JPWO2011155214A1 - 結合部材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
近年、これらの特性を合わせ持つ結合部材が求められている。
また、マグネシウム材若しくはマグネシウム合金材の一面若しくは複数面に、該マグネシウム材若しくはマグネシウム合金材の垂直方向厚さの0.1〜10%の厚さとなるように、圧延、押出し、引抜き若しくは圧縮加工にて純アルミニウム材若しくはアルミニウム合金材で被覆したアルミニウム被覆マグネシウム合金材が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、接合過程において、酸化膜が生じるため、減圧又は不活性ガス雰囲気において加工しなければならないという欠点がある。
さらに、数十分から数時間の加圧保持時間を要するため、強度および生産性の観点からも実用性が乏しい。
かかる知見を元にして、マグネシウム部材及びアルミニウム部材の間に所定の金属からなる中間層を設けることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
また、上記結合部材は、マグネシウム合金に起因して軽量性に優れるものであり、アルミニウム合金に起因して機械的強度あるいは耐食性に優れるものである。このため、例えば、自動車のホイール等に用いる場合、腐食環境下でまた傷等が付きやすい外側をアルミニウム部材とし、内側をマグネシウム部材とすると軽量化に好適である。
さらに、上記結合部材は、面接合されているので、部材内部の接合界面への施工が可能であり、且つ3次元曲面にも適用できる。
特に、マグネシウム部材と第1拡散層との界面、第1拡散層と中間層との界面、中間層と第2拡散層との界面、及び、アルミニウム部材と第2拡散層との界面に塑性流動界面が形成されている場合、拡散接合される面積が増大するので接合性がより一層向上する。
また、接合後に溶体化処理と時効処理とを行うと、アルミニウム合金が焼き鈍し状態となることを抑制できるので、接合性が確実に向上する。
図1に示すように、本実施形態に係る結合部材100は、マグネシウム合金からなるマグネシウム部材1と、アルミニウム合金からなるアルミニウム部材2と、マグネシウム部材1及びアルミニウム部材2の間に挿入された中間層3と、を備える。すなわち、結合部材100は、マグネシウム部材1、中間層3、アルミニウム部材2がこの順序で積層され一体となるように接合された構造となっている。
マグネシウム合金の添加元素としては、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、リチウム等が挙げられる。これらの添加金属の配合を調整することにより、マグネシウム合金の特性を変えることができる。
これらの中でも、添加金属は、汎用性の観点から、アルミニウム及び亜鉛であることが好ましい。
アルミニウム合金の添加元素としては、銅、マンガン、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、ニッケル等が挙げられる。これらの添加金属の配合を調整することにより、アルミニウム合金の特性を変えることができる。
具体的には、Al−Cu系合金(ジュラルミン)、Al−Mn系合金、Al−Si系合金、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金、Al−Zn−Mg系合金、Al−Zn−Mg−Cu系合金等が挙げられる。
中間層3は、Ni、Cu及びTiからなる群より選ばれる少なくとも一種のインサート材からなる。
図2に示すように、本実施形態に係る結合部材100においては、マグネシウム部材1と中間層3との界面には、マグネシウム合金とインサート材からなる第1拡散層11が形成されており、アルミニウム部材2と中間層3との界面には、アルミニウム合金とインサート材からなる第2拡散層12が形成されている。
ここで、機械的接合部とは、境界面に塑性流動により形成される微細な凹凸部を意味し、これによりアンカー効果が発揮される。
また、これら以外にも、結合部材をプレス加工等して種々の立体成型品を提供できることから、広い分野に亘り、軽量化が図られた製品を提供することができる。
結合部材100は、マグネシウム合金と、インサート材と、アルミニウム合金とを積層し、加熱加圧することにより、マグネシウム合金からなるマグネシウム部材1と、インサート材からなる中間層3と、アルミニウム合金からなるアルミニウム部材2とが一体となるように接合することにより得られる。
ここで、表面粗さ(Rz)は、JIS B0601(2001)に準じて測定した値を意味する。
温度が200℃未満であると、温度が上記範囲内にある場合と比較して、塑性流動が小さくなる結果、接合が不十分となる場合がある。また、温度が450℃を超えると、温度が上記範囲内にある場合と比較して、拡散反応層が必要以上に厚く成長し接合が不十分となる場合がある。
圧力が100MPa未満であると、圧力が上記範囲内にある場合と比較して、接合が不十分となる場合があり、圧力が700MPaを超えると、圧力が上記範囲内にある場合と比較して、塑性流動が大きくなり過ぎ、インサート材が破れ、マグネシウム合金とアルミニウム合金の直接反応による脆弱な金属間化合物が生じ、さらに割れやカーケンダルボイド等の欠陥の生成により強度が低下する恐れがある。
温度が300℃未満であると、温度が上記範囲内にある場合と比較して、塑性流動が小さくなる結果、接合が不十分となる場合がある。また、温度が400℃を超えると、温度が上記範囲内にある場合と比較して、拡散反応層が必要以上に厚く成長し接合が不十分となる場合がある。
圧力が700MPa未満であると、圧力が上記範囲内にある場合と比較して、接合が不十分となる場合があり、圧力が750MPaを超えると、圧力が上記範囲内にある場合と比較して、塑性流動が大きくなり過ぎ、インサート材が破れ、マグネシウム合金とアルミニウム合金の直接反応による脆弱な金属間化合物が生じ、さらに割れやカーケンダルボイド等の欠陥の生成により強度が低下する恐れがある。
また、加熱加圧する際には、大気減圧下で行うか不活性ガス雰囲気で行うと、接合性低下の原因となる酸化皮膜の形成を抑制できる。このことから、より高強度な接合が期待できる。なお、接合前のマグネシウム合金、インサート材及びアルミニウム合金のそれぞれの接合面の状態は、研磨等により調整されていることが必要である(自然酸化被膜程度の状態)。
この場合、アルミニウム合金が焼き鈍し状態となることを抑制できるので、接合性が確実に向上する。特に、熱間鍛造を行った場合に効果的である。
まず、AZ80(マグネシウム合金)の円柱状に鋳造されたマグネシウム合金ビレット
(直径204mm、高さ184mm)、表1に示すインサート材(Ni,Cu,Ti)からなる中間層(100mm×100mm×1mm(厚さ))と、A6151(アルミニウム合金)の円柱状に鋳造されたアルミニウム合金ビレット(直径204mm、高さ184mm)を準備した。なお、インサート材としてTiを用いた場合は、アルミニウム合金としてA6151の代わりに、A2000系合金のA2017(ジュラルミン)を用いた。
その後、積層体を表2に示す温度条件下で加熱し、図4の(b)に示すように、表1に示す圧力条件下で20秒間加圧した。なお、表2中の「−」は測定していないことを意味する。
そして、自然冷却した後、熱処理により溶体化し、時効硬化させることにより、図4の(c)に示す結合部材40を得た。
実施例1〜25及び参考例1〜10で得られた結合部材に対して接合界面に垂直方向にサンプルを採取し、JIS−Z2241(金属材料引張試験方法)に基づいて、結合部材の引張強さを測定した。なお、異なる箇所から試料を採取することで各サンプルに対して2回ずつ評価を行った。
得られた結果を表3に示す。
インサート材にCuを用いた実施例12〜17の結合部材は、最大約100MPaの引張強さであった。
インサート材がNi、Cuいずれの場合も、低温では接合しないが(引張強さ0MPa)、ある温度を超えると急激に接合するようになることが分かった。これには塑性流動界面の形成が関係していると考えられる。また、急激に接合するようになる点以上に温度を増加させると、引っ張り強さが逆に低下する傾向にあることが分かった。この加工温度上昇と共に引張強さが低下する理由は、母材に比べ脆弱な拡散層が必要以上に厚く成長するためと考えられる(高強度な拡散接合相を得るためには、一般にその反応層が薄いほど良い)。
実施例2及び実施例22で得られた結合部材の接合部分を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した。なお、SEMにおいては、電子線を絞って電子ビームと成して対象物に照射し対象物から放出される二次電子、あるいは対象物によって反射される反射電子などを検出することで対象物を観察することができる。実施例2で得られた二次電子像を図8の(a)〜(c)に示し、実施例22で得られた二次電子線を図9に示す。
図8の断面観察において、アルミニウムとマグネシウムの直接拡散接合時に形成されやすい割れやカーケンダルボイド等の欠陥は認められなかった。
実施例2及び実施例22で得られた結合部材の接合界面を電子線マイクロアナライザー(EPMA)で面分析した。なお、EPMAにおいては、電子線を対象物に照射することにより発生する特性X線の波長から構成元素を分析することができる。実施例2で得られた面分析像を図10の(a)〜図10の(f)に示し、実施例22で得られた面分析像を図11の(a)〜図11の(b)に示す。
図10の(f)より、微細な酸化物の存在が明らかに確認できた(界面からマグネシウム合金側に約10μmまで存在)。これは大気中の加工プロセスであったため、ある程度の酸化物が形成されたと考えられる。なお、これは図10の(a)、(b)、(c)及び(e)の信号強度変化部にも合致する。
図11の(a)の分析写真Mgの場合の接合面は、上側部分がマグネシウム合金AZ80であり、下側部分はインサート材Tiである。界面には薄い拡散層と微細な塑性流動界面の形成(アンカー効果)が認められる。二元系の状態図を見ると、TiはMgとの相互溶解が極めて小さいことから、これらの拡散反応は小さいと考えられる。この場合の拡散反応は主にMg合金中のAl成分とTiと考えられる。すなわち、インサート材にTiを用いることで、脆弱なMgの反応層の成長を極力抑えることができ、それにより高強度な拡散層を得ていると考えられる。
図11の(b)の分析写真Tiの場合の接合面は、上側部分がTiであり、下側部分がアルミニウム合金である。接合界面では拡散反応が認められる。Alの記載される写真では上側部分がTiであり、下側部分がアルミニウム合金である。AZ80合金側と同様に薄く欠陥の無い良好な拡散層の形成が確認できた。
評価3と同様にして、実施例2及び実施例22で得られた結合部材の接合部分をEPMAで線分析した。実施例2で得られた線分析のグラフを図12の(a)〜図12の(d)に示し、実施例22で得られた線分析のグラフを図13(a)及び図13(b)に示す。
中間層となるインサート材を用いないこと以外は、実施例1と同様にして、結合部材を得た。すなわち、マグネシウム合金(AZ80)とアルミニウム合金(A6151)とを直接接触させて積層体とし、積層体の温度360℃、385℃、400℃、420℃に設定して、加圧力300MPaで加熱加圧を行った。
比較例1で得られた結合部材に対し、評価1と同様にして、引張強さを測定した。得られた結果を図14に示す。
図14に示すように、比較例1の結合部材は、420℃の加工温度で急激に引張強さが増加する傾向を示した(引張強さσB=55MPa)。
また、これより低い温度では、引張強さがσB=10MPa〜30MPaの範囲となった。
420 ℃で急激に引張強さが増加する理由は、塑性流動界面の形成がこの温度以上で顕著になるためである。
しかしながら、インサート材を用いないこのAl-Mg直接接合法では、極めて脆弱で欠陥の多い金属間化合物相(Al12Mg17,Al3Mg2)が容易に形成される(図14)。
直接接合では、熱間鍛造による塑性流動界面の形成により、ある程度の引張強さ(約55MPa)は得られるものの、破壊の起点となるワレやボイドと言ったクリティカルな欠陥の形成は避けようがなく、適切なインサート材の使用は不可欠と理解できる。
比較例1で得られた結合部材に対し、評価2と同様にして、結合部材の接合部分を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した。得られた二次電子像を図15の(a)及び図15の(b)に示す。
図15の(a)及び図15の(b)に示すように、マグネシウム部材側に金属間化合物であるAl12Mg17とAl3Mg2との各層が確認された。また、図15の(a)では割れが認められ、図15の(b)ではカーケンダルボイド(拡散速度の差から生じる空孔)が生じていた。この結果から良好な拡散層を形成する中間層を用いる優位性が証明できる。
2・・・アルミニウム部材
3,33・・・中間層
11・・・第1拡散層
12・・・第2拡散層
21,22,23,24・・・機械的接合部
31・・・マグネシウム合金ビレット
32・・・アルミニウム合金ビレット
34・・・連結板材
35・・・ボルト
36・・・積層体
37・・・下金型
38・・・上金型
40,100・・・結合部材
P・・・部分
Q・・・酸化物層
Claims (6)
- マグネシウム合金からなるマグネシウム部材と、アルミニウム合金からなるアルミニウム部材と、前記マグネシウム部材及び前記アルミニウム部材の間に形成された中間層と、を備えた結合部材であって、
前記中間層が、Ni、Cu及びTiからなる群より選ばれる少なくとも一種のインサート材からなり、
前記マグネシウム部材、前記アルミニウム部材及び中間層が一体となるように接合されている結合部材。 - 前記マグネシウム部材と前記中間層との界面には、前記マグネシウム合金と前記インサート材とからなる第1拡散層が形成されており、
前記アルミニウム部材と前記中間層との界面には、前記アルミニウム合金と前記インサート材とからなる第2拡散層が形成されている請求項1記載の結合部材。 - 前記マグネシウム部材と前記第1拡散層との界面、前記第1拡散層と前記中間層との界面、前記中間層と前記第2拡散層との界面、及び、前記アルミニウム部材と前記第2拡散層との界面、には、塑性流動による機械的接合部が形成されている請求項2記載の結合部材。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の結合部材の製造方法であって、
前記マグネシウム合金と、Tiからなるインサート材と、前記アルミニウム合金とを重ね合わせ、200℃〜450℃の範囲に加熱し、100MPa〜700MPaで加圧することにより、前記マグネシウム部材と、前記中間層と、前記アルミニウム部材とを接合する結合部材の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の結合部材の製造方法であって、
前記マグネシウム合金と、Ni又はCuからなるインサート材と、前記アルミニウム合金とを重ね合わせ、300℃〜400℃の範囲に加熱し、700MPa〜750MPaで加圧することにより、前記マグネシウム部材と、前記中間層と、前記アルミニウム部材とを接合する結合部材の製造方法。 - 前記マグネシウム部材と、前記中間層と、前記アルミニウム部材とを接合した後、更に溶体化処理と時効処理とを行う請求項4又は5に記載の結合部材の製造方法。
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