JPWO2011016266A1 - パルス変調高周波電力制御方法およびパルス変調高周波電源装置 - Google Patents

パルス変調高周波電力制御方法およびパルス変調高周波電源装置 Download PDF

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Abstract

パルス変調高周波電力制御方法は、パルス出力の振幅を制御する出力振幅制御工程と、パルス出力のデューティー比を制御するデューティー制御工程とを備える。出力振幅制御工程は、パルス出力の振幅値を制御して、振幅値が設定振幅値となるように定振幅制御を行う。出力振幅制御による定振幅制御は、例えば、電力制御によって出力されるパルス出力の振幅値をフィードバックし、このフィードバック値と予め設定しておいた設定振幅値との差分値を求め、この差分値が零となるように、パルス出力の振幅値を制御する。

Description

負荷に供給する高周波電力を制御する方法として、高周波電源装置が出力する進行波電力を一定に制御する方法(PF制御)、進行波電力から反射波電力を減じた負荷電力を一定に制御する方法(PL制御)が知られている(特許文献1、2)。
また、出力電力の電力振幅を制御する方法として、連続電力の電力振幅を制御する連続電力制御方法と、パルス幅あるいはパルスのデューティー比を変更するパルス電力制御方法が知られている(特許文献3)。
パルス電力制御や連続電力制御において、反射波電力が増加した場合には高周波電源を保護するために出力電力を低下することが知られている。また、負荷電力のピーク値を制御するピークロード電力制御では、ピーク反射波電力が変動した場合に、ピーク進行波電力を可変とする制御を行っている。
特開2007−87908号公報(段落0002〜0009、0026,0027参照) 特開2009−111940号公報(段落0002、0011参照) 特許第4065820号公報(段落0014,0015参照)
従来の電力制御では、反射波電力の変動に応じてピーク進行波電力を変化させると、ピーク進行波電力が増減する。このピーク進行波電力の変動は、出力電力の不安定、および負荷側のチャンバーで行われるプロセスに及ぼす影響等の問題がある。
例えば、高周波電源と負荷との間に設けた整合回路は、整合動作によってピーク進行波電力の増減によるインピーダンスのずれを整合する。このとき、整合回路の整合動作によって整合ポイントは変動する。この整合ポイントの変動によって、負荷側のプラズマを処理するプラズマ処理室(チャンバー)内のインピーダンスが不安定になってさらに反射波電力が変動し、その結果、出力電力が不安定となる。また、ピーク進行波電力が変動すると、チャンバー内のプラズマ密度やプラズマ雰囲気も同時に変化し、チャンバーで行われるプロセスの均一性や歩留まりに悪影響を与える。
負荷側のプラズマによるプロセスの動作中において、チャンバー内にインピーダンスが変化してピーク反射波電力が増加した場合に、高周波電源を保護するために進行波電力の出力を低下させると、進行波電力の低下によってプラズマの活性化が失われて、プロセスの進行が中断され、製品の品質に影響するという問題がある。
また、負荷側のプロセスの立ち上がり時には、プラズマが着火していない状態では、反射波電力が一般的に大きくなる傾向がある。反射波電力の増加から高周波電源を保護するために進行波電力の出力を低下させると、プラズマの着火がさらに難しくなるという問題が指摘されている。
また、特許文献1では、進行波電力を一定に制御した際に反射波電力が増加した場合には、以下のような問題があると指摘している。
進行波電力を一定に制御する場合には、進行波電力のピーク値は一定に制御されているため、反射波電力が増加すると、負荷への供給電力量が低下するため、チャンバー内のプラズマ状態が変化し、負荷インピーダンスが変動する。その結果、整合状態から外れ、プラズマを維持できなくなってプラズマが消滅する。
また、負荷への供給電力量が不安定となって負荷側インピーダンスが変動すると、整合目標点が不安定となり、整合器の可変インピーダンス素子の目標位置も不安定となり、可変インピーダンス素子がハンチング現象を起こす場合がある。このような整合過程でのハンチング現象は、整合器の可変インピーダンス素子の一部のみが動作することになり、可変インピーダンス素子の寿命が短くなる。
したがって、従来行われている電力制御では、進行波電力や負荷電力等の出力電力制御において、反射波電力の変動に応じて出力電力を増減させるため、出力電力の電力振幅が不安定となり、チャンバー内のプラズマ状態が変動する等の問題がある。
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、パルス電力制御において電力変動に対して、出力電力の電力振幅(ピーク電力)を一定に制御することによって、出力電力の電力振幅の変動による負荷に対する影響を回避することを目的とする。
また、本発明は、出力電力の電力振幅を安定制御することによって、負荷側のプラズマ密度およびプラズマ雰囲気を安定させ、プラズマ処理によるプロセスの均一性およびプロセスによる製品の品質を向上させることを目的とする。
また、本発明は、反射波電力の増加に対して、平均反射波電力を抑制して電源装置を保護すると共に、進行波電力の電力振幅(ピーク進行波電力)を維持することによって、整合回路の不要な整合動作を不要とし、プラズマ負荷を安定化させることを目的とする。
また、本発明は、負荷でのプロセス起動時において、チャンバー内のプラズマの発生を容易とすることを目的とする。
本発明は、電力制御において、出力電力の電力振幅が設定値となるように定電力制御を行う出力振幅制御と、出力電力の電力量に相当する量が設定値となるように、パルス電力のデューティー比を制御するデューティー制御とを行うことによって、出力電力の電力振幅を安定制御すると共に、反射波電力の増加に対して電源装置を保護する。
本発明は、パルス変調高周波電力制御方法の態様とパルス変調高周波電源装置の態様とを含み、何れの態様および各態様が備える形態は、出力電力の電力振幅を定電力制御する出力振幅制御と、出力電力の電力量に相当する量をパルス電力のデューティー比で制御するデューティー制御とを行うことによって、出力電力の電力振幅の安定制御と反射波電力の増加に対する電源装置の保護とを実現することを共通に備えるものである。
本発明のパルス変調高周波電力制御方法は、負荷に供給する高周波電力を制御する高周波電力の制御方法である。本発明の制御方法によって負荷に出力される高周波出力はパルス出力である。連続出力は高周波電力を時間的に連続して出力されるのに対して、パルス出力は高周波電力を時間的に断続して出力される。時間的に断続するパルス出力の内で、負荷に対してピーク電力が供給される期間(オン期間)と、負荷に対してピーク電力よりも小さな電力が供給される期間(オフ期間)とを交互に備える。ここで、負荷に対してピーク電力が供給される期間をオン期間とし、負荷に対してピーク電力よりも小さな電力が供給される期間をオフ期間とする。オン期間とオフ期間を併せた期間を一周期として、電力が供給される。
図27は、本発明のパルス変調高周波電力制御において、負荷に供給する高周波電力のパルス出力を説明するための図である。図27(a)において、高周波電力はTcycを一周期として断続して負荷に供給される。一周期(Tcyc)はオン期間(Ton)とオフ期間(Toff)とを備える。パルス変調高周波電力制御では、オン期間において高周波電力を供給し、オフ期間では供給を制限し、オン期間とオフ期間の比率(デューティー比)を制御することによって、負荷に供給する電力を制御する。
図27(a)と図27(b)は、同じ高周波電力の出力状態を示しており、図27(b)は図27(a)のオン期間の高周波電力の変化を簡略化して示している。以下の各図面では、図27(b)と同様に、高周波電力の出力状態を簡略化して示す。
本発明のオフ期間は、負荷に対してピーク電力を供給しない期間の他に、ピーク電力よりも小さな電力を供給する期間を含むものとする。また、本発明において、ピーク電力の“ピーク”は電力の最大振幅を表している。例えば、ピーク進行波電力は、高周波電源から負荷に進む進行波電力において、振幅値が最大振幅である進行波電力を表し、振幅値が最大振幅に至らないものについては単に進行波電力と表記するものとする。
本発明のパルス変調高周波電力制御方法は、パルス出力の振幅を制御する出力振幅制御工程と、パルス出力のデューティー比を制御するデューティー制御工程とを備える。
出力振幅制御工程は、パルス出力の振幅値を制御して、振幅値が設定振幅値となるように定振幅制御を行う。出力振幅制御による定振幅制御は、例えば、電力制御によって出力されるパルス出力の振幅値をフィードバックし、このフィードバック値と予め設定しておいた設定振幅値との差分値を求め、この差分値が零となるように、パルス出力の振幅値を制御する。この出力振幅制御はPWM制御により行うことができ、例えば、差分値に基づいてオン時間幅を調整してパルス制御信号を形成し、形成したパルス制御信号によって入力直流電力をスイッチングすることによって、パルス出力の振幅値を制御する。
デューティー制御工程は、パルス出力のデューティー比を制御して、このデューティー比で定まる電力量が設定電力値となるように定電力制御を行う。
ここで、デューティー制御工程によって定電力制御を行う電力量としては、例えばピーク進行波電力の平均電力値、ピーク進行波電力とピーク反射波電力から求められるピークロード電力の平均電力値とすることができる。また、ピーク反射波電力は、負荷から高周波電源側に戻る反射波電力の最大振幅であり、ピークロード電力は、負荷に供給されるロード電力の最大振幅である。
ピーク進行波電力の平均電力値およびピークロード電力の平均電力値は、高周波電源側から負荷側に供給される電力の平均電力値である。
デューティー制御工程の定電力制御は、高周波電源側から負荷側に供給される電力において、時間的変動に因らずに定常的に電力量を設定電力値となるように制御するものであり、例として示したピーク進行波電力やピークロード電力の平均電力値に限らず、ピーク進行波電力やピークロード電力のメディア値や最頻度値など定常的に電力量を表す値を用いてもよい。
本発明のパルス変調高周波電力制御方法は、出力振幅制御工程とデューティー制御工程とをそれぞれ独立に行って高周波電力をパルス変調することによって、両制御を互いに干渉することなく行う。これによって、例えば、ピーク進行波電力が一定となるように制御すると共に、平均進行波電力が一定となるように制御することができる。
出力振幅制御工程およびデューティー制御工程は、負荷に供給する電力の他に、負荷に供給する電圧や電流をパルス出力の制御対象として制御を行うことができる。
本発明のパルス変調高周波電力制御方法において、デューティー制御工程は、デューティー比の制御によって高周波電力を出力しないオフ時間を零とし、パルス出力を連続出力に切り換える工程を含むことができる。この制御によって、パルス出力の電力量は、そのパルス出力の振幅値と等しくなる。
本発明のパルス変調高周波電力制御方法は、制御対象としてピーク進行波電力を制御する形態、制御対象として平均ロード電力を制御する形態とすることができる。
デューティー制御工程において、制御対象としてピーク進行波電力を制御する形態では、パルス出力の制御対象をピーク進行波電力とし、出力振幅制御工程は、ピーク進行波電力の振幅値が設定振幅値となるように定振幅制御を行い、デューティー制御工程は、デューティー比で定まるピーク進行波電力の平均電力値が設定電力値となるように定電力制御を行い、これによってピーク進行波電力を制御する。
また、このデューティー制御工程は、不連続出力とするパルス出力制御と、パルス出力を連続出力とする連続出力制御とを含む。
パルス出力制御は、パルス出力の一周期内におけるオン時間とオフ時間とで定まるデューティー比においてオン時間を100%未満とし、ピーク進行波電力の平均電力値が当該ピーク進行波電力の振幅値よりも小さくなるように制御して、パルス出力を不連続出力とする制御である。
また、連続出力制御は、パルス出力の一周期内におけるオン時間とオフ時間とで定まるデューティー比においてオフ時間を0%としオン時間を100%とし、パルス出力を連続出力とする制御である。この制御によって、ピーク進行波電力の平均電力値は、ピーク進行波電力の振幅値と等しくなる。
デューティー制御工程において、制御対象として平均ロード電力を制御する形態では、出力振幅制御工程におけるパルス出力の制御対象をピーク進行波電力とし、デューティー制御工程におけるパルス出力の制御対象を平均ロード電力とし、出力振幅制御工程は、ピーク進行波電力の振幅値が一定となるように定振幅制御を行い、デューティー制御工程は、デューティー比で定まるピーク進行波電力とピーク反射波電力から求められるピークロード電力の平均電力値が設定電力値となるように定電力制御を行って平均ロード電力を制御する。
本発明のデューティー制御において、出力振幅制御工程の定電力制御で得られたフィードバック値に基づいて、パルス出力のデューティー比を増減する。
このデューティー比を増減する制御において、デューティー制御工程は、ピーク反射波電力値をフィードバックし、ピーク反射波電力が増加する際にデューティー比のオン時間比率を小さくして平均反射波電力の増加を抑制する。
また、デューティー比を増減する制御において、デューティー制御工程は、ピーク反射波電力値をフィードバックし、ピーク反射波電力が増加する際に、デューティー比のオン時間比率を大きくして平均ロード電力を一定に制御する。
ロード電力制御において、ピーク反射波電力が変動した際にピーク進行波電力を制御してピークロード電力制御を行うと、ピーク進行波電力が変動することによって、負荷側のプラズマ密度が変動して不安定となるおそれがある。これに対して、デューティー比のオン時間比率を加減して平均ロード電力を一定に制御することによって、ピーク進行波電力の出力を安定させることができる。
連続出力制御によって高周波電力を制御する場合、ピーク反射波電力の振幅値が過大であるときに、本発明のパルス変調高周波電力制御方法を適用することによって平均反射波電力の増加を抑制することができる。
連続出力制御に代えてパルス変調高周波電力制御を適用する制御モードとして、定常状態でピーク進行波電力を連続出力で供給する制御モード(連続進行波電力制御モード)と、高周波電源によってプラズマ負荷のプロセスを開始してプラズマを着火させる制御モード(プロセススタート制御モード)がある。
連続進行波電力制御モードでは、一定のピーク進行波電力を連続出力する定常状態において、この連続出力中にピーク反射波電力の振幅値が過大となったときに、連続出力制御からパルス出力制御に切り換えて適用して、デューティー比を制御することで平均反射波電力の増加を抑制する。
一方、プロセススタート制御モードでは、ピーク進行波電力を増加させる増加段階をパルス出力制御で行い、ピーク進行波電力が所定値に達した後は連続出力制御に切り換える制御であり、このピーク進行波電力の増加中にピーク反射波電力の振幅値が過大となったときに、連続出力制御からパルス出力制御に切り換えて適用して、デューティー比を制御することで平均反射波電力の増加を抑制する。
ピーク進行波電力を定常状態で供給する制御モード(連続進行波電力制御モード)において、プロセス過程中で、ガス圧の変化やイオン反応などの要因で、チャンバー内のインピーダンスが変化し、反射波電力が一時的に増加する場合がある。このように反射波電力が増加した際に、従来のように出力電力を低下させると、整合回路の整合動作の連動によってチャンバー内のプラズマが不安定となる。
これに対して、パルスのデューティー比のオン時間の比率を100パーセントとして、平均進行波電力とピーク進行波電力とを一致させて連続進行波電力制御モードとし、ピーク反射波電力の振幅値が過大であるとき、デューティー比のオン時間の比率を100パーセントから小さくして、連続出力制御からパルス出力制御に切り換えることにより、平均反射波電力の増加を抑制する。
この制御によれば、ピーク進行波電力の変化を回避することができるため、負荷への電力供給を安定化させることができる。
また、プロセススタート制御モードにおいて、プラズマが着火する前に、ピーク反射波電力が増加する傾向がある。このとき、従来のように出力電力を低下させると、出力電圧がチャンバー内のプラズマ着火電圧よりも低くなってプラズマの着火が困難となる。
これに対して、本発明では、プロセススタート制御モードにおいて、連続出力制御でピーク進行波電力を増加させながら供給し、そのピーク進行波電力を増加させる途中でピーク反射波電力の振幅値が過大であるとき、デューティー比のオン時間比率を100パーセントから小さくして、連続出力制御からパルス出力制御に切り換え、プラズマ着火によりピーク反射波電力が許容範囲に低下してから、ピーク進行波電力が増加した後、デューティー比のオン時間比率を100パーセントに戻して、パルス出力制御から連続出力制御に切り換えることにより、ピーク進行波電力を増加させる期間での平均反射波電力の増加を抑制する。
上記制御によって、ピーク反射波電力が増加した場合であっても、平均反射波電力を抑制しながらピーク進行波電力の供給を維持するため、プラズマを容易に着火させることが可能になり、チャンバー内のプラズマが着火した後は、プラズマ雰囲気が正常となってピーク反射波電力が減るため、デューティー制御によってデューティー比のオン時間比率を100パーセントに戻して、パルス出力制御から連続出力制御に切り換える。
なお、ピーク反射波電力の振幅値が過大であるか否かの判定は、例えばピーク反射波電力のフィードバック値と予め設定した設定値とを比較することで行う他、ピーク反射波電力のフィードバック値の増加率と予め設定した設定値とを比較することで行うことができる。
また、プロセススタート制御モードは、前記した連続出力制御に代えて、デューティー制御によって行うことができる。
このプロセススタート制御モードにおけるデューティー制御において、ピーク反射波電力の振幅値が過大であるとき、デューティー比のオン時間比率を漸次増加させることによって、平均反射波電力の増加を抑制する。
この制御によって、ピーク反射波電力が増加した場合であっても、平均反射波電力を抑制しながらピーク進行波電力の供給を維持するため、プラズマの着火を可能とすることができ、チャンバー内のプラズマが着火した後は、プラズマ雰囲気が正常となってピーク反射波電力が減るため、デューティー制御によってデューティー比のオン時間比率を100パーセントとしてデューティー制御から連続出力制御に切り換える。
本発明のパルス変調高周波電力制御のデューティー制御において、パルス電力の一周期はオン期間とオフ期間とを備え、各期間での電力レベルによって二つの電力制御の形態を備える。
一つの電力制御は、デューティー制御において、オフ期間においてパルス出力の電力値を零とし、オン期間においてパルス出力の電力値を設定電力値とする制御形態(ON/OFF電力制御)である。また、別の電力制御は、デューティー制御において、オフ期間においてパルス出力の電力値を零と設定電力値との幅間で定める所定電力値とし、オン期間においてパルス出力の電力値を設定電力値とする制御形態(ハイ/ロウ電力制御)である。
ハイ/ロウ電力制御は、パルスのオフ期間での電力レベルを所定値以上に設定することによって、オフ期間中のプラズマが消えるという状態を回避することができる。
また、本発明のパルス変調高周波電力制御において、デューティー制御は複数の制御形態を適用することができる。
デューティー制御の一制御形態は、周波数を一定とするPWM制御であって、周波数を一定としオン期間の時間幅とオフ期間の時間幅の時間幅の比率を制御する。また、デューティーの他の一制御形態は、オン幅あるいはオフ幅を一定とするPFM制御であって、オン期間の時間幅を一定としオフ期間の時間幅を変化させる、又は、オフ期間の時間幅を一定としオン期間の時間幅を変化させることによってパルス出力の周波数を制御する。
なお、出力振幅制御で行うPWM制御は、入力直流電力をスイッチングすることによってパルス出力の振幅値を制御するものであり、デューティー制御で行うPWM制御は、出力振幅制御で制御された振幅値を維持した状態で、平均進行波電力を制御するものであり、制御対象を別にするものであって互いに干渉するものではなく、それぞれ独立して制御することができる。これによって、ピーク反射波電力が増加した場合であっても、ピーク進行波電力の振幅幅を低下させることなく、平均進行波電力を制御することができる。
次に、本発明のパルス変調高周波電源装置の態様について説明する。
本発明のパルス変調高周波電源装置は、負荷に高周波電力を供給する高周波電源装置であり、パルス出力の高周波出力を出力する高周波出力部と、パルス出力の振幅を制御する出力振幅制御部と、パルス出力のデューティー比を制御するデューティー制御部とを備える。
出力振幅制御部は、パルス出力の振幅値を制御して、振幅値が設定振幅値となるように定振幅制御を行う。デューティー制御部は、パルス出力のデューティー比を制御して、デューティー比で定まる電力量が設定電力値となるように定電力制御を行う。出力振幅制御部とデューティー制御部は、高周波出力部をそれぞれ独立に制御して高周波電力をパルス変調することができる。
本発明のパルス変調高周波電源装置は上記した出力振幅制御部およびデューティー制御部の構成によって、上記したパルス変調高周波電力制御の各制御を行う。
なお、パルス変調高周波電源装置が行うパルス変調高周波電力制御の各制御については、上記説明と重複するためここでの説明は省略する。
出力振幅制御部およびデューティー制御部は、パルス変調高周波電力制御の各制御を実施するハードウエアで構成する他、CPUと各制御を実施するプログラムや演算結果を格納するメモリ等によって構成することができる。
出力振幅制御部は、例えば、設定振幅値(振幅指令値)と高周波出力部からのフィードバックしたパルス出力の振幅値との差分を求める誤差検出器、発振器からのパルス信号を誤差検出器で検出した差分値に基づいてPWM制御を行うPWM制御器とによって構成することができる。
デューティー制御部は、例えば、設定電力値(平均電力指令値)と高周波出力部からのフィードバックの平均値との差分値を求める誤差検出器、発振器からのパルス信号を誤差検出器で検出した差分値に基づいて、パルス信号のデューティー比を変更するデューティー比変更器とによって構成することができる。
高周波出力部は、直流電力をパルス変調して高周波電力を出力する。高周波出力部は、出力振幅制御部からの制御信号に基づいて直流電力を定振幅制御し、振幅値が設定振幅値となるようにパルス変調する。次に、出力振幅制御部で定振幅制御したパルス出力のデューティー比を、デューティー制御部からの制御信号に基づいて制御し、パルス出力の電力量が設定電力値となるように定電力制御を行う。
高周波出力部は、出力振幅制御部からの制御信号に基づいて直流電力を定振幅制御してパルス出力を出力する増幅器と、デューティー制御部からの制御信号に基づいて、出力振幅制御部のパルス出力を定電力制御するスイッチング回路とを備える。また、高周波出力部は、デューティー制御部でパルス変調したパルス出力を検出して、出力振幅制御部およびデューティー制御部にフィードバックする検出器を備える。高周波出力部が備える検出器は、パルス出力の電力を検出する他、電圧や電流を検出し、これらの検出値をフィードバック値とすることができる。
高周波出力部は、負荷にパルス出力を供給する。パルス出力の供給において、高周波出力部と負荷との間に整合器を配置し、インピーダンス整合を行うことができる。
本発明の態様によれば、出力電力の電力振幅を安定制御することによって、負荷側のプラズマ密度およびプラズマ雰囲気を安定させ、プラズマ処理によるプロセスの均一性およびプロセスによる製品の品質を向上させることができる。
また、本発明の態様によれば、反射波電力の増加に対して、平均反射波電力を抑制して電源装置を保護すると共に、進行波電力の電力振幅(ピーク進行波電力)を維持することによって、整合回路の不要な整合動作を不要とし、プラズマ負荷を安定化させることができる。
また、本発明の態様によれば、負荷でのプロセス起動時において、チャンバー内のプラズマの発生を容易とすることができる。
以上説明したように、本発明のパルス変調高周波電力制御方法およびパルス変調高周波電源装置によれば、パルス電力制御において電力変動に対して、出力電力の電力振幅(ピーク電力)を一定に制御することによって、出力電力の電力振幅の変動による負荷に対する影響を回避することができる。
本発明のパルス変調高周波電源装置の概略構成を説明するための図である。 本発明のデューティー制御を説明するための図である。 本発明のデューティー制御を説明するための図である。 本発明のデューティー制御の制御形態を説明するための図である。 本発明のパルス変調高周波電源装置の詳細な構成例を説明するための図である。 本発明の第1の態様において、進行波電力を制御対象とする場合の構成例を説明するための図である。 本発明の第1の態様において、進行波電力を制御対象とするデューティー制御の動作例を説明するためのフローチャートである。 本発明の第1の態様において、進行波電力を制御対象とするデューティー制御の動作例を説明するための信号図である。 本発明の第2の態様において、反射波電力による制御の構成例を説明するための図である。 本発明の第2の態様において、反射波電力の増加時の動作例を説明するためのフローチャートである。 本発明の第2の態様において、反射波電力の増加時の動作例を説明するための信号図である。 本発明の第2の態様において、反射波電力の増加時の動作例を説明するための信号図である。 本発明の第3の態様において、ロード電力制御の構成例を説明するための図である。 本発明の第3の態様において、ロード電力制御の動作例を説明するためのフローチャートである。 本発明の第3の態様において、ロード電力制御の動作例を説明するための信号図である。 本発明の第3の態様において、ロード電力制御の従来動作例を説明するための信号図である。 本発明の第4の態様において、連続進行波電力制御モードにデューティー制御を適用する構成例を説明するための図である。 本発明の第4の態様において、連続進行波電力制御モードにデューティー制御を適用する制御動作例を説明するためのフローチャートである。 本発明の第4の態様において、連続進行波電力制御モードにデューティー制御を適用する制御動作例を説明するための信号図である。 本発明の第4の態様において、連続進行波電力制御モードの従来の制御動作例を説明するための信号図である。 本発明の第5の態様において、連続進行波電力制御モードにデューティー制御を適用してピーク進行波電力を増加させる場合の構成例を説明するための図である。 本発明の第5の態様において、連続進行波電力制御モードにデューティー制御を適用してピーク進行波電力を増加させる場合の制御動作例を説明するためのフローチャートである。 本発明の第5の態様において、連続進行波電力制御モードにデューティー制御を適用してピーク進行波電力を増加させる場合の制御動作例を説明するための信号図である。 本発明の第5の態様において、連続進行波電力制御モードでピーク進行波電力を増加させる場合の従来の制御動作例を説明するための信号図である。 本発明の第6の態様において、デューティー制御においてプロセススタート時等のピーク進行波電力を増加させる制御動作例を説明するためのフローチャートである。 本発明の第6の態様において、デューティー制御においてプロセススタート時等のピーク進行波電力を増加させる制御動作例を説明するための信号図である。 パルス変調高周波電力制御における高周波電力のパルス出力を説明するための図である。
1 パルス変調高周波電源装置
1A パルス変調高周波電源装置
1B パルス変調高周波電源装置
1C パルス変調高周波電源装置
1D パルス変調高周波電源装置
1E パルス変調高周波電源装置
2 出力振幅制御部
2A ピーク進行波電力制御部
2B ピーク進行波電力制御部
2C ピーク進行波電力制御部
2D ピーク進行波電力制御部
2E ピーク進行波電力制御部
2a 誤差検出器
2b 発振器
2c 制御回路
3 デューティー制御部
3A 平均進行波電力制御部
3B 平均進行波電力制御部
3C 平均ロード電力制御部
3D 平均進行波電力制御部
3E 平均進行波電力制御部
3a 誤差検出器
3b 発振器
3c デューティー比変更回路
4 高周波出力部
4A 高周波出力部
4B 高周波出力部
4C 高周波出力部
4D 高周波出力部
4E 高周波出力部
4a スイッチング回路
4b 平滑回路
4c スイッチング回路
4d 電力検出器
4d0 高周波出力回路
4d1 方向性結合器
4d2 進行波電力検出部
4d3 反射波電力検出部
5 整合回路
6 負荷
7 平均処理回路
7A 平均処理部
7B 平均処理部
7D 平均処理部
7E 平均処理部
7c1,7c2 平均処理部
8D デューティー制御部
8E デューティー制御部
F ピーク進行波電力
FAV 平均進行波電力
Plow 進行波電力ロウレベル
ピークロード電力
LAV 平均ロード電力
LAVO 平均ロード電力指令値
ピーク反射波電力
RAV 平均反射波電力
Tcyc 周期
Thigh ハイ幅
Tlow ロウ幅
Toff オフ幅
Ton オン幅
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
本発明のパルス変調高周波電源装置の基本構成および本発明のパルス変調高周波電力制御方法について図1〜図5を用いて説明し、制御対象として進行波電力の場合について図6〜図8を用いて説明し、ピーク反射波電力の増加時の処理例について図9〜図12を用いて説明し、パルスピークロード電力制御によってパルス出力の負荷を制御する場合について図13〜図16を用いて説明し、連続進行波電力制御モードにデューティー制御を適用する場合について図17〜図20を用いて説明し、連続進行波電力制御モードにデューティー制御を適用して、プロセススタート時等のピーク進行波電力を増加させる場合について図21〜図24を用いて説明し、デューティー制御において、プロセススタート時等のピーク進行波電力を増加させる場合について図25,図26を用いて説明する。
[パルス変調高周波電力制御の基本構成]
はじめに、本発明のパルス変調高周波電源装置の概略構成について図1について説明する。
パルス変調高周波電源装置1は、パルス出力の振幅を制御する出力振幅制御部2と、パルス出力のデューティー比を制御するデューティー制御部3とパルス出力の高周波出力を出力する高周波出力部4とを備え、高周波出力部4は負荷6に高周波出力を出力する。負荷6は、例えば、チャンバー内で生成されるプラズマ負荷とすることができる。
高周波出力部4と負荷6との間には、両者間のインピーダンスを整合する整合回路5を接続することができる。
高周波出力部4は、直流電力をパルス変調して高周波出力を生成する。直流電力は、直流電源から得る他、交流電力をAC/DC変換して得ることができる。高周波出力部4と負荷6との間の電力の移動は双方で行われ、高周波出力部4から負荷6に向かって進行波電力が供給され、負荷6から高周波出力部4に向かって反射波電力が戻される。この進行波電力と反射波電力との差し引きによって、高周波出力部4から負荷6に向かった負荷電力が供給される。ここで、進行波電力の最大振幅をピーク進行波電力と呼び、反射波電力の最大振幅をピーク反射波電力と呼ぶ。
パルス変調は、出力振幅制御部2によるパルス出力の振幅制御と、デューティー制御部3による電力量制御とによって行う。
出力振幅制御部2は、指令値として設定振幅値を入力し、フィードバック値としてパルス出力の振幅値を入力して、振幅値が設定振幅値となるように定振幅制御を行う。パルス出力の振幅値は、電力値、電圧値、あるいは電流値とすることができ、高周波出力部4内に設けた検出器、あるいは高周波出力部4と負荷6との間に設けた検出器によって検出することができる。この出力振幅制御部2の定振幅制御において、パルス出力の振幅値(ピーク値)は設定値に制御される。
デューティー制御部3は、指令値として設定値を入力し、フィードバック値としてパルス出力値を入力して、パルス出力値が設定値となるようにパルス出力のデューティー比を制御して、このデューティー比で定まる値が設定値となるように定値制御を行う。パルス出力値は、電力値、電圧値、あるいは電流値とすることができる。
パルス出力の電力値に相当する量は、例えば、平均進行波電力とすることができる、このときの設定値は平均出力電力指令値を用いる。デューティー制御部3による定電力制御は、高周波電源側から負荷側に供給される電力において、時間的変動に因らずに定常的に電力量が平均出力電力指令値となるように制御するものであり、ピーク進行波電力やピークロード電力の平均電力値に限らず、ピーク進行波電力やピークロード電力のメディア値や最頻度値など定常的に電力量を表す値を用いてもよい。
本発明の出力振幅制御部2とデューティー制御部3は、高周波出力部4をそれぞれ独立に制御して高周波電力をパルス変調する。
なお、図1では、説明の便宜上から出力振幅制御部2とデューティー制御部3を個別の構成で示しているが、一つの制御部によって構成しても良い。また、高周波出力部4についても個別の構成で示しているが、出力振幅制御部2およびデューティー制御部3の制御部と共に一つの回路で構成しても良い。
また、各制御部および高周波出力部は、ハードウエアによる構成、あるいはCPUと各信号をCPUに実行させるプログラムや演算処理結果を記憶するメモリ等を含むソフトウエアによる構成とすることができる。
[デューティー制御]
デューティー制御部3によるデューティー制御について図2,図3を用いて説明する。
デューティー制御は、パルス出力のデューティー比を変えることによって、出力電力値をパルス変調する。ここでは、進行波電力を例として説明する。本発明のパルス変調高周波電力制御では、出力振幅制御部2によってピーク進行波電力PFの最大振幅値(ピーク値)が設定値となるように制御され、このピーク進行波電力を設定値に維持した状態で、平均進行波電力PFAVが設定電力値となるように、デューティー比を制御する。
パルス電力の一周期はオン期間とオフ期間とを備え、各期間での電力レベルによって二つの電力制御の形態を備える。
一つの電力制御は、デューティー制御において、オフ期間においてパルス出力の電力値を零とし、オン期間においてパルス出力の電力値を設定電力値とする制御形態(ON/OFF電力制御)である。図2はこのON/OFF電力制御を示している。図2において、1周期Tcycは、ピーク進行波電力を出力する期間のオン幅Tonと、電力出力を行わない期間のオフ幅Toffとを有し、このTonとToffに基づいてデューティー比が定められる。デューティー比は、例えば、1周期Tcycに対するオン幅Tonの比率で表すONデューティーDonで表すことができる。
Don=Ton/(Ton+Toff)
Tcyc=Ton+Toff
平均進行波電力PFAVはONデューティーDonを用いて以下の式で表すことができる。
FAV=P×Don
したがって、平均進行波電力PFAVはONデューティーDonを変えることによって平均進行波電力PFAVを所定の電力値に制御することができる。
また、このデューティー制御において、平均進行波電力PFAVが設定電力値となるようにデューティー比を制御する際、平均進行波電力PFAVを垂下させる場合がある。この平均進行波電力PFAVを垂下させる要因としては、例えば反射波電力の増加(図2(b))、反射電圧や電流の増加がある。
このような平均進行波電力PFAVを垂下させる要因に対して、図2(a)で示すように、ONデューティーDonを下げることによって平均進行波電力PFAVを低下させる制御を行う。
また、別の電力制御は、デューティー制御において、オフ期間においてパルス出力の電力値を零と設定電力値との幅間で定める所定電力値とし、オン期間においてパルス出力の電力値を設定電力値とする制御形態(ハイ/ロウ電力制御)である。
図3は、このハイ/ロウ電力制御を示している。図3において、1周期Tcycは、ピーク進行波電力を出力する期間のハイ幅Thighと、電力出力がピーク進行波電力よりも低い進行波電力ロウレベルPlowとする期間のロウ幅Tlowとを有し、このThighとTlowに基づいてデューティー比が定められる。デューティー比は、例えば、1周期Tcycに対するハイ幅Thighの比率で表すことができる。平均進行波電力PFAVは、このデューティー比と、ピーク進行波電力Pおよび進行波電力ロウレベルPlowによって定まる。
ハイ/ロウ電力制御は、パルスのロウ期間での電力レベルを所定値以上に設定することによって、ロウ期間中のプラズマが消えるという状態を回避することができる。
次に、図4を用いてデューティー制御の制御形態について説明する。
デューティー制御の一制御形態は、周波数を一定とするPWM制御である。図4(a)はPWM制御を説明するための図である。
周波数を一定とする。図4(a)〜(c)では周期Tcycを一定としている。オン期間の時間幅Tonとオフ期間の時間幅Toffの時間幅の比率(ONデューティーDon)を制御する。図4(a)〜(c)は、時間幅Tonの比率が大きくなる順で示している。
デューティーの他の一制御形態は、オン幅あるいはオフ幅を一定とするPFM制御である。
図4(d)〜(f)はオン期間の時間幅を一定としオフ期間の時間幅を変化させるPFM制御の例であり、オフ期間の時間幅Toffが大きくなる順で示している。
図4(g)〜(i)はオフ期間の時間幅を一定としオン期間の時間幅を変化させるPFM制御の例であり、オン期間の時間幅Tonが大きくなる順で示している。
[パルス変調高周波電源装置の構成例]
次に、パルス変調高周波電源装置1についてより詳細な構成例について図5を用いて説明する。
高周波出力部4は、出力振幅制御部2の制御信号に基づいて直流入力電力の振幅値をPWM制御する回路部と、デューティー制御部3の制御信号に基づいてパルス出力のデューティー比を制御する回路部とを備える。
PWM制御を行う回路部は、例えば、直流入力電力の振幅値をPWM制御によって変更するスイッチング回路4a、スイッチング回路4aで振幅値が制御された直流電力からノイズ分を除去する平滑回路4bによって構成することができる。
直流入力電力は、直流電源が得られる直流入力電力を用いる他、交流電源から得られる交流電力をAC/DC変換器で直流電力に変換したものを用いることができる。
デューティー比を制御する回路部は、前記回路部で振幅制御した直流電力をパルス出力とすると共に、このパルス出力のデューティー比を制御して電力量を設定電力値となるように制御するスイッチング回路4cを備える。
また、高周波出力部4は、出力振幅制御部2およびデューティー制御部3にフィードバックするフィードバック値を検出する検出回路を備えることができる。なお、この検出回路は高周波出力部4の外部に設けることもできる。
図5では、検出器としてピーク進行波電力を検出する電力検出器4dを示している。電力検出器4dは、図示していない方向性結合器によってピーク進行波電力を選択して検出することができる。検出されたピーク進行波電力を、出力振幅制御部2にフィードバックすると共に、平均処理回路7で平均処理した平均進行波電力をデューティー制御部3にフィードバックする。
出力振幅制御部2は、例えば、誤差検出器2a、発振器2b、およびPWM制御回路2cで構成することができる。誤差検出器2aは、設定振幅値を指令値として入力すると共に、高周波出力部4からフィードバックされたピーク進行波電力をフィードバック値のパルス出力振幅値として入力し、パルス出力振幅値と設定振幅値との差分値を検出する。
PWM制御回路2cは、誤差検出器2aで検出した差分値を制御信号として、発振器2bからのパルス信号をPWM制御する。PWM制御によって、PWM回路2cからは振幅値が設定振幅値となるように制御する制御信号が形成される。
高周波出力部4のスイッチング回路4aは、このPWM回路2cの制御信号に基づいて直流電力の振幅値を制御する。
デューティー制御部3は、例えば、誤差検出器3a、発振器3b、およびデューティー比変更回路3cで構成することができる。
誤差検出器3aは、設定電力値を指令値として入力すると共に、高周波出力部4からフィードバックされ、平均処理回路7で平均処理された平均進行波電力をフィードバック値の電力値として入力し、フィードバックされた電力値と設定電力値との差分値を検出する。
デューティー比変更回路3cは、誤差検出器3aで検出した差分値を制御信号として、発振器3bからのパルス信号のデューティー比を変更する。デューティー比の変更によって、デューティー比変更回路3cからは、電力値が設定電力値となるように制御する制御信号が形成される。
高周波出力部4のスイッチング回路4cは、このデューティー比変更回路3cの制御信号に基づいてパルス出力のデューティー比を制御する。
[第1の態様:制御対象が進行波電力の場合の構成および制御]
次に、本発明の第1の態様として、制御対象が進行波電力の場合の構成および制御動作について図6〜図8を用いて説明する。
図6は進行波電力を制御対象とする場合の構成例を説明するための図である。図6において、パルス変調高周波電源装置1Aの構成は、図1で示した構成とほぼ同様であり、パルス出力の振幅を制御する出力振幅制御部2としてピーク進行波電力制御部2Aを備え、パルス出力のデューティー比を制御するデューティー制御部3として平均進行波電力制御部3Aを備え、パルス出力の高周波出力を出力する高周波出力部4として高周波出力部4Aを備える。高周波出力部4Aは負荷に高周波出力を出力する。
ピーク進行波電力制御部2Aは、ピーク進行波電力指令値を振幅指令値として入力し、ピーク進行波フィードバック値をパルス出力の振幅値として入力し、ピーク進行波電力の振幅値がピーク進行波電力指令値となるように、高周波出力部4Aの高周波出力回路4d0を定振幅制御する。
平均進行波電力制御部3Aは、平均進行波電力指令値を電力指令値として入力し、平均進行波フィードバック値をパルス出力の電力値として入力し、平均進行波電力の電力値が平均進行波電力指令値となるように、高周波出力部4Aの高周波出力回路4d0をデューティー制御する。また、このデューティー制御において、平均進行波電力フィードバック値が平均進行波電力指令値となるようにデューティー比を制御する際、平均進行波電力を垂下させる垂下要因(例えば、反射波電力、反射電圧、電流等の増加等)が発生した場合には、ONデューティーDonを下げることによって平均進行波電力を低下させる制御を行う。
ピーク進行波フィードバック値は、高周波出力部4Aが備える方向性結合器4d1で進行波電力を分離し、進行波電力検出器4d2によって検出することができる。ピーク進行波電力制御部2Aは、このピーク進行波フィードバック値を入力する。
平均処理部7Aは、ピーク進行波フィードバック値を平均処理して平均進行波電力とする。平均進行波電力制御部3Aは、この平均進行波電力をフィードバック値として入力する。
図7、8は、進行波電力を制御対象とするデューティー制御の動作例を説明するためのフローチャートおよび信号図である。
進行波電力検出部4d2によってピーク進行波電力を検出し(S1)、検出したピーク進行波電力の平均値を平均処理部7Aで求め、求めた平均進行波電力を平均進行波電力制御部3Aに入力する(S2)。
平均進行波電力制御部3Aは、入力した平均進行波電力と平均進行波電力指令値との差分を求める(S3)。求めた差分について、平均進行波電力が平均進行波電力指令値よりも小さい場合には(S4)、ONデューティーDonを大きく設定し(S5)、平均進行波電力が平均進行波電力指令値よりも大きい場合には、ONデューティーDonを小さく設定する(S6)。
平均進行波電力が平均進行波電力指令値に一致する場合には、ONデューティーDonは変更することなくその値を維持する(S7)。
図8に示す信号図において、図8(a)はピーク進行波電力Pを示し、図8(b)は平均進行波電力PFAVを示し、図8(c)はデューティー比(ONデューティーDon)を示している。
平均進行波電力のフィードバック値(図8(b)中の実線で示す)が平均進行波電力指令値(図8(b)中の破線で示す)よりも低下した場合(図8(b)中の時点A)には、ONデューティーDonを大きくする(図8(c)中の時点A)。ONデューティーDonを大きくすることにより、ピーク進行波電力Pのオン期間の比率が大きくなり(図8(a)中の時点A)、平均進行波電力が増加する。
平均進行波電力のフィードバック値(図8(b)中の実線で示す)が増加して平均進行波電力指令値(図8(b)中の破線で示す)に達した場合(図8(b)中の時点B)には、ONデューティーDonを元に戻す(図8(c)中の時点B)。ONデューティーDonを元に戻すことにより、ピーク進行波電力Pのオン期間の比率が元に戻る(図8(a)中の時点B)。
平均進行波電力のフィードバック値(図8(b)中の実線で示す)が平均進行波電力指令値(図8(b)中の破線で示す)よりも上昇した場合(図8(b)中の時点C)には、ONデューティーDonを小さくする(図8(c)中の時点C)。ONデューティーDonを小さくすることにより、ピーク進行波電力Pのオン期間の比率が小さくなり(図8(a)中の時点C)、平均進行波電力が減少する。
平均進行波電力のフィードバック値(図8(b)中の実線で示す)が減少して平均進行波電力指令値(図8(b)中の破線で示す)に達した場合(図8(b)中の時点D)には、ONデューティーDonを元に戻す(図8(c)中の時点D)。ONデューティーDonを元に戻すことにより、ピーク進行波電力Pのオン期間の比率が元に戻る(図8(a)中の時点D)。
[第2の態様:ピーク反射波電力の増加時の制御例]
次に、本発明の第2の態様として、前記した進行波電力の制御において、ピーク反射波電力が増加したときの制御について、図9〜図12を用いて説明する。
図9において、パルス変調高周波電源装置1Bの構成は、図6で示した構成とほぼ同様であり、パルス出力の振幅を制御するピーク進行波電力制御部2Bと、パルス出力のデューティー比を制御する平均進行波電力制御部3Bと、パルス出力の高周波出力を出力する高周波出力部4Bと、平均処理部7Bとを備える。高周波出力部4Bは、高周波出力回路4d0と、ピーク進行波電力を検出する進行波電力検出部4d2と、ピーク反射波電力を検出する反射波電力検出部4d3と、ピーク進行波電力とピーク反射波電力とを分離して取り出す方向性結合器4d1を備える。
反射波電力検出部4d3を除く構成部分は、図6で示したパルス変調高周波電源装置1Aの構成と同様であるため、ここでは主に反射波電力検出部4d3について説明する。
方向性結合器4d1はピーク進行波電力とピーク反射波電力とを分離し、ピーク進行波電力を進行波電力検出部4d2に入力し、ピーク反射波電力を反射波電力検出部4d3に入力する。
反射波電力検出部4d3は、検出したピーク反射波電力値を平均進行波電力制御部3Bに送り、平均進行波電力制御部3Bは送られたピーク反射波電力値を用いて、デューティー制御を調整する。このデューティー制御の調整は、例えば、ピーク反射波電力が増加した場合に、平均反射波電力を抑制することによって電源保護を行うために行う。このデューティー制御の調整において、ピーク進行波電力Pは一定に制御されているため、整合回路の整合動作は安定となり、チャンバーへの電力注入は安定する。
図10,11,12は、デューティー制御において、反射波電力の増加時の動作例を説明するためのフローチャートおよび信号図である。
デューティー制御において(S11)、反射波電力検出部4d3によって反射波電力を検出し、反射波電力が増加した場合には(S12)、平均進行波電力制御部3Bのデューティー制御で求めたデューティー比を下げ(S13)、平均反射波電力PRAVを抑制する(S14)。
平均反射波電力PRAVの抑制が不十分である場合には(S15)、S13の工程でデューティー比をさらに下げる。平均反射波電力PRAVが抑制された場合には(S15)、下げたデューティー比を元に戻す(S16)。
図11に示す信号図は、デューティー制御を行っている状態からピーク反射波電力が増加する場合に平均反射波電力を抑制する状態を示している。
図11(a)はピーク反射波電力Pおよび平均反射波電力PRAVを示し、図11(b)はデューティー比(ONデューティーDon)を示し、図11(c)はピーク進行波電力Pおよび平均進行波電力PFAVを示している。
ピーク反射波電力P(図11(a)中の実線で示す)が増加した場合(図11(a)中の時点E)には、ONデューティーDonを下げる(図11(b)中の時点E)。ONデューティーDonを下げることにより、ピーク進行波電力Pのオン期間の比率が小さくなり(図11(b)中の時点E)、平均進行波電力PFAVが減少し(図11(c)中の時点E)、平均反射波電力PRAVが減少する(図11(a)中の時点E)。
ピーク反射波電力のフィードバック値が減少した場合(図11(a)中の時点F)には、ONデューティーDonを元に戻す(図11(b)中の時点F)。ONデューティーDonを元に戻すことにより、ピーク進行波電力Pのオン期間の比率が元に戻って(図11(b)中の時点F)、平均進行波電力PFAVが元に戻り(図11(c)中の時点F)、平均反射波電力PRAVが元に戻る(図11(a)中の時点F)。
図12は、デューティー比(ONデューティーDon)の増減と平均進行波電力PFAVの増減との関係を説明するための信号図である。ここでは、周期(Tcyc)を一定とし、オン幅Tonを縮め、オフ幅Toffを広げることによってONデューティーDonを減少させる場合を示している。オン幅Tonの期間を短くし、オフ幅Toffの期間を長くすることによって、一周期内で負荷方向に供給される進行波電力の電力量は減るため、平均進行波電力PFAVは減少する。
[第3の態様:ロード電力制御の構成および制御]
次に、本発明の第3の態様として、ロード電力制御の構成および制御動作について図13〜図16を用いて説明する。
ロード電力は、進行波電力から反射波電力を差し引いた電力であり、ロード電力制御は、パルス変調高周波電源装置から負荷に実質的に供給される平均ロード電力(平均負荷電力)を制御することによって、ピーク進行波電力の出力を安定させる。
ロード電力制御は、出力振幅制御のパルス出力の制御対象をピーク進行波電力とし、デューティー制御工程のパルス出力の制御対象を平均ロード電力とし、出力振幅制御によってピーク進行波電力の振幅値が一定となるように定振幅制御を行い、デューティー制御によって、デューティー比で定まるピーク進行波電力とピーク反射波電力から求められるピークロード電力の平均電力値が設定電力値となるように定電力制御を行って平均ロード電力を制御する。
図13において、パルス変調高周波電源装置1Cの構成は、図9で示した構成とほぼ同様であり、ピーク進行波電力の振幅を制御するピーク進行波電力制御部2Cと、パルス出力のデューティー比を制御する平均ロード電力制御部3Cと、パルス出力の高周波出力を出力する高周波出力部4Cと、平均処理部7c1,7c2とを備える。高周波出力部4Cは、高周波出力回路4d0と、ピーク進行波電力を検出する進行波電力検出部4d2と、ピーク反射波電力を検出する反射波電力検出部4d3と、ピーク進行波電力とピーク反射波電力とを分離して取り出す方向性結合器4d1を備える。
平均処理部7c1は、進行波電力検出部4d2で検出したピーク進行波電力から平均進行波電力を求め、平均処理部7c2は、反射波電力検出部4d3で検出した反射波電力から平均反射波電力を求める。
平均ロード電力をデューティー制御する平均ロード電力制御部3C、反射波電力から平均反射波電力を求める平均処理部7c2を除く構成部分は、図9で示したパルス変調高周波電源装置1Bの構成と同様であるため、ここでは主に平均ロード電力のデューティー制御動作について説明する。
方向性結合器4d1はピーク進行波電力とピーク反射波電力とを分離し、ピーク進行波電力を進行波電力検出部4d2に入力し、ピーク反射波電力を反射波電力検出部4d3に入力する。
進行波電力検出部4d2は検出したピーク進行波電力値をピーク進行波電力制御部2Cに送ると共に、検出したピーク進行波電力値を平均処理部7c1に送る。平均処理部7c1は求めた平均進行波電力を平均ロード電力制御部3Cに送る。また、反射波電力検出部4d3は検出したピーク反射波電力値を平均処理部7c2に送り、平均処理部7c2は求めた平均反射波電力を平均ロード電力制御部3Cに送る。
平均ロード電力制御部3Cは、平均進行波電力値から平均反射波電力値を減算して平均ロード電力値を求める平均ロード電力検出部(図示していない)を備え、求めた平均ロード電力値をフィードバック値として平均ロード電力指令値と比較し、平均ロード電力値が平均ロード電力指令値となるようにデューティー制御を行う。
なお、平均ロード電力検出部は、平均ロード電力制御部3Cに設ける構成に限らず、平均処理部7c1,7c2等の回路内の構成する他、単独回路として構成してもよい。
また、平均ロード電力制御部3Cは、反射波電力検出部4d3から送られたピーク反射波電力値を用いて、デューティー制御を調整する。このデューティー制御の調整は、例えば、ピーク反射波電力が増加した場合に、平均ロード電力を抑制し、この平均ロード電力を抑制することによってピーク進行波電力を抑制して電源を保護するために行う。このデューティー制御の調整において、ピーク進行波電力Pは一定に制御されているため、整合回路の整合動作は安定となり、チャンバーへの電力注入は安定する。
図14,15,16は、デューティー制御において、ピーク反射波電力の増加時におけるロード電力の制御動作例を説明するためのフローチャートおよび信号図である。
ロード電力の制御は、平均ロード電力が平均ロード電力指令値となるようにデューティー制御を行う。
平均処理部7c1によって平均進行波電力PFAVを求め(S21)、平均処理部7c2によって平均反射波電力PRAVを求める(S22)。平均ロード電力検出部は、求めた平均進行波電力PFAVと平均反射波電力PRAVとの差分を以下の式により算出して平均ロード電力PLAVを求める(S23)。
LAV=PFAV−PRAV
平均ロード電力制御部3Cは、求めた平均ロード電力PLAVと平均ロード電力指令値PLAVOとの差分を求め(S24)、この差分値に基づいてデューティー値を変更し、差分が零となるように制御する(S26)。
平均ロード電力PLAVと平均ロード電力指令値PLAVOとの差分が零となるようにデューティー制御を行うことによって、ピーク進行波電力の振幅値を変えることなく、平均ロード電力PLAVを設定値に制御することができる(S25)。
上記デューティー制御の動作中において、反射波電力検出部4d3で検出した反射波電力を検出し、反射波電力の増加をモニタする。このとき、反射波電力が増加した場合には(S27)、平均ロード電力制御部3Cのデューティー制御で求めたデューティー比(オンデューティーDon)を上げて(S28)、平均進行波電力PFAVを上げることによって(S29)、平均ロード電力PLAVを抑制して一定に保持し(S30)、ピーク進行波電力Pの出力を安定させる。
ピーク反射波電力が減少した場合には(S31)、上げたデューティー比を元に戻し(S32)、通常のデューティー制御を行う。
図15に示す信号図は、デューティー制御を行っている状態からピーク反射波電力が増加する場合に平均ロード電力を抑制する状態を示している。
図15(a)はピーク反射波電力Pおよび平均反射波電力PRAVを示し、図15(b)はデューティー比(ONデューティーDon)を示し、図15(c)はピーク進行波電力Pおよび平均進行波電力PFAVを示し、図15(d)はピークロード電力Pおよび平均ロード電力PLAVを示している。
デューティー制御中にピーク反射波電力P(図15(a)中の実線で示す)が増加すると平均反射波電力PRAVも増加し(図15(a)中の時点G−H間)、ピークロード電力Pおよび平均ロード電力PLAVが減少する(図15(d)中の時点G−H間)。
平均ロード電力制御部3Cは、ピーク反射波電力Pの増加を検出するとONデューティーDonを上げる(図15(b)中の時点H)。ONデューティーDonを上げることにより、平均進行波電力PFAVが増加し(図15(c)中の時点H)、平均ロード電力PLAVが増加して元に戻ることができる(図15(d)中の時点H)。
その後、ピーク反射波電力Pの増加が解消されて元に戻ると、平均反射波電力PRAVも低下して元に戻る(図15(a)中の時点I)。
平均ロード電力制御部3Cは、ピーク反射波電力Pの復帰を検出するとONデューティーDonを下げて元に戻す(図15(b)中の時点I)。ONデューティーDonを下げることにより、平均進行波電力PFAVが減少して元に戻る(図15(c)中の時点I)。平均進行波電力PFAVが元に戻ることによって、通常のデューティー制御において、ピークロード電力Pおよび平均ロード電力PLAVを元の状態に維持することができる(図15(d)中の時点I)。
図16は、従来のパルスピークロード制御の動作例を示している。このパルスピークロード制御では、ピーク反射波電力が変動すると、ピーク進行波電力を制御することでピークロード電力を制御している。
例えば、ピーク反射波電力Pが増加すると(図16(a)中の時点J)、ピーク進行波電力Pを増加させる制御を行い(図16(b)中の時点J)、ピーク進行波電力Pを増加させることによって、ピークロード電力Pが一定となるように制御する(図16(c)中の時点J)。
また、ピーク反射波電力Pの増加が解消されると(図16(a)中の時点K)、ピーク進行波電力Pを低減させて元に戻す制御を行う(図16(b)中の時点K)。
このパルスピークロード制御では、ピーク進行波電力が変動するため、ピーク進行波電力の負荷への供給が変動し、負荷でのプラズマ密度が変動して不安定となるおそれがある。
これに対して、本発明のデューティー制御によれば、ピーク進行波電力を一定の維持したまま平均ロード電力を制御することができ、ピーク進行波電力が変動することによる不安定動作を回避することができる。
[第4の態様:連続進行波電力制御モードにデューティー制御を適用する場合の構成および制御]
次に、本発明の第4の態様として、連続進行波電力制御モードにデューティー制御を適用する場合の構成および制御動作について図17〜図20を用いて説明する。
本発明のデューティー制御工程は、不連続出力とするパルス出力制御と、パルス出力を連続出力とする連続出力制御とを含むことができる。
パルス出力制御は、パルス出力の一周期内におけるオン時間とオフ時間とで定まるデューティー比においてオン時間を100%未満とし、ピーク進行波電力の平均電力値がそのピーク進行波電力よりも小さくなるように制御して、パルス出力を不連続出力とする制御である。
また、連続出力制御は、パルス出力の一周期内におけるオン時間とオフ時間とで定まるデューティー比においてオフ時間を0%としオン時間を100%とし、ピーク進行波電力の平均電力値がピーク進行波電力と等しくなるように制御して、パルス出力を連続出力とする制御である。
連続進行波電力制御モードは、進行波電力を連続出力制御するモードである。この連続進行波電力制御モードにおいて、プロセスの過程中など負荷に対して定常状態で進行波電力を供給する際に、例えばチャンバー内でのガス圧の変化やイオン反応などの要因によってチャンバー内のインピーダンスが変化する場合など、負荷のインピーダンスが変化した場合には反射波電力が一時的に増加することがある。
本発明は、このような連続進行波電力制御モードにおいてデューティー制御を適用することによって、ピーク反射波電力が増加した場合であっても、従来の制御のようにピーク進行波電力を変えることなく平均反射波電力を抑制して、安定して電力を負荷に供給する。
図17は、連続進行波電力制御モードにデューティー制御を適用する場合の構成例を示す図である。
図17において、パルス変調高周波電源装置1Dの構成は、図9で示した構成とほぼ同様であり、ピーク進行波電力の振幅を制御するピーク進行波電力制御部2Dと、パルス出力のデューティー比を制御する平均進行波電力制御部3Dと、パルス出力の高周波出力を出力する高周波出力部4Dと、平均処理部7Dとを備え、さらに、平均進行波電力制御部3Dが行うデューティー制御のデューティー比を制御するデューティー制御部8Dを備える。
また、高周波出力部4Dは、高周波出力回路4d0と、ピーク進行波電力を検出する進行波電力検出部4d2と、ピーク反射波電力を検出する反射波電力検出部4d3と、ピーク進行波電力とピーク反射波電力とを分離して取り出す方向性結合器4d1を備える。
平均処理部7Dは、進行波電力検出部4d2で検出したピーク進行波電力から平均進行波電力を求め、求めた平均進行波電力を平均進行波電力制御部3Dにフィードバックする。
平均進行波電力をデューティー制御する平均進行波電力制御部3D、デューティー制御部8Dを除く構成部分は、図9で示したパルス変調高周波電源装置1Bの構成とほぼ同様であるため、ここでは主に平均進行波電力制御部3Dの連続出力制御およびデューティー制御について説明する。
方向性結合器4d1はピーク進行波電力とピーク反射波電力とを分離し、ピーク進行波電力を進行波電力検出部4d2に入力し、ピーク反射波電力を反射波電力検出部4d3に入力する。
進行波電力検出部4d2は検出したピーク進行波電力値をピーク進行波電力制御部2Dに送ると共に、検出したピーク進行波電力値を平均処理部7Dに送る。平均処理部7Dは求めた平均進行波電力を平均進行波電力制御部3Dに送る。また、反射波電力検出部4d3は検出したピーク反射波電力値をデューティー制御部8Dに送り、デューティー制御部8Dは、反射波電力の変動に応じて平均進行波電力制御部3Dで行うデューティー制御のデューティー比を変更する。
平均進行波電力制御部3Dは、平均処理部7Dからの平均進行波電力値をフィードバック値として平均進行波電力指令値と比較し、平均進行波電力値が平均進行波電力指令値となるようにデューティー制御を行う。
平均進行波電力制御部3Dは、通常状態では、デューティー比(ONデューティーDon)を100%として連続出力制御を行い、デューティー制御部8Dから送られた制御信号によってデューティー制御を調整して、連続出力制御とパルス出力制御とを切り換える。ここで、連続出力制御は、デューティー制御においてデューティー比(ONデューティーDon)を100%とする制御形態であり、パルス出力制御は、デューティー制御においてデューティー比(ONデューティーDon)を100%より小さな値で行う制御形態である。
このデューティー制御の調整は、例えば、ピーク反射波電力が増加した場合に、デューティー比(ONデューティーDon)を100%から100%よりも小さな所定値に切り換えることによって連続出力制御からパルス出力制御に切り換えることによって、平均反射波電力を抑制して電源を保護する。このデューティー制御の調整において、ピーク進行波電力Pは一定に制御されているため、整合回路の整合動作は安定となり、チャンバーへの電力注入は安定する。
図18,19,20は、連続進行波電力制御モードにおいて、ピーク反射波電力の増加時における進行波電力の制御動作例を説明するためのフローチャートおよび信号図である。
平均進行波電力制御部3Dは、通常状態では、連続出力制御によって平均進行波電力が平均進行波電力指令値となるように制御する。
この制御状態では、デューティー比(ONデューティーDon)を100%とし(S41)、ピーク進行波電力を連続進行波電力制御モードで制御する(S42)。
この連続進行波電力制御モードにおいて、デューティー制御部8Dは反射波電力検出部4d3で検出したピーク反射波電力をモニタする。デューティー制御部8Dは、ピーク反射波電力の増加を検出すると(S43)、デューティー比(ONデューティーDon)を100%の連続出力からデューティー比(ONデューティーDon)が100%よりも小さいパルス出力に切り換える。これによって、ピーク進行波電力Pの出力を安定させた状態で、平均反射波電力を抑制することができる(S44)。
デューティー制御部8Dは、ピーク反射波電力の減少を検出すると(S45)、デューティー比(ONデューティーDon)を100%に戻してパルス出力から連続出力に切り換えて、連続出力による連続進行波電力制御モードに戻す(S46)。
図19に示す信号図は、連続出力とパルス出力との切換を示している。
図19(a)はピーク反射波電力Pおよび平均反射波電力PRAVを示し、図19(b)はデューティー比(ONデューティーDon)を示し、図19(c)はピーク進行波電力Pおよび平均進行波電力PFAVを示している。
連続進行波電力制御モードにおいて、デューティー比(ONデューティーDon)を100%として連続出力を行っている間に、ピーク反射波電力P(図19(a)中の実線で示す)が増加すると平均反射波電力PRAV(図19(a)中の破線で示す)も増加する(図19(a)中の時点L−M間)。
デューティー制御部8Dは、ピーク反射波電力Pの増加を検出するとONデューティーDonを100%から下げる(図19(b)中の時点L)。ONデューティーDonを下げることにより、平均進行波電力PFAVが減少する(図19(c)中の時点L)。
その後、ピーク反射波電力Pの増加が解消されて元に戻ると、デューティー制御部8Dは、ピーク反射波電力Pの減少を検出してONデューティーDonを100%に戻す(図19(b)中の時点M)。ONデューティーDonを100%として連続制御を再開することにより、平均進行波電力PFAVは元に状態に戻す(図19(c)中の時点M)。
本発明の制御態様によれば、通常状態ではONデューティーDonを100%として連続出力制御を行い、ピーク反射波電力が増加したときにONデューティーDonを100%よりも小さくてパルス出力制御を行うことによって、平均進行波電力を低下させて平均反射波電力を抑制する。
図20は、従来の連続出力制御の動作例を示している。この連続出力制御では、ピーク反射波電力が変動すると、ピーク進行波電力を制御することで平均進行波電力を制御している。
例えば、ピーク反射波電力Pが増加すると(図20(b)中の時点O)、ピーク進行波電力Pを減少させる制御を行い(図20(a)中の時点O)、ピーク進行波電力Pを減少させることによって、平均進行波電力を抑制する。
また、ピーク反射波電力Pの増加が解消されると(図20(b)中の時点P)、ピーク進行波電力Pを増加させて元に戻す制御を行う(図20(a)中の時点P)。
この連続出力制御では、ピーク進行波電力が変動するため、ピーク進行波電力の負荷への供給が変動し、負荷でのプラズマ密度が変動して不安定となるおそれがある。
これに対して、本発明の制御によれば、ピーク進行波電力を一定の維持したまま平均進行波電力を制御することができ、ピーク進行波電力が変動することによる不安定動作を回避することができる。
[第5の態様:連続進行波電力制御モードにデューティー制御を適用してピーク進行波電力を増加させる場合の構成および制御](図21〜図24)
次に、本発明の第5の態様として、連続進行波電力制御モードにデューティー制御を適用してピーク進行波電力を増加させる場合の構成および制御動作について図21〜図24を用いて説明する。
負荷側のチャンバーでプラズマを生成する際、プラズマ生成のプロセスを開始するときに、プラズマが着火する前に反射波電力が増加する傾向がある。従来の制御方法では、この反射波電力の増加に対して進行波電力を垂下させることによって、高周波出力電源側への影響を低減している。しかしながら、このように進行波電力を垂下させる制御では、チャンバー内の電圧状態がプラズマ着火電圧よりも低下すると、プラズマが着火しなくなるという問題がある。
本態様は、前記した態様と同様に、連続進行波電力制御モードにおいてデューティー制御を適用することによって、ピーク反射波電力が増加した場合であっても、従来の制御のようにピーク進行波電力を変えることなく平均反射波電力を抑制して、安定して電力を負荷に供給する。
この態様と前記態様との相違は、前記態様が一定のピーク進行波電力を供給する通常状態での電力供給に係わるものであるのに対して、本態様はプロセス開始時等のピーク進行波電力を漸次増加させる電力供給に係わるものである。
図21は、連続進行波電力制御モードにデューティー制御を適用してピーク進行波電力を増加させる場合の構成例を示す図であり、図17に示した前記態様の構成例と同様とすることができる。
図21において、パルス変調高周波電源装置1Eの構成は、ピーク進行波電力の振幅を制御するピーク進行波電力制御部2Eと、パルス出力のデューティー比を制御する平均進行波電力制御部3Eと、パルス出力の高周波出力を出力する高周波出力部4Eと、平均処理部7Eとを備え、さらに、平均進行波電力制御部3Eが行うデューティー制御のデューティー比を制御するデューティー制御部8Eを備える。
また、高周波出力部4Eは、高周波出力回路4d0と、ピーク進行波電力を検出する進行波電力検出部4d2と、ピーク反射波電力を検出する反射波電力検出部4d3と、ピーク進行波電力とピーク反射波電力とを分離して取り出す方向性結合器4d1を備える。
平均処理部7Eは、進行波電力検出部4d2で検出したピーク進行波電力から平均進行波電力を求め、求めた平均進行波電力を平均進行波電力制御部3Eにフィードバックする。
方向性結合器4d1はピーク進行波電力とピーク反射波電力とを分離し、ピーク進行波電力を進行波電力検出部4d2に入力し、ピーク反射波電力を反射波電力検出部4d3に入力する。
進行波電力検出部4d2は、検出したピーク進行波電力値をピーク進行波電力制御部2Eに送ると共に、検出したピーク進行波電力値を平均処理部7Eに送る。平均処理部7Eは求めた平均進行波電力を平均進行波電力制御部3Eに送る。また、反射波電力検出部4d3は検出したピーク反射波電力値をデューティー制御部8Eに送り、デューティー制御部8Eは、プロセススタート時において、反射波電力の変動に応じて平均進行波電力制御部3Eで行うデューティー制御のデューティー比を変更する。
平均進行波電力制御部3Eは、平均処理部7Eからの平均進行波電力値をフィードバック値として平均進行波電力指令値と比較し、平均進行波電力値が平均進行波電力指令値となるようにデューティー制御を行う。
平均進行波電力制御部3Eは、プロセススタート時および通常状態において、デューティー比(ONデューティーDon)を100%として連続出力制御を開始し、デューティー制御部8Eから送られた制御信号によってデューティー制御を調整して、連続出力制御とパルス出力制御とを切り換える。ここで、連続出力制御は、デューティー制御においてデューティー比(ONデューティーDon)を100%とする制御形態であり、パルス出力制御は、デューティー制御においてデューティー比(ONデューティーDon)を100%より小さな値で行う制御形態である。
このデューティー制御の調整は、例えば、ピーク反射波電力が増加した場合に、デューティー比(ONデューティーDon)を100%から100%よりも小さな所定値に切り換えることによって連続出力制御からパルス出力制御に切り換えることによって、平均反射波電力を抑制して電源を保護する。このデューティー制御の調整において、ピーク進行波電力Pは一定に制御されているため、整合回路の整合動作は安定となり、チャンバーへの電力注入は安定する。
図22,23,24は、連続進行波電力制御モードにおいて、プロセススタート時にピーク反射波電力の増加による進行波電力の制御動作例を説明するためのフローチャートおよび信号図である。
平均進行波電力制御部3Eは、プロセス開始時および通常状態において、連続出力制御によって平均進行波電力が平均進行波電力指令値となるように制御する。また、ピーク進行波電力制御部2Eにおいて、プロセス開始時では零から定常電力値まで所定の増加率で増加させ、通常状態では定常電力値となるピーク進行波電力指令に基づいてプロセスを開始させる(S51)。
このプロセス開始時において、平均進行波電力制御部3Eは、デューティー比(ONデューティーDon)を100%とし、連続進行波電力制御モードで制御する(S52)。
この連続進行波電力制御モードにおいて、デューティー制御部8Eは反射波電力検出部4d3で検出したピーク反射波電力をモニタする。デューティー制御部8Eは、ピーク反射波電力の増加を検出すると(S53)、デューティー比(ONデューティーDon)を100%の連続出力からデューティー比(ONデューティーDon)が100%よりも小さいパルス出力に切り換える。これによって、ピーク進行波電力Pの出力を安定させた状態で、平均反射波電力を抑制することができる(S54)。
デューティー制御部8Dは、着火または許容ピーク反射波電力を検出すると(S55)、デューティー比(ONデューティーDon)を100%に戻してパルス出力から連続出力に切り換えて、連続出力による連続進行波電力制御モードに戻す(S56)。着火の検出は、例えば、反射波電力の変動を検出することで行うことができる。
図23に示す信号図は、プロセススタート時における連続出力とパルス出力との切換を示している。
図23(a)はピーク反射波電力Pおよび平均反射波電力PRAVを示し、図23(b)はデューティー比(ONデューティーDon)を示し、図23(c)はピーク進行波電力Pおよび平均進行波電力PFAVを示している。
連続進行波電力制御モードにおいて、デューティー比(ONデューティーDon)を100%として連続出力を行い、プロセススタート時にピーク進行波電力を零から所定の設定ピーク進行波電力値に向かって増加させる(図23(c)のQ)。このプロセススタート時に、ピーク反射波電力P(図23(a)中の実線で示す)が増加すると平均反射波電力PRAV(図23(a)中の破線で示す)も増加する(図23(a)中の時点R)。
デューティー制御部8Eは、ピーク反射波電力Pの増加を検出するとONデューティーDonを100%から下げる(図23(b)中の時点R)。ONデューティーDonを下げることにより、平均進行波電力PFAVの増加を抑制し(図23(c)中の期間R−S)、平均反射波電力PRAVの増加を抑制する(図23(a)中の期間R−S)。
その後、ピーク反射波電力Pの増加が解消されて元に戻ると、デューティー制御部8Eは、ピーク反射波電力Pの減少を検出してONデューティーDonを100%に戻す(図23(b)中の時点S)。ONデューティーDonを100%として連続制御を再開することにより、平均進行波電力PFAVは通常状態となる(図23(c)中の時点S)。
本発明の制御態様によれば、プロセススタート時においてデューティーDonを100%として連続出力制御を行い、ピーク反射波電力が増加したときにONデューティーDonを100%よりも小さくしてパルス出力制御を行うことによって、平均進行波電力を低下させて平均反射波電力を抑制する。
図24は、従来の連続出力制御の動作例を示している。この連続出力制御では、プロセススタート時にピーク反射波電力が変動すると、ピーク進行波電力を制御することで平均進行波電力を制御している。
例えば、ピーク反射波電力Pが増加すると(図24(b)中の時点T)、ピーク進行波電力Pを減少させる制御を行い(図24(a)中の時点T)、ピーク進行波電力Pを減少させることによって、平均進行波電力を抑制する。
この連続出力制御では、ピーク進行波電力が変動するため、ピーク進行波電力の負荷への供給が変動し、負荷でのプラズマ密度が変動して不安定となるおそれがある。
これに対して、本発明の制御によれば、ピーク進行波電力を一定の維持したまま平均進行波電力を制御することができ、ピーク進行波電力が変動することによる不安定動作を回避することができる。
[第6の態様:のデューティー制御においてピーク進行波電力を増加させる場合の構成および制御]
次に、本発明の第6の態様として、デューティー制御においてピーク進行波電力を増加させる場合の構成および制御動作について図25、図26を用いて説明する。
ここで示す態様は、前記した態様と同様にプロセススタート時の制御態様である。前記した態様は、連続進行波電力制御モードにおいてデューティー制御を適用し、ピーク反射波電力が増加したときにデューティー制御によって連続出力からパルス出力に切り換える制御態様であるのに対して、ここで示す態様は、進行波電力の制御において、ピーク進行波電力の振幅値を一定となるように制御すると共に、プロセススタートをパルス出力で開始してデューティー比(ONデューティーDon)を増加させ、定常状態ではデューティー比(ONデューティーDon)を100%として連続出力に切り換える制御態様である。
この制御態様によれば、プロセススタート時にピーク反射波電力が増加した場合であっても、デューティー比(ONデューティーDon)が100%よりも小さい状態にあるため、従来の制御のようにピーク進行波電力を変えることなく平均反射波電力を抑制して、安定して電力を負荷に供給する。
この形態の構成は、図21に示す第5の構成例と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
図25,26は、連続進行波電力制御モードにおいて、プロセススタート時にデューティー制御においてピーク進行波電力を増加させる進行波電力の制御動作例を説明するためのフローチャートおよび信号図である。
平均進行波電力制御部は、プロセススタート時においてデューティー制御によって平均進行波電力を増加させ、定常時においてデューティー制御によって所定の平均進行波電力となるように制御する。この制御は、平均進行波電力指令値とフィードバック値との比較に基づく制御で行うことができる。
また、ピーク進行波電力の振幅値は、ピーク進行波電力制御部によって所定の大きさのピーク進行波電力指令値に基づいて定振幅制御される。
プロセススタート時には(S61)、平均進行波電力制御部はデューティー比(ONデューティーDon)を零から順に100%まで増加させることによって平均進行波電力を増加させる(S62,S63)。この工程の間にプラズマの着火が行われる。この態様では、平均進行波電力が定常時の電力量に達するまでは、デューティー制御を行うことによって負荷に供給される平均進行波電力は抑制されているため、反射波電力も抑制される。
図26に示す信号図は、プロセススタート時におけるデューティー制御を示している。図26(a)はデューティー比(ONデューティーDon)を示し、図26(b)はピーク進行波電力Pおよび平均進行波電力PFAVを示し、図26(c)はピーク反射波電力Pおよび平均反射波電力PRAVを示している。
プロセススタート時に、デューティー比(ONデューティーDon)を0%から順に100%に増加させ(図26(a))、平均進行波電力を零から所定の設定平均進行波電力値に向かって増加させる(図26(c))。
このプロセススタート時に、ピーク反射波電力P(図26(b)中の実線で示す)が増加すると平均反射波電力PRAV(図26(b)中の破線で示す)も増加する。
プロセススタート時には、平均進行波電力PFAVが抑制されているため、反射波が発生した場合であっても、その平均反射波電力PRAVは抑制されているため、高周波出力電源に対する影響を抑制することができる。
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨に基づいて種々変形することが可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明のパルス変調高周波電力制御方法およびパルス変調高周波電源装置は、プラズマエッチング、プラズマCVDを行うプラズマ処理装置等の負荷に対する高周波電力の供給に適用することができる。

Claims (32)

  1. 負荷に供給する高周波電力を制御する高周波電力の制御方法において、
    前記高周波電力を時間的に断続出力させてパルス出力を高周波出力として出力し、
    前記パルス出力の振幅を制御する出力振幅制御工程と、
    前記パルス出力のデューティー比を制御するデューティー制御工程とを備え、
    前記出力振幅制御工程は、前記パルス出力の振幅値を制御して、振幅値が設定振幅値となるように定振幅制御を行い、
    前記デューティー制御工程は、前記パルス出力のデューティー比を制御して、当該デューティー比で定まる電力量が設定電力値となるように定電力制御を行い、
    前記出力振幅制御工程と前記デューティー制御工程とをそれぞれ独立に行って高周波電力をパルス変調することを特徴とする、パルス変調高周波電力制御方法。
  2. 前記出力振幅制御工程および前記デューティー制御工程は、負荷に供給する電力、電圧、および電流の何れか一つをパルス出力の制御対象とすることを特徴とする、請求項1に記載のパルス変調高周波電力制御方法。
  3. 前記デューティー制御工程は、デューティー比の制御によってオフ時間を零とし、パルス出力を連続出力とする工程を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のパルス変調高周波電力制御方法。
  4. 前記パルス出力の制御対象をピーク進行波電力とし、
    前記出力振幅制御工程は、ピーク進行波電力の振幅値が設定振幅値となるように定振幅制御を行い、
    前記デューティー制御工程は、デューティー比で定まるピーク進行波電力の平均電力値が設定電力値となるように定電力制御を行い、
    ピーク進行波電力を制御することを特徴とする、請求項1から3の何れか一つに記載のパルス変調高周波電力制御方法。
  5. 前記デューティー制御工程は、
    パルス出力の一周期内におけるオン時間とオフ時間とで定まるデューティー比においてオン時間を100%未満とし、前記ピーク進行波電力の平均電力値が当該ピーク進行波電力の振幅値よりも小さくなるように制御して、パルス出力を不連続出力とするパルス出力制御と、
    パルス出力の一周期内におけるオン時間とオフ時間とで定まるデューティー比においてオフ時間を0%としオン時間を100%とし、パルス出力を連続出力とする連続出力制御とを含むことを特徴とする、請求項4に記載のパルス変調高周波電力制御方法。
  6. 前記出力振幅制御工程におけるパルス出力の制御対象をピーク進行波電力とし、
    前記デューティー制御工程におけるパルス出力の制御対象を平均ロード電力とし、
    前記出力振幅制御工程は、前記ピーク進行波電力の振幅値が一定となるように定振幅制御を行い、
    前記デューティー制御工程は、デューティー比で定まるピーク進行波電力とピーク反射波電力から求められるピークロード電力の平均電力値が設定電力値となるように定電力制御を行って平均ロード電力を制御することを特徴とする、請求項1から3の何れか一つに記載のパルス変調高周波電力制御方法。
  7. 前記デューティー制御工程は、
    前記出力振幅制御工程の定電力制御で得られたフィードバック値に基づいて、パルス出力のデューティー比を増減することを特徴とする、請求項1から6の何れか一つに記載のパルス変調高周波電力制御方法。
  8. 前記パルス出力の制御対象をピーク進行波電力とするピーク進行波電力制御において
    前記デューティー制御工程は、ピーク反射波電力値をフィードバックし、当該ピーク反射波電力の増加時に前記デューティー比のオン時間比率を小さくして平均反射波電力の増加を抑制することを特徴とする、請求項4に記載のパルス変調高周波電力制御方法。
  9. 前記パルス出力の制御対象をピーク進行波電力および平均ロード電力とするロード電力制御において、
    前記デューティー制御工程は、
    ピーク反射波電力値をフィードバックし、
    当該ピーク反射波電力の増加時に、前記デューティー比のオン時間比率を大きくして平均ロード電力を一定に制御することを特徴とする、請求項6に記載のパルス変調高周波電力制御方法。
  10. 前記連続出力制御において、ピーク反射波電力の振幅値が過大であるとき、前記デューティー比のオン時間の比率を100パーセントから小さくして、連続出力制御からパルス出力制御に切り換えることにより、平均反射波電力の増加を抑制することを特徴とする、請求項3又は5に記載のパルス変調高周波電力制御方法。
  11. 前記連続出力制御によってピーク進行波電力を増加させる期間において、
    ピーク反射波電力の振幅値が過大であるとき、前記デューティー比のオン時間比率を100パーセントから小さくして、連続出力制御からパルス出力制御に切り換え、
    ピーク進行波電力が増加した後、前記デューティー比のオン時間比率を100パーセントに戻して、パルス出力制御から連続出力制御に切り換えることにより、ピーク進行波電力を増加させる期間での平均反射波電力の増加を抑制することを特徴とする、請求項3又は5に記載のパルス変調高周波電力制御方法。
  12. 前記デューティー制御によってピーク進行波電力を増加させる期間において、
    前記デューティー比のオン時間比率を漸次増加させることによって、平均反射波電力の増加を抑制することを特徴とする、請求項4に記載のパルス変調高周波電力制御方法。
  13. 前記デューティー制御において、オフ期間はパルス出力の電力値を零とし、オン期間はパルス出力の電力値を設定電力値とすることを特徴とする、請求項1から12の何れか一つに記載のパルス変調高周波電力制御方法。
  14. 前記デューティー制御において、オフ期間はパルス出力の電力値を零と設定電力値との幅間で定める所定電力値とし、オン期間はパルス出力の電力値を設定電力値とすることを特徴とする、請求項1から12の何れか一つに記載のパルス変調高周波電力制御方法。
  15. 前記デューティー制御において、周波数を一定とし、オン期間の時間幅とオフ期間の時間幅の時間幅の比率を制御することを特徴とする、請求項1から12の何れか一つに記載のパルス変調高周波電力制御方法。
  16. 前記デューティー制御において、オン期間の時間幅を一定としオフ期間の時間幅を変化させる、又は、オフ期間の時間幅を一定としオン期間の時間幅を変化させることによってパルス出力の周波数を制御することを特徴とする、請求項1から12の何れか一つに記載のパルス変調高周波電力制御方法。
  17. 負荷に高周波電力を供給する高周波電源装置において、
    パルス出力の高周波出力を出力する高周波出力部と、
    前記パルス出力の振幅を制御する出力振幅制御部と、
    前記パルス出力のデューティー比を制御するデューティー制御部とを備え、
    前記出力振幅制御部は、前記パルス出力の振幅値を制御して、振幅値が設定振幅値となるように定振幅制御を行い、
    前記デューティー制御部は、前記パルス出力のデューティー比を制御して、当該デューティー比で定まる電力量が設定電力値となるように定電力制御を行い、
    前記出力振幅制御部と前記デューティー制御部は、高周波出力部をそれぞれ独立に制御して高周波電力をパルス変調することを特徴とする、パルス変調高周波電源装置。
  18. 前記出力振幅制御部および前記デューティー制御部は、負荷に供給する電力、電圧、および電流の何れか一つをパルス出力の制御対象とすることを特徴とする、請求項17に記載のパルス変調高周波電源装置。
  19. 前記デューティー制御部は、デューティー比の制御によってオフ時間を零とし、パルス出力を連続出力とすることを特徴とする、請求項17又は18に記載のパルス変調高周波電源装置。
  20. 前記パルス出力の制御対象をピーク進行波電力とし、
    前記出力振幅制御部は、ピーク進行波電力の振幅値が設定振幅値となるように定振幅制御を行い、
    前記デューティー制御部は、デューティー比で定まるピーク進行波電力の平均電力値が設定電力値となるように定電力制御を行い、ピーク進行波電力を制御することを特徴とする、請求項17から19の何れか一つに記載のパルス変調高周波電源装置。
  21. 前記デューティー制御部は、
    パルス出力の一周期内におけるオン時間とオフ時間とで定まるデューティー比においてオン時間を100%未満とし、前記ピーク進行波電力の平均電力値が当該ピーク進行波電力の振幅値よりも小さくなるように制御して、パルス出力を不連続出力とするパルス出力制御と、
    パルス出力の一周期内におけるオン時間とオフ時間とで定まるデューティー比においてオフ時間を0%としオン時間を100%とし、パルス出力を連続出力とする連続出力制御の制御を切換可能であることを特徴とする、請求項20に記載のパルス変調高周波電源装置。
  22. 前記出力振幅制御部におけるパルス出力の制御対象をピーク進行波電力とし、
    前記デューティー制御部におけるパルス出力の制御対象を平均ロード電力とし、
    前記出力振幅制御部は、前記ピーク進行波電力の振幅値が一定となるように定振幅制御を行い、
    前記デューティー制御部は、デューティー比で定まるピーク進行波電力とピーク反射波電力から求められるピークロード電力の平均電力値が設定電力値となるように定電力制御を行って平均ロード電力を制御することを特徴とする、請求項17から19の何れか一つに記載のパルス変調高周波電源装置。
  23. 前記デューティー制御部は、
    パルス出力のフィードバック値に基づいて、前記定電力制御で得られたデューティー比を増減することを特徴とする、請求項17から22の何れか一つに記載のパルス変調高周波電源装置。
  24. 前記パルス出力の制御対象をピーク進行波電力とするピーク進行波電力制御において
    前記デューティー制御は、反射波電力値をフィードバックし、当該反射波電力の増加時に前記デューティー比のオン時間比率を小さくして平均反射波電力の増加を抑制することを特徴とする、請求項20に記載のパルス変調高周波電源装置。
  25. 前記パルス出力の制御対象をピーク進行波電力および平均ロード電力とするロード電力制御において、
    前記デューティー制御は、
    ピーク反射波電力値をフィードバックし、
    当該ピーク反射波電力の増加時に、前記デューティー比のオン時間比率を大きくして平均ロード電力を一定に制御することを特徴とする、請求項22に記載のパルス変調高周波電源装置。
  26. 前記デューティー制御は、
    前記連続出力制御において、反射波電力の振幅値が過大であるとき、前記デューティー比のオン時間の比率を100パーセントから小さくして、連続出力制御からパルス出力制御に切り換えることにより、平均反射波電力の増加を抑制することを特徴とする、請求項19又は21に記載のパルス変調高周波電源装置。
  27. 前記デューティー制御は、
    前記連続出力制御によってピーク進行波電力を増加させる期間において、
    反射波電力の振幅値が過大であるとき、前記デューティー比のオン時間比率を100パーセントから小さくして、連続出力制御からパルス出力制御に切り換え、
    ピーク進行波電力が増加した後、前記デューティー比のオン時間比率を100パーセントに戻して、パルス出力制御から連続出力制御に切り換えることにより、ピーク進行波電力を増加させる期間での平均反射波電力の増加を抑制することを特徴とする、請求項19又は21に記載のパルス変調高周波電源装置。
  28. 前記デューティー制御は、
    ピーク進行波電力を増加させる期間において、
    前記デューティー比のオン時間比率を漸次増加させることによって、平均反射波電力の増加を抑制することを特徴とする、請求項20に記載のパルス変調高周波電源装置。
  29. 前記デューティー制御は、
    オフ期間はパルス出力の電力値を零とし、オン期間はパルス出力の電力値を設定電力値とすることを特徴とする、請求項17から28の何れか一つに記載のパルス変調高周波電源装置。
  30. 前記デューティー制御は、
    オフ期間はパルス出力の電力値を零と設定電力値との幅間で定める所定電力値とし、オン期間はパルス出力の電力値を設定電力値とすることを特徴とする、請求項17から28の何れか一つに記載のパルス変調高周波電源装置。
  31. 前記デューティー制御は、
    周波数を一定とし、オン期間の時間幅とオフ期間の時間幅の時間幅の比率を制御することを特徴とする、請求項17から28の何れか一つに記載のパルス変調高周波電源装置。
  32. 前記デューティー制御は、
    オン期間の時間幅を一定としオフ期間の時間幅を変化させる、又は、オフ期間の時間幅を一定としオン期間の時間幅を変化させることによってパルス出力の周波数を制御することを特徴とする、請求項17から28の何れか一つに記載のパルス変調高周波電源装置。
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