JPWO2010106907A1 - 太陽電池裏面封止材用フィルム、それを用いた太陽電池裏面封止材および太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池裏面封止材用フィルム、それを用いた太陽電池裏面封止材および太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】耐光性、耐湿熱性、意匠性、及び最外層で用いる場合に必要な端子ボックス接着用シリコーン樹脂との密着力にも優れた太陽電池裏面封止材用フィルム、太陽電池裏面封止材及びそれを用いた太陽電池モジュールを提供する。【解決手段】本発明の太陽電池裏面封止材用フィルムは、ポリエチレンナフタレートフィルム又はポリフェニレンスルフィドフィルムの少なくとも片面に、紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させた樹脂、着色顔料及び可塑剤を含む樹脂層が積層されたものである。また、本発明の太陽電池裏面封止材は、本発明の太陽電池裏面封止材用フィルムの樹脂層が積層された側とは反対側の面に、白色フィルム、無機酸化物蒸着層を有するフィルム及びエチレン−酢酸ビニル共重合体との熱接着性を有するフィルムからなる群より選ばれた少なくとも1つのフィルムが積層されたものである。【選択図】なし

Description

本発明は、長期にわたる過酷な屋外環境下での使用に耐え得る耐光性、耐湿熱性を有し、なおかつ意匠性、最外層で用いる場合に必要な端子ボックス接着用シリコーン樹脂との密着力にも優れた着色層を有する太陽電池裏面封止材用フィルム、及びそれを用いた太陽電池裏面封止材、太陽電池モジュールに関する。
近年、石油、石炭をはじめとする化石燃料の枯渇が危ぶまれ、これらの化石燃料により得られる代替エネルギーを確保するための開発が急務とされている。このため原子力発電、水力発電、風力発電、太陽光発電等の種々の方法が研究され、実際の利用に及んでいる。太陽光エネルギーを電気エネルギーに直接変換することが可能な太陽光発電は、半永久的で無公害の新たなエネルギー源として実用化されつつあり、実際に利用される上での価格性能比の向上が目覚しく、クリーンなエネルギー源として非常に期待が高い。
太陽光発電に使用される太陽電池は、太陽光のエネルギーを直接電気エネルギーに変換する太陽光発電システムの心臓部を構成するものであり、シリコンなどに代表される半導体からできている。その構造としては、太陽電池素子を直列、並列に配線し、20年程度の長期間にわたって素子を保護するために種々のパッケージングが施され、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットは太陽電池モジュールと呼ばれ、一般に太陽光が当たる面をガラスで覆い、熱可塑性樹脂からなる充填材で間隙を埋め、裏面を封止シートで保護した構成となっている。熱可塑性樹脂からなる充填材としては、透明性が高く、耐湿性にも優れているという理由でエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(以下、EVA樹脂)が用いられることが多い。一方、裏面封止材には、機械強度、耐候性、耐熱性、耐水性、耐化学薬品性、光反射性、水蒸気遮断性、EVA樹脂に代表される充填材との熱接着性、意匠性、最外層の端子ボックス取り付け用シリコーン系樹脂との密着力といった特性が要求されるだけではなく、紫外線に暴露されることから耐光性に優れることが要求される。
従来から用いられている裏面封止材用フィルムとしては、白色又は黒色のポリフッ化ビニルフィルム(デュポン(株)、商品名:テドラー(登録商標))が例示でき、該フィルムでポリエステルフィルムをサンドイッチした積層構成の裏面封止材は当該用途で幅広く用いられている。また、ポリプロピレン系樹脂フィルムに、黒色化剤、紫外線吸収剤、光安定化剤が配合された耐候性フィルム(特許文献1)や、ポリフェニレンスルフィドフィルムに無機酸化物材料を蒸着した耐候性フィルムも提案されている(特許文献2)。
特開2003−152206号公報 特開2005−86104号公報
しかしながら、前記のポリフッ化ビニルフィルムは、耐候性に優れたフィルムであるが、一方で機械的強度が弱く、太陽電池モジュール作製時に加えられる140〜150℃の熱プレスの熱により軟化し、太陽電池素子電極部の突起物が充填材層を貫通することがある。さらに、高価であるために太陽電池モジュールの低価格化の点でも障害となる。
また、特許文献1に記載の通り、黒色顔料が練り込まれ、製膜された黒色フィルムなどの場合には、顔料成分の光吸収能により紫外線暴露に伴うフィルム外観の変化が小さいという観点では、ある程度の耐UV性を有するが、主材料の樹脂は耐光化されていないため、例えば破断強伸度などに代表されるフィルム特性そのものは、紫外線照射に伴い序々に低下するといった問題もある。また、近年太陽電池モジュールそのものの長寿命化に関する開発が活発に行われているのに併せて、欧州を中心に太陽電池モジュールが地上面に斜め立てかけ型に設置される場合が増えている。そのようなケースでは地表面からの照り返しの紫外線に長期にわたり暴露されるため、裏面封止材の外層面に長期にわたり安定な耐光性を有する層が形成されていない場合には、封止材は劣化し、極端な場合には封止材にクラックなどが発生し、電気絶縁性や水蒸気遮断性などシートに要求される種々の特性が損なわれる懸念もある。
また、特許文献2で用いているポリフェニレンスルフィドフィルムは、耐加水分解性に極めて優れており、太陽電池裏面封止材用フィルムとして好適であるが、紫外線および可視光で劣化してしまう。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような構成を採用する。すなわち、
(1) 基材フィルムがポリエチレンナフタレートフィルム又はポリフェニレンスルフィドフィルムであり、該基材フィルムの少なくとも片面に、紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させた樹脂、着色顔料及び可塑剤を含む樹脂層が積層された太陽電池裏面封止材用フィルム。
(2) 前記紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させた樹脂が、アクリルポリオール系樹脂である(1)の太陽電池裏面封止材用フィルム。
(3) 前記基材フィルムがポリフェニレンスルフィドフィルムであり、前記着色顔料が黒色顔料である(1)又は(2)の太陽電池裏面封止材用フィルム。
(4) 前記可塑剤が、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤およびフタル酸エステル系可塑剤からなる群より選ばれた少なくとも1種である(1)〜(3)のいずれかの太陽電池裏面封止材用フィルム。
(5) 前記樹脂層が、脂肪族系ポリイソシアネート樹脂、脂環族系ポリイソシアネート樹脂及び芳香脂肪族系ポリイソシアネート樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のポリイソシアネート樹脂を含む(1)〜(4)のいずれかの太陽電池裏面封止材用フィルム。
(6) (1)〜(5)のいずれかの太陽電池裏面封止材用フィルムを用いてなる太陽電池裏面封止材。
(7) (1)〜(5)のいずれかの太陽電池裏面封止材用フィルムの樹脂層が積層された側とは反対側の面に、白色フィルム、無機酸化物蒸着層を有するフィルム及びエチレン−酢酸ビニル共重合体との熱接着性を有するフィルムからなる群より選ばれた少なくとも1つのフィルムが積層された太陽電池裏面封止材。
(8) (6)又は(7)に記載の太陽電池裏面封止材とシリコンセル充填材層面とを接着してなる太陽電池モジュール。
本発明によれば、長期にわたる過酷な屋外環境下での使用に耐え得る耐光性、耐湿熱性を有し、なおかつ意匠性、最外層で用いる場合に必要な端子ボックス接着用シリコーン樹脂との密着力にも優れた着色層を有する太陽電池裏面封止材用フィルムが得られる。
また、本発明の太陽電池裏面封止材用フィルムを用いれば、シリコンセル充填材層との密着力、光線反射率に優れ、太陽電池モジュールの性能を向上させ、その性能を長期にわたり保持可能とし得る太陽電池裏面封止材が得られる。
[太陽電池裏面封止材用フィルム]
本発明の太陽電池裏面封止材用フィルムは、ポリエチレンナフタレートフィルム又はポリフェニレンスルフィドフィルムの少なくとも片面に、紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させた樹脂、着色顔料及び可塑剤を含む樹脂層を積層した構成とすることで、従来よりも優れた耐光性、耐湿熱性を有し、なおかつ意匠性、最外層で用いる場合に必要な端子ボックス接着用シリコーン樹脂との密着力にも優れた着色フィルムが得られるものである。
本発明の太陽電池裏面封止材用フィルムは耐光性や耐湿熱性に優れるため、太陽電池裏面封止材構成において、外気(湿度、温度)や地表面からの照り返しの紫外線に直接曝される最外層に好適に用いることができる。
[基材フィルム]
本発明における基材フィルムとしては、厳しい外部環境に対する耐性を有し、外気に直接曝される太陽電池裏面封止材の最外層に用いることができるという観点より、耐湿熱性に優れるポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、又は耐湿熱性、難燃性に極めて優れるポリフェニレンスルフィド(PPS)フィルムを使用する。本発明ではPPSフィルムに東レ(株)製 トレリナ(登録商標)を用いることができ、トレリナは優れた耐熱性、電気絶縁性を有することからフィルムコンデンサ誘電体やモーター・トランス用電気絶縁体として利用されている。一方、PENフィルムには、帝人デュポンフィルム(株)製 テオネックス(登録商標)を用いることができ、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに比べて、ガス・紫外線バリア性、機械強度が高いため、ビール用ボトルや、APS写真フィルム、電子部品用素材として利用されている。
また、基材フィルムには、必要に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、充填剤、着色顔料等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加した樹脂フィルム等も用いることができる。
基材フィルムの厚みは3〜250μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは5〜100μmの範囲である。厚みを3μm以上とすることで、製膜時の破れやピンホールキズの発生を防ぐことができ、また厚みを250μm以下とすることで、生産コストを抑えることができる。
[樹脂層]
本発明における基材フィルムに積層する樹脂層は、(1)紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させた樹脂、(2)着色顔料、及び(3)可塑剤とで構成されている。一般に、樹脂層に紫外線カット性能を付与し、耐光性を向上させる手法としては、有機系紫外線吸収剤や無機系紫外線吸収剤を単独で、あるいは複数種を混合してバインダー樹脂に混ぜ、さらに光により励起されるラジカルを失活させるメカニズムによって光安定性を増す目的で光安定化剤(HALS)を併用する。しかし、バインダー樹脂に紫外線吸収剤や光安定化剤を後添加して形成した樹脂層では、高温加湿環境下、あるいは紫外線受光に伴い、紫外線吸収剤や光安定化剤が塗膜中から塗膜表面にブリードアウトし、ぬれ性、塗膜表面の密着力などが変化するだけでなく、当初発現していた紫外線カット性能が失われるといった不具合を生じやすい。これに対して、本発明ではバインダー樹脂に紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させることで、紫外線吸収剤や光安定化剤が塗膜表面にブリードアウトすることを防ぎ、紫外線カット性能を長期にわたり保持することができる。バインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂などと比較して、比較的耐光性に優れるアクリル系樹脂が好ましい。また、基材フィルムとの密着力向上を目的に、あるいは本発明の太陽電池裏面封止材用フィルムを用いた太陽電池裏面封止材は、太陽電池モジュール製造工程において高温処理に曝されることから、樹脂層の耐熱性向上を目的に、適切な架橋構造を導入可能なようにアクリル系樹脂の中でも特にアクリルポリオール系樹脂が好ましい。
紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を固定させる共重合モノマーとしては、アクリル系、スチレン系などのビニル系モノマーが汎用性が高く、経済的にも好ましい。かかる共重合モノマーの中でも、スチレン系ビニルモノマーは芳香族環を有しているため、黄変しやすく、耐光性という点では、アクリル系ビニルモノマーとの共重合が最も好ましく使用される。従ってアクリル系樹脂を構成する1つの重合モノマー成分は、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びビニルエステルからなる群のうち1つ以上の不飽和化合物である。
使用できる不飽和カルボン酸エステルとしてはメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
使用できる不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸等が挙げられる。
使用できるその他の単量体としては、ブタジエン、エチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。好ましいのは、不飽和カルボン酸エステルである。不飽和カルボン酸エステルのうちメチルメタクリレート、メチルアクリレートが汎用性、価格、対光安定性の観点から特に好ましい。
次に樹脂層の耐熱性向上を目的に導入する架橋構造の基点となる水酸基を導入し、アクリルポリオール系樹脂とするための重合モノマーについて説明する。アクリル樹脂に水酸基を与える目的で用いる重合モノマー成分としては、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシビニルエーテル、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート等の不飽和化合物の単量体が挙げられる。これらの水酸基を有する不飽和化合物は単独で、または2種類以上組み合わせて選択することができる。
本発明における樹脂層の厚みは0.2〜5μmが好ましく、さらに好ましくは1〜4μm、特に好ましくは2μ〜4μmである。この樹脂層を塗布方法により形成する場合、樹脂層の厚みが0.2μm以上であると、塗工時にはじきや膜切れといった現象を生じにくく、均一な塗膜を形成し易い。その結果、基材フィルムに対する密着力、何より紫外線カット性能が十分に発現するので好ましい。樹脂層の厚みが5μm以下であると、厚膜塗布が可能な特異プロセスを用いなくとも通常の塗布装置で塗布できるので塗工方式に制約を生じることがなく、生産コストを抑えることができるので好ましい。さらに、搬送ロールへの塗膜粘着やそれに伴う塗膜の剥がれ等を生じにくくなるので好ましい。
本発明における樹脂層を塗布用法により形成するためのコーティング液の溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノールおよび水等を例示することができ、該コーティング液の性状としてはエマルジョン型および溶解型のいずれでも良い。
樹脂層を基材フィルム上に形成する方法は特に制限されるべきものではなく、公知のコーティング手法を用いることができる。コーティング手法としては、種々の方法を適用することができ、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法等や、これらを組み合わせた方法を利用することができる。なかでも、グラビアロールコーティング法は、コーティング層形成組成物の安定性を増す理由で好ましい方法である。
[紫外線吸収剤]
前記バインダー樹脂と共重合させる紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤が例示できる。具体的には、例えば、サリチル酸系のp−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、ベンゾフェノン系の2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、ベンゾトリアゾール系の2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、シアノアクリレート系のエチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート)、その他として、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールなどやこれらの変性物、重合物、誘導体などが例示できる。
[光安定化剤]
また、同様に前記バインダー樹脂と共重合させる光安定化剤としては、ヒンダードアミン系等の光安定化剤が挙げられる。具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)〔[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル〕ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、デカン二酸ビス[2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ]−4−ピペリジニル]エステルなどやこれらの変性物、重合物、誘導体などが例示できる。
これらの紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤をバインダー樹脂、特にアクリルポリオール系樹脂に共重合する製造方法等については、特開2002−90515の〔0019〕〜〔0039〕に詳細に開示されている。中でもアクリルモノマーと紫外線吸収剤の共重合物を有効成分として含むハルスハイブリッド(登録商標)((株)日本触媒製)などを使用することができる。
[着色顔料]
本発明において用いる着色顔料は、(1)樹脂層に発色させる、(2)色調の維持(退色しない)、(3)紫外線及び/又は可視光カット、という目的で選定し、用いる。太陽電池裏面封止材としては、光反射性及び意匠性の観点から白色のシートが主流であるが、シートを黒色にすると、発電素子間の隙間が白色に見える白色シートと比較して意匠性に優れる。また、これらの顔料自体も特定の波長の光線を吸収及び/又は反射することから、着色することにより光線から基材シートを保護するという効果が得られる。また、太陽電池モジュール内の電気配線パターンなどの設計パターンを目隠しできるという効果もある。さらに、本発明における基材フィルムであるポリエチレンナフタレートフィルムは、紫外線により劣化するため樹脂層に紫外線カット性能が必要であり、さらにポリフェニレンスルフィドフィルムは、紫外線だけでなく可視光でも劣化するため、紫外〜可視光領域の光をカットする必要がある。そのためポリフェニレンスルフィドフィルムを使用する際は、樹脂層を黒色にすることにより樹脂層で紫外線及び可視光を遮蔽し、該フィルムの劣化を防止する。
白色顔料としては、耐紫外線性を有する酸化チタンが好ましい。発色の観点から、その数平均粒子径は0.1〜1.0μmが好ましく、アクリルポリオール系樹脂に対する分散性やコストの観点からより好ましくは0.2〜0.5μmである。
黒色顔料としては、無機顔料、有機顔料等の各種着色顔料を使用できるが、汎用性、価格、発色性能、また耐紫外線性の観点からカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの平均粒子径は、発色の観点から0.01〜0.5μmが好ましく、バインダー樹脂に対する分散性やコストの観点も考慮すると0.02〜0.1μmがより好ましい。
前記着色顔料の配合量に関しては、発色させたい色調の設計に合わせて適宜調整すれば良い。ただし、顔料配合量が少なすぎる場合には意匠性に優れた色調外観が得られないこと、逆に配合量が多すぎる場合にはコストが高くなること、樹脂層の硬度が大幅に向上することによる基材および端子ボックス接着用シリコーン樹脂との密着力不良を生じやすくなるなどの理由から、バインダー樹脂に紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させた樹脂100質量部に対し10〜500質量部の範囲が好ましい。
[可塑剤]
次に本発明の樹脂層に含む可塑剤について説明する。本発明において、特に樹脂層のバインダー樹脂としてアクリルポリオール系樹脂を用いた場合、樹脂層に可塑剤を含有する効果が顕著に現れる。本発明における可塑剤は、基材フィルムと、アクリルポリオール系樹脂及び着色顔料を含む樹脂層、また該樹脂層と端子ボックス接着用シリコーン樹脂との密着力向上に貢献する。元来、アクリルポリオール系樹脂は種々の樹脂フィルムに対する密着力が特段悪い樹脂材料ではないが、樹脂層の着色を目的に着色顔料を比較的高い濃度で配合した場合には樹脂層の硬度が高まり、さらに樹脂層中のアクリルポリオール系樹脂の濃度が相対的に低下するために、基材フィルムと樹脂層との間、及び樹脂層と端子ボックス接着用シリコーン樹脂との間の密着力は低下する傾向にある。そこで、アクリルポリオール系樹脂と比較して樹脂軟化点が低い傾向にある可塑剤成分を配合することで樹脂層の硬度を調整し、基材フィルム及び端子ボックス接着用シリコーン樹脂との密着力を向上させることができる。本発明で用いる可塑剤としては、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤又はこれらの組み合わせが耐熱性、耐候性、コスト、汎用性などの観点から好ましい。
ポリエステル系可塑剤としては、例えばアジピン酸系可塑剤が好ましく用いられる。エポキシ系可塑剤としては、例えば、エポキシ化脂肪酸エステルが好ましく用いられる。エポキシ系可塑剤としては、エポキシ化植物油も用いることができ、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油が例示できる。フタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシソデシル、又は、フタル酸ジブチル等が好ましく用いられる。
本発明に用いられる可塑剤としては、例えばポリエステル系可塑剤であるDIC社製ポリサイザーW−220EL、エポキシ系可塑剤であるDIC社製エポサイザーW−121、エポキシ化大豆油系可塑剤であるDIC社製エポサイザーW−100−EL、フタル酸エステル系可塑剤であるDIC社製ジオクチルフタレートなどが挙げられる。
可塑剤の配合量に関しては、アクリルポリオール系樹脂に紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させた樹脂100質量部に対し、4〜40質量部の範囲が好ましく、より好ましくは10〜30質量部である。可塑剤の配合量が4質量部以上であると密着力等の改善効果が現れる。可塑剤の配合量が40質量部以下であると、樹脂層中に占める紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を含むアクリルポリオール系樹脂の相対量が充分にあるために、樹脂層自体の耐紫外線性や、基材フィルムを紫外線から保護する機能(紫外線遮断性能)が損なわれることがない。
[その他添加剤]
さらに、本発明における樹脂層には、その特性を損なわない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化剤、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤などを添加してもよい。
使用できる熱安定剤、酸化防止剤及び劣化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、硫黄化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
使用できる強化剤としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。
[架橋剤]
また、前記の通り、樹脂層の特性向上の目的でアクリルポリオールの水酸基と反応し得る官能基を有する架橋剤を配合しても良い。架橋剤を併用した場合には、基材フィルムと樹脂層との間の密着力の向上、あるいは架橋構造の導入に伴う樹脂層の耐熱性向上といった効果が得られる。特に、本発明における樹脂層が最外層に位置するように太陽電池裏面封止材の設計を施した場合には、太陽電池モジュール製造工程、具体的にはガラスラミネート工程(セル充填工程)において、樹脂層が最大150℃程度の高温下で、長い場合には30分以上の熱処理に曝されるため、特に耐熱性が要求される。本発明では、アクリルポリオール系樹脂と紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤とを共重合させた樹脂を用いることから、該樹脂が有する水酸基と反応し得る架橋剤の使用が可能であり、中でもポリイソシアネート系樹脂を硬化剤として使用し、ウレタン結合(架橋構造)の生成を促す処方が好ましい。架橋剤として用いるポリイソシアネート系樹脂としては、芳香族系ポリイソシアネート、芳香脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネートおよび脂肪族系ポリイソシアネート等が例示でき、各々以下に示すジイソシアネート化合物を原料とする樹脂である。
芳香族系ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、m−またはp−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4′−、2,4′−又は2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、および4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等が例示される。
芳香脂肪族系ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート(XDI)や、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が例示される。
脂環族系ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、4,4′−、2,4′−または2,2′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、および1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)等が例示される。
脂肪族系ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−、2,3−または1,3−ブチレンジイソシアネート、および2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
ポリイソシアネートの原料としては、これらのジイソシアネートを複数種組み合わせて用いること、ビューレット変性体、ヌレート変性体などの変性体として用いることも可能である。中でもポリイソシアネートの原料としては、樹脂骨格中に紫外線域の光の吸収帯を有する芳香環を含有する樹脂は、紫外線照射に伴い黄変し易いことから、脂環族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートを主成分とする硬化剤を用いることが好ましい。さらに、太陽電池モジュールの仕上げ工程で、太陽電池裏面封止材の最外層に付着した樹脂や汚れを拭き取るためにエタノールを用いることが多く、太陽電池裏面封止材の最外層に耐エタノール性が求められるが、脂環族ポリイソシアネートを主成分とする硬化剤を用いることで、脂肪族ポリイソシアネートより樹脂層の硬化が進み、耐エタノール性が向上するため、脂環族ポリイソシアネートを使用することが好ましい。また、アクリルポリオール系樹脂との架橋反応の易進行性、架橋度、耐熱性、耐紫外線性などの観点からヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート変性体が好ましい。
[接着剤層]
本発明によって得られる太陽電池裏面封止材用フィルムと他の樹脂フィルムを積層することで太陽電池裏面封止材が得られるが、フィルムを積層させてシート状に加工する手法としては、公知のドライラミネート法が利用できる。ドライラミネート法を用いた樹脂フィルムの貼り合わせには、ポリエーテルポリウレタン系、ポリエステルポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエポキシ系樹脂などを主剤とし、ポリイソシアネート系樹脂を硬化剤とする公知のドライラミネート用接着剤を用いることができる。ただし、これらの接着剤を用いて形成される接着剤層には、接着強度が長期間の屋外使用で劣化することに起因するデラミネーションなどを生じないこと、光線反射率の低下につながる黄変を生じないことなどが必要である。また、接着剤層の厚みとしては、好ましくは1〜5μmの範囲である。1μm未満であると十分な接着強度が得られ難い場合がある。一方、5μmを越えると接着剤塗工のスピードが上がらない、接着力を発現させる(主剤及び硬化剤間の架橋反応を促進する)目的で行うエージングに長時間を要すること、さらには接着剤使用量が増加することなどを理由に生産コストが上がるため、好ましくない。
本発明にかかる接着剤層の形成に用いる材料としては、公知のドライラミネート用接着剤を使用することができる。一般にドライラミネート用接着剤は主剤および架橋剤の2つの樹脂を希釈溶媒で希釈して調合したものが用いられるが、架橋剤としては活性水酸基との反応性に富み、その反応速度及び初期密着力の発現が早いイソシアネート基含有ポリマーを用いる処方が好ましい。これらの利点に加えて、基材フィルムとの接着強度が高く、さらにその接着強度の恒温安定性、長期耐久性にも優れる接着性樹脂層を形成することができる。このイソシアネート基含有ポリマーと組合せて用いる主剤樹脂としては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリオール系などのウレタン系樹脂やエポキシ系樹脂を例示することができ、詳細な要求特性、加工条件適性に応じて、適宜選択して用いることができる。また、太陽電池裏面封止材の構成によっては、上記の接着剤層にも紫外線が到達し、樹脂の光劣化を誘引することも考えられる。そのような観点から、接着剤層の形成に用いる樹脂としては芳香環を含有しない、あるいは含有量の少ない脂肪族系樹脂あるいは脂環族系樹脂が好ましい。
[太陽電池裏面封止材]
次に、本発明の太陽電池裏面封止材用フィルムを用いた太陽電池裏面封止材について記す。太陽電池裏面封止材には水蒸気遮断性、光反射性、長期耐湿熱・耐光耐久性、対セル充填剤密着力、電気絶縁性などに代表される種々の特性が要求される。現在、これらの要求特性を満たすべく、機能分割の考え方に則って、種々の機能性フィルム、蒸着、ウェットコーティングなどの加工技術を組み合わせた各社各様のシート設計(積層設計)がなされている。
本発明では、本発明の太陽電池裏面封止材用フィルムに、白色フィルム、無機酸化物蒸着層を有するフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体との熱接着性を有するフィルムの1つ以上を積層することにより、各種要求特性を満たす太陽電池裏面封止材を得る。好ましくは、太陽電池裏面封止材用フィルムの基材フィルムとは異なる種類のフィルムを積層することである。特に、太陽電池モジュールに組み込んだときに外側となる太陽電池裏面封止材の部分には、耐加水分解性を有する本発明の太陽電池裏面封止材用フィルムを、その樹脂層が外側を向くように配する設計が好ましい。耐加水分解性を有するフィルムを配すことで、それよりも内層側に位置する層(接着剤層、フィルム層など)は加水分解から守られる。また、最外層側に紫外線及び/又は可視光カット性能を有する樹脂層が位置するため、この樹脂層より内側の層は紫外線及び/又は可視光から保護される。一方、本発明の太陽電池裏面封止材用フィルムの樹脂層が積層された側とは反対側の面に、白色フィルム、無機酸化物蒸着層を有するフィルム及びエチレン−酢酸ビニル共重合体との熱接着性を有するフィルムからなる群より選ばれた少なくとも1つのフィルムが積層されるのが好ましい。白色フィルムを積層した場合には光反射性が付与され、無機酸化物蒸着層を有するフィルムを積層した場合には水蒸気遮断性が付与され、またエチレン−酢酸ビニル共重合体との熱接着性を有するフィルムを積層した場合には対セル充填材層密着力が付与される。また、本発明の太陽電池裏面封止材用フィルムに積層するフィルムは必ずしも1枚である必要はなく、付与したい特性に応じて、適宜各部材フィルムを組み合わせ、太陽電池裏面封止材を設計すれば良い。
また、太陽電池裏面封止材の構成中、本発明における樹脂層上も含めて、いずれかの層に機能性付与を目的とする蒸着層、スパッタ層、ウェットコーティング層などが形成されていても良い。
以下、白色フィルム、無機酸化物蒸着を有するフィルムについて説明する。
[白色フィルム]
白色フィルムは、バックシートまで入射してきた光を反射させて半導体素子におけるエネルギー変換を補助し、発電効率を向上させる目的で用いられ、セルに近い層に配されるのが好ましい。白色フィルムは、好ましくは、波長λ=550nmの反射率が、30%以上のフィルムであり、より好ましくは、反射率が40%以上のフィルム、さらに好ましくは、反射率が50%以上のフィルムである。中でも、強度、寸法安定性、熱安定性に優れていることからポリエステル樹脂フィルムが好ましく、さらに安価であることからPETやPEN等のポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
白色顔料としては、酸化チタンや酸化亜鉛を利用することができ、混錬することで白色度が80%以上、不透明度が80%以上の白色樹脂フィルムとする。また、白色樹脂フィルムには、必要に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、充填剤等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加した樹脂フィルム等も用いることができる。
上記樹脂フィルムの厚みは、特に制限されるものではないが、封止シートの耐電圧特性、コスト等を勘案すると、25〜250μmの範囲が好ましい。
[水蒸気遮断性フィルム]
太陽電池裏面封止材には、水蒸気バリア性を付与する目的で蒸着法等により少なくとも一層の無機酸化物層が形成されている水蒸気遮断性フィルムを用いても良い。本発明における「水蒸気遮断性フィルム」とはJIS K7129(2000年版)に記載のB法にて測定される水蒸気透過率が5g/(m・day)以下の樹脂フィルムである。水蒸気遮断性樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂フィルムやポリプロピレンなどのオレフィン系フィルムの少なくとも一方の表面に、蒸着法等により少なくとも一層の金属薄膜層や無機酸化物層を設けたフィルムが挙げられるが、太陽電池用裏面封止材としては、電気絶縁性が高いことが要求されるため、導電性層である金属薄膜層ではなく、無機酸化物層の方が好ましい。蒸着等により無機酸化物層が設けられたフィルムのガスバリア性は、少なくとも基材であるポリエステル系樹脂フィルムの熱寸法安定性に起因するため、ポリエステル系樹脂フィルムは二軸方向に延伸されたフィルムであることが好ましい。
上記樹脂フィルムの厚みは、無機酸化物層を形成する時の安定性やコスト等の理由から、好ましくは1〜100μmの範囲であり、より好ましくは5〜50μmの範囲であり、特に好ましくは10〜30μm程度が実用的である。
本発明において形成される無機酸化物層を構成する無機酸化物としては、金属酸化物および金属窒化酸化物等を例示することができる。無機酸化物層を構成する金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化錫、酸化インジウム合金および酸化珪素等を例示することができ、また金属窒化酸化物としては、酸化窒化珪素等を例示することができる。特に、水蒸気遮断性および生産効率の点などから、酸化アルミニウム、酸化珪素および酸化窒化珪素などの無機酸化物やこれらの混合物が好ましく用いられる。
無機酸化物層の膜厚は、用いられる無機物の種類や構成により適宜選択されるが、一般的には2〜300nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜100nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜50nmの範囲である。膜厚が300nmを超えると、特に金属酸化物層の場合にはそのフレキシビリティ(柔軟)性が低下し、製膜後(後加工工程等において)の折り曲げ、引っ張りなどの外力で、薄膜に亀裂やピンホール等を生じる恐れがあり、水蒸気遮断性が著しく損なわれることがある。また、無機物層の形成スピードが低下するため、生産性を著しく低下させることがある。一方、2nm以上の膜厚にすることで、均一な膜が得られ、さらには膜厚が十分であるため、水蒸気遮断性の機能を十分に発現することができる。
さらに、樹脂フィルムに必要に応じて、例えば、コロナ放電やプラズマ放電等の放電処理、あるいは酸処理等の表面処理を行ってもよい。
本発明の製造法の一例として、次の方法が挙げられる。
本発明の太陽電池裏面封止材用フィルムは、基材フィルムとして、例えば東レ(株)製のポリフェニレンスルフィド(PPS)フィルム トレリナ(登録商標)を用いて、塗剤として、紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させたアクリルポリオール系樹脂、黒色顔料、及び可塑剤を含む塗料をビーズミル機を用いて分散した後、架橋剤としてヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂を添加して塗料を調製し、該基材フィルムにグラビアロールコーティング法を用いてコーティングすることで太陽電池裏面封止材用フィルムを得ることができる。また、本発明の太陽電池裏面封止材は、本発明の太陽電池裏面封止材用フィルムの樹脂層が積層された側とは反対側の面に、白色フィルム、無機酸化物蒸着層を有するフィルム及びエチレン−酢酸ビニル共重合体との熱接着性を有するフィルムからなる群より選ばれた少なくとも1つのフィルムをドライラミネート法を用いてラミネートすることで得ることができる。
次に、実施例を挙げて、具体的に本発明の太陽電池裏面封止材用フィルム及びそれを用いた太陽電池裏面封止材について説明する。実施例中で「部」とは、特に注釈のない限り「質量部」であることを意味する。
<特性の評価方法>
本発明で用いた特性の評価方法は、下記のとおりである。
(1)塗布量測定
耐光性コート層(樹脂層)の塗布量は、コート層形成後に500cmの面積に切り出し、その試験片の質量を質量(1)とした。次に、その試験片から樹脂層をメチルエチルケトンに溶解させ、剥がし取り、再び試験片の質量を測定し、質量(2)とした。続いて、下式に基づき、単位面積当たりの塗布量を算出した。この塗布量測定を3つの試験片について行い、その平均値を塗布量とした。
・塗布量[g/m]={(質量(1))−(質量(2))}×20。
(2)破断強伸度の測定
太陽電池裏面封止材用フィルムの破断強伸度の測定は、JIS C 2151(2006年度版)に基づいて、フィルムの機械方向に対して実施した。
(3)光線カット性能の評価(分光スペクトル測定)
太陽電池裏面封止材用フィルムの光線カット性能は、JIS K 7105(2006年度版)に基づいて、島津製作所社製紫外可視近赤外分光光度計UV−3150を使用し分光スペクトルの測定を実施した。光線カット性能については、紫外線領域は特に360nmの波長、可視光領域は特に600nmの波長の透過率を測定することで評価した。
(4)基材フィルム/耐光性コート層(樹脂層)間の密着強度評価
作製した太陽電池裏面封止材用フィルムの基材フィルムと耐光性コート層(樹脂層)との間の密着力(塗膜密着力)について、JIS K 5400(1990年版)に記載の方法に基づいてクロスカット試験を実施し、下記の特性分類をした。
++:100マス塗膜残存/100マス中
+:81〜99マス塗膜残存/100マス中
−:80マス以下の塗膜残存/100マス中。
(5)耐紫外線性評価
岩崎電気社製アイスーパーUVテスターSUV−W151を用いて、60℃×50%RH雰囲気にて紫外線強度160mW/cmで36〜240時間紫外線照射(紫外線照射積算量57.6〜384kWh/m)を行った。その前後の表色系b値、L値の測定を行った。また、光線カット性能の評価、基材フィルム/耐光性コート層(樹脂層)間の密着強度評価、および破断強伸度評価についても、それらの特性の耐紫外線性評価の目的で、同様に紫外線照射を実施しその前後の評価を行った。
(6)耐湿熱性評価
エスペック社製プレッシャクッカーTPS−211を用いて、120℃、100%RHの環境下で96時間の熱処理を太陽電池裏面封止材用フィルムに施した。その後、太陽電池裏面封止材用フィルムの光線カット性能の評価、基材フィルム/コーティング層間の密着強度評価について、それらの特性の耐湿熱性評価の目的で実施した。
(7)耐溶剤性評価
耐光性コート層の耐溶剤性は、サンプルをエタノール中に5分間浸し、その後キムワイプを使用して50回こすった後、光線カット性能を評価した。また塗膜の状態を観察し、下記分類とした。
+:基材と塗膜の剥離がなく、光線カット性能の低下がみられない
−:基材と塗膜の剥離がみられる。
(8)難燃性評価
UL94規格の垂直燃焼性VTM試験に基づいて試験を実施し、下記分類とした。
+:VTM−0合格
−:VTM−0〜2不合格。
(9)充填材との接着強度の測定
JISK 6854に基づいて、EVAシートとの接着力を測定した。試験した疑似太陽電池モジュールサンプルは作製した太陽電池裏面封止材の内層側面(水蒸気バリア性フィルムが積層された面)にEVAシートを重ね、さらにその上に厚さ0.3mmの半強化ガラスを重ね、市販のガラスラミネーターを用いて真空引き後に135℃加熱条件下、29.4N/cm荷重で15分プレス処理をしたものを用いた。EVAシートは、サンビック(株)製の500μm厚シートを用いた。接着強度試験の試験片の幅は10mmとし、2つの試験片について各々測定を1回行い、2つの測定値の平均値を接着強度の値とした。接着強度は100N/50mm以上あることが実用上問題ないレベルと判断する。
(10)ジャンクションボックス接着用シリコーン樹脂接着性の評価
耐光性コート層と電気系統の端子ボックス(ジャンクションボックス)を接着させるために使用される専用のシリコーン樹脂との密着力を以下の方法で評価した。太陽電池裏面封止材用フィルムの耐光性コート層(樹脂層)上にダウコーニング社製Solar PV(登録商標)804を塗布し、もう1枚の太陽電池裏面封止材用フィルムを、耐光性コート層同士が向かい合うように重ね、接着した。この接着サンプルを室温下、1週間放置し、乾燥させて作製したサンプルを試験片とした。この試験片から幅10mmの短冊状に測定用試験片を3本切り出し、前述の充填材との接着強度の測定と同様の方法で剥離角度を90°の状態で接着強度測定を行った。測定は3本の短冊状試験片それぞれについて1回行い、得られた強度の平均値をシリコーン樹脂接着強度の値とした。接着強度が8N/10mm以上であれば実用上の要求特性レベルである。
(耐光性コート層(樹脂層)形成用塗料1〜5の調整)
(株)日本触媒製の、紫外線吸収剤及び光安定化剤(HALS)がアクリルポリオール樹脂に架橋されたことを特徴とするコーティング剤であるハルスハイブリットポリマー(登録商標)BK1(固形分濃度:40質量%、アクリル樹脂1とする)に表1に示す配合の着色顔料および溶剤を一括混合し、ビーズミル機を用いて分散した。その後、同じく表1に示す配合の可塑剤を添加して、固形分濃度が50質量%である主剤塗料を得た。
次に前述の方法で得た主剤塗料にヌレート型(脂環族系)ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂である住化バイエル社製 デスモジュール(登録商標)N3300(固形分濃度:100質量%)をアクリル樹脂1との固形分重量比が55/13の比になるように予め計算した量配合し、さらに固形分濃度20質量%(樹脂固形分濃度)の塗料となるように予め算出した希釈剤:酢酸n−プロピルを量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度20質量%(樹脂固形分濃度)の耐光性コート層形成用塗料1〜5を得た。
なお、上記の調整に用いた着色顔料および可塑剤としては下記の製品を使用した。
白色顔料:酸化チタン粒子 テイカ社製 JR−709
黒色顔料:カーボンブラック粒子 デグサ社製 スペシャルブラック4A
可塑剤1:DIC社製ポリエステル系可塑剤 ポリサイザーW−220EL
可塑剤2:DIC社製エポキシ系可塑剤 エポサイザーW−121
可塑剤3:DIC社製エポキシ化大豆油系可塑剤 エポサイザーW−100−EL
可塑剤4:DIC社製フタル酸エステル系可塑剤 ジオクチルフタレート。
(耐光性コート層形成用塗料6の調整)
硬化剤として、ヌレート型(脂環族系)ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂である住化バイエル社製 デスモジュール(登録商標)N3300(固形分濃度:100質量%)を用いる換わりに、ビューレット型(脂肪族系)ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂である住化バイエル社製 デスモジュール(登録商標)N3200(固形分濃度:100質量%)を用いる以外は耐光性コート層形成用塗料1の調整と同様の方法で耐光性コート層形成用塗料6を得た。
(耐光性コート層形成用塗料7の調整)
ハルスハイブリットポリマー(登録商標)BK1(固形分濃度:40質量%)を用いる換わりに、メチルメタクリル酸および2−ヒドロキシエチルメタクリレートを原料とするアクリル樹脂に、紫外線吸収剤及び光安定化剤(HALS)を架橋せずに後添加した樹脂(固形分濃度:40質量%、アクリル樹脂2とする)を用いる以外は耐光性コート層形成用塗料1の調整と同様の方法で耐光性コート層形成用塗料7を得た。
(耐光性コート層形成用塗料8の調整)
着色顔料を配合しない以外は耐光性コート層形成用塗料1の調整と同様の方法で耐光性コート層形成用塗料8を得た。
(耐光性コート層形成用塗料9の調整)
可塑剤を配合しない以外は耐光性コート層形成用塗料1の調整と同様の方法で耐光性コート層形成用塗料9を得た。
(ドライラミネート用接着剤の調整)
DIC(株)製ドライラミネート剤 ディックドライ(登録商標)LX−903を16質量部、硬化剤として大日本インキ化学工業(株)製KL−75を2質量部、および酢酸エチルを29.5質量部量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度20質量%のドライラミネート用接着剤を得た。
(接着層形成用塗料の調整)
三井化学ポリウレタン(株)製ドライラミネート剤 タケラック(登録商標)A−310(ポリエステルポリウレタン樹脂)を12質量部、三井化学ポリウレタン(株)製の芳香族系ポリイソシアネート樹脂であるタケネート(登録商標)A−3を1質量部、および酢酸エチルを212質量部量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度3質量%の接着層形成用塗料を得た。
(熱接着性樹脂層形成用塗料の調整)
中央理化工業(株)製のEVA系3元共重合樹脂含有水性エマルジョン塗料であるアクアテックス(登録商標)MC−3800を20質量部、イソプロピルアルコールを10.8質量部、および水を22.6質量部量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度15質量%の熱接着性樹脂層形成用塗料を得た。
Figure 2010106907
(実施例1)
基材フィルムとして東レ(株)製のポリフェニレンスルフィドフィルム トレリナ(登録商標)100μmを準備した。この基材フィルムの一方の面に、ワイヤーバーを用いて耐光性コート層形成用塗料1を塗布し、120℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が2.0g/mとなるように耐光性コート層(樹脂層)を設けた。このようにして太陽電池裏面封止材用フィルム(以下、封止材用フィルム)1を製造した。
(実施例2)
基材フィルムとしてポリエチレンナフタレートフィルム100μmを用いる以外は実施例1に記載の方法と同様にして封止材用フィルム2を製造した。
(実施例3)
耐光性コート層形成用塗料1の換わりに耐光性コート層形成用塗料2を塗布する以外は実施例1に記載の方法と同様にして封止材用フィルム3を製造した。
(実施例4)
耐光性コート層形成用塗料1の換わりに耐光性コート層形成用塗料3を塗布する以外は実施例1に記載の方法と同様にして封止材用フィルム4を製造した。
(実施例5)
耐光性コート層形成用塗料1の換わりに耐光性コート層形成用塗料4を塗布する以外は実施例1に記載の方法と同様にして封止材用フィルム5を製造した。
(実施例6)
耐光性コート層形成用塗料1の換わりに耐光性コート層形成用塗料5を塗布する以外は実施例1に記載の方法と同様にして封止材用フィルム6を製造した。
(実施例7)
耐光性コート層形成用塗料1の換わりに耐光性コート層形成用塗料6を塗布する以外は実施例1に記載の方法と同様にして封止材用フィルム7を製造した。
(比較例1)
耐光性コート層形成用塗料1の換わりに耐光性コート層形成用塗料7を塗布する以外は実施例1に記載の方法と同様にして封止材用フィルム8を製造した。
(比較例2)
耐光性コート層形成用塗料1の換わりに耐光性コート層形成用塗料8を塗布する以外は実施例1に記載の方法と同様にして封止材用フィルム9を製造した。
(比較例3)
耐光性コート層形成用塗料1の換わりに耐光性コート層形成用塗料9を塗布する以外は実施例1に記載の方法と同様にして封止材用フィルム10を製造した。
(比較例4)
耐光性コート層を形成しないで、トレリナ(登録商標、東レ(株)製、100μm)を封止材用フィルム11とした。
以上で得られた、実施例1〜7、比較例1〜4の耐光性フィルムを用いて、上記の評価方法により、特性を評価した。結果を表2〜4に示す。
Figure 2010106907
Figure 2010106907
Figure 2010106907
(実施例1〜7と、比較例1との比較)
比較例1で得られる封止材用フィルム8の耐光性コート層は、紫外線吸収剤及び光安定化剤(HALS)を架橋せずに後添加したアクリル樹脂を用いている。そのため、高温加湿環境下、あるいは紫外線受光に伴い、紫外線吸収剤や光安定化剤が塗膜中から塗膜表面にブリードアウトし、紫外線カット性能が低下するため、基材フィルムのΔb値が増加する。一方、実施例1〜7で得られる封止材用フィルム1〜7の場合、紫外線照射試験を長時間(240時間)にわたって続けても、L値、b値で代表するフィルム外観の色調にはほとんど変化が見られない。
(実施例1〜7と、比較例2との比較)
比較例2で得られる封止材用フィルム9の耐光性コート層は、黒色顔料を含まない。そのため、フィルム外観・色調を変化させることはできず、また紫外線カット性能は紫外線吸収剤及び光安定化剤を共重合させたアクリル樹脂の性能により高い性能を示すが、可視光カット性能は有していない。そのため、長期屋外使用を想定した場合には、基材フィルムのΔb値が増加し黄変が発生する。また、紫外線照射後の破断強伸度は、実施例1で得られる封止材用フィルムと比較して低下しており、樹脂劣化を引き起こしていると考えられる。このことから、黒色顔料を配合することで、フィルム外観の色調コントロールが行えるだけでなく、黒色顔料による可視光の吸収の効果に起因して、フィルムの耐紫外線性及び耐可視光性がより向上していることがわかる。
(実施例1〜7と、比較例3との比較)
比較例3で得られる封止材用フィルム10の耐光性コート層は、可塑剤を含まない。そのため、基材フィルムとコート層間の密着力が初期の状態からやや不足しており、耐湿熱試験および紫外線照射試験を行った後の塗膜(コート層)は、基材フィルムに対する密着力がさらに悪化している。これは、黒色顔料を配合した結果、乾燥(形成)後の塗膜硬度が大きくなったためと考えられる。湿熱試験あるいは紫外線照射試験の際には、さらに熱、光のエネルギーにより塗膜状態が変化し、基材フィルムとの密着力も顕著に悪化する傾向がある。実用上は本発明のコート層がモジュール最外面に位置するような設計を想定していることから、高温高湿下、紫外線受光環境に長時間曝した場合には、ジャンクションボックスが、コート層と一体化した状態で裏面封止シートから脱落する事態も想定される。
(実施例1〜7と、比較例4との比較)
比較例4で得られる封止材用フィルム11(コート層が形成されていないトレリナ(登録商標)フィルムそのもの)は、紫外線及び可視光カット性能が無く、フィルムの色調を整え得る着色顔料層も形成されていない。そのため、紫外線及び/又は可視光の照射に伴い、樹脂劣化、黄変が発生する。従って、太陽電池裏面封止材の最外層に用いた場合には、極端なケースではフィルムに割れ、ピンホールなどが生じ、電気絶縁性、水蒸気遮断性など、封止材に要求される機能が失われるだけでなく、太陽電池モジュールの動作にも影響する懸念がある。
(実施例8)
実施例1に記載の方法で得た封止材用フィルム1の耐光性コート層とは反対側のフィルム表面に、ドライラミネート用接着剤をワイヤーバーで塗布し、80℃で45秒間乾燥して3.5μmの接着剤層1を形成した。次に、接着剤層1に、光反射性フィルムとして東レ(株)製白色ポリエチレンテレフタレートフィルム ルミラー(登録商標)E20F(50μm)をハンドローラーを用いて貼り合わせた。さらに、このラミネートフィルムの耐光性コート層とは反対側のフィルム表面に、ドライラミネート用接着剤をワイヤーバーで塗布し、80℃で45秒間乾燥して3.5μmの接着剤層2を形成した。これとは別に、水蒸気バリア性フィルムとして東レフィルム加工(株)製 酸化アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム バリアロックス(登録商標)1031HGTS(12μm)の酸化アルミ蒸着層とは反対側の面に、接着層形成用塗料及び熱接着性樹脂層形成用塗料を下記条件で2ヘッドのタンデム型ダイレクトグラビアコーターを用いて順次、塗工した水蒸気バリア性フィルムを用意した。この水蒸気バリア性フィルムの酸化アルミ蒸着層面と、先ほどのラミネートフィルムの接着剤層2の面とが面するように配し、ハンドローラーを用いて貼り合わせた。このようにして作製したフィルム3枚からなるシートを40℃に加熱したオーブン内で3日間エージングして太陽電池裏面封止材1を得た。
・接着層塗工条件:乾燥膜厚0.2μm狙い、乾燥オーブン設定温度120℃
・熱接着性樹脂層塗工条件:乾燥膜厚1.0μm狙い、乾燥オーブン設定温度100℃
・塗工スピード:100m/min
・エージング:塗布・巻取り後、40℃下で2日間エージング。
(比較例5)
封止材用フィルム1の換わりに封止材用フィルム10を用いた以外は、実施例8に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止材2を得た。
Figure 2010106907
(実施例8と、比較例5との比較)
実施例8に記載の方法で得られる太陽電池裏面封止材は、いずれも太陽電池モジュール構成において外層側に位置する耐光性コート層側への紫外線照射に伴う、基材フィルムとコーティング層間の密着力の低下は見られず、さらに、コーティング層および基材フィルムの黄変は非常に小さい。また、太陽電池裏面封止材に要求される特性である充填材(EVA)との密着力、ジャンクションボックス接着用シリコーン樹脂との接着性にも優れる。
それに対して、比較例5で得られる太陽電池裏面封止材は、耐光性コート層中に可塑剤を含まないため、耐光性コート層と基材フィルムとの間の密着力が初期の時点でやや不十分であり、湿熱試験あるいは紫外線照射試験を行った後には密着強度不良に至る。このようなコート層特性であるために、シリコーン樹脂接着性に関しても大幅に弱い強度となっている。基材フィルムと耐光性コート層間の密着力が湿熱試験あるいは紫外線照射試験の進行に伴い低下する挙動から、屋外環境に曝された場合に、シリコーン樹脂、つまりは端子ボックスとの接着力も低下していき、極端なケースでは端子ボックスがコート層ごと剥離するという事態も懸念される。
上記の各実施例と比較例の結果から明らかなように、本発明の手法によれば、長期にわたる過酷な屋外環境下での使用に耐え得る耐光性、耐湿熱性を有し、なおかつ意匠性、最外層で用いる場合に必要な端子ボックス接着用シリコーン樹脂との密着力にも優れた着色層を有する太陽電池裏面封止材用フィルムが得られる。
また、本発明の好ましい態様によれば、シリコンセル充填材層との密着力、光線反射率に優れ、太陽電池モジュールの性能を向上させ、その性能を長期にわたり保持可能とし得る太陽電池裏面封止材が得られる。

Claims (8)

  1. 基材フィルムがポリエチレンナフタレートフィルム又はポリフェニレンスルフィドフィルムであり、該基材フィルムの少なくとも片面に、紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させた樹脂、着色顔料及び可塑剤を含む樹脂層が積層された太陽電池裏面封止材用フィルム。
  2. 前記紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させた樹脂が、アクリルポリオール系樹脂である請求項1の太陽電池裏面封止材用フィルム。
  3. 前記基材フィルムがポリフェニレンスルフィドフィルムであり、前記着色顔料が黒色顔料である請求項1に記載の太陽電池裏面封止材用フィルム。
  4. 前記可塑剤が、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤およびフタル酸エステル系可塑剤からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の太陽電池裏面封止材用フィルム。
  5. 前記樹脂層が、脂肪族系ポリイソシアネート樹脂、脂環族系ポリイソシアネート樹脂及び芳香脂肪族系ポリイソシアネート樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のポリイソシアネート樹脂を含む請求項1に記載の太陽電池裏面封止材用フィルム。
  6. 請求項1に記載の太陽電池裏面封止材用フィルムを用いてなる太陽電池裏面封止材。
  7. 請求項1に記載の太陽電池裏面封止材用フィルムの樹脂層が積層された側とは反対側の面に、白色フィルム、無機酸化物蒸着層を有するフィルム及びエチレン−酢酸ビニル共重合体との熱接着性を有するフィルムからなる群より選ばれた少なくとも1つのフィルムが積層された太陽電池裏面封止材。
  8. 請求項6又は7に記載の太陽電池裏面封止材とシリコンセル充填材層面とを接着してなる太陽電池モジュール。
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