JPWO2011046193A1 - ウイルス性出血性敗血症ウイルス結合性アプタマー - Google Patents
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Abstract
VHSVの感染を予防及び治療することのできる医薬及び方法、VHSVを特定水域から除去する方法、並びにVHSVを簡便かつ高感度に検出するための方法及びキットを提供する。VHSV及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドに結合し、宿主のVHSV感染を抑制する活性を有するVHSV結合性アプタマーを提供する。また、前記VHSV結合性アプタマーを用いてVHSV及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドを検出する方法を提供する。
Description
本発明は、ウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV)に結合するVHSV結合性アプタマー、それを含むVHS治療・予防用医薬組成物及びVHSV検出方法に関する。
ウイルス性出血性敗血症(Viral Hemorrhagic Septicemia: VHS)は、エグトベト病とも呼ばれ、主としてサケ科の魚種の他、ヒラメ、マダイ及びメバル等に発生するウイルス性の疾患である。ウイルス性出血性敗血症ウイルス(Viral Hemorrhagic Septicemia Virus: VHSV)を病原体とするこの疾患は、ヨーロッパ大陸を中心とする淡水域系の魚類疾患として古くから知られていたが、近年になって、北米の淡水域、及び我が国の海水域からも報告され、その発生水域は徐々に拡大しつつある。
本疾患の症状としては、体色の黒化、眼球の突出、腹部膨満、及び眼球、鰓、体側及び鰭基部における出血、並びに遊泳不活発及び異常遊泳等の行動異常が認められる。また、剖検所見では、肝臓、腎臓、脾臓における充血、膨張、褪色、及び骨格筋における点状出血が見られる(非特許文献1)。
本疾患は、若齢魚ほど顕在感染を受け易く、また死亡率も高いため、水産業界、特に養殖産業界において甚大な被害をもたらし得る。それ故、水産上重要な疾患として、その簡便な検出法、並びに予防及び治療法の開発が急務となっている(非特許文献2)。
しかしながら、本疾患に対する有効な防除方法は、まだ知られておらず、現在は、健康監視計画の下で罹患個体を早期に発見し、集団から除去する方法が採られているに過ぎない。ところが、本疾患は、個体による症状差が大きく、劇的症状を呈して死に至る個体から、ほとんど正常に見える個体までが存在する。そのため感染個体であっても生存可能な不顕性ウイルスキャリアとなった個体は、監視を逃れてしまう可能性が高い。したがって、前記防除方法は、このようなキャリアを介して周辺水域に感染を拡大・蔓延させてしまうという問題を包含している。また、監視には多大な労力を要するという問題もある。
一方、特許文献1にはVHSVに対するDNAワクチンの発明が開示されている。このDNAワクチンは、VHSVにおける免疫原性ポリペプチドをコードするDNAワクチンで、対象とする個体に投与することによって、その個体のVHSに対する防御免疫を刺激し、VHS防御能を個体に付与することができる点において優れている。また、DNAであることから高温下においても安定で、長期貯蔵が可能であり、遺伝学的手法により迅速な改良が容易にできることや、ワクチン開発に必要な時間を短縮できるという利点も有する。しかし、DNAワクチンは、即効性がなく、接種後約2週間以降でなければ防御効果が現れないという欠点がある。さらに、抗原をコードする遺伝子組換えプラスミドDNAを持つトランスジェニック魚は、食用魚として安全性の面でも問題がある。
魚類防疫技術書シリーズXXV 特定疾病診断マニュアル、2008年、社団法人日本水産資源保護協会
江草周三(責任編集)、魚病学辞典、1982年、近代出版
本発明の課題は、VHSVの感染を予防及び治療することのできる医薬及び方法、VHSVを特定水域から除去する方法、並びにVHSVを簡便かつ高感度に検出するための方法及びキットを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、VHSVの感染を抑制できるアプタマーの開発に成功した。
「アプタマー」とは、標的物質と特異的に結合する能力を持ったリガンド分子である。アプタマーは、その分子の種類により、核酸アプタマーとペプチドアプタマーに大別することができる。いずれのアプタマーも、その分子が有する立体構造によって標的物質と強固、かつ特異的に結合し、標的物質の機能を特異的に抑制する。標的物質と直接結合し、細胞外でも作用させることが可能という点においては、抗体と同様の作用効果を有するが、アプタマーは、通常、標的物質に対する特異性及び親和性が抗体よりも高く、また、結合に必要な標的のアミノ酸残基数が抗体のそれと比較して少なくてもよいことから、近縁の分子どうしを識別できる点で抗体よりも優れている。そのため、近縁のタンパク質又は微生物における亜型や株を識別する上で抗体よりも有用である。さらに、免疫原性や毒性が抗体よりも低い上に、3〜4週間程度の短期間で作製できる他、化学合成により大量に製造することもできるという利点をもつ。アプタマーは公知の技術であり、詳細に関しては、例えば、Janasena, Clin. Chem. 45:1628-1650 (1999)を参照されたい。
以上のようにアプタマーは、非常に有用な性質を有するが、魚類感染性ウイルスに対して感染抑制活性のあるアプタマーはこれまで知られていなかった。本発明は、前記アプタマーに基づくものであり、以下を提供するものである。
(1)ウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV)及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドに結合し、宿主のVHSV感染を抑制する活性を有するVHSV結合性アプタマー。
(2)VHSVの遺伝子型がI型である、(1)に記載のVHSV結合性アプタマー。
(3)配列番号1〜12のいずれかで表される塩基配列を含む、(1)又は(2)に記載のVHSV結合性アプタマー。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のVHSV結合性アプタマーをコードするDNA。
(5)前記(4)に記載のDNAを発現可能な状態で含む発現ベクター。
(6)前記(5)に記載の発現ベクターを発現宿主内に導入した形質転換体又はその後代。
(7)発現宿主が微生物又は魚類である、(6)に記載の形質転換体又はその後代。
(8)前記(7)に記載の微生物形質転換体又はその後代を含む濾過槽に特定の水域の水を循環させて、該特定の水域からVHSV及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドを除去するVHSV及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドの除去方法。
(9)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のVHSV結合性アプタマー又は(5)に記載の発現ベクター及び製薬上許容可な担体を含むウイルス性出血性敗血症(VHS)を治療又は予防するための医薬組成物。
(10)前記(9)に記載の医薬組成物を魚類に投与してVHSを治療又は予防する方法。
(11)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のVHSV結合性アプタマーを用いてVHSV及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドを検出する方法。
(12)VHSV及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドを検出する方法が、表面プラズモン共鳴測定法、水晶振動子マイクロバランス測定法、比色法又は蛍光法を用いる(11)に記載の検出方法。
(13)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のVHSV結合性アプタマーを含むVHSV及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドを検出するためのVHSV検出キット。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2009-239340号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
1.VHSV結合性アプタマー
第一の態様において、本発明は、ウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV)及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドに結合し、宿主への感染を抑制する活性を有するアプタマーである。本明細書では、本アプタマーを、「VHSV結合性アプタマー」と呼ぶ。また、RNAアプタマーの場合は、特に「VHSV結合性RNAアプタマー」と呼ぶ。
第一の態様において、本発明は、ウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV)及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドに結合し、宿主への感染を抑制する活性を有するアプタマーである。本明細書では、本アプタマーを、「VHSV結合性アプタマー」と呼ぶ。また、RNAアプタマーの場合は、特に「VHSV結合性RNAアプタマー」と呼ぶ。
「ウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV)」は、ラブドウイルス科に属するウイルス性出血性敗血症の病原体であって、VHSV結合性アプタマーの標的となるウイルスをいう(Byon JY, et al., Fisheries Science, 72:906-908)。VHSVは、これまでに4つの遺伝子型、すなわち、I型(American型)、II型(British型)、III型(European型)及びIV型が知られているが、本発明におけるVHSVの遺伝子型は、特に限定はしない。好ましくはI型である。
本明細書において「VHSVで発現するポリペプチド」とは、VHSVのゲノム上にコードされるVHSV特異的なタンパク質の全部又はその一部をいう。例えば、VHSVの膜タンパク質又はその一部である。また、ここでいう「一部」とは、VHSV特異的なタンパク質の断片であって、VHSVの特異的性を失わないアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
本態様において「宿主」とは、VHSVの感染対象となる生物であって、一般的には魚類、例えば、サケ科(Salmonidae)、スズキ科(Moronidae)タラ科(Gadidae)、ニシン科(Clupeidae)、ヒラメ科(Paralichthyidae)、カレイ科(Pleuronectidae)、アジ科(Carangidae)、イカナゴ科(Ammodytidae)、タイ科(Sparidae)及びメバル科(Sebastidae)の魚が該当する。より具体的には、例えば、ニジマス(Oncorhynchus mykiss)、ブラウントラウト(Salmo trutta)、マスノスケ(Oncorhynchus tshawytscha)、ギンザケ(Oncorhynchus kisutsh)、ヨーロッパスズキ(Dicentrarchus labrax)、タイセイヨウタラ(Gadus morhua)、タイセイヨウニシン(Clupea harengus)、ヒラメ(Paralichthys olivaceus)、イカナゴ(Ammodytes personatus)、マアジ(Trachurus japonicus)、シマアジ(Pseudocaranx dentex)、メバル(Sebastes inermis)、マダイ(Pagurus major)、イシダイ(Oplegnathus fasciatus)、キハダマグロ(Thunnus albacares)である。
本明細書において「宿主への感染」とは、VHSVが宿主細胞内に侵入してから、宿主細胞内で増殖後、その細胞から多量のVHSVが放出されるまでの過程をいう。また、本明細書において「感染を抑制する」とは、前記「宿主への感染」におけるいずれかの過程を阻害又は抑制することによって、宿主内でのVHSVによる感染の拡大を抑制することをいう。
前述のようにアプタマーは、核酸アプタマーとペプチドアプタマーに大別されるが、本発明のVHSV結合性アプタマーは、核酸アプタマーである。核酸アプタマーとは、核酸で構成されるアプタマーをいう。核酸アプタマーは、通常、1本鎖核酸が水素結合等を介した二次元構造、さらに三次元立体構造を形成し、標的物質(例えば、ポリペプチド)と強固に、かつ特異的に結合することによって、その生理活性を特異的に抑制することができる。
本発明のVHSV結合性アプタマーを構成する核酸は、DNA、RNA又はそれらの組合せのいずれであってもよい。好ましくはRNAで構成されるRNAアプタマーである。一般に、RNAはDNAと比較して、より多くの立体構造を形成できる柔軟性を有するからである。また、必要に応じて、PNA(Peptide Nucleic Acid)、LNA(Locked Nucleic Acid;登録商標)/BNA(Bridge Nucleic Acid)、メチルホスホネート型DNA、ホスホロチオエート型DNA、2'-O-メチル型RNA等の化学修飾核酸や擬似核酸を含むこともできる。
本発明のVHSV結合性アプタマーは、必要に応じて標識されていてもよい。標識は当該分野で公知のあらゆる核酸用標識物質を利用することができる。例えば、放射性同位元素(例えば、32P、3H、14C)、DIG、ビオチン、蛍光色素(例えば、FITC、Texas、cy3、cy5、cy7、FAM、HEX、VIC、JOE、Rox、TET、Bodipy493、NBD、TAMRA)、又は発光物質(例えば、アクリジニウムエスター)が挙げられる。このような標識物質で標識されたVHSV結合性アプタマーは、後述するVHSV検出方法において、VHSVと結合した該アプタマーを検出する際に有用なツールとなり得る。
VHSV結合性アプタマーは、VHSV粒子又はVHSVで発現するポリペプチドを標的分子として、当該分野で公知の方法により作製することができる。例えば、SELEX(systematic evolution of ligands by exponential enrichment)法を用いて試験管内選別により作製してもよい。SELEX法とは、ランダム配列領域とその両端にプライマー結合領域を有する多数のRNA分子によって構成されるRNAプールから標的分子に結合したRNA分子を選択し、回収後にRT-PCR反応によって増幅した後、得られたcDNA分子を鋳型として転写を行い、それを次のラウンドのRNAプールにするという一連のサイクルを数〜数十ラウンド繰り返して、標的分子に対して、より結合力の強いRNAを選択する方法である。ランダム配列領域とプライマー結合領域の塩基配列長は特に限定はしない。一般的にランダム配列領域は、20〜80塩基、プライマー結合領域は、それぞれ15〜40塩基の範囲である。標的分子への特異性を高めるためには、標的分子に類似する分子とRNAプールとを混合し、その分子と結合しなかったRNA分子からなるプールを用いればよい。以上の方法によって最終的に得られたRNA分子をVHSV結合性RNAアプタマーとして利用する。なお、SELEX法は、公知の方法であり、具体的な方法は、例えば、Panら(Proc. Natl. Acad. Sci. 1995, U.S.A.92: 11509-11513)に準じて行えばよい。
VHSV結合性アプタマーは、VHSV及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドに結合し、VHSVの魚類への感染活性を抑制することのできる核酸アプタマーであれば、特にその塩基配列は、限定しない。一の実施形態において、本発明の配列番号1〜12のいずれかで表される塩基配列を含むRNAアプタマーである。他の実施形態において、本発明の配列番号1〜12のいずれかで表わされる塩基配列からなるRNAアプタマーである。
VHSV結合性アプタマーは、当該分野で公知のあらゆる方法によって調製することができる。例えば、配列番号1〜12で表される塩基配列に基づいて、化学的合成法によって調製できる。化学合成法は、同一のアプタマーを大量に調製できる点で好ましい。このような化学合成によるアプタマー製造は、ライフサイエンス関連の各メーカーが受託合成サービスを行っているので(例えば,インビトロジェン社)、それらを利用すると便利である。また、VHSV結合性アプタマーは、後述のVHSV結合性アプタマーをコードするDNAを用いて、当該分野で公知のin vitro RNA転写法(例えば、Sambrook, J. et. al., (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual Second Ed., Cold SpringHarbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)により調製することもできる。さらに、VHSV結合性アプタマーは、後述する形質転換体を用いて、当該分野で公知の技術によってVHSV結合性アプタマーの発現誘導処理を施し、その形質転換体から目的のVHSV結合性アプタマーを回収してもよい。
一の実施形態で、VHSV結合性アプタマーは、後述するVHSV検出方法において、VHS及び/又は該ウイルスで発現するVHSV特異的なポリペプチドを検出するためのマーカー分子とすることができる。VHSV結合性アプタマーは、VHSVとの特異性及び親和性がVHSV抗体よりも高いことから、抗体よりも高感度なVHSV検出マーカーとなり得る。
2.VHSV結合性アプタマーをコードするDNA
本発明の第二の態様は、VHSV結合性RNAアプタマーをコードするDNAである。具体的には、例えば、配列番号1〜12で示される各塩基配列中のウラシル(U)をチミン(T)に置換した塩基配列からなるDNAである。各核酸は、必要に応じて、メチル基等で修飾されていてもよく、またPNA(Peptide Nucleic Acid)、LNA(Locked Nucleic Acid;登録商標)、メチルホスホネート型DNA、ホスホロチオエート型DNA、2'-O-メチル型RNA等の化学修飾核酸や擬似核酸を含むこともできる。
本発明の第二の態様は、VHSV結合性RNAアプタマーをコードするDNAである。具体的には、例えば、配列番号1〜12で示される各塩基配列中のウラシル(U)をチミン(T)に置換した塩基配列からなるDNAである。各核酸は、必要に応じて、メチル基等で修飾されていてもよく、またPNA(Peptide Nucleic Acid)、LNA(Locked Nucleic Acid;登録商標)、メチルホスホネート型DNA、ホスホロチオエート型DNA、2'-O-メチル型RNA等の化学修飾核酸や擬似核酸を含むこともできる。
本発明のDNAは、VHSV結合性RNAアプタマーを鋳型として、そのアプタマーの3’末端塩基配列に全部又は一部が相補するプラマーを用いて、逆転写反応を行うことによって調製することができる。逆転写反応は、当該分野で公知の技術を使用すればよい。例えば、Sambrook, J. et. al., (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual Second Ed., Cold SpringHarbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkを参照されたい。また、本発明のDNAは、例えば、配列番号1〜12で表されるRNAアプタマーの情報に基づいて、当技術分野で公知の化学合成法によって製造することもできる。化学合成による製造は、ライフサイエンス関連の各メーカーが受託合成サービスを行っている(例えば、インビトロジェン社)ので、それらを利用すると便利である。
3.VHSV結合性アプタマー発現ベクター
本発明の第三の態様は、VHSV結合性RNAアプタマーをコードするDNAを発現可能な状態で含む発現ベクターである。
本発明の第三の態様は、VHSV結合性RNAアプタマーをコードするDNAを発現可能な状態で含む発現ベクターである。
「発現可能な状態で含む」とは、VHSV結合性RNAアプタマーをコードするDNAを発現ベクター内のプロモーターの下流に発現可能なように連結することをいう。
本発明の発現ベクターには、発現宿主内で自律的に増殖し得るプラスミド又はファージを使用することができる。発現宿主とは、発現ベクターにコードされたRNAアプタマーを細胞内で発現することのできる宿主である。例えば、発現ベクターがプラスミドであれば、発現宿主が大腸菌(エシェリキア・コリ:Escherichia coli)の場合には、pET、pGEX6p、pMAL、pREST等を、発現宿主が枯草菌(バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)の場合には、pUB110、pTP5等を、発現宿主が酵母の場合には、YEp13、YEp24、YCp50等を、また発現宿主が魚類の場合には、pEGFP-1(クロンテック社))等を使用できる。また、ファージであれば、λファージ(λgt11、λZAP等)を用いることができる。さらに、ワクシニアウイルス等の動物ウイルス、バキュロウイルス等の昆虫ウイルスベクターも用いてもよい。
大腸菌や枯草菌のような細菌を発現宿主とする場合、本発明の発現ベクターは、VHSV結合性RNAアプタマーをコードするDNA配列の他、細菌用複製起点、プロモーター配列、リボゾーム結合配列及び転写終結配列を含むことが好ましい。プロモーターは、発現宿主内で機能発揮できるものであればいずれを用いてもよい。また、そのようなプロモーターを制御する調節因子をコードする遺伝子を、本発明の発現ベクター内、又は本発明の発現ベクターとは別個のベクターではあるが同時に使用するヘルパーベクター内に含んでいてもよい。
酵母、動物細胞、昆虫細胞等の真核細胞を発現宿主とする場合には、本発明の発現ベクターは、VHSV結合性RNAアプタマーをコードするDNA配列の他、プロモーター配列、必要に応じてエンハンサー等のシスエレメント、スプライシングシグナル(ドナー部位、アクセプター部位、ブランチポイント等)、ポリA付加シグナル、選択マーカー配列、リボソーム結合配列(SD配列)等を連結していてもよい。
上記ベクターにVHSV結合性RNAアプタマーをコードするDNAを挿入する方法は、当該分野で公知の方法を用いることができる。例えば、精製した前記DNAを適当な制限酵素で切断し、それに対応する切断末端を生じる適当な制限酵素で切断したベクター内にDNAリガーゼ等を用いて連結する方法がある。詳細については、Sambrook, J. et. al., (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual Second Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkの方法を参照されたい。
本発明の発現ベクターを目的の発現宿主細胞に導入した場合、それが細胞内で維持されている限りVHSV結合性RNAアプタマーを発現することができる。
4.形質転換体又はその後代
本発明の第四の態様は、前記態様の発現ベクターを発現宿主内に導入した形質転換体又はその後代である。
本発明の第四の態様は、前記態様の発現ベクターを発現宿主内に導入した形質転換体又はその後代である。
本態様において「形質転換体」とは、VHSV結合性RNAアプタマーをコードするDNAを含む発現ベクターの導入によって形質転換された発現宿主をいう。使用する発現宿主は、導入した発現ベクターにコードされたVHSV結合性RNAアプタマーを発現できれば特に限定しない。発現ベクターの種類によって、通常、その発現宿主は定まるため、それに従えばよい。発現宿主の具体例を挙げると、例えば、大腸菌、枯草菌、ロドブルム(Rhodovulum)菌のような細菌、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)又はメタノール資化性酵母(Pichia pastoris)のような酵母、sf9又はsf21のような昆虫細胞、BF-2細胞又はEPC細胞のような動物(特に、魚類)細胞、及び第一態様で例示したVHSVに感染し得る魚種等が好適に用いられる。
本発明の発現ベクターは、発現宿主に導入後、その宿主のゲノム内に組み込まれてもよく、またゲノムとは独立に細胞内に存在してもよい。
前記発現ベクターを細菌に導入する方法は、公知の方法であれば特に限定しない。例えば、ヒートショック法、カルシウムイオン方法、エレクトロポレーション法等が挙げられる。これらの技術は、いずれも当該分野で公知であり、様々な文献に記載されている。例えば、Sambrook, J. et. al., (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual Second Ed., ColdSpring HarborLaboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkを参照されたい。また、動物細胞の形質転換には、リポフェクチン法(PNAS (1989) Vol.86, 6077)、(PNAS (1987) Vol.84, 7413)、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法(Virology (1973) Vol.52, 456−467)、DEAE−Dextran法等が好適に用いられる。
本態様において前記形質転換体の「後代」とは、本発明の発現ベクターを導入した形質転換体第1世代の有性若しくは無性生殖を介した子孫であって、VHSV結合性RNAアプタマーをコードするDNAを発現可能な状態で保持しているものをいう。例えば、形質転換体が大腸菌の場合には、その形質転換体が分裂した嬢細胞が該当する。VHSV結合性RNAアプタマーをコードするDNAを発現可能な状態で継代する限りにおいて後代の世代は問わない。
5.VHSV除去方法
本発明の第五の態様は、前記態様の形質転換体のうち微生物形質転換体又はその後代を含む濾過槽に特定の水域の水を循環させ、該特定の水域からVHSVを除去するVHSV除去方法である。
本発明の第五の態様は、前記態様の形質転換体のうち微生物形質転換体又はその後代を含む濾過槽に特定の水域の水を循環させ、該特定の水域からVHSVを除去するVHSV除去方法である。
「微生物形質転換体」とは、前記形質転換体において大腸菌等の微生物を発現宿主とする形質転換体をいう。好ましくは、VHSV結合性RNAアプタマーを発現後、それを細胞外に放出することのできる微生物種(例えば、ロドブルム・スルフィドフィルム(Rhodovulum sulfidophilum))の前記形質転換体である。また、使用する微生物形質転換体は、濾過槽を海水に使用するのであれば海水で生存可能な微生物種を、また淡水に使用するのであれば淡水で生存可能な微生物種をそれぞれ発現宿主とする形質転換体を使用する。
「濾過槽」とは、濾過層を含む容器又は用地であって、特定の水域の水を、ポンプ等を用いて機械的に又は自然の水流若しくは潮流により、本濾過槽に通して循環可能なように構成されている。濾過槽の具体例としては、濾過槽装置又は濾過用水池等が挙げられる。濾過層に使用する濾過材は、流通性に富み、かつ微生物形質転換体が定着可能なように構成されていれば特に限定はしない。好ましくは、一定容積中に多数の微生物形質転換体を包含することができる表面積が大きい濾過材である。表面積が大きい濾過材としては、例えば、フェルトのような繊維塊、又は活性炭、軽石若しくはウレタンフォームのような多孔質材が挙げられる。
「特定の水域」とは、ある一定の範囲内にある水域をいう。特定の水域内の水は、淡水、汽水、海水を問わない。また、開放区画又は閉鎖区画のいずれであってもよい。閉鎖若しくは一部開放された準閉鎖区画の例としては、水槽、水田、池(調整池を含む)、沼又は湖が挙げられる。開放区画としては、例えば、沿岸海域等に設置する生簀が挙げられる。
本発明に記載の濾過槽は、特定の水域に設置する前に本発明の微生物形質転換体を濾過層に接触させて、予め定着させておくことが好ましい。微生物形質転換体を濾過層に接触させる方法として、例えば、微生物形質転換体を培養した培養液に濾過層を数時間〜数日浸漬する方法が挙げられる。濾過層に定着した微生物形質転換体は、濾過層内にVHSV結合性RNAアプタマーを放出する。ここで、特定の水域の水を前記濾過槽に通して循環させることによって、特定の水域にVHSVが存在した場合、濾過槽内のVHSV結合性RNAアプタマーがVHSVと結合し、宿主感染能を失活させることができる。その結果、特定水域からVHSVを除去することができ、結果としてVHSVによる感染のおそれが少ない水域を提供できる。
6.医薬組成物
本発明の第六の態様は、ウイルス性出血性敗血症(VHS)を治療又は予防するため前記態様のVHSV結合性アプタマー又は発現ベクター及び製薬上許容可能な担体を含むことを特徴とする医薬組成物である。
本発明の第六の態様は、ウイルス性出血性敗血症(VHS)を治療又は予防するため前記態様のVHSV結合性アプタマー又は発現ベクター及び製薬上許容可能な担体を含むことを特徴とする医薬組成物である。
一の実施形態において、本発明の医薬組成物は、一のVHSV結合性アプタマーを含有する。また、他の実施形態において、本発明の医薬組成物は、製薬上許容される範囲内において二以上のVHSV結合性アプタマーを含むことができる。例えば、医薬組成物が配列番号1〜12で表されるVHSV結合性RNAアプタマーのいずれか2以上を組み合わせて含有していてもよい。それぞれのVHSV結合性アプタマーがVHSVの異なる部分に結合する場合、異なるVHSV結合性アプタマーを組み合わせて使用することによりVHSVの感染活性をより効率的に抑制することができるからである。
「製薬上許容可能な担体」とは、製剤技術分野において通常使用し得る溶媒及び/又は添加剤をいう。
溶媒には、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等が挙げられる。これらは、殺菌されていることが望ましく、必要に応じて血液と等張に調整されていることが好ましい。
また、添加剤には、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、充填剤、乳化剤、流動添加調節剤、溶解補助剤、緩衝剤、pH調整剤、無痛化剤等が挙げられる。
本発明の医薬組成物の剤型は、投与方法によって異なり、また処方条件に応じて適宜選択される。投与方法については、次の態様で詳述するが、本態様においては、非経口投与が好ましい。経口投与の場合、VHSV結合性RNAアプタマーは、通常、消化器官内で分解されてしまうからである。非経口投与においては、組織内投与又は粘膜投与が好ましい。非経口剤としての剤型も、その投与方法によって異なる。例えば、組織内投与の場合には注射剤が、粘膜投与の場合には、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、粉剤、ペースト剤、ゲル剤、軟膏剤、又は硬膏剤等が好適に使用される。前記各剤型の形状、大きさについては、いずれも当該分野で公知の剤型の範囲内にあればよく、特に限定はしない。
本発明の医薬組成物を製剤化するには、当業者に公知の方法を利用することができる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (Merck Publishing Co., Easton, Pa.)に記載の方法を用いればよい。例えば、注射剤として調製する場合には、VHSV結合性アプタマーを製薬上許容可能な溶媒で溶解し、好ましくは血液と等張にした希釈剤を用いて当該分野で慣用されている方法により製造することができる。注射剤には、等張性の溶液を調製するのに充分な量の食塩、グルコース又はグリセリン及び通常の溶解補助剤、緩衝剤、pH調整剤、無痛化剤等も配合することができる。これら溶液、乳剤及び懸濁剤は、VHSV結合性アプタマー及び製薬上許容される塩の所定量を、前記水性や油性の非毒性の溶媒及び希釈剤に溶解又は懸濁し、さらに必要に応じて等張化剤等を加え、滅菌することにより調製すればよい。
本発明の医薬組成物によれば、ウイルス性出血性敗血症(VHS)に感染した又は感染するおそれのある宿主、すなわち魚類のVHS治療薬又は予防薬を提供することができる。
7.VHS治療・予防方法
本発明の第七の態様は、前記態様の医薬組成物を魚類に投与してVHSを治療又は予防する方法である。本態様において、「魚類」とは、VHSに感染することが知られている又は感染するおそれのある魚であって、好ましくは第一の態様の宿主として例示した魚科、より好ましくは、第一の態様の宿主として例示した魚種である。
本発明の第七の態様は、前記態様の医薬組成物を魚類に投与してVHSを治療又は予防する方法である。本態様において、「魚類」とは、VHSに感染することが知られている又は感染するおそれのある魚であって、好ましくは第一の態様の宿主として例示した魚科、より好ましくは、第一の態様の宿主として例示した魚種である。
医薬組成物の投与方法は、全身投与又は局所的投与のいずれであってもよい。VHSVは、鰓を介して侵入し、全身に伝播すると考えられている(非特許文献1)。したがって、血液を介した全身投与が好ましい。血液によって本発明の組成物を全身に行き渡らせることができるからである。一方、VHSVは、一般に腎臓、脾臓、脳、消化管において多数存在することが知られている。したがって、これらの臓器又は器官に局所的に投与してもよい。
前記医薬組成物の投与形態は、含有された有効成分であるVHSV結合性アプタマーが失活しないあらゆる適当な形態を包含する。例えば、前述の組織内投与又は粘膜投与のような非経口投与が挙げられる。組織内投与の場合、前述のように注射による投与が好ましい。注入する部位は特に限定しない。例えば、血管内(静脈内又は動脈内等)、皮下、皮内、筋肉内、骨髄内、髄腔内、心室内、腹腔内又は腸内等が挙げられる。好ましくは、静脈内又は動脈内等の血管内、筋肉内、又は腹腔内である。侵襲性が比較的低く、被験体である魚に与える負担が小さいからである。
前記態様の医薬組成物を投与する場合、一投与単位中には、VHS感染抑制活性が発揮され得る有効量が含有されていることが好ましい。本明細書で使用する場合、「有効量」とは、有効成分がその機能を発揮する上で必要な量、すなわち、本発明ではVHSV結合性アプタマーがVHSを治療又は改善できる用量、具体的にはVHSVの細胞内への侵入、増殖及び/又は細胞外への放出を阻害又は抑制し、宿主のVHS感染に対する抵抗性を付与し、かつ投与する生体に対して有害な副作用がほとんどない又は全くない用量をいう。具体的な量は、被験体の情報、使用される剤形、及び投与経路によって変化し得る。「被験体の情報」には、VHSの進行度若しくは重症度、全身の健康状態、大きさ、重量、雌雄性別、薬剤感受性、及び治療に対する耐性等が含まれる。VHS感染治療・予防の効果を得る上で、本発明の医薬組成物の大量投与が必要な場合、魚類に対する負担軽減のために数回に分割して投与することもできる。
8.VHSV検出方法
本発明の第八の態様は、VHSV結合性アプタマーを用いてVHSV及び/又は該ウイルスで発現するVHSV特異的なポリペプチドを検出するVHSV検出方法である。VHSVを検出可能な方法であれば、検出手段は特に限定はしない。例えば、表面プラズモン共鳴測定法、水晶振動子マイクロバランス測定法、比濁法、比色法又は蛍光法を利用することができる。
本発明の第八の態様は、VHSV結合性アプタマーを用いてVHSV及び/又は該ウイルスで発現するVHSV特異的なポリペプチドを検出するVHSV検出方法である。VHSVを検出可能な方法であれば、検出手段は特に限定はしない。例えば、表面プラズモン共鳴測定法、水晶振動子マイクロバランス測定法、比濁法、比色法又は蛍光法を利用することができる。
「表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)」とは、金属薄膜にレーザー光を照射すると特定の入射角度(共鳴角)において反射光強度が著しく減衰する現象をいう。「表面プラズモン共鳴法(SPR法)」は、この現象を利用した方法で、センサ部である金属薄膜表面上の吸着物を高感度に測定することができる。本発明においては、例えば、ビオチン/(ストレプト)アビジンのような公知の結合技術を用いて、予めVHSV結合性アプタマー又はVHSV粒子若しくは該ウイルスで発現するポリペプチドを金属薄膜表面上に固定化しておく。その金属薄膜表面上に試料を通過させ、VHSV結合性アプタマーとVHSV又は該ウイルスで発現するポリペプチドとの結合によって生じる試料通過前後の金属表面上の吸着物の差を検出することによりVHSV又は該ウイルスで発現するポリペプチドを検出することができる。SPR法には、置換法、間接競合法等が知られるがいずれを用いてもよい。本技術は、当該分野において周知であり、例えば、永田和弘、及び半田宏, 生体物質相互作用のリアルタイム解析実験法, シュプリンガー・フェアラーク東京, 東京, 2000に記載の方法を参照することができる。
「水晶振動子マイクロバランス(Quartz Crystal Microbalance)測定法」は、水晶振動子に取り付けた電極表面に物質が吸着すると、その質量に応じて水晶振動子の共振周波数が減少する現象を利用した方法である。この方法を用いたQCMセンサは、水共振周波数の変化量によって極微量な吸着物を定量的に捕らえることができる。本発明においては、電極表面に、前記SPR法と同様に予めVHSV結合性アプタマー又はVHSV粒子若しくは該ウイルスで発現するポリペプチドを固定化しておき、試料を電極表面に接触させることによって、VHSV結合性アプタマーとVHSVとの結合により生じる水共振周波数の変化量からVHSVの有無を定量的に検出することができる。本技術は、当該分野において周知である。例えば、J.Christopher Love,L.A.Estroff,J.K.Kriebel, R.G.Nuzzo, G.M.Whitesides (2005) Self-Assembled Monolayers of a Form of Nanotechnology, Chemical Review,105:1103-1169;森泉豊榮,中本高道,(1997) センサ工学,昭晃堂に記載の方法を参照されたい。
「比濁法」とは、溶液に光を照射し、溶液中に浮遊する物質によって散乱する散乱光の減衰又はその溶液を通過した透過光を、比色計等を用いて光学的に計測することにより溶液中の物質量を測定する方法である。本発明においては、試料にVHSV結合性アプタマーを添加する前後の吸光度を計測することによって、試料中のVHSV又は該ウイルスで発現するポリペプチドを定量的に検出することができる。VHSV結合性アプタマーとVHSV又は該ウイルスで発現するポリペプチドとの結合による凝集を高めるため、VHSV結合性アプタマーをラテックスのような担体に固定化しておくこともできる。
また、VHSV又は該ウイルスで発現するポリペプチドに対する抗体と併用することによりVHSV又は該ウイルスで発現するポリペプチドを検出することもできる。例えば、ELISA法のサンドイッチ法を応用した方法を用いてもよい。この方法では、まず、固相担体にVHSV結合性アプタマーを固定しておき、次に試料を加えて、試料中に存在するVHSVと該アプタマーとを結合させる。続いて、試料を洗い流した後、抗VHSV抗体を加えてVHSVに結合させる。洗浄後、適当な標識をした二次抗体を用いて抗VHSV抗体を検出することにより、試料中のVHSVを検出することができる。固相担体としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、ラテックス、ゼラチン、アガロース、セルロース、セファロース、ガラス、金属、セラミックス又は磁性体等の材質よりなるビーズ、マイクロプレート、試験管、スティック又は試験片等の形状の不溶性担体を用いることができる。VHSV結合性アプタマー又はVHSV若しくはそれが発現したポリペプチドの前記固相担体への固定は、物理的吸着法、化学的結合法又はこれらの併用する方法等、公知の方法に従って結合させることにより達成できる。
9.VHSV検出キット
本発明の第九の態様は、VHSV検出マーカーを含むVHSV及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドを検出するためのキットである。本キットは、前記態様であるVHSV検出方法を使用してVHSV等を検出することが好ましい。
本発明の第九の態様は、VHSV検出マーカーを含むVHSV及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドを検出するためのキットである。本キットは、前記態様であるVHSV検出方法を使用してVHSV等を検出することが好ましい。
本キットは、VHSV結合性アプタマーの他、必要に応じて標識二次抗体、標識の検出に必要な基質、陽性対照や陰性対照、又は試料の希釈や洗浄に用いる緩衝液等を含むことができる。さらに、そのキットの使用説明書を包含することもできる。
<実施例1:VHSV結合性アプタマーの選択>
(DNAライブラリー及びRNAプールの構築)
まず、DNAライブラリー(2.5mg)をオペロン・バイオテクノロジー社に委託合成し、調製した。このDNAライブラリーは、配列番号13で示す40塩基のランダムな塩基配列並びにその5’側及び3’側にそれぞれT7プロモーターのフォワードプライマーに相当する塩基配列及びM13リバースプライマーに相補的な塩基配列を有する全長75塩基のDNAを約5×1016クローン包含する。
(DNAライブラリー及びRNAプールの構築)
まず、DNAライブラリー(2.5mg)をオペロン・バイオテクノロジー社に委託合成し、調製した。このDNAライブラリーは、配列番号13で示す40塩基のランダムな塩基配列並びにその5’側及び3’側にそれぞれT7プロモーターのフォワードプライマーに相当する塩基配列及びM13リバースプライマーに相補的な塩基配列を有する全長75塩基のDNAを約5×1016クローン包含する。
続いて、前記DNAライブラリーからRNAプールをT7 RibomaxTM Express Large Sclae RNA Production System(プロメガ社)を用いて構築した。具体的手順については、前記キット付属の使用説明書に従った。
(SELEX法)
VHSV結合性アプタマーをSELEX法により分離した。SELEX法は、Panら(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1995, 92: 11509-11513)の方法に若干の改変を加えた方法を用いた。具体的な方法を以下に示す。
VHSV結合性アプタマーをSELEX法により分離した。SELEX法は、Panら(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1995, 92: 11509-11513)の方法に若干の改変を加えた方法を用いた。具体的な方法を以下に示す。
(1)RNAとVHSVの結合と結合したRNAの回収
1.5mlチューブに入った50μlのヌクレアーゼフリーの水に前記RNAプールを溶かした。RNAを直鎖状にするため、前記チューブを90℃で3分間、ヒートブロックを用いて加熱した後、直ちに氷上に5分間置いた。濾過滅菌した450μlの結合バッファ(20mM TRIS/100mM NaCl/2.5mM MgCl2 (pH7.5))を前記チューブに加えた。予め約500μlの結合バッファを通した孔サイズ0.1μmの湿潤フィルターに、前記RNAサンプルを通し、フィルターに結合するRNAを除去した。
1.5mlチューブに入った50μlのヌクレアーゼフリーの水に前記RNAプールを溶かした。RNAを直鎖状にするため、前記チューブを90℃で3分間、ヒートブロックを用いて加熱した後、直ちに氷上に5分間置いた。濾過滅菌した450μlの結合バッファ(20mM TRIS/100mM NaCl/2.5mM MgCl2 (pH7.5))を前記チューブに加えた。予め約500μlの結合バッファを通した孔サイズ0.1μmの湿潤フィルターに、前記RNAサンプルを通し、フィルターに結合するRNAを除去した。
得られたろ液を室温に置き、50μlのI型VHSV(北海道大学 吉水 守教授より分与)を加えた。RNAとVHSVとを結合させるため37℃で30〜45分間振とうさせながらインキュベートした後、氷上に5分間置いた。その後、サンプルを結合バッファで予め湿らせた孔サイズ0.1μmの湿潤フィルターで濾過し、フィルター上に残ったVHSVとRNAの複合体(以下、VHSV−RNAとする)を約500μlの結合バッファで洗浄して回収した。ヒートブロックを用いてVHSV−RNAを90℃で5分間加熱し、VHSVとRNAを解離させた。VHSV粒子を除去するため、チューブに400μlのフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(PCI)−DEPCを加え、10秒間激しく混合した後、13,000rpmで10分間遠心した。上層を回収し、新たなチューブに移した。−20℃の99%エタノールを1ml加えた後、Etachinmate(ニッポンジーン社)と3M 酢酸ナトリウムを用いてエタノール沈殿処理を行った。回収したRNAを20μlのヌクレアーゼフリーの水に溶解し、−20℃に保存した。これをオリジナルVHSV結合性アプタマーとした。
(2)逆転写反応によるcDNA合成
オリジナルVHSV結合性アプタマーから、さらにVHSVと強固に結合するVHSV結合性アプタマーを選択するために、アプタマー増幅用鋳型となるcDNAを逆転写反応により合成した。逆転写には、M-MLV system(プロメガ社)を用いた。10μlの前記回収したRNA、アプタマー用フォワードプライマー(AptFw;T7 Fwプロモーター;配列番号14)及びアプタマー用リバースプライマー(AptRv;M13 Rvプライマー;配列番号15)各1μl、及び1μlのdNTPを0.2mlチューブ内で混合した。65℃で加熱混合し、5分後直ちに氷上に移し、5分間静置した。続いて、4μlの5×first strand buffer、2μlのDTT、0.25μlのRNase Out、0.5μlのMMLV及び1.25μlのRNaseフリーの水を加えて混合し(計22μl)、37℃に50分、次に70℃で15分間加熱した後、4℃で冷却した。得られた溶液をオリジナルのVHSV結合性アプタマーの鋳型cDNAとした。
オリジナルVHSV結合性アプタマーから、さらにVHSVと強固に結合するVHSV結合性アプタマーを選択するために、アプタマー増幅用鋳型となるcDNAを逆転写反応により合成した。逆転写には、M-MLV system(プロメガ社)を用いた。10μlの前記回収したRNA、アプタマー用フォワードプライマー(AptFw;T7 Fwプロモーター;配列番号14)及びアプタマー用リバースプライマー(AptRv;M13 Rvプライマー;配列番号15)各1μl、及び1μlのdNTPを0.2mlチューブ内で混合した。65℃で加熱混合し、5分後直ちに氷上に移し、5分間静置した。続いて、4μlの5×first strand buffer、2μlのDTT、0.25μlのRNase Out、0.5μlのMMLV及び1.25μlのRNaseフリーの水を加えて混合し(計22μl)、37℃に50分、次に70℃で15分間加熱した後、4℃で冷却した。得られた溶液をオリジナルのVHSV結合性アプタマーの鋳型cDNAとした。
(3)cDNAの増幅
得られたcDNAをPCRにより増幅させた。36.1μlの水、5μlのEx Taq(タカラバイオ社)用10×バッファ、4μlのdNTP, AptFw及びAptRvを各1.9μl、0.6μlのEx Taq(タカラバイオ社)及び0.5μlのcDNAからなる50μl のPCR反応液を95℃1分間、続いて95℃1分間、50℃15秒及び72℃3分間を1サイクルとして10サイクル反復した。PCR反応後、産物を水で500μlに充填し、等量のPCIで酵素等の除去処理、エタノール沈殿を行った後に、30μlのヌクレアーゼフリーの水に溶解してcDNA溶液を得た。
得られたcDNAをPCRにより増幅させた。36.1μlの水、5μlのEx Taq(タカラバイオ社)用10×バッファ、4μlのdNTP, AptFw及びAptRvを各1.9μl、0.6μlのEx Taq(タカラバイオ社)及び0.5μlのcDNAからなる50μl のPCR反応液を95℃1分間、続いて95℃1分間、50℃15秒及び72℃3分間を1サイクルとして10サイクル反復した。PCR反応後、産物を水で500μlに充填し、等量のPCIで酵素等の除去処理、エタノール沈殿を行った後に、30μlのヌクレアーゼフリーの水に溶解してcDNA溶液を得た。
(4)RNAの大量調製
VHSV結合性RNAアプタマーのプールを調製するため、増幅した前記cDNAを鋳型として、T7 Ribomax system(プロメガ社)を用いて、RNAを大量に転写した。0.2mlチューブ2本のそれぞれに10μlの2×T7バッファ、5μlの前記cDNA溶液、3μlのヌクレアーゼフリーの水、及び2μlのEnzyme X mix(計20μl)を入れて、混合し、37℃で30分間インキュベートした。続いて、5μlのDNaseを添加した後、37℃で15分間加温した。最後に、2本のチューブ内のサンプルをまとめて、ヌクレアーゼフリーの水で400μlに充填し、等量のPCIでタンパク質除去、エタノール沈殿を行った後、50μlのヌクレアーゼフリーの水に溶解して、第2のVHSV結合性アプタマーとした。(1)〜(4)までを1ラウンドとした。
VHSV結合性RNAアプタマーのプールを調製するため、増幅した前記cDNAを鋳型として、T7 Ribomax system(プロメガ社)を用いて、RNAを大量に転写した。0.2mlチューブ2本のそれぞれに10μlの2×T7バッファ、5μlの前記cDNA溶液、3μlのヌクレアーゼフリーの水、及び2μlのEnzyme X mix(計20μl)を入れて、混合し、37℃で30分間インキュベートした。続いて、5μlのDNaseを添加した後、37℃で15分間加温した。最後に、2本のチューブ内のサンプルをまとめて、ヌクレアーゼフリーの水で400μlに充填し、等量のPCIでタンパク質除去、エタノール沈殿を行った後、50μlのヌクレアーゼフリーの水に溶解して、第2のVHSV結合性アプタマーとした。(1)〜(4)までを1ラウンドとした。
(5)ラウンドの繰り返し
前記ラウンドを12回繰り返した。選択ストリンジェンシーを高めるために、ラウンドの回数を増加するごとに、使用するVHSVの濃度を104nMから1nMに減じた。ラウンド4〜9においては、VHSV−RNAと非結合RNAを高速遠心により分離した。
前記ラウンドを12回繰り返した。選択ストリンジェンシーを高めるために、ラウンドの回数を増加するごとに、使用するVHSVの濃度を104nMから1nMに減じた。ラウンド4〜9においては、VHSV−RNAと非結合RNAを高速遠心により分離した。
(6)単離されたVHSV結合性アプタマーの塩基配列決定
上述のスクリーニングラウンドにより得られたVHSV結合性アプタマーに対して、RT-PCRを行った。プライマーには、各RNAアプタマーの両端に存在するプライマー結合領域に相補するT7 Fw及びM13 Rvプライマーを用いた。その後、T7プライマーを用いてシーケンサー(ABI社)により増幅PCR断片の塩基配列を決定した。
上述のスクリーニングラウンドにより得られたVHSV結合性アプタマーに対して、RT-PCRを行った。プライマーには、各RNAアプタマーの両端に存在するプライマー結合領域に相補するT7 Fw及びM13 Rvプライマーを用いた。その後、T7プライマーを用いてシーケンサー(ABI社)により増幅PCR断片の塩基配列を決定した。
(7)結果
本実施例によって得られたVHSV結合性RNAアプタマーの塩基配列を図1に示す。SELEX法によって15個のRNAアプタマーが得られた。このうちF1、F4及びF5の3クローンと、F2及びC1の2クローンは、塩基配列が同一であったことから12種のRNAアプタマーが分離されたことになる。
本実施例によって得られたVHSV結合性RNAアプタマーの塩基配列を図1に示す。SELEX法によって15個のRNAアプタマーが得られた。このうちF1、F4及びF5の3クローンと、F2及びC1の2クローンは、塩基配列が同一であったことから12種のRNAアプタマーが分離されたことになる。
<実施例2:VHSV結合性アプタマーによるVHSV感染の抑制>
実施例1で得られたVHSV結合性アプタマーのVHSV感染活性抑制能について検証した。
実施例1で得られたVHSV結合性アプタマーのVHSV感染活性抑制能について検証した。
(1)細胞培養
日本産ヒラメ(Paralichthys olivaceus)の胚細胞系列(HINAE)(北海道大学 吉水 守教授より分与)を10%FBS(JRH Bioscience社)/100 IU/mlのペニシリンG(Sigma)/100μg/mlのストレプトマイシン(Gibco-BRL社)で懸濁したLeibovitz’s L-15 medium(Gibco-BRL社)3mlに単層となるように播種し、15℃で3〜4日間培養した。詳細な培養方法については、(Lua et al., 2008, Antiviral Res. 80(3):316-323)に記載の方法に準じた。
日本産ヒラメ(Paralichthys olivaceus)の胚細胞系列(HINAE)(北海道大学 吉水 守教授より分与)を10%FBS(JRH Bioscience社)/100 IU/mlのペニシリンG(Sigma)/100μg/mlのストレプトマイシン(Gibco-BRL社)で懸濁したLeibovitz’s L-15 medium(Gibco-BRL社)3mlに単層となるように播種し、15℃で3〜4日間培養した。詳細な培養方法については、(Lua et al., 2008, Antiviral Res. 80(3):316-323)に記載の方法に準じた。
(2)VHSV結合性アプタマーによるVHSV感染の阻害
実施例1で得られたRNAアプタマーのうち、F1、F2及びC6の3つについて、VHSV感染の阻害活性を検証した。
実施例1で得られたRNAアプタマーのうち、F1、F2及びC6の3つについて、VHSV感染の阻害活性を検証した。
結合バッファを用いて前記3つのRNAアプタマーを0.2mg/mlの濃度に調製し、フォールディング後、3mlの各RNAアプタマー溶液に105TCID50のI型VHSV(北海道大学 吉水 守教授より分与)を加えた。37℃で30分間インキュベート後、その溶液を、(1)で調製したHINAE細胞に加えてVHSVの感染処理を行った。また、ブランクには何も入れず、バッファのみの試験区にはバッファのみを加え、VHSV試験区と同様の方法で処理した。感染処理後のHINAE細胞を15℃にインキュベートし、4〜7日後にVHSVの感染における細胞変性効果(CPE)を顕微鏡下で観察し、RNAアプタマーによるVHSV感染の阻害活性を調べた。
(3)結果
本発明のVHSV結合性アプタマーの代表として選択した3つのVHSV結合型RNAアプタマー(F1、F2及びC6)を加えたアプタマー添加/VHSV添加試験区(図2−1〜図2−3において「バッファ+HVSV」で示す)はいずれも、該アプタマー非添加/VHSV添加試験区(図2−1〜図2−3において「バッファ+HVSV+F1,F2又はC6」で示す)と比べてCPEが低く、VHSVの感染を阻害又は抑制していることが確認された。また、その効果は各アプタマーの濃度に依存して増大した。この結果から、本発明のVHSV結合型RNAアプタマーは、宿主細胞のVHSV感染抑制活性を有することが立証された。
本発明のVHSV結合性アプタマーの代表として選択した3つのVHSV結合型RNAアプタマー(F1、F2及びC6)を加えたアプタマー添加/VHSV添加試験区(図2−1〜図2−3において「バッファ+HVSV」で示す)はいずれも、該アプタマー非添加/VHSV添加試験区(図2−1〜図2−3において「バッファ+HVSV+F1,F2又はC6」で示す)と比べてCPEが低く、VHSVの感染を阻害又は抑制していることが確認された。また、その効果は各アプタマーの濃度に依存して増大した。この結果から、本発明のVHSV結合型RNAアプタマーは、宿主細胞のVHSV感染抑制活性を有することが立証された。
本発明のVHSV結合性アプタマーによれば、VHSVの感染活性を抑制できる分子標的薬又はVHSVを高感度に検出するための検出マーカーを提供することができる。
本発明の医薬組成物によれば、魚類におけるVHSVの感染予防又はVHSの治療を行うことができる。
本発明のVHSV除去方法によれば、特定の水域からVHSVを除去し、VHSV感染の低い安全な水域を提供することができる。
本発明のVHSV検出方法によれば、高感度にVHSVを検出することができる。
本発明のVHSV検出キットによれば、簡便かつ高感度にVHSVを検出することができる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
Claims (13)
- ウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV)及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドに結合し、宿主のVHSV感染を抑制する活性を有するVHSV結合性アプタマー。
- VHSVの遺伝子型がI型である、請求項1に記載のVHSV結合性アプタマー。
- 配列番号1〜12のいずれかで表される塩基配列を含む、請求項1又は2に記載のVHSV結合性アプタマー。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のVHSV結合性アプタマーをコードするDNA。
- 請求項4に記載のDNAを発現可能な状態で含む発現ベクター。
- 請求項5に記載の発現ベクターを発現宿主内に導入した形質転換体又はその後代。
- 発現宿主が微生物又は魚類である、請求項6に記載の形質転換体又はその後代。
- 請求項7に記載の微生物形質転換体又はその後代を含む濾過槽に特定の水域の水を循環させて、該特定の水域からVHSV及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドを除去するVHSV除去方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のVHSV結合性アプタマー又は請求項5に記載の発現ベクター及び製薬上許容可な担体を含むウイルス性出血性敗血症(VHS)を治療又は予防するための医薬組成物。
- 請求項9に記載の医薬組成物を魚類に投与してVHSを治療又は予防する方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のVHSV結合性アプタマーを用いてVHSV及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドを検出する方法。
- VHSV及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドを検出する方法が、表面プラズモン共鳴測定法、水晶振動子マイクロバランス測定法、比濁法、比色法又は蛍光法を用いる請求項11に記載の検出方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のVHSV結合性アプタマーを含むVHSV及び/又は該ウイルスで発現するポリペプチドを検出するためのVHSV検出キット。
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