JPWO2011030858A1 - 集光フィルム並びにその製造方法、集光素子、太陽電池、及び集光方法 - Google Patents

集光フィルム並びにその製造方法、集光素子、太陽電池、及び集光方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、広い角度範囲の入射光を高効率で集光することができる集光方法、及び、集光フィルム、該集光フィルムを備える集光素子、並びに、太陽電池を提供する。本発明は、有機材料からなる集光フィルムであって、多値階調パターンを有することを特徴とする集光フィルムである。

Description

本発明は、集光フィルム並びにその製造方法、該集光フィルムを備える集光素子、該集光素子を備える太陽電池、及び集光フィルムを用いた集光方法に関する。
近年、顕在化しつつあるエネルギー資源問題や地球環境問題に対応して、太陽光発電の重要性が増しており、太陽光発電の利用拡大とエネルギー供給技術の開発が盛んに行われている。
太陽光発電は、経済性の観点から、汎用電力並みの発電コストが目標とされ、モジュール製造コストを低減でき、発電効率が高い太陽電池の開発が求められている。
発電効率を高効率化するための方法としては、太陽光セルへの集光効率を引き上げることが考えられる。従来、集光するための光学部材としては、(1)レンズ(球面、非球面タイプ)、(2)凹面鏡、(3)平面フィルム等が挙げられる。
平面フィルムとしては、フレネルレンズなどの光学部材の開発が行われている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、従来の平面フィルムは、平面フィルムの面内方向に対して浅い角度から入射する光を高効率で集光することはできず、太陽電池用の集光フィルムとして用いる場合、発電を効率よく行うためには、太陽光の照射方向に太陽電池セルの方向を追尾させる、いわゆる追尾型太陽電池とする必要があった。追尾型太陽電池は、集光素子を常に太陽の方向に向くように制御されたシステムであるため、システム全体が複雑な構造となり、コスト的かつ設備的に課題を有している。
また、平面フィルムとしては、ホログラムを用いた光学素子も知られている。例えば、ホログラム回折パターンを感光性材料にレーザインプリントして作製するホログラムが挙げられる。このようなホログラム回折パターンの形成は、重クロム酸ゼラチン等の感光性材料に対して、レーザ光などの参照光と物体光との干渉縞を感光性材料面に記録させ、物体光の複素振幅の情報を記録面に光学的に定着させる方法を用いている。しかしながら、上述の感光性材料は耐久性(耐湿性、耐候性)に欠けるため、このホログラム回折パターンを有する平面フィルムを太陽電池に用いる場合、太陽電池セルの内部へ装着するものとなっており、例えば、非特許文献1で開示されているような内部全反射方式の太陽電池セルとなるため、構造的に広い角度範囲で集光(全方位集光)するものではなかった。
一方、感光性材料にレーザインプリントしたホログラム回折パターンではなく、計算機によって回折パターンを計算することで形成される計算機ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)も提案されている。
特許文献2には、少なくとも一つの第一の光学系と、第一の光学系から放射状に発射した光を複数の光束に分岐し、かつその光束を複数のスポットに集光する回折格子パターンを形成したホログラム素子と、複数のスポットに対応する位置に受光部が配置された複数の第二の光学系とを有する光分岐器が開示されており、ホログラム素子の回折面の光学的位相を決めることは、コンピュータを使用した計算機ホログラム技術により設計できることが記載されているが、このような従来のホログラム素子は、広い角度範囲の入射光を集光することができるものではなかった。
ところで、特許文献3には、フーリエ変換を用いて計算機ホログラムを算出することが開示されている。しかしながら、特許文献3で開示されている計算機ホログラムは、基材が石英であり、得られる階調パターンも石英表面上に留まっているため、用途が表示デバイス等に限定されており、集光に用いるものでもない。
特許第3687836号明細書 特開2002−228819号公報 特開2004−206254号公報
グレン・ローゼンバーグ他、「ソーラパネルの効率を改善するホログラフィック平面集光器」、Laser Focus World Japan、日本、2009年、第2巻、p.26−28
従来の感光性材料にレーザインプリントして作製するホログラムを集光フィルムに用いたとしても、耐候性、耐湿性等に欠けるため、上述のように、全方位集光を実現する光学素子を作成することはできなかった。また、従来の光学素子に用いられている計算機ホログラムは、二値の階調による空間変調度のパターンを有するもののみであり、集光フィルムに適用したとしても、広い角度範囲の入射光を集光することはできなかった。
本発明の目的は、広い角度範囲の入射光を高効率で集光することができる集光フィルム、該集光フィルムを備える集光素子、並びに、太陽電池、及び、広い角度範囲の入射光を高効率で集光することができる集光方法を提供することにある。
本発明は、有機材料からなる透過型の集光フィルムであって、多値階調パターンを有することを特徴とする集光フィルムである。
本発明はまた、上記集光フィルムを備えることを特徴とする集光素子である。
本発明は更に、上記集光素子を備えることを特徴とする太陽電池である。
本発明は、上記集光フィルムを製造する方法であって、離散フーリエ変換を用いて多値階調パターンを計算する工程、及び該多値階調パターンを有する集光フィルムを形成する工程、を含むことを特徴とする集光フィルムの製造方法でもある。
本発明はまた、上記集光フィルムを用いる集光方法であって、集光フィルムの多値階調パターンを有する面に光を入射する工程、及び、集光フィルムの光が入射された面とは反対の面から、入射された光を出射する工程、を含むことを特徴とする集光方法でもある。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の集光フィルムは、有機材料からなる透過型の集光フィルムである。「透過型の集光フィルム」とは、集光フィルムの片面に入射した光を、光が入射した面とは反対の面から出射する集光フィルムを意味する。
本発明の集光フィルムは、多値階調パターンを有する。多値階調パターンを有することで、広い角度範囲での面内集光が可能となる。多値階調パターンは、計算機多値ホログラムグレーティングパターン等ともいわれるパターンである。
多値階調パターンは、計算機ホログラムを構成するものであることが好ましい。すなわち、本発明の集光フィルムは、多値階調パターンを有する計算機ホログラムを備えることが好ましい。計算機ホログラムは参照光と物体光との干渉縞形成により形成するものではないため、集光フィルムを形成するための材料として、感光性材料を使用する必要がなく、耐久性のあるホログラムを形成することができる。
本明細書中で「多値階調パターン」は、計算機により算出された多値の階調を有するパターンである。「多値階調」とは、3以上の値を有する階調を意味し、2値の階調とは区別される。また、有機材料にレーザインプリントしたホログラム回折パターンのような、位相情報が記録された波形パターンとも区別されるものである。ここで、「階調」は、集光フィルムの膜厚変化の度合いを意味し、例えば、多値階調パターンを有する集光フィルムでは、3段階以上の膜厚の値を有するものとなる。
多値階調パターンは、深さの異なる2以上の凹部を組み合わせて構成されたパターンであることが好ましい。多値階調パターンを平面視したときの凹部の形状としては、図9(a)に示すように四辺形でもよいし、図9(b)に示すように丸形でもよいし、また、図9(e)に示すように楕円形等でもよい。多値階調パターンは、それらの凹部が独立して存在、または連続して繋がって存在してもよい。更に、その断面視したときの形状は、図9(c)に示すように、三角形状でもよいし、図9(d)に示すような半円形状又は半楕円形状でもよい。また、多値階調パターンは、同心円状、四角錐、又は三角錘を基本とするパターンであることが好ましい。例えば、多値階調パターンは、2以上の円錐状、四角錐状、又は三角錐状に集光フィルムの膜厚が薄くなる階調パターンが連なるものが好ましく、該階調パターンが碁盤目状に連なるものであることも好ましい。2以上の円錐状、四角錐状、又は三角錐状に集光フィルムの膜厚が薄くなる階調パターンは全面に連なるものであってもよい。上記「円錐状、四角錐状、又は三角錐状」とは、概ね円錐状、四角錐状、又は三角錐状と認識できる形状であればよい。また、多値階調パターンは、4〜32階調のパターンであることが好ましい。
凹部は、多値階調パターンを有する領域において、集光フィルムの厚みが、該集光フィルムの最大厚みよりも薄い部分である。例えば、凹部の深さは、多値階調パターンを有する領域において、集光フィルムの最大厚みの10%以上であればよい。図9中のLは、凹部のピッチを表し、dは凹部の深さを表す。
多値階調パターンは、例えば、集光フィルムの面内方向に実質的に平行な底部を有する凹部が2以上組み合わされて構成されるパターンであり、該2以上の凹部は、少なくとも2個の凹部の深さが異なるものであることが好ましい。多値階調パターンは、少なくとも2個の深さの異なる凹部が組み合わされて構成されるものであればよい。実質的に同一の深さの凹部を複数有していてもよい。上記凹部は、通常、集光フィルムの面内方向に実質的に垂直な側面部を有するが、複数の凹部が組み合わされて、多値階調パターンが構成されている場合、隣り合う凹部よりも深さが小さい場合には、側面部を有さない場合もある。
多値階調パターンとしては、例えば、図1の集光フィルムの断面模式図に示されるような形態が挙げられる。図1に示す集光フィルムの多値階調パターンは、凹部11a、11b、11c、11d、11e及び11fで構成されており、多値階調パターンを有する領域において、最大厚みがdmaxであり、最小厚みがdminである。例えば、凹部11dは、底部12と側面部13を有する。凹部の深さは集光フィルムを構成する材料、集光フィルムの大きさや形状等によって適宜設定される。なお、ここで、「凹部の深さ」は、多値階調パターンを有する領域における集光フィルムの最大厚みを基準として、多値階調パターンを有する面から、反対側の面への距離を意味し、例えば、図1における凹部11dの深さdは、dmax−dminで表される距離である。凹部の深さは、例えば、0.01μm〜100μmであることが好ましく、0.1μm〜30μmであることがより好ましい。
集光フィルムは、多値階調パターンを有する領域において、最大厚み(dmax)に対する最小厚み(dmin)が25%以下であることが好ましい。集光フィルムとして充分に集光効率を高めるためには、上記多値階調パターンにおいて、最大厚みと最小厚みとの差が大きいことが好ましく、これによって集光効率の高い集光フィルムとすることができる。なお、2値の階調を有する計算機ホログラムでは、最大厚みに対する最小厚みの割合は、50%となる。なお、「多値階調パターンを有する領域」とは、上記階調が形成された領域を意味し、例えば、後述するように多値階調パターンを形成するために鋳型を用いた場合には、該鋳型の多値階調パターンの反転パターンが形成された領域と接触した領域である。
集光フィルムは、多値階調パターンのピッチ(間隔)が100μm以下であることが好ましい。より好ましくは、10μm以下であり、更に好ましくは、1μm以下である。多値階調パターンのピッチは、通常、上記凹部の幅と同じである。上記凹部の幅は、平面視したときの凹部が四辺形である場合、四辺形の最小の辺の長さであることが好ましく、少なくとも一つの凹部の幅が上記範囲であればよい。このような、平面視又は断面視したときの凹部の形状が四辺形である場合の好ましい形態は、平面視したときの凹部の形状が円形、三角形等である場合にも同様に好適である。
多値階調パターンは、位相ホログラムの厚みが干渉縞の間隔よりも厚いことが好ましい。位相ホログラムの厚みを干渉縞の間隔よりも厚くすることにより、同じ部位に何重にも回折光を記録転写(多重記録)することができる。これによれば、角度選択性に優れる集光フィルムとすることができ、広い角度範囲の入射光を任意の一方向に集めることが可能となる。位相ホログラムの厚みが干渉縞の間隔よりも厚い形態としては、例えば、多値階調パターンを構成する凹部の深さが、該凹部の幅よりも大きい形態が挙げられる。すなわち、多値階調パターンは、深さの異なる2以上の凹部を組み合わせて構成されるパターンであり、少なくとも一つの凹部の深さが、該凹部の幅よりも大きいことが好ましい。また、凹部の端面深さ(d)と該凹部の幅(L)が、下記式(α):
L/d≦2 (α)
を満たすことが好ましい。
例えば、図1に示される階調パターンの凹部11dにおいては、凹部11dの幅Lと階調パターンの深さ方向(法線方向)への端面距離dがL/d≦2を満たすとき、上記のように広い角度範囲の入射光を任意の一方向に集める面内集光フィルムとしての機能がより優れたものとなる。上記多値階調パターンを構成する凹部は、最小の幅を有する凹部が上記式(α)を満たせばよく、実質的に全ての凹部が上記式(α)を満たすことがより好ましい。実質的に全ての凹部が上記式(α)を満たす場合において、側面部を有していない凹部が存在するときには、当該凹部は上記式(α)を満たすものではない。なお、凹部の端面深さ(端面距離)dは、多値諧調パターンにおける各階段端面の長さを示し、凹部の側面部において、集光フィルムの法線方向に最も短い側面部(端面)の長さである。
多値階調パターンは、離散フーリエ変換を用いて計算されたパターンであることが好ましい。従来のフーリエ変換を用いて計算した計算機ホログラムでは、広い角度範囲で集光を行うホログラムを計算するためには、大容量の演算処理が必要であり、集光フィルムに用いる大面積の計算機ホログラムを計算することはできず、集光フィルムに用いるための計算機ホログラムとしては二値階調のものが限界であった。
離散フーリエ変換を用いることにより、演算速度を飛躍的に向上させ、高品質で大面積の計算機ホログラムを計算することが可能であり、計算機ホログラムを集光フィルムに適用することが可能となる。
離散フーリエ変換は、フーリエ変換装置を用いて実行することができる。上記フーリエ変換装置は、N点(Nは2以上の整数)の入力データに対して離散フーリエ変換を実行するフーリエ変換装置であって、N点の入力データの位相を変化させることでm組(mは2以上の整数)のN点の位相補正データを生成する位相補正部と、該位相補正部で生成された各組の位相補正データに離散フーリエ変換を並列に施すことでm組のN点の変換データを生成するフーリエ変換部と、上記フーリエ変換部で生成されたm組のN点の変換データを合成してL点(Lは、Nのm倍の整数)の合成データを生成する合成器とを備え、位相補正部は、L点の周期を持つ回転因子のベキ乗を入力データに乗算することで位相補正データを生成するとともに、フーリエ変換部は、各組の位相補正データに対して、N点の周期を持つ回転因子のベキ乗を用いたN点の離散フーリエ変換を実行する、フーリエ変換装置であることが好ましい。上記入力データは、目標とする集光フィルムの特性が得られるように、適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
上記位相補正部は、上記N点の入力データの位相を変化させ、互いに並列に動作する第0番目〜第m−1番目の位相補正器を備えており、第q番目(qは0〜m−1の整数)の位相補正器は、上記L点の周期を持つ回転因子のqの整数倍乗を上記入力データに乗算することで上記位相補正データを生成するものであることが好ましい。
第q番目の上記位相補正器は、上記N点の入力データのうち第k番目(kは0〜N−1の整数)の入力データx(k)に、次式(A)で規定される上記回転因子Wのqk乗を乗算することで、次式(B)で表現される上記位相補正データx(k,q)を算出するとともに、上記フーリエ変換部は、第q番目の上記位相補正器から出力された上記位相補正データx(k,q)に対して、次式(C)で規定される上記回転因子Wを用いて次式(D)に基づいたN点の離散フーリエ変換を実行し、上記N点の変換データX(mp+q)(pは0〜N−1の整数)を生成するものであることが好ましい。
上記フーリエ変換装置は、上記合成データの位相を調整する位相補正器をさらに備えることが好ましい。
上記フーリエ変換部はN点の高速フーリエ変換を実行する機能を有することが好ましい。
図7は、上記フーリエ変換装置の一例を概略的に示すブロック図である。図7に示すようにフーリエ変換装置75は、サンプリング回路70、位相補正部71、フーリエ変換部72、合成器73及び位相補正器74を備えて構成されている。サンプリング回路70は、N点の入力データx(k)(kは0〜N−1の整数)をサンプリングし、m組(mはNの整数倍)の入力データx(k),x(k),…,x(k)に分岐させて位相補正部71に出力する。
また位相補正部71は、入力データx(k)の位相を変化させ、互いに並列に動作する第0番目〜第m−1番目の位相補正器71〜71m−1から構成される。第0番目〜第m−1番目の位相補正器71〜71m−1は、それぞれ、位相補正データx(k,0)〜x(k,m−1)を生成してフーリエ変換部72に出力する。
またフーリエ変換部72は、N点のFFT(fast fourier transform)を実行する複数個のFFT演算器72〜72m−1から構成されており、FFT演算器72〜72m−1は、それぞれ、位相補正器71〜71m−1から入力するN点の位相補正データに対してFFTを実行し、その処理結果の変換データを合成器73に出力する。また合成器73は、後述する方法で、FFT演算器72から入力するm組のN点の変換データを合成して合計L(=mN)点の合成データX(n)(nは0〜L−1の整数)を生成し、位相補正器74に出力する。そして位相補正器74は、合成データX(n)の位相を所定量変化させて出力データを生成して出力する。離散フーリエ変換を用いて計算を実行する方法は、特開2004−206254号公報に詳しく記載されている。また、多値階調パターンは、離散フーリエ変換のほか、反復フーリエ変換を用いて得ることも可能である。これらの計算方法に関しては非特許文献(「Applied Optics」、1994年、第33巻、pp863−867)に詳しく記載されている。
集光フィルムは、該集光フィルムの法線方向に対して0°〜89°の角度で入射した550nmの波長の光線透過率が平均80%以上であることが好ましい。より好ましくは、平均90%以上であり、更に好ましくは、平均95%以上である。集光フィルムを形成する有機材料の光線透過率を高くすることによって、集光効率を向上させることもできる。また、光線透過率を高くすることによって、蓄熱等による劣化を抑制することができるため、長期間の使用が可能となり、太陽電池用途等に特に好適に用いることができる。上記光線透過率は、紫外−可視分光光度計(U−4100 Spectrophotometer、株式会社日立ハクテクノロジーズ社製)を用いた方法で測定することができる。
また、集光フィルムは、該集光フィルムの法線方向に対して0°〜89°の角度で入射した550nmの波長の光線透過率が実質的に全ての角度で80%以上であることが好ましい。より好ましくは、90%以上であり、更に好ましくは95%以上である。なお、法線方向に対して0°の角度とは、垂直軸の角度を示し、また法線方向に対して89°の角度とは、水平軸1°の角度を示す。なお、光線透過率は0〜89°の範囲を2°毎に測定した値を、測定した値の数で平均化した値を採用することができる。集光フィルムの法線方向に対して0〜89°の角度で入射した550nmの波長の光線透過率は、多値階調パターンを有する領域に入射した550nmの波長の光線透過率であることも好ましい。
本発明の集光フィルムを構成する有機材料は、350〜800nmの波長の屈折率が1.30〜1.65であることが好ましい。屈折率の上限としては、1.60であることがより好ましく、1.55であることが更に好ましい。屈折率の下限としては、1.35であることがより好ましく、1.40であることが更に好ましい。上記屈折率は、アッベ屈折計(Digital thermometer 2T、株式会社アタゴ製)を用いた方法で測定することができる。測定は25℃で計測し、光源波長は589nmのナトリウムD線を用いた。なお、集光フィルム用途での最適な屈折率としては、例えば、1.40であることが好ましい。1.42であることも好ましい。
有機材料としては特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂が好ましく、例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PC(ポリカーボネート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、TAC(トリアセチルセルロース)、PES(ポリエーテルサルホン)、及び、フッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、いわゆる耐候性有機材料でもある。
また、これらの熱可塑性樹脂の他、これら樹脂上に対するコーティング層として後述する硬化性樹脂などの高分子材料や、ゾル・ゲル材料等として用いられる有機・無機のナノ複合材料等も利用することが可能である。
有機材料は、フッ素樹脂であることも好ましい。従来、プラスチック系光学部材にはPMMA(ポリメチルメタクリレート)素材が用いられていたが、成形の際に可塑剤、熱酸化防止剤等の添加剤を添加しており、太陽電池用の集光素子として用いたとしても、黄変(ΔYI値の増大)等の問題があり、実用上使用することができなかった。
フッ素樹脂は、耐候性、耐熱性、耐水蒸気透過性、透明性等に優れるため、太陽光線等による素材の劣化を防ぎ、長期耐久性を有する集光フィルムとすることができる。また、光透過性にも優れている。
上記フッ素樹脂は、溶融加工可能なフッ素樹脂であれば特に限定されないが、少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体から誘導される繰り返し単位を有する単独重合体又は共重合体であることが好ましい。
上記フッ素樹脂は、含フッ素エチレン性単量体のみを重合してなるものであってもよいし、含フッ素エチレン性単量体とフッ素原子を有さないエチレン性単量体を重合してなるものであってもよい。
上記フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、フッ化ビニリデン〔VdF〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、フッ化ビニル、へキサフルオロプロピレン〔HFP〕、へキサフルオロイソブテン、CH=CZ(CF(式中、ZはH又はF、ZはH、F又はCl、nは1〜10の整数である。)で示される単量体、CF=CF−ORf(式中、Rfは、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、及び、CF=CF−O−CH−Rf(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体に由来する繰り返し単位を有することが好ましい。
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)等が挙げられ、なかでも、PMVE、PEVE又はPPVEがより好ましい。
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF=CF−O−CH−CFCFがより好ましい。
上記フッ素樹脂は、フッ素原子を有さないエチレン性単量体に由来する繰り返し単位を有してもよく、耐熱性や耐薬品性等を維持する点で、炭素数5以下のエチレン性単量体に由来する繰り返し単位を有することも好ましい形態の一つである。上記フッ素樹脂は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン及び不飽和カルボン酸からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素非含有エチレン性単量体を有することも好ましい。
上記不飽和カルボン酸としては、共重合を可能にする炭素−炭素不飽和結合を1分子中に少なくとも1個有し、且つ、カルボニルオキシ基〔−C(=O)−O−〕を1分子中に少なくとも1個有するものが好ましく、脂肪族不飽和モノカルボン酸であってもよいし、カルボキシル基を2個以上有する脂肪族不飽和ポリカルボン酸であってもよく、例えば、国際公開第2005/100420号パンフレットに記載の不飽和カルボン酸が挙げられる。
上記脂肪族不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物、メサコン酸及びアコニット酸からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記フッ素樹脂としては、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕、エチレン〔Et〕/TFE共重合体〔ETFE〕、CTFE/TFE共重合体、TFE/HFP共重合体〔FEP〕、TFE/PAVE共重合体〔PFA〕、及び、ポリビニリデンフルオライド〔PVdF〕からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、PCTFE、ETFE、CTFE/TFE共重合体、FEP及びPFAからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素樹脂であることがより好ましい。
上記クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕/テトラフルオロエチレン〔TFE〕共重合体は、CTFE単位とTFE単位とのモル比がCTFE:TFE=2:98〜98:2であることが好ましく、5:95〜90:10であることがより好ましく、20:80〜90:10であることが更に好ましい。CTFE単位が少なすぎると溶融加工が困難になる傾向があり、多すぎると成型時の耐熱性、耐薬品性が悪化する場合がある。
CTFE/TFE共重合体は、CTFE、TFE、並びに、CTFE及びTFEと共重合可能な単量体からなる共重合体であることが好ましい。CTFE及びTFEと共重合可能な単量体としては、エチレン、VdF、HFP、CH=CZ(CF(式中、ZはH又はF、ZはH、F又はCl、nは1〜10の整数である。)で示される単量体、CF=CF−ORf(式中、Rfは、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、及び、CF=CF−O−CH−Rf(式中、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられ、なかでも、エチレン、VdF、HFP及びPAVEからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、PAVEであることがより好ましい。
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)等が挙げられ、なかでも、PMVE、PEVE又はPPVEがより好ましい。
上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF=CF−O−CH−CFCFがより好ましい。
上記CTFE/TFE共重合体は、CTFE及びTFEと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1〜10モル%であり、CTFE単位およびTFE単位が合計で90〜99.9モル%であることが好ましい。共重合可能な単量体単位が少なすぎると成形性、耐環境応力割れ性および耐ストレスクラック性に劣りやすく、多すぎると耐熱性、機械特性、生産性などに劣る傾向にある。CTFE及びTFEと共重合可能な単量体に由来する単量体単位の下限は0.5モル%であることがより好ましく、上限は5モル%であることがより好ましい。
FEPは、とりわけ耐熱性が優れたものとすることができる点で好ましい。FEPとしては、特に限定されないが、TFE単位70〜99モル%とHFP単位1〜30モル%からなる共重合体であることが好ましく、TFE単位80〜97モル%とHFP単位3〜20モル%からなる共重合体であることがより好ましい。TFE単位が70モル%未満では機械物性が低下する傾向があり、99モル%をこえると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。
FEPは、TFE、HFP、並びに、TFE及びHFPと共重合可能な単量体からなる共重合体であってもよく、当該単量体としてはCTFE及びTFEと共重合可能な単量体として例示した単量体であってもよい。当該単量体としては、CF=CF−OR (式中、R は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、CZ=CZ(CF(式中、Z、Z及びZは、同一若しくは異なって、水素原子又はフッ素原子を表し、Zは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは2〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、及び、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられ、なかでも、PAVEであることが好ましい。PAVE及びアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、CTFE及びTFEと共重合可能な単量体として例示したものと同様である。
FEPは、TFE及びHFPと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1〜10モル%であり、TFE単位及びHFP単位が合計で90〜99.9モル%であることが好ましい。共重合可能な単量体単位が0.1モル%未満であると成形性、耐環境応力割れ性および耐ストレスクラック性に劣りやすく、10モル%をこえると耐熱性、機械特性、生産性などに劣る傾向にある。
PFAは、とりわけ耐熱性が優れたものとすることができる点で好ましい。PFAとしては、特に限定されないが、TFE単位70〜99モル%とPAVE単位1〜30モル%からなる共重合体であることが好ましく、TFE単位80〜98.5モル%とPAVE単位1.5〜20モル%からなる共重合体であることがより好ましい。TFE単位が70モル%未満では機械物性が低下する傾向があり、99モル%をこえると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。
上記PAVEとしては、上述したものが挙げられ、なかでも、PMVE、PEVE及びPPVEからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、PMVEであることが更に好ましい。
上記PFAは、TFE、PAVE、並びに、TFE及びPAVEと共重合可能な単量体からなる共重合体であってもよく、当該単量体としてはCTFE及びTFEと共重合可能な単量体として例示した単量体であってもよい。当該単量体としては、HFP、CZ=CZ(CF(式中、Z、Z及びZは、同一若しくは異なって、水素原子又はフッ素原子を表し、Zは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは2〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、及び、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられる。上記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、CTFE及びTFEと共重合可能な単量体として例示したものと同様である。
上記PFAは、TFE及びPAVEと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1〜10モル%であり、TFE単位及びPAVE単位が合計で90〜99.9モル%であることが好ましい。共重合可能な単量体単位が0.1モル%未満であると成形性、耐環境応力割れ性および耐ストレスクラック性に劣りやすく、10モル%をこえると耐熱性、機械特性、生産性などに劣る傾向にある。
上記ETFEは、力学物性等が向上する点で好ましい。TFE単位とエチレン単位との含有モル比は20:80〜90:10が好ましく、37:63〜85:15がより好ましく、38:62〜80:20が更に好ましい。
上記ETFEは、TFE、エチレン、並びに、TFE及びエチレンと共重合可能な単量体からなる共重合体であってもよい。共重合可能な単量体としては、下記式
CH=CZ 、CF=CFR 、CF=CFOR 、CH=C(R
(式中、Zは水素原子またはフッ素原子、R はエーテル結合性酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基を表す。)
で表される単量体が挙げられ、なかでも、CF=CFR 、CF=CFOR 及びCH=CZ で表される含フッ素ビニルモノマーが好ましく、HFP、CF=CF−OR (式中、R は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕及びR が炭素数1〜8のフルオロアルキル基であるCH=CZ で表される含フッ素ビニルモノマーがより好ましい。
上記式で示される含フッ素ビニルモノマーの具体例としては、1,1−ジヒドロパーフルオロプロペン−1、1,1−ジヒドロパーフルオロブテン−1、1,1,5−トリヒドロパーフルオロペンテン−1、1,1,7−トリヒドロパーフルオロへプテン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロヘキセン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロオクテン−1、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルビニルエーテル、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロブテン−1、3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロペン−1、2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CH=CFCFCFCFH)があげられる。
また、TFE及びエチレンと共重合可能な単量体としては、上述したイタコン酸、無水イタコン酸等の脂肪族不飽和カルボン酸であってもよい。
TFE及びエチレンと共重合可能な単量体は、含フッ素重合体に対して0.1〜10モル%が好ましく、0.1〜5モル%がより好ましく、0.2〜4モル%が特に好ましい。
フッ素樹脂としては、ETFE、PCTFE、EFEP、FEP及びPVdFからなる群より選択される少なくとも一種のフッ素樹脂であることがより好ましい。従来ホログラム材料として用いられてきたPMMAは、全光線透過率が90%以下であり、特に低波長側での光吸収が大きかった。上記ETFE、PCTFE、EFEP、FEP及びPVdFは、高光透過性の材料であり、更に薄膜性も高いため、光の吸収・反射を抑制し、集光効率を向上させることができる。
上記フッ素樹脂は、パーハロポリマーであることも好ましい形態の一つである。パーハロポリマーを使用することにより、耐薬品性等に優れるものとなる。上記パーハロポリマーは、重合体の主鎖を構成する炭素原子の全部にハロゲン原子が結合している重合体である。上記パーハロポリマーとしては、上述したCTFE/TFE共重合体、FEP及びPFAからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上述した共重合体の各単量体の含有量は、NMR、FT−IR、元素分析、蛍光X線分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
本発明において、上記フッ素樹脂は特に限定されないが、融点が160〜270℃であることが好ましい。上記フッ素樹脂の分子量は、得られる集光フィルムが求められる機械的特性等の特性を発現できるような範囲であることが好ましい。例えば、メルトフローレート〔MFR〕を分子量の指標として、フッ素樹脂一般の成形温度範囲である約230〜350℃の範囲の任意の温度におけるMFRが0.5〜100g/10分であることが好ましい。
本明細書において、各樹脂の融点は、DSC装置(セイコー社製)を用い、10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度として求めたものであり、MFRは、メルトインデクサー(東洋精機製作所社製)を用い、各温度、5kg荷重下で直径2mm、長さ8mmのノズルから単位時間(10分間)に流出するポリマーの重量(g)を測定したものである。
上記フッ素樹脂は、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合等、従来公知の重合方法により得ることができる。上記重合において、温度、圧力等の各条件、重合開始剤やその他の添加剤は、所望のフッ素樹脂の組成や量に応じて適宜設定することができる。
(有機材料の例示)
以下、本発明の集光フィルムに用いることができる有機材料について更に説明する。上記有機材料としては、上記した熱可塑性樹脂等の他、それら樹脂上などへのコーティング層として、硬化性樹脂などの高分子材料や、ゾル・ゲル材料等として利用する有機・無機のナノ複合材料等も用いることも可能である。
熱可塑性樹脂からなる樹脂上などへのコーティング層として用いられる硬化性樹脂は、基材上へのコーティング、または樹脂単体して塗膜を形成する塗料として用いられることが好ましい。すなわち、塗料として用いた場合、硬化性樹脂を基材に塗布し、硬化させた後、基材から剥がしてフィルムとしてもよいし、可能であれば、基材上に配置されたまま集光フィルムに加工してもよい。
以下に、これらの有機材料について説明する。
(耐候性有機材料)
本発明の集光フィルムを構成する有機材料としては特に限定されないが、耐候性有機材料であることが好ましい。耐候性有機材料としては、上述した熱可塑性樹脂等の他、それら樹脂上などへのコーティング層として、硬化性樹脂などの高分子材料等が挙げられる。耐候性有機材料は、フッ素樹脂からなる有機材料であることが好ましい。フッ素樹脂からなる有機材料としては、上述したフッ素樹脂からなる有機材料等が挙げられるが、例えば、熱可塑性フッ素樹脂からなる有機材料、(I)水酸基および/またはカルボキシル基を有するフルオロオレフィン共重合体、(V)フッ素シリコーン樹脂、(VI)官能基を有していないフッ化ビニリデンの単独重合体もしくは共重合体、及び、(VII)官能基を有しないフッ素樹脂、からなる群より選択される少なくとも1種の化合物からなる有機材料、又は、下記硬化性樹脂組成物(VIII)及び下記硬化性樹脂組成物(IX)からなる群より選択される少なくとも1種の有機材料が好ましい。
上記熱可塑性フッ素樹脂は、耐加水分解の点で好ましい。上記(I)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)で示される化合物からなる有機材料又は硬化性樹脂組成物は、耐光性の点で好ましい。上記耐候性有機材料は、溶剤可溶性であることが好ましい。
耐候性有機材料としては、上記化合物からなる有機材料の他、(II)アクリルラッカー樹脂、(III)アクリルポリオール樹脂、(IV)アクリルシリコン樹脂等からなる有機材料も挙げられるが、使用実績の点からは、(I)水酸基および/またはカルボキシル基を有するフルオロオレフィン共重合体、及び、(III)アクリルポリオール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の化合物からなる有機材料であることも好ましい。
上記水酸基および/またはカルボキシル基を有するフルオロオレフィン共重合体(I)としては、たとえば特公昭60−21686号、特開平3−121107号、特開平4−279612号、特開平4−28707号、特開平2−232221号などの各公報に記載されているようなものがあげられ、該共重合体の数平均分子量(GPCによる)としては、1000〜100000であり、1500〜30000が好ましい。上記分子量が1000未満であれば硬化性、耐候性が不充分になる傾向があり、100000を超えると作業性、塗装性に問題が生じる傾向がある。
上記水酸基および/またはカルボキシル基を有するフルオロオレフィン共重合体の水酸基価としては、0〜200(mgKOH/g)であり、0〜150(mgKOH/g)であることが好ましい。上記水酸基が少なくなると硬化不良になりやすい傾向があり、200(mgKOH/g)を超えると可撓性に問題が生じる傾向がある。
上記水酸基および/またはカルボキシル基を有するフルオロオレフィン共重合体の酸価としては、0〜200(mgKOH/g)であり、0〜100(mgKOH/g)であることがさらに好ましい。酸価が多くなると可撓性に問題が生じる傾向がある。
なお、上記水酸基および/またはカルボキシル基を有するフルオロオレフィン共重合体のひとつとして、防汚染付着性、汚染除去性、防錆性の点からテトラフルオロエチレン共重合体を用いることもできる。
上記水酸基および/またはカルボキシル基を有するフルオロオレフィン共重合体としては、たとえばダイキン工業株式会社製ゼッフル(登録商標)、旭硝子(株)製ルミフロン(登録商標)、セントラル硝子(株)製セフラルコート(登録商標)、大日本インキ化学工業(株)製フルオネート(登録商標)、東亜合成(株)製ザフロン(登録商標)などの市販品があげられる。
上記アクリルポリオール樹脂(III)としては、たとえば(a)水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシビニルエーテル、アリルアルコールなどの水酸基含有エチレン性不飽和単量体と、(b)水酸基を含まないオレフィン類、ビニルエーテル、アリルエーテル、ビニルエステル、プロペニルエステル、(メタ)アクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物、(メタ)アクリロニトリル、カルボキシル基含有不飽和単量体、エポキシ基含有不飽和単量体、アミノ基含有不飽和単量体などの水酸基不含有不飽和単量体との重合体があげられる。アクリルポリオール樹脂は、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも一種の基を有していてもよい。
アクリルポリオール樹脂(III)の水酸基価としては0〜200(mgKOH/g)であり、0〜100(mgKOH/g)であることが好ましい。水酸基価が多くなると可撓性に問題が生じる傾向がある。
上記アクリルポリオール樹脂(III)の酸価としては、0〜200(mgKOH/g)であり、0〜100(mgKOH/g)であることがさらに好ましい。上記酸価が多くなると可撓性に問題が生じる傾向がある。
アクリルラッカー樹脂(II)としては、たとえばアクリルポリオール樹脂に使用されるモノマーを原料にした樹脂であって、水酸基価がゼロで酸価が0〜10のものなどがあげられる。
アクリルポリオール樹脂(III)又はアクリルラッカー樹脂(II)としては、たとえば三菱レーヨン(株)製ダイヤナール(登録商標)、大日本インキ化学工業(株)製アクリディック(登録商標)、日立化成工業(株)製ヒタロイド(登録商標)、三井東圧化学(株)製オレスター(登録商標)などの市販品を用いることができる。
上記アクリルシリコン樹脂(IV)としては、たとえば1分子中に、少なくとも1個のシラン基とラジカル重合性不飽和基とを有するアクリルシリコン単量体を上記水酸基含有エチレン性不飽和単量体(a)および/または上記水酸基不含有不飽和単量体(b)と共重合したものがあげられる。アクリルシリコン樹脂(IV)は加水分解性シリル基、水酸基、エポキシ基を有してもよい。
アクリルシリコン樹脂(IV)としては、たとえば(株)カネカ製ゼムラック(登録商標)、三洋化成工業(株)製クリヤマー(登録商標)などの市販品を用いることができる。
また、上記耐候性有機材料に、加水分解性脱離基をもつ有機金属化合物、そのオリゴマーおよび/または2種以上の該有機金属化合物のコオリゴマーを添加することにより、表面を親水化させた樹脂として用いることができる。
この有機金属化合物は、下記一般式(1):
M(OR2223 (1)
[式中、dは0または1〜6の整数、eは0または1〜5の整数、fは0または1〜6の整数(ただし、d+e+f≧3であり、dとfとは同時に0にはならない)、Zは同じかまたは異なりいずれも酸素原子、チッ素原子、フッ素原子および/または塩素原子を含んでいてもよい炭素数1〜5000の1価の有機基または水素原子、Mは少なくとも3価の原子価を有する金属原子、R22は同じかまたは異なりいずれも酸素原子、チッ素原子、フッ素原子および/または塩素原子を含んでいてもよい炭素数1〜1000の1価の有機基、シロキサン残基または水素原子、R23は同じかまたは異なりいずれも酸素原子、チッ素原子、フッ素原子および/または塩素原子を含んでいてもよいキレート化の能力を有する炭素数1〜20の有機基を表す]で示される有機金属化合物、特にR22またはR23の少なくとも1つが含フッ素基である含フッ素有機金属化合物が好ましい。
かかる有機金属化合物としては上記一般式(1)で示される化合物が好ましい。これらの有機金属化合物、そのオリゴマーまたはこれらの2種以上のコオリゴマーは国際公開第WO97/11130号パンフレットに記載されているものである。ただし該パンフレットで除外している下記一般式(2):
(式中、nは1〜20の整数、R15はすべてが異なるかまたは少なくともふたつが同じでいずれも炭素数1〜1000の1価の有機基であって、酸素原子、チッ素原子および/またはケイ素原子を含んでいてもよく、該有機基の水素原子の一部または全部がフッ素原子またはフッ素原子と塩素原子とで置換されていてもよい)で示される有機金属化合物も本発明では使用可能である。
これらの有機金属化合物は塗膜の表面を親水化する作用を有するが、目的とする機能、用途によって、より好ましい置換基や分子量などを選択して使用すればよい。
以下、まず本発明において一般式(1)で示される有機金属化合物の好適な態様を説明する。
上記一般式(1)中のdは、表面濃縮性、加水分解性、脱離性の点から0または1〜6の整数であり、2〜4の整数であることが好ましい。
上記一般式(1)中のeは、表面濃縮性、親水性の点から0または1〜5の整数であり、0〜1の整数であることが好ましい。
上記一般式(1)中fは表面濃縮性、加水分解性、脱離性の点から0または1〜6の整数であり、0〜3の整数であることが好ましい。
なお、d、eおよびfの合計量は、金属原子Mの原子価で決まる量であるが、一般式(1)においてはOR22またはR23のいずれか一方は、防汚染付着性、表面濃縮性、加水分解性のために必要であるので、dおよびfが同時に0になることはなく、d、eおよびfの合計量は少なくとも3である。
上記一般式(1)中Zは、水素原子でもよく、またたとえばつぎの(1)〜(3)にあげるような酸素原子、チッ素原子、フッ素原子および/または塩素原子を含んでいてもよい炭素数1〜5000の1価の有機基であることが好ましい。
(1)上記有機基Zは、たとえばH(CH、(CHCH、H(CHC=O、F(CF(CH、(CFCH、H(CF(CH(式中、pは0または1〜6の整数、qは1〜10の整数、フッ素原子の一部は塩素原子で置換されていてもよい)などがあげられ、これらの有機基は直鎖でも分岐鎖でもよい。
これらの具体例は、たとえばCH、CHCH、CHCHCH、(CHCH、CFCH、CFCFCH、(CFCH、F(CFCHCH、F(CFCHCH、H(CFCHなどがあげられるが、表面濃縮性、加水分解性、脱離性の点からCFCFCH、(CFCHが好ましい。
(2)また上記有機基Zは、たとえばNH、第二級アミノ基、第三級アミノ基、OH、NCO、COH、CONa、COK、SOH、SONa、SOK、エポキシ基、オキシエチレン基(CHCHO)などの官能基を有する有機基などがあげられる。
これらの具体例は、たとえばHN(CH、OCN(CH、CHO(CHCHO)(CH、CHO(CHCHO)(CH、CHO(CHCHO)10(CH、下記式:
で表される官能基などがあげられるが、親水性、相溶性、密着性の点からOCN(CH、CHO(CHCHO)(CHが好ましい。
(3)また上記有機基Zは、たとえば酸素原子、チッ素原子、フッ素原子、塩素原子、ケイ素原子などを含んでいてもよい重合性の有機基があげられる。
これらの具体例としては、たとえばCH=C(CH)CO(CH、CH=CH、CH=CHCH、CH=CHO(CH、CH=CHOCO(CH、CH=CHC、CH=CHCO(CHなどがあげられるが、重合性、入手の容易さの点からCH=C(CH)CO(CH、CH=CHO(CHが好ましい。
なお、本発明においては、このような重合性の有機基を有する式(1)で示される化合物を重合または共重合してえられ、分子量が2000〜20万、好ましくは5000〜20000の重合体または共重合体も好ましいものである。
上記一般式(1)中R22は、同じかまたは異なりいずれも酸素原子、チッ素原子、フッ素原子および/または塩素原子を含んでいてもよく、表面濃縮性、加水分解性、脱離性の点から炭素数1〜1000の1価の有機基、シロキサン残基または水素原子であり、上記炭素数としては1〜100であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。
上記一般式(1)中R22のうちの1価の有機基は、たとえばH(CH、(CHCH、H(CHC=O、F(CF(CH、(CFCH、H(CF(CH、F(CF(CHC=O、H(CF(CHC=O、(F(CF(CHN、((CFCH)N、(H(CF(CHN、F(CFO(CF(CF)CFO)CF(CF)C=O、(F(CF(CHC=N、((CFCH)C=N、(H(CF(CHC=N、F(CF(CHC=ONR、H(CF(CHC=ONR、F(CF(CHC=CH、H(CF(CHC=CH、F(CF(CHC=CF、H(CF(CHC=CF(式中、mは0または1〜6の整数、nは1〜10の整数、R3は炭素数1〜6のアルキル基を表し、アルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよい)で示されるものが好ましい。
これらの有機基の具体例としては、たとえばCFCH、CFCFCH、CF(CFCH、CF(CFCHCH、(CFCH、CF(CFCHCH、H(CFCH、H(CFCH、H(CFCH、CFC=O、CFCFC=O、CF(CFC=O、CF(CFC=Oなどがあげられるが、表面濃縮性、加水分解性、脱離性の点からCFCH、CFCFCH、CF(CFCH、CF(CFCHCH、CFC=O、CFCFC=Oが好ましくCFCH、CFCFCHがさらに好ましい。
上記一般式(1)中R22のうちのシロキサン残基は、たとえば(Si(OR22O)22(式中、R22は上記したR22のうちの1価の有機基と同じ)などがあげられる。
上記一般式(1)中R23は、同じかまたは異なっていてもよく、フッ素原子および/または塩素原子を含んでいてもよいキレート化の能力を有しており、表面濃縮性、加水分解性、脱離性の点から炭素数が1〜20であり、2〜10であることが好ましい有機基である。
本発明においては、このようなキレート化の能力を有する有機基が結合している有機金属化合物を用いることにより、貯蔵安定性、反応性、溶解性、相溶性により優れる。
このようなキレート化の能力を有する有機基になりうる化合物としては、たとえば2,4−ペンタンジオン、2,4−ヘプタンジオンなどのβ−ジケトン類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトステル類、乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸アンモニウム塩、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、リンゴ酸、リンゴ酸エチル、酒石酸、酒石酸エチルなどのヒドロキシカルボン酸類またはそのエステル、塩類、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、N−エチルモノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミンなどのアミノアルコール類、マロン酸ジエチル、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミドなどのエノール性活性水素化合物類などが好ましく、これらの水素原子の全部または一部がフッ素原子および/または塩素原子で置換された化合物などが表面濃縮性の点からさらに好ましい。
上記一般式(1)中金属原子Mは、たとえばB、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、La、Ac、Si、Ge、Sn、Pb、Ti、Zr、Hf、As、Sb、Bi、V、Nb、Ta、Te、Po、Cr、Mo、W、At、Mn、Tc、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptなどがあげられるが、合成および入手の容易さの点からAl、Ti、B、ZrまたはSi、特にSiが好ましい。
また、本発明におけるオリゴマーまたはコオリゴマーとしては、直鎖状、分岐鎖状、環状、三次元化などのオリゴマーまたはコオリゴマーがあげられる。
本発明におけるオリゴマーまたはコオリゴマーの重合度としては2〜100が好ましく、4〜20であることがさらに好ましい。重合度が小さくなるとオリゴマーまたはコオリゴマーが低沸点となりやすく、塗装時に揮発しやすくなり、塗膜に取り込まれにくくなる。重合度が100を超えると、合成時に重合度の制御が困難となったり、オリゴマーまたはコオリゴマーの粘度が高くなりやすく、作業性に劣る傾向がある。ただし、オリゴマーまたはコオリゴマーが、一般式(1)においてdが4、eとfが0およびMがSiでフッ素原子を有しているとき、その重合度は塗膜外観、耐タレ性、耐アルカリ性の点から4を超え30以下であることが好ましい。
耐候性有機材料に、加水分解性脱離基をもつ有機金属化合物、そのオリゴマーおよび/または2種以上の該有機金属化合物のコオリゴマーを添加することにより、得られた親水化された樹脂には、硬化剤を添加することが可能である。
硬化剤としては、たとえばイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、メラミン樹脂、二塩基酸、非加水分解性基含有シラン化合物、エポキシ樹脂または酸無水物などがあげられるが、耐候性、耐酸性雨性の点からイソシアネート、ブロックイソシアネート、エポキシ樹脂が好ましい。
上記イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物としては、たとえば2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、これらの三量体、これらのアダクト体やビュウレット体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらにブロック化されたイソシアネート類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
イソシアネートと耐候性有機材料との混合割合はNCO/OH(モル比)で0.5〜5.0が好ましく、0.8〜1.2がより好ましい。また、イソシアネートが湿気硬化タイプの場合は1.1〜1.5が好ましい。
上記メラミン樹脂としては、たとえばメラミン樹脂のほか、メラミンをメチロール化したメチロール化メラミン樹脂、メチロール化メラミンをメタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類でエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
上記エポキシ化合物としては、たとえば、下記式:
で表される化合物などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
上記酸無水物としては、たとえば無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水1,2−シクロヘキシルジカルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸などがあげられるがこれらに限定されるものではない。
また、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,2−シクロヘキシルジカルボン酸などの二塩基酸も硬化剤として用いられる。
硬化触媒としては、たとえば有機スズ化合物、有機酸性リン酸エステル、有機チタネート化合物、酸性リン酸エステルとアミンとの反応物、飽和または不飽和の多価カルボン酸またはその酸無水物、有機スルホン酸、アミン系化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物などがあげられる。
上記有機スズ化合物の具体例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテートなどがあげられる。
上記有機酸性リン酸エステルの具体例としては、下記式:
で表される化合物などがあげられる。
上記有機チタネート化合物としては、たとえばテトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネートなどのチタン酸エステルがあげられる。
さらに上記アミン系化合物の具体例としては、たとえばブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)などのアミン系化合物、さらにはそれらのカルボン酸などの塩、過剰のポリアミンと多塩基酸よりえられる低分量ポリアミド樹脂、過剰のポリアミンとエポキシ化合物の反応生成物などがあげられる。
上記キレート化合物の具体例としてはアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタネートなどがあげられる。
(VII)官能基を有しないフッ素樹脂としては、特公昭43−10363号、特開平3−28206号、特開平4−189879号などの各公報に記載のフッ化ビニリデンの単独重合体または共重合体などを使用でき、上記の官能基を有する樹脂にブレンドすることもできる。また、官能基を有しない樹脂を用いる場合、硬化剤や硬化触媒を用いる必要は必ずしもない。
さらに、耐候性有機材料としては、この他、以下の硬化性樹脂組成物(VIII)も用いることが可能である。硬化性樹脂組成物(VIII)は、(A)フルオロオレフィン単位および水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体単位を含む水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)と、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のラジカル重合性不飽和基を有するイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)との反応生成物および(B)アクリルモノマーを含む。
水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)におけるフルオロオレフィン単位としては、テトラフルオロエチレン(TFE)単位、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)単位、フッ化ビニル(VF)単位、フッ化ビニリデン(VdF)単位、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位、トリフルオロエチレン(TrFE)単位、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)単位などの1種または2種以上があげられ、PAVE単位としては、パーフルオロメチルビニルエーテル単位、パーフルオロプロピルビニルエーテル単位があげられる。
TFE単位を含む2種以上の単位の組み合わせとしては、TFE/HFP単位、TFE/PAVE単位、TFE/エチレン単位、TFE/ビニルエーテル単位、TFE/ビニルエステル単位、TFE/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、TFE/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などがあげられる。これらのうち、エチレン性不飽和基含有単量体への混合が良好な点から、TFE/エチレン単位、TFE/ビニルエーテル単位、TFE/ビニルエステル単位、TFE/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、TFE/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などが好ましい。
CTFE単位を含む2種以上の単位の組み合わせとしては、CTFE/HFP単位、CTFE/PAVE単位、CTFE/エチレン単位、CTFE/ビニルエーテル単位、CTFE/ビニルエステル単位、CTFE/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、CTFE/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などがあげられる。これらのうち、エチレン性不飽和基含有単量体への混合が良好な点から、CTFE/エチレン単位、CTFE/ビニルエーテル単位、CTFE/ビニルエステル単位、CTFE/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、CTFE/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などが好ましい。
同様にHFP単位を含む2種以上の単位の組み合わせとしては、CTFE/HFP単位、TFE/HFP単位、HFP/ビニルエーテル単位、HFP/ビニルエステル単位、HFP/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、HFP/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などがあげられる。これらのうち、エチレン性不飽和基含有単量体への混合が良好な点から、HFP/ビニルエーテル単位、HFP/ビニルエステル単位、HFP/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、HFP/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などが好ましい。
VdF単位を含む2種以上の単位の組み合わせとしては、VdF/TFE単位、VdF/HFP単位、VdF/TFE/HFP単位、VdF/CTFE単位、VdF/TFE/PAVE単位、VdF/CTFE/TFE単位、VdF/CTFE/HFP単位などがあげられる。これらのうち、エチレン性不飽和基含有単量体への混合が良好な点から、VdF単位が重合体中に50モル%以上含有されていることが好ましい。
水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)における水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体単位の具体例としては、例えば下記式:
(ここで、式中、Rは−ORまたは−CHOR(ただし、Rは水酸基を有するアルキル基である))で表わされるヒドロキシアルキルビニルエーテルやヒドロキシアルキルアリルエーテルがあげられる。Rとしては、たとえば炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基に1〜3個、好ましくは1個の水酸基が結合したものである。これらの例としては、たとえば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル単位、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル単位、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル単位、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル単位、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル単位、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル単位、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル単位、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル単位、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル単位、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル単位、エチレングリコールモノアリルエーテル単位、ジエチレングリコールモノアリルエーテル単位、トリエチレングリコールモノアリルエーテル単位、グリセリンモノアリルエーテル単位があげられるが、これらの中で、特に炭素数が3〜8のヒドロキシアルキルビニルエーテル、なかでも、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル単位または2−ヒドロキシエチルビニルエーテル単位が、重合が容易であるという観点から好ましい。
水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)は、アクリルモノマーとの溶解性を高めるという観点から、さらに水酸基を含まない非フッ素ビニルエーテル単位および/または非フッ素ビニルエステル単位を含むことが好ましい。
水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)における水酸基を含まない非フッ素ビニルエーテル単位および/または非フッ素ビニルエステル単位の具体例としては、例えば下記式:
(ここで、式中、Rは−OR、−COORまたは−OCOR(ただし、Rはアルキル基である))で表わされるアルキルビニルエーテルやアルキルアリルエーテルがあげられる。Rとしては、たとえば炭素数1〜8の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基である。これらの例としては、たとえばシクロヘキシルビニルエーテル単位、メチルビニルエーテル単位、エチルビニルエーテル単位、プロピルビニルエーテル単位、n−ブチルビニルエーテル単位、イソブチルビニルエーテル単位、酢酸ビニル単位、プロピオン酸ビニル単位、酪酸ビニル単位、イソ酪酸ビニル単位、ピバリン酸ビニル単位、カプロン酸ビニル単位、バーサティック酸ビニル単位、ラウリン酸ビニル単位、ステアリン酸ビニル単位、シクロヘキシルカルボン酸ビニル単位が好ましい。また、耐候性、溶解性、廉価性に優れる点からバーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、酢酸ビニルが好ましい。これらのなかでも耐薬品性の点から、非芳香族系カルボン酸ビニルエステル、特にカルボン酸の炭素数が6以上のカルボン酸ビニルエステル、さらに好ましくはカルボン酸の炭素数が9以上のカルボン酸ビニルエステルが好ましい。カルボン酸ビニルエステルにおけるカルボン酸の炭素数の上限は20以下、さらには15以下が好ましい。具体例としてはバーサティック酸ビニルが最も好ましい。
水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)には、カルボキシル基含有モノマー単位を含んでいてもよい。
カルボキシル基含有モノマー単位はカルボキシル基を含み水酸基と芳香族基とを含まないものであり、この点で他の単位と異なる。カルボキシル基含有モノマー単位は、硬化性樹脂組成物に調製する場合、水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)の分散性、硬化反応性を改善し、得られる塗膜の光沢、硬度、基材への密着性などを改善する作用を有する。
カルボキシル基含有モノマー単位としては、たとえば下記式:
(ここで、式中、R、RおよびRは同じかまたは異なり、いずれも水素原子、アルキル基、カルボキシル基またはエステル基、nは0または1である)、または下記式:
(ここで、式中、RおよびRは同じかまたは異なり、いずれも飽和または不飽和の直鎖または環状アルキル基、nは0または1、mは0または1である)で表わされるカルボキシル基含有ビニルモノマーなどがあげられる。
具体例としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3−アリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニルなどの1種または2種以上があげられ、それらのなかでも単独重合性の低いクロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、3−アリルオキシプロピオン酸が好ましい。
カルボキシル基含有モノマー単位の割合の下限は0.1モル%、好ましくは0.4モル%であり、上限は2.0モル%、好ましくは1.5モル%である。2.0モル%を超えると塗膜の硬化速度の点で好ましくない。
水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)の具体例としては、たとえば、
(ここで、式中、a、bおよびcの比率はモル比で、a:b:c=40〜60:3〜15:5〜45である);
(ここで、式中、a、b、cおよびdの比率はモル比で、a:b:c:d=40〜60:3〜15:5〜45:5〜45である);
(ここで、式中、a、b、cおよびdの比率はモル比で、a:b:c:d=40〜60:3〜15:5〜45:5〜45である);
(ここで、式中、a、b、cおよびdの比率はモル比で、a:b:c:d=40〜60:3〜15:5〜45:5〜45であり、i−Buはイソブチル基を意味する);
テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/ヒドロキシブチルビニルエーテル;テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/ヒドロキシエチルビニルエーテル/tert−ブチル安息香酸ビニル;テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/ヒドロキシブチルビニルエーテル/クロトン酸;テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/ヒドロキシエチルビニルエーテル/安息香酸ビニル/クロトン酸があげられる。
イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)におけるラジカル重合性不飽和基としては、メタクリル基、アクリル基、2−フルオロアクリル基、2−クロロアクリル基があげられるが、重合反応性、コスト、合成のしやすさの観点からメタクリル基、アクリル基が、なかでもアクリル基がもっとも好ましい。
イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)としては、例えば下記式:
(ここで、式中、R、RまたはRは同じであっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、−COO−R−、−OCO−R−または−O−R−(ただし、Rは炭素数1〜20のアルキル基である))で表わされる、アルキルビニルエーテルやアルキルアリルエーテルがあげられる。
イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)としては、例えば、下記式:
で表される2−イソシアネートエチルアクリレート、下記式:
で表される2−イソシアネートエチルメタクリレート、4−イソシアネートブチルアクリレート、4−イソシアネートブチルメタクリレートなどがあげられる。
さらに、多価イソシアネートに対して不飽和モノアルコールを反応させた反応生成物のなかで、1個のイソシアネート基を有するものがあげられる。多価イソシアネートとしては、たとえば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合イソシアネート、P,P’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネートなどがあげられる。また、不飽和モノアルコールとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどのアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノアルコール類、アリルアルコール、アリルセロソルブ、トリメチルプロパンジアリルエーテルなどのアリル基を有するモノアルコール類があげられる。これらの中で合成の容易さ、反応性の高さから、2−イソシアネートエチルアクリレートまたは2−イソシアネートエチルメタクリレートが好ましい。
反応生成物(A)とは、水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)における水酸基と、イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)におけるイソシアネート基とがウレタン結合したものである。
反応生成物(A)のフッ素含有量は、耐候性、撥水撥油性、防汚性が良好であるという点から、2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。また、反応生成物(A)のフッ素含有量は、アクリルに対する溶解性が良好であるという点から、50質量%以下が好ましく、さらには、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。
反応生成物(A)の分子量は数平均分子量で、硬化性組成物に調製し、硬化させた硬化物の強度、表面硬度の観点から、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、3000以上がさらに好ましい。また、反応生成物(A)の分子量は数平均分子量で、粘度が大きくなり取扱いが困難いう観点から、100000以下が好ましく、アクリルに対する溶解性が良好であるという観点から、50000以下がより好ましく、組成物の粘度が低く、取り扱いが良好であるという観点から、30000以下がさらに好ましい。
硬化性樹脂組成物(VIII)におけるアクリルモノマー(B)とは、アクリロイル基、メタクリロイル基、2−フルオロアクリロイル基、2−クロロアクリロイル基を1個または2個以上有するモノマーをいい、ラジカル重合性不飽和基を有するイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)とは異なるものをいう。
アクリルモノマー(B)におけるラジカル重合性不飽和基としては、水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)の溶解性が高く、粘性が低いという観点から1個が好ましく、また、硬化性組成物に調製し、硬化させた硬化物の強度が良好であるという観点から2個以上が好ましく、さらに、硬化性組成物の硬化速度が良好であるという観点から3個以上がより好ましい。
アクリルモノマー(B)としては、具体的には、メチルメタクリレート(MMA)、メタクリル酸(MA)、エチルメタクリレート(EMA)、n−ブチルメタクリレート(nBMA)、イソブチルメタクリレート(iBMA)、2−エチルヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(MSPM)、2−(フェニルホスホリル)エチルメタクリレート(phenyl−P)、2,2−ビス(4−メタクリロキシフェニル)プロパン(BPDMA)、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン(Bis−MEPP)、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン(Bis−MPEPP)、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン(UDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート(EDMAまたは1G)、ジエチレングリコールジメタクリレート(DiEDMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TriEDMA)、1,4−ブタンジオールジメタクリレート(1,4−BuDMA)、1,3−ブタンジオールジメタクリレート(1,3−BuDMA)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(16HZ)などのメタクリレートモノマー;2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシ−3−(β−ナフトキシ)プロピルメタクリレート(HNPM)、N−フェニル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロピルグリシン(NPG−GMA)、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン(Bis−GMA)などの水酸基含有メタクリレートモノマーなどがあげられる。また、これらに対応する各アクリレート、各2−クロロアクリレートを例示することができる。
また、含フッ素アクリルモノマーの例としては、
上記メタクリレートモノマーまたは水酸基含有メタクリレートモノマーに対応する2−フルオロアクリレート、
CH=C(CH)COOCHCF(3FMA)、
CH=C(CH)COOCHCFCFH(4FMA)、
CH=C(CH)COOCHCFCF(5FMA)、
CH=C(CH)COOCHCFCFHCF(6FMA)、
CH=C(CH)COOCH(CFCFH(8FMA)、
CH=C(CH)COOCHCH(CFCF(9FMA)、
CH=C(CH)COOCH(CFCFH(12FMA)、
CH=C(CH)COOCHCH(CFCF(13FMA)、
CH=C(CH)COOCHCH(CFCF(17FMA)、
CH=C(CH)COOCH(CF(HFIP−MA)、
CH=C(CH)COOCHCCH(CF(6FNP−MA)、
CH=C(CH)COOCHCF(CF)OCFCFCF(6FOn1−MA)、
また、これらに対応する各アクリレート、各2−フルオロアクリレート、各2−クロロアクリレートを例示することができる。
上記の2−フルオロアクリレートとしては例えば、
CH=CFCOOCHCFCFH(4FFA)、
CH=CFCOOCHCFCF(5FFA)、
CH=CFCOOCH(CFCFH(8FFA)、
CH=CFCOOCH(CFCFH(12FFA)、
CH=CFCOOCH(CF(HFIP−FA)
などを例示することができる。
また、硬化性官能基を有するアクリルモノマーを用いると、密着性、耐薬品性、硬化性などに優れる硬化物が得られるため好ましい。硬化性官能基を有するアクリルモノマーとしては、たとえば水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基などを有するアクリルモノマーがあげられる。具体例としては、先に挙げた具体例と重なるが、たとえばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレートなどの硬化性官能基含有アクリルモノマーなどを例示することができる。
以上のようなアクリルモノマーがあげられるが、水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)、イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)およびその反応生成物(A)の溶解性が良好であるという観点から、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートが好ましい。
反応生成物(A)とアクリルモノマー(B)の質量比は、95:5〜5:95が好ましく、80:20〜20:80がより好ましく、70:30〜30:70がさらに好ましい。反応生成物(A)とアクリルモノマー(B)の質量比が95:5からはずれて反応生成物(A)の質量が大きくなると粘性が高く、取り扱いづらくなる傾向がある。また、反応生成物(A)とアクリルモノマー(B)の質量比が5:95からはずれて反応生成物(A)の質量が小さくなるとフッ素含有率が低下してくるため、硬化性組成物を硬化させた硬化物の耐候性、撥水撥油性、防汚性が低下してくる傾向がある。
反応生成物(A)とアクリルモノマー(B)の割合は、別の観点からは、反応生成物(A)100質量部に対して、アクリルモノマー(B)は10質量部以上が好ましく、40質量部以上がより好ましく、60質量部以上がさらに好ましい。アクリルモノマー(B)の量が少なくなると粘性が高く、取り扱いづらくなる傾向がある。また、反応生成物(A)100質量部に対して、アクリルモノマー(B)は1500質量部以下が好ましく、1200質量部以下がより好ましく、1000質量部以下がさらに好ましい。アクリルモノマー(B)の量が多くなるとフッ素含有率が低下してくるため、硬化性組成物を硬化させた硬化物の耐候性、撥水撥油性、防汚性が低下してくる傾向がある。
硬化性樹脂組成物の25℃における粘度は、粘性が低すぎると液だれが多く、かえって取り扱い性が低下するため、5mPa・s以上が好ましく、薄膜形成性が良好であるという観点から、10mPa・s以上がより好ましく、硬化の際の硬化収縮が小さいという観点から、50mPa・s以上がさらに好ましい。また、硬化性樹脂組成物の25℃における粘度は、取り扱い性が良好であるという観点から、100000mPa・s以下が好ましく、成型加工の際に細部にわたって硬化性組成物がいきわたるという観点から、5000mPa・s以下がより好ましく、薄膜を形成した際にレベリング(表面平滑)性が良好であるという観点から、3000mPa・s以下がさらに好ましい。
硬化性樹脂組成物は、さらに硬化剤を含んでいてもよい。硬化剤としては、水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)の硬化反応性基と反応して架橋する化合物であり、たとえば不飽和結合を有さないイソシアネート類やアミノ樹脂類、酸無水物類、ポリエポキシ化合物、イソシアネート基含有シラン化合物などが通常用いられる。
上記の不飽和結合を有さないイソシアネート類の具体例としては、たとえば2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネートまたはこれらの三量体、これらのアダクト体やビュウレット体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらにブロック化されたイソシアネート類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
上記アミノ樹脂類の具体例としては、たとえば尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂のほか、メラミンをメチロール化したメチロール化メラミン樹脂、メチロール化メラミンをメタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類でエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
酸無水物類の具体例としては、たとえば無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水メリット酸などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
ポリエポキシ化合物やイソシアネート基含有シラン化合物としては、たとえば特開平2−232250号公報、特開平2−232251号公報などに記載されているものが使用できる。好適な例としては、たとえば、
OCNCSi(OC 、OCNCSi(OCHなどがあげられる。
硬化剤の配合量は、前記水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)中の化学的硬化反応性基1当量に対して0.1〜5当量、好ましくは0.5〜1.5当量である。本発明の組成物は通常0〜200℃で数分間ないし10日間程度で硬化させることができる。
また、硬化性樹脂組成物を硬化させる際に、反応生成物(A)およびアクリルモノマー(B)を重合させる際にUV照射によって硬化させるため、硬化性樹脂組成物中に光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノンなどのアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシ−プロピルベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、ミヒラーケトンなどのベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン、ジエチルチオキサンソン、ジメチルチオキサンソンなどのチオキサンソン類;その他の化合物として、ベンジル、α−アシルオキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、アンスラキノンなどがあげられる。
また、必要に応じてアミン類、スルホン類、スルフィン類などの公知の光開始助剤を添加してもよい。
硬化性樹脂組成物は、ラジカル反応性基を有さない有機溶剤およびフッ素系の溶剤を含まないことが、硬化性樹脂組成物を硬化した後に溶媒を除去する工程が不要である点、残留溶媒による耐熱性の低下、強度の低下、白濁といった悪影響がない点で好ましい。
硬化触媒は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好ましい硬化触媒としては、有機スズ化合物、アルミニウムキレート化合物があげられる。
さらに、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルとアミンとの反応物、飽和または不飽和の多価カルボン酸またはその酸無水物、有機チタネート化合物、アミン系化合物、オクチル酸鉛などがあげられる。
前記有機スズ化合物の具体例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズフタレート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ジブチルスズメトキシドなどがあげられる。
また前記酸性リン酸エステルとは、
で表される部分を含むリン酸エステルのことであり、たとえば
(式中、bは1または2、Rは有機残基を示す)で示される有機酸性リン酸エステルなどがあげられる。具体的には、
などがあげられる。
前記有機チタネート化合物としては、たとえばテトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネートなどのチタン酸エステルがあげられる。
さらに前記アミン系化合物の具体例としては、たとえばブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)などのアミン系化合物、さらにはそれらのカルボン酸などの塩、過剰のポリアミンと多塩基酸よりえられる低分子量ポリアミド樹脂、過剰のポリアミンとエポキシ化合物の反応生成物などがあげられる。
硬化触媒は1種を用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。硬化促進剤の配合割合は共重合体100質量部に対して1.0×10−6〜1.0×10−2質量部が好ましく、5.0×10−5〜1.0×10−3質量部がより好ましい。
上記耐候性有機材料と上記有機金属化合物との配合割合としては、目的や用途などによって異なるが、通常、耐候性有機材料100重量部に対して有機金属化合物0.1〜50重量部であり、1〜30重量部であることが好ましい。0.1重量部未満であると親水化作用が充分ではなくなる傾向があり、50重量部を超えると塗膜の外観不良、樹脂との相溶性が低下する傾向がある。
さらに、耐候性有機材料としては、この他、以下の硬化性樹脂組成物(IX)も用いることが可能である。硬化性樹脂組成物(IX)は、(A)フッ素原子および水酸基を含有するラジカル重合性不飽和単量体単位を含む水酸基含有含フッ素重合体(A−1)と、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のラジカル重合性不飽和基を有するイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)との反応生成物と(B)アクリルモノマーを含む。
水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)における水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体単位の具体例としては、例えば式(I):
(ここで、式中、XおよびXは、同じであっても異なっていてもよく、フッ素原子または水素原子;Xはフッ素原子、水素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基;Rは、水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜30の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい。ただし、少なくとも1つのフッ素原子をX〜XおよびRのいずれかに含む)
で示される水酸基含有含フッ素エチレン性単量体である。中でも式(II)で示される水酸基含有含フッ素エチレン性単量体がより好ましい。
(ここで、式中、XおよびXは、同じであっても異なっていてもよく、フッ素原子または水素原子;Xはフッ素原子、水素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基;XおよびXは同じであっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;aは0〜3の整数;bは0または1;Rは水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜29の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい。ただし、少なくとも1つのフッ素原子をX〜XおよびRのいずれかに含む)
さらに好ましい水酸基含有含フッ素エチレン性単量体は式(III)で示される。
(ここで、式中、Rは水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜29の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい)
次にR〜Rに含まれている水酸基に関して説明する。水酸基が直接結合している炭素原子は一般に、水酸基が結合している炭素に結合している炭素数によって、1級炭素、2級炭素そして3級炭素の3種類に分類できる。
まず、1級炭素であるが、R−CH−OHのように水酸基が結合している炭素に結合している炭素数が1個の場合(ここでRは炭素数1以上の有機基)である。
具体的に1価の水酸基含有有機基としては、
などがあげられる。
次に2級炭素であるが、R−CR’H−OHのように水酸基が結合している炭素に結合している炭素数が2個の場合(ここでR、R’は炭素数1以上の有機基)である。
具体的に1価の水酸基含有有機基としては、
などがあげられる。
次に3級炭素であるが、R−CR’R’’−OHのように水酸基が結合している炭素に結合している炭素数が3個の場合(ここでR、R’、R’’は炭素数1以上の有機基)である。具体的に1価の水酸基含有有機基としては、
などがあげられる。
これらの中で、立体障害の観点から1級および2級炭素に結合している水酸基が、反応性の観点より好ましくは1級炭素に結合した水酸基が好ましい。
次に上記で示したような1級〜3級の炭素に結合した水酸基を有する炭素数1から10の1価の水酸基含有有機基をYとし、具体的なR〜Rの構造をYを用いて説明する。ここでYはYまたは単に水酸基を表す。
(式中、l、mおよびnは整数であって、lは1〜10、mは1〜10、nは1〜5である)
(ここで、式中、X、XはFまたはCF、X、XはHまたはFであり、o+p+qは1〜10;rは0または1;s、tは0または1である)
などがあげられる。
(III)式の具体例としては、
さらに詳しくは、
などがあげられる。
これらの中でアクリルモノマーに対する溶解性、イソシアネート基(−NCO)との反応性の観点から、
が特に好ましい。
水酸基含有含フッ素重合体はさらに水酸基を含有していない単量体単位を、アクリルに対する溶解性を損なわない範囲で構造単位に含んでもよい。そのような単量体単位の具体例は国際公開第02/18457号パンフレット記載の構造単位AやMの中で水酸基をもたないものをすべて採用できる。
その中でもアクリルモノマーに対する溶解性の観点から特に、
−CH−CF−、
−CH−CF(CF)−、
が好ましい。
具体的な水酸基含有含フッ素重合体としてはアクリルモノマーに対する溶解性、NCOとの反応性の観点から、
(ここで、式中、pとqの比はモル比で20/80〜99/1である)
などがあげられる。
イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)におけるラジカル重合性不飽和基としては、メタクリル基、アクリル基、2−フルオロアクリル基、2−クロロアクリル基があげられるが、重合反応性、コスト、合成のしやすさの観点からメタクリル基、アクリル基が、なかでもアクリル基が特に好ましい。
イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)としては、例えば式(IV):
(ここで、式中、R、RまたはRは同じであっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、−COO−R−、−OCO−R−または−O−R−(ただし、Rは炭素数1〜20のアルキル基である))で表わされる、アルキルビニルエーテルやアルキルアリルエーテルがあげられる。
イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)としては、例えば、式(V):
CH=CHCOOCHCHNCO (V)
で表される2−イソシアネートエチルアクリレート、式(VI):
CH=C(CH)COOCHCHNCO (VI)
で表される2−イソシアネートエチルメタクリレート、式(VII):
で表される化合物、4−イソシアネートブチルアクリレート、4−イソシアネートブチルメタクリレートなどがあげられる。
さらに、多価イソシアネートに対して不飽和モノアルコールを反応させた反応生成物のなかで、1個のイソシアネート基を有するものがあげられる。多価イソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合イソシアネート、P,P’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネートなどがあげられる。また、不飽和モノアルコールとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどのアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノアルコール類、アリルアルコール、アリルセロソルブ、トリメチルプロパンジアリルエーテルなどのアリル基を有するモノアルコール類があげられる。これらの中で合成の容易さ、反応性の高さから、2−イソシアネートエチルアクリレートまたは2−イソシアネートエチルメタクリレートが好ましい。
反応生成物(A)とは、水酸基含有含フッ素重合体(A−1)における水酸基と、イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)におけるイソシアネート基とがウレタン結合したものである。
反応生成物(A)のフッ素含有量は、耐候性、撥水撥油性、防汚性が良好である、いう点から20質量%以上が好ましく、可視〜近赤外域にかけての広い波長範囲で透明性が良好であるという点から40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。また、反応生成物(A)のフッ素含量は、アクリルに対する溶解性が良好であるという点から75質量%以下が好ましく70質量%以下がより好ましく、65質量%以下がさらに好ましい。
反応生成物(A)の分子量は数平均分子量で、硬化性組成物に調製し、硬化させた硬化物の強度、表面硬度が良好であるという観点から1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、3000以上がさらに好ましい。また、反応生成物(A)の分子量は数平均分子量で、粘度が大きくならず、取扱いが良好であるという観点から、500000以下が好ましく、アクリルに対する溶解性が良好である、という観点から、100000以下がより好ましく、組成物の粘度が低く、取り扱いが良好であるという観点から、50000以下がさらに好ましい。
硬化性樹脂組成物(IX)におけるアクリルモノマー(B)とは、アクリロイル基、メタクリロイル基、2−フルオロアクリロイル基、2−クロロアクリロイル基を1個または2個以上有するモノマーをいい、ラジカル反応基を有するイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)とは異なるものをいう。
アクリルモノマー(B)におけるラジカル重合性不飽和基としては、水酸基含有含フッ素重合体(A−1)の溶解性が高く、粘性が低いという観点から1個が好ましく、また、硬化性組成物に調製し、硬化させた硬化物の強度が良好であるという観点から2個以上が好ましく、さらに、硬化性組成物の硬化速度が良好であるという観点から3個以上がより好ましい。
アクリルモノマー(B)としては、具体的には、メチルメタクリレート(MMA)、メタクリル酸(MA)、エチルメタクリレート(EMA)、n−ブチルメタクリレート(nBMA)、イソブチルメタクリレート(iBMA)、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(MSPM)、2−(フェニルホスホリル)エチルメタクリレート(phenyl−P)、2−ヒドロキシ−3−(β−ナフトキシ)プロピルメタクリレート(HNPM)、N−フェニル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロピルグリシン(NPG−GMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EDMAまたは1G)、ジエチレングリコールジメタクリレート(DiEDMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TriEDMA)、1,4−ブタンジオールジメタクリレート(1,4−BuDMA)、1,3−ブタンジオールジメタクリレート(1,3−BuDMA)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(16HX)、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン(Bis−GMA)、2,2−ビス(4−メタクリロキシフェニル)プロパン(BPDMA)、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン(Bis−MEPP)、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン(Bis−MPEPP)、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン(UDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPEHA)などがあげられる。また、これらに対応する各アクリレート、各2−フルオロアクリレート、各2−クロロアクリレートを例示することができる。
また、含フッ素アクリルモノマーの例としては
CH=C(CH)COOCHCF(3FMA)、
CH=C(CH)COOCHCFCFH(4FMA)、
CH=C(CH)COOCHCFCF(5FMA)、
CH=C(CH)COOCHCFCFHCF(6FMA)、
CH=C(CH)COOCH(CFCFH(8FMA)、
CH=C(CH)COOCHCH(CFCF(9FMA)、
CH=C(CH)COOCH(CFCFH(12FMA)、
CH=C(CH)COOCHCH(CFCF(13FMA)、
CH=C(CH)COOCHCH(CFCF(17FMA)、
CH=C(CH)COOCH(CF(HFIP−MA)、
CH=C(CH)COOCHCCH(CF(6FNP−MA)、
CH=C(CH)COOCHCF(CF)OCFCFCF(6FOn1−MA)、
また、これらに対応する各アクリレート、各2−フルオロアクリレート、各2−クロロアクリレートを例示することができる。
上記の2−フルオロアクリレートとしては例えば、
CH=CFCOOCHCFCFH(4FFA)、
CH=CFCOOCHCFCF(5FFA)、
CH=CFCOOCH(CFCFH(8FFA)、
CH=CFCOOCH(CFCFH(12FFA)、
CH=CFCOOCH(CF(HFIP−FA)
などを例示することができる。
以上のようなアクリルモノマーがあげられるが、水酸基含有含フッ素重合体(A−1)、イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)およびその反応生成物(A)の溶解性が良好であるという観点から、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートが好ましい。
反応生成物(A)とアクリルモノマー(B)の質量比は、95:5〜5:95が好ましく、80:20〜20:80がより好ましく、70:30〜30:70がさらに好ましい。反応生成物(A)とアクリルモノマー(B)の質量比が95:5からはずれて反応生成物(A)の質量が大きくなると粘性が高く、取り扱いづらくなる傾向がある。また、反応生成物(A)とアクリルモノマー(B)の質量比が5:95からはずれて反応生成物(A)の質量が小さくなるとフッ素含有率が低下してくるため、硬化性組成物を硬化させた硬化物の耐候性、撥水撥油性、防汚性が低下してくる傾向がある。
硬化性樹脂組成物の30℃における粘度は、粘性が低すぎると液だれが多く、かえって取り扱い性が低下するため、5mPa・s以上が好ましく、薄膜形成性が良好であるという観点から、10mPa・s以上がより好ましく、硬化の際の硬化収縮が小さいという観点から、50mPa・s以上がさらに好ましい。また、硬化性樹脂組成物の30℃における粘度は、取り扱い性が良好であるという観点から、100000mPa・s以下が好ましく、成型加工の際に細部にわたって硬化性組成物がいきわたるという観点から、50000mPa・s以下がより好ましく、薄膜を形成した際にレベリング(表面平滑)性が良好であるという観点から、20000mPa・s以下がさらに好ましい。
硬化性樹脂組成物(IX)は、さらに硬化剤を含んでいてもよい。硬化剤としては、水酸基含有含フッ素重合体(A−1)の硬化反応性基と反応して架橋する化合物であり、例えば不飽和結合を有さないイソシアネート類やアミノ樹脂類、酸無水物類、ポリエポキシ化合物、イソシアネート基含有シラン化合物などが通常用いられる。
前記の不飽和結合を有さないイソシアネート類の具体例としては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネートまたはこれらの三量体、これらのアダクト体やビュウレット体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらにブロック化されたイソシアネート類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
前記アミノ樹脂類の具体例としては、例えば尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂のほか、メラミンをメチロール化したメチロール化メラミン樹脂、メチロール化メラミンをメタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類でエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
酸無水物類の具体例としては、例えば無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水メリット酸などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
ポリエポキシ化合物やイソシアネート基含有シラン化合物としては、例えば特開平2−232250号公報、特開平2−232251号公報などに記載されているものが使用できる。好適な例としては、例えば、
OCNCSi(OC
OCNCSi(OCH
などがあげられる。
硬化剤の配合量は、前記水酸基含有含フッ素重合体(A−1)中の化学的硬化反応性基1当量に対して0.1〜5当量、好ましくは0.5〜1.5当量である。本発明の組成物は通常0〜200℃で数分間ないし10日間程度で硬化させることができる。
また、硬化性樹脂組成物を硬化させる際に、反応生成物(A)およびアクリルモノマー(B)を重合させる際にUV照射によって硬化させるため、硬化性樹脂組成物中に光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノンなどのアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシ−プロピルベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−ヒドロキ−2−メチルプロピオフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン、ジエチルチオキサンソン、ジメチルチオキサンソンなどチオキサンソン類;その他の化合物として、ベンジル、α−アシルオキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、アンスラキノンなどがあげられる。
また、必要に応じてアミン類、スルホン類、スルフィン類などの公知の光開始助剤を添加してもよい。
硬化性樹脂組成物(IX)は、ラジカル反応性基を有さない有機溶剤およびフッ素系の溶剤を含まないことが、硬化性樹脂組成物を硬化した後に溶媒を除去する工程が不要である点、残留溶媒による耐熱性の低下、強度の低下、白濁といった悪影響がない点で好ましい。
また、硬化性樹脂組成物(IX)も硬化性樹脂組成物(VIII)と同様に、先に例示した硬化触媒を用いることが可能である。
さらに、用途によっては耐候性有機材料に有機溶剤を配合することもできる。
有機溶剤としては、たとえばキシレン、トルエン、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコール、酢酸ジエチレングリコールなどのエステル系溶剤、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケトン系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミドなどのアミド系溶剤、ジメチルスルホキシドなどのスルホン酸エステル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(重合度3〜100)、CFCHOH、F(CFCHOH、(CFCHOH、F(CFCHOH、F(CFOH、H(CFCHOH、H(CFCHOH、H(CFCHOHなどのアルコール系溶剤などがあげられるが、相溶性、塗膜外観、貯蔵安定性の点から低級アルコール、低級フッ素アルコールなどのアルコール系溶剤が好ましい。
耐候性有機材料とアルコール系溶剤との配合割合としては、耐候性有機材料100重量部に対してアルコール1〜50重量部であり、硬化性、塗膜外観の点から1〜25重量部であることがさらに好ましい。
また、硬化剤が常温硬化型のイソシアネートなどのようにアルコールと反応性の高い場合には、さらに1〜15重量部が好ましく、アルコールの種類も2級または3級アルコールが好ましい。
親水化塗料にはさらに紫外線吸収剤、シランカップリング剤および/または親水化促進剤などを配合することができる。
紫外線吸収剤を配合するときは、塗膜に下地保護性や耐候性の改善作用を与える。具体例としては、たとえばベンゾフェノン系およびベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤が好適であり、これらのうちでもベンゾフェノン系では、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メチトキベンゾフェノンおよび2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンが、ベンゾトリアゾール系では2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)−5,6−ジクロルベンゾトリアゾール)、2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロル−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−フェニルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tertブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジtertブチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(2′−ヒドロキシ−5′−tertオクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが有効である。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、たとえば2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートなどが有効に使用できる。
とくに好適な紫外線吸収剤は、下記式:
(ここで、式中、R10およびR11は同じかまたは異なり、いずれも水素原子、低級アルキル基、殊に分岐鎖状の低級アルキル基、またはアリール基、とくにフェニル基を表わし、Xは水素原子またはハロゲン原子、とくに塩素原子である)で示されるタイプのものである。また、シアノアクリレート系紫外線吸収剤は加水分解の影響を受けにくいので、特に好ましい。
シランカップリング剤は塗膜に重ね塗り接着性を与える。具体例としては、たとえば上記シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、3−トリエトキシシリルプロピルイソシアネート、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シランなどがあげられ、アルキルケトオキシム基またはイソシアネート基を含有するものが好ましい。特にリコート性が良好であることから、イソシアネート基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤が好ましい。
親水化促進剤を添加することにより、本発明においては、高親水化能を有する有機金属化合物の加水分解を助け、塗膜表面の親水化を促進させる。また、有機材料中の塗料用樹脂が硬化型の場合、塗膜の硬化促進に寄与する。具体例としては、上記した硬化触媒で列挙したものがあげられる。親水化の点から有機スズ化合物、アルミニウムキレート化合物が好ましい。
そのほか耐候性有機材料には、たとえば、増粘剤、レベリング剤、消泡剤、造膜助剤、HALS、艶消し剤、フィラー、コロイダルシリカ、防カビ剤、皮張り防止剤、酸化防止剤、難燃剤、タレ防止剤、帯電防止剤、防錆剤、水溶性樹脂(ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイドなど)などの添加剤を配合することもできる。
有機材料からなるフィルムを形成する方法としては用途に応じた適切な公知の方法を採用することができる。例えば膜厚をコントロールする必要がある場合は、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、フローコート法、バーコート法、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法などが採用できる。
硬化方法は材料に対して最適なものが選ばれるものであるが、通常は熱インプリント法、もしくは光インプリント法のどちらかが用いられる。熱インプリント法では、熱可塑性の材料を用い、高温で型に密着させた後に、温度を下げて離型を行う。光インプリントでは、光硬化性の樹脂またはゾル・ゲル材料などを用い、型に材料を流し込んだ後に、主に紫外線を照射することで材料を硬化させその後、離型を行う。離型に際し離型剤として、オプツールDSX(商品名、ダイキン工業株式会社製)、デュラサーフHD−1100、2100シリーズ(商品名、ハーベス社製)等の従来公知の離型剤を塗布して使用してもよい。
集光フィルムは、該集光フィルムの法線方向に対して0〜89°の角度で入射した光を平均80%以上集光するものであることが好ましい。従来の計算機ホログラムを用いた平面フィルムでは、二値の階調を有するパターンの集光フィルムしか作製することができなかったため、集光フィルムの面内方向に対して浅い角度で入射する光を充分に集光することができなかった。本発明の集光フィルムは、多値階調パターンを有するため、0〜89°の角度で入射した光であっても、集光率を平均80%以上とすることができる。集光フィルムの法線方向に対して0〜89°の角度で入射した光は、多値階調パターンを有する領域に入射した光もあることが好ましい。上記集光率は、受光素子を用いた方法で測定することができるが、光学設計ソフトウェア ZEMAX(株式会社ティー・イー・エム製)を用いたシミュレーションにより算出してもよい。
集光フィルムの厚みは、使用される用途によって適宜設定すればよいが、例えば、0.03〜20mmの厚みであることが好ましい。より好ましくは、0.1〜5mmである。上記範囲の厚みであれば、太陽電池用の集光フィルムとして好適に用いることができる。
上記膜厚は、膜厚計を用いて、集光フィルムの最大厚みを測定したものである。
集光フィルムは、黄変度ΔYI値が20以下であることが好ましい。より好ましくは、10以下であり、更に好ましくは、5以下である。
黄変度ΔYI値は、飽和蒸気加圧試験を105℃、100%RHの雰囲気下で、200時間行った集光フィルムを、色差計によって測定して得られる値である。
集光フィルムの製造方法は、離散フーリエ変換により多値階調パターンを計算する工程、及び該多値階調パターンを有する集光フィルムを形成する工程、を含むことが好ましい。上記のように、離散フーリエ変換により演算速度を向上させることができるため、製造される集光フィルムは、高品質であり、大面積の多値階調パターンを形成することができる。多値階調パターンを計算する工程は、上述のフーリエ変換装置を用いることによって行うことができる。
集光フィルムの製造方法は、離散フーリエ変換により計算した多値階調パターンの反転パターンを有する鋳型を形成する工程、及び、該鋳型を有機材料からなるフィルムに接触させて、多値階調パターンを有する集光フィルムを形成する工程、又は、該鋳型を金型として用いた射出成形により多値階調パターンを有する集光フィルムを形成する工程を含むことが好ましい形態の一つである。
上記鋳型は、例えば、電子線(EB)、アルゴンレーザ(363nm光源波長)、青色半導体レーザ(405nm光源波長)、クリプトンレーザ(413nm光源波長)、ヘリウム−カドミウムレーザ(442nm光源波長)などの光源を用いて、場所によって強度を変化させながら照射することで露光するフォトリソグラフィ法を用いて製造することができる。鋳型を製造する場合、露光後にレジストを現像すると、照射した電子線等の光源強度に応じて多値階調を有する凹凸のあるレジストが形成される。これにプラズマでアッシングを施したり、または金属膜を蒸着し、電鋳を行った後、基板とレジストを離型することで金属鋳型が得られる。鋳型の材料としては、特に限定されないが、例えば、ニッケル、シリコン等の金属素材、石英、ガラス等が好ましい。
なお、「多値階調パターンの反転パターン」とは、多値階調パターンとは凹凸形状が逆のパターンであり、該反転パターンを目的とする有機材料に接触させた場合に、多値階調パターンを形成することができるものである。図2は、鋳型の一例を示す断面模式図である。例えば、鋳型2は、図1に示す集光フィルムの多値階調パターンに対応する反転パターンを有するものであり、例えば、反転パターン21を有する鋳型2を有機材料フィルムと接触させることで、多値階調パターンを有する集光フィルムを形成することができる。
上記鋳型を有機材料に接触させる方法としては、該鋳型の反転パターンが形成された面を有機材料からなるフィルムに接触させて、多値階調パターンを転写する方法、該鋳型を金型として射出成形する方法等が挙げられる。
上記集光フィルムの製造方法は、有機材料からなるフィルムにレーザを照射して、多値階調パターンを有する集光フィルムを形成する工程、を含むことも好ましい形態の一つである。この場合、有機材料からなるフィルムに、上述の離散フーリエ変換により計算した多値階調パターンを直接レーザで描画して、多値階調パターンを有する集光フィルムを形成するものであって、上述したレーザインプリントにより作成するホログラムとは区別されるものである。有機材料からなるフィルムにレーザを照射する場合に使用するレーザとしても、上記フォトリソグラフィ法で用いるレーザを使用することができる。
本発明の集光フィルムは、種々の光学分野で使用することができる。例えば、集光フィルムで集光した光を太陽電池や、ビル、商業施設、一般家庭での照明等に用いることができる。照明としては、例えば、植物工場での照明(LED等)やTVバックライトの代替にも有効である。
更に、本発明の集光フィルムは、入射した光を拡散させることもでき、例えば、LEDテレビなどに用いられるLED光源から出射された光を拡散させる拡散板の代替としても有効である。
本発明は、上記集光フィルムを備える集光素子でもある。本発明の集光素子は、上記集光フィルムによって広い角度範囲での集光が可能とするため、面内集光効率を著しく向上させることができる。本発明の集光素子は、少なくとも上記集光フィルムを備えるものであればよく、形状は平面状、ドーム状(半球面状)等でよい。上記集光素子は、集光フィルムとレンズとを備えることが好ましい。レンズとしては、プリズムレンズ、フライアイレンズ、レンズアレイ、リニアフレネルレンズ、後述するフレネルレンズ、レンチキュラレンズ等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
上記レンズはフッ素樹脂からなることが好ましい。上記レンズがフッ素樹脂であることによって、集光素子としての耐久性が向上し、太陽電池等に好適に用いることができる集光素子となる。レンズに用いるフッ素樹脂としては、上述した集光フィルムについて例示したフッ素樹脂が好ましく例示される。好ましいフッ素樹脂としては、ETFE、PCTFE、EFEP、FEP及びPVdFからなる群より選択される少なくとも一種のフッ素樹脂である。
集光素子は、フレネルレンズ及びレンチキュラレンズからなる群より選択される少なくとも1つのレンズを備えることが好ましい。フレネルレンズ及びレンチキュラレンズは、それぞれ一般的にフレネルレンズ又はレンチキュラレンズと呼称されるものであればよく、特に限定されない。これにより、集光フィルムにより全方位で面内集光された光を、フレネルレンズ又はレンチキュラレンズによって更に一点に集光することができる。集光フィルムのみであっても、全方位集光をすることは可能であるが、集光フィルムと、フレネルレンズ又はレンチキュラレンズとを併用することによって、集光距離の制御や光密度を高め、発電効率を飛躍的に向上させることが容易になる。
なお、本発明の集光フィルムは、計算機ホログラムの結果を制御することにより、太陽光線を面内集光させる他、従来のフレネルレンズやレンチキュラレンズに比べてより均一で無収差であり、かつ高精細な一点集光の機能を発現させることも可能である。
本発明は、上記集光素子を備える太陽電池でもある。上記集光フィルムを有する集光素子を備えることにより、広い角度範囲での集光が可能となり、非追尾型の太陽電池であっても、高効率で発電することができる。上記太陽電池は、追尾型または非追尾型太陽電池であることが好ましく、非追尾型太陽電池であることがより好ましい。
本発明の太陽電池は、上記集光素子と太陽電池セルとを含むことが好ましい。太陽電池セルは、受光することにより発電することができるものであればよく、例えば、n型半導体とp型半導体とをpn接合したものが挙げられる。用いることができるn型半導体及びp型半導体としては特に限定されず、通常太陽電池に用いられている材料を使用することができる。例えば、Si、Ge等のIV族半導体、GaAs、InP、AlGaAs等のIII−V族化合物半導体、CdS、CdTe、CuS等のII−VI族化合物半導体、CuInSe、CuInS2、Cu(In,Ga)Se等のI−III−VI族化合物半導体、フタロシアニン、ポリアセチレン等の有機半導体や、InGaP/(In)GaAs/Geなど3接合した積層体などが挙げられる。また、太陽電池セルは結晶型、非晶型(アモルファス)を問わず用いることが可能である。さらに、セルは量子効果型や色素増感型太陽電池であっても広い角度範囲での集光が可能となり、追尾型であっても、非追尾型の太陽電池であっても高効率で発電することが可能である。通常太陽電池は、上記太陽電池セルに接続された配線を含む。
太陽電池の構造は、特に限定されず、集光素子と太陽電池セルとの間に透光性を有する他の部材が介在していてもよいし、太陽電池セル上に上記集光フィルム(集光素子)が直接接着された構造であってもよい。また、図3に示すように、フレネルレンズ32と集光フィルム31が接着層32によって接着された構造を有する集光素子35と、太陽電池セル34とを備える形態が挙げられる。図3の形態では、集光フィルム31により面内集光された光を、フレネルレンズ32によって更に一点集光し、太陽電池セル34で集光された光を受光する。このように、集光素子と太陽電池セルとの間に間隔を設けることによって、集光することができるため、太陽電池セルを小さくすることができ、コスト削減を図ることができる。
本発明は上記集光フィルムを用いる集光方法であって、集光フィルムの多値階調パターンを有する面に光を入射する工程、及び、集光フィルムの光が入射された面とは反対の面から、入射された光を出射する工程、を含む集光方法でもある。集光フィルムの多値階調パターンを有する面から光を入射させることによって、その光が集光フィルムの面内方向に対して浅い角度で入射した光であっても、集光を可能として、高効率で集光を行うことができる。そのため、太陽電池に用いた場合には、朝昼夜それぞれの太陽の向きに応じて太陽電池の向きを変化させる追尾型太陽電池とすることなく、非追尾で高効率の発電効率を実現することができる(全方位での集光)。これにより、従来の太陽電池と比較して、低コスト化、設備の簡易化等が可能となる。図6は、上記集光フィルムを用いた集光方法を示す模式図である。図6に示されるように、本発明の集光方法では、集光フィルム61の多値階調パターンを有する面62に入射された光を、多値階調パターンを有する面の反対の面63から出射することができる。
上記集光方法は、集光フィルムから出射する光の集光フィルムの法線方向に対する角度を、集光フィルムに入射する光の集光フィルムの法線方向に対する角度よりも小さくする工程を含む、ことが好ましい。上記入射する光は、集光フィルムの法線方向に対する角度が89°以下であることが好ましい。
また、上記集光方法は、集光フィルムの法線方向に対して0〜89°の角度で入射した光を平均80%以上集光するものであることが好ましい。集光フィルムの法線方向に対して0〜89°の角度で入射した光は、多値階調パターンを有する領域に入射した光であることも好ましい。
本発明の集光フィルムは物品として、例えば、太陽電池や、ビル、商業施設、一般家庭等での照明用の集光用途の他、マイクロ流体デバイス、光学デバイス、記録メディア、LED拡散板が挙げられる。上記マイクロ流体デバイスとしては、例えば、マイクロリアクターチップ、マイクロTASが挙げられる。
上記光学デバイスとしては、例えば、マイクロレンズ、光学素子が挙げられる。本発明の物品として、更に、バイオチップ、反射防止フィルター、触媒担持体等も挙げられる。
本発明の集光フィルムは、上述の構成を有することによって、広い角度範囲の集光(例えば、全方位集光)が可能となる。また、フッ素樹脂を用いることで長期安定性を有する集光フィルムとすることができる。太陽電池の光学部材として使用する場合には、集光効率を改善することにより、発電効率の改善、低コスト化を図ることができる。
本発明の集光フィルムの一例を示す断面模式図である。 鋳型の一例を示す断面模式図である。 太陽電池の構成の一例を示す概略図である。 本発明の集光フィルムと従来の平面フィルムの集光率を示すグラフである。 鋳型を有機材料に接触させて集光フィルムを形成する工程の一例を示す模式図である。 集光フィルムを用いた集光方法を示す模式図である。 フーリエ変換装置の一例を概略的に示すブロック図である。 金属矩形状モールドに形成された多値階調パターンの反転パターンを示す走査型電子顕微鏡写真である。(a)は射影写真であり、(b)は表面写真である。 本発明の集光フィルムにおいて、凹部の形状を示す平面模式図、及び、断面模式図である。(a)は、平面視したときの凹部が四辺形である集光フィルムの平面模式図であり、(b)は、平面視したときの凹部が円形である集光フィルムの平面模式図であり、(c)は、断面視したときの凹部が三角形である集光フィルムの平面模式図であり、(d)は、平面視したときの凹部が半円形である集光フィルムの平面模式図である。(e)は、平面視したときの凹部が連続した楕円形である集光フィルムの平面模式図である。
つぎに本発明を実施例及び比較例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
(1)階調パターンの計算
(実施例1)
フーリエ変換装置を用いて、集光フィルムを構成する有機材料の光線透過率が95%、屈折率が1.40、集光フィルムの膜厚(最大膜厚)を100um、集光フィルムを直径160mmφの円形とする条件で、離散フーリエ変換を用いて多値階調パターンを計算した。
(2)集光フィルムの製造方法
多値階調パターンを形成する有機材料フィルムとしては、ETFEフィルム(商品名:ネオフロンETFE、ダイキン工業株式会社製)を用いた。
集光フィルムの製造に関して説明する。離散フーリエ変換により計算した多値階調パターンの反転パターンを有する鋳型は、フォトリソグラフィ法を用いて作製した。まず、シリコン基板上に塗布したレジストに対して、電子線(EB)を用いて、場所によって強度を変化させながら露光照射した。その後、レジストを現像して、照射した電子線等の光源強度に応じて多値階調を有する凹凸のあるレジスト膜を形成した。このレジスト膜にニッケルを金属蒸着した後、基板とレジスト膜とを離型した。これにより、4階調からなり、線幅(ピッチ)が500nm、1階調の高さが250nmである金属矩形状鋳型(モールドサイズ15cm×15cm)が得られた。この多値階調パターンの反転パターンを有する金属鋳型のSEM写真を図8(a)及び(b)に示す。
次に、該金属鋳型を有機材料であるテトラフルオロエチレン−エチレン交互共重合体のフィルム(ダイキン工業株式会社製、ネオフロンフィルムETFE、熱変形温度104℃、膜厚100μm)に、ナノインプリント装置NANOIMPRINTER NM−0401(明昌機工株式会社製)を用いて、4階調からなる上記金属矩形状鋳型を、室温にて30MPaの圧力で5分間押しつけ、多値階調パターンを有する集光フィルムを形成した。得られた集光フィルムは、多値階調パターンを有する領域において、加工された矩形の最大厚み(多値階調パターンを有する領域の最大厚み)は、1000nmであり、最小厚み(多値階調パターンを有する領域の最小厚み)は250nmであった。
なお、上述のように多値階調パターンを形成した後、フィルムをピンセットで剥がし、フィルム表面に形成されたパターン形状を走査型電子顕微鏡〔SEM〕と原子間力顕微鏡〔AFM〕で観察した。その結果、得られた集光フィルムには、鋳型(モールド)の形状が正確に転写されていることが確認された。なお、転写されたフィルムの膜厚は、SEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)の断面図より測定した。
(集光フィルムの連続製造方法)
ETFEフィルムまたはPCTFE(商品名:ネオフロン ETFEまたはPCTFE、ダイキン工業株式会社製)からなるフッ素樹脂フィルム50を、図5で示すように、フィルムロール51から連続して押し出しながら、インプリント装置53を用いて、多値階調パターンの反転パターンを有する鋳型52をフッ素樹脂フィルム50に接触させて、多値階調パターンをフッ素樹脂フィルム50に転写して、その後、複数のロール54によって、ラミネート加工を行い、切断機55を用いて所望の大きさに切断し、全方位集光が可能な集光フィルムを形成することも可能である。
(集光素子の製造方法)
ETFEフィルム等の各種フッ素フィルムから構成されるフレネルレンズと、上述の方法で製造した集光フィルムとを、例えば接着剤(商品名:紫外線吸収性付与型粘着剤 XN−507、一方社油脂工業製)や、アクリル系粘着剤を使用した高透明性接着シート(商品名:高透明性接着剤転写テープ 8171J 3M社製)、熱可塑性樹脂、さらに熱硬化剤を含んだ熱可塑性樹脂(EVA)を用いて接着することで集光素子を形成する。このような集光素子を、太陽電池セルに対して一定の間隔を置いて設置することにより、全方位能を有する集光素子または、全方位かつ一点集光機能を有する集光素子が得られる。そのため高効率な太陽電池を製造することができる。
(比較例1)
フーリエ変換装置を用いて、集光フィルムを構成する有機材料の光線透過率が90%、屈折率が1.50、集光フィルムの膜厚(最大膜厚)を100um、集光フィルムの面積を160mmφ、とする条件で、高速フーリエ変換を用いて二値の階調パターンを計算した。二値の階調パターンを形成する有機材料としては、PMMA基材(厚さ:2mm、日本特殊光学樹脂社製)を用いた場合を想定している。
計算により得られる階調パターンを用いた場合の太陽集光シミュレーションの結果を図4のグラフに示す。図4からわかるように、実施例1で得られる多値階調パターンを有する集光フィルムでは、広い角度の光線入射角に対して、平均95%以上の高い集光率を示すが、比較例1で得られる二値階調パターンを有する集光フィルムでは、光線入射角が大きくなるにつれて、全方位での集光率が著しく低下することがわかる。さらに、実測の結果、シミュレーション曲線にしたがう性能が発現した。
本発明の集光フィルムは、上記構成を有することから、太陽電池用の集光素子、太陽採光による照明代替等、幅広い分野で利用することが可能である。
1、31、61、91a、91b、91c、91d:集光フィルム
2、52:鋳型
11、11a、11b、11c、11d、11e、11f:凹部
12:底部
13:側面部
21:反転パターン
32:接着層
33:フレネルレンズ
34:太陽電池セル
35:集光素子
51:フィルムロール
53:インプリント装置
54:ロール
55:切断機
61:多値階調パターンを有する面
62:多値階調パターンを有する面の反対面
70:サンプリング回路
71:位相補正部
71〜71m−1:位相補正器
72:フーリエ変換部
72〜72m−1:FFT演算器
73:合成器
74:位相補正器
75:フーリエ変換装置

Claims (15)

  1. 有機材料からなる透過型の集光フィルムであって、
    多値階調パターンを有することを特徴とする集光フィルム。
  2. 集光フィルムの法線方向に対して0°〜89°の角度で入射した光を平均80%以上集光する請求項1記載の集光フィルム。
  3. 多値階調パターンを有する領域において、最大厚みに対する最小厚みが25%以下である請求項1又は2記載の集光フィルム。
  4. 多値階調パターンは、深さの異なる2以上の凹部を組み合わせて構成されるパターンであり、
    少なくとも一つの凹部の深さが、該凹部の幅よりも大きい、請求項1、2又は3記載の集光フィルム。
  5. 有機材料は、1.30〜1.65の屈折率を有する請求項1、2、3又は4記載の集光フィルム。
  6. 有機材料は、フッ素樹脂である請求項1、2、3、4又は5記載の集光フィルム。
  7. 多値階調パターンは、集光フィルムの法線方向に対して0°〜89°の角度で入射した光を平均80%以上集光するように、離散フーリエ変換を用いて計算されたパターンである請求項1、2、3、4、5又は6記載の集光フィルム。
  8. 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の集光フィルムを備えることを特徴とする集光素子。
  9. 更に、フレネルレンズ及びレンチキュラレンズからなる群より選択される少なくとも1つのレンズを備える請求項8記載の集光素子。
  10. レンズはフッ素樹脂からなる請求項9記載の集光素子。
  11. 請求項8、9又は10記載の集光素子を備えることを特徴とする太陽電池。
  12. 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の集光フィルムを製造する方法であって、
    離散フーリエ変換を用いて多値階調パターンを計算する工程、及び
    該多値階調パターンを有する集光フィルムを形成する工程、
    を含むことを特徴とする集光フィルムの製造方法。
  13. 集光フィルムを形成する工程は、離散フーリエ変換により計算した多値階調パターンの反転パターンを有する鋳型を形成する工程、及び、
    該鋳型を有機材料からなるフィルムに接触させて、多値階調パターンを有する集光フィルムを形成する工程、
    を含むことを特徴とする請求項12記載の集光フィルムの製造方法。
  14. 集光フィルムを形成する工程は、有機材料からなるフィルムにレーザを照射して、多値階調パターンを有する集光フィルムを形成する工程、
    を含むことを特徴とする請求項12記載の集光フィルムの製造方法。
  15. 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の集光フィルムを用いる集光方法であって、
    集光フィルムの多値階調パターンを有する面に光を入射する工程、及び、
    集光フィルムの光が入射された面とは反対の面から、入射された光を出射する工程、
    を含むことを特徴とする集光方法。
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