JPWO2011061830A1 - デジタル信号処理装置及びデジタル信号処理方法 - Google Patents
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Abstract
遅延部122によりデジタル信号FLSに対して遅延が付与されて生成された信号DLSが、クリップ演算部124Aに送られる。この遅延によって確保される時間を利用して、クリップ分析部123Aが、デジタル信号FLSの信号値の絶対値が超えてはならない閾値L1を超えたためにソフトクリップを行うことが必要な場合にのみ、ソフトクリップ期間を特定する。引き続き、クリップ分析部123Aが、クリップフラグCLFを「ON」にして信号DLSに対するソフトクリップ期間をクリップ演算部124Aに知らせる。そして、クリップ演算部124Aが、クリップフラグCLFが「ON」となっている期間における信号DLSに対するソフトクリップを行う。このため、ソフトクリップ処理が必要な場合に限って合理的にソフトクリップ処理を行うことができる。
Description
本発明は、デジタル信号処理装置、デジタル信号処理方法及びデジタル信号処理プログラム、並びに、当該デジタル信号処理プログラムが記録された記録媒体に関する。
近年におけるデジタル化技術の進展に伴い、音響装置、画像再生装置等の様々な装置においてデジタル信号処理が行われている。こうしたデジタル信号処理の一つとして、入力信号値の絶対値が所定閾値を超える場合に、出力信号値の絶対値を当該所定閾値以下に加工するクリップ処理がある。
かかるクリップ処理としては、入力信号値の絶対値が所定閾値を超える場合には、出力信号値の絶対値を一律に所定閾値とするハードクリップ処理が広く行われてきたが、ハードクリップ処理による出力信号波形の歪に起因して聴感上のノイズが発生していた。このため、ハードクリップ処理に伴う聴感上のノイズの発生を抑制するため、出力信号値の絶対値を所定閾値以下としつつ、出力信号波形を滑らかに変化させるソフトクリップ処理に関する技術が提案されている(特許文献1参照:以下、「従来例」と呼ぶ)。
従来例の技術では、出力信号値の絶対値が超えてはならない第1閾値に加えて、当該第1閾値よりも小さな第2閾値を予め定めておき、入力信号値が第2閾値を超えた場合に、所定の算出式に従った非線形処理を行う。この結果、出力信号値の絶対値を第1閾値以下としつつ、出力信号波形を滑らかに変化させることを実現している。
上述した従来例の技術では、入力信号値の絶対値が第2閾値を超えた場合には、一律にソフトクリップ処理を開始する。この結果、入力信号値の絶対値が第2閾値を超えた後に第1閾値に達しなかった場合であっても非線形処理を行う。すなわち、非線形処理を行う必要が無い場合にも、入力信号の波形を変更する場合があった。
このため、ソフトクリップ処理が必要な場合に限ってソフトクリップ処理を行い、入力信号の波形を極力変形させずに出力信号を得ることができる技術が待望されている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、ソフトクリップ処理が必要な場合に限って合理的にソフトクリップ処理を行うデジタル信号処理装置及びデジタル信号処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、第1の観点からすると、第1デジタル信号の信号値の絶対値が、予め定められた第1閾値を超えているか否かの第1判定を行う第1判定部と;前記絶対値が、前記第1閾値以下であり、かつ、前記第1閾値よりも小さな予め定められた第2閾値を超えているか否かの第2判定を行う第2判定部と;前記第1デジタル信号を予め定められた時間だけ遅延させた第2デジタル信号を生成する遅延部と;前記第1判定の結果及び前記第2判定の結果の双方が否定的である状態から前記第2判定の結果のみが肯定的となった第1時点から、前記第1時点の後に前記第2判定の結果が否定的となることなく前記第1判定の結果が肯定的となり、その後に前記第1判定の結果及び前記第2判定の結果の双方が否定的となった第2時点までの期間に対応する処理対象期間の信号波形を、前記処理対象期間以外の期間の信号波形との連続性及び前記処理対象期間内の信号波形の連続性を維持しつつ、前記第1閾値を超えない波形に変換する非線形加工処理を行う加工部と;を備えることを特徴とするデジタル信号処理装置である。
本発明は、第2の観点からすると、第1デジタル信号の信号値の絶対値が、予め定められた第1閾値を超えているか否かの第1判定を行う第1判定工程と;前記絶対値が、前記第1閾値以下であり、かつ、前記第1閾値よりも小さな予め定められた第2閾値を超えているか否かの第2判定を行う第2判定工程と;前記第1判定工程及び前記第2判定工程の実行と並行して、前記第1デジタル信号を予め定められた時間だけ遅延させて、第2デジタル信号を生成する遅延工程と;前記第1判定の結果及び前記第2判定の結果の双方が否定的である状態から前記第2判定の結果のみが肯定的となった第1時点から、前記第1時点の後に前記第2判定の結果が否定的となることなく前記第1判定の結果が肯定的となり、その後に前記第1判定の結果及び前記第2判定の結果の双方が否定的となった第2時点までの期間に対応する処理対象期間の信号波形を、前記処理対象期間以外の期間の信号波形との連続性及び前記処理対象期間内の信号波形の連続性を維持しつつ、前記第1閾値を超えない波形に変換する非線形加工処理を行う加工工程と;を備えることを特徴とするデジタル信号処理方法である。
本発明は、第3の観点からすると、本発明のデジタル信号処理方法を演算手段により実行させる、ことを特徴とするデジタル信号処理プログラムである。
本発明は、第4の観点からすると、本発明のデジタル信号処理プログラムが、演算手段により読取可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を、図1〜図9を参照して説明する。
まず、本発明の第1実施形態を、図1〜図9を参照して説明する。
<構成>
図1には、第1実施形態に係る音響装置100Aの概略的な構成が、ブロック図にて示されている。この図1に示されるように、音響装置100Aは、前段処理部110と、デジタル信号処理装置としてのクリップ処理部120Aと、信号変換部130と、パワー増幅部140と、ローパスフィルタ(LPF)部150と、スピーカ160とを備えている。
図1には、第1実施形態に係る音響装置100Aの概略的な構成が、ブロック図にて示されている。この図1に示されるように、音響装置100Aは、前段処理部110と、デジタル信号処理装置としてのクリップ処理部120Aと、信号変換部130と、パワー増幅部140と、ローパスフィルタ(LPF)部150と、スピーカ160とを備えている。
上記の前段処理部110は、イコライザ処理、ラウドネス処理等の音響処理を行う。こうした音響処理が施されたデジタル音声信号である信号BCSを、前段処理部110がクリップ処理部120Aへ送る。なお、本第1実施形態では、信号BCSをPCM(Pulse Code Modulation)信号としている。
上記のクリップ処理部120Aは、前段処理部110から送られた信号BCSを受ける。そして、クリップ処理部120Aは、信号BCSに対してデジタルクリップ処理を施す。クリップ処理部120Aの構成、及び、クリップ処理部120Aによる行われるデジタルクリップ処理については、後述する。
こうしてデジタルクリップ処理が施された信号ACSを、クリップ処理部120Aが信号変換部130へ送る。なお、本第1実施形態では、信号ACSをPCM信号としている。
上記の信号変換部130は、クリップ処理部120Aから送られた信号ACSを受ける。そして、信号変換部130は、信号ACSの信号形式を変換し、信号PWSを生成する。こうして生成された信号PWSを、信号変換部130がパワー増幅部140へ送る。なお、本第1実施形態では、信号PWSをPWM(Pulse Width Modulation)信号としている。
上記のパワー増幅部140は、信号変換部130から送られた信号PWSを受ける。そして、パワー増幅部140は、予め定められた増幅率で信号PWSのパワー増幅を行って、信号PASを生成する。こうして生成された信号PASを、パワー増幅部140がLPF部150へ送る。
上記のLPF部150は、パワー増幅部140から送られた信号PASを受ける。そして、LPF部150は、信号PASの低周波成分を抽出し、アナログ信号である音声出力信号AOSを生成する。すなわち、LPF部150は、設計時に定められた時定数で、信号PASの時間積分演算を行って、音声出力信号AOSを生成する。こうして生成された音声出力信号AOSを、LPF部150がスピーカ160へ送る。
上記のスピーカ160は、LPF部150から送られた音声出力信号AOSを受ける。そして、スピーカ160は、音声出力信号AOSに従って音声再生を行い、再生音声を出力する。
次に、上述したクリップ処理部120Aの構成について説明する。このクリップ処理部120Aは、図2に示されるように、ハイパスフィルタ(HPF)部121と、遅延部122と、クリップ分析部123Aと、加工部としてのクリップ演算部124Aとを備えている。
上記のHPF部121は、前段処理部110から送られた信号BCSを受ける。そして、HPF部121は、信号BCSにおける所定周波数FLZ以上の周波数成分を選択的に通過させることにより、信号FLS(=X(T))を生成する。こうして生成された信号FLSを、HPF部121が遅延部122及びクリップ分析部123Aへ送る。なお、本第1実施形態では、所定周波数FLZ[Hz]が、20Hzとなっている。
上記の遅延部122は、HPF部121から送られた信号FLSを受ける。そして、遅延部122は、所定周波数FLZの半周期の時間遅延、すなわち、次の(1)式により定まる時間TDの遅延を信号FLSに付与する。
TD=1/(2・FLZ) …(1)
TD=1/(2・FLZ) …(1)
かかる信号FLSへの時間TDの遅延の付与により、信号DLS(=Z(T))を生成する。こうして生成された信号DLSを、遅延部122がクリップ演算部124Aへ送る。なお、信号FLS(=X(T))と信号DLS(=Z(T))との関係は、次の(2)式で示されるようになっている。
Z(T)=X(T−TD) …(2)
Z(T)=X(T−TD) …(2)
上記のクリップ分析部123Aは、HPF部121から送られた信号FLSを受ける。クリップ分析部123Aは、信号FLSの波形を分析し、ソフトクリップ期間を特定するとともに、当該ソフトクリップ期間に適用される係数パラメータPRMを算出する。そして、クリップ分析部123Aは、ソフトクリップ期間であることを示すクリップフラグCLFをクリップ演算部124Aへ送るとともに、ソフトクリップ期間には、クリップ演算部124Aが係数パラメータPRMを取得できるようにする。クリップ分析部123Aの構成、及び、クリップ分析部123Aにより行われる処理については、後述する。
上記のクリップ演算部124Aは、遅延部122から送られた信号DLSを受ける。また、クリップ演算部124Aは、クリップ分析部123Aから送られたクリップフラグCLFを受けるとともに、必要に応じてクリップ分析部123Aから係数パラメータPRMを取得する。そして、クリップ演算部124Aは、クリップフラグCLF及び係数パラメータPRMに基づいて、ソフトクリップ期間における信号DLSに対してクリップ処理を施して信号ACS(=Y(t))を生成する。こうして生成された信号ACSを、クリップ演算部124Aが信号変換部130へ送る。クリップ演算部124Aにおける処理については、後述する。
次に、上述したクリップ分析部123Aの構成について説明する。クリップ分析部123Aは、図3に示されるように、第1及び第2判定部としてのソフトクリップ期間特定部211Aと、抽出部としての最大絶対値抽出部212と、パラメータ算出部213と、同期化部214Aとを備えている。
上記のソフトクリップ期間特定部211Aは、HPF部121から送られた信号FLS(=X(T))を受ける。そして、信号FLSの波形を解析して、信号FLSにおけるソフトクリップ期間を特定する。かかるソフトクリップ期間の特定に際して、ソフトクリップ期間特定部211Aは、信号FLS(=X(T))の絶対値|X|が、閾値L2(>0)を超える度に、その時点をソフトクリップ期間の始期候補とし、最大絶対値抽出の開始指令MVRを最大絶対値抽出部212へ送る。そして、ソフトクリップ期間の始期候補を検出した後、絶対値|X|が、閾値L2以下となることなく閾値L1(>L2)を超えるという始期条件を満たした場合に、最近のソフトクリップ期間の始期候補を検出した時点(第1時点)をソフトクリップ期間の始期であると特定する。
ソフトクリップ期間特定部211Aは、第1時点の後に絶対値|X|が閾値L2以下となった時点(第2時点)をソフトクリップ期間の終期であると特定し、最大絶対値抽出の終了指令MVPを最大絶対値抽出部212へ送る。そして、ソフトクリップ期間特定部211Aは、特定された始期から終期までを、信号FLS(=X(T))に関するソフトクリップ期間情報CPDとして同期化部214Aへ送る。
ここで、閾値L1は、信号ACS(=Y(t))の絶対値|Y|として超えてはならない値であり、設計時において定められる。また、閾値L2は、クリップ処理の結果である信号ACS(=Y(t))に従った音声再生を行った場合に、クリップノイズ音を十分に抑制する観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、設計時において定められる。なお、本第1実施形態では、閾値L2(=0.9×L1)としている。
なお、ソフトクリップ期間特定部211Aによる処理の詳細については、後述する。
上記の最大絶対値抽出部212は、HPF部121から送られた信号FLS(=X(T))を受ける。引き続き、最大絶対値抽出部212は、ソフトクリップ期間特定部211Aから送られた開始指令MVRを受けると、その後における絶対値|X|の最大値の抽出を開始する。また、最大絶対値抽出部212は、ソフトクリップ期間特定部211Aから送られた終了指令MVPを受けると、絶対値|X|の最大値の抽出を終了する。そして、終了指令MVPを受けた時点で抽出されている絶対値|X|の最大値である最大絶対値LMをパラメータ算出部213へ送る。本第1実施形態においては、信号BCSに極力忠実な音声再生を可能とできるように、発生し得る最大絶対値LMが、閾値L1の高々1.2倍となるように、信号BCSの信号値範囲及び閾値L1が定められている。
なお、最大絶対値抽出部212は、開始指令MVRを受けた後、終了指令MVPを受けることなく新たな開始指令MVRを受けた場合には、それまでの抽出結果を廃棄し、新たな開始指令MVRを受けた後における絶対値|X|の最大値の抽出を新たに開始する。
上記のパラメータ算出部213は、最大絶対値抽出部212から送られた最大絶対値LMを受ける。そして、パラメータ算出部213は、最大絶対値LM、閾値L1及び閾値L2に基づいて、次の(3)式における係数A0〜A3を、(4)〜(7)式を満たすことを条件として算出する。こうして算出された係数A0〜A3を、パラメータ算出部213が、係数パラメータ情報CPMとして、同期化部214Aへ送る。
|Y|=F(|Z|)
=A3・|Z|3+A2・|Z|2+A1・|Z|+A0 …(3)
L2=F(L2) …(4)
L1=F(LM) …(5)
d|Y|/d|Z|=1 (|Z|=L2の場合) …(6)
d|Y|/d|Z|=0 (|Z|=LMの場合) …(7)
|Y|=F(|Z|)
=A3・|Z|3+A2・|Z|2+A1・|Z|+A0 …(3)
L2=F(L2) …(4)
L1=F(LM) …(5)
d|Y|/d|Z|=1 (|Z|=L2の場合) …(6)
d|Y|/d|Z|=0 (|Z|=LMの場合) …(7)
なお、上述の(3)式は、L2<|Z|≦LMの範囲で適用される式である。|Z|≦L2の範囲においては、次の(8)式が成り立つようになっている。
|Y|=F(|Z|)=|Z| …(8)
|Y|=F(|Z|)=|Z| …(8)
上記の同期化部214Aは、ソフトクリップ期間特定部211Aから送られたソフトクリップ期間情報CPDを受ける。そして、同期化部214Aは、信号FLSについて特定されたクリップ期間に対応する信号DLS(=Z(T)=X(T−TD))に関するソフトクリップ期間中にわたってクリップフラグCLFを「ON」とする。こうしてクリップフラグCLFを「ON」とすることにより、同期化部214Aは、信号DLSに対するソフトクリップ期間である旨をクリップ演算部124Aに知らせる。
また、同期化部214Aは、パラメータ算出部213から送られた係数パラメータ情報CPMを受ける。引き続き、同期化部214Aは、係数パラメータ情報CPMを保持する。そして、同期化部214Aは、信号DLSに関するソフトクリップ期間中にわたって、クリップ演算部124Aが、当該クリップ期間で利用すべき係数A0〜A3を係数パラメータPRMとして取得できるようにする。
なお、同期化部214Aは、係数パラメータ情報CPMの利用期間、すなわち、係数パラメータ情報CPMが対応している信号DLSに関するソフトクリップ期間が終了すると、当該係数パラメータ情報CPMを廃棄する。
上述した(3)式及び(8)式で表される絶対値|Z|の変化に対する絶対値|Y|の変化の様子が図4に示されている。この図4に示されるように、本第1実施形態においては、絶対値|Z|の変化に対する絶対値|Y|の変化は連続的である。また、本第1実施形態では、閾値L2が閾値L1の0.9倍であり、かつ、最大絶対値LMが閾値L1の高々1.2倍なので、絶対値|Z|の増加に対して、0≦|Z|≦LMの範囲において、絶対値|Y|は単調増加するようになっている。
さらに、絶対値|Z|の変化に対する絶対値|Y|の変化率は、0≦|Z|≦LMの範囲で連続的に変化するようになっている。また、|Z|=LMにおいて絶対値|Z|の変化に対する絶対値|Y|の変化率が「0」となっているので、絶対値|Z|が最大絶対値LMまで増加した後に減少した場合において、絶対値|Y|は滑らかに変化するようになっている。
<動作>
次に、上記のように構成された音響装置100Aの動作について、クリップ処理部120Aによるクリップ処理に主に着目して説明する。
次に、上記のように構成された音響装置100Aの動作について、クリップ処理部120Aによるクリップ処理に主に着目して説明する。
音響装置100Aでは、前段処理部110から、音響処理が施された信号BCSが、クリップ処理部120Aへ送られる(図1参照)。クリップ処理部120Aでは、HPF部121が、前段処理部110から送られた信号BCSを受ける。そして、HPF部121は、信号BCSにおける所定周波数FLZ以上の周波数成分を選択的に通過させることにより、信号FLS(=X(T))を生成する。こうして生成された信号FLSを、HPF部121が遅延部122及びクリップ分析部123Aへ送る(図2参照)。
図5には、HPF部121により生成された信号FLS(=X(T))の例が示されている。この図5に示される例においては、絶対値|X|は、時刻T1において閾値L2を超えたが、閾値L1を超えることなく、時刻T2において閾値L2以下となる。
また、絶対値|X|は、時刻T3(>T2)において閾値L2を超え、更に閾値L1を超えて増加し、時刻T4において値M2に達する。その後、絶対値|X|は減少し、時刻T5において閾値L2以下となる。
さらに、絶対値|X|は、時刻T6(>T5)において閾値L2を超え、更に閾値L1を超えて増加し、時刻T7において値M1に達する。その後、絶対値|X|は減少し、時刻T8において閾値L2以下に変化する。
以下、図5に示す波形例の信号FLS(=X(T))が、HPF部121により生成され、信号FLSが遅延部122及びクリップ分析部123Aに供給されるものとして、説明を行う。
信号FLS(=X(T))を受けた遅延部122は、信号FLSに時間TDの遅延を付与し、信号DLS(=Z(T)=X(T−TD))を生成する。そして、遅延部122は、生成された信号DLSを、クリップ演算部124Aへ送る。
クリップ分析部123Aでは、ソフトクリップ期間特定部211Aが、信号FLS(=X(T))を受ける(図3参照)。そして、ソフトクリップ期間特定部211Aは、ソフトクリップ期間の特定処理を行う。
《ソフトクリップ期間の特定処理》
ソフトクリップ期間特定部211Aは、絶対値|X|が閾値L2以下であるものとして、動作を開始するようになっている。
ソフトクリップ期間特定部211Aは、絶対値|X|が閾値L2以下であるものとして、動作を開始するようになっている。
ソフトクリップ期間の特定に際しては、図6に示されるように、まず、ステップS11において、ソフトクリップ期間特定部211Aが、ソフトクリップ期間の始期を特定する。このソフトクリップ期間の始期の特定に際しては、HPF部121から送られた信号FLSの信号値X(T)を新たに受ける度に、ソフトクリップ期間特定部211Aが、上述した始期条件を満たすか否かを判定する。そして、始期条件が満たされると、ソフトクリップ期間特定部211Aが、ソフトクリップ期間の始期を特定する。ステップS11における処理の詳細については、後述する。
ソフトクリップ期間の始期が特定され、ステップS11の処理が終了すると、処理はステップS12へ進む。このステップS12では、ソフトクリップ期間特定部211Aが、新たな信号値X(T)を受けたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS12:N)には、ステップS12の処理が繰り返される。
ソフトクリップ期間特定部211Aが新たな信号値X(T)を受け、ステップS12における判定の結果が肯定的となると(ステップS12:Y)、処理はステップS13へ進む。このステップS13では、ソフトクリップ期間特定部211Aが、新たな信号値X(T)の絶対値|X|が閾値L2以下となったか否かを判定する。
ステップS13における判定の結果が否定的であった場合(ステップS13:N)には、処理はステップS12へ戻る。そして、ステップS13における判定の結果が肯定的となるまで、ステップS12及びステップS13の処理が繰り返される。
新たな信号値X(T)の絶対値|X|が閾値L2以下となり、ステップS13における判定の結果が肯定的となると(ステップS13:Y)、処理はステップS14へ進む。このステップS14では、ソフトクリップ期間特定部211Aが、新たな信号値X(T)の絶対値|X|が閾値L2以下となった時点を、ソフトクリップ期間の終期として特定する。そして、ソフトクリップ期間特定部211Aは、最大絶対値抽出の終了指令MVPを最大絶対値抽出部212へ送る(図3参照)。
次に、ステップS15において、ソフトクリップ期間特定部211Aが、ステップS11で特定された始期、及び、ステップS14において特定された終期に基づいて、ソフトクリップ期間を特定する。そして、ソフトクリップ期間特定部211Aは、特定された始期から終期までを、信号FLS(=X(T))に関するソフトクリップ期間情報CPDとして同期化部214Aへ送る(図3参照)。
こうしてステップS15の処理が終了すると、処理はステップS11へ戻る。以後、ソフトクリップ期間特定部211Aは、ステップS11〜S15の処理を繰り返す。
次に、上記のステップS11におけるソフトクリップ期間の始期の特定処理について説明する。ソフトクリップ期間の始期の特定に際しては、図7に示されるように、まず、ステップS21において、ソフトクリップ期間特定部211Aが、新たな信号値X(T)を受けたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS21:N)には、ステップS21の処理が繰り返される。
ソフトクリップ期間特定部211Aが新たな信号値X(T)を受け、ステップS21における判定の結果が肯定的となると(ステップS21:Y)、処理はステップS22へ進む。このステップS22では、ソフトクリップ期間特定部211Aが、新たな信号値X(T)の絶対値|X|が閾値L2を超えたか否かを判定する。
ステップS22における判定の結果が否定的であった場合(ステップS22:N)には、処理はステップS21に戻る。そして、ステップS22における判定の結果が肯定的となるまで、ステップS21及びステップS22の処理が繰り返される。
新たな信号値X(T)の絶対値|X|が閾値L2を超え、ステップS22における判定の結果が肯定的となると(ステップS22:Y)、処理はステップS23へ進む。このステップS23では、ソフトクリップ期間特定部211Aが、新たな信号値X(T)の絶対値|X|が閾値L2を超えた時点を、ソフトクリップ期間の新たな始期候補として特定する。そして、ソフトクリップ期間特定部211Aは、最大絶対値抽出の開始指令MVRを最大絶対値抽出部212へ送る(図3参照)。
引き続き、ステップS24において、ソフトクリップ期間特定部211Aが、新たな信号値X(T)の絶対値|X|が閾値L1を超えたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS24:N)には、処理はステップS25へ進む。このステップS25では、ソフトクリップ期間特定部211Aが、新たな信号値X(T)を受けたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS25:N)には、ステップS25の処理が繰り返される。
ソフトクリップ期間特定部211Aが新たな信号値X(T)を受け、ステップS25における判定の結果が肯定的となると(ステップS25:Y)、処理はステップS26へ進む。このステップS26では、ソフトクリップ期間特定部211Aが、新たな信号値X(T)の絶対値|X|が閾値L1を超えたか否かを判定する。
ステップS26における判定の結果が否定的であった場合(ステップS26:N)には、処理はステップS27へ進む。このステップS27では、ソフトクリップ期間特定部211Aが、新たな信号値X(T)の絶対値|X|が閾値L2以下となったか否かを判定する。ステップS27における判定の結果が否定的であった場合(ステップS27:N)には、処理はステップS25へ戻る。一方、ステップS27における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS27:Y)には、処理はステップS21へ戻る。
以上のようにして繰り返されるステップS21〜S27の処理におけるステップS24又はステップS26における判定の結果が肯定的となる(ステップS24:Y、又は、ステップS26:Y)、すなわち、絶対値|X|が閾値L1を超えると、処理はステップS28へ進む。
ステップS28では、ソフトクリップ期間特定部211Aが、最新の始期候補を、ソフトクリップ期間の始期として特定する。そして、ステップS11の処理が終了し、処理は、上述した図6におけるステップS12へ進む。
以上のようにして行われるソフトクリップ期間の特定処理により、上述した図5における時刻T3から時刻T5までの期間、及び、時刻T6から時刻T8までの期間が、ソフトクリップ期間として特定され、同期化部214Aへ通知される。
《係数パラメータの算出処理》
係数パラメータの算出処理に際しては、まず、最大絶対値抽出部212が、ソフトクリップ期間ごとの絶対値|X|の最大値を抽出する。この最大絶対値の抽出処理に際して、最大絶対値抽出部212は、ソフトクリップ期間特定部211Aから送られた開始指令MVRを受けると、開始指令MVRの受信時点から後の絶対値|X|の最大値の抽出を開始する。具体的には、図5における時刻T1,T3,T6において、絶対値|X|の最大値の抽出を開始する。
係数パラメータの算出処理に際しては、まず、最大絶対値抽出部212が、ソフトクリップ期間ごとの絶対値|X|の最大値を抽出する。この最大絶対値の抽出処理に際して、最大絶対値抽出部212は、ソフトクリップ期間特定部211Aから送られた開始指令MVRを受けると、開始指令MVRの受信時点から後の絶対値|X|の最大値の抽出を開始する。具体的には、図5における時刻T1,T3,T6において、絶対値|X|の最大値の抽出を開始する。
また、最大絶対値抽出部212は、ソフトクリップ期間特定部211Aから送られた終了指令MVPを受けると、絶対値|X|の最大値の抽出を終了する。そして、最大絶対値抽出部212は、抽出終了時点において抽出されている最大値を、最大絶対値LMとしてパラメータ算出部213へ送る。
なお、最大絶対値抽出部212は、例えば、図5における時刻T3において、時刻T1において受けた開始指令MVRに応じた絶対値|X|の最大値の抽出処理が終了しないまま、新たな開始指令MVRを受けることになる。こうした場合には、最大絶対値抽出部212は、それまでの抽出処理の結果を廃棄して、新たな開始指令MVRの受信時点から新たな抽出処理を開始するようになっている。
以上のようにして行われる最大絶対値の抽出処理により、時刻T3から時刻T5までのソフトクリップ期間に対応した最大絶対値LMとして、値M2が抽出される。また、時刻T6から時刻T8までのソフトクリップ期間に対応した最大絶対値LMとして、値M1が抽出される。
最大絶対値抽出部212から送られた最大絶対値LMを受けたパラメータ算出部213は、上述した(4)〜(7)式の連立方程式を解いて、(3)式における係数A0〜A3を算出する。すなわち、パラメータ算出部213は、図5における時刻T3から時刻T5までのソフトクリップ期間に対応して、最大絶対値LMが値M2である場合の係数A0〜A3を算出する。また、パラメータ算出部213は、図5における時刻T6から時刻T8までのソフトクリップ期間に対応して、最大絶対値LMが値M1である場合の係数A0〜A3を算出する。
以上のようにして、ソフトクリップ期間に対応する係数A0〜A3が算出される度に、パラメータ算出部213は、算出された係数A0〜A3を、係数パラメータ情報CPMとして、同期化部214Aへ送られる。
上述したソフトクリップ期間の特定処理により得られたソフトクリップ期間情報CPDを受けた同期化部214Aは、信号FLSについて特定されたクリップ期間に対応する信号DLS(=Z(T)=X(T−TD))に関するソフトクリップ期間中にわたってクリップフラグCLFを「ON」とする。こうしてクリップフラグCLFを「ON」とすることにより、同期化部214Aは、信号DLSに対するソフトクリップ期間である旨をクリップ演算部124Aに知らせる。
また、上述したパラメータ算出処理により得られた係数パラメータ情報CPMを受けた同期化部214Aは、係数パラメータ情報CPMを保持する。そして、同期化部214Aは、信号DLSに関するソフトクリップ期間中にわたって、クリップ演算部124Aが、当該クリップ期間で利用すべき係数A0〜A3を、係数パラメータPRMとして取得可能とする。
《クリップ演算処理》
クリップ演算部124Aは、同期化部214Aから送られたクリップフラグCLF、及び、必要に応じて同期化部214Aから取得した係数パラメータPRMを利用して、遅延部122から送られた信号DLS(=Z(T))に対するクリップ演算を行う。
クリップ演算部124Aは、同期化部214Aから送られたクリップフラグCLF、及び、必要に応じて同期化部214Aから取得した係数パラメータPRMを利用して、遅延部122から送られた信号DLS(=Z(T))に対するクリップ演算を行う。
かかるクリップ演算処理に際しては、図8に示されるように、まず、ステップS31において、クリップ演算部124Aが、新たな信号値Z(T)を受けたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS31:N)には、ステップS31の処理が繰り返される。
クリップ演算部124Aが新たな信号値Z(T)を受け、ステップS31における判定の結果が肯定的となると(ステップS31:Y)、処理はステップS32へ進む。このステップS32では、クリップ演算部124Aが、クリップフラグCLFが「ON」であるか否かを判定する。
ステップS32における判定の結果が否定的であった場合(ステップS32:N)には、処理はステップS38へ進む。このステップS38では、クリップ演算部124Aが、次の(9)式により信号値Y(t(=T+α))を算出する。なお、値αは、信号値X(T),Y(t),Z(T)のそれぞれにおけるデータ間隔時間(サンプリング間隔時間)である。
Y(t)=Z(T) …(9)
Y(t)=Z(T) …(9)
こうして算出された信号値Y(t)は、信号ACSの信号値として、信号変換部130へ送られる。そして、処理はステップS31へ戻る。
一方、ステップS32における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS32:Y)には、処理はステップS33へ進む。このステップS33では、クリップ演算部124Aが、係数パラメータPRMを同期化部214Aから取得する。
次に、ステップS34において、クリップ演算部124Aが、係数パラメータPRMに含まれる係数A0〜A3と、信号値Z(T)の絶対値|Z|とに基づいて、上述した(3)式により絶対値|Y|(=F(|Z|))を算出する。引き続き、ステップS35において、クリップ演算部124Aが、信号値Z(T)が0以上であるか否かを判定する。
ステップS35における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS35:Y)には、処理はステップS36へ進む。このステップS36では、クリップ演算部124Aが、次の(10)式により信号値Y(t)を算出する。
Y(t)=|Y| …(10)
Y(t)=|Y| …(10)
こうして算出された信号値Y(t)は、信号ACSの信号値として、信号変換部130へ送られる。そして、処理はステップS31へ戻る。
一方、ステップS35における判定の結果が否定的であった場合(ステップS35:N)には、処理はステップS37へ進む。このステップS37では、クリップ演算部124Aが、次の(11)式により信号値Y(t)を算出する。
Y(t)=−|Y| …(11)
Y(t)=−|Y| …(11)
こうして算出された信号値Y(t)は、信号ACSの信号値として、信号変換部130へ送られる。そして、処理はステップS31へ戻る。
以上のステップS31〜S38の処理が繰り返されることにより、信号DLSが、ソフトクリップ期間における非線形処理(ソフトクリップ処理)により、信号値の絶対値が閾値L1を越えることがなく、滑らかな信号波形を有する信号ACSに変換される。こうして生成された信号ACSが、クリップ演算部124Aから信号変換部130へ送られる(図2参照)。
こうしてクリップ処理が施された信号ACS(=Y(t))の波形が、図9において実線にて示されている。なお、図9においては、信号ACS(=Y(t))との比較のために、ソフトクリップが行われなかった場合のソフトクリップ期間における信号波形が、一点鎖線にて示されている。
信号変換部130は、上述のように生成された信号ACSを受けると、信号ACSの信号形式を変換し、信号PWSを生成する。そして、信号変換部130は、生成された信号PWSをパワー増幅部140へ送る。引き続き、信号PWSを受けたパワー増幅部140が、予め定められた増幅率で信号PWSのパワー増幅を行って、信号PASを生成する。そして、パワー増幅部140は、生成された信号PASをLPF部150へ送る。
次に、信号PASを受けたLPF部150が、信号PASの低周波成分を抽出し、アナログ信号である音声出力信号AOSを生成する。そして、LPF部150は、音声出力信号AOSをスピーカ160へ送る。引き続き、音声出力信号AOSを受けたスピーカ160が、音声出力信号AOSに従って音声再生を行い、再生音声を出力する。この結果、不要なソフトクリップを行うことなく、かつ、ソフトクリップを行う場合であっても波形歪みが抑制された音声出力信号AOSに従った音声再生が行われる。
以上説明したように、本第1実施形態では、遅延部122による遅延によって確保される時間を利用して、クリップ分析部123Aが、信号値の絶対値が超えてはならない閾値L1を超えたためにソフトクリップを行うべきソフトクリップ期間を特定する。そして、クリップ演算部124Aが、特定されたソフトクリップ期間における信号DLS対してソフトクリップ処理を行う。このため、不要なソフトクリップを行うことがないので、入力音声信号の波形を極力変形させずに音声出力信号を得ることができる。
また、本第1実施形態では、入力音声信号がHPF部121を介することにより、音声再生に際しては不要な低周波成分を除去した後に、ソフトクリップ処理を行うようにしている。このため、ソフトクリップ期間の特定処理を含むクリップ処理に要する最長時間が合理的に定まるので、遅延部122により付与される遅延を合理的に定めることができる。
また、本第1実施形態では、クリップ処理期間におけるソフトクリップ処理の対象信号の信号値の最大絶対値LMが、閾値L1に変換されるようにしている。このため、ソフトクリップ処理による波形の変形を抑制することができる。
また、本第1実施形態では、クリップ処理期間におけるソフトクリップ処理の対象信号の信号値の絶対値の変化に対するソフトクリップ処理後の変化率が、当該対象信号の信号値の最大絶対値において0となるようにしている。このため、ソフトクリップ処理後の信号の波形を滑らかにすることができる。
なお、上記の第1実施形態では、閾値L2を閾値L1の0.9倍とするとともに、発生し得る最大絶対値LMが、閾値L1の高々1.2倍となるように、信号BCSの信号値範囲及び閾値L1を定めるようにした。これに対し、閾値L2を閾値L1のα(<1)倍とし、発生し得る最大絶対値LMが、閾値L1の高々(3−2α)倍となるように信号BCSの信号値範囲及び閾値L1を定めるようにすれば、上述した(4)〜(7)式の連立方程式を解いて、(3)式における係数A0〜A3を算出することにより、上記の第1実施形態の場合と同様の効果を奏することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を、図10から図16を主に参照して説明する。本第2実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、音響装置を例示して説明する。なお、以下の説明においては、本第2実施形態に係る音響装置を、「音響装置100B」と記す。
次に、本発明の第2実施形態を、図10から図16を主に参照して説明する。本第2実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、音響装置を例示して説明する。なお、以下の説明においては、本第2実施形態に係る音響装置を、「音響装置100B」と記す。
<構成>
音響装置100Bは、上述した第1実施形態の音響装置100Aと比べて、クリップ処理部120Aに代えて、図10に示されるクリップ処理部120Bを備えている点のみが異なっている。図10に示されるように、クリップ処理部120Bは、上述したクリップ処理部120Aと比べて、クリップ分析部123Aに代えて、クリップ分析部123Bを備える点、及び、クリップ演算部124Aに代えてクリップ演算部124Bを備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
音響装置100Bは、上述した第1実施形態の音響装置100Aと比べて、クリップ処理部120Aに代えて、図10に示されるクリップ処理部120Bを備えている点のみが異なっている。図10に示されるように、クリップ処理部120Bは、上述したクリップ処理部120Aと比べて、クリップ分析部123Aに代えて、クリップ分析部123Bを備える点、及び、クリップ演算部124Aに代えてクリップ演算部124Bを備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
上記のクリップ分析部123Bは、HPF部121から送られた信号FLSを受ける。引き続き、クリップ分析部123Bは、信号FLSの波形を分析し、ソフトクリップ期間を特定するとともに、当該ソフトクリップ期間における信号FLSの最大絶対値LMを抽出する。そして、クリップ分析部123Bは、ソフトクリップ期間であることを示すクリップフラグCLFをクリップ演算部124Bへ送るとともに、クリップ演算部124Bがソフトクリップ期間における最大絶対値LMを示す最大値パラメータMXVを取得できるようにする。クリップ分析部123Bの構成、及び、クリップ分析部123Bにより行われる処理については、後述する。
上記のクリップ演算部124Bは、遅延部122から送られた信号DLS(=Z(T))を受ける。また、クリップ演算部124Bは、クリップ分析部123Bから送られたクリップフラグCLF及び最大値パラメータMXVを受ける。そして、クリップ演算部124Bは、クリップフラグCLF及び最大値パラメータMXVに基づいて、ソフトクリップ期間における信号DLSに対してソフトクリップ処理を施して信号ACS(=Y(t))を生成する。こうして生成された信号ACSを、クリップ演算部124Bが信号変換部130へ送る。
クリップ演算部124Bには、ソフトクリップ期間におけるソフトクリップ処理のために、所定値L3(>L1)に対応して予め定められた(12),(13)式で表わされる演算式G1(|Z|)が用意されている。
|Y|=G1(|Z|)=|Z| (|Z|≦L2) …(12)
|Y|=G1(|Z|)
=B11・(|Z|+B12)1/2+B13 (L2<|Z|≦L3) …(13)
|Y|=G1(|Z|)=|Z| (|Z|≦L2) …(12)
|Y|=G1(|Z|)
=B11・(|Z|+B12)1/2+B13 (L2<|Z|≦L3) …(13)
演算式G1(|Z|)は、ソフトクリップ期間における最大絶対値LMが、L1<LM≦L3の場合に適用される式であり、係数B11〜B13は、次の(14)〜(16)式の条件を満たすように定められている。
G1(L2)=L2 …(14)
G1(L3)=L1 …(15)
dG1(|Z|)/d|Z|=1 (|Z|=L2) …(16)
G1(L2)=L2 …(14)
G1(L3)=L1 …(15)
dG1(|Z|)/d|Z|=1 (|Z|=L2) …(16)
上述した(12),(13)式で表される絶対値|Z|の変化に対する絶対値|Y|の変化の様子が図11に示されている。この図11に示されるように、絶対値|Z|の変化に対する絶対値|Y|の変化は、0≦|Z|≦L3の範囲で連続的であり、閾値L1を超えることはない。また、絶対値|Z|の変化に対する絶対値|Y|の変化率も、0≦|Z|≦L3の範囲で連続的となっている。
また、クリップ演算部124Bには、ソフトクリップ期間におけるソフトクリップ処理のために、所定値L4(>L3)に対応して予め定められた(17)〜(19)式で表わされる演算式G2(|Z|)が用意されている。
|Y|=G2(|Z|)=|Z| (|Z|≦L2) …(17)
|Y|=G2(|Z|)
=B21・(|Z|+B22)1/2+B23 (L2<|Z|≦L4) …(18)
|Y|=G2(|Z|)=L1 (|Z|>L4) …(19)
|Y|=G2(|Z|)=|Z| (|Z|≦L2) …(17)
|Y|=G2(|Z|)
=B21・(|Z|+B22)1/2+B23 (L2<|Z|≦L4) …(18)
|Y|=G2(|Z|)=L1 (|Z|>L4) …(19)
演算式G2(|Z|)は、ソフトクリップ期間における最大絶対値LMが、L3<LMの場合に適用される式であり、係数B21〜B23は、次の(20)〜(22)式の条件を満たすように定められている。
G2(L2)=L2 …(20)
G2(L4)=L1 …(21)
dG1(|Z|)/d|Z|=1 (|Z|=L2) …(22)
G2(L2)=L2 …(20)
G2(L4)=L1 …(21)
dG1(|Z|)/d|Z|=1 (|Z|=L2) …(22)
上述した(17)〜(19)式で表される絶対値|Z|の変化に対する絶対値|Y|の変化の様子が図12に示されている。この図12に示されるように、絶対値|Z|の変化に対する絶対値|Y|の変化は、0≦|Z|の範囲で連続的となっている。また、絶対値|Z|の変化に対する絶対値|Y|の変化率も、0≦|Z|<L4の範囲で連続的となっている。
なお、所定値L3,L4は、L1<L3<L4の条件を満たせば、任意の値を採用することができる。本第2実施形態では、所定値L3が閾値L1の1.1倍であり、所定値L4が閾値L1の1.2倍となっている。このため、第1実施形態と同様に、発生し得る最大絶対値LMが閾値L1の高々1.2倍である場合には、(19)式は利用されることがないことになる。
次に、上述したクリップ分析部123Bの構成について説明する。クリップ分析部123Bは、図13に示されるように、上述したクリップ分析部123Aと比べて、パラメータ算出部213を備えていない点、及び、同期化部214Aに代えて同期化部214Bを備えている点が異なっている。このため、最大絶対値抽出部212で抽出された最大絶対値LMは、同期化部214Bへ送られる。
上記の同期化部214Bは、ソフトクリップ期間特定部211Aから送られたソフトクリップ期間情報CPDを受ける。そして、同期化部214Bは、同期化部214Aと同様に、信号FLSについて特定されたクリップ期間に対応する信号DLS(=Z(T)=X(T−TD))に関するソフトクリップ期間中にわたってクリップフラグCLFを「ON」として、信号DLSに対するソフトクリップ期間である旨をクリップ演算部124Bに知らせる。
また、同期化部214Bは、最大絶対値抽出部212から送られた最大絶対値LMを受ける。引き続き、同期化部214Bは、最大絶対値LMを保持する。そして、同期化部214Bは、信号FLSについて特定されたクリップ期間に対応する信号DLSに関するソフトクリップ期間中にわたって、クリップ演算部124Bが、当該クリップ期間で利用すべき最大絶対値LMを最大値パラメータMXVとして取得できるようにする。
なお、同期化部214Bは、最大絶対値LMの利用期間、すなわち、最大絶対値LMが対応している信号DLSに関するソフトクリップ期間が終了すると、当該最大絶対値LMを廃棄する。
<動作>
次に、上記のように構成された音響装置100Bの動作について、クリップ処理部120Bによるクリップ処理に主に着目して説明する。
次に、上記のように構成された音響装置100Bの動作について、クリップ処理部120Bによるクリップ処理に主に着目して説明する。
音響装置100Bでは、第1実施形態の場合と同様に、前段処理部110から、音響処理が施された信号BCSが、クリップ処理部120Bへ送られる。クリップ処理部120Bでは、HPF部121が、前段処理部110から送られた信号BCSを受ける。そして、HPF部121は、第1実施形態の場合と同様に、信号BCSにおける所定周波数FLZ以上の周波数成分を選択的に通過させることにより、信号FLS(=X(T))を生成する。こうして生成された信号FLSを、HPF部121が遅延部122及びクリップ分析部123Bへ送る(図10参照)。
図14には、HPF部121により生成された信号FLS(=X(T))の例が示されている。この図14に示される例においては、第1実施形態の場合と同様に、絶対値|X|は、時刻T1において閾値L2を超えたが、閾値L1を超えることなく、時刻T2において閾値L2以下に変化している。
また、絶対値|X|は、時刻T3(>T2)において閾値L2を超え、更に閾値L1を超えて増加し、時刻T4において所定値L1より大きな値M4に達する。その後、絶対値|X|は減少し、時刻T5において閾値L2以下に変化する。
さらに、絶対値|X|は、時刻T6(>T5)において閾値L2を超え、更に閾値L1を超えて増加し、時刻T7において所定値L4を超えた値M3に達する。その後、絶対値|X|は減少し、時刻T8において閾値L2以下に変化する。
以下、図14に示す波形例の信号FLS(=X(T))が、HPF部121により生成され、HPF部121から遅延部122及びクリップ分析部123Bに供給されるものとして、説明を行う。
信号FLS(=X(T))を受けた遅延部122は、第1実施形態の場合と同様に、信号FLSに時間TDの遅延を付与し、信号DLS(=Z(T)=X(T−TD))を生成する。そして、遅延部122は、生成された信号DLSを、クリップ演算部124Bへ送る(図10参照)。
クリップ分析部123Bでは、ソフトクリップ期間特定部211Aが、信号FLS(=X(T))を受ける。そして、ソフトクリップ期間特定部211Aは、第1実施形態と同様にして、ソフトクリップ期間の特定処理を行う。こうして行われるソフトクリップ期間の特定処理により、上述した図14における時刻T3から時刻T5までの期間、及び、時刻T6から時刻T8までの期間が、ソフトクリップ期間として特定される。そして、特定されたソフトクリップ期間CPDが、同期化部214Bへ通知される(図13参照)。
また、最大絶対値抽出部212は、第1実施形態の場合と同様にして、ソフトクリップ期間特定部211Aから送られた開始指令MVR及び終了指令MVPに従って、ソフトクリップ期間ごとの絶対値|X|の最大値を抽出する。この結果、時刻T3から時刻T5までのソフトクリップ期間に対応した最大絶対値LMとして、値M4が抽出される。また、時刻T6から時刻T8までのソフトクリップ期間に対応した最大絶対値LMとして、値M3が抽出される。こうして最大絶対値LMが抽出される度に、最大絶対値抽出部212は、最大絶対値LMを同期化部214Bへ送る。
同期化部214Bは、ソフトクリップ期間情報CPDを受けると、上述した同期化部214Aと同様に、信号DLS(=Z(T)=X(T−TD))に関するソフトクリップ期間中にわたってクリップフラグCLFを「ON」とする。こうしてクリップフラグCLFを「ON」とすることにより、同期化部214Bは、同期化部214Aと同様に、信号DLSに対するソフトクリップ期間である旨をクリップ演算部124Bに知らせる。
また、同期化部214Bは、最大絶対値LMを受けると、最大絶対値LMを保持する。そして、同期化部214Bは、信号DLSに関するソフトクリップ期間中にわたって、クリップ演算部124Bが、当該クリップ期間で利用すべき最大絶対値LMを最大値パラメータMXVとして取得できるようにする。
《クリップ演算処理》
クリップ演算部124Bは、同期化部214Bから送られたクリップフラグCLF及び最大値パラメータMXVを利用して、遅延部122から送られた信号DLS(=Z(T))に対するクリップ演算を行う。
クリップ演算部124Bは、同期化部214Bから送られたクリップフラグCLF及び最大値パラメータMXVを利用して、遅延部122から送られた信号DLS(=Z(T))に対するクリップ演算を行う。
かかるクリップ演算処理に際しては、図15に示されるように、まず、ステップS41において、クリップ演算部124Bが、新たな信号値Z(T)を受けたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS41:N)には、ステップS41の処理が繰り返される。
クリップ演算部124Bが新たな信号値Z(T)を受け、ステップS41における判定の結果が肯定的となると(ステップS41:Y)、処理はステップS42へ進む。このステップS42では、クリップ演算部124Bが、クリップフラグCLFが「ON」であるか否かを判定する。
ステップS42における判定の結果が否定的であった場合(ステップS42:N)には、処理はステップS50へ進む。このステップS50では、クリップ演算部124Bが、第1実施形態におけるステップS38と同様にして、上述した(9)式により信号値Y(t)を算出する。こうして算出された信号値Y(t)は、信号ACSの信号値として、信号変換部130へ送られる。そして、処理はステップS41へ戻る。
一方、ステップS42における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS42:Y)には、処理はステップS43へ進む。このステップS43では、クリップ演算部124Bが、最大値パラメータMXVを取得する。
次に、ステップS44において、クリップ演算部124Bが、最大値パラメータMXVに含まれる最大絶対値LMが所定値L3以下か否かを判定する。上述した時刻T3から時刻T5までのソフトクリップ期間である場合には、最大絶対値LM(=M4)が所定値L3未満であるので(図14参照)、ステップS44における判定の結果が肯定的となる。このようにステップS44における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS44:Y)には、処理はステップS45へ進む。
ステップS45では、クリップ演算部124Bが、信号値Z(T)の絶対値|Z|に基づいて、上述した(13)式により絶対値|Y|(=G1(|Z|))を算出する。そして、処理はステップS47へ進む。
一方、上述した時刻T6から時刻T8までのソフトクリップ期間である場合には、最大絶対値LM(=M3)が所定値L3よりも大きいので(図14参照)、ステップS44における判定の結果が否定的となる。このようにステップS44における判定の結果が否定的であった場合(ステップS44:N)には、処理はステップS46へ進む。
ステップS46では、クリップ演算部124Bが、信号値Z(T)の絶対値|Z|に基づいて、上述した(18)式又は(19)式により、絶対値|Y|(=G2(|Z|))を算出する。そして、処理はステップS47へ進む。
ステップS47では、クリップ演算部124Bが、信号値Z(T)が0以上であるか否かを判定する。ステップS47における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS47:Y)には、処理はステップS48へ進む。このステップS48では、クリップ演算部124Bが、第1実施形態におけるステップS36の場合と同様に、上述した(10)式により信号値Y(t)を算出する。こうして算出された信号値Y(t)は、信号ACSの信号値として、信号変換部130へ送られる。そして、処理はステップS41へ戻る。
一方、ステップS47における判定の結果が否定的であった場合(ステップS47:N)には、処理はステップS49へ進む。このステップS49では、クリップ演算部124Bが、第1実施形態におけるステップS37の場合と同様に、上述した(11)式により信号値Y(t)を算出する。こうして算出された信号値Y(t)は、信号ACSの信号値として、信号変換部130へ送られる。そして、処理はステップS41へ戻る。
以上のステップS41〜S50の処理が繰り返されることにより、信号DLSが、ソフトクリップ期間における非線形処理(ソフトクリップ処理)により、信号値の絶対値が閾値L1を越えることがなく、連続的な信号波形を有する信号ACSに変換される。こうして生成された信号ACSが、クリップ演算部124Bから信号変換部130へ送られる(図10参照)。
こうしてクリップ処理が施された信号ACS(=Y(t))の波形が、図16において実線にて示されている。なお、図16においては、信号ACS(=Y(t))との比較のために、ソフトクリップが行われなかった場合のソフトクリップ期間における信号波形が、一点鎖線にて示されている。
上述のように生成された信号ACSが、第1実施形態の場合と同様にして、信号変換部130、パワー増幅部140及びLPF部150により処理が施されることにより、音声出力信号AOSが生成される。そして、音声出力信号AOSを受けたスピーカ160が、音声出力信号AOSに従って音声再生を行い、再生音声を出力する。この結果、不要なソフトクリップを行うことなく、かつ、ソフトクリップを行う場合であっても波形歪みが抑制された音声出力信号AOSに従った音声再生が行われる。
以上説明したように、本第2実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、遅延部122による遅延によって確保される時間を利用して、クリップ分析部123Bが、信号値の絶対値が超えてはならない閾値L1を超えたためにソフトクリップを行うべきソフトクリップ期間を特定する。そして、クリップ演算部124Bが、特定されたソフトクリップ期間における信号DLS対してソフトクリップ処理を行う。このため、不要なソフトクリップを行うことがないので、入力音声信号の波形を極力変形させずに音声出力信号を得ることができる。
また、本第2実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、入力音声信号がHPF部121を介することにより、音声再生に際しては不要な低周波成分を除去した後に、ソフトクリップ処理を行うようにしている。このため、ソフトクリップ期間の特定処理を含むクリップ処理に要する最長時間が合理的に定まるので、遅延部122により付与される遅延を合理的に定めることができる。
また、本第2実施形態では、クリップ処理期間におけるソフトクリップ処理の対象信号の信号値の最大絶対値LMが、信号DLSの信号値の絶対値|Z|が閾値L2よりも大きな値のレベル区間を分割した個別レベル区間のいずれに属するかに対応して、ソフトクリップの演算式を使い分ける。このため、ソフトクリップ処理による波形の変形を抑制することができる。
また、本第2実施形態では、クリップ処理期間におけるソフトクリップ処理の対象信号の信号値の絶対値の変化に対するソフトクリップ処理後の信号値の絶対値の変化率が、閾値L4未満においては、連続的となるようにしている。このため、ソフトクリップ処理後の信号の波形をほぼ滑らかとすることができる。
なお、上記の第2実施形態では、ソフトクリップ処理に際して、信号DLSの信号値の絶対値|Z|が閾値L2よりも大きな値のレベル区間を、閾値L2よりも大きく閾値L1以下の個別レベル区間、閾値L1よりも大きく閾値L3以下の個別レベル区間、及び、閾値L3よりも大きな個別レベル区間の3つの個別レベル区間に分割することにし、絶対値|Z|が閾値L1よりも大きな値のレベル区間については、2つの個別レベル区間に分割するようにした。これに対し、信号DLSの信号値の絶対値|Z|が閾値L1よりも大きな値のレベル区間については、3以上の数の個別レベル区間に分割するようにするとともに、個別レベル区間ごとに対応するソフトクリップ処理の演算式を用意するようにしてもよい。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を、図17から図22を主に参照して説明する。本第3実施形態においても、第1及び第2実施形態の場合と同様に、音響装置を例示して説明する。なお、以下の説明においては、本第3実施形態に係る音響装置を、「音響装置100C」と記す。
次に、本発明の第3実施形態を、図17から図22を主に参照して説明する。本第3実施形態においても、第1及び第2実施形態の場合と同様に、音響装置を例示して説明する。なお、以下の説明においては、本第3実施形態に係る音響装置を、「音響装置100C」と記す。
<構成>
音響装置100Cは、上述した第2実施形態の音響装置100Bと比べて、クリップ処理部120Bに代えて、図17に示されるクリップ処理部120Cを備えている点のみが異なっている。図17に示されるように、クリップ処理部120Cは、上述したクリップ処理部120Bと比べて、クリップ分析部123Bに代えて、クリップ分析部123Cを備える点、及び、クリップ演算部124Bに代えてクリップ演算部124Cを備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
音響装置100Cは、上述した第2実施形態の音響装置100Bと比べて、クリップ処理部120Bに代えて、図17に示されるクリップ処理部120Cを備えている点のみが異なっている。図17に示されるように、クリップ処理部120Cは、上述したクリップ処理部120Bと比べて、クリップ分析部123Bに代えて、クリップ分析部123Cを備える点、及び、クリップ演算部124Bに代えてクリップ演算部124Cを備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
上記のクリップ分析部123Cは、HPF部121から送られた信号FLSを受ける。引き続き、クリップ分析部123Cは、信号FLSの波形を分析し、ソフトクリップ期間を特定する。そして、クリップ分析部123Cは、ソフトクリップ期間であることを示すクリップフラグCLFをクリップ演算部124Cへ送る。クリップ分析部123Cの構成、及び、クリップ分析部123Cにより行われる処理については、後述する。
上記のクリップ演算部124Cは、遅延部122から送られた信号DLS(=Z(T))を受ける。また、クリップ演算部124Cは、クリップ分析部123Cから送られたクリップフラグCLFを受ける。そして、クリップ演算部124Cは、クリップフラグCLFに基づいて、ソフトクリップ期間における信号DLSに対してソフトクリップ処理を施して信号ACS(=Y(t))を生成する。こうして生成された信号ACSを、クリップ演算部124Cが信号変換部130へ送る。
クリップ演算部124Cには、ソフトクリップ期間におけるソフトクリップ処理のために、所定値L5(>L1)に対応して予め定められた(23)〜(25)式で表わされる演算式H(|Z|)が用意されている。
|Y|=H(|Z|)=|Z| (|Z|≦L2) …(23)
|Y|=H(|Z|)
=C3・|Z|3+C2・|Z|2+C1・|Z|+C0 (L2<|Z|≦L5)
…(24)
|Y|=H(|Z|)=L1 (|Z|>L5) …(25)
|Y|=H(|Z|)=|Z| (|Z|≦L2) …(23)
|Y|=H(|Z|)
=C3・|Z|3+C2・|Z|2+C1・|Z|+C0 (L2<|Z|≦L5)
…(24)
|Y|=H(|Z|)=L1 (|Z|>L5) …(25)
上記の(24)式における係数C0〜C3は、次の(26)〜(29)式の条件を満たすように定められている。
L2=H(L2) …(26)
L1=H(L5) …(27)
d|Y|/d|Z|=1 (|Z|=L2の場合) …(28)
d|Y|/d|Z|=0 (|Z|=L5の場合) …(29)
L2=H(L2) …(26)
L1=H(L5) …(27)
d|Y|/d|Z|=1 (|Z|=L2の場合) …(28)
d|Y|/d|Z|=0 (|Z|=L5の場合) …(29)
上述した(23)〜(25)式で表される絶対値|Z|の変化に対する絶対値|Y|の変化の様子が図18に示されている。この図18に示されるように、絶対値|Z|の変化に対する絶対値|Y|の変化は、0≦|Z|の範囲で連続的となっている。また、絶対値|Z|の変化に対する絶対値|Y|の変化率も、0≦|Z|の範囲で連続的となっている。
なお、第1実施形態の場合と同様に閾値L2が閾値L1の0.9倍である場合には、所定値L5は、閾値L1より大きく、かつ、閾値L1の1.2倍以下であれば、任意の値を採用することができる。本第3実施形態では、所定値L5を閾値L1の1.2倍としている。このため、第1実施形態と同様に、発生し得る最大絶対値LMが、閾値L1の高々1.2倍である場合には、(25)式は利用されることがないことになる。また、閾値L1と閾値L2との差が、所定値L5と閾値L1との差と同一、すなわち、L5=(2×L1―L2)が成り立つならば、(24)式における係数C3の値は0となる。
次に、上述したクリップ分析部123Cの構成について説明する。クリップ分析部123Cは、図19に示されるように、上述したクリップ分析部123Bと比べて、ソフトクリップ期間特定部211Aに代えてソフトクリップ期間特定部211Cを備える点、最大絶対値抽出部212を備えていない点、及び、同期化部214Bに代えて同期化部214Cを備えている点が異なっている。このため、同期化部214Cには、ソフトクリップ期間特定部211Cから送られたソフトクリップ期間情報CPDのみが供給されるようになっている。
上記のソフトクリップ期間特定部211Cは、上述したソフトクリップ期間特定部211Aと比べて、最大絶対値抽出部212へ向けた信号発行を行わない点が異なっている。このため、ソフトクリップ期間特定部211Cは、信号FLSの波形を分析し、ソフトクリップ期間を特定して、同期化部214Cに報告する処理のみを行うようになっている。
上記の同期化部214Cは、ソフトクリップ期間特定部211Cから送られたソフトクリップ期間情報CPDを受ける。そして、同期化部214Cは、同期化部214Bと同様に、信号FLSについて特定されたクリップ期間に対応する信号DLS(=Z(T)=X(T−TD))に関するソフトクリップ期間中にわたってクリップフラグCLFを「ON」とする。こうしてクリップフラグCLFを「ON」とすることにより、同期化部214Cは、同期化部214Bの場合と同様にして、信号DLSに対するソフトクリップ期間である旨をクリップ演算部124Cに知らせる。
<動作>
次に、上記のように構成された音響装置100Cの動作について、クリップ処理部120Cによるクリップ処理に主に着目して説明する。
次に、上記のように構成された音響装置100Cの動作について、クリップ処理部120Cによるクリップ処理に主に着目して説明する。
音響装置100Cでは、第2実施形態の場合と同様に、前段処理部110から、音響処理が施された信号BCSが、クリップ処理部120Cへ送られる。クリップ処理部120Cでは、HPF部121が、前段処理部110から送られた信号BCSを受ける。そして、HPF部121は、第2実施形態の場合と同様に、信号BCSにおける所定周波数FLZ以上の周波数成分を選択的に通過させることにより、信号FLS(=X(T))を生成する。こうして生成された信号FLSを、HPF部121が遅延部122及びクリップ分析部123Cへ送る(図17参照)。
図20には、HPF部121により生成された信号FLS(=X(T))の例が示されている。この図20に示される例においては、第2実施形態の場合と同様に、絶対値|X|は、時刻T1において閾値L2を超えたが、閾値L1を超えることなく、時刻T2において閾値L2以下に変化している。
また、絶対値|X|は、時刻T3(>T2)において閾値L2を超え、更に閾値L1を超えて増加し、時刻T4において所定値L5未満の値M6に達する。その後、絶対値|X|は減少し、時刻T5において閾値L2以下に変化する。
さらに、絶対値|X|は、時刻T6(>T5)において閾値L2を超え、更に閾値L1を超えて増加し、時刻T7において所定値L5を超えた値M5に達する。その後、絶対値|X|は減少し、時刻T8において閾値L2以下に変化する。
以下、図20に示す波形例の信号FLS(=X(T))が、HPF部121により生成され、HPF部121から遅延部122及びクリップ分析部123Cに供給されるものとして、説明を行う。
信号FLS(=X(T))を受けた遅延部122は、第2実施形態の場合と同様に、信号FLSに時間TDの遅延を付与し、信号DLS(=Z(T)=X(T−TD))を生成する。そして、遅延部122は、生成された信号DLSを、クリップ演算部124Cへ送る。
クリップ分析部123Cでは、ソフトクリップ期間特定部211Cが、信号FLS(=X(T))を受ける。そして、ソフトクリップ期間特定部211Cは、第2実施形態と同様にして、ソフトクリップ期間の特定処理を行う。こうして行われるソフトクリップ期間の特定処理により、上述した図20における時刻T3から時刻T5までの期間、及び、時刻T6から時刻T8までの期間が、ソフトクリップ期間として特定され、同期化部214Cへ通知される。
同期化部214Cは、ソフトクリップ期間情報CPDを受けると、上述した同期化部214Bと同様に、信号DLS(=Z(T)=X(T−TD))に関するソフトクリップ期間中にわたってクリップフラグCLFを「ON」とする。こうしてクリップフラグCLFを「ON」とすることにより、同期化部214Cは、信号DLSに対するソフトクリップ期間である旨をクリップ演算部124Cに知らせる。
《クリップ演算処理》
クリップ演算部124Cは、同期化部214Cから送られたクリップフラグCLFを利用して、遅延部122から送られた信号DLS(=Z(T))に対するクリップ演算を行う。
クリップ演算部124Cは、同期化部214Cから送られたクリップフラグCLFを利用して、遅延部122から送られた信号DLS(=Z(T))に対するクリップ演算を行う。
かかるクリップ演算処理に際しては、図21に示されるように、まず、ステップS51において、クリップ演算部124Cが、新たな信号値Z(T)を受けたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS51:N)には、ステップS51の処理が繰り返される。
クリップ演算部124Cが新たな信号値Z(T)を受け、ステップS51における判定の結果が肯定的となると(ステップS51:Y)、処理はステップS52へ進む。このステップS52では、クリップ演算部124Cが、クリップフラグCLFが「ON」であるか否かを判定する。
ステップS52における判定の結果が否定的であった場合(ステップS52:N)には、処理はステップS57へ進む。このステップS57では、クリップ演算部124Cが、第2実施形態におけるステップS50と同様にして、上述した(9)式により信号値Y(t)を算出する。こうして算出された信号値Y(t)は、信号ACSの信号値として、信号変換部130へ送られる。そして、処理はステップS51へ戻る。
一方、ステップS52における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS52:Y)には、処理はステップS53へ進む。このステップS53では、クリップ演算部124Cが、信号値Z(T)の絶対値|Z|に基づいて、上述した(24)式又は(25)式により絶対値|Y|(=H(|Z|))を算出する。そして、処理はステップS54へ進む。
ステップS54では、クリップ演算部124Cが、信号値Z(T)が0以上であるか否かを判定する。ステップS54における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS54:Y)には、処理はステップS55へ進む。このステップS55では、クリップ演算部124Cが、第2実施形態におけるステップS48の場合と同様に、上述した(10)式により信号値Y(t)を算出する。こうして算出された信号値Y(t)は、信号ACSの信号値として、信号変換部130へ送られる。そして、処理はステップS51へ戻る。
一方、ステップS54における判定の結果が否定的であった場合(ステップS54:N)には、処理はステップS56へ進む。このステップS56では、クリップ演算部124Cが、第2実施形態におけるステップS49の場合と同様に、上述した(11)式により信号値Y(t)を算出する。こうして算出された信号値Y(t)は、信号ACSの信号値として、信号変換部130へ送られる。そして、処理はステップS51へ戻る。
以上のステップS51〜S57の処理が繰り返されることにより、信号DLSが、ソフトクリップ期間における非線形処理(ソフトクリップ処理)により、信号値の絶対値が閾値L1を越えることがなく、連続的な信号波形を有する信号ACSに変換される。こうして生成された信号ACSが、クリップ演算部124Cから信号変換部130へ送られる(図17参照)。
こうしてクリップ処理が施された信号ACS(=Y(t))の波形が、図22において実線にて示されている。なお、図22においては、信号ACS(=Y(t))との比較のために、ソフトクリップが行われなかった場合のソフトクリップ期間における信号波形が、一点鎖線にて示されている。
上述のように生成された信号ACSが、第2実施形態の場合と同様にして、信号変換部130、パワー増幅部140及びLPF部150により処理が施されることにより、音声出力信号AOSが生成される。そして、音声出力信号AOSを受けたスピーカ160が、音声出力信号AOSに従って音声再生を行い、再生音声を出力する。この結果、不要なソフトクリップを行うことなく、かつ、ソフトクリップを行う場合であっても波形歪みが抑制された音声出力信号AOSに従った音声再生が行われる。
以上説明したように、本第3実施形態では、第1及び第2実施形態の場合と同様に、遅延部122による遅延によって確保される時間を利用して、クリップ分析部123Cが、絶対値が超えてはならない閾値L1を超えたためにソフトクリップを行うことが必要なソフトクリップ期間を特定する。そして、クリップ演算部124Cが、特定されたソフトクリップ期間における信号DLS対してソフトクリップ処理を行う。このため、不要なソフトクリップを行うことがないので、入力音声信号の波形を極力変形させずに音声出力信号を得ることができる。
また、本第3実施形態では、第1及び第2実施形態の場合と同様に、入力音声信号がHPF部121を介することにより、音声再生に際しては不要な低周波成分を除去した後に、ソフトクリップ処理を行うようにしている。このため、ソフトクリップ期間の特定処理を含むクリップ処理に要する最長時間が合理的に定まるので、遅延部122により付与される遅延を合理的に定めることができる。
また、本第3実施形態では、クリップ処理期間におけるソフトクリップ処理の対象信号の信号値の絶対値の変化に対するソフトクリップ処理後の信号値の絶対値の変化率が、絶対値|Z|が閾値L2よりも大きな値の区間の全範囲について、連続的となるようにしている。このため、ソフトクリップ処理後の信号の波形をほぼ滑らかとすることができる。
[実施形態の変形]
本発明は、上記の第1〜第3実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
本発明は、上記の第1〜第3実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
例えば、上記の第1〜第3実施形態では、閾値L2を閾値L1の0.9倍とした。これに対し、閾値L2を閾値L1の0.8倍とする等、閾値L2と閾値L1との関係として、L2<L1の条件が満足されれば、上記の第1〜第3実施形態における関係以外の関係を採用してもよい。
また、上記の第1〜第3実施形態では、互いに異なる演算式を用いてソフトクリップ処理を行うようにしたが、ソフトクリップ処理後の信号波形が連続的であり、ソフトクリップ期間におけるソフトクリップ処理後の信号値の絶対値が閾値L1を超えることがないものであれば、他の演算式を採用してもよい。例えば、次の(30)式を用いて、ソフトクリップ期間におけるソフトクリップ処理を行うようにしてもよい。
|Y|=L2+(L1−L2)・(|Z|−L2)/(LM−L2)
…(30)
|Y|=L2+(L1−L2)・(|Z|−L2)/(LM−L2)
…(30)
なお、上記の(30)式を採用した場合には、|Z|=L2におけるd|Y|/d|Z|の連続性を確保することはできないが、簡易な計算で、絶対値|Y|の連続性を確保しつつ、絶対値|Y|が閾値L1を超えることがないことを実現することができる。
また、上記の第1〜第3実施形態では、音響装置に本発明を適用したが、音響装置以外のデジタル信号処理装置にも本発明を適用することができる。
なお、上記の第1〜第3実施形態におけるクリップ処理部の一部又は全部を中央処理装置(CPU:Central Processor Unit)やDSP(Digital Signal Processor)を備えるコンピュータシステムとして構成し、上述した機能を、プログラムの実行によっても実現するようにすることができる。これらのプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
Claims (10)
- 第1デジタル信号の信号値の絶対値が、予め定められた第1閾値を超えているか否かの第1判定を行う第1判定部と;
前記絶対値が、前記第1閾値以下であり、かつ、前記第1閾値よりも小さな予め定められた第2閾値を超えているか否かの第2判定を行う第2判定部と;
前記第1デジタル信号を予め定められた時間だけ遅延させた第2デジタル信号を生成する遅延部と;
前記第1判定の結果及び前記第2判定の結果の双方が否定的である状態から前記第2判定の結果のみが肯定的となった第1時点から、前記第1時点の後に前記第2判定の結果が否定的となることなく前記第1判定の結果が肯定的となり、その後に前記第1判定の結果及び前記第2判定の結果の双方が否定的となった第2時点までの期間に対応する処理対象期間の信号波形を、前記処理対象期間以外の期間の信号波形との連続性及び前記処理対象期間内の信号波形の連続性を維持しつつ、前記第1閾値を超えない波形に変換する非線形加工処理を行う加工部と;
を備えることを特徴とするデジタル信号処理装置。 - 前記第1デジタル信号に含まれるべき信号の周波数帯域の最低周波数以上の信号成分を、外部から供給された第3デジタル信号から選択して通過させ、前記第1デジタル信号として出力するハイパスフィルタ部を更に備え、
前記予め定められた時間は、前記最低周波数の半周期の期間である、
ことを特徴とする請求項1に記載のデジタル信号処理装置。 - 前記非線形加工処理は、前記処理対象期間における前記第2デジタル信号の信号値の絶対値が大きくなるほど、前記第2デジタル信号の信号値の絶対値と前記非線形加工処理後の値の絶対値との差が大きくなる非線形加工処理である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のデジタル信号処理装置。
- 前記非線形加工処理は、
前記第2デジタル信号の信号値の絶対値が、前記第1閾値よりも大きな予め定められた第3閾値を超える場合には、前記第2デジタル信号の信号値の絶対値を前記第1閾値に変換し、
前記第2デジタル信号の信号値の絶対値が、前記第2閾値より大きく、かつ、前記第3閾値以下の場合には、
前記第2デジタル信号の信号値の絶対値が前記第2閾値となるときにおける前記第2デジタル信号の信号値の絶対値の変化に対する前記非線形加工処理後の信号値の絶対値の変化率の連続性を維持しつつ、前記第2デジタル信号の信号値の絶対値が前記第3閾値となるときに、前記第2デジタル信号の信号値の絶対値を前記第1閾値に変換するとともに、前記第2デジタル信号の信号値の絶対値の変化に対する前記非線形加工処理後の信号値の絶対値の変化率が0となる変換を行う、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のデジタル信号処理装置。 - 前記処理対象期間における前記第1デジタル信号の絶対値の最大値を抽出する抽出部を更に備え、
前記非線形加工処理は、前記抽出された最大値が前記第1閾値となるように、前記第2デジタル信号における前記処理対象期間の信号波形の変換を行う非線形加工処理である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のデジタル信号処理装置。 - 前記非線形加工処理は、前記第2デジタル信号の信号値の絶対値の変化に対する前記非線形加工処理後の信号値の絶対値の変化率を連続的に変化させるとともに、前記抽出された最大値において前記変化率を0とする非線形加工処理である、ことを特徴とする請求項5に記載のデジタル信号処理装置。
- 前記処理対象期間における前記第1デジタル信号の絶対値の最大値を抽出する抽出部を更に備え、
前記非線形加工処理は、前記第1デジタル信号が前記第2閾値より大きな値のレベル区間を予め定められた複数の個別レベル区間に分割し、前記抽出された最大値が属する個別レベル区間に対応した、前記第2デジタル信号の信号値の絶対値の変化に対する前記非線形加工処理後の信号値の絶対値の変化率の前記第2閾値における連続性を維持する変換式に従って、前記第2デジタル信号における前記処理対象期間の信号波形の変換を行う非線形加工処理である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のデジタル信号処理装置。 - 第1デジタル信号の信号値の絶対値が、予め定められた第1閾値を超えているか否かの第1判定を行う第1判定工程と;
前記絶対値が、前記第1閾値以下であり、かつ、前記第1閾値よりも小さな予め定められた第2閾値を超えているか否かの第2判定を行う第2判定工程と;
前記第1判定工程及び前記第2判定工程の実行と並行して、前記第1デジタル信号を予め定められた時間だけ遅延させて、第2デジタル信号を生成する遅延工程と;
前記第1判定の結果及び前記第2判定の結果の双方が否定的である状態から前記第2判定の結果のみが肯定的となった第1時点から、前記第1時点の後に前記第2判定の結果が否定的となることなく前記第1判定の結果が肯定的となり、その後に前記第1判定の結果及び前記第2判定の結果の双方が否定的となった第2時点までの期間に対応する処理対象期間の信号波形を、前記処理対象期間以外の期間の信号波形との連続性及び前記処理対象期間内の信号波形の連続性を維持しつつ、前記第1閾値を超えない波形に変換する非線形加工処理を行う加工工程と;
を備えることを特徴とするデジタル信号処理方法。 - 請求項8に記載のデジタル信号処理方法を演算手段により実行させる、ことを特徴とするデジタル信号処理プログラム。
- 請求項9に記載のデジタル信号処理プログラムが、演算手段により読取可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。
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