JPWO2010089870A1 - 隠しスライドファスナー用のファスナーエレメント - Google Patents

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Abstract

隠しスライドファスナー用のファスナーエレメントは、ファスナーテープ(22)のテープ側縁部装着溝(10)を有する全体として略U字形であり、その中心部に芯紐部(25)を抱持する円形抱持孔(14)を有するC字状基部(2) と、同C字状基部(2) の各先端から略平行に延設された平板状の第1及び第2テープ挟持部(3,4) と、前記第2テープ挟持部(4) のテープ挟持面(11)とは反対側である裏面の係合面(12)と一体化した噛合部(5) とを備えている。前記第2テープ挟持部(4) の前記裏面の係合面(12)と相手方の噛合頭部(6) とが、前記円形抱持孔(14)の中心部を中心として相対的に回動しやすい形状を有している。

Description

本発明は、一対のファスナーテープの一端縁に沿って取り付けたファスナーエレメント(以下、単にエレメントと略記することがある。)の噛合時に、噛合エレメントがテープ表面から見えなくなる隠しスライドファスナー用のファスナーエレメントと、同エレメントをU字状に折り曲げたファスナーテープのエレメント取付縁部に列設した隠しスライドファスナーに関する。
従来、この種の隠しスライドファスナーに使用されるファスナーエレメントは、合成樹脂の射出成形や亜鉛合金等のダイキャスト等によって、ファスナーテープの一端縁に芯紐部を設けたエレメント取付縁部に沿って装着される。
この隠しスライドファスナーに用いられるエレメントは、縦断面が略U字形状を有しており、その一端に形成されるエレメントの噛合部がファスナーテープの内側に向けて装着される。この状態で、エレメントが取り付けられたファスナーテープのエレメント取付縁部をU字状に折り返して熱セット等で形状を固定したのち、エレメント列にスライダーを挿通することにより、隠しスライドファスナーが得られる。
しかし、このような隠しスライドファスナーにおいては、一般的にエレメントが噛合状態のときにファスナーテープの両側からテープ幅方向に引張り応力が加わると、左右のファスナーテープ間に隙間が生じてテープ表面側から噛合状態のエレメントが見えてしまい、隠蔽性が確保できないといった問題があった。
そこで、こうした問題を解消するために、例えば実公昭52−10483号公報(特許文献1)や実用新案登録第2598345号公報(特許文献2)に開示された隠しスライドファスナー用のファスナーエレメントでは、縦断面U字状のエレメントの開放端の一端に噛合部を設けている。この噛合部は、テープ固着側の板状部と、同板状部のテープ固着側とは反対面に一体に形成された首部と、同首部からエレメントの開放端側前方に向けて延設された噛合頭部とを有し、前記板状部の首部を除いた係合面と前記首部及び噛合頭部の周面との間に相手方の噛合部と係脱する噛合空間が形成されている。これらの特許文献1及び2に開示されたエレメントを装着した隠しスライドファスナーは、スライダーを摺動して左右のエレメントが噛合したときに、エレメントのテープ表面に向けての動きが前記係合面によって規制されるため、偏位のない安定した噛合状態が得られる。また、テープ幅方向に張力が働いても、前記係合面がエレメントのテープ表面側への回動を防ぎ、左右のファスナーテープ間に隙間が生じてエレメントがファスナー表面に表出することを防止する。
このように、隠しスライドファスナーに対する特に要求される機能は、テープ幅方向に所要の張力が働いたとき、エレメントの噛合が外れ難い噛合強度を確保するだけでなく、左右のファスナーテープの間からエレメントが覗かない隠蔽性を有することにある。しかるに、近年、隠しスライドファスナーが適用される製品は極めて多様化してきている。すなわち、従来の各種衣服類やバッグ類に限らず、例えば自動車や列車、航空機等の座席シート用シートカバー等、様々な製品にその用途が広がっている。
具体的には、例えば隠しスライドファスナーを自動車のシートカバーに適用する場合等では、通常、シートカバーはクッション体の外形寸法より小さく形成されているため、エレメントが噛合するとき又は噛合状態にある隠しスライドファスナーに対して、左右のファスナーストリンガーにはテープ長さ方向及び幅方向に強い引張り応力が加わる。しかし、従来の隠しスライドファスナーは、上記のような強い引張り応力を受けると、左右のファスナーテープ間に隙間が生じたり、またエレメントの噛合が外れるといった不具合が生じ易かった。
また、特に上記特許文献1及び2に記載された隠しスライドファスナーでは、ねじり力や突き押し力等にも弱く、例えば衣類等に縫着された隠しスライドファスナーがねじり力や突き押し力を受けた場合、エレメントの噛合部に変形や破損が生じ易く、長期の使用に耐えられないといった問題があった。
特に、前記特許文献1のエレメントは、左右のエレメントを噛合させると、噛合部の各部側面同士が密接するように構成されているため、ファスナーチェーンを折り曲げる際にファスナーチェーンは硬直性を帯びて、柔軟性を欠いてしまうため、折曲操作が円滑に行えないという不具合もあった。一方、前記特許文献2のエレメントは、左右のエレメントが噛合したとき、噛合頭部のテープ長手方向の両端隅部を相手方のエレメントの前後係合面にて支持するだけであって、左右に隣り合う相手方のエレメントの係合面同士が密接することがないため、スライドファスナーの長手方向の折曲操作が容易に行えるものの、エレメントの基部(主体)から、太さが狭められた首部を介して噛合頭部が張り出しているため、噛合頭部や首部に変形や破損が生じ易いといった不具合があった。
かかる課題を解消するため、例えば特開2007−151839号公報(特許文献3)によれば、隠蔽性及び噛合強度に優れ、テープ幅方向に引張り応力を受けても左右のファスナーテープ間に隙間が発生することがなく、またねじり力や突き押し力等を受けても変形や破損が生じることのない隠しスライドファスナー用のファスナーエレメントが提案されている。
実公昭52−10483号公報 実用新案登録第2598345号公報 特開2007−151839号公報
上記特許文献3により提案された隠しスライドファスナーエレメントは、芯紐部を抱持するC字状基部と、同C字状基部の各先端から略平行して同一方向に延び、その各対向面にファスナーテープの側縁部を挟持する第1及び第2テープ挟持面を有する平板状の第1及び第2テープ挟持部と、前記C字状基部の先端及び前記第2テープ挟持部の前記第2テープ挟持面とは反対側の裏面に一体に形成された噛合部とを備えている。同噛合部は前記第2テープ挟持部の前記裏面に一体化した首部と、同首部から前記第2テープ挟持部の先端面を越えて突出する噛合頭部と、前記C字状基部の先端面からなる肩部とを有している。更に、前記第2テープ挟持部の前記裏面にあって前記首部を除く平面が係合面を構成する。その特徴的構成は、前記第1テープ挟持部の先端面を、前記第2テープ挟持部の先端面よりも幅広に形成し、更に好ましくは前記第2テープ挟持部の前記係合面が、前記噛合部の噛合頭部の上面に対して、同係合面の基端から先端に向けて上傾斜する傾斜面に形成されている。
かかる特徴的構成を備えることにより、左右のエレメントの噛合部同士を噛合させる際に、一方のエレメントの噛合頭部は、相手方の係合面によって、下方へ押し下げられるように案内されながら、噛合位置まで滑動し、同時にエレメントが噛合したときに、第1テープ挟持部の先端面がファスナーテープを左右から押し付ける面積を従来のものよりも増大させることができ、左右のエレメント間でファスナーテープを両側から安定して押し付けることができるため、隠しスライドファスナーが引張り応力を受けても、左右のファスナーテープ間に隙間が発生することを効果的に防止でき、隠しスライドファスナーの優れた隠蔽性を確保することができる。
しかるに、この種の隠しスライドファスナーは、上述のような多様な分野へと適用の拡がりを見せており、その結果、上記特許文献3のごとく、製品に装着された隠しスライドファスナーがねじり力や突き押し力を受けた場合に、エレメント同士の噛合強度とエレメント隠蔽性は向上し、噛合頭部や首部に変形や破損が生じにくくなりはするものの、適用分野によっては、従来の規定概念だけではその分野に特有の要求に応えられないケースも生じてくることがある。
例えば、近年、多くの自動車用座席シートにエアバッグ装置が装着されるようになってきている。このようにエアバッグ装置が装着された座席シート用のシートカバーにあっては、従来のごとく単に座席シートカバーをもって座席シートを覆えば足りるというものではなく、通常は外観的に従来と同様のカバー形状を維持しているが、万一の事態が発生してエアバッグ装置が作動したとき、瞬時に且つ円滑にエアバッグを座席シート外の所定の方向に膨張展開させる必要があるため、座席用シートカバーの展開部もエアバッグの膨張圧を受けた瞬間に速やかに且つ確実に展開しなければならない。
そのため、従来のエアバッグ装置が装着された座席シートを被覆するシートカバーの展開部には脆弱な糸やプラスチック部品が使われ、エアバッグの膨張圧を受けた瞬間に速やかに且つ確実に展開できるようにしている。しかしながら、こうした脆弱な糸やプラスチック部品を使う場合には、自動車用座席としての見栄えが損なわれやすく、特に脆弱な糸を使うときは座席シートの展開部の表皮裏面に低伸縮性の布地を縫い付ける必要があってシート製造上の煩雑性が増加するばかりでなく、作業上及び材料的なコスト増加につながりかねない。また、脆弱なプラスチック部品を使用する場合には、シートカバーの展開部が展開するとき、プラスチック部品が破断してその破断片が周辺に飛び散りやすい。
こうした事情を踏まえたとき、特にエアバッグ装置が装着された自動車等の座席シートに取り付けられるシートカバーの展開部を、通常時には外観上の見栄えが確保され、しかもエアバッグ装置の作動時にはエアバッグが膨張展開を開始すると同時に速やかにシートカバーの展開部も展開することが肝心であり、更には同シートカバーの前記展開部を合理的なコストで製作できることが要求される。
本発明は、これらの要求に対応すべく、上記隠しスライドファスナーの利点を生かすとともに、その欠点を補って、エアバッグ装置の装着された自動車用座席シートのシートカバーとしての見栄えの良さを保持し、エアバッグ装置の作動時におけるシートカバーの展開部の速やかで且つ円滑な展開を可能にする隠しスライドファスナーを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明により提供されるファスナーエレメントは、基本的な構成として、芯紐部を抱持するC字状基部と、同C字状基部の各先端から略平行して同一方向に延び、その各対向面にファスナーテープの側縁部を挟持する第1及び第2テープ挟持面を有する平板状の第1及び第2テープ挟持部と、前記C字状基部の先端及び前記第2テープ挟持部の前記第2テープ挟持面とは反対側の裏面に一体に形成された噛合部とを備えてなり、同噛合部は前記第2テープ挟持部の前記裏面に一体化した首部と、同首部から前記第2テープ挟持部の先端面を越えて延出する噛合頭部と、前記C字状基部の先端面からなる肩部とを有してなる隠しスライドファスナー用のファスナーエレメントであって、前記第2テープ挟持部の前記裏面と相手方の前記噛合頭部とが、前記C字状基部の中心部を中心として相対的に回動しやすい形状に形成されていることを最も主要な特徴としている。
また好ましい態様によれば、前記首部のテープ長さ方向の前後幅寸法W2と前記噛合頭部のテープ長さ方向の前後張出幅W1との比の値W2/W1が0.55〜0.75である。
こうした構成を備えた隠しスライドファスナー用のファスナーエレメントにあって、上記相対的に回動しやすい形状の代表的な態様は、前記第2テープ挟持部の前記第2テープ挟持面とは反対側の裏面の前記首部を除く係合面が、同係合面のC字状基部側の基端から相手方のファスナーエレメントの噛合頭部の頂点部と局部的に面接触可能な中間部までが第2テープ挟持部の下面と平行な平面とされ、前記中間部を起点として先端までが上方へ向けて屈曲する屈曲面とされている。また、前記屈曲面の前記起点が、相手方ファスナーエレメントとの噛合時における相手方ファスナーエレメントの噛合頭部の先端位置近傍であることが望ましい。更に、前記屈曲面が上傾斜する傾斜面であり、或いは下方に膨出する湾曲面であるとよい。
また、他の代表的な態様によれば、前記相対的に回動しやすい形状が、前記噛合頭部の先端稜線部が面取りされた面取部とされている。前記面取部としては、噛合頭部の先端部へ向けて下傾斜する傾斜面、或いは湾曲面に形成するとよい。
更なる他の態様によれば、前記相対的に回動しやすい形状として、前記噛合頭部の前記第2テープ挟持部側とは反対側の表面が先端に向けて傾斜する上傾斜面又は凸状の湾曲面の形状を採用することもできる。
本発明の第2の基本的な構成は、一対のファスナーテープのエレメント取付縁部に沿って、上記ファスナーエレメントが所定間隔で列設され、前記ファスナーテープのエレメント取付縁部を略U字状に折り返した状態で前記ファスナーエレメントにスライダーが挿通されてなることを特徴とする隠しスライドファスナーにある。
上記特許文献3に記載された隠しスライドファスナー用のファスナーエレメントを、エアバッグ装置を装着した自動車用座席シートのシートカバーの展開部に採用すると、エアバッグ装置のエアバッグが膨張し始めて、隠しスライドファスナーの内側からその膨張圧が作用しファスナーエレメントの噛合を外そうとするとき、左右のファスナーテープが互いに離間する方向、すなわちテープ幅方向に互いを引き離す方向の力(横引き力)が作用する。この横引き力が作用すると、噛合状態にあるファスナーエレメント同士は、その噛合頭部を中心としてC字状基部の各先端から略平行して同一方向に延びる第1及び第2テープ挟持部のうち、各ファスナーテープ本体側の第1テープ挟持部が互いに離間するように、ファスナーエレメントの噛合頭部を中心として回動することにより、相手方の噛合頭部から外れようとする。
しかるに、上記特許文献1〜3に記載されたような従来の隠しスライドファスナー用エレメントにあっては、その係合部における噛合強度が大き過ぎて容易には外れず、更にエアバッグの強大な膨張圧が加わるとファスナーエレメント同士が噛合状態を維持しながらファスナーテープの幅方向にファスナーエレメントの噛合頭部を中心として回動させようとする無理な力がかかり、ファスナーエレメントの噛合頭部や第2テープ挟持部が破断してしまうことが多く、その破断片が周辺に飛び散り、エアバッグの膨張展開タイミングを遅らせるばかりでなく、破断片が乗員を直撃しかねない。
本発明者等は、かかる従来のこの種のファスナーエレメントの破断原因が何処にあるのかを様々な実験を通して解明に努めた。その結果、従来のファスナーエレメントにあっては、噛合するファスナーエレメント同士の噛合頭部の噛合面と相手方の上記第2テープ挟持部の噛合部側の係合面との間の面接触(面係合)する面積が大きすぎて、ファスナーエレメント同士の噛合が外れようとする噛合頭部の先端部が相手方係合面上を摺動しながら噛合頭部を中心とする回動動作を阻止し、噛合頭部と相手方の係合面とが強力に押圧しあって、果ては噛合頭部及び/又は第2テープ挟持部が破断してしまうということが分かった。
そこで本発明にあっては、上記特徴的構成を採用することにより、前述の噛合頭部の回動動作を容易にし、通常の状態にあるときは所要の噛合強度を確保しつつ、エアバッグ装置の作動時にはエアバッグの膨張展開力がシート展開部に作用した瞬間に容易に噛合状態が解除されることになる。その結果、エアバッグ装置の作動時にエアバッグの膨張展開動作にタイミングの遅れが生じず、且つファスナーエレメントの破壊も発生しない。本発明における上記横引き力は、60〜200N/2.54cmの範囲にあることが望ましい。60N/2.54cmより小さいと噛合強度が低すぎて、ファスナーエレメントの噛合が簡単に外れやすくなる。200N/2.54cmを越えると、エアバッグの膨張展開タイミングの遅れが多くなり、ファスナーエレメントの破壊も頻発する。なお、ファスナーエレメントの破断強度は、その使用材質によっても大きく異なる。例えばPBTやPOMは硬度が高いが脆性が大きく破断しやすいが、例えばPAは脆性が低いため破断しにくい。
本発明にあって、前記首部のテープ幅方向における前後幅寸法W2と前記噛合頭部の同じくテープ幅方向における前後方向の張出幅W1との比の値W2/W1が、0.55より小さいと、相手方のファスナーエレメントとの噛合強度が高くなり、0.75よりも大きくなると、相手方のファスナーエレメントとの噛合強度が極端に低くなり、いずれにしても実用に耐えない。
こうして、左右のファスナーエレメントの通常噛合時は、第2テープ挟持部の噛合部側の係合面の平坦面に相手方のファスナーエレメントの噛合頭部の先端部が局部的に面接触して係合状態にある。いま、エアバッグが膨張し始めて左右のファスナーテープにファスナーエレメントを引き離すような強力な引っ張り力が作用すると、例えば前記係合面の平坦面部分と先端部分が係合している相手方のファスナーエレメントの噛合頭部の先端部分が、平坦面に続く屈曲面へと移動して、噛合頭部が相対的に回動し、容易に前記係合面から外れる。その結果、エアバッグの展開膨張時には噛合頭部と相手方の係合面との係合が無理なく外れ、噛合頭部及び係合面に必要以上の力が作用せず、スライドファスナーが開き、エアバッグも容易に展開する。これにより、ファスナーエレメントの破断も起こらず、且つエアバッグもタイミング遅れもなく適切なタイミングで膨張展開する。
前記屈曲面の前記起点を、相手方ファスナーエレメントとの噛合時における相手方ファスナーエレメントの噛合頭部の先端部近傍とすることにより、前記屈曲面はファスナーエレメントの通常噛合時に、エアバッグの膨張展開開始時の強大な膨張圧が噛合状態にあるファスナーエレメントに作用して噛合解除状態へと移行するとき、噛合エレメント同士に過大な負担をかけることなく円滑に噛合解除を実現させる。
また、前記噛合頭部の先端稜線部を面取りしても、或いは前記噛合頭部の前記第2テープ挟持部側とは反対側の表面を先端に向けて上方に傾斜する上傾斜面又は凸状に湾曲させても、噛合頭部が相対的に回動しやすくなり前記係合面から外れやすくなる。
これらの構成を有するファスナーエレメントは、一対のファスナーテープのエレメント取付縁部に沿って所定間隔で列設し、前記ファスナーテープのエレメント取付縁部を略U字状に折り返す隠しスライドファスナーには、特に有効である。
本発明に係る第1実施例を示すファスナーエレメントの裏面側から見た斜視図である。 同ファスナーエレメントの表面側から見た斜視図である。 同ファスナーエレメントの側面図である。 同ファスナーエレメントが取着された本発明の隠しスライドファスナーの通常の噛合状態を示す部分側面図である。 本発明の隠しスライドファスナーにテープ横引き力が働いたときの噛合解除状態を示す部分側面図である。 本発明の第2実施例を示すファスナーエレメントの裏面図である。 本発明の第3実施例を示すファスナーエレメントの通常の噛合状態を示す一部断面図である。 テープ横引き力が働いたときの同ファスナーエレメントの噛合状態を示す一部断面図である。 本発明の隠しスライドファスナーの一部を示す裏面図である。 同隠しスライドファスナーの一部を示す表面図である。 ファスナーエレメントがスライダーのファスナーエレメント通路内へ導かれるときのファスナーエレメントの姿勢変化を説明する挙動説明図である。 上記第1実施例の変形例を示す裏面側から見た部分斜視図である。 上記第3実施例の変形例を示すファスナーエレメントの部分側面図である。
符号の説明
1 ファスナーエレメント
2 C字状基部
3 第1テープ挟持部
4 第2テープ挟持部
5 噛合部
6 噛合頭部
6a 湾曲面
7 首部
8 肩部
9 補強部
10 テープ側縁部装着溝
11 テープ挟持面
12 係合面
12a 水平面
12b 上傾斜面
13 噛合頭部上面
14 円形抱持孔
15 第1テープ挟持部の先端面
16 第2テープ挟持部の先端面
18 第1外周面
19 第2外周面
21 隠しスライドファスナー
22 ファスナーテープ
23 ファスナーストリンガー
24 スライダー
25 芯紐部
26 折返端面
27 ファスナーエレメント通路
30 フランジ
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施例に係るファスナーエレメントの全体を示すエレメント表出側から見た斜視図であり、図2は、同ファスナーエレメントをエレメント隠蔽側から見た斜視図、図3は、同ファスナーエレメントの側面図である。また、図4は、同ファスナーエレメントが噛合した状態の側面図であり、図5は同噛合ファスナーエレメントに左右のファスナーテープの横引き力が働き噛合が解除されるときの状態を示す側面図である。図6は図5における要部拡大断面図である。
ファスナーエレメント1は、ファスナーテープ22のテープ側縁部を装着するテープ側縁部装着溝10が形成された全体が略U字形状を呈しており、ファスナーテープ22の芯紐部25を抱持するC字状基部2と、C字状基部2の各先端から略平行して延設された平板状の第1テープ挟持部3及び第2テープ挟持部4と、第2テープ挟持部4のテープ挟持面11とは反対側の裏面にあたる係合面12側に一体化した噛合部5とを備えている。第1テープ挟持部3と第2テープ挟持部4とは、C字状基部2に対して僅かに第1テープ挟持部側に僅かに傾斜して斜め上方に立ち上がっている。その結果、テープ側縁部装着溝10も全体的に同じ方向(以下、上方という。)に傾斜している。
本実施例のファスナーエレメント1には、C字状基部2の上下方向の略中心部に芯紐部25を抱持する円形抱持孔14が設けられており、この円形抱持孔14から斜め上方に向けて上記テープ側縁部装着溝10が形成されている。なお、図示は省略するが、テープ側縁部装着溝10の略中央に、例えば前記特許文献2に記載されているような、第1テープ挟持部3と第2テープ挟持部4とを連結する連結部を形成することも可能である。このような連結部を設けることにより、ファスナーエレメント1をファスナーテープ22の所定箇所に強固に固着させることが可能となる。
第2テープ挟持部4の係合面12側に一体化される噛合部5は、長円形状を呈する噛合頭部6と、括れた首部7と、C字状基部2の一部先端面からなる肩部8とを有している。係合面12は、首部7及び肩部8の左右両側にそれぞれ配され、肩部8から噛合頭部6にかけて延在しており、首部7及び肩部8に対してひさし状に張り出している。前記噛合頭部6は前記第2テープ挟持部4の係合面12を越えて外側に延出している。前記噛合頭部6、首部7、肩部8及び係合面12との間に噛合空間が形成される。本実施例にあって、第2テープ挟持部4、特にその係合面12の形状に最も特徴がある。
係合面12は、図1〜図3に示すように、テープ側縁部装着溝10の基端部を構成する上記円形抱持孔14との連通部から噛合頭部6までの間で延びているが、その形状は上記特許文献1及び2に記載されているような、単なる同一平面ではなく、前記連通部と噛合頭部6との間における中間部12cにおいて水平面12aから上傾斜面12bへと切り換えられている。前記中間部12cは、図4に示すように、相手方のファスナーエレメント1との噛合時に、相手方の噛合頭部6の先端部分だけが前記水平面12aと局部的に僅かに面接触するに足りる部位にあたる。ここで、相手方の噛合頭部6の先端部分が水平面12aと僅かに面接触させるのは、ファスナーエレメント同士が噛合しているとき、外部からの突き上げ力により各ファスナーエレメント1が簡単に上下方向に移動しないようにして、隠しスライドファスナーの通常噛合時には容易には噛合割れを起こさないようにするがためである。
係合面12の前記中間部12cから先端までの上傾斜面12bは、図4に示すファスナーエレメント1の通常噛合時から、図示せぬエアバッグの膨張展開開始時における強大な膨張圧が噛合状態にあるファスナーエレメント1に作用したときの図5に示す噛合解除状態への移行を、噛合エレメント同士に過大な負担をかけることなく円滑に実現させるために機能する。
すなわち、ファスナーエレメント1同士の通常噛合時は、図4に示すように左右のファスナーエレメント1における第2テープ挟持部4の前記水平面12aに対して相手方の噛合頭部6の先端部分が僅かに面接触しているに過ぎない。この面接触の面積は、ファスナーエレメント1の大きさによって変更可能であり一律に決めることはできないが、本発明の隠しスライドファスナー21が、例えばエアバッグ装置を装着した車両用座席シートの図示せぬシートカバーに適用されているときも、左右のファスナーテープ22に互いが離間する方向に通常の引っ張り力が働いているときや、噛合状態にあるファスナーエレメント1に対する突き上げ力などの外力が働いたとしても、ファスナーエレメント1を相手方の第2テープ挟持部4の水平面12aで押さえ付けて、その噛合姿勢を崩すことなく維持するに十分な面積であればよい。
この実施例によると、上記第2テープ挟持部4の先端面16と直角に交わる噛合頭部6の上面13(図2)には、前記先端面16と噛合頭部上面13とを連結するように平面視で矩形状を呈し、側面視で直角三角形状の補強部9が配されている。本実施例のファスナーエレメント1では、前述のように噛合頭部6が細い首部7を介して設けられおり、また噛合頭部上面13と先端面16とが直角に交わっているため、噛合部5の強度が懸念されるが、前記補強部9を設けたことにより、噛合部5の強度を十分に確保することができ、例えば噛合状態にあるファスナーエレメント1に強いねじり力や突き押し力等が加えられた場合でも、噛合部5の変形や破損を防止することができる。また、平面視で矩形状としているため、噛合頭部6の上面全体を補強できることになり、エアバッグによる強大な膨張圧が作用しても、その圧力に十分耐えることができ、容易には破損することもない。なお、この補強部9は図示のように平面視で矩形状とせず、全体が三角錐形状としてもよい。
更に本実施例における首部7及び噛合頭部6の第2テープ挟持部側とは反対側の面、すなわち前記補強部9が形成されている面とは反対側の表面(下面)に、図1〜図3に示すとおり、噛合頭部6の先端に向けて湾曲する湾曲面6aを形成している。また、湾曲面6aに代えて噛合頭部の先端へ向けて上方へ傾斜する上傾斜面とすることもできる。湾曲面6aまたは上傾斜面を形成することにより、噛合頭部6の上下方向の肉厚を噛合頭部6の先端へ向けて漸次減少するようにする。これは、左右のファスナーテープ22に横引き力が働いたとき、例えば図5に示すように、ファスナーエレメント1自身が、C字状基部2の中心に位置している芯紐部25を中心としてファスナーテープ22の横引き力向に回動しやすくするがためである。
いま、ファスナーエレメント1が図4に示す通常の噛合状態にあるときの隠しスライドファスナー21に、例えば図示せぬエアバッグ装置が作動して、エアバッグが膨張展開を開始して、その強大な膨張圧が各ファスナーエレメント1に作用すると、噛合状態にあるファスナーエレメント1は瞬時に図5に示す噛合解除状態へと移行する。すなわち、エアバッグの膨張開始時の膨張圧により、左右のファスナーテープ22の離間方向に強力な引っ張り力が働き、左右のファスナーエレメント1がそれぞれ芯紐部25を中心としてファスナーテープ22の引っ張り方向に速やかに回動する。このとき、第2テープ挟持部4の水平面12aに僅かに面接触していた相手方の噛合頭部6の先端部分は前記水平面12aを滑動して水平面12aに続く上傾斜面12bへと瞬時に移行して、上傾斜面12bと点接触状態で上傾斜面12b上を案内されて抵抗なく移動する。
このように噛合頭部6の先端部分が上傾斜面12bに移行すると、噛合頭部6の先端部分が上傾斜面12bに案内されて抵抗なく滑動しやすくなり、各ファスナーエレメント1は、その中心部である芯紐部25を中心としてファスナーテープ22の引っ張り方向に速やかに回動し、各ファスナーエレメント1の噛合が容易に解除される。ファスナーエレメント1が回転したとき、噛合頭部6の下面に設けた湾曲面6aと上傾斜面12bとが対面しても、湾曲面6aと上傾斜面12bとの間の隙間が広く確保しされ、回転時に湾曲面6aと上傾斜面12bとの干渉が回避できる。
その結果、エアバッグ装置の作動時に第2テープ挟持部4及び噛合部5にエアバッグの膨張圧による過大な力がかからず、ファスナーエレメント1が破断することがなくなる。因みに、特許文献1〜3に記載された隠しスライドファスナーの展開に必要な横引き力は250N/2.54cmを越えるのに対して、本発明の横引き力は60〜200N/2.54cmと低い力で展開する。
図12は、この第1実施例の変形例を示している。この変形例によれば、前記水平面12aと前記上傾斜面12bとを屈曲して連続させるのではなく、水平面12aと上傾斜面12bとの屈曲切替部である中間部12cを屈曲面とせずに、上傾斜面12bを水平面12aに続く下方に膨出する湾曲面に形成することができる。
図6は、本発明に係るファスナーエレメントの第2実施例を示している。本実施例においても、ファスナーエレメント1の主要部の構造は上記第1実施例と実質的に変わるところがない。本実施例における特徴的構成は、ファスナーエレメント1の噛合頭部6と首部7との相対的な寸法関係を規定している点にある。そのため、以下の説明では、上記第1実施例と実質的に対応する部分の名称及び符号には、同一の名称と符号とを使用する。
図6に示すように、ファスナーエレメント1の噛合部5は、平面視で楕円形をなす噛合頭部6と、その噛合頭部6の長径部から中央で細く括れてC字状基部2の先端面の肩部8へと延び同肩部8に連結する首部7とを有している。この第2実施例によれば、噛合頭部6の噛合方向(同図の上下方向)の最大幅寸法をW1として、首部7の同方向の最小幅寸法をW2としたとき、前記最大幅寸法W1に対する前記最小幅寸法W2の比の値W2/W1を0.55〜0.75の範囲に規定している。この比の値にW2/W1が0.55より小さいと、首部7の括れが大き過ぎてファスナーエレメント同士の横引き強度が高くなり、エアバッグ装置の作動によっても容易には噛合が解除できず、噛合部周辺部に過大な荷重がかかって損壊しやすくなる。W2/W1が0.75を越えると、首部7の括れが小さ過ぎてファスナーエレメント同士の横引き強度が弱くなり過ぎてしまい、エアバッグ装置が作動しいときでもファスナーエレメント同士の噛合が簡単に外れてしまう。
本実施例にあっては、ファスナーエレメント1の材質にはPOMが使われており、前記比の値W2/W1は0.69に設定されており、そのファスナーエレメント同士の横引き強度は100N/2.54cmであって、W2/W1の値が0.48の同一材質からなる通常のファスナーエレメントの横引き強度250N/2.54cmと比較すると1/5の低い強度となる。本実施例における横引き強度は100N/2.54cmの値は、エアバッグ装置の作動時に図示せぬシートカバーの展開部における引裂き展開の抵抗も減少させることができ、しかも通常の使用ではファスナーエレメントの噛合が維持される強度である。
図7及び図8は、隠しスライドファスナー用の本発明の第3実施例となるファスナーエレメントと、その回動時の状態を示している。
本実施例にあって、上記第1及び第2実施例と異なるところは、第1及び第2実施例では相手方の第2テープ挟持部4の係合面12と面接触する相手方の噛合頭部6の上面13(図2の上面)は平面に形成され、その上面13と長円状の周側面とが互いに直交しているのに対して、本実施例では、図7及び図8に示すように前記噛合頭部6の少なくとも先端部の稜線部分が噛合方向に直交して面取部6bを形成している。面取部6bとしては、湾曲面とすることが挙げられるが、図13に示すように噛合頭部6の先端に向けてした傾斜する傾斜面であってもよい。また、上記実施例では第2テープ挟持部4の前記係合面12の基端から途中までが水平面12aとされ、その途中から先端にかけて上傾斜面12bとしているが、本実施例では前述の面取部6bを形成することに伴い、前記係合面12の基端から先端にかけて同一水平面12aに形成している。
本実施例が前記構成を採用することにより、ファスナーエレメント1同士の通常噛合時は、図7に示すように、左右のファスナーエレメント1における第2テープ挟持部4の前記水平面12aと相手方の噛合頭部6の面取部6bを除く半部近くの表面とが面接触している。この面接触の面積は、ファスナーエレメント1の大きさや要求される噛合強度の大きさにより異なり、一律に決めることはできないが、本発明の隠しスライドファスナー21が、例えばエアバッグ装置を装着した車両用座席シートの図示せぬシートカバーに適用されているときも、左右のファスナーテープ22に互いが離間する方向への通常の引っ張り力や、噛合状態にあるファスナーエレメント1に対する突き上げ力などの外力が働いても、ファスナーエレメント1を相手方の第2テープ挟持部4の水平面12aで押さえ付けて、その噛合姿勢を崩すことなく維持するに十分な面積であればよい。
いま、ファスナーエレメント1が図7に示す通常の噛合状態にあるときの隠しスライドファスナー21に、例えば図示せぬエアバッグ装置が作動して、エアバッグが膨張展開を開始して、その強大な膨張圧が各ファスナーエレメント1に作用すると、本実施例にあっても上記第1及び第2実施例と同様に、噛合状態にあるファスナーエレメント1は瞬時に図8に示す噛合解除状態へと移行する。すなわち、エアバッグの膨張開始時の膨張圧により、左右のファスナーテープ22の離間方向に強力な引っ張り力が働き、左右のファスナーエレメント1がそれぞれファスナーテープ22の引っ張り方向に回動する。このとき、第2テープ挟持部4の水平面12aと広く面接触していた相手方の噛合頭部6の先端の面取部6bが相手方の係合面12上を支障なく回転して、図8に示すように、ファスナーエレメント1がC字状基部2の中心部を中心としてファスナーテープ22の引っ張り方向に円滑に回動して、噛合するファスナーエレメント1の噛合を解除する。
なお、以上の説明では第1〜第3実施例を個別に説明しているが、本発明にあっては、これらの実施例を適宜組み合わせることもできる。例えば、第2実施例において第1実施例を組み合わせることができ、或いは第1実施例における上傾斜面12bを形成するとともに、噛合頭部の上面先端部に面取部6bを形成することもできる。更には、図示は省略するが、前記面取部6bに代えて上傾斜面とすることもできる。この場合、水平面12aと面接触する相手方の噛合頭部6の上面13との間で所要の接触面積を確保すべく、上傾斜面12bの起点である係合面12の中間部を第2テープ挟持部4の先端側へと僅かに変位させるとよい。また、例えば第1〜第3実施例の特徴的構成を全て組み合わせてもよい。
こうした構成を備えた本発明のファスナーエレメント1を、一対のファスナーテープ22の各エレメント取付縁部に所定間隔で列設して図9に示すファスナーストリンガー23を形成した後、ファスナーテープ22のエレメント取付縁部側を、図4に示すように略U字状に折り返した状態でファスナーエレメント1のエレメント列にスライダー24を挿通させて、図9に示すような隠しスライドファスナー21を得る。ここで、図10は、本実施例に係る隠しスライドファスナー21をテープ表面側から見た平面図であり、図9は、同隠しスライドファスナー21をテープ裏面側から見た背面図である。
ファスナーエレメント1のファスナーテープ22への取り付けに関しては、従来一般的に用いられている手段によって行うことができ、例えば、ファスナーテープ22のエレメント取付縁部に合成樹脂を射出成形することによって、所定形状を有する合成樹脂製のファスナーエレメント1をファスナーテープ22に装着することができる。この場合、ファスナーエレメント1の材質となる合成樹脂として、例えばポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン等を用いることができる。またその他に、銅合金、ニッケル合金、アルミ等のダイキャストを行うことによっても、金属製のファスナーエレメント1をファスナーテープ22に装着することも可能である。
このようなファスナーエレメント1を用いて得られた隠しスライドファスナー21は、図4に示すように、ファスナーエレメント1の円形抱持孔14でファスナーテープ22の芯紐部25を抱持するとともに、ファスナーエレメント1の第1テープ挟持部3と第2テープ挟持部4とでファスナーテープ22のエレメント取付縁部を挟持している。
また、ファスナーテープ22は、第1テープ挟持部3の先端で略U字状に折り返されており、スライダー24を摺動させて左右のファスナーテープ22に取り付けたファスナーエレメント1同士を噛合させることにより、図4に示すように、ファスナーテープ22の略U字状に折り返された折返端面26同士を密着させる。これにより、隠しスライドファスナー21は、噛合状態のファスナーエレメント1をファスナーテープ22の表面側から見えなくすることができる。
この隠しスライドファスナー21は、ファスナーエレメント1のC字状基部2の第1テープ挟持部3側の後端部湾曲面及び第2テープ挟持部4側の後端部湾曲面である第1外周面18及び第2外周面19がそれぞれ円筒面とされていることから、スライダー24を摺動させたときに、ファスナーエレメント1とスライダー24との干渉を抑えて良好な摺動特性を得ることができ、更には、以下のような効果も得ることができる。
例えば、スライダー24を摺動させて左右のファスナーエレメント1を噛合させる際に、左右のファスナーテープ22に外側に向けての引張り応力が作用している場合、図11に仮想線で示すように、ファスナーエレメント1がスライダー24のファスナーエレメント通路27に対して傾いた姿勢で進入することがある。この場合、ファスナーエレメント1がスライダー24のファスナーエレメント通路27を通過する際に、ファスナーエレメント1の第2外周面19がスライダー24の下板29に接し、また第1外周面18がスライダー24の逆L字状のフランジ30に接してスライダー24の後口側に向けて滑動する。その際に、スライダー24のファスナーエレメント通路27内の形状によっては、第2外周面19をスライダー24の下板29に接触させ、また第1外周面18をスライダー24のフランジ30に接触させることで、ファスナーエレメント通路27内でファスナーエレメント1を回動させ、ファスナーエレメント1の姿勢を図12の実線で示すような噛合に適した姿勢に傾倒させることができる。
すなわち、本実施例の隠しスライドファスナー21によれば、たとえファスナーエレメント1がスライダー24のファスナーエレメント通路27に対して傾き噛合に不適当な姿勢で進入するような状況にあっても、ファスナーエレメント通路27内でファスナーエレメント1の姿勢を傾倒させることにより左右のファスナーエレメント1を確実に噛合させて、安定した噛合状態を確保することができるといった利点も得ることが可能となる。
特に、本実施例では、ファスナーエレメント1の第2外周面19が、前述のように第1外周面18よりも大きな曲率半径を有している。即ち、ファスナーエレメント1を、上述のようにスライダー24内で回動させて噛合に適切な姿勢に傾倒させる場合、第2外周面19の方が、第1外周面18よりもスライダーと接触する範囲が広くなる。このため、第2外周面19が第1外周面18よりも大きな曲率半径を有していることにより、ファスナーエレメント1のファスナーエレメント通路27内での回動を円滑に行い、ファスナーエレメント1を効率的に、また安定して傾倒させることができる。

Claims (9)

  1. 芯紐部(25)を抱持するC字状基部(2) と、同C字状基部(2) の各先端から略平行して同一方向に延び、その各対向面にファスナーテープ(22)の側縁部を挟持する第1及び第2テープ挟持面を有する平板状の第1及び第2テープ挟持部(3,4) と、前記C字状基部(2) の先端及び前記第2テープ挟持部(4) の前記第2テープ挟持面とは反対側の裏面間に一体に形成された噛合部(5) とを備えてなり、同噛合部(5) は前記第2テープ挟持部(4) の前記裏面に一体化した首部(7) と、同首部(7) から前記第2テープ挟持部(4) の先端面(16)を越えて延出する噛合頭部(6) と、前記C字状基部(2) の先端面からなる肩部(8) とを有してなる隠しスライドファスナー用のファスナーエレメント(1) であって、 前記第2テープ挟持部(4) の前記裏面係合面(12)と相手方の前記噛合頭部(6) とが、前記C字状基部(2) の中心を中心として相対的に回動しやすい形状に形成されてなることを特徴とする隠しスライドファスナー用のファスナーエレメント。
  2. 前記首部(7) の噛合方向の最小幅寸法W2に対する前記噛合頭部(6) の噛合方向の最大幅寸法W1の比の値W2/W1が0.55〜0.75である請求の範囲第1〜3項のいずれかに記載の隠しスライドファスナー用エレメント。
  3. 前記相対的に回動しやすい形状が、前記第2テープ挟持部(4) の前記第2テープ挟持面とは反対側の裏面の前記首部(7) を除く係合面(12)が、同係合面(12)のC字状基部(2) 側の基端から中間部(12c) までが第2テープ挟持部(4) の下面と平行な水平面(12a) とされ、前記中間部(12c) を起点として先端までが上方へ向けて屈曲する屈曲面とされてなることを特徴とする請求の範囲第1又は2項に記載の隠しスライドファスナー用エレメント。
  4. 前記屈曲面の前記起点が、相手方ファスナーエレメント(1) との噛合時における相手方ファスナーエレメント(1) の噛合頭部(6) の先端部近傍である請求の範囲第3項記載の隠しスライドファスナー用エレメント。
  5. 前記屈曲面が水平面(12a) に続く上傾斜する上傾斜面(12b) である請求の範囲第4項記載の隠しスライドファスナー用エレメント。
  6. 前記屈曲面が下方に膨出して湾曲する湾曲面である請求の範囲第4項記載の隠しスライドファスナー用エレメント。
  7. 前記相対的に回動しやすい形状が、前記噛合頭部(6) の先端稜線部が面取りされた面取部(6b)とされてなることを特徴とする請求の範囲第1又は2項に記載の隠しスライドファスナー用エレメント。
  8. 前記相対的に回動しやすい形状が、前記噛合頭部(6) の前記第2テープ挟持部(4) 側とは反対側の表面が先端に向けて上方に傾斜する上傾斜面又は凸状の湾曲する湾曲面(6a)の形状とされてなることを特徴とする請求の範囲第1又は第2項に記載の隠しスライドファスナー用エレメント。
  9. 一対のファスナーテープ(22)のエレメント取付縁部に沿って、請求の範囲第1〜8項のいずれかに記載の複数の前記ファスナーエレメント(1) が所定間隔で列設され、前記ファスナーテープ(22)のエレメント取付縁部を略U字状に折り返した状態で前記ファスナーエレメント(1) にスライダー(24)が挿通されてなることを特徴とする隠しスライドファスナー。
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