JPWO2011061861A1 - 圧縮比可変v型内燃機関 - Google Patents
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Abstract
本圧縮比可変V型内燃機関は、二つの気筒群のシリンダブロック10を一体化させてクランクケースに対して相対移動させる圧縮比可変V型内燃機関であって、シリンダブロックの第一気筒群側10aへ複数のサポート31を介して固定される第一相対移動機構と、シリンダブロックの第二気筒群側10bへ複数のサポート41を介して固定される第二相対移動機構とを具備し、第一相対移動機構のサポートの数は、第一気筒群側の側面視において、第一気筒群における各気筒の中心軸線C1、C3、C5の両側に第一相対移動機構のサポートの一つが位置するように少なくとも第一気筒群の気筒数より1だけ多い数とされ、第二相対移動機構のサポートの数は、第二気筒群側の側面視において、第二気筒群における各気筒の中心軸線C2、C4、C6の両側に第二相対移動機構のサポートの一つが位置するように少なくとも第二気筒群の気筒数より1だけ多い数とされ、第一気筒群の各気筒と第二気筒群の各気筒との間のクランク軸方向のオフセットによって、第一気筒群側の側面視において、第二気筒群の各気筒における中心軸線上には、第一相対移動機構のサポートの一つが位置し、第二気筒群側の側面視において、第一気筒群の各気筒における中心軸線上には、第二相対移動機構のサポートの一つが位置するようになっている。
Description
本発明は、圧縮比可変V型内燃機関に関する。
一般的に、機関負荷が低いほど熱効率が悪化するために、機関低負荷時の機械圧縮比((上死点シリンダ容積+行程容積)/上死点シリンダ容積)を高くして膨張比を高くすることにより熱効率を改善することが望ましい。そのために、シリンダブロックとクランクケースとを相対移動させてシリンダブロックとクランク軸との間の距離を変化させることにより機械圧縮比を可変とすることが公知である。
V型内燃機関においては、二つの気筒群のそれぞれのシリンダブロック部分を別々に、各気筒群の気筒中心線に沿ってクランクケースに対して相対移動させることが提案されているが、各シリンダブロック部分を一つのリンク機構(又はカム機構)により相対移動させることは困難であり、シリンダブロック部分毎に一対のリンク機構(又はカム機構)が必要となるために全体として二対のリンク機構が必要となってしまう。
リンク機構の数を低減するために、二つの気筒群のシリンダブロックを一体化し、こうして一体化させたシリンダブロックを一対の相対移動機構(例えば、一対のリンク機構)によりクランクケースに対して相対移動させる圧縮比可変V型内燃機関が提案されている(特許文献1参照)。
一方の気筒群側の相対移動機構及び他方の気筒群側の相対移動機構は、それぞれに、シリンダブロックへの固定のための複数のサポートと、クランクケースへの固定のための複数のサポートとを有している。
一般的に、一方の気筒群側の相対移動機構におけるシリンダブロック側の複数のサポートと、他方の気筒群側の相対移動機構におけるシリンダブロック側の複数のサポートとは、二つの気筒群の間の中間平面に対して対称配置されている。
V型内燃機関においては、二つの気筒群のそれぞれのシリンダブロック部分を別々に、各気筒群の気筒中心線に沿ってクランクケースに対して相対移動させることが提案されているが、各シリンダブロック部分を一つのリンク機構(又はカム機構)により相対移動させることは困難であり、シリンダブロック部分毎に一対のリンク機構(又はカム機構)が必要となるために全体として二対のリンク機構が必要となってしまう。
リンク機構の数を低減するために、二つの気筒群のシリンダブロックを一体化し、こうして一体化させたシリンダブロックを一対の相対移動機構(例えば、一対のリンク機構)によりクランクケースに対して相対移動させる圧縮比可変V型内燃機関が提案されている(特許文献1参照)。
一方の気筒群側の相対移動機構及び他方の気筒群側の相対移動機構は、それぞれに、シリンダブロックへの固定のための複数のサポートと、クランクケースへの固定のための複数のサポートとを有している。
一般的に、一方の気筒群側の相対移動機構におけるシリンダブロック側の複数のサポートと、他方の気筒群側の相対移動機構におけるシリンダブロック側の複数のサポートとは、二つの気筒群の間の中間平面に対して対称配置されている。
ところで、前述の圧縮比可変V型内燃機関において、シリンダブロックとクランクケースとは、一対の相対移動機構だけによって連結され、各気筒の爆発時に気筒軸線方向にシリンダブロックを押し上げようとする力は、一対の相対移動機構に作用することとなる。
一対の相対移動機構のシリンダブロック側のサポートが前述のように対称配置されていると、各気筒の爆発時に発生する力は、主に一つ又は二つのサポートに作用することとなり、各サポートを厚くする等して各サポートの強度を高めることが必要となる。
従って、本発明の目的は、二つの気筒群のシリンダブロックを一体化させてクランクケースに対して相対移動させる圧縮比可変V型内燃機関において、一対の相対移動機構のそれぞれのシリンダブロック側の複数のサポートの強度をそれほど高めなくても良いようにすることである。
一対の相対移動機構のシリンダブロック側のサポートが前述のように対称配置されていると、各気筒の爆発時に発生する力は、主に一つ又は二つのサポートに作用することとなり、各サポートを厚くする等して各サポートの強度を高めることが必要となる。
従って、本発明の目的は、二つの気筒群のシリンダブロックを一体化させてクランクケースに対して相対移動させる圧縮比可変V型内燃機関において、一対の相対移動機構のそれぞれのシリンダブロック側の複数のサポートの強度をそれほど高めなくても良いようにすることである。
本発明による請求項1に記載の圧縮比可変V型内燃機関は、二つの気筒群のシリンダブロックを一体化させてクランクケースに対して相対移動させる圧縮比可変V型内燃機関であって、前記シリンダブロックの第一気筒群側へ複数のサポートを介して固定される第一相対移動機構と、前記シリンダブロックの第二気筒群側へ複数のサポートを介して固定される第二相対移動機構とを具備し、前記第一相対移動機構の前記サポートの数は、前記第一気筒群側の側面視において、前記第一気筒群における各気筒の中心軸線の両側に前記第一相対移動機構の前記サポートの一つが位置するように少なくとも前記第一気筒群の気筒数より1だけ多い数とされ、前記第二相対移動機構の前記サポートの数は、前記第二気筒群側の側面視において、前記第二気筒群における各気筒の中心軸線の両側に前記第二相対移動機構の前記サポートの一つが位置するように少なくとも前記第二気筒群の気筒数より1だけ多い数とされ、前記第一気筒群の各気筒と前記第二気筒群の各気筒との間のクランク軸方向のオフセットによって、前記第一気筒群側の側面視において、前記第二気筒群の各気筒における中心軸線上には、前記第一相対移動機構の前記サポートの一つが位置し、前記第二気筒群側の側面視において、前記第一気筒群の各気筒における中心軸線上には、前記第二相対移動機構の前記サポートの一つが位置するようになっていることを特徴とする。
本発明による請求項2に記載の圧縮比可変V型内燃機関は、請求項1に記載の圧縮比可変V型内燃機関において、前記第一相対移動機構の前記サポートは、前記第一気筒群側の側面視において前記第一気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置する第一サポートと、前記第一気筒群側の側面視において前記第一気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置していない第二サポートとからなり、前記第一サポートの厚さは、前記第二サポートの厚さの二倍であり、前記第二相対移動機構の前記サポートは、前記第二気筒群側の側面視において前記第二気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置する第三サポートと、前記第二気筒群側の側面視において前記第二気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置していない第四サポートとからなり、前記第三サポートの厚さは、前記第四サポートの厚さの二倍であることを特徴とする。
本発明による請求項3に記載の圧縮比可変V型内燃機関は、請求項1又は2に記載の圧縮比可変V型内燃機関において、前記第一相対移動機構と前記第二相対移動機構とは独立して制御可能とされ、前記第一相対移動機構により前記シリンダブロックの前記第一気筒群側にもたらされるクランク軸中心を通る正面視の機関中心線方向における第一相対移動距離と、前記第二相対移動機構により前記シリンダブロックの前記第二気筒群側にもたらされる前記機関中心線方向における第二相対移動距離とを異ならせることができるようになっており、前記第一気筒群のいずれの気筒も膨張行程となっていない時に前記第一相対移動機構により前記第一相対移動距離を変化させ、前記第二気筒群のいずれの気筒も膨張行程となっていない時に前記第二相対移動機構により前記第二相対移動距離を変化させることを特徴とする。
本発明による請求項2に記載の圧縮比可変V型内燃機関は、請求項1に記載の圧縮比可変V型内燃機関において、前記第一相対移動機構の前記サポートは、前記第一気筒群側の側面視において前記第一気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置する第一サポートと、前記第一気筒群側の側面視において前記第一気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置していない第二サポートとからなり、前記第一サポートの厚さは、前記第二サポートの厚さの二倍であり、前記第二相対移動機構の前記サポートは、前記第二気筒群側の側面視において前記第二気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置する第三サポートと、前記第二気筒群側の側面視において前記第二気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置していない第四サポートとからなり、前記第三サポートの厚さは、前記第四サポートの厚さの二倍であることを特徴とする。
本発明による請求項3に記載の圧縮比可変V型内燃機関は、請求項1又は2に記載の圧縮比可変V型内燃機関において、前記第一相対移動機構と前記第二相対移動機構とは独立して制御可能とされ、前記第一相対移動機構により前記シリンダブロックの前記第一気筒群側にもたらされるクランク軸中心を通る正面視の機関中心線方向における第一相対移動距離と、前記第二相対移動機構により前記シリンダブロックの前記第二気筒群側にもたらされる前記機関中心線方向における第二相対移動距離とを異ならせることができるようになっており、前記第一気筒群のいずれの気筒も膨張行程となっていない時に前記第一相対移動機構により前記第一相対移動距離を変化させ、前記第二気筒群のいずれの気筒も膨張行程となっていない時に前記第二相対移動機構により前記第二相対移動距離を変化させることを特徴とする。
本発明による請求項1に記載の圧縮比可変V型内燃機関によれば、第一相対移動機構をシリンダブロックの第一気筒群側へ固定するためのサポートの数は、第一気筒群側の側面視において、第一気筒群における各気筒の中心軸線の両側に第一相対移動機構のサポートの一つが位置するように少なくとも第一気筒群の気筒数より1だけ多い数とされ、第二相対移動機構をシリンダブロックの第二気筒群側へ固定するためのサポートの数は、第二気筒群側の側面視において、第二気筒群における各気筒の中心軸線の両側に第二相対移動機構のサポートの一つが位置するように少なくとも第二気筒群の気筒数より1だけ多い数とされ、第一気筒群の各気筒と第二気筒群の各気筒との間のクランク軸方向のオフセットによって、第一気筒群側の側面視において、第二気筒群の各気筒における中心軸線上には、第一相対移動機構のサポートの一つが位置し、第二気筒群側の側面視において、第一気筒群の各気筒における中心軸線上には、第二相対移動機構の前記サポートの一つが位置するようになっている。それにより、各気筒の爆発時に気筒軸線方向にシリンダブロックを押し上げようとする力は、爆発気筒に対応する気筒群側の側面視において爆発気筒に近接する二つのサポートと、もう一つの気筒群側の側面視において爆発気筒の中心軸線上に位置する一つのサポートとに作用するようになり、この力が主に一つ又は二つのサポートに作用する場合に比較して、第一相対移動機構及び第二相対移動機構の各サポートの強度をそれほど高める必要はない。
本発明による請求項2に記載の圧縮比可変V型内燃機関によれば、請求項1に記載の圧縮比可変V型内燃機関において、第一相対移動機構のサポートは、第一気筒群側の側面視において第一気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置する第一サポートと、第一気筒群側の側面視において第一気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置していない第二サポートとからなり、第一サポートは、隣接する二つの気筒に共通に近接するために、二つの気筒の爆発時の力が作用し、一つの気筒にだけ近接する第二サポートより二倍の回数だけ爆発時の力が作用することとなるために、第一サポートの厚さを第二サポートの厚さの二倍として強度も二倍としており、また、第二相対移動機構のサポートは、第二気筒群側の側面視において第二気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置する第三サポートと、第二気筒群側の側面視において第二気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置していない第四サポートとからなり、第三サポートは、隣接する二つの気筒に共通に近接するために、二つの気筒の爆発時の力が作用し、一つの気筒にだけ近接する第四サポートより二倍の回数だけ爆発時の力が作用することとなるために、第三サポートの厚さを第四サポートの厚さの二倍として強度も二倍としている。
本発明による請求項3に記載の圧縮比可変V型内燃機関は、請求項1又は2に記載の圧縮比可変V型内燃機関において、第一相対移動機構と第二相対移動機構とは独立して制御可能とされ、第一相対移動機構によりシリンダブロックの第一気筒群側にもたらされるクランク軸中心を通る正面視の機関中心線方向における第一相対移動距離と、第二相対移動機構によりシリンダブロックの第二気筒群側にもたらされる機関中心線方向における第二相対移動距離とを異ならせることができるようになっており、第一気筒群のいずれの気筒も膨張行程となっていない時には、第二気筒群のいずれかの気筒が膨張行程となるが、この爆発気筒の力は第二相対移動機構に比較してモーメント長さが長くなる第一相対移動機構にはそれほど作用せず、第一相対移動機構により容易に第一相対移動距離を変化させることができ、また、第二気筒群のいずれの気筒も膨張行程となっていない時には、第一気筒群のいずれかの気筒が膨張行程となるが、この爆発気筒の力は第一相対移動機構に比較してモーメント長さが長くなる第二相対移動機構にはそれほど作用せず、第二相対移動機構により容易に第二相対移動距離を変化させることができる。
本発明による請求項2に記載の圧縮比可変V型内燃機関によれば、請求項1に記載の圧縮比可変V型内燃機関において、第一相対移動機構のサポートは、第一気筒群側の側面視において第一気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置する第一サポートと、第一気筒群側の側面視において第一気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置していない第二サポートとからなり、第一サポートは、隣接する二つの気筒に共通に近接するために、二つの気筒の爆発時の力が作用し、一つの気筒にだけ近接する第二サポートより二倍の回数だけ爆発時の力が作用することとなるために、第一サポートの厚さを第二サポートの厚さの二倍として強度も二倍としており、また、第二相対移動機構のサポートは、第二気筒群側の側面視において第二気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置する第三サポートと、第二気筒群側の側面視において第二気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置していない第四サポートとからなり、第三サポートは、隣接する二つの気筒に共通に近接するために、二つの気筒の爆発時の力が作用し、一つの気筒にだけ近接する第四サポートより二倍の回数だけ爆発時の力が作用することとなるために、第三サポートの厚さを第四サポートの厚さの二倍として強度も二倍としている。
本発明による請求項3に記載の圧縮比可変V型内燃機関は、請求項1又は2に記載の圧縮比可変V型内燃機関において、第一相対移動機構と第二相対移動機構とは独立して制御可能とされ、第一相対移動機構によりシリンダブロックの第一気筒群側にもたらされるクランク軸中心を通る正面視の機関中心線方向における第一相対移動距離と、第二相対移動機構によりシリンダブロックの第二気筒群側にもたらされる機関中心線方向における第二相対移動距離とを異ならせることができるようになっており、第一気筒群のいずれの気筒も膨張行程となっていない時には、第二気筒群のいずれかの気筒が膨張行程となるが、この爆発気筒の力は第二相対移動機構に比較してモーメント長さが長くなる第一相対移動機構にはそれほど作用せず、第一相対移動機構により容易に第一相対移動距離を変化させることができ、また、第二気筒群のいずれの気筒も膨張行程となっていない時には、第一気筒群のいずれかの気筒が膨張行程となるが、この爆発気筒の力は第一相対移動機構に比較してモーメント長さが長くなる第二相対移動機構にはそれほど作用せず、第二相対移動機構により容易に第二相対移動距離を変化させることができる。
図1は本発明による圧縮比可変V型内燃機関の一部を示す斜視図であり、同図において、10はシリンダブロック、20はクランクケース、30は第一気筒群側の第一相対移動機構、40は第二気筒群側の第二相対移動機構である。シリンダブロック10は、第一気筒群側部分10aと第二気筒群側部分10bとが一体的に形成されており、第一気筒群側のシリンダボア11内及び第二気筒群側のシリンダボア12内にはそれぞれピストン13が配置されている。各ピストン13はコンロッド14によりクランクシャフト15に連結されている。
本V型内燃機関は、火花点火式であり、シリンダブロック10の第一気筒群側部分10a及び第二気筒群側部分10bにはそれぞれシリンダヘッド(図示せず)が取り付けられ、各シリンダヘッドには、シリンダボア毎に点火プラグが取り付けられる。各シリンダヘッドには、吸気ポート及び排気ポートが形成され、各吸気ポートは吸気弁を介して各シリンダボアに連通し、各排気ポートは排気弁を介して各シリンダボア11に連通している。シリンダヘッド毎に、吸気マニホルド及び排気マニホルドが接続され、各吸気マニホルドは互いに独立して又は合流してエアクリーナを介して大気へ開放し、各排気マニホルドも互いに独立して又は合流して触媒装置を介して大気へ開放している。また、本V型内燃機関はディーゼルエンジンでも良い。
一般的に、機関負荷が低いほど熱効率が悪化するために、機関低負荷時の機械圧縮比を高くして膨張比を高くすれば、膨張行程においてピストンの仕事期間が長くなるために熱効率を改善することができる。機械圧縮比は、上死点クランク角度におけるシリンダ容積V1に対する上死点クランク角度におけるシリンダ容積V1と行程容積V2との和(V1+V2)/V1であり、膨張行程の膨張比と等しい。それにより、本V型内燃機関は、第一相対移動機構30と第二相対移動機構40とによって、シリンダブロック10をクランクケース20に対して相対移動させ、シリンダブロック10とクランク軸15との間の距離を変化させることにより、第一気筒群及び第二気筒群の機械圧縮比を可変とし、例えば、機関負荷が低いほど機械圧縮比を高めるように機械圧縮比が制御される。
第一相対移動機構30は、図2に示すように、シリンダブロック10の第一気筒群側部分10aの側面下部に固定された複数のシリンダブロック側サポート31と、クランクケース20の第一気筒群側の側面上部に固定された複数のクランクケース側サポート32とを有し、シリンダブロック側サポート31及びクランクケース側サポート32は交互に位置して一つの第一軸33を支持する。こうして、第一相対移動機構30を介してシリンダブロック10の第一気筒群側部分10aとクランクケース20の第一気筒群側とが連結される。
シリンダブロック側サポート及びクランクケース側サポート32は、第一軸33の支持を可能とするために、それぞれ、31a及び31bと、32a及び32bとに二分割されている。第一軸33は、シリンダブロック側サポート31に支持される複数のシリンダブロック側支持部分33aと、クランクケース側サポート32に支持される複数のクランクケース側支持部分33bとを有し、各シリンダブロック側支持部分33aは互いに同心であり、各クランクケース側支持部分33bは互いに同心である。しかしながら、シリンダブロック側支持部分33aとクランクケース側支持部分33bとは偏心している。34は各シリンダブロック側支持部分33aに嵌装されるベアリングであり、35は各クランクケース側支持部分33bに嵌装されるベアリングである。それぞれ、各シリンダブロック側支持部分33a及び各クランクケース側支持部分33bへの嵌装が可能なように二分割されている。33cは第一軸33のクランクケース側支持部分33bと同心の扇形状ギヤである。
図4に示すように、扇形状ギヤ33cは小径ギヤ36と噛合し、小径ギヤ36と同心の大径ギヤ37は、第一モータ39のウォームギヤ38と噛合している。こうして、第一モータ39を作動させてウォームギヤ38を回転させることにより、大径ギヤ37、小径ギヤ36及び扇形状ギヤ33cを介して、第一軸33をクランクケース側支持部分33b回りに回動させることができる。
一方、第二相対移動機構40は、図3に示すように、シリンダブロック10の第二気筒群側部分10bの側面下部に固定された複数のシリンダブロック側サポート41と、クランクケース20の第二気筒群側の側面上部に固定される複数のクランクケース側サポート42とを有している。クランクケース側サポート42は、それぞれに二つの軸受42aを有し、二つの軸受42aの間にはアーム43が挿入される。アーム43は、端部に第一貫通穴43a及び第二貫通穴43bを有し、第一貫通穴43aには偏心ボス43cが挿入される。第二軸44は、各クランクケース側サポート42の二つの軸受42aを貫通すると共に、各アーム43の第一貫通穴43a内に挿入された偏心ボス43cの偏心穴を貫通する。また、第三軸45は、各シリンダブロック側サポート41と、二つのシリンダブロック側サポート41の間に位置する各アーム43の第二貫通穴43bを貫通する。こうして、第二相対移動機構40を介してシリンダブロック10の第二気筒群側部分10bとクランクケース20の第二気筒群側とが連結される。
シリンダブロック側サポート41及びクランクケース側サポート42の軸受42aには、ベアリングが配置されている。44aは第二軸44と同心の扇形状ギヤである。図4に示すように、扇形状ギヤ44aは小径ギヤ46と噛合し、小径ギヤ46と同心の大径ギヤ47は、第二モータ49のウォームギヤ48と噛合している。こうして、第二モータ49を作動させてウォームギヤ48を回転させることにより、大径ギヤ47、小径ギヤ46及び扇形状ギヤ44aを介して、第二軸44を回動させ、偏心穴への挿入により第二軸44と一体化された偏心ボス43cをアーム43の第一貫通穴43aにおいて第二軸44回りに回動させることができる。
図4において、CEは、正面視において、クランク軸15の中心を通る機関中心線であり、一般的にはクランク軸中心を通る垂直線である。本実施形態では、シリンダブロック10とクランクケース20とが当接する図4に示すシリンダブロック10の最下位置において、正面視において第一気筒群の気筒中心線と第二気筒群の気筒中心線との間のシリンダブロック中心線CBと、機関中心線CEとは一致し、また、正面視において第一気筒群の気筒中心線と第二気筒群の気筒中心線との交点である正面視交点と、クランク軸中心とが一致している。
図5に示すように、本実施形態の圧縮比可変V型内燃機関では、機械圧縮比を変更するために、第一相対移動機構30の第一モータ39を作動させて、第一軸33をクランクケース側支持部分33b回りに回動させ、それにより、第一相対移動機構30は、一自由度のリンク機構として、クランクケース側支持部分33bに対して偏心するシリンダブロック側支持部分33aを介してシリンダブロック10の第一気筒群側をクランクケース20に対して機関中心線CE方向に第一設定距離D1だけ移動させる。それと同時に、第二相対移動機構40の第二モータ49を作動させて、第二軸44を回動させ、それにより、第二相対移動機構40は、二自由度のリンク機構として、第二軸44に対して偏心する偏心ボス43cを介してアーム43によりシリンダブロック10の第二気筒群側をクランクケース20に対して機関中心線CE方向に第一設定距離D1より小さな第二設定距離D2だけ移動させる。
このように、一点鎖線で示す最下位置のシリンダブロック10’は、実線で示すシリンダブロック10のように移動し、一点鎖線で示す最下位置の第一軸33のシリンダブロック側支持部分33a’、アーム43の第一貫通穴43a’及び第二貫通穴43b’もそれぞれ実線で示すシリンダブロック側支持部分33a、第一貫通穴43a及び第二貫通穴43bのように移動する。
第一相対移動機構30が簡単な一自由度のリンク機構とされているために、シリンダブロック10はクランクケース20に対して上方(機関中心線CE方向)へ移動させられると同時に第二気筒群側へ移動させられるために、そのままでは、第一気筒群の機械圧縮比及び第二気筒群の機械圧縮比を両方とも小さくすることはできるが、第二気筒群の機械圧縮比は第二気筒群の機械圧縮比より小さくなってしまう。それにより、第二相対移動機構40によって、シリンダブロック10は第一気筒群側に比較して第二気筒群側が上方へ小さく移動されるようにし、正面視においてシリンダブロック中心線CBは機関中心線CEに対して傾けられる。それにより、シリンダブロック10が第二気筒群側へDだけ移動しても、第一気筒群の機械圧縮比と第二気筒群側の機械圧縮比とを等しく所望機械圧縮比とすることができる。
図6は本発明による圧縮比可変V型内燃機関のシリンダブロック10の平面図である。本実施形態において、第一相対移動機構30をシリンダブロック10の第一気筒群側部分10aへ固定するためのシリンダブロック側サポート31の数は、第一気筒群側部分10aの側面視において、第一気筒群の各気筒における中心軸線C1、C3、C5の両側にシリンダブロック側サポート31の一つが位置するように少なくとも第一気筒群の気筒数より1だけ多い数とされ、すなわち、本実施形態において、第一気筒群の気筒数が三つであるためにシリンダブロック側サポート31の数は四つとされている。
また、第二相対移動機構40をシリンダブロック10の第二気筒群側部分10bへ固定するためのシリンダブロック側サポート41の数は、第二気筒群側部分10bの側面視において、第二気筒群の各気筒における中心軸線C2、C4、C6の両側にシリンダブロック側サポート41の一つが位置するように少なくとも第二気筒群の気筒数より1だけ多い数とされ、すなわち、本実施形態において、第二気筒群の気筒数が三つであるためにシリンダブロック側サポート41の数は四つとされている。
また、第一気筒群の各気筒と第二気筒群の各気筒との間のクランク軸方向のオフセットによって、第一気筒群側部分10aの側面視において、第二気筒群の各気筒における中心軸線C2、C4、C6上には、第一相対移動機構のサポート31の一つが位置し(サポート31の中心線と各気筒の中心軸線C2、C4、C6の中心軸線とを一致させることが好ましい。)、第二気筒群側部分10bの側面視において、第一気筒群の各気筒における中心軸線上C1、C3、C5には、第二相対移動機構の前記サポート41の一つが位置するようになっている(サポート41の中心線と各気筒の中心軸線C1、C3、C5の中心軸線とを一致させることが好ましい。)。
図7は本発明による圧縮比可変V型内燃機関のもう一つの実施形態を示すシリンダブロック10’の正面図である。図4及び6に示す実施形態との違いは、第一相対移動機構のシリンダブロック側サポート31’がシリンダブロック10’の第一気筒群側部分10a’の側面の最上部に配置され、第二相対移動機構のシリンダブロック側サポート41’がシリンダブロック10’の第二気筒群側部分10b’の側面の最上部に配置されていることである。
いずれの実施形態においても、各気筒の爆発時には、図7に示すように、爆発気筒の中心軸線方向にシリンダブロックを押し上げようとする力Fが発生する。この力Fは、主に、爆発気筒の近傍の第一相対移動機構及び第二相対移動機構のシリンダブロック側サポートに作用することとなり、図6に示すシリンダブロック側サポートの配置では、爆発気筒に対応する気筒群側の側面視において爆発気筒に近接する二つのシリンダブロック側サポートと、他方の気筒群側の側面視において爆発気筒の中心軸線上に位置する一つのシリンダブロック側サポートとに作用するようになり、このように、各気筒の爆発時に発生する力を、三つのシリンダブロック側サポートに分散して作用させることができるために、第一相対移動機構及び第二相対移動機構の各シリンダブロック側サポート31及び41の強度をそれほど高める必要はない。これに対して、一般的には、第一相対移動機構及び第二相対移動機構の各シリンダブロック側サポートは、二つの気筒群の間の中間平面に対して対称配置されているために、前述の力Fは主に一つ又は二つのサポートだけに作用することとなり、各シリンダブロック側サポートの強度を非常に高めなければならない。
例えば、図6において、中心軸線C4を有する第二気筒群の#4気筒が爆発する時には、前述の力Fは、第二気筒群側部分10bの側面視において#4気筒の中心軸線C4の両側に位置する二つの第二相対移動機構のシリンダブロック側サポート41(24)及び41(46)と、第一気筒群側部分10aの側面視において#4気筒の中心軸線C4上に位置する一つの第一相対移動機構のシリンダブロック側サポート31(35)とに作用することとなる。また、中心軸線C5を有する第一気筒群の#5気筒が爆発する時には、前述の力Fは、第一気筒群側部分10aの側面視において#5気筒の中心軸線C5の両側に位置する二つの第一相対移動機構のシリンダブロック側サポート31(35)及び31(55)と、第二気筒群側部分10bの側面視において#5気筒の中心軸線C5上に位置する一つの第二相対移動機構のシリンダブロック側サポート41(46)とに作用することとなる。
また、第一相対移動機構30のシリンダブロック側サポート31は、第一気筒群側部分10aの側面視において第一気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置する第一サポート31(13)及び31(35)と、第一気筒群側部分10aの側面視において第一気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置していない第二サポート31(11)及び31(55)とからなり、第一サポート31(13)及び31(35)は、二つの気筒に共通に近接するために、二つの気筒の爆発時の力が作用し、一つの気筒にだけ近接する第二サポート31(11)及び31(55)より二倍の回数だけ爆発時の力が作用することとなるために、第一サポート31(13)及び31(35)の厚e2を第二サポート31(11)及び31(55)の厚さe1の二倍として強度も二倍としている。
また、第二相対移動機構40のシリンダブロック側サポート41は、第二気筒群側部分10bの側面視において第二気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置する第三サポート41(24)及び31(46)と、第二気筒群側部分10bの側面視において第二気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置していない第四サポート41(22)及び31(66)とからなり、第三サポート41(24)及び41(46)は、二つの気筒に共通に近接するために、二つの気筒の爆発時の力が作用し、一つの気筒にだけ近接する第四サポート41(22)及び41(66)より二倍の回数だけ爆発時の力が作用することとなるために、第三サポート41(24)及び41(46)の厚さe2を第四サポート41(22)及び41(66)の厚さe1の二倍として強度も二倍としている。
また、第一サポート31(13)及び31(35)、第二サポート31(11)及び31(55)、第三サポート41(24)及び31(46)、及び、第四サポート41(22)及び31(66)は、いずれも、側面視において、隣接する各気筒の中心軸線C1、C2、C3、C4、C5、及びC6から等距離dだけ離間するようにしている。
ところで、図7に示す実施形態においては、第一相対移動機構のシリンダブロック側サポート31’がシリンダブロック10’の第一気筒群側部分10a’の側面の最上部に配置され、第二相対移動機構のシリンダブロック側サポート41’がシリンダブロック10’の第二気筒群側部分10b’の側面の最上部に配置されているために、爆発時に発生する力Fが、爆発気筒の気筒群側の二つのシリンダブロック側サポート(図7において41’)に作用する力Fcと爆発気筒とは反対の気筒群側の一つのシリンダブロック側サポート(図7において31’)に作用する力Ffとに分けられる際に、爆発気筒の気筒群側の二つのシリンダブロック側サポートの作用点(軸孔中心)までのモーメント長さLcに対して、爆発気筒とは反対の気筒群側の一つのシリンダブロック側サポートの作用点(軸孔中心)までのモーメント長さLfを比較的長くすることができる。
こうして、F=Fc+Ff及びFc*Lc=Ff*Lfの関係から爆発気筒とは反対の気筒群側の一つのシリンダブロック側サポートに作用する力Ffを小さくすることができる。
図8は各気筒の行程の関係を示すタイムチャートである。Iは吸気行程、Cは圧縮行程、Xは膨張行程、Eは排気行程を示している。図6に示すように、#1気筒、#3気筒、及び#5気筒により第一気筒群が構成され、#2気筒、#4気筒、及び#6気筒により第二気筒群が構成され、#1気筒−#2気筒−#3気筒−#4気筒−#5気筒−#6気筒が点火順序である。
図8に示すように、第一気筒群の気筒及び第二気筒群の気筒は、交互に120クランク角度毎に膨張行程となる。それにより、t1で示す60クランク角度範囲においては、第一気筒群のいずれの気筒も膨張行程となっておらず、第二気筒群のいずれかの気筒が膨張行程となって、第二気筒群の爆発気筒の力が第一相対移動機構の対応する一つのシリンダブロック側サポートと第二相対移動機構の対応する二つのシリンダブロック側サポートとに分かれて作用する。この際に、第二相対移動機構のシリンダブロック側サポートに比較してモーメント長さが長くなる第一相対移動機構のシリンダブロック側サポートに作用する力はそれほど大きくならない。それにより、この時において、第一相対移動機構30によりシリンダブロックの第一気筒群側をクランクケースに対して機関中心線CE方向に第一設定距離だけ移動させるようにすれば、小さな作動力によって第一相対移動機構の作動させることができる。
また、t2で示す60クランク角度範囲においては、第二気筒群のいずれの気筒も膨張行程となっておらず、第一気筒群のいずれかの気筒が膨張行程となって、第一気筒群の爆発気筒の力が第二相対移動機構の対応する一つのシリンダブロック側サポートと第一相対移動機構の対応する二つのシリンダブロック側サポートとに分かれて作用する。この際に、第一相対移動機構のシリンダブロック側サポートに比較してモーメント長さが長くなる第二相対移動機構のシリンダブロック側サポートに作用する力はそれほど大きくならない。それにより、この時において、第二相対移動機構40によりシリンダブロックの第二気筒群側をクランクケースに対して機関中心線CE方向に第二設定距離だけ移動させるようにすれば、小さな作動力によって第二相対移動機構の作動させることができる。
もちろん、t1で示すクランク角度範囲において第一相対移動機構を僅かに作動させ、t2で示すクランク角度範囲において第二相対移動機構を僅かに作動させ、これを繰り返すことにより最終的に、シリンダブロックの第一気筒群側を第一設定距離だけ移動させ、シリンダブロックの第二気筒群側を第二設定距離だけ移動させて、第一気筒群及び第二気筒群の機械圧縮比を所望機械圧縮比とするようにしても良い。
これまで説明した実施形態では、第一相対移動機構と第二相対移動機構は、別々に制御可能とされ、シリンダブロックの第一気筒群側の機関中心線方向における第一相対移動距離とシリンダブロックの第二気筒群側の機関中心線方向における第二相対移動距離とを異ならせることができるようにしたが、シリンダブロック中心軸CBと機関中心線CEとが常に一致してシリンダブロックがクランクケースに対して相対移動する場合には、第一相対移動機構と第二相対移動機構とは一つのアクチュエータにより同時に作動させるようにしても良く、この場合においても、図6に示した第一相対移動機構及び第二相対移動機構のシリンダブロック側サポートの配置は有効である。
本V型内燃機関は、火花点火式であり、シリンダブロック10の第一気筒群側部分10a及び第二気筒群側部分10bにはそれぞれシリンダヘッド(図示せず)が取り付けられ、各シリンダヘッドには、シリンダボア毎に点火プラグが取り付けられる。各シリンダヘッドには、吸気ポート及び排気ポートが形成され、各吸気ポートは吸気弁を介して各シリンダボアに連通し、各排気ポートは排気弁を介して各シリンダボア11に連通している。シリンダヘッド毎に、吸気マニホルド及び排気マニホルドが接続され、各吸気マニホルドは互いに独立して又は合流してエアクリーナを介して大気へ開放し、各排気マニホルドも互いに独立して又は合流して触媒装置を介して大気へ開放している。また、本V型内燃機関はディーゼルエンジンでも良い。
一般的に、機関負荷が低いほど熱効率が悪化するために、機関低負荷時の機械圧縮比を高くして膨張比を高くすれば、膨張行程においてピストンの仕事期間が長くなるために熱効率を改善することができる。機械圧縮比は、上死点クランク角度におけるシリンダ容積V1に対する上死点クランク角度におけるシリンダ容積V1と行程容積V2との和(V1+V2)/V1であり、膨張行程の膨張比と等しい。それにより、本V型内燃機関は、第一相対移動機構30と第二相対移動機構40とによって、シリンダブロック10をクランクケース20に対して相対移動させ、シリンダブロック10とクランク軸15との間の距離を変化させることにより、第一気筒群及び第二気筒群の機械圧縮比を可変とし、例えば、機関負荷が低いほど機械圧縮比を高めるように機械圧縮比が制御される。
第一相対移動機構30は、図2に示すように、シリンダブロック10の第一気筒群側部分10aの側面下部に固定された複数のシリンダブロック側サポート31と、クランクケース20の第一気筒群側の側面上部に固定された複数のクランクケース側サポート32とを有し、シリンダブロック側サポート31及びクランクケース側サポート32は交互に位置して一つの第一軸33を支持する。こうして、第一相対移動機構30を介してシリンダブロック10の第一気筒群側部分10aとクランクケース20の第一気筒群側とが連結される。
シリンダブロック側サポート及びクランクケース側サポート32は、第一軸33の支持を可能とするために、それぞれ、31a及び31bと、32a及び32bとに二分割されている。第一軸33は、シリンダブロック側サポート31に支持される複数のシリンダブロック側支持部分33aと、クランクケース側サポート32に支持される複数のクランクケース側支持部分33bとを有し、各シリンダブロック側支持部分33aは互いに同心であり、各クランクケース側支持部分33bは互いに同心である。しかしながら、シリンダブロック側支持部分33aとクランクケース側支持部分33bとは偏心している。34は各シリンダブロック側支持部分33aに嵌装されるベアリングであり、35は各クランクケース側支持部分33bに嵌装されるベアリングである。それぞれ、各シリンダブロック側支持部分33a及び各クランクケース側支持部分33bへの嵌装が可能なように二分割されている。33cは第一軸33のクランクケース側支持部分33bと同心の扇形状ギヤである。
図4に示すように、扇形状ギヤ33cは小径ギヤ36と噛合し、小径ギヤ36と同心の大径ギヤ37は、第一モータ39のウォームギヤ38と噛合している。こうして、第一モータ39を作動させてウォームギヤ38を回転させることにより、大径ギヤ37、小径ギヤ36及び扇形状ギヤ33cを介して、第一軸33をクランクケース側支持部分33b回りに回動させることができる。
一方、第二相対移動機構40は、図3に示すように、シリンダブロック10の第二気筒群側部分10bの側面下部に固定された複数のシリンダブロック側サポート41と、クランクケース20の第二気筒群側の側面上部に固定される複数のクランクケース側サポート42とを有している。クランクケース側サポート42は、それぞれに二つの軸受42aを有し、二つの軸受42aの間にはアーム43が挿入される。アーム43は、端部に第一貫通穴43a及び第二貫通穴43bを有し、第一貫通穴43aには偏心ボス43cが挿入される。第二軸44は、各クランクケース側サポート42の二つの軸受42aを貫通すると共に、各アーム43の第一貫通穴43a内に挿入された偏心ボス43cの偏心穴を貫通する。また、第三軸45は、各シリンダブロック側サポート41と、二つのシリンダブロック側サポート41の間に位置する各アーム43の第二貫通穴43bを貫通する。こうして、第二相対移動機構40を介してシリンダブロック10の第二気筒群側部分10bとクランクケース20の第二気筒群側とが連結される。
シリンダブロック側サポート41及びクランクケース側サポート42の軸受42aには、ベアリングが配置されている。44aは第二軸44と同心の扇形状ギヤである。図4に示すように、扇形状ギヤ44aは小径ギヤ46と噛合し、小径ギヤ46と同心の大径ギヤ47は、第二モータ49のウォームギヤ48と噛合している。こうして、第二モータ49を作動させてウォームギヤ48を回転させることにより、大径ギヤ47、小径ギヤ46及び扇形状ギヤ44aを介して、第二軸44を回動させ、偏心穴への挿入により第二軸44と一体化された偏心ボス43cをアーム43の第一貫通穴43aにおいて第二軸44回りに回動させることができる。
図4において、CEは、正面視において、クランク軸15の中心を通る機関中心線であり、一般的にはクランク軸中心を通る垂直線である。本実施形態では、シリンダブロック10とクランクケース20とが当接する図4に示すシリンダブロック10の最下位置において、正面視において第一気筒群の気筒中心線と第二気筒群の気筒中心線との間のシリンダブロック中心線CBと、機関中心線CEとは一致し、また、正面視において第一気筒群の気筒中心線と第二気筒群の気筒中心線との交点である正面視交点と、クランク軸中心とが一致している。
図5に示すように、本実施形態の圧縮比可変V型内燃機関では、機械圧縮比を変更するために、第一相対移動機構30の第一モータ39を作動させて、第一軸33をクランクケース側支持部分33b回りに回動させ、それにより、第一相対移動機構30は、一自由度のリンク機構として、クランクケース側支持部分33bに対して偏心するシリンダブロック側支持部分33aを介してシリンダブロック10の第一気筒群側をクランクケース20に対して機関中心線CE方向に第一設定距離D1だけ移動させる。それと同時に、第二相対移動機構40の第二モータ49を作動させて、第二軸44を回動させ、それにより、第二相対移動機構40は、二自由度のリンク機構として、第二軸44に対して偏心する偏心ボス43cを介してアーム43によりシリンダブロック10の第二気筒群側をクランクケース20に対して機関中心線CE方向に第一設定距離D1より小さな第二設定距離D2だけ移動させる。
このように、一点鎖線で示す最下位置のシリンダブロック10’は、実線で示すシリンダブロック10のように移動し、一点鎖線で示す最下位置の第一軸33のシリンダブロック側支持部分33a’、アーム43の第一貫通穴43a’及び第二貫通穴43b’もそれぞれ実線で示すシリンダブロック側支持部分33a、第一貫通穴43a及び第二貫通穴43bのように移動する。
第一相対移動機構30が簡単な一自由度のリンク機構とされているために、シリンダブロック10はクランクケース20に対して上方(機関中心線CE方向)へ移動させられると同時に第二気筒群側へ移動させられるために、そのままでは、第一気筒群の機械圧縮比及び第二気筒群の機械圧縮比を両方とも小さくすることはできるが、第二気筒群の機械圧縮比は第二気筒群の機械圧縮比より小さくなってしまう。それにより、第二相対移動機構40によって、シリンダブロック10は第一気筒群側に比較して第二気筒群側が上方へ小さく移動されるようにし、正面視においてシリンダブロック中心線CBは機関中心線CEに対して傾けられる。それにより、シリンダブロック10が第二気筒群側へDだけ移動しても、第一気筒群の機械圧縮比と第二気筒群側の機械圧縮比とを等しく所望機械圧縮比とすることができる。
図6は本発明による圧縮比可変V型内燃機関のシリンダブロック10の平面図である。本実施形態において、第一相対移動機構30をシリンダブロック10の第一気筒群側部分10aへ固定するためのシリンダブロック側サポート31の数は、第一気筒群側部分10aの側面視において、第一気筒群の各気筒における中心軸線C1、C3、C5の両側にシリンダブロック側サポート31の一つが位置するように少なくとも第一気筒群の気筒数より1だけ多い数とされ、すなわち、本実施形態において、第一気筒群の気筒数が三つであるためにシリンダブロック側サポート31の数は四つとされている。
また、第二相対移動機構40をシリンダブロック10の第二気筒群側部分10bへ固定するためのシリンダブロック側サポート41の数は、第二気筒群側部分10bの側面視において、第二気筒群の各気筒における中心軸線C2、C4、C6の両側にシリンダブロック側サポート41の一つが位置するように少なくとも第二気筒群の気筒数より1だけ多い数とされ、すなわち、本実施形態において、第二気筒群の気筒数が三つであるためにシリンダブロック側サポート41の数は四つとされている。
また、第一気筒群の各気筒と第二気筒群の各気筒との間のクランク軸方向のオフセットによって、第一気筒群側部分10aの側面視において、第二気筒群の各気筒における中心軸線C2、C4、C6上には、第一相対移動機構のサポート31の一つが位置し(サポート31の中心線と各気筒の中心軸線C2、C4、C6の中心軸線とを一致させることが好ましい。)、第二気筒群側部分10bの側面視において、第一気筒群の各気筒における中心軸線上C1、C3、C5には、第二相対移動機構の前記サポート41の一つが位置するようになっている(サポート41の中心線と各気筒の中心軸線C1、C3、C5の中心軸線とを一致させることが好ましい。)。
図7は本発明による圧縮比可変V型内燃機関のもう一つの実施形態を示すシリンダブロック10’の正面図である。図4及び6に示す実施形態との違いは、第一相対移動機構のシリンダブロック側サポート31’がシリンダブロック10’の第一気筒群側部分10a’の側面の最上部に配置され、第二相対移動機構のシリンダブロック側サポート41’がシリンダブロック10’の第二気筒群側部分10b’の側面の最上部に配置されていることである。
いずれの実施形態においても、各気筒の爆発時には、図7に示すように、爆発気筒の中心軸線方向にシリンダブロックを押し上げようとする力Fが発生する。この力Fは、主に、爆発気筒の近傍の第一相対移動機構及び第二相対移動機構のシリンダブロック側サポートに作用することとなり、図6に示すシリンダブロック側サポートの配置では、爆発気筒に対応する気筒群側の側面視において爆発気筒に近接する二つのシリンダブロック側サポートと、他方の気筒群側の側面視において爆発気筒の中心軸線上に位置する一つのシリンダブロック側サポートとに作用するようになり、このように、各気筒の爆発時に発生する力を、三つのシリンダブロック側サポートに分散して作用させることができるために、第一相対移動機構及び第二相対移動機構の各シリンダブロック側サポート31及び41の強度をそれほど高める必要はない。これに対して、一般的には、第一相対移動機構及び第二相対移動機構の各シリンダブロック側サポートは、二つの気筒群の間の中間平面に対して対称配置されているために、前述の力Fは主に一つ又は二つのサポートだけに作用することとなり、各シリンダブロック側サポートの強度を非常に高めなければならない。
例えば、図6において、中心軸線C4を有する第二気筒群の#4気筒が爆発する時には、前述の力Fは、第二気筒群側部分10bの側面視において#4気筒の中心軸線C4の両側に位置する二つの第二相対移動機構のシリンダブロック側サポート41(24)及び41(46)と、第一気筒群側部分10aの側面視において#4気筒の中心軸線C4上に位置する一つの第一相対移動機構のシリンダブロック側サポート31(35)とに作用することとなる。また、中心軸線C5を有する第一気筒群の#5気筒が爆発する時には、前述の力Fは、第一気筒群側部分10aの側面視において#5気筒の中心軸線C5の両側に位置する二つの第一相対移動機構のシリンダブロック側サポート31(35)及び31(55)と、第二気筒群側部分10bの側面視において#5気筒の中心軸線C5上に位置する一つの第二相対移動機構のシリンダブロック側サポート41(46)とに作用することとなる。
また、第一相対移動機構30のシリンダブロック側サポート31は、第一気筒群側部分10aの側面視において第一気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置する第一サポート31(13)及び31(35)と、第一気筒群側部分10aの側面視において第一気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置していない第二サポート31(11)及び31(55)とからなり、第一サポート31(13)及び31(35)は、二つの気筒に共通に近接するために、二つの気筒の爆発時の力が作用し、一つの気筒にだけ近接する第二サポート31(11)及び31(55)より二倍の回数だけ爆発時の力が作用することとなるために、第一サポート31(13)及び31(35)の厚e2を第二サポート31(11)及び31(55)の厚さe1の二倍として強度も二倍としている。
また、第二相対移動機構40のシリンダブロック側サポート41は、第二気筒群側部分10bの側面視において第二気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置する第三サポート41(24)及び31(46)と、第二気筒群側部分10bの側面視において第二気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置していない第四サポート41(22)及び31(66)とからなり、第三サポート41(24)及び41(46)は、二つの気筒に共通に近接するために、二つの気筒の爆発時の力が作用し、一つの気筒にだけ近接する第四サポート41(22)及び41(66)より二倍の回数だけ爆発時の力が作用することとなるために、第三サポート41(24)及び41(46)の厚さe2を第四サポート41(22)及び41(66)の厚さe1の二倍として強度も二倍としている。
また、第一サポート31(13)及び31(35)、第二サポート31(11)及び31(55)、第三サポート41(24)及び31(46)、及び、第四サポート41(22)及び31(66)は、いずれも、側面視において、隣接する各気筒の中心軸線C1、C2、C3、C4、C5、及びC6から等距離dだけ離間するようにしている。
ところで、図7に示す実施形態においては、第一相対移動機構のシリンダブロック側サポート31’がシリンダブロック10’の第一気筒群側部分10a’の側面の最上部に配置され、第二相対移動機構のシリンダブロック側サポート41’がシリンダブロック10’の第二気筒群側部分10b’の側面の最上部に配置されているために、爆発時に発生する力Fが、爆発気筒の気筒群側の二つのシリンダブロック側サポート(図7において41’)に作用する力Fcと爆発気筒とは反対の気筒群側の一つのシリンダブロック側サポート(図7において31’)に作用する力Ffとに分けられる際に、爆発気筒の気筒群側の二つのシリンダブロック側サポートの作用点(軸孔中心)までのモーメント長さLcに対して、爆発気筒とは反対の気筒群側の一つのシリンダブロック側サポートの作用点(軸孔中心)までのモーメント長さLfを比較的長くすることができる。
こうして、F=Fc+Ff及びFc*Lc=Ff*Lfの関係から爆発気筒とは反対の気筒群側の一つのシリンダブロック側サポートに作用する力Ffを小さくすることができる。
図8は各気筒の行程の関係を示すタイムチャートである。Iは吸気行程、Cは圧縮行程、Xは膨張行程、Eは排気行程を示している。図6に示すように、#1気筒、#3気筒、及び#5気筒により第一気筒群が構成され、#2気筒、#4気筒、及び#6気筒により第二気筒群が構成され、#1気筒−#2気筒−#3気筒−#4気筒−#5気筒−#6気筒が点火順序である。
図8に示すように、第一気筒群の気筒及び第二気筒群の気筒は、交互に120クランク角度毎に膨張行程となる。それにより、t1で示す60クランク角度範囲においては、第一気筒群のいずれの気筒も膨張行程となっておらず、第二気筒群のいずれかの気筒が膨張行程となって、第二気筒群の爆発気筒の力が第一相対移動機構の対応する一つのシリンダブロック側サポートと第二相対移動機構の対応する二つのシリンダブロック側サポートとに分かれて作用する。この際に、第二相対移動機構のシリンダブロック側サポートに比較してモーメント長さが長くなる第一相対移動機構のシリンダブロック側サポートに作用する力はそれほど大きくならない。それにより、この時において、第一相対移動機構30によりシリンダブロックの第一気筒群側をクランクケースに対して機関中心線CE方向に第一設定距離だけ移動させるようにすれば、小さな作動力によって第一相対移動機構の作動させることができる。
また、t2で示す60クランク角度範囲においては、第二気筒群のいずれの気筒も膨張行程となっておらず、第一気筒群のいずれかの気筒が膨張行程となって、第一気筒群の爆発気筒の力が第二相対移動機構の対応する一つのシリンダブロック側サポートと第一相対移動機構の対応する二つのシリンダブロック側サポートとに分かれて作用する。この際に、第一相対移動機構のシリンダブロック側サポートに比較してモーメント長さが長くなる第二相対移動機構のシリンダブロック側サポートに作用する力はそれほど大きくならない。それにより、この時において、第二相対移動機構40によりシリンダブロックの第二気筒群側をクランクケースに対して機関中心線CE方向に第二設定距離だけ移動させるようにすれば、小さな作動力によって第二相対移動機構の作動させることができる。
もちろん、t1で示すクランク角度範囲において第一相対移動機構を僅かに作動させ、t2で示すクランク角度範囲において第二相対移動機構を僅かに作動させ、これを繰り返すことにより最終的に、シリンダブロックの第一気筒群側を第一設定距離だけ移動させ、シリンダブロックの第二気筒群側を第二設定距離だけ移動させて、第一気筒群及び第二気筒群の機械圧縮比を所望機械圧縮比とするようにしても良い。
これまで説明した実施形態では、第一相対移動機構と第二相対移動機構は、別々に制御可能とされ、シリンダブロックの第一気筒群側の機関中心線方向における第一相対移動距離とシリンダブロックの第二気筒群側の機関中心線方向における第二相対移動距離とを異ならせることができるようにしたが、シリンダブロック中心軸CBと機関中心線CEとが常に一致してシリンダブロックがクランクケースに対して相対移動する場合には、第一相対移動機構と第二相対移動機構とは一つのアクチュエータにより同時に作動させるようにしても良く、この場合においても、図6に示した第一相対移動機構及び第二相対移動機構のシリンダブロック側サポートの配置は有効である。
10 シリンダブロック
20 クランクケース
30 第一相対移動機構
31 第一相対移動機構のシリンダブロック側サポート
40 第二相対移動機構
41 第二相対移動機構のシリンダブロック側サポート
20 クランクケース
30 第一相対移動機構
31 第一相対移動機構のシリンダブロック側サポート
40 第二相対移動機構
41 第二相対移動機構のシリンダブロック側サポート
Claims (3)
- 二つの気筒群のシリンダブロックを一体化させてクランクケースに対して相対移動させる圧縮比可変V型内燃機関であって、前記シリンダブロックの第一気筒群側へ複数のサポートを介して固定される第一相対移動機構と、前記シリンダブロックの第二気筒群側へ複数のサポートを介して固定される第二相対移動機構とを具備し、前記第一相対移動機構の前記サポートの数は、前記第一気筒群側の側面視において、前記第一気筒群における各気筒の中心軸線の両側に前記第一相対移動機構の前記サポートの一つが位置するように少なくとも前記第一気筒群の気筒数より1だけ多い数とされ、前記第二相対移動機構の前記サポートの数は、前記第二気筒群側の側面視において、前記第二気筒群における各気筒の中心軸線の両側に前記第二相対移動機構の前記サポートの一つが位置するように少なくとも前記第二気筒群の気筒数より1だけ多い数とされ、前記第一気筒群の各気筒と前記第二気筒群の各気筒との間のクランク軸方向のオフセットによって、前記第一気筒群側の側面視において、前記第二気筒群の各気筒における中心軸線上には、前記第一相対移動機構の前記サポートの一つが位置し、前記第二気筒群側の側面視において、前記第一気筒群の各気筒における中心軸線上には、前記第二相対移動機構の前記サポートの一つが位置するようになっていることを特徴とする圧縮比可変V型内燃機関。
- 前記第一相対移動機構の前記サポートは、前記第一気筒群側の側面視において前記第一気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置する第一サポートと、前記第一気筒群側の側面視において前記第一気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置していない第二サポートとからなり、前記第一サポートの厚さは、前記第二サポートの厚さの二倍であり、前記第二相対移動機構の前記サポートは、前記第二気筒群側の側面視において前記第二気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置する第三サポートと、前記第二気筒群側の側面視において前記第二気筒群の隣接する二つの気筒の中心軸線の間に位置していない第四サポートとからなり、前記第三サポートの厚さは、前記第四サポートの厚さの二倍であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮比可変V型内燃機関。
- 前記第一相対移動機構と前記第二相対移動機構とは独立して制御可能とされ、前記第一相対移動機構により前記シリンダブロックの前記第一気筒群側にもたらされるクランク軸中心を通る正面視の機関中心線方向における第一相対移動距離と、前記第二相対移動機構により前記シリンダブロックの前記第二気筒群側にもたらされる前記機関中心線方向における第二相対移動距離とを異ならせることができるようになっており、前記第一気筒群のいずれの気筒も膨張行程となっていない時に前記第一相対移動機構により前記第一相対移動距離を変化させ、前記第二気筒群のいずれの気筒も膨張行程となっていない時に前記第二相対移動機構により前記第二相対移動距離を変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧縮比可変V型内燃機関。
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