JPWO2010074210A1 - レーザー彫刻用凸版印刷原版及びそれから得られる凸版印刷版 - Google Patents

レーザー彫刻用凸版印刷原版及びそれから得られる凸版印刷版 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2010074210A1
JPWO2010074210A1 JP2010508649A JP2010508649A JPWO2010074210A1 JP WO2010074210 A1 JPWO2010074210 A1 JP WO2010074210A1 JP 2010508649 A JP2010508649 A JP 2010508649A JP 2010508649 A JP2010508649 A JP 2010508649A JP WO2010074210 A1 JPWO2010074210 A1 JP WO2010074210A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photosensitive resin
laser engraving
resin composition
printing
original plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010508649A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5316534B2 (ja
Inventor
高橋 敏
敏 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2010508649A priority Critical patent/JP5316534B2/ja
Publication of JPWO2010074210A1 publication Critical patent/JPWO2010074210A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5316534B2 publication Critical patent/JP5316534B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/004Photosensitive materials
    • G03F7/027Non-macromolecular photopolymerisable compounds having carbon-to-carbon double bonds, e.g. ethylenic compounds
    • G03F7/032Non-macromolecular photopolymerisable compounds having carbon-to-carbon double bonds, e.g. ethylenic compounds with binders
    • G03F7/035Non-macromolecular photopolymerisable compounds having carbon-to-carbon double bonds, e.g. ethylenic compounds with binders the binders being polyurethanes
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/004Photosensitive materials
    • G03F7/027Non-macromolecular photopolymerisable compounds having carbon-to-carbon double bonds, e.g. ethylenic compounds

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)

Abstract

【課題】 高速印刷時にも印刷不良を生じず、かつ解像度に優れた印刷版を製造できるレーザー彫刻用凸版印刷原版、レーザー彫刻用硬化済み凸版印刷原版および感光性樹脂凸版印刷版を提供する。【解決手段】 少なくとも可溶性合成高分子化合物、光重合性不飽和化合物、光重合開始剤を基本成分とする感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂組成物層を紫外線照射によって硬化させた後にレーザー光照射により画像形成して印刷版を形成するレーザー彫刻用凸版印刷原版において、前記感光性樹脂層が可溶性合成高分子化合物としてポリエーテルウレアウレタン、光重合性不飽和化合物としてエチレン性不飽和モノマーおよび光重合開始剤を必須成分とする前記感光性樹脂組成物からなり、前記感光性樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル基の含有量が前記感光性樹脂組成物1000質量グラム中に2.2モル以上3.7モル以下含有すること特徴とするレーザー彫刻用凸版印刷原版。【選択図】 なし

Description

本発明は、レーザー光照射により画像形成して印刷版を形成するレーザー彫刻用凸版印刷原版およびそれを用いて得られる凸版印刷版に関するものである。
各種包装材やシール、ラベル印刷、他、多種の印刷に使用される凸版印刷版は、従来、感光性樹脂からなる印刷原版を像に従って露光して露光部の樹脂を架橋させ、次いで非露光部の未架橋樹脂を洗浄除去することにより製造されていたが、近年、印刷版製造の効率改善のため、レーザーを使って直接印刷原版上にレリーフ画像を形成するレーザー彫刻による印刷版が普及しつつある。レーザー彫刻による印刷版の製造工程では、レーザー光線を像に従って印刷原版に照射して照射部分の像形成材料を分解することにより版表面に凹凸が形成される。
レーザー彫刻用の印刷原版としては、フレキソ版への技術応用が進んでおり、レーザー彫刻可能なフレキソ版原版、あるいはレーザー彫刻によって得られたフレキソ版が特許文献1及び2に開示されている。それらの文献には、バインダーとしてエラストマー性のゴムにモノマーを混合してフレキソ印刷原版を製造し、熱架橋又は光架橋により硬化させた後にレーザー彫刻を行い、フレキソ印刷版を得ている。しかし、これらは水性インキやエステルインキに適性のあるフレキソ印刷版であり、油性インキが主に用いられる樹脂凸版用途には適するものではない。一方、凸版印刷に用いるレーザー彫刻用印刷原版としては、ポリビニルアルコール又は変成ポリビニルアルコールやポリエーテルポリアミドなどの可溶性高分子に光重合性化合物及び光重合開始剤を配合した樹脂組成物からなるものが特許文献3〜5に開示されている。
しかしながら、凸版印刷に用いるレーザー彫刻用印刷原版としては、レーザー彫刻性と印刷性能との両者を満足できる印刷原版が得られていなかった。レーザー彫刻時の問題点としては、レーザー照射により生じた樹脂カスがレーザー照射中の吸引やレーザー照射後の洗浄でも除去されずに版に付着したまま残りやすいことが最大の課題であり、印刷版のレーザー非照射部分(凸部分)に付着した樹脂カスが印刷時にインクを受理して印刷不良を起こしやすくしていた。上記樹脂カス付着の課題に対しては、シリカ微粉末などの無色透明の充填剤を配合する方法(特許文献6参照)により印刷原版の機械的特性を向上させ、結果として粘着性や微細部の溶融を減少させる技術が提案されている。しかしながら、シリカ微粉末などの充填剤を配合する方法は、印刷原版の粘着性を十分に低下させるためには多量の充填剤が必要となり、印刷原版の成型性や版物性を著しく損なうという問題があった。
このように、従来技術の充填剤添加方法では印刷原版の成型性や版物性に悪影響を与えるので、充填剤を添加せずに印刷原版の粘着性を低減でき且つ微細部形成性を向上したレーザー彫刻用原版が待ち望まれていた。
特許第2846954号公報 特開平11−338139号公報 特開平11−170718号公報 特開2006−002061号公報 特開2001−328365号公報 特表2004−533343号公報
本発明は、かかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は高速印刷時にも印刷不良を生じず、かつ解像度に優れた印刷版を製造できるレーザー彫刻用凸版印刷原版、レーザー彫刻用硬化済み凸版印刷原版および感光性樹脂凸版印刷版を提供することである。
本発明者らは、かかる目的を達成するために好適な樹脂組成物の組成について鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は(1)少なくとも可溶性合成高分子化合物、光重合性不飽和化合物、光重合開始剤を基本成分とする感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂組成物層を紫外線照射によって硬化させた後にレーザー光照射により画像形成して印刷版を形成するレーザー彫刻用凸版印刷原版において、前記感光性樹脂層が可溶性合成高分子化合物としてポリエーテルウレアウレタン、光重合性不飽和化合物としてエチレン性不飽和モノマーおよび光重合開始剤を必須成分とする前記感光性樹脂組成物からなり、前記感光性樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル基の含有量が前記感光性樹脂組成物1000質量グラム当り2.2モル以上3.7モル以下含有すること特徴とするレーザー彫刻用凸版印刷原版、(2)前記エチレン性不飽和モノマーが少なくとも2個以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有し、且つ、前記感光性樹脂組成物中に20質量%〜45質量%含まれることを特徴とする(1)のレーザー彫刻用印刷原版、(3)前記エチレン性不飽和モノマーが、多価アルコールのポリグリシジルエーテルとメタクリル酸あるいはアクリル酸との開環付加反応生成物を含むことを特徴とする(1)又は(2)のレーザー彫刻用印刷原版、(4)ポリエーテルウレタンウレアが塩基性第3級窒素原子を含有し、ポリエーテルウレタンウレア1000質量グラム中に塩基性第3級窒素原子を0.50〜2.00モル含有し、数平均分子量が400〜1500のポリエチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合体であることを特徴とする(1)〜(3)に記載のレーザー彫刻用印刷原版、(5)ポリエーテルウレタンウレアがプロトン性四級化剤によって25モル%以上を4級化された塩基性第3級窒素原子を含有することを特徴とする(4)のレーザー彫刻用印刷原版、(6)(1)〜(5)のレーザー彫刻用印刷原版より得られることを特徴とする感光性樹脂凸版印刷版である。
また、本発明は、(7)(1)〜(5)のいずれかに記載のレーザー彫刻用印刷原版に紫外線を照射し、感光性樹脂組成物層中の(メタ)アクリロイル基含有量を紫外線照射前の30モル%未満としたレーザー彫刻用硬化済み凸版印刷原版、(8)(1)〜(5)のいずれかに記載のレーザー彫刻用印刷原版に紫外線を照射し、感光性樹脂組成物層中の(メタ)アクリロイル基含有量を、前記感光性樹脂組成物1000質量グラム中に1モル未満としたレーザー彫刻用硬化済み凸版印刷原版、(9)少なくとも可溶性合成高分子化合物、光重合性不飽和化合物、光重合開始剤を基本成分とする感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂組成物層を紫外線照射によって硬化させたレーザー彫刻用硬化済み印刷原版であって、
紫外線照射後の感光性樹脂組成物層が可溶性合成高分子化合物としてポリエーテルウレアウレタン、光重合性不飽和化合物としてエチレン性不飽和モノマー、および前記エチレン性不飽和モノマーのラジカル重合反応生成物を含有し、紫外線照射後の感光性樹脂組成物層中の(メタ)アクリロイル基の含有量が前記感光性樹脂組成物1000質量グラム中に1モル未満であることを特徴とするレーザー彫刻用硬化済み凸版印刷原版、(10)(7)〜(9)のいずれかに記載のレーザー彫刻用硬化済み凸版印刷原版より得られることを特徴とする感光性樹脂凸版印刷版、である。
本発明の凸版印刷に用いるレーザー彫刻用印刷原版およびレーザー彫刻用硬化済み印刷原版を用いることにより、レーザー彫刻性能が向上することで、印刷性能が大幅に向上したレーザー彫刻用印刷版を提供することが可能となるので産業界に寄与すること大である。
本発明のレーザー彫刻用印刷原版は、可溶性合成高分子化合物がハードセグメントとソフトセグメントとからなるブロック共重合体であるポリエーテルウレアウレタンを用いること、さらに好ましくは感光性樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル基の含有量が感光性樹脂組成物1000質量グラム当り2.2モル以上3.7モル以下含有することで、本発明を達成したものである。本発明は、前記可溶性高分子化合物を用いることで優れたレーザー彫刻性能が得られ、高速印刷性能の面から特に優れた印刷特性が得られる。
また、本発明のレーザー彫刻用硬化済み印刷原版は、前記レーザー彫刻用印刷原版を紫外線露光し硬化させることによって得ることができ、優れたレーザー彫刻性能が得られ、高速印刷性能の面から特に優れた印刷特性が得られる。
本発明における可溶性高分子化合物としてのポリエーテルウレタンウレアは、塩基性第3級窒素原子を含有することが好ましく、ポリエーテルウレタンウレア1000質量グラム中に塩基性第3級窒素原子を0.50〜2.00モル含有することが好ましく、数平均分子量が400〜1500のポリエチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合体であることが好ましく、プロトン性4級化剤によって25モル%以上を4級化させた塩基第3級窒素原子を含有することが好ましい。塩基性第3級窒素原子を含有させることで、もしレーザー彫刻時に樹脂カスが付着したとしても、水を溶剤としてブラシ洗浄等により容易に樹脂カスを除去することができる。また、塩基性第3級窒素原子をプロトン性4級化剤により4級化することで、更に容易にレーザー彫刻時の樹脂カスを除去することが可能となる。ポリエーテルウレタンウレア中の第3級窒素原子含有量がポリエーテルウレタンウレア1000グラム中に0.50モル未満だと、樹脂カス除去性が不十分であり、又、2.00モルを超えると樹脂カス除去中に画像がダメージを受けやすくなるために好ましくない。本発明において、塩基性第3級窒素原子含有量を可溶性合成高分子化合物1000グラム中に0.50〜2.00モルに含有させる方法としては、ハードセグメント中の塩基性第3級窒素原子含有原料の配合比率によって設定する事も可能である。本発明において、4級化率とは可溶性合成高分子化合物中に含有する塩基性第3級窒素原子のモル数に対して、4級化した塩基性第3級窒素原子モル数の割合であり、モル%で表される。
まず、本発明の可溶性合成高分子化合物について説明する。本発明に用いる可溶性合成高分子化合物は、ソフトセグメントを含有するブロック共重合体であり、ハードセグメント中に水素結合を形成可能なアミド結合、ウレア結合又はウレタン結合を分子内に含有することで高い結晶性を有する。そのために感光性樹脂組成物としても30%以上の高い反発弾性率を有し、さらに感光性樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル基の含有量が感光性樹脂組成物1000質量グラム当り2.2モル以上3.7モル以下含有することで十分に光架橋され、レーザー彫刻時に発生した熱によって発生する熱変形を小さくすることが可能となる。その結果、本発明を用いたレーザー彫刻用印刷原版は従来の高反発弾性を有する印刷原版では得られなかった優れたレーザー彫刻性能を達成し、且つ早い印刷速度においても優れた印刷性を満足するものである。
次に、本発明に用いるハードセグメント中の塩基性第3級窒素原子を4級化するプロトン性4級化剤について説明する。本発明に用いる4級化剤はプロトン性4級化剤であり、紫外線によって重合する光重合性基を含有する化合物であっても光重合性基を含有しない化合物であっても良い。プロトン性4級化剤としては公知一般の化合物を用いることができる。光重合性基を含有する化合物の具体的な例としてはマレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸などが挙げられるが、樹脂カス除去性の面より好ましいものとしてはアクリル酸やメタクリル酸である。一方、光重合性基を含有しない化合物の具体的な例としては、脂肪族の4級化剤としてグリコール酸、コハク酸、アジピン酸、芳香族の4級化剤としては安息香酸など挙げられるが、樹脂カス除去性の面よりこれらの中でもアジピン酸や安息香酸が好ましい。
本発明に用いる可溶性合成高分子化合物は、印刷版として優れた高速印刷性を満足するために高反発弾性率を有することが重用である。好ましい反発弾性率としては、30%以上、さらに好ましい反発弾性率は40%以上である。反発弾性率が30%未満では100m/分以上の高速印刷時においてベタ部インキ乗りが悪いために好ましくない。30%以上の高反発弾性率を有する可溶性合成高分子化合物を得る方法としては、ソフトセグメントとして数平均分子量が400〜1500のポリエチレングリコールを用いることが好ましく、より好ましい数平均分子量は400〜1000であり、特に好ましい数平均分子量は400〜600である。さらに可溶性合成高分子化合物中に含有するポリエチレングリコールの含有率も重要であり、好ましい含有率は40質量%〜75質量%であり、さらに好ましい含有率は40質量%〜60質量%である。ソフトセグメント含有比率が40質量%未満ではソフトセグメントの役割を果たさず、又75質量%を超えるとハードセグメントの機能が発揮されずに十分な樹脂硬度が得られなので、好ましくない。
次に、本発明の感光性樹脂組成物の可溶性合成高分子化合物として用いる具体的なポリエーテルウレアウレタンについて説明する。本発明に用いるポリエーテルウレアウレタンは、ジアミンとポリエチレングリコールを含有する末端ジイソシアネート化合物とを溶剤中で付加重合させることで得られる。本発明に用いるポリエーテルウレタンを製造する方法としては、加熱重合法や溶液重合法などの公知の付加重合方法が使用可能である。
ジアミン成分は、レーザー彫刻性能と印刷性能の両者を満足するためには第3級窒素原子を含有しないジアミンと第3級窒素原子を含有するジアミンとを併用することが好ましい。
第3級窒素原子を含有しないジアミンとしては、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4 或は2,4,4 −トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3 −或は1,4 −ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3 −或は1,4 −アミノシクロヘキサンなどが挙げられるが、好ましくは2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4 或は2,4,4 −トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである。
一方、第3級窒素原子を含有するジアミンの具体的例としては、主鎖又は側鎖に塩基性第3級窒素原子を有するジアミンである。具体的なジアミンとしてはピペラジン環を有するジアミン及びそれ以外のジアミンが挙げられる。具体的なピペラジン環を有するジアミンの例としては、N,N’−ビス(アミノメチル)ピペラジン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)メチルピペラジン、N−(アミノメチル)−N’−(2−アミノエチル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−アミノペンチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(アミノプロピル)ピペラジン、N−(ω−アミノヘキシル)ピペラジン、N−(3−アミノシクロヘキシル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)−3−メチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)−2,5−ジメチルピペラジン、N−(2−アミノプロピル)−3−メチルピペラジン、N−(3−アミノプロピル)−2,5 −ジメチルピペラジンなどのピペラジン環を有するジアミンが挙げられる。上記ジアミンの中でも、N,N’−ビス(アミノエチル)−ピペラジン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン等のピペラジン環を有するジアミンが重合性及び物性面より優れるために好ましい。
ポリエーテルウレアウレタンに用いるもう一方の原料である上記ジイソシアネート化合物は公知の脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアネートと等モル以下のポリオキシエチレングリコールとを反応させて得られる、実質的に両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物である。該ジイソシアネート化合物の製造方法は従来公知の方法を利用出来る。即ち両者を無溶剤の状態で混合・撹拌下に反応させる方法、両者を不活性溶剤に溶解させて反応させる方法などがあげられる。反応温度、反応時間などは、両者の反応性や熱安定性などを考慮して最適条件を決めるべきである。またジイソシアネートの使用比率はポリオキシエチレングリコールに対して2.0モル以上、特に2.05モル以上が望ましい。
ジイソシアネート化合物を得るために使用するジイソシアネートとしては公知の脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアネートが使用可能である。例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジメチルイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられるが、保存安定性や反応性の面から脂肪族ジイソシアネートが好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
またジアミンとジイソシアネート化合物との反応比率アミノ基/イソシアネート基(当量比)は1.0以上、望ましくは1.02以上である。この場合過剰の末端アミノ基が未反応のまま残存しても、それを用いた組成物の性能、物性などに悪影響を及ぼさない限り特にさしつかえない。またアミノ基/イソシアネート基(当量比)が1.0未満の場合はゲル化などの不都合な反応が起こりやすいので好ましくない。アミンとイソシアネートとの反応性は極めて大きいため両者の反応は水、メタノールなどのアルコール類、あるいは水とアルコール類との混合物などの活性溶剤中でも可能である。
本発明に用いる可溶性高分子化合物はウレアウレタン結合による結晶層を有するブロック共重合体であり、結晶性を乱すことなくソフトセグメントに光重合性化合物の濃度を高く出来、その結果レーザー彫刻時に発生した熱によって境界部分の樹脂(レリーフ)が熱変形を起こしにくくなっていると考えられる。一方、ウレアウレタン結合の結晶層を有するブロック共重合体を用いない場合には、ポリマーの結晶性が光重合性化合物によって乱され、レーザー彫刻時に発生した熱によって境界部分の樹脂(レリーフ)が熱変形を起こしやすいと考えられる。熱変形を防止するためには、光重合性化合物の含有比率を高くすることが考えられるが、樹脂硬度が高くなりすぎるために印刷性の低下が起こり、レーザー彫刻性と印刷性との両者を満足できるものではない。又、シート状成型品の固形化するまでの時間が長くなり、生産性が低下する問題が起こる。
本発明に用いる光重合性不飽和化合物としては、公知の光重合性不飽和化合物を用いることができる。好適に用いられる光重合性不飽和化合物としては、公知の二価又は三価アルコールのグリシジルエーテルとメタアクリル酸およびアクリル酸との開環付加反応生成物であり、前記多価アルコールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、フタル酸のエチレンオキサイド付加物、グリセリン、ビスフェノールA、トリメルロールプロパンやビスフェノールFのジグリシジルエーテルアクリル酸付加物などが挙げられるが、またこれらの化合物を2種類以上混合して使用することも出来る。なお、本発明においてはレーザー彫刻性の面よりグリセリンジメタクリレート、エチレングリコールジエポキシアクリレート、トリメルロールプロパントリエポキシアクリレートが好ましく、特にグリセリンジメタクリレートを用いることが好ましい。本発明に用いる光重合性不飽和化合物は単独でも良いが、光重合性不飽和基の含有量を特定の範囲とするために混合してもかまわない。
本発明は光重合性不飽和基の含有量が重要である。本発明は、優れたレーザー彫刻性能と樹脂カス除去性を満足するためには感光性樹脂組成物全体として含有する光重合性不飽和基の含有量を一定量の範囲にコントロールすると共にプロトン酸で4級化した塩基性第3級窒素原子含有量を一定量にコントロールすることが好ましい。
本発明の好ましい光重合性不飽和基の含有量として、感光性樹脂組成物1000グラム中に2.2〜3.7モル含有させるものであり、さらに好ましくは2.4〜3.4モル含有させることである。感光性樹脂凸版組成物1000グラム中の光重合性不飽和基の含有量が、2.2モル未満ではレーザー彫刻性能が悪く、又3.7モルを超えると印刷版として硬くなりすぎてインキ乗りが低下するので好ましくない。光重合性不飽和基の含有量を感光性樹脂凸版組成物1000グラム 中に2.2〜3.7モル含有させる方法としては、光重合性化合物の配合量を増減させること又は光重合性基間の距離(分子量)を変えることで同じ感光性樹脂組成物への配合量でありながら感光性樹脂組成物中の光重合性基の量を増減させることは可能である。
本発明に使用する光重合開始剤としては公知のものが使用可能であり、具体的には、例えば、ベンゾフェノン類、ベンゾイン類、アセトフェノン類、ベンジル類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルアルキルケタール類、アンスラキノン類、チオキサントン類などが使用できる。好適な具体例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイン、アセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、アンスラキノン、2−クロロアンスラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントンなどが挙げられる。これらは感光性樹脂組成物中に0.05〜5質量%含有させるのが好ましい。0.05質量%より少ないと光重合開始能力に支障をきたし、5質量%より多いと印刷用レリーフを作成する場合の生版の厚み方向の光硬化性が低下し、レーザー彫刻性能が低下する。
また必要により公知の熱重合禁止剤を添加してもよい。熱重合禁止剤は、感光性樹脂凸版組成物の調合、製造、成形加工時などの加熱による予定外の熱重合、あるいは該組成物の保存中の暗反応を防止するために添加する。このような化合物の例としては、ハイドロキノン、モノ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどのハイドロキノン類、ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノンなどのベンゾキノン類、フェノール類、カテコール、p−tert−ブチルカテコールなどのカテコール類、芳香族アミン化合物類、ビクリン酸類、フェノチアジン、α−ナフトキノン類、アンスラキノン類、ニトロ化合物類、イオウ化合物類などが挙げられる。熱重合禁止剤の使用量は全組成物中、0.001 〜2 質量%、特に好ましくは0.005 〜1質量%である。これらの化合物は2種以上併用してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物は、印刷用レリーフ版を得る場合の溶融成形法の他、例えは、熱プレス、注型、或いは、溶融押出し、溶液キャストなど公知の任意の方法により目的の製品に応じた所望の形状物に成形できる。
レーザー彫刻用印刷原版を得る場合は、本発明の感光性樹脂組成物をシート状に成形した成形物(生版)を公知の接着剤を介して、或いは、介さずに支持体に積層して使用することができる。支持体としてはスチール、アルミニウム、ガラス、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチックフィルム、金属蒸着したフィルムなど任意のものが使用できる。シート状成形物(生版)を支持体上に接着層を積層した積層体にして供給する場合には、シート状成形物(生版)に接してさらに保護層を積層しても良い。保護層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートの125μm厚みのフィルム等のフィルム状のプラスチックに、粘着性のない透明な高分子を1〜3μmの厚みで塗布したものが用いられる。この薄い高分子の皮膜を有する保護層をシート状成形物(生版)に接することによって、シート状成形物(生版)の表面粘着性が強い場合であっても次の露光処理(光硬化)操作時に行う保護層の剥離を容易に行うことができる。
本発明における光硬化とは、例えば、感光性樹脂組成物をシート状に成形・固形化した後に、このシート状成形物(生板)を、表面より高さ5cmの距離から8mW/cmの紫外線露光機(光源:フィリップス社製10R)により表裏各10分露光し、架橋硬化させるものである。
本発明におけるレーザー彫刻用硬化済み凸版印刷原版は、本発明におけるレーザー彫刻用凸版印刷原版を露光処理することによって光硬化(架橋)させて得られるが、露光処理はカバーフィルムを通して処理しても良いし、カバーフィルム剥離後に露光処理しても良い。
かくして得られたレーザー彫刻用硬化済み凸版印刷原版は、例えば、レーザー彫刻装置の版装着ドラムの表面に取り付けられ、像に従ったレーザー照射により照射部分の原版が分解されて凹部分を形成し、印刷版が製造される。
次に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ショアーD硬さ及び反発弾性率は感光性樹脂組成物をシート状成形物に成型して光硬化した後に、以下の方法により測定した。なお、測定用サンプルは 250μmのポリエステル支持体上に3mmの感光性樹脂層を設け、更に感光性樹脂層表面に125μmのポリエステルフィルムを積層した感光性樹脂積層体を使って、25W/m2のケミカルランプを用いて感光性樹脂積層体表面より高さ5cmの距離から10分間露光し、光硬化させた。次いで、20℃、相対湿度65%の条件で24〜36時間保存したものを評価用サンプルとした。
(1)ショアーD硬さ :西独ツビック社製、ショアー式デュロメーター(ショアーDタイプ)を用いて25℃で測定した。
(2)反発弾性率 :直径10mm(重さ4.16グラム)の鋼球製ボールを20cmの高さより落下させ、跳ね返る高さ(a)を読み取り、(a/20)×100とした(%表示)。測定は、25℃、70%RHの条件で行った。
(3)樹脂カス除去性評価(付着した樹脂カスの除去性)
樹脂カス除去性の評価として、レーザー彫刻した後に印刷版表面に付着した樹脂カスを用いて除去のし易さを評価した。直径160μmのポリエチレンテレフタレート製の繊維を植え込みした10cm×10cmのブラシを用いてその除去し易さを以下の通りに評価した。
○:10回以内の擦り作業で除去可能、△:30回以内の擦り作業で除去可能、×:30回以上の擦り作業でも除去できず、ブラシにも樹脂が付着。
実施例1
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン77質量部と2−メチルペンタメチレンジアミン22質量部をメタノール550質量部に溶解した後、該ジアミン溶液にポリエチレングリコール(平均分子量600)600質量部とヘキサメチレンジイソシアネート369質量部を反応させて得られた実質的に両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマー451質量部を、撹拌下徐々に添加した。両者の反応はポリマー固形分濃度50%の条件下に約15分で完了した。この溶液をテフロン(登録商標)コートしたシャーレに取り、メタノールを蒸発除去後、減圧乾燥して得られた付加重合体は、ジアミン成分中に2−メチルペンタメチレンジアミンを20重量%、ポリエーテルセグメントを47重量%含有し、比粘度が1.71のポリエーテルウレアウレタンであった。
次に得られたポリエーテルウレアウレタン55.0質量部と4級化剤として乳酸2.1質量部をメタノール200質量部および水10質量部に攪拌付き加熱反応釜中65℃で4時間溶解・4級化反応を行った。その後にグリセリンジメタクリレート33.7質量部、エチレングリコールジエポキシアクリレート5.0質量部、可塑剤としてN−エチルトルエンスルホン酸アミド3.1質量部、ハイドロキノンモノエチルエーテル0.1質量部、ベンジルジメチルケタール1.0質量部を加え、感光性樹脂組成物溶液を得た。得られた感光性樹脂組成物溶液は、メタノール及び水を除く感光性樹脂組成物固形分1000グラム中に(メタ)アクリロイル基を3.3モル含有し、且つプロトン酸で4級化された3級窒素原子も0.42モル含有していた。この溶液をテフロン(登録商標)コートしたシャーレに流延し、一昼夜40℃で減圧乾燥し厚み800μmの感光性組成物のシートを得た。
次に、得られた組成物シートを厚さ250μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリエステル系接着層をコーティングしたフィルムと、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムとで挟み、ヒートプレス機で100℃、100kg/cmの圧力で加圧することにより、厚さ1.05mmのシート状成形物(レーザー彫刻用印刷用原版)を得た。
次に、このシート状成形物(レーザー彫刻用印刷用原版)を紫外線露光機(光源:フィリップス社製10R)により表面より高さ5cmの距離から8mW/cmの紫外線露光機(光源:フィリップス社製10R)により厚さ100μmポリエチレンテレフタレートフィルム側から10分露光し、架橋硬化させた後、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、レーザー彫刻用硬化済み印刷原版を作製した。作製したレーザー彫刻用硬化済み印刷原版を酢酸エチルに25℃で48時間浸漬し、抽出された(メタ)アクリロイル基含有物を定量したところ、(メタ)アクリロイル基の含有量はレーザー彫刻用印刷硬化済み原版を構成する感光性樹脂組成物1000g中0.3モルであった。
実施例2〜3
表1の通りに4級化剤の種類と添加量を変更し、実施例1と同様にして組成物を調整し、実施例1と同様にしてシート状成形物(レーザー彫刻用原版)およびレーザー彫刻用印刷硬化済み原版を得た。
実施例4〜7、15、16
表1の通りに実施例1の光重合性不飽和化合物の添加量及び種類を変更して光重合性基含有量を変化させ、またその他の配合の一部を変更して感光性樹脂組成物を作成し、実施例1と同様にして実施例4〜7、15、16のレーザー彫刻用印刷原版およびレーザー彫刻用印刷硬化済み原版を作製した。
実施例9〜11
表1の通りに実施例1のソフトセグメントであるポリエチレングリコールの数平均分子量を変更し、実施例1と同様にして実施例9〜11のレーザー彫刻用印刷原版およびレーザー彫刻用印刷硬化済み原版を作製した。
実施例8、12〜14
表1の通りに実施例1のジアミン成分を変更し、実施例1と同様にして実施例8、12〜14のレーザー彫刻用印刷原版およびレーザー彫刻用印刷硬化済み原版を作製した。
比較例1及び比較例2
比較例1及び比較例2は感光性樹脂組成物1000グラム中に含有する光重合性基の総モル数が請求項1の範囲外の値を含有する感光性樹脂組成物であり、実施例1と同様にしてレーザー彫刻用印刷原版およびレーザー彫刻用印刷硬化済み原版を作製した。
比較例3
ポリエーテルウレアウレタンとは構造が異なるε−カプロラクタム55.0質量部、N,N’−ビス(γ−アミノプロピル)ピペラジンとアジピン酸のナイロン塩40.0質量重量部と1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとアジピン酸のナイロン塩7.5質量部とを溶融重縮合して共重合ポリアミドを得た。得られたポリアミド50.0質量部をメタノール100質量部および水20質量部に攪拌付き加熱溶解釜中60℃で2時間溶解し、乳酸3.6質量部、グリセリンジメタクリレート34.4質量部、エチレングリコールジエポキシアクリレート5質量部、N−エチルトルエンスルホン酸アミド3.1質量部、ハイドロキノンモノエチルエーテル0.1質量部、ベンジルジメチルケタール1.0質量部を加え、感光性樹脂組成物溶液を得た。この溶液をテフロン(登録商標)コートしたシャーレに流延し、一昼夜40℃で減圧乾燥し厚み800μmの組成物シートを得た。得られた組成物シート中のメタクリロイル基含有量は組成物1000グラム中に3.46モルであった。
比較例4及び5
比較例4では、比較例3のポリアミドを用いて表2の組成比率を基にして比較例3と同様にして配合し、組成物中1000グラム中に光重合性基量2.48モルを含有する感光性樹脂組成物を得た。又、比較例5では比較例3においてポリアミドを40.0質量部に減らして、表2の組成比率の通りに光重合性化合物含有率が53.7質量%と高い感光性樹脂組成物を用いて実施例1と同様に評価してレーザー彫刻用印刷原版およびレーザー彫刻用印刷硬化済み原版を作製した。
比較例6
比較例6では、実施例1においてシート状成形物に対する紫外線照射時間を1分間としてレーザー彫刻用硬化済み印刷原版を作製した。
次にレーザー彫刻性能評価について説明する。レーザー彫刻装置はLuescher Flexo社製の300W炭酸ガスレーザーを搭載したFlexPose!directを用いた。本装置の仕様はレーザー波長10.6μm、ビーム直径30μm、版装着ドラム直径は300mm、加工速度は1.5時間/0.5mであった。レーザー彫刻の条件は、以下のとおりである。なお、(1)〜(3)は装置固有の条件である。(4)〜(7)は任意に条件設定が可能であり、それぞれの条件は本装置の標準条件を採用した。
(1)解像度:2540dpi
(2)レーザーピッチ:10μm
(3)ドラム回転数:982cm/秒
(4)トップパワー:9%
(5)ボトムパワー:100%
(6)ショルダー幅:0.30mm
(7)評価画像:150lpi、0〜100%まで1%刻みの網点、直径100μm
〜600μmの独立点について画像形成し、評価した。
得られた印刷版について以下の評価項目を評価した。
(1)印刷版表面への樹脂カスの付着具合
10倍の拡大ルーペを使用して、印刷表面への樹脂カスの付着具合を目視により検査し、◎:ほとんど付着なし、○:少し付着有り、△:かなり付着有り、×:付着激しい、の4段階で示した。
(2)レリーフ縁部エッジ丸み
超深度カラー3D形状測定顕微鏡(キーエンス社製VK−9510)を使用して、直径200μの独立点を拡大し、頂部レリーフの縁部エッジ丸みの判定を行った。縁部エッジに丸みが発生すると印刷物が不明瞭となるために、丸みが発生しないことが必要である。
◎:エッジがシャープで丸み全く発生なし。
○:僅かにエッジに丸みが発生。
△:エッジに少し丸みが発生。
×:エッジに激しい丸みが発生し、エッジが不鮮明。
(3)150lpi最小網点再現性
10倍の拡大ルーペを使用して、150lpi最小網点再現性を測定した。
(4)高速印刷時の印刷性
レタープレス印刷機としてシール印刷用輪転印刷機を使って100m/分の速度でUVインキを用いて1000部の印刷を実施し、ハイライト印刷性及びベタインキ乗りを判定した。
〔ハイライト印刷性〕
○:150lpiの3%ハイライトでムラなく鮮明に印刷できる。
△:150lpiの3%ハイライトでわずかに濃度ムラが有る。
×:150lpiの3%ハイライトで濃度ムラが有る。
〔ベタ部インキ乗り〕
○:ベタ部のインキ乗りにムラがなく印刷できる。
△:ベタ部のインキ乗りにわずかに濃度ムラが有る。
×:ベタ部のインキ乗りに濃度ムラが有る。
評価結果を以下の表1〜3に示す。
なお、表1〜3において、「−」は未測定であることを示す。また、化合物名の略号は下記のとおりである;
BAPP:N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン
BAC:1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン
MPDA:2−メチルペンタメチレンジアミン
HMDA:ヘキサメチレンジアミン
AEP:N−(2−アミノエチル)ピペラジン
BAPIA:N,N−ジ(3−アミノプロピル)イソプロピルアミン
PEG:ポリエチレングリコール、PEGに続く数値はPEGの数平均分子量を表す
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
Figure 2010074210
Figure 2010074210
Figure 2010074210
表1〜3の評価結果の実施例1〜10、15、16より、可溶性高分子化合物としてポリエーテルウレアウレタンを用いた感光性樹脂組成物中に(メタ)アクリロイル基の含有量が感光性樹脂組成物1000質量グラム中に2.2mol以上3.7mol以下含有するものがレーザー彫刻性及び印刷性に優れたレーザー彫刻用原版であることが分かり、特に2.4〜3.4モルを含有することでさらに優れたレーザー彫刻性が得られることが分かる。
又、実施例11〜14ではジアミン成分を実施例1より変更した可溶性高分子化合物を用いたものであるが、塩基性第3級窒素原子含有ジアミンとしてはピペラジン環を有するジアミンがレーザー彫刻性の面から好ましいことが分かる。
一方、比較例1及び2では、感光性樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル基の含有量が特許請求項の範囲外の場合であり、レーザー彫刻性及び印刷性の両者を満足できていないことは明らかである。又比較例3及び4では、ポリエーテルウレアウレタンを用いない感光性樹脂組成物であり、レーザー彫刻性及び印刷性の両者を満足できていない。さらに、比較例5は比較例3のポリアミドを用いて光重合性不飽和化合物を50質量%以上含有させた場合であるが、光重合性不飽和化合物を50質量%以上含有させることでレーザー彫刻性は満足できるが、印刷性でベタ部インキ乗りを満足できない。
また、比較例6は、紫外線照射時間を短縮して、レーザー彫刻を行う時点での感光性樹脂組成物層中に残留する(メタ)アクリロイル基の残留量が過剰な状態とした場合であるが、レーザー彫刻性及び印刷性の両者を満足できていないことが明らかである。
以上の結果から、本発明の樹脂組成物及びそれより得られた印刷原版、硬化済み印刷原版を使用すればレーザー彫刻性に優れ、しかも印刷性に優れた凸版用印刷版を製造することができることが明らかである。
本発明の樹脂組成物は、印刷版作製の際のレーザー照射時の版表面への樹脂カス付着が少なく且つレリーフエッジの丸み発生が殆どないので、レーザー彫刻性と高速印刷性能との両者を満足できるレーザー彫刻用印刷原版および硬化済み印刷原版を提供することができる。

Claims (10)

  1. 少なくとも可溶性合成高分子化合物、光重合性不飽和化合物、光重合開始剤を基本成分とする感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂組成物層を紫外線照射によって硬化させた後にレーザー光照射により画像形成して印刷版を形成するレーザー彫刻用凸版印刷原版において、前記感光性樹脂層が可溶性合成高分子化合物としてポリエーテルウレアウレタン、光重合性不飽和化合物としてエチレン性不飽和モノマーおよび光重合開始剤を必須成分とする前記感光性樹脂組成物からなり、前記感光性樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル基の含有量が前記感光性樹脂組成物1000質量グラム中に2.2モル以上3.7モル以下含有すること特徴とするレーザー彫刻用凸版印刷原版。
  2. 前記エチレン性不飽和モノマーが少なくとも2個以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有し、且つ、前記感光性樹脂組成物中に20質量%〜42質量%含有することを特徴とする請求項1のレーザー彫刻用印刷原版。
  3. 前記エチレン性不飽和モノマーが、多価アルコールのポリグリシジルエーテルとメタクリル酸あるいはアクリル酸との開環付加反応生成物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザー彫刻用印刷原版。
  4. ポリエーテルウレタンウレアが塩基性第3級窒素原子を含有し、ポリエーテルウレタンウレア1000質量グラム中に塩基性第3級窒素原子を0.50〜2.00モル含有し、数平均分子量が400〜1500のポリエチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレーザー彫刻用印刷原版。
  5. ポリエーテルウレタンウレアがプロトン性4級化剤によって25モル%以上を4級化された塩基性第3級窒素原子を含有することを特徴とする請求項4に記載のレーザー彫刻用印刷原版。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のレーザー彫刻用印刷原版より得られることを特徴とする感光性樹脂凸版印刷版。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のレーザー彫刻用印刷原版に紫外線を照射し、感光性樹脂組成物層中の(メタ)アクリロイル基含有量を紫外線照射前の30モル%未満としたレーザー彫刻用硬化済み凸版印刷原版。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載のレーザー彫刻用印刷原版に紫外線を照射し、感光性樹脂組成物層中の(メタ)アクリロイル基含有量を、前記感光性樹脂組成物1000質量グラム中に1モル未満としたレーザー彫刻用硬化済み凸版印刷原版。
  9. 少なくとも可溶性合成高分子化合物、光重合性不飽和化合物、光重合開始剤を基本成分とする感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂組成物層を紫外線照射によって硬化させたレーザー彫刻用硬化済み印刷原版であって、
    紫外線照射後の感光性樹脂組成物層が可溶性合成高分子化合物としてポリエーテルウレアウレタン、光重合性不飽和化合物としてエチレン性不飽和モノマー、および前記エチレン性不飽和モノマーのラジカル重合反応生成物を含有し、
    紫外線照射後の感光性樹脂組成物層中の(メタ)アクリロイル基の含有量が前記感光性樹脂組成物1000質量グラム中に1モル未満であることを特徴とするレーザー彫刻用硬化済み凸版印刷原版。
  10. 請求項7〜9のいずれかに記載のレーザー彫刻用硬化済み凸版印刷原版より得られることを特徴とする感光性樹脂凸版印刷版。
JP2010508649A 2008-12-25 2009-12-25 レーザー彫刻用凸版印刷原版及びそれから得られる凸版印刷版 Active JP5316534B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010508649A JP5316534B2 (ja) 2008-12-25 2009-12-25 レーザー彫刻用凸版印刷原版及びそれから得られる凸版印刷版

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008329947 2008-12-25
JP2008329947 2008-12-25
PCT/JP2009/071554 WO2010074210A1 (ja) 2008-12-25 2009-12-25 レーザー彫刻用凸版印刷原版及びそれから得られる凸版印刷版
JP2010508649A JP5316534B2 (ja) 2008-12-25 2009-12-25 レーザー彫刻用凸版印刷原版及びそれから得られる凸版印刷版

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2010074210A1 true JPWO2010074210A1 (ja) 2012-06-21
JP5316534B2 JP5316534B2 (ja) 2013-10-16

Family

ID=42287815

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010508649A Active JP5316534B2 (ja) 2008-12-25 2009-12-25 レーザー彫刻用凸版印刷原版及びそれから得られる凸版印刷版

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5316534B2 (ja)
WO (1) WO2010074210A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6558107B2 (ja) * 2015-07-08 2019-08-14 東洋紡株式会社 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物、及びそれから得られる凸版印刷原版
US20220314679A1 (en) * 2019-08-23 2022-10-06 Toyobo Co., Ltd. Flexographic printing plate

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2682211B2 (ja) * 1990-08-09 1997-11-26 東洋紡績株式会社 感光性樹脂組成物
JP2008225464A (ja) * 2007-02-14 2008-09-25 Toyobo Co Ltd 感光性樹脂凸用原版
PL2241448T3 (pl) * 2007-12-26 2012-04-30 Toyo Boseki Pierwotna typograficzna forma drukowa do grawerowania laserowego i otrzymana w ten sposób typograficzna forma drukowa

Also Published As

Publication number Publication date
WO2010074210A1 (ja) 2010-07-01
JP5316534B2 (ja) 2013-10-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5445137B2 (ja) レーザー彫刻用凸版印刷原版及びそれから得られる凸版印刷版
CN108139669B (zh) 凸版印刷原版用感光性树脂组合物以及用其得到的凸版印刷原版
JP2016191772A (ja) 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物、及びそれから得られる凸版印刷原版
EP2755087B1 (en) Flexographic printing original plate and water-developable photosensitive resin laminate
JP5316534B2 (ja) レーザー彫刻用凸版印刷原版及びそれから得られる凸版印刷版
JP5407222B2 (ja) レーザー彫刻用凸版印刷原版及びそれから得られる凸版印刷版
JP2008225464A (ja) 感光性樹脂凸用原版
JP6903919B2 (ja) 水現像性凸版印刷用感光性樹脂組成物及びそれから得られる水現像性凸版印刷用感光性樹脂原版
WO2016043006A1 (ja) 水現像可能なフレキソ印刷用感光性樹脂組成物及びフレキソ印刷用感光性樹脂原版
JP6501150B2 (ja) レーザー彫刻用凸版印刷原版及びそれを用いて得られる凸版印刷版の製造方法
JP6558107B2 (ja) 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物、及びそれから得られる凸版印刷原版
JP5444689B2 (ja) レーザー彫刻用凸版印刷原版及びそれから得られる凸版印刷版
CN108780274B (zh) 可水显影的柔性印刷用感光性树脂组合物、及由该组合物得到的柔性印刷用感光性树脂原版
JP5863086B1 (ja) 水現像可能なフレキソ印刷用感光性樹脂組成物及びフレキソ印刷用感光性樹脂原版
JP5028865B2 (ja) 感光性樹脂凸版組成物およびそれからなる感光性樹脂凸版材
JP2019179149A (ja) 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物、及びそれから得られる凸版印刷原版
CN118076923A (zh) 光敏树脂凸版用印刷原版以及印刷版
WO2024070139A1 (ja) 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物、凸版印刷原版、及び印刷版
JP2013210426A (ja) 凸版原版用感光性樹脂組成物
JP2007322681A (ja) 感光性樹脂凸版組成物およびそれからなる感光性樹脂凸版材
JP2013210425A (ja) 凸版原版用感光性樹脂組成物
JP2006243150A (ja) 感光性樹脂印刷版
JP2018158560A (ja) レーザー彫刻用凸版印刷原版
JP2017181782A (ja) 水現像可能なフレキソ印刷用感光性樹脂組成物、及びそれから得られるフレキソ印刷用感光性樹脂原版
JP2011005814A (ja) レーザー彫刻用凸版印刷原版及びそれから得られる凸版印刷版

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130319

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130514

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130611

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130624

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5316534

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350