JPWO2010110064A1 - ジルコニウムるつぼ - Google Patents

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Abstract

ガス成分を除く純度が3N以上であり、ガス成分である酸素含有量が500質量ppm以下であることを特徴とする分析用ジルコニウムるつぼ。高純度の材料を、迅速にかつ正確に測定することが要求されている最近の分析技術に鑑み、純度の高いるつぼを使用してるつぼからの不純物の混入を抑制すると共に、さらにスラッジ類、底質試料、土壌など、様々な形態の酸化物と金属とが混在する試料の分析において2段階の分離・分解工程を経ることなく、高純度ジルコニウムの耐久性を高め、ジルコニウムるつぼの使用回数を増加させることができる分析用ジルコニウムるつぼを提供することを課題とする。

Description

本発明は、スラッジ類、底質試料、土壌など、様々な形態の酸化物と金属とが混在する試料の分析においても、るつぼの使用回数を大きく向上させることができる分析用ジルコニウム坩堝(るつぼ)に関する。
最近、より高純度の材料を、迅速にかつ正確に測定することが要求されている。このような要求が増えるにしたがって、分析者の違いやその技量により測定結果に違いが出るという問題があり、信頼性確認のために再分析を行うということがしばしば行われていた。
分析用の試料は、一般にフラックスで試料を融解して作製する。フラックスによる融解は、通常炭酸塩(アルカリ)融解、水酸化アルカリ融解、過酸化ナトリウム融解、硫酸水素ナトリウム融解などの融解法などが使用される。
このようななかでも、過酸化ナトリウムは強力な酸化力を持っており、良好なフラックスである。この場合の、融解るつぼとして鉄又はニッケルるつぼが多く使用されるが、激しく侵されるということを勘案する必要がある。
この過酸化ナトリウム融解は、試料の性質によって混合の割合が異なるが、一般には試料量の5〜10倍量の過酸化ナトリウムが使用されている(非特許文献1参照)。また、加熱温度も試料によって、変える必要があり、全て経験によって決められる。
従来、ジルコニウムるつぼは、主に分析試料中に含まれる不純物の定量を行う際に使用され、より定量下限を低くするために、分析時の汚染を出来るだけ少なくする必要があり、るつぼから溶出する不純物量の低減に注目されてきた。
これまで、るつぼのブランクを差し引いて定量値を求めていたが、ブランクのばらつきは分析者の技量に大きく依存する。また、従来のジルコニウムるつぼは、純度99wt%(2N)レベルであるため、るつぼからの不純物が混入し、不純物混入により定量下限値が高く、最近の高純度試料の分析には不十分であった。
このような高純度材料に対応する分析手段の特許文献は少ないが、それらの中で参考となる資料を紹介すると、例えば試料を定性、定量分析するための試料の調整方法に関するもので、試料を金属箔に載せて金属箔とともに、加熱分解し、さらに溶液化するという技術がある(特許文献1参照)が、これは極めて特殊な手法であり、汎用できるものではなかった。
また、アルカリ融剤を用いて鉱石の化学分析を行うるつぼが、PtにPdを5〜90wt%添加したPt合金又はPd合金からなる化学分析用るつぼ(特許文献2参照)が開示されている。しかし、これはいずれも高価なるつぼ材料を使用することが前提となっており、実用的でないという問題があった。
さらに、ニッケルるつぼ中で、ロジウム−ルテニウム合金めっき皮膜を過酸化ナトリウム又は過酸化カリウムで加熱融解し、皮膜中のロジウム量を分析する方法が開示されている(特許文献3参照)。しかし、この文献では、るつぼの純度については、一切開示はない。したがって、従来レベルの純度(2Nレベル)のるつぼであることが強く推定される。そのため、不純物混入により定量下限値が高く、精度の高い分析は得られていない問題があった。
このようなことから、本発明者らは、ガス成分を除く純度3N以上で、かつ、ガス成分である炭素が100質量ppm以下としたジルコニウムるつぼを発明し(特許文献4参照)、試料をアルカリ溶融して処理する過程で、アルカリ融剤等の融解に対する耐久性に効果があることを示した。これは従来のジルコニウムるつぼの改善に大きく貢献した。この炭素含有量の低減化は有効な方法であったが、分析の対象が多様化し、スラッジ類、底質、土壌などを対象とするようになると、これだけでは解決することができない状況となった。
従来、高純度ジルコニウムるつぼは、主に分析試料中に含まれる不純物の定量を行う際に使用していた。これは、定量下限を低くするためには、るつぼからの不純物の溶出を抑える必要があり、高純度ジルコニウムは非常に適していたからである。
分析対象試料としては、従来は金属材料、酸化物材料であり、その構成成分として金属のみ(高純度Cu、高純度Coなど)又は酸化物のみ(Si、Al系酸化物など)、であったが、さらに、スラッジ類、底質、土壌などを対象とするようになると、ケイ酸やアルミナが主成分で、それに金属、有機物が混在することになる(非特許文献2参照)。
従来の分析の一般的な手順は、次の通りである。
(1)試料をジルコニウムるつぼに入れる。
(2)るつぼにアルカリ融剤等の融剤を加える。
(3)バーナー又はマッフル炉でるつぼを加熱し前記融剤及び試料を融解させる。
(4)試料をPTFE製等のビーカーに移す。
(5)酸等を添加する。
(6)ビーカーを加熱し、溶解する。
(7)メスフラスコに移す。
(8)水を加え、液量を所定の値にする。
(9)これをICP−AES等による測定を行う。
上記の材料の分析については、これまで次のような分解・溶融法を行ってきた。
1)金属材料:酸分解法
2)酸化物材料:アルカリ溶融法
3)金属+酸化物材料:酸分解+アルカリ溶融法
上記ICP−AESで測定する場合、酸分解法で分解して測定を行った方が、一般的に定量下限値も低くなり、また安定した測定も行えることが分かっている。そのため、全ての分析試料に対して酸分解法の適用が望ましいが、一部の酸化物は酸分解法でも溶けない場合がある。
このような背景から、酸化物に金属の成分が混合又は化合している材料については、酸分解法によって金属部分を溶かし、次に、これをろ過して酸化物を分離し、この酸化物をアルカリ溶融法で分解して分析してきた。この工程は、上記段落[0009]に記載する工程3)に相当するもので、分解と溶融という2工程からなり、非常に煩雑な作業であり、分析時間が12時間程度かかる場合もあった。
このため、分析時間を短縮するために既存の高純度ジルコニウムるつぼを使用して、金属を含む分析材料をアルカリ溶融することも行われるが、金属との反応が激しくなり、るつぼにすぐに穴が空いてしまうという問題が生じ、使用回数が限られ、適用は難しかった。
「溶解に用いられる試薬」、ぶんせき、入門講座、1979年10月発行、頁648〜655 村井幸男著「高純度ニッケル及びジルコニウムるつぼを用いるアルカリ融解」、環境と測定技術、Vol.34、No.12、頁53〜57
特開平10−38773号公報 特開平2−172540号公報 特開昭58−48854号公報 特願2007−213690号
高純度の材料を、迅速にかつ正確に測定することが要求されている最近の分析技術に鑑み、純度の高いるつぼを使用し、るつぼからの不純物の混入を抑制すると共に、さらにスラッジ類、底質試料、土壌など、様々な形態の酸化物と金属とが混在する試料の分析でも2段階の分離・分解工程を経ることなく、高純度ジルコニウムの耐久性を高め、ジルコニウムるつぼを十分に多くの回数使用可能な分析用ジルコニウムるつぼを提供することを課題とする。
上記の課題に鑑み、本発明は以下の発明を提供するものである。
1.ガス成分を除く純度が3N以上であり、ガス成分である酸素含有量が500質量ppm以下であることを特徴とする分析用ジルコニウムるつぼ
2.酸素含有量が200質量ppm以下であることを特徴とする上記1記載のジルコニウムるつぼ
3.酸素含有量が100質量ppm以下であることを特徴とする上記1記載のジルコニウムるつぼ
4.深絞りにより製造したるつぼであることを特徴とする上記1〜3のいずれか一項に記載のジルコニウムるつぼ
また、同時にジルコニウムに含まれるガス成分の炭素を低減するのも有効であり、特に100質量ppm以下、好ましくは50質量ppm以下、さらには10質量ppm以下とすることができる。また、るつぼ材料のジルコニウムの平均結晶粒径を500μm以下、好ましくは100μm以下、さらには10μm以下とすることも有効である。
本発明は、ガス成分を除く純度が3N以上であり、かつガス成分である酸素含有量が500質量ppm以下であるジルコニウムるつぼを使用することによって、スラッジ類、底質試料、土壌など、様々な形態の酸化物と金属とが混在する試料の分析において2段階の分離・分解工程を経ることなく、高純度ジルコニウムの耐久性を高め、ジルコニウムるつぼの使用回数を増加させることができるという優れた効果を有する。
また、同時にるつぼからの不純物の混入を抑制し、高精度の分析が可能となり、また作業時間の短縮化及び使用する試薬の量の軽減化となり、高純度の材料を迅速にかつ正確に測定することが要求されている最近の分析技術の要請に応えることができるという著しい効果を有する。
るつぼの腐蝕が進行し、るつぼ底部に開いた穴の様子を示す図である。 るつぼ底部に、ところどころ(10箇所程度)腐蝕が進行し、一部に穴が開いた様子を示す図である。
上記の通り、様々な形態の酸化物と金属成分とが共存する系のアルカリ溶融による分解作業において、Zrルツボの腐食の発生に対し、Zr中の酸素濃度の低減が明らかな効果を有することが分かった。特に、500ppmを境にZr腐食の発生が大きく異なり、特に1000ppmを超える酸素含有量のZrルツボでは1−2回の分析作業で腐食が進み、ルツボに穴が開いてしまう。
一方、500ppm以下では腐食による穴の発生なしで数回以上の分析作業を行うことが出来る。特に、200ppm以下では平均20回以上、さらに100ppm以下に低減したルツボでは40回以上分析作業に耐えることが分かった。ここでいう回数は、本発明の効果を見出した下記の分析手順に対するものであるが、同様の過酷な分解条件においては従来知られたルツボに対して相対的に同様の効果を奏すると推定できる。
この場合、酸素の存在がなぜジルコニウムるつぼの急速な腐食(穴の発生)に大きな原因となるかについては技術的に説明することが難しいのであるが、一般にアルカリ溶融を行うと、ジルコニウムるつぼ表面のジルコニウムが徐々に削れていくことが知られている。ルツボ中の酸素含有量が多い場合、ジルコニウムの密度は低下することから、内部で微小な空孔が発生していると考えられる。そこで、アルカリ溶融を続け、空孔に達した時、それを起点として、ジルコニウムるつぼの孔食が進んだものと考えられる。
従来は、このような局所的な孔食となって現われるジルコニウムるつぼの急速な腐食(穴の発生)が酸素による影響と想致されず、酸化物と金属成分とが共存する系のアルカリ溶融による分解作業では、止むを得ず使用することがあっても、不適合なるつぼという理解しかなかった。
また、ジルコニウムから酸素を除去することは、精製の精度を高める必要があり、製造工程の上ではコストがかかるという問題であるので、ジルコニウムるつぼから酸素量を規制する(減少させる)考え方は存在しなかった。しかしながら、ジルコニウムるつぼの使用回数を大幅に向上させることにより、るつぼのコストを十分に吸収できるほどの耐久性の向上があり、コスト低減の経済的効果があった。
(ルツボの製造工程)
次に、ルツボの製造工程について説明する。
ジルコニウムから酸素を低減する方法は、例えば出願人の発明である特願2000−302392(特開2002−105552号公報)記載の電子ビーム溶解法を使用して、低減させることができる。この特許文献の実施例では、酸素を120ppmまで低減させているが、さらにこの特許文献の技術を用いて、原料の段階で酸素又は酸化物の量を低減させる等の成分調整を行うか又は電子ビーム溶解を繰り返すことにより、100ppm以下に低減させることができる。
本発明で使用する酸素含有量を低減したZrを、不活性ガス雰囲気又は真空中で溶解してインゴットとした。得られたZrインゴットを圧延し、深絞りにより、直径3cm、高さ4cm、肉厚1mm、内容積20ccのルツボを製造した。
ジルコニウムるつぼの酸素含有量を低減した効果については、上記に述べたが、本願発明のようにZrインゴットの酸素含有量を低減することにより、加工特性が良くなり、インゴットを圧延し深絞りすることでルツボが製造できるようになった。
従来の酸素含有量が高いZrインゴットは、加工性が悪いため切削により、ルツボ形状に加工していた。この結果、ジルコニウムの無駄が生じ、るつぼの製造コストが非常に高く歩留が悪かったが、この点にも付加的にコスト低減の効果があった。
(分析手順)
次に、分析手順について説明する。
(1)試料0.5gを、段落[0021]記載のジルコニウムるつぼに入れる。
(2)るつぼにアルカリ融剤(Na)5gを加える。
(3)バーナー又はマッフル炉でるつぼを加熱し、前記融剤及び試料を融解させる。
(4)試料をPTFE製のビーカーに移し、水を50ml加える。
(5)塩酸を20ml添加する。
(6)ビーカーを加熱し、溶解する。
(7)メスフラスコに移す。
(8)水を加え、液量を250mlにする。
(9)これをICP−AESによる測定を行う。
以上の操作により、分析を行い、この一連の操作を繰返した。
高精度分析を可能とするためには、るつぼからのコンタミネーション(汚染)を低減することも有効である。例えば4N以上の高純度るつぼであれば確かに分析精度への問題は少ない。高純度Zrるつぼについては、先に特許出願(特願2006−146971号参照)を行っているので、これより高純度ジルコニウムるつぼを使用することも、有効である。
また、不純物が少ない(高純度の)Zrるつぼであっても、Cが多い場合は、同様に重量減少が大きくなる(上記特許文献4参照)。ジルコニウムるつぼの高純度化は当然望まれることではあるが、この炭素量の制限も重要である。この炭素量を制限することにより、3Nレベルのるつぼでも、分析精度を向上させ、さらにるつぼの耐用回数を増加させることができる。
ジルコニウムは、稠密六方晶(HCP)構造を備えているものであるが、特定の面に配向され易く、この結晶面によって溶出のされ方が大きく異なるので、これを抑制するために、結晶粒径を極力小さくして、溶出の偏りを少なくすることも可能である。したがって、本願発明においては、これらの技術を併用することもできる。
以下、実施例及び比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例のみに制限されるものではない。すなわち、本発明に含まれる他の態様または変形を包含するものである。
なお、本実施例・比較例は、非特許文献2に示されるような底質試料を対象とし、Fe、Cr、Ni、Mn、Cu、Alを定量分析した例である。
(実施例1)
上記の工程により、ガス成分を除く純度3Nであって酸素含有量80質量ppmのZrるつぼを15個用意し、1日に1回のペースで上記の分析を繰り返した。41回目にそのうち1個に穴が開き、次いで54回目に2個目、61回目に3個目に穴が開き使用不能となった。最終的に、平均90回まで使用可能であった。
穴発生の状況を図1〜図2に示す。これらの図に示すように、るつぼ全体が均一に腐蝕するのではなく、孔蝕が多く見られる。また、理解が容易となるよう、この結果を表1に示す。
Figure 2010110064
(実施例2)
ガス成分を除く純度3Nであって酸素含有180ppmのZrるつぼを15個用意し、1日に1回のペースで上記の分析を繰り返した。同じく、穴が開き使用不能となるまでの回数を調べたところ、平均75回まで使用可能であった。この結果を、同様に表1に示す。
(実施例3)
ガス成分を除く純度3Nであって酸素含有350ppmのZrるつぼを15個用意し、1日に1回のペースで上記の分析を繰り返した。同じく、穴が開き使用不能となるまでの回数を調べたところ、平均35回まで使用可能であった。この結果を、同様に表1に示す。
(実施例4)
ガス成分を除く純度3Nであって酸素含有450ppmのZrるつぼを15個用意し、1日に1回のペースで上記の分析を繰り返した。同じく、穴が開き使用不能となるまでの回数を調べたところ、平均20回まで使用可能であった。この結果を、同様に表1に示す。
(比較例1)
ガス成分を除く純度3Nであって酸素含有700ppmのZrるつぼを15個用意し、1日に1回のペースで上記の分析を繰り返した。同じく、穴が開き使用不能となるまでの回数を調べたところ、平均5回までしか使用できなかった。この結果を、同様に表1に示す。
(比較例2)
ガス成分を除く純度3Nであって酸素含有1800ppmのZrるつぼを15個用意し、1日に1回のペースで上記の分析を繰り返した。同じく、穴が開き使用不能となるまでの回数を調べたところ、平均1.5回までしか使用できなかった。この結果を、同様に表1に示す。
(比較例3)
ガス成分を除く純度3Nであって酸素含有2500ppmのZrるつぼを15個用意し、1日に1回のペースで上記の分析を繰り返した。同じく、穴が開き使用不能となるまでの回数を調べたところ、平均0.8回しか使用できなかった。
実施例、比較例ともに、先ずるつぼ内面に凹部が発生し、その凹部が拡大して貫通することにより穴となって、るつぼが使用不能となる。この凹部は、主に坩堝の底面にランダムに発生するが、分析試薬が常に触れる液面付近より下の側面にも発生する。
凹部が発生すると、その後、数回で穴が空くことが多い。
本発明は、ガス成分を除く純度が3N以上であり、かつガス成分である酸素含有量が500質量ppm以下であるジルコニウムるつぼを使用することによって、スラッジ類、底質試料、土壌など、様々な形態の酸化物と金属とが混在する試料の分析において2段階の分離・分解工程を経ることなく、高純度ジルコニウムの耐久性を高め、ジルコニウムるつぼの使用回数を増加させることができるという優れた効果を有する。
これによって、るつぼからの不純物の混入を抑制し、高純度の分析が可能となり、さらに作業時間の短縮化及び使用する試薬の量の軽減化となり、高純度の材料を迅速にかつ正確に測定するという最近の分析技術の要請に応えることができるので、分析用ジルコニウムるつぼとして有用である。
【0008】
、ルツボ形状に加工していた。この結果、ジルコニウムの無駄が生じ、るつぼの製造コストが非常に高く歩留が悪かったが、この点にも付加的にコスト低減の効果があった。
[0024]
(分析手順)
次に、分析手順について説明する。
(1)試料0.5gを、段落[0022]記載のジルコニウムるつぼに入れる。
(2)るつぼにアルカリ融剤(Na)5gを加える。
(3)バーナー又はマッフル炉でるつぼを加熱し、前記融剤及び試料を融解させる。
(4)試料をPTFE製のビーカーに移し、水を50ml加える。
(5)塩酸を20ml添加する。
(6)ビーカーを加熱し、溶解する。
(7)メスフラスコに移す。
(8)水を加え、液量を250mlにする。
(9)これをICP−AESによる測定を行う。
以上の操作により、分析を行い、この一連の操作を繰返した。
[0025]
高精度分析を可能とするためには、るつぼからのコンタミネーション(汚染)を低減することも有効である。例えば4N以上の高純度るつぼであれば確かに分析精度への問題は少ない。高純度Zrるつぼについては、先に特許出願(特願2006−146971号参照)を行っているので、これより高純度ジルコニウムるつぼを使用することも、有効である。
[0026]
また、不純物が少ない(高純度の)Zrるつぼであっても、Cが多い場合は、同様に重量減少が大きくなる(上記特許文献4参照)。ジルコニウムるつぼの高純度化は当然望まれることではあるが、この炭素量の制限も重要である。この炭素量を制限することにより、3Nレベルのるつぼでも、分析精度を向上させ、さらにるつぼの耐用回数を増加させることができる。
ジルコニウムは、稠密六方晶(HCP)構造を備えているものであるが、
【0009】
特定の面に配向され易く、この結晶面によって溶出のされ方が大きく異なるので、これを抑制するために、結晶粒径を極力小さくして、溶出の偏りを少なくすることも可能である。したがって、本願発明においては、これらの技術を併用することもできる。
実施例
[0027]
以下、実施例及び比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例のみに制限されるものではない。すなわち、本発明に含まれる他の態様または変形を包含するものである。
なお、本実施例・比較例は、非特許文献2に示されるような底質試料を対象とし、Fe、Cr、Ni、Mn、Cu、Alを定量分析した例である。
[0028]
(実施例1)
上記の工程により、ガス成分を除く純度3Nであって酸素含有量80質量ppmのZrるつぼを15個用意し、1日に1回のペースで上記の分析を繰り返した。41回目にそのうち1個に穴が開き、次いで54回目に2個目、61回目に3個目に穴が開き使用不能となった。最終的に、平均110回まで使用可能であった。
穴発生の状況を図1〜図2に示す。これらの図に示すように、るつぼ全体が均一に腐蝕するのではなく、孔蝕が多く見られる。また、理解が容易となるよう、この結果を表1に示す。
[0029]
本発明は、スラッジ類、底質試料、土壌など、様々な形態の酸化物と金属とが混在する試料の分析においても、るつぼの使用回数を大きく向上させることができる分析用ジルコニウム坩堝(るつぼ)に関する。
最近、より高純度の材料を、迅速にかつ正確に測定することが要求されている。このような要求が増えるにしたがって、分析者の違いやその技量により測定結果に違いが出るという問題があり、信頼性確認のために再分析を行うということがしばしば行われていた。
分析用の試料は、一般にフラックスで試料を融解して作製する。フラックスによる融解は、通常炭酸塩(アルカリ)融解、水酸化アルカリ融解、過酸化ナトリウム融解、硫酸水素ナトリウム融解などの融解法などが使用される。
このようななかでも、過酸化ナトリウムは強力な酸化力を持っており、良好なフラックスである。この場合の、融解るつぼとして鉄又はニッケルるつぼが多く使用されるが、激しく侵されるということを勘案する必要がある。
この過酸化ナトリウム融解は、試料の性質によって混合の割合が異なるが、一般には試料量の5〜10倍量の過酸化ナトリウムが使用されている(非特許文献1参照)。また、加熱温度も試料によって、変える必要があり、全て経験によって決められる。
従来、ジルコニウムるつぼは、主に分析試料中に含まれる不純物の定量を行う際に使用され、より定量下限を低くするために、分析時の汚染を出来るだけ少なくする必要があり、るつぼから溶出する不純物量の低減に注目されてきた。
これまで、るつぼのブランクを差し引いて定量値を求めていたが、ブランクのばらつきは分析者の技量に大きく依存する。また、従来のジルコニウムるつぼは、純度99wt%(2N)レベルであるため、るつぼからの不純物が混入し、不純物混入により定量下限値が高く、最近の高純度試料の分析には不十分であった。
このような高純度材料に対応する分析手段の特許文献は少ないが、それらの中で参考となる資料を紹介すると、例えば試料を定性、定量分析するための試料の調整方法に関するもので、試料を金属箔に載せて金属箔とともに、加熱分解し、さらに溶液化するという技術がある(特許文献1参照)が、これは極めて特殊な手法であり、汎用できるものではなかった。
また、アルカリ融剤を用いて鉱石の化学分析を行うるつぼが、PtにPdを5〜90wt%添加したPt合金又はPd合金からなる化学分析用るつぼ(特許文献2参照)が開示されている。しかし、これはいずれも高価なるつぼ材料を使用することが前提となっており、実用的でないという問題があった。
さらに、ニッケルるつぼ中で、ロジウム−ルテニウム合金めっき皮膜を過酸化ナトリウム又は過酸化カリウムで加熱融解し、皮膜中のロジウム量を分析する方法が開示されている(特許文献3参照)。しかし、この文献では、るつぼの純度については、一切開示はない。したがって、従来レベルの純度(2Nレベル)のるつぼであることが強く推定される。そのため、不純物混入により定量下限値が高く、精度の高い分析は得られていない問題があった。
このようなことから、本発明者らは、ガス成分を除く純度3N以上で、かつ、ガス成分である炭素が100質量ppm以下としたジルコニウムるつぼを発明し(特許文献4参照)、試料をアルカリ溶融して処理する過程で、アルカリ融剤等の融解に対する耐久性に効果があることを示した。これは従来のジルコニウムるつぼの改善に大きく貢献した。この炭素含有量の低減化は有効な方法であったが、分析の対象が多様化し、スラッジ類、底質、土壌などを対象とするようになると、これだけでは解決することができない状況となった。
従来、高純度ジルコニウムるつぼは、主に分析試料中に含まれる不純物の定量を行う際に使用していた。これは、定量下限を低くするためには、るつぼからの不純物の溶出を抑える必要があり、高純度ジルコニウムは非常に適していたからである。
分析対象試料としては、従来は金属材料、酸化物材料であり、その構成成分として金属のみ(高純度Cu、高純度Coなど)又は酸化物のみ(Si、Al系酸化物など)、であったが、さらに、スラッジ類、底質、土壌などを対象とするようになると、ケイ酸やアルミナが主成分で、それに金属、有機物が混在することになる(非特許文献2参照)。
従来の分析の一般的な手順は、次の通りである。
(1)試料をジルコニウムるつぼに入れる。
(2)るつぼにアルカリ融剤等の融剤を加える。
(3)バーナー又はマッフル炉でるつぼを加熱し前記融剤及び試料を融解させる。
(4)試料をPTFE製等のビーカーに移す。
(5)酸等を添加する。
(6)ビーカーを加熱し、溶解する。
(7)メスフラスコに移す。
(8)水を加え、液量を所定の値にする。
(9)これをICP−AES等による測定を行う。
上記の材料の分析については、これまで次のような分解・溶融法を行ってきた。
1)金属材料:酸分解法
2)酸化物材料:アルカリ溶融法
3)金属+酸化物材料:酸分解+アルカリ溶融法
上記ICP−AESで測定する場合、酸分解法で分解して測定を行った方が、一般的に定量下限値も低くなり、また安定した測定も行えることが分かっている。そのため、全ての分析試料に対して酸分解法の適用が望ましいが、一部の酸化物は酸分解法でも溶けない場合がある。
このような背景から、酸化物に金属の成分が混合又は化合している材料については、酸分解法によって金属部分を溶かし、次に、これをろ過して酸化物を分離し、この酸化物をアルカリ溶融法で分解して分析してきた。この工程は、上記段落[0009]に記載する工程3)に相当するもので、分解と溶融という2工程からなり、非常に煩雑な作業であり、分析時間が12時間程度かかる場合もあった。
このため、分析時間を短縮するために既存の高純度ジルコニウムるつぼを使用して、金属を含む分析材料をアルカリ溶融することも行われるが、金属との反応が激しくなり、るつぼにすぐに穴が空いてしまうという問題が生じ、使用回数が限られ、適用は難しかった。
「溶解に用いられる試薬」、ぶんせき、入門講座、1979年10月発行、頁648〜655 村井幸男著「高純度ニッケル及びジルコニウムるつぼを用いるアルカリ融解」、環境と測定技術、Vol.34、No.12、頁53〜57
特開平10−38773号公報 特開平2−172540号公報 特開昭58−48854号公報 特願2007−213690号
高純度の材料を、迅速にかつ正確に測定することが要求されている最近の分析技術に鑑み、純度の高いるつぼを使用し、るつぼからの不純物の混入を抑制すると共に、さらにスラッジ類、底質試料、土壌など、様々な形態の酸化物と金属とが混在する試料の分析でも2段階の分離・分解工程を経ることなく、高純度ジルコニウムの耐久性を高め、ジルコニウムるつぼを十分に多くの回数使用可能な分析用ジルコニウムるつぼを提供することを課題とする。
上記の課題に鑑み、本発明は以下の発明を提供するものである。
1.ガス成分を除く純度が3N以上であり、ガス成分である酸素含有量が500質量ppm以下であることを特徴とする分析用ジルコニウムるつぼ
2.酸素含有量が200質量ppm以下であることを特徴とする上記1記載のジルコニウムるつぼ
3.酸素含有量が100質量ppm以下であることを特徴とする上記1記載のジルコニウムるつぼ
4.深絞りにより製造したるつぼであることを特徴とする上記1〜3のいずれか一項に記載のジルコニウムるつぼ
また、同時にジルコニウムに含まれるガス成分の炭素を低減するのも有効であり、特に100質量ppm以下、好ましくは50質量ppm以下、さらには10質量ppm以下とすることができる。また、るつぼ材料のジルコニウムの平均結晶粒径を500μm以下、好ましくは100μm以下、さらには10μm以下とすることも有効である。
本発明は、ガス成分を除く純度が3N以上であり、かつガス成分である酸素含有量が500質量ppm以下であるジルコニウムるつぼを使用することによって、スラッジ類、底質試料、土壌など、様々な形態の酸化物と金属とが混在する試料の分析において2段階の分離・分解工程を経ることなく、高純度ジルコニウムの耐久性を高め、ジルコニウムるつぼの使用回数を増加させることができるという優れた効果を有する。
また、同時にるつぼからの不純物の混入を抑制し、高精度の分析が可能となり、また作業時間の短縮化及び使用する試薬の量の軽減化となり、高純度の材料を迅速にかつ正確に測定することが要求されている最近の分析技術の要請に応えることができるという著しい効果を有する。
るつぼの腐蝕が進行し、るつぼ底部に開いた穴の様子を示す図である。 るつぼ底部に、ところどころ(10箇所程度)腐蝕が進行し、一部に穴が開いた様子を示す図である。
上記の通り、様々な形態の酸化物と金属成分とが共存する系のアルカリ溶融による分解作業において、Zrルツボの腐食の発生に対し、Zr中の酸素濃度の低減が明らかな効果を有することが分かった。特に、500ppmを境にZr腐食の発生が大きく異なり、特に1000ppmを超える酸素含有量のZrルツボでは1−2回の分析作業で腐食が進み、ルツボに穴が開いてしまう。
一方、500ppm以下では腐食による穴の発生なしで数回以上の分析作業を行うことが出来る。特に、200ppm以下では平均20回以上、さらに100ppm以下に低減したルツボでは40回以上分析作業に耐えることが分かった。ここでいう回数は、本発明の効果を見出した下記の分析手順に対するものであるが、同様の過酷な分解条件においては従来知られたルツボに対して相対的に同様の効果を奏すると推定できる。
この場合、酸素の存在がなぜジルコニウムるつぼの急速な腐食(穴の発生)に大きな原因となるかについては技術的に説明することが難しいのであるが、一般にアルカリ溶融を行うと、ジルコニウムるつぼ表面のジルコニウムが徐々に削れていくことが知られている。ルツボ中の酸素含有量が多い場合、ジルコニウムの密度は低下することから、内部で微小な空孔が発生していると考えられる。そこで、アルカリ溶融を続け、空孔に達した時、それを起点として、ジルコニウムるつぼの孔食が進んだものと考えられる。
従来は、このような局所的な孔食となって現われるジルコニウムるつぼの急速な腐食(穴の発生)が酸素による影響と想致されず、酸化物と金属成分とが共存する系のアルカリ溶融による分解作業では、止むを得ず使用することがあっても、不適合なるつぼという理解しかなかった。
また、ジルコニウムから酸素を除去することは、精製の精度を高める必要があり、製造工程の上ではコストがかかるという問題であるので、ジルコニウムるつぼから酸素量を規制する(減少させる)考え方は存在しなかった。しかしながら、ジルコニウムるつぼの使用回数を大幅に向上させることにより、るつぼのコストを十分に吸収できるほどの耐久性の向上があり、コスト低減の経済的効果があった。
(ルツボの製造工程)
次に、ルツボの製造工程について説明する。
ジルコニウムから酸素を低減する方法は、例えば出願人の発明である特願2000−302392(特開2002−105552号公報)記載の電子ビーム溶解法を使用して、低減させることができる。この特許文献の実施例では、酸素を120ppmまで低減させているが、さらにこの特許文献の技術を用いて、原料の段階で酸素又は酸化物の量を低減させる等の成分調整を行うか又は電子ビーム溶解を繰り返すことにより、100ppm以下に低減させることができる。
本発明で使用する酸素含有量を低減したZrを、不活性ガス雰囲気又は真空中で溶解してインゴットとした。得られたZrインゴットを圧延し、深絞りにより、直径3cm、高さ4cm、肉厚1mm、内容積20ccのルツボを製造した。
ジルコニウムるつぼの酸素含有量を低減した効果については、上記に述べたが、本願発明のようにZrインゴットの酸素含有量を低減することにより、加工特性が良くなり、インゴットを圧延し深絞りすることでルツボが製造できるようになった。
従来の酸素含有量が高いZrインゴットは、加工性が悪いため切削により、ルツボ形状に加工していた。この結果、ジルコニウムの無駄が生じ、るつぼの製造コストが非常に高く歩留が悪かったが、この点にも付加的にコスト低減の効果があった。
(分析手順)
次に、分析手順について説明する。
(1)試料0.5gを、段落[0022]記載のジルコニウムるつぼに入れる。
(2)るつぼにアルカリ融剤(Na)5gを加える。
(3)バーナー又はマッフル炉でるつぼを加熱し、前記融剤及び試料を融解させる。
(4)試料をPTFE製のビーカーに移し、水を50ml加える。
(5)塩酸を20ml添加する。
(6)ビーカーを加熱し、溶解する。
(7)メスフラスコに移す。
(8)水を加え、液量を250mlにする。
(9)これをICP−AESによる測定を行う。
以上の操作により、分析を行い、この一連の操作を繰返した。
高精度分析を可能とするためには、るつぼからのコンタミネーション(汚染)を低減することも有効である。例えば4N以上の高純度るつぼであれば確かに分析精度への問題は少ない。高純度Zrるつぼについては、先に特許出願(特願2006−146971号参照)を行っているので、これより高純度ジルコニウムるつぼを使用することも、有効である。
また、不純物が少ない(高純度の)Zrるつぼであっても、Cが多い場合は、同様に重量減少が大きくなる(上記特許文献4参照)。ジルコニウムるつぼの高純度化は当然望まれることではあるが、この炭素量の制限も重要である。この炭素量を制限することにより、3Nレベルのるつぼでも、分析精度を向上させ、さらにるつぼの耐用回数を増加させることができる。
ジルコニウムは、稠密六方晶(HCP)構造を備えているものであるが、特定の面に配向され易く、この結晶面によって溶出のされ方が大きく異なるので、これを抑制するために、結晶粒径を極力小さくして、溶出の偏りを少なくすることも可能である。したがって、本願発明においては、これらの技術を併用することもできる。
以下、実施例及び比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例のみに制限されるものではない。すなわち、本発明に含まれる他の態様または変形を包含するものである。
なお、本実施例・比較例は、非特許文献2に示されるような底質試料を対象とし、Fe、Cr、Ni、Mn、Cu、Alを定量分析した例である。
(実施例1)
上記の工程により、ガス成分を除く純度3Nであって酸素含有量80質量ppmのZrるつぼを15個用意し、1日に1回のペースで上記の分析を繰り返した。41回目にそのうち1個に穴が開き、次いで54回目に2個目、61回目に3個目に穴が開き使用不能となった。最終的に、平均110回まで使用可能であった。
穴発生の状況を図1〜図2に示す。これらの図に示すように、るつぼ全体が均一に腐蝕するのではなく、孔蝕が多く見られる。また、理解が容易となるよう、この結果を表1に示す。
Figure 2010110064
(実施例2)
ガス成分を除く純度3Nであって酸素含有180ppmのZrるつぼを15個用意し、1日に1回のペースで上記の分析を繰り返した。同じく、穴が開き使用不能となるまでの回数を調べたところ、平均75回まで使用可能であった。この結果を、同様に表1に示す。
(実施例3)
ガス成分を除く純度3Nであって酸素含有350ppmのZrるつぼを15個用意し、1日に1回のペースで上記の分析を繰り返した。同じく、穴が開き使用不能となるまでの回数を調べたところ、平均35回まで使用可能であった。この結果を、同様に表1に示す。
(実施例4)
ガス成分を除く純度3Nであって酸素含有450ppmのZrるつぼを15個用意し、1日に1回のペースで上記の分析を繰り返した。同じく、穴が開き使用不能となるまでの回数を調べたところ、平均20回まで使用可能であった。この結果を、同様に表1に示す。
(比較例1)
ガス成分を除く純度3Nであって酸素含有700ppmのZrるつぼを15個用意し、1日に1回のペースで上記の分析を繰り返した。同じく、穴が開き使用不能となるまでの回数を調べたところ、平均5回までしか使用できなかった。この結果を、同様に表1に示す。
(比較例2)
ガス成分を除く純度3Nであって酸素含有1800ppmのZrるつぼを15個用意し、1日に1回のペースで上記の分析を繰り返した。同じく、穴が開き使用不能となるまでの回数を調べたところ、平均1.5回までしか使用できなかった。この結果を、同様に表1に示す。
(比較例3)
ガス成分を除く純度3Nであって酸素含有2500ppmのZrるつぼを15個用意し、1日に1回のペースで上記の分析を繰り返した。同じく、穴が開き使用不能となるまでの回数を調べたところ、平均0.8回しか使用できなかった。
実施例、比較例ともに、先ずるつぼ内面に凹部が発生し、その凹部が拡大して貫通することにより穴となって、るつぼが使用不能となる。この凹部は、主に坩堝の底面にランダムに発生するが、分析試薬が常に触れる液面付近より下の側面にも発生する。
凹部が発生すると、その後、数回で穴が空くことが多い。
本発明は、ガス成分を除く純度が3N以上であり、かつガス成分である酸素含有量が500質量ppm以下であるジルコニウムるつぼを使用することによって、スラッジ類、底質試料、土壌など、様々な形態の酸化物と金属とが混在する試料の分析において2段階の分離・分解工程を経ることなく、高純度ジルコニウムの耐久性を高め、ジルコニウムるつぼの使用回数を増加させることができるという優れた効果を有する。
これによって、るつぼからの不純物の混入を抑制し、高純度の分析が可能となり、さらに作業時間の短縮化及び使用する試薬の量の軽減化となり、高純度の材料を迅速にかつ正確に測定するという最近の分析技術の要請に応えることができるので、分析用ジルコニウムるつぼとして有用である。

Claims (4)

  1. ガス成分を除く純度が3N以上であり、ガス成分である酸素含有量が500質量ppm以下であることを特徴とする分析用ジルコニウムるつぼ。
  2. 酸素含有量が200質量ppm以下であることを特徴とする請求項1記載のジルコニウムるつぼ。
  3. 酸素含有量が100質量ppm以下であることを特徴とする請求項1記載のジルコニウムるつぼ。
  4. 深絞りにより製造したるつぼであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のジルコニウムるつぼ。
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