JPWO2010095517A1 - 有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイ - Google Patents

有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイ Download PDF

Info

Publication number
JPWO2010095517A1
JPWO2010095517A1 JP2011500558A JP2011500558A JPWO2010095517A1 JP WO2010095517 A1 JPWO2010095517 A1 JP WO2010095517A1 JP 2011500558 A JP2011500558 A JP 2011500558A JP 2011500558 A JP2011500558 A JP 2011500558A JP WO2010095517 A1 JPWO2010095517 A1 JP WO2010095517A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
layer
photoelectric conversion
semiconductor material
organic semiconductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011500558A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5310838B2 (ja
Inventor
野島 隆彦
隆彦 野島
大久保 康
康 大久保
伊東 宏明
宏明 伊東
晃矢子 和地
晃矢子 和地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2011500558A priority Critical patent/JP5310838B2/ja
Publication of JPWO2010095517A1 publication Critical patent/JPWO2010095517A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5310838B2 publication Critical patent/JP5310838B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y10/00Nanotechnology for information processing, storage or transmission, e.g. quantum computing or single electron logic
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K30/00Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation
    • H10K30/30Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation comprising bulk heterojunctions, e.g. interpenetrating networks of donor and acceptor material domains
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K30/00Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation
    • H10K30/40Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation comprising a p-i-n structure, e.g. having a perovskite absorber between p-type and n-type charge transport layers
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K85/00Organic materials used in the body or electrodes of devices covered by this subclass
    • H10K85/10Organic polymers or oligomers
    • H10K85/111Organic polymers or oligomers comprising aromatic, heteroaromatic, or aryl chains, e.g. polyaniline, polyphenylene or polyphenylene vinylene
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K85/00Organic materials used in the body or electrodes of devices covered by this subclass
    • H10K85/20Carbon compounds, e.g. carbon nanotubes or fullerenes
    • H10K85/211Fullerenes, e.g. C60
    • H10K85/215Fullerenes, e.g. C60 comprising substituents, e.g. PCBM
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K30/00Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation
    • H10K30/20Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation comprising organic-organic junctions, e.g. donor-acceptor junctions
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K39/00Integrated devices, or assemblies of multiple devices, comprising at least one organic radiation-sensitive element covered by group H10K30/00
    • H10K39/30Devices controlled by radiation
    • H10K39/32Organic image sensors
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • Mathematical Physics (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

本発明の目的は高い変換効率を達成可能で、耐久性が高い有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイを提供することである。この有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイは対極と透明電極の間に、少なくとも、p型有機半導体材料単独からなるp層、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料とが混在した層からなるi層、及び、n型有機半導体材料単独からなるn層が積層されたp−i−n構成の光電変換層を有する有機光電変換素子であって、かつ、光入射側となる該p層もしくは該n層に用いられる有機半導体材料のキャリア移動度が、該i層に用いられる光入射側の有機半導体材料と同種の有機半導体材料のキャリア移動度より低いことを特徴とする。

Description

本発明は、有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイに関し、さらに詳しくは、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子、この有機光電変換素子を用いた太陽電池、および光アレイセンサに関する。
近年の化石エネルギーの高騰によって、自然エネルギーから直接電力を発電できるシステムが求められており、単結晶・多結晶・アモルファスの各種Siを用いたSi系太陽電池、CIGSなどの化合物系太陽電池、あるいは色素増感型光電変換素子(グレッツェルセル)などが提案・実用化されている。
しかしながら、これらの太陽電池で発電するコストは未だ化石燃料を用いて発電・送電される電気の価格よりも高いものとなっており、普及の妨げとなっていた。また、基板に重いガラスを用いなければならないため、設置時に補強工事が必要であり、これらも発電コストが高くなる一因であった。
このような状況に対し、化石燃料による発電コストよりも低コストな発電コストを達成しうる太陽電池として、透明電極と対電極との間に電子供与体層(p型半導体層)と電子受容体層(n型半導体層)とが混合されたバルクヘテロジャンクション層を挟んだ有機光電変換素子が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
有機光電変換素子からなる有機薄膜太陽電池は、安価かつ軽量なプラスチック基板上への形成も可能であり、塗布法でも形成できることから大量生産に適した太陽電池として注目され、多くの研究機関で盛んに研究がなされている。有機薄膜太陽電池は電子ドナー材料と電子アクセプタ材料を混合した、所謂、バルクヘテロジャンクション構造によって、課題だった電荷分離効率を向上させている(例えば、非特許文献1参照)。近年では光電変換効率は5〜6%台まで向上してきており、実用化に向けた研究がより活発化してきた分野といえる。しかしながら、今後の実用化に向けた有機光電変換素子においては、より高い効率で発電し、より長い耐久性を有する有機光電変換素子の開発が望まれている。
有機光電変換素子の動作原理について説明すると、
1.色素・導電性高分子が光吸収によって励起子を生成し、
2.発生した励起子はp型半導体とn型半導体の接触界面に拡散移動し、
3.p型半導体とn型半導体の接触界面でフリーキャリアへの電荷分離が起こり、
4.電荷分離により生じたキャリアのうち、電子はn型半導体層を、正孔はp型半導体層を通り、一方の電極へと運ばれる。この結果、光電流が観測される。
現状の有機光電変換素子は分光量子効率であるIPCEスペクトルから読み取れる内部量子効率は未だ50〜60%であり、照射された光を十分高い効率で利用しているとは言えない。逆に言えばこの内部量子効率を向上させることでより高い光電変換効率を達成できる余地が未だあるものと考えられる。内部量子効率の向上手段としては、
a.有機半導体材料の励起子拡散長を長くする、
b.電荷分離した正孔・電子が電極到達前に再結合もしくは失活する確率を低減させる、などの方法が考えられる。
整流性を高めるために高移動度の半導体として特定のアントラセンやペンタセンの誘導体を用いて蒸着タイプのp−i−n構造とする方法が(例えば、特許文献1参照)開示されているが、蒸着法であるためにコスト的な優位性が低減されるばかりでなく光電変換効率も不十分なものであり、更に耐久性の改善効果については何ら示唆されるものはなかった。
また、このような塗布プロセスでありながら積層構造を達成する手段として、熱変換型の半導体材料が開示されており(例えば、特許文献2参照)、このような材料を用いることで塗布プロセスによるp層とi層の積層が可能であることが開示されているが、いまだ変換効率は不十分なものにとどまっており、一層光電変換効率の高い有機光電変換素子の開発が課題となっていた。
国際公開第2007/15503号 特開2008−16834号公報
Nature Mat.,Vol.6(2007),p497
本発明の目的は、高い変換効率を達成可能で、耐久性が高い有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.対極と透明電極の間に、少なくとも、p型有機半導体材料単独からなるp層、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料とが混在した層からなるi層、及び、n型有機半導体材料単独からなるn層が積層されたp−i−n構成の光電変換層を有する有機光電変換素子であって、かつ、光入射側となる該p層もしくは該n層に用いられる有機半導体材料のキャリア移動度が、該i層に用いられる光入射側の有機半導体材料と同種の有機半導体材料のキャリア移動度より低いことを特徴とする有機光電変換素子。
2.前記対極の側のp層もしくはn層に用いられる有機半導体材料のキャリア移動度が透明電極側のp層もしくはn層に用いられる有機半導体材料のキャリア移動度より大きいことを特徴とする前記1記載の有機光電変換素子。
3.前記p型有機半導体材料として、ポルフィリン誘導体を含有することを特徴とする前記1又は2記載の有機光電変換素子。
4.前記n型有機半導体材料として、フラーレン誘導体を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の有機光電変換素子。
5.前記フラーレン誘導体が、下記一般式(1)で表されるモノマー化合物を重合させた高分子化合物であることを特徴とする前記4記載の有機光電変換素子。
(式中、R、Rは置換または無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シリル基から選ばれる置換基を表し、L、Lは置換または無置換のアルキレン基、アルケンジイル基、アルキンジイル基、シクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、シリレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、またはこれらが複数連結した構造を表す。nは2以上の整数を表す。なお、式中、球状のフラーレン構造のうち一方の半球部分のみを示し、他方の半球部分は省略しており、フラーレン構造に置換するR、Lを含む第1置換基と、R、Lを含む第2置換基の位置関係は任意である。)
6.前記フラーレン誘導体が、下記一般式(2)で表される構造を有するモノマーを重合架橋して得られた化合物であることを特徴とする前記4又は5記載の有機光電変換素子。
(式中、R、Rは置換または無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シリル基から選ばれる置換基を表し、L、Lは置換または無置換のアルキレン基、アルケンジイル基、アルキンジイル基、シクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、シリレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、またはこれらが複数連結した構造を表す。G、Gは三次元ネットワーク構造の結合鎖となる重合基である。なお、式中、球状のフラーレン構造のうち一方の半球部分のみを示し、他方の半球部分は省略しており、フラーレン構造に置換するG、R、Lを含む第1置換基と、G、R、Lを含む第2置換基の位置関係は任意である。)
7.i層が2〜5層からなり、かつ、該2〜5層のp型有機半導体材料とn型有機半導体材料の質量比が、それぞれ異なることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項記載の有機光電変換素子。
8.前記光電変換層が、溶液プロセスによって形成されていることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項記載の有機光電変換素子。
9.前記光電変換層のうちの少なくとも1層が、溶液プロセスによって形成された後に不溶化することが可能な材料を用いていることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項記載の有機光電変換素子。
10.前記1〜9のいずれか1項記載の有機光電変換素子からなることを特徴とする太陽電池。
11.前記1〜9のいずれか1項記載の有機光電変換素子がアレイ状に配置されてなることを特徴とする光センサアレイ。
本発明により、高い変換効率を達成可能で、耐久性が高い有機光電変換素子と、それを用いた太陽電池及び光センサアレイを提供することができた。
バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図である。 p−i−nの三層構成の光電変換層を備える有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図である。 タンデム型のバルクヘテロジャンクション層を備える有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図である。 光センサアレイの構成を示す図である。
本発明を更に詳しく説明する。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討したところ、対極と透明電極の間に、少なくとも、p型有機半導体材料単独からなるp層、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料とが混在した層からなるi層、及び、n型有機半導体材料単独からなるn層が積層されたp−i−n構成の光電変換層を有する有機光電変換素子であって、かつ、光入射側となる該p層もしくは該n層に用いられる有機半導体材料のキャリア移動度が、該i層に用いられる光入射側の有機半導体材料と同種の有機半導体材料のキャリア移動度より低くなるように有機光電変換素子を設計することで、上記課題を達成できることを見出し、本発明を成すに至った。
本発明で規定する構成を採ることにより、本願発明の目的効果が得られる理由については、本発明者らは以下のように推測している。
有機光電変素子においては、光照射により発生した励起子がp型有機半導体材料とn型有機半導体材料の界面で電荷分離することでキャリアである電子と正孔に分離する。光電変換層としてp型有機半導体材料とn型有機半導体材料を共存させたバルクヘテロジャンクション構造を形成させ、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料の界面が増えることにより電荷分離が促進されるが、p型とn型の分子が共存するため、発生したキャリアが再結合してしまう確率も大きくなるのが実情である。
すなわち、光電変換層がp−i−n構造からなる場合においては、光入射側の層でより多くのキャリアが発生するが、本発明ではp型有機半導体材料とn型有機半導体材料が共存するバルクヘテロジャンクション構造からなるi層に高いキャリア移動度を有す半導体材料を用いることで、発生したキャリアの再結合する確率をより小さくすることができ、ひいてはi層の膜厚を厚くすることができ、電極に到達するキャリアの量が増えて、光電変換効率が向上するばかりではなく、光が連続的に照射されることでキャリア発生が連続的に生じている場合に正極、負極のそれぞれの電極に運ばれるキャリアのアンバランスが改善され、光照射時の耐久性が改善されるものと考えられる。本発明では、光入射側となる透明電極側からp−i−n構成からなる光電変換層を順次設けた場合には、p層に用いられるp型有機半導体材料に比較して、i層に用いられるp型有機半導体材料の方が高いキャリア移動度を有すことが必要である。
また、p層が光入射側となる透明電極側に設けられる場合には、p層に用いる半導体材料よりも対極側となるn層にキャリア移動度の高い半導体材料を用いることが好ましく、逆にn層が透明電極側に設けられる場合には、n層よりも高いキャリア移動度の半導体材料を対極側となるp層に用いることが好ましい。上記構成をとることによって、光入射側の透明電極および対極に流れる電子もしくは正孔のキャリアバランスが改善されて、結果として効率が向上するばかりではなく、光が連続的に照射されることでキャリア発生が連続的に生じている場合にも正極、負極のそれぞれの電極に運ばれるキャリアのバランスが改善され、光照射時の耐久性が改善されるものと考えられる。なお、移動度とはキャリアの拡散する速さを表す指標であり、この値が大きいほどキャリアの拡散可能な距離も向上し、高い光電変換効率を与える。このキャリア移動度を測定する方法としては、特開2005−158972号公報で開示されているように電界効果トランジスタを作製して評価する方法(FET法)が挙げられる。詳細は下記実施例に記載する。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明の有機光電変換素子は、対極と透明電極の間に、少なくとも、p型有機半導体材料単独からなるp層、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料とが混在した層からなるi層、及び、n型有機半導体材料単独からなるn層が積層されたp−i−n構成の光電変換層を有する有機光電変換素子であって、かつ、光入射側となる該p層もしくは該n層に用いられる有機半導体材料のキャリア移動度が、該i層に用いられる光入射側の有機半導体材料と同種の有機半導体材料のキャリア移動度より低いことが必要である。
〔有機光電変換素子の層構成〕
図1は従来の有機光電変換素子の断面図を示す。図1において、基板11の一方面上に、陽極(通常、透明電極)12が堆積され、それとほぼ同等の面積を有する正孔輸送層17、光電変換層14、電子輸送層18、及び陰極(通常、金属電極)13が順次積層されている。
光電変換層14で発生する正孔と電子は、それぞれ陽極と陰極に取り出すことで光電変換電流を得ることができるが、逆方向へも電導するため、それぞれ正孔を流しやすい正孔輸送層17を光電変換層14と陽極12の間に、電子を流しやすい電子輸送層18を光電変換層14と陰極13の間に挟むことで、整流性を向上させ、光電変換効率の向上を図っている。
また、図2はいわゆるp−i−nの三層構成となっている構成である。通常のバルクへテロジャンクション層は、p型有機半導体材料とn型有機半導体層が混合した、i層14i単体であるが、p型有機半導体材料単体からなるp層14p、及びn型有機半導体材料単体からなるn層14nで挟むことにより、正孔及び電子の整流性がより高くなり、電荷分離した正孔・電子の再結合等によるロスが低減され、一層高い光電変換効率を得ようと図っている。
〔n型有機半導体材料〕
本発明の光電変換層に用いられるn型有機半導体材料としては、特に限定されないが、例えば、フラーレン、オクタアザポルフィリン等、p型有機半導体材料の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物等を挙げることができる。
本発明では、フラーレン含有高分子化合物を好適に用いることもできる。フラーレン含有高分子化合物としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等を骨格に持つ高分子化合物が挙げられる。フラーレン含有高分子化合物では、フラーレンC60を骨格に持つ高分子化合物(誘導体)が好ましい。
フラーレン含有ポリマーとしては、大別してフラーレンが高分子主鎖からペンダントされたポリマーと、フラーレンが高分子主鎖に含有されるポリマーとに大別されるが、フラーレンがポリマーの主鎖に含有されている化合物が好ましい。これは、フラーレンがペンダントされたようなポリマーは、いわばポリマーが分岐構造を有していることになり、固体化した際に高密度なパッキングができず、結果として高い移動度を得ることができなくなるためではないかと推定される。
具体的には、前記一般式(1)で表される化合物を好適に用いることができる。
一般式(1)において、R、Rは置換または無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シリル基から選ばれる置換基を表し、L、Lは置換または無置換のアルキレン基、アルケンジイル基、アルキンジイル基、シクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、シリレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、またはこれらが複数連結した構造を表す。nは2以上の整数を表す。なお、式中、球状のフラーレン構造のうち一方の半球部分のみを示し、他方の半球部分は省略しており、フラーレン構造に置換するR、Lを含む第1置換基と、R、Lを含む第2置換基の位置関係は任意である。
、Rで表される置換または無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シリル基としては、具体的には、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、ヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基等)が挙げられ、これらの置換基としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基について、具体的には、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロプロピル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、ハロゲン化アリール基(ペンタフルオロフェニル基、ペンタクロロフェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、アルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピル(iまたはn)シリル基、トリブチル(i、tまたはn)シリル基等)が挙げられ、これらの置換基は上記の置換基によってさらに置換されていても、複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
、Lで表される置換または無置換のアルキレン基、アルケンジイル基、アルキンジイル基、シクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、シリレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基としては、炭素数1〜22のアルキレン基、アルケン−1,2−ジイル基、アルキン−1,2−ジイル基、シクロアルキレン基が挙げられ、アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基が挙げられ、フェニレン基が好ましい。ヘテロアリーレン基としては、フリレン基、チエニレン基、ピリジニレン基、ピリダジニレン基、ピリミジニレン基、ピラジニレン基、トリアジニレン基、イミダゾリニレン基、ピラゾリニレン基、チアゾリニレン基、キナゾリニレン基、フタラジニレン基が挙げられる。シリレン基としては、ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基等が挙げられる。
さらに好ましくは、前記フラーレン誘導体が、前記一般式(2)で表される構造を有するモノマーを重合架橋して得られた化合物であることである。
一般式(2)において、R、Rは前記R、Rと同様に置換または無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シリル基から選ばれる置換基を表し、上述のR、Rと同様なものを用いることができる。
、Lは前記L、Lと同様に置換または無置換のアルキレン基、アルケンジイル基、アルキンジイル基、シクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、シリレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、またはこれらが複数連結した構造を表し、上述のL、Lと同様なものを用いることができる。
、Gは三次元ネットワーク構造の結合鎖となる重合基である。なお、式中、球状のフラーレン構造のうち一方の半球部分のみを示し、他方の半球部分は省略しており、フラーレン構造に置換するG、R、Lを含む第1置換基と、G、R、Lを含む第2置換基の位置関係は任意である。
本発明において三次元的に架橋したネットワーク構造は、一般式 (2)において、三次元ネットワーク構造の結合鎖となる重合基G、Gに重合基を2以上含むモノマーを重合架橋することによって得ることができる。好ましくは重合基を2〜3含むモノマーである。更に好ましくは、重合基を2含むモノマーであって、G、Gにそれぞれ1個ずつ含まれることである。
n型半導体が三次元的に架橋したネットワーク構造を形成していることで、剛性の高いn型キャリアパス構造を形成することができ、p型層とn型層の相分離構造が経時で変化することを防ぎ、結果として高い耐久性を有する有機光電変換素子を得ることができる。さらなる副次的な効果としては、光電変換層を多層化したり、光電変換層の上に正孔輸送層や、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層等を溶液プロセスで形成する際に、光電変換層が溶解してしまうことがなくなるため、前記の層を構成する材料と光電変換層を形成する材料とが混合することがなくなり、一層の効率向上や寿命向上を達成することができる。
そのような三次元ネットワーク構造を形成することが可能なフラーレン含有モノマーの例としては、以下のような化合物を挙げることができる。
これらの化合物は、J.Mater.Chem.,vol.15(2005),p5158,Adv.Mater.,vol.20(2008),p2116、Angewadte Chemie,International Edition,vol.41(2002),p838等を参考として、モノマーを合成することができる。
これらの化合物の中でも、重合架橋反応後にキャリアトラップとなる官能基が発生しない重合基(前記一般式(2)中のG、G)として、エポキシ基、オキセタン基、アジリジン基、ビニル基、ラクトン基、ラクタム基などが挙げられるが、ビニル基である化合物が好ましい。
なお、これらの三次元ネットワークを形成する高分子化合物は溶剤に不溶であるため、モノマーの状態でバルクヘテロジャンクション層を形成後に熱、光、放射線、及び重合開始反応を引き起こす化合物蒸気に晒す等の方法によって重合架橋反応を引き起こし、三次元ネットワーク構造を形成させることができる。また、熱、光、放射線等によって重合開始反応を引き起こす重合開始剤を予め混合しておいてもよい。これらの方法の中でも、熱または光によって重合架橋反応を起こすことが好ましく、中でも重合開始剤を用いずに重合架橋可能な化合物が好ましい。
なお、本発明において低分子化合物とは、化合物の分子量に分布のない、単一分子であることを意味する。他方、高分子化合物とは、所定のモノマーを反応させることによって一定の分子量分布を有する化合物の集合体であることを意味する。しかし、実用上分子量によって定義をする際には、好ましくは分子量が2000以下の化合物を低分子化合物と区分する。より好ましくは1500以下、さらに好ましくは1000以下である。他方、分子量が1000以上、より好ましくは2000以上、さらに好ましくは5000以上の化合物を高分子化合物と区分する。なお、分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができるが、後述するような三次元ネットワーク構造を有するような高分子の場合は、正確に分子量を特定することは困難である。
〔p型有機半導体材料〕
本発明の光電変換層に用いられるp型有機半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族低分子化合物や共役系ポリマーが挙げられる。
縮合多環芳香族低分子化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。本発明においてはポルフィリン誘導体が好ましい。
また上記の縮合多環を有する誘導体の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol127.No14.4986、J.Amer.Chem.Soc.,vol.123、p9482、J.Amer.Chem.Soc.,vol.130(2008)、No.9、2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物等が挙げられる。
これらの化合物の中でも、溶液プロセスが可能な程度に有機溶剤への溶解性が高く、かつ乾燥後は結晶性薄膜を形成し、高い移動度を達成することが可能な化合物が好ましい。より好ましくは、本発明のn型有機半導体材料と適度な相溶性を有するような化合物(適度な相分離構造形成し得る化合物)であることが好ましい。
他方で、より厚い膜や複数の層からなる多層積層構成を得るためには、一度塗布した層の上にさらに塗布することができれば、容易に狙いとする膜を得ることができる。通常溶解性の良い材料からなる層の上にさらに層を溶液プロセスによって積層使用とすると、下地の層を溶かしてしまうために積層することができないという課題もあることから、溶液プロセスで塗布した後に不溶化できるような材料が好ましい。
このような材料としては、Technical Digest of the International PVSEC−17, Fukuoka, Japan, 2007, P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェンのような、塗布後に塗布膜を重合架橋して不溶化できる材料、または米国特許出願公開第2003/136964号、および特開2008−16834号等に記載されているような、熱等のエネルギーを加えることによって可溶性置換基が反応して不溶化する(顔料化する)材料などを挙げることができる。
これらの中でも、テトラベンゾポルフィリン誘導体はその前区体を塗布後、熱処理により不溶化する半導体に構造変換することから、好ましく用いることができる。
テトラベンゾポルフィリン誘導体の例としては下記の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
テトラベンゾポルフィリン誘導体前駆体の例としては、下記一般式(3)、(4)で表される化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
(一般式(3)、(4)において、Zia及びZib(iは1〜4の整数を表す)は、各々独立に1価の原子または原子団を表す。ただし、ZiaとZibとが結合して環を形成していてもよい。R〜Rは、各々独立に1価の原子または原子団を表す。Y〜Yは、各々独立に1価の原子または原子団を表す。Mは、2価の金属原子または3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団を表す。)
一般式(3)、(4)において、Zia及びZib(iは1〜4の整数を表す)は、各々独立に、1価の原子または原子団を表す。Zia及びZibの例を挙げると、原子としては、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;等が挙げられる。
一方、原子団としては、水酸基;アミノ基;アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアラルキルアミノ基、ハロアルキル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基等の有機基;等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アルキル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アルキル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アラルキル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アラルキル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアラルキル基の例としては、ベンジル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アルケニル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アルケニル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアルケニル基の例としては、ビニル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アシル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アシル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアシル基の例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アルコキシ基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アルコキシ基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アルコキシカルボニル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アルコキシカルボニル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アリールオキシ基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アリールオキシ基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、ジアルキルアミノ基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。ジアルキルアミノ基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このジアルキルアミノ基の例としては、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、ジアラルキルアミノ基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。ジアラルキルアミノ基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このジアラルキルアミノ基の例としては、ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、ハロアルキル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。ハロアルキル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このハロアルキル基の例としては、トリフルオロメチル基等のα−ハロアルキル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、芳香族炭化水素環基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常6以上、好ましくは10以上、また、通常30以下、好ましくは20以下である。芳香族炭化水素環基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。この芳香族炭化水素環基の例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、芳香族複素環基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常2以上、好ましくは5以上、また、通常30以下、好ましくは20以下である。芳香族複素環基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。この芳香族複素環基の例としては、チエニル基、ピリジル基等が挙げられる。
さらに、上記の原子団は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の置換基を有していてもよい。前記置換基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基等のアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられる。なお、この置換基は、1種が単独または複数で置換していてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
また、ZiaとZibとは、結合して環を形成していてもよい。ZiaとZibとが結合して環を形成する場合、当該Zia及びZibを含む環(即ち、Zia−CH=CH−Zibで表される構造の環)の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環;ピリジン環、キノリン環、フラン環、チオフェン環等の、置換基を有していてもよい芳香族複素環;シクロヘキサン環等の非芳香族環状炭化水素;等が挙げられる。
iaとZibとが結合して形成する環が有する前記の置換基は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。その例としては、Zia及びZibを構成する原子団の置換基として例示したものと同様の置換基が挙げられる。なお、この置換基は、1種が単独または複数で置換していてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
上述したZia及びZibの中でも、特に水素原子が好ましい。結晶のパッキングが良好で、高い半導体特性が期待できるためである。
一般式(3)、(4)において、R〜Rは、各々独立に、1価の原子または原子団を表す。
〜Rの例を挙げると、上述したZia及びZibと同様のものが挙げられる。また、R〜Rが原子団である場合、当該原子団は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の置換基を有していてもよい。この置換基の例としては、前記Zia及びZibの置換基と同様のものが挙げられる。なお、この置換基は、1種が単独または複数で置換していてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。ただし、R〜Rは、分子の平面性を高めるためには、水素原子、ハロゲン原子等の原子から選ばれることが好ましい。
一般式(4)において、Mは2価の金属原子、または、3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団を表す。Mが2価の金属原子である場合、その例としては、Zn、Cu、Fe、Ni、Co等が挙げられる。一方、Mが3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団である場合、その例としては、Fe−B、Al−B、Ti=O、Si−B等が挙げられる。ここで、B、B、B及びBは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基等の1価の基を表す。
前記一般式(3)、(4)において、Y〜Yは、各々独立に1価の原子または原子団を表す。また、前記一般式(2)、(3)において、Y〜Yはそれぞれ4個ずつ存在するが、Y同士、Y同士、Y同士、及びY同士は、それぞれ同じでもよく、異なっていてもよい。
〜Yの例を挙げると、原子としては水素原子等が挙げられる。
一方、原子団としては、水酸基、アルキル基等が挙げられる。ここで、アルキル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1以上、また、通常10以下、好ましくは6以下、より好ましくは3以下である。アルキル基の炭素数が大きすぎると、脱離基が大きくなるため、脱離基が揮発しにくくなり、膜内に残留する可能性がある。このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。
また、Y〜Yが原子団である場合、当該原子団は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の置換基を有していてもよい。この置換基の例としては、前記Zia及びZibの置換基と同様のものが挙げられる。なお、この置換基は、1種が単独または複数で置換していてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
上述したY〜Yの中でも、水素原子、または、炭素数10以下のアルキル基が好ましい。さらにその中でも、Y〜Yの全てが水素原子であるか、または、(Y、Y)及び(Y、Y)のうち少なくとも一方の組がどちらも炭素数10以下のアルキル基であることが特に好ましい。溶解度が高くなり、成膜性が良好となるためである。
本発明に係る前駆体は、加熱処理により本発明に係るベンゾポルフィリン誘導体に変換される。加熱処理に際してどのような反応が生じるかについて制限はないが、例えば前記一般式(3)、(4)で表される前駆体の場合、熱が加えられることによって下記一般式(5)の化合物が脱離する。この脱離反応は定量的に進行する。そして、この脱離反応によって、本発明に係る前駆体は本発明に係るベンゾポルフィリン誘導体に変換される。
加熱処理について、上記にて例示したベンゾポルフィリン誘導体BP−1を例に挙げて、具体的に説明する。ベンゾポルフィリン誘導体BP−1の前駆体としては、例えば、一般式(3)、(4)において、Zia、Zib、R〜R及びY〜Yが全て水素原子である化合物(以下、「BP−1前駆体」という)を用いることができる。ただし、ベンゾポルフィリン誘導体BP−1の前駆体は、このBP−1前駆体に限定されるものではない。
BP−1前駆体は加熱されると、ポルフィリン環に結合した4個の環それぞれからエチレン基が脱離する。この脱エチレン反応により、ベンゾポルフィリン誘導体BP−1が得られる。この変換を反応式で表すと、以下のようになる。
本発明に係る前駆体を加熱処理により本発明に係るベンゾポルフィリン誘導体に変換する際、温度条件は前記の反応が進行する限り制限はないが、通常100℃以上、好ましくは150℃以上である。温度が低すぎると、変換に時間がかかり、実用上好ましくなくなる可能性がある。上限は任意であるが、通常400℃以下、好ましくは300℃以下である。温度が高すぎると分解の可能性があるためである。
本発明に係る前駆体を加熱処理により本発明に係るベンゾポルフィリン誘導体に変換する際、加熱時間は前記の反応が進行する限り制限はないが、通常10秒以上、好ましくは30秒以上、また、通常10時間以下、好ましくは1時間以下である。加熱時間が短すぎると変換が不十分となる可能性があり、長すぎると分解の可能性があるためである。
本発明に係る前駆体を加熱処理により本発明に係るベンゾポルフィリン誘導体に変換する際、その雰囲気は前記の反応が進行する限り制限はないが、不活性雰囲気であることが好ましい。この際に用いることができる不活性ガスの種類としては、例えば、窒素、希ガス等が挙げられる。なお、不活性ガスは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明に係る前駆体は、有機溶媒等の溶媒に対する溶解性が高い。具体的な溶解性の程度は溶媒の種類等によるが、25℃におけるクロロホルムに対する溶解性は、通常0.1g/l以上、好ましくは0.5g/l以上、より好ましくは1g/l以上である。なお、上限に制限はないが、通常1000g/l以下である。
本発明に係る前駆体が溶媒に対して溶解性が高いのに対し、それから誘導される本発明に係るベンゾポルフィリン誘導体は有機溶媒等の溶媒に対する溶解性が非常に低い。これは、本発明に係る前駆体の構造が平面構造でないために溶解性が高く、かつ結晶化しにくいのに対し、本発明に係るベンゾポルフィリン誘導体は構造が平面的であることに起因するものと推察される。したがって、このような溶媒に対する溶解性の違いを利用すれば、当該ベンゾポルフィリン誘導体を含む層を塗布法により容易に形成できる。例えば、以下の方法により製造できる。即ち、本発明に係る前駆体を溶媒に溶解させて溶液を用意し、当該溶液を塗布してアモルファスまたはアモルファスに近い良好な層を形成する。そして、この層を加熱処理して熱変換により本発明に係る前駆体を変換することで、平面性の高いベンゾポルフィリン誘導体の層を得ることができる。この際、上述した例のように、一般式(3)、(4)で表される化合物のうちY〜Yが全て水素原子であるものを前駆体として用いると、脱離するものがエチレン分子であるため、系内に残りにくく、毒性、安全性の面で好適である。
本発明に係る前駆体の製造方法に制限はなく、公知の方法を任意に採用することができる。例えば、前記のBP−1前駆体を例に挙げると、以下の合成経路を経て製造できる。なお、ここで、Etはエチル基を表し、t−Buはt−ブチル基を表す。
さらに、本発明に係るテトラベンゾポルフィリン誘導体は、例えば、1個の原子を2つポルフィリン環が共有して配位しているもの、2個のポルフィリン環が1個以上の原子あるいは原子団を共有して結合したもの、または、それらが3個以上結合して長鎖上に繋がったものであってもよい。
また、共役系ポリマーとしては、例えば、ポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT)等のポリチオフェン及びそのオリゴマー、またはTechnical Digest of the International PVSEC−17,Fukuoka,Japan,2007,P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェン、Nature Material,(2006)vol.5,p328に記載のポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、国際公開第08/000664号パンフレットに記載のポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、Adv.Mater,2007,p4160に記載のポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体、Nature Mat.vol.6(2007),p497に記載のPCPDTBT等のようなポリチオフェン共重合体、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマー、等のポリマー材料が挙げられる。
ポリマー材料ではなくオリゴマー材料としては、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
〔光電変換層の形成方法〕
光電変換層の形成方法としては、真空蒸着法、溶液塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができるが、生産性の観点から溶液プロセスを用いる塗布法が好ましい。
この際に使用する塗布方法に制限は無いが、例えば、スピンコート法、溶液からのキャスト法、ディップコート法、ブレードコート法、ワイヤバーコート法、グラビアコート法、スプレーコート法等が挙げられる。さらには、インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法でパターニングすることもできる。
塗膜形成後は残留溶媒及び水分、ガスの除去、及び半導体材料の結晶化による移動度向上・吸収長波化を引き起こすために加熱によるアニール処理を行うことが好ましい。製造工程中において所定の温度でアニール処理されると、微視的に一部が凝集または結晶化が促進され、特にp型有機半導体材料とn型有機半導体材料とが混在した層からなるi層の形成においては、適切なp型有機半導体とn型有機半導体のミクロ相分離構造を有すバルクへテロジャンクション層を形成することができる。その結果、本発明のi層とあるバルクヘテロジャンクション層のキャリア移動度が向上し、高い効率を得ることができるようになる。
光電変換層14におけるi層(バルクへテロジャンクション層)は、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料とが均一に混在された単一層で構成してもよいが、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料との混合比を変えた複数層で構成してもよい。この場合、前述したような塗布後に不溶化できるような材料を用いることで形成することが可能となる。
i層が2〜5層の複数層からなる場合にはp型有機半導体材料とn型有機半導体材料の質量比が、それぞれ異なることもでき、本発明の効果をより好ましく発現させるためにはp層に近い側のi層におけるp型有機半導体の質量比を高くし、n層に近い側のi層におけてはn型半導体材料の質量比を高くすることが好ましい。p型有機半導体材料とn型有機半導体材料の質量比率は1:4〜4:1であることがより好ましい。
本発明においては、入射光側のp層もしくはn層よりも、対極側のn層もしくはp層のキャリア移動度を大きくすることも好ましい形態である。
〔正孔輸送層・電子ブロック層〕
本発明の有機光電変換素子10は、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、バルクヘテロジャンクション層と陽極との中間には正孔輸送層17を有していることが好ましい。
これらの層を構成する材料としては、例えば、正孔輸送層17としては、スタルクヴイテック社製、商品名BaytronP等のPEDOT、ポリアニリン及びそのドープ材料、WO2006/019270号パンフレット等に記載のシアン化合物、などを用いることができる。なお、バルクヘテロジャンクション層に用いられるn型有機半導体材料のLUMO準位よりも浅いLUMO準位を有する正孔輸送層には、バルクヘテロジャンクション層で生成した電子を陽極側には流さないような整流効果を有する、電子ブロック機能を付与することができる。電子ブロック機能をより発現するためには、p型有機半導体材料のLUMO準位よりも浅いLUMO準位を有すことがより好ましい。このような正孔輸送層は、電子ブロック層とも呼ばれ、このような機能を有する正孔輸送層を使用するほうがより好ましい。このような材料としては、特開平5−271166号公報等に記載のトリアリールアミン系化合物、また酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化タングステン等の金属酸化物等を用いることができる。また、バルクヘテロジャンクション層に用いたp型有機半導体材料単体からなる層を用いることもできる。これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。バルクヘテロジャンクション層を形成する前に、下層に塗布膜を形成すると塗布面をレベリングする効果があり、リーク等の影響が低減するため好ましい。
〔電子輸送層・正孔ブロック層〕
本発明の有機光電変換素子10は、バルクヘテロジャンクション層と陰極との中間には電子輸送層18を形成することで、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
また電子輸送層18としては、オクタアザポルフィリン、p型有機半導体材料の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)などを用いることができるが、同様に、バルクヘテロジャンクション層に用いられるp型有機半導体材料のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有する電子輸送層には、バルクヘテロジャンクション層で生成した正孔を陰極側には流さないような整流効果を有する、正孔ブロック機能が付与される。正孔ブロック機能をより発現させるためには、n型半導体のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有すことがより好ましい。このような電子輸送層は、正孔ブロック層とも呼ばれ、このような機能を有する電子輸送層を使用するほうが好ましい。このような材料としては、バソキュプロイン等のフェナントレン系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型有機半導体材料、及び酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物及びフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等を用いることができる。また、バルクヘテロジャンクション層に用いたn型有機半導体材料単体からなる層を用いることもできる。これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。
〔その他の層〕
エネルギー変換効率の向上や、素子寿命の向上を目的に、各種中間層を素子内に有する構成としてもよい。中間層の例としては、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層などを挙げることができる。
〔透明電極〕
本発明の透明電極は、陰極、陽極は特に限定せず、素子構成により選択することができる。例えば、陽極として用いる場合、好ましくは380〜800nmの光を透過する電極である。材料としては、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の透明導電性金属酸化物、金、銀、白金等の金属薄膜、金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ用いることができる。
またポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン及びポリナフタレンの各誘導体からなる群より選ばれる導電性高分子等も用いることができる。また、これらの導電性化合物を複数組み合わせて透明電極とすることもできる。
〔対電極〕
対電極は導電材単独層であっても良いが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用しても良い。対電極の導電材としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子の取り出し性能及び酸化等に対する耐久性の点から、これら金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。対電極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
対電極の導電材として金属材料を用いれば対電極側に来た光は反射されて第1電極側に反射され、この光が再利用可能となり、光電変換層で再度吸収され、より光電変換効率が向上し好ましい。
また、対電極13は、金属(例えば金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素からなるナノ粒子、ナノワイヤー、ナノ構造体であってもよく、ナノワイヤーの分散物であれば、透明で導電性の高い対電極を塗布法により形成でき好ましい。
また、対電極側を光透過性とする場合は、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、銀及び銀化合物等の対電極に適した導電性材料を薄く1〜20nm程度の膜厚で作製した後、上記透明電極の説明で挙げた導電性光透過性材料の膜を設けることで、光透過性対電極とすることができる。
〔中間電極〕
また、前記図3のようなタンデム構成の場合に必要となる中間電極の材料としては、透明性と導電性を併せ持つ化合物を用いた層であることが好ましく、前記透明電極で用いたような材料(ITO、AZO、FTO、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au等の非常に薄い金属層またはナノ粒子・ナノワイヤーを含有する層、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子材料等)を用いることができる。
なお前述した正孔輸送層と電子輸送層の中には、適切に組み合わせて積層することで中間電極(電荷再結合層)として働く組み合わせもあり、このような構成とすると1層形成する工程を省くことができ好ましい。
〔基板〕
基板側から光電変換される光が入射する場合、基板はこの光電変換される光を透過させることが可能な、即ちこの光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。基板は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが望ましい。本発明で透明基板として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限がなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜800nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基板には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。
また、酸素及び水蒸気の透過を抑制する目的で、透明基板にはバリアコート層が予め形成されていてもよいし、透明導電層を転写する反対側にはハードコート層が予め形成されていてもよい。
〔光学機能層〕
本発明の有機光電変換素子は、太陽光のより効率的な受光を目的として、各種の光学機能層を有していて良い。光学機能層としては、たとえば、反射防止膜、マイクロレンズアレイ等の集光層、陰極で反射した光を散乱させて再度光電変換層に入射させることができるような光拡散層などを設けても良い。
反射防止層としては、各種公知の反射防止層を設けることができるが、例えば、透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基板と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
集光層としては、例えば、支持基板の太陽光受光側にマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより特定方向からの受光量を高めたり、逆に太陽光の入射角度依存性を低減することができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付き、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
また光散乱層としては、各種のアンチグレア層、金属または各種無機酸化物などのナノ粒子・ナノワイヤー等を無色透明なポリマーに分散した層などを挙げることができる。
〔パターニング〕
本発明に係る電極、光電変換層、正孔輸送層、電子輸送層等をパターニングする方法やプロセスには特に制限はなく、公知の手法を適宜適用することができる。
バルクヘテロジャンクション層、輸送層等の可溶性の材料であれば、ダイコート、ディップコート等の全面塗布後に不要部だけ拭き取っても良いし、インクジェット法やスクリーン印刷等の方法を使用して塗布時に直接パターニングしても良い。
電極材料などの不溶性の材料の場合は、電極を真空堆積時にマスク蒸着を行ったり、エッチング又はリフトオフ等の公知の方法によってパターニングすることができる。また、別の基板上に形成したパターンを転写することによってパターンを形成しても良い。
〔封止〕
また、作製した有機光電変換素子10が環境中の酸素、水分等で劣化しないために、有機光電変換素子だけでなく有機エレクトロルミネッセンス素子などで公知の手法によって封止することが好ましい。例えば、アルミまたはガラスでできたキャップを接着剤によって接着することによって封止する手法、アルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等のガスバリア層が形成されたプラスチックフィルムと有機光電変換素子上10を接着剤で貼合する手法、ガスバリア性の高い有機高分子材料(ポリビニルアルコール等)をスピンコートする方法、ガスバリア性の高い無機薄膜(酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)または有機膜(パリレン等)を真空下で堆積する方法、及びこれらを複合的に積層する方法等を挙げることができる。
〔光センサアレイ〕
次に、以上説明したバルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子10を応用した光センサアレイについて詳細に説明する。光センサアレイは、前記のバルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子が受光によって電流を発生することを利用して、前記の光電変換素子を細かく画素状に並べて作製し、光センサアレイ上に投影された画像を電気的な信号に変換する効果を有するセンサである。
図4は、光センサアレイの構成を示す図である。図4(a)は、上面図であり、図4(b)は、図4(a)のA−A’線断面図である。
図4において、光センサアレイ20は、保持部材としての基板21上に、下部電極としての透明電極22、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換部24及び透明電極22と対をなし、上部電極としての対電極23が順次積層されたものである。光電変換部24は、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料とを一様に混合したバルクヘテロジャンクション層を有してなる光電変換層24bと、正孔輸送層24aとの2層で構成される。図4に示す例では、6個のバルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子が形成されている。
これら基板21、透明電極22、光電変換層24b及び対電極23は、前述したバルクヘテロジャンクション型の光電変換素子10における基板11、透明電極12、光電変換層14及び対電極13と同等の構成及び役割を示すものである。
基板21には、例えば、ガラスが用いられ、透明電極22には、例えば、ITOが用いられ、対電極23には、例えば、アルミニウムが用いられる。そして、光電変換層24bのp型有機半導体材料には、例えば、前記BP−1前駆体が用いられ、n型有機半導体材料には、例えば、前記例示化合物13が用いられる。また、正孔輸送層24aには、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)−PSS(ポリスチレンスルホン酸)導電性高分子(スタルクヴイテック社製、商品名BaytronP4083)が用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
《有機光電変換素子STA−1の作製》
バリア層を有するPENフィルム(全光透過率90%)を基板として用い、陽極となるITOをパターン形成した透明電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
この透明基板上に、導電性高分子であるBaytron P4083(スタルクヴィテック社製)を40nmの膜厚となるようにスピンコートした後、140℃で大気中10分間加熱乾燥した。
Baytron P4083の層を形成して窒素下に移送した後、以下のように3層のp−i−n層を形成した。
〔p層〕
まずp層として、クロロベンゼンにp型有機半導体材料として、BP−1前駆体を0.5質量%で溶解し、0.45μmのフィルタでろ過をかけた後、25nmの膜厚となるようにスピンコートし、180℃で20分間加熱することで、化12に記載したスキームによりBP−1前駆体をBP−1へと変換し、p層を得た。
〔i層〕
ついでi層として、BP−1前駆体を1.2質量%、およびn型有機半導体材料として例示化合物1を1.0質量%を溶解した液を作製し、0.45μmのフィルタでろ過をかけた後、70nmの厚さとなるようにスピンコートし、180℃で20分間加熱することで、i層を得た。なおBP−1前駆体はBP−1に変換される際に分子量が約5/6となるため、p型有機半導体材料:n型有機半導体材料=1:1である。
〔n層〕
最後にn層として、例示化合物1をトルエンに1.2質量%で溶解した液を作製し、0.45μmのフィルタでろ過をかけた後、60nmの膜厚となるようにスピンコートし、180℃で30分間加熱することで、n層を得た。
上記p−i−n層まで設けた基板を、大気暴露させずに、蒸着機に移動し、4×10−4Paまで減圧した。なお、タンタル製抵抗加熱ボートに、また、タングステン製抵抗加熱ボートに、Aldrich社製バソキュプロインおよびアルミニウムを入れ、蒸着機内に取り付けておいた。
次いで、タンタル製抵抗熱ボートに通電し加熱し、基板上にバソキュプロインの電子輸送層を6nm設けた。つづいて、タングステン製タンタル加熱ボートに通電し加熱し、蒸着速度1〜2nm/秒で膜厚100nmの陰極となるAl電極を、前記透明導電膜と直交するように蒸着した。
得られた有機光電変換素子STA−1は、陰極及び陽極の外部取り出し端子が形成できるように端部を除き、陰極の周囲に接着剤を塗り、PENフィルムを基材とした可撓性封止部材を貼合した後、熱処理で接着剤を硬化させた。
《有機光電変換素子STA−2〜9の作製》
p層、i層及びn層の、p型及びn型有機半導体材料を、表2記載の半導体材料に代えた以外は有機光電変換素子STA−1の作製と同様にして、STA−2〜9を作製した。
尚、STA−7のp層は、ペンタセン前駆体を用い、180℃で20分間加熱することで、ペンタセンとした。用いた化合物を以下に示す。
(ポリマー1の調製)
Adv.Mater.,vol.20(2008),p2116を参考として、bis−PCBMを合成した。ついで、J.Mater.Chem.,vol.15(2005),p5158を参考として、bis−PCBMの塩素化反応を行い、下記モノマー1を合成し、下記スキームで、0.95当量の2,5−ビス(オクチロキシ)−1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼンと、1当量のモノマー1と、塩基存在下で重縮合反応を行い、反応終了後、メタノールを加えて反応を停止させ、フラーレン含有のポリマーである一般式(1)のポリマー1(Mn=5500)を得た。
〔有機半導体のキャリア移動度の評価〕
有機半導体のキャリアの平均移動度は以下のFET法を用いて評価した。
<有機薄膜トランジスタ用の基板の作製>
熱酸化によって形成された厚さ200nmの酸化珪素膜を有する、比抵抗0.02Ω・cmのn型Siウェハー上に、公知のリソグラフィー技術を用いて、厚さ100nmのAuから形成される、W=220μm、L=10μmの形状のソース・ドレイン電極パターンを形成した。
<有機薄膜トランジスタアレイ1の作製>
上記のソース・ドレイン電極パターンを有する基板を、アセトン・イソプロパノールで洗浄した後、SAMCO製UVオゾンクリーナーUV−1を使用し、70℃10分間のドライ洗浄を行った。
ドライ洗浄を行った後、ソース・ドレイン電極上にペンタフルオロベンゼンチオール(以下PFBTと略すこともある)からなる単分子膜を、以下の工程で形成した。
真空チャンバーにドライ洗浄を行った基板をセットし、次いでチャンバー内を室温下で2トルまで減圧した。この時点でPFBTを含有する容器と接続されたバルブを開き、5分間チャンバー内をPFBTの蒸気を導入した。次いでPFBTと接続されたバルブを閉じ、窒素パージおよび減圧を数回繰り返した後、チャンバーを大気圧に戻して基板を取り出し、エタノールで数回洗浄を行った。
次いで上記の基板上に、ヘキサメチルジシラザン(以下HMDS)を4000rpmで30秒間スピンコートし、90℃で90秒間乾燥させた後、トルエンで洗浄を行い、酸化ケイ素膜表面にHMDSからなる単分子膜を形成させた。
次に、対象となる有機半導体材料を、クロロベンゼンに2.5質量%の濃度で溶解し、この溶液を1200rpmで30秒間スピンコートし、有機半導体層を形成した。
<キャリア移動度の測定>
各有機半導体材料について、各有機薄膜トランジスタを用いて、アジレントテクノロジーズ製半導体パラメータ測定装置B1500を使用して、ドレインバイアスを−40V、ゲートバイアスを−40Vから40Vまで掃引したときのI−V特性からキャリア移動度を算出し、10個の素子についての平均値を算出し、有機半導体材料のキャリア移動度とした。
得られた、結果を表1に示す。
なお以下の表において、キャリア移動度を移動度と略記した。
〔有機光電変換素子の評価〕
《光電変換効率》
ガラス製の封止キャップとUV硬化樹脂を用いて封止を行った有機光電変換素子に、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cmの強度で照射して、電圧−電流特性を測定し、光電変換効率を求めた。即ち、各有機光電変換素子について、I−Vテスターを用いて室温にて電流−電圧特性を測定し、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、及び整流性と相関する形状因子(F.F.)を求め、これらから光電変換効率(η(%))を求めた。なお、太陽電池の光電変換効率(η(%))は、下記式(A)に基づいて算出した。
η=100×(Voc×Jsc×F.F.)/P・・・(A)
ここで、Pは入射光強度[mW/cm]、Vocは開放電圧[V]、Jscは短絡電流密度[mA/cm]、F.F.は形状因子を示す。
《耐久性評価》
ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cmの照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定し、初期の変換効率を測定した。さらに、この時の初期変換効率を100とし、陽極と陰極の間に抵抗を接続したまま100mW/cmの照射強度で500h照射し続けた後の変換効率を評価し、相対低下効率を算出した。この結果から、下記評価基準に従って耐久性(光照射)評価を実施した。
式 相対低下効率(%)=(1−暴露後の変換効率/暴露前の変換効率)×100
評価基準
○:相対低下効率が20%未満
△:相対低下効率が20%以上、40%以下
×:相対低下効率が40%以上
得られた結果を表2に示す。なお、以下の表において有機光電変換素子、p型有機半導体材料、n型有機半導体材料、をそれぞれ光電変換素子、p型半導体、n型半導体と略記した。
表2から明らかなように、本発明の有機光電変換素子が、主に短絡電流密度が向上による光電変換効率および耐久性が向上していることが判る。
実施例2
《有機光電変換素子STA−21の作製》
〔金属電極〕
バリア層を有するPENフィルム(全光透過率90%)を基板として用い、陰極となるITOをパターン形成した透明電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
透明電極上に、エタノールにTi−イソプロポキシドを0.05mol/Lになるように溶解した液を調製し、マスキングした後、膜厚20nmになるように塗布を行い、水蒸気量を調節した窒素中放置して電子輸送層を成膜した。
これ以降は、基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で作業した。まず、窒素雰囲気下で上記基板を180℃で3分間加熱処理した。
〔n層〕
n層として、例示化合物1をトルエンに1.2質量%で溶解した液を作製し、0.45μmのフィルタでろ過をかけた後、60nmの膜厚となるようにスピンコートし、180℃で30分間加熱することで、n層を得た。
〔i層〕
ついでi層として、BP−1前駆体を1.2質量%、およびn型有機半導体材料として例示化合物1を1.0質量%を溶解した液を作製し、0.45μmのフィルタでろ過をかけた後、70nmの厚さとなるようにスピンコートし、180℃で20分間加熱することで、i層を得た。なおBP−1前駆体はBP−1に変換される際に分子量が約5/6となるため、p型有機半導体材料:n型有機半導体材料=1:1である。
〔p層〕
p層として、クロロベンゼンにp型有機半導体材料として、BP−1前駆体を0.5質量%で溶解し、0.45μmのフィルタでろ過をかけた後、25nmの膜厚となるようにスピンコートし、180℃で20分間加熱することで、実施例1と同様にBP−1前駆体をBP−1へと変換し、p層を得た。
透明電極上に、導電性高分子であるBaytron P4083(スタルクヴィテック社製)を40nmの膜厚となるようにスピンコートした後、140℃で大気中10分間加熱乾燥した。
続いて、上記正孔輸送層まで設けた基板を、大気暴露させずに、蒸着機に移動し、4×10−4Paまで減圧した。
上記の電子輸送層、光電変換層、正孔輸送層を成膜したTA−21を真空蒸着装置内に設置した。TA−21と直交するように素子をセットし、10−3Pa以下にまでに真空蒸着機内を減圧した後、Auを150nm蒸着し陽極を形成することで、2mm角のサイズの有機光電変換素子STA−21を得た。
得られた有機光電変換素子STA−21は、陰極及び陽極の外部取り出し端子が形成できるように端部を除き、接着剤を塗り、PENフィルムを基材とした可撓性封止部材を貼合した後、熱処理で接着剤を硬化させた。
《有機光電変換素子STA−22〜24の作製》
p層、i層及びn層の、p型及びn型有機半導体材料を、表3記載の半導体材料に代えた以外は有機光電変換素子STA−21の作製と同様にして、STA−22〜24を作製した。
実施例1と同様に、表3から、本発明の有機光電変換素子が、主に短絡電流密度が向上による光電変換効率および耐久性が向上していることが判る。
実施例3
実施例1のi層において、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料の混合比率を表4に示すように変化させてi層を3層構成にした以外は実施例1と同様に有機光電変換素子STA−41を作製し、評価した。なお、表中の層No.1〜3は光入射側から順に積層した。
STA−41は、実施例1のSTA−6よりもより好ましいことが分かる。
10 バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子
11 基板
12 透明電極
13 対極
14 光電変換層
14p p層
14i i層
14n n層
14′ 第1の光電変換部
15 電荷再結合層
16 第2の光電変換部
17 正孔輸送層
18 電子輸送層
20 光センサアレイ
21 基板
22 透明電極
23 対電極
24 光電変換部
24a 正孔輸送層
24b 光電変換層

Claims (11)

  1. 対極と透明電極の間に、少なくとも、p型有機半導体材料単独からなるp層、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料とが混在した層からなるi層、及び、n型有機半導体材料単独からなるn層が積層されたp−i−n構成の光電変換層を有する有機光電変換素子であって、かつ、光入射側となる該p層もしくは該n層に用いられる有機半導体材料のキャリア移動度が、該i層に用いられる光入射側の有機半導体材料と同種の有機半導体材料のキャリア移動度より低いことを特徴とする有機光電変換素子。
  2. 前記対極の側のp層もしくはn層に用いられる有機半導体材料のキャリア移動度が透明電極側のp層もしくはn層に用いられる有機半導体材料のキャリア移動度より大きいことを特徴とする請求項1記載の有機光電変換素子。
  3. 前記p型有機半導体材料として、ポルフィリン誘導体を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の有機光電変換素子。
  4. 前記n型有機半導体材料として、フラーレン誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の有機光電変換素子。
  5. 前記フラーレン誘導体が、下記一般式(1)で表されるモノマー化合物を重合させた高分子化合物であることを特徴とする請求項4記載の有機光電変換素子。

    (式中、R、Rは置換または無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シリル基から選ばれる置換基を表し、L、Lは置換または無置換のアルキレン基、アルケンジイル基、アルキンジイル基、シクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、シリレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、またはこれらが複数連結した構造を表す。nは2以上の整数を表す。なお、式中、球状のフラーレン構造のうち一方の半球部分のみを示し、他方の半球部分は省略しており、フラーレン構造に置換するR、Lを含む第1置換基と、R、Lを含む第2置換基の位置関係は任意である。)
  6. 前記フラーレン誘導体が、下記一般式(2)で表される構造を有するモノマーを重合架橋して得られた化合物であることを特徴とする請求項4又は5記載の有機光電変換素子。

    (式中、R、Rは置換または無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シリル基から選ばれる置換基を表し、L、Lは置換または無置換のアルキレン基、アルケンジイル基、アルキンジイル基、シクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、シリレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、またはこれらが複数連結した構造を表す。G、Gは三次元ネットワーク構造の結合鎖となる重合基である。なお、式中、球状のフラーレン構造のうち一方の半球部分のみを示し、他方の半球部分は省略しており、フラーレン構造に置換するG、R、Lを含む第1置換基と、G、R、Lを含む第2置換基の位置関係は任意である。)
  7. i層が2〜5層からなり、かつ、該2〜5層のp型有機半導体材料とn型有機半導体材料の質量比が、それぞれ異なることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の有機光電変換素子。
  8. 前記光電変換層が、溶液プロセスによって形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の有機光電変換素子。
  9. 前記光電変換層のうちの少なくとも1層が、溶液プロセスによって形成された後に不溶化することが可能な材料を用いていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の有機光電変換素子。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項記載の有機光電変換素子からなることを特徴とする太陽電池。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項記載の有機光電変換素子がアレイ状に配置されてなることを特徴とする光センサアレイ。
JP2011500558A 2009-02-18 2010-02-04 有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイ Active JP5310838B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011500558A JP5310838B2 (ja) 2009-02-18 2010-02-04 有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイ

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009035106 2009-02-18
JP2009035106 2009-02-18
PCT/JP2010/051594 WO2010095517A1 (ja) 2009-02-18 2010-02-04 有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイ
JP2011500558A JP5310838B2 (ja) 2009-02-18 2010-02-04 有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2010095517A1 true JPWO2010095517A1 (ja) 2012-08-23
JP5310838B2 JP5310838B2 (ja) 2013-10-09

Family

ID=42633801

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011500558A Active JP5310838B2 (ja) 2009-02-18 2010-02-04 有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイ

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5310838B2 (ja)
WO (1) WO2010095517A1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011054869A (ja) * 2009-09-04 2011-03-17 Nippon Hoso Kyokai <Nhk> 有機光電変換素子、及び、これを含むイメージセンサ
JP2012169521A (ja) * 2011-02-16 2012-09-06 Fujitsu Ltd 紫外光センサー及びその製造方法
KR101942423B1 (ko) 2011-09-09 2019-04-12 삼성전자주식회사 광 다이오드
JP5987544B2 (ja) * 2012-08-08 2016-09-07 三菱商事株式会社 酸解離型重合性フラーレン誘導体及びその製造方法
WO2014136696A1 (ja) * 2013-03-08 2014-09-12 住友化学株式会社 光電変換素子及びその製造方法
EP3660935A1 (en) * 2018-11-14 2020-06-03 Samsung Electronics Co., Ltd. Photoelectric conversion devices and organic sensors and electronic devices
US11557741B2 (en) 2018-11-14 2023-01-17 Samsung Electronics Co., Ltd. Photoelectric conversion devices and organic sensors and electronic devices
DE112020000885T5 (de) * 2019-03-20 2021-11-11 Japan Display Inc. Detektionsvorrichtung

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001007366A (ja) * 1999-06-25 2001-01-12 Sony Corp 電荷移動型ヘテロ接合構造体及びその製造方法
JP4783958B2 (ja) * 2006-03-20 2011-09-28 パナソニック電工株式会社 有機薄膜太陽電池
EP2175502A4 (en) * 2007-07-09 2011-08-10 Mitsubishi Chem Corp PHOTOELECTRIC TRANSFORMER AND SOLAR CELL WITH IT

Also Published As

Publication number Publication date
JP5310838B2 (ja) 2013-10-09
WO2010095517A1 (ja) 2010-08-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5566890B2 (ja) 有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイ
JP5397379B2 (ja) 有機光電変換素子、及びその製造方法
JP5655568B2 (ja) 有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイ
JP5310838B2 (ja) 有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイ
JP5648641B2 (ja) 有機光電変換素子
JP5573066B2 (ja) 有機光電変換素子と、それを用いた太陽電池及び光センサアレイ
JP6024776B2 (ja) 有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイ
JP5920341B2 (ja) 有機光電変換素子、その製造方法及び太陽電池
JP5772836B2 (ja) 有機光電変換層材料組成物、有機光電変換素子、有機光電変換素子の製造方法及び太陽電池
JP5862189B2 (ja) 有機光電変換素子およびこれを用いた太陽電池
JP5699524B2 (ja) 有機光電変換素子および太陽電池
JP2011009347A (ja) 有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイ
WO2010090123A1 (ja) 有機光電変換素子、それを用いた太陽電池、及び光センサアレイ
JP5712769B2 (ja) 有機光電変換素子及び太陽電池
JP5447513B2 (ja) 有機光電変換素子、それを用いた太陽電池及び光センサアレイ
JP2014053383A (ja) タンデム型の有機光電変換素子およびこれを用いた太陽電池
JP5891924B2 (ja) 共役系高分子化合物およびこれを用いた有機光電変換素子
JP2010283003A (ja) 有機光電変換素子、それを用いた太陽電池、及び光センサアレイ
JP2013089684A (ja) 有機光電変換素子およびこれを用いた太陽電池
JP5413055B2 (ja) 有機光電変換素子、それを用いた太陽電池及び光センサアレイ
JP5691810B2 (ja) 共役系高分子およびこれを用いた有機光電変換素子
JP5582042B2 (ja) 有機光電変換素子および太陽電池
JP2013089627A (ja) 有機光電変換素子、およびそれを用いた有機太陽電池
JP2013077760A (ja) 有機光電変換素子およびこれを用いた太陽電池
JP5447089B2 (ja) 有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120713

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121113

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121228

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20121228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130604

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130617

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5310838

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350