JPWO2011027386A1 - ストロークシミュレータおよびブレーキ制御装置 - Google Patents

ストロークシミュレータおよびブレーキ制御装置 Download PDF

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Abstract

ストロークシミュレータ24は、ブレーキペダル12の操作に応じた反力を発生させる。ストロークシミュレータ24は、ストロークシミュレータハウジング160と、ストロークシミュレータハウジング160内に摺動自在に設けられた、ストロークシミュレータハウジング160内を第1容積室178と第2容積室180とに仕切るストロークシミュレータピストン162と、第2容積室180に設けられた、ストロークシミュレータピストン162の摺動に伴い弾性変形することによりブレーキペダル12の操作に応じた反力を発生させるストロークシミュレータスプリング166と、第1容積室178および第2容積室180のそれぞれに設けられた、ブレーキペダル12が操作された際に作動油圧を各容積室内に供給可能な第1供給口164および第2供給口165とを備える。

Description

本発明は、ブレーキペダルの操作に応じた反力を発生させるストロークシミュレータ、および該ストロークシミュレータを用いたブレーキ制御装置に関する。
従来より、ブレーキ制御装置において、ブレーキペダルの操作に応じた反力を発生させるためにストロークシミュレータが用いられている(例えば特許文献1、2参照)。
特開2007−203859号公報 特開2006−248473号公報
ところで、従来のストロークシミュレータにおいては、マスタシリンダの発生する高い油圧に対抗し、所望のブレーキペダルの踏み応えを創出するためには、ストロークシミュレータ内に設けられたスプリングのばね定数を大きくする必要がある。ばね定数を大きくするためには、スプリングの線径やサイズ大きくしなければならず、結果としてストロークシミュレータが大型化していた。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型のストロークシミュレータ、および該ストロークシミュレータを用いたブレーキ制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のストロークシミュレータは、ブレーキペダルの操作に応じた反力を発生させるストロークシミュレータであって、ハウジングと、ハウジング内に摺動自在に設けられた、ハウジング内を第1容積室と第2容積室とに仕切るピストンと、少なくとも第1容積室および第2容積室の一方に設けられた、ピストンの摺動に伴い弾性変形することによりブレーキペダルの操作に応じた反力を発生させる弾性部材と、第1容積室および第2容積室のそれぞれに設けられた、ブレーキペダルが操作された際に作動油圧を各容積室内に供給可能な供給口とを備える。
この態様によると、ブレーキペダルが踏み込まれた際に第1容積室と第2容積室の両方に作動油圧が供給される。従って、弾性部材は、ピストンの第1容積室に面する圧受面が受ける力と、ピストンの第2容積室に面する圧受面が受ける力との差分に抗して弾性変形できるものであればよいため、線径およびサイズの小さな弾性部材を用いることができ、その結果、ストロークシミュレータを小型化できる。
ピストンは、第1容積室側の圧受面積と第2容積室側の圧受面積とが異なっていてもよい。この場合、第1容積室と第2容積室に同じ圧力が生じても、ピストンの第1容積室側の圧受面積と第2容積室側の圧受面積とが異なっているため、ピストンを摺動させることができ、ブレーキペダルの操作に応じた反力を発生させることができる。
本発明の別の態様は、ブレーキ制御装置である。この装置は、作動油圧の供給により車輪に制動力を付与するホイールシリンダと、運転者により操作されるブレーキペダルと、ブレーキペダルの踏み込みに応じて加圧した作動油を送り出すマスタシリンダと、マスタシリンダとホイールシリンダの連通を遮断するマスタカット弁と、マスタシリンダとマスタカット弁との間に設けられ、ブレーキペダルの操作に応じた反力を発生させるストロークシミュレータとを備える。ストロークシミュレータは、ハウジングと、ハウジング内に摺動自在に設けられた、ハウジング内を第1容積室と第2容積室とに仕切るピストンと、少なくとも第1容積室および第2容積室の一方に設けられた、ピストンの摺動に伴い弾性変形することによりブレーキペダルの操作に応じた反力を発生させる弾性部材と、第1容積室および第2容積室のそれぞれに設けられた、ブレーキペダルが操作された際に作動油圧をマスタシリンダから各容積室内に供給可能な供給口とを備える。
この態様によると、ブレーキペダルが踏み込まれた際にストロークシミュレータの第1容積室と第2容積室の両方にマスタシリンダから作動油圧が供給される。従って、ストロークシミュレータの弾性部材は、ピストンの第1容積室に面する圧受面が受ける力と、ピストンの第2容積室に面する圧受面が受ける力との差分に抗して弾性変形できるものであればよいため、線径およびサイズの小さな弾性部材を用いることができ、その結果、小型のストロークシミュレータを用いたブレーキ制御装置を実現できる。
本発明によれば、小型のストロークシミュレータ、および該ストロークシミュレータを用いたブレーキ制御装置を提供できる。
本発明の実施形態に係るブレーキ制御装置の構成を示す図である。 マスタシリンダおよびストロークシミュレータの構成をより詳細に説明するための図である。 本実施の形態に係るブレーキ制御装置の動作を説明するための図である。 本実施の形態に係るブレーキ制御装置に関する関係式を説明するための図である。
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るブレーキ制御装置10の構成を示す図である。図1に示すブレーキ制御装置10は、車両用の電子制御式ブレーキシステムを構成しており、運転者によるブレーキペダル12の操作量に基づいて車両の4輪のブレーキを最適に制御するものである。
ブレーキペダル12は、運転者による踏み込み操作に応じて加圧した作動油を送り出すマスタシリンダ14に接続されている。ブレーキペダル12には、その踏み込みストロークを検出するためのストロークセンサ46が設けられている。
マスタシリンダ14は、第1マスタ油圧室78と第2マスタ油圧室80の2つの油圧室を備えている。マスタシリンダ14の上部には、作動油を貯留するためのリザーバタンク26が接続されている。マスタシリンダ14の第1マスタ油圧室78と第2マスタ油圧室80は、ブレーキペダル12の踏み込みが解除されているときにリザーバタンク26と連通する。
マスタシリンダ14の第1マスタ油圧室78は、第1出力ポート14aを介して右前輪用のブレーキ油圧制御管18が接続されており、ブレーキ油圧制御管18は、右前輪に対して制動力を付与する右前輪用のホイールシリンダ20FRに接続されている。また、マスタシリンダ14の第2マスタ油圧室80は、第2出力ポート14bを介して左前輪用のブレーキ油圧制御管16が接続されており、ブレーキ油圧制御管16は、左前輪に対して制動力を付与する左前輪用のホイールシリンダ20FLに接続されている。
右前輪用のブレーキ油圧制御管18の中途には、右マスタカット弁22FRが設けられており、左前輪用のブレーキ油圧制御管16の中途には、左マスタカット弁22FLが設けられている。これらの右マスタカット弁22FRおよび左マスタカット弁22FLは、何れも、非通電時に開状態にあり、通電時に閉状態に切り換えられる常開型電磁弁である。
また、右前輪用のブレーキ油圧制御管18の中途には、右前輪側のマスタシリンダ圧を検出する右マスタ圧力センサ48FRが設けられており、左前輪用のブレーキ油圧制御管16の途中には、左前輪側のマスタシリンダ圧を計測する左マスタ圧力センサ48FLが設けられている。
ブレーキ制御装置10では、運転者によってブレーキペダル12が踏み込まれた際、ストロークセンサ46によりその踏み込み操作量が検出されるが、これらの右マスタ圧力センサ48FRおよび左マスタ圧力センサ48FLによって検出されるマスタシリンダ圧からもブレーキペダル12の踏み込み操作力(踏力)を求めることができる。このように、ストロークセンサ46の故障を想定して、マスタシリンダ圧を2つの圧力センサ48FRおよび48FLによって監視することは、フェイルセーフの観点からみて好ましい。なお、以下では適宜、右マスタ圧力センサ48FRおよび左マスタ圧力センサ48FLを総称して、マスタシリンダ圧センサ48という。
ストロークシミュレータ24は、運転者によるブレーキペダル12の操作に応じた反力を創出する。ストロークシミュレータ24は、第1容積室178と第2容積室180の2つの容積室を備えている。
ストロークシミュレータ24の第1容積室178は、左マスタカット弁22FLよりも上流側において、左前輪用のブレーキ油圧制御管16に接続されている。すなわち、ストロークシミュレータ24の第1容積室178は、第2出力ポート14bを介してマスタシリンダ14の第2マスタ油圧室80に接続されている。また、ストロークシミュレータ24の第2容積室180は、右マスタカット弁22FRよりも上流側において、右前輪用のブレーキ油圧制御管18に接続されている。すなわち、ストロークシミュレータ24の第2容積室180は、第1出力ポート14aを介してマスタシリンダ14の第1マスタ油圧室78に接続されている。
マスタシリンダ14の第2マスタ油圧室80とストロークシミュレータ24の第1容積室178とを接続する流路の中途には、シミュレータカット弁23が設けられている。シミュレータカット弁23は、通常時通電することにより開弁し、異常時等非通電時に閉弁する常閉型の電磁開閉弁である。
一方、リザーバタンク26には、油圧給排管28の一端が接続されており、この油圧給排管28の他端には、モータ32により駆動されるオイルポンプ34の吸込口が接続されている。オイルポンプ34の吐出口は、高圧管30に接続されており、この高圧管30には、アキュムレータ50とリリーフバルブ53とが接続されている。本実施の形態では、オイルポンプ34として、モータ32によってそれぞれ往復移動させられる2体以上のピストン(図示せず)を備えた往復動ポンプが採用される。また、アキュムレータ50としては、作動油の圧力エネルギを窒素等の封入ガスの圧力エネルギに変換して蓄えるものが採用される。
アキュムレータ50は、オイルポンプ34によって例えば14〜22MPa程度にまで昇圧された作動油を蓄える。また、リリーフバルブ53の弁出口は、油圧給排管28に接続されており、アキュムレータ50における作動油の圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ53が開弁し、高圧の作動油は油圧給排管28へと戻される。さらに、高圧管30には、アキュムレータ50の出口圧力、すなわち、アキュムレータ50における作動油の圧力を検出するアキュムレータ圧センサ51が設けられている。これらのモータ32、オイルポンプ34、アキュムレータ50等は、動力の供給により加圧された作動油をブレーキペダル12の操作から独立して送出し得る動力油圧源として機能する。
そして、高圧管30は、増圧弁40FR、40FL、40RR、40RLを介して右前輪用のホイールシリンダ20FR、左前輪用のホイールシリンダ20FL、右後輪用のホイールシリンダ20RRおよび左後輪用のホイールシリンダ20RLに接続されている。以下、適宜、ホイールシリンダ20FR〜20RLを総称して「ホイールシリンダ20」といい、適宜、増圧弁40FR〜40RLを総称して「増圧弁40」という。増圧弁40は、何れも、非通電時は閉じた状態にあり、必要に応じてホイールシリンダ20の増圧に利用される常閉型の電磁流量制御弁(リニア弁)である。なお、図示されない車両の各車輪に対しては、ディスクブレーキユニットが設けられており、各ディスクブレーキユニットは、ホイールシリンダ20の作用によってブレーキパッドをディスクに押し付けることで制動力を発生する。
また、右前輪用のホイールシリンダ20FRと左前輪用のホイールシリンダ20FLとは、それぞれ減圧弁42FRまたは42FLを介して油圧給排管28に接続されている。減圧弁42FRおよび42FLは、必要に応じてホイールシリンダ20FR,20FLの減圧に利用される常閉型の電磁流量制御弁(リニア弁)である。一方、右後輪用のホイールシリンダ20RRと左後輪用のホイールシリンダ20RLとは、常開型の電磁流量制御弁である減圧弁42RRまたは42RLを介して油圧給排管28に接続されている。以下、適宜、減圧弁42FR〜42RLを総称して「減圧弁42」という。
右前輪用、左前輪用、右後輪用および左後輪用のホイールシリンダ20FR〜20RL付近には、それぞれ対応するホイールシリンダ20に作用する作動油の圧力であるホイールシリンダ圧を検出するホイールシリンダ圧センサ44FR,44FL,44RRおよび44RLが設けられている。以下、適宜、ホイールシリンダ圧センサ44FR〜44RLを総称して「ホイールシリンダ圧センサ44」という。
上述の右マスタカット弁22FRおよび左マスタカット弁22FL、増圧弁40FR〜40RL、減圧弁42FR〜42RL、オイルポンプ34、アキュムレータ50等は、ブレーキ制御装置10の油圧アクチュエータ100を構成する。そして、かかる油圧アクチュエータ100は、電子制御ユニット(以下「ECU」という)200によって制御される。
ECU200は、ホイールシリンダ20FR〜20RLにおけるホイールシリンダ圧を制御する制御手段として機能する。ECU200は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、エンジン停止時にも記憶内容を保持できるバックアップRAM等の不揮発性メモリ、入出力インターフェース、各種センサ等から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して取り込むためのA/Dコンバータ、計時用のタイマ等を備えるものである。
ECU200には、上述の右マスタカット弁22FR、左マスタカット弁22FL、シミュレータカット弁23、増圧弁40FR〜40RL、減圧弁42FR〜42RL等の油圧アクチュエータ100を含む各種アクチュエータ類が電気的に接続されている。
また、ECU200には、制御に用いるための信号を出力する各種センサ・スイッチ類が電気的に接続されている。すなわち、ECU200には、ホイールシリンダ圧センサ44FR〜44RLから、ホイールシリンダ20FR〜20RLにおけるホイールシリンダ圧を示す信号が入力される。
また、ECU200には、ストロークセンサ46からブレーキペダル12のペダルストロークを示す信号が入力され、右マスタ圧力センサ48FRおよび左マスタ圧力センサ48FLからマスタシリンダ圧を示す信号が入力され、アキュムレータ圧センサ51からアキュムレータ圧を示す信号が入力される。
さらに、図示しないが、ECU200には、各車輪ごとに設置された車輪速センサから各車輪の車輪速度を示す信号が入力され、ヨーレートセンサからヨーレートを示す信号が入力され、操舵角センサからステアリングホイールの操舵角を示す信号が入力されたりしている。
このように構成されるブレーキ制御装置10では、運転者によってブレーキペダル12が踏み込まれると、ECU200により、ブレーキペダル12の踏み込み量を表すペダルストロークとマスタシリンダ圧とから車両の目標減速度が算出され、算出された目標減速度に応じて各車輪のホイールシリンダ圧の目標値である目標油圧が求められる。そして、ECU200により増圧弁40および減圧弁42の開度が制御され、各車輪のホイールシリンダ圧が目標油圧になるよう制御される。
一方、このとき右マスタカット弁22FRおよび左マスタカット弁22FLは閉状態とされ、シミュレータカット弁23は開状態とされる。よって、運転者によるブレーキペダル12の踏込によりマスタシリンダ14から送出された作動油は、シミュレータカット弁23を通ってストロークシミュレータ24に流入する。これにより、ブレーキペダル12の踏力に応じた反力が創出される。
また、アキュムレータ圧が予め設定された制御範囲の下限値未満であるときには、ECU200によりオイルポンプ34が駆動されてアキュムレータ圧が昇圧され、アキュムレータ圧がその制御範囲に入ればオイルポンプ34の駆動が停止される。
図2は、マスタシリンダ14およびストロークシミュレータ24の構成をより詳細に説明するための図である。マスタシリンダ14は、マスタハウジング60と、第1マスタピストン62と、第2マスタピストン64とを備える。
マスタシリンダ14は、マスタハウジング60内に、第1マスタピストン62が摺動自在に収容されている。さらに、マスタハウジング60内には、第1マスタピストン62の前方に第2マスタピストン64が摺動自在に収容されている。このように2つのピストンがマスタハウジング60内に挿入されることにより、第1マスタピストン62と第2マスタピストン64との間に第1マスタ油圧室78が形成され、第2マスタピストン64とマスタハウジング60の底部との間に第2マスタ油圧室80が形成されている。なお、本明細書において、「前方」とは、ブレーキペダル12が踏み込まれたときに、第1マスタピストン62が移動する方向であり、「後方」とは、ブレーキペダル12の踏み込みが解除されて所定の初期位置の戻るときに、第1マスタピストン62が移動する方向である。
第1マスタピストン62の後方の端部には、第1マスタピストン62とブレーキペダル12とを連結するピストンロッド70が設けられている。また、第1マスタピストン62と第2マスタピストン64の間には、所定の取付荷重で第1マスタスプリング66が設けられており、第2マスタピストン64とマスタハウジング60の底部との間には、所定の取付荷重で第2マスタスプリング68が設けられている。
マスタシリンダ14の第1出力ポート14aは、第1マスタ油圧室78に連通しており、第1出力ポート14aには右前輪用のブレーキ油圧制御管18が接続されている。また、マスタシリンダ14の第2出力ポート14bは、第2マスタ油圧室80に連通しており、第2出力ポート14bには左前輪用のブレーキ油圧制御管16が接続されている。
ストロークシミュレータ24は、ストロークシミュレータハウジング160と、ストロークシミュレータピストン162と、ストロークシミュレータスプリング166とを備える。
ストロークシミュレータピストン162は、ストロークシミュレータハウジング160内に摺動自在に収容されている。このストロークシミュレータピストン162は、ストロークシミュレータハウジング160内を、第1容積室178と第2容積室180とに仕切っている。第2容積室180内には、ストロークシミュレータスプリング166が、ストロークシミュレータピストン162を第1容積室178側に付勢するように設けられている。言い換えると、ストロークシミュレータスプリング166は、ストロークシミュレータピストン162を第1容積室178の容積が減少する方向に付勢するように設けられている。このストロークシミュレータスプリング166は、ストロークシミュレータピストン162の摺動に伴い弾性変形することにより、ブレーキペダル12の操作に応じた反力を発生させる。
ストロークシミュレータピストン162においては、第1容積室178に面する第1容積室側圧受面162aの面積と、第2容積室180に面する第2容積室側圧受面162bの面積とが異なっている。本実施の形態においては、図2に示すように、第1容積室側圧受面162aの面積が、第2容積室側圧受面162bの面積よりも大きくなるように形成されている。
ストロークシミュレータ24の第1容積室178および第2容積室180には、作動油圧を各容積室内に供給するための第1供給口164および第2供給口165がそれぞれ設けられている。
第1容積室178の第1供給口164は、左マスタカット弁の上流においてブレーキ油圧制御管16に接続されている。すなわち、ストロークシミュレータ24の第1容積室178は、第1供給口164を介してマスタシリンダ14の第2マスタ油圧室80に接続されている。なお、図2では、ブレーキ油圧制御管18とストロークシミュレータ24の間に設けられるシミュレータカット弁の図示を省略している。
また、第2容積室180の第2供給口165は、右マスタカット弁の上流においてブレーキ油圧制御管18に接続されている。すなわち、ストロークシミュレータ24の第2容積室180は、第2供給口165を介してマスタシリンダ14の第1マスタ油圧室78に接続されている。
図3は、本実施の形態に係るブレーキ制御装置の動作を説明するための図である。運転者によってブレーキペダル12が踏み込まれると、上述したように、右マスタカット弁および左マスタカット弁は閉状態とされ、シミュレータカット弁は開状態とされる。よって、運転者によるブレーキペダル12の踏込により、マスタシリンダ14の第2マスタ油圧室80から送出された作動油圧は、第1供給口164からストロークシミュレータ24の第1容積室178に供給される。
作動油圧の供給により第1容積室178の容積は拡大し、ストロークシミュレータピストン162は第2容積室180の容積を減少させるように移動する。それによってストロークシミュレータスプリング166が弾性変形させられ、それに応じた反力がブレーキペダル12に加えられる。
さらに、本実施の形態においては、ストロークシミュレータ24の第2容積室180がマスタシリンダ14の第1マスタ油圧室78に接続されていることにより、ブレーキペダル12が踏み込まれた際には、第2容積室180にも作動油圧が供給される。この第2容積室180へ供給された作動油圧は、ストロークシミュレータピストン162を第1容積室178側に押す力を発生させる。
ここで、本実施の形態においては、上述したように第1容積室側圧受面162aの面積が、第2容積室側圧受面162bの面積よりも大きくなるように形成されている。従って、マスタシリンダ14の第1マスタ油圧室78と第2マスタ油圧室80に同じ油圧が発生した場合であっても、第1容積室側圧受面162aが作動油から受ける力と、第2容積室側圧受面162bが作動油から受ける力との間に差分を作り出すことができ、ストロークシミュレータスプリング166の弾性変形による反力を得ることができる。
従来のストロークシミュレータにおいては、第1容積室178はマスタシリンダ14の第2マスタ油圧室80に接続され、第2容積室180はリザーバタンク等に接続されていた。この場合、ブレーキペダル12が踏み込まれた際に第1容積室178に与えられる高いマスタシリンダ圧に対抗し、所望の踏み応えを得るためには、ストロークシミュレータスプリング166のばね定数を大きく設定する必要がある。ばね定数を大きくするためには、スプリングの線径やサイズを大きくしなければならず、結果としてストロークシミュレータが大型化していた。
これに対し、本実施の形態に係るブレーキ制御装置10においては、ストロークシミュレータ24の第2容積室180をマスタシリンダ14の第1マスタ油圧室78と接続したことにより、ブレーキペダル12が踏み込まれた際には、第2容積室180にも作動油圧が供給され、ストロークシミュレータピストン162を第1容積室178側に押す力が発生する。この力は、ストロークシミュレータスプリング166の付勢力をアシストしているということもできる。従って、ストロークシミュレータスプリング166は、第1容積室側圧受面162aが作動油から受ける力と、第2容積室側圧受面162bが作動油から受ける力との差分に抗して弾性変形できるものであればよいため、線径およびサイズの小さなストロークシミュレータスプリング166を用いることができ、その結果、ストロークシミュレータ24を小型化できる。
図4は、本実施の形態に係るブレーキ制御装置10に関する関係式を説明するための図である。ここでは、ピストンロッド70のストローク量をstrk_rod、ピストンロッド70に入力される力をF_rodと表す。また、マスタシリンダ14において、第1マスタスプリング66のばね定数をk_mc1、第2マスタスプリング68のばね定数をk_mc2、第1マスタ油圧室78の断面積をsa_mc1、第2マスタ油圧室80の断面積をsa_mc2、第1マスタ油圧室78の油圧をp_mc1、第2マスタ油圧室80の油圧をp_mc2と表す。また、ストロークシミュレータ24において、ストロークシミュレータスプリング166のばね定数をk_ss、第1容積室側圧受面162aの面積をsa_ss1、第2容積室側圧受面162bの面積をsa_ss2、ストロークシミュレータピストン162のストローク量をstrk_ssと表す。
図4に示すマスタシリンダ14とストロークシミュレータ24において、以下の(1)〜(6)の関係式が成り立つ。
(1)ストロークシミュレータピストン162における力の釣り合いの式
sa_ss1×p_mc2=sa_ss2×p_mc1+k_ss×strk_ss
(2)第1マスタピストン62における力の釣り合いの式
k_mc1×strk_mc1+p_mc1×sa_mc1=F_rod
(3)第2マスタピストン64における力の釣り合いの式
k_mc2×strk_mc2+p_mc2×sa_mc2=p_mc1×sa_mc2+k_mc1×strk_mc1
(4)第1マスタ油圧室78における作動油量の釣り合いの式
strk_mc1×sa_mc1=−strk_ss×sa_ss2
strk_mc1=−strk_ss×sa_ss2/sa_mc1
(5)第2マスタ油圧室80における作動油量の釣り合いの式
strk_mc2×sa_mc2=strk_ss×sa_ss1
strk_mc2=strk_ss×sa_ss1/sa_mc2
(6)ストローク量の関係式
strk_rod=strk_mc1+strk_mc2
(1)式における右辺第1項sa_ss2×p_mc1は、従来のストロークシミュレータにおいては存在していなかった項である。すなわち、従来のストロークシミュレータにおけるストロークシミュレータピストンの力の釣り合いの式は、下記の(7)式のようになる。
(7) sa_ss1×p_mc2=k_ss×strk_ss
ストロークシミュレータピストン162のストローク量strk_ssには限界があるため、第2マスタ油圧室80の油圧p_mc2が大きくなると、(7)式を満たすためにはストロークシミュレータスプリング166のばね定数k_ssを大きくしなければならない。
下記の(8)式は、(1)式の右辺第1項を左辺に移項したものである。
(8) sa_ss1×p_mc2−sa_ss2×p_mc1=k_ss×strk_ss
本実施の形態においては、第2容積室180に第1マスタ油圧室78から作動油圧を供給する構成としたことにより、ストロークシミュレータピストン162を第2容積室180側に押す力(sa_ss1×p_mc2)を減少させる力(sa_ss2×p_mc1)が発生する。この力の発生により、ストロークシミュレータスプリング166のばね定数k_ssを小さくすることができる。つまり、小型のストロークシミュレータスプリング166を用いることができる。
また、(1)〜(6)を変形すると、以下の(9)式を導き出すことができる。
(9) F_rod=strk_rod/(sa_ss1/sa_mc2−sa_ss2/sa_mc1)×{k_mc1×sa_ss2/sa_mc1+(k_mc1×sa_ss2/sa_mc1−k_mc2×sa_ss1/sa_mc2+k_ss/sa_ss1×sa_mc2)/(sa_ss2/sa_ss1×sa_mc2−sa_mc2)×sa_mc1}
この(9)式に示すように、ピストンロッド70のストローク量strk_rodと、ピストンロッド70に入力される力F_rodとの関係を、他の設計パラメータ(k_mc1、k_mc2等)で表現することができるので、本実施の形態に係るブレーキ制御装置10が実現可能であることが分かる。
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。これらの実施形態は例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
上述の実施の形態においては、単一のストロークシミュレータスプリング166を示したが、運転者によるブレーキ操作のフィーリングを向上させるために、多段のばね特性を有するもの、または非線形のばね特性を有するものを用いてもよい。
また、上述の実施の形態では、第2マスタ油圧室80と第1容積室178とを接続し、第1マスタ油圧室78と第2容積室180とを接続する構成としたが、第1マスタ油圧室78と第1容積室178とを接続し、第2マスタ油圧室80と第2容積室180とを接続する構成としてもよい。
10 ブレーキ制御装置、 14 マスタシリンダ、 23 シミュレータカット弁、 24 ストロークシミュレータ、 60 マスタハウジング、 62 第1マスタピストン、 64 第2マスタピストン、 66 第1マスタスプリング、 68 第2マスタスプリング、 70 ピストンロッド、 78 第1マスタ油圧室、 80 第2マスタ油圧室、 160 ストロークシミュレータハウジング、 162 ストロークシミュレータピストン、 164 第1供給口、 165 第2供給口、 166 ストロークシミュレータスプリング、 178 第1容積室、 180 第2容積室。
本発明は、ストロークシミュレータを備えた車両に利用することができる。

Claims (3)

  1. ブレーキペダルの操作に応じた反力を発生させるストロークシミュレータであって、
    ハウジングと、
    前記ハウジング内に摺動自在に設けられた、前記ハウジング内を第1容積室と第2容積室とに仕切るピストンと、
    少なくとも前記第1容積室および前記第2容積室の一方に設けられた、前記ピストンの摺動に伴い弾性変形することにより前記ブレーキペダルの操作に応じた反力を発生させる弾性部材と、
    前記第1容積室および前記第2容積室のそれぞれに設けられた、前記ブレーキペダルが操作された際に作動油圧を各容積室内に供給可能な供給口と、
    を備えることを特徴とするストロークシミュレータ。
  2. 前記ピストンは、前記第1容積室側の圧受面積と前記第2容積室側の圧受面積とが異なっていることを特徴とする請求項1に記載のストロークシミュレータ。
  3. 作動油圧の供給により車輪に制動力を付与するホイールシリンダと、
    運転者により操作されるブレーキペダルと、
    前記ブレーキペダルの踏み込みに応じて加圧した作動油を送り出すマスタシリンダと、
    前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダの連通を遮断するマスタカット弁と、
    前記マスタシリンダと前記マスタカット弁との間に設けられ、前記ブレーキペダルの操作に応じた反力を発生させるストロークシミュレータと、
    を備え、
    前記ストロークシミュレータは、
    ハウジングと、
    前記ハウジング内に摺動自在に設けられた、前記ハウジング内を第1容積室と第2容積室とに仕切るピストンと、
    少なくとも前記第1容積室および前記第2容積室の一方に設けられた、前記ピストンの摺動に伴い弾性変形することにより前記ブレーキペダルの操作に応じた反力を発生させる弾性部材と、
    前記第1容積室および前記第2容積室のそれぞれに設けられた、前記ブレーキペダルが操作された際に作動油圧を前記マスタシリンダから各容積室内に供給可能な供給口と、
    を備えることを特徴とするブレーキ制御装置。
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