JPWO2010147161A1 - 塩基およびラジカル発生剤、およびそれを用いた組成物およびその硬化方法 - Google Patents

塩基およびラジカル発生剤、およびそれを用いた組成物およびその硬化方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、下記一般式(I)で示される構造を分子中に有するアミンイミド化合物、およびそれを用いた硬化可能な組成物およびその硬化方法に関する;【化1】R0は、水素原子、任意の置換基を有してもよいアルキル基、任意の置換基を有してもよいアリール基又は任意の置換基を有してもよい複素環残基を示す。またR1、R2、およびR3は、それぞれ独立に、水素原子又は任意の置換基である。ただし、R1、R2及びR3のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい。

Description

本発明は、従来よりも低温の加熱又は/および活性エネルギー線の照射によって塩基を発生する、および活性エネルギー線の照射によってラジカル種を発生するアミンイミド化合物に関する。また、前記アミンイミド化合物を用いた硬化可能な組成物およびその硬化方法に関する。
活性エネルギー線による硬化技術は、従来の熱硬化技術と比較して低温硬化、プロセスの短縮化、短時間硬化、微細加工が可能である等の特徴を活かし、接着剤、シール剤、コーティング剤、レジスト剤等に広く用いられている。活性エネルギー線硬化で主に用いられている硬化手法は、ラジカル重合とカチオン重合に大別される。ラジカル重合を用いて硬化させる組成物の場合は、光ラジカル発生剤と(メタ)アクリレート樹脂が主成分であり、活性エネルギー線の照射後直ちに硬化することが特徴であるが、一般に接着力が低い、硬化収縮が大きい、耐熱性が悪い等の問題がある。カチオン重合を用いて硬化させる組成物は、ジアリールヨードニウム塩やトリアリールスルホニウム塩等の光酸発生剤とカチオン重合性樹脂であるエポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ビニルエーテル樹脂等からなり、活性エネルギー線の照射の際に光酸発生剤が酸を発生してカチオン重合性樹脂を硬化させる。カチオン重合の場合、速硬化性、高い接着力、低い硬化収縮等の特徴を有するが、被着体表面の湿気や僅かな塩基性汚れによる硬化不良の発生や、強酸が系内に残存するため金属や無機材質の被着体を使用すると腐食を引き起こすという問題がある。
このようなカチオン重合の問題を解決する1つの手段として、活性エネルギー線の照射によって塩基を発生する光塩基発生剤によるアニオン重合の研究が近年行われている。このような光塩基発生剤としては、例えば、カルバメート誘導体やオキシムエステル誘導体が一般的に知られており、これらの化合物は活性エネルギー線の照射によって1級又は2級アミン類を発生し、エポキシ樹脂の硬化に利用されている(非特許文献1〜4)。活性エネルギー線により塩基を発生させる技術はフォトレジスト技術に多く利用されている。レジストにおいては現像されたエッジの寸法安定性を求めるために、停止反応が少ないアニオン重合による硬化形態が多く利用される(非特許文献5、特許文献1〜3)。
しかしながら、これらの化合物は、活性エネルギー線の照射によって発生する塩基性化合物が1級又は2級アミンであるため塩基性が低く、エポキシ樹脂を充分に硬化するためには不十分である。より塩基性の大きい、3級アミン類を光化学的に発生させ得る光塩基発生剤として、芳香族系アミンイミド化合物が報告されており(特許文献4、5)、エポキシ樹脂と多価チオール化合物類等との付加反応において活性エネルギー線の照射後に加熱硬化開始温度が低くなる事例が報告されている。
しかしながらこれら芳香族系アミンイミド化合物は加熱硬化に高い温度を必要とし、また、活性エネルギー線照射後の加熱硬化温度も充分に低いものではなかった。
欧州特許第599571号明細書 欧州特許第555749号明細書 日本国特開平4―330444号公報 国際公開第2002/051905号 日本国特開2003−26772号公報
Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings,Inks & Paints,Ed.by G.Bradley,John Wiley and Sons Ltd.(1998、p479〜p545) J.Org.Chem.,55,5919 (1990) Polym.Mat.Sci.Eng.,64,55 (1991) Macromol.,28,365 (1995) Pure and Appl.Chem.,64,1239 (1992)
本発明の目的は、従来のアミンイミド系光塩基発生剤よりも低温硬化性と光活性に優れた新規なアミンイミド系の熱/光塩基発生剤、それを用いた反応系、および接着、封止、注型、成型、塗装、コーティング等様々な用途に使用が可能で活性エネルギー線の照射により、より低い温度で速やかに硬化可能な組成物、その硬化方法を提供することにある。
本発明は、目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、特定構造を有する新規なアミンイミド化合物が、従来主にエポキシ樹脂の熱硬化触媒として有用とされているアミンイミド化合物よりも低い温度で活性となり、かつ、活性エネルギー線による活性が高く、さらに、活性エネルギー線によりラジカルを発生することを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(I)で示される構造を分子中に1つ以上有するアミンイミド化合物(A)が、従来知られているアミンイミド化合物よりも低い温度で塩基を発生する加熱塩基発生剤として有用であり、また、充分な活性エネルギー線塩基活性を有する光塩基発生剤として有用であり、さらに、活性エネルギー線によりラジカルを発生する光ラジカル開始剤としても利用可能であることを見出し完成するに至った。
Figure 2010147161
は、水素原子、任意の置換基を有してもよいアルキル基、任意の置換基を有してもよいアリール基又は任意の置換基を有してもよい複素環残基を示す。またR、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子又は任意の置換基である。ただし、R、R及びRのうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(10)に関する。
(1) 上記一般式(I)で示される構造を分子中に1つ以上有するアミンイミド化合物。
(2) 上記一般式(I)中のRが、任意の置換基を有してもよいアリール基又は任意の置換基を有してもよい複素環残基である(1)に記載のアミンイミド化合物。
(3) (A)前記(1)又は(2)に記載のアミンイミド化合物と、
(B)ラジカル又は/および塩基により重合される化合物を含有する組成物。
(4) 前記(B)塩基により重合される化合物が、分子内に2以上のエポキシ基を有する化合物である(3)に記載の組成物。
(5) 前記(B)塩基により重合される化合物が、分子内に2以上のエポキシ基を有する化合物と分子内に2以上のチオール基を有する化合物の混合物である(3)に記載の組成物。
(6) 前記(B)ラジカルにより重合される化合物が、分子内に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物である(3)に記載の組成物。
(7) 前記成分(B)100重量部に対して前記成分(A)を0.1〜50重量部含有する(3)〜(6)に記載の組成物。
(8) 更に(C)活性エネルギー線ラジカル発生剤を含有する(3)記載の組成物。
(9) 前記成分(B)100重量部に対して前記成分(A)を0.1〜50重量部、成分前記(A)1重量部に対し前記成分(C)を0.01〜10重量部含有する(8)に記載の組成物。
(10) (3)〜(9)の組成物を加熱、又は活性エネルギー線の照射、又は活性エネルギー線の照射と加熱を同時に行うこと、又は活性エネルギー線の照射後に加熱を行うことによって前記組成物を硬化させる方法。
本発明は、従来より低い温度での加熱による塩基発生能力、および活性エネルギー線による塩基発生能力に優れ、さらに活性エネルギー線によるラジカル発生能力をも有する新規なアミンイミド化合物に関し、加熱又は/および活性エネルギー線の照射により、より低い温度で速やかに硬化可能な新規な活性エネルギー線重合性組成物、その硬化方法と硬化物を提供するものであり、接着、封止(シール)、注型、成型、塗装、コーティング等様々な用途に使用が可能である。
また、前記新規なアミンイミド化合物を硬化触媒として、例えばエポキシ樹脂等と併用することにより、加熱硬化性に加え、活性エネルギー線の照射による硬化性を付与することができる。
図1は、実施例27と比較例5の組成物をそれぞれ3J/cmの積算光量分の活性エネルギー線を照射前後の、示差走査熱量(DSC)測定のチャートである。活性エネルギー線照射前後どちらの場合においても本発明の組成物が比較例よりも低温かつ短時間で反応開始および反応終了していることがわかる。
以下本発明を詳細に説明する。本発明の1形態は、加熱又は/および活性エネルギー線の照射により塩基を発生する塩基発生剤であって、下記一般式(I)で示される構造を分子中に有するアミンイミド化合物である。
Figure 2010147161
は、水素原子、任意の置換基を有してもよいアルキル基、任意の置換基を有してもよいアリール基又は任意の置換基を有してもよい複素環残基を示す。またR、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子又は任意の置換基である。ただし、R、R及びRのうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい。
上記一般式(I)中のRは、任意の置換基を有してもよいアリール基又は任意の置換基を有してもよい複素環残基であることが好ましい。Rがこれらの構造であると、高い活性を有するアミンイミド化合物となる。
さらに上記一般式(I)中のRは、任意の置換基を有してもよいアリール基であることが特に好ましい。Rがこのような構造であると、高い光活性を有するアミンイミド化合物となる。
また、上記一般式(I)の−N+Rにおいて、R、R及びRのうち2つ以上が互いに結合して形成される環状構造としては、3〜7員環の複素環が挙げられる。該複素環としては、芳香環や飽和環が挙げられる。
前記任意の置換基とは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状又は分枝状のアルキル、シクロアルキル、アリール、ベンゾイル、ベンジル、アルコキシ、ビニル、エステル、カルボキシ、アルデヒド、アミノ、イミノ、イミド、ニトリル、アミド、イミド、シアノ、スルホ、スルフィド、チオール、イソシアネートおよびニトロを単独又は複数を任意で組み合わせた基などが挙げられるが、この限りではない。また複素環を成すヘテロ原子は、N、S、Oなど挙げられるが、この限りではない。
上記アミンイミド構造を有する化合物の合成には、公知の方法を用いることができる。例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、John Wiley & Sons Ltd.(1985年)、第1巻、p740に記載されているように、対応するカルボン酸エステルとハロゲン化ヒドラジンおよびナトリウムアルコキサイドとの反応やカルボン酸エステルとヒドラジンおよびエポキシ化合物との反応から得ることができる。本発明に用いられる(A)アミンイミド化合物の合成方法は特に限定されるものではないが、合成の簡便性、安全性を考慮すると、カルボン酸エステルとヒドラジンおよびエポキシ化合物からの合成法が好ましい。その場合の合成温度と時間に関しては特に制限を受けないが、一般的には0〜100℃の温度で30分〜7日間攪拌することによって目的のアミンイミド構造を有する化合物を得ることができる。好ましくは本発明のアミンイミド化合物は従来知られているアミンイミド化合物に比べ熱分解温度が低いという特徴を有するため、副反応の抑制と生成するアミンイミドの熱分解の抑制の為、合成反応初期の温度を0〜25℃の範囲内に、最終段階における温度を60℃以下に調節することが好ましい。
この合成法の場合に用いられる本発明のアミンイミド化合物の原料としてのカルボン酸エステルは、分子内に −C−C(O)−C(O)O− 構造を有する単官能又は多官能の化合物であれば良い。例えばベンゾイルギ酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル、4−ニトロベンゾイルギ酸メチル、4−メトキシベンゾイルギ酸メチル、4−メトキシベンゾイルギ酸エチル、4−n−ブチルベンゾイルギ酸エチル、4−t−ブチルベンゾイルギ酸エチル、3,4−ジメトキシベンゾイルギ酸エチル、4−イソプロピルベンゾイルギ酸エチル、4−ジメチルアミノベンゾイルギ酸エチル、3,4−ジメチルベンゾイルギ酸エチル、3−メチルベンゾイルギ酸エチル、4−メチルベンゾイルギ酸エチル、4−フェノキシベンゾイルギ酸エチル、4−チオメチルベンゾイルギ酸エチル、4−シアノベンゾイルギ酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、2−オキソ吉草酸メチル、2−オキソ吉草酸エチル、2−オキソグルタル酸ジメチル、2−オキソ−4−フェニル酪酸エチル等が挙げられるがこの限りではない。
なかでも、多官能エステル化合物を用いると、分子内に複数のアミンイミド構造を有するアミンイミド化合物を得ることができるので好ましい。
上記合成法の場合に用いられる本発明のアミンイミド化合物の原料としてのヒドラジン化合物については特に限定されるものではなく、1,1−ジメチルヒドラジン、1−ベンジル−1−フェニルヒドラジン、1−ブチル−1−フェニルヒドラジン、1−エチル−1−フェニルヒドラジン、1−メチル−1−フェニルヒドラジン、1−アミノピロリジン、1−アミノホモピペリジン等が例示できるがこの限りではない。このなかでも原料の入手のしやすさや発生する光塩基性物質の塩基性の高さ等から1,1−ジメチルヒドラジンが好ましい。
上記合成法の場合に用いられる本発明のアミンイミド化合物の原料としての原料であるエポキシ化合物は、分子中に1つ以上のエポキシ基を有する化合物であればよい。例えばプロピレンオキシド、グリシロール、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ターシャリーブチルフェノールグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等の単官能エポキシ化合物の他、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるジグリシジルエーテル等の所謂エピ−ビス型液状エポキシ樹脂、脂肪族・芳香族アルコールとエピクロルヒドリンから誘導されるポリグリシジルエーテル、多塩基酸とエピクロルヒドリンから誘導されるポリグリシジルエステル、水素添加ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるポリグリシジルエーテル等の多官能エポキシ化合物も用いることができる。エポキシ化合物の構造を変えることで得られるアミンイミド化合物およびそれを加熱および/又は活性エネルギー線を照射することによって発生する塩基の溶解性、結晶性、揮発性等を調節することができる。また、多官能エポキシ化合物を用いると、分子内に複数のアミンイミド構造を有するアミンイミド化合物を得ることができるので好ましい。
本発明の(A)アミンイミド化合物は、加熱により従来より低い温度で分解し塩基を発生するため、塩基性物質により反応速度が変化する反応系の触媒又は遅延剤として有効である。また、活性エネルギー線の照射によっても塩基を発生するため、塩基性物質により反応速度が変化する反応系の光活性触媒又は遅延剤としても有効である。また、活性エネルギー線の照射によってラジカルをも発生するため、ラジカルにより反応速度が変化する反応系の光活性触媒又は遅延剤としても有効である。また、本発明の1つの態様では、前記(A)アミンイミド化合物を(B)ラジカル又は/および塩基により重合される化合物と混合することで、硬化性を有する組成物としている。
前記(B)ラジカル又は/および塩基により重合される化合物とは、既知の塩基により重合する化合物又は既知のラジカルにより重合する化合物が挙げられるが、この限りではない。
前記既知の塩基により重合する化合物における“重合”とは、例えば、マイケル付加反応、エポキシ化合物の塩基性触媒による単独重合、エポキシ化合物、(メタ)アクリレート化合物およびエピスルフィド化合物から選ばれる少なくとも1つと、チオール、アミノ、フェノール、イソシアネート、カルボキシルおよび酸無水物基から選ばれる少なくとも1つを含む化合物との重合、ヒドロキシおよび/又はチオール基含有化合物とイソシアネート含有化合物との重合、シロキサン結合を形成することにより重合し得るケイ素含有基を有する化合物の単独重合、シアノアクリレート基化合物の単独重合等があるがこの限りではない。
本発明のアミンイミド化合物を用いた硬化物を得る場合、前記(B)塩基により重合される化合物としては、エポキシ樹脂やそれを主成分とする組成物、又はエポキシ樹脂とポリチオール化合物を主成分とする組成物を用いることが好適であるが、この限りではない。
前記(B)ラジカルにより重合される化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリン、イミド(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の分子内に1つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー又はオリゴマーが挙げられるがこの限りではない。またこれらの化合物は、それぞれ単独で用いることも、2種以上を混合して用いても良い。
本発明の組成物における(A)アミンイミド化合物の配合量は、(B)ラジカル又は/および塩基により重合される化合物の種類により変化するが、例えば成分(B)としてエポキシ樹脂を選択した場合は、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部であることが望ましく、さらに好ましくは0.1〜30重量部である。50重量部を超えると耐熱性や強度などの硬化物の特性が悪くなる。
前記成分(B)において好ましく用いられるエポキシ樹脂としては、分子内にエポキシ基を2以上有する化合物が挙げられ、その具体例としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるジグリシジルエーテル、およびその誘導体、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンから誘導されるジグリシジルエーテル、およびその誘導体等の所謂エピ−ビス型液状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族・芳香族アルコールとエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエーテル、多塩基酸とエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエステル、およびその誘導体、水添(水素添加)ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の脂肪族環状エポキシ、およびその誘導体、5,5’−ジメチルヒダントイン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネート、イソブチレンから誘導される置換型エポキシ等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。市販されているエポキシ樹脂製品としては、例えばジャパンエポキシレジン株式会社製のJER828、1001、801、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、大日本インキ工業株式会社製のエピクロン830、850,830LVP、850CRP、835LV、HP4032D、703、720、726、HP820、旭電化工業株式会社製のEP4100、EP4000、EP4080、EP4085、EP4088、EPU6、EPR4023、EPR1309、EP49−20、日産化学工業株式会社製のTEPIC、信越化学工業株式会社製のKF−101、KF−1001、KF−105,X−22−163B、X−22−9002、ナガセケムテックス株式会社製デナコールEX411、EX314、EX201、EX212、EX252、等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの化合物は、それぞれ単独で用いることも、また2種以上を混合して用いても良い。これらのうち、エピ−ビス型エポキシ樹脂を用いると価格および硬化性、硬化物の接着性、物理強度等にバランスの良い組成物が得られる。また脂肪族、環状脂肪族エポキシ化合物を用いると硬化物の柔軟性、透明性、耐候性に優れた組成物が得られる。
前記エポキシ樹脂と併用して使用されるポリチオール化合物としては、分子内にチオール基を2以上有する化合物であれば良い。具体例としては、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビスチオグリコレート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリストールテトラキスチオグリコレート、ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、1,4−ブタンジチオール、トリス[(3−メルカプトプロピオニロキシ)−エチル]イソシアヌレート、1,3,5−トリメルカプトメチルベンゼン、4,4’−チオジベンゼンチオール、1,3,5−トリメルカプトメチル−2,4,6−トリメチルベンゼン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、末端チオール基含有ポリエーテル、末端チオール基含有ポリチオエーテル、エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるチオール化合物、ポリチオール化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。市販されているチオール化合物の製品としては、例えばジャパンエポキシレジン株式会社製のJERメートQX11、QX12、JERキュアQX30、QX40、QX60、QX900、カプキュアCP3−800、堺化学工業株式会社のTMMP、PEMP、DPMP、TEMPIC、淀化学株式会社製のOTG、EGTG、TMTG、PETG、3−MPA、TMTP、PETP、信越化学工業株式会社製のKF−2001、KF−2004、X−22−167B、東レファインケミカル株式会社製チオコールLP−2、LP−3、ポリチオールQE−340M等が挙げられるがこの限りではない。これらの化合物は、それぞれ単独で用いることも、また2以上を混合して用いても良い。より好ましいチオール化合物は、貯蔵安定性の面からは塩基性不純物の極力少ないものである。また硬化物の耐熱性の面からは分子内に芳香環あるいはイソシアヌレート環を含むチオール化合物がより好ましい。本発明の組成物におけるチオール化合物の配合量については特に範囲を限定するものではないが、好ましくは組成物中のエポキシ化合物のエポキシ当量に対し、チオール当量比で0.5〜2.0の範囲内、より好ましくは0.8〜1.3の範囲内で加えることができる。上記の範囲内でチオール化合物を加えると、より硬化速度および硬化物の強度や耐熱性のバランスに優れた組成物を得ることができる。
本発明では、前記成分(A)および(B)を主成分とする組成物に、さらに(C)活性エネルギー線ラジカル発生剤を添加すると、より組成物のラジカル硬化性および活性エネルギー線による塩基発生効率を高めることができるため好ましい。活性エネルギー線ラジカル発生剤には公知の水素引き抜き型ラジカル発生剤又は/および開裂型ラジカル発生剤を用いることができる。水素引き抜き型ラジカル発生剤の例としては、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、1−フルオロナフタレン、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレン、1−ブロモナフタレン、2−ブロモナフタレン、1−ヨードナフタレン、2−ヨードナフタレン、1−ナフトール、2−ナフトール、1−メトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、1,4−ジシアノナフタレン等のナフタレン誘導体、アントラセン、1,2−ベンズアントラセン、9,10−ジクロロアントラセン、9,10−ジブロモアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9−シアノアントラセン、9,10−ジシアノアントラセン、2,6,9,10−テトラシアノアントラセン等のアントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール、9−メチルカルバゾール、9−フェニルカルバゾール、9−プロペ−2−イニル−9H−カルバゾール、9−プロピル−9H−カルバゾール、9−ビニルカルバゾール、9H−カルバゾール−9−エタノール、9−メチル−3−ニトロ−9H−カルバゾール、9−メチル−3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール、9−オクタノイルカルバゾール、9−カルバゾールメタノール、9−カルバゾールプロピオン酸、9−カルバゾールプロピオニトリル、9−エチル−3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール、9−エチル−3−ニトロカルバゾール、9−エチルカルバゾール、9−イソプロピルカルバゾール、9−(エトキシカルボニルメチル)カルバゾール、9−(モルホリノメチル)カルバゾール、9−アセチルカルバゾール、9−アリルカルバゾール、9−ベンジル−9H−カルバゾール、9−カルバゾール酢酸、9−(2−ニトロフェニル)カルバゾール、9−(4−メトキシフェニル)カルバゾール、9−(1−エトキシ−2−メチル−プロピル)−9H−カルバゾール、3−ニトロカルバゾール、4−ヒドロキシカルバゾール、3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール、3,6−ジフェニル−9H−カルバゾール、2−ヒドロキシカルバゾール、3,6−ジアセチル−9−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメトキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸メチルエステル、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、芳香族カルボニル化合物、[4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル]−フェニルメタノン、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等のチオキサントン誘導体やクマリン誘導体が挙げられる。
また、前記開裂型ラジカル発生剤は、活性エネルギー線を照射することにより当該化合物が開裂してラジカルを発生するタイプのラジカル発生剤であり、その具体例として、ベンゾインエーテル誘導体、アセトフェノン誘導体等のアリールアルキルケトン類、オキシムケトン類、アシルホスフィンオキシド類、チオ安息香酸S−フェニル類、チタノセン類、およびそれらを高分子量化した誘導体が挙げられるがこれらに限定されるものではない。市販されている開裂型ラジカル発生剤としては、1−(4−ドデシルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−(4−イソプロピルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−ベンゾイル−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−[4−(アクリロイルオキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、ジフェニルケトン、フェニル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシルケトン、ベンジルジメチルケタール、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピリル−フェニル)チタン、(6−イソプロピルベンゼン)−(5−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)−ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペントキシフェニルホスフィンオキシド又はビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−ホスフィンオキシド、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタンおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等が挙げられるがこの限りではない。
本発明の組成物において、これら(C)活性エネルギー線ラジカル発生剤、すなわち水素引き抜き型又は開裂型ラジカル発生剤はいずれもそれぞれ単独で用いることができる他、複数を組み合わせて用いても良い。高分子オリゴマー/ポリマー中にラジカル発生剤の構造を導入した高分子量タイプのものは、硬化時および硬化後のアウトガスが少ないため好ましい。
また、ラジカル発生剤の種類によっては、組み合わせる(A)アミンイミド化合物の構造により、その効果に差が現れる可能性があるため、(A)アミンイミド化合物と(C)ラジカル発生剤の最適な組み合わせは任意に選択してもよい。本発明の組成物におけるラジカル発生剤の添加量は、ラジカル発生剤の吸収波長およびモル吸光係数を参考にする必要があるが、一般的に(A)アミンイミド化合物1重量部に対して0.01〜10重量部であり、好ましくは0.05〜5重量部である。少なすぎると活性エネルギー線による塩基発生効率の向上効果が得られず、多すぎると塩基性触媒作用を阻害する場合がある。
本発明の組成物には、本発明の特性を損なわない範囲において分子内に1以上のエポキシ基を含む化合物、および/又は分子内に1以上のチオール基を有する化合物を添加しても良い。これらは組成物全体の低粘度化や作業性の向上、反応性の調整等に用いられる。これらエポキシ化合物、チオール化合物を添加した場合はそれぞれのエポキシ当量、チオール当量を考慮して組成物全体のエポキシ化合物とチオール化合物の配合比を調節することが望ましい。
さらに本発明の組成物には、本発明の特性を損なわない範囲において顔料、染料などの着色剤、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム等の無機充填剤、銀等の導電性粒子、難燃剤、ホウ酸エステルやリン酸エステル、無機酸、有機酸などの保存性向上剤、アクリルゴムやシリコーンゴム等の有機充填剤、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂やビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA・ビスフェノールF共重合型フェノキシ樹脂等の汎用フェノキシ樹脂類、ポリメタクリレート樹脂類、ポリアクリレート樹脂類、ポリイミド樹脂類、ポリウレタン樹脂類、ポリエステル樹脂類、ポリビニルブチラール樹脂、SBS樹脂およびそのエポキシ樹脂変性体、SEBS樹脂およびその変性体などのポリマーや熱可塑性エラストマー、可塑剤、有機溶剤、非反応性希釈剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、硬化促進剤、増感剤、光安定剤、重金属不活性剤、イオントラップ剤、乳化剤、水分散安定剤、消泡剤、離型剤、カップリング剤、レベリング剤、ワックス、レオロジーコントロール剤等の添加剤を適量配合しても良い。これらの添加により、より樹脂強度・接着強さ・難燃性・熱伝導性、保存安定性、作業性等に優れた組成物およびその硬化物が得られる。保存性向上剤の市販されている製品としては城北化学工業株式会社製のJP−3CP、JPP−31、JPA−514、四国化成工業株式会社製のL−07N等があるがこの限りではない。
本発明の(A)アミンイミド化合物は、加熱および/又は活性エネルギー線の照射により活性化して塩基又は/およびラジカルを発生するが、この場合の活性エネルギー線としては、電子線、可視光線および紫外線等が挙げられる。これらの中でも、特別な装置を必要とせず、簡便であるため、本発明においては、可視光線又は紫外線が好ましい。活性エネルギー線量は、硬化するのに充分な量であればよく特に制限されない。一例を挙げると、成分(B)としてエポキシ樹脂を使用した場合に活性エネルギー線の照射量は0.1J/cm以上であればよい。また、本発明の組成物は、活性エネルギー線の照射と加熱を同時に行うことにより、さらに少ない活性エネルギー線照射量、および短い時間で硬化物を得ることができる。
また、本発明の(A)アミンイミド化合物は、従来よりも低い温度の加熱のみによっても活性化するが、加熱のみによる活性化と比較して活性エネルギー線の照射を併用することでその硬化性を大幅に向上させることができる。一般的な紫外線照射装置は紫外線と同時に熱線が放射されるため、本発明の組成物を硬化にさせるために極めて有用である。
本発明の組成物の硬化物は強靱かつ透明性があるなどの優れた特性を有しており、また所定量の活性エネルギー線を照射した本発明の組成物は、常温で放置するだけでその後特別な処置(加熱など)を行わなくても硬化が進行して硬化物を得ることが可能である。この特性を利用して、光学部品の成形や、接着、封止、注型、塗装、コーティング剤等様々な用途に使用が可能である。また本組成物は本発明内の組成において、活性エネルギー線照射後直ちに硬化することも、活性エネルギー線照射直後は、硬化せず、その後短時間の室温又は加熱下での放置により硬化することも可能であり、後者のような性質は、DVDの接着剤に代表されるように、接着部材が活性エネルギー線を透過しない場合でも、組成物に活性エネルギー線を照射した後塗布貼り合わせすることにより接着することを可能とする。
また本組成物は本発明内の組成において、活性エネルギーの照射によりラジカル硬化成分が硬化し、その後の室温または加熱下での放置により塩基硬化成分を硬化させることもできる。このような性質は、活性エネルギー線照射による仮固定や形状保持とその後の加熱工程による接着を必要とする種々の用途に利用できる。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により制約されるものではない。また、下記の表中の配合割合は特に断りのない限り重量基準である。
実施例および比較例に使用したアミンイミド化合物は表1で示す構造式で表される化合物であり、それぞれ下記の方法によって合成したものを用いた。
Figure 2010147161
(実施例1)(アミンイミド化合物Aの合成)
溶媒として80mlのイソプロピルアルコール(国産化学株式会社製試薬)を入れた200ml茶色ナスフラスコに、ベンゾイルギ酸メチルを13.6g(83.0mmol)、プロピレンオキシドを4.80g(83.0mmol)、1,1−ジメチルヒドラジンを5.00g(83.0mmol)(いずれも東京化成工業株式会社製試薬)を投入し、密封遮光して20℃2時間撹拌後、40℃で2日間撹拌した。IR測定によるアミンイミド性カルボニル吸収波長の増大よりアミンイミドの生成を確認した。溶媒を減圧除去すると白色の結晶物が得られた。これをメタノールと酢酸エチルの混合溶液を用い再結晶してアミンイミド化合物Aの結晶19.7gを得た(収率95%)。これをさらに2回、メタノールと酢酸エチルの混合溶液を用い再結晶して精製した。
融点104〜105℃(分解)
IR(C=O):1681cm−1、1571cm−1
1318の元素分析結果(元素分析装置 LECO社製 CHNS−932型及びVTF−900型)
計算値 C:62.38%,H:7.25%,N:11.19%,O:19.18%
実測値 C:62.30%,H:7.17%,N:11.28%,O:18.94%
(実施例2)(アミンイミド化合物Bの合成)
溶媒として30mlのイソプロピルアルコール(国産化学株式会社製試薬)を入れた100ml茶色ナスフラスコに、4−メトキシベンゾイルギ酸エチル(Oakwood Products, Inc.製試薬)を3.54g(17.0mmol)、プロピレンオキシド(東京化成工業株式会社製試薬)を0.99g(17.0mmol)、1,1−ジメチルヒドラジン(東京化成工業株式会社製試薬)を1.02g(17.0mmol)投入したほかはアミンイミド化合物Aの合成と同様の操作を行い、アミンイミド化合物B の結晶3.7gを得た。(収率78%)。これをさらに2回、メタノールと酢酸エチルの混合溶液を用い再結晶して精製した。IR測定によるアミンイミド性カルボニル吸収波長の増大よりアミンイミドの生成を確認した。
融点102〜103℃(分解)
IR(C=O):1670cm−1、1578cm−1
1420の元素分析結果(元素分析装置 LECO社製 CHNS−932型及びVTF−900型)
計算値 C:59.99%,H:7.19%,N:9.99%,O:22.83%
実測値 C:60.00%,H:6.98%,N:10.00%,O:22.84%
(実施例3)(アミンイミド化合物Cの合成)
溶媒として30mlのイソプロピルアルコール(国産化学株式会社製試薬)を入れた50ml茶色ナスフラスコに、エチル−チオフェン−2−グリオキシレート(Alfa Aecar製試薬)を3.68g(20.0mmol)、プロピレンオキシド(東京化成工業株式会社製試薬)を1.16g(20.0mmol)、1,1−ジメチルヒドラジン(東京化成工業株式会社製試薬)を1.20g(20.0mmol)投入したほかはアミンイミド化合物Aの合成と同様の操作を行い、アミンイミド化合物追加1の結晶4.7gを得た。(収率93%)。これをさらに2回、メタノールと酢酸エチルの混合溶液を用い再結晶して精製した。IR測定によるアミンイミド性カルボニル吸収波長の増大よりアミンイミドの生成を確認した。
融点119〜120℃(分解)
IR(C=O):1651cm−1、1574cm−1
(実施例4)(アミンイミド化合物Dの合成)
溶媒として30mlのジクロロメタン(東京化成工業株式会社製試薬)を入れた100ml茶色ナスフラスコに、アミンイミド化合物Aを3.00g、無水酢酸(東京化成工業株式会社製試薬)を2.45g、トリエチルアミン(東京化成工業株式会社製試薬)を1.21g投入し、環流下で24時間撹拌した。溶媒と残留原料を減圧除去して得られたペーストをノルマルヘキサンで洗浄すると白色の固体が得られた。この固体を酢酸エチルで再結晶してアミンイミド化合物Dの結晶1.80gを得た(収率51.8%)。これをさらに2回、酢酸エチルを用い再結晶して精製した。
融点100〜101℃(分解)
IR(C=O):1740cm−1、1681cm−1、1604cm−1
1520の元素分析結果(元素分析装置 LECO社製 CHNS−932型)
計算値 C:61.63%,H:6.90%,N:9.58%
実測値 C:61.59%,H:7.13%,N:9.55%
(実施例5)(アミンイミド化合物Eの合成)
溶媒として30mlのイソプロピルアルコール(国産化学株式会社製試薬)を入れた50ml茶色ナスフラスコに、ベンゾイルギ酸メチルを4.92g(30.0mmol)、アリルグリシジルエーテル(関東化学株式会社製試薬)を3.42g(30.0mmol)、1,1−ジメチルヒドラジン(東京化成工業株式会社製試薬)を1.80g(30.0mmol)投入し、密封遮光して25℃で7日間撹拌した。IR測定によるアミンイミド性カルボニル吸収波長の増大よりアミンイミドの生成を確認した。溶媒を減圧除去したのちノルマルヘキサンで洗浄し、減圧乾燥して淡黄色の粘調液体9.1gを得た(収率98%)。
IR(C=O):1677cm−1、1588cm−1
(実施例6)(アミンイミド化合物Fの合成)
溶媒として30mlのイソプロピルアルコール(国産化学株式会社製試薬)を入れた50ml茶色ナスフラスコに、ベンゾイルギ酸メチルを2.79g(17.0mmol)、フェニルグリシジルエーテル(関東化学株式会社製試薬)を2.55g(17.0mmol)、1,1−ジメチルヒドラジン(東京化成工業株式会社製試薬)を1.02g(17.0mmol)投入し、密封遮光して25℃で10日間撹拌した。IR測定によるアミンイミド性カルボニル吸収波長の増大よりアミンイミドの生成を確認した。溶媒を減圧除去したのちノルマルヘキサンで洗浄し、減圧乾燥して淡黄色の粘調液体5.7gを得た(収率98%)。
IR(C=O):1670cm−1、1593cm−1
(比較例1)(アミンイミド化合物Gの合成)
J.Polym. Sci. Part A:Polym. Chem.,35,689,(1997)および国際公開第2002/051905号に開示された方法に従い、対応するカルボン酸メチルエステルと、1,1−ジメチルヒドラジンとエポキシ化合物から、本発明に含まれないアミンイミド化合物Gを得た。融点155℃、IR(C=O)1585cm−1
(実施例7)[光塩基発生の確認]
アミンイミド化合物Aと純水から濃度1.00g/Lの水溶液を調整し、これを内径38mm高さ58mmの透明ガラスサンプル瓶に50ml入れ、密閉下でスターラーで攪拌しながら株式会社堀場製作所社製pHメーターD54にて水溶液のpHを測定した。さらに、密閉したままサンプル瓶の側面より、浜松ホトニクス社製スポット紫外線照射装置LC8において、365nm照度:100mW/cmの活性エネルギー線を照射し、指定秒照射後毎のpHを測定した。活性エネルギー線照射前のpHは6.28であり、活性エネルギー線を20秒間照射後のpHは9.78、30秒間照射後のpHは9.90、50秒照射後のpHは10.01と、活性エネルギー線の照射により塩基性が増大し、アミンイミド化合物Aが光塩基発生剤であることが示された。
(実施例8〜12及び比較例2)[光ラジカル発生の確認]
表2に示す通りの重量比で材料を遮光容器中25℃で撹拌し溶解させて実施例8から12及び比較例2のアクリレート系組成物を調整した。この組成物0.05gをスライドガラス上に滴下し、浜松ホトニクス社製スポット紫外線照射装置LC8(365nm照度:100mW/cm)を用いて活性エネルギー線を積算光量6J/cm照射した。実施例8から12はいずれも紫外線照射後組成物は硬化した。一方、本発明のアミンイミド化合物を混合しない場合組成物は硬化せず、本発明によるアミンイミド化合物が活性エネルギー線によりラジカルを発生し、アクリレート化合物を硬化させ得る能力を有することが示された。
Figure 2010147161
アミンイミド化合物の他に本発明の実施例および比較例に使用した材料は下記に示す市販の製品又は試薬である。
・エピクロンEXA−835LV:DIC株式会社製 高純度タイプビスフェノール型エポキシ樹脂
・エピクロンEXA−850CRP:DIC株式会社製 高純度タイプビスフェノールA型エポキシ樹脂
・アデカレジンEP−4085S:株式会社ADEKA製 脂肪族エポキシ樹脂
・ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート):シグマアルドリッチジャパン株式会社製試薬(以降PEMPと略する)
・JERキュアQX30:ジャパンエポキシレジン株式会社製 3官能脂肪族ポリチオール
・ダロキュア1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン):チバスペシャリティーケミカル株式会社製 開裂型光ラジカル発生剤
・ベンゾフェノン:東京化成工業株式会社試薬 水素引き抜き型光ラジカル発生剤
・ホウ酸トリエチル:東京化成工業株式会社試薬
・ベンジルアルコール:東京化成工業株式会社試薬
・アエロジルR972 日本アエロジル株式会社製 疎水性フュームドシリカ
[実施例13〜16、比較例3の組成物の調整]
表3に示す通りの重量比で材料を遮光容器中50℃で10分間混合攪拌し、アミンイミド化合物を均一に溶解又は均一に分散させて実施例13〜16および比較例3のエポキシ樹脂系組成物を調製した。なお室温で固形のアミンイミド化合物はいずれも混合前に乳鉢にて均一に微粉砕してから使用した。
得られた各組成物を下記項目について評価試験を行いその結果を併せて表3に示した。各評価試験の方法は以下の通りである。
・アミンイミド化合物の溶解性試験
表3に示す通りの重量比で材料を遮光容器中で混合攪拌し、アミンイミド化合物が全て溶解するかを目視で観察した。室温(25℃)で溶解したものを◎、50℃にて10分間攪拌することで溶解したものを○、50℃で1時間撹拌しても溶解しなかった場合溶解しない、として記載した。
・100℃硬化時間の測定
2枚のスライドガラスを各組成物にて貼り合わせ、100℃に設定した恒温炉に放置し、組成物が硬化しガラスが接着して手で動かせなくなるまでの時間を測定した。
・光照射後100℃硬化時間
各組成物50mgを内径10mm、高さ30mmの無色透明ガラスサンプル瓶に分取密閉し、底面より浜松ホトニクス社製スポット紫外線照射装置LC8(365nm照度:100mW/cm)を用いて活性エネルギー線を積算光量3J/cm照射した。この活性エネルギー線照射後の組成物について同様に100℃硬化時間の測定を行った。
・25℃保存安定性
組成物を容量15mlの遮光瓶に密閉し25℃恒温室の暗所に保管し、組成物がゲル化して流動性がなくなるまでの時間を測定した。
Figure 2010147161
実施例13から16より、本発明のアミンイミド化合物は、従来より低い温度で塩基性物質を発生し、エポキシ樹脂を100℃において60分以下という低温短時間で硬化させ得ることがわかる。
一方、比較例3に示すように、本発明のアミンイミド化合物でない芳香族系アミンイミド化合物を用いた組成物は、樹脂への溶解性が悪いうえ、低温硬化性が悪く、100℃においてはエポキシ樹脂を硬化する能力を有しないことがわかる。
また実施例13から16より、本発明のアミンイミド化合物を用いた組成物が、活性エネルギー線の照射により、加熱硬化時間を大幅に短縮できることがわかる。
(実施例17)[ラジカル硬化と塩基による硬化の併用]
エピクロンEXA−835LVを2.0g、UVACURE1561(ダイセルサイテック株式会社製、アクリル基含有エポキシ樹脂)を7.0g、4HBAGE(日本化成株式会社製、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル)を0.8g、アクリエステルHO(三菱レイヨン株式会社製、2−ヒドロキシエチルメタクリレート)を0.2g、アミンイミド化合物Aを1.0g混合し、25℃で撹拌し溶解させ組成物を得た。
この組成物7.5mgを、示差走査熱量(DSC)測定用のサンプル容器に滴下し、活性エネルギー線および加熱により硬化させた。活性エネルギー線照射には浜松ホトニクス社製スポット紫外線照射装置LC8(365nm照度:100mW/cm)を用いた。加熱には100℃に設定した恒温炉を用いた。
活性エネルギー線を積算光量6J/cm照射すると、組成物は硬化し室温でゴム状の硬化物となったことを目視で確認した。この硬化物のガラス転移温度をセイコーインツルメント社製示差走査熱量(DSC110)で測定したところガラス転移点は−2℃であった。次に活性エネルギー線を積算光量6J/cm照射しゴム状にした組成物を100℃で加熱すると20分で硬化したことを目視で確認した。この硬化物のガラス転移点を同様に測定すると71℃であった。
本発明の化合物により、活性エネルギーの照射により速やかに形状保持または仮固定が可能であり、さらに加熱することにより強固に硬化する樹脂組成物が得られることがわかった。
(実施例18〜26および比較例4)
表4に示す通りの重量比で材料を遮光容器中室温(25℃)又は40℃で10分間攪拌し均一に溶解させて、実施例18〜26および比較例4のエポキシ/チオール樹脂系組成物を調製した。それぞれについて下記の試験を行い、結果を表4に併せて示した。
・アミンイミド化合物の溶解性試験
表4に示す通りの重量比で材料を遮光容器中で混合攪拌し、アミンイミド化合物が全て溶解するかを目視で観察した。室温(25℃)で溶解したものを◎、室温(25℃)では溶解せず、40℃にて10分間攪拌することで溶解したものを○、として記載した。
・25℃保存安定性
組成物を容量15mlのガラス遮光瓶に密閉し25℃室内暗所に保管し、組成物がゲル化し流動性がなくなるまでの時間を測定した。
・70℃硬化時間の測定
スライドガラスの中央部に各組成物を10mg滴下し、その上からもう1枚のスライドガラスを置き、スライドガラス2枚を貼り合わせた。これをそのまま、あるいはウシオ電機株式会社製コンベア式紫外線照射装置を用い、活性エネルギー線を積算光量6J/cm照射した後に70℃に設定した恒温炉に静置し、組成物が硬化してガラスが固着接着され手で動かすことができなくなるまでの時間を測定した。
・活性エネルギー線照射後 25℃硬化性
70℃硬化時間の測定と同様にスライドガラス2枚を貼り合わせ、ウシオ電機株式会社製コンベア式紫外線照射装置を用い活性エネルギー線を積算光量6J/cm照射した後、25℃の室内に遮光静置した。組成物が硬化してガラスが固着接着され手で動かすことができなくなるまでの時間を測定した。
Figure 2010147161
実施例18、20から、エポキシ樹脂とポリチオールと本発明のアミンイミド化合物からなる組成物が、加熱のみでも70℃という低温で硬化し、また、活性エネルギー線の照射をすることにより、硬化温度と硬化時間を大幅に短縮できるということがわかる。実施例19、21、25、26からは、エポキシ樹脂、ポリチオール、アミンイミドの種類と量を変えても問題ないことがわかる。また、アミンイミドの種類と量を変えることで硬化性と保存安定性を調節できることがわかる。
実施例22、23からは、さらにラジカル発生剤を添加することにより、アミンイミド単独の場合よりも、活性エネルギー線の照射後の硬化性を向上できることがわかる。
実施例24〜26からは、酸性化合物を添加することで、硬化性に大きな影響を与えることなく、大幅に保存安定性を向上できることがわかる。実施例24からは、無機フィラーなどの他の添加剤を混合しても問題ないことがわかる。実施例25からは、溶解性の高い有機溶媒を加えることが可能であることがわかる。
比較例4からは、本発明によらないアミンイミド化合物を用いた場合、低温加熱硬化性に劣ること、また、活性エネルギー線の照射後の硬化性も充分でないことがわかる。
(実施例27、比較例5)[示差走査熱量(DSC)測定]
実施例18および比較例4の各組成物の活性エネルギー線照射前後の硬化性について、示差走査熱量(DSC)を測定し、それぞれ実施例27および比較例5として比較した。DSC測定にはセイコーインスツルメント社製DSC110を用い、窒素雰囲気下昇温速度10℃/minで20〜270℃まで昇温測定した。
活性エネルギー線を照射する方法としては、組成物50mgを内径10mm、高さ30mmの無色透明ガラスサンプル瓶に分取密閉し、底面より浜松ホトニクス社製スポット紫外線照射装置LC8(365nm照度:100mW/cm)を用いて活性エネルギー線を積算光量3J/cm照射した。活性エネルギー線照射後直ちにDSC測定を行った。
図1に示すように活性エネルギー線照射前後どちらの場合においても本発明の組成物が比較例よりも低温かつ短時間で反応開始および反応終了していることがわかる。
[接着強さの測定]
実施例18の配合物を用いて鉄の引張剪断接着強さの測定を行った。
幅25mm、長さ100mm、厚み1.6mmの鉄試験片を重ね合わせ幅10mmになるように指定条件で活性エネルギー線を照射した組成物を塗布して、鉄同士を貼り合わせ、指定条件にて硬化させた後、室温(25℃)で2時間放冷した後、引張り試験器(インストロン)にて引張り速度10mm/minにて引張り試験を行い、引張剪断接着強さを測定した。
活性エネルギー線の照射方法としては、実施例18の組成物50mgを内径10mm、高さ30mmの無色透明ガラスサンプル瓶に分取密閉し、底面より浜松ホトニクス社製スポット紫外線照射装置LC8(365nm照度:100mW/cm)を用いて活性エネルギー線を積算光量6J/cm照射した。
(実施例28)
実施例18を用いて鉄試験を作製し、所定条件として80℃に設定した恒温炉にて40分間放置した後遮光室内(25℃)で2時間放冷した後、引張剪断接着強さを測定した。引張剪断接着強さは14.8MPaであった。
(実施例29)
実施例18の組成物に活性エネルギー線を6J/cm照射した後の組成物を用いて鉄試験を作製し、所定条件として80℃に設定した恒温炉にて10分間放置して硬化させた後遮光室内(25℃)で2時間放冷した後、引張剪断接着強さを測定した。引張剪断接着強さは13.8MPaであった。
(実施例30)
実施例18の組成物に活性エネルギー線を6J/cm照射した後の組成物を用いて鉄試験を作製し、遮光室内(25℃)に5時間放置して硬化させた後、引張剪断接着強さを測定した。引張剪断接着強さは8.0MPaであった。
実施例28〜30の結果より、加熱硬化のみの場合、活性エネルギー線と加熱硬化を併用した場合、活性エネルギー線のみによる硬化の場合のいずれの場合も、本発明の組成物が速やかに硬化して強靱な接着力を示すことがわかり、また、加熱のみ、あるいは活性エネルギー線をあらかじめ照射しておくことにより、活性エネルギー線を透過しない鉄のような部材の接着も可能であることがわかる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなくさまざまな変更や修正を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
本出願は、2009年6月17日出願の日本特許出願2009−144660に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
以上述べてきた本発明は従来の芳香族系アミンイミド光塩基発生剤よりも低温硬化性に優れ、かつ優れた光活性を有する新規なアミンイミド系光塩基発生剤、および、それを用いた反応系と硬化物、硬化方法を提供するものであり、活性エネルギー線照射により、より低い温度で速やかに硬化が可能であり、接着、封止(シール)、注型、成型、塗装、コーティング等様々な用途に使用が可能である。

Claims (10)

  1. 下記一般式(I)で示される構造を分子中に有するアミンイミド化合物。
    Figure 2010147161
    は、水素原子、任意の置換基を有してもよいアルキル基、任意の置換基を有してもよいアリール基又は任意の置換基を有してもよい複素環残基を示す。またR、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子又は任意の置換基である。ただし、R、R及びRのうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい。
  2. 上記一般式(I)中のRが、任意の置換基を有してもよいアリール基又は任意の置換基を有してもよい複素環残基である請求項1に記載のアミンイミド化合物。
  3. (A)請求項1又は2に記載のアミンイミド化合物と、
    (B)ラジカル又は/および塩基により重合される化合物を含有する組成物。
  4. 前記(B)塩基により重合される化合物が、分子内に2以上のエポキシ基を有する化合物である請求項3に記載の組成物。
  5. 前記(B)塩基により重合される化合物が、分子内に2以上のエポキシ基を有する化合物と分子内に2以上のチオール基を有する化合物の混合物である請求項3に記載の組成物。
  6. 前記(B)ラジカルにより重合される化合物が、分子内に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物である請求項3に記載の組成物。
  7. 前記成分(B)100重量部に対して前記成分(A)を0.1〜50重量部含有する請求項3〜6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 更に(C)活性エネルギー線ラジカル発生剤を含有する請求項3に記載の組成物。
  9. 前記成分(B)100重量部に対して成前記分(A)を0.1〜50重量部、成分(A)1重量部に対し前記成分(C)を0.01〜10重量部含有する請求項8記載の組成物。
  10. 請求項3〜9のいずれか1項に記載の組成物を加熱又は活性エネルギー線の照射、又は活性エネルギー線の照射と加熱を同時に行うこと又は活性エネルギー線の照射後に加熱を行うことによって前記組成物を硬化させる方法。
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