JP2015117262A - 一液硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】発明の目的は、活性エネルギー線の照射後、加熱又は室温により短時間硬化が可能であり、かつ一液保存安定性に優れる一液硬化性組成物及び硬化方法を提供することにある。【解決手段】下記(A)及び(B)成分を含有することを特徴とする一液硬化性組成物。(A)成分:分子内に2以上のチイラン環を有する化合物(B)成分:下記一般式(1)で表されるアニオンを有する塩を含む光塩基発生剤(但し、4級窒素のβ位にケトン構造を有する構造のカチオンとアニオンの塩を除く)(式中、R1〜R4は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の芳香族基、または置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)【選択図】なし

Description

活性エネルギー線の照射後、加熱又は室温により短時間硬化が可能であり、且つ一液保存安定性良好な一液硬化性組成物及び硬化方法に関する。
エポキシ樹脂の持つオキシラン環の酸素原子を硫黄原子に置き換えたチイラン環を有する化合物はエピスルフィド樹脂として知られている。エピスルフィド樹脂はエポキシ樹脂に比べアミン化合物との低温硬化性に優れ、耐水性が良く、屈折率が高く、難燃性を有する等の特徴があることが知られている。
しかしながら、従来のエピスルフィド系組成物の大部分は二液硬化型であり、実際の使用直前に樹脂成分と硬化剤成分を計量、混合、脱泡するなどの煩雑な工程が必要であり、また混合後の使用可能期間が限られており、混合ミスなどの可能性もあるため、作業性、信頼性に劣るという欠点があった。例えば特許文献1〜3には、エポキシ樹脂系組成物より低温速硬化であるエピスルフィド樹脂系組成物が示されているが、二液硬化性であり前述のような作業性・信頼性上の問題を抱えている。
この問題を解決する手法として、常温ではエピスルフィド樹脂と反応せず、加熱や活性エネルギー線の照射等の刺激によって反応性を示す、いわゆる潜在性硬化剤、潜在性触媒を用いることによって、前述のような二液硬化型組成物の問題を解決した一液硬化型組成物を得ることができることが知られている。例えば特許文献4にはエピスルフィド樹脂に硬化剤としてカルボン酸含有化合物と熱潜在性触媒を用いて一液化した具体例が記載されている。しかしながら、この組成物は硬化時間(焼付時間)に140℃で30分を要するため、より低温・短時間の加熱条件で硬化可能なエピスルフィド系加熱硬化型一液性組成物が望まれている。特許文献5にはエピスルフィド樹脂に硬化剤としてフェノールやジシアンジアミドを添加した具体例が記載されているが、貯蔵安定性については記載がなく、また硬化温度も170℃を要し、低温速硬化性を示すものではない。特許文献6〜8には、潜在性硬化剤を用いることでエピスルフィド樹脂を用いた加熱硬化型一液性樹脂組成物が可能であるとされているが、具体的にどの硬化剤をどの程度用いれば良好な低温速硬化性と貯蔵安定性が得られるか具体的事例が記載されていない。
比較的低い温度でエピスルフィド樹脂を硬化させ得る技術としては、活性エネルギー線の照射により塩基性化合物を発生する光塩基発生剤を用いた硬化性組成物が挙げられる。特許文献9、10にはエピスルフィド化合物と光塩基発生剤としてN−(2−メチル−2−フェニルプロピオニルオキシ)−N−シクロヘキシルアミン等を含有することを特徴とする硬化性組成物について開示されている。しかしながら、特許文献9、10に開示された硬化性組成物は、本明細書の比較例7に示すよう硬化性が満足できるものではなかった。従来のエピスルフィド樹脂及び光塩基発生剤を含有する硬化性組成物の硬化性が劣る主な要因としては、エピスルフィド化合物は300nm付近までの紫外線を吸収するが、光塩基発生剤の紫外線吸収領域と重なっており、光塩基発生剤の分解が妨げられ、塩基の発生効率が低くなっていると考えらる。
上述した背景から、特許文献11、12には、光塩基発生剤のカチオンに対してケトン基を導入することで300nm以上の長波長の紫外線を吸収する光塩基発生剤(4級窒素のβ位にケトン構造を有する構造のカチオンとアニオンの塩)を用いたエピスルフィドを含有する硬化性組成物が開示されている。しかし、「4級窒素のβ位にケトン構造を有する構造のカチオンとアニオンの塩である光塩基発生剤」の光分解効率が不十分であること(特許文献13の従来技術に開示)から、硬化性は満足できるものではなかった。そこで、特許文献13には、「4級窒素のβ位にケトン構造を有する構造のカチオンとアニオンの塩である光塩基発生剤」よりも強い塩基性を有する光活性化窒素塩基化合物をエピスルフィド樹脂に含有させることで、際だった硬化性が得られると開示している。しかし、光活性化窒素塩基化合物は本明細書の比較例5,6に示すように、光硬化性は良いものの、光照射前から強い塩基性を有するため一液硬化性組成物での一液保存安定性が極めて悪いという問題があった。
特開昭50−124952号公報 特開平11−140161号公報 特開2002−173533号公報 特開平4−202523号公報 特開2004−142133号公報 特開平11−279519号公報 特開平11−209576号公報 特開2001−342253号公報 特開2002−47346号公報 特開2002−105110号公報 特開2005−264156号公報 国際公開番号W02005−014696号公報 特開2011−38050号公報
本発明の目的は、上述の問題点を解決すること、活性エネルギー線の照射後、加熱又は室温により短時間硬化が可能であり、且つ一液保存安定性が良好な一液硬化性組成物およびその硬化方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、特定の一液硬化性組成物により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
下記(A)及び(B)成分を含有することを特徴とする一液硬化性組成物。
(A)成分:分子内に2以上のチイラン環を有する化合物
(B)成分:下記一般式(1)で表されるアニオンを有する塩を含む光塩基発生剤(但し、4級窒素のβ位にケトン構造を有する構造のカチオンとアニオンの塩を除く)
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の芳香族基、または置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
本発明の一液硬化性組成物は、活性エネルギー線の照射後、加熱又は室温により短時間硬化が可能であり、且つ一液保存安定性に優れる。更に、LED照射による硬化性及び接着力に優れる。本発明の一液硬化性組成物は、更に(C)成分、(D)成分を併用することで更なる硬化性の向上が得られる。また、(B)成分、(C)成分、(D)成分の種類と添加量を任意に選択すること、および活性エネルギー線の照射量、照射時の雰囲気温度を任意に選択することで、重合硬化速度を望みのままに制御することができる。この特性により、例えばエネルギー照射直後は硬化せず、その後短時間の室温または加熱下での放置により硬化することも可能であり、これを利用して、一般的な硬化性樹脂では不可能な不透明材料の接着や紫外線が影となる部分の硬化が本発明の一液硬化性組成物により可能となる。また、本発明の一液硬化性組成物には、更に(E)、(F)成分の添加することにより、光照射後の一液硬化性組成物の流動性を調節することができる。これらの特性により、接着、封止、注型、塗装、コーティング、フォトエッチング、ナノインプリント、フォトプリント材等様々な用途に使用が可能である。
以下本発明を詳細に説明する。
<(A)成分>
本発明の一液硬化性組成物における(A)成分は、分子内に2つ以上のチイラン環を有する化合物であれば良い。なお、前記チイラン環を有する化合物(A)は、チイラン環以外の官能基を有していても良い。その具体例としては例えばエポキシ基、ヒドロキシル基、ビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アセタール基、エステル基、カルボニル基、アミド基、アルコキシシリル基等である。さらに、前記チイラン環を有する化合物(A)は、それぞれ単独、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の(A)成分の製造方法としては、例えばヒドロキシメルカプタンの熱加水分解、1,2−クロロチオールの弱アルカリ溶液での処理、エチレン性不飽和エーテルの硫黄またはポリサルフィドジアルキルのような化合物との処理が挙げられる。また、エポキシ化合物を原料としてエポキシ環中の酸素原子の全部あるいは一部を硫黄原子に置換してチイラン環含有化合物を得る方法は既に知られている。このような化合物はエピスルフィド、またはエピスルフィド樹脂とも呼ばれる。例示すると、J.Polym.Sci.Polym.Phys.,17,329(1979)に記載のエポキシ化合物とチオシアン酸塩を用いる方法や、J.Org.Chem.,26,3467(1961)に記載のエポキシ化合物とチオ尿素を用いる方法、特開2000−351829号公報、特開2001−342253号公報、特開平09−255781号公報、特開平09−110979号公報、特開平09−071580号公報に開示されている方法等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明の(A)成分としては、例えば、2,2−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)メタン、1,6−ジ(2,3−エピチオプロポキシ)ナフタレン、1,1,1−トリス−(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)エタン、2,2−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)プロパン、ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)メタン、1,1,1−トリス−(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)エタン、1,5−ペンタンジオールの2,3−エピチオシクロヘキシル)エーテル、1,6−ヘキサンジオールのジ(3,4−エピチオオクチル)エーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の(A)成分は、硬化性、接着力、一液保存安定性に優れる一液硬化性組成物が得られるという観点から、好ましくは、ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物のオキシラン環の酸素原子の全てまたは一部を硫黄原子に置換したチイラン環を有する化合物であり、更に好ましくは、特開2000−351829号公報に示されるような、ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物の芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化した、水素化ビスフェノールエポキシ樹脂が有するオキシラン環の酸素原子の全てまたは一部を硫黄原子に置換したチイラン環を有する化合物であり、特に好ましくは、水素化ビスフェノールA骨格を有するチイラン環含有化合物である。
<(B)成分>
本発明の一液硬化性組成物における(B)成分である一般式(1)で表されるアニオンと任意のカチオンからなる塩を含む光塩基発生剤であり、活性エネルギー線の照射により塩基性化合物を発生する化合物である。また、(B)成分により優れた硬化性と一液保存安定性を有する一液硬化性組成物が得られる。但し、4級窒素のβ位にケトン構造を有する構造のカチオンとアニオンの塩は、本発明の硬化性が劣ることから本発明の(B)成分からは除かれる。
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の芳香族基、または置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。前記置換基としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、スルホン酸基、スルホニル基、ニトロ基、スルフィド基、チオール基、イソシアネート基を単独または複数を任意で組み合わせた基等を挙げられる。)
前記、4級窒素のβ位にケトン構造を有する構造のカチオンとアニオンの塩とは、例えば、特開2005−264156号公報又は国際公開番号W02005−014696号公報に開示された化合物を意味する。
(B)成分は、より硬化性に優れるという観点で一般式(2)または一般式(3)で表される化合物が好ましく用いられる。
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、スルホン酸基、スルホニル基、ニトロ基、スルフィド基、チオール基、イソシアネート基を単独または複数を任意で組み合わせた基等を挙げられ、互いに同一であっても異なっていてもよい。Zは第4級アンモニウムカチオン(但し、4級窒素のβ位にケトン構造を有する構造のカチオンを除く)、アルカリ金属カチオン、ホスホニウムカチオンを表し、特に硬化性が優れることからこの中でも4級アンモニウムカチオン(但し、4級窒素のβ位にケトン構造を有する構造のカチオンを除く)、ホスホニウムカチオンが好ましい。a〜dはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。)

(式中、R〜R11は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の芳香族基、または置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基を表し、R12は炭素数1〜20のアルキル基を表し、前記置換基としては、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、イミド基、ニトリル基、アミド基、イミド基、シアノ基、スルホニル酸基、スルホニル基、ニトロ基、スルフィド基、チオール基、イソシアネート基を単独または複数を任意で組み合わせた基等が挙げられる。Zは第4級アンモニウムカチオン(但し、4級窒素のβ位にケトン構造を有する構造のカチオンを除く)、アルカリ金属カチオン、ホスホニウムカチオンを表し、この中でも特に硬化性が優れることから4級アンモニウムカチオン(但し、4級窒素のβ位にケトン構造を有する構造のカチオンを除く)、ホスホニウムカチオンが好ましい。)
さらに、前記Zの4級アンモニウムカチオンは、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、トリアザビシクロデセン、ヘキサヒドロメチルピリミドピリミジン、テトラn−ブチルアンモニウムのいずれかの構造を分子内に1以上有するカチオン(但し、4級窒素のβ位にケトン構造を有する構造のカチオンを除く)からなる群から選択され、前記Zのアルカリ金属カチオンはナトリウムカチオン、カリウムカチオン、リチウムカチオンからなる群から選択され、前記Zのホスホニウムカチオンは、下記一般式(4)で表される化合物である。
(式中、R13〜R16は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の芳香族基、または置換基もしくは無置換の炭素数1〜20アルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
本発明の一液硬化性組成物における(B)成分の具体的な化合物としてテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボレート、ベンジルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、p−トリルトリフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボレート、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフェニルボラート、ジ−tert−ブチルメチルホスホニウムテトラフェニルボラート、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボラート、テトラフェニルボレートナトリウム塩、テトラフェニルボレートカリウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレート、1−8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン−テトラフェニルボレート、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン−テトラフェニルボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルアンモニウム−ブチルトリフェニルボラート、テトラブチルアンモニウム−ブチルトリ−1−ナフタレニルボラート、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボレート等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
(B)成分の市販品としては、例えばPBG−SA1、PBG−SA1BU、PBG−SA2、U−CAT5002(サンアプロ株式会社製)、DBN−K、EMZ−K、TPP−K、TPPZ−K、TPTP−MK、TPP−MK、TTBuP−K、DTBMP−K(北興化学工業株式会社製)、P3B、BP3B、N3B、MN3B(昭和電工株式会社製)等が挙げられる。中でもN3Bは溶解性と硬化性が優れることから特に好ましい。また、本発明の(B)成分の要件を満たした特許文献10に開示された化合物、非特許文献1に記載の方法などの、公知の方法を用いて合成することもできる。また、本発明において、(B)成分は1種または複数種を併用することも可能である。
本発明の一液硬化性組成物における(B)成分の配合量は、特に制限されないが、前記(A)成分の合計100質量部に対し0.001〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部である。上記の範囲内で(B)成分を加えると、硬化速度および硬化物の強度のバランス、一液保存安定性などに優れた一液硬化性組成物を得ることができる。0.001質量部を満たないと本発明の一液硬化性組成物に有効な硬化性を付与できず、また30質量部を超えると前記(A)成分に溶解しにくくなる他、一液保存安定性や諸物性に悪影響を与える恐れがある。
なお、本発明の一液硬化性組成物における(B)成分は、溶剤で希釈することで、(A)成分との相溶性を向上させることができる。溶剤としては、(B)成分を溶解するものであれば、特に限定されないが、具体的には、水、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類が挙げられる。アルコール類としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロプレンカーボネート等が挙げられる。エーテル類としては、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。炭化水素類としては、例えば、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン等が挙げられる。ハロゲン類としてはフロン−113、トリクロルエチレン、1,1,1−トリクロルエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン等が挙げられる。これらの中でも(B)成分との溶解性が良好であることからケトン類、エステル類、炭化水素類の溶剤が好ましい。溶剤は1種または2種以上を混合して使用することもできる。
<(C)成分>
本発明の(C)成分である光増感剤とは、(B)成分と組み合わせることで、組成物の光に対する活性を増大させる化合物であればよく、エネルギー移動、電子移動、プロトン移動等、種々の増感機構の種別は問わない。本発明に(C)成分を含有させることで際だった硬化性が得られることから好ましい。一般的には一般式(5)〜(8)で表される化合物、光ラジカル重合開始剤、芳香族炭化水素、ニトロ化合物、色素に大別されるが、これらの中でも特に(B)成分と相性がよく硬化性に優れる一般式(5)〜(8)で表される化合物、ラジカル重合開始剤、芳香族炭化水素、色素が好ましい。具体的には、本発明の一液硬化性組成物は、(C)成分が、一般式(5)〜(8)で表される化合物からなる群から選択される化合物;ベンジルケタール系光ラジカル重合開始剤、α−ヒドロキシアセトフェノン系光ラジカル重合開始剤、ベンゾイン系光ラジカル重合開始剤、アミノアセトフェノン系光開始剤、オキシムケトン系光ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光ラジカル重合開始剤、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アントラキノン系化合物、および一般式(9)からなる群から選択されるラジカル重合開始剤;ナフタレン誘導体、およびアントラセン誘導体からなる群から選択される芳香族炭化水素;ニトロ安息香酸およびニトロアニリンからなる群から選択されるニトロ化合物;またはリボフラビン、ローズベンガル、エオシン、エリシスロシン、メチレンブルー、およびニュー・メチレンブルーローズからなる群から選択される色素から選択されるのが好ましい。
一般式(5)で表される化合物としては、例えば9−フルオレノン、2−ヒドロキシ−9−フルオレノン、2−アミノ−9−フルオレノン等が挙げられる。
(式中、R17、R18は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルコキシ基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、イミド基、ニトリル基、アミド基、イミド基、シアノ基、スルホニル酸基、スルホニル基、ニトロ基、スルフィド基、チオール基、イソシアネート基を単独または複数を任意で組み合わせた基等を挙げられ、互いに同一であっても異なっていてもよい。a、bはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
一般式(6)で表される化合物としては、例えばアントロン、ジベンゾスベロンなどが挙げられる。
(式中、n=1〜12の整数を表し、R19、R20は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルコキシ基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、イミド基、ニトリル基、アミド基、イミド基、シアノ基、スルホニル酸基、スルホニル基、ニトロ基、スルフィド基、チオール基、イソシアネート基を単独または複数を任意で組み合わせた基等を挙げられ、互いに同一であっても異なっていてもよい。a、bはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
一般式(7)で表される化合物としてはフルオレン、2−ブロモフルオレン、9−ブロモフルオレン、9,9−ジメチルフルオレン、2−フルオロフルオレン、2−ヨードフルオレン、2−フルオレンアミン、9−フルオレノール、2,7−ジブロモフルオレン、9−アミノフルオレン塩酸塩、2,7−ジアミノフルオレン、9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]、2−フルオレンカルボキシアルデヒド、9−フルオレニルメタノール、2−アセチルフルオレン等が挙げられる。
(式中、R21、R22は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルコキシ基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、イミド基、ニトリル基、アミド基、イミド基、シアノ基、スルホニル酸基、スルホニル基、ニトロ基、スルフィド基、チオール基、イソシアネート基等を単独または複数を任意で組み合わせた基を示すが、この限りではない。a、bはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
一般式(8)で表される化合物としてはフルオランテン等が挙げられる。
(式中、R23〜R25は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルコキシ基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、イミド基、ニトリル基、アミド基、イミド基、シアノ基、スルホニル酸基、スルホニル基、ニトロ基、スルフィド基、チオール基、イソシアネート基等を単独または複数を任意で組み合わせた基を示すが、この限りではない。a〜cはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
本発明の(C)成分に用いられる光ラジカル重合開始剤としては、分子内開裂型光ラジカル重合開始剤と水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤に大別される。
(C)成分として用いられる分子内開裂型光ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線を照射することにより当該化合物が開裂してラジカルを発生するタイプのラジカル開始剤であり、その具体例として、ベンジルケタール系光ラジカル重合開始剤、α−ヒドロキシアセトフェノン系光ラジカル重合開始剤、ベンゾイン系光ラジカル重合開始剤、アミノアセトフェノン系光開始剤、オキシムケトン系光ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光ラジカル重合開始剤、チタノセン系光ラジカル重合開始剤、チオ安息香酸S−フェニル重合開始剤およびそれらを高分子量化した誘導体が挙げられる。これらの分子内開列型ラジカル開始剤の中でも、(B)成分と相性がよく優れた硬化性を示すことから、これらのなかでもベンジルケタール系光ラジカル重合開始剤、α−ヒドロキシアセトフェノン系光ラジカル重合開始剤、ベンゾイン系光ラジカル重合開始剤、アミノアセトフェノン系光開始剤、オキシムケトン系光ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光ラジカル重合開始剤が好ましく、より好ましくは、α−ヒドロキシアセトフェノン系光ラジカル重合開始剤、ベンゾイン系光ラジカル重合開始剤、アミノアセトフェノン系光開始剤、オキシムケトン系光ラジカル重合開始剤が挙げられる。また、一液保存安定性が良好という観点では、アシルホスフィンオキシド系光ラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。
また、水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤としては、ベンゾフェノン系光ラジカル開始剤、チオキサントン系光ラジカル重合開始剤、アントラキノン系光開始剤、一般式(9)で表される化合物等が挙げられる。これらの中でも、LED照射による硬化促進性に優れることからベンゾフェノン系光ラジカル開始剤、チオキサントン系光ラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。
前記ベンジルケタール系光ラジカル重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等が挙げられる。
前記α−ヒドロキシアセトフェノン系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−(4−ドデシルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−(4−イソプロピルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−ベンゾイル−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−[4−(アクリロイルオキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、フェニル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシルケトンなどが挙げられ、光活性の観点で好ましくは、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−(4−ドデシルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−(4−イソプロピルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−ベンゾイル−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−[4−(アクリロイルオキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、フェニル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシルケトン等が挙げられる。
前記ベンゾイン系光ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。
前記アミノアセトフェノン系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。
前記オキシムケトン系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)等が挙げられる。
前記アシルホスフィンオキシド系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
前記ベンゾフェノン系光ラジカル開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、3−ベンゾイルビフェニル、4−(4−メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン、メチル2−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメトキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸メチルエステル、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体などが挙げられ、好ましくは、硬化性と保存安定製の両立の面からベンゾフェノンの芳香環に3級アミンが置換していない化合物があげられ、特に4−(4−メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノンが好ましく用いられる。
前記チオキサントン系光ラジカル重合開始剤としては、例えばチオキサントン、キサントン、2−クロロチオキサントン、4−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン等のチオキサントン誘導体などが挙げられる。
前記フルオレン系光ラジカル開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−9−フルオレノン等が挙げられる。また、アントロン光ラジカル開始剤としては、例えばアントロン、ジベンゾスベロン、2−アミノ−9−フルオレノンなどが挙げられる。
前記アントラキノン系光開始剤としては、例えばアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ヒドロキシアントラキノン、2−アミノアントラキノンなどが挙げられる。
前記一般式(9)で表される化合物としては、例えば1−フェニル−1,2−プロパンジオン、1,3−ジフェニルプロパントリオン、ベンジル、1,4−ビスベンジル、4,4’−ジメチルベンジル、4,4’−ジブロモベンジル、4,4’−ジフルオロベンジル、ベンゾイルギ酸、ベンゾイルギ酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル、4−ニトロベンゾイルギ酸メチル、4−メトキシベンゾイルギ酸メチル、4−メトキシベンゾイルギ酸エチル、4−n−ブチルベンゾイルギ酸エチル、4−t−ブチルベンゾイルギ酸エチル、3,4−ジメトキシベンゾイルギ酸エチル、4−イソプロピルベンゾイルギ酸エチル、4−ジメチルアミノベンゾイルギ酸エチル、3,4−ジメチルベンゾイルギ酸エチル、3−メチルベンゾイルギ酸エチル、4−メチルベンゾイルギ酸エチル、4−フェノキシベンゾイルギ酸エチル、4−チオメチルベンゾイルギ酸エチル、4−シアノベンゾイルギ酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、2−オキソ吉草酸メチル、2−オキソ吉草酸エチル、2−オキソグルタル酸ジメチル、2−オキソ−4−フェニル酪酸エチル等が挙げられるがこの限りではない。
(式中、R26、R27は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルコキシ基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、イミド基、ニトリル基、アミド基、イミド基、シアノ基、スルホニル酸基、スルホニル基、ニトロ基、スルフィド基、チオール基、イソシアネート基等を単独または複数を任意で組み合わせた基を示すが、この限りではない。aはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
本発明の(C)成分に用いられる芳香族炭化水素としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体等が挙げられる。
前記ナフタレン誘導体としては、例えば1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、1−フルオロナフタレン、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレン、1−ブロモナフタレン、2−ブロモナフタレン、1−ヨードナフタレン、2−ヨードナフタレン、1−ナフトール、2−ナフトール、1−メトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、1,4−ジシアノナフタレン、メチル3−ヒドロキシー2−ナフトエート等などが挙げられる。
前記アントラセン誘導体としては、例えばアントラセン、1,2−ベンズアントラセン、9,10−ジクロロアントラセン、9,10−ジブロモアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9−シアノアントラセン、9,10−ジシアノアントラセン、2,6,9,10−テトラシアノアントラセン等が挙げられる。
前記ニトロ化合物としては、ニトロ安息香酸およびニトロアニリン等が挙げられる。ニトロアニリンとしては、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン等が挙げられ、ニトロ安息香酸としては、2−ニトロ安息香酸、2−ニトロ安息香酸メチル、3−ニトロ安息香酸、3−ニトロ安息香酸メチル、4−ニトロ安息香酸、4−ニトロ安息香酸メチル等が挙げられる。
前記色素としては、リボフラビン、ローズベンガル、エオシン、エリシスロシン、メチレンブルー、またはニュー・メチレンブルーローズが挙げられ、中でも光活性が高いことからローズベンガルが用いられる。
本発明の一液硬化性組成物における(C)成分の添加量は、吸収波長及びモル吸光係数を参考にする必要があるが、本発明の一液硬化性組成物中の(B)成分1質量部に対して、(C)成分は0.001〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは、0.005〜5質量部である。(B)成分1質量部に対して、(C)成分は0.001質量部に満たないと、活性エネルギー線の照射後、加熱又は室温による短時間硬化が得られないおそれがあり、10質量部を上回ると、アウトガスが発生しやすい硬化物になってしまうおそれがある。
<(D)成分>
本発明の一液硬化性組成物における(D)成分は、分子内にチオール基を1以上有するチオール化合物であれば良い。具体的に例示すると、3−メトキシブチル3−メルカプトプロピオネート、2−エチルヘキシル3−メルカプトプロピオネート、トリデシル3−メルカプトプロピオネート、メチルチオグリコレート、2−エチルヘキシルチオグリコレート、1−ブタンチオール、1−ヘキサンチオール、1−ドデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、3−メルカプト2−ブタノール、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ベンゼンチオール、ベンジルメルカプタン、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリストールテトラキスチオプロピオネート、エチレングリコールビスチオグリコレート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリストールテトラキスチオグリコレート、ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、1,4−ブタンジチオール、1,5−ジメルカプト−3−トアペンタン、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、1,4−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,5−ナフタレンジチオール、1,3,5−トリメルカプトメチルベンゼン、4,4’−チオジベンゼンチオール、1,3,5−トリメルカプトメチル−2,4,6−トリメチルベンゼン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオナート)、ジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート、末端チオール基含有ポリエーテル、末端チオール基含有ポリチオエーテル、エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるチオール化合物、ポリチオール化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
前記(D)成分の添加により、重合初期におけるチイラン環の開環を促進することができることから、硬化を促進することができる。また、チイラン基とチオール基の付加反応により、チイラン基単独の連鎖的な重合の割合を減少させることから、硬化速度を抑制することができる。これらの作用の組み合わせにより、目的にあわせた任意の種類と配合量のチオール化合物の添加により硬化速度を調節することができる。また、チオール化合物は、塩基性不純物の極力少ないものを用いることで、一液保存安定性を向上させることができる。また分子内に3以上のチオール基を持つ化合物や、分子内に芳香環を有するチオール化合物を用いると、硬化物の耐熱性を向上させることができる。また二級チオール化合物を用いると、より一液保存安定性を向上させることができる。またこれらのチオール化合物の添加により、一液硬化性組成物の粘度、透過率、屈折率などの性状や、硬化物の透過率、屈折率、強靭性、柔軟性などの特性を調節することができる。
本発明の(D)成分の製品としては、例えばJERメートQX11、QX12、JERキュアQX30、QX40、QX60、QX900、カプキュアCP3−800(三菱化学株式会社製)、OTG、EGTG、TMTG、PETG、3−MPA、TMTP、PETP(淀化学株式会社製)、MPM、EHMP、NOMP、NBMP、STMP、EGMP−4、TEMPIC、TMMP、Lecad804、PEMP、PEMP−II−20P、DPMP(SC有機化学株式会社製)、チオコールLP−2、LP−3、ポリチオールQE−340M(東レファインケミカル株式会社製)、TSIC、TSIC−2、TS−G(四国化成工業株式会社製)、カレンズMTPE1、MTBD1、MTNR1、TPMB、TEMB(昭和電工株式会社製)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの化合物は、それぞれ単独で用いることも、また二種以上を混合して用いても良い。
本発明の一液硬化性組成物における(D)成分の配合量については、特に範囲を限定するものではないが、前記(A)成分の合計100質量部に対し0.01〜200質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜100質量部である。上記の範囲内で(D)成分を加えると、硬化速度および硬化物の強度のバランス、一液保存安定性などに優れた一液硬化性組成物を得ることができる。
<(E)成分>
本発明の一液硬化性組成物における(E)成分は、分子内に1つ以上のエポキシ基を有する化合物である。このような化合物は一般的にエポキシ樹脂と呼ばれるが、その具体例としてはビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるジグリシジルエーテル、及びその誘導体、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンから誘導されるジグリシジルエーテル、及びその誘導体等の所謂エピ−ビス型液状エポキシ樹脂、脂肪族・芳香族アルコールとエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエーテル、多塩基酸とエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエステル、及びその誘導体、水添ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の脂肪族環状エポキシ、及びその誘導体、5,5’−ジメチルヒダントイン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネート、イソブチレンから誘導される置換型エポキシ、トリアジン骨格含有エポキシ化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
市販されている(E)成分は、例えばエピコート828、1001、801、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000(三菱化学株式会社製)、エピクロン830、EXA−830LVP、EXA−850CRP、835LV、HP4032D、703、720、726、HP820(DIC株式会社製)、EP4100、EP4000、EP4080、EP4085、EP4088、EPU6、EPR4023、EPR1309、EP49−20(旭電化工業株式会社製)、デナコールEX614B、EX252、EX111、EX146、EX721、EX411、EX314、EX201、EX212(ナガセケムテックス株式会社製)、ブレンマーCP−15、CP−30、CP−50M,マープルーフG−1005S(日油株式会社製)、TEPIC、TEPIC−S、TEPIC−VL(日産化学工業株式会社製)、EG−200、PG−100(大阪ガスケミカル株式会社製)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは、それぞれ単独で用いることも、また二種以上を混合して用いても良い。
これらの(E)成分は、組成物全体の粘度の調節、作業性の向上、低価格化、屈折率の調節、反応性の調整等に用いられる。これら分子内にエポキシ基を有する化合物の配合量は特に制限されるものではないが、(D)成分を添加した場合は、そのチオール当量に対するエポキシ当量を考慮して配合比を調節することが望ましい。
<(F)成分>
さらに本発明には、(F)成分として、ラジカル重合性基を分子中に1つ以上有する化合物を添加してもよい。ラジカル重合性基とはビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基等であるが、単独での光ラジカル重合性に優れるという意味で(メタ)アクリロイル基を分子中に1つ以上有する化合物が望ましい。
例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2,2,2,−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H,−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3―プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエンルジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち、(A)成分との相溶という観点よりプロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートエチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。(F)成分の配合量は、特に制限されないが、本発明の(A)成分の合計量100質量部に対して1〜500質量部であることが好ましい。
(F)成分の添加により、光照射において速やかにこの成分を重合させることで組成物の流動性を調節したり、粘着性、仮固定性を発現させたり、接着剤を部材にあらかじめ事前に付着させ、後から硬化させる等の工程により使用することができる。
なお、チイラン樹脂とラジカル重合性基を有する化合物を併用して光硬化させる場合、従来チイラン基を重合させるためにカチオン開始剤が用いられるのが一般的であるが、この場合、組成物にウレタン結合部位を有する化合物が存在する場合、ウレタン部位がカチオン重合阻害剤として働くため、分子中にウレタン結合部位を有するアクリレート、所謂ウレタン(メタ)アクリレートが使用できないという問題があったが、本発明においては、チイランの重合は塩基触媒によって進行するためこの問題は発生せず、従来使用できなかったウレタン(メタ)アクリレートやイソシアヌル環を有する化合物であってもチイラン基の重合阻害の問題なく使用することができる。
本発明の一液硬化性組成物には、本発明の特性を損なわない範囲において、1分子中にチイラン基とエポキシ基の両方を持つ化合物を添加しても良い。このような化合物は、例えば、エポキシ化合物を原料としてエポキシ環中の酸素原子を硫黄原子に交換してエピスルフィド樹脂を合成するときに、エピスルフィド化試薬の使用量或いは反応条件を調整することによって得ることができる。また、各種精製方法で分離して得た部分エピスルフィド化物を全エピスルフィド化物と混合しても得ることができる。
さらに本発明には、本発明の特性を損なわない範囲で任意のアニオン重合を抑制する効果がある化合物を添加しても良い。これは組成物の貯蔵の間の安定性を増大させるために加えられる。例えば、室温で液状または固体の有機酸、無機酸、および分子中に酸性基を有するオリゴマー、ポリマー、ホウ酸エステル類、リン酸エステル類であり、また酸性基以外の官能基を持っていても良い。例えば、硫酸、酢酸、アジピン酸、酒石酸、フマル酸、バルビツール酸、ホウ酸、ピロガロール、フェノール樹脂、カルボン酸無水物等が挙げられるがこれらに限定されない。
ホウ酸エステル類は、室温で液状または固体のホウ酸エステルである。例えばトリメチルボレート、トリエチルボレート、トリ−n−プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、トリ−n−ブチルボレート、トリペンチルボレート、トリアリルボレート、トリヘキシルボレート、トリシクロヘキシルボレート、トリオクチルボレート、トリノニルボレート、トリデシルボレート、トリドデシルボレート、トリヘキサデシルボレート、トリオクタデシルボレート、トリス(2−エチルヘキシロキシ)ボラン、ビス(1,4,7,10−テトラオキサウンデシル)(1,4,7,10,13−ペンタオキサテトラデシル)(1,4,7−トリオキサウンデシル)ボラン、トリベンジルボレート、トリフェニルボレート、トリ−o−トリルボレート、トリ−m−トリルボレート、トリエタノールアミンボレート等が挙げられるがこれに限定されない。
リン酸エステル類としてはリン酸エチル、リン酸ブチル、リン酸プロピル、リン酸−2−エチルヘキシル、リン酸ジブチル、リン酸−ジ(2−エチルヘキシル)、リン酸オレイル、リン酸エチルジエチル等が挙げられるが、これに限定されない。
これら酸性物質(酸性基含有化合物、ホウ酸エステル、リン酸エステル)は、本発明の樹脂組成物のエネルギー線照射前の一液保存安定性を向上させる効果がある。これらの化合物は、それぞれ単独でも、2種以上を混合して使用しても良い。またこれらの化合物とエポキシ樹脂等を混合しマスターバッチ化したものを添加しても良い。このような一液保存安定性向上剤として市販されている製品としては例えば四国化成工業株式会社製キュアダクトL−07N等が挙げられるがこれに限定されるものではない。これら化合物の配合量については特に範囲を限定するものではない。
さらに本発明の一液硬化性組成物には、本発明の特性を損なわない範囲において顔料、染料などの着色剤、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム等の無機充填剤、銀等の導電性粒子、難燃剤、アクリルゴムやシリコンゴム等の有機充填剤、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂やビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA・ビスフェノールF共重合型フェノキシ樹脂等の汎用フェノキシ樹脂類、イソシアネート類、シアネートエステル類、ポリメタクリレート樹脂類、ポリアクリレート樹脂類、マレイミド樹脂類、ポリイミド樹脂類、ポリウレタン樹脂類、ポリエステル樹脂類、ポリビニルブチラール樹脂、SBS樹脂及びそのエポキシ樹脂変性体、SEBS樹脂及びその変性体などのポリマーや熱可塑性エラストマー、可塑剤、有機溶剤、酸化防止剤、消泡剤、カップリング剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤等の添加剤を適量配合しても良い。これらの添加により、より樹脂強度・接着強さ・難燃性・熱伝導性、作業性等に優れた一液硬化性組成物およびその硬化物が得られる。
本発明の樹脂組成物の硬化方法として、エネルギー線照射と加熱を同時に行うことによりさらに少ないエネルギー照射量、および短い時間で硬化物を得ることができる。またエネルギー線照射後に加熱を行うことよっても短時間で硬化物を得ることができる。この場合の活性エネルギー線としては、電子線、可視光線等が挙げられるが、特に制限されない。活性エネルギー線の照射量は0.1J/cm以上が好ましく、活性エネルギー線の波長は、150〜830nmが好ましい。加熱条件としては50〜200℃が好ましく、より好ましくは70〜150℃である。
本発明における活性エネルギー線を照射するための光源としては特に限定されないが、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザ、ブラックライトライプ、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、キセノンランプ、太陽光、LED光源、電子線照射装置等が挙げられる。これらの光源は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
LED光源は、短波長の活性エネルギー線を含まない長波長の活性エネルギー線のみを発し、小型で消費電力の少ないという観点で、照射装置として好ましく用いられる。また、本発明の一液硬化性組成物は、長波長の活性エネルギー線のみで硬化可能である為、LED照射による硬化に最適である。
また、本発明内の一液硬化性組成物において、活性エネルギー線照射後速やかに硬化することも、活性エネルギー線照射直後は硬化せず、その後短時間の室温または加熱化での放置により硬化することも可能であり、後者のような性質は、接着部材が光等の活性エネルギー線を透過しない場合でも、一液硬化性組成物に活性エネルギー線を照射した後塗布貼り合わせすることにより接着が可能である。
本発明の一液硬化性組成物を用いて接着する方法としては、本発明の一液硬化性組成物が、遅延硬化性を示すため、例えば、一方の基材に本発明の一液硬化性組成物を塗布した後に、活性エネルギー線を照射する工程、及び、他方の基材を貼り合わせた後に常温又は加熱下で硬化させる工程を有する方法を用いることができる。このような接着方法は、例えば、活性エネルギーを透過しない部材であっても、好適に用いることができる。更に、貼り合わせ後、硬化するまでに位置を合わせたり、加圧しながら硬化させたりすることができるため、寸法精度を向上させることができる。
なお、本発明において「硬化性」という表現を多用しているが、主に活性エネルギー線の照射後、加熱又は室温により短時間硬化であることを意味する。
本発明の一液硬化性組成物の硬化物は強靱で高い接着力を持つなど優れた特性を有し、接着、封止、注型、塗装、コーティング材、光学部品の成形等様々な用途に使用可能である。具体的な用途としては、自動車・輸送機分野では、自動車用のスイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク等の接着、封止、注型、成形、コーティング材等に使用が可能である。また、フラットパネルディスプレイでは、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、発光ダイオード表示装置、フィールドエミッションディスプレイの接着、封止、注型、成形、コーティング材等に使用が可能である。記録分野では、ビデオディスク、CD、DVD、MD、ピックアップレンズ、ハードディスク周辺(スピンドルモータ用部材、磁気ヘッドアクチュエータ用部材など)、ブルーレイディスク等の接着、封止、注型、成形、コーティング材等に使用が可能である。電子材料分野では、電子部品、電気回路、電気接点あるいは半導体素子等の封止材料、ダイボンド剤、導電性接着剤、異方性導電性接着剤、ビルドアップ基板を含む多層基板の層間接着剤、ソルダーレジスト等を挙げることができる。電池分野では、Li電池、マンガン電池、アルカリ電池、ニッケル系電池、燃料電池、シリコン系太陽電池、色素増感型太陽電池、有機太陽電池等の接着、封止、注型、成形、コーティング材等に使用が可能である。光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺、光コネクタ周辺の光ファイバー材料、光受動部品、光回路部品、光電子集積回路周辺の等の接着、封止、注型、成形、コーティング材等に使用が可能である。光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部、撮影レンズ、プロジェクションテレビの投射レンズ等の接着、封止、注型、成形、コーティング材等に使用が可能である。その他には、モーター、継電器等が挙げられる。
また、本発明の一液硬化性組成物は、液晶やタッチパネル等の画像表示装置において、ガラス等の保護部と画像表示部との間に隙間が設けられているが、この隙間を埋める用途で用いてもよい。
以下に実施例によって本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により制約されるものではない。また、下記の表中の配合割合は質量基準である。
<実施例1〜57及び比較例1〜8>
一液硬化性組成物を調製するために下記成分を準備した。
本発明の実施例および比較例に使用した材料は下記に示す市販の製品または試薬である。
<(A)成分>
・YL7007:(三菱化学株式会社製)水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂の100%エピスルフィド化品
・YL7000:(三菱化学株式会社製)ビスフェノールA型エポキシ樹脂の100%エピスルフィド化品
・エピスルフィド化合物A:(三菱化学株式会社製)水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂の80%エピスルフィド化品
・エピスルフィド化合物B:(三菱化学株式会社製)水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂の50%エピスルフィド化品
<(B)成分>
・PBG−SA1BU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン構造含有化合物とフェニルボレート化合物の塩
・PBG−SA1:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン構造含有化合物とフェニルボレート化合物の塩
・PBG−SA2:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン構造含有化合物とフェニルボレート化合物の塩
・TPP−MK:テトラフェニルホスホニウム・テトラ−p−トリルボレート(北興化学工業株式会社製)
・TPTP−MK:p−トリルトリフェニルホスホニウム テトラ−p−トリルボレート(北興化学工業株式会社製)
・TPPZ−K:ベンジルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(北興化学工業株式会社製)
・N3B:テトラブチルアンモニウム−ブチルトリ−1−ナフタレニルボラート(昭和電工社製)
・UCAT−5002:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン構造含有化合物とテトラフェニルボレートの塩(サンアプロ株式会社製)
・NaBPh:テトラフェニルボレートナトリウム塩(株式会社同仁化学研究所製試薬社製)
・NBuBPh:テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート(アルドリッチ社製試薬)
・DBN−K:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン−テトラフェニルボレート(北興化学工業株式会社製)
・EMZ−K:2−エチル−4−メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレート(北興化学工業株式会社製)
・P3B:テトラブチルアンモニウム−ブチルトリフェニルボラート(昭和電工社製)
<(B)成分の比較成分>
・DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(サンアプロ株式会社製)
・PK:ピリジントリフェニルボレート(北興化学工業株式会社製)
・NBC−101:N−(2−メチル−2−フェニルプロピオニルオキシ)−N−シクロヘキシルアミン(みどり化学株式会社製光塩基発生剤)
・光活性化窒素塩基化合物:一般式(10)で表される化合物
<(C)成分>
・9−フルオレノン(東京化成工業株式会社製試薬)
・KAYACURE DETX−S:2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬株式会社製)
・KAYACURE ITX:2−イソプロピルチオキサントン(日本化薬株式会社製)
・ベンゾフェノン(東京化成工業株式会社製試薬)
・4−メチルベンゾフェノン(東京化成工業株式会社製試薬)
・SPEEDCURE PBZ:4−フェニルベンゾフェノン(LAMBSON社製)
・SPEEDCURE BMS:4−(4−メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン(LAMBSON社製)
・フルオランテン(東京化成工業株式会社製試薬)
・DAROCUR MBF:ベンゾイルギ酸メチル(BASF社製)
・IRGACURE184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製)
・IRGACURE651:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(BASF社製)
・IRGACURE907:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(BASF社製)
・IRGACURE819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製)
・2−エチルアントラキノン(東京化成工業株式会社製試薬)
・ベンジル(東京化成工業株式会社製試薬)
<(D)成分>
・1−ドデカンチオール(東京化成工業株式会社製試薬)
・PEMP:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオナート)(アルドリッチ社製試薬)
・1,4−ベンゼンジメタンチオール(東京化成工業株式会社製試薬)
<(E)成分>
・EXA−835LV:ビスフェノール型エポキシ樹脂(DIC株式会社製)
・YX8000:水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製)
<(F)成分>
FA−321A:エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート(日立化成工業株式会社製)
<その他成分>
・γ−ブチロラクトン(和光純薬工業株式会社製試薬)
・KBM403:グリシジル基含有シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製)
・L07N:ホウ酸エステル化合物(四国化成工業株式会社製)
・R805:アルキルシランで表面処理した平均粒径14nmのフュームドシリカ(デグサ社製)
[実施例1、10の組成物の調製]
表1に示す質量割合の(B)成分に、(B)成分の5倍質量部のメチルエチルケトンを混合し、室温で攪拌し溶解させた後、表1に示す質量割合の(A)成分を混合し、室温で均一になるまで攪拌したのち、室温減圧下で攪拌し、メチルエチルトンを除去して(B)成分が(A)成分に溶解した均一な硬化性組成物を調製した。
[実施例11、12、31〜39、50の組成物の調製]
表1、3、4に示す質量割合の(B)成分に、(B)成分の5倍質量部のメチルエチルケトンを混合し、室温で攪拌し溶解させた後、表1に示す質量割合の(A)成分を混合し、室温で均一になるまで攪拌したのち、室温減圧下で攪拌し、メチルエチルトンを除去して(B)成分が(A)成分に溶解した均一な組成物を調製した後、他の成分を添加して室温で攪拌混合して硬化性組成物を調製した。
[実施例40の組成物の調製]
表1に示す質量割合の(A)(B)(C)成分を混合し、100℃に設定したオイルバスを用い遮光容器中で30分間攪拌し、各成分が均一に溶解した硬化性組成物を調製した。
[実施例2〜9、実施例13〜30、実施例41〜49および比較例1〜5の調製]
表1〜4に示す質量割合で、(B)成分と(C)成分をγ−ブチロラクトンに添加し室温で攪拌して溶解させた後、他の成分を添加して室温で攪拌混合して硬化性組成物を調製した。
<特性評価>
各種特性に関して次のようにして測定した。
<紫外線照射のみによる硬化性試験>
一液硬化性組成物0.01gをスライドガラス上に滴下し、カバーグラスを被せて一液硬化性組成物が薄膜としてガラスに挟まれた試験片を作成する。これを120℃に設定したホットプレートに試験片を載せ、遮光した暗所に放置し、30分おきに樹脂が硬化してガラス同士が接着して手で動かせなくなるまでの時間を測定した。3時間を超えても樹脂が未硬化のものは「未硬化」として表に記載した。結果を表1〜4に示す。
<紫外線照射後、加熱による硬化性試験>
一液硬化性組成物0.01gをスライドガラス上に滴下し、カバーグラスを被せて一液硬化性組成物が薄膜としてガラスに挟まれた試験片を作成する。これを浜松ホトニクス株式会社製スポット紫外線照射装置(使用ランプ:L8252)を用いて365nm照度100mW/cmの活性エネルギー線を30秒間照射(積算光量に換算した場合3J/cm)した後、直ちに120℃に設定したホットプレートに試験片を載せ、ガラス同士が接着して手で動かせなくなった時間を測定し、硬化時間とした。測定間隔として、1〜30秒までの間は1秒毎、30〜300秒までは10秒毎、5〜20分までは1分毎、20分以降は10分毎に測定し、3時間まで測定を行った。結果を表1〜4に示す。なお、実施例12のみ活性エネルギー線を60秒間照射(積算光量に換算した場合6J/cm)して同様の測定を行った。なお、本発明の一液硬化性組成物である実施例1〜40は、120℃3時間の加熱だけでは硬化は確認されなかったが、紫外線照射により硬化促進が生じ120℃での硬化が確認された。
<室温保存安定性確認試験>
各一液硬化性組成物を25℃室内で遮光容器中に30日保管した後、一液硬化性組成物がゲル化せず液体であったものを「◎」とし、硬化性組成物がゲル化していたものを「×」として、評価した。結果を表1〜4に示す。
表1の実施例1および10〜12から、本発明の(A)、(B)成分を含有する硬化性組成物は紫外線照射後、加熱を行うことで速やかに硬化することができ、かつ、室温で良好な1液保存安定性を有していることがわかる。また、実施例2〜9から、溶媒を使用しても問題無いことがわかる。また、実施例5〜11から、硬化条件(紫外線照射量、硬化温度)を一定にしたまま、(B)の添加量を調節することで、硬化性組成物の硬化時間を調節できることがわかる。
表1の比較例1〜3から、(A)成分のみの場合、および(B)成分のかわりに(B)成分に類似した構造を有するが本発明に示したボレート塩構造を持たない化合物を用いた場合、貯蔵安定性が著しく悪い、または光照射により硬化が速くなることがなく良好な硬化性を示さないことがわかる。比較例4から、本発明によらない光塩基発生剤であるN−(2−メチル−2−フェニルプロピオニルオキシ)−N−シクロヘキシルアミンを用いた場合、硬化性が悪いことがわかる。比較例5、6から、一般式(10)で表される光活性化窒素塩基化合物を用いた組成物は、硬化性は良好なことが確認できるものの、一液保存安定性は劣る結果であった。

表2の実施例13〜25から、任意の(B)成分に対し(C)成分を添加することで光活性を大幅に向上させることができ、硬化性を格段に速めることができることがわかる。表2の実施例14〜16から、硬化条件(紫外線照射量、硬化温度)を一定にしたまま、
(B)成分と(C)成分の添加量を調節することで、硬化性組成物の硬化時間を調節できることがわかる。比較例5から、本発明によらない光塩基発生剤であるN−(2−メチル−2−フェニルプロピオニルオキシ)−N−シクロヘキシルアミンを用いた場合、(C)成分を添加しても硬化性が悪いことがわかる。
表3の実施例26〜45から(B)成分と(C)成分の種類及び添加量を調節することで、一液硬化性組成物の硬化時間を調節できることがわかる。
表4の実施例46〜53から、任意の(A)成分が使用可能であることがわかる。実施例35〜57より、(D)成分の添加により硬化時間を調節できることがわかる。実施例41〜42から、(E)成分を添加できることがわかる。実施例56より、(F)成分を添加できることがわかる。実施例57より、アニオン重合禁止剤、カップリング剤、充填剤といったその他の配合成分を添加しても、活性エネルギー線を照射後、加熱により短時間硬化が可能であり、かつ、室温での良好な一液保存安定性を有していることがわかる。
<紫外線照射条件と硬化温度条件による硬化性確認試験>
実施例1、8、14の一液硬化性組成物を用い、紫外線積算光量と硬化温度を変えた場合の硬化時間を測定した。前述の[紫外線3J/cm照射後120℃硬化時間]と同様の測定方法で行い、紫外線の照射時間を変えて積算光量を表5に示した通りに変化させ、硬化時間の確認を行った。また、ホットプレートの温度を表5に示した温度に変化させた。なお、表5において硬化時間が0秒となっているものは、紫外線照射の終了と同時に樹脂が硬化したものである。
表5より、本発明の一液硬化性組成物が、紫外線の照射条件または硬化温度を変えることで、同じ一液硬化性組成物でありながら自由に硬化時間を調節できることがわかり、さらに、紫外線の照射条件によっては、その後の硬化時間を必要とせず、紫外線照射の終了と同時に硬化性組成物を硬化させることもできることがわかる。また、紫外線照射後特に加熱を行わず室温(23℃)に放置することでも硬化が可能であることがわかる。
<LED光源を用いた場合の硬化性確認試験>
実施例32、33、35〜37、50の一液硬化性組成物0.01gをスライドガラス上に滴下し、カバーグラスを被せて一液硬化性組成物が薄膜としてガラスに挟まれた試験片を作成する。これをオムロン株式会社製UV−LED照射機ZUV−C30H(ヘッドユニット:ZUV−H20MB)を用いて365nm照度200mW/cmの活性エネルギー線を30秒間照射(積算光量に換算した場合6J/cm)した後、直ちに120℃に設定したホットプレートに試験片を載せ、1秒毎にガラス同士が接着して手で動かせなくなった時間を測定し、硬化時間とした。
表6より、本発明の一液硬化性組成物が、一般的な高圧水銀灯から照射される活性エネルギー線のように短波長の活性エネルギー線を含まない長波長の活性エネルギー線を発し、小型で消費電力の少ないLED光源を照射装置として用いた場合であっても、紫外線の照射条件後速やかに硬化が可能であることがわかる。
<活性エネルギー線を透過しない部材の引張せん断接着強さ試験>
実施例1の一液硬化性組成物を、鉄(SPCC−SD、25×50×1.6mm)試験片の端部10mmに厚み40μmで塗布し、ウシオ電機株式会社製コンベア式紫外線照射装置(ランプ:UVL−4001−N)を用いて活性エネルギー線6J/cm2を照射した。照射直後、塗布面の一液硬化性組成物は液状であった。この鉄試験片2枚を貼り合わせピンチで固定し、指定温度で指定時間放置し硬化させ、万能引張試験器(インストロン)を用いて引張速度10mm/min.で引張せん断接着強さを測定した。120℃の恒温炉に30分放置して硬化させた場合は9.9MPa、80℃の恒温炉に60分放置して硬化させた場合は8.5MPa、25℃の室内に48時間放置して硬化させた場合は8.8MPaの引張剪断接着強さを示し、またいずれの硬化条件でも、接着面の破壊状態は凝集破壊であり部材への高い接着性を示した。これにより、本発明の一液硬化性組成物は接着部材が鉄のように光等の活性エネルギー線を透過しない場合でも、一液硬化性組成物に活性エネルギー線を照射した後、貼り合わせることで強固に接着が可能であり、また、高温または低温の短時間の加熱、あるいは光照射後に加熱を行わず室温に放置することでも硬化し高い接着性を示すことがわかる。
本発明は活性エネルギー線の照射後、加熱又は室温により短時間硬化が可能な一液硬化性組成物、およびその硬化方法と硬化物に関するもので、特にポッティング、モールディング、コーティング、接着剤、シール剤、及びフォトリソグラフィ、フォトプリント、各種レジスト材料等へ広く応用することができる。

Claims (10)

  1. 下記(A)及び(B)成分を含有することを特徴とする一液硬化性組成物。
    (A)成分:分子内に2以上のチイラン環を有する化合物
    (B)成分:下記一般式(1)で表されるアニオンを有する塩を含む光塩基発生剤(但し、4級窒素のβ位にケトン構造を有する構造のカチオンとアニオンの塩を除く)
    (式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の芳香族基、または置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 更に(C)成分として、増感剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の一液硬化性組成物。
  3. 前記(A)成分が、ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物のオキシラン環の酸素原子の全てまたは一部を硫黄原子に置換したチイラン環を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の一液硬化性組成物。
  4. 更に(D)成分として、分子内に1以上のチオール基を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の一液硬化性組成物。
  5. 前記(B)成分が、下記一般式(2)または一般式(3)で表される塩であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の一液硬化性組成物。
    (式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、イミド基、ニトリル基、アミド基、イミド基、シアノ基、スルホニル酸基、スルホニル基、ニトロ基、スルフィド基、チオール基、イソシアネート基を単独または複数を任意で組み合わせた基を示し、a、bはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。Zは第4級アンモニウムカチオン、アルカリ金属カチオン、ホスホニウムカチオンを表す。)
    (式中、R〜R11は、置換もしくは無置換の芳香族基を表し、R12は1〜20のアルキル基を表し、Zは第4級アンモニウムカチオン(但し、4級窒素のβ位にケトン構造を有する構造のカチオンを除く)、アルカリ金属カチオン、ホスホニウムカチオンを表す。)
  6. 前記Zの4級アンモニウムカチオンは、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、トリアザビシクロデセン、ヘキサヒドロメチルピリミドピリミジン、テトラn−ブチルアンモニウムのいずれかの構造を分子内に1以上有するカチオン(但し、4級窒素のβ位にケトン構造を有する構造のカチオンを除く)からなる群から選択され、前記Zのアルカリ金属カチオンはナトリウムカチオン、カリウムカチオン、リチウムカチオンからなる群から選択され、前記Zのホスホニウムカチオンは、下記一般式(4)で表される化合物であることを特徴とする請求項5に記載の一液硬化性組成物。
    (式中、R13〜R16は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の芳香族基、または置換基もしくは無置換の炭素数1〜20アルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
  7. 前記(C)成分が、一般式(5)〜(8)で表される化合物からなる群から選択される化合物;又は、ベンジルケタール系光ラジカル重合開始剤、α−ヒドロキシアセトフェノン系光ラジカル重合開始剤、ベンゾイン系光ラジカル重合開始剤、アミノアセトフェノン系光開始剤、オキシムケトン系光ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光ラジカル重合開始剤、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アントラキノン系化合物、一般式(9)からなる群から選択されるラジカル重合開始剤;又はニトロ安息香酸、およびニトロアニリンからなる群から選択されるニトロ化合物;又はナフタレン誘導体、アントラセン誘導体からなる群から選択される芳香族炭化水素;又は、リボフラビン、ローズベンガル、エオシン、エリシスロシン、メチレンブルー、またはニュー・メチレンブルーローズからなる群から選択される色素から選択されることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の一液硬化性組成物。
    (式中、R17、R18は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルコキシ基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、イミド基、ニトリル基、アミド基、イミド基、シアノ基、スルホニル酸基、スルホニル基、ニトロ基、スルフィド基、チオール基、イソシアネート基を単独または複数を任意で組み合わせた基を示し、a、bはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
    (式中、n=1〜12の整数を表し、R19、R20は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルコキシ基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、イミド基、ニトリル基、アミド基、イミド基、シアノ基、スルホニル酸基、スルホニル基、ニトロ基、スルフィド基、チオール基、イソシアネート基を単独または複数を任意で組み合わせた基を示し、a、bはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
    (式中、R21、R22は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルコキシ基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、イミド基、ニトリル基、アミド基、イミド基、シアノ基、スルホニル酸基、スルホニル基、ニトロ基、スルフィド基、チオール基、イソシアネート基を単独または複数を任意で組み合わせた基を示し、a、bはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
    (式中、R23〜R25は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルコキシ基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、イミド基、ニトリル基、アミド基、イミド基、シアノ基、スルホニル酸基、スルホニル基、ニトロ基、スルフィド基、チオール基、イソシアネート基を単独または複数を任意で組み合わせた基を示し、a〜cはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
    (式中、R26、R27は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルコキシ基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、イミド基、ニトリル基、アミド基、イミド基、シアノ基、スルホニル酸基、スルホニル基、ニトロ基、スルフィド基、チオール基、イソシアネート基を単独または複数を任意で組み合わせた基を示し、aはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
  8. 更に(E)成分として、分子内にエポキシ基を1つ以上有する化合物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の一液硬化性組成物。
  9. 更に(F)成分として、分子内にラジカル重合性基を1つ以上有する化合物を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の一液硬化性組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の一液硬化性組成物を波長150〜830nmの活性エネルギー線を照射後、室温または加熱環境下で該一液硬化性組成物を硬化させることを特徴とする硬化方法。
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