JPWO2011099175A1 - 電動射出成形機の可塑化制御装置および可塑化制御方法 - Google Patents

電動射出成形機の可塑化制御装置および可塑化制御方法 Download PDF

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Abstract

電動射出成形機の可塑化工程でのスクリュ背圧制御で、高価で、煩雑な取付け作業、複雑な機械構造、更にはノイズ対策やゼロ点調整等の人手作業を必要とする圧力検出センサを使わずに、高精度で時間的に遅れの非常に小さいスクリュ背圧検知方法が望まれていた。電動射出成形機の可塑化機構の数式モデルを表現した状態方程式を利用して導出した離散演算式を内蔵し、入力信号としてスクリュ位置信号とモータ電流指令或いはモータ実電流及びスクリュ回転数を受取り、上記状態方程式表現の状態変数の1つであるスクリュ背圧の推定値を出力する高ゲイン観測器を採用する。高ゲイン観測器は、圧力検出センサを必要とせず、高精度で、時間的遅れの非常に小さいスクリュ背圧推定値を出力する。したがって、高ゲイン観測器の出力するスクリュ背圧推定値は、可塑化工程でのスクリュ背圧制御のフィードバック信号(スクリュ背圧検出値)として採用できる。

Description

本発明は、電動射出成形機の可塑化制御装置および可塑化制御方法に関するものである。
高精度な制御と優れた応答性を特長とするACサーボモータは、モータに用いる永久磁石の性能向上とコストダウンの実現により大容量化が図られ、その結果、従来は油圧駆動であった中型射出成形機(型締力350t以上)でもACサーボモータを用いたACサーボ駆動が適用されるようなった。
射出成形機には、スクリュ回転により樹脂ペレットを溶融する可塑化機構、スクリュの前進移動により溶融樹脂を金型に高速射出し、高圧で保持する射出・保圧機構、及び金型を開閉する型開閉機構がある。ACサーボ駆動はこれらのどの機構にも適用できるが、ここでは、可塑化機構でのACサーボ技術を説明するために、可塑化機構の模式図を図3に示す。
射出成形機には、地上に固定された図示しない射出成形機基盤上に、リニアガイドにより移動可能な図示しない移動装置台が設けられる。この移動装置台に図3に示す金型1以外の全部品が搭載される。この移動装置台を移動させることにより、射出シリンダ2の先端部を前記金型1に押し付けることができ、また、逆に前記金型1から前記射出シリンダ2の先端部を離すこともできる。図3は、スクリュ回転により樹脂ペレットを溶融する可塑化工程中の状態を示す。
前記移動装置台の上には、射出シリンダ2、射出用サーボモータ3、減速機4、ボールネジ5、軸受6及びホッパー16が固設されている。また、前記ボールネジ5のナット7、可動部8、スクリュ9、減速機10、可塑化用サーボモータ11及び圧力センサ12が一体構造となっている。この一体構造は、前記ボールネジ5の前記ナット7の移動により前後移動可能なように、前記可動部8がリニアガイド13上に取り付けられている。
前記射出用サーボモータ3の回転運動は前記減速機4を介して倍力機構としての前記ボールネジ5に伝えられ、前記ボールネジ5の回転運動はボールネジ軸上の前記ナット7の直線運動に変換され、前記可動部8を介して前記スクリュ9の前後移動と前記スクリュ9による溶融樹脂への加圧が実現される。以降、可塑化工程での前記スクリュ9による溶融樹脂への加圧はスクリュ背圧と呼ぶ。前記スクリュ9の位置は射出用サーボモータ軸に設けられたモータエンコーダ14で検出される。スクリュ背圧は、前記ボールネジ5の前記ナット7と前記可動部8との間に挟まれて設置される前記圧力センサ(例えば、ロードセル)12により検出される。一方、可塑化工程で樹脂ペレットを溶融・混練するための前記スクリュ9の回転は、前記減速機10を介して前記可塑化用サーボモータ11で行われ、前記可塑化用サーボモータ11にはモータエンコーダ15が付いている。
図3を用いて射出成形のプロセスを説明すると、樹脂ペレットがホッパー16から供給され、前記スクリュ9は前記可塑化用サーボモータ11により回転し、溶融された樹脂は前記スクリュ9の先端側に押し出され、前記スクリュ9は発生するスクリュ背圧により後退する。このとき、スクリュ背圧は、前記射出用サーボモータ3の発生トルクで決まるスクリュ押圧力で調整される。成形に必要な量の溶融樹脂がスクリュ先端部に貯留されると、前記可塑化用サーボモータ11の回転は停止し、スクリュ回転停止により可塑化工程は終了する。
次に前記射出用サーボモータ3の高速回転により前記スクリュ9が高速前進し、前記スクリュ9の先端に貯留された溶融樹脂を前記金型1内のキャビティ17に高速充填し、一定時間圧力を掛けて射出工程を終了し、所定形状の成形品を得る。
良い成形品を得るには、可塑化工程で樹脂を均一に溶融することが必要である。しかし、可塑化工程で溶融樹脂がスクリュ先端部に貯留されるに伴い、前記スクリュ9は前記射出シリンダ2内を後退することになるので前記スクリュ9の有効長さが変化することになる。従って最初に溶融した樹脂と、最後に溶融した樹脂の溶融状態が異なるという不具合があった。この不具合を補う方法として、可塑化工程において前記スクリュ9が後退するのに応じてスクリュ背圧を予め設定したパターンで変化させて均一な溶融状態を得ようとする方法が提案されている。
特許文献1、特許文献2では、可塑化用モータは所定のスクリュ回転数を与え、射出用モータによるスクリュ後退速度制御によりスクリュ背圧設定値を実現している。
特許文献3、特許文献4では、射出用モータは一定或は所定のスクリュ後退速度パターンを実現し、可塑化用モータの回転数制御によりスクリュ背圧設定値を実現している。
特許文献5、特許文献6では、射出用モータの電流(トルク)制御或は電流(トルク)制限によりスクリュ背圧設定値を実現している。
特許文献7、特許文献8では、スクリュ背圧設定値を実現するのに必要なスクリュ移動量を射出用モータによる位置制御で行っている。
特許文献9、特許文献10では、可塑化用モータは所定のスクリュ回転数を実現し、射出用モータは、スクリュ背圧の偏差量で補正されたスクリュ後退速度を実現してスクリュ背圧制御を行う。
特許文献11では、可塑化用モータがスクリュ回転数制御、射出用モータがスクリュ背圧制御という第一の制御モードから、可塑化用モータがスクリュ背圧制御、射出用モータがスクリュ後退制御という第二のモードに切り換るという制御が行われる。
以上の特許文献1〜特許文献11では、可塑化工程でスクリュ背圧制御は不可欠な技術課題であり、正確なスクリュ背圧制御を実現するためには圧力センサを必要としている。
特許文献12では、圧力検出値の範囲が小さい可塑化用圧力センサ(0〜150気圧(15.2MPa))と、圧力検出値の範囲が大きい射出・保圧用圧力センサ(150〜3000気圧(15.2〜304MPa))の2種類の圧力センサを切換える発明である。検出範囲の異なる圧力センサを2種類使うことにより、可塑化工程でのスクリュ背圧の制御精度を改善している。
図4は、可塑化制御装置の内部構成例を説明するためのブロック図である。可塑化制御装置は、背圧制御器20、射出用モータ制御器(サーボアンプ)30、スクリュ回転数制御器40、可塑化用モータ制御器50(サーボアンプ)及び圧力センサ12とで構成される。
前記背圧制御器20について説明する。前記背圧制御器20は一定時間間隔毎に制御演算を行い、制御指令を更新する。前記背圧制御器20は、スクリュ背圧指令器21、減算器22、アナログ/デジタル(A/D)変換器23、圧力制御器24及びデジタル/アナログ(D/A)変換器25から構成される。A/D変換器23には前記圧力センサ12が接続される。
前記スクリュ背圧指令器21は、時間シーケンスに従ったスクリュ背圧指令P を前記減算器22に出力する。前記圧力センサ12からの信号は前記A/D変換器23を介して実背圧信号Pとして前記減算器22に入力され、前記減算器22は、偏差信号ΔP=P ―Pを前記圧力制御器24に出力する。前記圧力制御器24は、PID制御演算により前記射出用サーボモータ3に対する電流指令i を前記D/A変換器25に出力する。前記D/A変換器25はモータ電流指令i を前記射出用モータ制御器30に出力する。
前記射出用モータ制御器30は、A/D変換器31とパルス幅変調制御(PWM)回路32から構成される。前記射出用モータ制御器30には前記射出用サーボモータ3が接続され、前記射出用サーボモータ3には前記モータエンコーダ14が取付けられている。前記A/D変換器31は、前記D/A変換器25からのモータ電流指令i を前記PWM回路32に出力する。前記PWM回路32は、与えられたモータ電流指令i に基づいて所定の3相電圧を前記射出用サーボモータ3に印加する。これにより前記射出用サーボモータ3はモータ電流i で駆動され、スクリュ背圧P を実現するように、スクリュ先端に貯留された溶融樹脂にスクリュによる押圧力を加える。
前記スクリュ回転数制御器40は、スクリュ回転数指令器41からなる。前記スクリュ回転数指令器41は、時間シーケンスに従ったスクリュ回転数指令N を前記可塑化用モータ制御器50に出力する。
前記可塑化用モータ制御器50は、減算器51、微分回路52、速度制御器53及びPWM回路54から構成される。前記スクリュ回転数制御器40からのスクリュ回転数指令N は、前記減算器51に入力される。前記可塑化用サーボモータ11のモータエンコーダ15のパルス信号は前記微分回路52に入力され、前記微分回路52は、スクリュの実回転数Nを前記減算器51に出力する。前記減算器51は、偏差信号ΔN=N ―Nを前記速度制御器53に出力する。前記速度制御器53は、PID制御演算により前記可塑化用サーボモータ11に対する電流指令iを前記PWM回路54に出力する。前記PWM回路54は、与えられたモータ電流指令iに基づいて所定の3相電圧を前記可塑化用サーボモータ11に印加する。これにより前記可塑化用サーボモータ11はモータ電流iで駆動され、所定のスクリュ回転数N を実現する。
しかし、可塑化工程で圧力センサを使うことは、次のような理由で不利である。
(1) 高圧環境下で信頼性の高い圧力センサは高価になる。
(2) 射出シリンダ先端部への圧力センサ取付けは、特別な加工を施す必要があり、作業コストが無視できない。
(3) 射出用モータから射出スクリュに至る射出軸系に取り付けるロードセルは、組み込むための機械構造を複雑にし、更には射出軸系の機械剛性の低下を招く。
(4) 歪みゲージを検出部に使用するロードセルでは、微弱なアナログ信号に対するノイズ対策が必要になり、また信号アンプのゼロ点調整やスパン調整等にも人手による作業が必要になる(特許文献13)。
(5) スクリュ背圧の制御精度向上のために計測範囲の異なる2種類の圧力センサを使用すると高価になる(特許文献12)。
特開昭61−37409号公報 特開昭61−217227号公報 特開昭61−72512号公報 特開2005−35132号公報 特開昭61−258722公報 特開平3−58818号公報 特開平2−130117号公報 特開平4−249129号公報 特開平2−120020号公報 特開平7−9513号公報 特開2002−321264号公報 特開2000−351139号公報 特開2003−211514号公報
H.K.Khalil, Nonlinear Systems, 14.5 High-Gain Observers,Prentice-Hall, (2002), pp.610-625 B.D.O. Anderson and J.B. Moore, Optimal Control, Linear Quadratic Methods, 7.2 DeterministicEstimator Design, Prentice-Hall, (1990), pp.168-178 A.M. Dabroom andH.K. Khalil, Discrete-time implementation of high-gain observers for numericaldifferentiation, Int. J. Control, Vol.72, No.17, (1999), pp.1523-1537 A.M. Dabroom andH.K. Khalil, Output Feedback Sampled-Data Control of Nonlinear Systems Using High-GainObservers, IEEE Trans. Automat. Contr., Vol.46, No.11, (2001), pp.1712-1725
圧力センサを使うことによる「背景技術」で述べた前記5つの不利(段落(0024))を回避するために、圧力センサを使わずに電動射出成形機の可塑化制御装置に要求される機能、すなわち可塑化工程でスクリュ先端に貯留された溶融樹脂に適切なスクリュ背圧を印加する機能を達成できる可塑化制御装置(段落(0018)〜(0021))を実現すること。
可塑化工程で溶融樹脂の均一性確保と計量精度の向上には、スクリュ背圧制御は有効な手段である。圧力センサを使わずに高精度なスクリュ背圧制御を実現するには、次の2つの必要条件を満たすスクリュ背圧検知手段が要求される。
(A)高精度である
(B)時間的遅れが非常に小さい
この2つの必要条件を満たす圧力検知手段として、高ゲイン観測器(非特許文献1)の手法を採用する。計測できる変数を入力して、すべての状態変数を推定する高ゲイン観測器が、前記2つの必要条件(A)、(B)を満たしていることを簡単な制御対象モデルを使って説明する。式(1)は制御対象モデルの状態方程式を示す。
Figure 2011099175
ここで、x1、は状態変数、uは入力変数、yは出力変数である。φ(x、u)は変数x、uからなる非線形関数である。例えば、xは位置変数、xは速度変数、uはモータ電流である。出力y及び入力uは計測できるとし、状態xを推定する高ゲイン観測器は、式(2)で与えられる。
Figure 2011099175
ここで、x^、x^は、状態変数x、xの推定値を表す。H、Hは高ゲイン観測器のゲイン定数で一般に1より大きな定数が与えられる。関数φは、高ゲイン観測器の演算に採用された関数φの公称(基準)関数を表す。式(2)の高ゲイン観測器を用いたときの推定値誤差x 1、 は、式(1)、式(2)より式(3)で与えられる。
Figure 2011099175
ここで、δは、実際には得られない真の関数φと高ゲイン観測器で採用した公称の関数φとの差、すなわち制御対象のモデル誤差と考えられる。次に1より十分小さい正のパラメータεを導入して、H、Hを式(5)で与える。
Figure 2011099175
定数H、Hには、式(5)から判るように大きなゲイン定数を採用することから高ゲイン観測器と呼ばれる。式(5)を使うと、式(3)は式(6)で表される。
Figure 2011099175
推定値誤差x 1、 を式(7)で表される新変数η、ηに置き換える。
Figure 2011099175
式(7)より、式(6)は式(8)で表される。
Figure 2011099175
ここで、パラメータεを十分小さくとれば、式(8)より推定値誤差η、ηは制御対象のモデル誤差δから受ける影響を十分小さくできる。すなわち高ゲイン観測器を用いれば、状態変数にスクリュ背圧を含める制御対象モデルを採用することにより、圧力検知に要求される前記必要条件(A)「高精度である」ことが満たされることが判る。
次にモデル誤差の影響を無視すると、式(8)は式(9)で表される。
Figure 2011099175
行列Aの共役複素数の固有値λ1、λの実数部Re(λ)=Re(λ)が負になるようにK1、を決めると、式(9)より推定値誤差η、ηはその初期値η10、η20に対して式(11)で与えられる。
Figure 2011099175
tは時間変数で、C(t)〜C(t)はK1、で決まる一定振幅、一定周波数成分を表す。Re(λ)<0で、パラメータεを1より十分小さくとれば、式(11)より推定値誤差η(t)、η(t)は急速に0になることが判る。すなわち高ゲイン観測器を用いれば、圧力検知に要求される前記必要条件(B)「時間的遅れが非常に小さい」ことが満たされることが判る。
式(2)の高ゲイン観測器では、すべての状態変数x1、の推定値を得たが、状態変数xは出力yとして計測できるので、状態変数xだけを推定すればよい。このときの高ゲイン観測器は、式(12)で与えられる。
Figure 2011099175
ここで、Hは高ゲイン観測器のゲイン定数で、1より大きな定数が与えられる。式(12)は右辺に出力yの時間微分を含むので、直接、演算式としては使えないが、式(12)で与えられる高ゲイン観測器は、前記2つの必要条件(A)、(B)(段落(0028))を満たすことを示す。式(1)の3番目の式より、式(13)が得られる。
Figure 2011099175
式(12)、式(13)より式(14)が得られる。
Figure 2011099175
式(1)の2番目の式を使うと、式(14)より式(15)を得る。
Figure 2011099175
次に1より十分小さい正のパラメータεを導入してHを式(17)で与える。
Figure 2011099175
式(17)を使うと、式(15)は式(18)で表される。
Figure 2011099175
ここで、パラメータεを十分小さくとれば、式(18)より推定値誤差x は、制御対象のモデル誤差δから受ける影響を十分小さくできる。すなわち高ゲイン観測器を用いれば、状態変数にスクリュ背圧を含める制御対象モデルを採用することにより圧力検知に要求される前記必要条件(A)「高精度である」ことが満たされることが判る。
次にモデル誤差δの影響を無視すると、式(18)は式(19)で表される。
Figure 2011099175
式(19)より推定値誤差x は、式(20)で表される。
Figure 2011099175
ここで、x 20は推定値誤差x の初期値である。式(20)より、パラメータεを1より十分小さくとれば、推定値誤差x (t)は急速に0になることが判る。すなわち高ゲイン観測器を用いれば、圧力検知に要求される前記必要条件(B)「時間的遅れが非常に小さい」ことが満たされることが判る。式(12)の高ゲイン観測器は、計測できる状態変数は推定せず、必要最小限の状態変数を推定するので式(2)の観測器より次数が低くなるので、低次元高ゲイン観測器と呼ばれる。
次に式(12)の演算を出力yの時間微分を使わずに行う方法を示す。式(21)で与えられる新変数w^を導入する。
Figure 2011099175
式(21)を使うと、式(12)は式(22)で与えられる。
Figure 2011099175
式(22)よりw^を計算し、式(23)より推定値x^を求めることができる。
Figure 2011099175
状態変数にスクリュ背圧を含めた電動射出成形機の制御対象モデルに対して、高ゲイン観測器を適用する手順は後述の「実施例1」、「実施例2」で詳述する。
状態変数にスクリュ背圧を含めた電動射出成形機の制御対象モデルに高ゲイン観測器を適用することにより、圧力センサを使用しないで、時間的遅れが非常に小さく、高精度なスクリュ背圧検知が可能となる。これにより、圧力センサを使用しないで、電動射出成形機の可塑化制御装置に要求される機能を実現でき、さらに「背景技術」で述べた5つの不利(段落(0024))を回避することができる。
本発明に係る可塑化制御装置及び可塑化制御方法の全体構成を示す実施例1の説明図である。 本発明に係る可塑化制御装置及び可塑化制御方法の全体構成を示す実施例2の説明図である。 電動射出成形機の従来の可塑化機構の構成を示す模式図である。 従来の電動射出成形機の可塑化制御装置の全体構成を示す説明図である。 本発明に係る電動射出成形機の可塑化機構の構成を示す模式図である。 本発明に係る実施例1及び実施例2での可塑化工程シミュレーション条件の説明図である。 本発明に係る実施例1での高ゲイン観測器のスクリュ背圧推定シミュレーション結果の説明図である。 本発明に係る実施例1での高ゲイン観測器のスクリュ後退速度推定シミュレーション結果の説明図である。 本発明に係る実施例2での高ゲイン観測器のスクリュ背圧推定シミュレーション結果の説明図である。
以下、本発明の実施形態に係る電動射出成形機の可塑化制御装置を図面に基づいて説明する。
図5は、圧力センサを使用しない可塑化機構の模式図を示す。図5は、圧力センサを除いて図3と同じ符号を持つ部品から構成されるので、図5の説明は、「背景技術」で述べた図3の説明(段落(0004)〜(0008))に代える。
図1は、本発明の一実施形態に係る高ゲイン観測器によるスクリュ背圧検知を電動射出成形機の可塑化制御装置に適用した例で、可塑化制御装置の内部構成を説明するためのブロック図である。可塑化制御装置は、高ゲイン観測器27を内蔵する背圧制御器60、射出用モータ制御器(サーボアンプ)70、スクリュ回転数制御器40及び可塑化用モータ制御器(サーボアンプ)50とから構成される。
前記背圧制御器60について説明する。前記背圧制御器60は一定時間間隔毎に制御演算を行い、制御指令を前記射出用モータ制御器70に出力する。前記背圧制御器60は、スクリュ背圧指令器21、減算器22、圧力制御器24、デジタル/アナログ(D/A)変換器25、アナログ/デジタル(A/D)変換器26及び高ゲイン観測器27から構成される。
前記スクリュ背圧指令器21は、時間シーケンスに従ったスクリュ背圧指令P を前記減算器22に出力する。
前記高ゲイン観測器27には、前記射出用モータ制御器70内で検出された射出用モータ実電流iが前記A/D変換器26を介して入力される。また前記射出用サーボモータ3の前記モータエンコーダ14からのパルスを積算して得られる前記スクリュ9の位置信号xが前記射出用モータ制御器70より前記高ゲイン観測器27に入力される。更に前記可塑化用モータ制御器50よりスクリュ実回転数Nが前記高ゲイン観測器27に入力される。前記高ゲイン観測器27は、入力信号i、x及びNを使って、可塑化機構の数式モデルを利用して導出した内蔵する離散演算式を実行して、スクリュ背圧推定値P^及び図示しないスクリュ後退速度推定値v^を出力する。
スクリュ背圧推定値P^は、前記減算器22に入力される。前記減算器22は、前記スクリュ背圧指令P と前記スクリュ背圧推定値P^との制御偏差ΔPを式(24)より算出する。
Figure 2011099175
前記減算器22は、算出した制御偏差ΔPを前記圧力制御器24へ出力する。
前記圧力制御器24は、制御偏差ΔPに対して比例積分微分(PID)制御演算を実行してモータ電流指令i を算出する。モータ電流指令i は前記D/A変換器25を介して前記射出用モータ制御器70へ出力される。
次に前記射出用モータ制御器70について説明する。前記射出用モータ制御器70はA/D換器31、パルス幅変調制御(PWM)回路32、射出用モータ実電流検出器33及びパルスカウンタ34から構成される。前記射出用モータ制御器70には、前記射出用サーボモータ3が接続され、前記射出用サーボモータ3には前記モータエンコーダ14が取り付けられている。
前記A/D変換器31は、前記背圧制御器60からの前記射出用サーボモータ3のモータ電流指令i を入力され、前記PWM回路32にi を出力する。
前記PWM回路32は、モータ電流指令i に基づいて所定の3相電圧を前記射出用サーボモータ3に印加する。これにより前記射出用サーボモータ3はモータ電流指令i で駆動される。前記射出用モータ実電流検出器33は、モータ駆動電流iを検出し、前記背圧制御器60内の前記A/D変換器26に出力する。
前記パルスカウンタ34は、前記射出用サーボモータ3の前記モータエンコーダ14からのパルスを積算してスクリュ位置xを検出し、前記背圧制御器60内の前記高ゲイン観測器27に出力する。
前記スクリュ回転数制御器40と前記可塑化用モータ制御器50は、その構成と機能を「背景技術」の段落(0022)〜(0023)で詳述したので、ここでは述べない。ただし、図1では、前記スクリュ9の回転数Nが、前記可塑化用モータ制御器50内の前記微分回路52の出力として前記高ゲイン観測器27に入力されている。
次に、射出用モータ実電流i,スクリュ位置x及びスクリュ回転数Nを入力してスクリュ背圧推定値P^及びスクリュ後退速度推定値v^を出力する前記高ゲイン観測器27の設計に必要になる可塑化機構の数式モデルを図5を使って説明する。図5の前記射出用サーボモータ3の運動方程式は式(25)で与えられる。
Figure 2011099175
ここで、Jはモータ本体慣性モーメント、JG1はモータ側減速歯車慣性モーメント、ωはモータ角速度、Tはモータトルク、rはモータ側減速歯車半径、Fは減速機伝達力及びtは時間である。前記ボールネジ5の運動方程式は式(26)で与えられる。
Figure 2011099175
ここで、Jはボールネジ軸慣性モーメント、JG2は負荷側減速歯車慣性モーメント、ωsはボールネジ軸角速度、rは負荷側減速歯車半径及びTはボールネジ駆動トルクである。前記可動部8の運動方程式は式(27)、式(28)で与えられる。
Figure 2011099175
ここで、Wは可動部重量、gは重力加速度、vはスクリュ(可動部)速度、xはスクリュ位置(可塑化開始時x=0)、Fはボールネジ軸力、Fはスクリュが樹脂から受ける負荷力、μは可動部―リニアガイド摩擦係数である。ボールネジ駆動トルクTとボールネジ軸力Fの関係は式(29)で与えられる。
Figure 2011099175
ここで、lはボールネジリード及びηはボールネジ効率である。スクリュ速度v、ボールネジ角速度ωs及び射出用モータ角速度ωの関係は式(30)で与えられる。
Figure 2011099175
スクリュの受ける負荷力Fは式(31)で与えられる。
Figure 2011099175
ここで、Aはスクリュ断面積、Pはスクリュ背圧、Cmtは射出シリンダ粘性係数、αは速度べき乗数である。スクリュ背圧Pの方程式は式(32)、式(33)で与えられる。
Figure 2011099175
ここで、Vはシリンダ貯留部容積、Vb0はシリンダ貯留部容積初期値(可塑化開始時)、Qはシリンダ貯留部へのスクリュからの溶融樹脂供給量及びβは樹脂体積弾性係数である。モータ特性は式(34)で与えられる。
Figure 2011099175
ここで、Kはモータトルク係数及びiは射出用サーボモータ電流である。式(25)、式(26)、式(30)を使ってωs、Fを消去すると、式(35)を得る。
Figure 2011099175
式(27)、式(29)、式(30)、式(35)を使って、T、Fを消去すると式(36)を得る。
Figure 2011099175
式(36)は、モータ軸に換算したスクリュ直線運動の運動方程式を表し、式(37)はモータ軸換算等価慣性モーメントを表す。式(28)、式(30)より式(38)が得られる。
Figure 2011099175
式(31)、式(34)、式(36)より、スクリュ直線運動の運動方程式は式(39)で与えられる。
Figure 2011099175
次に式(33)は、式(40)で表される。
Figure 2011099175
ここで、xは可塑化開始時の貯留溶融樹脂の等価初期長さである。式(30)と式(40)を使うと、式(32)は式(41)で表される。
Figure 2011099175
次に変数の無次元化を行う。式(38)の変数を無次元化すると、式(42)が得られる。
Figure 2011099175
ここで、射出用サーボモータの正回転はスクリュの射出方向移動に対応させるので、可塑化時のスクリュ位置x及びスクリュ後退速度vは負となる。vmax(>0)は可塑化時のスクリュ最大後退速度で、ωmax(>0)は、vmaxに対応した射出用サーボモータ最大回転数である。xmax(>0)は可塑化時のスクリュ最大後退量である。
次に式(39)の変数を無次元化すると、式(43)が得られる。
Figure 2011099175
ここで、imaxはモータ定格電流である。Pmaxはスクリュ背圧最大値を表す。式(43)では、次の関係式(44)を使っている。
Figure 2011099175
式(43)は、式(45)で表される。
Figure 2011099175
ここで、TMmax=Kmaxでモータ定格トルクを表す。
次に式(41)の変数を無次元化すると、式(46)が得られる。
Figure 2011099175
ここで、Qmax=Afmaxで最大可塑化量を表す。vfmax(>0)は、最大可塑化量Qmaxでのスクリュ後退速度である。式(46)は式(47)に書き換えられる。
Figure 2011099175
ここで、スクリュ可塑化樹脂量[Q/Qmax]は一般的にスクリュ背圧[P/Pmax]とスクリュ回転数[N/Nmax]の関数である。Nmaxはスクリュ最大回転数である。
Figure 2011099175
以上前記高ゲイン観測器27の設計に必要な可塑化機構の数式モデルは、式(42)、式(45)、式(47)、式(48)より、式(49)、式(50)、式(51)として与えられる。
Figure 2011099175
ここでは、可塑化樹脂量はスクリュ回転数に比例すると考えて、式(52)が成立つとする。
Figure 2011099175
次に式(53)で定義される状態変数x1、、xを導入する。
Figure 2011099175
式(54)で定義される入力変数u、uを導入する。u、uは計測できるとする。前記高ゲイン観測器27での計算では、射出用サーボモータ実電流iはモータ電流指令i に等しいと考えることもできる。i とiの時間的遅れは非常に小さいからである。
Figure 2011099175
計測できる状態変数としてxを選び、出力変数yを式(55)で定義する。
Figure 2011099175
式(49)、式(50)、式(51)、式(52)、式(55)を状態方程式で表現すると、式(56)、式(57)となる。
Figure 2011099175
χ(x2)、ψ(x,u)は非線形関数を表す。式(56)、式(57)を式(58)のベクトルxを使って、式(60)、式(61)で表現する。
Figure 2011099175
新しい状態変数X、Xを式(62)で定める。
Figure 2011099175
式(60)、式(61)は、式(62)より式(63)、式(64)で表せる。
Figure 2011099175
式(63)は、式(66)で表せる。
Figure 2011099175
状態変数X=xは計測できるので、状態変数Xは推定する必要がない。したがって、前記高ゲイン観測器27は計測できるスクリュ位置x,射出用サーボモータ実電流u及びスクリュ回転数uを入力して、状態変数推定値X^を出力する。その推定値X^は式(67)で与えられる(非特許文献2)。Kは高ゲイン観測器27のゲイン定数で一般的に1より大きな定数が与えられる。
Figure 2011099175
φ(X^,y,u)は前記高ゲイン観測器27で使われるφ(X,u)の公称(基準)関数である。式(67)を式(68)のように書く。
Figure 2011099175
新変数w^を式(69)で導入する。
Figure 2011099175
式(68)に式(69)を使うと、推定値X^は式(70)、式(71)より得られる。
Figure 2011099175
次に1より小さい正のパラメータεを導入して、ゲインKを式(72)で与える。
Figure 2011099175
式(65)と式(72)を利用すると、式(70)は式(73)で表される。
Figure 2011099175
ここで、χ(w^、y)、ψ(w^、y、u)は前記高ゲイン観測器27で使われるχ(X)、ψ(X、u)の公称(基準)関数である。
式(74)で表される新変数η^、η^を導入する。
Figure 2011099175
式(74)を利用して式(73)を書き直すと、式(75)が得られる。
Figure 2011099175
式(74)より、式(76)が得られる。
Figure 2011099175
式(72)は式(77)で表される。
Figure 2011099175
式(76)と式(77)を使うと、式(71)は式(78)で表される。
Figure 2011099175
以上より前記高ゲイン観測器27での状態変数推定値x^、x^を得る。計算手順は式(75)、式(78)より、式(79)、式(80)で表される。
(1) 計算手順1
Figure 2011099175
(2) 計算手順2
Figure 2011099175
計算手順1でη^1、η^2を求め、計算手順2でx^2、x^3を求める。
次に「課題を解決するための手段」で述べた前記高ゲイン観測器27に要求される2つの必要条件
(A)高精度である
(B)時間的遅れが非常に小さい
が満たされることを明らかにする。式(79)で公称関数χ(η^、y)、ψ(η^、y、u)ではなく、実際には得られない真の関数χ(η、y)、ψ(η,y、u)を使用したときに得られる変数η、ηは式(81)で決まる。
Figure 2011099175
推定値誤差η =η―η^、η 2 =η2 ―η^2は、式(79)、式(81)より式(82)で得られる。
Figure 2011099175
パラメータεは1より十分小さいことから、式(82)より推定値誤差η 、η 2は制御対象のモデル誤差δ、δから受ける影響を十分小さくできることが判る。すなわち前記高ゲイン観測器27を用いれば、式(79)、式(80)より得られるスクリュ背圧推定値x^ 及び射出用サーボモータ回転速度(スクリュ後退速度)推定値x^は前記必要条件(A)「高精度である」ことが満たされる。
次にモデル誤差δ、δの影響を無視すると、式(82)は式(83)で表される。
Figure 2011099175
前記行列Aの共役複素数の固有値λ1、λの実数部Re(λ)=Re(λ)が負になるようにK0、すなわちK、Kを決めると、式(83)より推定値誤差η 、η 2は、その初期値η 10、η 20に対して式(84)で与えられる。
Figure 2011099175
tは時間変数で、C(t)〜C(t)は、行列Aの要素で決まる一定振幅、一定周波数の成分を表す。Re(λ)<0で、パラメータεが1より十分小さいことから、式(84)より推定値誤差η 、η 2は急速に0になることが判る。すなわち前記高ゲイン観測器27を用いれば、式(79)、式(80)より得られるスクリュ背圧推定値x^及び射出用モータ回転速度(スクリュ後退速度)推定値x^は前記必要条件(B)「時間的遅れが非常に小さい」ことが満たされる。
前記背圧制御器60は一定時間間隔Δt毎に制御演算を行うので、前記高ゲイン観測器27での演算式(79)、(80)を離散演算式に変換する(非特許文献3、非特許文献4)。
新たなパラメータαを導入して、演算周期Δtを式(85)で表す。
Figure 2011099175
式(79)に前進矩形近似を適用すると、時間微分を表すラプラス演算子sとz変換演算子zの間には式(86)が成立つ。
Figure 2011099175
式(79)に式(86)を適用すると、式(87)が成立つ。
Figure 2011099175
式(87)を離散演算式で表現すると、式(88)が得られる。
Figure 2011099175
ここで、離散時間tでの推定値η^(t)、η^(t)、x^(t)、x^(t)をη^(k)、η^(k)、x^(k)、x^(k)で表現している。y(k)、u(k)、u(k)についても、離散時間tでの値を示す。χ0(k)は式(58)より得られ、ψ0(k)は式(56)の3番目の式から得られ、離散時間tでの値を示す。式(88)は式(90)で表せる。
Figure 2011099175
ここで、Iは、2行2列の単位行列を表す。
式(80)の離散演算式は式(91)で与えられる。
Figure 2011099175
前記高ゲイン観測器27は、演算式(90)、(91)を一定時間間隔Δt毎に演算することによりスクリュ背圧推定値x^(k)及び射出用モータ回転速度(スクリュ後退速度)推定値x^(k)を得ることができる。式(90)、(91)で実現する前記高ゲイン観測器27は、計測できる状態変数x(k)は推定せず、必要となる状態変数であるスクリュ背圧x(k)及び射出用モータ回転速度(スクリュ後退速度)x(k)を推定する低次元高ゲイン観測器である。
前記高ゲイン観測器27からスクリュ後退速度推定値x^(k)が得られることから図1には示さないが、前記背圧制御器60でスクリュ後退速度制御のフィードバック信号として使うことができる。
電動射出成形機を対象に前記高ゲイン観測器27を使ったときのシミュレーション計算結果を示す。制御対象のモデル数値は次の通りである。
スクリュ最大後退量 xmax=20.0cm
スクリュ最大後退速度 vmax=2.0cm/sec
スクリュ背圧最大値 Pmax=19.6MPa
射出用モータ最大回転数 ωmax=31.67rad/sec(302.4rpm)
制御対象のモデル定数を使って、式(56)で使われる係数a,b,c,dは式(92)の値を用いた。
Figure 2011099175
関数g(P^/Pmax)は,スクリュ背圧の増加に対してスクリュ可塑化樹脂量が単調に減少する適切な関数形を用いた。式(72)で与えられる前記高ゲイン観測器27のゲインKはK=0.558,K=−0.00316,ε=0.09として式(93)で与えられる。演算周期Δt=5msecを採用した。
Figure 2011099175
図6は、スクリュ背圧制御を行ったときのシミュレーション条件を示す。図6(a)は、スクリュ回転数指令器41に与えられるスクリュ回転数指令N =Nの時間シーケンスを示す。図6(b)は、スクリュ背圧指令器21に与えられるスクリュ背圧指令P の時間シーケンスを示す。
図7は、スクリュ背圧制御を行ったときのスクリュ背圧の時間応答を示す。図7(a)は、前記圧力センサ12を使用した図4に示す可塑化制御装置でスクリュ背圧制御を行ったときのスクリュ背圧Pの時間応答を示す。図6(b)に示すスクリュ背圧指令P とスクリュ背圧の時間応答がよく一致していることが判る。
図7(b)は、このときの前記高ゲイン観測器27が出力したスクリュ背圧推定値P^である。図7(a)のPと図7(b)のP^の時間応答が良く一致していることから、高ゲイン観測器27は、スクリュ背圧を時間的に遅れることなく、高精度に推定できることが判る。
図7(c)は、前記高ゲイン観測器27を使用した図1に示す可塑化制御装置でスクリュ背圧制御を行ったときのスクリュ背圧Pの時間応答を示す。前記圧力センサ12を用いた図7(a)のスクリュ背圧Pの時間応答と図7(c)の時間応答Pが良く一致していることから、前記圧力センサ12を用いずに前記高ゲイン観測器27を使うことにより、良好なスクリュ背圧制御が実現できることが判る。
図8(a)は、前記圧力センサ12を使用した図4に示す可塑化制御装置でスクリュ背圧制御を行ったときの前記射出用サーボモータ3の回転速度(スクリュ後退速度)ωの時間応答を示す。図8(b)は、このときの前記高ゲイン観測器27が出力した射出用モータ回転速度(スクリュ後退速度)推定値ω^の時間応答を示す。図8(a)のωと図8(b)のω^の時間応答が良く一致していることから、前記高ゲイン観測器27は、射出用モータ回転速度を時間的に遅れることなく、高精度に推定できることが判る。
図2は、本発明の一実施形態に係る前記高ゲイン観測器によるスクリュ背圧検知を電動射出成形機の可塑化制御装置に適用した例で、可塑化制御装置の内部構成を説明するためのブロック図である。この可塑化制御装置は、高ゲイン観測器28を内蔵する背圧制御器61、射出用モータ制御器71(サーボアンプ)、スクリュ回転数制御器40及び可塑化用モータ制御器50とから構成される。
前記背圧制御器61について説明する。前記背圧制御器61は一定時間間隔毎に制御演算を行い、制御指令を前記射出用モータ制御器71に出力する。前記背圧制御器61は、図1に示す「実施例1」と同じ符号をもつ部品と前記高ゲイン観測器28とから構成される。「実施例1」と同じ符号を持つ部品の機能説明は「実施例1」での説明に代える(段落(0078)〜(0084))。
前記高ゲイン観測器28には、前記射出用モータ制御器71内で検出された射出用モータ実電流iがA/D変換器26を介して入力される。また前記射出用サーボモータ3の前記モータエンコーダ14からのパルスを積算して得られる前記スクリュ9の位置信号xが前記射出用モータ制御器71より前記高ゲイン観測器28に入力される。また前記射出用サーボモータ3の前記モータエンコーダ14からのパルスを射出用モータ制御器71内の微分回路35に通すことにより、射出用モータ回転数ωが前記高ゲイン観測器28に入力される。更に前記可塑化用モータ制御器50よりスクリュ実回転数Nが前記高ゲイン観測器28に入力される。前記高ゲイン観測器28は、入力信号i、x、ω及びNを使って、可塑化機構の数式モデルを利用して導出した内蔵する離散演算式を実行して、スクリュ背圧推定値P^及び図示しないスクリュ後退速度推定値v^とスクリュ位置推定値x^を出力する。
次に前記射出用モータ制御器(サーボアンプ)71について説明する。射出用モータ制御器71は、図1に示す「実施例1」と同じ符号をもつ部品の機能説明は「実施例1」での説明に代える(段落(0085)〜(0088))。射出用モータ制御器71には前記射出用サーボモータ3の前記モータエンコーダ14からのパルスを入力して射出用モータの回転数ωを出力する微分回路35がある。前記微分回路35は、射出用モータ回転数ωを前記高ゲイン観測器28に出力する。
次に前記高ゲイン観測器28の設計に必要となる可塑化機構の数式モデルについて述べる。前記数式モデルを表す状態方程式表現は、「実施例1」と同じで、式(60)と同じ式(94)で与えられる。
Figure 2011099175
状態変数x、x2、及び入力変数uは式(53)、式(54)で与えられる「実施例1」と同じである。
計測できる状態変数としてスクリュ位置x及び射出用モータ回転数xを選ぶので、出力変数yは式(95)で定義される。
Figure 2011099175
前記高ゲイン観測器28は、計測できるy=x1、=x、射出用モータ実電流u及びスクリュ回転数uを入力して、すべての状態変数の推定値x^1、x^2、x^を出力する。その推定値x^1、x^2、x^の演算式は式(96)で与えられる(非特許文献2)。
Figure 2011099175
χ(y)、ψ(x^3、y、u)は前記高ゲイン観測器28で使われるχ(y)、ψ(x3、y、u)の公称(基準)関数である。Kは前記高ゲイン観測器28のゲイン定数で、1より小さい正のパラメータεを導入して式(97)で与えられる。
Figure 2011099175
新しい推定値変数η^を式(98)で導入する。
Figure 2011099175
式(96)を新変数η^で書き直すと、式(99)、式(100)を得る。
Figure 2011099175
以上より、前記高ゲイン観測器28での状態推定値x^1、x^2、x^を得る手順は、式(99)及び式(98)より式(101)、式(102)で与えられる。
(1) 計算手順1
Figure 2011099175
(2) 計算手順2
Figure 2011099175
すなわち、計算手順1でη^を求め、計算手順2でx^を求める。
次に「課題を解決するための手段」で述べた前記高ゲイン観測器28に要求される2つの必要条件
(A)高精度である
(B)時間的遅れが非常に小さい
が満たされることを示す。式(99)で公称関数χ0(y)、ψ(η^3、y、u)ではなく、実際には得られない真の関数χ(y)、ψ(η、y、u)を使用したときに得られる変数η、η、ηは式(103)で決まる。
Figure 2011099175
推定値誤差η=η−η^は、式(99)、式(103)より、式(104)で得られる。
Figure 2011099175
パラメータεは1より十分小さいことから、式(104)より推定値誤差ηは制御対象のモデル誤差δから受ける影響を十分小さくできることが判る。すなわち前記高ゲイン観測器28を用いれば、式(101)、式(102)より得られるスクリュ背圧推定値x^、射出用モータ回転数(スクリュ後退速度)推定値x^及びスクリュ位置推定値x^は前記必要条件(A)「高精度である」ことが満たされる。
次にモデル誤差δの影響を無視すると、式(104)は式(105)で表される。
Figure 2011099175
前記行列Aの共役複素数の固有値λ、λの実数部Re(λ)=Re(λ)が負になるように、実数固有値λ<0になるように行列Kを決めると、式(105)より推定値誤差η 1、η 、η は、その初期値η 10、η 20、η 30に対して式(106)で与えられる。
Figure 2011099175
tは時間関数で、g(i=1〜6)関数は行列Aの要素及び誤差初期値η 10、η 20、η 30で決まる有限の関数である。Re(λ)<0、λ<0で、パラメータεが1より十分小さいことから、式(106)より推定値誤差η 1、η 、η は急速に0になることが判る。すなわち前記高ゲイン観測器28を用いれば、式(101)、式(102)より得られるスクリュ背圧推定値x^、射出用モータ回転数(スクリュ後退速度)推定値x^及びスクリュ位置推定値x^は前記必要条件(B)「時間的遅れが非常に小さい」ことが満たされる。
前記背圧制御器61は一定時間間隔Δt毎に制御演算を行うので、前記高ゲイン観測器28での演算式(101)、(102)を離散演算式に変換する(非特許文献3、非特許文献4)。
演算周期Δtを式(107)で表す。
Figure 2011099175
式(101)に前進矩形近似を適用すると、ラプラス演算子sとz変換演算子zの間には式(108)が成立つ。
Figure 2011099175
式(101)に式(108)を適用すると、式(109)が成立つ。
Figure 2011099175
式(109)を離散演算式で表現すると、式(110)が得られる。
Figure 2011099175
ここで、離散時間tでの推定値η^(t)、x^(t)、x^(t)をη^(k)、x^(k)、x^(k)で表現している。y(k)、y(k)、u(k)、u(k)についても離散時間tでの値を示す。χ(k)は式(58)より得られ、ψ0(k)は式(56)の3番目の式から得られ、離散時間tでの値を示す。式(110)は式(112)で表せる。
Figure 2011099175
ここで、Iは3行3列の単位行列である。
式(102)の離散演算式は式(113)で与えられる。
Figure 2011099175
電動射出成形機を対象に前記高ゲイン観測器28を使ったときのシミュレーション計算結果を示す。制御対象のモデル数値は「実施例1」のそれと同じで、式(94)で使われる係数a、b、c、dは式(92)の「実施例1」のそれと同じである。
式(97)で与えられる前記高ゲイン観測器28のゲインKは、ε=0.25として式(114)で与えられる。演算周期Δt=5msecとした。
Figure 2011099175
スクリュ背圧制御を行ったときのシミュレーション条件は図6と同じである。
図9は、スクリュ背圧制御を行ったときのスクリュ背圧の時間応答を示す。図9(a)は、前記圧力センサ12を使用した図4に示す可塑化制御装置でスクリュ背圧制御を行ったときのスクリュ背圧Pの時間応答を示す。図6(b)に示すスクリュ背圧指令P とスクリュ背圧の制御応答がよく一致していることが判る。
図9(b)は、このときの前記高ゲイン観測器28が出力したスクリュ背圧推定値P^である。図9(a)のPと図9(b)のP^の時間応答が良く一致していることから、高ゲイン観測器28は、スクリュ背圧を時間的に遅れることなく、高精度に推定できることが判る。
図9(c)は、前記高ゲイン観測器28を使用した図2に示す可塑化制御装置でスクリュ背圧制御を行ったときのスクリュ背圧Pの時間応答を示す。前記圧力センサ12を用いた図9(a)のスクリュ背圧Pの時間応答と図9(c)の時間応答Pが良く一致していることから、前記圧力センサ12を用いずに前記高ゲイン観測器28を使うことにより、良好なスクリュ背圧制御が実現できることが判る。
図示はしないが、前記高ゲイン観測器28によりスクリュ位置推定値x^及び射出用モータ回転数推定値x^も、スクリュ背圧推定値x^と同様に非常に良好な結果が得られている。
「実施例1」及び「実施例2」での高ゲイン観測器は、スクリュ背圧推定値だけでなくスクリュ後退速度推定値も時間的な遅れなく高精度に出力できるので、前記圧力センサ12及び前記微分回路35を用いることなく、可塑化工程の制御系のフィードバック信号として利用できる。
電動射出成形機の可塑化制御装置及び可塑化制御方法において、圧力センサを使わずに、高ゲイン観測器が出力するスクリュ背圧推定値をスクリュ背圧検知信号として使うことにより、次の5つの不利を回避できる。
(1) 高圧環境下で信頼性の高い圧力センサは高価になる。
(2) 射出シリンダ先端部への圧力センサ取付けは、特別な加工を施す必要があり、作業コストが無視できない。
(3) 射出用モータから射出スクリュに至る射出軸系に取り付けるロードセルは、組み込むための機械構造を複雑にし、更には射出軸系の機械剛性の低下を招く。
(4) 歪みゲージを検出部に使用するロードセルでは、微弱なアナログ信号に対するノイズ対策が必要になり、また信号アンプのゼロ点調整やスパン調整等にも人手による作業が必要になる(特許文献13)。
(5) スクリュ背圧の制御精度向上のために計測範囲の異なる2種類の圧力センサを使用すると高価になる(特許文献12)
更に、高ゲイン観測器の出力するスクリュ背圧推定値及び射出用モータ回転数(スクリュ後退速度)推定値は、高精度であり、時間的遅れも非常に小さいので、スクリュ背圧やスクリュ後退速度の監視信号及び制御のフィードバック信号として使える。したがって、本発明による高ゲイン観測器による電動射出成形機の可塑化制御装置及び可塑化制御方法は、十分利用される価値を有すると考えられる。
1 金型
2 射出シリンダ
3 射出用サーボモータ
4 減速機
5 ボールネジ
6 軸受
7 ナット
8 可動部
9 スクリュ
10 減速機
11 可塑化用サーボモータ
12 圧力センサ
13 リニアガイド
14 モータエンコーダ
15 モータエンコーダ
16 ホッパー
17 キャビティ
20 背圧制御器
21 スクリュ背圧指令器
22 減算器
23 アナログ/デジタル(A/D)変換器
24 圧力制御器
25 デジタル/アナログ(D/A)変換器
26 アナログ/デジタル(A/D)変換器
27 高ゲイン観測器
28 高ゲイン観測器
30 射出用モータ制御器(サーボアンプ)
31 アナログ/デジタル(A/D)変換器
32 パルス幅変調制御(PWM)回路
33 射出用モータ実電流検出器
34 パルスカウンタ
35 微分回路
40 スクリュ回転数制御器
41 スクリュ回転数指令器
50 可塑化用モータ制御器(サーボアンプ)
51 減算器
52 微分回路
53 速度制御器
54 パルス幅変調制御(PWM)回路
60 背圧制御器
61 背圧制御器
70 射出用モータ制御器(サーボアンプ)
71 射出用モータ制御器(サーボアンプ)
Figure 2011099175
ここで、Aはスクリュ断面積、Pはスクリュ背圧、Cmtは射出シリンダ粘性係数、γは速度べき乗数である。スクリュ背圧Pの方程式は式(32)、式(33)で与えられる。
Figure 2011099175
Figure 2011099175
Figure 2011099175
Figure 2011099175
Figure 2011099175
Figure 2011099175
Figure 2011099175
Figure 2011099175

Claims (3)

  1. 電動射出成形機の可塑化制御装置であって、可塑化用サーボモータの回転は減速機を介してスクリュを回転し樹脂ペレットを溶融し射出シリンダ先端部に溶融樹脂を貯留するスクリュ回転駆動系と、射出用サーボモータの回転は減速機を介してボールネジに伝えられ、前記ボールネジの回転はボールネジ軸上のナットの直線運動に変換され、前記ナットにより駆動される可動部を介してスクリュが前後進移動し、前記スクリュの前後進移動により前記射出シリンダ先端部に貯留された溶融樹脂への加圧(スクリュ背圧)を実現する射出駆動系とからなる可塑化機構において、前記射出用サーボモータの軸に設けたモータエンコーダで検出されるスクリュ位置信号と前記射出用サーボモータへの制御信号として印加されるモータ電流指令信号或いはモータ実電流信号及び前記可塑化用サーボモータの軸に設けたモータエンコーダで検出されるスクリュ回転数信号が入力されて、スクリュ背圧推定値を出力する高ゲイン観測器と、スクリュ背圧を指令するためのスクリュ背圧指令を出力するスクリュ背圧指令器と、前記スクリュ背圧指令と前記スクリュ背圧推定値とが入力されて、前記スクリュ背圧指令と前記スクリュ背圧推定値との差を出力する減算器と、前記減算器の出力を入力して、前記スクリュ背圧推定値が前記スクリュ背圧指令に追従するように前記射出用サーボモータ電流指令信号を算出する圧力制御器と、
    を具備することを特徴とする電動射出成形機の可塑化制御装置
  2. 電動射出成形機の可塑化制御方法であって、可塑化用サーボモータの回転は減速機を介してスクリュを回転し樹脂ペレットを溶融し射出シリンダ先端部に溶融樹脂を貯留するスクリュ回転駆動系と、射出用サーボモータの回転は減速機を介してボールネジに伝えられ、前記ボールネジの回転はボールネジ軸上のナットの直線運動に変換され、前記ナットにより駆動される可動部を介してスクリュが前後進移動し、前記スクリュの前後進移動により前記射出シリンダ先端部に貯留された溶融樹脂への加圧(スクリュ背圧)を実現する射出駆動系とからなる可塑化機構の運動を表現する数式モデルとして下記(数97)の状態方程式を利用して導出した下記(数98)の離散式(118)および下記(数99)の離散式(121)からなる離散演算式を実行する高ゲイン観測器が、前記射出用サーボモータの軸に設けたモータエンコーダで検出されるスクリュ位置信号と前記射出用サーボモータへの制御信号として印加されるモータ電流指令信号或いはモータ実電流信号及び可塑化用サーボモータの軸に設けたモータエンコーダで検出されるスクリュ回転数信号とを入力信号として、スクリュ背圧推定値x^およびスクリュ後退速度推定値x^を出力し、スクリュ背圧指令器が出力するスクリュ背圧指令と前記スクリュ背圧推定値とを減算器に入力し、前記減算器は、前記スクリュ背圧指令と前記スクリュ背圧推定値との差を算出して圧力制御器に入力し、前記圧力制御器は、前記スクリュ背圧推定値が前記スクリュ背圧指令に追従するように前記射出用サーボモータ電流指令信号を算出して前記射出用サーボモータに所定のモータトルクを発生させることにより所定のスクリュ背圧を実現する電動射出成形機の可塑化制御方法
    Figure 2011099175
    ここで、x:スクリュ位置をスクリュ最大後退量で無次元化した状態変数、x:スクリュ後退速度をスクリュ最大後退速度で無次元化した状態変数、x:スクリュ背圧をスクリュ背圧最大値で無次元化した状態変数、u:射出用サーボモータ電流指令或はモータ実電流をモータ定格電流で無次元化した入力変数、u:スクリュ回転数をスクリュ最大回転数で無次元化した入力変数、y:計測できる状態変数xを表す出力変数、a、b、c、d、e、h、p、q:可塑化機構のモデル定数、χ(x)、ψ(x、u):式(117)で表される非線形関数、f(x、u):最大可塑化量で無次元化された可塑化量の前記無次元変数x(スクリュ背圧)、u(スクリュ回転数)との関数関係
    Figure 2011099175
    ここで、k:離散時間tを表す離散変数(k=0、1、2、・・・)、η^(k)、η^(k):状態変数x、xを推定するために導入した新状態変数η1、ηの離散時間tでの推定値η^(t)、η^(t)、 y(k)、u(k)、u(k):離散時間tでの出力変数値y(t)及び入力変数値u(t)、u(t)、 x^(k)、x^(k):離散時間tでの状態推定値x^(t)、x^(t)、 χ(k)、ψ(k):離散時間tでの非線形関数値χ(t)、ψ(t)、 I:2行2列の単位行列、Δt:高ゲイン観測器の演算周期、ε:高ゲイン観測器でのパラメータで、一般に1より十分小さい正数、K、K:高ゲイン観測器のゲインを決めるパラメータで、行列Aの固有値の実数部が負になるように決める。
    Figure 2011099175
    ここで、x^(k)、x^(k):離散時間tでの状態変数x、xの状態推定値x^(t)、x^(t
  3. 電動射出成形機の可塑化制御方法であって、可塑化用サーボモータの回転は減速機を介してスクリュを回転し樹脂ペレットを溶融し射出シリンダ先端部に溶融樹脂を貯留するスクリュ回転駆動系と、射出用サーボモータの回転は減速機を介してボールネジに伝えられ、前記ボールネジの回転はボールネジ軸上のナットの直線運動に変換され、前記ナットにより駆動される可動部を介してスクリュが前後進移動し、前記スクリュの前後進移動により前記射出シリンダ先端部に貯留された溶融樹脂への加圧(スクリュ背圧)を実現する射出駆動系とからなる可塑化機構の運動を表現する数式モデルとして下記(数100)の状態方程式を利用して導出した下記(数101)の離散式(125)および下記(数102)の離散式(128)からなる離散演算式を実行する高ゲイン観測器が、前記射出用サーボモータの軸に設けたモータエンコーダで検出されるスクリュ位置信号及びスクリュ後退速度信号(射出用サーボモータ回転速度)と前記射出用サーボモータへの制御信号として印加されるモータ電流指令信号或いはモータ実電流信号及び可塑化用サーボモータの軸に設けたモータエンコーダで検出されるスクリュ回転数信号とを入力信号として、スクリュ背圧推定値x^3、スクリュ後退速度推定値x^及びスクリュ位置推定値x^を出力し、スクリュ背圧指令器が出力するスクリュ背圧指令と前記スクリュ背圧推定値とを減算器に入力し、前記減算器は、前記スクリュ背圧指令と前記スクリュ背圧推定値との差を算出して圧力制御器に入力し、前記圧力制御器は、前記スクリュ背圧推定値が前記スクリュ背圧指令に追従するように前記射出用サーボモータ電流指令信号を算出して前記射出用サーボモータに所定のモータトルクを発生させることにより所定のスクリュ背圧を実現する電動射出成形機の可塑化制御方法
    Figure 2011099175
    ここで、x:スクリュ位置をスクリュ最大後退量で無次元化した状態変数、x:スクリュ後退速度をスクリュ最大後退速度で無次元化した状態変数、x:スクリュ背圧をスクリュ背圧最大値で無次元化した状態変数、u:射出用サーボモータ電流指令或はモータ実電流をモータ定格電流で無次元化した入力変数、u:スクリュ回転数をスクリュ最大回転数で無次元化した入力変数、y、y:計測できる状態変数x及びxをそれぞれ表す出力変数、a、b、c、d、e、h、p、q:可塑化機構のモデル定数、χ(x)、ψ(x、u):式(124)で表される非線形関数、f(x、u):最大可塑化量で無次元化された可塑化量の前記無次元変数x(スクリュ背圧)、u(スクリュ回転数)との関数関係
    Figure 2011099175
    ここで、k:離散時間tを表す離散変数(k=0、1、2、・・・)、η^(k)、η^(k)、η^(k):状態変数x、x、xを推定するために導入した新状態変数η1、η、ηの離散時間tでの推定値η^(t)、η^(t)、η^(t)、 y(k)、y(k)、u(k)、u(k):離散時間tでの出力変数値y(t)、y(t)及び入力変数値u(t)、u(t)、 x^(k):離散時間tでの状態推定値x^(t)、 χ(k)、ψ(k):離散時間tでの非線形関数値χ(t)、ψ(t)、 I:3行3列の単位行列、Δt:高ゲイン観測器の演算周期、ε:高ゲイン観測器でのパラメータで、一般に1より十分小さい正数、K:高ゲイン観測器のゲインを決める行列で、行列Aの固有値の実数部が負になるように決める。
    Figure 2011099175
    ここで、x^1(k)x^(k)、x^(k):離散時間tでの状態変数x、x、xの状態推定値x^1(tx^(t)、x^(t)。
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