JPWO2011078312A1 - 肝細胞癌患者に対する化学療法の治療効果予測方法 - Google Patents

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Abstract

肝動脈塞栓術を施術された肝細胞癌患者における化学療法の治療効果を予測する方法および当該化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測された癌患者を治療するための抗腫瘍剤の提供。PDGF−BB又はIL−8の発現量を指標とする肝動脈塞栓術を施術された肝細胞癌患者における化学療法の治療効果を予測する方法および当該予測する方法により治療効果を示す可能性が高いと予測された癌患者を治療するための抗腫瘍剤。

Description

本発明は、肝動脈塞栓術を施術された肝細胞癌患者における(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸(以下「TSU−68」と記載)又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法に対する治療効果を予測する方法および当該化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測された癌患者を治療するための抗腫瘍剤に関する。
肝細胞癌の治療法は、外科的切除、肝動脈塞栓術(以下、「TAE」と記載)、経皮的局所療法(経皮的エタノール注入療法、経皮的ラジオ波焼灼療法など)、化学療法、放射線療法、肝移植などと多岐にわたっている。TAEとは、肝細胞癌患者の肝動脈に、ゼラチンスポンジなどの塞栓物質を注入し、栄養動脈を閉塞することにより、選択的に肝細胞癌を壊死に導く外科治療法である。TAEには、外科処置時に抗腫瘍剤を患部に投与する肝動脈化学塞栓療法(以下、「TACE」と記載)も施術されている。TAEは、初回治療例や再発例において最も多く用いられる治療法であり、特に外科的切除や経皮的局所療法の非適応例あるいは再発例において施術することが推奨されており、その果たす役割は大きい(非特許文献1)。TAEの課題としては、治療後、腫瘍が完全壊死に至る場合はまれであり、多くの場合、辺縁部に腫瘍が残存し、それが原因で数ヶ月後に再発や転移を来すことが挙げられる。従って、この再発や転移を抑制することができれば、さらなる生命予後の延長に寄与できると考えられる。
また、現在までに、肝細胞癌を対象として、さまざまな抗腫瘍剤の開発が試みられてきた。例えば、アントラサイクリン系抗腫瘍剤、白金型抗腫瘍剤、アルカロイド系抗腫瘍剤、核酸代謝拮抗剤などである。しかし、これら抗腫瘍剤の投与が、治療ガイドライン上推奨されるものでは無いとされている(非特許文献1、非特許文献2)。
さらに近年、癌に関する分子生物学レベルでの解明によって、癌に発現している血管新生関連因子、あるいは細胞増殖関連因子など、特定の分子を標的とした種々の分子標的抗腫瘍剤が創製されており、これらの分子標的抗腫瘍剤は、従来の抗腫瘍剤と作用機序や毒性プロフィールが異なることから、肝細胞癌の治療に寄与できる可能性があり、注目されている。
分子標的抗腫瘍剤のひとつであるTSU−68は、血管内皮増殖因子(以下、「VEGF」と記載)受容体であるFlk−1(「KDR」ともいう)のチロシンのリン酸化を阻害し、腫瘍組織における血管の新生を抑制することで酸素と栄養の供給を断ち、腫瘍の増殖と転移を抑制する低分子化合物である。また、VEGF受容体の他に細胞内シグナル伝達に関与する血小板由来増殖因子(以下、「PDGF」と記載)受容体、FGF受容体等のチロシンリン酸化も阻害することがin vitroにて確認されている。各種ヒト癌細胞株を皮下に移植したヌードマウスin vivoモデルにおけるTSU−68単独経口投与時の抗腫瘍効果を検討した結果、肺癌、大腸癌、子宮癌などに対して腫瘍増殖抑制効果が認められている(非特許文献3)。TSU−68は、臨床試験において、肝細胞癌などの癌種に治療効果があることが報告されている(非特許文献4)。
TSU−68と同様にVEGF受容体阻害剤としてスニチニブ、ソラフェニブなどが知られており、これらをTAE施術後の補助療法に用いる臨床試験が試みられているが、現在までに治療効果が認められたと言う報告は皆無であり、TAE施術後の再発に対して確実な治療効果を示す抗腫瘍剤が望まれている(非特許文献5)。
以上のように、肝細胞癌の治療体系は、標準療法とされるべき治療法は確立されておらず、殊にTAE施術後の有効な治療法は皆無であるのが現状である。
National Comprehensive Cancer Network Clinical Practice Guidelines in Oncology Hepatobiliary Cancers v.2,2009. Ann Surg Oncol 15(4):1008-14,2008. Cancer Res 60(15):4152-60,2000. European Journal of Cancer Supplements, 6(12):17 #43, 2008 BMC Cancer 8:349,2008
本発明は、TAEを施術された肝細胞癌患者におけるTSU−68又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法に対する治療効果を予測する方法および当該化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測された癌患者を治療するための抗腫瘍剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、TAEを施術された肝細胞癌患者に対する化学療法について研究を重ねた結果、PDGFのBBアイソフォーム(以下、「PDGF−BB」と記載)又はインターロイキン−8 (interleukin-8:以下「IL−8」と記載)の発現量を指標とすることにより、TSU-68の化学療法に対する治療効果を予測する方法を見出し、本発明を完成するに至った。これまでに、TAEを施術された肝細胞癌患者において当該治療法の選択にPDGF−BB又はIL−8の発現量を指標にできることは全く知られていない。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1] 下記工程(1)〜(3)を含む、肝動脈塞栓術を施術された肝細胞癌患者における(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法の治療効果を予測する方法:
(1)該患者から採取された生体試料に含まれるPDGF−BB又はIL−8の発現量を測定する工程、
(2)上記工程(1)で得られたPDGF−BB又はIL−8の発現量を、予め設定した対応するカットオフポイントと比較する工程、及び
(3)上記工程(2)における比較の結果、PDGF−BB又はIL−8の発現量が該カットオフポイントよりも高い場合、該患者に対する(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測する工程。
[2] 肝動脈塞栓術が肝動脈化学塞栓療法である、[1]の方法。
[3] [1]又は[2]の方法により(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測された癌患者に投与されることを特徴とする、(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ヂメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する抗腫瘍剤。
[4] [3]の抗腫瘍剤および[1]又は[2]の方法により(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測された癌患者に、(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を投与することを記載した使用説明書を含む、抗腫瘍剤キット。
[5] 肝動脈塞栓術を施術された肝細胞癌患者における肝細胞癌を治療する方法であって、[1]又は[2]の方法により(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測された癌患者に対して、(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ヂメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する抗腫瘍剤を投与することを含む、上記方法。
[6] 肝動脈塞栓術を施術された肝細胞癌患者における肝細胞癌の治療において、[1]又は[2]の方法により(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測された癌患者に対して使用するための、(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ヂメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2009-295913号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
本発明の予測方法は、TAEを施術された肝細胞癌患者において顕著に優れた治療効果(特に延命効果(無増悪生存期間の延長、再発・転移の抑制等))を有する有効な化学療法、すなわちTSU−68又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法の選択を可能にするものである。つまり、治療効果が見込める当該患者に対してのみ、より優れた治療効果を示す化学療法を的確に提供することができ、また不要な化学療法を省くことができることから、患者の負担を軽減できると共に、医療経済的にも好ましい。
本発明の予測方法は、患者のPDGF−BB又はIL−8の発現量に基づき、TAEを施術された肝細胞癌患者におけるTSU−68又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法の治療効果を予測するものである。詳細には、患者のPDGF−BB又はIL−8の発現量を予め設定した対応するカットオフポイントと比較して、当該発現量がカットオフポイントよりも高い場合に、当該患者に対するTSU−68又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測するものである。
「化学療法が十分な治療効果を示す」とは、TAEを施術された肝細胞癌患者において、薬剤を投与しない場合と比較して顕著に優れた治療効果(特に延命効果)を示すことを意味する。本発明において、「治療効果」は腫瘍縮小効果や延命効果などを総合的に判定するものであるが、特に延命効果が重要な指標となる。延命効果は無増悪生存期間の延長、再発や転移の抑制などにより総合的に評価することができる。
「TSU−68」とは、(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸で示される公知のVEGF受容体等の阻害剤であり、肝癌、肺癌、大腸癌、子宮癌などの固形癌に腫瘍増殖抑制効果を奏することが知られている。TSU−68又はその塩は、公知の方法、例えば特表2002−516310号公報に記載の方法により製造できる。
TSU−68の塩としては、薬学的に許容される塩であれば特に制限されず、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等の有機酸との反応により得られる塩が例示できる。
TSU−68又はその塩を含有する抗腫瘍剤の投与形態としては、特に制限は無く、治療目的に応じて適宜選択でき、具体的には経口剤(錠剤、被覆錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤など)、注射剤、坐剤、貼付剤、軟膏剤等が例示でき、経口剤が好ましい。
TSU−68又はその塩を含有する抗腫瘍剤は、薬理学的に許容される担体を用いて、通常公知の方法により調製することができる。斯かる担体としては、通常の薬剤に汎用される各種のもの、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を例示できる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、ショ糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、マルトース、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、イノシトール、デキストラン、ソルビトール、アルブミン、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、メチルセルロース、グリセリン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム及びこれらの混合物等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール及びこれらの混合物等が挙げられる。結合剤としては、例えば、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、エチルセルロース、水、エタノール、リン酸カリウム及びこれらの混合物等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖及びこれらの混合物等が挙げられる。希釈剤としては、例えば、水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類及びこれらの混合物等が挙げられる。安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、チオグリコール酸、チオ乳酸及びこれらの混合物等が挙げられる。等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ホウ酸、ブドウ糖、グリセリン及びこれらの混合物等が挙げられる。pH調整剤及び緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム及びこれらの混合物等が挙げられる。無痛化剤としては、例えば、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン及びこれらの混合物等が挙げられる。
TAEを施術された肝細胞癌患者に対する化学療法において、当該抗腫瘍剤の投与量は、患者の年齢、体重、性別、病期、転移の有無、治療暦、他の抗腫瘍剤の有無などの条件により適宜選択することができ、例えば、100〜3000mg/dayが好ましく、200〜1600mg/dayがより好ましく、400〜800mg/dayが特に好ましい。また、当該抗腫瘍剤の投与スケジュールは、患者の年齢、体重、性別、病期、転移の有無、治療暦などの条件により適宜選択することができ、例えば、1日1回又は2〜4回に分割して連日投与することが好ましい。
本発明の対象となる患者は、TAEを施術された肝細胞癌患者である。TAEとは、腫瘍細胞に栄養を供給する肝動脈に、ゼラチンスポンジ等の塞栓物質を注入し、栄養動脈を閉塞することにより、選択的に肝細胞癌を壊死に導く外科治療法である(National Comprehensive Cancer Network Clinical Practice Huidelines in Oncology Hepatobiliary Cancers v.2, 2009.)。なお、本発明におけるTAEは、併せて抗腫瘍剤の投与を行うTACEを含むものであり、TACEとしては、例えば、塞栓物質の注入前にリピオドール等の油性造影剤と抗腫瘍剤の混和物を栄養動脈に注入する方法や、抗腫瘍剤の代わりに抗腫瘍剤溶出性ビーズを用いる方法(すなわち、DEB−TACE)(J Hepatol. 2007 Mar;46(3):474-81.)などが挙げられる。また、TACEで用いる抗腫瘍剤としては肝細胞癌に用いられるものであれば特に制限はなく、ドキソルビシン、エピルビシン、シスプラチンなどが例示できる。
PDGFは、主に間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞、グリア細胞等)の遊走および増殖などの調節に関与する公知の増殖因子であり、ヒトにおいてはA、B、CおよびDの4種類が存在することが知られている。このうちAおよびBはジスルフィド結合を形成することによりホモ又はヘテロのダイマー構造を形成し3種類のアイソフォーム(PDGF−AA、AB、BB)として存在している。本発明が指標とするのはPDGFBがホモダイマー化したPDGF−BBである。ヒトPDGFBの塩基配列及びアミノ酸配列は公知であり、例えば、塩基配列はアクセッション番号BC077725として、アミノ酸配列はアクセッション番号AAH77725としてGenBankに登録されている(配列番号1および2)。
IL−8は、1261724324562_0から1261724324562_1され、細胞間の情報伝達機能を果たすサイトカインの一種であり、好中球の走化性を誘導することが知られている。ヒトIL−8の塩基配列及びアミノ酸配列は公知であり、例えば、塩基配列はアクセッション番号BC013615として、アミノ酸配列はアクセッション番号AAH13615としてGenBankに登録されている(配列番号3および4)。
なお、本発明において、ヒトPDGFBおよびヒトIL−8の塩基配列には、上記公知の塩基配列において1から数個のヌクレオチドの欠失、置換、付加又は挿入を有し、かつ当該タンパク質の活性を有するタンパク質をコードする塩基配列も含まれる。「1から数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個、あるいは1個又は2個である。また、ヒトPDGFBおよびヒトIL−8の塩基配列には上記公知の塩基配列に相補的な配列からなる塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ当該タンパク質の活性を有するタンパク質をコードする塩基配列も含まれる。ここで、ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、例えば、ナトリウム濃度が、10mM〜300mM、好ましくは20〜100mMであり、温度が25℃〜70℃、好ましくは42℃〜55℃での条件をいう。さらに、ヒトPDGFBおよびヒトIL−8の塩基配列には上記公知の塩基配列とBLAST(Basic Local Alignment Search Tool at the National Center for Biological Information(米国国立生物学情報センターの基本ローカルアラインメント検索ツール))等(例えば、デフォルトすなわち初期設定のパラメータ)を用いて計算したときに、80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相同性を有する塩基配列からなり、かつ当該タンパク質の活性を有するタンパク質をコードする塩基配列も含まれる。
また、本発明において、ヒトPDGFBおよびヒトIL−8のアミノ酸配列には、上記公知のアミノ酸配列に1〜数個のアミノ酸の欠失、置換、付加又は挿入を有し、かつ当該タンパク質の活性を有するアミノ酸配列も含まれる。さらに、ヒトPDGFBおよびヒトIL−8のアミノ酸配列には、上記公知のアミノ酸配列とBLAST等(例えば、デフォルトすなわち初期設定のパラメータ)を用いて計算したときに、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、例えば93%以上、95%以上、97%以上、98%以上又は99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ当該タンパク質の活性を有するアミノ酸配列も含まれる。
本発明の予測方法において、PDGF−BB及びIL−8の発現量は、患者由来の生体試料を用いて行うことができ、生体試料としては体液(血液、尿等)、組織、その抽出物及び採取した組織の培養物などが例示でき、採取の簡便さなどから体液、特に末梢血などの血液が好ましい。また、生体試料の採取方法は、生体試料の種類に応じた方法を適宜選択することができる。生体試料からのDNA、RNA、タンパク質の調製は、通常公知の方法により行うことができる。
本発明の予測方法は、PDGF−BB又はIL−8の発現量を指標とするが、その発現量としてはmRNAの発現量であっても、タンパク質の発現量であってもよい。
PDGF−BB又はIL−8のmRNAの発現量は、PDGFB又はIL−8のmRNAと特異的にハイブリダイズするプローブ又はプライマーを用いて、ノーザンブロット法、定量的又は半定量的PCR法(例えばRT−PCR法、リアルタイムPCR法)、in situハイブリダーゼーション法など公知の遺伝子発現量の測定法に従い測定することができる。前記発現量は、常に一定範囲の量を発現しているタンパク質/遺伝子(例えばβアクチンなどのハウスキーピング遺伝子又はその発現タンパク質)を基準として、比により評価することができる。
一方、PDGF−BB又はIL−8のタンパク質発現量は、PDGF−BB又はIL−8を特異的に認識する抗体を用いて、酵素免疫測定法、放射性免疫測定法、蛍光免疫測定法、ELISA法、ウェスタン・ブロッティング法、免疫組織化学染色法など公知の免疫学的測定法を行うことにより測定することができる。
抗体は、PDGF−BB又はIL−8を特異的に認識するものであれば特に制限されず、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれであってもよく、Fab断片やF(ab’)2断片などの抗体断片であってもよい。また、当該抗体は、通常公知の方法に従って製造することができる(例えば、Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987)、 Publish. John Wiley and Sons. Section 11.12-11.13)。また、当該抗体は、市販の抗体を用いてもよい。また、「Human PDGF-BB Immunoassay」(R&D systems)や「Human IL8 EASIA kit」(BIOSOURCE EUROPE S.A.)のような、PDGF−BB又はIL−8の発現量を測定する市販のキットを用いることもできる。
本発明の予測方法は、TAE後の肝細胞癌患者におけるPDGF−BB又はIL−8の発現量が、予め設定した対応するカットオフポイントと比較して高い場合、該患者に対するTSU−68又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法が飛躍的に優れた治療効果を示す可能性が高いと予測する。
カットオフポイントは、予め測定しておいたPDGF−BB又はIL−8発現量から種々の統計解析手法により求めることができる。
PDGF−BBのカットオフポイントは、以下のいずれかの値として特定することができる。ここで無増悪生存率およびハザード比は公知の手法により求めることができる。
1.TAE又はTACEを施術された肝細胞癌患者におけるPDGF−BB発現量の中央値又は平均値;
2.TAE又はTACEを施術された肝細胞癌患者のTSU-68投与群におけるPDGF−BB発現量の中央値又は平均値;
3.TAE又はTACEを施術された肝細胞癌患者をPDGF−BBの高発現群と低発現群に分けるPDGF−BB発現量の値であって、該PDGF−BBの高発現群におけるTSU-68投与群と該PDGF−BBの高発現群におけるTSU−68非投与群の6ヶ月無増悪生存率の差が最大又は所定の値以上となる値(所定の値以上とは、当該6ヶ月無増悪生存率の差が20%以上、25%以上、30%以上、40%以上または50%以上を指す。例えば、20%以上が挙げられる);
4.TAE又はTACEを施術された肝細胞癌患者をPDGF−BBの高発現群と低発現群に分けるPDGF−BB発現量の値であって、該PDGF−BBの高発現群におけるTSU-68投与群の該PDGF−BBの高発現群におけるTSU−68非投与群に対するハザード比が最小又は所定の値以下となる値(所定の値以下とは、当該ハザード比が0.65以下、0.6以下、0.55以下、0.5以下を指す。例えば、0.6以下が挙げられる);
5.TAE又はTACEを施術された肝細胞癌患者をPDGF−BBの高発現群と低発現群に分けるPDGF−BB発現量の値であって、該PDGF−BBの高発現群におけるTSU-68投与群と該PDGF−BBの低発現群におけるTSU-68投与群の6ヶ月無増悪生存率の差が最大又は所定の値以上となる値(所定の値以上とは、当該6ヶ月無増悪生存率の差が20%以上、25%以上、30%以上、40%以上または50%以上を指す。例えば、20%以上が挙げられる);
6.TAE又はTACEを施術された肝細胞癌患者をPDGF−BBの高発現群と低発現群に分けるPDGF−BB発現量の値であって、該PDGF−BBの高発現群におけるTSU-68投与群の該PDGF−BBの低発現群におけるTSU-68投与群に対するハザード比が最小又は所定の値以下となる値(所定の値以下とは、当該ハザード比が0.65以下、0.6以下、0.55以下、0.5以下を指す。例えば、0.6以下が挙げられる);
7.TAE又はTACEを施術された肝細胞癌患者をPDGF−BBの高発現群と低発現群に分けるPDGF−BB発現量の値であって、該PDGF−BBの高発現群におけるTSU-68投与群と該PDGF−BBの高発現群におけるTSU−68非投与群の6ヶ月無増悪生存率の差から、該PDGF−BBの低発現群におけるTSU-68投与群と該PDGF−BBの低発現群におけるTSU−68非投与群の6ヶ月無増悪生存率の差を減じた値が最大又は所定の値以上になる値(所定の値以上とは、当該6ヶ月無増悪生存率の差を減じた値が10%以上、20%以上、30%以上、40%以上または50%以上を指す。例えば、10%以上が挙げられる);
8.TAE又はTACEを施術された肝細胞癌患者をPDGF−BBの高発現群と低発現群に分けるPDGF−BB発現量の値であって、該PDGF−BBの高発現群におけるTSU-68投与群の該PDGF−BBの高発現群におけるTSU−68非投与群に対するハザード比を、該PDGF−BBの低発現群におけるTSU-68投与群における該PDGF−BBの低発現群におけるTSU−68非投与群に対するハザード比で除した値が最小又は所定の値以下となる値(所定の値以下とは、当該ハザード比で除した値が0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下を指す。例えば、0.8以下が挙げられる)。
IL−8におけるカットオフポイントも上記PDGF−BBのカットオフポイントと同様に求めることができる。
より具体的には、下記実施例にて詳述されるように、カットオフポイントの上記算出法に基づいて、例えば末梢血を生体試料としてタンパク質の発現量を測定する場合では、PDGF−BBのカットオフポイントは、1480〜2030pg/mlが好ましく、1740〜1960pg/mlが特に好ましく、IL−8のカットオフポイントは、2.1〜10.5pg/mlが好ましく、2.1〜6.6pg/mlが特に好ましい。
ただし、各カットオフポイントは、測定対象や測定方法の種類などの諸条件により変動するものであるため、条件に合わせて予め設定する必要がある。カットオフポイントは、測定対象(患者の数、年齢、性別、体重、健康状態、疾患の状態、生体試料の種類)や測定方法(遺伝子とタンパク質のいずれの発現産物を測定対象とするか)、測定条件(例えば遺伝子発現産物(mRNA)の測定におけるプライマー、プローブの配列、標識の種類、発現産物がタンパク質の場合の抗体の種類及び感度など)、統計的手法などにより変動し得る。
本発明はまた、上記予測方法によりTSU−68又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測された癌患者を治療するためのTSU−68又はその塩を含有する抗腫瘍剤に関する。当該抗腫瘍剤は上記の形態を有する。
本発明はまた、TSU−68又はその塩、及び上記予測方法によりTSU−68又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測された癌患者に、TSU−68又はその塩を投与することを記載した使用説明書を含む、抗腫瘍剤キットに関する。ここで「使用説明書」とは、TSU−68の投与方法・投与基準について記載されたものであれば、法的拘束力の有無を問わず、具体的には、添付文書、パンフレット等が例示される。また、使用説明書は、抗腫瘍剤キットのパッケージに印刷・添付されているものであっても、抗腫瘍剤キットのパッケージに抗腫瘍剤とともに同封されているものであってもよい。
本発明はまた、TAEを施術された肝細胞癌患者より、TSU−68又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法に対して十分な治療効果を示す可能性が高いと予測される患者を選抜する方法に関する。当該方法は以下の工程(1)〜(3)を含む:
(1)該患者から採取された生体試料に含まれるPDGF−BB又はIL−8の発現量を測定する工程、
(2)上記工程(1)で得られたPDGF−BB又はIL−8の発現量を、予め設定した対応するカットオフポイントと比較する工程、及び
(3)上記工程(2)における比較の結果、PDGF−BB又はIL−8の発現量が該カットオフポイントよりも高い患者を、TSU−68又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法に対して十分な治療効果を示す可能性が高い患者として予測し認定する工程。
本発明はさらに、TAEを施術された肝細胞癌患者をTSU−68又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法により治療する方法に関する。当該方法は以下の工程(1)〜(4)を含む:
(1)該患者から採取された生体試料に含まれるPDGF−BB又はIL−8の発現量を測定する工程、
(2)上記工程(1)で得られたPDGF−BB又はIL−8の発現量を、予め設定した対応するカットオフポイントと比較する工程、
(3)上記工程(2)における比較の結果、PDGF−BB又はIL−8の発現量が該カットオフポイントよりも高い患者を、TSU−68又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法に対して十分な治療効果を示す可能性が高い患者として予測し認定する工程、及び
(4)上記工程(3)にて認定された患者に対してTSU−68又はその塩を含有する抗腫瘍剤を投与する工程。
上記選抜および治療する方法において用いられるPDGF−BBおよびIL−8のカットオフポイントは、上記されるカットオフポイントを用いることができる。また、上記選抜および治療する方法において用いられる工程(1)〜(3)は、上記予測方法と同様に実施することができる。
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことはいうまでもない。
(実施例1)カットオフポイントの算出
肝細胞癌と診断され、肝切除術及び経皮的局所療法が適応できず、TACEが施術された症例を対象とし、TSU-68投与群及び非投与群の比較臨床試験を実施した。ここで、TACEで用いた抗腫瘍剤は、エピルビシンである。
対象症例をTSU-68投与群と非投与群にランダムに割り付けた。TSU-68投与群に割り付けられた症例は、TACE施術後2週間以内にTSU-68の投与を開始した。TSU−68の投与は1回200mgを朝食後及び夕食後に1日2回、連日経口投与した。非投与群は、TACE施術後、さらなる癌に対する治療は行わず、経過観察を行った。
無増悪生存期間はTACE施術日を起算日とし、以下に示すイベントが確認された日のうち、最も早い日までの期間とした。
1.最良総合効果の判定にて疾患の進行(以下、「PD」と記載)が確認された日(検査日)。
2.あらゆる原因により被験者が死亡した場合(死亡日)。
3.最良総合効果の判定にてPDが確認されなくても、臨床的に明らかな増悪又は後治療の施行が必要であると判断された場合(判断日)。
最良総合効果は、New Guideline to Evaluate the Response to Treatment in Solid Tumor(以下、「RECIST」と記載)(J Natl Cancer Inst 92:205,2000)に習い、腫瘍経をCTにて測定し、又腫瘍マーカー(AFP、PIVKA−II及びAFP−L3分画)を測定することにより評価した。
当該試験におけるTACE後のTSU-68投与群、非投与群の治療成績を表1に示す。
Figure 2011078312
TACE施術後TSU-68投与前に得られた血液中におけるPDGF−BB及びIL−8の発現量を以下に示すELISA Kitにより測定した。
Figure 2011078312
定量したPDGF−BB及びIL−8の値を元に、次のような統計解析手法によりカットオフポイントを求めた。
(1)患者をPDGF−BBの高発現群と低発現群に分けるカットオフポイントであって、当該PDGF−BBの高発現群の症例において、TSU-68投与群と非投与群の6ヶ月無増悪生存率の差が20%以上となるカットオフポイントを算出したところ、1480〜2030pg/mlであった。
(2)患者をPDGF−BBの高発現群と低発現群に分けるカットオフポイントであって、当該PDGF−BBの高発現群の症例において、TSU-68投与群の非投与群に対するハザード比が0.6以下となるカットオフポイントを算出したところ、1740〜1960pg/mlであった。
(3)患者をIL−8の高発現群と低発現群に分けるカットオフポイントであって、当該IL−8の高発現群の症例において、TSU−68投与群と非投与群の6ヶ月無増悪生存率の差が20%以上となるカットオフポイントを算出したところ、2.1〜6.6pg/mlであった。
(4)患者をIL−8の高発現群と低発現群に分けるカットオフポイントであって、当該IL−8の高発現群の症例において、TSU−68投与群の非投与群に対するハザード比が0.6以下となるカットオフポイントを算出したところ、2.1〜10.5pg/mlであった。
(実施例2)PDGF−BB又はIL−8を指標にして選択された患者での治療効果
実施例1で算出したカットオフポイントを用いてPDGF−BB又はIL−8の高発現群及び低発現群におけるTSU-68投与群と非投与群の生存期間解析を実施した。結果を表3〜表9に示す。
Figure 2011078312
上記表3のとおり、PDGF−BB高発現群のTSU−68投与群と非投与群における6ヶ月無増悪生存率の差が20%以上となるカットオフポイントのうち下限値である1480pg/mlをカットオフポイントとして採用した場合、PDGF−BB低発現群では、TSU−68投与群は非投与群とほぼ同等の治療効果を示したのに対し、PDGF−BB高発現群では、TSU−68投与群は非投与群よりも顕著に優れた治療効果を示した。
Figure 2011078312
上記表4のとおり、PDGF−BB高発現群において、TSU−68投与群の非投与群に対するハザード比が0.6以下となるカットオフポイントのうち下限値である1740pg/mlをカットオフポイントとして採用した場合、PDGF−BB低発現群では、TSU−68投与群は非投与群とほぼ同等の治療効果を示したのに対し、PDGF−BB高発現群では、TSU−68投与群は非投与群よりも顕著に優れた治療効果を示した。
Figure 2011078312
上記表5のとおり、PDGF−BB高発現群において、TSU−68投与群の非投与群に対するハザード比が0.6以下となるカットオフポイントのうち上限値である1960pg/mlをカットオフポイントとして採用した場合、PDGF−BB低発現群では、TSU−68投与群は非投与群とほぼ同等の治療効果を示したのに対し、PDGF−BB高発現群では、TSU−68投与群は非投与群よりも顕著に優れた治療効果を示した。
Figure 2011078312
上記表6のとおり、PDGF−BB高発現群のTSU−68投与群と非投与群における6ヶ月無増悪生存率の差が20%以上となるカットオフポイントのうち上限値である2030pg/mlをカットオフポイントとして採用した場合、PDGF−BB低発現群では、TSU−68投与群は非投与群とほぼ同等の治療効果を示したのに対し、PDGF−BB高発現群では、TSU−68投与群は非投与群よりも顕著に優れた治療効果を示した。
Figure 2011078312
上記表7のとおり、IL−8高発現群のTSU−68投与群と非投与群における6ヶ月無増悪生存率の差が20%以上となるカットオフポイントのうち下限値であり、IL−8高発現群のTSU−68投与群の非投与群に対するハザード比が0.6以下となるカットオフポイントのうち下限値である2.1pg/mlをカットオフポイントとして採用した場合、IL−8低発現群では、TSU−68投与群は非投与群とほぼ同等の治療効果を示したのに対し、IL−8高発現群では、TSU−68投与群は非投与群よりも顕著に優れた治療効果を示した。
Figure 2011078312
上記表8のとおり、IL−8高発現群のTSU−68投与群と非投与群における6ヶ月無増悪生存率の差が20%以上となるカットオフポイントのうち上限値であり、全症例におけるIL−8発現量の中央値である6.6pg/mlをカットオフポイントとして採用した場合、IL−8低発現群では、TSU−68投与群は非投与群とほぼ同等の治療効果を示したのに対し、IL−8高発現群では、TSU−68投与群は非投与群よりも顕著に優れた治療効果を示した。
Figure 2011078312
上記表9のとおり、IL−8高発現群のTSU−68投与群の非投与群に対するハザード比が0.6以下となるカットオフポイントのうち上限値である10.5pg/mlをカットオフポイントとして採用した場合、IL−8低発現群では、TSU−68投与群は非投与群とほぼ同等の治療効果を示したのに対し、IL−8高発現群では、TSU−68投与群は非投与群よりも顕著に優れた治療効果を示した。
以上の通り、PDGF−BB又はIL−8の血中量が低い患者では、TSU-68投与群と非投与群で同程度の治療効果であったのに対して、PDGF−BB又はIL−8の血中量が高い患者では、TSU-68投与群と非投与群の6ヶ月無増悪生存率の差が22〜27%、ハザード比が0.51〜0.68という顕著に優れた治療効果が得られた。
以上のように、PDGF−BB又はIL−8を指標してTACEが施術された肝細胞癌患者を選択する事により、TSU-68は飛躍的に優れた治療効果を期待できることが明らかとなった。
なお、TACE処理を受けていない肝細胞癌患者に対する化学療法においてPDGF−BBやVCAM等を指標として治療効果を予測し得ると報告されているが(European Journal of Cancer Supplements, 6(12):17 #43, 2008 , “Assessment of predictive biological markers with an oral angiogenic receptor tyrosine kinase (RTK) inhibitor, TSU-68, in the Phase I/II study for advanced hepatocellular carcinoma (HCC), T. Okusaka et al.)、報告されているVCAMのカットオフポイント(2370pg/ml)を用いて本発明の患者群を層別化した場合、TSU−68投与群と非投与群における6ヶ月無増悪生存率の差が20%以上、およびハザード比が0.6以下となる結果は得られなかった(データ示さず)。これはTACE処理を受けた肝細胞癌患者とTACE処理を受けていない肝細胞癌患者では様々な遺伝子の発現が異なっていることに起因すると考えられる(Liao X. et al, J Huazhong Univ Sci Technolog Med Sci. 2003;23(3):280-2.; Kobayashi N. et al, Liver. 1999 Feb;19(1):25-31.)。この結果は、TACE処理を受けた肝細胞癌患者とTACE処理を受けていない肝細胞癌患者において、TSU-68投与による化学療法の治療効果を予測するための指標として利用し得る分子群が異なることを示唆する。また、この結果は血管新生に関与し得る分子が全てTSU-68投与による化学療法の治療効果を予測するための指標として利用し得ないことを示唆する。
本発明の予測方法により、TSU−68を使用する化学療法を治療効果が見込めるTAE施術後の肝細胞癌患者に対してのみ的確に提供することが可能となる。これにより、不要な化学療法を省くことができ、患者の負担を軽減できると共に、医療経済的にも有益である。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。

Claims (6)

  1. 下記工程(1)〜(3)を含む、肝動脈塞栓術を施術された肝細胞癌患者における(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法の治療効果を予測する方法:
    (1)該患者から採取された生体試料に含まれるPDGF−BB又はIL−8の発現量を測定する工程、
    (2)上記工程(1)で得られたPDGF−BB又はIL−8の発現量を、予め設定した対応するカットオフポイントと比較する工程、及び
    (3)上記工程(2)における比較の結果、PDGF−BB又はIL−8の発現量が該カットオフポイントよりも高い場合、該患者に対する(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測する工程。
  2. 肝動脈塞栓術が肝動脈化学塞栓療法である、請求項1記載の方法。
  3. 請求項1又は2の方法により(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測された癌患者に投与されることを特徴とする、(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ヂメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する抗腫瘍剤。
  4. 請求項3に記載の抗腫瘍剤および請求項1又は2の方法により(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測された癌患者に、(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を投与することを記載した使用説明書を含む、抗腫瘍剤キット。
  5. 肝動脈塞栓術を施術された肝細胞癌患者における肝細胞癌を治療する方法であって、請求項1又は2の方法により(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測された癌患者に対して、(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ヂメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する抗腫瘍剤を投与することを含む、上記方法。
  6. 肝動脈塞栓術を施術された肝細胞癌患者における肝細胞癌の治療において、請求項1又は2の方法により(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する抗腫瘍剤を用いた化学療法が十分な治療効果を示す可能性が高いと予測された癌患者に対して使用するための、(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ヂメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩。
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