以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態における光学的情報再生装置の構成を示す機能ブロック図である。
光学的情報再生装置100は、光源101と、集光部102と、回転部103と、光量検出部104と、ギャップ制御部105と、チルト算出部106と、チルトエラー信号生成部107と、チルト制御部108とを備える。
光学的情報再生装置100は、光学的情報記録媒体である光ディスク1に、情報を記録及び/又は再生する装置である。
光源101は、レーザ光を出射する。集光部102は、近接場光を生成させるとともに、レーザ光を光ディスク1に集光させる。回転部103は、光ディスク1を回転させる。光量検出部104は、近接場光が生成される領域からの戻り光の光量を検出する。
ギャップ制御部105は、光量検出部104によって検出される戻り光の光量に基づいて、集光部102と光ディスク1とのギャップを制御する。チルト算出部106は、ギャップ制御部105によりギャップを制御している状態で、光量検出部104によって検出される戻り光の光量に基づいて、集光部102と光ディスク1との傾き量を算出する。
チルトエラー信号生成部107は、チルト算出部106によって算出された傾き量から、光ディスク1の偏心による戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号を生成する。チルト制御部108は、チルトエラー信号生成部107によって生成されたチルトエラー信号に基づき、集光部102と光ディスク1との傾きを制御する。
次に、第1の実施の形態における光学的情報再生装置の全体構成について図2を用いて説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態における光学的情報再生装置の全体構成を示す図である。
図2に示す光学的情報再生装置は、レーザ光源4、コリメータレンズ5、無偏光ビームスプリッタ6、偏光ビームスプリッタ7、4分の1波長板8、ビームエキスパンダ9、アクチュエータ10、集光部11、レンズホルダ14、アクチュエータ15、第1の検出レンズ16、第1のディテクタ17、第2の検出レンズ18、第2のディテクタ19、システム制御回路20、ギャップ制御回路21、チルト算出回路22、チルト制御回路24、フォーカス制御回路25、トラッキング制御回路26及び情報再生回路27を備える。
最初に、レーザ光源4から光ディスク1に至る光路中に存在する往路光学系、及び光ディスク1の構成について説明する。
光ディスク1は、データを記録又は再生するための光ディスクである。光ディスク1は、実際に情報が記録されている情報層2と、情報層を保護するカバー層3とを含む。レーザ光を光ディスク1の表面に集光させる場合には、カバー層3はなくても良い。レーザ光源4は、レーザ光を出射する。なお、レーザ光源4が光源101に相当する。コリメータレンズ5は、レーザ光源4から出射されたレーザ光を平行光に変換する。
無偏光ビームスプリッタ6及び偏光ビームスプリッタ7は、いずれも光ディスク1からの反射光を分離するためのビームスプリッタである。無偏光ビームスプリッタ6は、反射特性が偏光方向に対して依存しないタイプのビームスプリッタであり、偏光ビームスプリッタ7は、反射特性が偏光方向に対して依存するタイプのビームスプリッタである。無偏光ビームスプリッタ6は、近接場光が生成される領域(第1の実施の形態では、SIL13の出射面近傍)からの戻り光を分離し、偏光ビームスプリッタ7は、情報層2からの(すなわちファーフィールド光の)反射光を分離する。4分の1波長板8は、直線偏光を円偏光に変換することで、偏光ビームスプリッタ7でファーフィールド光の反射光を分離できるようにする。
ビームエキスパンダ9は、レーザ光のビーム径を拡大又は縮小する。ビームエキスパンダ9を構成する2枚のレンズのうち少なくとも1枚には、アクチュエータ10が取り付けられている。アクチュエータ10は、2枚のレンズ間の距離を調整する。これにより、光ディスク1におけるレーザ光の光軸方向の集束位置を調整することができる。なお、集束位置を調整する調整手段は、ビームエキスパンダ9だけに限定されるものではなく、ビームエキスパンダ9とは独立に集束位置調整用のレンズ又は光学素子を光路中に設けても良い。また、光軸方向の集光位置を集光部11のみで調整する場合にはビームエキスパンダ9は必ずしも必要ない。
集光部11は、近接場光を発生させるとともに、レーザ光を光ディスク1に集光する。なお、集光部11は集光部102に相当する。集光部11は、集光レンズ12とSIL13との2枚のレンズから構成されている。集光レンズ12は、レーザ光をSIL13に集束させる。SIL13は、近接場光を発生させる。SIL13には、例えば半球形状であり、半球の平面側をテーパー状に切削したレンズが用いられる。SIL13は、SIL13の平面側が光ディスク1の表面に正対するように配置される。
集光レンズ12とSIL13とはレンズホルダ14により一体に固定され、レンズホルダ14にはアクチュエータ15が取り付けられている。アクチュエータ15が駆動されることにより、光ディスク1の表面とSIL13との距離、集光部11の半径方向の位置、及びSIL13を含む集光部11の傾きが調整される。光ディスク1に偏心があると、光ディスク1を回転させてギャップ制御、フォーカス制御及びトラッキング制御を動作させたときに、光軸の中心と集光部11の中心とがずれて、戻り光のスポットの位置がシフトする。
次に、光ディスク1から第1のディテクタ17及び第2のディテクタ19に至る復路光学系について以下に説明する。
無偏光ビームスプリッタ6で反射された復路光は、第1の検出レンズ16で集光されて第1のディテクタ17に入射する。第1のディテクタ17に入射する光の光量は、近接場光が生成される領域(本実施の形態では、SIL13の出射面近傍)からの戻り光の光量に対応している。戻り光の光量は、SIL13と光ディスク1の表面との距離に依存して変化する。SIL13と光ディスク1の表面とが完全に接している場合は、SIL13に入射した往路光の光ディスク表面への透過は最大となるので、戻り光の光量は最小となる。一方、SIL13と光ディスク1の表面とが十分に離れると、SIL13に入射した光の輪帯部分の光は、SIL13の出射面において全反射されて、戻り光の光量は最大となる。上記2つの場合の中間では、SIL13と光ディスク1との距離にほぼ比例して戻り光の光量が変化する。したがって、第1のディテクタ17に入射する光の全光量を検出することで、SIL13と光ディスク1の表面との距離を検出することができる。第1の実施の形態における第1のディテクタ17は光量検出部104に相当する。第1のディテクタ17の詳細な構成は後述する。
また、偏光ビームスプリッタ7で反射された復路光は、第2の検出レンズ18で集光されて第2のディテクタ19に入射する。第2のディテクタ19に入射する光は、光ディスク1の情報層2から反射された光に対応している。近接場光が生成される状態になると、SIL13と光ディスク1との間の光学的な伝達効率が高くなるので、情報層2からの反射光が得られるようになる。
第2の検出レンズ18は、第2のディテクタ19に集光するためだけでなく、フォーカス状態を検出するためにも用いられる。例えば、第2の検出レンズ18は、非点収差法でフォーカス状態を検出するための組みあわせレンズであっても良い。また、第2のディテクタ19は、フォーカス状態及びトラッキング状態を検出するために用いられる。そのため、第2のディテクタ19は、受光素子が複数に分割された形態であることがより好ましい。
以下では光学的情報再生装置の電気系及び制御系について説明する。
システム制御回路20は、光学的情報再生装置の電気系及び制御系をコントロールする。
第1のディテクタ17で受光した光の光量は電気信号に変換される。この電気信号は、例えば光量に比例した電流値、光量に比例した電圧値、又は光量に比例した値をディジタル変換した情報である。全光量に比例する電気信号は、第1のディテクタ17からギャップ制御回路21に送られる。なお、第1のディテクタ17からチルト算出回路22に送られる電気信号については後述する。
ギャップ制御回路21は、集光部11の光軸方向の位置を調整するために、アクチュエータ15に駆動電流を出力する。ギャップ制御回路21は、第1のディテクタ17で受光した全光量に比例した電気信号が一定値になるように、アクチュエータ15の駆動電流を変化させて、SIL13と光ディスク1表面とのギャップを一定値に保つようサーボ制御する。なお、ギャップ制御回路21は、SIL13と光ディスク1表面とのギャップを、近接場結合が生じる距離、例えば、レーザ光の波長の1/4以下にするよう制御することが好ましい。ギャップ制御回路21は、ギャップ制御部105に相当する。
チルト算出回路22は、SIL13の出射面と光ディスク1の表面との傾き量を算出する。また、チルト算出回路22は、算出した傾き量から、光ディスク1の偏心による戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号23を生成する。チルト算出回路22は、チルト算出部106及びチルトエラー信号生成部107に相当する。チルト算出回路22の詳細な構成は後述する。
チルト算出回路22は、チルトエラー信号23を出力する。チルトエラー信号23は、例えば傾きの値に比例した電圧値などの電気信号、又は傾きの値をディジタル化した情報である。チルトエラー信号23は、一般的にはSIL13の出射面と光ディスク1の表面とが平行な場合にはゼロであり、傾きの角度に比例した大きさを有し、傾きの方向に応じて正負の符号を有している。傾きの向きは、光ディスク1の半径方向(ラジアル方向とも言う)であっても良いし、トラック方向(タンジェンシャル方向とも言う)であっても良い。また、チルト算出回路22は、半径方向の傾きとトラック方向の両方の傾きとを独立に算出しても良く、チルト制御回路24は、半径方向の傾きとトラック方向の両方の傾きとを独立に制御しても良い。
チルトエラー信号23はチルト制御回路24に送られる。チルト制御回路24はチルト制御部108に相当する。チルト制御回路24は、チルトエラー信号23が有する傾きの値がゼロになるように、アクチュエータ15の駆動電流を変化させる。例えば、図2の集光部11の左側にあるアクチュエータ15の駆動電流と、右側にあるアクチュエータ15の駆動電流とをそれぞれ独立に設定すれば、光ディスク1の表面とSIL13の出射面との半径方向の傾きを制御することができる。
フォーカス制御回路25及びトラッキング制御回路26は、それぞれ、第2のディテクタ19で受光した光に基づいてフォーカス状態及びトラッキング状態を制御する。フォーカス制御回路25は、第2のディテクタ19からの電気信号(フォーカスエラー信号)がゼロ又は一定値になるように、アクチュエータ10の駆動電流を変化させて、レーザ光のフォーカス位置を情報層2の位置に保つように、ビームエキスパンダ9の位置を光軸方向にサーボ制御する。また、トラッキング制御回路26は、第2のディテクタ19からの電気信号(トラッキングエラー信号)がゼロ又は一定値になるように、アクチュエータ15の駆動電流を変化させて、レーザ光のスポットが情報層2に形成されたガイド溝(図示せず)をトレースするように、集光部11の位置を半径方向に制御する。
情報再生回路27は、情報層2からの反射光量に比例した電気信号を用いて、情報層2にピット又はマークとして記録された情報を再生する。情報再生回路27は、再生信号処理回路及び復調回路を含む。
スピンドルモーター28は、光ディスク1を回転させる。スピンドルモーター28は、図1の回転部103に相当する。
次に、第1のディテクタ17(光量検出部104)及びチルト算出回路22(チルト算出部106及びチルトエラー信号生成部107)の構成について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の第1の実施の形態における第1のディテクタ及びチルト算出回路の構成を示す図である。
第1のディテクタ17は4個のフォトダイオードに分割されている。戻り光スポット305の位置がシフトしていないとき、戻り光スポット305は第1のフォトダイオード301に照射される。第1のフォトダイオード301は戻り光スポット305の中心に対して少なくとも2個に分割される。第1のフォトダイオード301は、集光部11と光ディスク1との傾き量を算出するために、戻り光の光量を検出する。なお、第1のフォトダイオード301が、傾き量検出用光量検出部に相当する。第1の実施の形態において、第1のフォトダイオード301は、光ディスク1の偏心による戻り光の変動によって戻り光のスポットが移動する方向に互いに隣接して配置される第1の検出領域301aと第2の検出領域302bとを含む。スポットの中心を分割している部分と一致させるように、戻り光の光軸は調整される。
第1のフォトダイオード301は戻り光の光量の分布を検出する。SIL13の出射面と光ディスク1の表面とに傾きが生じると、出射面と光ディスク1の表面との距離は出射面内の位置によって変化する。したがって、傾きがある場合には、戻り光スポット305の強度分布は、スポット中心に対して一様ではなくなり、分割された2個のフォトダイオード(第1の検出領域301a及び第2の検出領域302b)の光量に差が生じる。それぞれのフォトダイオード(第1の検出領域301a及び第2の検出領域302b)で検出された信号(すなわち、光量に比例する電気信号)は、第1の減算回路303に出力される。第1の減算回路303は、第1の検出領域301aで検出された信号から、第2の検出領域301bで検出された信号を減算することにより、傾きに応じた差分信号304を得る。ここまでは、従来の光学的情報再生装置と同様である。従来はこの差分信号304をチルトエラー信号としていた。
従来の光学的情報再生装置と異なるのは、以下の部分である。第1のディテクタ17は、偏心検出用光量検出部に相当する第2のフォトダイオード302をさらに含む。第2のフォトダイオード302は、光ディスク1の偏心による変動成分を検出するために、戻り光の一部の光量を検出する。第2のフォトダイオード302は、光ディスク1の偏心による戻り光の変動によって戻り光のスポットが移動する方向に第1の検出領域301aに隣接して配置される第3の検出領域302aと、光ディスク1の偏心による戻り光の変動によって戻り光のスポットが移動する方向に第2の検出領域301bに隣接して配置される第4の検出領域302bとを含む。第2のフォトダイオード302は、戻り光スポット305がシフトしたときに、戻り光スポット305の一部が入射するように配置される。第2のフォトダイオードをこのような配置とする理由について、図4(A)〜図6(C)を用いて説明する。
図4(A)〜図4(C)は、偏心を有する光ディスク1を回転させた場合の、集光部11及び戻り光スポット305の状態を示す図である。偏心を有する光ディスク1を回転させると、光ディスク1上のあるトラックの半径方向の位置は光ディスク1の回転角度によって変化する。図4(A)は、本発明の第1の実施の形態において、所定のトラックが最も外周側に位置する状態を示す図である。図5(A)は、本発明の第1の実施の形態において、所定のトラックが最も内周側に位置する状態を示す図である。図6(A)は、本発明の第1の実施の形態において、所定のトラックが図4(A)及び図5(A)の中間に位置する状態を示す図である。
トラッキング制御を動作させた状態では、集光部11はトラックの半径方向の位置の変化に追従しようとするので、同じトラックを再生していても集光部11は半径方向に移動する。
したがって、集光部11の中心と集光部11への入射光の光軸の中心とがずれ、戻り光の光軸の中心は入射光の光軸の中心とは反対側にずれる現象が生じる。すなわち、図4(B)では、集光部11が外周側にずれて、入射光の光軸中心が内周側にずれ、戻り光の光軸中心は外周側にずれている状態を示している。逆に、図5(B)では、集光部11が内周側にずれて、入射光の光軸中心が外周側にずれ、戻り光の光軸中心が内周側にずれている状態を示している。また、図6(B)では、偏心がない場合に想定される位置から集光部11がずれていないので、入射光及び戻り光の光軸中心と、集光部11の中心とが一致している状態を示している。
その結果、集光部11のずれに比例して、第1のフォトダイオード301上で戻り光スポット305の位置もずれる。すなわち、図4(C)では、集光部11が外周側にずれて、戻り光スポット305が図中の左側にずれた状態を示している。図5(C)は、集光部11が内周側にずれて、戻り光スポット305が図中の右側にずれた状態を示している。図6(C)では、偏心がない場合に想定される位置から集光部11がずれていないので、戻り光スポット305の中心が第1のフォトダイオード301の中心と一致している状態を示している。
ゆえに、第1のフォトダイオード301の外側に第2のフォトダイオード302を配置する構成とすることにより、光ディスク1の偏心量に応じて戻り光スポット305の一部が第2のフォトダイオード302に入射する。そのため、偏心量に相当する値を第2のフォトダイオード302を用いて検出することが可能となる。
さらに、第1の実施の形態では、図3に示すように、第2の減算回路306、増幅回路307及び第3の減算回路308を用いて、戻り光スポット305がシフトしたときにチルトエラー信号に加わる誤差(すなわち変動成分)を除く構成とする。第2の減算回路306が必要な理由は、戻り光スポット305のシフトによる誤差成分の極性が、戻り光スポット305がシフトする方向によって変化するからである。
第1の検出領域301a及び第2の検出領域302bで検出された信号(すなわち、光量に比例する電気信号)は、それぞれ第2の減算回路306に出力される。第2の減算回路306は、第3の検出領域302aで検出された信号から、第4の検出領域302bで検出された信号を減算する。増幅回路307は、第1の減算回路303の差分信号からシフトによる誤差成分を適切に除ける大きさに、第2の減算回路306の差分信号の大きさを変える。増幅回路307のゲインは1より小さい場合もあり得る。
第3の減算回路308は、差分信号304から誤差成分の信号を減算する。第3の減算回路308は、差分信号304から誤差成分の信号を減算した信号を、チルトエラー信号23として出力する。このチルトエラー信号23を用いれば、光ディスク1に偏心がある場合でも、チルト制御したときの光ディスク1の表面とSIL13の出射面との平行度をより向上させることができる。
以上述べたように、第1の実施の形態では、戻り光スポットの一部を検出し、その検出結果に基づいてチルトエラー信号に生ずる変動成分を除く構成とする。これにより、光ディスク1とSIL13とのギャップを小さくしてギャップサーボを動作させたときでも、正確にチルトサーボを動作させることができるという、特別の効果を奏する。第1の実施の形態の実施例については後で詳述する。
なお、第1の実施の形態では、戻り光スポットのシフトを動的に検出するので、光ディスク1が1回転する間にチルトが変動する場合でも、チルトの変動に追従して誤差成分を除くことができるという利点を有する。
また、第1の実施の形態では、第2のフォトダイオード302を第1のフォトダイオード301の外側に配置しているが、光ディスク1の偏心による戻り光スポット305のシフトを検出できるのであれば、別の場所に配置しても良い。図7は、本発明の第1の実施の形態の第1の変形例における第1のディテクタの構成を示す図であり、図8は、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例における第1のディテクタの構成を示す図であり、図9は、本発明の第1の実施の形態の第3の変形例における第1のディテクタの構成を示す図である。
例えば、図7に示すように、第1のディテクタ17の手前に回折光学素子501を設けて、第2のフォトダイオード302を第1のフォトダイオード301から離れた位置に配置しても良い。回折光学素子501は、戻り光を回折する。回折光学素子501を透過した戻り光は、第1のフォトダイオード301と第2のフォトダイオード302とに入射する。
また、図8に示すように、第1のディテクタ17の手前にハーフミラー502を設けて光路を分離し、ハーフミラー502によって分離された光をミラー503で反射させ、第2のフォトダイオード302を独立に配置しても良い。
また、第2のフォトダイオード302は必ずしも2個である必要はない。図9に示すように、戻り光スポット305の片側のシフトのみを検出するものであってもかまわない。すなわち、第2のフォトダイオード302は、第3の検出領域302a及び第4の検出領域302bのいずれか一方を備えても良い。光ディスク1の偏心による戻り光スポット305のシフトは半回転ごとに対称に発生する。そのため、第2のフォトダイオード302は、半回転分のシフト量を検出し、検出したシフト量をシステム制御回路20に記憶する。そして、システム制御回路20は、記憶したシフト量を逆極性にし、逆極性にしたシフト量を残りの半回転分のシフト量として第3の減算回路308に与えればよい。
なお、第2のフォトダイオード302の配置位置は、上記の構成のみに限定されるのもではない。第2のフォトダイオード302は、光ディスク1の偏心による戻り光の変動がある場合には、光ディスク1の偏心に応じて、第2のフォトダイオード302によって検出される光量が変化する位置に、配置されていればよい。
以上のように、第1の実施の形態の光学的情報再生装置又は光学的情報記録装置は、レーザ光を出射する光源101と、近接場光を生成させるとともに、レーザ光を光ディスク1に集光させる集光部102と、光ディスク1を回転させる回転部103と、近接場光が生成される領域からの戻り光の光量を検出する光量検出部104と、光量検出部104によって検出される戻り光の光量に基づいて、集光部102と光ディスク1とのギャップを制御するギャップ制御部105と、ギャップ制御部105によりギャップを制御している状態で、光量検出部104によって検出される戻り光の光量に基づいて、集光部102と光ディスク1との傾き量を算出するチルト算出部106と、チルト算出部106によって算出された傾き量から、光ディスク1の偏心による戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号を生成するチルトエラー信号生成部107と、チルトエラー信号生成部107によって生成されたチルトエラー信号に基づき、集光部102と光ディスク1との傾きを制御するチルト制御部108とを備える。
また、第1の実施の形態の光学的情報再生方法又は光学的情報記録方法は、レーザ光を出射する出射工程と、集光部102によって、近接場光を生成させるとともに、レーザ光を光ディスク1に集光させる集光工程と、光ディスク1を回転させる回転工程と、近接場光が生成される領域からの戻り光の光量を検出する光量検出工程と、光量検出工程において検出される戻り光の光量に基づいて、集光部102と光ディスク1とのギャップを制御するギャップ制御工程と、ギャップ制御工程によりギャップを制御している状態で、光量検出工程において検出される戻り光の光量に基づいて、集光部102と光ディスク1との傾き量を算出するチルト算出工程と、チルト算出工程において算出された傾き量から、光ディスク1の偏心による戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号を生成するチルトエラー信号生成工程と、チルトエラー信号生成工程において生成されたチルトエラー信号に基づき、集光部102と光ディスク1との傾きを制御するチルト制御工程とを含む。
上記の第1の実施の形態の装置又は方法によれば、戻り光のスポットの輪帯部の強度に関係なく、光ディスク1の偏心によるディテクタ上でのスポットの移動分をキャンセルすることができる。すなわち、集光部102と光ディスク1とのギャップを小さくしてギャップサーボを動作させたときでも、正確にチルトサーボを動作させることが可能となる。これにより、光ディスク1に高密度に記録された情報を高品質かつ安定に再生することが可能となる。また、光ディスク1に情報を高品質かつ安定かつ高密度に記録することが可能となる。
また、第1の実施の形態の光学的情報再生装置又は光学的情報記録装置において、集光部102は、光ディスク1の表面に対向する出射面を有するSIL13を含んでも良い。このとき、近接場光が生成される領域は、例えば、SIL13の出射面近傍である。
また、第1の実施の形態の光学的情報再生装置又は光学的情報記録装置において、光量検出部104は、光ディスク1の偏心による戻り光の変動成分を検出するために、戻り光の一部の光量を検出する偏心検出用光量検出部(例えば、第2のフォトダイオード302)をさらに含んでも良い。第2のフォトダイオード302は、光ディスク1の偏心による戻り光の変動がある場合に、変動に応じて、検出される戻り光の一部の光量が変化する位置に配置されている。このとき、チルトエラー信号生成部107は、傾き量と、第2のフォトダイオード302にて検出された戻り光の一部の光量とに基づいて、チルトエラー信号を生成する。
以上の構成によれば、戻り光の一部の光量が検出され、検出結果に基づいてチルトエラー信号に生ずる変動成分が除去される。これにより、集光部102と光ディスク1とのギャップを小さくしてギャップサーボを動作させたときでも、正確にチルトサーボを動作させることができる。
また、第1の実施の形態の光学的情報再生装置又は光学的情報記録装置においては、偏心検出用光量検出部(例えば、第2のフォトダイオード302)は、光ディスク1の偏心による戻り光の変動がない場合に、戻り光の一部が検出されない位置に配置されていても良い。
以上の構成によれば、第2のフォトダイオード302により検出された光量は、すべて、光ディスク1の偏心による戻り光の変動によって生じたものであると判断できる。したがって、より精度良く、光ディスク1の偏心による戻り光の変動に応じた光量を検出することができる。
また、第1の実施の形態の光学的情報再生装置又は光学的情報記録装置においては、光量検出部104は、集光部102と光ディスク1との傾き量を算出するために、戻り光の光量を検出する第1のフォトダイオード301(傾き量検出用光量検出部)と、光ディスク1の偏心による戻り光の変動成分を検出するために、戻り光の一部の光量を検出する第2のフォトダイオード302(偏心検出用光量検出部)とを含む。第1のフォトダイオード301は、光ディスク1の偏心による戻り光の変動によって戻り光のスポットが移動する方向に互いに隣接して配置される第1の検出領域301aと第2の検出領域301bとを含む。第2のフォトダイオード302は、光ディスク1の偏心による戻り光の変動によって戻り光のスポットが移動する方向に第1の検出領域301aに隣接して配置される第3の検出領域302aと、光ディスク1の偏心による戻り光の変動によって戻り光のスポットが移動する方向に第2の検出領域301bに隣接して配置される第4の検出領域302bとを含む。
なお、第1の実施の形態の光学的情報再生装置又は光学的情報記録装置においては、第2のフォトダイオード302は、光ディスク1の偏心による戻り光の変動がない場合であっても、戻り光の一部が検出される位置に配置されていても良い。上述したように、第2のフォトダイオード302は、光ディスク1の偏心による戻り光の変動がある場合には、戻り光の変動に応じて、検出される光量が変化する位置に配置されていればよい。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態における光学的情報再生装置の構成について図10を用いて説明する。
図10は、本発明の第2の実施の形態における第1のディテクタ及びチルト算出回路の構成を示す図である。なお、第2の実施の形態において、第1のディテクタ17及びチルト算出回路22以外の構成は、第1の実施の形態の光学的情報再生装置と同じであるので説明を省略する。第1の実施の形態と異なるのは、第1のディテクタ17が第2のフォトダイオード302(すなわち、偏心検出用光量検出部)を備えないこと、チルト算出回路22が、第2の減算回路306、増幅回路307及び第3の減算回路308の代わりに平均化回路601(すなわち、平均化部)を備えること、第1のフォトダイオード301を戻り光スポットがシフトしてもスポット全体が十分入射する大きさとすることである。なお、第2の実施の形態では、第1の減算回路303と平均化回路601とを合わせてチルト算出回路22(すなわち、チルト算出部106)とする。
平均化回路601は、第1の減算回路303(チルト算出部106)によって算出された傾き量の変化を平均化することにより、光ディスク1の偏心による戻り光の変動成分を除去したチルトエラー信号を生成する。
第1のディテクタ17は、第1の検出領域301aと第2の検出領域301bとに分割されている。第1の検出領域301a及び第2の検出領域301bは、光ディスク1の偏心による戻り光の変動がなくスポットが移動していない場合には、第1の検出領域301aが受光するスポットの面積と、第2の検出領域301bが受光するスポットの面積とが同じであり、かつ、光ディスク1の偏心による戻り光の変動がありスポットが移動した場合には、第1の検出領域301aが受光するスポットの面積と、第2の検出領域301bが受光するスポットの面積とが変動に応じて変化する位置に、配置されている。
また、第1のディテクタ17は、光ディスク1の偏心による戻り光の変動がない場合における戻り光のスポットの中心点を通り、光ディスク1の偏心による戻り光の変動によって戻り光のスポットが移動する方向に垂直な直線に沿って、第1の検出領域301aと第2の検出領域301bとに分割されている。
第1のディテクタ17は、第1の検出領域301aが受光したスポットの光量に応じて第1の信号を出力し、かつ、第2の検出領域301bが受光したスポットの光量に応じて第2の信号を出力する。第1の減算回路303(チルト算出部106)は、第1の信号と第2の信号との差分信号304を傾き量として出力する。
平均化回路601は、差分信号304を平均化することにより、チルトエラー信号23を生成する。また、平均化回路601は、光ディスク1が1回転する時間の整数倍で平均化時間を区切る。
第2の実施の形態の光学的情報再生装置の動作は以下の通りである。第1のフォトダイオード301で各フォトダイオード(第1の検出領域301a及び第2の検出領域301b)に入射した戻り光の光量が検出され、検出した光量に対応する電気信号が第1の減算回路303に入力されて、差分信号304が得られることは、従来の光学的情報再生装置と同様である。
従来の光学的情報再生装置と異なるのは、以下の部分である。第1の減算回路303は、第1の検出領域301aで検出された信号と、第2の検出領域301bで検出された信号との差分を表す差分信号304を平均化回路601へ出力する。差分信号304は、平均化回路601に入力される。平均化回路601は、光ディスク1が少なくとも1回転する時間で差分信号304を平均化する。平均化回路601は、ハイパスフィルタのような電気回路であっても良いし、ディジタル化された信号を数値的に平均化するプログラムであっても良いし、そのようなプログラムを組み込んだ半導体回路であっても良い。
次に、第2の実施の形態の光学的情報再生装置の動作について、図10及び図11を用いてさらに説明する。図11(A)は、差分信号の振幅の変化を説明するための図であり、図11(B)は、平均化回路からの出力信号の振幅の変化を説明するための図である。
SIL13の出射面と光ディスク1の表面との傾きがゼロである状態を想定する。ギャップサーボを動作させた後に偏心を有する光ディスク1を回転させ、フォーカスサーボ及びトラッキングサーボを動作させ、スチル状態とする。このとき、戻り光スポット305は第1のフォトダイオード301上でシフトする。光ディスク1の回転に応じて戻り光スポット305のシフト量は変化するが、光ディスク1が1周すると戻り光スポット305は同じ位置に戻り、シフト量も同じになる。これは、偏心がゼロの場合のトラックの半径位置と、偏心を有する場合の当該トラックの半径位置との差は、光ディスク1の回転角度に依存するからである。すなわち、シフト量は光ディスク1の1回転の周期と同期して変動する。したがって、図11(A)に示すように、差分信号304の振幅は、光ディスク1の1回転の周期と同期して変動することになる。なお、図11(A)では、差分信号304の振幅を1で規格化している。
平均化回路601は、差分信号304の振幅を平均化する。平均化は、光ディスク1が1回転する時間に比べて十分長い時間で行うのが好ましい。平均化する時間が長いほど、1回転に満たない端数分の時間は十分小さくて無視できるからである。この場合、平均化回路601は回転同期信号を用いる必要がなく、平均化回路601を簡略化できるという利点がある。
平均化回路601からの出力は図11(B)に示す波形となる。図11(B)に示すように、光ディスク1の回転回数が増える(すなわち時間が進む)にしたがって、平均化回路601からの出力は小さくなる。最終的に、SIL13の出射面と光ディスク1の表面との傾きがゼロの場合には、戻り光スポット305のシフトにかかわらず振幅はゼロに収束する。平均化回路601からの信号は、チルトエラー信号23として用いられる。すなわち、チルトエラー信号23から戻り光スポット305のシフトによる誤差成分をなくすことができる。
以上述べたように第2の実施の形態では、分割したフォトダイオードから得られる差分信号を平均化する。これにより、光ディスク1とSIL13とのギャップを小さくしてギャップサーボを動作させたときでも、正確にチルトサーボを動作させることができるという、特別の効果を奏する。
なお、第2の実施の形態に特有の利点としては、シフト量を検出するためのディテクタを独立に設ける必要がないので、より簡易な光学系の構成でチルトサーボを正確に動作させることができる点である。
また、より短時間で平均化するには、光ディスク1が1回転する時間の整数倍で平均化時間を区切ることが、正確に平均化できる点で好ましい。光ディスク1の回転の検出はスピンドルモーター28から出力される回転同期信号を用いれば良い。
以上のように、第2の実施の形態の光学的情報再生装置又は光学的情報記録装置は、レーザ光を出射する光源101と、近接場光を生成させるとともに、レーザ光を光ディスク1に集光させる集光部102と、光ディスク1を回転させる回転部103と、近接場光が生成される領域からの戻り光の光量を検出する光量検出部104と、光量検出部104によって検出される戻り光の光量に基づいて、集光部102と光ディスク1とのギャップを制御するギャップ制御部105と、ギャップ制御部105によりギャップを制御している状態で、光量検出部104によって検出される戻り光の光量に基づいて、集光部102と光ディスク1との傾き量を算出するチルト算出部106と、チルト算出部106によって算出された傾き量から、光ディスク1の偏心による戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号を生成するチルトエラー信号生成部107と、チルトエラー信号生成部107によって生成されたチルトエラー信号に基づき、集光部102と光ディスク1との傾きを制御するチルト制御部108とを備える。
また、第2の実施の形態の光学的情報再生装置又は光学的情報記録装置において、集光部102は、光ディスク1の表面に対向する出射面を有するSIL13を含んでも良い。このとき、近接場光が生成される領域は、例えば、SIL13の出射面近傍である。
また、第2の実施の形態の光学的情報再生装置又は光学的情報記録装置においては、チルトエラー信号生成部107は、チルト算出部106によって算出された傾き量の変化を平均化することにより、光ディスク1の偏心による戻り光の変動成分を除去したチルトエラー信号を生成する平均化回路601(平均化部)を含む。
このとき、光量検出部104は、戻り光のスポットを受光する第1のフォトダイオード301(光量検出領域)を含んでも良い。このとき、第1のフォトダイオード301は、第1の検出領域301a(例えば、第1のフォトダイオード301の一方の領域)と第2の検出領域301b(例えば、第1のフォトダイオード301の他方の領域)とに分割されていても良い。
さらに、第1の検出領域301a及び第2の検出領域301bは、光ディスク1の偏心による戻り光の変動がなくスポットが移動していない場合には、第1の検出領域301aが受光するスポットの面積と、第2の検出領域301bが受光するスポットの面積とが同じである位置に配置されていても良い。このとき、第1の検出領域301a及び第2の検出領域301bは、光ディスク1の偏心による戻り光の変動がありスポットが移動した場合には、第1の検出領域301aが受光するスポットの面積と、第2の検出領域301bが受光するスポットの面積とが変動に応じて変化する位置に配置されていても良い。
さらに、光量検出部104は、第1の検出領域301aが受光したスポットの光量に応じて第1の信号を出力し、かつ、第2の検出領域301bが受光したスポットの光量に応じて第2の信号を出力しても良い。さらに、チルト算出部106は、第1の信号と第2の信号との差分を表す差分信号を傾き量として出力しても良い。
このとき、平均化回路601は、差分信号を平均化することにより、チルトエラー信号を生成しても良い。
以上の構成によれば、分割したディテクタから得られる差分信号が平均化される。これにより、集光部102と光ディスク1とのギャップを小さくしてギャップサーボを動作させたときでも、正確にチルトサーボを動作させることができる。さらに、シフト量を検出するためのディテクタを独立に設ける必要がない。このため、より簡易な光学系の構成でチルトサーボを正確に動作させることができる。
また、第2の実施の形態の光学的情報再生装置又は光学的情報記録装置においては、平均化回路601は、光ディスク1が1回転する時間の整数倍で平均化時間を区切っても良い。
以上の構成によれば、より短時間で平均化する場合でも、正確に平均化を行うことができる。
また、第2の実施の形態の光学的情報再生装置又は光学的情報記録装置においては、第1のフォトダイオード301(光量検出領域)は、光ディスク1の偏心による戻り光の変動がない場合における戻り光のスポットの中心点を通り、光ディスク1の偏心による戻り光の変動によってスポットが移動する方向と垂直な直線に沿って、第1の検出領域301aと第2の検出領域301bとに分割されていても良い。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態における光学的情報再生装置の構成を図12及び図13を用いて説明する。
図12は、本発明の第3の実施の形態における光学的情報再生装置の全体構成を示す図である。なお、第3の実施の形態において、第1の実施の形態及び第2の実施の形態の光学的情報再生装置と同じ構成については同じ符号を付し説明を省略する。第3の実施の形態における光学的情報再生装置が第1の実施の形態における光学的情報再生装置と異なるのは、光学的情報再生装置が、アクチュエータ15に出力される駆動電流を検出する駆動電流検出回路801(すなわち、駆動電流検出部111)を備え、チルト算出回路22が、偏心による誤差成分を除く信号として、駆動電流の変化を表す駆動信号802を用いることである。
駆動電流検出回路801は、トラッキング制御回路26によって出力される駆動電流を検出する。トラッキング制御回路26は、光ディスク1の偏心による戻り光の変動に応じて、駆動電流を変化させる。チルト算出回路22は、算出した傾き量と、駆動電流検出回路801による駆動電流の検出結果とに基づいて、チルトエラー信号を生成する。
図13は、本発明の第3の実施の形態における第1のディテクタ及びチルト算出回路の構成を示す図である。第1の実施の形態と異なるのは、第1のディテクタ17が第2のフォトダイオード302(すなわち、偏心検出用光量検出部)を備えないこと、第2のフォトダイオード302からの出力信号の代わりに駆動信号802を用いること、第2の実施の形態と同様に、第1のフォトダイオード301を戻り光スポットがシフトしてもスポット全体が十分入射する大きさとすることである。
次に、第3の実施の形態の光学的情報再生装置の動作について、図13及び図14(A)〜図14(C)を用いて説明する。図14(A)は、差分信号の振幅の変化を説明するための図であり、図14(B)は、駆動電流検出回路からの駆動信号の振幅の変化を説明するための図であり、図14(C)は、第3の減算回路からの出力信号の振幅の変化を説明するための図である。
第2の実施の形態と同様に、SIL13の出射面と光ディスク1の表面との傾きがゼロである状態を想定する。偏心を有する光ディスク1を回転させ、第1の実施の形態の実施例と同様にトラッキングサーボを動作させ、スチル状態とする。このとき、差分信号304の振幅は、図14(A)に示すように光ディスク1の1回転の周期と同期して変動する。
一方、トラッキング制御回路26は光ディスク1の偏心に追従させるために、アクチュエータ15に駆動電流を出力して集光部11の位置を半径方向にシフトさせる。光ディスク1の回転に応じて集光部11の半径方向へのシフト量は変化するが、光ディスク1が1周すると戻り光スポット305は同じ位置に戻り、シフト量は同じになる。この理由は、第2の実施の形態の場合と同様に、偏心がゼロの場合のトラックの半径位置と、偏心を有する場合の当該トラックの半径位置との差は、光ディスク1の回転角度に依存するからである。すなわち、シフト量は光ディスク1の1回転の周期と同期して変動する。
駆動電流検出回路801は、駆動電流の変化を電圧値又はディジタル値に変換して、駆動信号802として出力する。したがって、図14(B)に示すように、駆動信号802の振幅も光ディスク1の1回転の周期と同期して変動することになる。
駆動電流検出回路801は、駆動信号802を増幅回路307へ出力する。駆動信号802は、増幅回路307に送られる。増幅回路307は、戻り光スポット305のシフトによる誤差成分を適切に除ける大きさに、駆動信号802の大きさを変える。例えば、差分信号304の振幅が1(任意単位)であり、駆動信号の振幅が0.5(任意単位)である場合、増幅回路307のゲインは2とする。なお、増幅回路307のゲインは1より小さい場合もあり得る。
第3の減算回路308は、差分信号304から増幅回路307の出力信号を減算する。第3の減算回路308は、差分信号304から増幅回路307の出力信号を減算した信号を、チルトエラー信号23として出力する。第3の減算回路からの出力(すなわちチルトエラー信号23)は、図14(C)に示すように偏心による誤差成分が除かれることになる。
以上述べたように第3の実施の形態では、集光部11を半径方向へ移動させるためのアクチュエータ15への駆動電流が検出され、駆動電流の検出結果に基づいてチルトエラー信号に生じる変動成分が除去されることにより、光ディスク1とSIL13とのギャップを小さくしてギャップサーボを動作させたときでも、正確にチルトサーボを動作させることができるという、特別の効果を奏する。
なお、第3の実施の形態に特有の利点としては、シフト量を検出するためのディテクタを独立に設ける必要がないので、より簡易な光学系の構成でチルトサーボを正確に動作させることができる点である。また、光ディスク1が1回転する間に、光ディスク1とSIL13との傾き量が変動する場合でも、当該傾き量の変動に追従して傾き量から誤差成分を除くことができる利点もある。
以上のように、第3の実施の形態の光学的情報再生装置又は光学的情報記録装置は、レーザ光を出射する光源101と、近接場光を生成させるとともに、レーザ光を光ディスク1に集光させる集光部102と、光ディスク1を回転させる回転部103と、近接場光が生成される領域からの戻り光の光量を検出する光量検出部104と、光量検出部104によって検出される戻り光の光量に基づいて、集光部102と光ディスク1とのギャップを制御するギャップ制御部105と、ギャップ制御部105によりギャップを制御している状態で、光量検出部104によって検出される戻り光の光量に基づいて、集光部102と光ディスク1との傾き量を算出するチルト算出部106と、チルト算出部106によって算出された傾き量から、光ディスク1の偏心による戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号を生成するチルトエラー信号生成部107と、チルトエラー信号生成部107によって生成されたチルトエラー信号に基づき、集光部102と光ディスク1との傾きを制御するチルト制御部108とを備える。
また、第3の実施の形態の光学的情報再生装置又は光学的情報記録装置において、集光部11は、光ディスク1の表面に対向する出射面を有するSIL13を含んでも良い。このとき、近接場光が生成される領域は、例えば、SIL13の出射面近傍である。
また、第3の実施の形態の光学的情報再生装置又は光学的情報記録装置は、集光部11を光ディスク1の半径方向に移動させるための駆動電流を出力するトラッキング制御回路26(トラッキング制御部)と、駆動電流に応じて集光部11の位置を調整するアクチュエータ15と、トラッキング制御回路26によって出力される駆動電流を検出する駆動電流検出回路801(駆動電流検出部)とを備えてもよい。トラッキング制御回路26は、光ディスク1の偏心による変動に応じて、駆動電流を変化させる。このとき、チルトエラー信号生成部107は、チルト算出部106によって算出された傾き量と、駆動電流検出回路801による駆動電流の検出結果とに基づいて、チルトエラー信号を生成する。
このとき、第1のディテクタ17(光量検出部)は、戻り光のスポットを受光する第1のフォトダイオード301(光量検出領域)を含んでも良い。このとき、第1のフォトダイオード301は、第1の検出領域301a(例えば、第1のフォトダイオード301の一方の領域)と第2の検出領域301b(例えば、第1のフォトダイオード301の他方の領域)とに分割されていても良い。
さらに、第1の検出領域301a及び第2の検出領域301bは、光ディスク1の偏心による戻り光の変動がなくスポットが移動していない場合には、第1の検出領域301aが受光するスポットの面積と、第2の検出領域301bが受光するスポットの面積とが同じである位置に配置されていても良い。このとき、第1の検出領域301a及び第2の検出領域301bは、光ディスク1の偏心による戻り光の変動がありスポットが移動した場合には、第1の検出領域301aが受光するスポットの面積と、第2の検出領域301bが受光するスポットの面積とが、変動に応じて変化する位置に、配置されていても良い。
さらに、第1のディテクタ17は、第1の検出領域301aが受光したスポットの光量に応じて第1の信号を出力し、かつ、第2の検出領域301bが受光したスポットの光量に応じて第2の信号を出力しても良い。さらに、チルト算出部106は、第1の信号と第2の信号との差分を表す差分信号を傾き量として出力しても良い。
このとき、チルトエラー信号生成部107は、駆動電流検出回路801の駆動電流の検出結果と差分信号とに基づいて、チルトエラー信号を生成しても良い。
以上の構成によれば、集光部11を光ディスク1の半径方向に移動させるための駆動電流が検出され、駆動電流の検出結果に基づいてチルトエラー信号に生じる変動成分が除去される。これにより、集光部102と光ディスク1とのギャップを小さくしてギャップサーボを動作させたときでも、正確にチルトサーボを動作させることができる。さらに、シフト量を検出するためのディテクタを独立に設ける必要がない。このため、より簡易な光学系の構成でチルトサーボを正確に動作させることができる。また、光ディスク1が1回転する間に、光ディスク1と集光部102との傾き量が変動する場合でも、当該傾き量の変動に追従して傾き量から誤差成分を除くことができる。
また、第3の実施の形態の光学的情報再生装置又は光学的情報記録装置においては、第1のフォトダイオード301は、光ディスク1の偏心による戻り光の変動がない場合における戻り光のスポットの中心点を通り、光ディスク1の偏心による戻り光の変動によって戻り光のスポットが移動する方向に垂直な直線に沿って、第1の検出領域301aと第2の検出領域301bとに分割されていても良い。
(実施例)
以下では、第1の実施の形態の実施例について、原理確認実験と計算とを組み合わせた結果をもとに具体的に説明する。
原理確認実験は、図2及び図3に示す光学的情報再生装置に基づく構成で実施した。光ディスク1の基板としては、厚さ1.1mmのポリカーボネート基板を用いた。情報層2としては、基板にスパイラル状のピット列をトラックとして形成し、Ag合金からなる厚さ100nmの反射層を積層した。トラックピッチは240nmであり、ピットの深さは20nmである。
情報層2と光ディスク1の表面との間のカバー層は、反射層の積層後に中間層と同じ材料をスピンコート法により塗布し、そのまま紫外線硬化して完成させた。カバー層の厚さは3μmとした。紫外線硬化性樹脂にはアクリル系樹脂にチタニア系のフィラーを添加した材料を用いた。硬化後の屈折率は、波長405nmの光に対して1.80であった。
なお、光ディスク1のカバー層及び中間層の屈折率は、SIL13の等価的開口数以上とすれば、光ディスク1への結合効率をより大きくできるためより好ましい。
レーザ光源4の発振波長は405nmである。SIL13としては、半球形状で平面側をテーパー状に切削したレンズを用いた。SIL13の等価的開口数は1.84とした。
アクチュエータ15、ビームエキスパンダ9、アクチュエータ10、フォーカス制御回路25、トラッキング制御回路26、情報再生回路27及びシステム制御回路20は、ファーフィールド光を用いる(すなわち近接場光を用いない)光ディスク評価機のものを流用した。ギャップ制御回路21、チルト算出回路22及びチルト制御回路24については、上述の第1の実施の形態で述べた方法に基づき作製した。
図15は、本発明の第1の実施の形態の実施例における測定系の構成を示す図である。図3に示す戻り光スポット305のシフト量を測定するために、図2に示す無偏光ビームスプリッタ6と第1の検出レンズ16との間に、図15に示すような光学系及び検出系を設けた。この光学系及び検出系では、無偏光ビームスプリッタ6で反射された復路光の一部がハーフミラー201で分岐される。分岐された光は第3の検出レンズ202で集束され、集束された光はCCDカメラ203で受光される。そして、ディスプレイ(図示せず)には、CCDカメラ203で受光した光のスポットが表示される。
以上述べたような構成を用いて、光ディスク1の情報層2にレーザ光を集束させて情報を再生する実験を行った。
まず、光ディスク1をスピンドルモーター28のシャフトに取り付けた。手でディスクを回転させながら、光学顕微鏡で光ディスク1の縁を観察して、光ディスク1の縁の移動量から光ディスク1の偏心量を求めた。このとき、偏心量は50μm(peak to peak)であった。
光ディスク1は回転を停止した状態とし、再生パワーを0.8mWに設定してレーザ光を光ディスク1に照射した。そして、ギャップ制御回路21によりギャップサーボを動作させた。SIL13と光ディスク1の表面とのギャップを80nmから20nmまで近接させながら、CCDカメラ203で戻り光スポットの像を観察した。ギャップが80nmの場合には戻り光スポットの中心部より輪帯部(周縁部)の方が明るかったが、ギャップが縮まるにつれて輪帯部が暗くなり、ギャップが20nmになると、輪帯部の強度は中心部の強度と同程度となった。
ギャップを20nmとした状態で、ビームエキスパンダ10を情報層2にレーザ光を集束させる位置に制御した。光ディスク1の線速度が1.5m/sになるように、スピンドルモーター28を駆動して、光ディスク1を回転させてから、トラッキングサーボを動作させ、スチル状態とした。
この状態で、戻り光スポットの像をディスプレイ上で観察したところ、光ディスク1の偏心のために、光ディスク1の回転に同期して戻り光スポットがシフトしていた。シフト量はスポットの直径の30%(peak to peak)であった。
以上の実験結果をもとにして、戻り光スポット305が第1のディテクタ17上でシフトしたときの差分信号304及びチルトエラー信号23の大きさを、計算により見積もった。
SIL13の出射面と光ディスク1の表面との傾きがゼロになった状態を想定して、戻り光スポットの光量分布はスポットの中心に対して等方的とした。また、第1のフォトダイオード301のシフト方向(すなわち、図3の左右方向)の幅は、スポットの直径とほぼ同じとし、戻り光スポット305がシフトしたときに、第1のフォトダイオード301の外側にある第2のフォトダイオード302に戻り光が入射する構成とした。フォトダイオード同士の間隔は無視できるほど小さいとした。各分割フォトダイオード(第1、第2、第3及び第4の検出領域301a,301b,302a,302b)の幅はすべて等しくした。
戻り光スポットがシフトする方向をx方向とし、x方向に直交する方向をy方向とする。戻り光スポットの半径を1に規格化し、スポットのシフト量(zero to peak)をsとすると、第1のフォトダイオード301の一方の検出領域(図3では第1の検出領域301a)に入射する戻り光の光量I1は、フォトダイオード内でスポットが当たる面積に比例する。光量I1は以下の(1)式で表される。
同様に、第1のフォトダイオード301の他方の検出領域(図3では第2の検出領域301b)に入射する戻り光の光量I2は以下の(2)式で表される。
同様に、第2のフォトダイオード302の一方の検出領域(図3では第3の検出領域302a)に入射する戻り光の光量I3は以下の(3)式で表される。
同様に、第2のフォトダイオード302のもう他方の検出領域(図3では第4の検出領域302b)に入射する戻り光の光量I4は以下の(4)式で表される。
上記の(1)式及び(2)式から、差分信号(すなわち、従来のチルトエラー信号)Ipは以下の(5)式で表される。
Ip=I1−I2・・・・(5)
一方、上記の(3)式及び(4)式から、増幅回路307の出力信号Ieは以下の(6)式で表される。
Ie=k(I3−I4)・・・・(6)
ここで、kは増幅回路307のゲインであり、差分信号Ipに発生する誤差成分を適切に除ける値に設定する。
したがって、本実施例におけるチルトエラー信号Inは以下の(7)式で表される。
In=I1−I2−k(I3−I4)・・・・(7)
ここで、ゲインkを“5”に設定し、差分信号Ip(すなわち、従来のチルトエラー信号に相当する)及びチルトエラー信号Inをシフト量sに対してプロットしたグラフを図16に示す。図16は、スポットのシフト量sと差分信号Ipとの関係、及びスポットのシフト量sとチルトエラー信号Inとの関係を示す図である。
傾きがゼロであるにもかかわらず、従来のチルトエラー信号(差分信号Ip)の大きさは、戻り光スポットがシフトするにしたがって大きくなり、戻り光スポットが直径の15%シフトするとその大きさは0.491(任意単位)に達する。これに対して、本実施例におけるチルトエラー信号Inの大きさは、直径の±15%のシフト量の範囲内では最大0.075(任意単位)に抑制することができる。すなわち、戻り光スポットのシフトによる誤差成分を大幅に除くことができることがわかった。
なお、本発明の第1から第3の実施の形態における構成図は、各実施の形態及び実施例を説明するために必要な構成のみを図示したものであり、実際の装置では必要に応じて手段及び回路がさらに追加される。例えば、情報を記録可能な装置(光学的情報記録装置)であれば、情報を変調する変調回路、記録パルスを生成する記録パルス生成回路、及びレーザ光の強度を変調するレーザ駆動回路等が追加される。
また、本発明の第1から第3の実施の形態では、チルト制御に対する効果について説明しているが、戻り光を用いて分割ディテクタで検出する他のサーボ制御に対しても同様に適用可能である。
また、本発明の第1から第3の実施の形態では、単層の光ディスクを用いて説明したが、2層以上の任意のn層の情報層を有する光ディスクにも同様に適用することができる。
また、本発明の第1から第3の実施の形態では、第1のディテクタ17からの出力をギャップ制御とチルト制御とで兼ねて用いているが、それぞれ別のディテクタからの出力を用いるものであってもかまわない。1つのディテクタが、ギャップ制御とチルト制御とを兼ねる構成の方が装置の構成を簡略できるので、装置の製造コストを下げることができる利点がある。
また、上記の第1から第3の実施の形態で用いた光学系の条件、記録条件及び再生条件等は上述のものに限るわけではなく、装置又は光ディスクの特性に応じて適切な条件を設定することが可能である。
また、上記の第1から第3の実施の形態では、追記型又は書換型の光ディスクの記録材料として相変化材料を用いているが、それに限るものではなく、色素材料又は光磁気材料等の近接場光を用いて記録マークを形成できる光ディスクであれば、いずれも適用することができる。
また、上記の第1から第3の実施の形態では、一例として、SILにより収束された光により、光学的情報記録媒体の情報層にピット又はマークを記録する構成を説明している。また、上記の実施の形態では、SILにより収束された光の情報層からの反射光を用いて、情報層のピット又はマークとして記録された情報を再生する構成を説明している。しかしながら、本発明の構成は、これらに限られるものではない。例えば、光学的情報記録媒体に対する情報の記録又は再生は、プラズモン共鳴により発生したプラズモン光を用いて行っても良い。この場合でも、上記の第1から第3の実施の形態のようにSILを用いることで、ギャップ制御及びチルト制御を行うことができる。なお、この場合、プラズモン光を発生させるための光の光源に加えて、SILに導かれる光の光源を備えていても良い。もしくは、プラズモン光を発生させるための光と、SILに導かれる光とが、同一の光源から出射される構成であっても良い。
また、上記の第1から第3の実施の形態では、近接場光を発生させる手段としてSILを用いているが、光導波路など他の手段で近接場光を発生させても良い。
さらに、上記の光学的情報再生方法及び光学的情報再生装置を用いたパーソナルコンピュータ、サーバー、レコーダー及び半導体素子でも上述と同様の効果を得ることができる。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に係る光学的情報再生装置は、光学的情報記録媒体から情報を再生する光学的情報再生装置であって、レーザ光を出射する光源と、近接場光を生成させるとともに、前記レーザ光を前記光学的情報記録媒体に集光させる集光部と、前記光学的情報記録媒体を回転させる回転部と、前記近接場光が生成される領域からの戻り光の光量を検出する光量検出部と、前記光量検出部によって検出される前記戻り光の光量に基づいて、前記集光部と前記光学的情報記録媒体とのギャップを制御するギャップ制御部と、前記ギャップ制御部により前記ギャップを制御している状態で、前記光量検出部によって検出される前記戻り光の光量に基づいて、前記集光部と前記光学的情報記録媒体との傾き量を算出するチルト算出部と、前記チルト算出部によって算出された前記傾き量から、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号を生成するチルトエラー信号生成部と、前記チルトエラー信号生成部によって生成された前記チルトエラー信号に基づき、前記集光部と前記光学的情報記録媒体との傾きを制御するチルト制御部とを備える。
この構成によれば、光源は、レーザ光を出射し、集光部は、近接場光を生成させるとともに、レーザ光を光学的情報記録媒体に集光させる。回転部は、光学的情報記録媒体を回転させる。光量検出部は、近接場光が生成される領域からの戻り光の光量を検出する。ギャップ制御部は、光量検出部によって検出される戻り光の光量に基づいて、集光部と光学的情報記録媒体とのギャップを制御する。チルト算出部は、ギャップ制御部によりギャップを制御している状態で、光量検出部によって検出される戻り光の光量に基づいて、集光部と光学的情報記録媒体との傾き量を算出する。チルトエラー信号生成部は、チルト算出部によって算出された傾き量から、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号を生成する。チルト制御部は、チルトエラー信号生成部によって生成されたチルトエラー信号に基づき、集光部と光学的情報記録媒体との傾きを制御する。
したがって、ギャップを制御している状態で、戻り光の光量に基づいて、集光部と光学的情報記録媒体との傾き量が算出され、算出された傾き量から、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号が生成されるので、集光部と光学的情報記録媒体とのギャップを小さくしてギャップサーボを動作させたときでも、正確にチルトサーボを動作させることができ、光学的情報記録媒体に高密度に記録された情報を高品質かつ安定に再生することができる。
また、上記の光学的情報再生装置において、前記光量検出部は、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動成分を検出するために、前記戻り光の一部の光量を検出する偏心検出用光量検出部を含み、前記偏心検出用光量検出部は、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動がある場合に、前記変動に応じて、検出される前記戻り光の一部の光量が変化する位置に配置されており、前記チルトエラー信号生成部は、前記傾き量と、前記偏心検出用光量検出部にて検出された前記戻り光の一部の光量とに基づいて、前記チルトエラー信号を生成することが好ましい。
この構成によれば、光量検出部は、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を検出するために、戻り光の一部の光量を検出する偏心検出用光量検出部を含む。そして、偏心検出用光量検出部は、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動がある場合に、変動に応じて、検出される戻り光の一部の光量が変化する位置に配置されている。チルトエラー信号生成部は、傾き量と、偏心検出用光量検出部にて検出された戻り光の一部の光量とに基づいて、チルトエラー信号を生成する。
したがって、戻り光の一部の光量が検出され、検出結果に基づいてチルトエラー信号に生ずる変動成分が除去されるので、集光部と光学的情報記録媒体とのギャップを小さくしてギャップサーボを動作させたときでも、正確にチルトサーボを動作させることができる。
また、上記の光学的情報再生装置において、前記偏心検出用光量検出部は、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動がない場合に、前記戻り光の一部が検出されない位置に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、偏心検出用光量検出部により検出された光量は、すべて、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動によって生じたものであると判断できるので、より精度良く、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動に応じた光量を検出することができる。
また、上記の光学的情報再生装置において、前記光量検出部は、前記集光部と前記光学的情報記録媒体との傾き量を算出するために、前記戻り光の光量を検出する傾き量検出用光量検出部と、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動成分を検出するために、前記戻り光の一部の光量を検出する偏心検出用光量検出部とを含み、前記傾き量検出用光量検出部は、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動によって前記戻り光のスポットが移動する方向に互いに隣接して配置される第1の検出領域と第2の検出領域とを含み、前記偏心検出用光量検出部は、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動によって前記戻り光のスポットが移動する方向に前記第1の検出領域に隣接して配置される第3の検出領域と、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動によって前記戻り光のスポットが移動する方向に前記第2の検出領域に隣接して配置される第4の検出領域とを含むことが好ましい。
この構成によれば、光量検出部は、集光部と光学的情報記録媒体との傾き量を算出するために、戻り光の光量を検出する傾き量検出用光量検出部と、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を検出するために、戻り光の一部の光量を検出する偏心検出用光量検出部とを含む。そして、傾き量検出用光量検出部は、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動によって戻り光のスポットが移動する方向に互いに隣接して配置される第1の検出領域と第2の検出領域とを含む。また、偏心検出用光量検出部は、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動によって戻り光のスポットが移動する方向に第1の検出領域に隣接して配置される第3の検出領域と、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動によって戻り光のスポットが移動する方向に第2の検出領域に隣接して配置される第4の検出領域とを含む。
したがって、集光部と光学的情報記録媒体との傾き量を表す第1の検出領域からの出力信号と第2の検出領域からの出力信号との差分信号から、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を表す第3の検出領域からの出力信号と第4の検出領域からの出力信号との差分信号を減算することにより、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を除去したチルトエラー信号を容易に生成することができる。
また、上記の光学的情報再生装置において、前記チルトエラー信号生成部は、前記チルト算出部によって算出された前記傾き量の変化を平均化することにより、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動成分を除去した前記チルトエラー信号を生成する平均化部を含むことが好ましい。
この構成によれば、傾き量の変化を平均化することにより、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を除去したチルトエラー信号が生成される。したがって、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を検出するための光量検出部を独立に設ける必要がないので、より簡易な光学系の構成でチルトサーボを正確に動作させることができる。
また、上記の光学的情報再生装置において、前記光量検出部は、前記戻り光のスポットを受光する光量検出領域を含み、前記光量検出領域は、第1の検出領域と第2の検出領域とに分割されており、前記第1の検出領域及び前記第2の検出領域は、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動がなく前記スポットが移動していない場合には、前記第1の検出領域が受光するスポットの面積と、前記第2の検出領域が受光するスポットの面積とが同じであり、かつ、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動があり前記スポットが移動した場合には、前記第1の検出領域が受光するスポットの面積と、前記第2の検出領域が受光するスポットの面積とが前記変動に応じて変化する位置に、配置されており、前記光量検出部は、前記第1の検出領域が受光したスポットの光量に応じて第1の信号を出力し、かつ、前記第2の検出領域が受光したスポットの光量に応じて第2の信号を出力し、前記チルト算出部は、前記第1の信号と前記第2の信号との差分を表す差分信号を前記傾き量として出力し、前記平均化部は、前記差分信号を平均化することにより、前記チルトエラー信号を生成することが好ましい。
この構成によれば、光量検出部は、戻り光のスポットを受光する光量検出領域を含み、光量検出領域は、第1の検出領域と第2の検出領域とに分割されている。第1の検出領域及び第2の検出領域は、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動がなくスポットが移動していない場合には、第1の検出領域が受光するスポットの面積と、第2の検出領域が受光するスポットの面積とが同じであり、かつ、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動がありスポットが移動した場合には、第1の検出領域が受光するスポットの面積と、第2の検出領域が受光するスポットの面積とが変動に応じて変化する位置に、配置されている。そして、光量検出部は、第1の検出領域が受光したスポットの光量に応じて第1の信号を出力し、かつ、第2の検出領域が受光したスポットの光量に応じて第2の信号を出力する。チルト算出部は、第1の信号と第2の信号との差分を表す差分信号を傾き量として出力し、平均化部は、差分信号を平均化することにより、チルトエラー信号を生成する。
したがって、分割された第1の検出領域及び第2の検出領域から得られる差分信号が平均化されるので、集光部と光学的情報記録媒体とのギャップを小さくしてギャップサーボを動作させたときでも、正確にチルトサーボを動作させることができる。また、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を検出するための光量検出部を独立に設ける必要がないので、より簡易な光学系の構成でチルトサーボを正確に動作させることができる。
また、上記の光学的情報再生装置において、前記光量検出領域は、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動がない場合における前記戻り光のスポットの中心点を通り、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動によって前記戻り光のスポットが移動する方向に垂直な直線に沿って、前記第1の検出領域と前記第2の検出領域とに分割されていることが好ましい。
この構成によれば、光量検出領域は、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動がない場合における戻り光のスポットの中心点を通り、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動によって戻り光のスポットが移動する方向に垂直な直線に沿って、第1の検出領域と第2の検出領域とに分割されている。
したがって、第1の検出領域からの第1の信号と、第2の検出領域からの第2の信号との差分を表す差分信号を平均化することにより、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を除去したチルトエラー信号を生成することができる。
また、上記の光学的情報再生装置において、前記平均化部は、前記光学的情報記録媒体が1回転する時間の整数倍で平均化時間を区切ることが好ましい。
この構成によれば、より短時間で平均化する場合でも、正確に平均化を行うことができる。
また、上記の光学的情報再生装置において、前記集光部を前記光学的情報記録媒体の半径方向に移動させるための駆動電流を出力するトラッキング制御部と、前記駆動電流に応じて前記集光部の位置を調整するアクチュエータと、前記トラッキング制御部によって出力される前記駆動電流を検出する駆動電流検出部とをさらに備え、前記トラッキング制御部は、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動に応じて、前記駆動電流を変化させ、前記チルトエラー信号生成部は、前記チルト算出部によって算出された前記傾き量と、前記駆動電流検出部による前記駆動電流の検出結果とに基づいて、前記チルトエラー信号を生成することが好ましい。
この構成によれば、トラッキング制御部は、集光部を光学的情報記録媒体の半径方向に移動させるための駆動電流を出力する。アクチュエータは、駆動電流に応じて集光部の位置を調整する。駆動電流検出部は、トラッキング制御部によって出力される駆動電流を検出する。そして、トラッキング制御部は、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動に応じて、駆動電流を変化させる。チルトエラー信号生成部は、チルト算出部によって算出された傾き量と、駆動電流検出部による駆動電流の検出結果とに基づいて、チルトエラー信号を生成する。
したがって、集光部を光学的情報記録媒体の半径方向に移動させるための駆動電流が検出され、駆動電流の検出結果に基づいてチルトエラー信号に生じる変動成分が除去される。したがって、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を検出するための光量検出部を独立に設ける必要がないので、より簡易な光学系の構成でチルトサーボを正確に動作させることができる。
また、上記の光学的情報再生装置において、前記光量検出部は、前記戻り光のスポットを受光する光量検出領域を含み、前記光量検出領域は、第1の検出領域と第2の検出領域とに分割されており、前記第1の検出領域及び前記第2の検出領域は、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動がなく前記スポットが移動していない場合には、前記第1の検出領域が受光するスポットの面積と、前記第2の検出領域が受光するスポットの面積とが同じであり、かつ、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動があり前記スポットが移動した場合には、前記第1の検出領域が受光するスポットの面積と、前記第2の検出領域が受光するスポットの面積とが、前記変動に応じて変化する位置に、配置されており、前記光量検出部は、前記第1の検出領域が受光したスポットの光量に応じて第1の信号を出力し、かつ、前記第2の検出領域が受光したスポットの光量に応じて第2の信号を出力し、前記チルト算出部は、前記第1の信号と前記第2の信号との差分を表す差分信号を前記傾き量として出力し、前記チルトエラー信号生成部は、前記駆動電流検出部による前記駆動電流の検出結果と前記差分信号とに基づいて、前記チルトエラー信号を生成することが好ましい。
この構成によれば、光量検出部は、戻り光のスポットを受光する光量検出領域を含み、光量検出領域は、第1の検出領域と第2の検出領域とに分割されている。第1の検出領域及び第2の検出領域は、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動がなくスポットが移動していない場合には、第1の検出領域が受光するスポットの面積と、第2の検出領域が受光するスポットの面積とが同じであり、かつ、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動がありスポットが移動した場合には、第1の検出領域が受光するスポットの面積と、第2の検出領域が受光するスポットの面積とが、変動に応じて変化する位置に、配置されている。そして、光量検出部は、第1の検出領域が受光したスポットの光量に応じて第1の信号を出力し、かつ、第2の検出領域が受光したスポットの光量に応じて第2の信号を出力する。チルト算出部は、第1の信号と第2の信号との差分を表す差分信号を傾き量として出力する。チルトエラー信号生成部は、駆動電流検出部による駆動電流の検出結果と差分信号とに基づいて、チルトエラー信号を生成する。
したがって、駆動電流の検出結果と、分割された第1の検出領域及び第2の検出領域から得られる差分信号とに基づいて、チルトエラー信号が生成されるので、集光部と光学的情報記録媒体とのギャップを小さくしてギャップサーボを動作させたときでも、正確にチルトサーボを動作させることができる。また、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を検出するための光量検出部を独立に設ける必要がないので、より簡易な光学系の構成でチルトサーボを正確に動作させることができる。また、光学的情報記録媒体が1回転する間に、光学的情報記録媒体と集光部との傾き量が変動する場合でも、当該傾き量の変動に追従して傾き量から誤差成分を除くことができる。
また、上記の光学的情報再生装置において、前記光量検出領域は、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動がない場合における前記戻り光のスポットの中心点を通り、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動によって前記戻り光のスポットが移動する方向に垂直な直線に沿って、前記第1の検出領域と前記第2の検出領域とに分割されていることが好ましい。
この構成によれば、光量検出領域は、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動がない場合における戻り光のスポットの中心点を通り、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動によって戻り光のスポットが移動する方向に垂直な直線に沿って、第1の検出領域と第2の検出領域とに分割されている。
したがって、第1の検出領域からの第1の信号と、第2の検出領域からの第2の信号との差分を表す差分信号から、駆動電流の検出結果を減算することにより、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を除去したチルトエラー信号を生成することができる。
また、上記の光学的情報再生装置において、前記集光部は、前記光学的情報記録媒体の表面に対向する出射面を有するソリッドイマージョンレンズを含み、前記近接場光が生成される領域は、前記ソリッドイマージョンレンズの前記出射面近傍であることが好ましい。
この構成によれば、ソリッドイマージョンレンズにより近接場光を生成し、ソリッドイマージョンレンズの出射面近傍からの戻り光の光量に基づいて、集光部と光学的情報記録媒体とのギャップを制御することができる。
本発明の他の局面に係る光学的情報記録装置は、光学的情報記録媒体に情報を記録する光学的情報記録装置であって、レーザ光を出射する光源と、近接場光を生成させるとともに、前記レーザ光を前記光学的情報記録媒体に集光させる集光部と、前記光学的情報記録媒体を回転させる回転部と、前記近接場光が生成される領域からの戻り光の光量を検出する光量検出部と、前記光量検出部によって検出される前記戻り光の光量に基づいて、前記集光部と前記光学的情報記録媒体とのギャップを制御するギャップ制御部と、前記ギャップ制御部により前記ギャップを制御している状態で、前記光量検出部によって検出される前記戻り光の光量に基づいて、前記集光部と前記光学的情報記録媒体との傾き量を算出するチルト算出部と、前記チルト算出部によって算出された前記傾き量から、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号を生成するチルトエラー信号生成部と、前記チルトエラー信号生成部によって生成された前記チルトエラー信号に基づき、前記集光部と前記光学的情報記録媒体との傾きを制御するチルト制御部とを備える。
この構成によれば、光源は、レーザ光を出射し、集光部は、近接場光を生成させるとともに、レーザ光を光学的情報記録媒体に集光させる。回転部は、光学的情報記録媒体を回転させる。光量検出部は、近接場光が生成される領域からの戻り光の光量を検出する。ギャップ制御部は、光量検出部によって検出される戻り光の光量に基づいて、集光部と光学的情報記録媒体とのギャップを制御する。チルト算出部は、ギャップ制御部によりギャップを制御している状態で、光量検出部によって検出される戻り光の光量に基づいて、集光部と光学的情報記録媒体との傾き量を算出する。チルトエラー信号生成部は、チルト算出部によって算出された傾き量から、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号を生成する。チルト制御部は、チルトエラー信号生成部によって生成されたチルトエラー信号に基づき、集光部と光学的情報記録媒体との傾きを制御する。
したがって、ギャップを制御している状態で、戻り光の光量に基づいて、集光部と光学的情報記録媒体との傾き量が算出され、算出された傾き量から、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号が生成されるので、集光部と光学的情報記録媒体とのギャップを小さくしてギャップサーボを動作させたときでも、正確にチルトサーボを動作させることができ、光学的情報記録媒体に情報を高品質かつ安定かつ高密度に記録することができる。
本発明の他の局面に係る光学的情報再生方法は、光学的情報記録媒体から情報を再生する光学的情報再生方法であって、レーザ光を出射する出射工程と、集光部によって、近接場光を生成させるとともに、前記レーザ光を前記光学的情報記録媒体に集光させる集光工程と、前記光学的情報記録媒体を回転させる回転工程と、前記近接場光が生成される領域からの戻り光の光量を検出する光量検出工程と、前記光量検出工程において検出される前記戻り光の光量に基づいて、前記集光部と前記光学的情報記録媒体とのギャップを制御するギャップ制御工程と、前記ギャップ制御工程により前記ギャップを制御している状態で、前記光量検出工程において検出される前記戻り光の光量に基づいて、前記集光部と前記光学的情報記録媒体との傾き量を算出するチルト算出工程と、前記チルト算出工程において算出された前記傾き量から、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号を生成するチルトエラー信号生成工程と、前記チルトエラー信号生成工程において生成された前記チルトエラー信号に基づき、前記集光部と前記光学的情報記録媒体との傾きを制御するチルト制御工程とを含む。
この構成によれば、出射工程において、レーザ光が出射され、集光工程において、集光部によって、近接場光が生成されるとともに、レーザ光が光学的情報記録媒体に集光される。回転工程において、光学的情報記録媒体が回転される。光量検出工程において、近接場光が生成される領域からの戻り光の光量が検出される。ギャップ制御工程において、光量検出工程において検出される戻り光の光量に基づいて、集光部と光学的情報記録媒体とのギャップが制御される。チルト算出工程において、ギャップ制御工程によりギャップが制御されている状態で、光量検出工程において検出される戻り光の光量に基づいて、集光部と光学的情報記録媒体との傾き量が算出される。チルトエラー信号生成工程において、チルト算出工程において算出された傾き量から、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号が生成される。チルト制御工程において、チルトエラー信号生成工程において生成されたチルトエラー信号に基づき、集光部と光学的情報記録媒体との傾きが制御される。
したがって、ギャップを制御している状態で、戻り光の光量に基づいて、集光部と光学的情報記録媒体との傾き量が算出され、算出された傾き量から、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号が生成されるので、集光部と光学的情報記録媒体とのギャップを小さくしてギャップサーボを動作させたときでも、正確にチルトサーボを動作させることができ、光学的情報記録媒体に高密度に記録された情報を高品質かつ安定に再生することができる。
本発明の他の局面に係る光学的情報記録方法は、光学的情報記録媒体に情報を記録する光学的情報記録方法であって、レーザ光を出射する出射工程と、集光部によって、近接場光を生成させるとともに、前記レーザ光を前記光学的情報記録媒体に集光させる集光工程と、前記光学的情報記録媒体を回転させる回転工程と、前記近接場光が生成される領域からの戻り光の光量を検出する光量検出工程と、前記光量検出工程において検出される前記戻り光の光量に基づいて、前記集光部と前記光学的情報記録媒体とのギャップを制御するギャップ制御工程と、前記ギャップ制御工程により前記ギャップを制御している状態で、前記光量検出工程において検出される前記戻り光の光量に基づいて、前記集光部と前記光学的情報記録媒体との傾き量を算出するチルト算出工程と、前記チルト算出工程において算出された前記傾き量から、前記光学的情報記録媒体の偏心による前記戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号を生成するチルトエラー信号生成工程と、前記チルトエラー信号生成工程において生成された前記チルトエラー信号に基づき、前記集光部と前記光学的情報記録媒体との傾きを制御するチルト制御工程とを含む。
この構成によれば、出射工程において、レーザ光が出射され、集光工程において、集光部によって、近接場光が生成されるとともに、レーザ光が光学的情報記録媒体に集光される。回転工程において、光学的情報記録媒体が回転される。光量検出工程において、近接場光が生成される領域からの戻り光の光量が検出される。ギャップ制御工程において、光量検出工程において検出される戻り光の光量に基づいて、集光部と光学的情報記録媒体とのギャップが制御される。チルト算出工程において、ギャップ制御工程によりギャップが制御されている状態で、光量検出工程において検出される戻り光の光量に基づいて、集光部と光学的情報記録媒体との傾き量が算出される。チルトエラー信号生成工程において、チルト算出工程において算出された傾き量から、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号が生成される。チルト制御工程において、チルトエラー信号生成工程において生成されたチルトエラー信号に基づき、集光部と光学的情報記録媒体との傾きが制御される。
したがって、ギャップを制御している状態で、戻り光の光量に基づいて、集光部と光学的情報記録媒体との傾き量が算出され、算出された傾き量から、光学的情報記録媒体の偏心による戻り光の変動成分を除去した信号であるチルトエラー信号が生成されるので、集光部と光学的情報記録媒体とのギャップを小さくしてギャップサーボを動作させたときでも、正確にチルトサーボを動作させることができ、光学的情報記録媒体に情報を高品質かつ安定かつ高密度に記録することができる。
なお、発明を実施するための形態の項においてなされた具体的な実施態様又は実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と特許請求事項との範囲内で、種々変更して実施することができるものである。