JPWO2010101131A1 - 印刷用塗工紙およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、不透明性が高く、印刷適性に優れる低坪量のグロス調印刷用塗工紙を提供すること、ならびに、当該低坪量グロス調印刷用塗工紙を1300m/分以上の操業速度で製造する方法を提供することである。フォーミングパートにギャップフォーマ、プレスパートにタンデムシュープレスを1基以上有する抄紙機を用いて、顔料塗工層を設ける前の原紙水分率が3%未満の原紙を用いることによって、耐ブリスター性に優れ、不透明度の高い低坪量グロス調印刷用塗工紙を効率的に製造することができる。

Description

本発明は、低坪量のグロス調印刷用塗工紙およびその製造方法に関する。特に本発明は、不透明性に優れていながら、印刷適性、特にブリスター適性が良好な低坪量グロス調印刷用塗工紙に関する。
近年、印刷用塗工紙は、チラシ、カタログ、パンフレット、ダイレクトメール等の広告・宣伝を目的とした商業印刷分野での需要が伸びている。これら商業印刷物は、それ自体の商品価値は高くないが、宣伝媒体としての目的が達成されることが重要であるので、こういった商業印刷物に用いる印刷用紙は、低コストで印刷仕上がりの良いものが求められる。
また、近年の低成長時代に入ってからは、印刷用紙にかかるコストを削減するため、印刷用塗工紙においては低坪量化によるグレードダウンが急速に進行している。これは、原材料価格の高騰による企業収益の悪化や輸送コストの圧縮などの経済的要因、さらに、省資源・環境問題などの社会的要求に基づく社会的要因が挙げられる。特にここ数年、市場が拡大している通信販売業界において、カタログ・ダイレクトメールなどの郵便コスト抑制、倉庫保管料の削減、増ページ対策などのため、低坪量化への要求が高まっている。
このような低坪量化が求められる状況においても、印刷用塗工紙に対する品質的な要求は併せて求められている。塗工紙の品質の中でも、不透明性(特に印刷時にインキが裏面に抜けないこと)への要求は特に高く、さらに、白色度や白紙光沢度、印刷後の品質、耐刷性に優れることが重要である。
しかしながら、低坪量化と不透明性とは相反する事柄であり、これらの品質を両立することは難しい。つまり、低坪量化を実施すると、印刷用塗工紙において重要なポイントとなる不透明度が下がってしまう。
低坪量の塗工紙の不透明性を向上させる手段として、比散乱係数の高い無機物を塗工紙に多く配合して、塗工紙の灰分を高くする方法がある。具体的には、クレー、タルク、炭酸カルシウムなどの無機物を填料として原紙に配合したり、顔料塗工層を増やすことによって、塗工紙の灰分を高くすることが行われる(特許文献1、2)。
しかし、原紙の灰分アップと、顔料塗工層の増加に伴う原紙坪量の減少は、いずれも原紙の強度低下を招き、ひいては塗工紙の強度が低下することとなる。そのため、塗工紙製造過程における断紙の発生など、マシン操業性の悪化につながり、特に抄紙から塗工、表面処理がオンマシンで連続して行われる場合、断紙による製造効率の低下が著しい。さらに、断紙が発生すると、操業用具の破損など、製造過程にかかる弊害が著しく大きくなる危険性がある。このような紙の強度不足による弊害は、高速操業においてより一層大きい。
上述したように、低坪量化と不透明性は相反する事項であり、低坪量化に伴い紙層内の空隙が少なくなるにつれて、光が拡散する頻度、吸収される量がいずれも減少するため、不透明性が低下する。そのため、塗工紙の不透明性を向上させる他の手段として、紙層内の空隙の容積を上げるために紙を低密度化する方法がある。
さらに、高い白紙光沢度が求められるグロス調塗工紙については、高い線圧で表面処理を行う必要があることから、従来、グロス調塗工紙は、各種塗工装置(以下コータと称す)で顔料塗工した塗工紙をいったん巻取った後、スーパーカレンダーを使用して低温(約50〜70℃)かつ多段ニップ(通常10〜14段)の条件で処理して光沢(グロス)を付与して製品化されていた。特に、このようなスーパーカレンダーを用いて白紙光沢度が40%以上のグロス調塗工紙を得るには、高ニップ圧でカレンダー処理を行う必要があるが、高ニップ圧によって密度が上昇し、不透明性の低下や印刷後の裏抜け性悪化などが避けられない。
また、低ニップ圧のスーパーカレンダー処理でも高い光沢が発現するよう、光沢度が出やすい高価な顔料を配合して顔料塗工を行いグロス調塗工紙を製造することも提案されているが、コストアップが避けられない(特許文献3:特開昭54−125712号公報)。
その一方で、紙の生産性向上も重要な技術課題である。上述したように、商業印刷物に用いられる印刷用紙は、低コストで印刷仕上がりの良いものが求められるため、紙メーカーでは高品質を維持したまま、生産性を上げ、コストダウンを図ることが重要である。
一般に、製造処方の観点からコストダウンを図る手段の一つに低塗工量化があるが、塗工量を減らすと、白紙光沢度や平滑度等の表面性および印刷適性の低下が避けられない上に、印刷用塗工紙にとって特に重要なポイントである不透明性も悪化してしまう。
特開2008−248451号公報 特開2000−170093号公報 特開昭54−125712号公報
このように、高い不透明性と良好な印刷適性を兼ね備えた低坪量グロス調塗工紙を、効率よく製造することは極めて困難であった。以上のような状況に鑑み、本発明の課題は、不透明性が高く、印刷適性に優れる低坪量のグロス調印刷用塗工紙を提供すること、ならびに、当該低坪量グロス調印刷用塗工紙を1300m/分以上の操業速度で製造する方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題について鋭意検討した結果、フォーミングパートにギャップフォーマ、プレスパートにタンデムシュープレスを1基以上有する抄紙機を用いて、顔料塗工層を設ける前の原紙水分率が3%未満の原紙を抄造することによって、抄紙から塗工、表面処理を連続して1300m/以上の高速で断紙などの弊害なしに効率よく抄造でき、表面処理が行われる工程での密度上昇を防ぐと共に、印刷時のブリスター発生を軽減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
1つの様態において、本発明は印刷用塗工紙およびその製造方法である。本発明は、塗工紙の坪量が30g/m2〜70g/m2、灰分率が35%〜50%、白紙光沢度が40%〜60%である印刷用塗工紙、および、その製造方法である。特に本発明の塗工紙は、比散乱係数(cm2/g)と密度(g/cm3)の比である比散乱係数/密度が400以上であると、低坪量でありながら不透明度が高く、印刷の裏抜けが生じにくいため好適である。
本発明の印刷用塗工紙の製造方法は、フォーミングパートにギャップフォーマ、プレスパートにタンデムシュープレスを1基以上有する抄紙機を用いて、顔料塗工層を設ける前の原紙水分率が3%未満である原紙を抄造する工程と、顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工して顔料塗工層を設ける工程と、塗工層を表面処理する工程と、を含んでなり、これらの工程が1300m/分以上の操業速度でオンマシンで連続して行われる。
本発明の好ましい様態において、原紙を抄造する工程で、顔料塗工層を設ける前に澱粉などの接着剤をサイズプレス塗布しない。クリア塗工をしないことによって、塗工紙の透気抵抗度を低下させることができ、オフセット印刷時のブリスター発生を防ぐと共に、表面処理による光沢発現性が高まるため、良好な印刷適性を持つグロス調印刷用塗工紙を得ることができ、好適である。
また本発明は、塗工工程において顔料と接着剤を含有する塗料を片面あたり8g/m2〜20g/m2塗工することによって、比散乱係数の高い顔料成分の比率を高めて、表面処理工程での負荷を軽減させ、良好な不透明性、引いては印刷時の優れた裏抜け性を実現させた。
さらに本発明は、好ましい様態において、金属ロールと弾性ロールで構成される少なくとも6ニップ以上の熱ソフトカレンダーを用いて表面処理が行われる。これにより、カレンダー圧を複数に分散させ、密度上昇を抑えて不透明性を維持しながら、高い平滑性を得ることができる。
以下に限定されるわけではないが、本発明は以下の発明を包含する。
(1) 塗工紙の坪量が30g/m2〜70g/m2、灰分率が35%〜50%、白紙光沢度が40%〜60%である印刷用塗工紙の製造方法であって、抄紙、顔料塗工、表面処理が連続してオンマシンで行われ、操業速度が1300m/分以上であり、抄紙工程が、プレスパートにタンデムシュープレスを1基以上有し、フォーミングパートにギャップフォーマを有する抄紙機を用いて行われ、顔料塗工層を設ける前の紙の水分率が3%未満である、上記方法。
(2) 前記顔料塗工工程において、片面当たり8〜20g/m2の顔料塗工層が設けられる、(1)に記載の方法。
(3) 前記表面処理工程において、金属ロールと弾性ロールで構成されるソフトカレンダーを用いて6ニップ以上の条件で顔料塗工層が表面処理される、(1)または(2)に記載の方法。
(4) 前記塗工紙の比散乱係数(cm2/g)と密度(g/cm3)の比である比散乱係数/密度が400以上である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 塗工紙の坪量が30g/m2〜70g/m2、灰分率が35%〜50%、白紙光沢度が40%〜60%であり、(1)〜(4)のいずれかの方法で得られる印刷用塗工紙。
(6) 前記塗工紙の比散乱係数(cm2/g)と密度(g/cm3)の比である比散乱係数/密度が400以上である、(5)に記載の塗工紙。
本発明により、抄紙、塗工、表面処理を連続して行い、高い不透明性と良好な印刷適性を兼ね備えた低坪量グロス調塗工紙を1300m/分以上の操業速度で製造することが可能である。
本発明は、低坪量グロス調印刷用塗工紙およびその製造方法に関する。本発明のグロス調印刷用塗工紙は、塗工紙の坪量が30g/m2〜70g/m2、灰分率が35%〜50%、白紙光沢度が40%〜60%である。すなわち、本発明によれば、不透明度が高い低坪量グロス調塗工紙を効率よく製造することができる。
本発明において、グロス調印刷用塗工紙とは、塗工紙表面がグロス調である(光沢がある)印刷用塗工紙を意味し、具体的には、白紙光沢度が40%〜60%である印刷用塗工紙を意味する。本発明の好ましい態様において白紙光沢度は45%以上であり、より好ましい態様において白紙光沢度は48〜55%である。このような白紙光沢度を有する本発明の印刷用塗工紙は、印刷仕上りに優れ、張りのある画像を再現することができる。
本発明は低坪量の印刷用塗工紙およびその製造方法に関する。本発明の低坪量印刷用塗工紙は、具体的には30g/m2〜70g/m2の坪量を有し、である。本発明によれば、塗工紙の坪量が50g/m2前後のグロス調印刷用塗工紙を効率よく製造することも可能である。好ましい態様において本発明の印刷用塗工紙の坪量は、40g/m2〜65g/m2であり、より好ましい態様において45g/m2〜65g/m2、さらに好ましい態様において50g/m2〜65g/m2である。
本発明のグロス調印刷用紙は、塗工紙の灰分率が35重量%〜50重量%であり、好ましくは35重量%〜45重量%、より好ましくは35重量%〜40重量%である。塗工紙の灰分を35重量%〜50重量%とすることで、紙の強度や耐ブリスター性を維持しつつ、優れた裏抜け性、不透明度が得られる。本発明において、塗工紙の灰分とは、原紙の灰分含有量と塗工層の灰分量とを足した値である。
塗工紙の灰分アップには、原紙の灰分アップと顔料塗工層の灰分アップ(顔料塗工層の増加)とがあるが、原紙の灰分アップでは層間強度が低下し、顔料塗工層の増加では透気抵抗度が上昇するため、印刷時のブリスター適性が著しく悪化する。ここで、ブリスターとはオフセット輪転印刷機において、インキング後の乾燥パートで、インキとともに塗工紙が急激に加熱されて、塗工紙中の水分が蒸発する際に、蒸気が塗工層とインキ層に妨げられて火膨れとなる現象のことであり、塗工紙の層間強度、透気抵抗度、及び水分率が大きな要因となっており、一般的には塗工紙の水分を4〜6%に調整することでブリスター適性を含めた塗工紙の品質を調節している。しかしながら、塗工する際に塗工液は原紙表面に留まり原紙を被覆した状態になるため、塗工後の乾燥パートにおいては、塗工液が重点的に乾燥される状況となる。そのため、単に塗工紙の水分率を調整してもブリスターの発生を抑制することは難しい。
また、本発明のようにオンマシンコータの高速塗工の場合は、原紙の灰分が高いと、紙の層間強度が弱くなり、断紙を起こし、操業性が著しく低下する。また、塗工量を多くすることで灰分を上げようとすると、高速マシンでは高速のため乾燥負荷が大きくなり、操業性が著しく低下する。このように、不透明度を向上させるため、塗工紙の灰分配合量を増加することはオンマシンの高速塗工においては非常に難しかった。
本発明においては、抄紙機として、タンデムシュープレスを1基以上有し、ギャップフォーマを有する抄紙機を用いて原紙を抄紙することにより、原紙の灰分量を増加させても断紙を起こすことなく、抄紙することができる。
紙の不透明性を左右する要因は、紙層内での光の散乱と吸収であり、不透明度を上げる方法としては、吸収係数を上げることと散乱係数を上げることがある。しかし、吸収係数を上げることは紙の白色度を下げることとなり、塗工紙の品質低下につながる。そこで、塗工紙の不透明度を上げるためには、紙の散乱係数を上げて、紙を不透明化することが重要となる。
本発明の印刷用塗工紙は、低坪量でありながら不透明性が高く、特に印刷の裏抜けなどが生じにくい。具体的には、本発明の印刷用塗工紙は、比散乱係数(cm2/g)と密度(g/cm3)の比である比散乱係数/密度が400以上が好ましく、420以上がより好ましく、450以上がさらに好ましい。このような比散乱係数と密度の比を有する本発明の印刷用塗工紙は、低坪量でありながら不透明性が高く、特に印刷の裏抜けなどが生じにくく好適である。ここで、比散乱係数/密度というパラメータは、印刷用塗工紙の不透明度の指標であり、値が大きいほど塗工紙の不透明度が高いことを示す。すなわち、比散乱係数が高い場合(つまり、塗工紙中で光がよく散乱する場合)や密度が低い場合(つまり、塗工紙内部に空隙が多く、光が散乱しやすい場合)、上記の比散乱係数/密度というパラメータ大きな値となる。
本発明において比散乱係数(cm2/g)は、400以上が好ましく、450以上がより好ましく、500以上がさらに好ましい。比散乱係数(cm2/g)が400より小さいと、裏抜けなどの印刷品質が低下する傾向がある。比散乱係数は、例えば、灰分量を多くすることにより高くすることができるが、それ以外にも低密度化など塗工紙中で光が良く散乱する状態とすれば、高くすることができる。
本発明において密度(g/cm3)は、1.4以下であることが好ましい。白紙光沢度を40%〜60%とするためには、下限は0.8くらいとすることが好ましい。
本発明の印刷用塗工紙は、種々の印刷方式に対応することができ、オフセット印刷用塗工紙、凸版印刷用塗工紙、グラビア印刷用塗工紙などに好適に使用することができる。中でも、本発明の印刷用塗工紙は、ブリスター特性に優れているためオフセット印刷用途に特に好適に使用することができる。
本発明の製造方法においては、抄紙工程、塗工工程、表面処理工程がオンマシンコータを用いて連続して行われ、その操業速度は1300m/分以上である。したがって、本発明は、生産効率が高く、極めて有利である。また、オンマシンコータでの高速操業においては、断紙トラブルにより操業性が著しく低下してしまうところ、本発明はギャップフォーマを有する抄紙機を用いるため断紙トラブルが生じにくく、オンマシンコータでの高速操業時に特に有利である。本発明の優位性は高速操業において特に高いため、1500m/分以上の条件で操業することが好ましく、1600m/分以上の条件で操業することがより好ましい。
抄紙
本発明の印刷用塗工紙の製造方法は抄紙工程を有し、抄紙機として、タンデムシュープレスを1基以上有し、ギャップフォーマを有する抄紙機を用いて、顔料塗工層を設ける前の原紙水分率が3%未満である原紙を抄造する。
本発明において抄紙は、ギャップフォーマを有する抄紙機を用いて行われるが、このギャップフォーマによれば、ヘッドボックスから噴射された紙料が2枚のワイヤーに挟まれて走行し、湿紙の両側からほぼ均等に脱水される。特に本発明においては、フォーミングロールによる初期脱水の直後に脱水ブレードによる脱水機構を有したロールアンドブレード形式のギャップフォーマをフォーミングパートに有する抄紙機を用いることが好ましい。このようなギャップフォーマ型抄紙機を用いることにより、良好な操業性を維持しつつ、高灰分で表裏差のない原紙を1300m/分以上の高速の抄紙速度において安定して抄紙することができる。ロールアンドブレード形式のフォーマを用いる場合、最初の脱水はバキュームを有したフォーミングロールのラップエリアで行われ、その直後に加圧ブレードモジュールによるブレード脱水が行われる。この機構より従来のフォーマよりも緩慢な脱水が可能となるため、均一な紙層構造や地合を有した紙を得ることができ、比較的灰分が高い条件でも塗工紙の耐ブリスター性を維持することができる。この時に使用されるフォーミングロールはその径が小さいと十分な抱き角度を得ることができず脱水の調整が不十分となるため1500mm以上が望ましい。フォーミングロールやブレードによる脱水機構に加えて、その後段にサクションユニットやハイバキュームサクションボックスなどの脱水装置を適宜用いることでドライネスの調整を行うことができる。
本発明で用いる抄紙機は、プレスパートに、プレス後水分を鑑みてタンデムタイプのシュープレスを1基以上有する。より好ましくは、タンデムタイプのシュープレスを用いて2段以上で処理することにより、層間強度、耐ブリスター性が向上する。好ましい態様においてシュープレスは、ニップ幅が概ね150〜250mmの範囲にあり、処理条件は100kN/m〜1100kN/mが好ましく、より好ましくは500kN/m〜1100kN/mである。また、前記シュープレスを2基以上使用する場合、ドライヤーパート側のシュープレスにトランスファーベルトが接触するように通紙することが、断紙等が起こりにくく、高速操業性に優れるため、好ましい。
抄紙機のドライヤーは公用の装置を用いることができ、乾燥条件も特に限定はなく、通常の操業範囲で適宜設定できる。
本発明においては、顔料塗工層を設ける前の原紙水分率を3%未満、より好ましくは2.5%未満とすることで、オフセット印刷時のブリスター適性を大きく向上させることができる。ブリスターは、塗工紙の層間強度、透気低硬度、水分率が大きな要因と考えられ、従来は、塗工紙全体の水分を4〜6%に調整することが行われていたが、塗工紙の塗工後の乾燥パートでは塗工液が重点的に乾燥されるため、乾燥パートによって塗工紙の水分率を調整してもブリスターの発生を抑制することは難しかった。それに対して本発明では、顔料塗工層を設ける前の原紙水分率を調整することにより、ブリスター適性を向上させる。原紙水分率を3%未満とすることによって耐ブリスター性が向上する理由の詳細は定かではないが、原紙部分の水分が少ないため印刷時の熱で発生する水蒸気が少なくなること、および、原紙に内添される紙力剤の効果が最大限に引き出されることなどが考えられる。
本発明においては、オンマシンの高速コータにおいて、ギャップフォーマを有する抄紙機を用い、塗工紙の灰分量が高くすることで、操業性が良く、高不透明度の低坪量の印刷用塗工紙を得ることができる。
本発明においては、原紙の原料パルプとして、化学パルプ(針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)または未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)または未晒クラフトパルプ(LUKP)等)、機械パルプ(グラウンドウッドパルプ(GP)、リファイナーメカニカルパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等)、脱墨パルプ(DIP)などを単独または任意の割合で混合して使用する。脱墨パルプとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙を原料とする脱墨パルプであれば良く、特に限定はない。本発明においては、脱墨パルプが対パルプ30重量%以上においても、表裏差がなく、層間強度が良好であるなどの効果を発揮することができる。
本発明においては、公知の填料を任意に使用でき、例えば、ホワイトカーボン、タルク、重質炭酸カルシム、軽質炭酸カルシウム、クレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、ケイ酸ナトリウムの鉱産による中和で製造される非晶質シリカ等の無機填料や、尿素―ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料を単用又は併用できる。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料である炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物が好ましく使用される。紙中填料率は特に制限されないが、10〜40固形分重量%が好ましい。塗工紙の不透明性は灰分率が高いほど向上するため、不透明性を実現することが困難な低坪量の印刷用塗工原紙の製造に本発明を適用したほうが本発明の効果が大きい。この観点から、紙中填料率は10〜40固形分重量%が好ましく、12〜35固形分重量%が更に好ましい。
本発明においては、公知の製紙用添加剤を使用することができる。例えば、硫酸バンドや各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性あるいは、両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて使用することができる。更に、原紙へカチオン性の紙力増強剤を対パルプ50kg〜150kg/t添加して抄造することで、良好な印刷適性、特にブリスター特性を得ることができる。また、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加することができる。
一般に、表面強度を向上させることなどを目的として、塗工原紙に対して、澱粉などの接着剤を主成分とする塗工液を塗工して、クリア塗工層を設けることが行われる。特に、塗工紙の灰分を高くした場合には原紙の強度が低下するため、原紙の強度不足を補う方法として、澱粉などの接着剤を主体とするクリアー塗工液を原紙にクリア塗工することで、原紙の表面性改善に加えて、接着剤の浸透による層間強度を向上させることが行われる。このようなクリアー塗工液を予め顔料塗工の前に原紙に塗工することを、一般にサイズプレスと称するが、この時に使用する塗工装置としては、ロッドメタリングサイズプレスコータ、ブレードメタリングサイズプレスコータ、ゲートロールサイズプレスコータ、2ロールサイズプレスなどのロールコータが使用される場合が多い。
しかし、本発明においては、このようなクリア塗工は行わず、原紙上にそのまま顔料塗工層を設けることが好ましい。すなわち、本発明のようにオンマシンコータで1300m/分以上の高速で製造する場合、クリア塗工が操業性の大きな弊害となることがあるため、サイズプレスによるクリア塗工を行わないことが好ましい。つまり、クリア塗工を行わないことにより、サイズプレスによる原紙の濡れやニップによる断紙、ミストによる欠点増などを回避することができる。また、澱粉などの水溶性高分子を主成分とする表面処理剤を塗工原紙へ塗工(サイズプレス)することによって、原紙表面が硬くなるため、表面処理工程で微小な凹凸が潰れにくくなり、光沢度の発現性が悪化する。更に、サイズプレスすることにより原紙の透気性が悪化し、引いては印刷時のブリスター適性に影響を及ぼす。
本発明において、原紙をオンラインソフトキャレンダ、オンラインチルドカレンダを使用して予め平滑化しておくことは、塗工後の塗被層を均一化する上で特に好ましい。
顔料塗工
本発明の印刷用塗工紙の製造方法は、以上のように得られた塗工原紙上に、顔料と接着剤を含有する塗工液をオンマシンコータで塗工する工程を含んでなる。したがって、本発明の印刷用塗工紙は、原紙上に顔料塗工層を有する。
本発明で用いる顔料に特に制限はなく、塗工紙用に従来から用いられている顔料を使用することができる。例えば、カオリン、クレー、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料、プラスチックピグメントなどの有機顔料、有機・無機複合顔料などを使用することができ、これらの顔料は必要に応じて単独または二種以上混合で使用することができる。
また、本発明の顔料塗工用の顔料として、紡錘状カルサイト結晶の軽質炭酸カルシウムを湿式粉砕することにより得られる炭酸カルシウムであって、X線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50:積算50重量%の粒子径)が0.1〜0.5μmであり、BET比表面積が10〜30m2/gの範囲であり、X線透過式粒度分布測定器で測定される下式:
シャープ度=(d30/d70)×100
[式中、d30は積算30重量%の粒子径であり、d70は積算70重量%の粒子径である]
で表される粒度分布のシャープ度が50以上である炭酸カルシウムを使用することが好ましい。このような炭酸カルシウムを顔料塗工すると、裏抜けに優れた印刷用塗工紙が得られるため好ましい。
また、本発明において上記の炭酸カルシウムを使用する場合、粉砕前の軽質炭酸カルシウムとして、紡錘状の一次粒子が凝集してロゼッタ形状の二次粒子を形成したカルサイト結晶を用いることが好ましく、粉砕前の軽質炭酸カルシウムのX線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)が1.4〜3.0μmであり、BET比表面積が4〜12m2/gであることがより好ましい。さらに、本発明において上記の炭酸カルシウムを使用する場合、マルチパス型粉砕機を使用して湿式粉砕を行うことが好ましい。この粉砕した炭酸カルシウムの配合量は、顔料100重量部当たり40〜100重量部が好ましく、60〜90重量部がより好ましい。
本発明で用いられる接着剤は、特に制限は無く、塗工紙用に従来から用いられている接着剤(バインダー)を使用することができる。例えば、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合およびポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工紙用接着剤1種類以上を適宜選択して使用することができる。好ましい態様において、これらの接着剤は顔料100重量部当たり5〜50重量部、より好ましくは8〜30重量部程度の範囲で使用される。また、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤が適宜使用される。
本発明において顔料と接着剤を主成分とした塗料を塗工する場合、ブレードコータ、バーコータ、ロールコータ、エアナイフコータ、リバースロールコータ、カーテンコータ、サイズプレスコータ、ゲートロールコータを用いて塗工原紙に塗工する方式、或いはオプティスプレーのような塗料をスプレーノズルにより塗工原紙に直接吹き付ける方式の塗工機等によって一層もしくは二層以上を原紙上に片面或いは両面に塗工することができる。その中でも、印刷後の画像再現性を考慮した場合、フラデッドニップ式ブレードコータ、ジェットファウンテン式ブレードコータ、ショートドウェルタイムアプリケート式ブレードコータ等によるブレード方式が好ましい。また、本発明においては、優れた裏抜け性を得るために適正な塗工量が必要であるため、塗工量の調整範囲の広いジェットファウンテン式ブレードコーターを採用することが好ましい。
上記塗工方法による塗工される塗料の塗工量は、片面当たり8〜20g/m2が好ましく、9〜15g/m2がより好ましい。これにより、塗工層が十分に原紙を被覆することができるため、良好な光沢発現性が得られる。なお、顔料塗工層は1つであっても複数であってもよい。
顔料塗工液の調製方法は特に限定されないが、好ましい態様において、塗工液の固形分濃度は30〜68重量%程度である。
本発明において、湿潤塗工層を乾燥させる方法に制限はなく、例えば蒸気過熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の方法が単独もしくは併用して用いることができる。
表面処理
本発明の印刷用塗工紙の製造方法は、塗工層を表面処理する工程を含んでなる。特に本発明における表面処理としては、金属ロールと弾性ロールで構成されるオンライン熱ソフトカレンダーにより表面処理することが好ましい。
一般に、塗工層を設けた後、金属ロールと弾性ロールで構成されるオンライン熱ソフトカレンダーを用いて表面処理を行う場合、金属ロールの表面温度とカレンダーのニップ圧は、密度に与える影響が大きく、密度は光沢度と不透明性に大きく寄与するため、重要な要素である。
本発明の表面処理においては、6ニップ以上の条件で表面処理することが好ましい。一般に、低坪量の塗工紙においては、平滑性の改善のためにカレンダー負荷を強くすることは、不透明性の低下を招き、また、断紙などが発生しやすくなる。6ニップ以上の条件で表面処理することによりカレンダー負荷を分散させることができ、目標の平滑性を得ながら不透明性に影響を及ぼす密度上昇を抑えることができる。特に、少なくとも6ニップ以上の熱ソフトカレンダーで表面処理することによって、低坪量の塗工紙でありながら、高速の操業条件で、品質を損なうことなく印刷用塗工紙を、抄紙工程、塗工工程、表面処理工程をオンラインで連続して製造することが可能となった。
金属ロールの表面温度は、好ましくは100℃以上300℃以下である。塗工紙の含有水分が適当であれば、100℃以上に加熱された金属ロールを用いることにより、低いニップ圧あるいは短いニップ滞留時間で塗工層を平滑化することができ、塗工紙の密度は低くなり、不透明度が高く、良好な平滑性を合わせ持つ塗工紙となり、その上従来のスーパーカレンダーよりも処理速度が速く、巻取りの枠替えなどが省略できるため、効率よく生産でき操業性に優れる。
また、高温ソフトニップカレンダーを用いる場合の好ましい条件としては、例えば、弾性ロールのショアーD硬度が、80〜100であることが好ましく、85〜97であることがより好ましい。また、通紙速度は1000〜3000m/分程度が好ましく、線圧は30〜500kg/cm程度であることが好ましい。また、カレンダー前塗工水分は、3〜12%であることが好ましいが、平滑性と操業性を両立させるため、4〜8%がより好ましい。
ソフトカレンダーの金属ロールと対をなして使用される弾性ロールの材質については特に限定されないが、一般に変性ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアクリレート樹脂等の高温高圧で耐久性を示す樹脂ロールが好ましく利用される。
本発明で使用するソフトカレンダーの型式は、通紙の容易さ、省スペースを考慮してタンデムタイプの2ロールで6スタック以上が好ましい。タンデムタイプとは、一対の金属ロールと弾性ロールを重ねた2ロールを並列に並べたタイプのソフトカレンダーである。
以上のように本発明は、操業速度が1300m/分以上のオンマシンコータで製造される低坪量の印刷用塗工紙において、原紙を抄造する工程がタンデムシュープレスを1基以上有するギャップフォーマ型で、顔料塗工層を設ける前の原紙水分率が3%未満とし、塗工紙の坪量が30g/m2〜70g/m2、灰分率が35%〜50%、白紙光沢度が40%〜60%とすることにより、低坪量でありながら、印刷時には優れた裏抜け性を持ち、印刷適性、特に良好なブリスター適性を合わせ持たせることができる。特に本発明の塗工紙は、比散乱係数(cm2/g)と密度(g/cm3)の比である比散乱係数/密度が400以上であると、低坪量でありながら不透明度が高く、効率的に印刷の裏抜けを抑制することができる。
以下、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。なお、特に断らない限り、本明細書において、部および%はそれぞれ重量部および重量%を示し、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
<印刷用塗工紙の製造>
[実施例1]
原紙の原料として、古紙パルプ(DIP)30部、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)70部を含有するパルプスラリーを調成し、填料として軽質炭酸カルシウムを12部、内添紙力剤としてカチオン性の紙力増強剤を対パルプ0.5%添加して紙料を調成した。
この紙料を用いて、ロールアンドブレードフォーマ形式のギャップフォーマを有し、プレスパートに2基のタンデムシュープレスを有する抄紙機を用いて、水分率2.8%、坪量45.6g/m2の原紙を得た。抄紙速度は1500m/分であり、原紙にサイズプレスなどによるクリア塗工は行わなかった。
次に、重質炭酸カルシウム73部及びカオリン27部を含有する顔料100部に対して、接着剤として酸化デンプンとカルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合ラテックスを併せて11.5部配合して固形分濃度64%の塗工液を調製した。この塗工液を用いて、ジェットファウンテンアプリケート式ブレードコータで、塗工量が片面当たり9.0g/m2となるように両面に顔料塗工層を設けた。
引き続き、表面処理の工程にて、2ロール・6スタックの熱ソフトカレンダーを用いて、金属ロールの表面温度は200℃、線圧250kN/mの条件にて、顔料塗工層を表面連続処理して印刷用塗工紙を得た。得られた印刷用塗工紙の坪量は64.0g/m2、白紙光沢度は50.0%、比散乱係数と密度の比は455だった。
本実施例においては、抄紙工程、塗工工程、表面処理工程をオンラインで連続して行ったため、抄紙速度だけでなく、塗工速度、カレンダー速度も1500m/分だった。
[実施例2]
抄紙速度を1300m/分、乾燥後の原紙水分を2.5%、原紙坪量を46.6g/m2、顔料塗工層の塗工量を片面あたり8.5g/m2とした以外は、上記実施例1と全く同様に塗工紙を製造した。
[実施例3]
抄紙速度を1300m/分、乾燥後の原紙水分を2.2%、原紙坪量を35.2g/m2、顔料塗工層の塗工量を片面あたり8.0g/m2とした以外は、上記実施例1と全く同様に塗工紙を製造した。
[実施例4]
抄紙速度を1300m/分、乾燥後の原紙水分を2.2%、原紙坪量を36.2g/m2、顔料塗工層の塗工量を片面あたり7.5g/m2とした以外は、上記実施例1と全く同様に塗工紙を製造した。
[実施例5]
抄紙速度を1300m/分、乾燥後の原紙水分を2.5%、原紙坪量を46.6g/m2、顔料塗工層の塗工量を片面あたり8.5g/m2とし、顔料塗工層の重質炭酸カルシウムに代えて、以下の粉砕した軽質炭酸カルシウムを使用した以外は、上記実施例1と全く同様に塗工紙を製造した。
(粉砕軽質炭酸カルシウム)
本実施例においては、炭酸カルシウムとして、紡錘状の一次粒子が凝集してロゼッタ形状の二次粒子を形成したカルサイト結晶の炭酸カルシウム(奥多摩工業社製:TP221BM)を固形分濃度20%にし、ポリアクリル酸塩系分散剤を1.5重量部加えて、スラリーとした後、マルチパス型粉砕機であるSCミルロング(三井鉱山社製:SCミル100型)を使用して湿式粉砕を行うことにより得られる炭酸カルシウムを顔料として使用した。粉砕した炭酸カルシウムは、X線透過法の粒度分布測定器で測定した平均粒子径が0.38μm、BET比表面積が22.5m2/gであり、シャープ度が62だった。
湿式粉砕後の軽質炭酸カルシウムは、X線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50:積算50重量%の粒子径)が0.38μmであり、BET比表面積が22.5m2/gであり、X線透過式粒度分布測定器(セディグラフ5100、マイクロメリティクス社製)で測定される下式:
シャープ度=(d30/d70)×100
[式中、d30は積算30重量%の粒子径であり、d70は積算70重量%の粒子径である]
で表される粒度分布のシャープ度が62であった。
また、粉砕前の軽質炭酸カルシウムとして、紡錘状の一次粒子が凝集してロゼッタ形状の二次粒子を形成したカルサイト結晶を用い、粉砕前の軽質炭酸カルシウムのX線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)は2.2μmであり、BET比表面積は5.9m2/gであった。
[実施例6]
抄紙速度を1300m/分、乾燥後の原紙水分を2.5%、原紙坪量を46.6g/m2、顔料塗工層の塗工量を片面あたり8.5g/m2とし、顔料塗工の前に澱粉濃度が6%の塗工液を用いてサイズプレスで原紙にクリア塗工を行った以外は、上記実施例1と全く同様に塗工紙を製造した。
[実施例7]
原紙坪量を35g/m2、顔料塗工層の塗工量を片面あたり9.5g/m2とした以外は、実施例1と同様に塗工紙を製造した。
[比較例1]
抄紙速度が1300m/分にて、ハイブリッドフォーマを有し、プレスパートに2基のタンデムシュープレスを有する抄紙機を用いて、水分率4.0%、坪量36.2g/m2の原紙を得た。次に、顔料塗工層の塗工量が片面あたり7.5g/m2となるように両面に顔料塗工層を設けた。引き続き、2ロール・4スタックの熱ソフトカレンダーを用いて顔料塗工層を表面処理した。これ以外は、上記実施例1と全く同様に塗工紙を製造した。
[比較例2]
抄紙速度を1300m/分、乾燥後の原紙水分を2.5%、原紙坪量を35.2g/m2、顔料塗工層の塗工量を片面あたり8.0g/m2とした以外は、上記実施例1と全く同様に塗工紙を製造した。
[比較例3]
抄紙速度を1300m/分、乾燥後の原紙水分を4.0%、原紙坪量を46.6g/m2、顔料塗工層の塗工量を片面あたり8.5g/m2とした以外は、上記実施例1と全く同様に塗工紙を製造した。
[比較例4]
原紙坪量を29g/m2、顔料塗工層の塗工量を片面あたり10.5g/m2とした以外は、比較例1と同様に塗工紙を製造した。しかし、操業中に断紙が発生し、安定して塗工紙を製造することができなかった。
<品質評価方法>
(1)塗工紙灰分
JIS P−8251に従い測定した。
(2)白紙光沢度
JIS P−8142に従い角度75度で測定した。
(3)比散乱係数/密度(不透明性)
比散乱係数は、ISO−9416に従い算出し、密度はP−8118に従い測定した。
(4)印刷適性(ブリスター適性)
RI−I型印刷機(明製作所)を用い、東洋インキ製(TKマークV617)を使用し、インキ量0.8cc一定で両面印刷して一昼夜調湿度した後、この試験片を温度140℃に設定した恒温オイルバスに浸し、ブリスターの発生状況を以下の基準により目視判定した:◎=全く発生しない、○=ほとんど発生しない、△=発生する、×=発生が著しい
(5)印刷品質(着肉ムラ)
オフセット輪転印刷機(4色)にて、オフ輪印刷用インキ(東洋インキ製レオエックスM)を用いて墨→藍→紅→黄の順に印刷速度500rpmで2万部印刷した後、ハーフトーンでの着肉ムラ具合を以下の基準により目視評価した:◎=非常に良好、○=良好、△=やや劣る、×=劣る
(6)印刷品質(裏抜け)
オフセット輪転印刷機(4色)にて、オフ輪印刷用インキ(東洋インキ製レオエックスM)を用いて墨→藍→紅→黄の順に印刷速度500rpmで2万部印刷した後、裏抜け具合を以下の基準により目視評価した:◎=非常に良好、○=良好、△=やや劣る、×=劣る
(7)高速操業性
プレスパート部での断紙が起こりにくさ、塗工時にミストなどの発生がないこと、カレンダー時の収縮シワの発生がないこと、弾性ロールの耐久性などの観点から、以下の基準により高速操業性の適性を評価した:◎=非常に良好、○=良好、△=やや不良、×=不良
Figure 2010101131
表1に結果を示す。表1から明らかなように、本発明によると、高速操業性を損なうことなく、オフセット印刷時の耐ブリスター性と裏抜け性に優れた塗工紙を得ることができた。
原紙水分が少ないと耐ブリスター性が向上し、塗工紙の灰分率が多いか粉砕軽質炭酸カルシウムを使用すると裏抜けが向上する傾向があった。また、高速操業性は、ギャップフォーマを用い、灰分が35〜50%程度の場合に特に好適だった。さらに、灰分を多くした場合、ギャップフォーマ以外の抄紙機では、断紙が起こり、操業性が著しく悪化した。
また、印刷着肉ムラは、塗工量が8g/m2以上だと、良化する傾向にあった。

Claims (6)

  1. 塗工紙の坪量が30g/m2〜70g/m2、灰分率が35%〜50%、白紙光沢度が40%〜60%である印刷用塗工紙の製造方法であって、
    抄紙、顔料塗工、表面処理がオンマシンコータを用いて連続して行われ、操業速度が1300m/分以上であり、
    抄紙工程が、プレスパートにタンデムシュープレスを1基以上有し、フォーミングパートにギャップフォーマを有する抄紙機を用いて行われ、
    顔料塗工層を設ける前の紙の水分率が3%未満である、上記方法。
  2. 前記顔料塗工工程において、片面当たり8〜20g/m2の顔料塗工層が設けられる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記表面処理工程において、金属ロールと弾性ロールで構成されるソフトカレンダーを用いて6ニップ以上の条件で顔料塗工層が表面処理される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記塗工紙の比散乱係数(cm2/g)と密度(g/cm3)の比である比散乱係数/密度が400以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 塗工紙の坪量が30g/m2〜70g/m2、灰分率が35%〜50%、白紙光沢度が40%〜60%であり、請求項1〜4のいずれかの方法で得られる印刷用塗工紙。
  6. 前記塗工紙の比散乱係数(cm2/g)と密度(g/cm3)の比である比散乱係数/密度が400以上である、請求項5に記載の塗工紙。
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