JP2019135469A - 非金属介在物の抽出評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼材中に含有されるAl2O3、ZrO2等(分析対象とする介在物)を酸溶解法によって抽出するに際し、介在物分析の妨げとなる分析対象外の介在物由来の残渣の残留を低減し、分析対象とする介在物を効率的且つ精度よく抽出評価することができる非金属介在物の抽出評価方法を提供する。【解決手段】本発明は、シリコン脱酸した鋼材中のAl2O3、ZrO2等の介在物を抽出評価する際に、採取したサンプル材に対して熱処理を実施し、熱処理後のサンプルを酸溶解処理し、その溶解残渣をフッ化アンモニウム水溶液に浸漬して処理し分析対象とする介在物を抽出し評価を行う。事前準備としてサンプル材に対して実施する熱処理の条件の検討を行う。任意条件で熱処理を実施したサンプル材を抽出方法で介在物の抽出を行い、抽出した残渣のうち分析対象外の介在物に由来する残渣量を計量し、その時の熱処理条件と残渣量の関係を求め、その関係を用いて熱処理条件を決定する。【選択図】図5
Description
本発明は、鋼材(鉄鋼材料)中に含まれる非金属介在物を精度よく抽出して評価する技術に関する。
一般に、鋼材(鉄鋼材料)中に含まれるアルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)をはじめとする非金属介在物(以下、介在物)は、例えば、強度、疲労強度、靭性、加工性、表面性状等の鋼材特性に多大な影響を及ぼすことが知られている。
従って、鋼材の材料特性を追求するにあたっては、鋼材中の介在物の存在個数、大きさ等を評価する分析方法が重要となってくる。
従って、鋼材の材料特性を追求するにあたっては、鋼材中の介在物の存在個数、大きさ等を評価する分析方法が重要となってくる。
鋼材中の介在物を分析する方法については、従来より様々提案されているが、比較的被検量が多く、介在物形態の三次元的な観察や、存在個数の定量が可能な分析方法としては、鋼材を溶解して分析対象とする介在物を抽出し、分析する方法が挙げられる。このように、介在物を抽出して分析する方法においては、分析対象とする介在物の溶解損失が小さいこと、および、分析の妨げとなる溶解残渣(分析対象とする介在物以外の介在物や、溶解・抽出工程での反応生成物など)ができる限り除去されていることが重要となってくる。
分析の妨げとなる溶解残渣を回避しつつ鋼材中の介在物を抽出する技術としては、例えば、特許文献1〜3に開示されているものがある。
特許文献1は、CaO-SiO2、MgO-SiO2といったアルカリ土類金属を含む介在物を、SiO2ゲル生成の不都合を回避しつつ、抽出評価することを目的としている。
具体的には、鋼材の溶解液として臭素−メタノール溶液を使用する。臭素−メタノール溶液中に鋼材を投入して溶解し、残渣をろ過した後、残渣をフッ化水素アンモニウム溶液で処理することによって残渣に含まれる介在物を抽出することとしている。
特許文献1は、CaO-SiO2、MgO-SiO2といったアルカリ土類金属を含む介在物を、SiO2ゲル生成の不都合を回避しつつ、抽出評価することを目的としている。
具体的には、鋼材の溶解液として臭素−メタノール溶液を使用する。臭素−メタノール溶液中に鋼材を投入して溶解し、残渣をろ過した後、残渣をフッ化水素アンモニウム溶液で処理することによって残渣に含まれる介在物を抽出することとしている。
特許文献2は、Al2O3、SiO2といった酸化物系介在物の分析の妨げとなる、SiO2系の残渣の発生を極力防止、かつ、ろ過・抽出工程で混入してくるSiO2をできるだけ排除することを目的としている。
具体的には、温硝酸法または温硫酸法(酸溶解法の一種)によって金属中の酸化物系介在物を抽出するにあたり、予め50℃以上に加熱した溶液へと金属試料を投入して溶解し、酸化物系介在物をろ過・抽出することとしている。また、必要に応じて溶解、ろ過、抽出工程において溶液が接する器機の材質をSiO2を含有しないものとしている。
具体的には、温硝酸法または温硫酸法(酸溶解法の一種)によって金属中の酸化物系介在物を抽出するにあたり、予め50℃以上に加熱した溶液へと金属試料を投入して溶解し、酸化物系介在物をろ過・抽出することとしている。また、必要に応じて溶解、ろ過、抽出工程において溶液が接する器機の材質をSiO2を含有しないものとしている。
特許文献3は、鋼中のCaO含有介在物の定量分析を精度よく行うことのできることを目的としている。
具体的には、塩化第一鉄、水酸化カリウム等を含み、pHが4.5〜6.5である電解液に、予め1150〜1350℃で10分間以上の溶体化処理(熱処理)を施した鉄鋼試料を浸漬させて低電流電解し、得られた残渣に4分間以上超音波振動を与えた後に、CaO含有介在物の定量評価を行うこととしている。
具体的には、塩化第一鉄、水酸化カリウム等を含み、pHが4.5〜6.5である電解液に、予め1150〜1350℃で10分間以上の溶体化処理(熱処理)を施した鉄鋼試料を浸漬させて低電流電解し、得られた残渣に4分間以上超音波振動を与えた後に、CaO含有介在物の定量評価を行うこととしている。
本発明は、鋼材中に含有されるAl2O3、ZrO2等の介在物(分析対象とする介在物)を、抽出・分析するに際し、分析の妨げとなるCaO-SiO2系などのCaO含有介在物に由来する残渣の残留を低減して、分析対象とする介在物を効率的且つ精度よく抽出して評価することができる非金属介在物の抽出評価方法を提供することを目的とする。
以上の点を踏まえて、特許文献1〜3の技術を検討する。
特許文献1は、CaO-SiO2、MgO-SiO2系などの鋼材中介在物を抽出評価することを目的としている技術である。しかし、本発明は、CaO-SiO2系のCaO含有介在物の残留を回避することを目的としているので、特許文献1の目的とは、異なっている。
また、特許文献1のフッ化水素アンモニウム溶液の処理においては、鋼材溶解時に生成したSiO2ゲルの処理が目的であり、CaO-SiO2系のCaO含有介在物の溶解を目的としたものではない。
以上の点を踏まえて、特許文献1〜3の技術を検討する。
特許文献1は、CaO-SiO2、MgO-SiO2系などの鋼材中介在物を抽出評価することを目的としている技術である。しかし、本発明は、CaO-SiO2系のCaO含有介在物の残留を回避することを目的としているので、特許文献1の目的とは、異なっている。
また、特許文献1のフッ化水素アンモニウム溶液の処理においては、鋼材溶解時に生成したSiO2ゲルの処理が目的であり、CaO-SiO2系のCaO含有介在物の溶解を目的としたものではない。
特許文献2においては、「SiO2系の残渣とは、溶解時に生成されるSiO2ゲルのことである。」と言及しており、そのSiO2ゲルの生成を極力防止することを特徴としている。しかし、本発明は、CaO-SiO2系のCaO含有介在物の残留を回避することを目的としているため、特許文献2と、目的が異なっている。
特許文献3は、鋼中のCaO含有介在物を抽出評価する技術である。しかし、本発明は、CaO-SiO2系CaO含有介在物の残留を回避することを目的としているため、特許文献3と、目的が異なっている。
特許文献3は、鋼中のCaO含有介在物を抽出評価する技術である。しかし、本発明は、CaO-SiO2系CaO含有介在物の残留を回避することを目的としているため、特許文献3と、目的が異なっている。
また、特許文献3における溶体化処理(熱処理)については、特に高炭素鋼において炭化析出物を溶体化(高温雰囲気にて鉄をγ相に変態させることで炭素の固溶度を上げ、炭化析出物をγ相に固溶させる)することを目的としている。本発明にも鋼材の熱処理を実施する工程が存在するが、CaO-SiO2系のCaO含有介在物を変化させることを目的としているので、特許文献3とは異なる。
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明にかかる非金属介在物の抽出評価方法は、シリコン脱酸を実施した鋼材中に存在するAl2O3、ZrO2を含む分析対象とする介在物を、以下の工程(1)〜工程(7)を経て、抽出して評価する方法において、
工程(1):前記鋼材からサンプル材を採取する。
本発明にかかる非金属介在物の抽出評価方法は、シリコン脱酸を実施した鋼材中に存在するAl2O3、ZrO2を含む分析対象とする介在物を、以下の工程(1)〜工程(7)を経て、抽出して評価する方法において、
工程(1):前記鋼材からサンプル材を採取する。
工程(2):前記サンプル材に対して熱処理を実施する。
工程(3):前記熱処理したサンプル材を酸溶解法で溶解する。
工程(4):酸溶解後の処理液をろ紙αでろ過する。
工程(5):ろ紙α上の、分析対象とする介在物を含有する溶解残渣を、フッ化アンモニウム水溶液に浸漬して処理する。
工程(3):前記熱処理したサンプル材を酸溶解法で溶解する。
工程(4):酸溶解後の処理液をろ紙αでろ過する。
工程(5):ろ紙α上の、分析対象とする介在物を含有する溶解残渣を、フッ化アンモニウム水溶液に浸漬して処理する。
工程(6):前記処理した液をろ紙βでろ過する。
工程(7):前記ろ紙β上の、前記分析対象とする介在物を評価する。
事前準備として、工程(2)で実施する熱処理の条件決定を行う、以下の(A1)〜(A5)の工程を実施する。
(A1):前記工程(1)で採取したサンプル材に対して、複数の任意条件で熱処理を実施する。
工程(7):前記ろ紙β上の、前記分析対象とする介在物を評価する。
事前準備として、工程(2)で実施する熱処理の条件決定を行う、以下の(A1)〜(A5)の工程を実施する。
(A1):前記工程(1)で採取したサンプル材に対して、複数の任意条件で熱処理を実施する。
(A2):前記熱処理したサンプル材に対し前記工程(3)〜(6)の抽出作業を実施する。
(A3):前記ろ紙β上に抽出された残渣のうち、分析対象外の介在物に由来する残渣の量を計量する。
(A4):前記(A1)における任意の熱処理条件と、前記(A3)において計量した残渣量との関係を求める。
(A3):前記ろ紙β上に抽出された残渣のうち、分析対象外の介在物に由来する残渣の量を計量する。
(A4):前記(A1)における任意の熱処理条件と、前記(A3)において計量した残渣量との関係を求める。
(A5):前記(A4)にて求めた関係を用いて、前記工程(2)の熱処理条件を決定する。
実際の運用において、
前記工程(1)により前記鋼材からサンプル材を採取し、
前記工程(2)において、前記工程(1)で採取した前記サンプル材に対して、前記(A5)で決定しておいた熱処理条件に基づき、熱処理を実施し、
その後、前記工程(3)〜前記工程(7)を順に行うことで、前記ろ紙β上に前記分析対象とする介在物を抽出して評価する、
ことを特徴とする。
実際の運用において、
前記工程(1)により前記鋼材からサンプル材を採取し、
前記工程(2)において、前記工程(1)で採取した前記サンプル材に対して、前記(A5)で決定しておいた熱処理条件に基づき、熱処理を実施し、
その後、前記工程(3)〜前記工程(7)を順に行うことで、前記ろ紙β上に前記分析対象とする介在物を抽出して評価する、
ことを特徴とする。
本発明によれば、鋼材中に含有される、Al2O3、ZrO2等の介在物(分析対象とする介在物)を抽出するに際し、抽出後において、介在物の分析の妨げとなる、CaO-SiO2系などのCaO含有介在物に由来する残渣の残留を低減して、分析対象とする介在物を、効率的且つ精度よく抽出して評価することができる。
以下、本発明にかかる非金属介在物の抽出方法の実施形態を、図を参照して説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
本発明にかかる非金属介在物の抽出評価方法は、以下に示す工程(1)〜(7)の手順で、シリコン脱酸を実施した鋼材中に存在する、Al2O3、ZrO2等の介在物(分析対象とする介在物)を抽出して評価する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
本発明にかかる非金属介在物の抽出評価方法は、以下に示す工程(1)〜(7)の手順で、シリコン脱酸を実施した鋼材中に存在する、Al2O3、ZrO2等の介在物(分析対象とする介在物)を抽出して評価する。
工程(1):鋼材(鋼片や鋳片などの半製品)から、所定サイズのサンプル材を切り出して、採取する。
所定サイズとしては、例えば、15mm×15mm×5mm程度である。
工程(2):採取したサンプル材に対して、事前準備で決定した条件にて熱処理を実施する。
所定サイズとしては、例えば、15mm×15mm×5mm程度である。
工程(2):採取したサンプル材に対して、事前準備で決定した条件にて熱処理を実施する。
工程(3):熱処理したサンプル材を酸溶解処理(酸溶解液)により溶解する。
工程(4):酸溶解処理後、処理液をろ紙αでろ過する。
工程(5):ろ紙α上の、分析対象とする介在物や、CaO-SiO2系のCaO含有介在物(=分析対象外の介在物)を含有する溶解残渣を、フッ化アンモニウム水溶液に浸漬して、溶解残渣中のCaO含有介在物を低減する。
工程(4):酸溶解処理後、処理液をろ紙αでろ過する。
工程(5):ろ紙α上の、分析対象とする介在物や、CaO-SiO2系のCaO含有介在物(=分析対象外の介在物)を含有する溶解残渣を、フッ化アンモニウム水溶液に浸漬して、溶解残渣中のCaO含有介在物を低減する。
工程(6):溶解残渣を処理したフッ化アンモニウム水溶液を、ろ紙βでろ過し、ろ紙β上へ分析対象とする介在物を抽出する。
工程(7):乾燥後、電子顕微鏡などを用いて、ろ紙β上に残留した、分析対象とする介在物を評価する。
さらに、本発明においては、工程(1)〜(7)の手順で介在物を抽出して評価するに際して、事前準備として、CaO含有介在物(分析対象外の介在物)に由来する残渣の量がろ紙β上で最少となる熱処理条件を、検討して決定しておくことを特徴としている。
工程(7):乾燥後、電子顕微鏡などを用いて、ろ紙β上に残留した、分析対象とする介在物を評価する。
さらに、本発明においては、工程(1)〜(7)の手順で介在物を抽出して評価するに際して、事前準備として、CaO含有介在物(分析対象外の介在物)に由来する残渣の量がろ紙β上で最少となる熱処理条件を、検討して決定しておくことを特徴としている。
なお、ろ紙β上には、分析対象とする介在物のほかに分析対象外の介在物に由来する残渣も残留するが、事前準備での熱処理条件の最適化によってこれらの不要な残渣は極力抑制されており、分析の妨げとはならない。
以下に、本発明にかかる非金属介在物の抽出評価方法について、具体的に説明する。
さて、鉄鋼材料中に含まれるアルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)をはじめとする介在物は、例えば、強度、疲労強度、靭性、加工性、表面性状等の鋼材特性に多大な影響を及ぼすことが知られている。
以下に、本発明にかかる非金属介在物の抽出評価方法について、具体的に説明する。
さて、鉄鋼材料中に含まれるアルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)をはじめとする介在物は、例えば、強度、疲労強度、靭性、加工性、表面性状等の鋼材特性に多大な影響を及ぼすことが知られている。
従って、鉄鋼材料(鋼材)の材料特性を追求するにあたっては、鉄鋼材料中の介在物の存在個数、大きさ等を評価する分析方法が重要となってくる。
鋼材中の介在物を分析する方法については、従来より様々提案されているが、比較的被検量が多く、介在物形態の三次元的な観察や、存在個数の定量が可能な分析方法としては、鋼材を溶解して分析対象とする介在物を抽出し、分析する方法が挙げられる。このように、介在物を抽出して分析する方法においては、分析対象とする介在物の溶解損失が小さいこと、および、分析の妨げとなる溶解残渣ができる限り除去されていることが重要となってくる。
鋼材中の介在物を分析する方法については、従来より様々提案されているが、比較的被検量が多く、介在物形態の三次元的な観察や、存在個数の定量が可能な分析方法としては、鋼材を溶解して分析対象とする介在物を抽出し、分析する方法が挙げられる。このように、介在物を抽出して分析する方法においては、分析対象とする介在物の溶解損失が小さいこと、および、分析の妨げとなる溶解残渣ができる限り除去されていることが重要となってくる。
このような介在物を鋼材中から抽出する方法の一つとしては、酸溶解法が挙げられる。この酸溶解法を用いると、特に、Al2O3、ZrO2、Cr2O3、TiO2等の介在物を抽出することが可能である。その一方で、CaO-SiO2系などのCaO含有介在物については、溶解して、抽出されないということが、一般的に知られている。例えば、(参考文献:鉄と鋼 100(2014),No.7,p870,p871)などを参照するとよい。
従来、鋼材等の製造を担当する当業者の間では、主として出荷する製品の段階において、酸溶解法によりAl2O3、ZrO2等の介在物分析を実施して、鋼材の清浄度を評価していた。
しかしながら、鋼材の清浄度の向上、すなわち鋼材中の介在物をより少なくするという観点から、製品の製造に供される鋼片、鋳片などの半製品(製品製造の途中)の段階で、介在物の形態を把握する必要性が高まってきている。
しかしながら、鋼材の清浄度の向上、すなわち鋼材中の介在物をより少なくするという観点から、製品の製造に供される鋼片、鋳片などの半製品(製品製造の途中)の段階で、介在物の形態を把握する必要性が高まってきている。
ところが、この酸溶解法にて、半製品から介在物を抽出して評価しようとしたところ、従来より溶解すると考えられてきた、CaO含有介在物に由来する残渣が、ろ紙上に大量に残留することがわかった。
ここで本来、酸溶解法で抽出したい、Al2O3、ZrO2等の介在物(以降、分析対象とする介在物と呼ぶこともある。)を単独で得ることが難しくなり、それらの評価を実施することが、非常に困難な状況となってしまった。
ここで本来、酸溶解法で抽出したい、Al2O3、ZrO2等の介在物(以降、分析対象とする介在物と呼ぶこともある。)を単独で得ることが難しくなり、それらの評価を実施することが、非常に困難な状況となってしまった。
なお、半製品とは、出荷製品まで圧延される前の段階のものである、鋳片や鋼片などの鋼材のことを指す。
これまで、製品の段階において、CaO含有介在物に由来する残渣によって、Al2O3、ZrO2等の介在物の分析が妨げられてしまうということは、確認されてこなかった。
このCaO含有介在物は、圧延加工により延伸されて、小型化されてゆくため、製品の段階となると、CaO含有介在物は十分に小さくなっている。そのため、たとえ、CaO含有介在物が酸溶解法により溶解しなかったとしても、ろ紙の孔を通過してしまい、認識されずにいたと考えられる。
これまで、製品の段階において、CaO含有介在物に由来する残渣によって、Al2O3、ZrO2等の介在物の分析が妨げられてしまうということは、確認されてこなかった。
このCaO含有介在物は、圧延加工により延伸されて、小型化されてゆくため、製品の段階となると、CaO含有介在物は十分に小さくなっている。そのため、たとえ、CaO含有介在物が酸溶解法により溶解しなかったとしても、ろ紙の孔を通過してしまい、認識されずにいたと考えられる。
以降、詳しく説明する本発明に従って実施すると、酸溶解法によるAl2O3、ZrO2等の介在物の分析を妨げる、CaO含有介在物に由来する残渣を低減させることが可能となり、分析対象とする介在物を精度良く抽出することができるようになる。
すなわち、本発明においては、まず鋼材から切り出したサンプル材に対して熱処理を実施し、次に熱処理後のサンプル材を酸溶解法で溶解し、分析対象とする介在物とCaO含有介在物に由来する残渣を含有する溶解残渣を抽出し、さらにこの溶解残渣をフッ化アンモニウム水溶液に浸漬して処理することで、溶解残渣のうちCaO含有介在物に由来する残渣を低減することができ、分析対象とする介在物の分析を妨げてしまうという問題を解決することができる。
すなわち、本発明においては、まず鋼材から切り出したサンプル材に対して熱処理を実施し、次に熱処理後のサンプル材を酸溶解法で溶解し、分析対象とする介在物とCaO含有介在物に由来する残渣を含有する溶解残渣を抽出し、さらにこの溶解残渣をフッ化アンモニウム水溶液に浸漬して処理することで、溶解残渣のうちCaO含有介在物に由来する残渣を低減することができ、分析対象とする介在物の分析を妨げてしまうという問題を解決することができる。
なお、本発明で対象とする鋼材は、CaO-SiO2系などのCaO含有介在物を多量に含有する、シリコン脱酸鋼材である。また、これらCaO含有介在物の延伸・小型化が十分になされていない、すなわち、未圧延や圧延度合いの小さい(=減面率の小さい)鋳片や鋼片などの半製品を対象とする。
まず、「事前準備」として、以下の(A1)〜(A5)の手順を実施する。
まず、「事前準備」として、以下の(A1)〜(A5)の手順を実施する。
(A1):工程(1)で採取したサンプル材に対して、複数の任意条件で熱処理を実施する。
すなわち、この(A1)は、上で述べた工程(2)に対応するものである。
ところで、本発明の工程(5)で実施するフッ化アンモニウム水溶液による処理の役割は、CaO含有介在物に由来する残渣を、完全溶解又は一部溶解することによって、ろ紙β上から除去するものであるが、介在物の組成によっては、溶解速度又は溶解しやすさに、ばらつきがある。
すなわち、この(A1)は、上で述べた工程(2)に対応するものである。
ところで、本発明の工程(5)で実施するフッ化アンモニウム水溶液による処理の役割は、CaO含有介在物に由来する残渣を、完全溶解又は一部溶解することによって、ろ紙β上から除去するものであるが、介在物の組成によっては、溶解速度又は溶解しやすさに、ばらつきがある。
その結果、CaO含有介在物に由来する残渣の一部については、フッ化アンモニウム水溶液による処理を経てもなお、ろ紙上に残留することがあり、その残渣の量は、分析対象とする介在物の個数と比較すると非常に多く存在する(およそ数千〜数万倍)。
上記のことを検討した結果、フッ化アンモニウム水溶液による処理と、熱処理(詳細は後述)を併用することで、さらに、CaO含有介在物に由来の残渣を低減することが可能であることがわかった。
上記のことを検討した結果、フッ化アンモニウム水溶液による処理と、熱処理(詳細は後述)を併用することで、さらに、CaO含有介在物に由来の残渣を低減することが可能であることがわかった。
さて、鋼材中に存在する、分析対象外であるCaO-SiO2系などのCaO含有介在物は、非晶質(ガラス質)な状態である。
これら非晶質なCaO含有介在物を、およそ800℃〜1200℃の高温下に保持すると、非晶質相から微細な結晶が生成される(結晶化)。例えば、(参考文献:住友金属 25(1973)、No.3、276)などを参照するとよい。
これら非晶質なCaO含有介在物を、およそ800℃〜1200℃の高温下に保持すると、非晶質相から微細な結晶が生成される(結晶化)。例えば、(参考文献:住友金属 25(1973)、No.3、276)などを参照するとよい。
つまり、熱処理の役割は、分析対象外の残渣の基となるCaO含有介在物中に、複数の微細な結晶相を生成させることであり、微細な結晶相が生じたCaO含有介在物が、酸溶解処理時又はフッ化アンモニウム水溶液による残渣処理時に分断されることを利用し、ろ紙の孔を通過させることを目的としている。
一方で、熱処理によって生成する結晶相の中には、酸溶解処理においても、フッ化アンモニウム水溶液の処理においても、溶解しにくい性質を有するものがある。
一方で、熱処理によって生成する結晶相の中には、酸溶解処理においても、フッ化アンモニウム水溶液の処理においても、溶解しにくい性質を有するものがある。
例えば、過剰な熱処理を行ったことにより、結晶相がろ紙の孔よりも大きく成長してしまった場合、却って分析対象外の残渣を増加させてしまう虞がある。
従って、分析対象外の残渣(CaO-SiO2系などのCaO含有介在物)を可能な限り低減させるためには、事前に、CaO含有介在物に由来する残渣の量が最少となる、最適な熱処理の条件(温度、時間など)を検討して決定しておく工程が必要となってくる。
従って、分析対象外の残渣(CaO-SiO2系などのCaO含有介在物)を可能な限り低減させるためには、事前に、CaO含有介在物に由来する残渣の量が最少となる、最適な熱処理の条件(温度、時間など)を検討して決定しておく工程が必要となってくる。
また、酸溶解処理に供する鋼材のサンプル材の大きさや、CaO含有介在物の組成によっては、最適な熱処理条件が異なってくると考えられるため、その都度、実際に切り出したサンプル材を用いて熱処理を実施して、最適な熱処理条件を検討して決定することが望ましい。
すなわち、本発明においては、酸溶解処理と溶解残渣のフッ化アンモニウム水溶液処理によって、分析対象とする介在物を抽出して評価するに際して、酸溶解処理を実施する前に、所定の熱処理条件で、サンプル材に対して熱処理を実施することとしている。
すなわち、本発明においては、酸溶解処理と溶解残渣のフッ化アンモニウム水溶液処理によって、分析対象とする介在物を抽出して評価するに際して、酸溶解処理を実施する前に、所定の熱処理条件で、サンプル材に対して熱処理を実施することとしている。
(A2):熱処理したサンプル材に対して工程(3)〜(6)の抽出作業を実施する。
(A3):ろ紙β上に抽出された残渣(分析対象とする介在物と分析対象外の介在物に由来する残渣を含む)のうち、分析対象外の介在物に由来する残渣の量を計量する。
なお、ここでの分析対象外の介在物とは、CaO含有介在物のことを指す。
ろ紙β上に残留したCaO含有介在物に由来する残渣の計量方法としては、ろ紙上の残渣を目視確認して該当する残渣の個数を数える方法や、CaO含有介在物を構成する成分(たとえばCaO、SiO2)の量をICP元素分析等で定量して、残渣の量の指標とする方法等が挙げられる。
(A3):ろ紙β上に抽出された残渣(分析対象とする介在物と分析対象外の介在物に由来する残渣を含む)のうち、分析対象外の介在物に由来する残渣の量を計量する。
なお、ここでの分析対象外の介在物とは、CaO含有介在物のことを指す。
ろ紙β上に残留したCaO含有介在物に由来する残渣の計量方法としては、ろ紙上の残渣を目視確認して該当する残渣の個数を数える方法や、CaO含有介在物を構成する成分(たとえばCaO、SiO2)の量をICP元素分析等で定量して、残渣の量の指標とする方法等が挙げられる。
(A4):(A1)における任意の熱処理条件と、(A3)において計量した残渣量との関係を求める。
すなわち、(A1)にてサンプル材に対して実施した複数の任意の熱処理条件と、熱処理条件ごとに(A3)で計量したCaO含有介在物に由来する残渣の量との関係を求める。
(A5):(A4)にて求めた関係を用いて、工程(1)により採取されたサンプルの熱処理条件を決定する。
すなわち、(A1)にてサンプル材に対して実施した複数の任意の熱処理条件と、熱処理条件ごとに(A3)で計量したCaO含有介在物に由来する残渣の量との関係を求める。
(A5):(A4)にて求めた関係を用いて、工程(1)により採取されたサンプルの熱処理条件を決定する。
つまり、(A4)で求めた「熱処理条件とCaO含有介在物に由来する残渣の量の関係」を用いて、分析対象外のCaO含有介在物に由来する残渣の量が最少となる、最適な熱処理条件を決定する。「熱処理条件とCaO含有介在物に由来する残渣の量の関係」としては、詳細は後述するが、図4などに示すものなどが得られる。
続いて、「実際の運用」において、工程(1)〜工程(7)の手順に従って、分析対象とする介在物の抽出評価を実施する。
続いて、「実際の運用」において、工程(1)〜工程(7)の手順に従って、分析対象とする介在物の抽出評価を実施する。
工程(1)において、シリコン脱酸を実施した鋼材から、サンプル材を切り出して採取する。
また、酸溶解処理に供するサンプル材は、少なくとも、酸溶解を実施する容器内に収容可能なサイズであることが求められる。そのため、鋳片又は鋼片などの鋼材から切断加工等により、小片のサンプル材を切り出して採取する必要がある。
また、酸溶解処理に供するサンプル材は、少なくとも、酸溶解を実施する容器内に収容可能なサイズであることが求められる。そのため、鋳片又は鋼片などの鋼材から切断加工等により、小片のサンプル材を切り出して採取する必要がある。
なお、ここでのサンプル材については、事前準備で切り出したサンプル材と、同サイズのものを切り出す。
工程(2)において、工程(1)により採取されたサンプル材に対して、(A5)で決定しておいた熱処理条件に基づき、熱処理を実施する。
なお、熱処理の役割については、上で述べた通りである。
工程(2)において、工程(1)により採取されたサンプル材に対して、(A5)で決定しておいた熱処理条件に基づき、熱処理を実施する。
なお、熱処理の役割については、上で述べた通りである。
その後、工程(3)〜工程(7)を順に行うことで、ろ紙β上に分析対象外の介在物に由来する残渣を極力排除した上で、分析対象とする介在物を抽出して評価する。
つまり、工程(3)において、熱処理後のサンプル材を、酸溶解処理(酸溶解液)で溶解する。工程(4)において、酸溶解処理後の酸溶解液を、ろ紙αでろ過する。
この酸溶解処理後の残渣には、分析対象とする介在物の他に、本発明で低減することを目的としているCaO含有介在物に由来する残渣や、SiO2ゲルなどが多く含有されている。
つまり、工程(3)において、熱処理後のサンプル材を、酸溶解処理(酸溶解液)で溶解する。工程(4)において、酸溶解処理後の酸溶解液を、ろ紙αでろ過する。
この酸溶解処理後の残渣には、分析対象とする介在物の他に、本発明で低減することを目的としているCaO含有介在物に由来する残渣や、SiO2ゲルなどが多く含有されている。
なお、SiO2ゲルとは、Si濃度の高い鋼材を酸溶解した際に発生する、SiO2の水和物[SiO2・nH2O]を主体としたゲルである。このSiO2ゲルは、後工程のフッ化アンモニウム水溶液による残渣処理の工程で、除去することが可能である。
続いて、工程(5)において、ろ紙αに残留した溶解残渣を、フッ化アンモニウム水溶液に浸漬する。工程(6)において、当該フッ化アンモニウム水溶液をろ紙βでろ過して、分析対象とする介在物を抽出する。
続いて、工程(5)において、ろ紙αに残留した溶解残渣を、フッ化アンモニウム水溶液に浸漬する。工程(6)において、当該フッ化アンモニウム水溶液をろ紙βでろ過して、分析対象とする介在物を抽出する。
その後、工程(7)において、乾燥後、電子顕微鏡などを用いて、ろ紙β上に残留した分析対象とする介在物を評価する。
このフッ化アンモニウム水溶液については、SiO2ゲルや、CaO-SiO2系のCaO含有介在物など、SiO2が主成分である残渣を完全溶解、若しくは、一部溶解することによって、ろ紙βの孔より小さくして通過させて、ろ紙β上から除去することで、分析対象とする介在物との分離が可能となる。
このフッ化アンモニウム水溶液については、SiO2ゲルや、CaO-SiO2系のCaO含有介在物など、SiO2が主成分である残渣を完全溶解、若しくは、一部溶解することによって、ろ紙βの孔より小さくして通過させて、ろ紙β上から除去することで、分析対象とする介在物との分離が可能となる。
このフッ化アンモニウム水溶液の処理を実施しない場合、ろ紙β上に、SiO2ゲルや分析対象外のCaO含有介在物が多量に残留してしまい、分析対象とする介在物の評価の妨げとなる。
また、ろ紙β上に不必要な残渣が多く残留してしまうと、残渣同士が重なる確率が高くなるため、分析対象とする介在物の評価精度も低下してしまうこととなる。
また、ろ紙β上に不必要な残渣が多く残留してしまうと、残渣同士が重なる確率が高くなるため、分析対象とする介在物の評価精度も低下してしまうこととなる。
すなわち、本発明においては、酸溶解処理〜ろ過〜フッ化アンモニウム水溶液処理〜ろ過を行って、分析対象とする介在物を抽出して評価するに際して、酸溶解処理を実施する前に、サンプル材に対して熱処理を実施し、その熱処理条件を、事前に決定することとしている。
熱処理条件については、最終のろ紙β上における分析対象外の残渣の量と、そのときの熱処理条件との関係より、ろ紙β上において残留する残渣が最も少なくなる条件としている。
熱処理条件については、最終のろ紙β上における分析対象外の残渣の量と、そのときの熱処理条件との関係より、ろ紙β上において残留する残渣が最も少なくなる条件としている。
これにより、実際の運用において、分析対象外のCaO含有介在物由来の残渣が低減され、Al2O3,ZrO2などの分析対象とする介在物を、精確に抽出して評価することができる。
[実施例]
以下に、本発明の介在物の抽出方法に従って実施した実施例について、説明する。
本実施例における実施条件については、以下の通りである。
[実施例]
以下に、本発明の介在物の抽出方法に従って実施した実施例について、説明する。
本実施例における実施条件については、以下の通りである。
工程(3)における酸溶解処理は以下の通りである。
サンプル材の酸溶解に先だって、まず、サンプル材表面のスケール除去を行う。
塩酸でサンプル材表面のスケールを除去する。スケール除去後、純水でサンプル材を洗浄する。
サンプル材の酸溶解は、以下の通りである。
サンプル材の酸溶解に先だって、まず、サンプル材表面のスケール除去を行う。
塩酸でサンプル材表面のスケールを除去する。スケール除去後、純水でサンプル材を洗浄する。
サンプル材の酸溶解は、以下の通りである。
・1Lビーカーに純水550mL、濃硝酸250mL、濃硫酸10mLを入れ、酸溶解液を調整する。
・1Lビーカー、1つあたり、試料約37.5gを投入する。試料150gの場合、1Lビーカー×4を使用する。
・ウォーターバス(恒温水槽)に入れ、水温80℃で4時間、溶解する。
・溶解後、純水で冷却する。
・1Lビーカー、1つあたり、試料約37.5gを投入する。試料150gの場合、1Lビーカー×4を使用する。
・ウォーターバス(恒温水槽)に入れ、水温80℃で4時間、溶解する。
・溶解後、純水で冷却する。
なお、酸溶解液、その濃度などについては、一例であり、本発明を実施することが可能であれば、これに限らない。
工程(4)において、酸溶解処理後のろ過(ろ紙α)については、メンブランろ過器(φ47mmメンブランフィルター(ろ紙)、孔径φ10μm)を用いて、溶解残渣を吸引して、ろ過する。
工程(4)において、酸溶解処理後のろ過(ろ紙α)については、メンブランろ過器(φ47mmメンブランフィルター(ろ紙)、孔径φ10μm)を用いて、溶解残渣を吸引して、ろ過する。
ろ紙α、1枚あたり、試料150g(ビーカー、4個)分の溶解液をろ過する。
工程(5)の残渣処理は以下の通りである。
フッ化アンモニウム水溶液による残渣処理に先立ち、残渣の洗浄を行う。
その残渣洗浄については、ろ紙α上の残渣を、純水、濃度3%の温水酸化ナトリウム水溶液、温塩酸(1+9)、エチルアルコールで洗浄する。
工程(5)の残渣処理は以下の通りである。
フッ化アンモニウム水溶液による残渣処理に先立ち、残渣の洗浄を行う。
その残渣洗浄については、ろ紙α上の残渣を、純水、濃度3%の温水酸化ナトリウム水溶液、温塩酸(1+9)、エチルアルコールで洗浄する。
目的は、ろ紙α上に残留するSiO2ゲルの除去することにある。また、塩酸(1+9):(濃塩酸:純水=1:9(体積比))としている。
フッ化アンモニウム水溶液の処理については、100mLのポリビーカーにて、濃度10%のフッ化アンモニウム(NH4F)水溶液5mLに、溶解残渣を5分間浸漬する。
なお、フッ化アンモニウム水溶液、その濃度などについては、一例であり、本発明を実施することが可能であれば、これに限らない。また、フッ化アンモニウム水溶液の浸漬については、溶解残渣が残留したろ紙αごと行ってもよい。
フッ化アンモニウム水溶液の処理については、100mLのポリビーカーにて、濃度10%のフッ化アンモニウム(NH4F)水溶液5mLに、溶解残渣を5分間浸漬する。
なお、フッ化アンモニウム水溶液、その濃度などについては、一例であり、本発明を実施することが可能であれば、これに限らない。また、フッ化アンモニウム水溶液の浸漬については、溶解残渣が残留したろ紙αごと行ってもよい。
工程(6)において、フッ化アンモニウム水溶液での処理後のろ過(ろ紙β)については、メンブランろ過器(φ25mmメンブランフィルター(ろ紙)、孔径φ10μm)を用いて、残渣を吸引してろ過する。
表1に、本発明の介在物の抽出方法に用いた鋼片の成分(mass%)を示す。
表1に、本発明の介在物の抽出方法に用いた鋼片の成分(mass%)を示す。
表1に示す成分の鋼片(□155mm×155mm)を用いて、分析対象とする介在物の抽出・評価を実施した。この鋼片中には、分析対象とする介在物(=Al2O3)が数個/150g程度、含有されている。
なお、当業者の間で通常実施されている酸溶解抽出方法においては、ろ紙1枚当たりの鋼材溶解量が150gであり、「ろ紙β上に残留する分析対象介在物の個数が数個程度である。」と同義である。
なお、当業者の間で通常実施されている酸溶解抽出方法においては、ろ紙1枚当たりの鋼材溶解量が150gであり、「ろ紙β上に残留する分析対象介在物の個数が数個程度である。」と同義である。
また、後述するCaO含有介在物に由来する残渣(後述する残渣A、残渣B)についても、鋼材150g当たりの個数として評価する。
対象とした鋼片については、鋳型380mm×630mmの連続鋳造機により鋳造した鋳片を、155mm×155mmまで分塊圧延したものである。
なお、前記鋼片の圧延による減面率は90%である。ただし、減面率とは元の断面積に対して減少した面積の比率であり、参考として、例えば、出荷製品では99.99%である。
対象とした鋼片については、鋳型380mm×630mmの連続鋳造機により鋳造した鋳片を、155mm×155mmまで分塊圧延したものである。
なお、前記鋼片の圧延による減面率は90%である。ただし、減面率とは元の断面積に対して減少した面積の比率であり、参考として、例えば、出荷製品では99.99%である。
また、対象とした鋼片中に含まれるCaO含有介在物は、分塊圧延を経て延伸し、針状となっている。
図1に、酸溶解法での溶解処理のみ(工程(2)を除く工程(1)〜工程(4))を実施した場合における、ろ紙上の残渣の一例を示す。
図1を参照すると、対象とした鋼片に対して酸溶解処理のみを実施した場合、針状のCaO含有介在物に由来する残渣が、ろ紙(孔径10μm)上に無数に残留していることがわかる。
図1に、酸溶解法での溶解処理のみ(工程(2)を除く工程(1)〜工程(4))を実施した場合における、ろ紙上の残渣の一例を示す。
図1を参照すると、対象とした鋼片に対して酸溶解処理のみを実施した場合、針状のCaO含有介在物に由来する残渣が、ろ紙(孔径10μm)上に無数に残留していることがわかる。
図2に、酸溶解法での溶解処理後に、フッ化アンモニウム水溶液による残渣処理(工程(2)を除く工程(1)〜工程(6))を実施した場合における、ろ紙上の残渣の一例を示す。
図2を参照すると、対象とした鋼片に対して酸溶解処理を行い、フッ化アンモニウム水溶液による残渣処理を実施した場合、図1で示したCaO含有介在物の大部分については、ろ紙上から除外されるが、CaO含有介在物の一部は溶け残って、ろ紙上に残留していることがわかる。
図2を参照すると、対象とした鋼片に対して酸溶解処理を行い、フッ化アンモニウム水溶液による残渣処理を実施した場合、図1で示したCaO含有介在物の大部分については、ろ紙上から除外されるが、CaO含有介在物の一部は溶け残って、ろ紙上に残留していることがわかる。
この残渣の構成成分の特徴は、以下に示す2点が挙げられ、これを「残渣A」と識別した。
・フッ化アンモニウムに由来するF成分を有する点
・SiO2成分が優先的に溶解された結果、相対的にSi成分が低く、Ca成分が高いという点
すなわち、残渣Aは、CaO-SiO2系のCaO含有介在物に由来する残渣であり、CaO含有介在物とフッ化アンモニウム水溶液との反応残渣と推定される。残渣Aは、のちに熱処理を実施することで低減する傾向が確認された。
・フッ化アンモニウムに由来するF成分を有する点
・SiO2成分が優先的に溶解された結果、相対的にSi成分が低く、Ca成分が高いという点
すなわち、残渣Aは、CaO-SiO2系のCaO含有介在物に由来する残渣であり、CaO含有介在物とフッ化アンモニウム水溶液との反応残渣と推定される。残渣Aは、のちに熱処理を実施することで低減する傾向が確認された。
また、酸溶解処理前に熱処理を実施した上で、上記と同様に介在物を抽出すると、「残渣A」に加えて、熱処理によって変質して生成した結晶相も、ろ紙上に残留した。
この残留した残渣は、酸やフッ化アンモニウム水溶液にほとんど溶解されず、鋼材から抽出される前の組成とほぼ同じ組成を有する。
この残渣を、「残渣B」と識別している。
この残留した残渣は、酸やフッ化アンモニウム水溶液にほとんど溶解されず、鋼材から抽出される前の組成とほぼ同じ組成を有する。
この残渣を、「残渣B」と識別している。
すなわち、残渣Bは、CaO-SiO2系のCaO含有介在物に由来する残渣であり、熱処理によって生じる結晶相の部分であると推定される。
以降、分析対象の介在物(Al2O3、ZrO2等の介在物)を、便宜上「残渣C」と呼称する。
まず、「事前準備」として、以下の(A1)〜(A5)の手順を実施する。
以降、分析対象の介在物(Al2O3、ZrO2等の介在物)を、便宜上「残渣C」と呼称する。
まず、「事前準備」として、以下の(A1)〜(A5)の手順を実施する。
(A1):工程(1)により採取されたサンプル材に対して、複数の任意条件で熱処理を実施する。
すなわち、この(A1)は、上で述べた工程(2)に対応するものである。
ここでは、熱処理の条件として「温度」と「時間」の検討を行った。
前提となる熱処理の手順については、以下の(i)〜(iii)通りである。
すなわち、この(A1)は、上で述べた工程(2)に対応するものである。
ここでは、熱処理の条件として「温度」と「時間」の検討を行った。
前提となる熱処理の手順については、以下の(i)〜(iii)通りである。
(i):所定温度に保持した大気雰囲気の炉内にサンプル材を入れる。
(ii):サンプル材を入れた際に低下した炉内温度が、所定温度に到達した時点を時間0(ゼロ)とし、所定の時間だけ保持する。
(iii):炉からサンプル材を取り出して水冷する。
図3に、炉内温度の推移イメージと、熱処理条件(温度、時間)の定義を示す。
(ii):サンプル材を入れた際に低下した炉内温度が、所定温度に到達した時点を時間0(ゼロ)とし、所定の時間だけ保持する。
(iii):炉からサンプル材を取り出して水冷する。
図3に、炉内温度の推移イメージと、熱処理条件(温度、時間)の定義を示す。
図3に示すように、熱処理温度の指標として炉内温度を採用し、熱処理時間を炉内温度が所定の温度に到達してからの時間と定義した。
熱処理温度については、800℃、900℃、1000℃、1100℃の条件とした。また、熱処理時間については、基本を10分とし、900℃で5分、1000℃で0分、2分、5分の条件とした。
(A2):熱処理したサンプル材に対し工程(3)〜(6)の抽出作業を実施する。
熱処理温度については、800℃、900℃、1000℃、1100℃の条件とした。また、熱処理時間については、基本を10分とし、900℃で5分、1000℃で0分、2分、5分の条件とした。
(A2):熱処理したサンプル材に対し工程(3)〜(6)の抽出作業を実施する。
なお、熱処理条件の検討に際しては、鋼材中に多量に存在するCaO含有介在物に由来する残渣の量を評価できればよいため、最終的に分析対象とする介在物の評価を行う際にはろ紙1枚当たり150gのサンプル材の抽出を行うが、ここでは簡便のため半分程度の量(〜75g程度)で実施した。
また、鋼材のサンプル材のサイズについては、以下の通りである。
また、鋼材のサンプル材のサイズについては、以下の通りである。
・サンプル材:15〜20mm角、厚さ=約5mm、サンプル材1片の重量=10〜15g程度、採取量=1000〜3000g程度
(A3):ろ紙β上に抽出された残渣(残渣A、B、Cを含む)のうち、分析対象外の介在物に由来する残渣(残渣A、残渣B)の量を計量する。
ろ紙β上に残留した、短径10μm以上の全残渣の組成を、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)により分析(EDX:Energy dispersive X-ray spectrometryによる半定量分析)した。
(A3):ろ紙β上に抽出された残渣(残渣A、B、Cを含む)のうち、分析対象外の介在物に由来する残渣(残渣A、残渣B)の量を計量する。
ろ紙β上に残留した、短径10μm以上の全残渣の組成を、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)により分析(EDX:Energy dispersive X-ray spectrometryによる半定量分析)した。
なお、φ25mmのろ紙βの1/4(=90°)部分を、代表とした。
分析した全残渣のうち、半定量値や組成からCaO含有介在物由来である「残渣A」及び「残渣B」の個数を計上した。
具体的には、CaO含有介在物が起因ではない残渣(例えば、鉄スケールなど)を除外した上で、「残渣A」「残渣B」を以下のように定義して、該当する個数を求めた。
分析した全残渣のうち、半定量値や組成からCaO含有介在物由来である「残渣A」及び「残渣B」の個数を計上した。
具体的には、CaO含有介在物が起因ではない残渣(例えば、鉄スケールなど)を除外した上で、「残渣A」「残渣B」を以下のように定義して、該当する個数を求めた。
・「残渣A」:SiO2/(Al2O3+SiO2+CaO)<0.3、且つ、F半定量値>1%
・「残渣B」:SiO2/(Al2O3+SiO2+CaO)>0.3
(A4):(A1)における任意の熱処理条件と、(A3)において計量した残渣量(残渣A、残渣Bの量)との関係を求める。
表2、図4に、各熱処理条件におけるCaO含有介在物由来の「残渣A」及び「残渣B」の個数をまとめたものを示す。
・「残渣B」:SiO2/(Al2O3+SiO2+CaO)>0.3
(A4):(A1)における任意の熱処理条件と、(A3)において計量した残渣量(残渣A、残渣Bの量)との関係を求める。
表2、図4に、各熱処理条件におけるCaO含有介在物由来の「残渣A」及び「残渣B」の個数をまとめたものを示す。
なお、表2の項目については、以下の通りである。
・鋼材溶解量:抽出に供した鋼材のサンプル材の重量
・個数:ろ紙βの面積1/4上に存在した「残渣A」、「残渣B」の個数
・換算個数密度:鋼材のサンプル材を150g溶解したときの「残渣A」及び「残渣B」の個数=(個数×4)/溶解量×150
(A5):(A4)にて求めた関係を用いて、工程(2)の熱処理条件を決定する。
・鋼材溶解量:抽出に供した鋼材のサンプル材の重量
・個数:ろ紙βの面積1/4上に存在した「残渣A」、「残渣B」の個数
・換算個数密度:鋼材のサンプル材を150g溶解したときの「残渣A」及び「残渣B」の個数=(個数×4)/溶解量×150
(A5):(A4)にて求めた関係を用いて、工程(2)の熱処理条件を決定する。
ここで、表2、図4を参照すると、熱処理温度:900℃、熱処理時間:10分で実施した場合、「残渣A」の換算個数=88個/150g、「残渣B」の換算個数=0個/150gであり、「残渣A」及び「残渣B」の合計個数が最少となることがわかる。
これにより、本実施形態においては、「残渣A」及び「残渣B」の合計個数が最少となる、熱処理温度:900℃、熱処理時間:10分で実施することが、最適な熱処理条件であると判断し、決定した。
これにより、本実施形態においては、「残渣A」及び「残渣B」の合計個数が最少となる、熱処理温度:900℃、熱処理時間:10分で実施することが、最適な熱処理条件であると判断し、決定した。
なおこのように、サンプル材に対する最適な熱処理条件を、例えば表2、図4などを用いて、予め検討して決定しておくことが、本発明の特徴である。
続いて、「実際の運用」において、工程(1)〜工程(7)の手順に従って、分析対象とする介在物(残渣C)の抽出評価を実施する。
工程(1)において、シリコン脱酸を実施した鋼材から、サンプル材を切り出して採取する。
続いて、「実際の運用」において、工程(1)〜工程(7)の手順に従って、分析対象とする介在物(残渣C)の抽出評価を実施する。
工程(1)において、シリコン脱酸を実施した鋼材から、サンプル材を切り出して採取する。
□155mm×155mmの鋼片から、15〜20mm角、厚さ=約5mm、重量=10〜15g程度の小片のサンプル材を、評価に必要な量(1000〜3000g程度)だけ、切断加工によって切り出して採取した。
工程(2)において、工程(1)により採取されたサンプル材に対して、(A5)で決定しておいた熱処理条件に基づき、熱処理を実施する。
工程(2)において、工程(1)により採取されたサンプル材に対して、(A5)で決定しておいた熱処理条件に基づき、熱処理を実施する。
事前に、(A1)〜(A5)で検討して決定しておいた熱処理条件で、熱処理をサンプル材に対して実施した。
すなわち、900℃の炉内(大気雰囲気)にサンプル材を装入し、炉内温度が900℃に到達した後、10分間保持したのちに、サンプル材を取り出して水冷した(図3参照)。
その後、工程(3)〜工程(7)を順に行うことで、ろ紙β上に分析対象外の介在物に由来する残渣を極力排除した上で、分析対象とする介在物を抽出して評価する。
すなわち、900℃の炉内(大気雰囲気)にサンプル材を装入し、炉内温度が900℃に到達した後、10分間保持したのちに、サンプル材を取り出して水冷した(図3参照)。
その後、工程(3)〜工程(7)を順に行うことで、ろ紙β上に分析対象外の介在物に由来する残渣を極力排除した上で、分析対象とする介在物を抽出して評価する。
つまり、工程(3)において、熱処理後のサンプル材を、酸溶解処理(酸溶解液)で溶解する。工程(4)において、酸溶解処理後の酸溶解液を、ろ紙αでろ過する。
酸溶解処理については、上で述べた手順の通りであり、サンプル材を酸溶解し、溶解残渣を、ろ紙αでろ過した。
続いて、工程(5)において、ろ紙αに残留した溶解残渣を、フッ化アンモニウム水溶液に浸漬する。工程(6)において、当該フッ化アンモニウム水溶液をろ紙βでろ過して、分析対象とする介在物を抽出する。
酸溶解処理については、上で述べた手順の通りであり、サンプル材を酸溶解し、溶解残渣を、ろ紙αでろ過した。
続いて、工程(5)において、ろ紙αに残留した溶解残渣を、フッ化アンモニウム水溶液に浸漬する。工程(6)において、当該フッ化アンモニウム水溶液をろ紙βでろ過して、分析対象とする介在物を抽出する。
その後、工程(7)において、乾燥後、電子顕微鏡などを用いて、ろ紙β上に残留した介在物を評価する。
なお、フッ化アンモニウム水溶液の処理については、上で述べた手順の通りに、実施した。
本発明によれば、鋼材中に含有される、Al2O3、ZrO2等の介在物(分析対象とする介在物)を酸溶解法によって抽出して評価するに際し、抽出後において、介在物の分析の妨げとなる、CaO-SiO2系などのCaO含有介在物に由来する残渣(実施例においては「残渣A」、「残渣B」)の残留を、低減させることが可能となり、分析対象とする介在物を抽出して評価することが、より効率的に且つ、精度よく行うことができる。
なお、フッ化アンモニウム水溶液の処理については、上で述べた手順の通りに、実施した。
本発明によれば、鋼材中に含有される、Al2O3、ZrO2等の介在物(分析対象とする介在物)を酸溶解法によって抽出して評価するに際し、抽出後において、介在物の分析の妨げとなる、CaO-SiO2系などのCaO含有介在物に由来する残渣(実施例においては「残渣A」、「残渣B」)の残留を、低減させることが可能となり、分析対象とする介在物を抽出して評価することが、より効率的に且つ、精度よく行うことができる。
なお、上記した本発明にかかる非金属介在物の抽出方法を行う手順としては、図5に示すフローチャートに従って行うとよい。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
Claims (1)
- シリコン脱酸を実施した鋼材中に存在するAl2O3、ZrO2を含む分析対象とする介在物を、以下の工程(1)〜工程(7)を経て、抽出して評価する方法において、
工程(1):前記鋼材からサンプル材を採取する。
工程(2):前記サンプル材に対して熱処理を実施する。
工程(3):前記熱処理したサンプル材を酸溶解法で溶解する。
工程(4):酸溶解後の処理液をろ紙αでろ過する。
工程(5):ろ紙α上の、分析対象とする介在物を含有する溶解残渣を、フッ化アンモニウム水溶液に浸漬して処理する。
工程(6):前記処理した液をろ紙βでろ過する。
工程(7):前記ろ紙β上の、前記分析対象とする介在物を評価する。
事前準備として、工程(2)で実施する熱処理の条件決定を行う、以下の(A1)〜(A5)の工程を実施する。
(A1):前記工程(1)で採取したサンプル材に対して、複数の任意条件で熱処理を実施する。
(A2):前記熱処理したサンプル材に対し前記工程(3)〜(6)の抽出作業を実施する。
(A3):前記ろ紙β上に抽出された残渣のうち、分析対象外の介在物に由来する残渣の量を計量する。
(A4):前記(A1)における任意の熱処理条件と、前記(A3)において計量した残渣量との関係を求める。
(A5):前記(A4)にて求めた関係を用いて、前記工程(2)の熱処理条件を決定する。
実際の運用において、
前記工程(1)により前記鋼材からサンプル材を採取し、
前記工程(2)において、前記工程(1)で採取した前記サンプル材に対して、前記(A5)で決定しておいた熱処理条件に基づき、熱処理を実施し、
その後、前記工程(3)〜前記工程(7)を順に行うことで、前記ろ紙β上に前記分析対象とする介在物を抽出して評価する、
ことを特徴とする非金属介在物の抽出評価方法。
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JP2018018344A JP2019135469A (ja) | 2018-02-05 | 2018-02-05 | 非金属介在物の抽出評価方法 |
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