JPWO2011004497A1 - 記録再生装置、ギャップ制御方法、ギャップ制御プログラム、並びに記憶媒体 - Google Patents

記録再生装置、ギャップ制御方法、ギャップ制御プログラム、並びに記憶媒体 Download PDF

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Abstract

記録再生装置(1)は、ディスク状の記録媒体(10)に光(L)を照射する光源(1010)と、記録媒体の媒体表面に近接して配置され、近接場光を生じさせる固体浸レンズ(21)と、照射された光の一部を固体浸レンズを介して媒体表面に集光する光学系(23等)と、光の他の一部に起因する固体浸レンズの底部からの第1反射光に応じた第1エラー信号を出力する第1信号生成手段(110)と、集光された光に起因する媒体表面からの第2反射光に応じた第2エラー信号を出力する第2信号生成手段(120)と、近接場光が生じる近接場領域内に固体浸レンズが媒体表面に近接した場合、第1エラー信号を選択し、近接場領域外に固体浸レンズが媒体表面に近接した場合、第2エラー信号を選択する選択手段(151)と、媒体表面及び固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御ループを流れる制御信号として、選択された第1エラー信号又は選択された第2エラー信号を用いて、ギャップを制御する制御手段(300、22等)と、第1エラー信号が選択された第1期間、第2エラー信号が選択された第2期間、並びに、第1期間及び第2期間のうちいずれか一方からいずれか他方へ遷移する遷移期間において、記録媒体の回転角度に応じて発生するギャップの偏差に対応した補正値を算出すると共に算出された補正値を記録媒体の回転に同期して記憶し、記憶された補正値を回転に同期してギャップ制御ループを流れる制御信号に加算するメモリ出力手段(130、135等)と、を備える。

Description

本発明は、例えば、固体浸レンズ(SIL:Solid Immersion Lens)を備え、近接場光を利用した記録再生装置、該記録再生装置が記録再生する記録媒体の媒体表面及び固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御方法、ギャップ制御プログラム、並びに、記憶媒体の技術分野に関する。
この種の装置では、固体浸レンズが記録媒体に近接して配置されるため、固体浸レンズが記録媒体に衝突することを回避することが重要となる。このため、例えば、特許文献等では、ギャップエラー信号によるサーボ制御を行う光情報記録再生装置に関する技術が開示されている。具体的には、フォーカスエラー信号によりサーボ制御を行い、サーボをクローズした状態で、固体浸レンズをニアフィールド領域に近接させた状態、即ち、固体浸レンズを近接場領域内に近接した状態にするべく制御目標値を変更するために、エキスパンダレンズを移動させ、その後、ギャップエラー信号によるサーボ制御を行う技術が開示されている。
特開2008−310921号公報 特開2008−065931号公報 特開2008−204562号公報 特開2004−030821号公報 WO2006−109557号公報 特開2007−220205号公報 特表2008−516369号公報
しかしながら、上述した特許文献1等では、エキスパンダを用いて、固体浸レンズがニアフィールド領域より記録媒体から離れた領域にあるファーフィールド領域でのフォーカス制御、所謂、ファーフィールド位置制御から、ニアフィールド領域における固体浸レンズの位置制御、所謂、ニアフィールド位置制御へ変更するので、次のような技術的な問題点が生じる。即ち、上述した特許文献1等では、エキスパンダを用いて、ファーフィールド位置制御の制御ループを閉じた状態にし、ファーフィールド位置制御の制御目標値を変更して、固体浸レンズをニアフィールド領域に近接させた後、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御へ変更するので、次のような技術的な問題点が生じる。エキスパンダは、通常、凹レンズと凸レンズとの組み合わせで構成され、これら凹レンズと凸レンズとのレンズ間距離を変化させる機構を有している。また、このレンズ間距離を変化させる機構は、一般的には、ステッピングモータと送りネジによる機構で構成される。このステッピングモータは、入力パルス数に応じて回転位置を変化させることができるので、回転位置センサが不要になる利点を有しているが、高速回転には不向きであり、レンズ間距離を変化させるには時間が掛かってしまう。他方で、高速にレンズ間距離を変化させる他の機構も考えられるが、凹レンズと凸レンズとの相対的な位置を検出するための位置センサが別途必要になってしまい、コストが高くなってしまう。このような理由により、ステッピングモータと送りネジによる機構で構成されるエキスパンダを用いて、ファーフィールド位置制御から、ニアフィールド位置制御へ移行する際に大幅に時間が掛かってしまい、ひいては、情報記録再生装置におけるコンテンツ情報の記録開始又は再生開始までの時間が長時間化してしまい、ユーザの待機時間が長くなってしまうという技術的な問題点が生じる。
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、固体浸レンズをより迅速且つ適切に引き込むことが可能な記録再生装置、ギャップ制御方法、ギャップ制御プログラム、並びに記憶媒体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る記録再生装置は、ディスク状の記録媒体に光を照射する光源と、前記記録媒体の媒体表面に近接して配置され、近接場光を生じさせる固体浸レンズと、前記照射された光の一部を前記固体浸レンズを介して前記媒体表面に集光する光学系と、前記光の他の一部に起因する前記固体浸レンズの底部からの第1反射光に応じた第1エラー信号を出力する第1信号生成手段と、前記集光された光に起因する前記媒体表面からの第2反射光に応じた第2エラー信号を出力する第2信号生成手段と、前記近接場光が生じる近接場領域内に前記固体浸レンズが前記媒体表面に近接した場合、前記第1エラー信号を選択し、前記近接場領域外に前記固体浸レンズが前記媒体表面に近接した場合、前記第2エラー信号を選択する選択手段と、前記媒体表面及び前記固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御ループを流れる制御信号として、前記選択された第1エラー信号又は前記選択された第2エラー信号を用いて、前記ギャップを制御する制御手段と、前記第1エラー信号が選択された第1期間、前記第2エラー信号が選択された第2期間、並びに、前記第1期間及び前記第2期間のうちいずれか一方からいずれか他方へ遷移する遷移期間において、前記記録媒体の回転角度に応じて発生する前記ギャップの偏差に対応した補正値を算出すると共に前記算出された補正値を前記記録媒体の回転に同期して記憶し、前記記憶された補正値を前記回転に同期して前記ギャップ制御ループを流れる制御信号に加算するメモリ出力手段と、を備える。
本発明の記録再生装置によれば、例えば半導体レーザである光源から出射された光の一部は、対物レンズによって、固体浸レンズ(SIL:Solid Immersion Lens)を介して、例えば光ディスクである記録媒体の媒体表面に集光される。固体浸レンズは、記録媒体の媒体表面に近接して配置されているが、ここでの「近接して」とは、固体浸レンズによる近接場光を情報の読み取りに利用できる程度に接近している意味である。例えば、距離にして十数nm(ナノメートル)或いは数十nmから、百数十nm或いは数百nm程度までの接近であり、その具体的な値は、個別具体的な光学系のシステムに応じて設定される。
光源から出射された光の他の一部は、固体浸レンズの底部における臨界角以上の角度で固体浸レンズに入射し、固体浸レンズの底部で全反射される。ここに、本発明に係る「固体浸レンズの底部」とは、固体浸レンズの記録媒体に対向する側をいう。固体浸レンズが近接場領域内で媒体表面に近接している場合、光の他の一部に起因して近接場光が記録媒体へ向かって固体浸レンズを透過する。
第1信号生成手段は、受光素子、及び該受光素子から出力された信号を処理してギャップを制御するための第1エラー信号(所謂、ギャップエラー信号)を生成する回路を含んで構成されており、固体浸レンズの底部からの反射光を、該固体浸レンズを介して受光して、ギャップエラー信号を出力する。ここに、「固体浸レンズの底部からの反射光を、該固体浸レンズを介して受光して」とは、「固体浸レンズに入射した光の他の一部のうち、該固体浸レンズの底部で全反射され、該固体浸レンズから出射した光を受光して」という意味である。
従って、典型的には、固体浸レンズの底部からの反射光の光強度が、第1エラー信号として出力される。この場合、固体浸レンズに入射した光の他の一部の全てが固体浸レンズの底部において全反射される距離(即ち、近接場光が固体浸レンズを透過しない距離)では、信号レベルが一定となり、その距離よりも媒体表面に接近すると近接場光が固体浸レンズを透過する分だけ、反射光に係る信号レベルが減ずるように変化する、第1エラー信号が出力される。
第2信号生成手段は、受光素子、及び該受光素子から出力された信号を処理して固体浸レンズ及び媒体表面間のギャップを制御するための第2エラー信号(所謂、フォーカスエラー信号等)を生成する回路を含んで構成されており、集光された光に起因する媒体表面からの反射光を受光して、第2エラー信号を出力する。典型的には、集光された光に起因する媒体表面からの反射光の受光総和を第2エラー信号として用いてよい。受光総和、即ち再生RF信号を生成する構成において、高周波成分は、本来の再生RF信号として用い、低周波成分を本案の第2エラー信号として用いてよい。或いは、例えば、非点収差法によって第2エラー信号を生成して良い。この場合、集光範囲のうちニアフィールド及びファーフィールドの中間に位置するフォーカシングポイントでゼロクロスする、S字カーブ状の信号レベルを有する第2エラー信号が生成される。選択手段は、近接場光が生じる近接場領域内に固体浸レンズが媒体表面に近接した場合、媒体表面及び固体浸レンズ間のギャップを制御するための制御信号として、第1エラー信号を選択する。他方、選択手段は、近接場領域外に固体浸レンズが媒体表面に近接した場合、制御信号として、第2エラー信号を選択する。尚、選択手段は、近接場光が生じる近接場領域内に固体浸レンズが媒体表面に近接したか否かを判定し、且つ、近接場領域外に固体浸レンズが媒体表面に近接したか否かを判定する判定手段を含んでよい。
例えばアクチュエータ及びアクチュエータを制御するコントローラを含んでなる、ギャップを制御する制御手段は、制御信号として選択された第1エラー信号又は制御信号として選択された第2エラー信号に基づいて、ギャップを制御する。
例えば、メモリや加算器等を含んでなる、メモリ出力手段は、第1エラー信号が選択された第1期間、第2エラー信号が選択された第2期間、並びに、第1期間及び第2期間のうちいずれか一方からいずれか他方へ遷移する遷移期間において、記録媒体の回転角度に応じて発生するギャップの偏差に対応する補正値を算出すると共に算出された補正値を記録媒体の回転に同期して記憶し、記憶された補正値を回転に同期して制御信号に加算する。尚、メモリ出力手段は、記録媒体における記録再生位置が移動するように記録媒体の回転を制御する回転制御手段、及び、当該回転制御手段により回転した記録媒体の回転周期を検出する回転周期検出手段を含んでよい。
このように、メモリ出力手段は、第1期間、第2期間、及び遷移期間において連続的に、例えば1回転前までなどの過去において学習した面振れ成分の影響を低減するための補正値を記録媒体の回転に同期して制御信号に加算するために出力する(以下、適宜、「加算出力」と称す)。これにより、第1期間での第1エラー信号に応じたギャップの制御、第2期間での第2エラー信号に応じたギャップの制御に加えて、両者の遷移期間において、面振れ成分による外乱が発生するのを連続的に防止することができる。
この結果、第1期間、第2期間、及び遷移期間において、共通の面触れ成分の補正処理の下で、面振れ成分による外乱を効果的に防止することができる。と共に、第1エラー信号に応じたギャップの制御、及び、第2エラー信号に応じたギャップの制御のうちいずれか一方からいずれか他方への移行を、記録媒体の面振れ成分の影響を低減しつつ、円滑且つ連続的に迅速に実現可能である。
仮に、第1期間における、メモリ出力手段による補正値の制御信号への加算出力と、第2期間における、メモリ出力手段による補正値の制御信号への加算出力とが連続的に行われない場合、ゲイン(利得)が顕著に異なる2種類のエラー信号に応じた2種類のギャップの制御において、目標値を変更しなければならないため、第1エラー信号に応じたギャップの制御、及び、第2エラー信号に応じたギャップの制御のうちいずれか一方からいずれか他方へ移行する際に大幅に時間が掛かってしまい、ひいては、記録再生装置におけるコンテンツ情報の記録開始又は再生開始までの時間が長時間化してしまい、ユーザの待機時間が長くなってしまうという技術的な問題点が生じる。
これに対して、本発明では、面振れ成分の影響を低減するメモリ出力手段による補正値の制御信号への加算出力、所謂、繰り返し制御を、第1期間、第2期間、及び遷移期間において、連続的に実行する。これにより、固体浸レンズの底面での光の干渉作用による位置検出ノイズを、第1期間、第2期間、及び遷移期間において常時抑制することが可能である。詳細には、第2エラー信号は、近接場領域に近づくに従って、光源から出射される光の波長の「1/2」の周期で、大きく振動し、振動の際の振幅が増大するので位置検出の精度が低下する傾向にある。この振動する理由は、固体浸レンズの底面での光の干渉作用に起因することが知られている。この振動は、光源から出射される光の波長とギャップとに依存しているが、記録媒体の回転には同期していない。このため、本発明に係る面振れ成分の影響を低減するメモリ出力手段による補正値の制御信号への加算出力を数回転分に相当する時間だけ実行すれば、回転に同期していない非同期成分として十分に除去可能である。このように、メモリ出力手段による補正値の制御信号への加算出力を、第1期間、第2期間、及び遷移期間において、連続的に実行することは、上述した固体浸レンズの底面での光の干渉作用による位置検出ノイズを、第1期間、第2期間、及び遷移期間において常時、効果的に抑制することが可能であるので、実践上大変有益である。
或いは、仮に、第1期間における、メモリ出力手段による補正値の制御信号への加算出力と、第2期間における、メモリ出力手段による補正値の制御信号への加算出力とが連続的に行われない場合、典型的には、ファーフィールド位置制御の制御ループを閉じた状態にし、ファーフィールド位置制御の制御目標値を変更して、固体浸レンズをニアフィールド領域に近接させた後、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御へ変更した場合、次のような技術的な問題点が生じる。即ち、この場合、近接場領域に近づくに従って、上述した固体浸レンズの底面での光の干渉作用に起因した第2エラー信号の振動の影響が大きくなってしまい、第2エラー信号に基づくギャップの制御から第1エラー信号に基づくギャップの制御へ移行する際、又は、第1エラー信号に基づくギャップの制御において、フィードバック制御が不安定となってしまい、高精度且つ迅速な位置制御の実現が困難となってしまうという技術的な問題点が生じる。
これに対して、本発明では、面振れ成分の影響を低減するメモリ出力手段による補正値の制御信号への加算出力、所謂、繰り返し制御を、第1期間、第2期間、及び遷移期間において、連続的に常時実行する。これにより、近接場領域に近づくに従って、上述した固体浸レンズの底面での光の干渉作用に起因した第2エラー信号の振動が大きくなるという現象の影響を殆ど無くすことが可能である。この結果、上述した固体浸レンズの底面での光の干渉作用の影響を殆ど無くすことが可能である。
本発明に係る記録再生装置の一の態様では、前記メモリ出力手段は、前記第1期間、前記第2期間、及び前記遷移期間において記憶領域を共用して、前記補正値を記憶する。
この態様によれば、第1期間、第2期間、及び遷移期間において、例えば1回転前までなどの過去において学習した面振れ成分の影響を低減するための補正値を、簡便且つ容易な構成で共有することが可能である。
本発明に係る記録再生装置の他の態様では、前記第1エラー信号のゲインを設定する第1ゲイン設定手段と、前記第2エラー信号のゲインを設定する第2ゲイン設定手段とを更に備え、前記メモリ出力手段は、前記第1ゲイン設定手段の出力側且つ前記第2ゲイン設定手段の出力側において、前記記憶された補正値を、前記ギャップ制御ループを流れる制御信号に加算する。
この態様によれば、典型的には、メモリ出力手段は、前記第1期間において、前記記憶された補正値を前記回転に同期して、第1エラー信号を用いたギャップ制御ループを流れる制御信号、所謂、ギャップ制御ループ内の制御信号に、第1エラー信号のゲイン設定手段の出力側において、加算出力する。又は、メモリ出力手段は、前記第2期間において、前記記憶された補正値を前記回転に同期して、第2エラー信号を用いたギャップ制御ループ内の制御信号に加算出力する。
この態様に係る構成の作用及び効果について説明する。第1エラー信号の検出感度は高い。具体的には、ギャップ長、1ナノメートル当たりの出力電圧は数ボルトであり、検出感度の単位は「Volt/ナノメートル」である。一方、第2エラー信号の検出感度は低い。具体的には、ギャップ長、1マイクロメートル当たりの出力電圧は数ボルトであり、検出感度の単位は「Volt/マイクロメートル」である。
このように、ニアフィールド位置制御及びファーフィールド位置制御の両者における検出感度の違いによるゲインの差は顕著に大きい。このため、仮に、補正値を、第1ゲイン設定手段の入力側において、第1エラー信号に加算する場合、及び、補正値を、第2ゲイン設定手段の入力側において、第2エラー信号に加算する場合、補正値を、ニアフィールド位置制御及びファーフィールド位置制御に夫々対応してゲイン補正を行う必要性が生じてしまう。
これに対して、この態様によれば、補正値は、第1ゲイン設定手段の出力側且つ前記第2ゲイン設定手段の出力側において、ギャップ制御ループ内の制御信号に加算される。これにより、第1ゲイン設定手段の出力側且つ前記第2ゲイン設定手段の出力側であるレンズを駆動する駆動回路や、制御対象であるレンズアクチュエータにおけるゲイン調整に関しては、ニアフィールド位置制御及びファーフィールド位置制御の両方の位置制御において同じであるので、補正値が制御信号に加算された後のレンズ駆動に関する構成を、両方の位置制御において共通化することができる。このように、ニアフィールド位置制御及びファーフィールド位置制御の両方の位置制御においてメモリ出力手段による補正値の制御信号への加算出力を共用する。これにより、補正値の通常の制御ループにおけるゲイン設定を行いさえすれば、両方の位置制御におけるゲインの最適化が共通して同時に行われたことになる。言い換えると、ニアフィールド位置制御に対応した補正値のゲインの最適化と、ファーフィールド位置制御に対応した補正値のゲインの最適化とが、補正値における通常の制御ループにおけるゲイン設定によって代用されたことになる。これにより、両方の位置制御に夫々対応して、補正値を加算するための特別なゲイン設定手段を別途追加する必要がない。これにより、この態様によれば、部品点数の増加を防止できるので実践上、大変有益である。
本発明に係る記録再生装置の他の態様では、前記メモリ出力手段は、前記選択された第1エラー信号に前記記憶された補正値を加算する、又は、前記選択された第2エラー信号に前記記憶された補正値を加算する。
この態様によれば、メモリ出力手段は、選択された第1エラー信号に、記憶された補正値を加算する。典型的には、例えば繰り返し制御の出力値等の補正値は、例えば繰り返し制御におけるゲインが第1エラー信号に応じて最適化された後で、第1エラー信号に加算されてよい。加えて、メモリ出力手段は、選択された第2エラー信号に、記憶された補正値を加算する。典型的には、例えば繰り返し制御の出力値等の補正値は、例えば繰り返し制御におけるゲインが第2エラー信号に応じて最適化された後で、第2エラー信号に加算されてよい。
この結果、例えば繰り返し制御の出力値等の補正値におけるゲインを、ニアフィールド位置制御及びファーフィールド位置制御に夫々適切に対応させ、補正値をより高精度にギャップの制御に反映させることが可能である。
本発明に係る記録再生装置の他の態様では、前記第1エラー信号のゲインを、第1制御帯域で設定する第1ゲイン設定手段と、前記第2エラー信号のゲインを、前記第1制御帯域より狭い帯域である第2制御帯域で設定する第2ゲイン設定手段とを更に備える。
この態様によれば、第1ゲイン設定手段によって、制御の精度を重視し、より高い制御ループ帯域が好適である第1エラー信号に基づくギャップの制御のためのゲインが設定される。加えて、第2ゲイン設定手段によって、ダイナミックレンジの向上を重視し、より低い制御ループ帯域が好適である第2エラー信号に基づくギャップの制御のためのゲインが設定される。
この結果、(i)第1エラー信号に応じたギャップの制御、及び、第2エラー信号に応じたギャップの制御のうちいずれか一方からいずれか他方への円滑且つ連続的な移行と、(ii)第1エラー信号に基づいた、より高精度なギャップの制御と、(iii)第2エラー信号に基づいた、ダイナミックレンジが向上したギャップの制御との三つを同時に実現可能である。
本発明に係る記録再生装置の他の態様では、前記遷移期間において、前記固体浸レンズが前記媒体表面に近づく相対速度を減速させる減速パルス信号を前記制御手段に出力するパルス生成手段を更に備える。
この態様によれば、第2エラー信号に応じたギャップの制御から第1エラー信号に応じたギャップの制御へ移行する遷移期間において、減速パルス信号の出力後、第1エラー信号に基づくギャップの制御をより高精度に行うことができる。
本発明に係る記録再生装置の他の態様では、前記出力された第1エラー信号に応じて前記ギャップを観測する第1観測手段と、前記観測されたギャップに基づいて前記媒体表面と前記固体浸レンズとの相対速度を推定する速度推定手段とを更に備え、前記パルス生成手段は、前記推定された相対速度が大きくなるに従って、前記減速パルス信号の振幅に加えて又は代えてパルス幅を大きくする。
この態様によれば、第1観測手段によって、出力された第1エラー信号に応じてギャップが観測される。ここに、本発明に係る観測(状態推定:オブザーバ:observer)とは、内部状態量が直接的に測定できない場合において、入力量と出力量とから内部状態量、即ち、ギャップに対応する媒体表面と固体浸レンズとの相対速度(即ち、アクチュエータ相対速度)を推定することを意味する。
これにより、観測されたギャップに基づいて推定された媒体表面と固体浸レンズとの相対速度が高い場合、より強いブレーキを実行する。他方、観測されたギャップに基づいて推定された媒体表面と固体浸レンズとの相対速度が低い場合は、より弱いブレーキを実行する。これにより、第2エラー信号に応じたギャップの制御から第1エラー信号に応じたギャップの制御へ移行する遷移期間において、オーバシュートの発生を抑制し、第1エラー信号に応じたギャップの制御における引き込み動作を安定的且つ確実に実行することが可能である。
本発明に係る記録再生装置の他の態様では、前記パルス生成手段は、前記減速パルス信号を前記制御手段に出力する前に、前記固体浸レンズが前記媒体表面に近づく相対速度を加速させる加速パルス信号を前記制御手段に出力する。
この態様によれば、遷移期間において、減速パルス信号に加えて加速パルス信号に基づくフィードフォワード制御によって、ギャップの制御をより迅速且つ適切に行うことができる。
本発明に係る記録再生装置の他の態様では、前記パルス生成手段は、前記減速パルス信号に加えて又は代えて前記加速パルス信号のパルス幅を、前記固体浸レンズを駆動するアクチュエータの伝達特性における高次共振周波数の逆数である周期より長くする。
この態様によれば、高次共振による振動の影響を低減可能であり、減速時又は加速時にアクチュエータの高次共振を誘発する可能性を低くさせ、ギャップの制御を安定的且つ確実に実行することが可能である。
本発明に係る記録再生装置の他の態様では、前記減速パルス信号に加えて又は代えて前記加速パルス信号が出力されている期間、前記メモリ出力手段の記憶内容の更新を停止する更新停止手段を更に備える。
この態様によれば、第2エラー信号に応じたギャップの制御から第1エラー信号に応じたギャップの制御へ移行する遷移期間において、第2期間において記憶された第2エラー信号に応じて得られた面振れ成分の影響を低減するための補正値が制御信号に出力可能である。他方で、第1エラー信号に応じたギャップの制御から第2エラー信号に応じたギャップの制御へ移行する遷移期間において、第1期間において記憶された第1エラー信号に応じて得られた面振れ成分の影響を低減するための補正値が制御信号に出力可能である。
この結果、遷移期間において、過去において得られた補正値が用いられるので、面振れ成分の影響を確実に低減可能であり、2種類のギャップの制御間での円滑且つ連続的な移行を実現可能である。
本発明に係る記録再生装置の他の態様では、前記固体浸レンズと前記媒体表面との相対距離を変化可能な掃引手段を更に備える。
この態様によれば、第1エラー信号に応じたギャップの制御、及び、第2エラー信号に応じたギャップの制御をより迅速に行うことができる。
本発明に係る記録再生装置の他の態様では、前記出力された第2エラー信号に応じて前記ギャップを観測する第2観測手段と、前記観測されたギャップが規定値を下回る場合、前記固体浸レンズが前記媒体表面に近づく相対速度を減速させる所定振幅の減速パルス信号を前記制御手段に出力する他のパルス生成手段とを更に備える。
この態様によれば、第1エラー信号に応じたギャップの制御、及び、第2エラー信号に応じたギャップの制御をより迅速且つ的確に行うことができる。
上記課題を解決するために、本発明のギャップ制御方法は、ディスク状の記録媒体に光を照射する光源と、前記記録媒体の媒体表面に近接して配置され、近接場光を生じさせる固体浸レンズと、前記照射された光の一部を前記固体浸レンズを介して前記媒体表面に集光する光学系と、前記光の他の一部に起因する前記固体浸レンズの底部からの第1反射光に応じた第1エラー信号を出力する第1信号生成手段と、前記集光された光に起因する前記媒体表面からの第2反射光に応じた第2エラー信号を出力する第2信号生成手段と、を備える記録再生装置において、前記ギャップを制御するギャップ制御方法であって、前記近接場光が生じる近接場領域内に前記固体浸レンズが前記媒体表面に近接した場合、前記第1エラー信号を選択し、前記近接場領域外に前記固体浸レンズが前記媒体表面に近接した場合、前記第2エラー信号を選択する選択工程と、前記媒体表面及び前記固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御ループを流れる制御信号として、前記選択された第1エラー信号又は前記選択された第2エラー信号を用いて、前記ギャップを制御する制御工程と、前記第1エラー信号が選択された第1期間、前記第2エラー信号が選択された第2期間、並びに、前記第1期間及び前記第2期間のうちいずれか一方からいずれか他方へ遷移する遷移期間において、前記記録媒体の回転角度に応じて発生する前記ギャップの偏差に対応した補正値を算出すると共に前記算出された補正値を前記記録媒体の回転に同期して記憶し、前記記憶された補正値を前記回転に同期して前記ギャップ制御ループを流れる制御信号に加算するメモリ出力工程と、を備える。
本発明のギャップ制御方法によれば、上述した本発明の記録再生装置が有する各種利益を享受することが可能となる。尚、上述した本発明の記録再生装置が有する各種態様に対応して、本発明のギャップ制御方法も各種態様を採ることが可能である。
本発明のギャップ制御プログラムは、コンピュータを備える装置によって実行されるギャップ制御プログラムであって、ディスク状の記録媒体に光を照射する光源と、前記記録媒体の媒体表面に近接して配置され、近接場光を生じさせる固体浸レンズと、前記照射された光の一部を前記固体浸レンズを介して前記媒体表面に集光する光学系と、を備える記録再生装置において、前記光の他の一部に起因する前記固体浸レンズの底部からの第1反射光に応じた第1エラー信号を出力する第1信号生成手段と、前記集光された光に起因する前記媒体表面からの第2反射光に応じた第2エラー信号を出力する第2信号生成手段と、前記近接場光が生じる近接場領域内に前記固体浸レンズが前記媒体表面に近接した場合、前記第1エラー信号を選択し、前記近接場領域外に前記固体浸レンズが前記媒体表面に近接した場合、前記第2エラー信号を選択する選択手段と、前記媒体表面及び前記固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御ループを流れる制御信号として、前記選択された第1エラー信号又は前記選択された第2エラー信号を用いて、前記ギャップを制御する制御手段と、前記第1エラー信号が選択された第1期間、前記第2エラー信号が選択された第2期間、並びに、前記第1期間及び前記第2期間のうちいずれか一方からいずれか他方へ遷移する遷移期間において、前記記録媒体の回転角度に応じて発生する前記ギャップの偏差に対応した補正値を算出すると共に前記算出された補正値を前記記録媒体の回転に同期して記憶し、前記記憶された補正値を前記回転に同期して前記ギャップ制御ループを流れる制御信号に加算するメモリ出力手段として前記コンピュータを機能させる。
本発明に係るギャップ制御プログラムの実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の記録再生装置に係る実施形態を比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の記録再生装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のギャップ制御プログラムに係る各実施形態も各種態様を採ることが可能である。
本発明の記憶媒体は、上述した、ギャップ制御プログラム(但し、各種の態様を含む)を記憶している。
本発明に係る記憶媒体の実施形態によれば、上述したギャップ制御プログラムを、コンピュータに読み取らせることで、コンピュータを上述した本発明の記録再生装置に係る実施形態として適切に、機能させることが可能である。
第1実施形態に係る情報記録再生装置の全体構成を図式的に示すブロック図である。 第1実施形態に係る光学系に着目した情報記録再生装置の一部の構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係るギャップ長と戻り光の光量との定量的又は定性的な関係を示すグラフである。 第1実施形態に係る情報記録再生装置におけるファーフィールド位置制御及びニアフィールド位置制御における固体浸レンズの引き込み動作の手順を示したタイミングチャートである。 第1実施形態に係る情報記録再生装置の構成要素のうち、繰り返し制御を行う構成要素に着目して図式的に示したブロック図である。 第1実施形態に係る繰り返し制御の一具体例として、面触れ量と、回転クロックとの関係を図式的に示したグラフ(図6(a))、及び、所定の回転クロックに対応する位置における面触れ量の時系列に沿った変化を図式的に示したグラフ(図6(b))である。 第1実施形態に係るファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御への移行時での、繰り返し制御部の3種類のローパスフィルタからの出力信号の信号波形、制御選択信号、ロック信号、減速指令信号、及び加速指令信号における、時間的な相関関係を示したタイミングチャートである。 第1実施形態に係る固体浸レンズの位置制御に用いるアクチュエータ等の駆動手段の伝達特性として、周波数とゲインとの関係の一例を示したグラフである。 第2実施形態に係る加速用のパルス信号の一例と、減速用のパルス信号の一例とを示したタイミングチャートである。 第3実施形態に係る速度推定部としての速度オブザーバの構成を示したブロック図である。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
<第1実施形態>
<全体構成:情報記録再生装置>
先ず、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る基本構成について説明する。ここに、図1は、第1実施形態に係る情報記録再生装置の全体構成を図式的に示すブロック図である。第1実施形態に係る情報記録再生装置は、ファーフィールド位置制御及びニアフィールド位置制御における固体浸レンズの引き込み動作、所謂、合焦点動作を実行する
図1に示されるように、第1実施形態に係る情報記録再生装置1は、情報記録媒体10にレーザ光を出射すると共に、情報記録媒体10からのレーザ光を受光する光学系20、レンズ駆動部30、スピンドルモータ40、回転制御部50、回転検出部60、ニアフィールド位置エラー生成部110、ニアフィールド位置制御用の位相補償部115、ファーフィールド位置エラー生成部120、ファーフィールド位置制御用の位相補償部125、繰り返し制御部130、回転同期メモリ135、選択部151、選択部152、加算器161、加算器162、掃引信号生成部170、加減速パルス生成部180、ニアフィールド位置制御用のロック検出部210、ファーフィールド位置制御用のロック検出部220、状態判断モード制御部230、速度検出部240、システム制御部300を備えて構成されている。
尚、光学系20については、後述の図2に示す。出射部21及び受光部22によって光学系が構成されている。また、回転検出部60及び回転制御部50により、スピンドルモータ40の回転数を検出し制御することにより、本発明に係る「回転制御手段」の一例が構成されている。
回転検出部60は、スピンドルモータ40の回転周期を検出し、回転周期信号FGとして回転同期メモリ135に供給することにより、本発明に係る「回転周期検出手段」の一例が構成されている。回転検出部60は、検出した回転周期信号FGから回転速度を算出し、回転制御部50は、目標回転速度と回転検出部60が検出した回転速度とを比較して、その差をスピンドルモータ40の回転駆動部(不図示)にネガティブフィードバックすることにより回転速度を制御する。
上述の回転制御部50及び回転検出部60により、ディスク状の情報記録媒体10の回転速度は制御される。光源(不図示)から出射された光束は光学素子により情報記録媒体10の記録面に集光される。光学素子として、近接場光を用いるために固体浸レンズ(SIL:Solid Immersion Lens)を利用する。光源、光学素子、レンズの駆動機構(図2を参照)等により光学系20を構成する。
<光学系の構成>
次に、図2を参照して第1実施形態に係る光学系の構成について説明する。ここに、図2は、第1実施形態に係る光学系に着目した情報記録再生装置の一部の構成を示すブロック図である。
図2において、光学系20は、固体浸レンズ21、レンズアクチュエータ22、対物レンズ23、半導体レーザ1010、コリメータレンズ1020、回折格子1030、ビームシェイパ1040、無偏光ビームスプリッタ1050、偏光ビームスプリッタ1060、エキスパンダ1070、四分の一波長板1080、ミラー1090、シリンドリカルレンズ1130、四分割受光素子1140、集光レンズ1150、及びギャップエラー用の受光素子1160を備えて構成されている。
尚、ギャップエラー用の受光素子1160は、後述されるニアフィールド位置制御用の戻り光のための受光素子であり、典型的には、非分割型の受光素子であるが、二分割又は四分割の分割型受光素子であってもよい。この場合は、ギャップエラー用受光素子1160の各受光部からの信号を処理し、ギャップエラー信号、即ち、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1を生成する回路が、ギャップエラー用受光素子1160に付随して設けられてよい。
半導体レーザ1010から出射した光Lは、コリメータレンズ1020、回折格子1030、ビームシェイパ1040、無偏光ビームスプリッタ1050、偏光ビームスプリッタ1060、エキスパンダ1070、四分の一波長板1080、及びミラー1090を介して、対物レンズ23に到達する。光Lの一部は、該対物レンズ23によって、固体浸レンズ21を介して情報記録媒体10の媒体表面に集光される。
情報記録媒体10の媒体表面からの、本発明に係る「第1反射光」の一例としての反射光は、固体浸レンズ21、対物レンズ23、ミラー1090、四分の一波長板1080、エキスパンダ1070、偏光ビームスプリッタ1060、及びシリンドリカルレンズ1130を介して四分割受光素子1140に到達する。非点収差を発生させるためのシリンドリカルレンズ1130を用いる場合、四分割受光素子1140により、S次形状の所謂、フォーカスエラー信号が得られる。尚、このシリンドリカルレンズ1130は省略可能である。即ち、後述の図3に示される、ギャップ長と、このギャップ長に応じて変化する戻り光の光量との定量的な関係からギャップ長を特定可能であるので、シリンドリカルレンズ1130を省略可能である。また、この場合、四分割受光素子1140は4分割されている必要はない。分割されていない単一の受光面を有していて良い。
光Lの他の一部は、固体浸レンズ21の底部における臨界角以上の角度で固体浸レンズ21に入射し、全反射されて、本発明に係る「第2反射光」の一例としての戻り光となり、固体浸レンズ21から出射する。戻り光は、対物レンズ23、ミラー1090、四分の一波長板1080、エキスパンダ1070、偏光ビームスプリッタ1060、無偏光ビームスプリッタ1050、及び集光レンズ1150を介して、ギャップエラー用受光素子1160に到達する。
固体浸レンズ21及び情報記録媒体10の媒体表面間のギャップが、例えば約200nm以下である場合、固体浸レンズ21の底部における臨界角以上の角度で固体浸レンズ21に入射した光の一部が近接場光として、情報記録媒体10の媒体表面に出射される。尚、近接場領域における固体浸レンズの底面(即ち、情報記録媒体10に最も近い固体浸レンズの面)と、情報記録媒体10の記録面との距離をギャップ又はギャップ長と称す。
近接場光に起因する情報記録媒体10の媒体表面からの反射光は、固体浸レンズ21、対物レンズ23、ミラー1090、四分の一波長板1080、エキスパンダ1070を介して、偏光ビームスプリッタ1060に到達する。該偏光ビームスプリッタ1060は、近接場光に起因する反射光を反射するように構成されているので、近接場光に起因する反射光の大部分は、シリンドリカルレンズ1130を介して四分割受光素子1140に到達する。
四分割受光素子1140は、情報記録媒体10の媒体表面からの反射光を受光し、該受光した情報記録媒体10の媒体表面からの反射光の光量に応じた信号を出力する。ギャップエラー用受光素子1160は、戻り光を受光し、該受光した戻り光の光量に応じた信号をギャップエラー信号として出力する。
ニアフィールド位置エラー生成部110には、ギャップエラー用受光素子1160から出力されたニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1が入力される。
ファーフィールド位置エラー生成部120には、四分割受光素子1140から出力されたファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2に応じた位置検出信号SDT2が入力される。
<ギャップ又はギャップ長と戻り光の光量との関係>
ここで、図3を参照して、第1実施形態に係るギャップ長と戻り光の光量(以下、適宜、「戻り光量」と称す)との定量的又は定性的な関係について説明する。ここに、図3は、第1実施形態に係るギャップ長と戻り光の光量との定量的又は定性的な関係を示すグラフである。
図3に示されるように、ギャップ長が、光源波長のおおよそ「1/2」以下になると近接場領域になる。例えば光源が青紫色レーザである場合、照射された光の波長はおよそ400(nm:nanometer)であり、近接場領域におけるギャップ長は200(nm)以下となる。
近接場領域においてギャップ長が短くなるに従って、近接場光が情報記録媒体10へ向かって固体浸レンズ21を透過することにより、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1が低下する。詳細には、図3における近接場領域では、上述したように、固体浸レンズ21の底部における臨界角以上の角度で固体浸レンズ21に入射した光の一部は、近接場光として情報記録媒体10の媒体表面に出射される。このため、戻り光の光量が減少し、図3に示すように、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1、所謂、ギャップエラー信号の信号レベルは減少する。
他方、固体浸レンズ及び対物レンズが、近接場領域から離れてギャップ長が大きくなるに従って、近接場光は情報記録媒体10へ向かって固体浸レンズ21を透過せず固体浸レンズを介して戻り光が光学系20のフォトディテクタに到達するので、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1は増加し一定値となる、即ち、飽和する。詳細には、図3における近接場領域外の領域では、固体浸レンズ21の底部における臨界角以上の角度で固体浸レンズ21に入射した光は、全て、全反射され戻り光となる。このため、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1の信号レベルは一定となる。
一般的に、近接場光によって、情報記録媒体10に記録されている情報信号を再生するためには、固体浸レンズ21及び情報記録媒体10の媒体表面間のギャップを、例えば10nmにすることが要求される。しかしながら、上述したように、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1も図3の近接場領域外の領域においては、信号レベルが一定であるため、固体浸レンズ21の位置が、情報記録媒体10に極めて近い位置にならなければ、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1を用いて、ギャップを制御することは不可能である。従って、仮に何らの対策もとらずに、固体浸レンズ21を情報記録媒体10に近づけ、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1を用いてギャップを制御しようとすると、固体浸レンズ21が情報記録媒体10に衝突する可能性がある。
一方、ファーフィールド状態では、ファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2に応じた位置検出信号SDT2、所謂、フォーカスエラー信号を用いてギャップを制御することが可能である。しかしながら、仮に何らの対策もとらずに、フォーカスエラー信号を用いて、ギャップを10nmにしようとすると、ビームウエストや残留エラー等によって、サーボロックできなかったり、固体浸レンズ21が情報記録媒体10に衝突してしまったりする可能性があることが判明している。
再び、図1に戻る。
<全体構成:情報記録再生装置:続き>
そこで、近接場領域においては、光学系20のフォトディテタ(不図示)によりニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1を検出することでギャップ長を検出する。上述のニアフィールド位置エラー生成部110は、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1と、目標値Ref1とを比較することにより、ニアフィールド位置エラー信号Ernを生成する。尚、このニアフィールド位置エラー生成部110によって、本発明に係る「第1信号生成手段」の一例が構成されている。また、ニアフィールド位置エラー信号Ernによって、本発明に係る「第1エラー信号」の一例が構成されている。
このように、ニアフィールド位置エラー生成部110は、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1に基づいて、近接場領域における固体浸レンズの底面と、情報記録媒体10の記録面との相対距離を一義的に検出可能である。
他方、近接場領域外の領域では、光学系20の光路上の光束の開口を制限することにより、「NA<1」での光束を利用し、近接場領域以外のファーフィールドでの固体浸レンズの底面と情報記録媒体10の記録面との相対距離を、ファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2として検出する。
このように、ファーフィールド位置エラー生成部120は、ファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2に応じた位置検出信号SDT2に基づいて、近接場領域以外のファーフィールドでの固体浸レンズの底面と情報記録媒体10の記録面との相対距離を一義的に検出可能である。
ファーフィールド位置エラー生成部120は、ファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2に応じた位置検出信号SDT2と目標値Ref2とを比較することによりファーフィールド位置エラー信号Erfを生成する。尚、このファーフィールド位置エラー生成部120によって、本発明に係る第2信号生成手段の一例が構成されている。また、ファーフィールド位置エラー信号Erfによって、本発明に係る「第2エラー信号」の一例が構成されている。図3に示したようにファーフィールドにおいて、固体浸レンズ及び対物レンズと情報記録媒体10の記録面との距離が増加すると焦点ずれの度合いが増大して、戻り光量が低下してしまい、この距離が更に増加し完全に焦点がずれる場合、戻り光量はゼロに漸近する。
ニアフィールド位置エラー信号Ernは、ニアフィールド位置制御用の位相補償部115に供給される。ファーフィールド位置エラー信号Erfは、ファーフィールド位置制御用の位相補償部125に供給される。位相補償部115の出力及び位相補償部125の出力は、選択部151及び選択部152を介して、選択的に加算器161に供給される。加算器161の出力信号D1は、加算器162に供給される。加算器162の出力DRVは、レンズ駆動部30に供給される。レンズ駆動部30によって、駆動電流Idが生成され、光学系20の構成要素である固体浸レンズのレンズアクチュエータ22に駆動電流が供給される。駆動電流Idに従って、情報記録媒体10と固体浸レンズの底面との距離であるギャップ長は変化する。
特に、ニアフィールド位置エラー生成部110、位相補償部115、選択部151、選択部152、加算器161、加算器162、レンズ駆動部30、光学系20によって、近接場領域における第1位置制御ループが構成される。位相補償部115は、ネガティブフィードバックを実施するための制御手段である。尚、第1位置制御ループによって、本発明に係る「ギャップ制御ループ」の一例が構成されている。また、この第1位置制御ループを流れるニアフィールド位置エラー信号Ern、及び位相補償が施されたニアフィールド位置エラー信号Ernによって、本発明に係る制御信号の一例が構成されている。
他方、ファーフィールド位置エラー生成部120、位相補償部125、選択部151、選択部152、加算器161、加算器162、レンズ駆動部30、光学系20によって、近接場領域外の領域における第2位置制御ループが構成される。位相補償部125は、ネガティブフィードバックを実施するための制御手段である。尚、第2位置制御ループによって、本発明に係る「ギャップ制御ループ」の他の例が構成されている。また、この第2位置制御ループを流れるファーフィールド位置エラー信号Erf、及び位相補償が施されたファーフィールド位置エラー信号Erfによって、本発明に係る制御信号の他の例が構成されている。
ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1はロック検出部210に供給され、ロック検出部210の出力信号であるロック検出信号LK1は、状態判断モード制御部230に供給される。
他方、ファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2がロック検出部220に供給され、ロック検出部220の出力信号であるロック検出信号LK2は、状態判断モード制御部230に供給される。
状態判断モード制御部230は、ロック検出信号LK1、LK2から固体浸レンズ及び対物レンズの位置制御の状態を判断して、各種の制御信号を発生する。尚、ロック検出部210、及び状態判断モード制御部230によって、近接場領域内に近接したか否かを判別可能である本発明に係る「判定手段」の一例が構成されている。
選択部151は、状態判断モード制御部230が発生した制御選択信号SEL1に従って、第1位置制御及び第2位置制御のうちいずれか一方の位置制御を選択する。尚、選択部151によって、本発明に係る「選択手段」の一例が構成されている。
選択部151の出力信号は、選択部152を介して、加算器161に入力される2つの入力情報のうち一方の入力情報として加算器161に供給される。加算器161の出力信号D1は、繰り返し制御部130に供給される。
繰り返し制御部130の出力信号は、加算器161に入力される2つの入力情報のうち他方の入力情報として加算器161に供給される。
加算器161によって、選択部152の出力信号と、繰り返し制御部130の出力信号とが加算され、加算器161によって、出力信号D1が出力される。
繰り返し制御部130は、回転同期メモリ135に対して、それぞれの位置制御における制御偏差に対応した選択部151の出力を、選択部152を介して、回転周期信号FGに同期して、書き込み動作と読み出し動作とを繰り返し実行することにより、情報記録媒体10の回転に同期して発生する面振れ等の制御偏差の影響を低減するために、これらの制御偏差に応じて信号を回転周期信号FGに同期して補正する補正処理、所謂、繰り返し制御を行う。尚、繰り返し制御部130、回転同期メモリ135、加算器161及びそれらを結ぶ信号線によって、本発明に係る「メモリ出力手段」の一例が構成されている。
速度推定部240は、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1から速度を推定し、速度推定量VDTの信号を出力する。
システム制御部300は、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を含んで構成され、情報記録再生装置1を統括制御する。尚、このシステム制御部300によって、本発明に係る「制御手段」の一例が構成されている。
<動作原理:情報記録再生装置>
次に、図4を参照して、ギャップサーボ引き込み処理の手順について説明する。ここに、図4は、第1実施形態に係る情報記録再生装置におけるファーフィールド位置制御及びニアフィールド位置制御における固体浸レンズの引き込み動作の手順を示したタイミングチャートである。尚、図4では、ファーフィールド位置制御では、ギャップ長が小さくなるに従って、ファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2は大きくなり、ニアフィールド位置制御では、ギャップ長が小さくなるに従って、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1は小さくなるので、ファーフィールド位置制御とニアフィールド位置制御とはゲインの正負が逆転している。
先ず、図4の下側部に示されるように、掃引信号生成部170(図1を参照)は、状態判断モード制御部230が発生した掃引タイミングを制御する制御信号CTL1に従って、固体浸レンズの底面と情報記録媒体10の記録面との距離を大きくし、固体浸レンズの底面(以下、適宜、「SIL底面」と称す)と情報記録媒体10の記録面とを離反するレンズダウンを実行するために、ランプ形状の信号SWPを発生する。
状態判断モード制御部230は、規定時間Tdwだけ経過したこと確認した場合、制御信号CTL1をLowからHighに変化させる。
掃引信号生成部170は、制御信号CTL1がHighであることを検出した場合、SIL底面と情報記録媒体10の記録面との距離が小さく、SIL底面と情報記録媒体10の記録面とを近接させるレンズアップを実行するために、ランプ状の信号SWPを発生する。このレンズアップの動作により、SIL底面と情報記録媒体10の記録面とが近接し、ギャップ長が小さくなるに従って、ファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2が増加を開始する。
ファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2が規定レベルTh2に到達し、規定レベルTh2を超えた場合、ロック検出部220は、ファーフィールド位置制御用のロック信号LK2を発生させ、ロック信号LK2をLowからHighに変化させる。
ロック信号LK2がHighに変化した場合、状態判断モード制御部230の制御下で、図4中の減速期間SD2に示されるように、加速減速パルス生成部180に対して、固体浸レンズの上昇速度を減少するために減速指令信号CTL2Bが供給される。
加減速パルス生成部180は、供給された減速指令信号CTL2Bに従って、図4中の信号波の高さBrk2に示された、規定の波高値、及び規定のパルス幅を有する減速用のパルス信号PLSを発生する。
と同時に又は相前後して、状態判断モード制御部230は、ファーフィールド位置制御の制御ループをクローズすべくファーフィールド位置エラー生成部120に指令する。
次に、状態判断モード制御部230が、ファーフィールド位置制御の制御ループをクローズしてから規定時間T2が経過したと判断した場合、状態判断モード制御部230の制御下で、図4中の加速期間Supに示されるように、加速減速パルス生成部180に対して、ファーフィールド位置(即ち、近接場領域以外の領域)からニアフィールド位置(即ち、近接場領域)に近接するようにギャップ長を減少するために、固体浸レンズの上昇速度を増加するために加速指令信号CTL2Aが供給される。尚、規定時間T2は、カウンタ器等の演算手段によって基準クロックを用いて測定されてよい。或いは、規定時間T2は、回転検出部60が検出した回転周期信号FGをカウントすることによって測定されてよい。特に、後者の場合、情報記録媒体10の回転回数に相当する時間だけ、時間が経過したことが分るので、繰り返し制御部130が、情報記録媒体10の回転に同期した面振れ成分を特定する学習を行うのに要する期間を、回転に同期してより高精度に定めることができるので、実践上、より有益である。
加速減速パルス生成部180は、供給された加速指令信号CTL2Aに従って、図4中の信号波の高さAceに示された、規定の波高値、及び規定のパルス幅を有する加速用のパルス信号PLSを発生する。
ファーフィールド位置からニアフィールド位置に近接した場合、図3及び図4に示されるようにファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2のレベルは低下すると共に、図3の一点鎖線に示されるように、ギャップの単位距離当たりの戻り光量DT2の変化量も低下する。他方で、図3及び図4に示されるように、一定値を維持し、単位距離当たりの変化率がほぼゼロであった、ギャップの単位距離当たりの戻り光量DT1の単位距離当たりの変化量は上昇し、大きく変化する。
尚、図3及び図4において、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1の値は、SIL底面と情報記録媒体10の記録面とが近接し、ギャップ長が小さくなりゼロに漸近するに従って、小さくなることが示されていると共に、SIL底面と情報記録媒体10の記録面とが離反し、ギャップ長がある程度まで大きくなるに従って、大きくなり、ギャップ長が、当該ある程度を超えて更に大きくなると一定値を維持することが示されている。
このニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1が規定レベルTh1に到達した場合、ロック検出部210は、ニアフィールド位置制御用のロック信号LK1を発生させ、ロック信号LK1をLowからHighに変化させる。
ロック信号LK1がLowからHighに変化した場合、状態判断モード制御部230の制御下で、図4中の減速期間SD1に示されるように、加速減速パルス生成部180に対して、固体浸レンズの上昇速度を減少するために減速指令信号CTL2Bが供給される。加減速パルス生成部180は、供給された減速指令信号CTL2Bに従って、図4中の信号波の高さBrk1に示された、規定の波高値、及び規定のパルス幅を有する減速用のパルス信号PLSを発生する。
次に、状態判断モード制御部230は、ニアフィールド位置制御の制御ループをクローズするようにニアフィールド位置エラー生成部110に指令する。即ち、状態判断モード制御部230は、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御に制御モードを変更するために選択部151に対して、Highである選択信号SEL1を供給する。
選択部151は、LowからHighに変化した選択信号SEL1が供給された場合、当該選択部151から出力する出力信号として、ファーフィールド位置制御に基づく出力信号の代わりに、ニアフィールド位置制御に基づく出力信号を選択し、このニアフィールド位置制御に基づく出力信号を出力する。
<詳細構成:情報記録再生装置>
次に、図5及び図6に加えて、上述した図4を適宜参照して、第1実施形態に係る情報記録再生装置の詳細構成について説明する。ここに、図5は、第1実施形態に係る情報記録再生装置の構成要素のうち、繰り返し制御を行う構成要素に着目して図式的に示したブロック図である。
図5に示されるように、光学系20から出力されたニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1は、AD変換器AD111により量子化される。
次に、量子化された、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1と、ニアフィールド位置制御用の目標値Ref1とが比較され、減算処理が施されることにより、ニアフィールド位置制御用の制御誤差Ernが減算器112から出力される。
概ね同様にして、光学系20から出力されたファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2に応じた位置検出信号SDT2は、AD変換器AD121により量子化される。
次に、量子化された、ファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2に応じた位置検出信号SDT2と、ファーフィールド位置制御用の目標値Ref2とが比較され、減算処理が施されることにより、ファーフィールド位置制御用の制御誤差Erfが減算器122から出力される。
ゲイン設定部113は、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1の検出感度、及び、ニアフィールド位置制御用の制御ループの制御帯域に基づいて、ゲイン(利得)を最適化可能に構成される。尚、ゲイン設定部113は、本発明に係る「第1ゲイン設定手段」の一例を構成する。
ゲイン設定部123は、ファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2に応じた位置検出信号SDT2の検出感度差、及び、ファーフィールド位置制御用の制御ループの制御帯域に基づいて、ゲインを最適化可能に構成される。尚、ファーフィールド位置制御では、ギャップ長が小さくなるに従って、ファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2に応じた位置検出信号SDT2は大きくなり、ニアフィールド位置制御では、ギャップ長が小さくなるに従って、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1は小さくなるので、ファーフィールド位置制御とニアフィールド位置制御とはゲインの正負が逆転している。また、ゲイン設定部123は、本発明に係る「第2ゲイン設定手段」の一例を構成する。
上述したように、位置検出信号SDT1の検出感度と位置検出信号SDT2の検出感度とは異なると共に、ニアフィールド位置制御用の制御ループの制御帯域とファーフィールド位置制御用の制御ループの制御帯域とは異なるので、ゲイン設定部113及びゲイン設定部123は、それぞれ独立して、それぞれの位置制御用のゲインを最適化可能である。
尚、上述したニアフィールド位置エラー生成部110は、AD変換器AD111、減算器112、及びゲイン設定部113を備えて構成されている。また、上述したファーフィールド位置エラー生成部120は、AD変換器AD121、減算器122、及びゲイン設定部123を備えて構成されている。
位相補償部115、125は、例えば、IIR(無限インパルス応答)型のデジタルフィルターによって構成され、典型的には、PID(即ち、比例積分微分)補償特性を有してよい。
加算器161、162は、例えばデジタル加算器であり加算器162の出力は、DA変換器162aにより、デジタル値からアナログ値に変換され駆動信号DRVとして出力される。
<繰り返し制御部の構成>
次に、図5を参照して、繰り返し制御部130の詳細について説明する。
第1実施形態に係る繰り返し制御部130は、ローパスフィルタLPF131、LPF132、LPF133、及び回転同期メモリ135を備えて構成されている。
LPF131は、例えばAD変換器のサンプリング周期を演算周期とする低域通過型のデジタルフィルターによって構成してよい。
LPF132は、回転同期メモリ135と協調的に動作して繰り返し制御部130の基本部分を構成する。LPF132は、低域通過型のデジタルフィルターであり、そのサンプリング周期は回転周期信号FGに応じて規定される。回転周期信号FGの周期と同じ値をサンプリング周期としてよい。或いは、回転周期信号FGの周期を数分の1倍した値をサンプリング周期として、当該LPF132におけるサンプリング処理を高速化してよい。
LPF133は、例えばDA変換器のサンプリング周期を演算周期とする低域通過型のデジタルフィルターによって構成してよい。
加算器162に供給されるパルス信号PLSは、加減速パルスを発生するためのデジタル値であり、図示しないプログラムメモリ等の記憶手段に格納され保存されており、規定のタイミングで加算器162からの出力信号に加算される。
また、加算器162に供給される信号SWPは掃引信号を発生するためのデジタル値であり、図示しないプログラムメモリ等の記憶手段に格納され保存されたステップ数に応じた、規定の演算周期での積算演算によるカウンタ作用によって、規定のタイミングで加算器162からの出力信号に加算される。
図5の選択部152は、選択部151によって選択された、ニアフィールド位置制御に基づく出力信号及びファーフィールド位置制御に基づく出力信号のうちいずれの出力信号を、加算器161に供給するか否かを、選択信号SEL2に応じて決定し、決定された出力信号を加算器161に向けて出力する。
図4に示したように、状態判断モード制御部230は、ファーフィールド位置制御又はニアフィールド位置制御が閉ループ状態にある場合、選択信号SEL2をHighとし、ニアフィールド位置制御に基づく出力信号又はファーフィールド位置制御に基づく出力信号を出力する。他方で、状態判断モード制御部230は、加速パルスを印加している加速期間Sup又は減速パルスを印加している減速期間SD1、SD2では、選択信号SEL2をLowとする。この選択信号SEL2がLowレベルの場合、選択部152は、例えばGNDレベル(即ち、基準レベル、或いは、デジタル値としてのゼロ)を選択し、出力信号として出力する。
この結果、加算器161の出力信号D1は、繰り返し制御部130の出力信号と同じ信号がそのまま出力されるので、情報記録媒体10の回転が一回転分だけ以前にサンプリングしたデータが更新されずに、繰り返し制御部130のローパスフィルタLPF131に再び入力されることになり、回転同期メモリ135におけるメモリ更新処理が停止される。
状態判断モード制御部230、及び選択部152によって、本発明に係る「更新停止手段」の一例が構成される。また、上述したレンズダウンの動作やレンズアップの動作が行われる所謂、掃引期間では、状態判断モード制御部230は、初期化信号CLRを発令して、回転同期メモリ135に格納される値は、例えばゼロ等の基準値に初期化される。
尚、図4中の減速期間SD1の終了時点以降、ロック信号LK1がHighとなっており、ニアフィールド位置制御の実行が選択される期間によって、本発明に係る「第1期間」の一例が構成されている。図4中の加速期間Supの開始時点から減速期間SD1の終了時点までの遷移期間Twによって、本発明に係る「遷移期間」の一例が構成されている。また、図4中の減速期間SD2の終了時点から加速期間Supの開始時点までのファーフィールド位置制御の実行が選択される期間によって、本発明に係る「第2期間」の一例が構成されている。
また、図5に示される、繰り返し制御を行う構成要素は、例えばAD変換器やDA変換器を内臓したデジタルシグナルプロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)のハードウェアとして実現可能であり、各構成要素が行う処理は、ソフトウェアによるアルゴリズムによって構成可能である。
<繰り返し制御部の動作原理>
次に、図6を参照して繰り返し制御部の動作原理について説明する。ここに、図6は、第1実施形態に係る繰り返し制御の一具体例として、面触れ量と、回転クロックとの関係を図式的に示したグラフ(図6(a))、及び、所定の回転クロックに対応する位置における面触れ量の時系列に沿った変化を図式的に示したグラフ(図6(b))である。
図6(a)のFG1乃至FG360などに示されるように、基準クロック周期によって一義的に定義可能な回転クロックに対応される情報記録媒体の回転角度毎に、変化する面振れ量を特定可能である。通常、情報記録媒体の回転角度の半径上の内周側に近づくに従って、面振れ量は小さくなり、情報記録媒体の回転角度の半径上の外周側に近づくに従って、面振れ量は大きくなるが、その面振れ量の変化や変化の度合いが、情報記録媒体が一回転する期間、言い換えると、1トラックピッチだけ半径方向に光の照射が移動する期間において、大きく変化することはない。
具体的には、回転クロックFG6に対応される情報記録媒体の回転角度においては、時間変化、即ち、時刻n−1、時刻n、時刻n+1という時間の流れに沿って、面振れ量は、面振れ量Wn−1、面振れ量Wn、面振れ量Wn+1と変化する。
また、図6(b)に示されるように、所定の回転クロックFG6に着目した場合、言い換えると、回転クロックFG6に対応される情報記録媒体の所定の同一回転角度に着目した場合、面振れ量は時系列に沿って、言い換えると、同一回転角度において半径方向に延びる方向に沿って変化する。具体的には、回転クロックFG6に対応される情報記録媒体のトラック上の位置においては、時間変化、即ち、時刻n−1、時刻n、時刻n+1という時間の流れに沿って、面振れ量は、面振れ量Wn−1、面振れ量Wn、面振れ量Wn+1と変化する。繰り返し制御の基本処理は、同一回転角度における過去の情報、即ち、同一回転角度における情報のみを用いて積分処理する(図5中のLPF132を参照)ことにより、現在の回転角における補正値(図5中のLPF133の出力を参照)を算出する。したがって、回転に同期していない非同期成分は除去される。さらに、単純な時間経過方向(言い換えると、典型的には、トラックを光がトレースすることにより時間経過に従い回転角度が変化する位置方向若しくはトラックの接線方向)には帯域制限(図5中のLPF131とLPF133とを参照)は実施されるが、主たる作用である前述の積分処理は作用しない。このため、回転角度の変化に対する時間的な波形変化である面振れ成分の高周波成分は減衰せず維持される。面振れ成分は、回転に同期した同期成分である。一方、非同期成分は面振れと直接関係のない例えば電源変動等のノイズ成分が多く含まれる。したがって、繰り返し制御を実行することにより、回転に同期した面振れ成分を、ノイズの影響を受けることなく効果的に抑制できる。本実施形態に係る繰り返し制御部130は、このような、回転クロックに対応される情報記録媒体の回転角度、及び、時刻という2種類の変数を入力情報として、面振れ量を一義的に特定可能であり、この特定された面振れ量に相当する面振れ成分の影響を低減するための補正信号を回転クロック、即ち、回転位相角に同期して出力する。これにより、ファーフィールド位置制御及びニアフィールド位置制御における固体浸レンズの引き込み動作を制御する際に面振れ成分による外乱が発生するのを防止可能である。
<第1実施形態における作用と効果の第1の検討>
次に、上述した図1乃至図5を参照して、第1実施形態に係る情報記録再生装置の作用と効果とについて、面振れ成分による外乱を防止可能な効果に着目して検討する。
上述した図1乃至図5に示したように、第1実施形態に係るファーフィールド位置エラー生成部120によるファーフィールド位置制御が実行されている最中に、繰り返し制御部130の回転同期メモリ135に、情報記録媒体10の回転に同期した面振れ成分を事前に学習し、面触れ成分に関する情報を格納しておく。
次に、加減速パルス生成部180は、加速期間Supに加速用のパルス信号PLSを発生させ、ファーフィールド位置からニアフィールド位置に近接するようにギャップ長を減少するために、固体浸レンズの上昇速度を増加する。
ロック信号LK1がLowからHighに変化した場合、固体浸レンズの上昇速度を減少するために減速用のパルス信号PLSを発生させ、その後、ニアフィールド位置制御の制御ループをクローズする。
この加速用のパルス信号(図4中の加速期間Supを参照)の印加から減速用のパルス信号(図4中の減速期間SD1を参照)の印加までの期間は、図4中の遷移期間Twに示されるように、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御への遷移期間であるとして、繰り返し制御の実行を継続した状態下で、選択信号SEL2をHighからLowへ変化させ、回転同期メモリ135の更新を停止する。
即ち、繰り返し制御部130は、この遷移期間Twにおいて、回転同期メモリ135から例えば1回転前までなどの過去において学習した面振れ成分の影響を低減するための補正信号を回転位相角に同期して出力する。これにより、この遷移期間Twでの位置制御において、面振れ成分による外乱が発生するのを防止可能である。
このように、本実施形態によれば、面振れ成分の影響を低減するための繰り返し制御を、ファーフィールド位置制御及びニアフィールド位置制御の実行期間に加えて加速用及び減速用のパルス信号によるフィードフォワード制御の実行期間において、常時実行する。特に、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御へ移行する際の加速用及び減速用のパルス信号によるフィードフォワード制御の実行期間において、面振れ成分の影響を低減するための繰り返し制御を、回転同期メモリ135の更新を停止しつつ、実行する。
この結果、固体浸レンズの上昇速度の加速及び減速が行われるファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御への遷移期間Twにおいて、面振れ成分による外乱を効果的に防止することが可能である。また、加速用及び減速用のパルス信号によるフィードフォワード制御を実行することにより、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御へ高速且つ適切に移行することが可能である。特に、フィードフォワード制御は、フィードバック制御に比較して、より迅速な応答性を有するので、実践上、大変有益である。
仮に、加速用及び減速用のパルス信号によるフィードフォワード制御を実行しない場合、典型的には、ファーフィールド位置制御の制御ループを閉じた状態にし、ファーフィールド位置制御の制御目標値を変更して、レンズをニアフィールド領域に近接させた後、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御へ変更した場合、次のような技術的な問題点が生じる。
エキスパンダレンズ間隔をモータによって駆動することにより、ファーフィールド位置制御の目標値を変更する場合を例にとって説明する。
エキスパンダは、通常、凹レンズと凸レンズの組み合わせで構成され、レンズ間距離を変更する機構を有している。また、レンズ間距離移動は、一般的には、ステッピングモータと送りネジによる機構で構成される。ステッピングモータは入力パルス数に応じて回転位置を変化させることができるので、回転位置センサが不要になる利点を有しているが、高速回転には不向きであり、レンズ間距離移動にはおのずと時間がかかる。また高速移動する他の機構も考えられるが、位置検出するためのセンサが別途必要になりコストが高くなる。したがって、ステッピングモータを用いたエキスパンダを用いて、ファーフィールド位置制御から、ニアフィールド位置制御への移行する際に大幅に時間が掛かってしまい、ひいては、情報記録再生装置におけるコンテンツ情報の記録開始又は再生開始までの時間が長時間化してしまい、ユーザの待機時間が長くなってしまうという技術的な問題点が生じる。
<第1実施形態における作用と効果の第2の検討>
次に、上述した図3を参照して、第1実施形態に係る情報記録再生装置の作用と効果とについてSIL底面での光の干渉作用の影響を低減可能な効果に着目して検討する。
上述したように、本実施形態では、面振れ成分の影響を低減するための繰り返し制御を、ファーフィールド位置制御及びニアフィールド位置制御の実行期間に加えて加速用及び減速用のパルス信号によるフィードフォワード制御の実行期間において、常時実行する。これにより、SIL底面での光の干渉作用による位置検出ノイズを効果的に抑制することが可能である。詳細には、上述した図3に示したように、ファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2は、近接場領域に近づくに従って、光源から出射される光の波長の「1/2」の周期で、大きく振動し、振動の際の振幅が増大するので位置検出の精度が低下する傾向にある。この振動する理由は、SIL底面での光の干渉作用に起因することが知られている。この振動は、光源から出射される光の波長とギャップ長とに依存しているが、情報記録媒体10の回転運動には同期していない。このため、本実施形態に係る繰り返し制御による学習を数回転分に相当する時間だけ実行すれば、回転に同期していない非同期成分として十分に除去可能である。
仮に、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御へ移行する際に、上述した加速用及び減速用のパルス信号によるフィードフォワード制御を実行しない場合、典型的には、ファーフィールド位置制御の制御ループを閉じた状態にし、ファーフィールド位置制御の制御目標値を変更して、レンズをニアフィールド領域に近接させた後、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御へ変更した場合、次のような技術的な問題点が生じる。即ち、この場合、近接場領域に近づくに従って、上述したSIL底面での光の干渉作用に起因したファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2の振動の影響が大きくなってしまい、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御へ移行する際のファーフィールド位置制御が不安定になってしまい、その結果、ニアフィールド位置制御に移行後のフィードバック制御も不安定となってしまい、ひいては、レンズがディスクに衝突する不具合いが生じてしまう。このように、上述した加速用及び減速用のパルス信号によるフィードフォワード制御を実行しない場合、高精度且つ迅速な位置制御の実現が困難となってしまうという技術的な問題点が生じる。
これに対して、本実施形態によれば、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御へ移行する際に、上述した加速用及び減速用のパルス信号によるフィードフォワード制御を実行する。と共に、面振れ成分の影響を低減するための繰り返し制御を、ファーフィールド位置制御及びニアフィールド位置制御の実行期間に加えて加速用及び減速用のパルス信号によるフィードフォワード制御の実行期間において、常時実行する。これにより、近接場領域に近づくに従って、上述したSIL底面での光の干渉作用に起因したファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2の振動が大きくなるという現象の影響を殆ど又は完全に無くすことが可能である。この結果、上述したSIL底面での光の干渉作用の影響を殆ど又は完全に無くすことが可能である。
<第1実施形態における作用と効果の第3の検討>
次に、図7を参照して、第1実施形態に係る情報記録再生装置の作用と効果とについてファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御へ移行する際の出力信号の連続性に着目して検討する。ここに、図7は、第1実施形態に係るファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御への移行時での、繰り返し制御部の3種類のローパスフィルタからの出力信号の信号波形、制御選択信号、ロック信号、減速指令信号、及び加速指令信号における、時間的な相関関係を示したタイミングチャートである。尚、図7は、制御選択信号SEL1がLowからHighへ変化するファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御へ遷移する遷移期間を示している。また、図7中の横軸は時間軸を示し、縦軸は各種の出力信号の値を示す。
上述した第1実施形態によれば、ファーフィールド位置エラー生成部120によるファーフィールド位置制御が実行されている最中に、繰り返し制御部130の回転同期メモリ135に、情報記録媒体10の回転に同期した面振れ成分を事前に学習し、面触れ成分に関する情報を格納しておく。そして、繰り返し制御部130は、加速用及び減速用のパルス信号によるフィードフォワード制御の実行期間(図7中の加速期間Supと減速期間SD1との間の期間を参照)であると共に、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御への遷移期間において、回転同期メモリ135から過去において学習した面振れ成分の影響を低減するための補正信号を回転位相角に同期して出力する。これにより、この遷移期間において、面振れ成分による外乱が発生するのを防止可能である。
加えて、ファーフィールド位置制御と、ニアフィールド位置制御とにおいて、繰り返し制御を実行する際に用いる回転同期メモリ135を共有する構成とする。これにより、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御へ移行した直後も、ファーフィールド位置制御において過去に学習した面振れ成分に関する情報を継続的に使用可能である。この結果、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御への移行を、情報記録媒体の面振れ成分の影響を低減しつつ、円滑且つ連続的に実現可能である。
本願発明者らの研究によれば、このような第1実施形態によって、図7に示されるように、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御へ移行する際、上述したフィードフォワード制御及び繰り返し制御が行われることによって、ローパスフィルタLPF131、LPF132、LPF133からの出力信号の出力波形の連続性が維持されていることが判明している。
以上の結果、本実施形態によれば、例えばファーフィールド位置制御及びニアフィールド位置制御等の制御帯域が大きく異なる2種類の位置制御間での移行時間(又は切り替え時間)の短縮化と、これら2種類の位置制御との間での安定的且つ連続的な移行(又は切り替え動作)との両立を実現可能である。
<第1実施形態における作用と効果の第4の検討>
次に、図8に加えて、上述した図3及び図5を適宜参照して、第1実施形態における作用と効果とを、繰り返し制御部をニアフィールド位置エラー生成部及びファーフィールド位置エラー生成部の後段側に設けた構成に着目して検討する。ここに、図8は、第1実施形態に係る固体浸レンズの位置制御に用いるアクチュエータ等の駆動手段の伝達特性として、周波数とゲインとの関係の一例を示したグラフである。尚、周波数f0は、アクチュエータの固有振動周波数を意味し、周波数fhは、アクチュエータを構成する機構が有する高次の共振周波数を意味する。
上述の図3に示されるように、ギャップ長(図3の横軸を参照)に対する、戻り光量(図3の縦軸を参照)の変化の割合、即ち、傾きが位置検出感度に相当するので、一般的に次の式(1)の大小関係を有する。
ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1の位置検出感度 >
ファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2の位置検出感度 …… (1)
また、ニアフィールド位置制御の制御ループは、nm(nanometer:ナノメートル)オーダの超精密位置制御である。他方、ファーフィールド位置制御の制御ループは、μm(マイクロメートル)オーダの精密位置制御であるので、これら2種類の制御ループは、次の式(2)の大小関係を有する。
ニアフィールド位置制御の制御ループ帯域 >
ファーフィールド位置制御の制御ループ帯域 …… (2)
更に、加えて、本実施形態では、アクチュエータを構成する機構が有する高次の共振周波数fh及びアクチュエータの固有振動周波数f0に対して、次の式(3)の条件を満たすように、制御ループ帯域を設定している。
高次の共振周波数fh > ニアフィールド位置制御の制御ループ帯域
> ファーフィールド位置制御の制御ループ帯域 > 固有振動周波数f0 ……(3)
このように、本実施形態によれば、上記の式(1)の条件、式(2)の条件、式(3)の条件という三つの条件を全て満たすように、ゲイン設定部113におけるゲイン量(利得量)と、ゲイン設定部123におけるゲイン量とが夫々独立して設定されてよい。
加えて、本実施形態によれば、上述の図1及び図5に示したように、繰り返し制御部130を、ニアフィールド位置エラー生成部110及びファーフィールド位置エラー生成部120における出力側、即ち、ゲイン設定部113、123より後段側、言い換えると、両制御モードのいずれか一方を選択する選択部151の出力側に設けた構成を有する。
一般的には、繰り返し制御の出力(即ち、本発明に係る「メモリ出力手段」の出力)は、ファーフィールド位置制御及びニアフィールド位置制御の位置制御における目標値と、実際の値との偏差である制御残差、所謂、エラーに加算する構成とする。
これに対して、本実施形態では、繰り返し制御の出力は、ニアフィールド位置制御及びファーフィールド位置制御におけるゲイン設定部113、123の出力、言い換えると、制御モードの選択後における位相補償部115、125の出力、更に言い換えると、制御対象であるレンズアクチュエータを駆動するレンズ駆動部30に供給される出力DRVに加算している点に特徴がある。この本実施形態に係る構成の作用及び効果について説明する。第1エラー信号の検出感度は高い。具体的には、ギャップ長、1ナノメートル当たりの出力電圧は数ボルトであり、検出感度の単位は「Volt/ナノメートル」である。一方、第2エラー信号の検出感度は低い。具体的には、ギャップ長、1マイクロメートル当たりの出力電圧は数ボルトであり、検出感度の単位は「Volt/マイクロメートル」である。
このように、ニアフィールド位置制御及びファーフィールド位置制御の両者における検出感度の違いによるゲインの差は顕著に大きい。このため、仮に、繰り返し制御の出力を、上述した制御残差、所謂、エラーに加算した場合、繰り返し制御の出力においてニアフィールド位置制御及びファーフィールド位置制御に夫々対応してゲイン補正を行う必要性が生じてしまう。
これに対して、本実施形態では、繰り返し制御の出力は、ゲイン設定部113、123の出力、言い換えると、制御モードの選択後における位相補償部115、125の出力、更に言い換えると、制御対象であるレンズアクチュエータを駆動するレンズ駆動部30に供給される出力DRVに加算される。これにより、レンズ駆動部30における駆動回路や、制御対象であるレンズアクチュエータにおけるゲイン調整に関しては、ニアフィールド位置制御及びファーフィールド位置制御の両方の位置制御において同じであるので、繰り返し制御の出力が出力DRVに加算された後のレンズ駆動に関する構成を、両方の位置制御において共通化することができる。このように、ニアフィールド位置制御及びファーフィールド位置制御の両方の位置制御において繰り返し制御部130のメモリを共用し、繰り返し制御の出力を共用する。これにより、繰り返し制御における通常の制御ループにおけるゲイン設定を行いさえすれば、両方の位置制御におけるゲインの最適化が共通して同時に行われたことになる。言い換えると、ニアフィールド位置制御に対応した繰り返し制御用のゲインの最適化と、ファーフィールド位置制御に対応した繰り返し制御用のゲインの最適化とが、繰り返し制御における通常の制御ループにおけるゲイン設定によって代用されたことになる。これにより、本実施形態では、両方の位置制御に夫々対応して、繰り返し制御の補正値を加算するための特別なゲイン設定手段を別途追加する必要がない。これにより、本実施形態では、部品点数の増加を防止できるので実践上、大変有益である。
この結果、(i)ダイナミックレンジの向上を重視し、より低い制御ループ帯域が好適であるファーフィールド位置制御のゲイン量と、制御の精度を重視し、より高い制御ループ帯域が好適であるニアフィールド位置制御のゲイン量とを互いに独立して夫々設定可能である事と、(ii)繰り返し制御部130の回転同期メモリ135を共有化し、過去に学習した面振れ成分に関する情報を継続的に使用し、ファーフィールド位置制御及びニアフィールド位置制御のうちいずれか一方からいずれか他方への移行を、情報記録媒体の面振れ成分の影響を低減しつつ、円滑且つ連続的に実現可能である事とを両立することができる。
<第2実施形態>
次に、図9を参照して、第2実施形態に係る情報記録再生装置について説明する。尚、第2実施形態に係る構成要素においては、上述した第1実施形態に係る構成要素と概ね同様である構成要素については同一の符号番号を付し、それらの説明は適宜省略する。ここに、図9は、第2実施形態に係る加速用のパルス信号の一例と、減速用のパルス信号の一例とを示したタイミングチャートである。
第2実施形態に係る情報記録再生装置は、速度推定部240として、速度検出カウンタ器を備えて構成されている。
図9に示されるように、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御へ移行する際に、加速パルス幅TAでの加速用のパルス信号によって、レンズを一端加速する。と同時に、速度検出部240としての速度検出カウンタ器による速度検出カウンタのカウント処理の実行を開始する。
ニアフィールド位置に近接しギャップ長が減少した場合、図9に示されるように、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1が規定レベルTh1に到達した場合、ニアフィールド位置制御用のロック検出信号LK1はLowからHighに変化される。ニアフィールド位置制御用のロック検出信号LK1がHighに変化した場合、速度検出カウンタ器によるカウント処理は停止する。
速度検出カウンタのカウント値T1が大きい場合、レンズの相対移動速度は低くなり、速度検出カウンタのカウント値T1が小さい場合、レンズの相対移動速度は高くなることが推定される。そこで、カウント値T1に逆比例した信号波の高さを有するパルス信号を、減速用のパルス信号として印加する。
即ち、減速パルス幅TBでの減速用のパルス信号の信号波の高さBrk1は、次の式(4)によって示される。
Brk1 = K / T1 …… (4)
但し、K:係数。
即ち、レンズの相対移動速度が高い場合、速度検出カウンタのカウント値T1がより小さくなるので、信号波の高さBrk1がより大きい、より強いブレーキを実行可能である。他方、レンズの相対移動速度が低い場合、速度検出カウンタのカウント値T1がより大きくなるので、信号波の高さBrk1がより小さい、より弱いブレーキを実行可能である。即ち、「1/T1」が速度推定量VDTとなるので、速度検出カウンタ器は、本発明に係る速度推定手段の一例を構成する。
このように、レンズの相対移動速度が高い場合は、より強いブレーキを実行し、レンズの相対移動速度が低い場合は、より弱いブレーキを実行することにより、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御へ移行する制御モードの移行時のオーバシュートの発生を抑制し、ニアフィールド位置制御における固体浸レンズの引き込み動作を安定的且つ迅速に実行することが可能である。
更に、加えて、減速パルス幅TBと加速パルス幅TAは、次の式(5a)及び式(5b)に示されるように、上述の図8で示したアクチュエータの伝達特性における高次共振周波数fhの逆数である周期より長く設定してよい。
TA > 1/fh …… (5a)
TB > 1/fh …… (5b)
このように、加速パルス幅TAは、式(5a)の条件を満たすように設定されることにより、加速時に、上述の図8で示した、固体浸レンズの位置制御に用いるアクチュエータ等の駆動手段の伝達特性における高次の共振周波数fhの周波数成分が印加される度合いを効果的に低減することが可能である。これにより、加速時にアクチュエータの高次共振を誘発する可能性を低くさせ、ニアフィールド位置制御における固体浸レンズの引き込み動作、所謂、合焦点動作を安定的且つ迅速に実行することが可能である。
概ね同様にして、減速パルス幅TBは、式(5b)の条件を満たすように設定されることにより、減速時に、上述の図8で示した、固体浸レンズの位置制御に用いるアクチュエータ等の駆動手段の伝達特性における高次の共振周波数fhの周波数成分が印加される度合いを効果的に低減することが可能である。これにより、減速時にアクチュエータの高次共振を誘発する可能性を低くさせ、ニアフィールド位置制御における固体浸レンズの引き込み動作、所謂、合焦点動作を安定的且つ迅速に実行することが可能である。
尚、図9では、速度検出部240としての速度検出カウンタ器により、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1が規定レベルTh1に到達するまでの時間に相当するカウンタ値T1を取得し、速度情報に変換する速度を検出する一例を示したが、この速度検出カウンタ器に加えて又は代えて、上述の図1に示したニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1から直接的に速度を測定し、速度推定量VDTの信号を出力する速度測定部を用いて良い。
<第3実施形態>
次に、図10を参照して、第3実施形態に係る情報記録再生装置について説明する。尚、第3実施形態に係る構成要素においては、上述した第1及び第2実施形態に係る構成要素と概ね同様である構成要素については同一の符号番号を付し、それらの説明は適宜省略する。ここに、図10は、第3実施形態に係る速度推定部としての速度オブザーバの構成を示したブロック図である。
第3実施形態に係る情報記録再生装置は、速度推定部240として、速度オブザーバを備えて構成されている。
速度オブザーバ(Velocity observer)は、レンズを駆動するアクチュエータのモデルとして2次遅れ系近似モデルを用いて、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1によって決定されるギャップ長の変化の加速度を生じさせる電流量を入力量とし、ギャップ長に一義的に対応したギャップ位置を出力量とすることにより、ギャップ長の変化の速度、即ち、速度推定量VDTを推定する。概ね同様にして、速度オブザーバは、ファーフィールド位置制御用の戻り光量DT2に応じた位置検出信号SDT2決定されるギャップ長の変化の加速度を入力量とし、ギャップ長を出力量とすることにより、ギャップ長の変化の速度、即ち、速度推定量VDTを推定してよい。尚、速度推定部240として、速度オブザーバによって、本発明に係る「第1観測手段」、「速度推定手段」及び「第2観測手段」の一例が構成されている。
図10に示されるように、速度推定部240としての速度オブザーバは、AD変換器401、係数K1を乗算する係数乗算部402、加算器403、積分器404、加算器405、係数K2を乗算する係数乗算部406、積分器407、係数K3を乗算する係数乗算部408、係数K4を乗算する係数乗算部409を備えて構成されている。
図10に示されるように、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1が、AD変換器401によってAD変換される。係数乗算部402によって、AD変換された戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1に係数K1が乗算される。係数乗算部406によって、AD変換された戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1に係数K2が乗算される。積分器404によって、加算器403を介して入力されるニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1に基づいて一義的に検出可能なギャップ長の加速度に関する情報信号が積分され、速度に関する情報信号として出力される。特に、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に応じた位置検出信号SDT1に基づいて一義的に検出可能なギャップ長の加速度に関する情報信号は、AD変換器401のサンプリング周波数などに基づいて定義可能である。積分器407によって、加算器405を介して、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に基づいて一義的に検出可能なギャップ長の速度に関する情報信号が積分され、距離に関する情報信号として出力される。出力された距離に関する情報信号は、係数乗算部408によって係数K3が乗算された後、加算器405に入力される。この加算器405においては、加算処理の入力情報として(i)積分器404から出力された速度に関する情報信号と、(ii)係数乗算部408によって係数K3が乗算された距離に関する情報信号とが、状態フィードバックされる。加えて、この加算器405においては、係数乗算部406によって、係数K2が乗算された戻り光量DT1の情報信号が加算される。これにより、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に基づいて一義的に検出可能なギャップ長の速度に関する情報信号が、この加算器405における加算処理の出力から速度オブザーバの出力信号として出力される。
また、積分器407から出力された距離に関する情報信号は、係数乗算部409によって係数K4が乗算された後、加算器403に状態フィードバックされる。
尚、係数K1、係数K2、係数K3、及び係数K4は、(i)固体浸レンズの位置制御に用いるアクチュエータにおけるモデルの伝達特性、(ii)アクチュエータ駆動回路の伝達ゲイン、(iii)A/D変換の変換における感度等のノミナル値から一義的に決定可能である。詳細には、固体浸レンズの位置制御に用いるアクチュエータ等の駆動手段において、制御入力としての供給電流から、制御出力としてのアクチュエータの駆動位置までの伝達特性は、例えばボイスコイル型の駆動手段では、上述の図8で示したように2次遅れ系モデルで概ね近似することが可能である。
尚、図10に示された速度推定部240としての速度オブザーバは、所謂、同一次元型オブザーバであり、制御対象が2次遅れ系モデルなので、2個の積分器404、407を備えて構成される。
このように、速度推定部240としての速度オブザーバは、ニアフィールド位置制御用の戻り光量DT1に基づいて一義的に検出可能なギャップ長から速度推定量VDTを推定するために微分器を含まないで構成可能である。この結果、観測したギャップ長等の位置情報に含まれる観測ノイズの影響を効果的に低減させ、S/N比を向上可能である。何故ならば、この観測ノイズは、高周波数帯域に集中する度合いが大きいため、観測したギャップ長等の位置情報を微分器によって微分した場合、この観測ノイズは増大してしまう。これに対して、第3実施形態に係る速度推定部としての速度オブザーバは、微分器の代わりに積分器によって構成されるので、観測ノイズの影響を効果的に低減させ、S/N比を向上可能である。
尚、上述した実施形態では、ファーフィールド位置制御からニアフィールド位置制御へ移行する制御モードの移行を行う情報記録再生装置について説明したが、本発明は、ニアフィールド位置制御からファーフィールド位置制御へ移行する制御モードの移行を行う情報記録再生装置にも適用可能である。
尚、上述した実施形態では、繰り返し制御として、情報記録媒体の面振れの影響を低減する処理を行う情報記録再生装置について説明したが、本発明は、繰り返し制御として、例えば情報記録媒体の記録面での記録特性を補正する処理などの他の処理を行う情報記録再生装置にも適用可能である。
尚、上述した実施形態では、繰り返し制御の出力は、ニアフィールド位置制御及びファーフィールド位置制御におけるゲイン設定部113、123の出力、言い換えると、制御モードの選択後における位相補償部115、125の出力、更に言い換えると、制御対象であるレンズアクチュエータを駆動するレンズ駆動部30に供給される出力DRVに加算している構成が示されているが、本実施形態はこの限りでない。即ち、典型的には、繰り返し制御の出力は、繰り返し制御におけるゲインがニアフィールド位置制御に応じて最適化された後で、ニアフィールド位置エラー信号Ernに加算されてよい。加えて、繰り返し制御の出力は、繰り返し制御におけるゲインがファーフィールド位置制御に応じて最適化された後で、ファーフィールド位置エラー信号Erfに加算されてよい。この結果、繰り返し制御におけるゲインを、ニアフィールド位置制御及びファーフィールド位置制御に夫々適切に対応させ、繰り返し制御の出力をより高精度にギャップの制御に反映させることが可能である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う記録再生装置、ギャップ制御方法、ギャップ制御プログラム、並びに、記憶媒体もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明は、例えば、固体浸レンズ(SIL:Solid Immersion Lens)を備え、近接場光を利用した記録再生装置、該記録再生装置が記録再生する記録媒体の媒体表面及び固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御方法、ギャップ制御プログラム、並びに、記憶媒体に利用可能である。
1…情報記録再生装置、10…情報記録媒体、20…光学系、21…固体浸レンズ、22…レンズアクチュエータ、23…対物レンズ、30…レンズ駆動部、40…スピンドルモータ、50…回転制御部、60…回転検出部、110…ニアフィールド位置エラー生成部、AD111…AD変換器、112…減算器、113…ゲイン設定部、115…ニアフィールド位置制御用の位相補償部、120…ファーフィールド位置エラー生成部、AD121…AD変換器、122…減算器、123…ゲイン設定部、125…ファーフィールド位置制御用の位相補償部、130…繰り返し制御部、LPF131、LPF132、LPF133…ローパスフィルタ、135…回転同期メモリ、151…選択部、152…選択部、161…加算器、162…加算器、170…掃引信号生成部、180…加減速パルス生成部、210…ニアフィールド位置制御用のロック検出部、220…ファーフィールド位置制御用のロック検出部、230…状態判断モード制御部、240…速度検出部、300…システム制御部、401…AD変換器、402…係数乗算部、403…加算器、404…積分器、405…加算器、406…係数乗算部、407…積分器、408…係数乗算部、409…係数乗算部、1010…半導体レーザ、1020…コリメータレンズ、1030…回折格子、1040…ビームシェイパ、1050…無偏光ビームスプリッタ、1060…偏光ビームスプリッタ、1070…エキスパンダ、1080…四分の一波長板、1090…ミラー、1130…シリンドリカルレンズ、1140…四分割受光素子、1150…集光レンズ、1160…ギャップエラー用受光素子。

Claims (15)

  1. ディスク状の記録媒体に光を照射する光源と、
    前記記録媒体の媒体表面に近接して配置され、近接場光を生じさせる固体浸レンズと、
    前記照射された光の一部を前記固体浸レンズを介して前記媒体表面に集光する光学系と、
    前記光の他の一部に起因する前記固体浸レンズの底部からの第1反射光に応じた第1エラー信号を出力する第1信号生成手段と、
    前記集光された光に起因する前記媒体表面からの第2反射光に応じた第2エラー信号を出力する第2信号生成手段と、
    前記近接場光が生じる近接場領域内に前記固体浸レンズが前記媒体表面に近接した場合、前記第1エラー信号を選択し、前記近接場領域外に前記固体浸レンズが前記媒体表面に近接した場合、前記第2エラー信号を選択する選択手段と、
    前記媒体表面及び前記固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御ループを流れる制御信号として、前記選択された第1エラー信号又は前記選択された第2エラー信号を用いて、前記ギャップを制御する制御手段と、
    前記第1エラー信号が選択された第1期間、前記第2エラー信号が選択された第2期間、並びに、前記第1期間及び前記第2期間のうちいずれか一方からいずれか他方へ遷移する遷移期間において、前記記録媒体の回転角度に応じて発生する前記ギャップの偏差に対応した補正値を算出すると共に前記算出された補正値を前記記録媒体の回転に同期して記憶し、前記記憶された補正値を前記回転に同期して前記ギャップ制御ループを流れる制御信号に加算するメモリ出力手段と、
    を備えることを特徴とする記録再生装置。
  2. 前記メモリ出力手段は、前記第1期間、前記第2期間、及び前記遷移期間において記憶領域を共用して、前記補正値を記憶することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の記録再生装置。
  3. 前記第1エラー信号のゲインを設定する第1ゲイン設定手段と、
    前記第2エラー信号のゲインを設定する第2ゲイン設定手段とを更に備え、
    前記メモリ出力手段は、前記第1ゲイン設定手段の出力側且つ前記第2ゲイン設定手段の出力側において、前記記憶された補正値を、前記ギャップ制御ループを流れる制御信号に加算することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の記録再生装置。
  4. 前記メモリ出力手段は、前記選択された第1エラー信号に前記記憶された補正値を加算する、又は、前記選択された第2エラー信号に前記記憶された補正値を加算することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の記録再生装置。
  5. 前記第1エラー信号のゲインを、第1制御帯域で設定する第1ゲイン設定手段と、
    前記第2エラー信号のゲインを、前記第1制御帯域より狭い帯域である第2制御帯域で設定する第2ゲイン設定手段と
    を更に備えることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の記録再生装置。
  6. 前記遷移期間において、前記固体浸レンズが前記媒体表面に近づく相対速度を減速させる減速パルス信号を前記制御手段に出力するパルス生成手段を更に備えることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の記録再生装置。
  7. 前記出力された第1エラー信号に応じて前記ギャップを観測する第1観測手段と、
    前記観測されたギャップに基づいて前記媒体表面と前記固体浸レンズとの相対速度を推定する速度推定手段とを更に備え、
    前記パルス生成手段は、前記推定された相対速度が大きくなるに従って、前記減速パルス信号の振幅に加えて又は代えてパルス幅を大きくすることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の記録再生装置。
  8. 前記パルス生成手段は、前記減速パルス信号を前記制御手段に出力する前に、前記固体浸レンズが前記媒体表面に近づく相対速度を加速させる加速パルス信号を前記制御手段に出力することを特徴とする請求の範囲第6項に記載の記録再生装置。
  9. 前記パルス生成手段は、前記減速パルス信号に加えて又は代えて前記加速パルス信号のパルス幅を、前記固体浸レンズを駆動するアクチュエータの伝達特性における高次共振周波数の逆数である周期より長くすることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の記録再生装置。
  10. 前記減速パルス信号に加えて又は代えて前記加速パルス信号が出力されている期間、前記メモリ出力手段の記憶内容の更新を停止する更新停止手段を更に備えることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の記録再生装置。
  11. 前記固体浸レンズと前記媒体表面との相対距離を変化可能な掃引手段を更に備えることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の記録再生装置。
  12. 前記出力された第2エラー信号に応じて前記ギャップを観測する第2観測手段と、
    前記観測されたギャップが規定値を下回る場合、前記固体浸レンズが前記媒体表面に近づく相対速度を減速させる所定振幅の減速パルス信号を前記制御手段に出力する他のパルス生成手段と
    を更に備えることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の記録再生装置。
  13. ディスク状の記録媒体に光を照射する光源と、前記記録媒体の媒体表面に近接して配置され、近接場光を生じさせる固体浸レンズと、前記照射された光の一部を前記固体浸レンズを介して前記媒体表面に集光する光学系と、前記光の他の一部に起因する前記固体浸レンズの底部からの第1反射光に応じた第1エラー信号を出力する第1信号生成手段と、前記集光された光に起因する前記媒体表面からの第2反射光に応じた第2エラー信号を出力する第2信号生成手段と、を備える記録再生装置において、前記ギャップを制御するギャップ制御方法であって、
    前記近接場光が生じる近接場領域内に前記固体浸レンズが前記媒体表面に近接した場合、前記第1エラー信号を選択し、前記近接場領域外に前記固体浸レンズが前記媒体表面に近接した場合、前記第2エラー信号を選択する選択工程と、
    前記媒体表面及び前記固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御ループを流れる制御信号として、前記選択された第1エラー信号又は前記選択された第2エラー信号を用いて、前記ギャップを制御する制御工程と、
    前記第1エラー信号が選択された第1期間、前記第2エラー信号が選択された第2期間、並びに、前記第1期間及び前記第2期間のうちいずれか一方からいずれか他方へ遷移する遷移期間において、前記記録媒体の回転角度に応じて発生する前記ギャップの偏差に対応した補正値を算出すると共に前記算出された補正値を前記記録媒体の回転に同期して記憶し、前記記憶された補正値を前記回転に同期して前記ギャップ制御ループを流れる制御信号に加算するメモリ出力工程と、
    を備えることを特徴とするギャップ制御方法。
  14. コンピュータを備える装置によって実行されるギャップ制御プログラムであって、
    ディスク状の記録媒体に光を照射する光源と、前記記録媒体の媒体表面に近接して配置され、近接場光を生じさせる固体浸レンズと、前記照射された光の一部を前記固体浸レンズを介して前記媒体表面に集光する光学系と、を備える記録再生装置において、
    前記光の他の一部に起因する前記固体浸レンズの底部からの第1反射光に応じた第1エラー信号を出力する第1信号生成手段と、
    前記集光された光に起因する前記媒体表面からの第2反射光に応じた第2エラー信号を出力する第2信号生成手段と、
    前記近接場光が生じる近接場領域内に前記固体浸レンズが前記媒体表面に近接した場合、前記第1エラー信号を選択し、前記近接場領域外に前記固体浸レンズが前記媒体表面に近接した場合、前記第2エラー信号を選択する選択手段と、
    前記媒体表面及び前記固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御ループを流れる制御信号として、前記選択された第1エラー信号又は前記選択された第2エラー信号を用いて、前記ギャップを制御する制御手段と、
    前記第1エラー信号が選択された第1期間、前記第2エラー信号が選択された第2期間、並びに、前記第1期間及び前記第2期間のうちいずれか一方からいずれか他方へ遷移する遷移期間において、前記記録媒体の回転角度に応じて発生する前記ギャップの偏差に対応した補正値を算出すると共に前記算出された補正値を前記記録媒体の回転に同期して記憶し、前記記憶された補正値を前記回転に同期して前記ギャップ制御ループを流れる制御信号に加算するメモリ出力手段として前記コンピュータを機能させることを特徴とするギャップ制御プログラム。
  15. 請求の範囲第14項に記載のギャップ制御プログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。
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