JPWO2014129403A1 - 接着剤組成物及び硬化方法ならびに接着剤組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光などの活性エネルギー線の照射により低い温度で速やかに硬化し、室温保存安定性に優れ、低金属腐食性であり、接着性に優れ、アウトガスが抑制された接着剤組成物およびその硬化方法、ならびに前記接着剤組成物の製造方法を提供する。【解決手段】下記の(A)〜(C)成分を含有することを特徴とする接着剤組成物。(A)成分:分子内に2以上のグリシジル基を有する化合物(B)成分:酸価が1.0mgKOH/g未満であり、分子内に2以上のチオール基を含むポリチオール(C)成分:下記一般式(1)で表されるアニオンを有する塩を含む光塩基発生剤(式中、R1〜R4は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の芳香族基、または置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
Description
本発明は、活性エネルギー線の照射によって低温加熱で速やかに硬化が可能である接着剤組成物及び硬化方法、ならびに前記接着剤組成物の製造方法に関する。
近年、ハードディスク装置は、記録・再生の速度が速く、記録容量が大きく、価格が安価であるので、デスクトップ型パソコン、ノート型パソコン、モバイル端末装置等の電子機器に多用されるようになっている。
ハードディスク装置は、磁気記録方式により情報を記録・読み込みをするものであり、構成としては、磁気記録媒体である磁気ディスクと、磁気ディスクを回転駆動させるスピンドルモータと、記録又は再生を行う磁気ヘッドと、磁気ヘッドを磁気ディスクに対して移動するアクチュエータアームと、アクチュエータアームを駆動し、位置決めを行うボイスコイルモータとから成り立っている。
ハードディスク装置の部材は、組立においてエポキシ樹脂系接着剤が多用されている。例えば、特許文献1には、磁気ヘッドのスライダと、前記スライダを支持する弾性支持部材とをエポキシ樹脂によって接合している旨が開示されている。特許文献2には、スライダとジンバルとをエポキシ樹脂で接着する旨が開示されている。更に特許文献3には、アクチュエータのコイルをエポキシ系接着剤で固定している旨が開示されている。特許文献4には、ヨークとマグネットとをエポキシ樹脂で接着しているボイスコイルモータについて開示されている。
このようにエポキシ樹脂系接着剤は、高い接着強度が得られ、耐久性に優れることから、ハードディスク装置の部材の組立において多用されているが、代表的な1液性加熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤は、硬化させる為に高温加熱を長時間する必要があるという問題があった。また、低温加熱で短時間で硬化するエポキシ樹脂系接着剤も検討されており、低温加熱及び短時間で硬化する技術として、特許文献5では、光照射と低温加熱による硬化方法を用いた光カチオン硬化型エポキシ樹脂系接着剤が提案されている。
しかしながら、特許文献5に開示された光カチオン硬化型エポキシ樹脂系接着剤は、光照射により光酸発生剤から強酸が発生するためコイル等の金属部材等に使用すると腐食を引き起こすという問題点や、被着体表面の湿気や僅かな塩基性汚れによる硬化不良が発生するという問題があり、更に室温の保存安定性において満足できるものではなかった。また、硬化させた後加熱するとアウトガスが発生しやすいという問題があった。
本発明の目的は、上述の問題点を解決すること、即ち光などの活性エネルギー線の照射により低温で速やかに硬化し、室温保存安定性に優れ、低金属腐食性であり、接着性に優れ、アウトガスが抑制された接着剤組成物およびその硬化方法、ならびに前記接着剤組成物の製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、特定の接着剤組成物により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨を次に説明する。
本発明の要旨を次に説明する。
下記の(A)〜(C)成分を含有することを特徴とする接着剤組成物。
(A)成分:分子内に2以上のグリシジル基を有する化合物
(B)成分:酸価が1.0mgKOH/g未満であり、分子内に2以上のチオール基を含むポリチオール
(C)成分:下記一般式(1)で表されるアニオンを有する塩を含む光塩基発生剤
(A)成分:分子内に2以上のグリシジル基を有する化合物
(B)成分:酸価が1.0mgKOH/g未満であり、分子内に2以上のチオール基を含むポリチオール
(C)成分:下記一般式(1)で表されるアニオンを有する塩を含む光塩基発生剤
(式中、R1〜R4は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の芳香族基、または置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
上記(A)〜(C)成分を、10〜100℃の遮光環境下で混合することを含む、接着剤組成物の製造方法。
上記(A)〜(C)成分を、10〜100℃の遮光環境下で混合することを含む、接着剤組成物の製造方法。
本発明の接着剤組成物は、光などの活性エネルギー線の照射により低温で速やかに硬化し、室温保存安定性に優れ、低金属腐食性であり、接着性に優れ、アウトガスが抑制されている。
以下本発明を詳細に説明する。
<(A)成分>
本発明の接着剤組成物における(A)成分である、分子内に2つ以上のグリシジル基を含む化合物は、一般にエポキシ樹脂と呼ばれるものであり、単独、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の接着剤組成物における(A)成分である、分子内に2つ以上のグリシジル基を含む化合物は、一般にエポキシ樹脂と呼ばれるものであり、単独、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
(A)成分の具体例としてはビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるジグリシジルエーテル、及びその誘導体、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンから誘導されるジグリシジルエーテル、及びその誘導体等の所謂エピ−ビス型液状エポキシ樹脂、脂肪族・芳香族アルコールとエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエーテル、多塩基酸とエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエステル、及びその誘導体、水添ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の脂肪族環状エポキシ、及びその誘導体、5,5’−ジメチルヒダントイン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネート、イソブチレンから誘導される置換型エポキシ、トリアジン骨格含有エポキシ化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらのうち、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル又はビスフェノールF型ジグリシジルエーテルを用いると価格および硬化性、硬化物の接着性、物理強度にバランスの良い組成物が得られる観点から好ましい。また多官能エポキシを用いると硬化性および硬化物の耐熱に優れた組成物が得られる点で好ましい。
ハードディスク部材用接着剤における好ましい(A)成分は、アウトガスが少ない硬化物が得られることから、分子量が300以上であるものが好ましい。更に(A)成分としては、ハードディスクに使用する部材へ悪影響が懸念されるハロゲン化合物又は錫化合物を含まないものが好ましい。
市販されているエポキシ樹脂製品としては、例えば三菱化学株式会社製のJER(旧エピコート)828、1001、801、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、DIC株式会社製のエピクロン830、EXA−830LVP、EXA−850CRP、835LV、HP4032D、703、720、726、HP820、N−660、N−680、N−695、N−655−EXP−S、N−665−EXP−S、N−685−EXP−S、N−740、N−775、N−865、旭電化工業株式会社製のEP4100、EP4000、EP4080、EP4085、EP4088、EPU6、EPR4023、EPR1309、EP49−20、ナガセケムテックス株式会社製デナコールEX614B、EX411、EX314、EX201、EX212、EX252、日油株式会社製ブレンマーCP−15、CP−30、CP−50M、マープルーフG−1005S、日産化学工業株式会社製TEPIC、TEPIC−S、TEPIC−VL等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは、それぞれ単独で用いることも、また二種以上を混合して用いても良い。
(A)成分のエポキシ化合物は、エポキシ当量が30〜30,000g/eqであることが好ましく、40〜10,000g/eqであることがより好ましく、50〜3,000g/eqであることがさらに好ましい。なお、エポキシ当量とは、1g当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数を意味し、JIS7236(2001年版)に準拠して測定することができる。
<(B)成分>
本発明の接着剤組成物における(B)成分は、分子内にチオール基を2以上有するポリチオールであり、好ましくは、硬化性の観点からチオール基を3以上有するポリチオールが好ましい。また、(B)成分は、金属腐食性が少ない接着剤組成物が得られるという観点から、酸価が1.0mgKOH/g未満である。好ましくは、酸価が0.7mgKOH/g未満であり、より好ましくは、0.5mgKOH/g未満である。なお、本発明における酸価とはポリチオール1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムmg数をいう。試験方法としては中和滴定法が挙げられる。
本発明の接着剤組成物における(B)成分は、分子内にチオール基を2以上有するポリチオールであり、好ましくは、硬化性の観点からチオール基を3以上有するポリチオールが好ましい。また、(B)成分は、金属腐食性が少ない接着剤組成物が得られるという観点から、酸価が1.0mgKOH/g未満である。好ましくは、酸価が0.7mgKOH/g未満であり、より好ましくは、0.5mgKOH/g未満である。なお、本発明における酸価とはポリチオール1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムmg数をいう。試験方法としては中和滴定法が挙げられる。
(B)成分の具体例としては、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート(トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート))、ペンタエリストールテトラキスチオプロピオネート、エチレングリコールビスチオグリコレート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリストールテトラキスチオグリコレート、ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、1,4−ブタンジチオール、1,5−ジメルカプト−3−トアペンタン、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、1,3,5−トリメルカプトメチルベンゼン、4,4’−チオジベンゼンチオール、1,3,5−トリメルカプトメチル−2,4,6−トリメチルベンゼン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート、末端チオール基含有ポリエーテル、末端チオール基含有ポリチオエーテル、エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるポリチオール、ポリチオール化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するポリチオール、イソシアヌル環構造を有するポリチオール等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明の(B)成分の市販品としては、例えばSC有機化学株式会社製TEMPIC、PEMP、PEMP−II−20P、四国化成工業株式会社製TSIC等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの化合物は、それぞれ単独で用いることも、また二種以上を混合して用いても良い。
本発明の接着剤組成物における(B)成分の配合量については、特に範囲を限定するものではないが、好ましくは(A)成分100質量部に対して、(B)成分が5〜300質量部であり、更に好ましくは、10〜200質量部であり、特に好ましくは、20〜150質量部である。上記の範囲内で(B)成分を加えると、より硬化速度および硬化物の強度や耐熱性のバランスに優れた組成物を得ることができる。また、組成物中の(A)成分のエポキシ当量に対し、チオール当量が、(エポキシ当量:チオール当量)=10:1〜10:90の範囲内、より好ましくは10:5〜10:20の範囲内で加えることができる。上記の範囲内で(B)成分を加えると、より硬化速度および硬化物の強度や耐熱性のバランスに優れた組成物を得ることができる。なお、チオール当量とは、1g当量のチオール基を含む樹脂のグラム数を意味し、ヨウ素滴定法にて測定することができる。
<(C)成分>
本発明の接着剤組成物における(C)成分は、一般式(1)で表されるアニオンを有する塩を含む光塩基発生剤である。例えば一般式(1)で表されるアニオンと任意のカチオンからなる塩を含む光塩基発生剤であり、活性エネルギー線の照射により塩基性を発生する化合物である。また、(C)成分により優れた光硬化性と貯蔵安定性を有し、金属腐食性が少ない接着剤組成物が得られる。
本発明の接着剤組成物における(C)成分は、一般式(1)で表されるアニオンを有する塩を含む光塩基発生剤である。例えば一般式(1)で表されるアニオンと任意のカチオンからなる塩を含む光塩基発生剤であり、活性エネルギー線の照射により塩基性を発生する化合物である。また、(C)成分により優れた光硬化性と貯蔵安定性を有し、金属腐食性が少ない接着剤組成物が得られる。
(式中、R1〜R4は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の芳香族基、または置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。前記置換基としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基(−OH)、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基(−COOH)、アルデヒド基(−CHO)、アミノ基(−NH2)、イミノ基(=NH)、アミド基(−CONRpRq)イミド基(−CONRpCORq)、シアノ基(−CN)、スルホン酸基(−SO3H)、スルホニル基(−SO2Rp)、ニトロ基(−NO2)、スルフィド基(−S−Rp)、チオール基(−SH)、イソシアネート基(−N=C=O)を単独または複数を任意で組み合わせた基等を挙げられる。この際、RpおよびRqは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表す。)
式(1)におけるハロゲン原子しては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられる。また、芳香族基としては、炭素数6〜20の芳香族基であり、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環から導かれるものである。
式(1)におけるハロゲン原子しては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられる。また、芳香族基としては、炭素数6〜20の芳香族基であり、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環から導かれるものである。
炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖または分岐状のどちらであってもよく、特に制限されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−イソプロピルブチル基、2−メチル−1−イソプロピル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基などが挙げられる。これらのうち、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−ヘキシル基、n−オクタデシル基がより好ましい。
置換基として有しうるアルキル基は、上述のアルキル基と同様である。
炭素数6〜20のアリール基としては、特に制限されないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アンスリル基、ピレニル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、ターフェニル基、フェナンスリル基などが挙げられる。これらのうち、フェニル基、ビフェニル基、フルオレニル基が好ましく、フェニル基、フルオレニル基がより好ましい。
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、直鎖または分岐状のどちらであってもよく、特に制限されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、1−イソプロピルプロポキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基、n−ヘプチルオキシ基、1,4−ジメチルペンチルオキシ基、3−エチルペンチルオキシ基、2−メチル−1−イソプロピルプロピルオキシ基、1−エチル−3−メチルブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3−メチル−1−イソプロピルブトキシ基、2−メチル−1−イソプロピルオキシ基、1−t−ブチル−2−メチルプロピルオキシ基、n−ノニルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、イソデシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、1−メチルデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基などが挙げられる。これらのうち、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐状のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基がより好ましい。
炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、特に制限されないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、イソボルニル基、トリシクロデシル基、デカヒドロナフチル基などが挙げられる。これらのうち、炭素数5〜15のシクロアルキル基が好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基がより好ましい。 RpおよびRqは、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表す。アルキル基またはアリール基を置換する置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基等が挙げられる。
エステル基(アルコキシカルボニル基)(−COORp)としては、例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基)、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
また、アミド基(アルキルアミノカルボニル基またはアリールアミノカルボニル基)(−CONRpRq)としては、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、n−プロピルアミノカルボニル基、n−ブチルアミノカルボニル基、sec−ブチルアミノカルボニル基、n−ペンチルアミノカルボニル基、n−ヘキシルアミノカルボニル基、n−ヘプチルアミノカルボニル基、n−オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジ−n−プロピルアミノカルボニル基、ジ−n−ブチルアミノカルボニル基、ジ−sec−ブチルアミノカルボニル基、ジ−n−ペンチルアミノカルボニル基、ジ−n−ヘキシルアミノカルボニル基、ジ−n−ヘプチルアミノカルボニル基、ジ−n−オクチルアミノカルボニル基メチルアミノカルボニル基などが挙げられる。
イミド基(アシルアルキルアミノカルボニル基)(−CONRpCORq)としては、アセチルメチルアミノカルボニル基、エチルカルボニルメチルアミノカルボニル基、プロピルカルボニルメチルアミノカルボニル基、ブチルカルボニルメチルアミノカルボニル基、ペンチルカルボニルメチルアミノカルボニル基、ヘキシルカルボニルメチルアミノカルボニル基、ベンゾイルメチルアミノカルボニル基等が挙げられる。
スルホニル基(アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基)(−SO2Rp)としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、フェニルスルホニル基等が挙げられる。
スルフィド基(アルキルチオ基またはアリールチオ基)(−S−Rp)としては、メチルチオ基、エチルチオ基、t−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、2−メチル−1−エチルチオ基等が挙げられる。
(C)成分は、より光硬化性に優れるという観点で一般式(2)または一般式(3)で表される化合物が好ましく用いられる。
(式中、R5〜R8は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基(−COOH)、アルデヒド基(−CHO)、アミノ基、イミノ基、アミド基(−CONRpRq)、イミド基(−CONRpCORq)、シアノ基(−CN)、スルホン酸基(−SO3H)、スルホニル基(−SO2Rp)、ニトロ基(−NO2)、スルフィド基(−S−Rp)、チオール基(−SH)、イソシアネート基(−N=C=O)を単独または複数を任意で組み合わせた基等を挙げられ、互いに同一であっても異なっていてもよい(ここで、RpおよびRqは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表す)。Z+は第4級アンモニウムカチオン、アルカリ金属カチオン、またはホスホニウムカチオンを表す。a〜dはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
(式中、R9〜R11は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の芳香族基、または置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基を表し、R12は炭素数1〜20のアルキル基を表す。前記置換基としては、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基(−COOH)、アルデヒド基(−CHO)、アミノ基(−NH2)、イミノ基(=NH)、アミド基(−CONRpRq)、イミド基(−CONRpCORq)、シアノ基(−CN)、スルホン酸基(−SO3H)、スルホニル基(−SO2Rp)、ニトロ基(−NO2)、スルフィド基(−S−Rp)、チオール基(−SH)、イソシアネート基(−N=C=O)を単独または複数を任意で組み合わせた基等が挙げられる(ここで、RpおよびRqは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表す)。Z+は第4級アンモニウムカチオン、アルカリ金属カチオン、またはホスホニウムカチオンを表す。)
また、一般式(3)において、R9〜R11は、置換または無置換の芳香族基を表し、R12は炭素数1〜20のアルキル基を表し、Z+は第4級アンモニウムカチオン、アルカリ金属カチオン、またはホスホニウムカチオンを表すことが好ましい。
また、一般式(3)において、R9〜R11は、置換または無置換の芳香族基を表し、R12は炭素数1〜20のアルキル基を表し、Z+は第4級アンモニウムカチオン、アルカリ金属カチオン、またはホスホニウムカチオンを表すことが好ましい。
上記式一般式(2)および(3)におけるR5〜R12の置換基については、上記一般式(1)の各置換基と同様のため、説明を省略する。
さらに、一般式(2)および(3)において、前記Z+の第4級アンモニウムカチオンは、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、トリアザビシクロデセン、ヘキサヒドロメチルピリミドピリミジン、テトラn−ブチルアンモニウム、および2−エチル−4−メチルイミダゾールのいずれかの構造を分子内に1以上有するカチオンからなる群から選択され、前記Z+のアルカリ金属カチオンはナトリウムカチオン、カリウムカチオン、およびリチウムカチオンからなる群から選択され、または前記Z+のホスホニウムカチオンは、下記一般式(4)で表される化合物である。
(式中、R13〜R16は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の芳香族基、または置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
式(4)中、芳香族基としては、炭素数6〜20の芳香族基であり、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環から導かれるものである。上記式(4)における置換基については、上記一般式(1)の各置換基と同様なため、説明を省略する。
式(4)中、芳香族基としては、炭素数6〜20の芳香族基であり、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環から導かれるものである。上記式(4)における置換基については、上記一般式(1)の各置換基と同様なため、説明を省略する。
また、Z+のホスホニウムカチオンは、ベンジルトリフェニルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、トリ−tert−ブチルホスホニウム、ジ−tert−ブチルメチルホスホニウム、または下記式(4)’で表されるカチオンであるのが好ましい。
(式中、R13〜R16は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基(−COOH)、アルデヒド基(−CHO)、アミノ基(−NH2)、イミノ基(=NH)、アミド基(−CONRpRq)、イミド基(−CONRpCORq)、シアノ基(−CN)、スルホン酸基(−SO3H)、スルホニル基(−SO2Rp)、ニトロ基(−NO2)、スルフィド基(−S−Rp)、チオール基(−SH)、イソシアネート基(−N=C=O)を単独または複数を任意で組み合わせた基等を挙げられ、互いに同一であっても異なっていてもよい(この際、RpおよびRqは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を示す。))。a〜dはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
本発明では、Z+が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、トリアザビシクロデセン、ヘキサヒドロメチルピリミドピリミジン、テトラn−ブチルアンモニウム、および2−エチル−4−メチルイミダゾールのいずれかの構造を分子内に1以上有する第4級アンモニウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンおよびリチウムカチオンからなる群から選択されるアルカリ金属カチオン、または上記一般式(4)で表されるホスホニウムカチオンであるのが好ましく、当該カチオンであると、光活性が高く、本発明の効果がより発揮される。
本発明では、Z+が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、トリアザビシクロデセン、ヘキサヒドロメチルピリミドピリミジン、テトラn−ブチルアンモニウム、および2−エチル−4−メチルイミダゾールのいずれかの構造を分子内に1以上有する第4級アンモニウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンおよびリチウムカチオンからなる群から選択されるアルカリ金属カチオン、または上記一般式(4)で表されるホスホニウムカチオンであるのが好ましく、当該カチオンであると、光活性が高く、本発明の効果がより発揮される。
本発明の接着剤組成物における(C)成分の具体的な化合物としてテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボレート、ベンジルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、p−トリルトリフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボレート、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフェニルボラート、ジ−tert−ブチルメチルホスホニウムテトラフェニルボラート、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボラート、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスホニウムカチオンを有する化合物;テトラフェニルボレートナトリウム塩、テトラフェニルボレートカリウム塩等のアルカリ金属カチオンを有する化合物;2−エチル−4−メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン−テトラフェニルボレート、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン−テトラフェニルボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルアンモニウム−ブチルトリフェニルボラート、テトラブチルアンモニウム−ブチルトリ−1−ナフタレニルボラート等のアンモニウムカチオンを有する化合物;等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
(C)成分の市販の製品としては、U−CAT5002、PBG−SA1、PBG−SA−2、PBG−SA−1Bu(サンアプロ株式会社製);DBN−K、EMZ−K、TPP−K、TPPZ−K、TPTP−MK、TPP−MK(北興化学工業株式会社製);P3B、BP3B、N3B、MN3B(昭和電工株式会社製)等が挙げられる。また、本発明の(C)成分の要件を満たした再公表特許W02009−122664に開示された化合物、J.Appl.Polym.Sci.,Vol.100,399(2006)、J.Am.Soc.Chem,Vol.310,8130(2008)に記載の方法などの、公知の方法を用いて合成することもできる。また、本発明において、(C)成分は1種または複数種を併用することも可能である。
本発明の接着剤組成物における(C)成分の配合量は、特に制限されないが、前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し0.001〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.01〜15質量部であり、さらに好ましくは0.1〜10質量部であり、特に好ましくは0.3〜5質量部である。上記の範囲内で(C)成分を加えると、硬化速度および硬化物の強度のバランス、貯蔵安定性などに優れた接着剤組成物を得ることができる。(C)成分の配合量が0.001質量部以上であれば本発明の接着剤組成物に有効な光硬化性を付与でき、また30質量部以下であれば前記(A)成分に溶解しやすくなる他、貯蔵安定性や諸物性に悪影響を与えにくい。
なお、本発明の接着剤組成物における(C)成分は、溶剤で希釈することで、(A)および(B)成分との相溶性を向上させることができる。溶剤としては、(C)成分を溶解するものであれば、特に限定されないが、具体的には、水、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類が挙げられる。アルコール類としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。エーテル類としては、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。炭化水素類としては、例えば、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン等が挙げられる。ハロゲン類としてはフロン−113、トリクロルエチレン、1,1,1−トリクロルエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン等が挙げられる。これらの中でも(C)成分との溶解性が良好であることからケトン類、エステル類、炭化水素類の溶剤が好ましい。溶剤は1種または2種以上を混合して使用することもできる。
<(D)成分>
本発明の接着剤組成物にさらに(D)成分として光増感剤を添加することができる。光増感剤とは、(C)成分と組み合わせることで、接着剤組成物の光に対する活性を増大させる化合物であればよく、エネルギー移動、電子移動、プロトン移動等、種々の増感機構の種別は問わない。特に(C)成分と相性がよく光硬化性に優れるという観点から、一般式(5)〜(8)で表される化合物、ラジカル重合開始剤、芳香族炭化水素、ニトロ化合物、色素が好ましい。
本発明の接着剤組成物にさらに(D)成分として光増感剤を添加することができる。光増感剤とは、(C)成分と組み合わせることで、接着剤組成物の光に対する活性を増大させる化合物であればよく、エネルギー移動、電子移動、プロトン移動等、種々の増感機構の種別は問わない。特に(C)成分と相性がよく光硬化性に優れるという観点から、一般式(5)〜(8)で表される化合物、ラジカル重合開始剤、芳香族炭化水素、ニトロ化合物、色素が好ましい。
具体的には、本発明の接着剤組成物は、(D)成分が、一般式(5)〜(8)で表される化合物からなる群から選択される化合物;ベンジルケタール系光ラジカル重合開始剤、α−ヒドロキシアセトフェノン系光ラジカル重合開始剤、ベンゾイン系光ラジカル重合開始剤、アミノアセトフェノン系光開始剤、オキシムケトン系光ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光ラジカル重合開始剤、および一般式(9)からなる群から選択されるラジカル重合開始剤;ナフタレン誘導体、およびアントラセン誘導体からなる群から選択される芳香族炭化水素;ニトロ安息香酸およびニトロアニリンからなる群から選択されるニトロ化合物;またはリボフラビン、ローズベンガル、エオシン、エリシスロシン、メチレンブルー、およびニュー・メチレンブルーローズからなる群から選択される色素から選択されるのが好ましい。
なお、一般式(5)〜(9)および一般式(i)〜(iii)に規定される各置換基の詳細については、上記の一般式(1)と同様なため省略する。
一般式(5)で表される化合物としては、例えば9−フルオレノン、2−ヒドロキシ−9−フルオレノン、2−アミノ−9−フルオレノン等が挙げられる。
(式中、R17、R18は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基(−COOH)、アルデヒド基(−CHO)、アミノ基(−NH2)、イミノ基(=NH)、アミド基(−CONRpRq)、イミド基(−CONRpCORq)、シアノ基(−CN)、スルホン酸基(−SO3H)、スルホニル基(−SO2Rp)、ニトロ基(−NO2)、スルフィド基(−S−Rp)、チオール基(−SH)、イソシアネート基(−N=C=O)を単独または複数を任意で組み合わせた基等を挙げられ、互いに同一であっても異なっていてもよい(ここで、RpおよびRqは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表す。)。a、bはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
一般式(5)において、R17およびR18は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、およびアミノ基からなる群から選択されるのが好ましく、水素原子、ヒドロキシ基、およびアミノ基から選択されることがより好ましい。
一般式(5)において、R17およびR18は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、およびアミノ基からなる群から選択されるのが好ましく、水素原子、ヒドロキシ基、およびアミノ基から選択されることがより好ましい。
一般式(6)で表される化合物としては、例えばアントロン、ジベンゾスベロンなどが挙げられる。
(式中、n=1〜12の整数を表し、R19、R20は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、アミド基(−CONRpRq)、イミド基(−CONRpCORq)、シアノ基、スルホン酸基(−SO3H)、スルホニル基(−SO2Rp)、ニトロ基、スルフィド基(−S−Rp)、チオール基、イソシアネート基を単独または複数を任意で組み合わせた基等を挙げられ、互いに同一であっても異なっていてもよい(ここで、RpおよびRqは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表す。)。a、bはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
一般式(6)において、R19およびR20は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、およびアミノ基からなる群から選択されるのが好ましく、水素原子、ヒドロキシ基、およびアミノ基から選択されることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。また、nは、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜3であり、さらに好ましくは1または2である。
一般式(6)において、R19およびR20は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、およびアミノ基からなる群から選択されるのが好ましく、水素原子、ヒドロキシ基、およびアミノ基から選択されることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。また、nは、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜3であり、さらに好ましくは1または2である。
一般式(7)で表される化合物としてはフルオレン、2−ブロモフルオレン、9−ブロモフルオレン、9,9−ジメチルフルオレン、2−フルオロフルオレン、2−ヨードフルオレン、2−フルオレンアミン、9−フルオレノール、2,7−ジブロモフルオレン、9−アミノフルオレン塩酸塩、2,7−ジアミノフルオレン、9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]、2−フルオレンカルボキシアルデヒド、9−フルオレニルメタノール、2−アセチルフルオレン等が挙げられる。
(式中、R21、R22は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、アミド基(−CONRpRq)、イミド基(−CONRpCORq)、シアノ基、スルホン酸基(−SO3H)、スルホニル基(−SO2Rp)、ニトロ基、スルフィド基(−S−Rp)、チオール基、イソシアネート基等を単独または複数を任意で組み合わせた基を示す(ここで、RpおよびRqは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表す。)が、この限りではない。a、bはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
一般式(7)において、R21およびR22は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、およびアミノ基からなる群から選択されるのが好ましく、水素原子、ヒドロキシ基、およびアミノ基から選択されることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
一般式(7)において、R21およびR22は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、およびアミノ基からなる群から選択されるのが好ましく、水素原子、ヒドロキシ基、およびアミノ基から選択されることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
一般式(8)で表される化合物としてはフルオランテン等が挙げられる。
(式中、R23〜R25は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、アミド基(−CONRpRq)、イミド基(−CONRpCORq)、シアノ基、スルホン酸基(−SO3H)、スルホニル基(−SO2Rp)、ニトロ基、スルフィド基(−S−Rp)、チオール基、イソシアネート基等を単独または複数を任意で組み合わせた基を示す(ここで、RpおよびRqは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表す。)が、この限りではない。aは0〜4の整数を表し、b、cはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。)
一般式(8)において、R23〜R25は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、およびアミノ基からなる群から選択されるのが好ましく、水素原子、ヒドロキシ基、およびアミノ基から選択されることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
一般式(8)において、R23〜R25は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、およびアミノ基からなる群から選択されるのが好ましく、水素原子、ヒドロキシ基、およびアミノ基から選択されることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
本発明の(D)成分に用いられる光ラジカル重合開始剤としては、分子内開裂型の光ラジカル重合開始剤、水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤などが挙げられる。(D)成分として用いられる分子内開裂型の光ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線を照射することにより当該化合物が開裂してラジカルを発生するタイプのラジカル開始剤であり、その具体例として、ベンジルケタール系光ラジカル重合開始剤、α−ヒドロキシアセトフェノン系光ラジカル重合開始剤、ベンゾイン系光ラジカル重合開始剤、アミノアセトフェノン系光開始剤、オキシムケトン系光ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光ラジカル重合開始剤、チタノセン系光ラジカル重合開始剤、チオ安息香酸S−フェニル重合開始剤およびそれらを高分子量化した誘導体が挙げられる。これらの分子内開裂型のラジカル開始剤の中でも、(C)成分と相性がよく優れた光硬化性を示すことから、ベンジルケタール系光ラジカル重合開始剤、α−ヒドロキシアセトフェノン系光ラジカル重合開始剤、ベンゾイン系光ラジカル重合開始剤、アミノアセトフェノン系光開始剤、オキシムケトン系光ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光ラジカル重合開始剤が好ましく、より好ましくは、α−ヒドロキシアセトフェノン系光ラジカル重合開始剤、ベンゾイン系光ラジカル重合開始剤、アミノアセトフェノン系光開始剤、オキシムケトン系光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
また、水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤としては、下記一般式(i)で表されるベンゾフェノン系光ラジカル開始剤、下記一般式(ii)で表されるチオキサントン系光ラジカル重合開始剤、下記一般式(iii)で表されるアントラキノン系光開始剤、一般式(9)で表される化合物等が挙げられる。
(式(i)〜(iii)中、YはOまたはSを表し、R26〜R31は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、アミド基(−CONRpRq)、イミド基(−CONRpCORq)、シアノ基、スルホン酸基(−SO3H)、スルホニル基(−SO2Rp)、ニトロ基、スルフィド基(−S−Rp)、チオール基、イソシアネート基等を単独または複数を任意で組み合わせた基を示す(ここで、RpおよびRqは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を示す。)。a、bはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。)
式(i)において、R26およびR27は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基、アミノ基、スルフィド基(−S−Rp)を単独または複数を任意で組み合わせた基であるのが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基、アミノ基、およびスルフィド基(−S−Rp)からなる群から選択されるのがより好ましく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アミノ基、およびスルフィド基(−S−Rp)からなる群から選択されるのがさらに好ましい。
式(i)において、R26およびR27は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基、アミノ基、スルフィド基(−S−Rp)を単独または複数を任意で組み合わせた基であるのが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基、アミノ基、およびスルフィド基(−S−Rp)からなる群から選択されるのがより好ましく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アミノ基、およびスルフィド基(−S−Rp)からなる群から選択されるのがさらに好ましい。
式(ii)において、R28およびR29は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基、アミノ基、スルフィド基(−S−Rp)を単独または複数を任意で組み合わせた基であるのが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基、アミノ基、およびスルフィド基(−S−Rp)からなる群から選択されるのがより好ましく、水素原子、ハロゲン原子、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、およびアミノ基からなる群から選択されるのがさらに好ましい。
式(iii)において、R30およびR31は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基、アミノ基、スルフィド基(−S−Rp)を単独または複数を任意で組み合わせた基であるのが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基、アミノ基、およびスルフィド基(−S−Rp)からなる群から選択されるのがより好ましく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、およびアミノ基からなる群から選択されるのがさらに好ましい。
ベンジルケタール系光ラジカル重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(ベンジルジメチルケタ−ル/2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)等が挙げられる。
α−ヒドロキシアセトフェノン系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−(4−ドデシルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−(4−イソプロピルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−ベンゾイル−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−[4−(アクリロイルオキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、フェニル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマーなどが挙げられ、光活性の観点で好ましくは、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−(4−ドデシルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−(4−イソプロピルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−ベンゾイル−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−[4−(アクリロイルオキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、フェニル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシルケトン等が挙げられる。
ベンゾイン系光ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。
アミノアセトフェノン系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。
オキシムケトン系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)等が挙げられる。
アシルホスフィンオキシド系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
ベンゾフェノン系光ラジカル開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、3−ベンゾイルビフェニル、4−(4−メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン、メチル2−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメトキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸メチルエステル、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)−プロパン−1−オンなどが挙げられ、好ましくは、光硬化性の観点で、ベンゾフェノンの芳香環に第三級アミンが置換していない化合物の方が好ましい。
チオキサントン系光ラジカル重合開始剤としては、例えばチオキサントン、キサントン、2−クロロチオキサントン、4−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン等のチオキサントン誘導体などが挙げられる。
フルオレン系光ラジカル開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−9−フルオレノン等が挙げられる。また、アントロン系光ラジカル開始剤としては、例えばアントロン、ジベンゾスベロン、2−アミノ−9−フルオレノンなどが挙げられる。
アントラキノン系光開始剤としては、例えばアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ヒドロキシアントラキノン、2−アミノアントラキノンなどが挙げられる。
一般式(9)で表される化合物としては、例えば1−フェニル−1,2−プロパンジオン、1,3−ジフェニルプロパントリオン、ベンジル、1,4−ビスベンジル、4,4’−ジメチルベンジル、4,4’−ジブロモベンジル、4,4’−ジフルオロベンジル、ベンゾイルギ酸、ベンゾイルギ酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル、4−ニトロベンゾイルギ酸メチル、4−メトキシベンゾイルギ酸メチル、4−メトキシベンゾイルギ酸エチル、4−n−ブチルベンゾイルギ酸エチル、4−t−ブチルベンゾイルギ酸エチル、3,4−ジメトキシベンゾイルギ酸エチル、4−イソプロピルベンゾイルギ酸エチル、4−ジメチルアミノベンゾイルギ酸エチル、3,4−ジメチルベンゾイルギ酸エチル、3−メチルベンゾイルギ酸エチル、4−メチルベンゾイルギ酸エチル、4−フェノキシベンゾイルギ酸エチル、4−チオメチルベンゾイルギ酸エチル、4−シアノベンゾイルギ酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、2−オキソ吉草酸メチル、2−オキソ吉草酸エチル、2−オキソグルタル酸ジメチル、2−オキソ−4−フェニル酪酸エチル等が挙げられるがこの限りではない。
(式中、R26、R27は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エステル基(−COORp)、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、アミド基(−CONRpRq)、イミド基(−CONRpCORq)、シアノ基、スルホン酸基(−SO3H)、スルホニル基(−SO2Rp)、ニトロ基、スルフィド基(−S−Rp)、チオール基、イソシアネート基等を単独または複数を任意で組み合わせた基を示す(ここで、RpおよびRqは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基または置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表す。)が、この限りではない。aはそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。)
一般式(9)において、R26およびR27は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基)およびスルフィド基(−S−Rp)からなる群から選択されるのが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、および炭素数1〜20のアルコキシ基から選択されることがより好ましい。
一般式(9)において、R26およびR27は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基)およびスルフィド基(−S−Rp)からなる群から選択されるのが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、および炭素数1〜20のアルコキシ基から選択されることがより好ましい。
本発明の(D)成分に用いられるニトロ化合物としては、ニトロ安息香酸およびニトロアニリン等が挙げられる。ニトロアニリンとしては、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン等が挙げられ、ニトロ安息香酸としては、2−ニトロ安息香酸、2−ニトロ安息香酸メチル、3−ニトロ安息香酸、3−ニトロ安息香酸メチル、4−ニトロ安息香酸、4−ニトロ安息香酸メチル等が挙げられる。
本発明の(D)成分に用いられる芳香族炭化水素としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体等が挙げられる。
ナフタレン誘導体としては、例えば1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、1−フルオロナフタレン、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレン、1−ブロモナフタレン、2−ブロモナフタレン、1−ヨードナフタレン、2−ヨードナフタレン、1−ナフトール、2−ナフトール、1−メトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、1,4−ジシアノナフタレン、メチル3−ヒドロキシ−2−ナフトエート等などが挙げられる。
アントラセン誘導体としては、例えばアントラセン、1,2−ベンズアントラセン、9,10−ジクロロアントラセン、9,10−ジブロモアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9−シアノアントラセン、9,10−ジシアノアントラセン、2,6,9,10−テトラシアノアントラセン等が挙げられる。
色素としては、リボフラビン、ローズベンガル、エオシン、エリシスロシン、メチレンブルー、またはニュー・メチレンブルーローズが挙げられ、中でも光活性が高いことからローズベンガルが用いられる。
本発明の接着剤組成物における(D)成分の添加量は、吸収波長及びモル吸光係数を参考にする必要があるが、本発明の接着剤組成物中の(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.001〜50質量部であり、より好ましくは0.01〜20質量部であり、さらに好ましくは0.015〜15質量部であり、特に好ましくは0.05〜10質量部である。(D)成分の添加量が(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.01質量部以上であれば、充分な光活性効果が得られうる。また、20質量部以下であれば、(C)成分の触媒作用を阻害しにくく、且つアウトガスが発生にくい硬化物が得られうる。
また、(C)成分1質量部に対して、(D)成分は0.001〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは、0.005〜5質量部であり、さらに好ましくは0.01〜5質量部であり、特に好ましくは0.1〜5質量部である。(C)成分1質量部に対して、(D)成分は0.001質量部以上であれば、十分な光活性効果が得られうる。また、10質量部以下であれば、アウトガスが発生しにくい硬化物が得られうる。
さらに本発明の接着剤組成物には、本発明の特性を損なわない範囲においてラジカル重合性基を分子中に1つ以上有する化合物、保存安定剤、顔料、染料などの着色剤、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム等の無機充填剤、銀等の導電性粒子、難燃剤、アクリルゴムやシリコンゴム等の有機充填剤、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂やビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA・ビスフェノールF共重合型フェノキシ樹脂等の汎用フェノキシ樹脂類、チイラン類、イソシアネート類、シアネートエステル類、ポリメタクリレート樹脂類、ポリアクリレート樹脂類、ポリイミド樹脂類、ポリウレタン樹脂類、ポリエステル樹脂類、ポリビニルブチラール樹脂、SBS樹脂及びそのエポキシ樹脂変性体、SEBS樹脂及びその変性体などのポリマーや熱可塑性エラストマー、可塑剤、有機溶剤、酸化防止剤、消泡剤、カップリング剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤等の添加剤を適量配合しても良い。これらの添加により、より樹脂強度・接着強さ・難燃性・熱伝導性、作業性等に優れた接着剤組成物およびその硬化物が得られる。
前記のラジカル重合性基を分子中に1つ以上有する化合物のラジカル重合性基とはビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基等であるが、単独での光ラジカル重合性に優れるという意味で(メタ)アクリロイル基を分子中に1つ以上有する化合物が望ましい。例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2,2,2,−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H,−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3―プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエンルジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、脂肪族系ウレタンアクリレート)等が挙げられる。これらのうち、(A)成分との相溶という観点よりプロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートエチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。配合量は、特に制限されないが、本発明の(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して0.1〜200質量部であることが好ましい。
ラジカル重合性基を分子中に1つ以上有する化合物の添加により、光照射において速やかにこの成分を重合させることで組成物の流動性を調節したり、粘着性、仮固定性を発現させたり、接着剤を部材にあらかじめ事前に付着させ、後から硬化させる等の工程により使用することができる。
保存安定剤とは、例えば、室温で液状または固体の有機酸、無機酸、および分子中に酸性基を含むオリゴマー、ポリマー、ホウ酸エステル類、リン酸エステル類であり、また酸性基以外の官能基を持っていても良い。例えば、硫酸、酢酸、アジピン酸、酒石酸、フマル酸、バルビツール酸、ホウ酸、ピロガロール、フェノール樹脂、カルボン酸無水物等が挙げられるがこれらに限定されない。
ホウ酸エステル類は、室温で液状または固体のホウ酸エステルである。例えばトリメチルボレート、トリエチルボレート、トリ−n−プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、トリ−n−ブチルボレート、トリペンチルボレート、トリアリルボレート、トリヘキシルボレート、トリシクロヘキシルボレート、トリオクチルボレート、トリノニルボレート、トリデシルボレート、トリドデシルボレート、トリヘキサデシルボレート、トリオクタデシルボレート、トリス(2−エチルヘキシロキシ)ボラン、ビス(1,4,7,10−テトラオキサウンデシル)(1,4,7,10,13−ペンタオキサテトラデシル)(1,4,7−トリオキサウンデシル)ボラン、トリベンジルボレート、トリフェニルボレート、トリ−o−トリルボレート、トリ−m−トリルボレート、2,4,6−トリメトキシボロキシン、2,4,6−トリエトキシボロキシン、2,4,6−トリブトキシボロキシン、トリエタノールアミンボレート等が挙げられるがこれに限定されない。
リン酸エステル類としてはリン酸エチル、リン酸ブチル、リン酸プロピル、リン酸−2−エチルヘキシル、リン酸ジブチル、リン酸−ジ(2−エチルヘキシル)、リン酸オレイル、リン酸エチルジエチル等が挙げられるが、これに限定されない。
これら酸性物質(酸性基含有化合物、ホウ酸エステル、リン酸エステル)は、本発明の接着剤組成物のエネルギー線照射前の貯蔵安定性を向上させる効果がある。これらの化合物は、それぞれ単独でも、2種以上を混合して使用しても良い。またこれらの化合物とエポキシ樹脂等を混合しマスターバッチ化したものを添加しても良い。このような貯蔵安定性向上剤として市販されている製品としては例えば四国化成工業株式会社製キュアダクトL−07N等が挙げられるがこれに限定されるものではない。これら化合物の配合量については特に範囲を限定するものではない。
本発明の接着剤組成物の硬化方法として、エネルギー線照射と加熱を同時に行うことにより硬化物を得ることができるが、活性エネルギー線を照射したのち、室温または加熱環境下で硬化させることによって硬化させることが好ましい。エネルギー線照射後に加熱を行うことによって短時間で硬化物を得ることができる。この場合の活性エネルギー線としては、電子線、可視光線等が挙げられるが、特に制限されない。活性エネルギー線の照射量は0.1J/cm2以上が好ましく、活性エネルギー線の波長は、150〜830nmが好ましい。加熱条件としては、室温〜200℃が好ましく、50〜200℃がより好ましく、さらに好ましくは、70〜150℃である。
よって、本発明によれば、本発明の接着剤組成物を、波長150〜830nmの活性エネルギー線を照射したのち、室温または加熱環境下で該組成物を硬化させる硬化方法も提供される。
また、本発明の接着剤組成物は、エネルギー照射後速やかに硬化することも、エネルギー照射直後は硬化せず、その後短時間の室温または加熱環境下での放置により硬化することも可能であり、後者のような性質は、接着部材が光等のエネルギーを透過しない場合でも、組成物にエネルギーを照射した後塗布貼り合わせすることにより接着が可能である。
本発明の接着剤組成物は、例えば、前記(A)〜(C)成分を、10〜100℃の遮光環境下で混合することを含む製造方法によって製造される。好ましくは、本発明の接着剤組成物は、前記(A)〜(C)成分を加え、10〜100℃の遮光環境下で、ミキサー、ロール、押出機等の各種混練機を用いて混合することにより、得ることができる。混合環境の温度は、好ましくは20〜80℃であり、特に好ましくは25〜60℃である。また、遮光されていない環境下で製造した場合、接着剤組成物の保存性が劣るおそれがある。
好ましくは、前記(A)〜(C)成分に、(D)成分として光増感剤をさらに加え、10〜100℃の遮光環境下で混合する。(D)成分を加えることで接着剤組成物の光に対する活性を増大させることができる。
本発明の接着剤組成物の具体的な用途としては、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク等の自動車分野;液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、発光ダイオード表示装置等のフラットパネルディスプレイ分野;ビデオディスク、CD、DVD、MD、ピックアップレンズ、VCMマグネット、スピンドルモーター、ハードディスク周辺部材;ブルーレイディスク等の記録分野;カメラモジュール;電子部品、電気回路、電気接点あるいは半導体素子等の封止材料、ダイボンド剤、導電性接着剤、異方性導電性接着剤、ビルドアップ基板を含む多層基板の層間接着剤等の電子材料分野;リチウムイオン電池、マンガン電池、アルカリ電池、ニッケル系電池、燃料電池、シリコン系太陽電池、色素増感型太陽電池、有機太陽電池等の電池分野;光通信システムでの光スイッチ周辺、光コネクタ周辺の光ファイバー材料、光受動部品、光回路部品、光電子集積回路周辺の等の光部品分野;建築分野;航空分野等が挙げられる。これらの中でも本発明は、特に光などの活性エネルギー線の照射により低い温度で速やかに硬化し、アウトガスの少ない硬化物が得られ、接着性に優れ、低金属腐食性であることから、好ましくはハードディスク周辺部材用接着用途に用いられる。なお、アウトガスの少ない硬化物であると、ハードディスクの性能に影響が少ないので好ましく用いられる。
なお、本出願は、2013年2月20日に出願された日本国特許出願第2013−30992号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。
以下に実施例によって本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により制約されるものではない。また、下記の表中の配合割合は質量基準である。
<実施例1〜18および比較例1〜5>
組成物を調製するために下記成分を準備した。
組成物を調製するために下記成分を準備した。
本発明の実施例および比較例に使用した材料は下記に示す市販の製品または試薬である。
<A成分>
a1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物
a2:ビスフェノールF型エポキシ樹脂
<B成分>
b1:ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、酸価0.3mgKOH/g(SC有機化学株式会社製)
b2:TSIC:トリス−(3−メルカプトプロピル)イソシアネート、酸価0.5mgKOH/g未満(四国化成工業株式会社製)
<B成分の比較成分>
b’1:ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、酸価1.7mgKOH/g(SC有機化学株式会社製)
<C成分>
c1:UCAT−5002:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン構造含有化合物とテトラフェニルボレートの塩(サンアプロ社製)
c2:テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート(アルドリッチ社製試薬)
c3:ベンジルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(北興化学工業社製)
c4:テトラブチルアンモニウム−ブチルトリフェニルボラート(昭和電工社製)
c5:PBG−SA1:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン構造含有化合物とボレート化合物の塩(サンアプロ社製)
<C成分の比較成分>
c’1:UCAT−506:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンとパラトルエンスルホン酸の塩(サンアプロ社製)
c’2:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(サンアプロ社製)
c’3:NBC−101:光塩基発生剤、ニトロベンジルシクロヘキサンカーバメート(みどり化学社製)
c’4:SP−170:スルホニウム系光カチオン開始剤
<D成分>
d1:9−フルオレノン(東京化成工業社製試薬)
d2:2−エチルアントラキノン(東京化成工業社製試薬)
d3:SPEEDCURE PBZ:4−メチルベンゾフェノン、3−ベンゾイルビフェニル(LAMBSON社製)
[実施例1〜18および比較例1〜5の組成物の調製]
表1〜3に示す重量割合で、(A)〜(D)成分を加え、40℃の遮光環境下で攪拌混合し、接着剤組成物を調製した。
a1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物
a2:ビスフェノールF型エポキシ樹脂
<B成分>
b1:ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、酸価0.3mgKOH/g(SC有機化学株式会社製)
b2:TSIC:トリス−(3−メルカプトプロピル)イソシアネート、酸価0.5mgKOH/g未満(四国化成工業株式会社製)
<B成分の比較成分>
b’1:ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、酸価1.7mgKOH/g(SC有機化学株式会社製)
<C成分>
c1:UCAT−5002:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン構造含有化合物とテトラフェニルボレートの塩(サンアプロ社製)
c2:テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート(アルドリッチ社製試薬)
c3:ベンジルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(北興化学工業社製)
c4:テトラブチルアンモニウム−ブチルトリフェニルボラート(昭和電工社製)
c5:PBG−SA1:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン構造含有化合物とボレート化合物の塩(サンアプロ社製)
<C成分の比較成分>
c’1:UCAT−506:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンとパラトルエンスルホン酸の塩(サンアプロ社製)
c’2:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(サンアプロ社製)
c’3:NBC−101:光塩基発生剤、ニトロベンジルシクロヘキサンカーバメート(みどり化学社製)
c’4:SP−170:スルホニウム系光カチオン開始剤
<D成分>
d1:9−フルオレノン(東京化成工業社製試薬)
d2:2−エチルアントラキノン(東京化成工業社製試薬)
d3:SPEEDCURE PBZ:4−メチルベンゾフェノン、3−ベンゾイルビフェニル(LAMBSON社製)
[実施例1〜18および比較例1〜5の組成物の調製]
表1〜3に示す重量割合で、(A)〜(D)成分を加え、40℃の遮光環境下で攪拌混合し、接着剤組成物を調製した。
[硬化性試験]
接着剤組成物0.01gをスライドガラス上に滴下し、カバーグラスを被せて組成物が薄膜としてガラスに挟まれた試験片を作成する。これを1回の通過における365nm紫外線積算光量を3J/cm2に設定したウシオ電機株式会社製コンベア式紫外線照射装置(ランプ:UVL−4001−N)を用いて、紫外線を照射した後、120℃に加温したホットプレート上での硬化時間を下記評価基準に基づき、評価し、その結果を表1〜3に示す。尚、硬化有無の基準は、試験片が接着して手で動かせなくなったことが確認された状態を指す。
接着剤組成物0.01gをスライドガラス上に滴下し、カバーグラスを被せて組成物が薄膜としてガラスに挟まれた試験片を作成する。これを1回の通過における365nm紫外線積算光量を3J/cm2に設定したウシオ電機株式会社製コンベア式紫外線照射装置(ランプ:UVL−4001−N)を用いて、紫外線を照射した後、120℃に加温したホットプレート上での硬化時間を下記評価基準に基づき、評価し、その結果を表1〜3に示す。尚、硬化有無の基準は、試験片が接着して手で動かせなくなったことが確認された状態を指す。
<評価基準>
◎:硬化時間が30秒未満であったもの、
○:硬化時間が30秒以上、60秒未満であったもの、
×:硬化時間が60秒以上であったもの。
◎:硬化時間が30秒未満であったもの、
○:硬化時間が30秒以上、60秒未満であったもの、
×:硬化時間が60秒以上であったもの。
[室温保存安定性]
各接着剤組成物3.0gを25℃室内で遮光容器中に20日間密閉保存し、下記基準に基づき評価し、その結果を表1〜3に示す。
各接着剤組成物3.0gを25℃室内で遮光容器中に20日間密閉保存し、下記基準に基づき評価し、その結果を表1〜3に示す。
<評価基準>
○:接着剤組成物の流動性が確認できた、
×:接着剤組成物がゲル化して流動しなくなっていた。
○:接着剤組成物の流動性が確認できた、
×:接着剤組成物がゲル化して流動しなくなっていた。
[金属腐食性試験]
各接着剤組成物1.0gと2mm×10mm×10mmの銅板とを準備した。また、各接着剤組成物の液面と銅板の距離が1mmとなるようにセットしたものを試験試料とした。次に、その試験試料を60℃×90%RH環境下に10日間投入する耐久試験を行った。
評価は、「耐久試験後の銅板」を「耐久試験前の銅板」と比較して、腐食発生の有無を目視で確認することにより下記基準に基づき行った。
各接着剤組成物1.0gと2mm×10mm×10mmの銅板とを準備した。また、各接着剤組成物の液面と銅板の距離が1mmとなるようにセットしたものを試験試料とした。次に、その試験試料を60℃×90%RH環境下に10日間投入する耐久試験を行った。
評価は、「耐久試験後の銅板」を「耐久試験前の銅板」と比較して、腐食発生の有無を目視で確認することにより下記基準に基づき行った。
<評価基準>
○:腐食していなかった、
×:腐食が確認された。
○:腐食していなかった、
×:腐食が確認された。
[接着強さ試験]
実施例1、13及び比較例1、3の組成物を、2枚の鉄試験片の端部10mmに薄く塗布し、活性エネルギー線3J/cm2を照射した。照射直後、塗布面の組成物は液状であった。速やかにもう一枚の鉄試験片の組成物塗布面を貼り合わせピンチで固定し、120℃恒温炉に10分間放置した後に、万能引張試験器を用いて引張せん断接着強さを測定した結果を表4に示す。
実施例1、13及び比較例1、3の組成物を、2枚の鉄試験片の端部10mmに薄く塗布し、活性エネルギー線3J/cm2を照射した。照射直後、塗布面の組成物は液状であった。速やかにもう一枚の鉄試験片の組成物塗布面を貼り合わせピンチで固定し、120℃恒温炉に10分間放置した後に、万能引張試験器を用いて引張せん断接着強さを測定した結果を表4に示す。
[アウトガス試験]
実施例1、13及び比較例1、3の組成物に対して、紫外線照射装置を用いて3J/cm2の紫外線積算光量を照射した後、120℃に加温したホットプレート上で10秒間置き、硬化させて試験試料を得た。次に各試験試料に対して85℃で3時間加熱したときに放出されたアウトガス量を、GC−MS装置を用いることにより測定し、下記基準に基づき評価し、その結果を表4に示す。
実施例1、13及び比較例1、3の組成物に対して、紫外線照射装置を用いて3J/cm2の紫外線積算光量を照射した後、120℃に加温したホットプレート上で10秒間置き、硬化させて試験試料を得た。次に各試験試料に対して85℃で3時間加熱したときに放出されたアウトガス量を、GC−MS装置を用いることにより測定し、下記基準に基づき評価し、その結果を表4に示す。
<評価基準>
○:500ppm未満のアウトガス量であった、
×:500ppm以上のアウトガス量であった。
○:500ppm未満のアウトガス量であった、
×:500ppm以上のアウトガス量であった。
本発明は、光などの活性エネルギー線の照射により低い温度で速やかに硬化し、室温保存安定性に優れ、低金属腐食性であり、接着性に優れ、アウトガスが抑制された接着剤組成物およびその硬化方法、ならびに前記接着剤組成物の製造方法に関するものであり、広く応用することができるものである。
Claims (9)
- 下記の(A)〜(C)成分を含有することを特徴とする接着剤組成物。
(A)成分:分子内に2以上のグリシジル基を有する化合物
(B)成分:酸価が1.0mgKOH/g未満であり、分子内に2以上のチオール基を含むポリチオール
(C)成分:下記一般式(1)で表されるアニオンを有する塩を含む光塩基発生剤
- (D)成分:光増感剤をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
- 前記(C)成分が下記一般式(2)または一般式(3)で表される塩を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の接着剤組成物。
- 前記Z+の第4級アンモニウムカチオンは、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、トリアザビシクロデセン、ヘキサヒドロメチルピリミドピリミジン、もしくはテトラn−ブチルアンモニウムのいずれかの構造を分子内に1以上有するカチオンからなる群から選択され、
前記Z+のアルカリ金属カチオンは、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、およびリチウムカチオンからなる群から選択され、
前記Z+のホスホニウムカチオンは、下記一般式(4)で表される化合物であることを特徴とする請求項3に記載の接着剤組成物。
- 前記(D)成分が、一般式(5)〜(8)で表される化合物からなる群から選択される化合物;ベンジルケタール系光ラジカル重合開始剤、α−ヒドロキシアセトフェノン系光ラジカル重合開始剤、ベンゾイン系光ラジカル重合開始剤、アミノアセトフェノン系光開始剤、オキシムケトン系光ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光ラジカル重合開始剤、および一般式(9)からなる群から選択されるラジカル重合開始剤;ナフタレン誘導体、およびアントラセン誘導体からなる群から選択される芳香族炭化水素;ニトロ安息香酸、およびニトロアニリンからなる群から選択されるニトロ化合物;またはリボフラビン、ローズベンガル、エオシン、エリシスロシン、メチレンブルー、およびニュー・メチレンブルーローズからなる群から選択される色素から選択されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- ハードディスク部材用接着剤用途に用いられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の接着剤組成物を、波長150〜830nmの活性エネルギー線を照射したのち、室温または加熱環境下で該組成物を硬化させることを特徴とする硬化方法。
- 下記の(A)〜(C)成分を、10〜100℃の遮光環境下で混合することを含む、接着剤組成物の製造方法。
(A)成分:分子内に2以上のグリシジル基を有する化合物
(B)成分:酸価が1.0mgKOH/g未満であり、分子内に2以上のチオール基を含むポリチオール
(C)成分:下記一般式(1)で表されるアニオンを有する塩を含む光塩基発生剤
- 前記(A)〜(C)成分に、(D)成分として光増感剤をさらに加え、10〜100℃の遮光環境下で混合することを含む、請求項8に記載の接着剤組成物の製造方法。
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---|---|
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