ未満の酸化ケイ素(SiO)膜と、酸化ケイ素膜の上に設けられて酸化ケイ素膜を伝搬する横波の速度よりも速い横波が伝搬する媒質からなる1λ以上5λ以下の膜厚を有する誘電体薄膜とを備え、IDT電極は、圧電体側から順に、例えば、Moを主成分とする第1電極層と、第1電極層の上に設けられたAlを主成分とする第2電極層とを有し、IDT電極は、0.15λ以下の総膜厚を有すると共に、第1電極層は、0.05λ以上の膜厚を有し、第2電極層は、0.025λ以上の膜厚を有する。
上記構成により、弾性波素子において、IDT電極の総膜厚を0.15λ以下とすることにより、酸化ケイ素膜の成膜バラツキを低減する。また、例えば、Moを主成分とする第1電極層の膜厚を0.05λ以上とした場合に、弾性波素子の耐電力性を向上させる。さらに、Alを主成分とする第2電極層の膜厚を0.025λ以上とすることで、IDT電極の抵抗を抑制する。これにより、弾性波素子における挿入損失を抑制することができる。
図1は本発明の実施の形態1における弾性波素子の断面模式図である。 図2は同弾性波素子の特性説明図である。 図3は同弾性波素子の特性説明図である。 図4は同弾性波素子の他の断面模式図である。 図5は同弾性波素子の特性説明図である。 図6は同弾性波素子の他の断面模式図である。 図7は同弾性波素子の圧電体とIDT電極の一形態を示す図である。 図8は本発明の実施の形態2における弾性波素子の断面模式図である。 図9は同弾性波素子の特性説明図である。 図10は同弾性波素子の他の断面模式図である。 図11は同弾性波素子の特性説明図である。 図12は同弾性波素子の他の断面模式図である。 図13Aは同弾性波素子の製造方法を示す図である。 図13Bは同弾性波素子の製造方法を示す図である。 図13Cは同弾性波素子の製造方法を示す図である。 図13Dは同弾性波素子の製造方法を示す図である。 図13Eは同弾性波素子の製造方法を示す図である。 図13Fは同弾性波素子の製造方法を示す図である。 図13Gは同弾性波素子の製造方法を示す図である。 図13Hは同弾性波素子の製造方法を示す図である。 図14Aは同弾性波素子において不要スプリアスを抑制する条件を示す図である。 図14Bは同弾性波素子において不要スプリアスを抑制する条件を示す図である。 図14Cは同弾性波素子において不要スプリアスを抑制する条件を示す図である。 図14Dは同弾性波素子において不要スプリアスを抑制する条件を示す図である。 図14Eは同弾性波素子において不要スプリアスを抑制する条件を示す図である。 図14Fは同弾性波素子において不要スプリアスを抑制する条件を示す図である。 図14Gは同弾性波素子において不要スプリアスを抑制する条件を示す図である。 図15は本発明の実施の形態3における弾性波素子の断面模式図である。 図16は同弾性波素子の特性説明図である。 図17は同弾性波素子の特性説明図である。 図18は同弾性波素子の他の断面模式図である。 図19は同弾性波素子の特性説明図である。 図20は同弾性波素子の他の断面模式図である。 図21は同弾性波素子の圧電体とIDT電極の一形態を示す図である。 図22は本発明の実施の形態4における弾性波素子の断面模式図である。 図23は同弾性波素子の特性説明図である。 図24は同弾性波素子の他の断面模式図である。 図25は同弾性波素子の特性説明図である。 図26は同弾性波素子の他の断面模式図である。 図27は本発明の実施の形態5における弾性波素子の断面模式図である。 図28は同弾性波素子の特性説明図である。 図29は同弾性波素子の特性説明図である。 図30は同弾性波素子の他の断面模式図である。 図31は同弾性波素子の特性説明図である。 図32は同弾性波素子の他の断面模式図である。 図33は同弾性波素子の圧電体とIDT電極の一形態を示す図である。 図34は本発明の実施の形態6における弾性波素子の断面模式図である。 図35は同弾性波素子の特性説明図である。 図36は同弾性波素子の他の断面模式図である。 図37は同弾性波素子の特性説明図である。 図38は同弾性波素子の他の断面模式図である。 図39は従来の弾性波素子の断面模式図である。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて説明する。図1は、実施の形態1における弾性波素子の断面模式図(IDT電極指の延伸方向に垂直な断面模式図)である。
図1において、弾性波素子5は、圧電体6と、圧電体6の上に設けられて波長λの主要弾性波(Shear Horizontal波等)を励振させるIDT電極7と、圧電体6の上にIDT電極7を覆うように設けられて膜厚0.20λ以上1λ未満の酸化ケイ素膜8とを備える。なお、主要弾性波の波長λは電極指ピッチの2倍である。また、弾性波素子5は、酸化ケイ素膜8の上に設けられて酸化ケイ素膜8を伝搬する横波の速度よりも速い横波が伝搬する誘電体薄膜9を備えていている。この弾性波素子5は、圧電体6と酸化ケイ素膜8の境界部分にエネルギーの大部分を閉じ込めて主要弾性波を励振させる境界波素子である。
圧電体6は、ニオブ酸リチウム(LiNbO)系基板であるが、例えば、水晶、タンタル酸リチウム(LiTaO)系、又はニオブ酸カリウム(KNbO)系の基板又は薄膜など他の圧電単結晶媒質であっても構わない。
圧電体6がニオブ酸リチウム系基板の場合、オイラー角表示(φ,θ,ψ)において−100°≦θ≦−60°の範囲の基板を用いるのが不要スプリアス抑制という観点で望ましい。さらに、特願2009−251696にも記載のように、このニオブ酸リチウムからなる圧電体6のオイラー角(φ,θ,ψ)は、−100°≦θ≦−60°、1.193φ−2°≦ψ≦1.193φ+2°、ψ≦−2φ−3°、−2φ+3°≦ψを満たすことが望ましい。尚、φ、θは、圧電体6の切出しカット角、ψは圧電体6上のIDT電極7における主要弾性波の伝搬角である。このオイラー角にすることで、レイリー波による不要スプリアスの発生を抑制しながら速い横波が発生する周波数帯付近における不要スプリアスを抑制することができる。
IDT電極7は、弾性波素子5の上方からみて櫛形形状のインターディジタルトランスデューサ電極であり、圧電体6側から順に、Moを主成分とする第1電極層10と、第1電極層10の上に設けられたAlを主成分とする第2電極層11とを有する。この第1電極層10にはSi等の混合物が混入されていても良いし、第2電極層11にはMg、Cu、Si等の混合物が混入されていても良い。これにより、IDT電極7の耐電力性を向上することができる。
このIDT電極7は、0.15λ以下の総膜厚を有すると共に、第1電極層10は、0.05λ以上の膜厚を有し、第2電極層11は、0.025λ以上の膜厚を有する。
酸化ケイ素膜8は、圧電体6とは逆の周波数温度特性を有する媒質であるので、弾性波素子5の周波数温度特性を向上することができる。また、酸化ケイ素膜8の膜厚は、主要弾性波の速度が圧電体6を伝搬する最も遅い横波の速度よりも低速になるように設定されている。これにより主要弾性波の圧電体6方向への漏れの低減が期待できる。
さらに、酸化ケイ素膜8の膜厚は、IDT電極7によって励振された主要弾性波の周波数温度特性が所定値(30ppm/℃)以下になるように設定されている。
上記を満たす酸化ケイ素膜8の膜厚は、0.2λ以上0.5λ以下の場合、主要弾性波の漏れ防止効果と周波数温度特性向上の両立を特に図ることができる。
尚、ここでいう酸化ケイ素膜8の膜厚とは、IDT電極7が非形成で圧電体6と酸化ケイ素膜8とが接している部分における圧電体6と酸化ケイ素膜8の境界面から酸化ケイ素膜8の上面までの距離Dをいう。
誘電体薄膜9は、酸化ケイ素膜8を伝搬する横波の速度よりも速い横波が伝搬する媒質である。この誘電体薄膜9は、例えば、ダイアモンド、シリコン、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、または酸化アルミニウムである。また、誘電体薄膜9の膜厚は酸化ケイ素膜8の膜厚より大きく、主要弾性波であるSH(Shear Horizontal)波の波長λ以上である。これにより、主要弾性波を、弾性波素子5の中に閉じ込めることができる。また、弾性波素子5の低背化を図る為、誘電体薄膜9の膜厚は、5λ以下であることが望ましい。
以下、本発明の弾性波素子5について詳細を説明する。
図2は、第1電極層10が膜厚0.05λのMo層であり、このMo層の上にAl層の第2電極層11が積層されたIDT電極7全体のシート抵抗(単位Ω/□)と第2電極層11の膜厚(λ)との関係を示す。図2に示す様に、第2電極層11の膜厚が0.025λを境として、それ未満の場合にIDT電極7全体の抵抗が編曲点を持って0.44Ω/□より大きくなるのが分かる。即ち、第2電極層11の膜厚を0.025λ以上とすることで、IDT電極7の抵抗を抑制する。これにより、弾性波素子5における挿入損失を抑制することができる。
尚、第2電極層11の膜厚が0.025λ以上の場合において、IDT電極7の抵抗は第1電極層10の膜厚にほとんど依存しない。これは、Alからなる第2電極層11の膜厚を0.025λ以上とすると、IDT電極7に流れる電流のほとんどは第2電極層11を流れるからである。
以上に示すように、弾性波素子5において、IDT電極7の総膜厚を0.15λ以下とすることにより、酸化ケイ素膜8の成膜バラツキを低減する。また、Moを主成分とする第1電極層10の膜厚を0.05λ以上とすることで、弾性波素子の耐電力性を向上させる。さらに、Alを主成分とする第2電極層11の膜厚を0.025λ以上とすることで、IDT電極7の抵抗を抑制する。これにより、弾性波素子5における挿入損失を抑制することができる。
図3は、圧電体6として25度回転Y板X伝搬のニオブ酸リチウム基板を用い、誘電体薄膜9として、膜厚1λの窒化ケイ素(SiN)を用い、酸化ケイ素膜8の膜厚Dを0.2λから1λに変化させた場合の第1電極層の膜厚(λ)とIDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速(m/秒)との関係を示す。尚、酸化ケイ素膜の上面は平坦であるとする。また、第2電極層11の膜厚は、0.025λとする。この第2電極層11の膜厚がこれより大きくなればなる程、主要弾性波の音速は若干ではあるが小さくなる。尚、誘電体薄膜9の膜厚は、その膜厚が1λ以上であればIDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速(m/秒)にほとんど寄与しない。また、図3に示す主要弾性波の音速は、主要弾性波の反共振周波数における音速である。このことは、主要弾性波の音速を示す他の図面でも同様である。主要弾性波のエネルギー損失に着眼する場合、主要弾性波の共振周波数と反共振周波数におけるエネルギー損失に着眼することが肝要であると考えられ得る。しかし、主要弾性波の反共振周波数の音速は共振周波数の音速よりも速いため、主要弾性波のエネルギー損失という観点でバルク波の音速に対し比較する場合は、その比較対象は主要弾性波の反共振周波数の音速で良い。
図3に示すように、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.093λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.068λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.5λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.05λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚がλの場合は、第1電極層10の膜厚が0.03λ以上のとき、圧電体6を伝搬する最も遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
即ち、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.093λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λ以上0.5λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.068λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.5λ以上1λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.05λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚がλの場合は、第1電極層10の膜厚が0.03λ以上のときに、圧電体6を伝搬する最も遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
図4は、実施の形態1における他の弾性波素子における断面模式図(IDT電極指の延伸方向に垂直な断面模式図)である。図4において、図1と異なる点は、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた点である。
図5は、上記凸部12の断面がIDT電極7の電極指断面と同形状であるとき、圧電体6として25度回転Y板X伝搬のニオブ酸リチウム基板を用い、誘電体薄膜9として、膜厚1λの窒化ケイ素(SiN)を用い、酸化ケイ素膜8の膜厚Dを0.2λから1λに変化させた場合の第1電極層の膜厚(λ)とIDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速(m/秒)との関係を示す。また、第2電極層11の膜厚は、0.025λとする。この第2電極層11の膜厚がこれより大きくなればなる程、主要弾性波の音速は若干ではあるが小さくなる。尚、誘電体薄膜9の膜厚は、その膜厚が1λ以上であればIDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速(m/秒)にほとんど寄与しない。
図5に示すように、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.08λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.066λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.5λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.051λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚がλの場合は、第1電極層10の膜厚が0.03λ以上のとき、圧電体6を伝搬する最も遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
即ち、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた場合、若干IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなる。従って、凸部12がない場合と比較して、第1誘電体層10の膜厚が薄くともバルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失が抑制される。
従って、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた場合、下記条件の場合に、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。即ち、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.08λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λ以上0.5λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.066λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.5λ以上1λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.051λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚がλの場合は、第1電極層10の膜厚が0.03λ以上のときに、圧電体6を伝搬する最も遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、図6に示す様に、凸部12の断面形状がIDT電極7の電極指の断面形状より小さい場合には、第1電極層10に対する主要弾性波の音速は、図3に示す値と図5に示す値との間となる。
以下、このような凸部12について詳述する。
酸化ケイ素膜8の凸部12は、その凸部12の頂部から最下部にかけて下に凸な曲線形状を有することが望ましい。この場合、この下に凸な曲線若しくはその延長線と頂部を含む圧電体6の上面に平行な直線とが交わる点同士の間の距離で定義される頂部の幅Lは、IDT電極7の電極指の幅よりも小さい。これにより、凸部12における酸化ケイ素膜8の質量付加が連続的かつ緩やかに変化する。その結果、酸化ケイ素膜8の形状に起因する不要な反射を発生させることを抑制しつつ、弾性波素子5の電気的特性を向上することができる。
尚、凸部12の頂部の幅は、IDT電極7の電極指幅の1/2以下であることが望ましい。また、凸部12の頂部の中心位置は、電極指の中心位置の上方に略一致していることが望ましい。これにより、質量付加効果による電極指での反射率が更に高まり、弾性波素子5の電気的特性が向上する。
さらに、凸部12の高さをT、IDT電極7の総膜厚をhとしたときに、0.03λ<T≦hを満たすことが望ましい。これは、酸化ケイ素膜8の凸部12の最下部から頂部までの高さTと電気的特性との関係を調べると、高さTが、0.03λより高い値で、酸化ケイ素膜8の表面をフラットにしたものに対して反射率の向上が大きく見られるからである。一方、IDT電極7の膜厚hより高さTを高くすると、この酸化ケイ素膜8を作製する為の新たな工程を追加することが必要となり、製造方法が煩雑となる。
なお、第2電極層11は、第1電極層10の側面の一部に掛かるように形成されていることが望ましい。これによるアンカー効果により、酸化ケイ素膜8が圧電体6から剥離することを抑制することができる。
また、図7に示すように、圧電体6と第1電極層10との間に、Ti層又はTiN層又はCr層又はNiCr層からなる密着層を設けることにより、IDT電極7が圧電体6から剥離することを防止することができる。
さらに、図7に示すように、第1電極層10と第2電極層11との間に、Ti層又はTiN層又はCr層又はNiCr層からなる密着層を設けることにより、弾性波素子5の耐電力性を向上することができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、図面を用いて説明する。図8は、実施の形態2における弾性波素子の断面模式図(IDT電極指の延伸方向に垂直な断面模式図)である。実施の形態1と同様の構成については、同一の符号をつけてその説明を省略する。
図8において、弾性波素子5は、実施の形態1に記載の誘電体薄膜9を備えておらず、圧電体6の表面部分もしくは酸化ケイ素膜8にエネルギーを分布させて主要弾性波を励振させる表面波素子である。
IDT電極7は、0.15λ以下の総膜厚を有すると共に、第1電極層10は、0.03λ以上の膜厚を有し、第2電極層11は、0.025λ以上の膜厚を有する。
酸化ケイ素膜8の膜厚は、IDT電極7によって励振された主要弾性波の周波数温度特性が所定値(10ppm/℃)以下になるように設定されている。
上記を満たす酸化ケイ素膜8の膜厚は、0.2λ以上0.5λ以下の場合、主要弾性波の漏れ防止効果と周波数温度特性向上の両立を特に図ることができる。
また、実施の形態1と同様に、第2電極層11の膜厚が0.025λを境として、それ未満の場合にIDT電極7全体の抵抗が大きくなる。即ち、第2電極層11の膜厚を0.025λ以上とすることで、IDT電極7の抵抗を抑制する。これにより、弾性波素子5における挿入損失を抑制することができる。
以上に示すように、弾性波素子5において、IDT電極7の総膜厚を0.15λ以下とすることにより、酸化ケイ素膜8の成膜バラツキを低減する。また、Moを主成分とする第1電極層10の膜厚を0.03λ以上とすることで、弾性波素子5の耐電力性を向上させる。さらに、Alを主成分とする第2電極層11の膜厚を0.025λ以上とすることで、IDT電極7の抵抗を抑制する。これにより、弾性波素子5における挿入損失を抑制することができる。
図9は、圧電体6として25度回転Y板X伝搬のニオブ酸リチウム基板を用い、酸化ケイ素膜8の膜厚Dを0.2λから1λに変化させた場合の第1電極層の膜厚(λ)とIDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速(m/秒)との関係を示す。尚、酸化ケイ素膜の上面は平坦であるとする。また、第2電極層11の膜厚は、0.025λとする。この第2電極層11の膜厚がこれより大きくなればなる程、主要弾性波の音速は若干ではあるが小さくなる。
図9に示すように、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.038λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.03λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.5λ以上の場合は、第1電極層10がなくとも、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。この場合の弾性波素子は、本発明外である。
即ち、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.038λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λ以上0.5λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.03λ以上のときに、圧電体6を伝搬する最も遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
図10は、実施の形態1における他の弾性波素子における断面模式図(IDT電極指の延伸方向に垂直な断面模式図)である。図10において、図8と異なる点は、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた点である。
図11は、上記凸部12の断面がIDT電極7の電極指断面と同形状であるとき、圧電体6として25度回転Y板X伝搬のニオブ酸リチウム基板を用い、酸化ケイ素膜8の膜厚Dを0.2λから1λに変化させた場合の第1電極層の膜厚(λ)とIDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速(m/秒)との関係を示す。また、第2電極層11の膜厚は、0.025λとする。この第2電極層11の膜厚がこれより大きくなればなる程、主要弾性波の音速は若干ではあるが小さくなる。
図11に示すように、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.02λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.014λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.5λ以上の場合は、第1電極層10がなくとも、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。この場合の弾性波素子は、本発明外である。
即ち、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた場合、若干IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなる。従って、凸部12がない場合と比較して、第1誘電体層10の膜厚が薄くともバルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失が抑制される。
従って、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた場合、下記条件の場合に、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。即ち、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.02λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λ以上0.5λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.014λ以上のときに、圧電体6を伝搬する最も遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、図12に示す様に、凸部12の断面形状がIDT電極7の電極指の断面形状より小さい場合には、第1電極層10に対する主要弾性波の音速は、図9に示す値と図11に示す値との間となる。
以下、このような凸部12について詳述する。
酸化ケイ素膜8の凸部12は、その凸部12の頂部から最下部にかけて下に凸な曲線形状を有することが望ましい。この場合、この下に凸な曲線若しくはその延長線と頂部を含む圧電体6の上面に平行な直線とが交わる点同士の間の距離で定義される頂部の幅Lは、IDT電極7の電極指の幅よりも小さい。これにより、凸部12における酸化ケイ素膜8の質量付加が連続的かつ緩やかに変化する。その結果、酸化ケイ素膜8の形状に起因する不要な反射を発生させることを抑制しつつ、弾性波素子5の電気的特性を向上することができる。
尚、凸部12の頂部の幅は、IDT電極7の電極指幅の1/2以下であることが望ましい。また、凸部12の頂部の中心位置は、電極指の中心位置の上方に略一致していることが望ましい。これにより、質量付加効果による電極指での反射率が更に高まり、弾性波素子5の電気的特性が向上する。
さらに、凸部12の高さをT、IDT電極7の総膜厚をhとしたときに、0.03λ<T≦hを満たすことが望ましい。これは、酸化ケイ素膜8の凸部12の最下部から頂部までの高さTと電気的特性との関係を調べると、高さTが、0.03λより大きい値で、酸化ケイ素膜8の表面をフラットにしたものに対して反射率の向上が大きく見られるからである。一方、IDT電極7の膜厚hより高さTを高くすると、下記に示す製造方法にさらに、この酸化ケイ素膜8を作製する為の新たな工程を追加することが必要となり、製造方法が煩雑となる。
図13A〜図13Hは本発明の実施の形態1における例えば凸部12を有する弾性波素子5の製造方法の一例を説明する図である。
まず、図13Aに示すように、圧電体21の上面にAlまたはAl合金を蒸着またはスパッタ等の方法によりIDT電極または/および反射器となる電極膜22を成膜する。
そして、図13Bに示すように、電極膜22の上面にレジスト膜23を形成する。
さらに、図13Cに示すように、所望の形状となるように露光・現像技術等を用いてレジスト膜23を加工する。
さらにまた、図13Dに示すように、ドライエッチング技術等を用いて電極膜22をIDT電極や反射器等、所望の形状に加工した後、レジスト膜23を除去する。
次に、図13Eに示すように、電極膜22を覆うように酸化ケイ素(SiO)を蒸着またはスパッタ等の方法により、酸化ケイ素膜24を形成する。このとき、酸化ケイ素膜24の上記凸部を得る方法として、圧電体21側にバイアスを印加しながらスパッタリングで成膜を行う、いわゆるバイアススパッタリング法を用いた。
酸化ケイ素のターゲットをスパッタリングすることにより圧電体21上に酸化ケイ素膜24を堆積させると同時に、バイアスにより圧電体21上の酸化ケイ素膜24の一部をスパッタリングする。つまり酸化ケイ素膜24を堆積させながら一部を削ることにより、酸化ケイ素膜24の形状をコントロールしたものである。その際、酸化ケイ素膜24の形状をコントロールする手段としては、酸化ケイ素膜24を堆積させる途中で圧電体21に印加するバイアスとスパッタリング電力の比を変化させたり、成膜の初期は圧電体21にバイアスをかけずに成膜し、途中から成膜と同時にバイアスを印加したりすればよい。この際、圧電体21の温度についても管理を行う。
さらに、図13Fに示すように、酸化ケイ素膜24の表面にレジスト膜25を形成する。
さらにまた、図13Gに示すように、露光・現像技術等を用いてレジスト膜25を所望の形状に加工する。
次に、図13Hに示すように、ドライエッチング技術等を用いて、電気信号取出しのためのパッド26等、酸化ケイ素膜24が不要な部分の誘電体薄膜を取り除き、その後レジスト膜25を除去する。
最後にダイシングにより個々に分割し、弾性波素子5を得る。
以上のように、バイアススパッタリング法を用い、適当な成膜条件下で酸化ケイ素膜8を成膜することで、所望の形状を得ることができることを発明者らは確認した。
なお、実施の形態1で説明した密着層15、16に関して、実施の形態2のIDT電極に適用可能なことは言うまでもない。
また、本実施の形態2において、圧電体6のオイラー角(φ,θ,ψ)が、−10°≦φ≦10°、33°≦θ≦43°、−10°≦ψ≦10°を満たす場合、IDT電極7によって励振される主要弾性波はレイリー波となる。この基板のオイラー角を使用する場合、IDT電極7の短絡グレーティングにおけるストップバンド内に共振周波数から反共振周波数までの周波数が入らない可能性が生じる。その結果、IDT電極7の共振周波数から反共振周波数の間に不要な共振スプリアスが発生する。即ち、このような状況にならないように、IDT電極7の反射係数を十分大きくする必要があり、そのためには、酸化ケイ素膜8の膜厚HとMoからなる第1電極層10の膜厚hとIDT電極7の電極ピッチに対する電極指幅比(デューティ比)ηとの関係が図14A〜図14Gに示す領域となる必要があることが判明した。
図14A〜図14Gは、IDT電極7の短絡グレーティングにおけるストップバンドが反共振周波数以上となる、第1電極層10のデューティ比(縦軸)と第1電極層10の規格化膜厚h/λ(%)(横軸)のとり得る値の領域を示す。また、図14AはH/hが5.00の場合、図14BはH/hが5.62の場合、図14CはH/hが6.25の場合、図14DはH/hが6.87の場合、図14EはH/hが7.50の場合、図14FはH/hが8.12の場合、図14GはH/hが8.75の場合を示す。
図14Aから図14Cに示す様に、H/hが5.00以上6.25未満の場合、第1電極層10のデューティ比が0.3以上0.4未満のとき或は0.6以上0.7未満のときに、h/λが4.5%以上で、IDT電極7の短絡グレーティングにおけるストップバンドが反共振周波数以上となる。IDT電極7の共振周波数から反共振周波数の間に発生する不要な共振スプリアスを抑制することができる。また、H/hが5.00以上6.25未満の場合、第1電極層10のデューティ比が0.4以上0.6未満のときに、h/λが3.5%以上で、IDT電極7の短絡グレーティングにおけるストップバンドが反共振周波数以上となる。IDT電極7の共振周波数から反共振周波数の間に発生する不要な共振スプリアスを抑制することができる。
さらに、図14Cから図14Gに示す様に、H/hが6.25以上8.75以下の場合、h/λが3.5%以上で、IDT電極7の短絡グレーティングにおけるストップバンドが反共振周波数以上となる。IDT電極7の共振周波数から反共振周波数の間に発生する不要な共振スプリアスを抑制することができる。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3について、図面を用いて説明する。図15は、実施の形態3における弾性波素子の断面模式図(IDT電極指の延伸方向に垂直な断面模式図)である。
実施の形態3において、実施の形態1との主な相違点は第1の電極層10の主成分がW(タングステン)である点である。
図15において、弾性波素子5は、圧電体6と、圧電体6の上に設けられて波長λの主要弾性波(Shear Horizontal波等)を励振させるIDT電極7と、圧電体6の上にIDT電極7を覆うように設けられて膜厚0.20λ以上0.50λ以下の酸化ケイ素膜8とを備える。また、弾性波素子5は、酸化ケイ素膜8の上に設けられて酸化ケイ素膜8を伝搬する横波の速度よりも速い横波が伝搬する誘電体薄膜9を備えている。この弾性波素子5は、圧電体6と酸化ケイ素膜8の境界部分にエネルギーの大部分を閉じ込めて主要弾性波を励振させる境界波素子である。
圧電体6は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)系基板であるが、例えば、水晶、タンタル酸リチウム(LiTaO3)系、又はニオブ酸カリウム(KNbO3)系の基板又は薄膜など他の圧電単結晶媒質であっても構わない。
圧電体6がニオブ酸リチウム系基板の場合、オイラー角表示(φ,θ,ψ)において−100°≦θ≦−60°の範囲の基板を用いるのが不要スプリアス抑制という観点で望ましい。さらに、特願2009−251696にも記載のように、このニオブ酸リチウムからなる圧電体6のオイラー角(φ,θ,ψ)は、−100°≦θ≦−60°、1.193φ−2°≦ψ≦1.193φ+2°、ψ≦−2φ−3°,−2φ+3°≦ψを満たすことが望ましい。尚、φ、θは、圧電体6の切出しカット角、ψは圧電体6上のIDT電極7における主要弾性波の伝搬角である。このオイラー角にすることで、レイリー波による不要スプリアスの発生を抑制しながら速い横波が発生する周波数帯付近における不要スプリアスを抑制することができる。
IDT電極7は、弾性波素子5の上方からみて櫛形形状のインターディジタルトランスデューサ電極である。圧電体6側から順に、W(タングステン)を主成分とする第1電極層10と、第1電極層10の上に設けられたAl(アルミニウム)を主成分とする第2電極層11とを有する。この第1電極層10にはSi等の混合物が混入されていても良いし、第2電極層11にはMg、Cu、Si等の混合物が混入されていても良い。これにより、IDT電極7の耐電力性を向上することができる。
このIDT電極7は、0.15λ以下の総膜厚を有すると共に、第1電極層10は、0.03λ以上の膜厚を有し、第2電極層11は、0.026λ以上の膜厚を有する。
酸化ケイ素膜8は、圧電体6とは逆の周波数温度特性を有する媒質であるので、弾性波素子5の周波数温度特性を向上することができる。また、酸化ケイ素膜8の膜厚は、主要弾性波の速度が圧電体6を伝搬する最も遅い横波の速度よりも低速になるように設定されている。これにより主要弾性波の圧電体6方向への漏れの低減が期待できる。
さらに、酸化ケイ素膜8の膜厚は、IDT電極7によって励振された主要弾性波の周波数温度特性が所定値(30ppm/℃)以下になるように設定されている。
上記を満たす酸化ケイ素膜8の膜厚は、0.2λ以上0.5λ以下の場合、主要弾性波の漏れ防止効果と周波数温度特性向上の両立を特に図ることができる。
尚、ここでいう酸化ケイ素膜8の膜厚とは、IDT電極7が非形成で圧電体6と酸化ケイ素膜8とが接している部分における圧電体6と酸化ケイ素膜8の境界面から酸化ケイ素膜8の上面までの距離Dをいう。
誘電体薄膜9は、酸化ケイ素膜8を伝搬する横波の速度よりも速い横波が伝搬する媒質である。この誘電体薄膜9は、例えば、ダイアモンド、シリコン、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、または酸化アルミニウムである。また、誘電体薄膜9の膜厚は酸化ケイ素膜8の膜厚より大きく、主要弾性波であるSH(Shear Horizontal)波の波長λ以上である。これにより、主要弾性波を、弾性波素子5の中に閉じ込めることができる。また、弾性波素子5の低背化を図る為、誘電体薄膜9の膜厚は、5λ以下であることが望ましい。
以下、本発明の弾性波素子5について詳細を説明する。
図16は、第1電極層10が膜厚0.04λのW層であり、このW層の上にAl層の第2電極層11が積層されたIDT電極7全体のシート抵抗(単位Ω/□)と第2電極層11の膜厚(λ)との関係を示した図である。図16に示す様に、第2電極層11の膜厚が0.026λを境として、それ未満の場合にIDT電極7全体の抵抗が変曲点を持って0.44Ω/□より大きくなるのが分かる。即ち、第2電極層11の膜厚を0.026λ以上とすることで、IDT電極7の抵抗を抑制する。これにより、弾性波素子5における挿入損失を抑制することができる。
尚、第2電極層11の膜厚が0.026λ以上の場合において、IDT電極7の抵抗は第1電極層10の膜厚にほとんど依存しない。これは、Alからなる第2電極層11の膜厚を0.026λ以上とすると、IDT電極7に流れる電流のほとんどは第2電極層11を流れるからである。
以上に示すように、弾性波素子5において、IDT電極7の総膜厚を0.15λ以下とすることにより、酸化ケイ素膜8の成膜バラツキを低減する。また、Wを主成分とする第1電極層10の膜厚を0.03λ以上とすることで、弾性波素子の耐電力性を向上させる。さらに、Alを主成分とする第2電極層11の膜厚を0.026λ以上とすることで、IDT電極7の抵抗を抑制する。これにより、弾性波素子5における挿入損失を抑制することができる。
図17は、圧電体6として25度回転Y板X伝搬のニオブ酸リチウム基板を用い、誘電体薄膜9として、膜厚1λの窒化ケイ素(SiN)を用い、酸化ケイ素膜8の膜厚Dを0.2λから0.5λに変化させた場合の第1電極層の膜厚(λ)とIDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速(m/秒)との関係を示す。尚、酸化ケイ素膜の上面は平坦であるとする。また、第2電極層11の膜厚は、0.026λとする。この第2電極層11の膜厚がこれより大きくなればなる程、主要弾性波の音速は若干ではあるが小さくなる。尚、誘電体薄膜9の膜厚は、その膜厚が1λ以上であればIDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速(m/秒)にほとんど寄与しない。また、図17に示す主要弾性波の音速は、主要弾性波の反共振周波数における音速である。このことは、主要弾性波の音速を示す他の図面でも同様である。主要弾性波のエネルギー損失に着眼する場合、主要弾性波の共振周波数と反共振周波数におけるエネルギー損失に着眼することが肝要であると考えられ得るが、主要弾性波の反共振周波数の音速は共振周波数の音速よりも速いため、主要弾性波のエネルギー損失という観点でバルク波の音速に対し比較する場合は、その比較対象は主要弾性波の反共振周波数の音速で良い。
図17に示すように、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.04λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなる。従って、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.037λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.4λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.03λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.5λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.03λ以上のとき、圧電体6を伝搬する最も遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
即ち、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.04λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λ以上0.4λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.037λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.4λ以上0.5λ以下の場合は、第1電極層10の膜厚が0.03λ以上のときに、圧電体6を伝搬する最も遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
図18は、実施の形態3における他の弾性波素子における断面模式図(IDT電極指の延伸方向に垂直な断面模式図)である。図18において、図15と異なる点は、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた点である。
図19は、上記凸部12の断面がIDT電極7の電極指断面と同形状であるとき、圧電体6として25度回転Y板X伝搬のニオブ酸リチウム基板を用い、誘電体薄膜9として、膜厚1λの窒化ケイ素(SiN)を用い、酸化ケイ素膜8の膜厚Dを0.2λから0.5λに変化させた場合の第1電極層の膜厚(λ)とIDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速(m/秒)との関係を示す。また、第2電極層11の膜厚は、0.026λとする。この第2電極層11の膜厚がこれより大きくなればなる程、主要弾性波の音速は若干ではあるが小さくなる。尚、誘電体薄膜9の膜厚は、その膜厚が1λ以上であればIDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速(m/秒)にほとんど寄与しない。
図19に示すように、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.04λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.035λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.4λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.029λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.5λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.028λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
即ち、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた場合、若干IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなる。従って、凸部12がない場合と比較して、第1電極層10の膜厚が薄くともバルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失が抑制される。
従って、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた場合、下記条件の場合に、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。即ち、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.04λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λ以上0.4λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.035λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.4λ以上0.5λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.029λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.5λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.028λ以上のときに、圧電体6を伝搬する最も遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、図20に示す様に、凸部12の断面形状がIDT電極7の電極指の断面形状より小さい場合には、第1電極層10に対する主要弾性波の音速は、図17に示す値と図19に示す値との間となる。
以下、このような凸部12について詳述する。
酸化ケイ素膜8の凸部12は、その凸部12の頂部から最下部にかけて下に凸な曲線形状を有することが望ましい。この場合、この下に凸な曲線若しくはその延長線と頂部を含む圧電体6の上面に平行な直線とが交わる点同士の間の距離で定義される頂部の幅Lは、IDT電極7の電極指の幅よりも小さい。これにより、凸部12における酸化ケイ素膜8の質量付加が連続的かつ緩やかに変化する。その結果、酸化ケイ素膜8の形状に起因する不要な反射を発生させることを抑制しつつ、弾性波素子5の電気的特性を向上することができる。
尚、凸部12の頂部の幅は、IDT電極7の電極指幅の1/2以下であることが望ましい。また、凸部12の頂部の中心位置は、電極指の中心位置の上方に略一致していることが望ましい。これにより、質量付加効果による電極指での反射率が更に高まり、弾性波素子5の電気的特性が向上する。
さらに、凸部12の高さをT、IDT電極7の総膜厚をhとしたときに、0.03λ<T≦hを満たすことが望ましい。これは、酸化ケイ素膜8の凸部12の最下部から頂部までの高さTと電気的特性との関係を調べると、高さTが、0.03λより高い値で、酸化ケイ素膜8の表面をフラットにしたものに対して反射率の向上が大きく見られるからである。一方、IDT電極7の膜厚hより高さTを高くすると、この酸化ケイ素膜8を作成する為の新たな工程を追加することが必要となり、製造方法が煩雑となる。
なお、第2電極層11は、第1電極層10の側面の一部に掛かるように形成されていることが望ましい。これによるアンカー効果により、酸化ケイ素膜8が圧電体6から剥離することを抑制することができる。
また、図21に示すように、圧電体6と第1電極層10との間に、Ti層又はCr層又はNiCr層からなる密着層15を設けることにより、IDT電極7が圧電体6から剥離することを防止することができる。
さらに、図21に示すように、第1電極層10と第2電極層11との間に、Ti層又はCr層又はNiCr層からなる密着層16を設けることにより、弾性波素子5の耐電力性を向上することができる。
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4について、図面を用いて説明する。図22は、実施の形態4における弾性波素子の断面模式図(IDT電極指の延伸方向に垂直な断面模式図)である。実施の形態3と同様の構成については、同一の符号をつけてその説明を省略する。
実施の形態4において、実施の形態2との主な相違点は第1の電極層10の主成分がW(タングステン)である点である。
図22において、弾性波素子5は、実施の形態3に記載の誘電体薄膜9を備えておらず、圧電体6の表面部分もしくは酸化ケイ素膜8にエネルギーを分布させて主要弾性波を励振させる表面波素子である。
IDT電極7は、0.15λ以下の総膜厚を有すると共に、第1電極層10は、0.004λ以上の膜厚を有し、第2電極層11は、0.026λ以上の膜厚を有する。
酸化ケイ素膜8の膜厚は、IDT電極7によって励振された主要弾性波の周波数温度特性が所定値(10ppm/℃)以下になるように設定されている。
上記を満たす酸化ケイ素膜8の膜厚は、0.1λ以上0.5λ以下の場合、主要弾性波の漏れ防止効果と周波数温度特性向上の両立を特に図ることができる。
また、実施の形態3と同様に、第2電極層11の膜厚が0.026λを境として、それ未満の場合にIDT電極7全体の抵抗が大きくなる。即ち、第2電極層11の膜厚を0.026λ以上とすることで、IDT電極7の抵抗を抑制する。これにより、弾性波素子5における挿入損失を抑制することができる。
以上に示すように、弾性波素子5において、IDT電極7の総膜厚を0.15λ以下とすることにより、酸化ケイ素膜8の成膜バラツキを低減する。また、Wを主成分とする第1電極層10の膜厚を0.004λ以上とすることで、弾性波素子5の耐電力性を向上させる。さらに、Alを主成分とする第2電極層11の膜厚を0.026λ以上とすることで、IDT電極7の抵抗を抑制する。これにより、弾性波素子5における挿入損失を抑制することができる。
図23は、圧電体6として25度回転Y板X伝搬のニオブ酸リチウム基板を用い、酸化ケイ素膜8の膜厚Dを0.1λから0.5λに変化させた場合の第1電極層の膜厚(λ)とIDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速(m/秒)との関係を示す。尚、酸化ケイ素膜の上面は平坦であるとする。また、第2電極層11の膜厚は、0.026λとする。この第2電極層11の膜厚がこれより大きくなればなる程、主要弾性波の音速は若干ではあるが小さくなる。
図23に示すように、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.1λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.027λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.02λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.018λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.4λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.01λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.5λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.004λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
即ち、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.1λ以上0.2λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.027λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.02λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λ以上0.4λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.018λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.4λ以上0.5λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.01λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.5λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.004λ以上のときに、圧電体6を伝搬する最も遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
図24は、実施の形態4における他の弾性波素子における断面模式図(IDT電極指の延伸方向に垂直な断面模式図)である。図24において、図22と異なる点は、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた点である。
図25は、上記凸部12の断面がIDT電極7の電極指断面と同形状であるとき、圧電体6として25度回転Y板X伝搬のニオブ酸リチウム基板を用い、酸化ケイ素膜8の膜厚Dを0.1λから0.5λに変化させた場合の第1電極層10の膜厚(λ)とIDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速(m/秒)との関係を示す。また、第2電極層11の膜厚は、0.026λとする。この第2電極層11の膜厚がこれより大きくなればなる程、主要弾性波の音速は若干ではあるが小さくなる。
図25に示すように、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.1λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.016λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.009λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λ、0.4λ、0.5λの場合は、第1電極層10が存在しなくとも、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
即ち、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた場合、若干IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなる。従って、凸部12がない場合と比較して、第1電極層10の膜厚が薄くともバルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失が抑制される。
従って、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた場合、下記条件の場合に、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。即ち、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.1λ以上0.2λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.016λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.009λ以上のときに、圧電体6を伝搬する最も遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、図26に示す様に、凸部12の断面形状がIDT電極7の電極指の断面形状より小さい場合には、第1電極層10に対する主要弾性波の音速は、図23に示す値と図25に示す値との間となる。
以下、このような凸部12について詳述する。
酸化ケイ素膜8の凸部12は、その凸部12の頂部から最下部にかけて下に凸な曲線形状を有することが望ましい。この場合、この下に凸な曲線若しくはその延長線と頂部を含む圧電体6の上面に平行な直線とが交わる点同士の間の距離で定義される頂部の幅Lは、IDT電極7の電極指の幅よりも小さい。これにより、凸部12における酸化ケイ素膜8の質量付加が連続的かつ緩やかに変化する。その結果、酸化ケイ素膜8の形状に起因する不要な反射を発生させることを抑制しつつ、弾性波素子5の電気的特性を向上することができる。
尚、凸部12の頂部の幅は、IDT電極7の電極指幅の1/2以下であることが望ましい。また、凸部12の頂部の中心位置は、電極指の中心位置の上方に略一致していることが望ましい。これにより、質量付加効果による電極指での反射率が更に高まり、弾性波素子5の電気的特性が向上する。
さらに、凸部12の高さをT、IDT電極7の総膜厚をhとしたときに、0.03λ<T≦hを満たすことが望ましい。これは、酸化ケイ素膜8の凸部12の最下部から頂部までの高さTと電気的特性との関係を調べると、高さTが、0.03λより大きい値で、酸化ケイ素膜8の表面をフラットにしたものに対して反射率の向上が大きく見られるからである。一方、IDT電極7の膜厚hより高さTを高くすると、実施の形態2に示す製造方法にさらに、この酸化ケイ素膜8を作成する為の新たな工程を追加することが必要となり、製造方法が煩雑となる。尚、実施の形態4の弾性波素子5の製造方法は実施の形態2のそれと同様である。
なお、実施の形態3で説明した密着層15、16に関して、実施の形態4のIDT電極に適用可能なことは言うまでもない。
(実施の形態5)
以下、本発明の実施の形態5について、図面を用いて説明する。図27は、実施の形態5における弾性波素子の断面模式図(IDT電極指の延伸方向に垂直な断面模式図)である。
実施の形態5において、実施の形態1との主な相違点は第1の電極層10の主成分がPt(白金)である点である。
図27において、弾性波素子5は、圧電体6と、圧電体6の上に設けられて波長λの主要弾性波(Shear Horizontal波等)を励振させるIDT電極7と、圧電体6の上にIDT電極7を覆うように設けられて膜厚0.20λ以上0.50λ以下の酸化ケイ素膜8とを備える。また、弾性波素子5は、酸化ケイ素膜8の上に設けられて酸化ケイ素膜8を伝搬する横波の速度よりも速い横波が伝搬する誘電体薄膜9を備えている。この弾性波素子5は、圧電体6と酸化ケイ素膜8の境界部分にエネルギーの大部分を閉じ込めて主要弾性波を励振させる境界波素子である。
圧電体6は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)系基板であるが、例えば、水晶、タンタル酸リチウム(LiTaO3)系、又はニオブ酸カリウム(KNbO3)系の基板又は薄膜など他の圧電単結晶媒質であっても構わない。
圧電体6がニオブ酸リチウム系基板の場合、オイラー角表示(φ,θ,ψ)において−100°≦θ≦−60°の範囲の基板を用いるのが不要スプリアス抑制という観点で望ましい。さらに、特願2009−251696にも記載のように、このニオブ酸リチウムからなる圧電体6のオイラー角(φ,θ,ψ)は、−100°≦θ≦−60°、1.193φ−2°≦ψ≦1.193φ+2°、ψ≦−2φ−3°,−2φ+3°≦ψを満たすことが望ましい。尚、φ、θは、圧電体6の切出しカット角、ψは圧電体6上のIDT電極7における主要弾性波の伝搬角である。このオイラー角にすることで、レイリー波による不要スプリアスの発生を抑制しながら速い横波が発生する周波数帯付近における不要スプリアスを抑制することができる。
IDT電極7は、弾性波素子5の上方からみて櫛形形状のインターディジタルトランスデューサ電極であり、圧電体6側から順に、Pt(白金)を主成分とする第1電極層10と、第1電極層10の上に設けられたAl(アルミニウム)を主成分とする第2電極層11とを有する。この第1電極層10にはSi等の混合物が混入されていても良いし、第2電極層11にはMg、Cu、Si等の混合物が混入されていても良い。これにより、IDT電極7の耐電力性を向上することができる。
このIDT電極7は、0.15λ以下の総膜厚を有すると共に、第1電極層10は、0.025λ以上の膜厚を有し、第2電極層11は、0.026λ以上の膜厚を有する。
酸化ケイ素膜8は、圧電体6とは逆の周波数温度特性を有する媒質であるので、弾性波素子5の周波数温度特性を向上することができる。また、酸化ケイ素膜8の膜厚は、主要弾性波の速度が圧電体6を伝搬する最も遅い横波の速度よりも低速になるように設定されている。これにより主要弾性波の圧電体6方向への漏れの低減が期待できる。
さらに、酸化ケイ素膜8の膜厚は、IDT電極7によって励振された主要弾性波の周波数温度特性が所定値(30ppm/℃)以下になるように設定されている。
上記を満たす酸化ケイ素膜8の膜厚は、0.2λ以上0.5λ以下の場合、主要弾性波の漏れ防止効果と周波数温度特性向上の両立を特に図ることができる。
尚、ここでいう酸化ケイ素膜8の膜厚とは、IDT電極7が非形成で圧電体6と酸化ケイ素膜8とが接している部分における圧電体6と酸化ケイ素膜8の境界面から酸化ケイ素膜8の上面までの距離Dをいう。
誘電体薄膜9は、酸化ケイ素膜8を伝搬する横波の速度よりも速い横波が伝搬する媒質である。この誘電体薄膜9は、例えば、ダイアモンド、シリコン、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、または酸化アルミニウムである。また、誘電体薄膜9の膜厚は酸化ケイ素膜8の膜厚より大きく、主要弾性波であるSH(Shear Horizontal)波の波長λ以上である。これにより、主要弾性波を、弾性波素子5の中に閉じ込めることができる。また、弾性波素子5の低背化を図る為、誘電体薄膜9の膜厚は、5λ以下であることが望ましい。
以下、本発明の弾性波素子5について詳細を説明する。
図28は、第1電極層10が膜厚0.03λのPt層であり、このPt層の上にAl層の第2電極層11が積層されたIDT電極7全体のシート抵抗(単位Ω/□)と第2電極層11の膜厚(λ)との関係を示した図である。図28に示す様に、第2電極層11の膜厚が0.026λを境として、それ未満の場合にIDT電極7全体の抵抗が変曲点を持って0.44Ω/□より大きくなるのが分かる。即ち、第2電極層11の膜厚を0.026λ以上とすることで、IDT電極7の抵抗を抑制する。これにより、弾性波素子5における挿入損失を抑制することができる。
尚、第2電極層11の膜厚が0.026λ以上の場合において、IDT電極7の抵抗は第1電極層10の膜厚にほとんど依存しない。これは、Alからなる第2電極層11の膜厚を0.026λ以上とすると、IDT電極7に流れる電流のほとんどは第2電極層11を流れるからである。
以上に示すように、弾性波素子5において、IDT電極7の総膜厚を0.15λ以下とすることにより、酸化ケイ素膜8の成膜バラツキを低減する。また、Ptを主成分とする第1電極層10の膜厚を0.025λ以上とすることで、弾性波素子の耐電力性を向上させる。さらに、Alを主成分とする第2電極層11の膜厚を0.026λ以上とすることで、IDT電極7の抵抗を抑制する。これにより、弾性波素子5における挿入損失を抑制することができる。
図29は、圧電体6として25度回転Y板X伝搬のニオブ酸リチウム基板を用い、誘電体薄膜9として、膜厚1λの窒化ケイ素(SiN)を用い、酸化ケイ素膜8の膜厚Dを0.2λから0.5λに変化させた場合の第1電極層の膜厚(λ)とIDT電極7を伝搬する。
主要弾性波の音速(m/秒)との関係を示す。尚、酸化ケイ素膜の上面は平坦であるとする。また、第2電極層11の膜厚は、0.026λとする。この第2電極層11の膜厚がこれより大きくなればなる程、主要弾性波の音速は若干ではあるが小さくなる。尚、誘電体薄膜9の膜厚は、その膜厚が1λ以上であればIDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速(m/秒)にほとんど寄与しない。また、図29に示す主要弾性波の音速は、主要弾性波の反共振周波数における音速である。このことは、主要弾性波の音速を示す他の図面でも同様である。主要弾性波のエネルギー損失に着眼する場合、主要弾性波の共振周波数と反共振周波数におけるエネルギー損失に着眼することが肝要であると考えられ得るが、主要弾性波の反共振周波数の音速は共振周波数の音速よりも速いため、主要弾性波のエネルギー損失という観点でバルク波の音速に対し比較する場合は、その比較対象は主要弾性波の反共振周波数の音速で良い。
図29に示すように、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.035λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.029λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.4λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.027λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.5λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.025λ以上のとき、圧電体6を伝搬する最も遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
即ち、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.035λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λ以上0.4λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.029λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.4λ以上0.5λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.027λ以上のとき、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.5λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.025λ以上のときに、圧電体6を伝搬する最も遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
図30は、実施の形態5における他の弾性波素子における断面模式図(IDT電極指の延伸方向に垂直な断面模式図)である。図30において、図27と異なる点は、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた点である。
図31は、上記凸部12の断面がIDT電極7の電極指断面と同形状であるとき、圧電体6として25度回転Y板X伝搬のニオブ酸リチウム基板を用い、誘電体薄膜9として、膜厚1λの窒化ケイ素(SiN)を用い、酸化ケイ素膜8の膜厚Dを0.2λから0.5λに変化させた場合の第1電極層の膜厚(λ)とIDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速(m/秒)との関係を示す。また、第2電極層11の膜厚は、0.026λとする。この第2電極層11の膜厚がこれより大きくなればなる程、主要弾性波の音速は若干ではあるが小さくなる。尚、誘電体薄膜9の膜厚は、その膜厚が1λ以上であればIDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速(m/秒)にほとんど寄与しない。
図31に示すように、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.034λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.028λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.4λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.027λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.5λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.025λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
即ち、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた場合、若干IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなる。従って、凸部12がない場合と比較して、第1電極層10の膜厚が薄くともバルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失が抑制される。
従って、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた場合、下記条件の場合に、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。即ち、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.034λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λ以上0.4λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.028λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.4λ以上0.5λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.027λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.5λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.025λ以上のときに、圧電体6を伝搬する最も遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、図32に示す様に、凸部12の断面形状がIDT電極7の電極指の断面形状より小さい場合には、第1電極層10に対する主要弾性波の音速は、図29に示す値と図31に示す値との間となる。
以下、このような凸部12について詳述する。
酸化ケイ素膜8の凸部12は、その凸部12の頂部から最下部にかけて下に凸な曲線形状を有することが望ましい。この場合、この下に凸な曲線若しくはその延長線と頂部を含む圧電体6の上面に平行な直線とが交わる点同士の間の距離で定義される頂部の幅Lは、IDT電極7の電極指の幅よりも小さい。これにより、凸部12における酸化ケイ素膜8の質量付加が連続的かつ緩やかに変化する。その結果、酸化ケイ素膜8の形状に起因する不要な反射を発生させることを抑制しつつ、弾性波素子5の電気的特性を向上することができる。
尚、凸部12の頂部の幅は、IDT電極7の電極指幅の1/2以下であることが望ましい。また、凸部12の頂部の中心位置は、電極指の中心位置の上方に略一致していることが望ましい。これにより、質量付加効果による電極指での反射率が更に高まり、弾性波素子5の電気的特性が向上する。
さらに、凸部12の高さをT、IDT電極7の総膜厚をhとしたときに、0.03λ<T≦hを満たすことが望ましい。これは、酸化ケイ素膜8の凸部12の最下部から頂部までの高さTと電気的特性との関係を調べると、高さTが、0.03λより高い値で、酸化ケイ素膜8の表面をフラットにしたものに対して反射率の向上が大きく見られるからである。一方、IDT電極7の膜厚hより高さTを高くすると、この酸化ケイ素膜8を作成する為の新たな工程を追加することが必要となり、製造方法が煩雑となる。
なお、第2電極層11は、第1電極層10の側面の一部に掛かるように形成されていることが望ましい。これによるアンカー効果により、酸化ケイ素膜8が圧電体6から剥離することを抑制することができる。
また、図33に示すように、圧電体6と第1電極層10との間に、Ti層又はCr層又はNiCr層からなる密着層15を設けることにより、IDT電極7が圧電体6から剥離することを防止することができる。
さらに、図33に示すように、第1電極層10と第2電極層11との間に、Ti層又はCr層又はNiCr層からなる密着層16を設けることにより、弾性波素子5の耐電力性を向上することができる。
(実施の形態6)
以下、本発明の実施の形態6について、図面を用いて説明する。図34は、実施の形態6における弾性波素子の断面模式図(IDT電極指の延伸方向に垂直な断面模式図)である。実施の形態5と同様の構成については、同一の符号をつけてその説明を省略する。
実施の形態6において、実施の形態2との主な相違点は第1の電極層10の主成分がPt(白金)である点である。
図34において、弾性波素子5は、実施の形態5に記載の誘電体薄膜9を備えておらず、圧電体6の表面部分もしくは酸化ケイ素膜8にエネルギーを分布させて主要弾性波を励振させる表面波素子である。
IDT電極7は、0.15λ以下の総膜厚を有すると共に、第1電極層10は、0.009λ以上の膜厚を有し、第2電極層11は、0.026λ以上の膜厚を有する。
酸化ケイ素膜8の膜厚は、IDT電極7によって励振された主要弾性波の周波数温度特性が所定値(10ppm/℃)以下になるように設定されている。
上記を満たす酸化ケイ素膜8の膜厚は、0.1λ以上0.5λ以下の場合、主要弾性波の漏れ防止効果と周波数温度特性向上の両立を特に図ることができる。
また、実施の形態5と同様に、第2電極層11の膜厚が0.026λを境として、それ未満の場合にIDT電極7全体の抵抗が大きくなる。即ち、第2電極層11の膜厚を0.026λ以上とすることで、IDT電極7の抵抗を抑制する。これにより、弾性波素子5における挿入損失を抑制することができる。
以上に示すように、弾性波素子5において、IDT電極7の総膜厚を0.15λ以下とすることにより、酸化ケイ素膜8の成膜バラツキを低減する。また、Ptを主成分とする第1電極層10の膜厚を0.009λ以上とすることで、弾性波素子5の耐電力性を向上させる。さらに、Alを主成分とする第2電極層11の膜厚を0.026λ以上とすることで、IDT電極7の抵抗を抑制する。これにより、弾性波素子5における挿入損失を抑制することができる。
図35は、圧電体6として25度回転Y板X伝搬のニオブ酸リチウム基板を用い、酸化ケイ素膜8の膜厚Dを0.1λから0.5λに変化させた場合の第1電極層の膜厚(λ)とIDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速(m/秒)との関係を示す。尚、酸化ケイ素膜の上面は平坦であるとする。また、第2電極層11の膜厚は、0.026λとする。この第2電極層11の膜厚がこれより大きくなればなる程、主要弾性波の音速は若干ではあるが小さくなる。
図35に示すように、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.1λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.02λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.018λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.016λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.4λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.009λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.5λの場合は、第1電極層10が存在しなくとも、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
即ち、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.1λ以上0.2λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.02λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.018λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λ以上0.4λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.016λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.4λ以上0.5λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.009λ以上のときに、圧電体6を伝搬する最も遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
図36は、実施の形態6における他の弾性波素子における断面模式図(IDT電極指の延伸方向に垂直な断面模式図)である。図36において、図34と異なる点は、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた点である。
図37は、上記凸部12の断面がIDT電極7の電極指断面と同形状であるとき、圧電体6として25度回転Y板X伝搬のニオブ酸リチウム基板を用い、酸化ケイ素膜8の膜厚Dを0.1λから0.5λに変化させた場合の第1電極層10の膜厚(λ)とIDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速(m/秒)との関係を示す。また、第2電極層11の膜厚は、0.026λとする。この第2電極層11の膜厚がこれより大きくなればなる程、主要弾性波の音速は若干ではあるが小さくなる。
図37に示すように、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.1λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.01λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λの場合は、第1電極層10の膜厚が0.007λ以上のとき、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.3λ、0.4λ、0.5λの場合は、第1電極層10が存在しなくとも、圧電体6を伝搬する遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
即ち、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた場合、若干IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなる。従って、凸部12がない場合と比較して、第1電極層10の膜厚が薄くともバルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失が抑制される。
従って、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた場合、下記条件の場合に、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。即ち、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.1λ以上0.2λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.01λ以上のとき、また、酸化ケイ素膜8の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、第1電極層10の膜厚が0.007λ以上のときに、圧電体6を伝搬する最も遅い横波(バルク波)の音速(4080m/秒)より、IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなり、バルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失を抑制することができる。
また、図38に示す様に、凸部12の断面形状がIDT電極7の電極指の断面形状より小さい場合には、第1電極層10に対する主要弾性波の音速は、図35に示す値と図37に示す値との間となる。
以下、このような凸部12について詳述する。
酸化ケイ素膜8の凸部12は、その凸部12の頂部から最下部にかけて下に凸な曲線形状を有することが望ましい。この場合、この下に凸な曲線若しくはその延長線と頂部を含む圧電体6の上面に平行な直線とが交わる点同士の間の距離で定義される頂部の幅Lは、IDT電極7の電極指の幅よりも小さい。これにより、凸部12における酸化ケイ素膜8の質量付加が連続的かつ緩やかに変化する。その結果、酸化ケイ素膜8の形状に起因する不要な反射を発生させることを抑制しつつ、弾性波素子5の電気的特性を向上することができる。
尚、凸部12の頂部の幅は、IDT電極7の電極指幅の1/2以下であることが望ましい。また、凸部12の頂部の中心位置は、電極指の中心位置の上方に略一致していることが望ましい。これにより、質量付加効果による電極指での反射率が更に高まり、弾性波素子5の電気的特性が向上する。
さらに、凸部12の高さをT、IDT電極7の総膜厚をhとしたときに、0.03λ<T≦hを満たすことが望ましい。これは、酸化ケイ素膜8の凸部12の最下部から頂部までの高さTと電気的特性との関係を調べると、高さTが、0.03λより大きい値で、酸化ケイ素膜8の表面をフラットにしたものに対して反射率の向上が大きく見られるからである。一方、IDT電極7の膜厚hより高さTを高くすると、実施の形態2に示す製造方法にさらに、この酸化ケイ素膜8を作成する為の新たな工程を追加することが必要となり、製造方法が煩雑となる。尚、実施の形態4の弾性波素子5の製造方法は実施の形態2のそれと同様である。
なお、実施の形態5で説明した密着層15、16に関して、実施の形態6のIDT電極に適用可能なことは言うまでもない。
さらに、本実施の形態1〜6の弾性波素子5をラダー型フィルタもしくはDMSフィルタ等のフィルタ(図示せず)に適用しても構わない。さらにまた、このフィルタを送信フィルタと受信フィルタとを有するアンテナ共用器(図示せず)に適用しても良い。また、弾性波素子5を、このフィルタと、フィルタに接続された半導体集積回路素子(図示せず)と、半導体集積回路素子(図示せず)に接続されたスピーカ等の再生部とを備えた電子機器に適用しても良い。
本発明にかかる弾性波素子は、挿入損失を抑制するという効果を有し、携帯電話等の電子機器に適用可能である。
5 弾性波素子
6 圧電体
7 IDT電極
8 酸化ケイ素膜
9 誘電体薄膜
10 第1電極層
11 第2電極層
図2は、第1電極層10が膜厚0.05λのMo層であり、このMo層の上にAl層の第2電極層11が積層されたIDT電極7全体のシート抵抗(単位Ω/□)と第2電極層11の膜厚(λ)との関係を示す。図2に示す様に、第2電極層11の膜厚が0.025λを境として、それ未満の場合にIDT電極7全体の抵抗が変曲点を持って0.44Ω/□より大きくなるのが分かる。即ち、第2電極層11の膜厚を0.025λ以上とすることで、IDT電極7の抵抗を抑制する。これにより、弾性波素子5における挿入損失を抑制することができる。
即ち、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた場合、若干IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなる。従って、凸部12がない場合と比較して、第1電極層10の膜厚が薄くともバルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失が抑制される。
図10は、実施の形態2における他の弾性波素子における断面模式図(IDT電極指の延伸方向に垂直な断面模式図)である。図10において、図8と異なる点は、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた点である。
即ち、IDT電極7の電極指の上方における酸化ケイ素膜8の上面に凸部12を設けた場合、若干IDT電極7を伝搬する主要弾性波の音速が遅くなる。従って、凸部12がない場合と比較して、第1電極層10の膜厚が薄くともバルク波放射による主要弾性波のエネルギー損失が抑制される。
さらに、凸部12の高さをT、IDT電極7の総膜厚をhとしたときに、0.03λ<T≦hを満たすことが望ましい。これは、酸化ケイ素膜8の凸部12の最下部から頂部までの高さTと電気的特性との関係を調べると、高さTが、0.03λより大きい値で、酸化ケイ素膜8の表面をフラットにしたものに対して反射率の向上が大きく見られるからである。一方、IDT電極7の膜厚hより高さTを高くすると、実施の形態2に示す製造方法にさらに、この酸化ケイ素膜8を作成する為の新たな工程を追加することが必要となり、製造方法が煩雑となる。尚、実施の形態6の弾性波素子5の製造方法は実施の形態2のそれと同様である。

Claims (16)

  1. 圧電体と、
    前記圧電体の上に設けられて波長λの主要弾性波を励振させるIDT電極と、
    前記圧電体の上に前記IDT電極を覆うように設けられた0.2λ以上1λ未満の膜厚を有する酸化ケイ素膜と、
    前記酸化ケイ素膜の上に設けられて前記酸化ケイ素膜を伝搬する横波の速度よりも速い横波が伝搬する媒質からなる1λ以上5λ以下の膜厚を有する誘電体薄膜とを備え、
    前記IDT電極は、前記圧電体側から順に、Moを主成分とする第1電極層と、前記第1電極層の上に設けられたAlを主成分とする第2電極層とを有し、
    前記IDT電極は、0.15λ以下の総膜厚を有し、かつ、
    前記第1電極層は、0.05λ以上の膜厚を有し、かつ、
    前記第2電極層は、0.025λ以上の膜厚を有する弾性波素子。
  2. 前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.093λ以上の膜厚を有し、
    前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.3λ以上0.5λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.068λ以上の膜厚を有し、
    前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.5λ以上1λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.05λ以上の膜厚を有する請求項1に記載の弾性波素子。
  3. 圧電体と、
    前記圧電体の上に設けられて波長λの主要弾性波を励振させるIDT電極と、
    前記圧電体の上に前記IDT電極を覆うように設けられた0.2λ以上0.5λ未満の膜厚を有する酸化ケイ素膜とを備え、
    前記IDT電極は、前記圧電体側から順に、Moを主成分とする第1電極層と、前記第1電極層の上に設けられたAlを主成分とする第2電極層とを有し、
    前記IDT電極は、0.15λ以下の総膜厚を有し、かつ、
    前記第1電極層は、0.03λ以上の膜厚を有し、かつ、
    前記第2電極層は、0.025λ以上の膜厚を有する弾性波素子。
  4. 前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.038λ以上の膜厚を有し、
    前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.3λ以上0.5λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.03λ以上の膜厚を有する請求項3に記載の弾性波素子。
  5. 前記圧電体のオイラー角(φ,θ,ψ)が、−10°≦φ≦10°、33°≦θ≦43°、−10°≦ψ≦10°の場合、
    前記酸化ケイ素膜8の膜厚Hと前記第1電極層の膜厚hと前記IDT電極の電極ピッチに対する電極指幅比ηとの関係が、
    H/hが5.00以上6.25未満の場合、ηが0.3以上0.4未満のとき或は0.6以上0.7未満のときに、h/λが4.5%以上を満たし、H/hが5.00以上6.25未満の場合、ηが0.4以上0.6未満のときに、h/λが3.5%以上を満たし、
    H/hが6.25以上8.75以下の場合、h/λが3.5%以上を満たす請求項3に記載の弾性波素子。
  6. 圧電体と、
    前記圧電体の上に設けられて波長λの主要弾性波を励振させるIDT電極と、
    前記圧電体の上に前記IDT電極を覆うように設けられた0.2λ以上0.5λ以下の膜厚を有する酸化ケイ素膜と、
    前記酸化ケイ素膜の上に設けられて前記酸化ケイ素膜を伝搬する横波の速度よりも速い横波が伝搬する媒質からなる1λ以上5λ以下の膜厚を有する誘電体薄膜とを備え、
    前記IDT電極は、前記圧電体側から順に、W(タングステン)を主成分とする第1電極層と、前記第1電極層の上に設けられたAl(アルミニウム)を主成分とする第2電極層とを有し、
    前記IDT電極は、0.15λ以下の総膜厚を有し、かつ、
    前記第1電極層は、0.03λ以上の膜厚を有し、かつ、
    前記第2電極層は、0.026λ以上の膜厚を有する弾性波素子。
  7. 前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.04λ以上の膜厚を有し、
    前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.3λ以上0.4λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.037λ以上の膜厚を有し、
    前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.4λ以上0.5λ以下の場合は、前記第1電極層は、0.03λ以上の膜厚を有する請求項6に記載の弾性波素子。
  8. 圧電体と、
    前記圧電体の上に設けられて波長λの主要弾性波を励振させるIDT電極と、
    前記圧電体の上に前記IDT電極を覆うように設けられた0.2λ以上0.5λ以下の膜厚を有する酸化ケイ素膜とを備え、
    前記IDT電極は、前記圧電体側から順に、W(タングステン)を主成分とする第1電極層と、前記第1電極層の上に設けられたAl(アルミニウム)を主成分とする第2電極層とを有し、
    前記IDT電極は、0.15λ以下の総膜厚を有し、かつ、
    前記第1電極層は、0.004λ以上の膜厚を有し、かつ、
    前記第2電極層は、0.026λ以上の膜厚を有する弾性波素子。
  9. 前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.1λ以上0.2λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.027λ以上の膜厚を有し、
    前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.02λ以上の膜厚を有し、
    前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.3λ以上0.4λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.018λ以上の膜厚を有し、
    前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.4λ以上0.5λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.01λ以上の膜厚を有し、
    前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.5λの場合は、前記第1電極層は、0.004λ以上の膜厚を有する請求項8に記載の弾性波素子。
  10. 圧電体と、
    前記圧電体の上に設けられて波長λの主要弾性波を励振させるIDT電極と、
    前記圧電体の上に前記IDT電極を覆うように設けられた0.2λ以上0.5λ以下の膜厚を有する酸化ケイ素膜と、
    前記酸化ケイ素膜の上に設けられて前記酸化ケイ素膜を伝搬する横波の速度よりも速い横波が伝搬する媒質からなる1λ以上5λ以下の膜厚を有する誘電体薄膜とを備え、
    前記IDT電極は、前記圧電体側から順に、Pt(白金)を主成分とする第1電極層と、前記第1電極層の上に設けられたAl(アルミニウム)を主成分とする第2電極層とを有し、
    前記IDT電極は、0.15λ以下の総膜厚を有し、かつ、
    前記第1電極層は、0.025λ以上の膜厚を有し、かつ、
    前記第2電極層は、0.026λ以上の膜厚を有する弾性波素子。
  11. 前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.035λ以上の膜厚を有し、
    前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.3λ以上0.4λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.029λ以上の膜厚を有し、
    前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.4λ以上0.5λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.027λ以上の膜厚を有し、
    前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.5λの場合は、前記第1電極層は、0.025λ以上の膜厚を有する請求項10に記載の弾性波素子。
  12. 圧電体と、
    前記圧電体の上に設けられて波長λの主要弾性波を励振させるIDT電極と、
    前記圧電体の上に前記IDT電極を覆うように設けられた0.2λ以上0.5λ未満の膜厚を有する酸化ケイ素膜とを備え、
    前記IDT電極は、前記圧電体側から順に、Pt(白金)を主成分とする第1電極層と、前記第1電極層の上に設けられたAl(アルミニウム)を主成分とする第2電極層とを有し、
    前記IDT電極は、0.15λ以下の総膜厚を有し、かつ、
    前記第1電極層は、0.009λ以上の膜厚を有し、かつ、
    前記第2電極層は、0.026λ以上の膜厚を有する弾性波素子。
  13. 前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.1λ以上0.2λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.02λ以上の膜厚を有し、
    前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.2λ以上0.3λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.018λ以上の膜厚を有し、
    前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.3λ以上0.4λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.016λ以上の膜厚を有し、
    前記酸化ケイ素膜の膜厚が0.4λ以上0.5λ未満の場合は、前記第1電極層は、0.009λ以上の膜厚を有する請求項12に記載の弾性波素子。
  14. 前記酸化ケイ素膜は、前記IDT電極の電極指の上方における前記酸化ケイ素膜の上面に凸部を有する請求項3又は請求項8又は請求項12に記載の弾性波素子。
  15. 前記凸部の頂部の幅は、前記IDT電極の電極指幅よりも小さい請求項14に記載の弾性波素子。
  16. 前記第2電極層は、前記第1電極層の側面の一部に掛かるように形成された請求項3又は請求項8又は請求項14に記載の弾性波素子。
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