JP2007321120A - 硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
接着、封止、注型、成型、塗装、コーティング等様々な用途に使用が可能であり、光などの活性エネルギー線の照射により、低い温度で速やかに硬化可能な新規な硬化性組成物、およびその硬化方法と硬化物を提供することにある。
【解決手段】
(1)分子内にエポキシ基を2つ以上有する化合物
(2)分子内にチオール基を2つ以上有する化合物
(3)α−アミノアセトフェノン化合物
(4)活性エネルギー線開裂型ラジカル発生剤
上記(1)〜(4)を含有する組成物であって、前記(1)〜(4)の組成比が、成分(1)のエポキシ当量に対し、成分(2)をチオール当量比で0.5〜2.0の範囲内で配合されるとともに、成分(1)および成分(2)の合計100重量部に対し、成分(3)を1〜30重量部、成分(4)を1〜20重量部配合することを特徴する硬化性組成物とした。
【選択図】 なし

Description

本発明は光、電子線等の活性エネルギー線の照射により低い温度で速やかに硬化可能な新規な硬化性組成物、およびその硬化方法と硬化物に関するものである。
液状樹脂などの光硬化技術は、従来の熱硬化技術と比較して低温硬化、プロセスの短縮化、短時間硬化、微細加工性に優れる等の特徴を活かし、接着剤、シール剤、コーティング剤、レジスト剤等に広く用いられている。光硬化で主に用いられている硬化システムとしては、ラジカル硬化系とカチオン硬化系に大別される。ラジカル硬化系の場合、光ラジカル発生剤と(メタ)アクリレート樹脂が主成分であり、光照射後直ちに硬化することが特徴であるが、一般に接着力が低い、硬化収縮が大きい、耐熱性が悪い等の問題がある。一方、カチオン硬化系はジアリールヨードニウム塩やトリアリールスルホニウム塩等の光酸発生剤とカチオン重合性を有するエポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ビニルエーテル樹脂等からなり、光照射の際に光酸発生剤が酸を発生してカチオン重合性樹脂を硬化させる。カチオン硬化の場合、速硬化性、高い接着力、低い硬化収縮等の特徴を有するが、被着体表面の湿気や僅かな塩基性汚れによる硬化不良の発生や、強酸が系内に残存するため金属や無機材質の被着体を使用すると腐食を引き起こすという問題がある。
このようなカチオン硬化系の問題を解決する一つの手段として、光照射によって塩基性化合物を発生する光塩基発生剤によるアニオン硬化の研究が近年行われている。このような光塩基発生剤としては、例えば、カルバメート誘導体やオキシムエステル誘導体が一般的に知られており、これらの化合物は光照射によって1級または2級アミン類を発生し、エポキシ樹脂の硬化に利用されている(非特許文献1)。光により塩基触媒を発生させる技術はフォトレジスト技術に多く利用されており、既に技術的によく知られており、狭線幅レジストにおいては現像されたエッジの寸法安定性を求めるために、停止反応が少ないアニオン重合型の硬化形態が多く利用される(非特許文献2、特許文献1、2、3)。光発生された塩基性物質によりエポキシ樹脂を硬化させる手法において、その代表的な塩基性化合物にアミン類が挙げられ、アミン類は現在まで最も有用な光発生される塩基である。例えば、置換されたベンジルカルバメート誘導体は光照射により第一および第二アミン類を発生させ、エポキシ化合物の硬化反応を可能にする(非特許文献3、4、5)。一方で、第三アミン類を光化学的に発生させるための試みについても検討がなされている。テトラアルキルアンモニウム塩の光分解は光化学的に第三アミンを発生させる方法として提案されている(非特許文献6)。
欧州公開特許第599571号公報 欧州公開特許第555749号公報 特開平4―330444号公報 Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings,Inks & Paints,Ed.by G.Bradley,John Wiley and Sons Ltd.(1998、p479〜p545) Pure and Appl.Chem.,64,1239 (1992) J.Org.Chem.,55,5919 (1990) Polym.Mat.Sci.Eng.,64,55 (1991) Macromol.,28,365 (1995) Polym.Mat.Sci.Eng,.72,201 (1995)
また特定α−アミノケトン化合物とラジカルへの光分解開裂および該ケトン化合物を使用するオレフィン性不飽和モノマーおよびオリゴマーの光重合法は公知であり、特にラジカルおよびカチオン重合性成分を含むハイブリッド硬化系における光潜在性塩基の使用を開示している(特許文献4、5、6)、一般的なエポキシ樹脂の硬化剤と光ラジカル重合開始剤からなるハイブリッド系についても開示している(特許文献7)。さらにはカルボン酸アンモニウム塩(特許文献8)、α−アミノアセトフェノン誘導体(特許文献9)、芳香族系アミンイミド化合物(特許文献10)、アミンイミド化合物と一重項・三重項増感剤すなわち水素引き抜き型ラジカル発生剤との組み合わせ(特許文献11)などが挙げられている。効率よく第三アミンを発生させる化合物としてα−アミノアセトフェノン類があり、既化合物と水素引き抜き型ラジカル発生剤を組み合わせたエポキシ樹脂と多価チオール化合物類との付加硬化反応において光照射後により効率よく第三アミンが発生し、樹脂が硬化する系が報告されている(特許文献12)。
米国特許第4582864号公報 米国特許第4992547号公報 米国特許第5077402号公報 米国特許第4943516号公報 特開昭55−22669号公報 特開平11−71450号公報 国際公開特許WO2002/051905号公報 特開2003−26772号公報 特許第3250072号公報
このように光により塩基性化合物を発生させる技術は多くの報告例があり、特にエポキシ樹脂の硬化における開始系としての有用度は非常に高い。しかしこれまで報告されている光塩基発生系、特に第三アミンを発生させる系において、その発生効率はあまり高くなく、十分にアミン類を発生させるためには長時間の光照射が必要であるという欠点がある。そのために幾つかの手法が施されており、上述の特許文献8や9に記載されている発明では、発生させる第三アミンの発生効率は高いものの、発生された第三アミンの触媒活性能力が低く、エポキシ樹脂を硬化させるものではない。一方で特許文献10に記載されている系は、第三アミンを発生させることにより有用であると考えられるが、実際には完全硬化に至るまでの時間は非常に長く、エポキシ樹脂に十分な光硬化性を付与するには至っていない。
本発明の目的は、上述の問題点を解決すること、即ち接着、封止、注型、成型、塗装、コーティング等様々な用途に使用が可能であり、光などの活性エネルギー線の照射により低い温度で速やかに硬化可能な新規硬化性組成物、およびその硬化方法と硬化物を提供することにある。
本発明者等は、
(1)分子内にエポキシ基を2つ以上有する化合物
(2)分子内にチオール基を2つ以上有する化合物
(3)α−アミノアセトフェノン化合物
(4)活性エネルギー線開裂型ラジカル発生剤
上記(1)〜(4)を含有する組成物であって、前記(1)〜(4)の組成比が、成分(1)のエポキシ当量に対し、成分(2)をチオール当量比で0.5〜2.0の範囲内で配合されるとともに、成分(1)および成分(2)の合計100重量部に対し、成分(3)を1〜30重量部、成分(4)を1〜20重量部配合する硬化性組成物により前記課題を解決するに至った。
以下本発明を詳細に説明する。
(1)分子内にエポキシ基を2つ以上有する化合物:
成分(1)の具体例としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるジグリシジルエーテル、及びその誘導体、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンから誘導されるジグリシジルエーテル、及びその誘導体等の所謂エピ−ビス型液状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアネート型エポキシ樹脂、脂肪族・芳香族アルコールとエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエーテル、多塩基酸とエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエステル、及びその誘導体、水添(水素化)ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の脂肪族環状エポキシ、及びその誘導体、5,5’−ジメチルヒダントイン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネート、イソブチレンから誘導される置換型エポキシ等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。市販されているエポキシ樹脂製品としては例えばジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコート828、1001、801、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、大日本インキ工業株式会社製のエピクロン830、835LV、HP4032D、703、720、726、HP820、旭電化工業株式会社製のEP4100、EP4000、EP4080、EP4085、EP4088、EPU6、EPR4023、EPR1309、EP49−20、ナガセケムテックス株式会社製デナコールEX411、EX314、EX201、EX212、EX252、等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの化合物は、それぞれ単独で用いることも、また二種以上を混合して用いても良い。これらのうち、エピ−ビス型エポキシ樹脂を用いると価格および硬化性、硬化物の接着性、物理強度にバランスの良い硬化性組成物が得られる。また脂肪族、環状脂肪族エポキシ化合物を用いると硬化物の透明性、耐候性に優れた硬化性組成物が得られる。
(2)分子内にチオール基を2つ以上有する化合物:
成分(2)の具体例としては、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリストールテトラキスチオプロピオネート、エチレングリコールビスチオグリコレート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリストールテトラキスチオグリコレート、ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、1,4−ブタンジチオール、1,3,5−トリメルカプトメチルベンゼン、1,3,5−トリメルカプトメチル−2,4,6−トリメチルベンゼン、末端チオール基含有ポリエーテル、末端チオール基含有ポリチオエーテル、エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるチオール化合物、ポリチオール化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。市販されているチオール化合物の製品としては、例えばジャパンエポキシレジン株式会社製のエポメートQX11、QX12、エピキュアQX30、QX40、QX60、QX900、カプキュアCP3−800、淀化学株式会社製のOTG、EGTG、TMTG、PETG、3−MPA、TMTP、PETP、東レファインケミカル株式会社製チオコールLP−2、LP−3、ポリチオールQE−340M等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの化合物は、それぞれ単独で用いることも、また二種以上を混合して用いても良い。より好ましいチオール化合物は、貯蔵安定性の面からは塩基性不純物の極力少ないものである。また硬化物の耐熱性の面からは分子内に芳香環を含むチオール化合物がより好ましい。本発明の組成物における成分(2)チオール化合物の配合量については、特に範囲を限定されるものではないが、好ましくは前記成分(1)のエポキシ当量に対し、チオール当量比で0.5〜2.0の範囲内、より好ましくは0.8〜1.3の範囲内で配合することができる。上記の範囲内でチオール化合物を加えると、より硬化速度および硬化物の強度や耐熱性のバランスに優れた硬化性組成物を得ることができる。
(3)α−アミノアセトフェノン化合物:
成分(3)のα−アミノアセトフェノン化合物は、紫外線や可視光などの光照射によって分子構造が変化または分子内で開裂が起こることによって、速やかに1種類あるいはそれ以上の塩基性物質もしくは塩基性物質に類似する物質を生成し、この生成した塩基性物質が成分(1)のエポキシ樹脂と成分(2)の多価チオール化合物との反応における触媒として作用するものと考えられる。α−アミノアセトフェノン骨格を有する化合物は分子中にベンゾインエーテル結合を有しているため、光照射によって分子内で容易に開裂し、これが塩基性物質として作用する。α−アミノアセトフェノン骨格を有する化合物の具体例としては、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(イルガキュア369、チバスペシャリティケミカルズ社製商品名)や4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(イルガキュア907、チバスペシャリティケミカルズ社製商品名)などの市販の化合物またはその溶液を用いることができる。また、これらの化合物は複数種を併用することも可能である。
本発明の組成物における成分(3)のα−アミノアセトフェノン化合物の配合量については、特に範囲を限定するものではないが、好ましくは前記成分(1)と成分(2)の合計100重量部に対し1〜30重量部の範囲内で加えることが望ましい。上記の範囲内でα−アミノアセトフェノン化合物を加えると、硬化速度および硬化物の強度のバランスに優れた硬化性組成物を得ることができる。1重量部未満では本発明の硬化性組成物に有効な光硬化性を付与できず、また30重量部を超えると前記成分(1)や(2)に溶解しにくくなる他、諸物性に悪影響を与える可能性がある。
(4)活性エネルギー線開裂型ラジカル発生剤:
成分(4)であるエネルギー線開裂型ラジカル発生剤は、光などのエネルギー線を照射することにより当該化合物が開裂してラジカルを発生するタイプの光ラジカル発生剤である。その具体例として、ベンゾインエーテル誘導体、アセトフェノン誘導体等のアリールアルキルケトン類、オキシムケトン類、アシルホスフィンオキシド類、チオ安息香酸S−フェニル類、チタノセン類、およびそれらを高分子量化した誘導体が挙げられるがこれに限定されるものではない。市販されている開裂型ラジカル発生剤としては、1−(4−ドデシルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−(4−イソプロピルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−ベンゾイル−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、1−[4−(アクリロイルオキシエトキシ)−ベンゾイル]−1−ヒドロキシ−1−メチルエタン、ジフェニルケトン、フェニル−1−ヒドロキシ−シクロヘキシルケトン、ベンジルジメチルケタール、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピリル−フェニル)チタン、(η−イソプロピルベンゼン)−(η−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)−ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペントキシフェニルホスフィンオキシドまたはビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−ホスフィンオキシドが挙げられるがこれに限定されるものではない。
本発明の組成において、これら開裂型ラジカル発生剤を使用すると、光塩基開始剤の増感剤として知られていたベンゾフェノン類やチオキサントン類等の所謂水素引き抜き型の光ラジカル発生剤を使用した場合と比較して、格段に速い硬化速度を示し、エネルギー線照射後直ちに本発明の硬化性組成物を硬化することが可能となる。この硬化促進機構は明らかではないが、エネルギー線照射により、水素引き抜き型ラジカル発生剤と比較して開裂型ラジカル発生剤は寿命の長いラジカルが大量に発生することが考えられる。なお、上記硬化速度の向上は、組み合わる成分(3)のα−アミノアセトフェノン化合物の種類にも影響されるため、所望の性能を発現させるために成分(3)および成分(4)を任意に選択して使用することも可能である。また、これらの成分(4)の開裂型ラジカル発生剤は単独でも2種類以上を混合して用いても良い。本発明の組成物における成分(4)の配合量については特に範囲を限定されるものではないが、好ましくは前記成分(1)と成分(2)の合計100重量部に対し1〜20重量の範囲内で加えることが好ましい。上記の範囲内で開裂型ラジカル発生剤を加えると、より硬化前の可使時間と硬化速度、および硬化物の強度のバランスに優れた硬化性組成物を得ることができる。中でも高分子オリゴマー/ポリマー中に開裂型ラジカル発生剤の構造を導入した高分子量タイプのものは、硬化時及び硬化後のアウトガスが少ないため好ましい。
本発明では、前記(1)〜(4)を主成分とする組成物に、さらに酸性基含有化合物、ホウ酸エステル、リン酸エステルのうち一種以上を添加することが可能である。ここで用いられる酸性基含有化合物は、室温で液状または固体の有機酸、無機酸、および分子中に酸性基を含むオリゴマー、ポリマーであり、また酸性基以外の官能基を持っていても良い。例えば、硫酸、酢酸、アジピン酸、酒石酸、フマル酸、バルビツール酸、ホウ酸、ピロガロール、フェノール樹脂、カルボン酸無水物等が挙げられるがこれらに限定されない。これら酸性基含有化合物は、本発明の硬化性組成物の保存状態(硬化前)での貯蔵安定性をさらに向上させる効果がある。
本発明で用いられるホウ酸エステル類は、室温で液状または固体のホウ酸エステルである。例えばトリメチルボレート、トリエチルボレート、トリ−n−プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、トリ−n−ブチルボレート、トリペンチルボレート、トリアリルボレート、トリヘキシルボレート、トリシクロヘキシルボレート、トリオクチルボレート、トリノニルボレート、トリデシルボレート、トリドデシルボレート、トリヘキサデシルボレート、トリオクタデシルボレート、トリス(2−エチルヘキシロキシ)ボラン、ビス(1,4,7,10−テトラオキサウンデシル)(1,4,7,10,13−ペンタオキサテトラデシル)(1,4,7−トリオキサウンデシル)ボラン、トリベンジルボレート、トリフェニルボレート、トリ−o−トリルボレート、トリ−m−トリルボレート、トリエタノールアミンボレート等が挙げられるがこれに限定されるものではない。これらホウ酸エステルは硬化促進剤表面と反応し硬化促進剤表面の塩基性をブロックする役割を果たし組成物の保存状態での貯蔵安定性をさらに向上させる効果がある。
本発明で用いられるリン酸エステル類としてはリン酸エチル、リン酸ブチル、リン酸プロピル、リン酸−2−エチルヘキシル、リン酸ジブチル、リン酸−ジ(2−エチルヘキシル)、リン酸オレイル、リン酸エチルジエチル等が挙げられる。これらのリン酸エステル類も上述のホウ酸エステル類と同様の効果を有する。
これら酸性物質(酸性基含有化合物、ホウ酸エステル、リン酸エステル)は、本発明の硬化性組成物のエネルギー線照射前の貯蔵安定性を向上させる効果がある。これら酸性基含有化合物、ホウ酸エステル類およびリン酸エステル類は、それぞれ単独でも、2種以上を混合して使用しても良い。またこれら酸性物質とエポキシ樹脂等を混合しマスターバッチ化したものを添加しても良い。このような保存安定性向上剤として市販されている製品としては例えば四国化成工業株式会社製キュアダクトL−07N等が挙げられるがこれに限定されるものではない。これら酸性基含有物質、ホウ酸エステル類およびリン酸エステルの配合量については特に範囲を限定するものではないが、貯蔵安定性の向上と硬化性の低下にはバランスが存在する。
本発明の硬化組成物には、本発明の特性を損なわない範囲において分子内に1つのエポキシ基を含む化合物、および分子内に1つのチオール基を有する化合物を添加しても良い。これらは組成物全体の低粘度化や作業性の向上、反応性の調整等に用いられる。これらエポキシ化合物、チオール化合物を添加した場合はそれぞれのエポキシ当量、チオール当量を考慮して前記成分(1)のエポキシ化合物と前記成分(2)のチオール化合物の配合比を調節することが望ましい。
さらに本発明の硬化組成物には、本発明の特性を損なわない範囲において顔料、染料などの着色剤、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム等の無機充填剤、銀等の導電性粒子、難燃剤、アクリルゴムやシリコンゴム等の有機充填剤、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂やビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA・ビスフェノールF共重合型フェノキシ樹脂等の汎用フェノキシ樹脂類、ポリメタクリレート樹脂類、ポリアクリレート樹脂類、ポリイミド樹脂類、ポリウレタン樹脂類、ポリエステル樹脂類、ポリビニルブチラール樹脂、SBS樹脂及びそのエポキシ樹脂変性体、SEBS樹脂及びその変性体などのポリマーや熱可塑性エラストマー、可塑剤、有機溶剤、酸化防止剤、消泡剤、カップリング剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤等の添加剤を適量配合しても良い。これらの添加により、より樹脂強度・接着強さ・難燃性・熱伝導性、作業性等に優れた組成物およびその硬化物が得られる。本発明の組成物の硬化方法として、エネルギー線照射と加熱を同時に行うことによりさらに少ないエネルギー照射量、および短い時間で硬化物を得ることができる。またエネルギー線照射後に加熱を行うことよっても短時間で硬化物を得ることができる。本発明の組成物を硬化処理して得られる樹脂硬化物は強靱かつ透明性があり高い屈折率を持つなど優れた特性を有し、光学部品の成形や接着、封止、注型、塗装、コーティング材等様々な用途に使用が可能である。また本組成物は本発明内の組成において、エネルギー照射後直ちに硬化することも、エネルギー照射後直後は硬化せず、その後短時間の室温または加熱化での放置により硬化することも可能であり、後者のような性質は、また、DVDの接着剤に代表されるように、接着部材が光等のエネルギーを透過しない場合でも、組成物にエネルギーを照射した後塗布貼り合わせすることにより接着が可能である。
本発明の硬化性組成物は、上記成分(1)〜(4)の各成分を任意に混合撹拌することで容易に調製することができるが、成分(3)のα−アミノアセトフェノン化合物を最後に添加することが、保存安定性や硬化性を損なわない上でより好ましい。
本発明の硬化性組成物は、請求項1に記載する構成をとることで光などのエネルギー線の照射により容易に硬化する。特に成分(4)のエネルギー線開裂型ラジカル発生剤を使用することにより、水素引き抜き型ラジカル発生剤と同等またはそれ以上に低温で活性となるため、迅速なエネルギー線照射による硬化が実現できる。本発明の硬化性組成物にさらに酸性基含有化合物、ホウ酸エステル化合物、リン酸エステル化合物を添加すると組成物の保存安定性を大きく向上させることができる。また、成分(3)のα−アミノアセトフェノン化合物と成分(4)の開裂型ラジカル発生剤を任意に選択することにより、光などのエネルギー線の照射による重合硬化速度を制御することができる。この特性により、例えばエネルギー照射後直後は硬化せず、その後短時間の室温または加熱化での放置により硬化すること(遅延硬化)も可能である。
以下に実施例によって本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により制約されるものではない。また、下記の表中の配合割合は特に断りのない限り重量基準である。また表中の*は材料破壊を示す。本発明の実施例および比較例に使用した材料は市販の製品または試薬であり、下記の通りである。
・エピクロン835LV:大日本インキ工業株式会社製 ビスフェノール型エポキシ樹脂
・エピキュアQX30:ジャパンエポキシレジン株式会社製 3官能脂肪族ポリチオール
・YX8000:ジャパンエポキシレジン株式会社製 水添ビスフェノール型エポキシ樹脂
・イルガキュア369:チバスペシャリティーケミカル株式会社製(α−アミノアセトフェノン化合物)
・イルガキュア907:チバスペシャリティーケミカル株式会社製(α−アミノアセトフェノン化合物)
・イルガキュア184:チバスペシャリティーケミカル株式会社製(開裂型光ラジカル発生剤)
・イルガキュア651:チバスペシャリティーケミカル株式会社製(開裂型光ラジカル発生剤)・ダロキュア1173:チバスペシャリティーケミカル株式会社製(開裂型光ラジカル発生剤)
・ベンゾフェノン:東京化成工業株式会社試薬(水素引き抜き型光ラジカル発生剤)
・カンファーキノン:東京化成工業株式会社試薬(水素引き抜き型光ラジカル発生剤)
・チオキサントン:日本化薬株式会社製 カヤキュアDETX−S(水素引き抜き型光ラジカル発生剤)
(実施例1〜5および比較例1〜11)
下表1、2、3に示す通りの重量比で材料を混合攪拌し、実施例1〜5および比較例1〜11の各試料(組成物)を調製した。得られた各試料を下記項目について評価試験を行いその結果を併せて各表に示した。
・硬化温度の比較試験
硬化開始温度の観察はDSC(示差走査熱量計)を用いて行った。その代表例を以下に示す。アルミパンに各試料7.5mgを計量し、浜松ホトニクス社製スポット紫外線照射装置において、365nm照度:100mW/cmのエネルギー線を30秒間照射した後、直ちにセイコーインスツルメント社製DSC(DSC110)において窒素雰囲気下昇温速度10℃/min.で25〜280℃まで昇温測定した。得られたDSCチャートから硬化発熱の立ち上がり温度(DSC Onset)を求めた。
・25℃硬化性、60℃硬化性(エネルギー線照射後の各温度下での硬化時間)試験各試料0.1gをスライドガラスに滴下し、浜松ホトニクス社製スポット紫外線照射装置において、365nm照度:100mW/cmのエネルギー線を30秒間照射した後、25℃および100℃に放置し、樹脂全体が硬化し攪拌棒などで触れても流動しなくなるまでの時間を測定した。
・剪断接着強さの比較試験
ガラス(寸法:25×50×5mm)と鉄(SPCC−SD、25×50×2mm)に樹脂を塗布し、365nm照度:100mW/cmのエネルギー線を30秒間照射した後に100℃×15分加熱し、テストピースを作成した。その後、作成したテストピースは引っ張り試験器(インストロン)を用いて接着性の測定比較を行った。
Figure 2007321120
表1(実施例1〜5、比較例1〜4)から、開裂型光ラジカル発生剤を添加することで硬化性および硬化物の物性が向上していることが分かる。さらに成分(1)に対する成分(2)の添加量も規定範囲外になることで十分な硬化性を得られないことも分かる。
Figure 2007321120
表2(実施例1、比較例5〜7)では、成分(3)開裂型光ラジカル発生剤と水素引き抜き型光ラジカル発生剤とで比較を行った。この結果から、開裂型光ラジカル発生剤を添加した系は、未添加の系および水素引き抜き型光ラジカル発生剤を添加した系よりも硬化性および硬化物の物性が向上していることが分かる。
Figure 2007321120
表3(実施例1、比較例8〜11)では、成分(3)と成分(4)の添加量を変化させて試験を行った。この結果から、本発明に明記されている添加範囲外のものは十分に発明の効果を発揮していないことが分かる。
以上述べてきた本発明は活性エネルギー線照射により低い温度で速やかに硬化可能であり、接着、封止、注型、成型、塗装、コーティング等様々な用途に使用が可能である。また本組成物は本発明内の組成において、エネルギー照射後直ちに硬化することも、エネルギー照射後直後は硬化せず、その後短時間の室温または加熱化での放置により硬化することも可能でありこの性質を利用することで、エネルギー線の照射できない影部や深部の硬化性にも優れた接着、封止、注型、成型、塗装、コーティング等様々な用途に使用が可能である。

Claims (3)

  1. (1)分子内にエポキシ基を2つ以上有する化合物
    (2)分子内にチオール基を2つ以上有する化合物
    (3)α−アミノアセトフェノン化合物
    (4)活性エネルギー線開裂型ラジカル発生剤
    上記(1)〜(4)を含有する組成物であって、前記(1)〜(4)の組成比が、成分(1)のエポキシ当量に対し、成分(2)をチオール当量比で0.5〜2.0の範囲内で配合されるとともに、成分(1)および成分(2)の合計100重量部に対し、成分(3)を1〜30重量部、成分(4)を1〜20重量部配合することを特徴する硬化性組成物。
  2. 活性エネルギー線を照射して硬化させる請求項1に記載の硬化性組成物の硬化方法。
  3. 請求項1に記載の硬化物組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させた硬化物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009069562A1 (ja) * 2007-11-26 2009-06-04 Three Bond Co., Ltd. 樹脂組成物
JP2010174210A (ja) * 2009-02-02 2010-08-12 Asahi Kasei E-Materials Corp 光硬化型樹脂組成物及びその硬化物

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